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特開2024-61439バルブステム及びその取付構造及びバルブステム付きタイヤホイールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061439
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】バルブステム及びその取付構造及びバルブステム付きタイヤホイールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 29/02 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B60C29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169384
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】吉増 信孝
(57)【要約】
【課題】タイヤホイールの外側から取り付けられるバルブステムを提供する。
【解決手段】本開示のバルブステム11は、バルブステム本体12のうちタイヤホイール80の内側に配置される基端部に支持フランジ13が備えられ、その支持フランジ13は、バルブ取付孔81Hを通過可能な大きさをなしている。これに加え、バルブステム本体12の外側に嵌合されるシール部材30に、バルブ取付孔81Hの内径より大きい円板状の円板形シール部31が設けられている。そして、円板形シール部31は、支持フランジ13とタイヤホイール80の内面とに挟まれたときには支持フランジ13のバルブ取付孔81Hの通過を禁止し、支持フランジ13から離れたバルブステム本体12の途中位置に配置されると、バルブ取付孔81Hを通過可能な大きさまで縮径変形可能となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤホイールのバルブ取付孔を貫通しかつ内部にバルブコアが装着されるバルブステム本体と、
前記バルブステム本体のうち前記タイヤホイールの内側に配置される基端部から側方に張り出しかつ前記バルブ取付孔を通過可能な支持フランジと、
前記バルブステム本体の外側に嵌合されるシール部材と、
前記シール部材に含まれ、前記バルブ取付孔の内径より大きい円板状をなし、前記支持フランジと前記タイヤホイールの内面とに挟まれて前記支持フランジの前記バルブ取付孔の通過を禁止し、前記支持フランジから離れた前記バルブステム本体の途中位置に配置されると、前記バルブ取付孔を通過可能な大きさまで縮径変形可能な円板形シール部と、
前記バルブステム本体の外側に装着されて前記タイヤホイールの外面に重ねられ、前記円板形シール部が前記支持フランジと前記タイヤホイールの内面とに押し付けられた状態に保持する固定部材と、備えるバルブステム。
【請求項2】
前記シール部材には、前記円板形シール部の外縁部から突出して前記支持フランジの外側に嵌合されるフランジ嵌合部が備えられている請求項1に記載のバルブステム。
【請求項3】
前記フランジ嵌合部の外径は、前記円板形シール部から離れるに従って小さくなっている請求項2に記載のバルブステム。
【請求項4】
前記フランジ嵌合部の先端の外径が、前記バルブ取付孔の内径より小さい請求項3に記載のバルブステム。
【請求項5】
前記シール部材には、前記円板形シール部の内縁部から突出し、前記バルブ取付孔内に嵌合される円筒部が備えられている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のバルブステム。
【請求項6】
前記固定部材には、前記円筒部の先端部に当接して、前記円筒部の内径が縮径しかつ外径が拡径するように圧縮変形させる筒部加圧部が備えられている請求項5に記載のバルブステム。
【請求項7】
前記固定部材には、前記バルブステム本体の外面にスライド不能に係合する係合部材と、前記バルブ取付孔の内径より大きな外径をなして、前記係合部材と前記タイヤホイールの外面との間に配置されるワッシャと、が含まれる請求項1に記載のバルブステム。
【請求項8】
前記固定部材には、前記係合部材と前記ワッシャとの間で圧縮変形される圧縮弾性部材が含まれている請求項7に記載のバルブステム。
【請求項9】
前記圧縮弾性部材は、圧縮コイルバネである請求項8に記載のバルブステム。
【請求項10】
前記ワッシャと前記タイヤホイールの外面との間に挟まれてそれらに密着する円板部を備える補助シール部材を有する請求項7に記載のバルブステム。
【請求項11】
前記補助シール部材には、前記円板部の内縁部から突出し、前記バルブ取付孔内に嵌合される円筒部が備えられている請求項10に記載のバルブステム。
【請求項12】
タイヤホイールのバルブ取付孔を貫通しかつ内部にバルブコアが装着されるバルブステム本体と、
前記バルブステム本体のうち前記タイヤホイールの内側に配置される基端部から側方に張り出しかつ前記バルブ取付孔を通過可能な支持フランジと、
前記バルブステム本体の外側に嵌合されるシール部材と、
前記シール部材に含まれ、前記バルブ取付孔の内径より外径が小さい円筒シール部と、
前記バルブステム本体の外側に装着されて前記支持フランジとの間で前記円筒シール部を挟み、前記円筒シール部の外径が拡径して前記バルブ取付孔の内面に密着するように前記円筒シール部を圧縮変形させる固定部材と、を備えるバルブステム。
【請求項13】
前記シール部材には、前記円筒シール部の基端部から側方に張り出し、前記タイヤホイールの内面に重ねられるフランジ部が備えられている請求項12に記載のバルブステム。
【請求項14】
前記シール部材には、前記円筒シール部の先端部と基端部とから側方に張り出し、前記タイヤホイールの内面と外面とに重ねられる1対のフランジ部が備えられている請求項12に記載のバルブステム。
【請求項15】
前記シール部材には、前記タイヤホイールの内面に重ねられる前記フランジ部の外縁部から突出して前記支持フランジの外側に嵌合されるフランジ嵌合部が備えられている請求項13又は14に記載のバルブステム。
【請求項16】
前記固定部材には、前記バルブステム本体の外面にスライド不能に係合する係合部材と、前記バルブ取付孔の内径より大きな外径をなして、前記係合部材と前記円筒シール部との間に配置されるワッシャと、が含まれている請求項12に記載のバルブステム。
【請求項17】
前記固定部材には、前記係合部材と前記ワッシャとの間で圧縮変形される圧縮弾性部材が含まれている請求項16に記載のバルブステム。
