(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006143
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自律移動ロボット、搬送システム、及び自律移動プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240110BHJP
【FI】
G05D1/02 Q
G05D1/02 S
G05D1/02 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106765
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】390037006
【氏名又は名称】株式会社エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆記
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301HH01
5H301JJ06
5H301JJ08
5H301JJ10
5H301LL01
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】自律移動ロボットの製造コストの低減及び小型化を図ることが可能になる、自律移動ロボット、搬送システム、及び自立移動プログラムを提供すること。
【解決手段】自律移動ロボット10は、自律移動ロボット10周辺に位置する物体を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、検出部にて検出された物体が障害物であるか否かを判定する第1判定部と、検出部の検出結果に基づいて、検出部にて検出された物体が誘導部130であるか否かを判定する第2判定部と、第1判定部の判定結果に基づいて、障害物を回避しながら自律移動ロボット10を移動させる第1移動制御と、第2判定部の判定結果に基づいて、接続位置まで自律移動ロボット10を移動させる第2移動制御と、を行う移動制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボットであって、
当該自律移動ロボット周辺に位置する物体を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットの自律移動の障害になる障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続する接続位置まで当該自律移動ロボットを誘導するための誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、
前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、
を備える自律移動ロボット。
【請求項2】
前記移動制御手段は、
当該自律移動ロボットが前記荷台を搬送せずに移動する通常移動が行われている際、又は当該自律移動ロボットが前記荷台を搬送しながら移動する搬送移動が行われている際には、前記第2移動制御を行わずに、前記第1移動制御を行い、
当該自律移動ロボットが前記接続位置まで移動する接続位置調整移動が行われている際には、前記第1移動制御を行わずに、前記第2移動制御を行う、
請求項1に記載の自律移動ロボット。
【請求項3】
前記検出手段は、当該自律移動ロボットと前記物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ前記物体の形状を計測可能なレーザーセンサであり、
前記第1判定手段は、前記検出手段にて検出された前記物体と当該自律移動ロボットとの相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて、当該物体が前記障害物であるか否かを判定し、
前記第2判定手段は、前記検出手段にて検出された前記物体の形状が基準形状と一致するか否かに基づいて、当該物体が前記誘導手段であるか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の自律移動ロボット。
【請求項4】
前記誘導手段は、前記荷台に対して移動可能に設けられたものであり、
当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続された際に、前記検出手段によって前記誘導手段が検出されない位置まで当該誘導手段を移動させる移動手段を備える、
請求項1又は2に記載の自律移動ロボット。
【請求項5】
移動領域内に位置する自律移動ロボットであり、請求項1又は2に記載の自律移動ロボットと、
前記移動領域内に位置する荷台であり、前記自律移動ロボットに対して着脱自在であると共に、当該荷台と前記自律移動ロボットとが接続された状態において前記自律移動ロボットによって搬送される荷台と、
前記自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において前記自律移動ロボットと前記荷台との接続位置まで前記自律移動ロボットを誘導するための誘導手段と、
を備える搬送システム。
【請求項6】
移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボットの自律移動プログラムであって、
コンピュータを、
当該自律移動ロボット周辺に位置する物体を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットの自律移動の障害になる障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において当該自律移動ロボットと前記荷台との接続位置まで当該自律移動ロボットを誘導するための誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、
前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、
として機能させる自律移動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動ロボット、搬送システム、及び自律移動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワゴンを搬送するための自律移動ロボットの一つとして、ワゴンを認識する認識センサと、障害物を検出する光学式センサとを備えた自律移動ロボットであり、認識センサによって認識したワゴンを保持部によって保持して搬送しつつ、光学式センサによって検出した障害物を自律的に回避することが可能な自律移動ロボットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自律移動ロボットにおいては、上述したように、認識センサ及び光学式センサを備えるので、これらセンサのコストがかさみやすく、且つ自律移動ロボットのサイズが増大しやすいことから、自律移動ロボットの製造コストの低減及び小型化を図ることが難しくなるおそれがあった。したがって、自律移動ロボットの製造コストの低減及び小型化 を図る観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自律移動ロボットの製造コストの低減及び小型化を図ることが可能になる、自律移動ロボット、搬送システム、及び自立移動プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の自律移動ロボットは、移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボットであって、当該自律移動ロボット周辺に位置する物体を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットの自律移動の障害になる障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続する接続位置まで当該自律移動ロボットを誘導するための誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の自律移動ロボットは、請求項1に記載の自律移動ロボットにおいて、前記移動制御手段は、当該自律移動ロボットが前記荷台を搬送せずに移動する通常移動が行われている際、又は当該自律移動ロボットが前記荷台を搬送しながら移動する搬送移動が行われている際には、前記第2移動制御を行わずに、前記第1移動制御を行い、当該自律移動ロボットが前記接続位置まで移動する接続位置調整移動が行われている際には、前記第1移動制御を行わずに、前記第2移動制御を行う。
【0008】
請求項3に記載の自律移動ロボットは、請求項1又は2に記載の自律移動ロボットにおいて、前記検出手段は、当該自律移動ロボットと前記物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ前記物体の形状を計測可能なレーザーセンサであり、前記第1判定手段は、前記検出手段にて検出された前記物体と当該自律移動ロボットとの相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて、当該物体が前記障害物であるか否かを判定し、前記第2判定手段は、前記検出手段にて検出された前記物体の形状が基準形状と一致するか否かに基づいて、当該物体が前記誘導手段であるか否かを判定する。
【0009】
請求項4に記載の自律移動ロボットは、請求項1又は2に記載の自律移動ロボットにおいて、前記誘導手段は、前記荷台に対して移動可能に設けられたものであり、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続された際に、前記検出手段によって前記誘導手段が検出されない位置まで当該誘導手段を移動させる移動手段を備える。
【0010】
