(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061447
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】樹木の支持構造
(51)【国際特許分類】
A01G 17/14 20060101AFI20240425BHJP
A01G 23/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A01G17/14
A01G23/04 504
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169406
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏美
(72)【発明者】
【氏名】井上 純大
【テーマコード(参考)】
2B023
【Fターム(参考)】
2B023AA11
2B023BD02
2B023BD07
(57)【要約】
【課題】樹木の支持構造に、対象樹木が肥大成長をしても常に対象樹木を適切に支持可能とする調整機能を、合理的に付与させる。
【解決手段】樹木Pの幹Paに対する保持部材2と、アンカー部材3と、前記保持部材2と前記アンカー部材3との間に架設されて前記幹Paを支持する連繋部材4とを備えてなる。前記保持部材2は、前記幹Paを挟持する一対の挟持体2a、2aを、一対の挟持体2a、2a間の間隔調整可能に組み合わせてなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木の幹に対する保持部材と、
アンカー部材と、
前記保持部材と前記アンカー部材との間に架設されて前記幹を支持する連繋部材とを備えてなり、
前記保持部材は、前記幹を挟持する一対の挟持体を、両者間の間隔調整可能に組み合わせてなる、樹木の支持構造。
【請求項2】
前記アンカー部材は、前記幹を周回する方向において、隣り合う前記アンカー部材との間に間隔を開けて二以上用意されると共に、各前記アンカー部材はそれぞれ前記連繋部材を通し抜けさせる通過部を備えており、
前記連繋部材は、二本のワイヤーとこの二本の前記ワイヤーの一端間にあってこの二本の前記ワイヤーの前記一端間の距離を可変調整可能に二本の前記ワイヤーを連結させる連結部材とを備えており、
前記幹を周回する方向において隣り合う二つの前記アンカー部材間に前記連結部材が位置されるように、隣り合う一方の前記アンカー部材の前記通過部に二本の前記ワイヤーの一方を通すと共に、隣り合う他方の前記アンカー部材の前記通過部に二本の前記ワイヤーの他方を通し、かつ、二本の前記ワイヤーの他端側をそれぞれ前記保持部材に接続させてなる、請求項1に記載の樹木の支持構造。
【請求項3】
前記アンカー部材は、前記幹を周回する方向において、隣り合う前記アンカー部材との間に間隔を開けて第一ないし第四アンカー部材の四つ用意されると共に、前記第一ないし第四アンカー部材はそれぞれ前記連繋部材を通し抜けさせる通過部を備えており、
前記連繋部材は、第一および第二連繋部材の二つ用意されると共に、前記第一および第二連繋部材はそれぞれ、二本のワイヤーとこの二本の前記ワイヤーの一端間にあってこの二本の前記ワイヤーの前記一端間の距離を可変調整可能に二本の前記ワイヤーを連結させる連結部材とを備えており、
前記幹を周回する方向において隣り合う前記第一アンカー部材と前記第二アンカー部材との間に前記連結部材が位置されるように前記第一アンカー部材と前記第二アンカー部材の前記通過部に前記第一連繋部材の前記ワイヤー部分を通すと共に、前記第一連繋部材の二本の前記ワイヤーの他端側をそれぞれ前記保持部材に接続させ、
かつ、 前記幹を周回する方向において隣り合う前記第三アンカー部材と前記第四アンカー部材との間に前記連結部材が位置されるように前記第三アンカー部材と前記第四アンカー部材の前記通過部に前記第二連繋部材の前記ワイヤー部分を通すと共に、前記第二連繋部材の二本の前記ワイヤーの他端側をそれぞれ前記保持部材に接続させてなる、請求項1に記載の樹木の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植えられた樹木に対する風害の影響を最小化するように、樹木を支持する支持構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
風害による樹木の倒伏を防ぐ技術として、特許文献1~3に示されるものがある。近年は気候変動により台風が大型化している一方、屋上緑化や人工地盤などの土壌厚を大きく確保できない状況において4m程度の高木が植えられるケースも増えており、特にこうした状況において樹木を安定的に支持することが求められてきている。
