(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061405
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】監視装置、管理装置、通信システム、および復旧方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G06F11/07 193
G06F11/07 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169337
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 輔
(72)【発明者】
【氏名】木原 一
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ29
5B042KK13
5B042KK17
5B042MA08
5B042MC27
(57)【要約】
【課題】機器で発生した異常の種別に応じて復旧処理の内容を決定する主体を変更できる。
【解決手段】監視装置は、監視対象となる1以上の機器を監視し、機器に発生する異常を検出する異常検出部と、検出した異常を外部に異常通知として出力する異常通知部と、異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧、および当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定部と、復旧処理判定部による復旧種別の決定に基づき機器の復旧処理を実行する復旧処理実行部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる1以上の機器を監視する監視装置であって、
前記機器に発生する異常を検出する異常検出部と、
検出した前記異常を外部に異常通知として出力する異常通知部と、
前記異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、前記機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧、および当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定部と、
前記復旧処理判定部による前記復旧種別の決定に基づき前記機器の復旧処理を実行する復旧処理実行部と、を備える監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置であって、
それぞれ前記異常種別の定義である異常定義、前記異常種別ごとに前記自己判断復旧および前記指示受信復旧のいずれであるかを示す自己判断復旧可否、および前記自己判断復旧である前記異常種別ごとの復旧処理の内容である復旧処理内容を格納する記憶装置をさらに備える監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視装置であって、
前記記憶装置には、前記異常種別ごとに前記復旧処理を実行するまでの時間猶予であるタイマーがさらに格納される監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載の監視装置であって、
外部からの入力に基づき、前記異常定義、前記自己判断復旧可否、前記復旧処理内容、前記異常種別ごとの前記異常通知の内容、および前記タイマーのうち少なくとも1つを前記記憶装置に記録する記憶装置管理部をさらに備える監視装置。
【請求項5】
請求項2に記載の監視装置であって、
前記記憶装置には、前記異常種別ごとに前記自己判断復旧可否における前記自己判断復旧を前記指示受信復旧に変更する第1変更条件がさらに格納され、
前記復旧処理判定部は、前記第1変更条件に合致すると、前記自己判断復旧可否を前記指示受信復旧に読み替える監視装置。
【請求項6】
請求項5に記載の監視装置であって、
前記第1変更条件は、同一異常に対する検出頻度、前記異常を検出する時刻、および前記異常を検出する時間帯の少なくとも1つを含む、監視装置。
【請求項7】
請求項2に記載の監視装置であって、
前記記憶装置には、前記異常種別ごとに前記自己判断復旧可否における前記指示受信復旧を前記自己判断復旧に変更する第2変更条件がさらに格納され、
前記復旧処理判定部は、前記第2変更条件に合致すると、前記自己判断復旧可否を前記自己判断復旧に読み替える監視装置。
【請求項8】
請求項7に記載の監視装置であって、
前記第2変更条件は、同一の異常に対する外部からの前記復旧処理に関する実行命令の受信頻度、または異常検出時刻の少なくとも1つを含む、監視装置。
【請求項9】
請求項2に記載の監視装置であって、
前記記憶装置には、前記異常種別ごとに前記復旧処理内容を変更する条件である第3変更条件、および前記第3変更条件に合致する場合の復旧処理の内容である変更後復旧処理内容がさらに格納され、
前記復旧処理実行部は、前記第3変更条件に合致すると前記変更後復旧処理内容を実行する監視装置。
【請求項10】
請求項2に記載の監視装置であって、
前記記憶装置には、前記異常種別ごとに前記異常通知の内容を変更する条件である第4変更条件、および前記第4変更条件に合致する場合の前記異常通知の内容である変更後通知内容がさらに格納され、
前記異常通知部は、前記第4変更条件に合致すると前記変更後通知内容を出力する監視装置。
【請求項11】
請求項1に記載の監視装置であって、
前記復旧処理実行部は、前記復旧処理判定部が前記指示受信復旧を決定した場合には、外部から前記機器の復旧処理の内容を指示されるまで待機し、外部から前記機器の復旧処理の内容を指示されると即時に実行する監視装置。
【請求項12】
請求項1に記載の監視装置と通信可能な管理装置であって、
前記監視装置が出力する前記異常通知を受信する異常通知管理部と、
前記異常通知に基づいて決定された前記復旧処理の内容を前記監視装置に出力する復旧処理命令部と、を備える管理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の管理装置であって、
ユーザへ情報を提示する出力部をさらに備え、
前記異常通知管理部は、前記監視装置から受信した前記異常通知に基づき前記自己判断復旧および前記指示受信復旧のいずれであるかを判断し、当該判断に基づき前記出力部への出力を異ならせる管理装置。
【請求項14】
監視対象となる1以上の機器を監視する監視装置、および前記監視装置と通信可能な管理装置を含む通信システムであって、
前記監視装置は、
前記機器に発生する異常を検出する異常検出部と、
検出した前記異常を外部に異常通知として出力する異常通知部と、
前記異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、前記機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧または当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定部と、
前記復旧処理判定部による前記復旧種別の決定に基づき前記機器の復旧処理を実行する復旧処理実行部と、を備え、
前記管理装置は、
前記監視装置が出力する前記異常通知を受信する異常通知管理部と、
前記異常通知に基づいて決定された前記復旧処理の内容を前記監視装置に出力する復旧処理命令部と、を備える通信システム。
【請求項15】
監視対象となる1以上の機器を監視する監視装置が実行する復旧方法であって、
前記機器に発生する異常を検出する異常検出ステップと、
検出した前記異常を外部に異常通知として出力する異常通知ステップと、
前記異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、前記機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧、および当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定ステップと、
前記復旧処理判定ステップによる前記復旧種別の決定に基づき前記機器の復旧処理を実行する復旧処理実行ステップと、を含む復旧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、管理装置、通信システム、および復旧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等の現場機器に関するデータを通信装置を介して収集し、遠隔地の管理装置に集約することで、機器の遠隔監視および制御を行うシステムが構築されている。これらのシステムの安定稼働には、当該機器で発生した異常を検出し、早期に復旧する事が求められる。しかし、異常発生のたびに管理装置で確認後に、作業者による操作等で復旧処理を遠隔命令する運用形態では、復旧に時間を要する問題が生じる。この問題に対する解決策として、機器と接続される通信装置を監視装置として動作させ、機器の異常を監視し、異常検出時に監視装置が機器の再起動等を始めとした復旧処理を自動実行する手法が知られている。この手法を採用することにより異常からの早期復旧が可能となり、特に緊急度の高い異常に対して有効である。
【0003】
一方、監視装置による復旧処理の自動実行により、予期せぬタイミングで機器の再起動等が行われ、システムの稼働において不都合が生じるケースも考えられる。そのようなケースを鑑みると、監視装置が復旧処理を自動実行する形態と、作業者の操作等による管理装置からの命令を基に復旧処理を実行する形態を使い分ける事が望ましい。特許文献1には、ネットワーク装置の状態をリアルタイムでモニタリングして障害の発生によって異常信号が生成された場合、復旧標準データを基に前述のネットワーク装置を自動的にリセットして電源を復旧する電源制御装置と、前述の復旧標準データを生成し、前述の電源制御装置をリアルタイムでモニタリングする管理サーバと、を含むネットワーク装置の遠隔電源制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている発明では、復旧処理の判断に検討の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様による監視装置は、監視対象となる1以上の機器を監視する監視装置であって、前記機器に発生する異常を検出する異常検出部と、検出した前記異常を外部に異常通知として出力する異常通知部と、前記異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、前記機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧、および当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定部と、前記復旧処理判定部による前記復旧種別の決定に基づき前記機器の復旧処理を実行する復旧処理実行部と、を備える。
