(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061434
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】貴重品管理システム
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20240425BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E05B19/00 E
E05B49/00 L
E05B19/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169379
(22)【出願日】2022-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】596179988
【氏名又は名称】株式会社ドッドウエルビー・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】西野 憲次郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼堂 博司
(72)【発明者】
【氏名】宗像 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】上村 英明
(72)【発明者】
【氏名】井上 正之
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA03
2E250BB52
2E250CC11
2E250DD02
2E250FF11
2E250FF18
2E250FF28
2E250FF33
2E250FF36
2E250FF49
2E250FF52
(57)【要約】
【課題】人手による鍵の受け渡しを行うことなく適切に鍵を借り受けることができ、鍵を含めた貴重品の管理に係る経費を抑制することができる貴重品管理システムを提供する。
【解決手段】貴重品管理システムは1、設備鍵の利用を管理する鍵管理サーバ60と、鍵管理サーバ60と電気通信可能に通信接続された入館鍵収納ボックス10と、設備鍵を収納する設備鍵収納ボックス30と、入館鍵収納ボックス10に収納されて設備鍵収納ボックス30を施錠又は解錠するために用いられる入館鍵50とを備えている。入館鍵は、設備鍵識別情報記憶媒体を有している。入館鍵収納ボックス10は、鍵管理サーバ60から解錠許可信号を取得すると解錠されるとともに、設備鍵識別情報を設備鍵識別情報記憶媒体に記憶する。設備鍵収納ボックス30は、入館鍵が利用された際に解錠されるとともに、入館鍵から設備鍵識別情報を取得し、設備鍵の取り出しを可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に関する一以上の貴重品の利用を管理する貴重品管理装置と、前記貴重品管理装置と電気通信可能に接続された第一貴重品収納装置と、前記貴重品を収納する第二貴重品収納装置と、前記第一貴重品収納装置に収納されて、前記第二貴重品収納装置を施錠又は解錠するために用いられる第二貴重品収納装置鍵と、を備えた貴重品管理システムであって、
前記第一貴重品収納装置は、
前記第二貴重品収納装置鍵を収納する第一収納箱と、
該第一収納箱の開閉を制限する第一施錠装置と、
前記第一施錠装置の解錠を制御する第一施錠制御装置と、を有し、
前記第二貴重品収納装置は、
前記貴重品を収納する第二収納箱と、
前記第二収納箱の開閉を制限する第二施錠装置と、
前記第二収納箱から前記貴重品の取り出しを規制する規制手段と、
前記第二施錠装置の解錠及び前記規制手段による規制を制御する第二施錠制御装置と、を有し、
前記第二貴重品収納装置鍵は、前記貴重品を識別可能な貴重品識別情報を記憶する貴重品識別情報記憶媒体を有し、
前記貴重品管理装置は、前記第一施錠装置の解錠を要求する解錠要求信号を取得すると、所定の条件に基づいて前記第一施錠装置の解錠の可否を判定し、前記貴重品識別情報を含む解錠許可信号を出力する解錠許可信号出力部を有し、
前記第一施錠制御装置は、前記貴重品管理装置から前記解錠許可信号を取得すると、前記貴重品識別情報を前記貴重品識別情報記憶媒体に記憶するとともに、前記第一施錠装置を解錠するように制御し、
前記第二施錠制御装置は、前記第二貴重品収納装置鍵が利用された際に、前記第二施錠装置を解錠するとともに、前記第二貴重品収納装置鍵の前記貴重品識別情報記憶媒体に記憶された前記貴重品識別情報を取得し、該貴重品識別情報に対応する前記貴重品の取り出しが可能となるように前記規制手段による規制を解除するように制御することを特徴とする貴重品管理システム。
【請求項2】
前記貴重品は、前記建物内の立入制限区画に進入するための立入制限区画鍵であり、
前記貴重品識別情報は、前記立入制限区画を識別可能であることを特徴とする請求項1に記載の貴重品管理システム。
【請求項3】
前記貴重品は、前記貴重品識別情報を記憶する第二貴重品識別情報記憶媒体を有し、
前記第二施錠制御装置は、前記第二貴重品収納装置鍵の前記貴重品識別情報記憶媒体に記憶された前記貴重品識別情報と、前記貴重品の前記第二貴重品識別情報記憶媒体に記憶された前記貴重品識別情報とを比較し、比較結果に基づいて前記貴重品識別情報に対応する前記貴重品の取り出しが可能となるように前記規制手段による規制を解除するように制御することを特徴とする請求項1に記載の貴重品管理システム。
【請求項4】
前記第二貴重品収納装置は、
前記第二施錠装置の解錠操作を受け付ける解錠操作手段と、
前記解錠操作手段の上方であって、前記解錠操作手段と近接する位置に配設され、前記解錠操作手段の操作者を撮影する撮影装置と、を備え、
前記第二施錠制御装置は、前記第二貴重品収納装置鍵が利用された際に、前記解錠操作手段に対する前記解錠操作を有効化し、前記解錠操作を受け付けると、前記撮影装置を制御して前記操作者を撮影し、前記第二施錠装置を解錠することを特徴とする請求項1に記載の貴重品管理システム。
【請求項5】
前記第一貴重品収納装置は、前記建物を一意に識別可能であって、不動産登記された建物に付与される不動産番号を含む建物識別情報を記憶する建物識別情報記憶媒体を備え、
前記貴重品管理装置は、前記貴重品の利用予定と前記建物識別情報とが対応付けられた貴重品利用予定情報を記憶する貴重品利用予定情報記憶部を有し、
前記解錠要求信号は、前記建物識別情報を含み、
前記解錠許可信号出力部は、前記貴重品利用予定情報に含まれる前記建物識別情報と、前記解錠要求信号に含まれる前記建物識別情報と、の照合結果に基づいて前記第一施錠装置の解錠の可否を判定することを特徴とする請求項1に記載の貴重品管理システム。
【請求項6】
前記建物識別情報記憶媒体は、前記建物識別情報を符号化して前記第一収納箱に付された二次元コード表示媒体であることを特徴とする請求項5に記載の貴重品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴重品管理システムに係り、特に集合住宅や商業施設等で用いられる貴重品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、集合住宅、又は商業施設等の建物には、電気室、エレベータ機械室、及び貯水槽室等の共用設備が設置された立入制限区画が存在する。このような立入制限区画は、鍵によって施錠管理されて、入室が制限されている。そのため、保守作業者が共用設備の保守作業を行う際には、管理人、又は警備担当者から、立入制限区画に入室するための鍵を借り受ける必要がある。したがって、管理人又は警備担当者が不在の場合には、鍵を借り受けることができないだけでなく、保守作業の遅延を招くこととなる。
【0003】
そこで、従来、建物の管理人、又は警備担当者が不在であっても鍵の貸借及び返却を可能とする鍵管理システムが提案されている。特許文献1には、管理人が天災地変等のトラブルに巻き込まれて不在となった場合であっても、予め権限を与えられた特定人が、管理人室に入室し、立入制限区画に入室するための鍵を入手することができるセキュリティシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された技術により、管理人が不在の場合であっても、特定人は、管理人室に入室して子鍵を借り受けることが可能となる。しかしながら、特許文献1には、平時において共用設備の保守作業を行う目的で集合住宅の立入制限区画に入室する保守事業者については記載されていない。
【0006】
保守事業者は、予め定められた保守計画に従い、定期的に立入制限区画に入室して保守作業を行う必要がある。そのため、保守作業以外の目的で保守事業者が立入制限区画に入室することを制限しつつ、保守作業日には、人手による鍵の受け渡しを行うことなく適切に鍵を借り受けることができる鍵管理システムの構築が望まれていた。
また、保守事業者は、通常、複数の建物の設備について保守契約を締結する。この場合、保守事業者は、各々の建物について事前に許可を申請して鍵を借り受ける必要があり、保守契約を締結した建物の数が増加するにつれて、鍵の管理が煩雑になるという問題があった。
【0007】