請求項5に記載の搬送システムは、移動領域内に位置する自律移動ロボットであり、請求項1又は2に記載の自律移動ロボットと、前記移動領域内に位置する荷台であり、前記自律移動ロボットに対して着脱自在であると共に、当該荷台と前記自律移動ロボットとが接続された状態において前記自律移動ロボットによって搬送される荷台と、前記自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において前記自律移動ロボットと前記荷台との接続位置まで前記自律移動ロボットを誘導するための誘導手段と、を備える。
【0011】
請求項6に記載の自律移動プログラムは、移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボットの自律移動プログラムであって、コンピュータを、当該自律移動ロボット周辺に位置する物体を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットの自律移動の障害になる障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において当該自律移動ロボットと前記荷台との接続位置まで当該自律移動ロボットを誘導するための誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の自律移動ロボット、請求項5に記載の搬送システム、又は請求項6に記載の自律移動プログラムによれば、検出手段の検出結果に基づいて、検出手段にて検出された物体が障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、検出手段の検出結果に基づいて、検出手段にて検出された物体が誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、第1判定手段の判定結果に基づいて、障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、第2判定手段の判定結果に基づいて、接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、を備えるので、従来技術(認識センサ及び光学式センサを備える自律移動ロボット)に比べて、検出手段の設置数を低減でき、自律移動ロボットの製造コストを低減し、且つ自律移動ロボットの小型化を図ることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の自律移動ロボットによれば、移動制御手段は、当該自律移動ロボットが荷台を搬送せずに移動する通常移動が行われている際、又は当該自律移動ロボットが荷台を搬送しながら移動する搬送移動が行われている際には、第2移動制御を行わずに、第1移動制御を行い、当該自律移動ロボットが接続位置まで移動する接続位置調整移動が行われている際には、第1移動制御を行わずに、第2移動制御を行うので、各種の移動(具体的には、通常移動、搬送移動、接続位置調整移動)に応じた自律移動ロボットの移動制御を行うことができ、自律移動ロボットの使用性を高めることができる。
【0014】
請求項3に記載の自律移動ロボットによれば、検出手段は、当該自律移動ロボットと物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ物体の形状を計測可能なレーザーセンサであり、第1判定手段は、検出手段にて検出された物体と当該自律移動ロボットとの相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて、当該物体が障害物であるか否かを判定し、第2判定手段は、検出手段にて検出された物体の形状が基準形状と一致するか否かに基づいて、当該物体が誘導手段であるか否かを判定するので、障害物及び誘導手段を正確に検出でき、第1移動制御及び第2移動制御を正確に行うことが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の自律移動ロボットによれば、当該自律移動ロボットと荷台とが接続された際に、検出手段によって誘導手段が検出されない位置まで当該誘導手段を移動させる移動手段を備えるので、自律移動ロボットと荷台とが接続された後に検出手段によって誘導手段が検出されることを回避でき、当該接続された後の自律移動ロボットの移動制御をスムーズに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る搬送システムの概要を示す斜視図である。
【
図3】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
【
図4】非接続状態において自律移動ロボットが荷台の近傍に位置している状況を示す側面図である(一部図示省略)。
【
図5】非接続状態において自律移動ロボットが荷台の内側に進入している状況を示す側面図である(一部図示省略)。
【
図6】接続状態を示す側面図である(一部図示省略)。
【
図7】実施の形態に係る搬送処理のフローチャートである。
【
図9】接続位置調整移動処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る自律移動ロボット、搬送システム、及び自律移動プログラムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボット、自律移動ロボットを備える搬送システム、及び自律移動ロボットの自律移動プログラムに関するものである。
【0019】
ここで、「移動領域」とは、自律移動ロボットが移動する領域を意味し、例えば、建物(一例として、工場、倉庫、病院、検査施設、商業施設、公共施設等)における所定の階層の全領域又は一部領域や、屋外敷地(一例として、屋外駐車場等)の全領域又は一部領域等を含む概念であるが、実施の形態では、工場における所定の階層の全領域として説明する。
【0020】
また、「自律移動」とは、人による手動操作に基づいた移動を行うことなく、自律移動ロボットの判断に基づいて自動的に移動することを意味する。
【0021】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0022】
(構成)
最初に、実施の形態に係る搬送システムの構成について説明する。
【0023】
以下の説明では、
図1のX方向を搬送システムの左右方向(-X方向を搬送システムの左方向、+X方向を搬送システムの右方向)、
図1のY方向を搬送システムの前後方向(+Y方向を搬送システムの前方向、-Y方向を搬送システムの後方向)、
図1のZ方向を搬送システムの上下方向(+Z方向を搬送システムの上方向、-Z方向を搬送システムの下方向)と称する。
【0024】
搬送システム1は、搬送対象T(
図1では、想像線で示す)を載せることが可能な後述の荷台120を搬送するためのシステムであり、概略的に、
図1に示すように、自律移動ロボット10、荷台120、及び誘導部130を備えている。
【0025】
ここで、「搬送対象T」とは、荷台120によって搬送される対象を意味し、例えば、製品、部品、資材、工具、検体容器、研究開発備品等を含む概念である。
【0026】
(構成-自律移動ロボット)
まず、自律移動ロボット10の構成について説明する。
【0027】
自律移動ロボット10は、移動領域MA内を自律移動するロボットであり、当該自律移動ロボット10に対して着脱自在な荷台120を搬送するためのロボットである。この自律移動ロボット10は、移動領域MA内に位置し、
図1から
図3に示すように、ロボット本体20、移動部30、及び制御ユニット40を備えている。
【0028】
(構成-自律移動ロボット-ロボット本体)
図2に戻り、ロボット本体20は、自律移動ロボット10の基本構造体である。このロボット本体20は、例えば公知の自律移動ロボットの本体部(一例として、移動領域MAを走行可能な自律移動ロボットの本体部)等を用いて構成されており、具体的には、
図2に示すように、筐体部21、ロボット側車輪部22、駆動部(図示省略)、及びロボット側接続部23を備えている。
【0029】
(構成-自律移動ロボット-ロボット本体-筐体部)
筐体部21は、ロボット本体20の基本構造体であり、駆動部及び制御ユニット40を外部から保護する保護手段である。この筐体部21は、例えば樹脂製(又は金属製)の中空状体にて形成されている。具体的には、
図2に示すように、筐体部21は、平面形状が略矩形状である中空柱状体にて形成されていると共に、駆動部及び制御ユニット40(ただし、後述の検出部60及び後述の操作部80を除く)を収容可能な大きさにて構成されている。
【0030】
ただし、これに限らず、例えば、筐体部21は、平面形状が略円形状又は略三角形状である中空柱状体にて形成されてもよく、あるいは、駆動部又は制御ユニット40のいずれか一方のみを収容可能な大きさにて構成されてもよい。
【0031】
(構成-自律移動ロボット-ロボット本体-ロボット側車輪部)
ロボット側車輪部22は、自律移動ロボット10を移動させるためのものである。このロボット側車輪部22は、例えば公知の車輪等を用いて構成されており、
図2に示すように、ロボット本体20の下端部に複数設けられている(
図2では、ロボット本体20の左右方向の両端部にそれぞれ1つずつ設けられている)。
【0032】
(構成-自律移動ロボット-ロボット本体-駆動部)
駆動部は、ロボット側車輪部22を駆動させるための駆動手段である。この駆動部は、例えば公知の駆動手段(一例として、モータ)等を用いて構成されており、ロボット本体20の内部に設けられ、図示しない連結部材を介してロボット側車輪部22に対して固定具等によって接続されている。
【0033】
(構成-自律移動ロボット-ロボット本体-ロボット側接続部)
ロボット側接続部23は、自律移動ロボット10と荷台120とを着脱自在に接続するためのロボット側接続手段である。このロボット側接続部23は、例えば公知の接続手段(例えば、連結ローラー)等を用いて構成されており、ロボット本体20の上面に設けられている。
【0034】
具体的には、