【0003】
特許文献1および2には、樹木支持用骨組ないし敷板と樹木の幹との間にワイヤーを張り込んで樹木を支持する技術が開示されている。しかし、両文献記載の技術は樹木の肥大成長を考慮したものになっていない。
【0004】
特許文献3には、樹木の幹を挟む左右のサポート構成部材を支持杭で支える技術が開示されている。しかし、この特許文献3の技術も樹木の肥大成長を考慮したものになっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4517120号公報
【特許文献2】特許第3995648号公報
【特許文献3】実用新案登録第3056270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の樹木の支持構造に、対象樹木が肥大成長をしても常に対象樹木を適切に支持可能とする調整機能を、合理的に付与させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、樹木の支持構造を、樹木の幹に対する保持部材と、
アンカー部材と、
前記保持部材と前記アンカー部材との間に架設されて前記幹を支持する連繋部材とを備えてなり、
前記保持部材は、前記幹を挟持する一対の挟持体を、両者間の間隔調整可能に組み合わせてなる、ものとした。
【0008】
前記アンカー部材は、前記幹を周回する方向において、隣り合う前記アンカー部材との間に間隔を開けて二以上用意されると共に、各前記アンカー部材はそれぞれ前記連繋部材を通し抜けさせる通過部を備えており、
前記連繋部材は、二本のワイヤーとこの二本の前記ワイヤーの一端間にあってこの二本の前記ワイヤーの前記一端間の距離を可変調整可能に二本の前記ワイヤーを連結させる連結部材とを備えており、
前記幹を周回する方向において隣り合う二つの前記アンカー部材間に前記連結部材が位置されるように、隣り合う一方の前記アンカー部材の前記通過部に二本の前記ワイヤーの一方を通すと共に、隣り合う他方の前記アンカー部材の前記通過部に二本の前記ワイヤーの他方を通し、かつ、二本の前記ワイヤーの他端側をそれぞれ前記保持部材に接続させたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0009】
また、前記アンカー部材は、前記幹を周回する方向において、隣り合う前記アンカー部材との間に間隔を開けて第一ないし第四アンカー部材の四つ用意されると共に、前記第一ないし第四アンカー部材はそれぞれ前記連繋部材を通し抜けさせる通過部を備えており、
前記連繋部材は、第一および第二連繋部材の二つ用意されると共に、前記第一および第二連繋部材はそれぞれ、二本のワイヤーとこの二本の前記ワイヤーの一端間にあってこの二本の前記ワイヤーの前記一端間の距離を可変調整可能に二本の前記ワイヤーを連結させる連結部材とを備えており、
前記幹を周回する方向において隣り合う前記第一アンカー部材と前記第二アンカー部材との間に前記連結部材が位置されるように前記第一アンカー部材と前記第二アンカー部材の前記通過部に前記第一連繋部材の前記ワイヤー部分を通すと共に、前記第一連繋部材の二本の前記ワイヤーの他端側をそれぞれ前記保持部材に接続させ、
かつ、 前記幹を周回する方向において隣り合う前記第三アンカー部材と前記第四アンカー部材との間に前記連結部材が位置されるように前記第三アンカー部材と前記第四アンカー部材の前記通過部に前記第二連繋部材の前記ワイヤー部分を通すと共に、前記第二連繋部材の二本の前記ワイヤーの他端側をそれぞれ前記保持部材に接続させものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、この種の樹木の支持構造に、対象樹木が肥大成長をしても常に対象樹木を適切に支持可能とする調整機能を、合理的に付与させることができる。すなわち、前記保持部材は、前記間隔調整可能に組み合わされた一対の挟持体からなることから、樹木の肥大成長に合わせて一対の挟持体間の間隔(距離)を変えることができる。
【0011】
また、樹木の肥大成長などに応じて、例えば保持部材の装着位置が樹木の生長により上側に移動しアンカー部材と保持部材との間の距離が大きくなるなど、アンカー部材と保持部材との間に亘る連繋部材の長さを変える必要が生じた場合は、前記連結部材の調整によって前記幹を周回する方向において前記長さを同時に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかる樹木の支持構造の使用状態を示した斜視構成図である。
【
図3】
図3は、前記支持構造の要部側面構成図である。
【
図4】
図4は、前記支持構造の要部平面構成図である。
【
図5】
