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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061402
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】シートバックの保持構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/005 20060101AFI20240425BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20240425BHJP
   B60N 2/897 20180101ALI20240425BHJP
【FI】
B60N2/005
B60N2/20
B60N2/897
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169334
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 良範
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087DA06
3B087DC10
(57)【要約】
【課題】シートバックを前倒し及び後倒し可能な構成において、シートバックを起立状態に保持するための構成を簡素化する。
【解決手段】シートバックの保持構造10では、車体の床部12に対して前倒し及び後倒し可能に連結されるシートバック20に、第1孔26が形成されている。車体の左側部14に設けられた車体側対向部14Aには、第2孔28が形成されている。シートバック20が起立した起立状態では、第1孔26と第2孔28とが対向し、保持部材25が第1孔26及び第2孔28に対して挿抜可能となる。この保持部材25が第1孔26及び第2孔28に挿入されることで、シートバック20が起立状態に保持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1孔が形成され、車体又はシートクッションに対して前倒し及び後倒し可能に連結されるシートバックと、
前記車体の側部に設けられ、前記シートバックが起立した起立状態で前記第1孔と対向する第2孔が形成された車体側対向部と、
前記起立状態で前記第1孔及び第2孔に対して挿抜可能とされ、前記第1孔及び第2孔に挿入されることで前記シートバックを前記起立状態に保持する保持部材と、
を備えたシートバックの保持構造。
【請求項2】
前記起立状態では、前記シートバックに設けられたシート側対向部が前記車体側対向部に対して車両上下方向に対向すると共に、前記シート側対向部に形成された前記第1孔が前記車体側対向部に形成された前記第2孔に対して車両上下方向に対向し、前記保持部材が前記第1孔及び前記第2孔に対して車両上方側から挿抜可能となる請求項1に記載のシートバックの保持構造。
【請求項3】
前記起立状態では、前記シート側対向部が前記車体側対向部に対して車両上方側から対向する請求項2に記載のシートバックの保持構造。
【請求項4】
前記シートバックの上端部にヘッドレストステーが連結されるヘッドレストを備え、
前記保持部材は、前記ヘッドレストステーの一部によって構成されている請求項2又は請求項3に記載のシートバックの保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックを起立状態に保持するためのシートバックの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された自動車用のシート装置では、シートバックが車体の床部に対して前倒し及び後倒し可能に連結される。シートバックが車体の床部に対して起立する起立状態では、車体の側部に設けられたシートバックロックの移動部材が、シートバックのロックピンと係合する。これにより、シートバックが起立状態に保持される。自動車の乗員は、シートバックロックの移動部材の頂部を引き上げることにより、シートバックを前倒し及び後倒しさせることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-68825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術では、シートバックを起立状態に保持するためのシートバックロックの構成が複雑であるため、構成を簡素化する観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シートバックを前倒し及び後倒し可能な構成において、シートバックを起立状態に保持するための構成を簡素化することができるシートバックの保持構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のシートバックの保持構造は、第1孔が形成され、車体又はシートクッションに対して前倒し及び後倒し可能に連結されるシートバックと、前記車体の側部に設けられ、前記シートバックが起立した起立状態で前記第1孔と対向する第2孔が形成された車体側対向部と、前記起立状態で前記第1孔及び第2孔に対して挿抜可能とされ、前記第1孔及び第2孔に挿入されることで前記シートバックを前記起立状態に保持する保持部材と、を備えている。
【0007】
第1の態様のシートバックの保持構造では、車体又はシートクッションに対して前倒し及び後倒し可能に連結されるシートバックに、第1孔が形成されている。車体の側部に設けられた車体側対向部には、第2孔が形成されている。シートバックが起立した起立状態では、第1孔と第2孔とが対向し、保持部材が第1孔及び第2孔に対して挿抜可能となる。この保持部材が第1孔及び第2孔に挿入されることで、シートバックが起立状態に保持される。この保持部材は、例えば第1孔及び第2孔に対して挿抜可能な棒状の部材であればよい。よって、シートバックを起立状態に保持するための構成を簡素化することができる。