また、集合住宅の管理人室は、立入制限区画に入室するための鍵だけでなく、集合住宅を管理するために必要な貴重品の保管場所でもある。そのため、管理人の不在時であっても貴重品を適切な状態で保管するとともに、第三者による不正利用を監視する必要があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、人手による鍵の受け渡しを行うことなく適切に鍵を借り受けることができ、鍵を含めた貴重品の管理に係る経費を抑制することができる貴重品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の貴重品管理システムによれば、建物に関する一以上の貴重品の利用を管理する貴重品管理装置と、前記貴重品管理装置と電気通信可能に接続された第一貴重品収納装置と、前記貴重品を収納する第二貴重品収納装置と、前記第一貴重品収納装置に収納されて、前記第二貴重品収納装置を施錠又は解錠するために用いられる第二貴重品収納装置鍵と、を備えた貴重品管理システムであって、前記第一貴重品収納装置は、前記第二貴重品収納装置鍵を収納する第一収納箱と、該第一収納箱の開閉を制限する第一施錠装置と、前記第一施錠装置の解錠を制御する第一施錠制御装置と、を有し、前記第二貴重品収納装置は、前記貴重品を収納する第二収納箱と、前記第二収納箱の開閉を制限する第二施錠装置と、前記第二収納箱から前記貴重品の取り出しを規制する規制手段と、前記第二施錠装置の解錠及び前記規制手段による規制を制御する第二施錠制御装置と、を有し、前記第二貴重品収納装置鍵は、前記貴重品を識別可能な貴重品識別情報を記憶する貴重品識別情報記憶媒体を有し、前記貴重品管理装置は、前記第一施錠装置の解錠を要求する解錠要求信号を取得すると、所定の条件に基づいて前記第一施錠装置の解錠の可否を判定し、前記貴重品識別情報を含む解錠許可信号を出力する解錠許可信号出力部を有し、前記第一施錠制御装置は、前記貴重品管理装置から前記解錠許可信号を取得すると、前記貴重品識別情報を前記貴重品識別情報記憶媒体に記憶するとともに、前記第一施錠装置を解錠するように制御し、前記第二施錠制御装置は、前記第二貴重品収納装置鍵が利用された際に、前記第二施錠装置を解錠するとともに、前記第二貴重品収納装置鍵の前記貴重品識別情報記憶媒体に記憶された前記貴重品識別情報を取得し、該貴重品識別情報に対応する前記貴重品の取り出しが可能となるように前記規制手段による規制を解除するように制御することにより解決される。
【0010】
上記構成によれば、保守作業者が解錠要求信号を貴重品管理装置に対して送信すると、貴重品管理装置は、所定の条件に基づいて第一施錠装置の解錠の可否を判定し、第一貴重品収納箱の解錠を許可する。そのため保守作業者は、第一貴重品収納箱を解錠して第二貴重品収納装置鍵を取得することができる。保守作業者は、第二貴重品収納装置鍵を利用して第二貴重品収納装置を解錠すると、第二貴重品収納装置は、貴重品識別情報に対応する貴重品の取り出し規制を解除する。そのため、保守作業者は、第二貴重品収納装置に収納された貴重品を取り出すことができる。これにより、建物の管理人又は警備担当者が不在であっても、保守作業者は建物の鍵を借り受けることができる。換言すると、人手による鍵の受け渡しを行うことなく適切に鍵を借り受けることができ、鍵を含めた貴重品の管理に係る経費を抑制することが可能となる。また、複数の建物を保守、管理する場合であっても、鍵の利用予定を事前に貴重品管理装置に登録するだけで、煩雑な管理を行うことなく、立入制限区画の鍵を貸借することができるとともに、貴重品の取り出しを監視することが可能となる。
【0011】
また、貴重品管理システムは、貴重品管理装置と電気通信回線を介して接続された第一貴重品収納装置と、貴重品を収納する第二貴重品収納装置と、第一貴重品収納装置に収納されて、第二貴重品収納装置を施錠又は解錠するために用いられる第二貴重品収納装置鍵と、を備えている。これにより、貴重品が収納された第二貴重品収納装置が、貴重品管理装置と通信することが困難な場所に設置されている場合であっても、第一貴重品収納装置が貴重品管理装置と通信接続されて、貴重品管理装置から解錠許可信号を取得することにより第二貴重品収納装置鍵を取得することができる。そのため、第二貴重品収納装置鍵を利用して第二貴重品収納装置を解錠して、第二貴重品収納装置に収納されていた貴重品を取り出すことが可能となる。
【0012】
また、前記貴重品は、前記建物内の立入制限区画に進入するための立入制限区画鍵であり、前記貴重品識別情報は、前記立入制限区画を識別可能であるとよい。
上記構成によれば、建物の管理人又は警備担当者が不在の場合であっても、保守事業者は、立入制限区画鍵を取り出して保守作業を行うことができるとともに、保守対象の立入制限区画鍵以外の貴重品を取り出すことはできない。これにより、建物の貴重品の利用を適切に制限することが可能となる。
【0013】
また、前記貴重品は、前記貴重品識別情報を記憶する第二貴重品識別情報記憶媒体を有し、前記第二施錠制御装置は、前記第二貴重品収納装置鍵の前記貴重品識別情報記憶媒体に記憶された前記貴重品識別情報と、前記貴重品の前記第二貴重品識別情報記憶媒体に記憶された前記貴重品識別情報とを比較し、比較結果に基づいて前記貴重品識別情報に対応する前記貴重品の取り出しが可能となるように前記規制手段による規制を解除するように制御するとよい。
上記構成によれば、第二貴重品収納装置鍵の貴重品識別情報記憶媒体に記憶された貴重品識別情報と、貴重品の貴重品識別情報記憶媒体に記憶された貴重品識別情報が比較されて、両者が一致する場合に貴重品の取り出しが可能となるため、貴重品の利用をより厳格に制限することが可能となる。
【0014】
また、前記第二貴重品収納装置は、前記第二施錠装置の解錠操作を受け付ける解錠操作手段と、前記解錠操作手段の上方であって、前記解錠操作手段と近接する位置に配設され、前記解錠操作手段の操作者を撮影する撮影装置と、を備え、前記第二施錠制御装置は、前記第二貴重品収納装置鍵が利用された際に、前記解錠操作手段に対する前記解錠操作を有効化し、前記解錠操作を受け付けると、前記撮影装置を制御して前記操作者を撮影し、前記第二施錠装置を解錠するとよい。
上記構成によれば、第二貴重品収納装置を解錠して貴重品を取り出すためには解錠操作を行う必要があり、解錠操作が行われると、撮影手段によって操作者が撮影される。そのため、撮影画像によって、貴重品の利用者を監視することが可能となる。また、撮影装置は解錠操作手段の上方に位置するため、解錠操作手段を操作する者の手指や前腕によって撮影装置の撮影領域が覆われることなく撮影することが可能となる。
【0015】
また、前記第一貴重品収納装置は、前記建物を一意に識別可能であって、不動産登記された建物に付与される不動産番号を含む建物識別情報を記憶する建物識別情報記憶媒体を備え、前記貴重品管理装置は、前記貴重品の利用予定と前記建物識別情報とが対応付けられた貴重品利用予定情報を記憶する貴重品利用予定情報記憶部を有し、前記解錠要求信号は、前記建物識別情報を含み、前記解錠許可信号出力部は、前記貴重品利用予定情報に含まれる前記建物識別情報と、前記解錠要求信号に含まれる前記建物識別情報と、の照合結果に基づいて前記第一施錠装置の解錠の可否を判定するとよい。
上記構成によれば、公衆に利用可能な不動産登記簿の不動産番号を用いて建物を一意に識別することができる。そのため、保守事業者が複数の建物の保守契約を結んでいる場合であっても、それぞれの建物の貴重品の利用を適切に管理することができるとともに、別途識別番号を設けることなく、建物内の祈祷品の利用に関する履歴情報を、不動産関連情報として蓄積し、公衆による利用に供することが可能となる。
【0016】
また、前記建物識別情報記憶媒体は、前記建物識別情報を符号化して前記第一収納箱に付された二次元コード表示媒体であるとよい。
上記構成によれば、保守作業者は第一収納箱に付された二次元コードを読み取ることによって容易に建物識別情報を取得することが可能となり、貴重品管理システムのコスト抑制を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貴重品管理システムによれば、人手による鍵の受け渡しを行うことなく適切に鍵を借り受けることができ、鍵を含めた貴重品の管理に係る経費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】貴重品管理システムの概要を説明する図である。
【
図2A】入館鍵収納空間を閉鎖した状態の入館鍵収納ボックスの斜視図である。
【
図2B】入館鍵収納空間を開放した状態の入館鍵収納ボックスの斜視図である。
【
図3A】設備鍵収納空間を閉鎖した状態の設備鍵収納ボックスの斜視図である。
【
図3B】設備鍵収納空間を開放した状態の設備鍵収納ボックスの斜視図である。
【
図7】鍵利用予定データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】鍵利用履歴データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】入館鍵貸出処理のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図11を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る鍵管理システム1について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0020】
本発明の鍵管理システム1は、建物の管理者又は警備担当者が不在の際に、保守事業者が、建物内の立入制限区画に入室して設備の保守作業を行うための鍵を貸借するために用いられる。ここで建物とは、住宅、商業施設、及び工場を含む建築物であって、土地を除く不動産である。以下の説明において、鍵管理システム1は、集合住宅で用いられることとして説明するが、これに限定されない。鍵管理システム1は、商業施設、工場、又は一般の住宅で用いることができる。
また、立入制限区画とは、施錠管理が行われることによって立ち入りが制限された部屋、又は空間である。立入制限区画には、住居、管理人室、警備室、及び設備室が含まれ、設備室には、電気設備(受変電設備等)が設置された電気室、エレベータ機械が設置されたエレベータ機械室、貯水槽が設置された貯水槽室等が含まれる。
【0021】
本明細書において用いられる「不動産ID」とは、不動産登記簿上の不動産番号(不動産登記された建物に対して付与される識別番号)を含み、土地及び建物を一意に識別可能な識別情報である。不動産IDは、不動産番号そのものであってもよいし、建物を構成するフロア、又は部屋(区分)を特定するための特定情報をさらに含んでいてもよい。
後述するように、保守対象の建物を、不動産IDを用いて特定することによって、複数の保守対象の建物を一意に特定することができる。また、公衆に利用可能な不動産番号によって不動産IDを構成することにより、建物内の設備の保守に関する履歴情報を蓄積し、不動産関連情報として公衆による利用に供することが可能となる。