図2に示すように、ロボット本体20の上面に取り付けられた台座部25(具体的には、略矩形状の板状体にて形成された台座部25)の上面において、相互に間隔を隔てて前後方向に略沿って複数並設されており(
図2では、3つ設けられている)、台座部25に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。
【0035】
(構成-自律移動ロボット-移動部)
移動部30は、自律移動ロボット10と荷台120とが接続された際に、後述の検出部60によって誘導部130が検出されない位置まで当該誘導部130を移動させる移動手段であり、
図2に示すように、持上部31及び引込部32を備えている。
【0036】
(構成-自律移動ロボット-移動部-持上部)
持上部31は、誘導部130を持ち上げるための持上手段である。この持上部31は、例えば傾斜面を有する樹脂製(又は金属製)の中実体(中空体)にて形成されており、具体的には、
図2に示すように、持上部31の前面は、後方に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面に形成されている。
【0037】
また、持上部31は、ロボット本体20の上面に設けられており、具体的には、
図2に示すように、台座部25よりも前方に配置され、ロボット本体20に対して固定具等によって接続されている。
【0038】
また、持上部31の具体的な大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0039】
すなわち、持上部31の左右方向の長さについては、台座部25の左右方向の長さよりも短く設定している。ただし、これに限らず、例えば、台座部25の左右方向の長さと略同一に設定してもよい。
【0040】
また、持上部31の前後方向の長さは、台座部25の前後方向の長さよりも短く設定している。
【0041】
持上部31の上下方向の長さは、台座部25の上下方向の長さよりも短く設定されている。
【0042】
(構成-自律移動ロボット-移動部-引込部)
引込部32は、持上部31によって持ち上げられた誘導部130を台座部25側に向けて引き込むための引込手段である。この引込部32は、例えば公知のローラ部を用いて構成されており、ロボット本体20の上面に設けられている。
【0043】
具体的には、
図2に示すように、引込部32は、台座部25と持上部31との相互間において、当該引込部32の回転によって上記誘導部130を台座部25側に向けて引き込むことが可能となるように配置され、ロボット本体20に対して固定具等によって回転自在に接続されている。
【0044】
このような移動部30により、自律移動ロボット10と荷台120とが接続された後に後述の検出部60によって誘導部130が検出されることを回避でき、当該接続された後の自律移動ロボット10の移動制御をスムーズに行うことが可能となる。
【0045】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット)
制御ユニット40は、自律移動ロボット10を制御するためのユニットである。この制御ユニット40は、ロボット本体20の内部に設けられ(ただし、後述の検出部60及び後述の操作部80を除く)、
図3に示すように、現在位置取得部50、検出部60、通信部70、操作部80、電源部90、制御部100、及び記憶部110を備えている。
【0046】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-現在位置取得部)
現在位置取得部50は、自律移動ロボット10の現在位置を取得する現在位置取得手段である。この現在位置取得部50は、例えば、公知の現在位置取得機器(一例として、GPS受信機)等を用いて構成されており、現在の自律移動ロボット10の位置及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0047】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-検出部)
検出部60は、自律移動ロボット10周辺に位置する物体を検出する検出手段である。
【0048】
ここで、「物体」とは、例えば、荷台120、誘導部130、これら以外のもの(例えば、建物の壁や柱、搬送対象T、人、動物)等を含む概念である。
【0049】
この検出部60は、例えば公知の検出センサを用いて構成されており、具体的には、自律移動ロボット10と物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ物体の形状を計測可能なレーザーセンサを用いて構成されている(
図1では、検出範囲Rを想像線で示す)。ただし、これに限らず、例えば、上記レーザーセンサと同一の機能を有する光電センサであって、可視光線や赤外線を利用した光電センサであってもよい。
【0050】
また、検出部60は、ロボット本体20の前方側に設けられている。具体的には、
図2に示すように、検出部60は、ロボット本体20の前面に設けられた凹部24であって、後方に向けて窪んでいる凹部24内に配置され、ロボット本体20に対して固定具等によって接続されている。
【0051】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-通信部)
通信部70は、ネットワーク(図示省略)を介して図示しない外部装置(例えば、自律移動ロボット用のコントローラ、スマートフォンの如き携帯端末、センタ装置等)との間で通信するための通信手段である。この通信部70の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の移動体無線通信手段や、FM多重放送やビーコンを介した公知のVICS(登録商標)システム用の無線通信手段を用いて構成されている。
【0052】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-操作部)
操作部80は、自律移動ロボット10に関する各種の操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部80は、例えばハードスイッチやタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成されており、ロボット本体20に設けられている。
【0053】
具体的には、操作部80は、当該操作部80を操作可能な位置に配置され、ロボット本体20に対して固定具又は嵌合構造等によって接続されている。
【0054】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-電源部)
電源部90は、制御ユニット40の各部及び駆動部に電力を供給する電源手段であり、例えば、公知の電源手段(一例として、充電式のバッテリ等)を用いて構成されている。
【0055】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-制御部)
制御部100は、制御ユニット40の各部を制御する制御手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る自律移動プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して自律移動ロボット10にインストールされることで、制御部100の各部を実質的に構成している。
【0056】
また、この制御部100は、
図3に示すように、機能概念的に、第1判定部101、第2判定部102、及び移動制御部103を備えている。
【0057】
第1判定部101は、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が、自律移動ロボット10の自律移動の障害になる障害物(例えば、人、動物、物等。以下、単に「障害物」と称する。)であるか否かを判定する第1判定手段である。
【0058】
第2判定部102は、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が後述の誘導部130であるか否かを判定する第2判定手段である。
【0059】
移動制御部103は、第1判定部101の判定結果に基づいて、障害物を回避しながら自律移動ロボット10を移動させる制御(以下、「第1移動制御」と称する)と、第2判定部102の判定結果に基づいて、後述の接続位置まで自律移動ロボット10を移動させる制御(以下、「第2移動制御」と称する)と、を行う移動制御手段である。
【0060】
なお、この制御部100によって実行される処理の詳細については、後述する。
【0061】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-記憶部)
記憶部110は、制御ユニット40の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0062】
また、この記憶部110は、
図3に示すように、地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)111、接続状態テーブル112、及び接続位置調整テーブル113を備えている。
【0063】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-記憶部-地
図DB)
地
図DB111は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。
【0064】
ここで、「地図情報」とは、移動領域MAを含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、通路上に設定された各ノードに関するノードデータ(例えばノードID、座標等)や、通路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(例えばリンクID、リンク名)、地物データ(例えば、部屋、階段、柱等)等を含んで構成されている。