図5は、前記支持構造の要部平面構成図であり、
図2の右端を拡大して示している。
【
図6】
図6は、前記支持構造の要部平面構成図である。
【
図7】
図7は、前記支持構造を構成する主として保持部材の分解斜視構成図である。
【
図8】
図8は、前記支持構造を構成する主としてアンカー部材の側面構成図である。
【
図9】
図9は、前記支持構造を構成する主としてアンカー部材の平面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1ないし
図9に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。
【0014】
この実施の形態にかかる支持構造1は、土壌厚を大きく確保できない状況において、植えられた樹木Pに対する風害の影響を最小化するように、樹木Pを支持するものである。
【0015】
典型的には、かかる支持構造1は、屋上緑化や人工地盤において植えられた樹木Pの支持に用いるのに適している。
【0016】
かかる支持構造1は、樹木Pの幹Paに対する保持部材2と、アンカー部材3と、連繋部材4とを備えてなる。
【0017】
保持部材2は、前記幹Paを挟持する一対の挟持体2aを、両者間の間隔調整可能に組み合わせてなる。
【0018】
連繋部材4は、前記保持部材2と前記アンカー部材3との間に張り込み状に架設されて前記幹Paを支持する。
【0019】
図示の例では、かかる支持構造1によって、人工地盤において植えられた樹木Pを支持している。
【0020】
図1中、符号Bは人工地盤を構成する下地、符号Tはこの下地B上に載置された植栽トレイ、符号Mは植栽トレイT内の土壌、符号Pは樹木、符号Paは樹木Pの幹、符号Pbは樹木Pの根を示す。
【0021】
アンカー部材3は、人工地盤の下地B側に何らかの形で固定されると共に、保持部材2との間に連繋部材4を前記のように架設可能なものであれば足り、例えば、下端部を前記下地B側に打ち込まれて固定される杭状のものなどであっても良い。
【0022】
図示の例では、アンカー部材3は、前記下地B側に下端部3eを固定されて前記下地B上に立設されている。連繋部材4は、アンカー部材3の上端部3fと保持部材2との間に架設されている。
【0023】
図示の例では、アンカー部材3は、ステンレス製のプレート5を利用して、設置されるようになっている。
【0024】
前記下地B上にプレート5が敷設され、その上に前記トレイTを介して土壌Mが配される。図示は省略するが、典型的には、前記下地B上にはさらに前記トレイTおよびアンカー部材3の上端部3fを隠す高さまで土壌Mが盛られる。
【0025】
図8及び
図9に示されるように、前記プレート5の四隅にそれぞれアンカー部材3が立設されている。各アンカー部材3は、プレート5の上面に固着されたナット3gと、このナット3gに下端を螺着されるボルト3hと、このボルト3hの上端に螺着されるアイナット3iとから構成されている。図示の例では、このアイナット3iの環状部に連繋部材4の後述のワイヤー4cを通すことができるようになっており、この環状部が後述の通過部3jを形成させている。
【0026】
保持部材2は、前記間隔調整可能に組み合わされた一対の挟持体2aからなることから、樹木Pの肥大成長に合わせて一対の挟持体2a間の間隔(距離)を変えることができる。
【0027】
図示の例では、一対の挟持体2aはそれぞれ、矩形の金属板に曲げ加工を施すことで、形成されている。
図示の例では、一対の挟持体2aはそれぞれ、中央部2bと、左右の耳部2cとを持つように形成されている。
保持部材2はその中心2d(
図6参照)を幹Paの中心に実質的に一致させるように幹Paに取り付けられる。平面視の状態において保持部材2の中心2dを通る仮想の直線x(
図6参照)を挟んだ一方側に一対の挟持体2aの一方が配され、この直線xを挟んだ他方側に一対の挟持体2aの他方が配される。
一対の挟持体2aはそれぞれ、前記中心側に耳部2cを位置させ、この耳部2cよりも外側に中央部2bを位置させており、耳部2cと中央部2bとの間には段差2eを備えている。
また、一対の挟持体2aはそれぞれ、この挟持体2aを実質的に上下に二分する仮想の直線y(
図3参照)上において、左右の耳部2cにそれぞれボルト2mの通し穴2fを有している。
【0028】
図示の例では、一対の挟持体2aの一方の
図6における右側の耳部2cの通し穴2fに通したボルト2mを一対の挟持体2aの他方の
図6における右側の耳部2cの通し穴2fにネジ付けると共に、一対の挟持体2aの他方の
図6における左側の耳部2cの通し穴2fに通したボルト2mを一対の挟持体2aの一方の
