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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061403
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/36 20060101AFI20240425BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20240425BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240425BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B60N2/36
B60N2/64
B60N2/90
A47C7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169335
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上木 昌徳
(72)【発明者】
【氏名】澤 真也
(72)【発明者】
【氏名】中山 潤一
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084EB04
3B084EC02
3B087BD01
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】展開したバックボードの変形を抑制する。
【解決手段】リヤシート10は、シートクッションと、シートバック16と、ヘッドレスト18と、可動側バックボード28と、荷重支持部材34と、を備えている。可動側バックボード28は、シートバック16に設けられていると共に、ヘッドレスト18側へ向けて展開可能とされ、ヘッドレスト18側へ展開された状態かつシートバック16がシートクッション14側へ倒された状態で、シートバック16と共に荷室の床面を形成する。荷重支持部材34は、可動側バックボード28がヘッドレスト18側へ展開された状態で可動側バックボード28とヘッドレスト18との間に介在し、可動側バックボード28に入力された荷重をヘッドレスト18と共に支持する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、
着座乗員の背部をシート後方側から支持すると共に、前記シートクッション側へ倒すことが可能とされたシートバックと、
着座乗員の頭部をシート後方側から支持するヘッドレストと、
前記シートバックに設けられていると共に、前記ヘッドレスト側へ向けて展開可能とされ、前記ヘッドレスト側へ展開された状態かつ前記シートバックが前記シートクッション側へ倒された状態で、前記シートバックと共に荷室の床面を形成する可動側バックボードと、
前記可動側バックボードが前記ヘッドレスト側へ展開された状態で前記可動側バックボードと前記ヘッドレストとの間に介在し、前記可動側バックボードに入力された荷重を前記ヘッドレストと共に支持する荷重支持部材と、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
前記シートバックの骨格を構成するシートバックフレームには、前記ヘッドレストが支持されるアッパフレーム部が設けられ、
前記可動側バックボードが、前記アッパフレーム部に回動可能に支持されている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートバックフレームにおける着座乗員側には、シートバックパッドが取付けられていると共に、前記シートバックフレームにおける着座乗員とは反対側には、固定側バックボードが取付けられており、
前記固定側バックボードの一部は前記シートバックパッドとは反対側へ変位するドア部とされ、
前記可動側バックボードが前記ヘッドレストとは反対側に位置している状態では、前記可動側バックボードが前記シートバックパッドと前記ドア部との間に格納され、
前記ドア部が前記シートバックパッドとは反対側へ変位されることで、前記可動側バックボードをヘッドレスト側へ展開させることが可能となる請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リヤシートバックと前座席シートとの隙間をバックボードによってカバーできる自動車用リヤシートバックのバックボード展開構造が開示されている。この文献に記載された自動車用リヤシートバックのバックボード展開構造では、バックボードが、弾性部材の弾性力によりリヤシートバックの背面から前方に展開されるか元の位置に収納されるようになっている。