(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061412
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ボビン搬送装置
(51)【国際特許分類】
D01H 13/14 20060101AFI20240425BHJP
D01H 9/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
D01H13/14
D01H9/04 C
D01H9/04 D
D01H9/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169349
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宏之
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA01
4L056AA21
4L056BF02
4L056BF05
4L056BF08
4L056BF09
4L056BF12
4L056BF22
4L056BF43
4L056BF52
4L056DA45
4L056DA47
4L056DB02
4L056DB04
4L056EA03
4L056EA15
4L056EA16
4L056EA34
4L056FB17
(57)【要約】
【課題】検知部を新たに追加することなく、作業者によるハンガに対するボビンの掛け間違いを検査できるボビン搬送装置を提供する。
【解決手段】ボビン搬送装置10は、ボビン受渡動作を行う第1搬送部11、ボビン交換動作を行うエクスチェンジャ、交換位置CにおけるハンガHの有無及び種類を検知するハンガ検知部16、ボビンBの有無を検知するボビン検知部17、及び検知部16,17の検知結果に基づいて第1搬送部11及びエクスチェンジャを制御する制御部を備える。制御部は、ボビン受取動作を行う前にエクスチェンジャにボビン交換動作を行わせない状態で第1搬送部11のキャリッジを周回移動させ、周回移動中の検知部16,17の検知結果に基づいて満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられているか否かを判定し、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられていると判定した場合、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗糸が巻回されたボビンである満ボビン及び前記粗糸が巻回されていない前記ボビンである空ボビンを粗紡機と精紡機との間で搬送するボビン搬送装置であって、
ループレール、前記ループレールに沿って移動可能なキャリッジ、及び前記キャリッジから吊り下げられ、前記満ボビンが掛けられる満ボビン用ハンガ又は前記空ボビンが掛けられる空ボビン用ハンガとして用いられる複数のハンガを有し、前記満ボビン用ハンガと前記空ボビン用ハンガは交互に配置され、前記粗紡機から前記満ボビン用ハンガに前記満ボビンを受け取るとともに前記空ボビン用ハンガから前記粗紡機に前記空ボビンを渡すボビン受渡動作を行う第1搬送部と、
前記精紡機に繋がる第2搬送部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記満ボビンと前記空ボビンを交換するボビン交換動作を行うエクスチェンジャと、
前記ループレールの周方向において前記エクスチェンジャが前記ボビン交換動作を行う位置を交換位置としたとき、前記交換位置における前記ハンガの有無を検知し、前記交換位置に前記ハンガがあると検知した場合、当該ハンガが前記満ボビン用ハンガであるか前記空ボビン用ハンガであるかを検知するハンガ検知部と、
前記ハンガ検知部が前記交換位置に前記ハンガがあると検知しているときに前記ボビンの有無を検知するボビン検知部と、
前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記第1搬送部及び前記エクスチェンジャを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ボビン受渡動作を行う前に、前記エクスチェンジャに前記ボビン交換動作を行わせない状態で前記キャリッジを周回移動させ、
前記キャリッジの周回移動中の前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記満ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられているか否かを判定し、
前記満ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられている場合、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定することを特徴とするボビン搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記キャリッジの周回移動中の前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記空ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられているか否かを判定し、
前記空ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられていない場合にも、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定する請求項1に記載のボビン搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定した場合、前記第1搬送部による前記ボビン受渡動作を制限する請求項1に記載のボビン搬送装置。
【請求項4】
前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部は、前記キャリッジによる前記ボビンの搬送中に検知を行う請求項1に記載のボビン搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビン搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボビン搬送装置は、粗糸が巻回されたボビンである満ボビン及び粗糸が巻回されていないボビンである空ボビンを粗紡機と精紡機との間で搬送する。ボビン搬送装置は、第1搬送部と、第2搬送部と、エクスチェンジャと、制御部とを備えている。第1搬送部は、ループレールと、ループレールに沿って移動可能なキャリッジと、キャリッジから吊り下げられた複数のハンガとを有している。ハンガは、満ボビンが掛けられる満ボビン用ハンガ、又は空ボビンが掛けられる空ボビン用ハンガとして用いられる。満ボビン用ハンガと空ボビン用ハンガは、交互に配置されている。第1搬送部は、粗紡機から満ボビン用ハンガに満ボビンを受け取るとともに、空ボビン用ハンガから粗紡機に空ボビンを渡すボビン受渡動作を行う。第2搬送部は、精紡機に繋がっている。エクスチェンジャは、第1搬送部と第2搬送部との間で満ボビンと空ボビンを交換するボビン交換動作を行う。制御部は、第1搬送部及びエクスチェンジャを制御する。
【0003】
このようなボビン搬送装置において、満ボビン用ハンガに対して誤って空ボビンが掛けられている場合、満ボビン用ハンガに誤って掛けられた空ボビンは、ボビン受渡動作時に粗紡機の満ボビンに接触する。このようなボビン受渡動作時のボビン同士の接触は、ボビン受渡動作の失敗や粗紡機及びボビン搬送装置の故障につながるおそれがある。したがって、ボビン受渡動作前の満ボビン用ハンガにはボビンが掛けられていないことが求められる。
【0004】
エクスチェンジャがボビン交換動作を適切に行った場合には、ボビン交換動作後の満ボビン用ハンガにはボビンが掛けられていない。したがって、従来のボビン搬送装置では、エクスチェンジャがボビン交換動作を適切に行ったことを確認することによって、ボビン受渡動作前の満ボビン用ハンガにボビンが掛けられていないことを保証していた。エクスチェンジャがボビン交換動作を適切に行ったことを確認するための構成としては、例えば、次の構成が考えられる。ボビン搬送装置は、ハンガ検知部及びボビン検知部を備えている。ループレールの周方向においてエクスチェンジャがボビン交換動作を行う位置を交換位置とする。ハンガ検知部は、交換位置におけるハンガの有無を検知するとともに、交換位置にハンガがあると検知した場合、当該ハンガが満ボビン用ハンガであるか空ボビン用ハンガであるかを検知する。ボビン検知部は、ハンガ検知部が交換位置にハンガがあると検知しているときにボビンの有無を検知する。
【0005】