本発明の第2の態様による通信システムは、監視対象となる1以上の機器を監視する監視装置、および前記監視装置と通信可能な管理装置を含む通信システムであって、前記監視装置は、前記機器に発生する異常を検出する異常検出部と、検出した前記異常を外部に異常通知として出力する異常通知部と、前記異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、前記機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧または当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定部と、前記復旧処理判定部による前記復旧種別の決定に基づき前記機器の復旧処理を実行する復旧処理実行部と、を備え、前記管理装置は、前記監視装置が出力する前記異常通知を受信する異常通知管理部と、前記異常通知に基づいて決定された前記復旧処理の内容を前記監視装置に出力する復旧処理命令部と、を備える。
本発明の第3の態様による復旧方法は、監視対象となる1以上の機器を監視する監視装置が実行する復旧方法であって、前記機器に発生する異常を検出する異常検出ステップと、検出した前記異常を外部に異常通知として出力する異常通知ステップと、前記異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、前記機器に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧、および当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定ステップと、前記復旧処理判定ステップによる前記復旧種別の決定に基づき前記機器の復旧処理を実行する復旧処理実行ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機器で発生した異常の種別に応じて、復旧処理の内容を決定する主体を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1の実施の形態における異常定義テーブルの一例を示す図
【
図3】第1の実施の形態における復旧処理テーブルの一例を示す図
【
図4】
図4は自己判断復旧が許可されている場合のタイムチャート
【
図5】
図5は自己判断復旧が禁止されている場合のタイムチャート
【
図6】第1の実施の形態における復旧処理判定部の処理を示すフローチャート
【
図7】異常定義テーブルおよび復旧処理テーブルを登録するための画面表示例を示す図
【
図8】異常通知を出力する画面表示例、および復旧処理命令を受け付ける画面表示例を示す図
【
図9】第2の実施の形態における異常定義テーブルの一例を示す図
【
図10】第2の実施の形態における復旧処理テーブルの一例を示す図
【
図11】第2の実施の形態における復旧処理判定部の処理を示すフローチャート
【
図12】第3の実施の形態における異常定義テーブルの一例を示す図
【
図13】第3の実施の形態における復旧処理テーブルの一例を示す図
【
図14】第3の実施の形態における復旧処理判定部の処理を示すフローチャート
【
図15】第4の実施の形態における復旧処理テーブルの一例を示す図
【
図16】第4の実施の形態における復旧処理判定部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の概要)
監視対象の機器と接続される監視装置には、機器の異常種別毎に異常検出条件一覧と、異常検出時に管理装置宛に通知するメッセージ内容一覧と、異常種別毎に講じるべき復旧処理一覧と、自装置判断による当該復旧処理の自動実行可否一覧とがテーブルとして記憶されている。監視装置は、前述のテーブルを基に、異常検出部で機器の異常監視および検出を行い、異常検出時には管理装置宛に前述のメッセージを格納した異常通知を異常通知部より送信する。その後に監視装置の復旧処理判定部は、当該異常に対して講じるべき復旧処理と、自装置判断による当該復旧処理の自動実行(以下、「自己判断復旧」と呼ぶ)の可否を判定する。監視装置は、自己判断復旧が許可されている場合は、復旧処理実行部で復旧処理を実行し、早期復旧を実現する。一方、検出した異常種別に対して、自己判断復旧が許可されていない場合は、監視装置は、管理装置からの復旧処理命令の受信を待機する。
【0010】
管理装置は、監視装置が送信した前述の異常通知を受信すると、この異常通知を画面出力して作業者に提示する。この出力を確認した作業者が監視装置に対する復旧処理命令の発行操作を行うと、復旧処理命令部が監視装置に対して復旧処理命令を送信する。この復旧処理命令を受信した監視装置は、指定された復旧処理を機器に対して実行し、機器の異常からの復旧を実現する。
【0011】
このように、異常種別に応じて、監視装置による復旧処理の自動実行と、管理装置からの命令に基づく復旧処理の実行を使い分けることで、早期の復旧とシステムの稼働を妨げない適切なタイミングでの復旧とを両立できる。たとえば、早期復旧が求められる緊急度の高い異常に対しては、監視装置の前述の復旧処理管理部にて自己判断復旧を許可し、早期復旧を優先できる。一方で、緊急度の低い異常に対しては、自己判断復旧を禁止し、管理装置からの命令を待って復旧処理を実行させ、作業者が命令したタイミングでのみ復旧処理を講じる事ができる。ひいては、システムの稼働を妨げない適切なタイミングで復旧処理を実行する事が可能となる。
【0012】
以下、それぞれの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に説明するそれぞれの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施の形態において説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下の説明では、[AAAテーブル]の表現にて情報を説明することがあるが、情報はどのようなデータ構造で表現されていてもよい。すなわち、情報がデータ構造に依存しないことを示すために、[AAAテーブル]を[AAA情報]とすることができる。
【0013】
―第1の実施の形態―
以下、
図1~
図8を参照して、通信システムの第1の実施の形態を説明する。まず、
図1を用いて通信システムの全体構成と、通信システムを構成する機器、監視装置、および管理装置の構成とを説明する。次に、
図2および
図3を用いて監視装置に格納されるテーブルを説明する。その後、
図4~
図6を用いて監視装置と管理装置による復旧処理実行の流れを説明し、
図7と
図8で監視装置におけるテーブルの入力、および管理装置における異常通知出力と、復旧処理命令の入力に関する画面表示の例を説明する。
【0014】
図1は通信システムの全体構成図である。通信システムは、管理対象となる1台以上の機器101(101-a~101-b)、監視装置102(102-a~102-b)、および管理装置103を含んで構成される。なお、以下の説明では、機器101-a~101-bや、監視装置102-a~102-bを個々に特定しない場合には「-」以降を省略した符号「101」と「102」を用いる。
【0015】
機器101と監視装置102、および監視装置102と管理装置103は、有線通信と無線通信のいずれか、または両方で接続されており、機器101は自身の稼働情報を記録したログ情報等を監視装置102に送信する。そして、監視装置102が当該ログ情報等を管理装置103へ送信することで、管理装置103にて機器101の遠隔監視サービスが提供される。また、管理装置103から機器101の遠隔制御を行う際も、同様に管理装置103から監視装置102を介して機器101へ制御命令を送信することで、遠隔制御が実現される。
【0016】
また、監視装置102は、機器101や管理装置103の通信を中継するだけでなく、機器101で発生した異常の監視および検出を行う。そして、異常検出時には管理装置103宛に異常通知を送信し、監視装置102の判断による自動実行、または管理装置103からの命令受信を基に、検出した異常に対する復旧処理を実行する。管理装置103は、監視装置102が送信する異常通知を作業者が見て判断し、監視装置102に対する復旧処理命令を適宜送信し、異常からの復旧を実現する。
【0017】
なお、管理装置103は、機器101や監視装置102と同一の室内や敷地内に設置されてもよいし、クラウド上など別拠点に設置されてもよい。また、
図1では1台の監視装置102に対して1台の機器101が接続される構成を例示しているが、1台の監視装置102に対して複数の機器101が接続されてもよいし、複数台の監視装置102に対して1台の機器101が接続されてもよい。
【0018】
機器101のハードウェア構成を説明する。機器101は工場等の現場で稼働するハードウェア装置であり、監視装置102との通信機能を有する。機器101は、映像データや気温データなど現場から取得したデータや、自身のログ情報等をパケットに格納して監視装置102へ送信する。機器101は、取得するデータや役割に応じて種々の構成を有する。機器101はたとえば、現場映像を監視する監視カメラの他、現場にて気体を圧送する空気圧縮機などであってもよい。機器101は独立した装置であってもよいし、他の装置に組み込まれる相対的に小型の装置であってもよい。また、機器101は前述の通り、取得する現場データの種類等に応じて構成が様々であり、たとえばカメラモジュール、温度センサ、または加速度センサなども含む構成でもよい。
【0019】
機器101は通信用のインタフェース(以下、「I/F」と記載する)である通信I/F111、CPU112、入力部113、出力部114、および記憶装置115を備える。通信I/F111は、たとえば無線通信を介して監視装置102とパケットの送受信を行う場合には、デジタル信号と無線信号とを相互に変換し、生成したデジタルデータを無線信号に変換して送信する送信部と、受信した無線信号からデジタルデータを取り出す受信部とを備える。通信I/F111は、4Gや5Gなどの無線通信、IEEE802.3、無線LAN、光回線など任意の通信手段を用いることができ、さらに機器101は用途に応じて複数の通信I/F111を搭載してもよい。たとえば機器101は、通信切断に備えて、複数の通信I/F111を有してもよい。CPU112は、記憶装置115に格納されている各種コンピュータプログラムを実行し、これにより機器101の有する各種機能が実現される。