すなわち、バックボードをリヤシートバックから前方側へ自動で展開させることが可能となっていると共に、バックボードをリヤシートバック側へ自動で格納させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-306357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、バックボードがリヤシートバックから前方側へ展開した状態で、バックボード上に荷物が置かれると、バックボードが下方側へ向けて変形することが考えられる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、展開したバックボードの変形を抑制することができる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の車両用シートは、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、着座乗員の背部をシート後方側から支持すると共に、前記シートクッション側へ倒すことが可能とされたシートバックと、着座乗員の頭部をシート後方側から支持するヘッドレストと、前記シートバックに設けられていると共に、前記ヘッドレスト側へ向けて展開可能とされ、前記ヘッドレスト側へ展開された状態かつ前記シートバックが前記シートクッション側へ倒された状態で、前記シートバックと共に荷室の床面を形成する可動側バックボードと、前記可動側バックボードが前記ヘッドレスト側へ展開された状態で前記可動側バックボードと前記ヘッドレストとの間に介在し、前記可動側バックボードに入力された荷重を前記ヘッドレストと共に支持する荷重支持部材と、を備えている。
【0007】
第1の態様の車両用シートによれば、シートバックをシートクッション側へ倒して、可動側バックボードをヘッドレスト側へ展開することができる。これにより、シートバック及び可動側バックボードによって、荷室の床面が形成される。ここで、可動側バックボードがヘッドレスト側へ展開された状態では、荷重支持部材が可動側バックボードとヘッドレストとの間に介在する。これにより、可動側バックボードに入力された荷重がヘッドレスト及び荷重支持部材によって支持される。その結果、展開したバックボード(可動側バックボード)の変形を抑制することができる。
【0008】
第2の態様の車両用シートは、第1の態様の車両用シートにおいて、前記シートバックの骨格を構成するシートバックフレームには、前記ヘッドレストが支持されるアッパフレーム部が設けられ、前記可動側バックボードが、前記アッパフレーム部に回動可能に支持されている。
【0009】
第2の態様の車両用シートによれば、可動側バックボードをシートバックフレームのアッパフレーム部に回動可能に支持させるという構成により、可動側バックボードをヘッドレスト側へ展開させることができる。
【0010】
第3の態様の車両用シートは、第2の態様の車両用シートにおいて、前記シートバックフレームにおける着座乗員側には、シートバックパッドが取付けられていると共に、前記シートバックフレームにおける着座乗員とは反対側には、固定側バックボードが取付けられており、前記固定側バックボードの一部は前記シートバックパッドとは反対側へ変位するドア部とされ、前記可動側バックボードが前記ヘッドレストとは反対側に位置している状態では、前記可動側バックボードが前記シートバックパッドと前記ドア部との間に格納され、前記ドア部が前記シートバックパッドとは反対側へ変位されることで、前記可動側バックボードをヘッドレスト側へ展開させることが可能となる。
【0011】
第3の態様の車両用シートによれば、可動側バックボードがヘッドレストとは反対側に位置している状態では、可動側バックボードをシートバックパッドとドア部との間に格納することができる。また、ドア部をシートバックパッドとは反対側へ変位させると、可動側バックボードをヘッドレスト側へ展開させることが可能となる。このように、第3の態様の車両用シートでは、可動側バックボードを使用しない場合に、可動側バックボードを格納することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両用シートは、展開したバックボードの変形を抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のリヤシートを斜め後方側から見た斜視図であり、可動側バックボードが展開している状態を示している。
図2】本実施形態のリヤシートを斜め後方側から見た斜視図であり、可動側バックボードが格納されている状態を示している。
図3】シートバックを分解して示す分解斜視図である。
図4】第2ホルダが第1ホルダに取付けられる工程を示す斜視図である。
図5】第2ホルダが第1ホルダに取付けられた状態を示す斜視図である。
図6】可動側バックボードがシートバックフレームに第1ホルダ及び第2ホルダを介して取付けられた状態を示す断面斜視図であり、可動側バックボードが透明なものとして図示している。
図7】可動側バックボードがシートバックフレームに第1ホルダ及び第2ホルダを介して取付けられた状態を示す正面図である。
図8】本実施形態のリヤシートを斜め後方側から見た斜視図であり、ドア部が開かれた状態を示している。
図9図8に示されたa-a線に沿って切断したシートバックの断面を示す側断面図である。
図10】本実施形態のリヤシートを斜め後方側から見た斜視図であり、ドア部が開かれた状態かつ可動側バックボードが展開している状態を示しており、可動側バックボードが透明なものとして図示している。
図11】ドア部が開かれた状態かつ可動側バックボードが展開している状態を示す図9に対応する断面図である。
図12】着座乗員の背部を支持可能な位置に配置されたシートバックを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図12を用いて、本発明の実施形態に係るリヤシート10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、リヤシート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。
【0015】