図6における左側の耳部2cの通し穴2fにネジ付けることで、幹Paを間において一対の挟持体2aを組み合わせている。それと共に、かかるボルト2mを螺進退させることで、一対の挟持体2a間の間隔(距離)が可変調整可能となっている。
【0029】
また、図示の例では、一対の挟持体2aの中央部2bの内側にはそれぞれ、緩衝材2gが付設されている。
図示の例では、緩衝材2gは、ゴムからなるチューブ状体によって構成されている。緩衝材2gは、中空の内部空間を左右の端部においてそれぞれ外部に開放させると共に、外面を挟持体2aの中央部2bの内面に密着させた状態で挟持体2aに備えられている。図示の例では、挟持体2aの中央部2bに形成させた穴2hに通したネジ2iを緩衝材2g内に位置させたプレート2jにネジ止めすることで、挟持体2aと緩衝材2gとは一体化されている。
これにより、図示の例では、保持部材2は緩衝材2gを介して樹木Pの幹Paに接し、樹木Pの幹Paを挟持する装着状態において、この幹Paを傷つけることがない。
かかる緩衝材2gとしては、樹木Pの幹Paを傷つけない物性(柔らかさ)を持ったもの、前記ゴムや、プラスチックエラストマー、発泡プラスチック、コルクなどを用いることができる。
【0030】
前記アンカー部材3は、前記幹Paを周回する方向R(
図2参照)において、隣り合う前記アンカー部材3との間に間隔を開けて二以上用意される。
この実施の形態にあっては、前記アンカー部材3は、前記幹Paを周回する方向Rにおいて、隣り合う前記アンカー部材3との間に間隔を開けて第一ないし第四アンカー部材3aないし3dの四つ用意される。
それと共に、前記第一ないし第四アンカー部材3aないし3dはそれぞれ前記連繋部材4を通し抜けさせる通過部3jを備えている。図示の例では、前記アイナット3iの環状部によって第一ないし第四アンカー部材3aないし3dはそれぞれ前記連繋部材4を通し抜けさせる通過部3jを備えている。
【0031】
また、この実施の形態にあっては、前記連繋部材4は、第一および第二連繋部材4a、4bの二つ用意される。
それと共に、前記第一および第二連繋部材4a、4bはそれぞれ、二本のワイヤー4cとこの二本の前記ワイヤー4cの一端4d間にあってこの二本の前記ワイヤー4cの前記一端4d間の距離を可変調整可能に二本の前記ワイヤー4cを連結させる連結部材4fとを備えている。
【0032】
ワイヤー4cは、耐候性の観点から、ステンレス製とすることが好ましい。
【0033】
連結部材4fは、図示の例では、ターンバックル4gを利用している。図中符号4hはターンバックル4gの胴、符号4iは前記胴4gの左右にそれぞれ螺進退可能に組み合わされたフック付きボルトである。
【0034】
二本のワイヤー4cの一方の一端4d側は、ターンバックル4gの一方のフック付きボルト4iのフックに引っかけられ折り返しされて端末をワイヤー4cの中央側に固着させることでターンバックル4gに固定され、二本のワイヤー4cの他方の一端4d側は、ターンバックル4gの他方のフック付きボルト4iのフックに引っかけられ折り返しされて端末をワイヤー4cの中央側に固着させることでターンバックル4gに固定される。図中符号4pで示すのはワイヤー4cを通した状態でカシメられて前記固着をなす金属製のチューブである。
【0035】
二本のワイヤー4cの他端4e側にはそれぞれ、引っ張りコイルバネ4jと、連結要素としてのカラビナ4kと、連結要素としての二重リング4oとが取り付けられている。二本のワイヤー4cの他端4e側はそれぞれ、これらを介して、保持部材2に接続される。
【0036】
そして、この実施の形態にあっては、前記幹Paを周回する方向Rにおいて隣り合う前記第一アンカー部材3aと前記第二アンカー部材3bとの間に前記連結部材4fが位置されるように前記第一アンカー部材3aと前記第二アンカー部材3bの前記通過部3jに前記第一連繋部材4aの前記ワイヤー4c部分を通すと共に、前記第一連繋部材4aの二本の前記ワイヤー4cの他端4e側をそれぞれ前記保持部材2に接続させ、
かつ、 前記幹Paを周回する方向Rにおいて隣り合う前記第三アンカー部材3cと前記第四アンカー部材3dとの間に前記連結部材4fが位置されるように前記第三アンカー部材3cと前記第四アンカー部材3dの前記通過部3jに前記第二連繋部材4bの前記ワイヤー4c部分を通すと共に、前記第二連繋部材4bの二本の前記ワイヤー4cの他端4e側をそれぞれ前記保持部材2に接続させている。
【0037】
図示の例では、前記プレート5は長方形状であり、樹木Pはその中央上に植えられている。アンカー部材3はプレート5の各隅部に設けられていることから、連繋部材4のワイヤー4cは樹木Pの幹Paとプレート5の各隅部とを結ぶ仮想の直線z(
図2参照)に沿うように、前記幹Paを周回する方向Rにおいて隣り合うワイヤー4cとの間に間隔を開けて四箇所に張り込まれる。