【請求項18】
前記圧縮弾性部材は、圧縮コイルバネである請求項17に記載のバルブステム。
【請求項19】
請求項7から11の何れか1の請求項に記載のバルブステムと、
前記バルブステムが取り付けられるバルブ取付孔を備えるタイヤホイールと、を有するバルブステムの取付構造であって、
前記バルブ取付孔には、前記ワッシャを受容する座繰り部が備えられているバルブステムの取付構造。
【請求項20】
請求項16から18の何れか1の請求項に記載のバルブステムと、
前記バルブステムが取り付けられるバルブ取付孔を備えるタイヤホイールと、を有するバルブステムの取付構造であって、
前記バルブ取付孔には、前記ワッシャを受容する座繰り部が備えられているバルブステムの取付構造。
【請求項21】
内部にバルブコアが装着されるバルブステムが、タイヤホイールのバルブ取付孔に取り付けられて、バルブステム付きタイヤホイールが製造される製造方法であって、
前記バルブステムは、バルブステム本体と、前記バルブステム本体の基端部から側方に張り出す支持フランジと、前記バルブステム本体の外側に先端部側から嵌合されるシール部材と、前記バルブステム本体の外側に先端部側から装着されて前記タイヤホイールの外面に重ねられ、前記円板形シール部が前記支持フランジと前記タイヤホイールの内面とに押し付けられた状態に保持する固定部材と、を有し、
前記支持フランジの外径は、前記バルブ取付孔の内径より小さく、
前記シール部材は、外径がバルブ取付孔の内径より大きな円板形シール部を含んだ構造とされ、
前記支持フランジが、前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔に通され、前記バルブステム本体の軸方向の途中部分が前記バルブ取付孔を貫通した状態にされてから前記円板形シール部が縮径変形されて前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔に通されるバルブステム付きタイヤホイールの製造方法。
【請求項22】
前記固定部材には、前記バルブステム本体の外面にスライド不能に係合する係合部材と、前記バルブ取付孔より大きな外径をなして、前記係合部材と前記タイヤホイールの外面との間に配置されるワッシャと、前記係合部材と前記ワッシャとの間で圧縮変形される圧縮コイルバネと、が含まれ、
前記バルブステムは、前記バルブ取付孔に取り付けられる前に、前記シール部材が前記バルブステム本体に嵌合しかつ前記固定部材が前記バルブステム本体に装着された準備状態にされ、
その準備状態から前記圧縮コイルバネが第1圧縮長まで圧縮変形されて前記支持フランジが、前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔に通され、その後、前記シール部材が前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔に通されて、前記圧縮コイルバネが第2圧縮長まで弾性復帰し、前記支持フランジを前記円板形シール部側に付勢する請求項21に記載のバルブステム付きタイヤホイールの製造方法。
【請求項23】
内部にバルブコアが装着されるバルブステムが、タイヤホイールのバルブ取付孔に取り付けられて、バルブステム付きタイヤホイールが製造される製造方法であって、
前記バルブステムは、バルブステム本体と、前記バルブステム本体の基端部から側方に張り出す支持フランジと、前記バルブステム本体の外側に嵌合される円筒シール部を含んだシール部材と、前記バルブステム本体に先端部側から装着されて、前記支持フランジとの間で前記円筒シール部を圧縮変形させた状態に保持する固定部材と、を有し、
前記支持フランジの外径は、前記バルブ取付孔の内径より小さく、
前記円筒シール部の外径は、圧縮変形されていないときは、前記バルブ取付孔の内径より小さく、圧縮変形されたときは、前記バルブ取付孔の内径より大きくなるように形成され、
前記円筒シール部が、前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔内に配置されてから、前記固定部材により前記円筒シール部が圧縮変形された状態に保持されることで前記円筒シール部が前記バルブ取付孔の内面に押し付けられた状態に保持されるバルブステム付きタイヤホイールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤホイールに取り付けられるバルブステム及びその取付構造及びバルブステム付きタイヤホイールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルブステムは、タイヤホイールの内側からバルブ取付孔に通されて固定され、バルブ取付孔を密閉するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-091568号公報(段落[0038]及び図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のものに対し、バルブステムをタイヤホイールの外側からバルブ取付孔に通して固定し、バルブ取付孔を密閉可能とする技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本開示の第1の態様は、タイヤホイールのバルブ取付孔を貫通しかつ内部にバルブコアが装着されるバルブステム本体と、前記バルブステム本体のうち前記タイヤホイールの内側に配置される基端部から側方に張り出しかつ前記バルブ取付孔を通過可能な支持フランジと、前記バルブステム本体の外側に嵌合されるシール部材と、前記シール部材に含まれ、前記バルブ取付孔の内径より大きい円板状をなし、前記支持フランジと前記タイヤホイールの内面とに挟まれて前記支持フランジの前記バルブ取付孔の通過を禁止し、前記支持フランジから離れた前記バルブステム本体の途中位置に配置されると、前記バルブ取付孔を通過可能な大きさまで縮径変形可能な円板形シール部と、前記バルブステム本体の外側に装着されて前記タイヤホイールの外面に重ねられ、前記円板形シール部が前記支持フランジと前記タイヤホイールの内面とに押し付けられた状態に保持する固定部材と、備えるバルブステムである。
【0006】