【0065】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-記憶部-接続状態テーブル)
接続状態テーブル112は、自律移動ロボット10と荷台120とが接続された状態(以下、「接続状態」と称する)であるか、又は自律移動ロボット10と荷台120とが接続されていない状態(以下、「非接続状態」と称する)であるかを特定するためのテーブルであり、具体的には、接続状態を示すフラグ=「1」、又は非接続状態を示すフラグ=「0」のいずれか一方が格納される。なお、以下では、接続状態テーブル112の初期設定は、フラグ=「0」として説明する。
【0066】
また、接続状態テーブル112の各フラグの切り替え方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに切り替えてもよい。
【0067】
すなわち、自律移動ロボット10が調整開始位置を経由して接続位置に到達した場合、又は自律移動ロボット10が接続位置に到達した旨を示す情報が受信された場合には、自律移動ロボット10の状態が接続状態であるとして、フラグ=「1」に切り替えてもよい。一方、自律移動ロボット10が接続位置を経由して搬送先位置に到達した場合、又は自律移動ロボット10が搬送先位置に到達した旨を示す情報が受信された場合には、自律移動ロボット10の状態が非接続状態であるとして、フラグ=「0」に切り替えてもよい。
【0068】
ここで、「調整開始位置」とは、自律移動ロボット10が後述の接続位置調整移動を開始する位置を意味し、実施の形態では、接続位置の近傍に位置する。
【0069】
また、「接続位置」とは、自律移動ロボット10と荷台120とが接続する位置を意味する。
【0070】
また、「搬送先位置」とは、荷台120の搬送先の位置を意味する。
【0071】
(構成-自律移動ロボット-制御ユニット-記憶部-接続位置調整テーブル)
接続位置調整テーブル113は、自律移動ロボット10が調整開始位置又は接続位置のいずれか一方からいずれか他方に向けて移動している状態(以下、「接続位置調整状態」と称する)を示すフラグ=「1」、又は自律移動ロボット10が調整開始位置又は接続位置のいずれか一方からいずれか他方に向けて移動していない状態(以下、「非接続位置調整状態」と称する)を示すフラグ=「0」のいずれか一方が格納される。なお、以下では、接続位置調整テーブル113の初期設定は、フラグ=「0」として説明する。
【0072】
また、接続位置調整テーブル113の各フラグの切り替え方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに切り替えてもよい。
【0073】
すなわち、自律移動ロボット10が調整開始位置又は接続位置のいずれか一方を経由していずれか他方に向けて移動している場合、あるいは、接続位置調整状態である旨を示す情報が受信された場合には、自律移動ロボット10の状態が接続位置調整状態であるとして、フラグ=「1」に切り替えてもよい。一方、自律移動ロボット10が調整開始位置又は接続位置のいずれか一方を経由していずれか他方に向けて移動していない場合、調整開始位置又は接続位置のいずれか一方を経由せずにいずれか他方又はその他の位置に向けて移動している場合、あるいは、非接続位置調整状態である旨を示す情報が受信された場合には、自律移動ロボット10の状態が非接続状態であるとして、フラグ=「0」に切り替えてもよい。
【0074】
(構成-荷台)
図1に戻り、次に、荷台120の構成について説明する。
【0075】
荷台120は、自律移動ロボット10に対して着脱自在であると共に、接続状態において自律移動ロボット10によって搬送されるものである。この荷台120は、移動領域MA内に位置し、
図1に示すように、荷台本体121及び荷台側車輪部122を備えている。
【0076】
(構成-荷台-荷台本体)
荷台本体121は、荷台120の基本構造体であり、
図1に示すように、積載部121a、荷台側接続部121b、及び荷台側支持部121cを備えている。
【0077】
(構成-荷台-荷台本体-積載部)
積載部121aは、搬送対象Tを積載するためのものである。この積載部121aは、例えば金属製(又は樹脂製)の柱材120a及び梁材120bを複数組み合わせて構成されている。
【0078】
具体的には、
図1に示すように、平面形状が略矩形環状になるように複数の梁材120bを組み合わせたものが、相互に間隔を隔てて上下方向に沿って並設されると共に、当該組み合わせたものの各隅部が、柱材120aを介してそれぞれ接続されることにより、構成されている。また、上記梁材120bの断面形状は、搬送対象T(又は搬送対象Tが収容された収容ケース)を支持することが可能な略L字状に設定されている。
【0079】
このような構成により、複数の搬送対象Tを上下方向に向けて積載することができる。
【0080】
(構成-荷台-荷台本体-荷台側接続部)
荷台側接続部121bは、自律移動ロボット10と荷台120とを着脱自在に接続するための荷台側接続手段である。この荷台側接続部121bは、例えば金属製(又は樹脂製)の梁材120bを複数組み合わせて構成されている。
【0081】
具体的には、平面形状が、自律移動ロボット10の複数のロボット側接続部23を嵌合自在な略凹字状になるように複数の梁材120bを組み合わせると共に、当該組み合わせたものの部分のうち凹字状の内側部分と外側部分とが梁材120bを介して接続されることにより、構成されている。
【0082】
また、荷台側接続部121bは、積載部121aよりも下方に設けられている。具体的には、
図1に示すように、荷台側接続部121bは、荷台120の後方から自律移動ロボット10と荷台120とが接続可能となるように配置され、荷台側接続部121bの各隅部が積載部121aの対応する柱材120aに対して溶接等によってそれぞれ接続されている。
【0083】
このような荷台側接続部121bにより、例えば、
図6に示すように、自律移動ロボット10が接続位置に位置した際に、複数のロボット側接続部23が荷台側接続部121bに嵌合されることから、自律移動ロボット10と荷台120とを接続することが可能となる。
【0084】
(構成-荷台-荷台本体-荷台側支持部)
図1に戻り、荷台側支持部121cは、積載部121a及び荷台側接続部121bを支持する荷台側支持手段である。この荷台側支持部121cは、例えば金属製(又は樹脂製)の柱材120a及び梁材120bを複数組み合わせて構成されている。
【0085】
具体的には、
図1に示すように、平面形状が略U字状になるように複数の梁材120bを組み合わせると共に、当該組み合わせた梁材120bのうち前後方向に略沿った梁材120bが、柱材120aを介して荷台側接続部121bに対して接続されることにより、構成されている。また、荷台側支持部121cと荷台側接続部121bとの相互間の長さは、自律移動ロボット10の上下方向の長さと略同一に設定されている。
【0086】
また、荷台側支持部121cは、荷台側接続部121bよりも下方に設けられている。具体的には、
図1に示すように、荷台側支持部121cの柱材120a及び梁材120bは、荷台120の後方から自律移動ロボット10が荷台120の内側に進入可能に配置されている。
【0087】
(構成-荷台-荷台側車輪部)
荷台側車輪部122は、荷台120を移動させるためのものである。この荷台側車輪部122は、例えば公知の車輪等を用いて構成されており、
図1に示すように、荷台側支持部121cの下端部に複数設けられている(
図1では、荷台側支持部121cの各隅部にそれぞれ1つずつ設けられている)。
【0088】
(構成-誘導部)
次に、誘導部130の構成について説明する。
【0089】
誘導部130は、非接続状態において、自律移動ロボット10と荷台120とが接続する位置(以下、「接続位置」と称する)まで自律移動ロボット10を誘導するための誘導手段である。この誘導部130は、
図1に示すように、荷台120に対して移動可能に設けられており、誘導部本体131、誘導側支持部132、及び誘導側操作部133を備えている。
【0090】
(構成-誘導部-誘導部本体)
誘導部本体131は、誘導部130の基本構造体である。この誘導部本体131は、例えば、金属製(又は樹脂製)の板状体にて形成されている。
【0091】
具体的には、
図1に示すように、誘導部本体131の正面形状は、左右方向に長い略長方形状に設定されている。また、誘導部本体131の左右方向の長さは、自律移動ロボット10の凹部24の左右方向の長さよりも短く設定されている。また、誘導部本体131の上下方向の長さは、凹部24の上下方向の長さと略同一に設定されている。
【0092】
ただし、これに限らず、凹部24の有無や形状に関わらず、検出部60によって誘導部本体131の形状が認識可能な形状又は/及び大きさ(具体的には、検出部60の検出範囲Rを塞ぐことが可能な形状又は/及び大きさ)に設定されていればよい。例えば、誘導部本体131の正面形状は、略長方形状以外の形状(一例として、略楕円形状等)に設定されてもよい。あるいは、誘導部本体131の左右方向の長さは、自律移動ロボット10の凹部24の左右方向の長さ以上に設定されてもよく、誘導部本体131の上下方向の長さは、凹部24の上下方向の長さよりも長く設定されてもよい。
【0093】
また、誘導部本体131は、荷台側接続部121bと荷台側支持部121cとの相互間において、当該相互間の前方側に設けられている。具体的には、
図1に示すように、誘導部本体131は、荷台側支持部121cと荷台側接続部121bとの相互間に自律移動ロボット10が位置する場合、又は自律移動ロボット10が荷台120の近傍に位置する場合に、当該誘導部本体131の主面が自律移動ロボット10の検出部60と対向可能となる位置に配置されている。
【0094】
(構成-誘導部-誘導側支持部)
誘導側支持部132は、誘導部本体131を荷台120に対して支持するための誘導側支持手段である。この誘導側支持部132は、例えば、金属製(又は樹脂製)の中空状体にて形成されている。具体的には、
図1に示すように、正面形状が略T字状である中空状体にて形成されている。
【0095】