【0022】
<鍵管理システム1の概要>
図1は、鍵管理システム1の概要を示す図である。
鍵管理システム1は、鍵管理サーバ60と、入館鍵収納ボックス10と、設備鍵収納ボックス30と、入館鍵50と、から主に構成されている。
鍵管理サーバ60は、集合住宅Hの鍵の利用を管理する役割を担う情報処理サーバであって、集合住宅Hを管理する管理業者、又は管理業者から委託を受けた委託業者によって運用されている。より詳細には、鍵管理サーバ60は、集合住宅Hに入館するために必要な入館鍵50と、集合住宅Hの立入制限区画である設備室に入室するための設備鍵55の利用を管理している。設備室には、電気設備(受変電設備等)が設置された電気室、エレベータ機械が設置されたエレベータ機械室、貯水槽が設置された貯水槽室等が含まれる。鍵管理サーバ60は、貴重品管理装置に相当する。
【0023】
入館鍵収納ボックス10は、集合住宅Hのエントランス周辺の屋外に配設されて、エントランスに設置された入館錠(オートロック錠)を解錠するための入館鍵50を収納している。また、入館鍵収納ボックス10は、集合住宅H内の管理人室に入室するための入室鍵を収納していてもよい。
入館鍵収納ボックス10は、施錠管理されており、鍵管理サーバ60が送信する解錠許可信号を受信して解錠操作されることによって解錠される。入館鍵収納ボックス10は、第一貴重品収納装置に相当する。
なお、入館鍵収納ボックス10には、集合住宅Hを一意に特定可能な不動産IDの表示媒体が付されている。
【0024】
設備鍵収納ボックス30は、集合住宅Hの屋内の管理人室に配設されて、設備鍵55を収納している。
設備鍵収納ボックス30は、施錠管理されており、上述した入館鍵収納ボックス10に収納されている入館鍵50を用いて解錠操作されることによって解錠される。設備鍵収納ボックス30は、第二貴重品収納装置に相当する。
【0025】
入館鍵50は、入館鍵収納ボックス10に収納されて、エントランスに設置された入館錠、管理人室、及び設備鍵収納ボックス30を施錠及び解錠するために用いられる。
設備鍵55は、設備鍵収納ボックス30に収納されて、設備室を解錠及び施錠するために用いられる。入館鍵50は第二貴重品収納装置鍵に相当し、設備鍵55は貴重品及び立入制限区画鍵に相当する。入館鍵50及び設備鍵55の詳細については後述する。
【0026】
保守事業者端末70は、集合住宅Hの共用設備の保守作業者、及び保守作業の責任者によって操作され、設備室に入室するための鍵の利用予定の入力、又は入館鍵収納ボックス10の解錠を依頼するために用いられる情報通信端末である。具体的には、保守事業者端末70は、スマートフォン、タブレット端末、PDAやデスクトップPCである。
【0027】
鍵管理サーバ60、入館鍵収納ボックス10、及び保守事業者端末70は、インターネット等の公衆に利用可能な通信回線によって相互に通信可能に接続されている。一方、設備鍵収納ボックス30は、鍵管理サーバ60及び保守事業者端末70と通信接続されていない。
【0028】
以下に、保守作業者が入館鍵50及び設備鍵55を借り受ける際の流れを、
図1を参照して説明する。
[1]保守作業者は、保守作業に先立って、保守事業者名と、認証番号と、集合住宅Hを特定可能な不動産IDと、保守予定日時と、設備室識別情報と、を含む鍵利用予定情報を鍵管理サーバ60に送信して登録する。ここで設備室識別情報とは、保守対象の設備が設置された設備室を識別可能な情報である。なお、鍵利用予定情報の登録に先立って、保守事業者の登録が行われることとしてもよい。鍵利用予定情報は、貴重品利用予定情報に相当する。
【0029】
[2]保守作業の当日、保守作業者は、保守事業者端末70を操作して、エントランスホールに設置された入館鍵収納ボックス10に付された不動産IDを取得する。詳細には、保守作業者は、保守事業者端末70を操作して二次元コードを読み取ることによって不動産IDを取得する。
[3]次に、保守事業者端末70は、保守作業者の操作によって、保守事業者名、不動産ID、現在時刻、認証番号を含む解錠要求信号を鍵管理サーバ60に送信する。ここで認証番号は、保守作業者を正当な作業者として認証するために用いられる情報であって、保守事業者端末70を操作する保守作業者によって入力される。解錠要求信号は、設備室識別情報を含んでいてもよい。
【0030】
[4]解錠要求信号を受信した鍵管理サーバ60は、予め登録された鍵利用予定情報と解錠要求信号を照合する。より詳細には、鍵管理サーバ60は、鍵利用予定情報及び解錠要求信号に含まれる保守事業者名、不動産ID、時刻情報、設備室識別情報、及び認証番号を比較し、所定の照合条件を満たすか否かを判定する。
[5]照合に成功した場合、鍵管理サーバ60は、入館鍵収納ボックス10に解錠許可信号を送信する。これにより、保守作業者は、管理人が不在であっても入館鍵収納ボックス10を解錠することが可能となる。
【0031】
[6]入館鍵収納ボックス10が解錠許可信号を受信すると、入館鍵収納ボックス10の解錠操作が有効化される。保守作業者が解錠操作を行うと、入館鍵収納ボックス10に配設されたカメラ15(
図2A及び
図2Bを参照)によって、保守作業者の撮影が行われる。
[7]撮影と同時、又は撮影の終了後に、入館鍵収納ボックス10が解錠される。これにより、保守作業者は、集合住宅Hに入館するための入館鍵50を入手することが可能となる。また、保守作業者は、入館鍵50によって設備鍵収納ボックス30を解錠することが可能となる。
【0032】
[8]入館鍵収納ボックス10が解錠されると、鍵利用実績情報が入館鍵収納ボックス10から鍵管理サーバ60に送信される。鍵利用実績情報は、入館鍵収納ボックス10が解錠された時刻情報、及び[6]で撮影された保守作業者の撮影画像を含んでいる。
[9]鍵管理サーバ60は、入館鍵収納ボックス10から鍵利用実績情報を受信すると、不動産IDと対応付けて記憶する。これにより、撮影画像を閲覧する際に、不動産IDで撮影画像を絞り込んで閲覧することが可能となり、管理業者による監視業務の負担の軽減を図ることが可能となる。
【0033】
[10]設備鍵収納ボックス30に、[7]で入手した入館鍵50が挿入されると、設備鍵収納ボックス30の解錠操作が有効化される。保守作業者が解錠操作を行うと、設備鍵収納ボックス30に配設されたカメラ35(
図3A及び
図3Bを参照)によって、保守事業者の撮影が行われる。
[11]撮影と同時、又は撮影の終了後に、設備鍵収納ボックス30が解錠される。これにより、保守作業者は、設備室に入室するための設備鍵55を借り受けることが可能となる。
【0034】
以上が、集合住宅Hの保守作業者が入館鍵50及び設備鍵55を借り受ける際の流れである。また、保守作業者は、鍵を借り受ける場合と同様に、上記の[2]から[11]と同様の流れによって、入館鍵50及び設備鍵55を返却することができる。
以上のように、保守作業者は、鍵の利用予定情報を事前に登録することにより、管理人や警備担当者が不在であっても、設備室に入室して保守業務を行うことが可能となる。
また、保守事業者は、集合住宅毎に発行される入館カードの携行や管理を行うことなく、円滑に複数の集合住宅Hの設備室に入室して保守作業を行うことが可能となる。
【0035】
<入館鍵収納ボックス10の外観>
最初に、鍵管理システム1を構成する入館鍵収納ボックス10について説明する。入館鍵収納ボックス10は、集合住宅Hのエントランスに設置されて、入館鍵50を収納している。ここで、入館鍵50は、集合住宅Hの入口に設置された錠、及び後述する設備鍵収納ボックス30の錠を施錠又は解錠するために用いられる鍵である。
入館鍵収納ボックス10は、後述する鍵管理サーバ60と電気通信回線を介して接続されて、鍵管理サーバ60が出力する解錠許可信号を取得すると解錠することが可能となる。
【0036】
図2A及び
図2Bは、入館鍵収納ボックス10の斜視図を示している。
図2Aは、入館鍵収納ボックス10の開閉扉12が入館鍵収納空間S1を閉鎖した状態の斜視図である。
図2Bは、入館鍵収納ボックス10の開閉扉12が入館鍵収納空間S1を開放した状態の斜視図である。
【0037】
図2Aに示すように、入館鍵収納ボックス10は、鍵収納箱本体11と、鍵収納箱本体11に対して開閉可能に設けられた開閉扉12と、を有している。
鍵収納箱本体11は、前壁を形成する操作受付部11aと、上壁11bと、左右の側壁11cと、底壁及び背壁からなる略直方体形状を有している。鍵収納箱本体11は、第一収納箱に相当する。
操作受付部11aには、不動産ID表示部13、解錠ボタン14、カメラ15、LED照明16、状態表示LED17、非常用シリンダー錠19及びICカードリーダ20が配設されている。
【0038】
不動産ID表示部13には、建物を一意に識別可能な不動産IDを二次元コード化したQRコード(登録商標)13aが印刷表示されている。不動産ID表示部13は、建物識別情報記憶媒体、及び二次元コード表示媒体に相当する。
なお、不動産ID表示部13は、QRコード13aの印刷表示に限定されない。例えば、操作受付部11aに液晶表示器を配設し、液晶表示器にQRコード13aを表示させることによって不動産IDが表示されてもよい。また、QRコード以外の二次元コードを用いて不動産IDが表示されることとしてもよい。不動産IDは、建物識別情報に相当する。
【0039】
解錠ボタン14は、開閉扉12を解錠するために押下されるボタンである。解錠ボタン14は、鍵管理サーバ60から解錠許可信号を受信すると有効化される。解錠ボタン14が有効化されたタイミングで解錠ボタン14を押下することによって、後述するカメラ15による撮影が行われるとともに、施錠装置18(
図4を参照)を解錠して開閉扉12を開くことができる。
カメラ15は、解錠ボタン14の上方であって、解錠ボタン14と近接する位置に配設されている。カメラ15は、解錠ボタン14と対向する位置で解錠ボタン14を操作する操作者(保守作業者)を撮影することが可能な位置及び方向に配設されている。
【0040】
