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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061466
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】熱交換器及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/22 20060101AFI20240425BHJP
   F24F 1/0059 20190101ALI20240425BHJP
   F24F 1/032 20190101ALI20240425BHJP
   F24F 1/18 20110101ALI20240425BHJP
【FI】
F28F9/22
F24F1/0059
F24F1/032
F24F1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169435
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【テーマコード(参考)】
3L051
3L054
3L065
【Fターム(参考)】
3L051BE06
3L054BA05
3L065DA13
(57)【要約】
【課題】熱交換器の複数の伝熱管に流入する冷媒の量のばらつきを抑制する。
【解決手段】実施形態に係る熱交換器は、第1の方向に冷媒が流れる第1の流路が設けられたヘッダと、第1の方向に間隔をあけて並べられて、それぞれに、第1の流路と接続され第1の方向と交差する第2の方向に延び冷媒が流入する第2の流路、が設けられた複数の伝熱管と、第1の流路に設けられ、複数の伝熱管のうち少なくとも第1の流路における第1の方向側の端部に最も近い伝熱管に対して設けられた案内部材と、を備え、案内部材は、少なくとも一部が第1の流路における第2の流路との接続口と対向し第1の方向に向かうにつれて第2の方向に向かうように第1の方向に対して傾斜し、第1の方向に流れる冷媒を第2の流路側に案内する案内面を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に冷媒が流れる第1の流路が設けられたヘッダと、
前記第1の方向に間隔をあけて並べられて、それぞれに、前記第1の流路と接続され前記第1の方向と交差する第2の方向に延び前記冷媒が流入する第2の流路、が設けられた複数の伝熱管と、
前記第1の流路に設けられ、前記複数の伝熱管のうち少なくとも前記第1の流路における前記第1の方向側の端部に最も近い前記伝熱管に対して設けられた案内部材と、
を備え、
前記案内部材は、少なくとも一部が前記第1の流路における前記第2の流路との接続口と対向し前記第1の方向に向かうにつれて前記第2の方向に向かうように前記第1の方向に対して傾斜し、前記第1の方向に流れる前記冷媒を前記第2の流路側に案内する案内面を有した、
熱交換器。
【請求項2】
前記案内部材は、前記複数の伝熱管のうち前記第1の流路の前記端部に最も近い前記伝熱管を含む複数の前記伝熱管のそれぞれに対して設けられた、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記案内部材は、前記複数の伝熱管のうち前記第1の流路の前記端部から最も遠い前記伝熱管とは異なる前記伝熱管に対して設けられた、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
複数の前記案内面は、前記第1の流路の前記端部から離れるにつれて面積が小さい、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1の流路は、前記案内部材に対して前記第2の方向側の第1の部分と、前記案内部材に対して前記第2の方向の反対方向側の第2の部分と、を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1の方向から見た場合に、前記案内部材の前記第2の方向の幅は、前記第1の流路の直径の10%~40%の範囲内である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記ヘッダは、前記案内部材が設けられていない第1の部材と、前記案内部材が設けられ、前記第1の部材とは別部材であり前記第1の部材と接続された第2の部材と、を有した、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一つに記載の熱交換器と、
圧縮機と、
を備え、
前記熱交換器の前記第1の流路に前記圧縮機からの気体状の前記冷媒が流入する、
空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンディショナのような空気調和機においては、冷房運転時において、圧縮機からの高温の気体状の冷媒が室外熱交換器へ流れ室外熱交換器にて熱交換する。