本開示の第2の態様は、タイヤホイールのバルブ取付孔を貫通しかつ内部にバルブコアが装着されるバルブステム本体と、前記バルブステム本体のうち前記タイヤホイールの内側に配置される基端部から側方に張り出しかつ前記バルブ取付孔を通過可能な支持フランジと、前記バルブステム本体の外側に嵌合されるシール部材と、前記シール部材に含まれ、前記バルブ取付孔の内径より外径が小さい円筒シール部と、前記バルブステム本体の外側に装着されて前記支持フランジとの間で前記円筒シール部を挟み、前記円筒シール部の外径が拡径して前記バルブ取付孔の内面に密着するように前記円筒シール部を圧縮変形させる固定部材と、を備えるバルブステムである。
【0007】
本開示の第3の態様は、内部にバルブコアが装着されるバルブステムが、タイヤホイールのバルブ取付孔に取り付けられて、バルブステム付きタイヤホイールが製造される製造方法であって、前記バルブステムは、バルブステム本体と、前記バルブステム本体の基端部から側方に張り出す支持フランジと、前記バルブステム本体の外側に先端部側から嵌合されるシール部材と、前記バルブステム本体の外側に先端部側から装着されて前記タイヤホイールの外面に重ねられ、前記円板形シール部が前記支持フランジと前記タイヤホイールの内面とに押し付けられた状態に保持する固定部材と、を有し、前記支持フランジの外径は、前記バルブ取付孔の内径より小さく、前記シール部材は、外径がバルブ取付孔の内径より大きな円板形シール部を含んだ構造とされ、前記支持フランジが、前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔に通され、前記バルブステム本体の軸方向の途中部分が前記バルブ取付孔を貫通した状態にされてから前記円板形シール部が縮径変形されて前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔に通されるバルブステム付きタイヤホイールの製造方法である。
【0008】
本開示の第4の態様は、内部にバルブコアが装着されるバルブステムが、タイヤホイールのバルブ取付孔に取り付けられて、バルブステム付きタイヤホイールが製造される製造方法であって、前記バルブステムは、バルブステム本体と、前記バルブステム本体の基端部から側方に張り出す支持フランジと、前記バルブステム本体の外側に嵌合される円筒シール部を含んだシール部材と、前記バルブステム本体に先端部側から装着されて、前記支持フランジとの間で前記円筒シール部を圧縮変形させた状態に保持する固定部材と、を有し、前記支持フランジの外径は、前記バルブ取付孔の内径より小さく、前記円筒シール部の外径は、圧縮変形されていないときは、前記バルブ取付孔の内径より小さく、圧縮変形されたときは、前記バルブ取付孔の内径より大きくなるように形成され、前記円筒シール部が、前記タイヤホイールの外側から前記バルブ取付孔内に配置されてから、前記固定部材により前記円筒シール部が圧縮変形された状態に保持されることで前記円筒シール部が前記バルブ取付孔の内面に押し付けられた状態に保持されるバルブステム付きタイヤホイールの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
上述した本開示のバルブステムでは、バルブステム本体のうちタイヤホイールの内側に配置される基端部に支持フランジが備えられ、その支持フランジは、バルブ取付孔を通過可能な大きさをなしている。これに加え、本開示の第1及び第3の態様では、バルブステム本体の外側に嵌合されるシール部材に、バルブ取付孔の内径より大きい円板状の円板形シール部が設けられている。そして、円板形シール部は、支持フランジとタイヤホイールの内面とに挟まれたときには支持フランジのバルブ取付孔の通過を禁止し、支持フランジから離れたバルブステム本体の途中位置に配置されると、バルブ取付孔を通過可能な大きさまで縮径変形可能となる。これにより、円板形シール部をバルブステム本体の途中位置に配置した状態にすれば、バルブステムをタイヤホイールの外側からバルブ取付孔に対して、支持フランジ、円板形シール部の順番で通すことができる。そして、バルブステム本体がタイヤホイールの外側に引っ張られると、円板形シール部が、支持フランジとタイヤホイールの内面と間に挟まれて、支持フランジのバルブ取付孔の通過が禁止された状態になる。その状態は、固定部材がバルブステム本体の外側に装着されてタイヤホイールの外面に重ねられることで保持される。このようにして、本開示の第1及び第3の態様によれば、バルブステムをタイヤホイールの外側からバルブ取付孔に通して固定し、バルブ取付孔を密閉することが可能になる。
【0010】
また、本開示の第2及び第4の態様では、バルブステム本体の外側に嵌合されるシール部材に、バルブ取付孔の内径より外径が小さい円筒シール部が設けられている。そして、バルブステムをタイヤホイールの外側からバルブ取付孔に通し、円筒シール部をバルブ取付孔内に配置した状態で固定部材をバルブステム本体に装着すると、円筒シール部が、固定部材と支持フランジとの間に挟まれて押し潰されることで、円筒シール部がバルブ取付孔の内面とバルブステム本体の外面とに密着し、バルブステムがタイヤホイールに固定される。このように本開示の第2及び第4の態様によれば、バルブステムをタイヤホイールの外側からバルブ取付孔に通して固定し、バルブ取付孔を密閉することが可能になる。
【0011】
また、本開示の第1~第4の態様では、シール部材がバルブステム本体に固着されていないことで、シール部材及びバルブステム本体の材質の選択肢が広くなるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態に係るタイヤバルブが取り付けられたタイヤホイールの断面図
図2】バルブ取付孔に取り付けられたタイヤバルブの断面図
図3】バルブ取付孔に取り付けられる前の準備状態のタイヤバルブの断面図
図4】支持フランジがバルブ取付孔内を通過して圧縮コイルバネが圧縮変形したときのタイヤバルブの断面図
図5】シール部材が圧入されて圧縮コイルバネが弾性復帰したときのタイヤバルブの断面図
図6】第2実施形態のタイヤバルブの断面図
図7】第3実施形態のタイヤバルブの断面図
図8】第4実施形態のタイヤバルブの断面図
図9】第5実施形態のタイヤバルブの断面図
図10】第6実施形態のタイヤバルブの断面図
図11】第7実施形態のタイヤバルブの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、図1図5を参照して、本開示の第1実施形態のタイヤバルブ10Aについて説明する。本実施形態のタイヤバルブ10Aは、図2に示すように、バルブステム11と、その内部に収容されるバルブコア20とを備えている。そして、図1に示すように、バルブステム11が、タイヤホイール80のリム81に設けられたバルブ取付孔81Hを貫通した状態で取り付けられる。以下、バルブステム11のうちタイヤホイール80の外面(詳細には、リム81の外面)から突出する側を「先端側」といい、タイヤホイール80の内側(タイヤ82に覆われる部分)に配置される側を「基端側」という。なお、タイヤホイール80は、鉄製、アルミ製を問わない。