【0008】
第2の態様のシートバックの保持構造は、第1の態様において、前記起立状態では、前記シートバックに設けられたシート側対向部が前記車体側対向部に対して車両上下方向に対向すると共に、前記シート側対向部に形成された前記第1孔が前記車体側対向部に形成された前記第2孔に対して車両上下方向に対向し、前記保持部材が前記第1孔及び前記第2孔に対して車両上方側から挿抜可能となる。
【0009】
第2の態様のシートバックの保持構造によれば、シートバックの起立状態では、シートバックに設けられたシート側対向部が、車体の側部に設けられた車体側対向部に対して車両上下方向に対向する。この状態では、シート側対向部に形成された第1孔が、車体側対向部に形成された第2孔に対して車両上下方向に対向し、保持部材が第1孔及び第2孔に対して車両上方側から挿抜可能となる。起立状態のシートバックの車両上方側では、スペースを確保し易いため、保持部材の挿抜作業が容易になる。
【0010】
第3の態様のシートバックの保持構造は、第2の態様において、前記起立状態では、前記シート側対向部が前記車体側対向部に対して車両上方側から対向する。
【0011】
第3の態様のシートバックの保持構造によれば、シートバックの起立状態では、シートバックに設けられたシート側対向部が、車体の側部に設けられた車体側対向部に対して車両上方側から対向する。つまり、車体の側部側へ出っ張るシート側対向部がシートバックに設けられているので、シートバックの前倒し時及び後倒し時には、出っ張りであるシート側対向部がシートバックと一緒に前倒し及び後倒しされるため、当該出っ張りが乗員の邪魔にならないようにすることができる。
【0012】
第4の態様のシートバックの保持構造は、第2の態様又は第3の態様において、前記シートバックの上端部にヘッドレストステーが連結されるヘッドレストを備え、前記保持部材は、前記ヘッドレストステーの一部によって構成されている。
【0013】
第4の態様のシートバックの保持構造によれば、シートバックの上端部には、ヘッドレストのヘッドレストステーが連結される。シートバックの起立状態では、ヘッドレストステーの一部によって構成された保持部材が、シート側対向部の第1孔と車体側対向部の第2孔とに対して挿抜可能とされる。このように、保持部材がヘッドレストステーの一部によって構成されているため、シートバックを起立状態に保持するための構成を一層簡素化することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係るシートバックの保持構造では、シートバックを前倒し及び後倒し可能な構成において、シートバックを起立状態に保持するための構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るシートバックの保持構造の構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係るシートバックの保持構造が適用された車両用シートの側面図である。
図3図1に示される構成の一部を拡大して示す正面図である。
図4】第1実施形態に係るシートバックの保持構造の変形例を示す図3に対応した正面図である。
図5】シートバックのフレームに固定されたブラケットにヘッドレストブッシュが取り付けられた例を示す斜視図である。
図6】第2実施形態に係るシートバックの保持構造の主要部の構成を示す正面図である。
図7図6に示される構成の一部を拡大して示す正面図である。
図8】第2実施形態に係るシートバックの保持構造の変形例を示す図7に対応した正面図である。
図9】車体の側部に形成された第2孔の開口部が拡径された例を示す断面図である。
図10】第3実施形態に係るシートバックの保持構造の主要部の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、図1図3を参照して本発明の第1実施形態に係るシートバックの保持構造10について説明する。なお、各図中においては、図面を見易くする関係から一部の符号を省略している場合がある。また、各図中に適宜記載された矢印FR、LH及びUPは、シートバックの保持構造10が適用された車両の前方、左方及び上方をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、車両に対する方向を示すものとする。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係るシートバックの保持構造10は、シートバック20と、ヘッドレスト22と、車体の左側部14に設けられた車体側対向部14Aと、を備えている。図2に示されるように、シートバック20及びヘッドレスト22は、図2に示される車両用シート16の構成部材である。この車両用シート16は、車両のリヤシートであり、シートバック20及びヘッドレスト22の他、シートクッション18を備えている。
【0018】
上記のシートバック20は、一例として分割可倒式であり、左側部分20Lと右側部分20Rとに分割されている。ヘッドレスト22は、左側部分20Lの上方と右側部分20Rの上方とにそれぞれ設けられているが、右側のヘッドレスト22の図示は省略する。本実施形態に係るシートバックの保持構造10は、左右対称の構成とされているため、以下、シートバックの保持構造10の左側部分について説明し、シートバックの保持構造10の右側部分についての説明を省略する。また、以下の説明では、シートバック20の左側部分20Lを、単に「シートバック20」と称する。