図1及び図2に示されるように、車両用シートとしてのリヤシート10は、運転席や助手席等のフロントシート12の後方側に配置された3人掛け又は2人掛けのシートである。このリヤシート10は、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッション14と、着座乗員の背部を後方側から支持するシートバック16と、着座乗員の頭部を後方側から支持するヘッドレスト18と、を備えている。
【0016】
シートバック16においてヘッドレスト18とは反対側の端部は、シートクッション14の後端側において左右方向を軸方向として回動可能に支持されている。これにより、シートバック16における着座乗員側の面がシートクッション14の上面に接触する位置まで、シートバック16を倒すことが可能となっている。
【0017】
図3に示されるように、シートバック16は、当該シートバック16の骨格を構成するシートバックフレーム20を備えている。また、シートバック16は、シートバックフレーム20に前方側から取付けられるシートバックパッド22と、シートバックフレーム20に後方側から取付けられる固定側バックボード24と、を備えている。さらに、シートバック16は、当該シートバック16からヘッドレスト18側へ展開される可動側バックボード28を有する可動側バックボードアセンブリ26を備えている。
【0018】
シートバックフレーム20は、円筒状の鋼材が曲げられて溶接されること等により矩形状に形成されている。このシートバックフレーム20は、左右方向に間隔をあけて配置された左右一対のサイドフレーム部20Aを備えている。また、シートバックフレーム20は、左右一対のサイドフレーム部20Aにおけるヘッドレスト18(図2参照)側の端部を左右方向につなぐアッパフレーム部20Bを備えている。アッパフレーム部20Bには、ヘッドレスト18のステー18A(図2参照)が支持される左右一対のヘッドレストブラケット20Cが溶接等により固定されている。さらに、シートバックフレーム20は、左右一対のサイドフレーム部20Aにおけるヘッドレスト18とは反対側の端部を左右方向につなぐロアフレーム部20Dを備えている。シートバックフレーム20には、後述する複数のクリップ25がそれぞれ係止されるクリップ係止部20Eが設けられている。
【0019】
シートバックパッド22は、ウレタンフォーム等を用いて形成されている。このシートバックパッド22には、布や合成皮革を用いて形成されたトリムが取付けられる。また、シートバックパッド22における着座乗員とは反対側かつシートバックフレーム20のアッパフレーム部20B側には、着座乗員側へ向けて窪んでいる矩形状の第1凹部22Aが形成されている。また、第1凹部22Aに対してアッパフレーム部20B側には、着座乗員側へ向けて窪んでいると共に第1凹部22Aとつながっている左右一対の第2凹部22Bが形成されている。
【0020】
固定側バックボード24は、樹脂材料を用いて板状に形成されており、シートバック16がシートクッション14側へ倒された状態において前後方向を長手方向とする矩形状となっている。この固定側バックボード24の左右の両端部には、複数のクリップ25がそれぞれ挿入される複数のクリップ挿入孔24Aが形成されている。そして、複数のクリップ挿入孔24Aにそれぞれ挿入された複数のクリップ25が、シートバックフレーム20の複数のクリップ係止部20Eにそれぞれ係止されることで、固定側バックボード24がシートバックフレーム20に固定されるようになっている。なお、図3においては、複数のクリップ25のうちの一部のクリップ25のみを図示している。また、後述するように取り外すことが予定されていないクリップ25をリベットやビス等に置き換えてもよい。ここで、固定側バックボード24においてシートバックパッド22の第1凹部22A及び一対の第2凹部22Bと対向して配置される部分をドア部24Bと呼ぶことにする。
【0021】
固定側バックボード24の長手方向の中間部には、左右方向に沿ってヒンジ部24Cが形成されている。このヒンジ部24Cは、一例としてインテグラルヒンジとなっている。これにより、固定側バックボード24のドア部24Bをヒンジ部24Cを中心軸としてシートバックパッド22とは反対側へ変位(傾動)させることが可能となっている。なお、固定側バックボード24のドア部24Bをシートバックパッド22とは反対側へ傾動させる場合においては、アッパフレーム部20B側の2つのクリップ25を取外すことが必要である。そのため、この2つのクリップ25については、例えば、回転させること等により容易に着脱できるものであることが好ましい。
【0022】
可動側バックボードアセンブリ26は、可動側バックボード28と、可動側バックボード28をシートバックフレーム20に支持させるための左右一対の第1ホルダ30及び左右一対の第2ホルダ32と、可動側バックボード28に固定された荷重支持部材34と、を備えている。
【0023】
可動側バックボード28は、樹脂材料を用いて板状に形成されており、左右方向を長手方向とする矩形状となっている。この可動側バックボード28は、格納位置に配置された状態でシートバックパッド22に形成された第1凹部22A内に配置されるようになっている。
【0024】