【0014】
図2に示すように、バルブステム11は、バルブステム本体12と、シール部材30と、固定部材40と、を有する。バルブステム本体12は、円筒体の基端から支持フランジ13が側方に張り出した形状をなしている。バルブステム本体12の外径は、支持フランジ13を除く全体が略均一になっている。また、バルブステム本体12の外面には、先端から軸方向の途中位置に亘って雄螺子部19が形成されている。また、その雄螺子部19の先端側部分には、バルブステム本体12の先端開口12Kを覆うバルブキャップ21が螺合される。
【0015】
支持フランジ13は、バルブステム本体12の全体の外径と同心の円形をなし、その支持フランジ13の外径は、バルブ取付孔81Hの内径よりも僅かに小さい。
【0016】
バルブステム本体12の内面は、先端から軸方向の途中位置に向かって段階的に縮径した形状をなし、先端寄り位置には、雌螺子部18が設けられている。
【0017】
なお、本実施形態のバルブステム本体12は、例えば、金属製であるが樹脂製であってもよい。また、バルブステム本体12は、支持フランジ13を除く全体が均一外径をなしていたが、基端側に向かって徐々に拡径していてもよい。また、支持フランジ13も均一な外径をなしているが、均一出なくてもよく、例えば、支持フランジ13の先端側と基端側の一方又は両方の外縁部が、C面取り又はR面取りされていてもよいし、支持フランジ13の外周面の断面形状が半円状になっていてもよい。
【0018】
前述のバルブコア20は、公知なものであり、バルブステム本体12の先端開口12Kから挿入されて雌螺子部18に螺合される。そして、バルブコア20は、バルブステム本体12内に装着されると、ガスがバルブステム本体12の内側を基端側から先端側に通過することを規制し、それとは逆向きに通過することを許容する。
【0019】
シール部材30は、エラストマー製で、筒状をなしてバルブステム本体12の外側に嵌合される。具体的には、外径がバルブ取付孔81Hの内径よりも大きい円板状の円板形シール部31と、円板形シール部31の内縁部から先端側に突出する円筒部32と、円板形シール部31の外縁部から基端側に突出するフランジ嵌合部33と、を有する。円筒部32は、その外径がバルブ取付孔81Hの内径よりも小さく、その軸長は、バルブ取付孔81Hの軸長より短い。また、フランジ嵌合部33の外面は、略テーパー状をなして、円板形シール部31から離れるに従って外径が徐々に小さくなっていて、その末端の外径は、バルブ取付孔81Hの内径それより小さくなっている。そして、フランジ嵌合部33が支持フランジ13の外側に丁度嵌合し、円板形シール部31が、支持フランジ13とタイヤホイール80の内面(詳細には、リム81の内面)との間に挟まれ、円筒部32は、バルブ取付孔81H内に嵌合する。
【0020】
なお、シール部材30は、円板形シール部31を有していれば、円筒部32及びフランジ嵌合部33の一方又は両方を備えていなくてもよい。また、シール部材30を形成するエラストマーは、加硫ゴム(天然ゴム、合成ゴムの何れでも可)でもよいし、樹脂系エラストマー(例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム)でもよい。
【0021】
固定部材40には、ナット41と、ワッシャ42と、圧縮コイルバネ43とが含まれている。ナット41は、雄螺子部19のうちバルブキャップ21より基端側部分に螺合される。なお、本実施形態では、ナット41とバルブキャップ21とで雄螺子部19を共有しているが、バルブステム本体12の外面に大小の2つの雄螺子部19を備え、先端側の小径の雄螺子部19にバルブキャップ21が螺合し、基端から離れた大径の雄螺子部19にナット41が螺合するようにしてもよい。
【0022】
ワッシャ42は、バルブ取付孔81Hよりも外径が大きくなっている。そして、ワッシャ42は、ナット41よりバルブステム本体12の基端側に嵌合され、バルブ取付孔81Hに設けられた座繰り部81Zに受容される。圧縮コイルバネ43は、ナット41とワッシャ42の間に挟まれて圧縮変形される。そして、この圧縮コイルバネ43の弾発力により、シール部材30の円板形シール部31が、支持フランジ13とタイヤホイール80の内面とに押し付けられた状態に保持されて、バルブステム本体12とタイヤホイール80との間がシールされる。
【0023】
なお、ナット41は、特許請求の範囲の「係合部材」に相当し、その「係合部材」は、バルブステム本体12の外面にスライド不能に係合するものであれば、どのようなものでもよく、例えば、係合部材がEリングであって、バルブステム本体12の外面に形成される環状溝に側方から係合されるようにしてもよい。また、圧縮コイルバネ43の代わりに皿バネやスプリングワッシャを使用してもよい。さらには、本実施形態の固定部材40は、係合部材であるナット41と圧縮コイルバネ43とワッシャ42とを含んでいるが、係合部材が含まれていれば、圧縮コイルバネ43及びワッシャ42は含まれていなくてもよい。
【0024】
本実施形態のタイヤバルブ10Aの構成に関する説明は以上である。このタイヤバルブ10Aは、以下の第1~第3の何れかの取付方法でタイヤホイール80に取り付けられる。なお、以下、各取付方法において、バルブコア20は、バルブステム11がタイヤホイール80に取り付けられる前にバルブステム本体12内に装着されているものとして説明するが、バルブステム11がタイヤホイール80に取り付けられてから、バルブコア20がバルブステム本体12内に装着されてもよい。
【0025】
第1の取付方法では、バルブステム本体12から固定部材40(ナット41,ワッシャ42,圧縮コイルバネ43)が外され、バルブステム本体12の外側にはシール部材30のみが装着された状態にされる。そして、バルブステム11がバルブ取付孔81Hに対してタイヤホイール80の内側から挿入され、シール部材30の円筒部32がバルブ取付孔81H内に押し込まれる。そして、タイヤホイール80の外側において、バルブステム本体12に対し、先端側からワッシャ42、圧縮コイルバネ43が順番に嵌合されてからナット41がバルブステム本体12の雄螺子部19に螺合される。そして、バルブステム本体12の先端にバルブキャップ21が装着されて、タイヤバルブ10Aのタイヤホイール80に対する取り付け(「バルブステム11のタイヤホイール80に対する取り付け」でもある)が完了し、タイヤバルブ10A付きのタイヤホイール80(「バルブステム11付きのタイヤホイール80」でもある)の製造が完了する。