このようなボビン搬送装置では、ボビン受渡動作後の満ボビン用ハンガが交換位置に搬送されると、ハンガ検知部は、交換位置にハンガがあると検知するとともに、当該ハンガが満ボビン用ハンガであると検知する。そして、エクスチェンジャが交換位置にある満ボビン用ハンガから第2搬送部に満ボビンを適切に受け渡すと、当該満ボビン用ハンガに対するボビン検知部の検知結果は「ボビンあり」から「ボビンなし」に変化する。また、ボビン受渡動作後の空ボビン用ハンガが交換位置に搬送されると、ハンガ検知部は、交換位置にハンガがあると検知するとともに、当該ハンガが空ボビン用ハンガであると検知する。そして、エクスチェンジャが第2搬送部から交換位置にある空ボビン用ハンガに空ボビンを適切に受け渡すと、当該空ボビン用ハンガに対するボビン検知部の検知結果は「ボビンなし」から「ボビンあり」に変化する。制御部は、このようなハンガ検知部及びボビン検知部の検知結果に基づいて、エクスチェンジャがボビン交換動作を適切に行ったことを確認する。すなわち、ハンガ検知部及びボビン検知部は、エクスチェンジャがボビン交換動作を適切に行ったことを確認するために用いられる検知部である。
【0006】
また、特許文献1には、粗紡機とボビン搬送装置との間でボビンの受け渡しが確実に行われたかを検知するボビン搬送装置が開示されている。満ボビン用ハンガ及び空ボビン用ハンガは異なる高さに配置されている。ボビン搬送装置は、満ボビン用ハンガにボビンが掛けられているか否かを検知する満ボビン用検知部を有している。満ボビン用検知部は、粗紡機の長手方向に投光する投光機と、投光機と粗紡機の長手方向に対向配置された受光機とを有している。満ボビン用検知部は、投光機が投光した光を受光機が検知した場合、満ボビン用ハンガにボビンが掛けられていないと判定する。このボビン搬送装置を採用することによっても、満ボビン用ハンガに空ボビンが誤って掛けられていないかを検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、エクスチェンジャの故障時等には、エクスチェンジャの代わりに作業者が第1搬送部のハンガに対するボビンの交換作業を行うことがある。この場合、作業者は、満ボビン用ハンガにボビンが掛けられていないことを目視によって確認した後、第1搬送部を作動させる。しかしながら、目視による確認では見落としが発生するおそれがある。また、特許文献1に記載のボビン搬送装置を採用すれば、満ボビン用ハンガにボビンが掛かっているか否かを検知できるが、検知部を新たに追加する必要がある。以上のことから、検知部を新たに追加することなく、作業者によるハンガに対するボビンの掛け間違いを検査することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するためのボビン搬送装置は、粗糸が巻回されたボビンである満ボビン及び前記粗糸が巻回されていない前記ボビンである空ボビンを粗紡機と精紡機との間で搬送するボビン搬送装置であって、ループレール、前記ループレールに沿って移動可能なキャリッジ、及び前記キャリッジから吊り下げられ、前記満ボビンが掛けられる満ボビン用ハンガ又は前記空ボビンが掛けられる空ボビン用ハンガとして用いられる複数のハンガを有し、前記満ボビン用ハンガと前記空ボビン用ハンガは交互に配置され、前記粗紡機から前記満ボビン用ハンガに前記満ボビンを受け取るとともに前記空ボビン用ハンガから前記粗紡機に前記空ボビンを渡すボビン受渡動作を行う第1搬送部と、前記精紡機に繋がる第2搬送部と、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記満ボビンと前記空ボビンを交換するボビン交換動作を行うエクスチェンジャと、前記ループレールの周方向において前記エクスチェンジャが前記ボビン交換動作を行う位置を交換位置としたとき、前記交換位置における前記ハンガの有無を検知し、前記交換位置に前記ハンガがあると検知した場合、当該ハンガが前記満ボビン用ハンガであるか前記空ボビン用ハンガであるかを検知するハンガ検知部と、前記ハンガ検知部が前記交換位置に前記ハンガがあると検知しているときに前記ボビンの有無を検知するボビン検知部と、前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記第1搬送部及び前記エクスチェンジャを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ボビン受渡動作を行う前に、前記エクスチェンジャに前記ボビン交換動作を行わせない状態で前記キャリッジを周回移動させ、前記キャリッジの周回移動中の前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記満ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられているか否かを判定し、前記満ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられている場合、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定することを要旨とする。
【0010】
制御部は、ボビン受渡動作を行う前に、エクスチェンジャにボビン交換動作を行わせない状態でキャリッジを周回移動させる。制御部は、キャリッジの周回移動中のハンガ検知部及びボビン検知部の検知結果に基づいて、満ボビン用ハンガにボビンが掛けられているか否かを判定する。作業者が第1搬送部のハンガに対するボビンの交換作業を適切に行った場合、満ボビン用ハンガには空ボビンが掛けられていない。このため、制御部は、満ボビン用ハンガにボビンが掛けられていると判定した場合には、満ボビン用ハンガに誤って空ボビンが掛けられているとして、ハンガに対するボビンの掛け間違いが発生していると判定する。制御部は、満ボビン用ハンガにボビンが掛けられているか否かの判定において、ハンガ検知部及びボビン検知部を用いる。このハンガ検知部及びボビン検知部は、エクスチェンジャがボビン交換動作を適切に行ったことを確認するために用いられる既存の検知部である。したがって、検知部を新たに追加することなく、作業者によるハンガに対するボビンの掛け間違いを検査できる。
【0011】
上記ボビン搬送装置において、前記制御部は、前記キャリッジの周回移動中の前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記空ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられているか否かを判定し、前記空ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられていない場合にも、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定してもよい。
【0012】
制御部は、キャリッジの周回移動中のハンガ検知部及びボビン検知部の検知結果に基づいて、空ボビン用ハンガにボビンが掛けられているか否かを判定する。作業者が第1搬送部のハンガに対するボビンの交換作業を適切に行った場合、空ボビン用ハンガには空ボビンが掛けられている。このため、制御部は、空ボビン用ハンガにボビンが掛けられていないと判定した場合にも、空ボビン用ハンガに空ボビンを掛け忘れているとして、ハンガに対するボビンの掛け間違いが発生していると判定する。制御部は、空ボビン用ハンガにボビンが掛けられているか否かの判定において、既存の検知部であるハンガ検知部及びボビン検知部を用いる。したがって、検知部を新たに追加することなく、作業者による空ボビン用ハンガに対する空ボビンの掛け忘れを検査できる。
【0013】
上記ボビン搬送装置において、前記制御部は、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定した場合、前記第1搬送部による前記ボビン受渡動作を制限してもよい。
【0014】
上記構成によれば、満ボビン用ハンガに誤って空ボビンが掛けられている場合において、満ボビン用ハンガに掛けられた空ボビンがボビン受渡動作時に粗紡機の満ボビンに接触することを回避できる。
【0015】
上記ボビン搬送装置において、前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部は、前記キャリッジによる前記ボビンの搬送中に検知を行ってもよい。
上記構成によれば、ハンガが交換位置に搬送される度にハンガを交換位置で停止させる場合と比較して、ハンガに対するボビンの掛け間違いの検査にかかる時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検知部を新たに追加することなく、作業者によるハンガに対するボビンの掛け間違いを検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】粗紡機、精紡機、及びボビン搬送装置を示す平面図である。
【