【0020】
入力部113は、たとえばキーボード、マウス、またはタッチセンサなどから構成される。入力部113は、作業者が各種操作や設定を入力するために用いられる。出力部114は、たとえば液晶ディスプレイなどから構成される。出力部114は、設定画面や各種処理の結果を表示し作業者に提示するために用いられる。ただし、別の外部機器から機器101へリモートログインを行う形態など、通信I/F111を介して外部機器からの入力情報の受け付けや、外部機器への出力情報の提供を行う場合は、機器101は入力部113および出力部114を備えなくてもよい。また、入力部113と出力部114とが一体に構成されてもよい。記憶装置115は、たとえば読み出し専用の半導体メモリや、書き換え可能な半導体メモリ素子などを含む。記憶装置115には、各種処理を実現するコンピュータプログラムや、取得したデータなどが格納される。
【0021】
アプリケーションプログラム116は、データの取得指示や送信タイミングの決定などを行う。アプリケーションプログラム116は、内部バスを介して接続されたCPU112にデータの取得を指示し、取得したデータを通信処理部117に対して所定のタイミングで送信を指示する。たとえば、監視装置102に送信するログ情報の取得方法や、ログ情報の送信スケジュールなどもアプリケーションプログラム116で管理される。なお、アプリケーションプログラム116は、ログ情報を収集し、所定のタイミングでログ情報を監視装置102へ送信するログ情報管理部として機能することができる。通信処理部117は、監視装置102との送受信処理を実現する。通信処理部117は具体的には、送信する際のパケットの組立て処理や、受信する際の自装置宛のパケットか否かの判定等を始めとした、パケットの解析処理を行う。
【0022】
監視装置102のハードウェア構成を説明する。監視装置102は、接続された機器101から取得したデータやログ情報を管理装置103に送信する。また監視装置102は、機器101における異常有無を監視し、自装置による判断、または管理装置103からの命令をトリガに復旧処理を実行する。監視装置102は、機器101および管理装置103との通信機能を有する。なお、監視装置102は独立した装置であってもよいし、他の装置に組み込まれる相対的に小型の装置であってもよい。監視装置102は、現場のデータを取得する場合は、同じくカメラモジュールや温度センサまたは加速度センサなどを含む構成でもよい。
【0023】
監視装置102は、通信I/F121、CPU122、入力部123、出力部124、記憶装置125、および通信処理部127を含み、各構成要素は機器101における同名の構成要素と同様の構成および機能を有する。通信I/F121を介して外部機器からの入力情報の受け付けや外部機器への出力情報の提供を行う場合は、監視装置102は入力部123や出力部124を備えなくてもよい。
【0024】
アプリケーションプログラム126は、機器101から収集したデータの加工や送信タイミングの調整を行う。アプリケーションプログラム126は、内部バスを介して接続されたCPU122にデータの加工を指示し、通信処理部127へデータの送信を指示する。なお、機器101から受信したデータやログ情報を無加工で、かつ管理装置103へ即時転送する場合などは、監視装置102はアプリケーションプログラム126を有さなくてもよい。
【0025】
異常検出部128は、機器101を診断して異常を検出する。異常検出部128は、機器101に対する生死確認パケットの送信や、機器101からの入力信号判定など、異常定義テーブル132に予め設定された方法で異常を検出する。異常通知部129は、異常検出部128が検出した異常を、異常通知として管理装置103宛に知らせる。具体的には、異常通知部129が通信処理部127に通知内容を出力し、送信処理を実行する。
【0026】
復旧処理判定部130は、異常検出部128が検出した異常に対する復旧処理を自装置の判断で自動実行する事の可否、すなわち自己判断復旧の可否を判定する。具体的には復旧処理判定部130は、当該復旧処理を管理装置103からの命令を待たずに、自装置、すなわち監視装置102の判断により復旧を行うか、管理装置103からの命令に基づき復旧を行うかを判断する。ただし自己判断復旧の可否とは、物理的な制約や技術的な問題により自己判断修復が困難であることを問題とするのではなく、事前に取り決められた状況設定として自己判断修復が許可されているか否かを判断するものである。この判断の詳細は、
図6で後述する。
【0027】
なお本実施の形態では、自己判断復旧の対の概念である、管理装置103から指示された復旧処理内容を実行する復旧を「指令受信復旧」と呼ぶ。本実施の形態では、機器101に異常が発生した際には監視装置102は、自己判断復旧および指示受信復旧のいずれかを行う。監視装置102は、自己判断復旧が許可されている場合には自己判断復旧を行い、自己判断復旧が許可されていない場合、換言すると自己判断復旧が禁止されている場合には指示受信復旧を行う。
【0028】
復旧処理判定部130は、自己判断修復が許可されていると判断する場合には、復旧処理テーブル133を参照して具体的な復旧方法を特定し、復旧処理実行部131にその復旧方法を出力する。復旧処理判定部130は、自己判断修復が許可されていないと判断する場合は、復旧処理実行部131に管理装置103から指示される方法で復旧させる旨の指示を出力する。復旧処理実行部131は、復旧処理判定部130からの命令、または管理装置103から受信する復旧処理命令に基づき復旧処理を実行する。当該復旧処理が実行されることで、異常が発生した機器101の復旧が実現される。
【0029】
異常定義テーブル132には、異常種別毎の異常検出条件、および異常検出時に管理装置宛に通知するメッセージ内容が格納される。復旧処理テーブル133には、異常種別毎の復旧処理、および監視装置102の判断による当該復旧処理の自動実行可否が格納される。異常定義テーブル132および復旧処理テーブル133の具体例は
図2および
図3を参照して後に説明する。記憶装置管理部134は、作業者による入力部123からの入力に基づき、異常定義テーブル132および復旧処理テーブル133を作成または更新する。
【0030】
管理装置103のハードウェア構成を説明する。管理装置103は、監視装置102を介して機器101から収集したデータやログ情報を集約する。管理装置103は、監視装置102から送信された異常通知を基に、復旧処理命令を監視装置102宛に送信する。管理装置103は、監視装置102との通信機能を有する。
【0031】
管理装置103は、通信I/F141、CPU142、入力部143、出力部144、記憶装置145、および通信処理部147を備える。各構成要素は機器101や監視装置102における同名の構成要素と同様の構成および機能を有する。管理装置103は、通信I/F141を介して外部機器からの入力情報の受け付けや外部機器への出力情報の提供を行う場合は、入力部143および出力部144を備えなくてもよい。
【0032】
アプリケーションプログラム146は、監視装置102を介して機器101から収集したデータやログ情報を活用したサービスをユーザに提供する。たとえばアプリケーションプログラム146は、機器101から受信した現場データ(温度等)の単位時間当たりの平均値を提供するプログラムであり、収集データの値から平均値を算出するなど、データの解析処理等を行う。またアプリケーションプログラム146は、機器101や監視装置102におけるデータやログ情報の送信スケジュールを遠隔設定するプログラムであってもよい。
【0033】
異常通知管理部148は、監視装置102から受信した前述の異常通知を記録し、出力部144を介して当該通知情報を出力して作業者に提示する。具体的には、異常通知の受信を確認した通信処理部147からの通知を基に、出力部144を介して
図8で後述する画面表示例の出力を行う。復旧処理命令部149は、作業者による操作を基に、監視装置102に対して復旧処理の実行命令を送信する。具体的には、
図8で後述する画面表示例にて、作業者からの復旧処理命令を入力部143を介して受け付け、復旧処理命令部149が通信処理部147に当該命令内容を出力する。
【0034】
なお、管理装置103が有している機能を複数のハードウェア装置で分担して実現してもよい。すなわち、受信データを活用したサービスの提供と、異常通知管理および復旧処理命令とを、異なるハードウェア装置で別々に実現してもよい。そのため、
図1に示す構成を、1台の管理装置103に全てを含む事は必須ではない。
【0035】
図2は、異常定義テーブル132の一例を示す図である。異常定義テーブル132には複数のレコードが含まれ、各レコードはイベントID201、異常検出条件202、および通知メッセージ203のフィールドを有する。イベントID201は、異常種別を区別する識別子である。
図2の例ではイベントID201に「LAN-Disconn」のような可読性を優先した表記を採用しているが、たとえば「event01、event02、…」などの連番を採用してもよい。
【0036】
異常検出条件202は、それぞれの異常が発生したと判断する条件である。異常検出部128は、異常検出条件202に合致すると、イベントID201の異常が発生したと判断する。なお、異常検出条件202の書式は任意である。
図2の例では説明の便宜上、「監視対象機器とのLAN通信で3回連続応答無し」等の文章で記載しているが、たとえば「監視情報」、「比較条件」、「閾値」などの項目に分離し、「監視情報:監視対象機器とのLAN通信における応答連続欠損回数」、「比較条件:≧」、「閾値:3」などの形式で、複数項目に分けて異常検出条件202を定義してもよい。また、
図2では送信パケットに対する応答有無や、機器101からの入力信号値などを基に異常検出を行う例を示しているが、前述の通り異常の検出方法は任意である。たとえば、機器101自身が自装置の異常診断を行い、CPU使用率上昇などの異常を通知する機能を有している場合は、
図2に例示の通り、当該通知の受信を異常検出条件として指定してもよい。
【0037】