【0019】
シートバック20は、左右一対のヒンジ21を介して車体の床部12に連結されており、床部に対して前倒し及び後倒し可能とされている。具体的には、シートバック20は、図2に一点鎖線で示される前倒し位置と、図2に二点鎖線で示される後倒し位置との間で床部12に対して回転可能とされている。なお、シートバック20が床部12に連結された構成に限らず、シートバック20が車体の側部又はシートクッション18に連結された構成にしてもよい。図2に実線で示されるようにシートバック20が床部12に対して起立した状態(以下、単に「シートバック20の起立状態」と称する)では、シートクッション18に着座した乗員の背部がシートバック20によって支持される。シートバック20の起立状態では、図1及び図3に示されるように、車体の左側部14に設けられた車体側対向部14Aと、シートバック20の上端部に設けられたシート側対向部20Aとが上下方向に対向する。
【0020】
車体側対向部14Aは、車体の左側部14から車内側(左右方向内側)へ向けて突出した突出部である。シート側対向部20Aは、シートバック20の上端部の左端部に形成された段部である。シートバック20の起立状態では、車体側対向部14Aがシート側対向部20Aに対して上方側から対向すると共に、シート側対向部20Aに形成された第1孔26と、車体側対向部14Aに形成された第2孔28とが上下方向に対向する。第1孔26は、シートバック20の上下方向(高さ方向)を軸線方向とする孔であり、シートバック20の上方へ向けて開口している。第2孔28は、車両の上下方向を軸線方向とする孔であり、車体側対向部14Aを上下方向に貫通している。シートバック20の起立状態では、第1孔26と第2孔28とが同軸上に配置される。
【0021】
図3に示されるように、第1孔26の開口部には、カバー30が装着されており、第2孔28には、パイプブッシュ32とヘッドレストブッシュ34とが挿入されている。なお、図1では、カバー30、パイプブッシュ32及びヘッドレストブッシュ34の図示を省略している。
【0022】
カバー30は、例えば樹脂の射出成形によってフランジ付きの筒状に形成されており、第1孔26の開口部に同軸的に嵌め込まれている。パイプブッシュ32は、例えば金属製のパイプによって構成されており、上下方向を軸線方向とする姿勢で第2孔28内に配置されている。このパイプブッシュ32は、車体の左側部14に設けられた図示しない車体骨格部材に溶接等の手段で固定されている。ヘッドレストブッシュ34は、例えば樹脂の射出成形によってフランジ付きの筒状に形成されたものであり、パイプブッシュ32の内側に同軸的に挿入されている。ヘッドレストブッシュ34の上端に設けられたフランジ部34Aは、シート側対向部20Aの上面から上方側に突出して配置されている。
【0023】
ヘッドレスト22は、シートバック20の上端部に連結されるヘッドレストステー24を有している。シートバック20の起立状態では、ヘッドレストステー24の一部によって構成された保持部材25が、上記の第1孔26及び第2孔28に対して上方側から挿抜可能(挿入及び抜去が可能)となる。ヘッドレストステー24は、例えば金属製のパイプが略逆U字状に曲げられたものであり、ヘッドレスト22の本体部23から下方側へ突出する左右の脚部24L、24Rを有している。ヘッドレストステー24の左脚部24Lは、上記の保持部材25とされている。この左脚部24L(保持部材25)が第1孔26及び第2孔28に挿入されることでシートバック20がシートバック20の起立状態に保持される構成になっている。
【0024】
第2孔28に挿入される左脚部24Lは、ヘッドレストブッシュ34の内側に挿入される。ヘッドレストブッシュ34のフランジ部34Aには、左脚部24Lに係合することで、ヘッドレストブッシュ34に対する左脚部24Lの軸線方向移動を規制するロック36が設けられている。ヘッドレストステー24の右脚部24Rは、シートバック20の上端部に設けられた図示しないヘッドレストブッシュの内側に挿入される。
【0025】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成のシートバックの保持構造10では、車体の床部12に対して前倒し及び後倒し可能に連結されるシートバック20に、第1孔26が形成されている。車体の左側部14に設けられた車体側対向部14Aには、第2孔28が形成されている。シートバック20の起立状態では、第1孔26と第2孔28とが対向し、ヘッドレストステー24の左脚部24Lからなる保持部材25が、第1孔26及び第2孔28に対して挿抜可能となる。この保持部材25が第1孔26及び第2孔28に挿入されることで、シートバック20が起立状態に保持される。この保持部材25は、第1孔26及び第2孔28に対して挿抜可能な棒状の部材であればよく、従来のシートバックロックが不要となるため、シートバック20を起立状態に保持するための構成を簡素化することができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、シートバック20の起立状態では、シートバック20に設けられたシート側対向部20Aが、車体の左側部14に設けられた車体側対向部14Aに対して車両上下方向に対向する。この状態では、シート側対向部20Aに形成された第1孔26が、車体側対向部14Aに形成された第2孔28に対して上下方向に対向し、保持部材25が第1孔26及び第2孔28に対して上方側から挿抜可能となる。起立状態のシートバック20の車両上方側では、スペースを確保し易いため、保持部材25の挿抜作業が容易になる。
【0027】