また、誘導側支持部132は、荷台側接続部121bと荷台側支持部121cとの相互間に設けられている。具体的には、
図1に示すように、誘導側支持部132は、当該誘導側支持部132の上端部が荷台側接続部121bに取り付けられた一対の係合部123によって係合可能な位置に配置され、当該誘導側支持部132の上端部が一対の係合部123に対して着脱自在に係合されると共に、当該誘導側支持部132の下端部が誘導部本体131に対して溶接等によって接続されている。これにより、誘導側支持部132は、一対の係合部123に対して係合可能であるものの、
図6に示すように、上方に向けて移動することも可能になる。
【0096】
(構成-誘導部-誘導側操作部)
図4に戻り、誘導側操作部133は、自律移動ロボット10の移動部30によって操作される誘導側操作手段である。この誘導側操作部133は、例えば、金属製(又は樹脂製)の長尺な板状体(具体的には、長方形状の板状体)にて形成されており、誘導側支持部132の上端部に設けられている。
【0097】
具体的には、
図4に示すように、誘導側操作部133は、誘導側支持部132の上端部から誘導側操作部133が荷台120の内側に向けて張り出すように配置され、誘導側支持部132に対して溶接等によって接続されている。
【0098】
このような誘導部130により、例えば、
図4に示すように、自律移動ロボット10が荷台120の近傍位置(例えば、調整開始位置等)に位置する場合、又は、
図5に示すように、荷台側支持部121cと荷台側接続部121bとの相互間に自律移動ロボット10が位置する場合において、誘導側操作部133が自律移動ロボット10の移動部30によって操作されていない場合には、誘導部本体131の主面が自律移動ロボット10の検出部60と対向するため、検出部60によって誘導部本体131の形状を検出することが可能となる。
【0099】
一方、
図6に示すように、荷台側支持部121cと荷台側接続部121bとの相互間に自律移動ロボット10が位置する場合において、誘導側操作部133が自律移動ロボット10の移動部30によって操作された場合には、誘導部本体131の主面が自律移動ロボット10の検出部60と対向しないので、検出部60によって誘導部本体131の形状が検出されることを回避できる。
【0100】
また、以上のような自律移動ロボット10又は搬送システム1により、従来技術(認識センサ及び光学式センサを備える自律移動ロボット)に比べて、検出部60の設置数を低減でき、自律移動ロボット10の製造コストを低減し、且つ自律移動ロボット10の小型化を図ることが可能となる。
【0101】
(搬送処理)
次に、このように構成された自律移動ロボット10の制御部100によって実行される搬送処理について説明する。なお、以下の説明では、
図7から
図10に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0102】
搬送処理は、荷台120を搬送するための処理である。この搬送処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、自律移動ロボット10の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。
【0103】
搬送処理が起動されると、
図7に示すように、まず、SA1において自律移動ロボット10の制御部100は、自律移動ロボット10を通常移動させるタイミング(以下、「通常移動タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0104】
ここで、「通常移動」とは、自律移動ロボット10が荷台120を搬送せずに移動することを意味する。
【0105】
また、通常移動タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、接続状態テーブル112のフラグ=「0」であり、且つ接続位置調整テーブル113のフラグ=「0」であるか否かに基づいて判定する(つまり、自律移動ロボット10の状態が、非接続状態、且つ非接続位置調整状態であるか否かに基づいて判定する)。ここで、接続状態テーブル112のフラグ=「0」であり、且つ接続位置調整テーブル113のフラグ=「0」である場合には通常移動タイミングが到来したと判定し、接続状態テーブル112のフラグ=「1」であり、又は/及び接続位置調整テーブル113のフラグ=「1」である場合には通常移動タイミングが到来していないと判定する。
【0106】
そして、自律移動ロボット10の制御部100は、通常移動タイミングが到来していないと判定された場合(SA1、No)にはSA2へ移行し、通常移動タイミングが到来したと判定された場合(SA1、Yes)には通常移動処理(SA4)を起動させ、その後SA1へ移行する。なお、この通常移動処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0107】
SA2において自律移動ロボット10の制御部100は、自律移動ロボット10を接続位置調整移動させるタイミング(以下、「接続位置調整移動タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0108】
ここで、「接続位置調整移動」とは、自律移動ロボット10が接続位置まで移動することを意味する。
【0109】
この接続位置調整移動タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、接続位置調整テーブル113のフラグ=「1」であるか否かに基づいて判定する(つまり、自律移動ロボット10の状態が、接続状態又は非接続状態であるかに関わらず、接続位置調整状態であるか否かのみに基づいて判定する)。ここで、接続位置調整テーブル113のフラグ=「1」である場合には接続位置調整移動タイミングが到来したと判定し、接続状態テーブル112のフラグ=「0」である場合には接続位置調整移動タイミングが到来していないと判定する。
【0110】
そして、自律移動ロボット10の制御部100は、接続位置調整移動タイミングが到来していないと判定された場合(SA2、No)にはSA2へ移行し、接続位置調整移動タイミングが到来したと判定された場合(SA2、Yes)には接続位置調整移動処理(SA5)を起動させ、その後SA1へ移行する。なお、この接続位置調整移動処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0111】
SA3において自律移動ロボット10の制御部100は、自律移動ロボット10を搬送移動させるタイミング(以下、「搬送移動タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0112】
ここで、「搬送移動」とは、自律移動ロボット10が荷台120を搬送しながら移動することを意味する。
【0113】
この搬送移動タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、接続状態テーブル112のフラグ=「1」であり、且つ接続位置調整テーブル113のフラグ=「0」であるか否かに基づいて判定する(つまり、自律移動ロボット10の状態が、接続状態、且つ非接続位置調整状態であるか否かに基づいて判定する)。ここで、接続状態テーブル112のフラグ=「1」であり、且つ接続位置調整テーブル113のフラグ=「0」である場合には搬送移動タイミングが到来したと判定し、接続状態テーブル112のフラグ=「0」であり、又は/及び接続位置調整テーブル113のフラグ=「1」である場合には搬送移動タイミングが到来していないと判定する。
【0114】
そして、自律移動ロボット10の制御部100は、搬送移動タイミングが到来していないと判定された場合(SA3、No)にはSA1へ移行する。一方、搬送移動タイミングが到来したと判定された場合(SA3、Yes)には搬送移動処理(SA6)を起動させ、その後SA1へ移行して、以降同様にSA1からSA6の処理を繰り返す。なお、この搬送移動処理の処理内容の詳細については、後述する。
【0115】
(搬送処理-通常移動処理)
次に、通常移動処理について説明する。
【0116】
通常移動処理は、自律移動ロボット10を通常移動させるための処理であり、具体的には、自律移動ロボット10の移動制御部103が、第2移動制御を行わずに、第1移動制御を行う処理である。
【0117】
通常移動処理が起動されると、
図8に示すように、SB1において自律移動ロボット10の移動制御部103は、通常移動制御を実行する。
【0118】
ここで、「通常移動制御」とは、自律移動ロボット10を通常移動させる制御を意味する。
【0119】
また、通常移動制御の制御内容については任意であるが、例えば、記憶部110にあらかじめ記憶された通常移動経路情報(あるいは、外部装置等から受信した通常移動経路情報、又は、公知の経路探索方法に基づいて作成された通常移動経路情報)であって、自律移動ロボット10を通常移動させる経路(具体的には、目的地が調整開始位置である経路)を示す通常移動経路情報の経路(又は、後述の修正した当該経路)と、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置とに基づいて、自律移動ロボット10を移動させてもよい。
【0120】
SB2において自律移動ロボット10の第1判定部101は、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が障害物であるか否かを判定する。
【0121】
この障害物であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、自律移動ロボット10と検出部60にて検出された物体との相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて判定し、上記基準値を下回る場合には障害物であると判定し、上記基準値を下回らない場合には障害物でないと判定する。
【0122】