図2】ボビン受渡動作前の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図3】ボビン受渡動作前の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図4】ボビン受渡動作後の粗紡機及び第1搬送部を示す平面図である。
【
図5】ボビン受渡動作後の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図8】ハンガ検知部及びボビン検知部を示す側面図である。
【
図9】満ボビン受取時の粗紡機及び第1搬送部を示す平面図である。
【
図10】満ボビン受取後の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図11】満ボビン受取後の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図12】空ボビン引渡時の粗紡機及び第1搬送部を示す平面図である。
【
図13】空ボビン引渡時の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図14】空ボビン引渡後の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図15】空ボビン引渡後の粗紡機及び第1搬送部を示す側面図である。
【
図16】ボビンの掛け間違いの検査を説明するための説明図である。
【
図17】ボビンの掛け間違いの検査を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ボビン搬送装置を具体化した一実施形態を
図1~
図17にしたがって説明する。
図1に示すように、紡績工場内には、粗紡機100と、精紡機200と、ボビン搬送装置10とが設けられている。粗紡機100は、粗紡工程を行う。精紡機200は、精紡工程を行う。ボビン搬送装置10は、粗紡機100と精紡機200との間でボビンBを搬送する。
【0019】
<粗紡機>
図1及び
図2に示すように、粗紡機100は、粗紡機本体101と、レール搬送部102とを備えている。
【0020】
粗紡機本体101は、機台21と、ボビンレール23とを有している。機台21は、下方に延びる複数のフライヤ22を有している。図示しないが、複数のフライヤ22は、機台21の短手方向において互い違いに位置するように機台21の長手方向に並んでいる。ボビンレール23は、複数のボビンホイール24を有している。複数のボビンホイール24は、フライヤ22と同様、機台21の短手方向において互い違いに位置するように機台21の長手方向に並んでいる。ボビンホイール24は、ボビンレール23の上面から突出している。ボビンホイール24は、ボビンレール23に対して回転可能に設けられている。ボビンホイール24は、ボビンBを回転可能に支持する。
【0021】
ボビンレール23は、ボビンBがフライヤ22の内側に位置する粗紡位置と、ボビンBがフライヤ22の下方に位置する非粗紡位置とで上下方向に昇降可能である。なお、
図2では、非粗紡位置にあるボビンレール23を図示している。ボビンレール23が粗紡位置にあるとき、機台21から送り出された粗糸は、回転するボビンBに巻回される。以下では、粗糸が巻回されたボビンBを満ボビンBfといい、粗糸が巻回されていないボビンBを空ボビンBeという。ボビンBが満ボビンBfになると、ボビンレール23は、粗紡位置から非粗紡位置に下降する。
【0022】
レール搬送部102は、フライヤ22の下方と後述する第1搬送部11の下方との間で機台21の短手方向に往復動可能である。ボビンレール23が非粗紡位置にあるとき、ボビンレール23はレール搬送部102上に載置されている。レール搬送部102は、機台21から離れる方向に移動することによって、ボビンレール23をフライヤ22の下方から第1搬送部11の下方に搬送する。レール搬送部102は、機台21に近づく方向に移動することによって、ボビンレール23を第1搬送部11の下方からフライヤ22の下方に搬送する。なお、
図2では、フライヤ22の下方に位置するボビンレール23及びレール搬送部102を図示している。
【0023】
<ボビン搬送装置の構成>
図1に示すように、ボビン搬送装置10は、第1搬送部11と、第2搬送部12と、エクスチェンジャ13と、受取位置センサ14と、引渡位置センサ15と、ハンガ検知部16と、ボビン検知部17と、制御部18とを備えている。
【0024】
図1~
図3に示すように、第1搬送部11は、ループレール31と、キャリッジ32と、複数のハンガHとを有している。
ループレール31は、トラック形状である。ループレール31は、第1直線部31aと、第2直線部31bと、第1円弧部31cと、第2円弧部31dとを有している。第1直線部31a及び第2直線部31bは、機台21の長手方向に沿って延びている。第1円弧部31cは、第1直線部31aの一端と第2直線部31bの一端とを接続するとともに、第2円弧部31dは、第1直線部31aの他端と第2直線部31bの他端とを接続している。ループレール31は、支柱33によって支持されている。ループレール31は、上下方向に昇降可能である。
【0025】
キャリッジ32は、ループレール31の下面に取り付けられている。キャリッジ32は、ループレール31に沿って移動可能である。キャリッジ32の移動方向Xは、
図1において矢印で示す一方向のみである。キャリッジ32の移動方向Xにおける先頭部分には、被検知部32aが設けられている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、複数のハンガHは、キャリッジ32から吊り下げられている。複数のハンガHは、ループレール31に沿って一列に並んでいる。複数のハンガHは、キャリッジ32が移動することによって、ループレール31に沿って搬送される。言い換えると、キャリッジ32は、複数のハンガHをループレール31に沿って搬送する。したがって、キャリッジ32の移動方向Xは、ハンガHの搬送方向でもある。
【0027】
ハンガHは、満ボビンBfが掛けられる満ボビン用ハンガHf、又は空ボビンBeが掛けられる空ボビン用ハンガHeとして用いられる。キャリッジ32の移動方向Xにおいて、先頭に位置するハンガHは、満ボビン用ハンガHfとして用いられる。2番目に位置するハンガHは、空ボビン用ハンガHeとして用いられる。3番目に位置するハンガHは、満ボビン用ハンガHfとして用いられる。4番目に位置するハンガHは、空ボビン用ハンガHeとして用いられる。このように奇数番目のハンガHは、満ボビン用ハンガHfとして用いられる。また、偶数番目のハンガHは、空ボビン用ハンガHeとして用いられる。したがって、満ボビン用ハンガHfと空ボビン用ハンガHeは、交互に配置されている。
【0028】
第1搬送部11の各ハンガHとボビンレール23の各ボビンホイール24との位置関係は、ループレール31に対するキャリッジ32の位置によって決まる。
図1及び
図3に示すように、機台21の長手方向における各満ボビン用ハンガHfの位置と機台21の長手方向における各ボビンホイール24の位置とが一致するときのループレール31に対するキャリッジ32の位置を受取位置D1とする。キャリッジ32が受取位置D1に位置しているとき、キャリッジ32の被検知部32aは、ループレール31の第1直線部31aの途中に位置している。
【0029】
図4に示すように、機台21の長手方向における各空ボビン用ハンガHeと機台21の長手方向における各ボビンホイール24の位置とが一致するときのループレール31に対するキャリッジ32の位置を引渡位置D2とする。キャリッジ32が引渡位置D2に位置しているとき、キャリッジ32の被検知部32aは、ループレール31の第1直線部31aの途中に位置している。詳しくは、キャリッジ32が引渡位置D2に位置しているときの被検知部32aは、キャリッジ32が受取位置D1に位置しているときの被検知部32aよりも第1円弧部31c側に位置している。
【0030】
第1搬送部11は、粗紡機100とボビン受渡動作を行う。具体的には、第1搬送部11は、粗紡機100から満ボビン用ハンガHfに満ボビンBfを受け取る。また、第1搬送部11は、空ボビン用ハンガHeから粗紡機100に空ボビンBeを渡す。本実施形態の第1搬送部11は、レール搬送部102によって第1搬送部11の下方に搬送されたボビンレール23とボビン受渡動作を行う。
【0031】
図6及び
図7に示すように、第2搬送部12は、レール本体12aと、ハンガ搬送部12bと、複数のハンガHとを有している。図示しないが、レール本体12aは、ループ状である。レール本体12aの周方向の一部は、精紡機200に繋がっている。したがって、第2搬送部12は、精紡機200に繋がっている。ハンガ搬送部12bは、レール本体12aに沿って移動可能である。複数のハンガHは、ハンガ搬送部12bから吊り下げられている。ハンガ搬送部12bは、レール本体12aに沿って移動することによって、複数のハンガHを搬送する。これにより、第2搬送部12のハンガHに掛けられたボビンBは、第2搬送部12によって搬送される。