例えば、熱交換器は、圧縮機からの冷媒が流入するヘッダと、ヘッダに接続されヘッダから冷媒が流入する複数の伝熱管と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4887213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の熱交換器では、複数の伝熱管に流入する冷媒の量にばらつきが発生すると、熱交換器における熱交換効率が低下する虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、熱交換器の複数の伝熱管に流入する冷媒の量のばらつきを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る熱交換器は、第1の方向に冷媒が流れる第1の流路が設けられたヘッダと、前記第1の方向に間隔をあけて並べられて、それぞれに、前記第1の流路と接続され前記第1の方向と交差する第2の方向に延び前記冷媒が流入する第2の流路、が設けられた複数の伝熱管と、前記第1の流路に設けられ、前記複数の伝熱管のうち少なくとも前記第1の流路における前記第1の方向側の端部に最も近い前記伝熱管に対して設けられた案内部材と、を備え、前記案内部材は、少なくとも一部が前記第1の流路における前記第2の流路との接続口と対向し前記第1の方向に向かうにつれて前記第2の方向に向かうように前記第1の方向に対して傾斜し、前記第1の方向に流れる前記冷媒を前記第2の流路側に案内する案内面を有する。
【0007】
前記熱交換器では、例えば、前記案内部材は、前記複数の伝熱管のうち前記第1の流路の前記端部に最も近い前記伝熱管を含む複数の前記伝熱管のそれぞれに対して設けられている。
【0008】
前記熱交換器では、例えば、前記案内部材は、前記複数の伝熱管のうち前記第1の流路の前記端部から最も遠い前記伝熱管とは異なる前記伝熱管に対して設けられている。
【0009】
前記熱交換器では、例えば、複数の前記案内面は、前記第1の流路の前記端部から離れるにつれて面積が小さい。
【0010】
前記熱交換器では、例えば、前記第1の流路は、前記案内部材に対して前記第2の方向側の第1の部分と、前記案内部材に対して前記第2の方向の反対方向側の第2の部分と、を含む。
【0011】
前記熱交換器では、例えば、前記第1の方向から見た場合に、前記案内部材の前記第2の方向の幅は、前記第1の流路の直径の10%~40%の範囲内である。
【0012】
前記熱交換器では、例えば、前記ヘッダは、前記案内部材が設けられていない第1の部材と、前記案内部材が設けられ、前記第1の部材とは別部材であり前記第1の部材と接続された第2の部材と、を有する。
【0013】
本発明の実施形態に係る空気調和機は、前記熱交換器と、圧縮機と、を備え、前記熱交換器の前記第1の流路に前記圧縮機からの気体状の前記冷媒が流入する。
【0014】
以上の熱交換器及び空気調和機によれば、例えば、熱交換器の複数の伝熱管に流入する冷媒の量のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る冷房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
図2図2は、実施形態の熱交換器と冷媒配管の一部とを概略的に示す正面図である。
図3図3は、実施形態の熱交換器の一部を概略的に示す正面図である。
図4図4は、実施形態の熱交換器の一部を概略的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態の熱交換器を流れる冷媒の量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0017】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
図1は、実施形態に係る冷房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和機10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和機であっても良い。
【0019】
図1に示すように、空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0020】
空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続されている。
【0021】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、四方弁25と、膨張弁26とを有する。室内機12は、室内熱交換器31と、室内送風ファン32とを有する。室外熱交換器21は、熱交換器の一例である。
【0022】
冷媒配管13は、例えば、金属で作られた管である。冷媒配管13は、二つの冷媒配管41,42を有する。冷媒配管41は、室内熱交換器31と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、及び四方弁25は、冷媒配管41に設けられている。冷媒配管42は、室外熱交換器21と室内熱交換器31とを接続する。膨張弁26は、冷媒配管42に設けられている。
【0023】
冷房運転において、冷媒は、冷媒配管41を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れ、冷媒配管42を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れる。図1の矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示す。暖房運転において、冷媒は、冷媒配管41を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、冷媒配管42を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。
【0024】