後述するように、保守作業者が解錠ボタン14を操作したことを契機として、カメラ15による操作者の撮影が行われる。解錠ボタン14をカメラ15の下方に配置することによって、解錠ボタン14を右手で押下した場合であっても、左手で押下した場合であっても、手指や前腕によってカメラ15の撮影領域が覆われることなく保守作業者を撮影することが可能となる。
【0041】
LED照明16は、カメラ15の下方に配設されている。LED照明16は、複数のLED(Light Emitting Diode)を内蔵し、解錠ボタン14を操作する保守作業者に対して白色光を出力する。LED照明16を、カメラ15の撮影タイミングに合わせて点灯するように制御することによって、周囲の明るさが不足する状況においても、保守作業者の顔を明瞭に撮影することが可能となる。
【0042】
状態表示LED17は、解錠ボタン14の上方に配設されている。状態表示LED17は、解錠許可状態(解錠ボタン14が有効化されている状態であって、解錠ボタン14を押下することによって入館鍵収納ボックス10を解錠することが可能な状態)を報知する役割を担う。詳細に説明すると、状態表示LED17aは、鍵管理サーバ60から後述する解錠許可信号を受信した際に、所定時間(例えば30秒)点灯する。これにより、保守作業者に対して解錠許可状態を報知するとともに、解錠ボタン14の押下を促すことが可能となる。
【0043】
なお、状態表示LED17は、解錠許可状態の報知に限定されない。状態表示LED17は、入館鍵収納ボックス10の通電状態を表示することとしてもよい。詳細に説明すると、状態表示LED17は、入館鍵収納ボックス10に対する通電状態が良好な場合に緑色に点灯し、停電時、又は電源電圧が低下した場合には消灯もしくは赤色に点灯することによって通電状態を報知することとしてもよい。
【0044】
非常用シリンダー錠19は、停電等が発生した際に、非常用の鍵を用いて入館鍵収納ボックス10を解錠するために用いられるシリンダー錠である。
ICカードリーダ20は、保守作業者が所持する非接触ICカード(不図示)に記憶された認証情報の読み取りが可能な無線インターフェース装置である。ここで認証情報とは、保守作業者の認証に用いられる認証番号であるが、これに限定されない。認証情報は、ワンタイムパスワードであってもよい。非接触ICカードを携行する保守作業者は、保守対象の集合住宅Hに到着すると、入館鍵収納ボックス10のICカードリーダ20に、非接触ICカードを読み取らせることができる。認証情報を用いた入館鍵収納ボックス10の解錠手順については、後述する。
【0045】
図2Aに示すように、上壁11b及び側壁11cは、操作受付部11aよりも前方に突出する庇部11dを有している。これにより、入館鍵収納ボックス10が屋外に配設された場合であっても、入館鍵収納ボックス10の内部が雨水等で浸水することを防止することができる。
【0046】
また、上壁11b及び側壁11cの間には、左右両側に湾曲部11eが形成されている。これにより、入館鍵収納ボックス10が屋外に配設された場合であっても、近隣の住人が不用意に上壁11bと側壁11cの出隅部に接触して怪我をすることを防止することができる。ただし、入館鍵収納ボックス10の寸法及び形状は、
図2A及び
図2Bに示す寸法及び形状に限定されない。集合住宅Hのエントランスの構造等に合わせて適宜変更することができることは勿論である。
【0047】
図2Bは、入館鍵収納空間S1を開放した状態の入館鍵収納ボックス10を示している。鍵収納箱本体11の左側端部には、開閉扉12を開閉可能に連結するヒンジ(不図示)が取り付けられており、開閉扉12がヒンジを回転軸として回転にすることによって入館鍵収納空間S1が開放された状態となる。
開閉扉12は、入館鍵収納ボックス10の左側に位置する板状体であり、入館鍵収納空間S1を開放、又は閉鎖する。
【0048】
鍵収納箱本体11の内側には、開閉扉12の開閉を規制する施錠装置18(
図4を参照)が配設されているとともに、開閉扉12の内側には、係合片18aが固定されている。詳細に説明すると、施錠装置18は、左右に変位することによって開閉扉12の開閉を規制するロック部材(不図示)と、ロック部材を駆動するアクチュエータ(不図示)と、ロック部材と係合する係合片18aと、から構成されている。アクチュエータは、後述する制御装置25が出力する制御信号に基づいて、ロック部材が左右に変位するように駆動し、これにより開閉扉12の開閉を規制する。施錠装置18は、第一施錠装置に相当する。
【0049】
入館鍵収納空間S1には、入館鍵50が収納されている。
入館鍵50は、集合住宅Hのドアロックと、設備鍵収納ボックス30を施錠し、又は解錠するために用いられる鍵である。入館鍵50は、鍵本体51と、保守対象の立入制限区画である設備室を特定可能な設備室識別情報を格納する設備室記憶部52と、を有している。鍵本体51は、集合住宅Hのドアロックを解錠するための鍵である。鍵本体51は、さらに管理人室を施錠及び解錠するための鍵を有していてもよい。設備室記憶部52は、集合住宅Hの設備室を識別可能な設備室識別情報を格納する不揮発性メモリであって、設備鍵収納ボックス30を解錠するための鍵である。設備室記憶部52は、貴重品識別情報記憶媒体に相当する。
図2Bにおいて、鍵本体51は、複雑な凹凸形状を有する機械式のシリンダー鍵として図示されているが、これに限定されない。鍵本体51は、所定の識別情報が格納された電気式、又は光学式の鍵であってもよい。
【0050】
入館鍵収納ボックス10には、入館鍵50の設備室記憶部52を挿入可能な複数の入館鍵挿入口21が形成されている。入館鍵挿入口21の内部には、設備室記憶部52と電気的に接続することにより設備室記憶部52に記憶された設備室識別情報の読み取り及び書き込みが可能な入館鍵インターフェース22(
図4を参照)が設けられている。設備室識別情報は、入館鍵50を利用して設備鍵収納ボックス30を解錠した際に、設備鍵収納ボックス30に収納された複数の設備鍵55のうち、保守対象の設備室に入室するための設備鍵55を特定するために用いられる。
【0051】
また、入館鍵挿入口21の内部には、入館鍵挿入口21から入館鍵50の取り出しを規制する入館鍵ロック装置23(
図4を参照)が内蔵されている。そして設備室記憶部52には、入館鍵ロック装置23と係合する被ロック部52aが形成されている。詳細に説明すると、入館鍵ロック装置23は、入館鍵50の取り出しを規制するロック状態と、入館鍵50の取り出しを規制しない非ロック状態との間で変位することができる。入館鍵ロック装置23は、施錠装置18の施錠とともにロック状態となり、施錠装置18の解錠とともに非ロック状態となる。
【0052】
図2Bにおいて、入館鍵収納ボックス10には、2つの入館鍵挿入口21が形成されているが、これに限定されない。入館鍵挿入口21は1つであってもよいし、3つ以上形成さていてもよい。また、入館鍵収納ボックス10には、入館鍵50の他に、保守作業者が正当な保守作業者であることを認証するための認証装置(例えば暗証番号入力装置)等が収納されていてもよい。
【0053】
入館鍵収納ボックス10の内側であって入館鍵収納空間S1の右側には、後述する通信装置24及び制御装置25(
図4を参照)が収納されている。通信装置24は、鍵管理サーバ60とインターネット等の通信回線を介して通信可能な通信インターフェース回路である。通信装置24は、カメラ15によって取得された撮影画像を鍵管理サーバ60に送信する。制御装置25については後述する。
【0054】
<設備鍵収納ボックス30の外観>
次に、設備鍵収納ボックス30について説明する。設備鍵収納ボックス30は、集合住宅Hの管理人室に設置されて、設備鍵55を収納している。ここで設備鍵55は、電気室、エレベータ機械室、又は貯水槽室等の立入制限区画の錠を施錠又は解錠するために用いられる鍵である。
設備鍵収納ボックス30は、入館鍵50によって解錠される。
【0055】
図3A及び
図3Bは、設備鍵収納ボックス30の斜視図を示している。
図3Aは、設備鍵収納ボックス30の開閉扉32が設備鍵収納空間S2を閉鎖した状態の斜視図である。
図3Bは、設備鍵収納ボックス30の開閉扉32が設備鍵収納空間S2を開放した状態の斜視図である。
【0056】
図3Aに示すように、設備鍵収納ボックス30は、鍵収納箱本体31と、鍵収納箱本体31に対して開閉可能に設けられた開閉扉32と、を有している。
鍵収納箱本体31は、略直方体形状を有する箱状体であって、前壁を構成する操作受付部31aを有している。操作受付部31aには、入館鍵挿入口33、解錠ボタン34、カメラ35、LED照明36、状態表示LED37、及び非常用シリンダー錠39が配設されている。鍵収納箱本体31は、第二収納箱に相当する。
【0057】
入館鍵挿入口33は、入館鍵50の設備室記憶部52を挿入可能な挿入口である。入館鍵挿入口33の内部には、設備室記憶部52と電気的に接続することにより設備室記憶部52に記憶された設備室識別情報の読み取りが可能な入館鍵インターフェース41(
図5を参照)が設けられている。設備鍵収納ボックス30の制御装置45は、入館鍵インターフェース41を介して設備室記憶部52に記憶された設備室識別情報を取得することができる。
【0058】
解錠ボタン34は、開閉扉32を解錠するために押下されるボタンである。解錠ボタン34は、入館鍵挿入口33に入館鍵50が挿入されると有効化される。解錠ボタン34が有効化されたタイミングで解錠ボタン34を押下することによって、後述するカメラ35による撮影が行われるとともに、施錠装置38(
図5を参照)を制御して開閉扉32を開くことができる。解錠ボタン34は、解錠操作手段に相当する。
カメラ35は、解錠ボタン34の上方であって、解錠ボタン34と近接する位置に配設されている。カメラ35は、解錠ボタン34と対向する位置で解錠ボタン34を操作する操作者(保守作業者)を撮影することが可能な位置及び方向に配設されている。カメラ35は、撮影装置に相当する。
【0059】
後述するように、保守作業者が解錠ボタン34を操作したことを契機として、カメラ35による操作者の撮影が行われる。解錠ボタン34をカメラ35の下方に配置することによって、解錠ボタン34を右手で押下した場合であっても、左手で押下した場合であっても、手指や前腕によってカメラ35の撮影領域が覆われることなく保守作業者を撮影することが可能となる。