【0032】
エクスチェンジャ13は、第1搬送部11と第2搬送部12との間に設けられている。詳しくは、エクスチェンジャ13は、ループレール31の第1円弧部31cの側方に設けられている。
【0033】
本実施形態のエクスチェンジャ13は、回転軸41と、回転軸41と一体的に回転する交換部42とを有している。エクスチェンジャ13は、上下方向に昇降可能である。交換部42は、ベースプレート420と、第1プレート421と、第2プレート422とを有している。ベースプレート420は、長方形状である。回転軸41は、ベースプレート420の長手方向の中央に挿通されている。第1プレート421は、ベースプレート420の長手方向の一端部に設けられるとともに、第2プレート422は、ベースプレート420の長手方向の他端部に設けられている。
【0034】
第1プレート421は、満ボビンBfを支持する満ボビン支持部421aを有している。第1プレート421は、ベースプレート420上に位置する非突出位置と、ベースプレート420の一端部から長手方向に突出する突出位置とで往復動可能である。第2プレート422は、空ボビンBeを支持する空ボビン支持部422aを有している。第2プレート422は、ベースプレート420上に位置する非突出位置と、ベースプレート420の他端部から長手方向に突出する突出位置とで往復動可能である。なお、
図6及び
図7では、非突出位置にある第1プレート421及び第2プレート422を図示している。
【0035】
エクスチェンジャ13は、第1搬送部11と第2搬送部12との間で満ボビンBfと空ボビンBeを交換するボビン交換動作を行う。具体的には、エクスチェンジャ13は、第2搬送部12のハンガHから第1搬送部11の空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを受け渡す。また、エクスチェンジャ13は、第1搬送部11の満ボビン用ハンガHfから第2搬送部12のハンガHに満ボビンBfを受け渡す。なお、満ボビンBfが渡される第2搬送部12のハンガHは、第1搬送部11に渡される空ボビンBeが掛けられていたハンガHである。
【0036】
したがって、第2搬送部12が有する複数のハンガHのうち、ハンガHの搬送方向Yにおいてエクスチェンジャ13よりも上流側に位置するハンガHには、空ボビンBeが掛けられている。この空ボビンBeは、エクスチェンジャ13によって第1搬送部11の空ボビン用ハンガHeに受け渡される空ボビンBeである。また、第2搬送部12が有する複数のハンガHのうち、ハンガHの搬送方向Yにおいてエクスチェンジャ13よりも下流側に位置するハンガHには、満ボビンBfが掛けられている。この満ボビンBfは、エクスチェンジャ13によって第1搬送部11の満ボビン用ハンガHfから受け渡された満ボビンBfである。
【0037】
ループレール31の周方向においてエクスチェンジャ13がボビン交換動作を行う位置を交換位置Cとする。本実施形態では、交換位置Cは、第1円弧部31cの途中に設けられている。
【0038】
図1及び
図4に示すように、受取位置センサ14は、ループレール31の第1直線部31aの側方に配置されている。受取位置センサ14は、キャリッジ32の被検知部32aを検知可能に構成されている。キャリッジ32が受取位置D1に位置するとき、受取位置センサ14は被検知部32aを検知する。
【0039】
引渡位置センサ15は、ループレール31の第1直線部31aの側方において、受取位置センサ14と併設されている。引渡位置センサ15は、受取位置センサ14よりも第1円弧部31c側に位置している。引渡位置センサ15は、キャリッジ32の被検知部32aを検知可能に構成されている。キャリッジ32が引渡位置D2に位置するとき、引渡位置センサ15は被検知部32aを検知する。
【0040】
図1及び
図8に示すように、ハンガ検知部16は、交換位置Cの側方に配置されている。本実施形態では、ハンガ検知部16は、第1円弧部31cの側方に配置されている。ハンガ検知部16は、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知する。また、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知した場合、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。本実施形態では、ハンガ検知部16は、1つのセンサ16aである。つまり、本実施形態では、1つのセンサ16aが、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知するとともに、交換位置CにハンガHがあると検知した場合、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。
【0041】
具体的には、センサ16aは、ハンガHを検知可能に構成されている。キャリッジ32によってハンガHが交換位置Cまで搬送されると、センサ16aは、交換位置CにハンガHがあると検知する。また、センサ16aは、交換位置CにハンガHがあると検知した場合、検知したハンガHの本数をカウントする。上述したように、キャリッジ32の移動方向X、すなわちハンガHの搬送方向において先頭から奇数番目に位置するハンガHは満ボビン用ハンガHfであり、偶数番目に位置するハンガHは空ボビン用ハンガHeである。したがって、センサ16aは、検知したハンガHが何番目のハンガHであるかによって、交換位置Cに位置するハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知することができる。センサ16aは、検知したハンガHが奇数番目のハンガHである場合、当該ハンガHは満ボビン用ハンガHfであると検知する。センサ16aは、検知したハンガHが偶数番目のハンガHである場合、当該ハンガHは空ボビン用ハンガHeであると検知する。
【0042】
ボビン検知部17は、ループレール31の交換位置Cの側方に配置されている。本実施形態では、ボビン検知部17は、第1円弧部31cの側方に配置されている。ボビン検知部17は、ハンガ検知部16よりも下方に配置されている。ボビン検知部17は、ボビンBを検知可能に構成されている。ボビン検知部17は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知しているときにボビンBの有無を検知する。つまり、ボビン検知部17は、交換位置Cに位置するハンガHにボビンBが掛けられているか否かを検知する。
【0043】
制御部18は、図示しないプロセッサと記憶部とを備えている。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部18は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部18は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0044】
制御部18は、受取位置センサ14、引渡位置センサ15、ハンガ検知部16、及びボビン検知部17と接続されている。制御部18は、受取位置センサ14、引渡位置センサ15、ハンガ検知部16、及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、第1搬送部11及びエクスチェンジャ13を制御する。
【0045】
上述したエクスチェンジャ13の故障時などには、エクスチェンジャ13の代わりに作業者が第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業を行うことがある。この場合、制御部18は、ハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、作業者による第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの掛け間違いを検査する。
【0046】
<ボビン搬送装置の動作>
ボビン搬送装置10の動作について、粗紡機100の動作とともに説明する。
図1~
図3は、粗紡工程完了後の粗紡機100及びボビン受渡動作前の第1搬送部11を示す。粗紡機100のボビンレール23は、フライヤ22の下方においてレール搬送部102上に載置されている。各ボビンホイール24は、満ボビンBfを支持している。第1搬送部11のループレール31は、機台21よりも上方に位置している。キャリッジ32は、受取位置D1に位置している。各満ボビン用ハンガHfには、ボビンBが掛けられていない。空ボビン用ハンガHeには、空ボビンBeが掛けられている。
【0047】
図9に示すように、レール搬送部102は、ボビンレール23を第1搬送部11の下方に搬送する。すると、各満ボビン用ハンガHfと各ボビンホイール24は、上下方向において対向する。また、レール搬送部102がボビンレール23を第1搬送部11の下方に搬送するのと同時にループレール31は下降する。これにより、満ボビン用ハンガHfは、ボビンホイール24から満ボビンBfを受け取る。