図4及び図5に示されるように、第1ホルダ30は、樹脂射出成形にて形成されている。この第1ホルダ30は、シートバックフレーム20のアッパフレーム部20Bに巻掛けられる巻掛部30Aと、巻掛部30Aの一方側の端から可動側バックボード28側へ向けて延出する固定部30Bと、を備えている。巻掛部30Aは、左右方向から見て略C字状に湾曲された形状となっている。巻掛部30Aにおける固定部30Bとは反対側の端部の左右方向の中央部には、後述する第2ホルダ32の一部が係止される係止孔30Cが形成されている。また、固定部30Bにおける巻掛部30Aとは反対側の端部には、2つの固定部材36がそれぞれ挿入される2つの固定部材挿入孔30Dが形成されている。
【0025】
第2ホルダ32は、第1ホルダ30と同様に樹脂射出成形にて形成されている。この第2ホルダ32は、第1ホルダ30の固定部30Bと共に可動側バックボード28に固定される固定部32Aを備えている。また、第2ホルダ32は、固定部32Aにおける可動側バックボード28とは反対側の端から第1ホルダ30の巻掛部30Aにおける固定部30Bとは反対側の端側へ向けて延出する抜止部32Bを備えている。さらに、第2ホルダ32は、抜止部32Bにおける固定部32Aとは反対側の端の左右方向の中央部から第1ホルダ30側へ向けて突出する係止部32Cを備えている。固定部32Aにおける抜止部32Bとは反対側の端部には、2つの固定部材36がそれぞれ挿入される2つの固定部材挿入孔32Dが形成されている。
【0026】
そして、シートバックパッド22がシートバックフレーム20に取付けられた状態で、第1ホルダ30の巻掛部30Aをアッパフレーム部20Bに巻掛けると共に可動側バックボード28に挿入された固定部材36を固定部30Bの固定部材挿入孔30Dに挿入する。次に、図4及び図5に示されるように、第2ホルダ32の係止部32Cを第1ホルダ30の係止孔30Cに挿入して当該係止孔30Cの縁部に係止させると共に、固定部材36を固定部32Aの固定部材挿入孔32Dに挿入する。なお、固定部材36の構成は、ボルトやリベット等を用いた構成でもよいし、熱カシメ部分等の他の構成であってもよい。以上の手順を経ることにより、図6及び図7に示されるように、可動側バックボード28が、第1ホルダ30及び第2ホルダ32を介してアッパフレーム部20Bに取付けられる。また、可動側バックボード28が第1ホルダ30及び第2ホルダ32を介してアッパフレーム部20Bに取付けられた状態では、右側の第1ホルダ30及び右側の第2ホルダ32が、右側のヘッドレストブラケット20Cに対して右側かつ右側のヘッドレストブラケット20Cと近接する位置に配置される。さらに、可動側バックボード28が第1ホルダ30及び第2ホルダ32を介してアッパフレーム部20Bに取付けられた状態では、左側の第1ホルダ30及び左側の第2ホルダ32が、左側のヘッドレストブラケット20Cに対して左側かつ左側のヘッドレストブラケット20Cと近接する位置に配置される。これにより、左右一対のヘッドレストブラケット20Cを可動側バックボード28のアッパフレーム部20Bに対する左右方向への位置決め部分として機能させることができる。また、可動側バックボード28が第1ホルダ30及び第2ホルダ32を介してアッパフレーム部20Bに取付けられた状態では、可動側バックボード28がアッパフレーム部20Bを支軸部として前後方向に回動可能となっている。なお、図6においては、各部材の断面のハッチングを省略している。
【0027】
図8に示されるように、可動側バックボード28が第1ホルダ30及び第2ホルダ32を介してアッパフレーム部20Bに取付けられた状態では、第1ホルダ30の巻掛部30A及び第2ホルダ32の抜止部32Bがシートバックパッド22の第2凹部22B内に配置される。ここで、第2凹部22Bと対応する部分においてはトリムが切り欠かれている。そして、第2凹部22Bの縁にカバー部材38が取付けられることで、第2凹部22Bと対応する部分におけるトリムの端部がカバー部材38によって覆われるようになっている。
【0028】
図3に示されるように、荷重支持部材34は、シートバックパッド22よりも硬質なウレタン等を用いて左右方向を長手方向とする直方体状に形成されている。この荷重支持部材34は、格納位置に位置している状態の可動側バックボード28におけるシートバックパッド22とは反対側の面でかつアッパフレーム部20Bとは反対側の端部の左右方向の中央部に接着等により固定されている。
【0029】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0030】
図2に示されるように、以上説明したリヤシート10では、シートバック16における着座乗員側の面がシートクッション14の上面に接触する位置まで、シートバック16を倒すことができる。これにより、シートバック16における着座乗員とは反対側の面を荷室の床面とすることができる。
【0031】
ここで、図1に示されるように、本実施形態のリヤシート10では、シートバック16から可動側バックボード28を展開させることにより、荷室の床面を前後方向に拡張することができる。
【0032】
シートバック16から可動側バックボード28を展開させるためには、先ず、図1及び図3に示されるように、アッパフレーム部20B側の2つのクリップ25を取外す。次に、図8及び図9に示されるように、固定側バックボード24のドア部24Bをシートバックパッド22とは反対側へ傾動させる。次に、図10及び図11に示されるように、可動側バックボード28を格納位置から前方側へ向けて傾動させる。この時、可動側バックボード28に固定された荷重支持部材34がヘッドレスト18における着座乗員とは反対側の面に接触する位置まで、可動側バックボード28を前方側へ傾動させる。なお、図9及び図11においては、各部材の断面のハッチングを省略している。ここで、荷重支持部材34がヘッドレスト18に接触した状態の可動側バックボード28の位置を展開位置と呼ぶことにする。次に、図1に示されるように、固定側バックボード24のドア部24Bをシートバックパッド22側へ傾動させて、アッパフレーム部20B側の2つのクリップ25を再び取付ける。