【0060】
LED照明36は、カメラ35の下方に配設されている。LED照明36は、複数のLEDを内蔵し、解錠ボタン34を操作する保守作業者に対して白色光を出力する。LED照明36を、カメラ35の撮影タイミングに合わせて点灯するように制御することによって、周囲の明るさが不足する状況においても、保守作業者の顔を明瞭に撮影することが可能となる。
【0061】
状態表示LED37は、解錠ボタン34の上方に配設されている。状態表示LED37は、入館鍵挿入口33に入館鍵50が挿入されてから所定時間(例えば30秒)点灯する。これにより、保守作業者に対して解錠許可状態を報知するとともに、解錠ボタン34の押下を促すことが可能となる。
状態表示LED37は、解錠許可状態の報知に限定されない。状態表示LED37は、設備鍵収納ボックス30の通電状態を表示することとしてもよい。
【0062】
非常用シリンダー錠39は、停電等が発生した際に、非常用の鍵を用いて開閉扉32を解錠するために用いられるシリンダー錠である。
【0063】
図3Bは、設備鍵収納空間S2を開放した状態の設備鍵収納ボックス30を示している。鍵収納箱本体31の左側端部には、開閉扉32を開閉可能に連結するヒンジ(不図示)が取り付けられており、開閉扉32がヒンジを回転軸として回転にすることによって設備鍵収納空間S2が開放された状態となる。
開閉扉32は、設備鍵収納ボックス30の前面を覆う板状体であり、設備鍵収納空間S2を開放、又は閉鎖する。
【0064】
鍵収納箱本体31の内側には、開閉扉32の開閉を規制する施錠装置38(
図5を参照)が配設されているとともに、開閉扉32の内側には、係合片38aが固定されている。詳細に説明すると、施錠装置38は、左右に変位することによって開閉扉32の開閉を規制するロック部材(不図示)と、ロック部材を駆動するアクチュエータ(不図示)と、ロック部材と係合する係合片38aと、から構成されている。アクチュエータは、後述する制御装置45が出力する制御信号に基づいて、ロック部材が左右に変位するように駆動し、これにより開閉扉32の開閉を規制する。施錠装置38は、第二施錠装置に相当する。
【0065】
設備鍵収納空間S2には、設備鍵55が収納されている。
設備鍵55は、設備室を施錠し、又は解錠するために用いられる鍵である。設備鍵55は、鍵本体56と、保守対象の設備室を特定可能な設備室識別情報を格納する設備室記憶部57と、を有している。鍵本体51は、設備室のドアロックを解錠するための鍵である。設備室記憶部57は、設備室識別情報を格納する不揮発性メモリである。設備室記憶部57は、第二貴重品識別情報記憶媒体に相当する。
図3Bにおいて、鍵本体56は、複雑な凹凸形状を有する機械式のシリンダー鍵として図示されているが、これに限定されない。鍵本体56は、所定の識別情報が格納された電気式、又は光学式の鍵であってもよい。
【0066】
設備鍵収納ボックス30には、設備鍵55の設備室記憶部57を挿入可能な複数の設備鍵挿入口40が形成されている。設備鍵挿入口40の内部には、設備室記憶部57と電気的に接続することにより設備室記憶部57に記憶された設備室識別情報の読み取りが可能な設備鍵インターフェース42(
図5を参照)が設けられている。
【0067】
また、設備鍵挿入口40の内部には、設備鍵挿入口40から設備鍵55の取り出しを規制する設備鍵ロック装置43(
図5を参照)が内蔵されている。そして設備室記憶部57には、設備鍵ロック装置43と係合する被ロック部57aが形成されている。詳細に説明すると、設備鍵ロック装置43は、設備鍵55の取り出しを規制するロック状態と、設備鍵55の取り出しを規制しない非ロック状態との間で変位することができる。設備鍵ロック装置43は、入館鍵50が入館鍵挿入口33に挿入された際に、入館鍵50の設備室記憶部52に記憶された設備室識別情報と同一の設備室識別情報が記憶された設備鍵55の取り出しが可能となるように規制が解除される。設備鍵ロック装置43は、規制手段に相当する。
【0068】
図3Bにおいて、設備鍵収納ボックス30には、11個の設備鍵挿入口40が形成されているが、これに限定されない。より多数の設備鍵挿入口40が形成されていてもよい。設備鍵収納ボックス30には、集合住宅Hの立入制限区画の数に対応して、15個から30個の設備鍵挿入口40が形成されてもよい。
【0069】
<入館鍵収納ボックス10の構成>
次に、入館鍵収納ボックス10の構成について説明する。
図4は、入館鍵収納ボックス10の構成を示している。制御装置25は、解錠ボタン14、カメラ15、ICカードリーダ20、入館鍵インターフェース22、LED照明16、状態表示LED17、施錠装置18、入館鍵ロック装置23、通信装置24と接続されて、入館鍵収納ボックス10の制御を司る。制御装置25は、プロセッサと、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、を有している。制御装置25のプロセッサが、不揮発性メモリに格納されたプログラムを読み込んで順次実行することによって、制御装置25は、後述する解錠許可信号取得部25a、撮影制御部25b、施錠制御部25c、及び状態制御部25dとして機能する。制御装置25は、第一施錠制御装置に相当する。
【0070】
解錠許可信号取得部25aは、通信装置24を介して鍵管理サーバ60が送信する解錠許可信号を取得する。解錠許可信号取得部25aは、解錠許可信号を取得すると、状態表示LED17が点灯するように制御する。また、解錠許可信号取得部25aは、解錠許可信号を取得したことを撮影制御部25b、施錠制御部25c及び状態制御部25dに通知する。ここで解錠許可信号には設備室識別情報が含まれている。
【0071】
撮影制御部25bは、解錠許可信号取得部25aから解錠許可信号の通知を受けると、解錠ボタン14に対する操作を有効化する。換言すると、撮影制御部25bは、解錠許可信号の通知を受けてから所定時間(例えば30秒間)、解錠ボタン14が押下されるまで待機する。そして、解錠ボタン14が押下されると、撮影制御部25bは、LED照明16を点灯させることによって保守作業者を明るく照らすとともに、カメラ15で保守作業者を撮影する。また、撮影制御部25bは、撮影と同時、又は撮影の終了後に施錠制御部25cに対して撮影を通知する。
解錠許可信号取得部25aから解錠許可信号の通知を受けてから所定時間内に解錠ボタン14が操作されなかった場合、解錠ボタン14は無効化される。換言すると、撮影制御部25bは、解錠ボタン14が操作されても撮影を行わない。
【0072】
施錠制御部25cは、撮影制御部25bから撮影の通知を受けると、解錠許可信号取得部25aが取得した設備室識別情報を、入館鍵インターフェース22を介して入館鍵50の設備室記憶部52に記憶する。また、施錠制御部25cは、施錠装置18を解錠して開閉扉12を開閉可能とする。
また、施錠制御部25cは、施錠装置18を解錠した日時、及びカメラ15によって取得された保守作業者の撮影画像を含む鍵利用実績情報を、通信装置24を介して鍵管理サーバ60に送信する。
【0073】
状態制御部25dは、解錠許可信号取得部25aから解錠許可信号の通知を受けると、カメラ15をスリープ状態から通常状態に遷移させる。ここで通常状態とは、カメラ15が通常の消費電力で動作する状態であって、カメラ15の前方に位置する被写体に対して自動的に焦点を合わせて撮影を行うことができる状態である。一方、スリープ状態とは、通常状態の消費電力よりも低い消費電力で動作する状態である。換言すると、低消費電力状態は、解錠許可信号を受信待機している状態であって、被写体を撮影することはできない。
【0074】
状態制御部25dは、カメラ15を通常状態とスリープ状態との間で遷移させるように制御する。また、状態制御部25dは、解錠許可信号を取得すると、カメラ15をスリープ状態から通常状態に遷移させるとともに、撮影が終了した後に、カメラ15を通常状態からスリープ状態に遷移させる。これにより、カメラ15の消費電力を抑制することができ、鍵管理システム1の省エネルギー性の向上を図ることが可能となる。
【0075】
<設備鍵収納ボックス30の構成>
次に、設備鍵収納ボックス30の構成について説明する。
図5は、設備鍵収納ボックス30の機能構成を示している。制御装置45は、解錠ボタン34、カメラ35、入館鍵インターフェース41、設備鍵インターフェース42、LED照明36、状態表示LED37、施錠装置38、設備鍵ロック装置43、記憶部44と接続されて、設備鍵収納ボックス30の制御を司る。制御装置45は、プロセッサと、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、を有している。制御装置45のプロセッサが、不揮発性メモリに格納されたプログラムを読み込んで順次実行することによって、制御装置45は、後述する設備室識別情報取得部45a、撮影制御部45b、施錠制御部45c、及び状態制御部45dとして機能する。制御装置45は、第二施錠制御装置に相当する。
【0076】
設備室識別情報取得部45aは、入館鍵インターフェース41を介して、入館鍵挿入口33に挿入された入館鍵50の設備室記憶部52から設備室識別情報を取得する。設備室識別情報取得部45aは、設備室識別情報を取得すると、状態表示LED37が点灯するように制御する。また、設備室識別情報取得部45aは、設備室識別情報を取得したことを撮影制御部45b、施錠制御部45c、及び状態制御部45dに通知する。
【0077】
撮影制御部45bは、設備室識別情報取得部45aから通知を受けると、解錠ボタン34に対する操作を有効化する。換言すると、撮影制御部45bは、通知を受けてから所定時間(例えば30秒間)、解錠ボタン34が押下されるまで待機する。そして、解錠ボタン34が押下されると、撮影制御部45bは、LED照明36を点灯させることによって保守作業者を明るく照らすとともに、カメラ35で保守作業者を撮影する。また、撮影制御部45bは、撮影と同時、又は撮影の終了後に施錠制御部45cに対して撮影を通知する。