【0048】
図10及び
図11に示すように、満ボビン用ハンガHfがボビンホイール24から満ボビンBfを受け取ると、ループレール31は上昇する。満ボビン用ハンガHfは、満ボビンBfが掛けられた状態となる。一方、ボビンホイール24は、ボビンBを支持していない状態となる。
【0049】
図12及び
図13に示すように、制御部18は、キャリッジ32を移動させる。そして、引渡位置センサ15がキャリッジ32の被検知部32aを検知すると、制御部18はキャリッジ32を停止させる。これにより、キャリッジ32は引渡位置D2にて停止する。各空ボビン用ハンガHeと各ボビンホイール24は、上下方向において対向する。この状態でループレール31が下降することによって、空ボビン用ハンガHeは、ボビンホイール24に空ボビンBeを引き渡す。
【0050】
図14及び
図15に示すように、空ボビン用ハンガHeがボビンホイール24に空ボビンBeを引き渡すと、ループレール31は上昇する。空ボビン用ハンガHeは、ボビンBが掛けられていない状態になる。一方、ボビンホイール24は、空ボビンBeを支持した状態となる。
【0051】
その後、
図4及び
図5に示すように、レール搬送部102は、ボビンレール23を第1搬送部11の下方からフライヤ22の下方に搬送する。ボビンレール23は、フライヤ22の下方に搬送されると、粗紡位置まで上昇する。これにより、粗紡機本体101は、粗紡工程を開始可能な状態になる。また、ループレール31は、機台21よりも上方まで上昇する。これにより、第1搬送部11のボビン受渡動作が完了する。ボビン受渡動作後の第1搬送部11では、満ボビン用ハンガHfには、満ボビンBfが掛けられている。空ボビン用ハンガHeには、ボビンBが掛けられていない。
【0052】
図6に示すように、制御部18は、ボビン受渡動作完了後、キャリッジ32を移動させる。第1搬送部11の先頭のハンガHである満ボビン用ハンガHfが交換位置Cまで搬送されると、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知する。制御部18は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHあると検知すると、キャリッジ32の移動を中断させる。これにより、満ボビン用ハンガHfは、交換位置Cにて停止する。また、ハンガ検知部16は、検知したハンガHの本数をカウントアップする。ハンガ検知部16は、検知したハンガHが1本目のハンガHであることから、交換位置CあるハンガHが満ボビン用ハンガHfであると検知する。
【0053】
エクスチェンジャ13の第1プレート421は第1搬送部11側に位置し、かつ第2プレート422は第2搬送部12側に位置している。制御部18は、第1プレート421及び第2プレート422を非突出位置から突出位置に移動させる。すると、第1プレート421は、交換位置Cに位置する満ボビン用ハンガHfの下側に移動する。また、第2プレート422は、第2搬送部12の空ボビンBeが掛けられたハンガHの下側に移動する。制御部18は、この状態でエクスチェンジャ13を上昇させる。すると、満ボビン支持部421aは、交換位置Cに位置する満ボビン用ハンガHfから満ボビンBfを受け取る。これにより、先頭のハンガHである満ボビン用ハンガHfは、ボビンBが掛けられていない状態となる。一方、空ボビン支持部422aは、第2搬送部12のハンガHから空ボビンBeを受け取る。これにより、第2搬送部12が有する複数のハンガHのうち、エクスチェンジャ13と隣り合うハンガHは、ボビンBが掛けられていない状態となる。
【0054】
エクスチェンジャ13が交換位置Cに位置する満ボビン用ハンガHfから満ボビンBfを適切に受け取ると、当該満ボビン用ハンガHfに対するボビン検知部17の検知結果は「ボビンあり」から「ボビンなし」に変化する。制御部18は、ボビン検知部17の検知結果が「ボビンなし」になることによって、エクスチェンジャ13が第1搬送部11の満ボビン用ハンガHfから満ボビンBfを適切に受け取ったことを確認する。その後、制御部18は、エクスチェンジャ13を下降させるとともに、第1プレート421及び第2プレート422を突出位置から非突出位置に移動させる。そして、制御部18が回転軸41を半周回転させることによって、交換部42も半周回転する。
【0055】
図7に示すように、エクスチェンジャ13は、第2プレート422が第1搬送部11側に位置し、かつ第1プレート421が第2搬送部12側に位置する状態になる。また、制御部18は、キャリッジ32の移動を再開させる。第1搬送部11の2番目のハンガHである空ボビン用ハンガHeが交換位置Cまで搬送されると、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知する。制御部18は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知すると、キャリッジ32の移動を中断させる。これにより、空ボビン用ハンガHeは、交換位置Cにて停止する。また、ハンガ検知部16は、検知したハンガHの本数をカウントアップする。ハンガ検知部16は、検知したハンガHが2本目のハンガHであることから、交換位置CにあるハンガHが空ボビン用ハンガHeであると検知する。
【0056】
制御部18は、第1プレート421及び第2プレート422を非突出位置から突出位置に移動させる。すると、第1プレート421は、第2搬送部12のボビンBが掛けられていないハンガHの下側に移動する。また、第2プレート422は、交換位置Cに位置する空ボビン用ハンガHeの下側に移動する。制御部18は、この状態でエクスチェンジャ13を上昇させる。すると、満ボビン支持部421aは、第1搬送部11から受け取った満ボビンBfを、第2搬送部12のボビンBが掛けられていないハンガHに渡す。これにより、第2搬送部12が有する複数のハンガHのうち、エクスチェンジャ13と隣り合うハンガHは、満ボビンBfが掛けられた状態となる。一方、空ボビン支持部422aは、第2搬送部12から受け取った空ボビンBeを、第1搬送部11の空ボビン用ハンガHeに渡す。これにより、2番目のハンガHである空ボビン用ハンガHeは、空ボビンBeが掛けられた状態となる。
【0057】
エクスチェンジャ13が交換位置Cに位置する空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを適切に渡すと、当該空ボビン用ハンガHeに対するボビン検知部17の検知結果は「ボビンなし」から「ボビンあり」に変化する。制御部18は、ボビン検知部17の検知結果が「ボビンあり」になることによって、エクスチェンジャ13が第1搬送部11の空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを適切に渡したことを確認する。その後、制御部18は、エクスチェンジャ13を下降させるとともに、第1プレート421及び第2プレート422を突出位置から非突出位置に移動させる。そして、制御部18が回転軸41を半周回転させることによって、交換部42も半周回転する。これにより、エクスチェンジャ13は、第1プレート421が第1搬送部11側に位置し、かつ第2プレート422が第2搬送部12側に位置する状態に戻る。これにより、エクスチェンジャ13による1回分のボビン交換動作が完了する。
【0058】
制御部18は、キャリッジ32の移動を再開させる。第1搬送部11の3番目のハンガHである満ボビン用ハンガHfが交換位置Cまで移動すると、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知する。制御部18は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知すると、キャリッジ32の移動を中断させる。これにより、満ボビン用ハンガHfは、交換位置Cにて停止する。また、ハンガ検知部16は、検知したハンガHの本数をカウントアップする。ハンガ検知部16は、検知したハンガHが3本目のハンガHであることから、交換位置CにあるハンガHが満ボビン用ハンガHfであると検知する。第2搬送部12は、キャリッジ32の移動と同時に、1本分だけハンガHを搬送する。これにより、エクスチェンジャ13と隣り合うハンガHは、空ボビンBeが掛けられたハンガHになる。
【0059】
なお、以後のエクスチェンジャ13の動作については、上述した動作と同じであるため、説明を省略する。
制御部18は、エクスチェンジャ13が第1搬送部11の最後尾のハンガHである空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを渡したことを確認すると、キャリッジ32の移動を再開させる。そして、受取位置センサ14がキャリッジ32の被検知部32aを検知すると、制御部18は、キャリッジ32の移動を停止させる。これにより、キャリッジ32は、受取位置D1にて停止する。したがって、第1搬送部11は、