【0038】
第一連繋部材4aは、
図2の左側にあっては、前記直線zに沿った部分と、前記プレート5の幅方向に沿った部分とを持つように配され、この幅方向に沿った部分が第一アンカー部材3aと第二アンカー部材3bの間にあってここに連結部材4fが位置される。
第二連繋部材4bは、
図2の右側にあっては、前記直線zに沿った部分と、前記プレート5の幅方向に沿った部分とを持つように配され、この幅方向に沿った部分が第三アンカー部材3cと第四アンカー部材3dの間にあってここに連結部材4fが位置される。
図示の例では、このように配される第一連繋部材4aおよび第二連繋部材4bによって、四方向から中央の樹木Pを支持するようになっている。
【0039】
図示は省略するが、一つの連繋部材4と、二つのアンカー部材3によって、樹木Pを支持するようにすることもできる。また、三つ以上の連繋部材4と、六つ以上のアンカー部材3によって樹木Pを支持するようにすることもできる。
【0040】
これにより、樹木Pの肥大成長などに応じて、例えば保持部材2の装着位置が樹木Pの生長により上側に移動しアンカー部材3と保持部材2との間の距離が大きくなるなど、アンカー部材3と保持部材2との間に亘る連繋部材4の長さを変える必要が生じた場合は、前記連結部材4fの調整によって前記幹Paを周回する方向Rにおいて前記長さを同時に変えることができる。
【0041】
図示の例では、第一アンカー部材3aと第二アンカー部材3bとの間の連結部材4fの調整によって、図示の例ではターンバックル4gの胴4hの回動操作によって、第一連繋部材4aを構成する二本のワイヤー4cの一方におけるアンカー部材3と保持部材2との間に位置される前記直線zに沿った部分の長さと、これに隣り合う第一連繋部材4aを構成する二本のワイヤー4cの他方におけるアンカー部材3と保持部材2との間に位置される前記直線zに沿った部分の長さとを、同時に変えることができる。
また、第三アンカー部材3cと第四アンカー部材3dとの間の連結部材4fの調整によって、図示の例ではターンバックル4gの胴4hの回動操作によって、第二連繋部材4bを構成する二本のワイヤー4cの一方におけるアンカー部材3と保持部材2との間に位置される前記直線zに沿った部分の長さと、これに隣り合う第二連繋部材4bを構成する二本のワイヤー4cの他方におけるアンカー部材3と保持部材2との間に位置される前記直線zに沿った部分の長さとを、同時に変えることができる。
図示の例では、ターンバックル4gの胴4hの回動操作すると、ターンバックル4gを構成する一方のフック付きボルト4iのフックと他方のフック付きボルト4iのフックとの間の距離が変わり、連繋部材4を構成するワイヤー4cにおけるアンカー部材3と保持部材2との間に位置される前記直線zに沿った部分の長さが調整されるようになっている。
【0042】
図示の例では、ワイヤー4cの他端4e側は、引っ張りコイルバネ4jの一端に形成された環状部4jaに通され折り返しされて端末をワイヤー4cの中央側に固着させることで引っ張りコイルバネ4jに固定される。
【0043】
カラビナ4kには、引っ張りコイルバネ4jの他端に形成された環状部4jaと、二重リング4oとが通される。
図3中符号4mは環状をなすカラビナ4kの一部をなすと共に自由端4maをカラビナ4k内側に位置させる押し込み位置でカラビナ4kの一部を開放する可動部である。図示の例では、カラビナ4kは可動可能なハズレ止め4nによって内部空間を二分割されており、このハズレ止め4nを挟んだ下端側に引っ張りコイルバネ4jの環状部4jaが位置し、上端側に二重リング4oが位置されている。
【0044】
図示の例では、保持部材2を構成する一対の挟持体2aの一方における
図3の左側の耳部2cに形成された穴2kに二重リング4oが通されていると共に、保持部材2を構成する一対の挟持体2aの他方における
図3の右側の耳部2cに形成された穴2kに二重リング4oが通されており、第一連繋部材4aを構成する二本のワイヤー4cの他端4e側はそれぞれ前記バネ4jとカラビナ4kを介して前記一対の挟持体2aの一方の二重リング4oにつながれ、第二連繋部材4bを構成する二本のワイヤー4cの他端4e側はそれぞれ前記バネ4jとカラビナ4kを介して前記一対の挟持体2aの他方の二重リング4oにつながれている。
【0045】
前記バネ4jに一定の張力を作用させるように、保持部材2とアンカー部材3との間にワイヤー4cを張り込むようにすることで、風による樹木Pの揺れは効果的かつ適切に抑制される。
【0046】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0047】
P 樹木
Pa 幹
2 保持部材
2a 挟持体
3 アンカー部材
4 連繋部材