設備室識別情報取得部45aから通知を受けてから所定時間内に解錠ボタン34が操作されなかった場合、解錠ボタン34は無効化される。換言すると、撮影制御部45bは、解錠ボタン34が操作されても撮影を行わない。
【0078】
施錠制御部45cは、設備鍵インターフェース42を介して設備鍵55の設備室記憶部52に記憶された設備室識別情報を読み取って、入館鍵50から読み出した設備室識別情報と比較する。続いて施錠制御部45cは、比較結果に基づいて設備鍵55の取り出しが可能となるように設備鍵ロック装置3による規制を解除するように制御する。具体的には、施錠制御部45cは、設備室識別情報が一致した場合、設備鍵55の取り出しの規制を解除し、設備室識別情報が一致しない場合、設備鍵55の取り出しの規制を解除しない(ロック解除しない)。なお、設備鍵インターフェース42を介して設備室識別情報を読み取ることができなかった場合、施錠制御部45cは、設備鍵挿入口40に設備鍵55が挿入されていないと判定してもよい。また、施錠制御部45cは、施錠装置38を制御して開閉扉32を開放可能とする。
続いて施錠制御部45cは、施錠装置38を解錠した時刻、及び設備室識別情報を含む鍵利用実績情報を鍵利用履歴データベース44aに記憶するとともに、カメラ35によって撮影された保守作業者の撮影画像を撮像画像記憶部44bに記憶する。
【0079】
状態制御部45dは、上述した入館鍵収納ボックス10の状態制御部25dと同様に、カメラ35を通常状態とスリープ状態との間で遷移させるように制御し、カメラ35の消費電力を抑制する。これにより、鍵管理システム1の省エネルギー性の向上を図ることが可能となる。
【0080】
<鍵管理サーバ60の構成>
次に、鍵管理サーバ60の構成について説明する。
図6は、鍵管理サーバ60の構成を示している。
図6に示すように、鍵管理サーバ60は、入力装置61、通信装置62、記憶部63、及び制御装置64を、主な構成として有している。
入力装置61は、キーボードやマウスからなる入力デバイスであり、鍵管理サーバ60を管理する管理者等の入力を受け付けることができる。
【0081】
通信装置62は、インターネット等の電気通信回線に接続され、入館鍵収納ボックス10や保守事業者端末70と双方向でデータ通信を行う。具体的には、通信装置62は、入館鍵収納ボックス10に対して解錠許可信号を送信するとともに、保守事業者端末70から解錠要求信号を受信する。
【0082】
記憶部63は、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の補助記憶装置である。記憶部63には、保守事業者データベース63aと、鍵利用予定データベース63bと、鍵利用履歴データベース63cと、撮像画像記憶部63dと、が格納されるとともに、後述する制御装置64が実行するプログラムが格納されている。
【0083】
保守事業者データベース63aは、鍵管理システム1を利用する保守事業者に関する情報を格納している。より詳細には、保守事業者データベース63aは、建物の設備室における保守作業を行う保守事業者を特定可能な保守事業者名、住所、及び連絡先を格納している。また、保守事業者データベース63aは、保守作業を行う保守作業者(担当者)、及び責任者の氏名を格納することとしてもよい。
【0084】
鍵利用予定データベース63bは、入館鍵50及び設備鍵55の利用予定に関する情報を格納している。鍵利用予定データベース63bは、保守作業者又は責任者が保守事業者端末70を介して鍵管理サーバ60にアクセスして更新される。ただし、鍵利用予定データベース63bは、集合住宅Hの管理人によって更新されることとしてもよい。鍵利用予定データベース63bは、貴重品利用予定情報記憶部に相当する。
【0085】
図7は、鍵利用予定データベース63bのデータ構造の一例を示している。
図7に示すように、鍵利用予定データベース63bは、保守IDと、保守事業者と、認証番号と、不動産IDと、保守予定日と、保守予定時刻と、設備室と、を含むデータレコードから構成されてる。
【0086】
保守IDは、保守作業を特定可能な識別番号である。
保守事業者は、保守契約を結んだ保守事業者の名称が格納されるが、これに限定されない。保守作業を行う予定の保守作業者(担当者)、又は責任者を特定可能な情報が格納されてもよい。
認証番号は、保守作業者の正当性を認証するために、保守作業者又は建物の管理人によって秘密に管理される情報であって、後述する照合部64dが解錠要求信号と鍵利用予定情報とを照合する際に用いられる情報である。
【0087】
不動産IDは、保守対象の建物を一意に特定可能な識別情報である。保守対象を不動産IDによって特定することで、複数の保守対象の建物を効率的に管理することができるとともに、保守対象の建物を混同してしまう事態の発生を回避することができる。
保守予定日及び保守予定時刻は、予め定められた保守計画に基づいて定められる保守予定日時である。
設備室は、保守の対象とする設備が設置された設備室を識別可能な設備室識別情報である。設備室識別情報は、設備室を解錠するために必要な設備鍵55を識別することができる。換言すると、設備室識別情報は、貴重品識別情報に相当する。
【0088】
図6に戻って、鍵利用履歴データベース63cは、設備室の鍵の利用実績に関する情報が格納されている。鍵利用履歴データベース63cは、鍵利用履歴更新部64fによって更新される。ただし、鍵利用履歴データベース63cは、集合住宅Hの管理人によって更新されてもよい。
【0089】
図8は、鍵利用履歴データベース63cのデータ構造の一例を示している。
図8に示すように、鍵利用履歴データベース63cは、保守IDと、保守事業者と、不動産IDと、保守実施日と、保守実施時刻と、設備室と、画像ファイルと、を含むデータレコードから構成されている。
【0090】
保守IDは、保守作業を特定可能な識別番号である。
保守事業者は、保守作業を実施した保守事業者の名称が格納されるが、これに限定されない。保守作業を実施した担当者、又は責任者を特定可能な情報が格納されてもよい。
【0091】
不動産IDは、保守対象の建物を一意に特定可能な識別情報である。
保守実施日及び保守実施時刻は、鍵が貸与されて保守作業が開始された日時と、鍵が返却されて保守作業が終了した日時である。
設備室は、保守対象の設備が設置された設備室の設備室識別情報である。
撮影画像ファイルは、上述した入館鍵収納ボックス10に配設されたカメラ15によって撮影された撮影画像のファイル名である。後述するように、入館鍵収納ボックス10のカメラ15によって撮影された撮影画像は、撮像画像記憶部63dに記憶される。
【0092】
図6に戻って、撮像画像記憶部63dは、入館鍵収納ボックス10のカメラ15によって撮影された保守作業者の撮影画像を記憶している。撮像画像記憶部63dに記憶される撮影画像は、公知の画像圧縮アルゴリズムによって圧縮された静止画像であるが、これに限定されない。撮像画像記憶部63dに記憶される撮影画像は、動画像であってもよい。
【0093】
制御装置64は、CPUと、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、を有し、鍵管理サーバ60の制御を司る。制御装置64のCPUは、記憶部63に格納されたプログラムを揮発性メモリにロードして順次実行する。これにより、制御装置64は、後述する保守事業者登録部64a、鍵利用予定登録部64b、解錠要求信号取得部64c、照合部64d、解錠許可信号出力部64e、鍵利用履歴更新部64f、及び撮影画像抽出部64gとして機能する。
【0094】
保守事業者登録部64aは、保守事業者を保守事業者データベース63aに登録する。より詳細には、保守事業者登録部64aは、後述する保守事業者端末70の保守事業者情報出力部75a(
図9を参照)が出力する保守事業者に関する情報を取得して保守事業者データベース63aに登録する。
【0095】
鍵利用予定登録部64bは、入館鍵50及び設備鍵55の利用予定に関する鍵利用予定情報を、鍵利用予定データベース63bに登録する。より詳細には、鍵利用予定登録部64bは、後述する保守事業者端末70の鍵利用予定情報出力部75bが出力する鍵利用予定情報を取得して鍵利用予定データベース63bに登録する。鍵利用予定情報には、設備室識別情報が含まれる。
【0096】
解錠要求信号取得部64cは、入館鍵収納ボックス10の解錠を要求する解錠要求信号を、保守事業者端末70から取得する。より詳細には、解錠要求信号取得部64cは、後述する保守事業者端末70の解錠要求信号出力部75cが出力する解錠要求信号を取得し、取得した解錠要求信号を照合部64dに出力する。解錠要求信号は、保守事業者名と、保守対象の不動産IDと、時刻情報と、設備室識別情報と、認証番号と、を含んでいる。
【0097】
照合部64dは、解錠要求信号を取得すると、鍵利用予定データベース63bに記憶された鍵利用予定情報と解錠要求信号とを照合する。より詳細には、照合部64dは、鍵利用予定情報に含まれる保守事業者名及び不動産IDが、解錠要求信号に含まれる保守事業者名及び不動産IDと一致するか否かを判定する。また、照合部64dは、鍵利用予定情報に含まれる保守予定日時と解錠要求信号に含まれる時刻情報が、所定の時間差以内であるか否かを判定する。また、照合部64dは、鍵利用予定情報に含まれる認証番号と解錠要求信号に含まれる認証番号が一致するか否かを判定する。以上の判定結果に基づいて、解錠要求信号と鍵利用予定情報の照合に成功した場合、照合部64dは、解錠許可信号出力部64eに対して、照合成功を示す信号を出力する。
【0098】
照合部64dは、保守事業者名と、不動産IDと、時刻情報と、認証番号と、による照合を行うこととして説明したが、これに限定されない。照合部64dは、保守事業者名と、不動産IDと、認証番号のみに基づいて照合してもよい。また、照合部64dは、設備室識別情報を照合してもよい。
【0099】
解錠許可信号出力部64eは、照合部64dの照合結果に基づいて、入館鍵収納ボックス10の解錠を許可する解錠許可信号を入館鍵収納ボックス10に送信する。
【0100】