室外機11の室外熱交換器21は、冷房運転において凝縮器として冷媒の放熱を行い、暖房運転において蒸発器として冷媒の吸熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に向かって送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0025】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0026】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続されている。アキュムレータ24は、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過した気体状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることができる。
【0027】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器31と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とに接続されている。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器31、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続されている流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0028】
図1に実線で示すように、冷房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器31で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0029】
図1に破線で示すように、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器31へ流れ、室外熱交換器21で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0030】
膨張弁26は、例えば、電磁膨張弁である。なお、膨張弁26は、他の膨張弁であっても良い。膨張弁26は、制御装置14により開度を制御されることで、当該膨張弁26を通過する冷媒の量を調節する。
【0031】
室内機12の室内熱交換器31は、冷房運転において蒸発器として吸熱し、暖房運転において凝縮器として放熱する。室内送風ファン32は、室内熱交換器31に向かって送風し、室内熱交換器31と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン32は、室内熱交換器31と熱交換する気流を生成する。
【0032】
制御装置14は、例えば、室外制御装置14aと、室内制御装置14bとを有する。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、互いに電気配線により電気的に接続されている。室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち一方のみを有しても良い。
【0033】
室外制御装置14aは、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、四方弁25、及び膨張弁26を制御する。室内制御装置14bは、室内機12の室内送風ファン32を制御する。
【0034】
制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、及び他の運転を行う。室内制御装置14bは、例えば、リモートコントローラから信号を入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されても良い。
【0035】
図2は、実施形態の熱交換器50と冷媒配管13の一部とを概略的に示す正面図である。室外熱交換器21と室内熱交換器31とのそれぞれは、熱交換器50を有する。室外熱交換器21の熱交換器50と、室内熱交換器31の熱交換器50とは、大まかな構成が共通する。このため、以下の熱交換器50についての説明は、室外熱交換器21の熱交換器50と室内熱交換器31の熱交換器50において概ね共通する。なお、室外熱交換器21の熱交換器50と、室内熱交換器31の熱交換器50とは、例えば、形状、大きさ、配置、伝熱管53の形状及び配置、又は、フィン54の形状及び配置等について、互いに異なっても良い。また、一方の熱交換器50をマイクロチャネル熱交換器とし、他方の熱交換器50をフィンチューブ熱交換器とするなど、二つの熱交換器50が互いに異なる方式又は構成の熱交換器であっても良い。
【0036】
以下、便宜上、X軸、Y軸、及びZ軸が定義される。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸及びY軸は、水平に延びている。Z軸は、鉛直に延びている。なお、X軸、Y軸、及びZ軸は、水平方向及び鉛直方向に対して斜めに傾いていても良い。
【0037】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向、及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。例えば、+Z方向は上方向、-Z方向は下方向である。-Z方向は、第1の方向の一例であり、+X方向は、第2の方向の一例である。
【0038】