【0033】
以上の手順を経ることにより、シートバック16から可動側バックボード28が展開されて、荷室の床面が拡張される。なお、可動側バックボード28が展開位置に位置している状態では、可動側バックボード28の上面と固定側バックボード24の上面とが、ほぼ面一となっている。これは、可動側バックボード28が展開状態において第1ホルダ30よりも表面側(上側)に位置するように設定されていること及びシートバックパッド22において展開された可動バックボード28と重なる位置に第3凹部22Cが形成されていることにより実現されている。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のリヤシート10では、シートバック16から可動側バックボード28を展開させることにより、荷室の床面を拡張することができる。また、リヤシートバック16から可動側バックボード28が展開されて、可動側バックボード28が展開位置に配置されている状態では、荷重支持部材34が可動側バックボード28とヘッドレスト18との間に介在するようになっている。これにより、可動側バックボード28に入力された荷重がヘッドレスト18及び荷重支持部材34によって支持される。その結果、可動側バックボード28が下方側へ変形することを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態のリヤシート10では、可動側バックボード28をシートバックフレーム20のアッパフレーム部20Bに回動可能に支持させるという単純な構成により、可動側バックボード28をヘッドレスト18側へ展開させることができる。これにより、シートバック16の部品点数が増加することを抑制しつつ、荷室の床面を拡張することができる。
【0036】
さらに、本実施形態のリヤシート10では、図12に示されるように、可動側バックボード28を使用しない場合に、可動側バックボード28をシートバック16内に格納することができる。なお、図12においては、各部材の断面のハッチングを省略している。ここで、可動側バックボード28がシートバック16内に格納された状態では、荷重支持部材34が固定側バックボード24に接触している。これにより、可動側バックボード28のシートバック16内におけるがたつきを抑制することができる。また、本実施形態では、可動側バックボード28がシートバック16内に格納された状態では、荷重支持部材34が固定側バックボード24におけるヒンジ部24Cと隣接部分に接触している。これにより、固定側バックボード24に荷重が入力された際に、固定側バックボード24がヒンジ部24Cを起点として変形することを抑制することができる。なお、荷重支持部材34の形状、寸法及び数は、可動側バックボード28に入力される荷重やヒンジ部24Cの強度等を考慮して適宜設定すればよい。なお、図12に示されたシートバック16の位置は、着座乗員の背部を支持可能な位置となっている。シートバック16が着座乗員の背部を支持可能な位置に配置された状態においても、可動側バックボード28を展開位置へ展開させることができる。この場合、シートバック16の後方側に置かれた荷物がシートバック16の上方側から前方側へ乗り越えて移動することを可動側バックボード28によって抑制することができる。すなわち、可動側バックボード28をシートバック16の前方側と後方側とを隔てるパーティションとして機能させることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、可動側バックボード28をシートバック16内に格納することができるようにした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、可動側バックボード28がシートバック16の後部に露出した状態で、当該可動側バックボードが格納位置に配置されるようにしてもよい。また、可動側バックボード28を分割構造として、分割された可動側バックボード28が重ねられた状態で格納位置に配置されるようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、可動側バックボード28をシートバックフレーム20のアッパフレーム部20Bに回動可能に支持させた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。可動側バックボード28を支持させる部位は、シートバック16の全体の構成を考慮して適宜設定すればよい。例えば、アッパフレーム部20Bに固定されたブラケットに設けた支軸で可動側バックボード28が回転可能に支持されてもよい。また、アッパフレーム部20Bの一部が上記ブラケットとなっていてもよい。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10 リヤシート(車両用シート)
14 シートクッション
16 シートバック
18 ヘッドレスト
20 シートバックフレーム
20B アッパフレーム部
22 シートバックパッド
24 固定側バックボード
24B ドア部
28 可動側バックボード
34 荷重支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12