鍵利用履歴更新部64fは、設備室の鍵の利用実績に関する情報を、鍵利用履歴データベース63c及び撮像画像記憶部63dに格納する。より詳細には、鍵利用履歴更新部64fは、入館鍵収納ボックス10の施錠制御部25cが出力する鍵利用実績情報を受信して、鍵利用履歴データベース44aを更新するとともに、撮像画像記憶部44bに撮影画像を格納する。
【0101】
撮影画像抽出部64gは、指定された条件を満たす撮影画像を撮像画像記憶部63dから抽出して出力する。具体的には、撮影画像抽出部64gは、入力された不動産IDと対応付けて記憶された撮影画像を、撮像画像記憶部63dから抽出して出力することができる。また、撮影画像抽出部64gは、入力された保守実施日、又は保守事業者の条件を満たす撮影画像を、撮像画像記憶部63dから抽出して出力することも可能である。このように、指定された条件を満たす撮影画像を抽出して出力することにより、鍵の利用を監視する際の負担を軽減することが可能となる。
【0102】
<保守事業者端末70の構成>
次に、保守事業者端末70の構成について説明する。
図9は、保守事業者端末70の構成を示している。
図9に示すように、保守事業者端末70は、入力装置71と、QRコードリーダ72と、GPS受信装置73と、通信装置74と、制御装置75と、を主な構成として有している。
【0103】
入力装置71は、キーボードやマウスからなる入力デバイスであり、保守作業を行う保守作業者、又は責任者の入力を受け付けることができる。
QRコードリーダ72は、入館鍵収納ボックス10の鍵収納箱本体11に付されたQRコード13aを読み取り可能な光学式読取器である。
【0104】
GPS受信装置73は、GPS(Global Positioning System)衛星が送信する信号を受信して位置情報を取得する通信装置である。GPS受信装置73によって、保守事業者端末70又は集合住宅Hの位置情報を取得することができる。
通信装置74は、インターネット等の電気通信回線に接続されて、鍵管理サーバ60と双方向でデータ通信を行う通信インターフェース装置である。具体的には、通信装置74は、鍵管理サーバ60に対して後述する保守事業者情報、及び鍵利用予定情報を送信する。また、通信装置74は、鍵管理サーバ60に対して後述する解錠要求信号を送信する。
【0105】
制御装置75は、CPUと、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、を有し、保守事業者端末70の制御を司る。制御装置75のCPUは、不揮発性メモリに格納されたプログラムを揮発性メモリにロードして順次実行する。これにより、制御装置75は、後述する保守事業者情報出力部75a、鍵利用予定情報出力部75b、及び解錠要求信号出力部75cとして機能する。
【0106】
保守事業者情報出力部75aは、保守事業者を鍵管理サーバ60に登録するための登録情報を、鍵管理サーバ60に送信する。より詳細には、保守事業者情報出力部75aは、入力装置71を介して入力された保守事業者名、住所、及び連絡先を含む情報を、登録情報として鍵管理サーバ60に送信する。送信された登録情報は、鍵管理サーバ60の保守事業者登録部64aによって保守事業者データベース63aに登録される。なお、登録情報は、保守事業者名、住所、及び連絡先に加えて、保守作業担当者及び責任者に関する情報を含んでいてもよい。
【0107】
鍵利用予定情報出力部75bは、設備室の鍵の利用予定に関する情報を、鍵管理サーバ60に対して送信する。より詳細には、鍵利用予定情報出力部75bは、入力装置71を介して入力された保守事業者名、認証番号、保守対象の建物の不動産ID、保守予定日、保守予定時刻、保守対象の設備室識別情報を、鍵利用予定情報として鍵管理サーバ60に送信する。送信された鍵利用予定情報は、鍵管理サーバ60の鍵利用予定登録部64bによって鍵利用予定データベース63bに登録される。
【0108】
解錠要求信号出力部75cは、解錠要求信号を鍵管理サーバ60に送信する。より詳細には、保守対象の建物のエントランスホールで、入館鍵収納ボックス10に付されたQRコード13aが読み取られると、解錠要求信号出力部75cは、QRコード13aを復号化して不動産IDを取得する。次に解錠要求信号出力部75cは、保守事業者名、不動産ID、現在日時、及び認証番号からなる解錠要求信号を生成して鍵管理サーバ60に送信する。認証番号は、保守作業者によって、入力装置71を介して入力されてもよいし、保守作業者が所持するICカードを読み取ることによって入力されることとしてもよい。また、解錠要求信号は、保守対象の設備が設置された設備室の設備室識別情報を含んでいてもよい。
【0109】
<鍵貸出処理>
次に、保守事業者に対する入館鍵50及び設備鍵55の貸し出しの流れについて説明する。
保守事業者に対する鍵の貸し出しは、第一段階として入館鍵50の貸し出しを行う入館鍵貸出処理と、第二段階として設備鍵55の貸し出しを行う設備鍵貸出処理と、が行われる。第一段階の入館鍵貸出処理は、電気通信回線を介して通信接続された保守事業者端末70と、入館鍵収納ボックス10と、鍵管理サーバ60と、によって実行される。そして、第二段階の設備鍵貸出処理は、電気通信回線を介した通信を行うことなく、設備鍵収納ボックス30によって実行される。これにより、良好な電波環境に設置された入館鍵収納ボックス10内の入館鍵50の貸し出しと、必ずしも良好ではない電波環境に設置された設備鍵収納ボックス30内の設備鍵55の貸し出しを、複雑な制御を行うことなく実現することが可能となる。
【0110】
<<入館鍵貸出処理>>
最初に、第一段階の入館鍵貸出処理のシーケンスについて説明する。上述したように、入館鍵貸出処理は、保守事業者端末70、入館鍵収納ボックス10及び鍵管理サーバ60によって実行される処理である。なお、入館鍵貸出処理の実行に先立って、鍵利用予定情報の登録が行われ、鍵管理サーバ60の鍵利用予定データベース63bには鍵利用予定情報が格納されていることとして説明する。
【0111】
図10は、入館鍵貸出処理のシーケンスを示している。
図10に示すように、保守作業者は、保守対象の集合住宅Hに到着すると、エントランスホールに設置された入館鍵収納ボックス10のQRコード13aの読み取りを行う。保守事業者端末70の制御装置75は、QRコードリーダ72によってQRコード13aが読み取られたか否かを判定する(ステップS10)。QRコード13aが読み取られたと判定されなかった場合(ステップS10:No)、QRコード13aが読み取られるまで待機する。
【0112】
QRコード13aが読み取られたと判定された場合(ステップS10:Yes)、制御装置75は、保守事業者端末70の入力装置71を介して鍵の貸出及び返却のいずれかが選択されたか否かを判定する(ステップS12)。より詳細には、制御装置75は、保守事業者端末70の表示装置に、鍵の貸出を希望するか、又は返却を希望するかを選択するための入力画面を表示させる。このとき、保守作業者が保守作業を開始するために鍵の貸出を希望する場合には、貸出が選択される。一方、保守作業が終了し、鍵の返却を希望する場合には、返却が選択される。
鍵の貸出及び返却のいずれかが選択されたと判定されなかった場合(ステップS12:No)、制御装置75は、選択されるまで待機する。
【0113】
鍵の貸出又は返却が選択されたと判定された場合(ステップS12:Yes)、制御装置75は、保守事業者端末70の入力装置71を介して認証番号が入力されたか否かを判定する(ステップS14)。より詳細には、制御装置75は、保守事業者端末70の表示装置に認証番号の入力欄を表示させて、認証番号の入力を受け付ける。また、制御装置75は、保守作業者が所持するICカードから読み取ることによって認証番号を取得してもよい。
認証番号が入力されたと判定されなかった場合(ステップS14:No)、制御装置75は、認証番号が入力されるまで待機する。
【0114】
認証番号が入力されたと判定された場合(ステップS14:Yes)、制御装置75は、解錠要求信号を生成し、鍵管理サーバ60に送信する(ステップS16)。ここで解錠要求信号は、保守事業者名と、ステップS10で読み取ったQRコード13aに符号化された不動産IDと、現在時刻と、保守作業の対象とする設備に関する情報と、ステップS14で取得した認証番号と、を含んでいる。解錠要求信号は、さらに設備室識別情報を含んでいてもよい。
【0115】
鍵管理サーバ60の制御装置64は、解錠要求信号を受信すると、鍵利用予定データベース63bにアクセスして鍵利用予定情報を取得する(ステップS18)。より詳細には、制御装置64は、鍵利用予定データベース63bに蓄積された鍵利用予定情報のうち、解錠要求信号に含まれる保守事業者名と一致する保守事業者が格納されたレコードを取得する。
【0116】
次に、鍵管理サーバ60の制御装置64は、鍵利用予定情報と解錠要求信号を照合する(ステップS20)。より詳細には、制御装置64は、最初に鍵利用予定情報と解錠要求信号に含まれる不動産IDが一致するか否かを判定する。不動産IDが一致する場合には、鍵利用予定情報に含まれる保守予定日時が、解錠要求信号に含まれる現在時刻情報と所定の時間差以内であるか否かを判定する。保守予定日時と現在時刻情報が所定の時間差以内である場合には、鍵利用予定情報と解錠要求信号に含まれる認証番号が一致するか否かを判定する。以上の照合処理に成功した場合、制御装置64は、入館鍵収納ボックス10の解錠を許可する解錠許可信号を入館鍵収納ボックス10に送信する(ステップS22)。一方、照合に失敗した場合、制御装置64は、照合に失敗したことを保守事業者端末70に通知する。ここで、解錠許可信号には、設備室識別情報が含まれている。また、制御装置64は、さらに設備室識別情報を照合してもよい。
【0117】
入館鍵収納ボックス10の制御装置25は、解錠許可信号を受信すると、解錠ボタン14に対する操作を有効化する(ステップS24)。そして制御装置25は、状態表示LED17を点灯させることによって、解錠ボタン14を操作するように保守作業者を促す。また、制御装置25は、音声信号を出力することによって解錠ボタン14の操作を促すこととしてもよい。
【0118】