【0026】
第2の取付方法では、バルブステム本体12から固定部材40が外され、バルブステム本体12の外側にはシール部材30のみが装着された状態にされる。このとき、シール部材30は支持フランジ13から離され、バルブステム本体12の軸方向の途中位置に配置される。そして、バルブステム本体12の先端部が把持されて、バルブステム11がバルブ取付孔81Hに対してタイヤホイール80の外側から挿入される。そして、支持フランジ13がタイヤホイール80の内側に配置された状態に保持され、シール部材30がバルブ取付孔81Hに工具(例えば、細長い棒や、円筒体を縦割りに2分割した特殊工具)により押し込まれる。すると、フランジ嵌合部33のテーパー状の外面とバルブ取付孔81Hの開口縁との当接により、フランジ嵌合部33及び円板形シール部31が縮径変形してバルブ取付孔81Hを通過し、弾性復帰する。そこで、バルブステム本体12が手前に引っ張られ、フランジ嵌合部33の内側に支持フランジ13が収まる。この状態で、図2に示すように、バルブステム本体12に対し、先端側からワッシャ42、圧縮コイルバネ43が順番に嵌合されてから、ナット41及びバルブキャップ21がバルブステム本体12の雄螺子部19に螺合されて、タイヤバルブ10Aのタイヤホイール80に対する取り付けが完了する。
【0027】
第3の取付方法では、図3に示すように、タイヤバルブ10Aがタイヤホイール80に取り付けられる前の準備状態で、バルブステム本体12の外側に、シール部材30、固定部材40及びバルブキャップ21が装着される。このとき、ナット41は、雄螺子部19に対する後述する最終的な螺合位置により浅い螺合位置に配置され、圧縮コイルバネ43は第1圧縮長になる。そして、この準備状態でバルブステム本体12の先端部が把持されて、バルブステム11がバルブ取付孔81Hに対してタイヤホイール80の外側から挿入される。すると、図4に示すように、シール部材30がバルブ取付孔81Hの開口縁に当接して止まり、バルブステム本体12のみが押されて支持フランジ13がバルブ取付孔81Hを通過する。このとき、シール部材30はバルブステム本体12の軸方向の途中位置まで相対的に移動し、それに伴って圧縮コイルバネ43が圧縮変形される。この状態でバルブステム11がさらにバルブ取付孔81Hに向けて強く押し込まれる。すると、フランジ嵌合部33のテーパー状の外面とバルブ取付孔81Hの開口縁との当接により、フランジ嵌合部33及び円板形シール部31が縮径変形してバルブ取付孔81Hを通過し、弾性復帰する。そして、図5に示すように、ワッシャ42がタイヤホイール80の外面に当接し、圧縮コイルバネ43が、前述の第1圧縮長からさらに圧縮された第2圧縮長になる。そこで、ナット41の雄螺子部19に対する螺合が深められて上述した最終的な螺合位置まで移動され、図2に示すように圧縮コイルバネ43が第2圧縮長からさらに圧縮された第3圧縮長になる。以上を以て、タイヤバルブ10Aのタイヤホイール80に対する取り付けが完了する。
【0028】
なお、第3の取付方法において、シール部材30がワッシャ42に押されてもバルブ取付孔81Hを通過しない場合には、ワッシャ42をナット41側に引いて、第2の取付方法と同様に工具を使用してもよい。また、第3の取付方法において、タイヤバルブ10Aをタイヤホイール80に組み付ける前に、ナット41が最終的な螺合位置に配置されていてもよい。その場合、タイヤバルブ10Aのタイヤホイール80に対する取り付けの完了時の圧縮コイルバネ43の圧縮長が、第2圧縮長になる。
【0029】
以上、本実施形態について纏めると、本実施形態のタイヤバルブ10Aでは、バルブステム本体12のうちタイヤホイール80の内側に配置される基端部に支持フランジ13が備えられ、その支持フランジ13は、バルブ取付孔81Hを通過可能な大きさをなしている。これに加え、バルブステム本体12の外側に嵌合されるシール部材30に、バルブ取付孔81Hの内径より大きい円板状の円板形シール部31が設けられている。そして、円板形シール部31は、支持フランジ13とタイヤホイール80の内面とに挟まれたときには支持フランジ13のバルブ取付孔81Hの通過を禁止し、支持フランジ13から離れたバルブステム本体12の途中位置に配置されると、バルブ取付孔81Hを通過可能な大きさまで縮径変形可能となる。これらにより、上述した第2及び第3の取付方法のように、バルブステム11をタイヤホイール80の外側からバルブ取付孔81Hに対して、支持フランジ13、円板形シール部31の順番で通すことができる。そして、バルブステム本体12がタイヤホイール80の外側に引っ張られると、円板形シール部31が、支持フランジ13とタイヤホイール80の内面と間に挟まれて、支持フランジ13のバルブ取付孔81Hの通過が禁止された状態になる。その状態は、固定部材40がバルブステム本体12の外側に装着されてタイヤホイール80の外面に重ねられることで保持される。
【0030】
このようにして、本実施形態のタイヤバルブ10Aのバルブステム11の構造によれば、バルブステム11をタイヤホイール80の外側からバルブ取付孔81Hに通して固定し、バルブ取付孔81Hを密閉することが可能になる。よって、タイヤホイール80にタイヤ93が取り付けられた状態でも、タイヤバルブ10Aをバルブ取付孔81Hに取り付けることができる。
【0031】
また、シール部材30がバルブステム本体12に固着されていないことで、シール部材30及びバルブステム本体12の材質の選択肢が広くなるという効果も奏する。即ち、シール部材30がバルブステム本体12に固着される構造とした場合、シール部材30をバルブステム本体12にモールド成形する構成では、シール部材30とバルブステム本体12との固着強度を得るためには、支持フランジ13は加硫ゴム製でかつバルブステム本体12が黄銅製に限られる。これに対し、本実施形態のタイヤバルブ10Aの構造では、シール部材30はバルブステム本体12に固着されていないので、支持フランジ13及びバルブステム本体12の材料の選択の自由度が高くなる。
【0032】
[第2実施形態]
図6に示された本開示の第2実施形態のタイヤバルブ10Bの構成について、第1実施形態と相違する点に関してのみ説明する。このタイヤバルブ10Bでは、固定部材40に円筒状の外カバー44が含められ、圧縮コイルバネ43の外側を覆っている。本実施形態のタイヤバルブ10Bによれば、圧縮コイルバネ43が外カバー44に覆われて意匠性が向上する。