通知メッセージ203は、イベントID201で指定した異常を検出した際に、管理装置103宛に通知するメッセージ内容である。当該メッセージ内容を含む異常通知は、機器101での異常発生を知らせ、且つ発生した異常内容を管理装置103で識別可能にするためのものである。本目的が達成される内容であれば、当該メッセージ内容の書式は任意である。なお、
図2の例では、
図3で後述する復旧処理テーブル133にて、監視装置102による復旧処理の自動実行を許可している異常種別に対しては、メッセージ内容に“[Self Recovery]”の接頭語を付与している。
【0038】
当該接頭語が付与された異常通知を受信した場合には、管理装置103および作業者は、復旧処理が監視装置102により自動実行されるため、復旧処理命令の発行が不要である事が判別でき、冗長な復旧処理命令の発行を回避できる。このように、異常種別を通知するだけでなく、任意の付加情報を通知メッセージ203に付与しても構わない。一方、管理装置103への通知が不要な異常が存在する場合は、当該異常種別に対する通知メッセージ203を空欄に設定してもよい。なお、異常定義テーブル132において、
図2に例示するフィールド以外に任意のフィールドを追加しても構わない。例えば、監視装置102に複数の機器101が接続される場合は、「機器ID」のフィールドを追加し、異常検出条件202の対象とする機器101の識別子を定義可能にしても構わない。
【0039】
図3は、復旧処理テーブル133の一例を示す図である。復旧処理テーブル133は複数のレコードを有し、各レコードはイベントID301、第1復旧処理内容302、第1タイマー303、第2復旧処理内容304、第2タイマー305、および自己判断復旧可否306のフィールドを有する。
図3における「-」はデータが存在しないことを意味する。
【0040】
イベントID301は、異常種別を区別するための識別子であり、異常定義テーブル132におけるイベントID201と同様である。第1復旧処理内容302、および第2復旧処理内容304は、イベントID301に記載した異常を検出した際に講じるべき復旧処理の内容である。当該復旧処理内容の書式は任意である。
図3の例では説明の便宜上、「監視対象機器の通信I/F再起動」等の文章で記載しているが、たとえば当該復旧処理を実現するコマンドを記述してもよいし、当該復旧処理を提供するスクリプトファイルを事前に用意しておき、当該スクリプトファイル名を記述してもよい。また、復旧処理内容も、
図3では機器101に対する再起動処理や、設定値変更などを例示しているが、特定の処理に限定されない。また、機器101と監視装置102の通信手段が複数存在する場合は、どの手段を用いて当該復旧処理を講じるかを明示的に指定するフィールドが追加されてもよい。
【0041】
第1タイマー303、および第2タイマー305は、第1復旧処理内容302、および第2復旧処理内容304で指定した復旧処理内容を実行するまでの待ち時間である。たとえば、異常検出直後に復旧処理を即時実行すると問題が生じる場合は、当該タイマー値を設定する事で問題の発生を回避できる。なお、
図3の例では「秒」単位のタイマー指定としているが、指定単位は任意である。また、タイマー値を指定するのではなく、復旧処理の実行を許可する時間帯、または禁止する時間帯を指定してもよい。
図3の例では、復旧処理内容とタイマー値の組み合わせを最大2件登録可能としており、たとえば「CPU-HighUsage(CPU使用率異常)」の異常に対して、CPU使用率を抑えるための設定変更を行った後に、設定変更を反映するための再起動処理を行う事を可能にしている。ただし、復旧処理内容とタイマー値の複数登録をサポートする事は必須ではなく、登録可能件数も任意に変更して構わない。
【0042】
自己判断復旧可否306は、イベントID301に記載した異常を検出した際に、前述の復旧処理内容とタイマー値に基づく復旧処理を、管理装置103からの復旧処理命令の受信を待たずに監視装置102の判断で自動実行してもよいか否かを示している。
図3の例では、「OK」は自己判断復旧が許可されていることを示し、「NG」は自己判断復旧の禁止を示している。当該書式は任意であり、たとえば「True/False」等で表現しても構わない。自己判断復旧可否306における「OK」は自己判断復旧を示し、「NG」は指示受信復旧を示すとも言える。
【0043】
自己判断復旧が許可されている異常に対しては、第1タイマー303、および第2タイマー305で指定された時間が経過後、第1復旧処理内容302、および第2復旧処理内容304に記載された処理が実行される。一方、自己判断復旧が許可されていない異常に対しては、前述の復旧処理内容やタイマー値に依らず、復旧処理を実行せず、管理装置103による復旧処理命令を待機する。
【0044】
たとえば
図3のように、機器101との通信切断(例:
図3の「LAN-Disconn」)などの緊急度の高い異常に対しては、監視装置102による復旧処理の自動実行を許可する事で、早期復旧を実現できる。一方、機器101から想定と異なる入力信号値が観測され始めたケース(例:
図3の「DI-3timesLow」)など、即時復旧が求められない緊急度の低い異常や、異常発生を即時断定できない予兆現象に対しては、自己判断復旧を禁止し、復旧処理実行の判断を管理装置103、および作業者に委ねる事で、適切なタイミングで復旧処理を講じる事が可能となる。
【0045】
図3のイベントIDが「DI-5timesLow」のように、想定と異なる入力信号値が観測され続ける場合には、明らかな異常と判断された時点で、監視装置102の判断による復旧処理の自動実行を許可するように設定する事も可能である。なお、
図3の例では監視装置102の判断による復旧処理の実行を禁止しているイベントID(例:
図3の「DI-3timesLow」)に対しても復旧処理内容やタイマー値を設定しているが、値を設定しなくてもよい。さらに、自己判断復旧可否306のフィールドを省略し、自己判断復旧を許可するイベントIDのみを復旧処理テーブル133に記述してもよい。この場合は、復旧処理テーブル133に記載のないイベントIDを持つ異常に対しては、監視装置102の判断による復旧処理の自動実行が禁止されていると判断される。なお、復旧処理テーブル133において、
図3に例示するフィールド以外に任意のフィールドを追加しても構わない。例えば、監視装置102に複数の機器101が接続される場合は、「機器ID」のフィールドを追加し、復旧処理の対象とする機器101の識別子を定義可能にしても構わない。
【0046】
図4および
図5は、復旧処理を示すタイムチャートである。
図4は自己判断復旧が許可されている場合のタイムチャートであり、
図5は自己判断修復が禁止されている場合のタイムチャートである。
図4および
図5では、図示上部から図示下部に向かって時間が経過している。
図4と
図5とでは終盤の処理が異なるが、中盤までの処理は同一である。
【0047】
図4のステップS401a、S401bは、監視装置102の異常検出部128が、機器101の異常有無を診断する。異常検出部128は、異常定義テーブル132を参照し、当該テーブルの異常検出条件202に記載された検出条件を基に異常有無を診断する。たとえば、
図2に例示する「LAN-Disconn」に対する診断処理においては、機器101に対してLAN通信を介した生死確認パケットの送信処理を行い、応答有無を判定する。なお、ステップS401a、S401bの異常検出部128による異常診断処理の実行タイミングは、異常検出部128で管理するものとし、たとえば
図4に例示の通り、所定の異常診断周期Δtの時間間隔で実行される。この他にも、毎日指定時刻に異常診断処理を実行するなど、任意の実行タイミングであって構わない。
【0048】
当該異常診断処理にて、異常定義テーブル132で定義された異常検出条件に1つ以上合致した場合は、ステップS402に進む。一方、全ての異常検出条件に合致しなかった場合は、次の異常診断処理の実行タイミングまで待機する。ステップS402では、監視装置102の異常検出部128が、機器101の異常発生を検出する。換言すると、ステップS402においていずれの異常であるかが特定される。異常検出部128は異常定義テーブル132を参照し、前述の異常診断処理で合致した異常検出条件202に対応するイベントID201を取得し、当該イベントIDに対する異常発生を検出する。そして、異常検出部128は、異常通知部129に対して当該イベントIDを通知する。
【0049】
ステップS403では、監視装置102の異常通知部129が、管理装置103に対して異常発生を知らせる異常通知を送信する。異常通知部129は、異常定義テーブル132を参照し、ステップS402で異常検出部128から通知されたイベントIDに対応する通知メッセージ203を取得する。そして、当該メッセージ内容を通信処理部127に通知し、当該メッセージ内容を格納した異常通知パケットを管理装置103宛に送信する。たとえば、
図2に例示する「LAN-Disconn」の異常が検出された場合は、“[Self Recovery]LAN-Disconn”のメッセージを格納した異常通知パケットを管理装置103に送信する。当該送信が完了すると、監視装置102はステップS404に進む。
【0050】
一方、管理装置103は当該異常通知を受信すると、通信処理部147にてパケットの解析を行い、パケットの中身が異常通知である事を確認すると異常通知管理部148に通知する。その後、管理装置103はステップS405に進む。ステップS405の処理は後述する。
【0051】
ステップS404は、監視装置102の復旧処理判定部130が、機器101で発生した異常に対する復旧処理を自装置の判断で自動実行するか、または管理装置103からの復旧処理命令を待って実行するかを判定する処理である。具体的には復旧処理判定部130は、復旧処理テーブル133を参照し、ステップS402で検出したイベントIDに対する自己判断復旧可否306の設定値を基に、自己判断復旧の可否を判定する。当該復旧処理判定の詳細は、
図6を参照して後に説明する。この
図4では、自己判断復旧が可能と判断してステップS406に進む。後に説明する
図5では、自己判断修復が不可能と判断した場合を説明する。
【0052】
ステップS405では、ステップS403において送信された異常通知を受信した管理装置103が、異常通知管理部148で当該異常通知を記録し、出力部144を介して当該通知情報を出力する。異常通知管理部148は、受信した異常通知の内容をそのまま表示してもよいし、自己判断復旧と指示受信復旧のいずれであるかを判断し、判断結果に基づき画面表示を異ならせてもよい。出力する画面表示例は、