次に、制御装置25は、解錠ボタン14が押下されたか否かを判定する(ステップS26)。解錠ボタン14が押下されたと判定されなかった場合(ステップS26:No)、制御装置25は、解錠ボタン14が押下されるまで待機する。
【0119】
解錠ボタン14が押下されたと判定された場合(ステップS26:Yes)、制御装置25は、カメラ15を制御して保守作業者を撮影する(ステップS28)。より詳細には、制御装置25は、解錠ボタン14と対向する位置にいる保守事業者をLED照明16によって照射するとともに、カメラ15を制御して保守作業者を撮影する。このように、保守作業者に解錠ボタン14を操作させることにより、保守作業者を解錠ボタン14と対向させ、保守作業者の正面写真を効果的に取得することが可能となる。
【0120】
次に、制御装置25は、入館鍵インターフェース22を介して、入館鍵50の設備室記憶部52にステップS22で取得した設備室識別情報を記憶する(ステップS30)。また、制御装置25は、入館鍵ロック装置23をロック解除状態とする(ステップS32)。具体的には、制御装置25は、入館鍵ロック装置23に対して駆動信号を送信して、入館鍵50を入館鍵挿入口21から取り出し可能な状態にする。
【0121】
次に、制御装置25は、施錠装置18を制御して入館鍵収納ボックス10を解錠する(ステップS34)。より詳細には、制御装置25は、施錠装置18に駆動信号を出力し、ロック部材を変位させる。これにより、保守作業者は、開閉扉12を開いて入館鍵収納空間S1に収納された入館鍵50を借り受けることが可能となる。
【0122】
続いて、制御装置25は、鍵利用実績情報を鍵管理サーバ60に送信する(ステップS36)。鍵利用実績情報は、解錠した時刻、及び撮影画像を含む情報である。鍵利用実績情報を受信した鍵管理サーバ60は、鍵利用履歴データベース63c及び撮像画像記憶部63dを更新し(ステップS38)、入館鍵貸出処理を終了する。
【0123】
<<設備鍵貸出処理>>
次に、第二段階の設備鍵貸出処理のシーケンスについて説明する。上述したように、設備鍵貸出処理は、設備鍵収納ボックス30によって実行される処理である。設備鍵貸出処理に先立って、保守作業者は、入館鍵50を借り受けて、その入館鍵50を利用して集合住宅Hに入館するとともに、集合住宅Hの管理人室に入室していることとして説明する。
【0124】
図11は、設備鍵貸出処理のシーケンスを示している。
図11に示すように、保守作業者は、設備鍵収納ボックス30の入館鍵挿入口33に入館鍵50を挿入する。設備鍵収納ボックス30の制御装置45は、入館鍵インターフェース41を介して入館鍵50が挿入されたか否かを判定する(ステップS40)。入館鍵50が挿入されたと判定されなかった場合(ステップS40:No)、制御装置45は、入館鍵50が挿入されるまで待機する。
【0125】
入館鍵50が挿入されたと判定された場合(ステップS40:Yes)、制御装置45は、入館鍵50の設備室記憶部52に記憶された設備室識別情報を読み込む(ステップS42)。
次に、制御装置45は、解錠ボタン34に対する操作を有効化する(ステップS44)。ここで、制御装置45は、ステップS42で取得した設備室識別情報と、設備鍵挿入口40に挿入されている設備鍵55の設備室記憶部57に記憶された設備室識別情報とを照合し、一致した場合に解錠ボタン34を有効化することとしてもよい。
【0126】
続いて、制御装置45は、解錠ボタン34が押下されたか否かを判定する(ステップS46)。解錠ボタン34が押下されたと判定されなかった場合(ステップS46:No)、制御装置45は、解錠ボタン34が押下されるまで待機する。
解錠ボタン34が押下されたと判定された場合(ステップS46:Yes)、制御装置45は、カメラ35を制御して保守作業者を撮影する(ステップS48)。より詳細には、制御装置45は、解錠ボタン34と対向する位置にいる保守事業者をLED照明36によって照射するとともに、カメラ35を制御して保守作業者を撮影する。
【0127】
次に、制御装置45は、ステップS42で読み込んだ設備室識別情報と同一の設備室識別情報が記憶された設備鍵55の設備鍵ロック装置43をロック解除状態とする(ステップS50)。具体的には、制御装置45は、設備鍵ロック装置43に対して駆動信号を送信する。これにより、設備鍵挿入口40から設備鍵55を取り出す規制が解除されて、設備鍵55を取り出すことが可能な状態になる。
【0128】
最後に、制御装置45は、施錠装置38を制御して設備鍵収納ボックス30を解錠する(ステップS52)。これにより、保守作業者は、開閉扉32を開いて設備鍵収納空間S2に収納された設備鍵55を借り受けることが可能となる。
以上、保守作業者が鍵の貸し出しを受ける場合について説明した。一方、鍵を返却する場合、複数の設備鍵挿入口40のうち、設備鍵55が挿入されていない状態の設備鍵挿入口40に対して設備鍵55が挿入されることを除いて、上述した貸し出しの流れと同様である。
【0129】
以上のような手順によって鍵貸出処理を実行することによって、人手による鍵の受け渡しを不要とし、鍵の管理に係る経費を抑制することが可能となる。また、複数の建物を保守、管理する場合であっても、鍵の利用予定を鍵管理サーバ60に登録しておくだけで効率的に(円滑に)に鍵を貸借することが可能となり、共用設備の保守作業の遅延を抑制することが可能となる。
【0130】
本発明の一実施形態に係る鍵管理システム1について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0131】
<変形例>
上述した実施形態において、保守事業者端末70から鍵管理サーバ60に対して解錠要求信号が送信されることとして説明したが、これに限定されない。解錠要求信号は、入館鍵収納ボックス10を介して鍵管理サーバ60に送信されることとしてもよい。これにより、保守作業者は、保守対象の集合住宅Hに保守事業者端末70を携行する必要性がなくなり、保守作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0132】
また、上述した実施形態において、照合部64dは、解錠要求信号に含まれる不動産IDと鍵利用予定情報に含まれる不動産IDとを照合することとして説明したが、不動産IDの照合に加えて、位置情報を照合してもよい。詳細に説明すると、照合部64dは、保守事業者端末70がGPS受信装置73を介して取得した位置情報を取得し、鍵利用予定情報に含まれる不動産IDに紐づけられた位置情報と照合する。これにより、照合処理の信頼性を高めることが可能となる。
【0133】
また、上述した実施形態において、不動産登記された不動産に対して付与される不動産番号を含む不動産IDを用いて建物を特定することとして説明したが、建物を一意に識別することができればよい。建物の保守事業者及び管理業者が共同で管理、運用する建物識別情報によって建物を特定することとしてもよい。
【0134】
また、上述した実施形態において、設備鍵収納ボックス30は管理人室に設置されていることとして説明したが、これに限定されない。設備鍵収納ボックス30は、警備室に設置されていてもよい。
【0135】
また、上述した実施形態において、設備鍵収納ボックス30には、設備鍵55が収容されていることとして説明したが、これに限定されない。設備鍵収納ボックス30には、管理人が必要と認める貴重品が収納されていてもよい。例えば、設備鍵収納ボックス30には、集合住宅Hに関する帳簿、管理簿等の書類、又は金庫が収納されていてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 鍵管理システム(貴重品管理システム)
10 入館鍵収納ボックス(第一貴重品収納装置)
11 鍵収納箱本体(第一収納箱)
11a 操作受付部
11b 上壁
11c 側壁
11d 庇部
11e 湾曲部
12 開閉扉
13 不動産ID表示部(建物識別情報記憶媒体、二次元コード表示媒体)
13a QRコード
14 解錠ボタン
15 カメラ
16 LED照明
17 状態表示LED
18 施錠装置(第一施錠装置)
18a 係合片
19 非常用シリンダー錠
20 ICカードリーダ
21 入館鍵挿入口
22 入館鍵インターフェース
23 入館鍵ロック装置
24 通信装置
25 制御装置(第一施錠制御装置)
25a 解錠許可信号取得部
25b 撮影制御部
25c 施錠制御部
25d 状態制御部
30 設備鍵収納ボックス(第二貴重品収納装置)
31 鍵収納箱本体(第二収納箱)
31a 操作受付部
32 開閉扉
33 入館鍵挿入口
34 解錠ボタン(解錠操作手段)
35 カメラ(撮影装置)
36 LED照明
37 状態表示LED
38 施錠装置(第二施錠装置)
38a 係合片
39 非常用シリンダー錠
40 設備鍵挿入口
41 入館鍵インターフェース
42 設備鍵インターフェース
43 設備鍵ロック装置(規制手段)
44 記憶部
44a 鍵利用履歴データベース
44b 撮像画像記憶部
45 制御装置(第二施錠制御装置)
45a 設備室識別情報取得部
45b 撮影制御部
45c 施錠制御部
45d 状態制御部
50 入館鍵(第二貴重品収納装置鍵)
51 鍵本体
52 設備室記憶部(貴重品識別情報記憶媒体)
52a 被ロック部
55 設備鍵(貴重品、立入制限区画鍵)
56 鍵本体
57 設備室記憶部(第二貴重品識別情報記憶媒体)
57a 被ロック部
60 鍵管理サーバ(貴重品管理装置)
61 入力装置
62 通信装置
63 記憶部
63a 保守事業者データベース
63b 鍵利用予定データベース(貴重品利用予定情報記憶部)
63c 鍵利用履歴データベース
63d 撮像画像記憶部
64 制御装置
64a 保守事業者登録部
64b 鍵利用予定登録部
64c 解錠要求信号取得部
64d 照合部
64e 解錠許可信号出力部
64f 鍵利用履歴更新部
64g 撮影画像抽出部
70 保守事業者端末
71 入力装置
72 QRコードリーダ
73 GPS受信装置
74 通信装置
75 制御装置
75a 保守事業者情報出力部
75b 鍵利用予定情報出力部
75c 解錠要求信号出力部
H 集合住宅
S1 入館鍵収納空間
S2 設備鍵収納空間