図1~3に示すボビン受渡動作前の状態に戻る。
【0060】
このように、ボビンBは、粗紡機本体101が行う粗紡工程によって満ボビンBfになると、粗紡機100から第1搬送部11に移し替えられる。第1搬送部11に移し替えられた満ボビンBfは、エクスチェンジャ13によって第2搬送部12に受け渡される。第2搬送部12に受け渡された満ボビンBfは、精紡機200に搬送される。そして、満ボビンBfは、精紡工程にて粗糸が回収されることにより、空ボビンBeになる。空ボビンBeは、第2搬送部12によってエクスチェンジャ13まで搬送された後、エクスチェンジャ13によって第1搬送部11に受け渡される。第1搬送部11に受け渡された空ボビンBeは、粗紡機100に移し替えられる。
【0061】
ここまでは、エクスチェンジャ13によるボビン交換動作について説明した。しかしながら、エクスチェンジャ13の故障時などには、エクスチェンジャ13の代わりに作業者が第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業を行うことがある。この場合、作業者は、第1搬送部11のボビン受渡動作後、キャリッジ32が引渡位置D2に位置している状態で、満ボビン用ハンガHfから満ボビンBfを取り外すとともに空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを取り付ける。このような作業者による第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業では、満ボビン用ハンガHfに誤って空ボビンBeを掛ける、空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを掛け忘れるといった、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生することがある。
【0062】
<ボビンの掛け間違いの検査>
制御部18は、作業者が第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業を行った場合には、作業者による第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの掛け間違いを次のように検査する。
【0063】
制御部18は、作業者による第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業が完了すると、次のボビン受渡動作を行う前に、キャリッジ32を周回移動させることによって引渡位置D2にあるキャリッジ32を受取位置D1に戻す。つまり、制御部18は、ボビン受渡動作を行う前に、エクスチェンジャ13にボビン交換動作を行わせない状態でキャリッジ32を周回移動させる。これにより、複数のハンガHは、先頭のハンガHから順に交換位置Cに搬送される。このとき、ハンガ検知部16は、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知するとともに、交換位置CにハンガHがあると検知した場合には、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。本実施形態では、ハンガ検知部16は、検知したハンガHが何本目のハンガHであるかによって、交換位置CにあるハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。また、ボビン検知部17は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知しているときにボビンBの有無を検知する。
【0064】
本実施形態では、制御部18は、ボビン受渡動作を行う前に、エクスチェンジャ13にボビン交換動作を行わせない状態でキャリッジ32を周回移動させる際、各ハンガHを交換位置Cで停止させることなく、キャリッジ32を連続的に移動させる。したがって、複数のハンガHは、各ハンガHが交換位置Cを通過するようにキャリッジ32によって搬送される。本実施形態では、ハンガ検知部16及びボビン検知部17は、キャリッジ32によるボビンBの搬送中に検知を行う。具体的には、ハンガ検知部16は、各ハンガHが交換位置Cを通過する際に、交換位置CにハンガHがあると検知する。また、ハンガ検知部16は、交換位置Cを通過するハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。ボビン検知部17は、交換位置Cを通過する各ハンガHについて、ボビンBが掛けられているか否かを検知する。
【0065】
制御部18は、キャリッジ32の周回移動中のハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生しているか否かを判定する。
【0066】
例えば、
図16に示すように、満ボビン用ハンガHfに空ボビンBeが誤って掛けられているとする。この場合、当該ハンガHが交換位置Cまで搬送されると、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知する。また、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知すると、検知したハンガHの本数をカウントアップする。ハンガ検知部16は、検知したハンガHが奇数番目のハンガHであることから、交換位置CにあるハンガHが満ボビン用ハンガHfであると検知する。ボビン検知部17は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知しているときに、「ボビンあり」と検知する。
【0067】
この場合、制御部18は、ハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられていると判定する。そして、制御部18は、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられていると判定した場合、満ボビン用ハンガHfに誤って空ボビンBeが掛けられているとして、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。
【0068】
例えば、
図17に示すように、空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeが掛け忘れられているとする。この場合、当該ハンガHが交換位置Cまで搬送されると、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知する。また、ハンガ検知部16は、交換位置CにハンガHがあると検知すると、検知したハンガHの本数をカウントアップする。ハンガ検知部16は、検知したハンガHが偶数番目のハンガHであることから、交換位置CにあるハンガHが空ボビン用ハンガHeであると検知する。ボビン検知部17は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知しているときに、「ボビンなし」と検知する。
【0069】
この場合、本実施形態の制御部18は、ハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられていないと判定する。そして、本実施形態の制御部18は、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられていないと判定した場合、空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを掛け忘れているとして、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。
【0070】
このように、制御部18は、ボビン受渡動作を行う前に、エクスチェンジャ13にボビン交換動作を行わせない状態でキャリッジ32を周回移動させる。そして、制御部18は、キャリッジ32の周回移動中のハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられているか否かを判定する。制御部18は、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられていると判定した場合、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。また、本実施形態の制御部18は、キャリッジ32の周回移動中のハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられているか否かを判定する。制御部18は、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられていないと判定した場合、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。