これにより、障害物を正確に検出でき、第1移動制御を正確に行うことが可能となる。
【0123】
そして、自律移動ロボット10の第1判定部101は、障害物であると判定された場合(SB2、Yes)にはSB3へ移行し、障害物でないと判定された場合(SB2、No)にはSB4へ移行する。
【0124】
SB3において自律移動ロボット10の移動制御部103は、通常回避移動制御を実行する。
【0125】
ここで、「通常回避移動制御」とは、自律移動ロボット10の通常移動中に、自律移動ロボット10と障害物とが接触しないように、障害物を回避しながら自律移動ロボット10を移動させるための制御を意味する。
【0126】
また、通常回避移動制御の制御内容については任意であるが、例えば、SB2にて障害物であると判定された直後に自律移動ロボット10を停止させ、その後公知の経路探索方法に基づいて通常移動経路情報の経路の少なくとも一部を修正し、当該修正した経路に基づいて自律移動ロボット10を移動させてもよい。あるいは、SB2にて障害物であると判定された直後に自律移動ロボット10を停止させ、当該停止から所定期間(例えば、1分から5分程度等)経過後に、通常移動経路情報の経路に基づいて自律移動ロボット10を移動させてもよい。
【0127】
SB4において自律移動ロボット10の移動制御部103は、第1終了タイミングが到来したか否かを判定する。
【0128】
ここで、「第1終了タイミング」とは、通常移動処理を終了するタイミングを意味する。
【0129】
この第1終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置が調整開始位置と一致するか否か、自律移動ロボット10の操作部80を介して所定操作が受け付けられたか否か、又は所定信号が受信されたか否かに基づいて判定してもよい。ここで、上記現在位置が調整開始位置と一致する場合、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記所定信号が受信された場合には第1終了タイミングが到来したと判定し、上記現在位置が調整開始位置と一致しない場合、上記所定操作が受け付けられていない場合、及び上記所定信号が受信されていない場合には第1終了タイミングが到来していないと判定してもよい。
【0130】
そして、自律移動ロボット10の移動制御部103は、第1終了タイミングが到来したと判定された場合(SB4、Yes)には通常移動処理を終了して、
図7の搬送処理に戻る。一方、第1終了タイミングが到来していないと判定された場合(SB4、No)にはSB1へ移行し、SB4において第1終了タイミングが到来したと判定されるまで、SB1からSB4の処理を繰り返す。
【0131】
このような通常移動処理により、通常移動に応じた自律移動ロボット10の移動制御を行うことができ、自律移動ロボット10の使用性を高めることができる。
【0132】
(搬送処理-接続位置調整移動処理)
次に、接続位置調整移動処理について説明する。
【0133】
接続位置調整移動処理は、自律移動ロボット10を接続位置調整移動させるための処理であり、具体的には、自律移動ロボット10の移動制御部103が、第1移動制御を行わずに、第2移動制御を行う処理である。
【0134】
接続位置調整移動処理が起動されると、
図9に示すように、SC1において自律移動ロボット10の第2判定部102は、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が誘導部130であるか否かを判定する。
【0135】
この誘導部130であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、検出部60にて検出された物体の形状が基準形状(具体的には、誘導部本体131の形状)と一致するか否かに基づいて判定し、上記基準形状と一致する場合には誘導部130であると判定し、上記基準形状と一致しない場合には誘導部130でないと判定する。
【0136】
これにより、誘導部130を正確に検出でき、第2移動制御を正確に行うことが可能となる。
【0137】
そして、自律移動ロボット10の第2判定部102は、誘導部130であると判定された場合(SC1、Yes)にはSC2へ移行し、誘導部130でないと判定された場合(SC1、No)にはSC3へ移行する。
【0138】
SC2において自律移動ロボット10の移動制御部103は、接続位置調整移動制御を実行し、その後SC4へ移行する。
【0139】
ここで、「接続位置調整移動制御」とは、自律移動ロボット10を接続位置調整移動させる制御を意味する。
【0140】
また、接続位置調整移動制御の制御内容については任意であるが、例えば、記憶部110にあらかじめ記憶された接続位置調整移動経路情報(あるいは、外部装置等から受信した接続位置調整移動経路情報、又は、公知の経路探索方法に基づいて作成された接続位置調整移動経路情報)であって、自律移動ロボット10を接続位置調整移動させる経路(具体的には、経由地が接続位置であり、且つ目的地が調整開始位置である経路)を示す接続位置調整移動経路情報の経路と、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置とに基づいて、自律移動ロボット10を移動させてもよい。
【0141】
SC3において自律移動ロボット10の移動制御部103は、検知移動制御を実行し、その後SC1へ移行する。
【0142】
ここで、「検知移動制御」とは、検出部60によって誘導部130が検出されるように、自律移動ロボット10を移動させる制御を意味する。
【0143】
また、検知移動制御の制御内容については任意であるが、例えば、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置を中心に、自律移動ロボット10を旋回移動させてもよい。あるいは、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置から所定距離以内で、自律移動ロボット10を移動させてもよい。
【0144】
SC4において自律移動ロボット10の移動制御部103は、第2終了タイミングが到来したか否かを判定する。
【0145】
ここで、「第2終了タイミング」とは、接続位置調整移動処理を終了するタイミングを意味する。
【0146】
この第2終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置が調整開始位置と一致するか否か、自律移動ロボット10の操作部80を介して所定操作が受け付けられたか否か、又は所定信号が受信されたか否かに基づいて判定してもよい。ここで、上記現在位置が調整開始位置と一致する場合、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記所定信号が受信された場合には第2終了タイミングが到来したと判定し、上記現在位置が調整開始位置と一致しない場合、上記所定操作が受け付けられていない場合、及び上記所定信号が受信されていない場合には第2終了タイミングが到来していないと判定してもよい。
【0147】
そして、自律移動ロボット10の移動制御部103は、第2終了タイミングが到来したと判定された場合(SC4、Yes)には接続位置調整移動処理を終了して、
図7の搬送処理に戻る。一方、第2終了タイミングが到来していないと判定された場合(SC4、No)にはSC1へ移行し、SC4において第2終了タイミングが到来したと判定されるまで、SC1からSC4の処理を繰り返す。
【0148】
このような接続位置調整移動処理により、接続位置調整移動に応じた自律移動ロボット10の移動制御を行うことができ、自律移動ロボット10の使用性を高めることができる。
【0149】
(搬送処理-搬送移動処理)
続いて、搬送移動処理について説明する。
【0150】
搬送移動処理は、自律移動ロボット10を搬送移動させるための処理であり、具体的には、自律移動ロボット10の移動制御部103が、第2移動制御を行わずに、第1移動制御を行う処理である。
【0151】
搬送移動処理が起動されると、
図10に示すように、SD1において自律移動ロボット10の移動制御部103は、搬送移動制御を実行する。
【0152】
ここで、「搬送移動制御」とは、自律移動ロボット10を搬送移動させる制御を意味する。
【0153】
また、搬送移動制御の制御内容については任意であるが、例えば、記憶部110にあらかじめ記憶された搬送移動経路情報(あるいは、外部装置等から受信した搬送移動経路情報、又は、公知の経路探索方法に基づいて作成された搬送移動経路情報)であって、自律移動ロボット10を搬送移動させる経路(具体的には、目的地が搬送先位置である経路)を示す搬送移動経路情報の経路(又は、修正した当該経路)と、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置とに基づいて、自律移動ロボット10を移動させてもよい。
【0154】
SD2において自律移動ロボット10の第1判定部101は、SB2の処理と略同様に、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が障害物であるか否かを判定する。
【0155】
そして、自律移動ロボット10の第1判定部101は、障害物であると判定された場合(SD2、Yes)にはSD3へ移行し、障害物でないと判定された場合(SD2、No)にはSD4へ移行する。
【0156】
SD3において自律移動ロボット10の移動制御部103は、SB3の通常回避移動制御と略同様に、搬送回避移動制御を実行する。
【0157】
ここで、「搬送回避移動制御」とは、自律移動ロボット10の搬送移動中に、自律移動ロボット10と障害物とが接触しないように、障害物を回避しながら自律移動ロボット10を移動させるための制御を意味する。
【0158】
SD4において自律移動ロボット10の移動制御部103は、第3終了タイミングが到来したか否かを判定する。
【0159】
ここで、「第3終了タイミング」とは、搬送移動処理を終了するタイミングを意味する。
【0160】