また、本実施形態によれば、上記の保持部材25がヘッドレストステー24の一部である左脚部24Lによって構成されているため、シートバックを起立状態に保持するための構成を一層簡素化することができ、部品点数を少なくすることができる。
【0028】
なお、上記第1実施形態では、パイプブッシュ32及びヘッドレストブッシュ34が車体側対向部14Aの第2孔28に設けられた構成にしたが、これに限るものではない。図4に示される変形例10’のように、パイプブッシュ32及びヘッドレストブッシュ34がシート側対向部20Aの第1孔26に設けられた構成にしてもよい。
【0029】
また、ヘッドレストブッシュ34がシート側対向部20Aに設けられる場合、パイプブッシュ32の代わりに、板金製のブラケット38(図5参照)にヘッドレストブッシュ34を取り付ける構成にしてもよい。このブラケット38は、シートバック20のフレーム20Fに溶接等の手段で固定されている。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、第1実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0031】
<第2の実施形態>
図6には、本発明の第2実施形態に係るシートバックの保持構造40の主要部の構成が正面図にて示されており、図7には、図6に示される構成の一部が拡大した正面図にて示されている。このシートバックの保持構造40では、シートバック20の起立状態において、シートバック20の上端部の左端部に設けられたシート側対向部20Bが、車体の左側部14に設けられた車体側対向部14Bに対して上方側から対向するように構成されている。シート側対向部20Bは、シートバック20の上端部の左端部から車外側(左右方向外側)へ向けて突出した突出部である。車体側対向部14Bは、車体の左側部14の上端部に形成された段部である。シートバック20の起立状態では、シート側対向部20Bに形成された第1孔26と、車体側対向部14Bに形成された第2孔28とが上下方向に対向する。図7に示されるように、第1孔26には、パイプブッシュ32とヘッドレストブッシュ34とが挿入されている。
【0032】
シートバック20の起立状態では、ヘッドレストステー24の左脚部24Lによって構成された保持部材25が、第1孔26及び第2孔28に対して上方側から挿抜可能となる。左脚部24L(保持部材25)が第1孔26及び第2孔28に挿入されることでシートバック20がシートバック20の起立状態に保持される。第1孔26に挿入されるヘッドレストステー24の左脚部24Lは、ヘッドレストブッシュ34の内側に挿入され、ロック36によってヘッドレストブッシュ34に拘束される。この実施形態では、上記以外の構成は第1実施形態と同様とされている。この実施形態においても、第1実施形態と基本的に同様の作用及び効果が得られる。しかも、この実施形態では、車体の左側部14側へ出っ張るシート側対向部20Bがシートバック20に設けられているので、シートバック20の前倒し時及び後倒し時には、出っ張りであるシート側対向部20Bがシートバック20と一緒に前倒し及び後倒しされる。よって、シートバック20の前倒し状態及び後倒し状態において、上記の出っ張りが乗員の邪魔にならないようにすることができる。
【0033】
なお、上記第2実施形態では、パイプブッシュ32及びヘッドレストブッシュ34がシート側対向部20Bの第1孔26に設けられた構成にしたが、これに限るものではない。図8に示される変形例40’のように、パイプブッシュ32及びヘッドレストブッシュ34が車体側対向部14Bの第2孔28に設けられた構成にしてもよい。この変形例40’では、第1孔26の上下の開口部にそれぞれカバー30が装着されている。
【0034】
また、上記第2実施形態において、図9に示されるように、第2孔28の開口部に拡径部28Aが形成された構成にしてもよい。この拡径部28Aにおいては、第2孔28の内径が上方側へ向かうほど漸増している。これにより、第2孔28への左脚部24L(保持部材25)の挿入を拡径部28Aによって案内することができるので、第2孔28への左脚部24Lの挿入が容易になる。なお、第1実施形態において、図3に示されるカバー30の開口部に拡径部を設ければ、第1孔26への左脚部24Lの挿入が容易になる。
【0035】
<第3の実施形態>
図10には、本発明の第3実施形態に係るシートバックの保持構造50の主要部の構成が正面図にて示されている。このシートバックの保持構造50は、ヘッドレストステー24とは別体の保持部材25を備えている。この保持部材25が車体側対向部14Aの第2孔28及びシート側対向部20Aの第1孔26の挿入されることで、シートバック20が起立状態に保持される。保持部材25が第1孔26及び第2孔28から抜去されることで、シートバック20の前倒し及び後倒しが可能となる。シートバック20の前倒し状態及び後倒し状態では、例えば保持部材25が第2孔28に挿入されて車体側対向部14Aに保持されるように構成されている。この実施形態においても、シートバック20を起立状態に保持するための構成を簡素化することができる。
【0036】
以上、幾つかの実施形態を挙げて本発明について説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
10 シートバックの保持構造
12 車体の床部
14 車体の左側部(側部)
14A 車体側対向部
14B 車体側対向部
18 シートクッション
20 シートバック
20A シート側対向部
20B シート側対向部
22 ヘッドレスト
24 ヘッドレストステー
24L 左脚部
25 保持部材
26 第1孔
28 第2孔
40 シートバックの保持構造
50 シートバックの保持構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10