【0071】
一方、制御部18は、受取位置センサ14が被検知部32aを検知するまでの間、すなわちキャリッジ32が受取位置D1に戻るまでの間において、各満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられておらず、かつ各空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられていると判定した場合、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していないと判定する。
【0072】
制御部18は、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していないと判定すると、第1搬送部11によるボビン受渡動作を許可する。制御部18は、第1搬送部11にボビン受渡動作を開始させる。
【0073】
制御部18は、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定すると、図示しない表示画面に、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生している旨のエラーメッセージを表示させる。また、制御部18は、第1搬送部11によるボビン受渡動作を許可しない。制御部18は、第1搬送部11によるボビン受渡動作を制限する。
【0074】
作業者は、表示画面に表示されたエラーメッセージを確認することによって、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していることを認識する。作業者は、満ボビン用ハンガHfに誤って掛けられていた空ボビンBeを取り除く、もしくは空ボビンBeが掛け忘れられていた空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを掛ける。その後、制御部18は、エクスチェンジャ13にボビン交換動作を行わせない状態で再びキャリッジ32を周回移動させることによって、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いを検査する。そして、制御部18は、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していないと判定すると、エラーメッセージの表示を解除するとともに、第1搬送部11によるボビン受渡動作を許可する。制御部18は、第1搬送部11にボビン受渡動作を開始させる。
【0075】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)制御部18は、ボビン受渡動作を行う前に、エクスチェンジャ13にボビン交換動作を行わせない状態でキャリッジ32を周回移動させる。制御部18は、キャリッジ32の周回移動中のハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられているか否かを判定する。作業者が第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業を適切に行った場合、満ボビン用ハンガHfには空ボビンBeが掛けられていない。このため、制御部18は、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられていると判定した場合、満ボビン用ハンガHfに誤って空ボビンBeが掛けられているとして、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。制御部18は、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられているか否かの判定において、ハンガ検知部16及びボビン検知部17を用いる。このハンガ検知部16及びボビン検知部17は、エクスチェンジャ13がボビン交換動作を適切に行ったことを確認するために用いられる既存の検知部である。したがって、検知部を新たに追加することなく、作業者によるハンガHに対するボビンBの掛け間違いを検査できる。
【0076】
(2)制御部18は、キャリッジ32の周回移動中のハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられているか否かを判定する。作業者が第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業を適切に行った場合、空ボビン用ハンガHeには空ボビンBeが掛けられている。このため、制御部18は、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられていないと判定した場合、空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeを掛け忘れているとして、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定する。制御部18は、空ボビン用ハンガHeにボビンBが掛けられているか否かの判定において、既存の検知部であるハンガ検知部16及びボビン検知部17を用いる。したがって、検知部を新たに追加することなく、作業者による空ボビン用ハンガHeに対する空ボビンBeの掛け忘れを検査できる。この場合、粗紡機本体101に空ボビンBeが供給されないことによって発生する紡出の失敗を回避できる。
【0077】
(3)制御部18は、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定した場合、第1搬送部11によるボビン受渡動作を制限する。したがって、満ボビン用ハンガHfに誤って空ボビンBeが掛けられている場合において、満ボビン用ハンガHfに掛けられた空ボビンBeがボビン受渡動作時に粗紡機100の満ボビンBfに接触することを回避できる。
【0078】
(4)ハンガ検知部16及びボビン検知部17は、キャリッジ32によるボビンBの搬送中に検知を行う。この場合、エクスチェンジャ13によるボビン交換動作時のように、ハンガHが交換位置Cに搬送される度にハンガHを交換位置Cで停止させる場合と比較して、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いの検査にかかる時間を短縮できる。
【0079】
(5)ボビン受渡動作後の第1搬送部11において、キャリッジ32は引渡位置D2に位置している。このため、作業者が第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの交換作業を行う場合において、次のボビン受渡動作を行うためには、キャリッジ32を周回移動させることによって受取位置D1に戻す必要がある。第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの掛け間違いの検査は、キャリッジ32を引渡位置D2から受取位置D1に戻すための周回移動中に行われる。したがって、第1搬送部11のハンガHに対するボビンBの掛け間違いを検査するための工程を別途設けなくてもよい。
【0080】
(6)従来技術の満ボビン用検知部を用いる場合、投光機と受光機との間隔が広いため、満ボビン用検知部の位置ずれ、ハンガHの傾き、ハンガHに付着した異物などによって、検知ミスが発生しやすい。これに対し、本実施形態では、ハンガ検知部16及びボビン検知部17は、交換位置Cに配置されているため、ハンガHに対して近設されている。したがって、本実施形態のボビン搬送装置10では、検知ミスが発生しにくい。また、ハンガHに対するハンガ検知部16の位置調整、及びボビンBに対するボビン検知部17の位置調整が容易である。
【0081】
(7)制御部18は、ハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、ハンガHにボビンBが掛けられているか否かを検知する。したがって、作業者が目視によってハンガHにボビンBが掛けられているか否かを確認する場合よりも、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いをより確実に検査できる。
【0082】
(8)本実施形態のハンガ検知部16は、1つのセンサ16aである。このセンサ16aは、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知するとともに、交換位置CにハンガHがあると検知した場合には、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。したがって、ハンガ検知部16が、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知する第1センサと、第1センサが交換位置CにハンガHがあると検知した場合に、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する第2センサの2つのセンサによって構成されている場合と比較して、ボビン搬送装置10の構成を簡素化できる。