この第3終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、現在位置取得部50にて取得された自律移動ロボット10の現在位置が搬送先位置と一致するか否か、自律移動ロボット10の操作部80を介して所定操作が受け付けられたか否か、又は所定信号が受信されたか否かに基づいて判定してもよい。ここで、上記現在位置が搬送先位置と一致する場合、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記所定信号が受信された場合には第3終了タイミングが到来したと判定し、上記現在位置が搬送先位置と一致しない場合、上記所定操作が受け付けられていない場合、及び上記所定信号が受信されていない場合には第3終了タイミングが到来していないと判定してもよい。
【0161】
そして、自律移動ロボット10の移動制御部103は、第3終了タイミングが到来したと判定された場合(SD4、Yes)には搬送移動処理を終了して、
図7の搬送処理に戻る。一方、第3終了タイミングが到来していないと判定された場合(SD4、No)にはSD1へ移行し、SD4において第3終了タイミングが到来したと判定されるまで、SD1からSD4の処理を繰り返す。
【0162】
このような搬送移動処理により、搬送移動に応じた自律移動ロボット10の移動制御を行うことができ、自律移動ロボット10の使用性を高めることができる。
【0163】
また、以上のような搬送処理により、検出部60の設置数が1つであっても、検出部60にて誘導部130及び障害物を正確に検出して、自律移動ロボット10を接続位置まで移動させることができると共に、障害物を回避しながら、自律移動ロボット10を移動させることができる。よって、上記従来技術に比べて、検出部60の設置数を低減でき、自律移動ロボット10の製造コストを低減し、且つ自律移動ロボット10の小型化を図ることが可能となる。
【0164】
(搬送処理-具体的な処理内容)
続いて、搬送処理が実行される具体的な状況及びその場合の処理内容について、以下で説明する。
【0165】
すなわち、まず、自律移動ロボット10の状態が、非接続状態、且つ非接続位置調整状態であることにより、
図7のSA1において通常移動タイミングが到来したと判定されると、通常移動処理(
図7のSA4)が起動される。
【0166】
次に、通常移動処理では、
図8のSB1において通常移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、調整開始位置に向けて通常移動する。
【0167】
なお、この通常移動中に
図8のSB2において障害物が検出された場合には、
図8のSB3において通常回避移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、障害物を回避しながら移動する。その後、
図8のSB1において通常移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、調整開始位置に向けて再び通常移動することになる。
【0168】
次いで、自律移動ロボット10が調整開始位置に到達することで、自律移動ロボット10の状態が、非接続状態、且つ接続位置調整状態になると共に、
図8のSB4において第1終了タイミングが到来したと判定されると、通常移動処理が終了し、
図7のSA2において接続位置調整移動タイミングが到来したと判定されて、接続位置調整移動処理(
図7のSA5)が起動される。
【0169】
次に、接続位置調整移動処理では、
図9のSC1において誘導部130が検出されると、
図9のSC2において接続位置調整移動制御が行われることから、自律移動ロボット10は、接続位置に向けて接続位置調整移動する。
【0170】
なお、この接続位置調整移動中に
図9のSC1において誘導部130が検出されなくなった場合には、
図9のSC3において検知移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、誘導部130が検出されるまで旋回移動する。その後、
図9のSC1において誘導部130が検出されると、SC1において接続位置調整移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、接続位置に向けて再び接続位置調整移動することになる。
【0171】
次いで、自律移動ロボット10が接続位置に到達すると、自律移動ロボット10における複数のロボット側接続部23が荷台120の荷台側接続部121bに嵌合されて、自律移動ロボット10と荷台120とが接続されると共に、誘導部130の誘導側操作部133が自律移動ロボット10の移動部30によって操作されて、検出部60によって誘導部130が検出されなくなる。さらに、自律移動ロボット10が調整開始位置に再び到達すると、自律移動ロボット10の状態が、接続状態、且つ非接続位置調整状態になると共に、接続位置調整移動処理が終了する。そして、
図9のSC4において第2終了タイミングが到来したと判定されると、
図7のSA3において搬送移動タイミングが到来したと判定されて、搬送移動処理(
図7のSA6)が起動される。
【0172】
次に、搬送移動処理では、
図10のSD1において搬送移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、搬送先位置に向けて搬送移動する。
【0173】
なお、この搬送移動中に
図10のSD2において障害物が検出された場合には、
図10のSD3において搬送回避移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、障害物を回避しながら移動する。その後、
図10のSD1において搬送移動制御が行われることで、自律移動ロボット10は、搬送先位置に向けて再び搬送移動することになる。
【0174】
続いて、自律移動ロボット10が搬送先位置に到達すると、所定方法によって複数のロボット側接続部23と荷台側接続部121bとの嵌合状態が解除されることで、自律移動ロボット10と荷台120とが接続されなくなると共に、荷台120に載せられた搬送対象Tが所定の場所に運ばれる。このことにより、自律移動ロボット10の状態が、非接続状態、且つ非接続位置調整状態になると共に、
図10のSD4において第3終了タイミングが到来したと判定されると、接続位置調整移動処理が終了する。その後、
図7のSA1において通常移動タイミングが到来したと判定されることから、以降同様に、
図7のSA2から
図7のSA6の処理が繰り返される。
【0175】
このような処理内容により、自律移動ロボット10によって搬送先位置まで荷台120を正確に搬送させることができる。
【0176】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が障害物であるか否かを判定する第1判定部101と、検出部60の検出結果に基づいて、検出部60にて検出された物体が誘導部130であるか否かを判定する第2判定部102と、第1判定部101の判定結果に基づいて、障害物を回避しながら自律移動ロボット10を移動させる第1移動制御と、第2判定部102の判定結果に基づいて、接続位置まで自律移動ロボット10を移動させる第2移動制御と、を行う移動制御部103と、を備えるので、従来技術(認識センサ及び光学式センサを備える自律移動ロボット)に比べて、検出部60の設置数を低減でき、自律移動ロボット10の製造コストを低減し、且つ自律移動ロボット10の小型化を図ることが可能となる。
【0177】
また、移動制御部103は、自律移動ロボット10が荷台120を搬送せずに移動する通常移動が行われている際、又は自律移動ロボット10が荷台120を搬送しながら移動する搬送移動が行われている際には、第2移動制御を行わずに、第1移動制御を行い、自律移動ロボット10が接続位置まで移動する接続位置調整移動が行われている際には、第1移動制御を行わずに、第2移動制御を行うので、各種の移動(具体的には、通常移動、搬送移動、接続位置調整移動)に応じた自律移動ロボット10の移動制御を行うことができ、自律移動ロボット10の使用性を高めることができる。
【0178】
また、検出部60は、自律移動ロボット10と物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ物体の形状を計測可能なレーザーセンサであり、第1判定部101は、検出部60にて検出された物体と当該自律移動ロボット10との相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて、当該物体が障害物であるか否かを判定し、第2判定部102は、検出部60にて検出された物体の形状が基準形状と一致するか否かに基づいて、当該物体が誘導部130であるか否かを判定するので、障害物及び誘導部130を正確に検出でき、第1移動制御及び第2移動制御を正確に行うことが可能となる。
【0179】
また、自律移動ロボット10と荷台120とが接続された際に、検出部60によって誘導部130が検出されない位置まで当該誘導部130を移動させる移動部を備えるので、自律移動ロボット10と荷台120とが接続された後に検出部60によって誘導部130が検出されることを回避でき、当該接続された後の自律移動ロボット10の移動制御をスムーズに行うことが可能となる。
【0180】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0181】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0182】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、制御ユニット40を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部100を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部110を設けてもよい。