図8で後述する。当該出力処理が完了すると、管理装置103は、入力部143を介した作業者の操作による復旧処理命令の受け付けを待機する。なお前述のように、異常通知に[Self Recovery]などの自己判断修復が許可されていることを示す文字列を含めておくことで、作業者による冗長な復旧処理の命令発行を抑止できる。
【0053】
ステップS406では、監視装置102の判断により、復旧処理実行部131で復旧処理を実行する。具体的には、復旧処理テーブル133を参照し、ステップS402で検出したイベントIDに対する第1復旧処理内容302、および第2復旧処理内容304と、第1タイマー303、および第2タイマー305の設定値に基づいて復旧処理を実行する。たとえば、
図3の「LAN-Disconn」の異常が検出され、本異常に対する復旧処理を実行する際は、「監視対象機器の通信I/F再起動」を待ち時間無しで実行する。このように、監視装置102が機器101で発生した異常を検出し、監視装置102の判断で復旧処理を自動実行することで、早期復旧を実現できる。
【0054】
図5を参照して、自己判断復旧が許可されていない場合のタイムチャートを説明する。
図5において、ステップS401a、S401b、S402、S403、S404、S405は
図4と同様であるため説明を省略する。ステップS501では、管理装置103が入力部143を介して、作業者の操作を基に監視装置102に対する復旧処理命令の発行を受け付ける。作業者は、ステップS405で出力された異常通知に対し、復旧処理命令が必要である事を判断すると、入力部143を介して監視装置102に対する復旧処理命令を発行する。ステップS501は、当該発行を管理装置103が受け付ける処理であり、作業者が復旧処理命令の発行操作を行うと、当該命令内容が入力部143から復旧処理命令部149に連携され、管理装置103はステップS502の処理に進む。なお、作業者が復旧処理命令を入力、および発行するための画面表示例は
図8で後述する。
【0055】
ステップS502では、管理装置103の復旧処理命令部149が、監視装置102に対して復旧処理命令を送信する。具体的には、ステップS501で受け付けた復旧処理命令の内容を通信処理部147に通知し、当該命令内容を格納した復旧処理命令パケットが監視装置102に送信される。なお、監視装置102に送信する復旧処理命令パケットにはたとえば、監視装置102で実行すべき復旧処理内容とタイマー値、即ち
図3の復旧処理テーブル133に格納されている復旧処理内容やタイマー値と同等の情報が格納される。
【0056】
ただし、当該情報の格納は必須ではない。たとえば、
図3に例示する通り、監視装置102の判断による復旧処理の実行を禁止しているイベント(例:
図3の「DI-3timesLow」)に対しても、復旧処理内容やタイマー値を定義している場合は、当該情報の指定を省略し、代わりにどの異常(イベントID)に対する復旧処理を命じるのか、イベントIDのみを通知してもよい。また、必要に応じて復旧処理内容とタイマー値以外の情報を復旧処理命令パケットに格納してもよい。
【0057】
一方、監視装置102は当該復旧処理命令を受信すると、通信処理部127にてパケットの解析を行い、パケットの中身が復旧処理命令である事を確認すると復旧処理実行部131に通知する。その後、監視装置102はステップS503に進む。ステップS503では、ステップS502の復旧処理命令を受信した監視装置102が、管理装置103の命令を基に復旧処理実行部131で復旧処理を実行する。具体的には、管理装置103から指定された復旧処理内容とタイマー値に基づいて復旧処理を実行する。前述の例のように、復旧処理命令パケットにイベントIDを格納して通知する形態であれば、
図3の復旧処理テーブル133を参照し、当該イベントIDに対応する復旧処理を実行する。
【0058】
このように、監視装置102の判断で復旧処理を実行せず、管理装置103からの復旧処理命令を基に実行することで、作業者が必要と判断した復旧処理のみを実行させることができる。特に、復旧処理の実行がシステムの稼働に悪影響を及ぼす時間帯が存在する場合は、作業者が適切なタイミングまで待って復旧処理命令を発行することにより、システムの稼働を妨げる事なく、効率的に復旧処理ができる。
【0059】
図6は、復旧処理判定部130の処理を示すフローチャートである。具体的には
図6に示す処理は、
図4と
図5のステップS404で実行する処理に相当する。本処理では、監視装置102が異常検出部128で検出した異常に対して、自己判断復旧の可否を判定する。
【0060】
まずステップS601では復旧処理判定部130は、復旧処理テーブル133における該当するレコードを特定する。具体的には、復旧処理判定部130は
図4や
図5のステップS402において異常検出部128が検出した異常種別(イベントID)が含まれる復旧処理テーブル133のレコードを特定する。続くステップS602では復旧処理判定部130は、自己判断復旧が可能か否かを判断する。具体的には復旧処理判定部130は、ステップS601において特定したレコードの自己判断復旧可否306のフィールド値が「OK」、すなわち自己判断復旧が許可されている場合はステップS603へ進む。一方、自己判断復旧可否306のフィールド値が「NG」、すなわち自己判断復旧が禁止されている場合はステップS604に進む。
【0061】
ステップS603では復旧処理判定部130は、検出異常に対する復旧処理内容を復旧処理テーブル133から読み取り、その復旧処理内容を復旧処理実行部131に実行させて
図6に示す処理を終了する。具体的には復旧処理判定部130は、復旧処理テーブル133において異常検出部128が検出した異常種別(イベントID)が含まれるレコードの第1復旧処理内容302、第1タイマー303、第2復旧処理内容304、および第2タイマー305を読み取り、復旧処理実行部131に実行させる。
【0062】
ステップS604では復旧処理判定部130は、管理装置103からの命令を実行する旨を復旧処理実行部131に指示して
図6に示す処理を終了する。この場合には、
図5のステップS502で管理装置103が復旧処理命令を送信し、当該命令を監視装置102が受信すると、
図5のステップS503で復旧処理を実行する。なお、管理装置103からの復旧処理命令の受信を待機する場合に、タイムアウト値を明示的に設定しても構わない。当該タイムアウト時間外に復旧処理命令を受信した場合は、当該命令を破棄、すなわち無効としてもよい。
【0063】
復旧処理判定部130が
図6に示す処理を行うことで、監視装置102は復旧処理テーブル133の記載に基づき、異常種別に応じて自装置判断による復旧処理の自動実行と、管理装置103からの命令に基づく復旧処理の実行を柔軟に使い分けることができる。
【0064】
図7は、異常定義テーブル132および復旧処理テーブル133を登録するための画面表示例を示す図である。記憶装置管理部134はたとえば、作業者による
図7に示す画面への入力に基づき異常定義テーブル132および復旧処理テーブル133を作成または更新する。
図7に示す表示画面700は、監視装置102の出力部124に表示されてもよいし、通信I/F121を介して外部機器に表示されてもよい。表示画面700は、異常定義テーブル132を設定するための第1表示エリア701と、復旧処理テーブル133を設定するための第2表示エリア702とを有する。
【0065】
第1表示エリア701において、作業者が入力部123から異常種別(イベントID)毎に、異常検出条件や通知メッセージ内容の各種情報を入力すると、当該入力値が異常定義テーブル132に設定される。なお、システムの運用過程で、イベントIDが随時追加されるケースも考えられる。そこで、
図7の例では、イベントIDの入力欄(行)を追加するための第1追加ボタン703が配されている。作業者が第1追加ボタン703を押下すると、それぞれの値が空欄の新たな入力欄が追加される。
【0066】
第2表示エリア702において、作業者が入力部123から異常種別(イベントID)毎に、復旧処理内容やタイマー値、自己判断復旧可否の各種情報を入力すると、当該入力値が復旧処理テーブル133に設定される。第2表示エリア702には第2追加ボタン704が配されており、作業者が第2追加ボタン704を押下すると、それぞれの値が空欄の新たな入力欄が追加される。
【0067】
また、各種テーブル情報を、
図7の表示画面700上で管理するだけでなく、インポートやエクスポートの機能を用いて別の外部ファイル等でも管理する形態が考えられる。そこで、
図7の画面表示例では、ファイル入力ボタン706と、ファイル出力ボタン705も設けられている。作業者が入力部123を介してファイル入力ボタン706を押下すると、別の外部ファイルに保存された各種テーブル値を
図7の表示画面700上に読み込まれる。また、作業者がファイル出力ボタン705を押下すると、
図7の表示画面700上で入力されたテーブル値が外部ファイルに出力される。これにより、テーブルの値が格納される外部ファイルとの連携を容易に実現する事ができる。ただし、当該機能の搭載は任意である。
【0068】
図7のように各種テーブル情報の設定画面を表示することで、作業者は容易に各種テーブル値の登録や途中変更等ができる。なお、
図7の画面表示例では、テーブルの値を直接入力する形態や、プルダウン形式で選択または設定する形態などを例示しているが、設定を受け付ける表示形式は任意である。
【0069】
図8は、
図4と
図5のステップS405で管理装置103が異常通知を出力する画面表示例、および
図5のステップS501で作業者から復旧処理命令を受け付けるための画面表示例を示す図である。表示画面800は、出力部144に表示される。表示画面800は、監視装置102から受信した異常通知を出力するための第3表示エリア801と、復旧処理命令の発行を受け付けるための第4表示エリア802とを有する。異常通知管理部148は、受信した異常通知の内容に基づき指示受信復旧と判断する場合のみ出力部144に第4表示エリア802を表示させてもよい。異常通知管理部148たとえば、受信したメッセージに[Self Recovery]が含まれない場合に指示受信復旧と判断して出力部144に第4表示エリア802を表示させる。この場合は、復旧の指示が不要な場合は第4表示エリア802が表示されないので、作業者が指示の要否を判断する必要がない。
【0070】