【0033】
[第3実施形態]
図7に示された本開示の第3実施形態のタイヤバルブ10Gの構成について、第1実施形態と相違する点に関してのみ説明する。このタイヤバルブ10Gは、第1実施形態のタイヤバルブ10Aの筒部32が延長されてワッシャ42と当接し、筒部32と円板形シール部31との両方が圧縮されるようになっている。そして、円筒部32が圧縮されることで、円筒部32の内径が縮径しかつ外径が拡径して、円筒部32がバルブ取付孔81Hの内面とバルブステム本体12の外面とに密着する。この場合、ワッシャ42は、特許請求の範囲の「筒部加圧部」に相当する。なお、円筒部32とワッシャ42との間に、図示しないスリーブを介在させて円筒部32が圧縮されるようにしてもよい。
【0034】
[第4実施形態]
本実施形態のタイヤバルブ10Cは、図8に示されており、ワッシャ42とタイヤホイール80の外面との間に補助シール部材50が挟まれている点が第1実施形態と異なる。補助シール部材50は、バルブ取付孔81Hより大きい円板部51と、円板部51の内縁部から突出する円筒部52とを有する。また、円筒部52の軸長は、バルブ取付孔81Hより短くなっている。そして、円板部51がワッシャ42とタイヤホイール80の外面とに挟まれてそれらと密着し、円筒部52がバルブ取付孔81Hの内面とバルブステム本体12の外面とに密着する。これにより、バルブ取付孔81Hとバルブステム本体12との間のシール性が向上する。
【0035】
[第5実施形態]
図9に示された本実施形態のタイヤバルブ10Dは、シール部材30Dの形状が第1実施形態と異なる。即ち、このシール部材30Dには、バルブ取付孔81Hの軸長より長い円筒シール部35が備えられている。また、円筒シール部35の外径は、バルブ取付孔(81H)の内径より僅かに小さい。そして、バルブステム11がバルブ取付孔81Hに取り付けられたときには、円筒シール部35が支持フランジ13とワッシャ42との間に挟まれて圧縮され、円筒シール部35の内径が縮径されてバルブステム本体12の外面に密着する一方、円筒シール部35の外径が拡径されてバルブ取付孔81Hの内面に密着する。これにより、バルブステム11がタイヤホイール80に固定されると共に、バルブステム本体12とタイヤホイール80との間がシールされる。また、本実施形態のタイヤバルブ10Dも、第1実施形態のタイヤバルブ10Aと同様に、第1~第3の取付方法にてタイヤホイール80に取り付けることができる。
【0036】
なお、シール部材30Dは、円筒シール部35を有していれば、円板形シール部31、フランジ嵌合部33を有していなくてもよい。
【0037】
[第6実施形態]
本実施形態のタイヤバルブ10Eは、図10に示されている。本実施形態のバルブステム11のシール部材30Eは、円筒シール部35の両端から1対のフランジ部36,37が側方に張り出した形状をなしている。そして、円筒シール部35がバルブ取付孔81Hを貫通し、1対のフランジ部36,37がタイヤホイール80の外面と内面とに重ねられる。その他の構成は、第1実施形態のタイヤバルブ10Aと同じである。なお、タイヤホイール80の内側に配置されるフランジ部36は、断面が半円形になっている。
【0038】
[第7実施形態]
図11に示された本実施形態のタイヤバルブ10Fは、第6実施形態のシール部材30Eの一方のフランジ部37とワッシャ42とが、タイヤホイール80の外面に形成された座繰り部81Zに収容されるようになっている。なお、タイヤホイール80の内側に配置されるフランジ部36は、断面が四角形になっている。
【0039】
<付記>
以下、上記実施形態から下記特徴群が抽出される。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0040】
[特徴1]
タイヤホイール(80)のバルブ取付孔(81H)を貫通しかつ内部にバルブコア(20)が装着されるバルブステム本体(12)と、前記バルブステム本体(12)のうち前記タイヤホイール(80)の内側に配置される基端部から側方に張り出しかつ前記バルブ取付孔(81H)を通過可能な支持フランジ(13)と、前記バルブステム本体(12)の外側に嵌合されるシール部材(30)と、前記シール部材(30)に含まれ、前記バルブ取付孔(81H)の内径より大きい円板状をなし、前記支持フランジ(13)と前記タイヤホイール(80)の内面とに挟まれて前記支持フランジ(13)の前記バルブ取付孔(81H)の通過を禁止し、前記支持フランジ(13)から離れた前記バルブステム本体(12)の途中位置に配置されると、前記バルブ取付孔(81H)を通過可能な大きさまで縮径変形可能な円板形シール部(31)と、前記バルブステム本体(12)の外側に装着されて前記タイヤホイール(80)の外面に重ねられ、前記円板形シール部(31)が前記支持フランジ(13)と前記タイヤホイール(80)の内面とに押し付けられた状態に保持する固定部材(40)と、備えるバルブステム(11)。
【0041】
[特徴2]
前記シール部材(30)には、前記円板形シール部(31)の外縁部から突出して前記支持フランジ(13)の外側に嵌合されるフランジ嵌合部(33)が備えられている特徴1に記載のバルブステム(11)。
【0042】
[特徴3]
前記フランジ嵌合部(33)の外径は、前記円板形シール部(31)から離れるに従って小さくなっている特徴2に記載のバルブステム(11)。
【0043】
[特徴4]
前記フランジ嵌合部(33)の先端の外径が、前記バルブ取付孔(81H)の内径より小さい特徴3に記載のバルブステム(11)。
【0044】
[特徴5]
前記シール部材(30)には、前記円板形シール部(31)の内縁部から突出し、前記バルブ取付孔(81H)内に嵌合される円筒部(32)が備えられている特徴1から4の何れか1の特徴に記載のバルブステム(11)。
【0045】
[特徴6]
前記固定部材(40)には、前記円筒部(32)の先端部に当接して、前記円筒部(32)の内径が縮径しかつ外径が拡径するように圧縮変形させる筒部加圧部(42)が備えられている特徴5に記載のバルブステム(11)。
【0046】
[特徴7]
前記固定部材(40)には、前記バルブステム本体(12)の外面にスライド不能に係合する係合部材(41)と、前記バルブ取付孔(81H)の内径より大きな外径をなして、前記係合部材(41)と前記タイヤホイール(80)の外面との間に配置されるワッシャ(42)と、が含まれる特徴1から6の何れか1の特徴に記載のバルブステム(11)。
【0047】
[特徴8]