【0183】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0184】
(自律移動ロボットについて)
上記実施の形態では、自律移動ロボット10が、移動領域MAを走行可能なものであると説明したが、これに限らず、例えば、移動領域MAを飛行可能なものであってもよい。
【0185】
(接続状態について)
上記実施の形態では、接続状態は、自律移動ロボット10が荷台120の内側に位置しながら、複数のロボット側接続部23が荷台側接続部121bに嵌合されている状態であると説明したが、これに限らない。例えば、自律移動ロボット10が荷台120の外側に位置しながら、複数のロボット側接続部23が荷台側接続部121bに嵌合されるように、荷台側接続部121bが配置されてもよい。
【0186】
(荷台について)
上記実施の形態では、荷台120が、荷台側車輪部122を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、荷台側車輪部122を省略してもよい(つまり、車輪付きでない荷台120であってもよい)。この場合には、自律移動ロボット10が、荷台120を持ち上げ自在な荷台持上手段を備えることで、接続状態において荷台持上手段によって荷台120を持ち上げながら、自律移動ロボット10を搬送移動させるようにしてもよい。
【0187】
(誘導部について)
上記実施の形態では、誘導部130が、荷台120に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、荷台120以外のもの(一例として、移動領域MA内(又は移動領域MA外)の荷台120の近傍位置に設置されたポール等)に設けられてもよい。
【0188】
(移動部について)
上記実施の形態では、移動部30が、自律移動ロボット10に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、誘導部130が検出部60によって検出されないようにする操作が作業員によって行われる場合には、移動部30を省略してもよい。あるいは、移動部30は、荷台120に設けられてもよい。この場合には、所定の信号を受信が受信された場合に、移動部30が誘導部130を自動的に移動させることができるように構成されてもよい。
【0189】
(付記)
付記1の自律移動ロボットは、移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボットであって、当該自律移動ロボット周辺に位置する物体を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットの自律移動の障害になる障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続する接続位置まで当該自律移動ロボットを誘導するための誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、を備える。
【0190】
付記2の自律移動ロボットは、付記1に記載の自律移動ロボットにおいて、前記移動制御手段は、当該自律移動ロボットが前記荷台を搬送せずに移動する通常移動が行われている際、又は当該自律移動ロボットが前記荷台を搬送しながら移動する搬送移動が行われている際には、前記第2移動制御を行わずに、前記第1移動制御を行い、当該自律移動ロボットが前記接続位置まで移動する接続位置調整移動が行われている際には、前記第1移動制御を行わずに、前記第2移動制御を行う。
【0191】
付記3の自律移動ロボットは、付記1又は2に記載の自律移動ロボットにおいて、前記検出手段は、当該自律移動ロボットと前記物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ前記物体の形状を計測可能なレーザーセンサであり、前記第1判定手段は、前記検出手段にて検出された前記物体と当該自律移動ロボットとの相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて、当該物体が前記障害物であるか否かを判定し、前記第2判定手段は、前記検出手段にて検出された前記物体の形状が基準形状と一致するか否かに基づいて、当該物体が前記誘導手段であるか否かを判定する。
【0192】
付記4の自律移動ロボットは、付記1又は2に記載の自律移動ロボットにおいて、前記誘導手段は、前記荷台に対して移動可能に設けられたものであり、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続された際に、前記検出手段によって前記誘導手段が検出されない位置まで当該誘導手段を移動させる移動手段を備える。
【0193】
付記5の搬送システムは、移動領域内に位置する自律移動ロボットであり、付記1又は2に記載の自律移動ロボットと、前記移動領域内に位置する荷台であり、前記自律移動ロボットに対して着脱自在であると共に、当該荷台と前記自律移動ロボットとが接続された状態において前記自律移動ロボットによって搬送される荷台と、前記自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において前記自律移動ロボットと前記荷台との接続位置まで前記自律移動ロボットを誘導するための誘導手段と、を備える。
【0194】
付記6の自律移動プログラムは、移動領域内を自律移動する自律移動ロボットであり、当該自律移動ロボットに対して着脱自在な荷台を搬送することが可能な自律移動ロボットの自律移動プログラムであって、コンピュータを、当該自律移動ロボット周辺に位置する物体を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットの自律移動の障害になる障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検出手段にて検出された前記物体が、当該自律移動ロボットと前記荷台とが接続されていない状態において当該自律移動ロボットと前記荷台との接続位置まで当該自律移動ロボットを誘導するための誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、前記第1判定手段の判定結果に基づいて、前記障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、前記第2判定手段の判定結果に基づいて、前記接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、として機能させる。
【0195】
(付記の効果)
付記1に記載の自律移動ロボット、付記5に記載の搬送システム、又は付記6に記載の自律移動プログラムによれば、検出手段の検出結果に基づいて、検出手段にて検出された物体が障害物であるか否かを判定する第1判定手段と、検出手段の検出結果に基づいて、検出手段にて検出された物体が誘導手段であるか否かを判定する第2判定手段と、第1判定手段の判定結果に基づいて、障害物を回避しながら当該自律移動ロボットを移動させる第1移動制御と、第2判定手段の判定結果に基づいて、接続位置まで当該自律移動ロボットを移動させる第2移動制御と、を行う移動制御手段と、を備えるので、従来技術(認識センサ及び光学式センサを備える自律移動ロボット)に比べて、検出手段の設置数を低減でき、自律移動ロボットの製造コストを低減し、且つ自律移動ロボットの小型化を図ることが可能となる。
【0196】
付記2に記載の自律移動ロボットによれば、移動制御手段は、当該自律移動ロボットが荷台を搬送せずに移動する通常移動が行われている際、又は当該自律移動ロボットが荷台を搬送しながら移動する搬送移動が行われている際には、第2移動制御を行わずに、第1移動制御を行い、当該自律移動ロボットが接続位置まで移動する接続位置調整移動が行われている際には、第1移動制御を行わずに、第2移動制御を行うので、各種の移動(具体的には、通常移動、搬送移動、接続位置調整移動)に応じた自律移動ロボットの移動制御を行うことができ、自律移動ロボットの使用性を高めることができる。
【0197】
付記3に記載の自律移動ロボットによれば、検出手段は、当該自律移動ロボットと物体との相互間の距離を計測可能であり、且つ物体の形状を計測可能なレーザーセンサであり、第1判定手段は、検出手段にて検出された物体と当該自律移動ロボットとの相互間の距離が基準値を下回るか否かに基づいて、当該物体が障害物であるか否かを判定し、第2判定手段は、検出手段にて検出された物体の形状が基準形状と一致するか否かに基づいて、当該物体が誘導手段であるか否かを判定するので、障害物及び誘導手段を正確に検出でき、第1移動制御及び第2移動制御を正確に行うことが可能となる。
【0198】
付記4に記載の自律移動ロボットによれば、当該自律移動ロボットと荷台とが接続された際に、検出手段によって誘導手段が検出されない位置まで当該誘導手段を移動させる移動手段を備えるので、自律移動ロボットと荷台とが接続された後に検出手段によって誘導手段が検出されることを回避でき、当該接続された後の自律移動ロボットの移動制御をスムーズに行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0199】
1 搬送システム
10 自律移動ロボット
20 ロボット本体
21 筐体部
22 ロボット側車輪部
23 ロボット側接続部
24 凹部
25 台座部
30 移動部
31 持上部
32 引込部
40 制御ユニット
50 現在位置取得部
60 検出部
70 通信部
80 操作部
90 電源部
100 制御部
101 第1判定部
102 第2判定部
103 移動制御部
110 記憶部
111 地
図DB
112 接続状態テーブル
113 接続位置調整テーブル
120 荷台
120a 柱材
120b 梁材
121 荷台本体
121a 積載部
121b 荷台側接続部
121c 荷台側支持部
122 荷台側車輪部
123 係合部
130 誘導部
131 誘導部本体
132 誘導側支持部
133 誘導側操作部
MA 移動領域
R 検出範囲
T 搬送対象