熱交換器50は、二つのヘッダ51,52と、複数の伝熱管53A~53Fと、複数のフィン54とを有する。二つのヘッダ51,52は、それぞれ、Z方向の延び、X方向に互いに離間している。複数の伝熱管53A~53Fは、二つのヘッダ51,52の間に設けられている。複数の伝熱管53A~53Fは、X方向に延び、互いにZ方向に間隔をあけて並べられている。複数のフィン54は、複数の伝熱管53A~53Fに亘って設けられている。以後、複数の伝熱管53A~53Fの総称として伝熱管53を用いる。
【0039】
ヘッダ51は、冷媒配管41に接続されている。ヘッダ52は、冷媒配管42に接続されている。ヘッダ51,52は、内部の流路に冷媒が流れる。例えば、冷房運転時においては、室外熱交換器21の熱交換器50が凝縮器として機能する場合、室外熱交換器21の熱交換器20のヘッダ51には、気体状の高温の冷媒が流入する。
【0040】
図3は、実施形態の熱交換器50の一部を概略的に示す正面図である。図4は、実施形態の熱交換器50の一部を概略的に示す断面図である。
【0041】
図3及び図4に示されるように、ヘッダ51は、例えば、Z方向を長手方向とする円管によって構成されている。ヘッダ51には、Z方向に延びる第1の流路61が設けられている。第1の流路61の+Z方向側の端部である一端部61aは、開口されている。すなわち、一端部61aは、開口部(開口端部)である。第1の流路61の-Z方向側の端部である他端部61bは、閉塞されている。
【0042】
第1の流路61の一端部61aは、冷媒配管41と接続されている。冷房運転時において室外熱交換器21の熱交換器50が凝縮器として機能する場合、室外熱交換器21の熱交換器20のヘッダ51においては、第1の流路61の一端部61aには、圧縮機23から気体状の高温の冷媒が流入する。すなわち、このとき、一端部61aは、冷媒の入口となる。一端部61aから流入した冷媒は、-Z方向に流れる。また、図4に示されるように、第1の流路61は、伝熱管53の第2の流路62との接続口61eを有する。接続口61eは、ヘッダ51をX方向に貫通している。接続口61eは、伝熱管53ごとに設けられている。すなわち、第1の流路61は、一端部61aと他端部61bとの間で第1の方向に間隔をあけて設けられた複数の接続口61eを有する。一端部61aから流入した冷媒は、各接続口61eから各伝熱管53の第2の流路62に流れる。接続口61eは、開口部とも称される。
【0043】
また、第1の流路61には、複数の案内部材55A~55Cが設けられている。以後、複数の案内部材55A~55Cの総称として案内部材55を用いる。案内部材の詳細は、後述する。
【0044】
また、ヘッダ51は、複数の第1の部材71A~71Dと、複数の第2の部材72A~72Cとの組み合わせによって構成されている。以後、複数の第1の部材71A~71Dの総称として第1の部材71を用い、複数の第2の部材72A~72Cの総称として第2の部材72を用いる。第1の部材71と第2の部材72とは、例えば、溶接によって接続されている。なお、第1の部材71と第2の部材72との接続形態は、上記に限定されない。例えば、第1の部材71と第2の部材72との接続は、互いに設けられたネジの螺合による接続であっても良いし、他の形態の接続であっても良い。第1の部材71には、案内部材55が設けられていない。第1の部材71は、金属材料によって作られた管状の部材である。第2の部材72には、案内部材55が設けられている。また、第2の部材72には、伝熱管53が接続されている。すなわち、第2の部材72は、継手である。第2の部材72は、金属材料によって作られた管状の部材である。第2の部材72の材料は、第1の部材71よりも加工しやすいものが望ましく、例えば、黄銅(真鍮)である。第2の部材72が黄銅であることにより、加工がしやすくなり、第2の部材72の内部に案内部材55を形成しやすくなる。なお、第1の部材71及び第2の部材72の材料は、上記に限定されない。また、第1の部材71の材料と第2の部材72の材料とが同じであっても良い。なお、ヘッダ52は、ヘッダ51と同じ構成であっても良いし、異なる構成であっても良い。
【0045】
複数の伝熱管53は、例えば、銅やアルミニウムのような金属で作られた管である。複数の伝熱管53は、Z方向に間隔を介して並べられ、二つのヘッダ51,52の間で略X方向に延びている。伝熱管53は、ヘッダ51の第2の部材72に連結されている。冷媒は、複数の伝熱管53を通って、二つのヘッダ51,52の間で流れる。具体的には、図4に示されるように、伝熱管53には、第2の流路62が設けられている。第2の流路62は、第1の流路61と接続され第1の流路61から-Z方向と交差する+X方向に延びている。具体的には、第2の流路62は、第1の流路61の接続口61eと接続された接続口62aを有する。接続口62aは、第2の流路における-X方向側の端部である。接続口62aは、開口部とも称される。第2の流路62の接続口62aには、第1の流路61の接続口61eからの冷媒が流入する。伝熱管53は、冷媒管とも称される。
【0046】
また、複数の伝熱管53A~53Fは、伝熱管53Aから53Fに向かうにつれて-Z方向に位置するように配置されている。すなわち、複数の伝熱管53A~53Fのうち伝熱管53Aが、ヘッダ51の第1の流路61の一端部61aに最も近く、複数の伝熱管53A~53Fのうち伝熱管53Fが、第1の流路61の一端部61aから最も遠い。
【0047】
複数のフィン54は、X方向に間隔を介して並べられている。複数のフィン54のそれぞれは、複数の伝熱管53のうち少なくとも一つに接続されている。これにより、複数のフィン54は、複数の伝熱管53を流れる冷媒と空気との熱交換を促進する。