【0083】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0084】
○ 制御部18は、キャリッジ32の周回移動中のハンガ検知部16及びボビン検知部17の検知結果に基づいて、満ボビン用ハンガHfにボビンBが掛けられていると判定した場合にのみ、ハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定してもよい。すなわち、制御部18は、空ボビン用ハンガHeに対する空ボビンBeの掛け忘れを検査しなくてもよい。
【0085】
○ 制御部18は、作業者によるハンガHに対するボビンBの掛け間違いを検査する際、エクスチェンジャ13によるボビン交換動作時のように、ハンガHが交換位置Cまで搬送される度にキャリッジ32を停止させてもよい。
【0086】
○ 制御部18は、ハンガ検知部16がカウントしたハンガHの本数がハンガHの総本数と一致したことによって、全てのハンガHについてボビンBの掛け間違いの検査をしたと判断してもよい。
【0087】
○ ハンガ検知部16は、1つのセンサ16aによって構成されていなくてもよい。ハンガ検知部16は、第1センサ及び第2センサの2つのセンサによって構成されていてもよい。第1センサは、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知するセンサである。第2センサは、第1センサが交換位置CにハンガHがあると検知した場合に、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知するセンサである。
【0088】
この場合、例えば、満ボビン用ハンガHfにドグを設ける。第2センサは、ドグを検知可能に構成されている。第2センサは、第1センサが交換位置CにハンガHがあると検知した場合、当該ハンガHのドグの有無に基づいて、交換位置CにあるハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知する。第2センサは、ドグを検知した場合には、ハンガHが満ボビン用ハンガHfであると検知する。一方、第2センサは、ドグを検知しなかった場合、ハンガHが空ボビン用ハンガHeであると検知する。
【0089】
なお、満ボビン用ハンガHfではなく、空ボビン用ハンガHeにドグを設けてもよい。この場合、第2センサは、ドグを検知した場合には、ハンガHが空ボビン用ハンガHeであると検知する。一方、第2センサは、ドグを検知しなかった場合、ハンガHが満ボビン用ハンガHfであると検知する。
【0090】
○ ハンガ検知部16は、交換位置CにおけるハンガHの有無を検知可能であり、かつ交換位置CにハンガHがあると検知した場合、当該ハンガHが満ボビン用ハンガHfであるか空ボビン用ハンガHeであるかを検知可能であれば、交換位置Cに配置されていなくてもよい。
【0091】
○ ボビン検知部17は、ハンガ検知部16が交換位置CにハンガHがあると検知しているときにボビンBの有無を検知可能であれば、交換位置Cに配置されていなくてもよい。
【0092】
○ 制御部18は、作業者によるハンガHに対するボビンBの掛け間違いが発生していると判定した場合、表示画面にエラーメッセージを表示する代わりにブザーを鳴らすことによって、ボビンBの掛け間違いを作業者に知らせてもよい。また、制御部18は、表示画面にエラーメッセージを表示することに加えてブザーを鳴らすことによって、ボビンBの掛け間違いを作業者に知らせてもよい。
【0093】
○ 制御部18は、満ボビン用ハンガHfに誤って空ボビンBeが掛けられている場合と、空ボビン用ハンガHeに空ボビンBeが掛け忘れられている場合とで、異なるエラーメッセージを表示画面に表示させてもよい。この場合、作業者は、エラーメッセージが表示された方のハンガHのみを確認すればよいため、作業者の負担を軽減できる。
【0094】
○ キャリッジ32の移動方向Xは、上記実施形態の方向とは反対方向であってもよい。この場合、受取位置センサ14及び引渡位置センサ15は、第2直線部31bの側方に配置される。また、上記実施形態において、満ボビン用ハンガHfとして用いられていたハンガHは空ボビン用ハンガHeとして用いられ、かつ空ボビン用ハンガHeとして用いられていたハンガHは満ボビン用ハンガHfとして用いられる。
【0095】
○ 上記実施形態のエクスチェンジャ13の構成は一例である。エクスチェンジャ13の構成は、第1搬送部11と第2搬送部12との間でボビン交換動作可能であれば適宜変更されてもよい。
【0096】
○ 粗紡機100及びボビン搬送装置10は、1つの制御装置によってまとめて制御されていてもよい。この場合、制御部18は、粗紡機100及びボビン搬送装置10を制御する制御装置に含まれる。
【0097】
[付記]
上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
[1]粗糸が巻回されたボビンである満ボビン及び前記粗糸が巻回されていない前記ボビンである空ボビンを粗紡機と精紡機との間で搬送するボビン搬送装置であって、ループレール、前記ループレールに沿って移動可能なキャリッジ、及び前記キャリッジから吊り下げられ、前記満ボビンが掛けられる満ボビン用ハンガ又は前記空ボビンが掛けられる空ボビン用ハンガとして用いられる複数のハンガを有し、前記満ボビン用ハンガと前記空ボビン用ハンガは交互に配置され、前記粗紡機から前記満ボビン用ハンガに前記満ボビンを受け取るとともに前記空ボビン用ハンガから前記粗紡機に前記空ボビンを渡すボビン受渡動作を行う第1搬送部と、前記精紡機に繋がる第2搬送部と、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記満ボビンと前記空ボビンを交換するボビン交換動作を行うエクスチェンジャと、前記ループレールの周方向において前記エクスチェンジャが前記ボビン交換動作を行う位置を交換位置としたとき、前記交換位置における前記ハンガの有無を検知し、前記交換位置に前記ハンガがあると検知した場合、当該ハンガが前記満ボビン用ハンガであるか前記空ボビン用ハンガであるかを検知するハンガ検知部と、前記ハンガ検知部が前記交換位置に前記ハンガがあると検知しているときに前記ボビンの有無を検知するボビン検知部と、前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記第1搬送部及び前記エクスチェンジャを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ボビン受渡動作を行う前に、前記エクスチェンジャに前記ボビン交換動作を行わせない状態で前記キャリッジを周回移動させ、前記キャリッジの周回移動中の前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記満ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられているか否かを判定し、前記満ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられている場合、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定することを特徴とするボビン搬送装置。
【0098】
[2]前記制御部は、前記キャリッジの周回移動中の前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部の検知結果に基づいて、前記空ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられているか否かを判定し、前記空ボビン用ハンガに前記ボビンが掛けられていない場合にも、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定する[1]に記載のボビン搬送装置。
【0099】
[3]前記制御部は、前記ハンガに対する前記ボビンの掛け間違いが発生していると判定した場合、前記第1搬送部による前記ボビン受渡動作を制限する[1]又は[2]に記載のボビン搬送装置。
【0100】
[4]前記ハンガ検知部及び前記ボビン検知部は、前記キャリッジによる前記ボビンの搬送中に検知を行う[1]~[3]の何れか1つに記載のボビン搬送装置。
【符号の説明】
【0101】
10…ボビン搬送装置、11…第1搬送部、12…第2搬送部、13…エクスチェンジャ、16…ハンガ検知部、17…ボビン検知部、18…制御部、31…ループレール、32…キャリッジ、100…粗紡機、200…精紡機、B…ボビン、Be…空ボビン、Bf…満ボビン、C…交換位置、H…ハンガ、He…空ボビン用ハンガ、Hf…満ボビン用ハンガ。