前記固定部材(40)には、前記係合部材(41)と前記ワッシャ(42)との間で圧縮変形される圧縮弾性部材(43)が含まれている特徴7に記載のバルブステム(11)。
【0048】
[特徴9]
前記圧縮弾性部材(43)は、圧縮コイルバネ(43)である特徴8に記載のバルブステム(11)。
【0049】
[特徴10]
前記ワッシャ(42)と前記タイヤホイール(80)の外面との間に挟まれてそれらに密着する円板部(51)を備える補助シール部材(50)を有する特徴7から9の何れか1の特徴に記載のバルブステム(11)。
【0050】
[特徴11]
前記補助シール部材(50)には、前記円板部(51)の内縁部から突出し、前記バルブ取付孔(81H)内に嵌合される円筒部(52)が備えられている特徴10に記載のバルブステム(11)。
【0051】
[特徴12]
タイヤホイール(80)のバルブ取付孔(81H)を貫通しかつ内部にバルブコア(20)が装着されるバルブステム本体(12)と、前記バルブステム本体(12)のうち前記タイヤホイール(80)の内側に配置される基端部から側方に張り出しかつ前記バルブ取付孔(81H)を通過可能な支持フランジ(13)と、前記バルブステム本体(12)の外側に嵌合されるシール部材(30D,30E)と、前記シール部材(30D,30E)に含まれ、前記バルブ取付孔(81H)の内径より外径が小さい円筒シール部(35)と、前記バルブステム本体(12)の外側に装着されて前記支持フランジ(13)との間で前記円筒シール部(35)を挟み、前記円筒シール部(35)の外径が拡径して前記バルブ取付孔(81H)の内面に密着するように前記円筒シール部(35)を圧縮変形させる固定部材(40)と、を備えるバルブステム(11)。
【0052】
[特徴13]
前記シール部材(30D,30E)には、前記円筒シール部(35)の基端部から側方に張り出し、前記タイヤホイール(80)の内面に重ねられるフランジ部(36)が備えられている特徴12に記載のバルブステム(11)。
【0053】
[特徴14]
前記シール部材(30D,30E)には、前記円筒シール部(35)の先端部と基端部とから側方に張り出し、前記タイヤホイール(80)の内面と外面とに重ねられる1対のフランジ部(36,37)が備えられている特徴12に記載のバルブステム(11)。
【0054】
[特徴15]
前記シール部材(30D,30E)には、前記タイヤホイール(80)の内面に重ねられる前記フランジ部(36)の外縁部から突出して前記支持フランジ(13)の外側に嵌合されるフランジ嵌合部(33)が備えられている特徴13又は14に記載のバルブステム(11)。
【0055】
[特徴16]
前記固定部材(40)には、前記バルブステム本体(12)の外面にスライド不能に係合する係合部材(41)と、前記バルブ取付孔(81H)の内径より大きな外径をなして、前記係合部材(41)と前記円筒シール部(35)との間に配置されるワッシャ(42)と、が含まれている特徴12から15の何れか1の特徴に記載のバルブステム(11)。
【0056】
[特徴17]
前記固定部材(40)には、前記係合部材(41)と前記ワッシャ(42)との間で圧縮変形される圧縮弾性部材(43)が含まれている特徴16に記載のバルブステム(11)。
【0057】
[特徴18]
前記圧縮弾性部材(43)は、圧縮コイルバネ(43)である特徴17に記載のバルブステム(11)。
【0058】
[特徴19]
特徴7から11の何れか1の特徴に記載のバルブステム(11)と、前記バルブステム(11)が取り付けられるバルブ取付孔(81H)を備えるタイヤホイール(80)と、を有するバルブステム(11)の取付構造であって、前記バルブ取付孔(81H)には、前記ワッシャ(42)を受容する座繰り部(81Z)が備えられているバルブステム(11)の取付構造。
【0059】
[特徴20]
特徴16から18の何れか1の特徴に記載のバルブステム(11)と、前記バルブステム(11)が取り付けられるバルブ取付孔(81H)を備えるタイヤホイール(80)と、を有するバルブステム(11)の取付構造であって、前記バルブ取付孔(81H)には、前記ワッシャ(42)を受容する座繰り部(81Z)が備えられているバルブステム(11)の取付構造。
【0060】
[特徴21]
内部にバルブコア(20)が装着されるバルブステム(11)が、タイヤホイール(80)のバルブ取付孔(81H)に取り付けられて、バルブステム(11)付きタイヤホイール(80)が製造される製造方法であって、前記バルブステム(11)は、バルブステム本体(12)と、前記バルブステム本体(12)の基端部から側方に張り出す支持フランジ(13)と、前記バルブステム本体(12)の外側に先端部側から嵌合されるシール部材(30)と、前記バルブステム本体(12)の外側に先端部側から装着されて前記タイヤホイール(80)の外面に重ねられ、前記円板形シール部(31)が前記支持フランジ(13)と前記タイヤホイール(80)の内面とに押し付けられた状態に保持する固定部材(40)と、を有し、前記支持フランジ(13)の外径は、前記バルブ取付孔(81H)の内径より小さく、前記シール部材(30)は、外径がバルブ取付孔(81H)の内径より大きな円板形シール部(31)を含んだ構造とされ、前記支持フランジ(13)が、前記タイヤホイール(80)の外側から前記バルブ取付孔(81H)に通され、前記バルブステム本体(12)の軸方向の途中部分が前記バルブ取付孔(81H)を貫通した状態にされてから前記円板形シール部(31)が縮径変形されて前記タイヤホイール(80)の外側から前記バルブ取付孔(81H)に通されるバルブステム(11)付きタイヤホイール(80)の製造方法。
【0061】
[特徴22]
前記固定部材(40)には、前記バルブステム本体(12)の外面にスライド不能に係合する係合部材(41)と、前記バルブ取付孔(81H)より大きな外径をなして、前記係合部材(41)と前記タイヤホイール(80)の外面との間に配置されるワッシャ(42)と、前記係合部材(41)と前記ワッシャ(42)との間で圧縮変形される圧縮コイルバネ(43)と、が含まれ、前記バルブステム(11)は、前記バルブ取付孔(81H)に取り付けられる前に、前記シール部材(30)が前記バルブステム本体(12)に嵌合しかつ前記固定部材(40)が前記バルブステム本体(12)に装着された準備状態にされ、その準備状態から前記圧縮コイルバネ(43)が第1圧縮長まで圧縮変形されて前記支持フランジ(13)が、前記タイヤホイール(80)の外側から前記バルブ取付孔(81H)に通され、その後、前記シール部材(30)が前記タイヤホイール(80)の外側から前記バルブ取付孔(81H)に通されて、前記圧縮コイルバネ(43)が第2圧縮長まで弾性復帰し、前記支持フランジ(13)を前記円板形シール部(31)側に付勢する特徴21に記載のバルブステム(11)付きタイヤホイール(80)の製造方法。