第3表示エリア801には、監視装置102から受信した異常通知について、異常通知の送信元(監視装置ID)や、通知メッセージ、最終通知時刻(即ち、異常通知の最終受信時刻)が表示される。この表示により、作業者はどの監視装置102が、いつ、どのような異常を検出したのかを容易に知ることができる。さらに、前述の通り、異常通知に格納するメッセージ内容に“[Self Recovery]”等の、監視装置102による復旧処理の自動実行を示す接頭語などを付与しておくことで、作業者が復旧処理命令の発行要否を判別する事も可能となる。
【0071】
なお、第3表示エリア801には、必要に応じて他の任意情報を出力してもよい。たとえば、異常通知の送信元(監視装置ID)だけでなく、当該監視装置102に接続される機器101の識別子などを出力してもよい。また、
図8のような表形式ではなく、たとえばテキスト形式で出力する画面表示等でもよく、表示形式は特定の方法に限定されない。なお、
図8の例では、監視装置102-a、および102-bの監視装置IDを「監視装置a、監視装置b」と表現しているが、監視装置IDは任意のホスト名やIPアドレス等で代用してもよい。
【0072】
作業者は、第4表示エリア802に監視装置102に発行する復旧処理命令を入力する。具体的には作業者は、復旧処理命令の発行宛先(監視装置ID)と、命令する復旧処理内容、および当該復旧処理を実行するまでのタイマー値とを入力する。そして、入力部143から命令発行ボタン803を押下(またはクリック)すると、これらの入力情報が
図5のステップS501で、管理装置103にて受け付けられ、その後のステップS502にて当該復旧処理命令が送信される。
【0073】
なお、前述の通り、監視装置102の復旧処理テーブル133において、
図3の「DI-3timesLow」のように自装置判断による復旧処理の自動実行を禁止している異常に対しても復旧処理内容やタイマー値を設定している場合は次のように変更してもよい。すなわち、作業者は第4表示エリア802に復旧処理内容やタイマー値を入力する代わりに、どの異常(イベントID)に対する復旧処理を命じるのかを示すイベントIDを入力してもよい。
【0074】
図8に示すような表示画面を提供することで、作業者は監視装置102が検出した異常を閲覧でき、さらに当該異常に対する復旧処理命令を任意のタイミングで発行できる。作業者が命令発行ボタン803を押下することをトリガとして当該復旧処理命令が発行されるため、システムの稼働を妨げない時間帯まで待って命令を発行するなど、復旧処理のタイミングを作業者が柔軟に操作できる。
【0075】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)監視装置102は、監視対象となる1以上の機器101を監視する。監視装置102は、機器101に発生する異常を検出する異常検出部128と、検出した異常を外部に異常通知として出力する異常通知部129と、異常の種別である異常種別に応じて、復旧の種別である復旧種別を、機器101に対する復旧処理の内容を当該監視装置が決定する自己判断復旧、および当該監視装置の外部が決定する指示受信復旧のいずれかに決定する復旧処理判定部130と、復旧処理判定部130による復旧種別の決定に基づき機器101の復旧処理を実行する復旧処理実行部131と、を備える。そのため、機器101で発生した異常の種別に応じて、復旧処理の内容を決定する主体を変更できる。具体的には、機器101で発生した異常種別に応じて、監視装置102による復旧処理の自動実行と、管理装置103からの命令に基づく復旧処理の実行を柔軟に使い分けることができる。
【0076】
(2)監視装置102は、それぞれの異常種別の定義である異常定義、異常種別ごとに自己判断復旧および指示受信復旧のいずれであるかを示す自己判断復旧可否306、および自己判断復旧である異常種別ごとの復旧処理の内容である第1復旧処理内容302や第2復旧処理内容304を格納する記憶装置125を備える。
【0077】
(3)記憶装置125には、異常種別ごとの異常通知の内容である通知メッセージ203、異常種別ごとに復旧処理を実行するまでの時間猶予であるタイマー、すなわち第1タイマー303や第2タイマー305が格納される。
【0078】
(4)監視装置102は、外部からの入力に基づき、異常定義、自己判断復旧可否、復旧処理内容、異常種別ごとの異常通知の内容、およびタイマーのうち少なくとも1つを記憶装置125に記録する記憶装置管理部134を備える。そのため、記憶装置125に格納されているデータを事後的に更新できる。
【0079】
(5)監視装置102の復旧処理実行部131は、復旧処理判定部130が指示受信復旧を決定した場合には、外部から機器101の復旧処理の内容を指示されるまで待機し、外部から機器101の復旧処理の内容を指示されると即時に実行する。そのため、外部の装置である管理装置103は、機器101の復旧処理のタイミングを自由に設定できる。たとえば管理装置103の作業者は、緊急度の高い異常に対してはすぐに復旧処理の内容を指示して早期復旧を実現し、緊急度の低い異常に対しては、システムの稼働を妨げないタイミングまで待つなどして、復旧処理を効率的に実行できる。
【0080】
(6)管理装置103は、監視装置102が出力する異常通知を受信する異常通知管理部148と、異常通知に基づいて決定された復旧処理の内容を監視装置102に出力する復旧処理命令部149と、を備える。
【0081】
(7)管理装置103は、ユーザへ情報を提示する出力部144を備える。異常通知管理部148は、監視装置102から受信した異常通知を出力部144に出力する。管理装置103は、ユーザからの監視装置102に対する復旧処理の内容を受け付ける入力部143を備える。復旧処理命令部149は、入力部143に入力された復旧処理の内容を通信処理部147を介して監視装置102に出力する。
【0082】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では作業者による操作を前提としたが、作業者を不要とする構成でもよい。すなわち本実施の形態では、
図8に示したように作業者に対して異常通知を出力し、
図5のステップS501にて、入力部143を介して作業者から復旧処理命令を受け付けた。しかし、作業者による操作を必要とせず、管理装置103が自動で復旧処理命令を送信してもよい。
【0083】
たとえば、管理装置103の異常通知管理部148で、復旧処理命令の自動返送を許可する異常通知と、当該異常通知に対する復旧処理命令(復旧処理内容とタイマー値)とを予め定義しておくことで実現できる。この場合は、当該異常通知を受信したタイミングで異常通知管理部148から復旧処理命令部149に復旧処理命令の内容を連携し、作業者の操作を待たずに復旧処理命令を自動送信してもよい。本変形例によれば、監視装置102による自己判断復旧と同程度の早期復旧を実現しつつ、管理装置103においても復旧処理の命令履歴、換言すると復旧処理の内容や実行時刻を管理情報として残すことができる。
【0084】
(変形例2)
監視装置102の記憶装置125に格納される異常定義テーブル132と復旧処理テーブル133は一体に構成されてもよい。また復旧処理内容は1つでもよいし、タイマーは設定されなくてもよい。さらに、監視装置102が管理装置103に送信する異常通知は、たとえばイベントIDそのものとし、通知メッセージ203を異常定義テーブル132に含めなくてもよい。本変形例によれば、異常定義テーブル132と復旧処理テーブル133を管理する上での記憶容量を削減できる。
【0085】
―第2の実施の形態―
図9~
図11を参照して、通信システムの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、発生異常に対する復旧処理の実行を、監視装置102の判断による自動実行から、管理装置103の命令に基づく実行へ動的に切り替え可能な点で、第1の実施の形態と異なる。
【0086】
上述した第1の実施の形態では、監視装置102による復旧処理の自動実行と、管理装置103からの命令に基づく復旧処理の実行を、異常種別に応じて静的に使い分ける形態を例示した。しかし、発生した異常に対して監視装置102が自己判断復旧において実行する復旧処理が適切ではない場合は、機器101が異常から復旧できず、監視装置102が異常検出と復旧処理の自動実行を繰り返す可能性がある。たとえば、機器101との通信切断(例:
図3の「LAN-Disconn」)を検出して、監視装置102が「監視対象機器の通信I/F再起動」の復旧処理を実行したにも関わらず、機器101との通信切断が解消せず、同じ異常が検出され続けた場合、同様の復旧処理を監視装置102が再度実行しても復旧する可能性は低い。このような場合は、監視装置102による復旧処理の自動実行を停止し、管理装置103からの命令、即ち作業者の判断に基づいて別の復旧処理を実行するよう、動的に切り替えることが望ましい。
【0087】
第2の実施の形態における管理装置103および機器101の構成および機能は、第1の実施の形態と同様である。監視装置102のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。監視装置102は、異常定義テーブル132および復旧処理テーブル133の構成が第1の実施の形態と異なる。また、復旧処理判定部130の処理も第1の実施の形態と異なる。アプリケーションプログラム126、通信処理部127、異常検出部128、異常通知部129、復旧処理実行部131、および記憶装置管理部134の動作は第1の実施の形態と同様である。
【0088】
図9は、第2の実施の形態における異常定義テーブル132の一例を示す図である。
図9におけるイベントID901、異常検出条件902、第1通知メッセージ903は、第1の実施の形態における
図2の異常定義テーブル132のイベントID201、異常検出条件202、通知メッセージ203と同様なので、これらの説明は省略する。第2通知メッセージ904は、イベントID901で指定した異常を検出し、かつ後述するメッセージ切替条件905に記載の条件に合致した場合に、管理装置103宛に通知するメッセージである。以下では、第2通知メッセージ904を「変更後通知内容」とも呼ぶ。
【0089】
メッセージ切替条件905は、異常検出時に管理装置103へ通知するメッセージ内容を、第1通知メッセージ903から第2通知メッセージ904に切り替える条件である。当該条件に合致している間は、イベントID901で指定した異常を検出した際に、第2通知メッセージ904に記載のメッセージ内容を管理装置103へ通知する。以下では、メッセージ切替条件905を「第4変更条件」とも呼ぶ。
【0090】
図9に示す例では、機器101との通信切断(
図9の「LAN-Disconn」)を1時間以内に3回以上検出すると、監視装置102の異常通知部129は、管理装置103に通知するメッセージ内容を“[Self Recovery]LAN-Disconn”から“LAN-Disconn”に変更する。後述する
図10の復旧処理テーブル133の例では、機器101との通信切断を1時間以内に3回以上検出すると、監視装置102は自装置の判断による復旧処理の自動実行を無効化(禁止)し、管理サーバからの命令を基に復旧処理を実行するよう動作変更する。
【0091】
このとき、
図9に例示する通り、たとえば管理装置103に通知するメッセージ内容も、“[Self Recovery]”の接頭語を削除して通知するよう変更することで、作業者は
図8の画面閲覧を通じて、監視装置102による復旧処理の自動実行が無効化され、新たな復旧処理命令の発行が必要である事が判断できる。なお、通知するメッセージ内容の切替が不要である場合は、第2通知メッセージ904に第1通知メッセージ903と同じ内容を記載してもよいし、空欄にしてもよい。
【0092】
図10は、第2の実施の形態における復旧処理テーブル133の一例を示す図である。
図10のイベントID906、第1復旧処理内容907、第1タイマー908、第2復旧処理内容909、第2タイマー910、自己判断復旧可否911は、第1の実施の形態における
図3の復旧処理テーブル133のイベントID301、第1復旧処理内容302、第1タイマー303、第2復旧処理内容304、第2タイマー305、自己判断復旧可否306と同様なので、これらの説明は省略する。
【0093】
無効化条件912は、監視装置102の判断による復旧処理の自動実行を無効化(禁止)する条件である。当該条件に合致している間は、自己判断復旧可否911のフィールドにて自装置判断による自動実行が許可されていても、復旧処理の自動実行を無効化する。
図10に示す例では、機器101との通信切断(
図10の「LAN-Disconn」)を1時間以内に3回以上検出すると、監視装置102の復旧処理判定部130は、当該通信切断に対する復旧処理の自動実行を無効化し、管理装置103からの命令を待って復旧処理を実行するよう決定する。本処理の詳細は
図11で後述する。以下では無効化条件912を「第1変更条件」とも呼ぶ。復旧処理判定部130は、あるレコードの第1変更条件に該当すると、そのレコードにおける自己判断復旧可否911の「OK」の値を「NG」に読み替える。
【0094】
なお、
図9と
図10の例では、説明の便宜上、メッセージ切替条件905や無効化条件912を「1時間以内に同イベントを3回検出」等の文章で記載しているが、当該書式は任意である。これらの条件は検出頻度で指定する以外に、検出時刻や検出時間帯で指定するなど、条件内容も任意に定義して構わない。また、メッセージ切替条件905、および無効化条件912に合致した後、通知メッセージ内容を元の第1通知メッセージ903に戻すタイミングや、自装置判断による復旧処理実行の無効化を解除するタイミングは任意に設定して構わない。たとえば、条件合致後に一定時間が経過すると無効化を解除してもよい。
【0095】
図11は、第2の実施の形態における復旧処理判定部130の処理を示すフローチャートである。
図11のステップS601、S602、S603、S604は
図6と同様なので説明を省略する。ステップS601~S602において、
図10の復旧処理テーブル133を参照し、検出異常に対応する自己判断復旧可否911のフィールドに「OK」が記載されていた場合に、ステップS1001に進む。ステップS1001では、復旧処理判定部130が、復旧処理テーブル133における無効化条件912を参照し、自装置判断による復旧処理実行の無効化条件を取得する。
【0096】
続くステップS1002は、復旧処理判定部130が、ステップS1001で取得した無効化条件の合致判定を行う。
図10の例において、機器101との通信切断(
図10の「LAN-Disconn」)を検出した場合は、1時間以内の同イベントの検出回数を用いて合致判定を行う。検出異常に対して無効化条件が未登録(空欄)、または無効化条件と合致しなかった場合(YES)はステップS603に進み、監視装置102による復旧処理の自動実行を決定する。一方、無効化条件と合致した場合(NO)は、自己判断復旧可否911の「OK」の値を「NG」に読み替えて、監視装置102の判断による復旧処理実行の無効化を決定し、ステップS604に進み、管理装置103からの命令に基づく復旧処理の実行を復旧処理実行部131に指示する。
【0097】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(8)記憶装置125には、異常種別ごとに自己判断復旧可否における自己判断復旧を指示受信復旧に変更する第1変更条件が格納される。復旧処理判定部130は、第1変更条件に合致すると、自己判断復旧可否を指示受信復旧に読み替える。そのため、復旧処理の内容を決定する主体を監視装置102から管理装置103に動的に変更できる。
【0098】
(9)第1変更条件は、同一異常に対する検出頻度、または異常検出時刻である。そのため、同一の異常を高頻度に検出する場合や、特定の時間帯に異常を検出する場合に自己判断復旧を指示受信復旧に変更することで、作業者がより適切な復旧処理を指示することが期待できる。
【0099】
(10)記憶装置125には、異常種別ごとに異常通知の内容を変更する条件であるメッセージ切替条件905である第4変更条件、および第4変更条件に合致する場合の異常通知の内容である第2通知メッセージ904(変更後通知内容)が格納される。異常通知部129は、第4変更条件に合致すると第1通知メッセージ903の代わりに第2通知メッセージ904を出力する。そのため管理装置103の出力部144の出力を見た作業者は、自己判断復旧が指示受信復旧に変更されたことを知ることができる。
【0100】
―第3の実施の形態―
図12~
図14を参照して、通信システムの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、復旧処理の実行を、管理装置103の命令に基づく実行から、監視装置102の判断による自動実行へ動的に切り替え可能な点で、第1の実施の形態と異なる。
【0101】
上述した第2の実施の形態では、発生異常に対する復旧処理の実行を、監視装置102の判断による自動実行から、管理装置103の命令に基づく実行へ動的に切り替える形態を示した。一方で逆に、管理装置103の命令に基づく復旧処理実行から、監視装置102の判断による自動実行へ切り替える事で効率化されるケースも存在する。たとえば、機器101から想定と異なる入力信号を検出した際に(例:
図3の「DI-3timesLow」)、管理装置103へ異常通知を送信し、管理装置103からの命令を基に、即ち作業者の判断を仰いで復旧処理を実行していたとする。このとき、異常通知を送信後、高い確率で復旧処理命令を受理していた場合には、毎回作業者の判断を仰ぐ意義は小さいと考えられる。このような場合は、自己判断復旧へ動的に切り替えることで、復旧までに要する時間を短縮できる。
【0102】
第3の実施の形態における管理装置103および機器101の構成および機能は、第1の実施の形態と同様である。監視装置102のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。監視装置102は、異常定義テーブル132および復旧処理テーブル133の構成が第1の実施の形態と異なる。また、復旧処理判定部130の処理も第1の実施の形態と異なる。アプリケーションプログラム126、通信処理部127、異常検出部128、異常通知部129、復旧処理実行部131、および記憶装置管理部134の動作は第1の実施の形態と同様である。
【0103】
図12は、第3の実施の形態における異常定義テーブル132の一例を示す図である。このテーブルの構成は、第2の実施の形態において
図9に示した異常定義テーブル132と同様であるため説明を省略する。
図12に示す例では、機器101から3回連続で“Low”のデジタル入力信号を観測した後(
図12の「DI-3timesLow」)、1日以内に管理装置103から同イベントに対する復旧処理命令を3回以上受理していれば、監視装置102の異常通知部129は、管理装置103に通知するメッセージ内容を“DI-3timesLow”から“[Self Recovery]DI-3timesLow”に変更する。後述する
図13の復旧処理テーブル133の例では、同条件に合致すると、監視装置102は自己判断復旧を有効化(許可)し、当該異常に対して管理サーバからの命令を待たずに復旧処理を実行するよう動作変更する。
【0104】
自己判断復旧が有効化されると、
図12に例示するように、たとえば管理装置103に通知するメッセージ内容も、“[Self Recovery]”の接頭語を付与して通知するように変更される。この変更により、作業者は
図8の画面閲覧を通じて、監視装置102による復旧処理の自動実行が有効化され、復旧処理命令の発行が不要になった事を判断できる。ひいては、冗長な復旧処理命令の発行を抑止する事が可能となる。
【0105】
図13は、第3の実施の形態における復旧処理テーブル133の一例を示す図である。
図13において、イベントID1101、第1復旧処理内容1102、第1タイマー1103、第2復旧処理内容1104、第2タイマー1105、および自己判断復旧可否1106は、第2の実施の形態において
図10に示した復旧処理テーブル133のイベントID906、第1復旧処理内容907、第1タイマー908、第2復旧処理内容909、第2タイマー910、および自己判断復旧可否911と同様なのでこれらの説明を省略する。
【0106】
有効化条件1107は、自己判断復旧を有効化(許可)する条件である。当該条件に合致している間は、自己判断復旧可否1106のフィールドにて自己判断復旧が禁止されていても、自己判断復旧を有効化する。
図13の例では、1日以内に
図12の「DI-3timesLow」に関する異常通知を送信後、管理装置103から復旧処理命令を3回以上受理していれば、有効化条件1107を満たす。そのため、監視装置102の復旧処理判定部130は、当該異常に対する自己判断復旧を有効化し、管理装置103からの命令を待たずに復旧処理を実行させる。本処理の詳細は
図14で後述する。以下では、有効化条件1107を「第2変更条件」とも呼ぶ。
【0107】
なお、