【0062】
[特徴23]
内部にバルブコア(20)が装着されるバルブステム(11)が、タイヤホイール(80)のバルブ取付孔(81H)に取り付けられて、バルブステム(11)付きタイヤホイール(80)が製造される製造方法であって、前記バルブステム(11)は、バルブステム本体(12)と、前記バルブステム本体(12)の基端部から側方に張り出す支持フランジ(13)と、前記バルブステム本体(12)の外側に嵌合される円筒シール部(35)を含んだシール部材(30D,30E)と、前記バルブステム本体(12)に先端部側から装着されて、前記支持フランジ(13)との間で前記円筒シール部(35)を圧縮変形させた状態に保持する固定部材(40)と、を有し、前記支持フランジ(13)の外径は、前記バルブ取付孔(81H)の内径より小さく、前記円筒シール部(35)の外径は、圧縮変形されていないときは、前記バルブ取付孔(81H)の内径より小さく、圧縮変形されたときは、前記バルブ取付孔(81H)の内径より大きくなるように形成され、前記円筒シール部(35)が、前記タイヤホイール(80)の外側から前記バルブ取付孔(81H)内に配置されてから、前記固定部材(40)により前記円筒シール部(35)が圧縮変形された状態に保持されることで前記円筒シール部(35)が前記バルブ取付孔(81H)の内面に押し付けられた状態に保持されるバルブステム(11)付きタイヤホイール(80)の製造方法。
【0063】
[各特徴による効果]
第1及び第21の特徴のバルブステム(11)では、バルブステム本体(12)のうちタイヤホイール(80)の内側に配置される基端部に支持フランジ(13)が備えられ、その支持フランジ(13)は、バルブ取付孔(81H)を通過可能な大きさをなしている。これに加え、バルブステム本体(12)の外側に嵌合されるシール部材(30)に、バルブ取付孔(81H)の内径より大きい円板状の円板形シール部(31)が設けられている。そして、円板形シール部(31)は、支持フランジ(13)とタイヤホイール(80)の内面とに挟まれたときには支持フランジ(13)のバルブ取付孔(81H)の通過を禁止し、支持フランジ(13)から離れたバルブステム本体(12)の途中位置に配置されると、バルブ取付孔(81H)を通過可能な大きさまで縮径変形可能となる。これにより、円板形シール部(31)をバルブステム本体(12)の途中位置に配置した状態にすれば、バルブステム(11)をタイヤホイール(80)の外側からバルブ取付孔(81H)に対して、支持フランジ(13)、円板形シール部(31)の順番で通すことができる。そして、バルブステム本体(12)がタイヤホイール(80)の外側に引っ張られると、円板形シール部(31)が、支持フランジ(13)とタイヤホイール(80)の内面と間に挟まれて、支持フランジ(13)のバルブ取付孔(81H)の通過が禁止された状態になる。その状態は、固定部材(40)がバルブステム本体(12)の外側に装着されてタイヤホイール(80)の外面に重ねられることで保持される。このようにして、第1及び第21の特徴によれば、バルブステム(11)をタイヤホイール(80)の外側からバルブ取付孔(81H)に通して固定し、バルブ取付孔(81H)を密閉することが可能になる。また、シール部材(30)がバルブステム本体(12)に固着されていないことで、シール部材(30)及びバルブステム本体(12)の材質の選択肢が広くなるという効果も奏する。
【0064】
シール部材(30)には、特徴5のように、円板形シール部(31)の内縁部から突出してバルブ取付孔(81H)内に嵌合される円筒部(32)が備えられていてもよい。また、特徴6のように、円筒部(32)を押圧する筒部加圧部(42)を備えれば、円筒部(32)がバルブ取付孔(81H)の内面とバルブステム本体(12)の外面と押し付けられてシール性が向上する。また、シール部材(30)とは別に、ワッシャ(42)とタイヤホイール(80)の外面とに押し付けられる円板部(51)を有する補助シール部材(50)を備えてもよい(特徴10)。補助シール部材(50)には、円板部(51)の内縁から突出してバルブ取付孔(81H)内に嵌合される円筒部(52)が備えられてもよい(特徴11)。
【0065】
第12及び第23の特徴では、バルブステム本体(12)のうちタイヤホイール(80)の内側に配置される基端部に支持フランジ(13)が備えられ、その支持フランジ(13)は、バルブ取付孔(81H)を通過可能な大きさをなしている。これに加え、バルブステム本体(12)の外側に嵌合されるシール部材(30D,30E)に、バルブ取付孔(81H)の内径より外径が小さい円筒シール部(35)が設けられている。そして、バルブステム(11)をタイヤホイール(80)の外側からバルブ取付孔(81H)に通し、円筒シール部(35)をバルブ取付孔(81H)内に配置した状態で固定部材(40)をバルブステム本体(12)に装着すると、円筒シール部(35)が、固定部材(40)と支持フランジ(13)との間に挟まれて押し潰されることで、円筒シール部(35)が、バルブ取付孔(81H)の内面とバルブステム本体(12)の外面とに密着し、バルブステム(11)がタイヤホイール(80)に固定される。このように本開示の第12及び第23の特徴によれば、バルブステム(11)をタイヤホイール(80)の外側からバルブ取付孔(81H)に通して固定し、バルブ取付孔(81H)を密閉することが可能になる。また、シール部材(30D,30E)がバルブステム本体(12)に固着されていないことで、シール部材(30D,30E)及びバルブステム本体(12)の材質の選択肢が広くなるという効果も奏する。
【0066】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0067】
11 バルブステム
12 バルブステム本体
13 支持フランジ
20 バルブコア
30,30D,30E シール部材
31 円板形シール部
32,52 円筒部
33 フランジ嵌合部
35 円筒シール部
36,37 フランジ部
40 固定部材
41 ナット(係合部材)
42 ワッシャ(筒部加圧部)
43 圧縮コイルバネ(圧縮弾性部材)
50 補助シール部材
51 円板部
80 タイヤホイール
81H バルブ取付孔
81Z 座繰り部
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11