図13の例では、説明の便宜上、有効化条件1107を「1日以内に同イベントの復旧処理命令3回受理」等の文章で記載しているが、当該書式は任意である。これらの条件は復旧処理命令の受信頻度で指定する以外に、異常の検出時刻で指定するなど、条件内容も任意に定義してよい。また、有効化条件1107に合致した後、自装置判断による復旧処理の有効化を解除するタイミングは任意に設定してよい。たとえば、条件合致後に一定時間が経過すると、有効化を解除する形態などであってもよい。
【0108】
図14は、第3の実施の形態における復旧処理判定部130の処理を示すフローチャートである。
図11のステップS601、S602、S603、S604は
図6と同様なので説明を省略する。ステップS601~S602において、復旧処理テーブル133を参照し、検出した異常に対応する自己判断復旧可否911のフィールドに「NG」が記載されていた場合に、ステップS1201に進む。
【0109】
ステップS1201では、監視装置102の復旧処理判定部130が、有効化条件1107を参照し、自己判断復旧の有効化条件を取得する。続くステップS1202では、監視装置102の復旧処理判定部130が、ステップS1201で取得した有効化条件の合致判定を行う。
図13の例において、機器101から3回連続で“Low”のデジタル入力信号を観測した場合(
図13の「DI-3timesLow」)は、当該異常に対する異常通知送信後、過去1日以内において復旧処理命令を受信した回数を用いて合致判定を行う。検出異常に対して有効化条件が未登録(空欄)、または有効化条件と合致しなかった場合(YES)はステップS604に進み、管理装置103からの命令に基づく復旧処理の実行を決定する。一方、有効化条件と合致した場合(NO)は監視装置102の判断による復旧処理実行の有効化を決定し、ステップS603に進み、管理装置103からの命令を待たずに監視装置102の判断で復旧処理を自動実行する事を決定する。
【0110】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(11)記憶装置125には、異常種別ごとに自己判断復旧可否における指示受信復旧を自己判断復旧に変更する第2変更条件が格納される。復旧処理判定部130は、第2変更条件に合致すると、指示受信復旧を自己判断復旧に読み替える。そのため、発生異常に対する復旧処理の実行を、管理装置103の命令に基づく実行から、監視装置102の判断による自動実行へ動的に切り替えることができる。
【0111】
(12)第2変更条件は、同一の異常に対する外部からの復旧処理に関する実行命令の受信頻度、または異常検出時刻である。そのため、同一の異常に対する復旧処理命令の発行率が高い場合や、特定の時間帯に異常を検出した場合に、監視装置102の判断による復旧処理の自動実行に切り替えることで、異常からの復旧時間を短縮できる。
【0112】
―第4の実施の形態―
図15~
図16を参照して、通信システムの第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、自己判断復旧において実行する復旧処理の内容を動的に切り替える点で、第1の実施の形態と異なる。
【0113】
機器101との通信切断を検出して、監視装置102が「監視対象機器の通信I/F再起動」の復旧処理を実行したにも関わらず、機器101との通信切断が解消せず、同じ異常が検出され続ける場合を想定する。この場合は、機器101の通信I/F111ではなく、監視装置102の通信I/F121に問題がある可能性もある。そのため、監視装置102が自己判断復旧において実行する復旧処理を「監視対象機器の通信I/F再起動」から「自装置の通信I/F再起動」へ変更することで、通信切断からの復旧が期待できる。そのため本実施の形態では、発生異常に対して監視装置102が自動実行する復旧処理の内容を、動的に切り替える事を可能にしている。
【0114】
第4の実施の形態における管理装置103および機器101の構成および機能は、第1の実施の形態と同様である。監視装置102のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。監視装置102は、復旧処理テーブル133の構成が第1の実施の形態と異なる。また、復旧処理判定部130の処理も第1の実施の形態と異なる。アプリケーションプログラム126、通信処理部127、異常検出部128、異常通知部129、復旧処理実行部131、および記憶装置管理部134の動作は第1の実施の形態と同様である。異常定義テーブル132の構成も第1の実施の形態と同様である。
【0115】
図15は、第4の実施の形態における復旧処理テーブル133の一例を示す図である。
図15におけるイベントID1301、第1復旧処理内容1302、第1タイマー1303、第2復旧処理内容1304、第2タイマー1305、自己判断復旧可否1306、無効化条件1307は、第2の実施の形態において
図10に示した復旧処理テーブル133のイベントID906、第1復旧処理内容907、第1タイマー908、第2復旧処理内容909、第2タイマー910、自己判断復旧可否911、無効化条件912と同様であるため、これらの説明を省略する。
図15の復旧処理テーブル133では、有効化条件1308のフィールドを有し、この項目は第3の実施の形態において
図13の復旧処理テーブル133に示した有効化条件1107と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
図15に示す例では、機器101との通信切断(
図15の「LAN-Disconn」)を1時間以内に3回以上検出すると、監視装置102の復旧処理判定部130は、監視装置102の判断による「監視対象機器の通信I/F再起動」の自動実行を無効化する。代わりに、「自装置の通信I/F再起動」の自動実行を有効化し、通信切断に対して講じる復旧処理内容を切り替える。即ち、過去1時間以内における機器101との通信切断の検出回数が3回未満の場合は、機器101の通信I/F111を再起動することで復旧を試み、検出回数が3回以上に達すると、再起動の対象を自装置の通信I/F121に切り替える。本処理の詳細は
図16で後述する。
【0117】
本実施の形態で示すように、無効化条件1307と有効化条件1308に同じ値が設定されている場合には、その条件に該当すると実行される復旧処理内容が変更される。そのため、この場合の同一である無効化条件1307の値と有効化条件1308の値を特別に「第3変更条件」とも呼ぶ。第3変更条件は、復旧処理内容を変更する条件である。
【0118】
図16は、第4の実施の形態における復旧処理判定部130の処理を示すフローチャートである。
図16のステップS601、S602、S603、S604は第1の実施の形態における
図6と同様であり、ステップS1001、S1002は第2の実施の形態における
図11と同様である。また、
図16のステップS1201、S1202は第3の実施の形態における
図14と同様である。そのためこれらの説明は省略する。
【0119】
たとえば、監視装置102の異常検出部128で、機器101との通信切断(
図15の「LAN-Disconn」)を検出した場合に、監視装置102の復旧処理判定部130は、ステップS601~S602の処理にて
図15の復旧処理テーブル133を参照し、「監視対象機器の通信I/F再起動」のレコードは自己判断復旧可否1306が「OK」なのでステップS1001に進む。このとき、機器101との通信切断が1時間以内に3回以上検出されていた場合は、ステップS1002で
図15の無効化条件1307と合致するため(NO)、ステップS1401に進む。
【0120】
ステップS1401では、監視装置102の復旧処理判定部130が、復旧処理テーブル133を参照し、検出異常に対して未判定の復旧処理が存在しないかを判定する。復旧処理判定部130は、未判定の復旧処理が存在する場合(YES)はステップS601に戻る。復旧処理判定部130は、未判定の復旧処理が存在しない場合(NO)はステップS604に進み、管理装置103からの命令を実行する旨を復旧処理実行部131に指示する。
図15に示す例では、機器101との通信切断(LAN-Disconn)に対して、未判定の復旧処理(「自装置の通信I/F再起動」)が存在するため、復旧処理判定部130はステップS601に戻る。
【0121】
その後、再びステップS601~S602の処理にて、監視装置102の復旧処理判定部130は、
図15の復旧処理テーブル133を参照し、「自装置の通信I/F再起動」の自動実行が禁止されているため(NO)、ステップS1201に進む。さらに、ステップS1202の判定処理にて、「自装置の通信I/F再起動」の自動実行について、
図15の有効化条件1308に合致する事(NO)を判定し、ステップS603に進む。これにより、監視装置102の判断による「自装置の通信I/F再起動」の自動実行が決定され、復旧処理内容の動的な切り替えが実現される。
【0122】
上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(13)記憶装置125には、異常種別ごとに復旧処理内容を変更する条件である第3変更条件、および第3変更条件に合致する場合の復旧処理の内容である変更後復旧処理内容がさらに格納される。復旧処理実行部131は、第3変更条件に合致すると変更後復旧処理内容を実行する。そのため、発生異常に対して監視装置102が自動実行する復旧処理内容を、動的に切り替えることができる。特に、監視装置102が自動実行する復旧処理が適切でなく、復旧に至らない場合などにおいて、当該復旧処理内容を動的に切り替えることで、異常からの復旧が実現できる。
【0123】
上記の各構成、機能等は、それらの一部または全部を、たとえば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体にあらかじめ記録しておき、各装置に読み込ませてもよい。
【0124】
上述した各実施の形態および変形例において、機能ブロックの構成は一例に過ぎない。別々の機能ブロックとして示したいくつかの機能構成を一体に構成してもよいし、1つの機能ブロック図で表した構成を2以上の機能に分割してもよい。また各機能ブロックが有する機能の一部を他の機能ブロックが備える構成としてもよい。
【0125】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
101 :機器
102 :監視装置
103 :管理装置
123 :入力部
124 :出力部
125 :記憶装置
127 :通信処理部
128 :異常検出部
129 :異常通知部
130 :復旧処理判定部
131 :復旧処理実行部
132 :異常定義テーブル
133 :復旧処理テーブル