【0048】
次に、案内部材55について説明する。案内部材55は、ヘッダ51の第1の流路61を-Z方向に流れる冷媒の一部を、伝熱管53の第2の流路62側に案内するものである。案内部材55は、例えば、金属材料によって作られている。
【0049】
図3に示されるように、案内部材55A~55Cは、複数の伝熱管53A~Cに対して設けられている。すなわち、案内部材55A~55Cは、複数の伝熱管53A~53Fのうち第1の流路61の一端部61aに最も近い伝熱管53Aを含む複数の伝熱管53A~53Cのそれぞれに対して設けられている。案内部材55は、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aから最も遠い伝熱管53Fとは異なる伝熱管53A~53Cに対して設けられている。
【0050】
案内部材55A~55Cは、それぞれ、ヘッダ51の第2の部材72A~72Cに設けられている。図3及び図4に示されるように、案内部材55は、帯状の板材によって構成されている。なお、案内部材55は、他の形状であっても良い。各案内部材55は、Y方向の両端部が第2の部材72にカシメや溶接等よって固定されている。図4に示されるように、一例として、案内部材55のY方向の両端部と第2の部材72の内周面との間には、隙間61f,61gが形成されている。なお、隙間61f,61gの一方又は両方が無くても良い。また、案内部材55の固定方法は、上記に限定されない。また、案内部材55は、第2の部材72に一体形成されても良い。
【0051】
案内部材55は、少なくとも第1の流路61の直径の中心と重なるように配置され、案内部材55の+X方向側及び-X方向側は、冷媒が通過可能である。換言すると、第1の流路61は、案内部材55に対して+X方向側の第1の部分61cと、案内部材55に対して-X方向側の第2の部分61dと、を含む。
【0052】
図3及び図4に示されるように、案内部材55は、案内面55aを有する。案内面55aは、案内部材55における+Z方向側の面である。案内面55aは、平面である。なお、案内面55aは、曲面であっても良い。案内面55aは、少なくとも一部が第1の流路61の接続口61e及び第2の流路62の接続口62aと対向している。換言すると、案内面55aは、少なくとも一部が第1の流路61の接続口61e及び第2の流路62の接続口62aとX方向に並んでいる。案内面55aは、一部だけが第1の流路61の接続口61e及び第2の流路62の接続口62aと対向していても良いし、全部が第1の流路61の接続口61e及び第2の流路62の接続口62aと対向していても良い。案内面55aは、-Z方向に向かうにつれて+X方向に向かうように、X方向及びZ方向に対して傾斜している。X方向に対する案内面55aの傾斜角度αは、例えば、30度である。なお、案内面55aの傾斜角度は、上記に限定されない。
【0053】
また、-Z方向から見た場合に(図4の視線)、案内部材55の+X方向の幅L1は、第1の流路61の直径D1の10%~40%の範囲内である。一例として、案内部材55の+X方向の幅L1は、第1の流路61の直径D1の27%である、なお、案内部材55の幅L1は、上記に限定されない。
【0054】
上記の構成において、冷房運転時には、室外熱交換器21の熱交換器50には、圧縮機23からの高温の気体状の冷媒が流入する。具体的には、ヘッダ51の第1の流路61の一端部61aに、気体状の冷媒が流入する。第1の流路61に流入した気体状の冷媒は、第1の流路61を-Z方向に流れるとともに複数の伝熱管53に分流する。このとき、本実施形態では、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aに比較的近い伝熱管53A~53Cに対して案内部材55A~55Cが設けられている。これにより、冷媒の一部は、案内部材55A~55Cの案内面55aによって、伝熱管53A~53Cに案内される。また、冷媒の一部は、第1の流路61の第1の部分61c及び第2の部分61dを通ってさらに-Z方向に流れる。
【0055】
ここで、案内部材55が設けられていない場合、第1の流路61に流入した気体状の冷媒は、伝熱管53Aから53Fの順に流量が多くなる。すなわち、第1の流路61に流入した気体状の冷媒は、伝熱管53Fから53Aの順に流量が少なくなる。これは、第1の流路61の冷媒の入口である一端部61aに近い程、冷媒の圧力が低く流速が速いため、一端部61aに近い伝熱管53程、冷媒が伝熱管53の第2の流路62に流れにくいためであると考えられる。
【0056】
これに対して、本実施形態では、上述のとおり、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aに比較的近い伝熱管53A~53Cに対して案内部材55A~55Cが設けられている。そして、冷媒の一部は、案内部材55A~55Cの案内面55aによって、伝熱管53A~53Cに案内される。これにより、案内部材55A~55Cが無い場合に比べて、伝熱管53A~53Cに入る冷媒の量が増大し、ヘッダ51から複数の伝熱管53に流入する冷媒の量のばらつきが抑制される。なお、本実施形態では、第1の流路61の冷媒の入口である一端部61aから比較的遠い伝熱管53D~53Fには、冷媒が流れやすいので、案内部材55は設けられていない。
【0057】
図5は、実施形態の熱交換器50を流れる冷媒の量を説明するための図である。発明者は、熱交換器50の冷媒の流れのシミュレーションを行った。シミュレーションでは、図5に示されるように、熱交換器50のヘッダ51と案内部材55と伝熱管53の一部とで構成されたモデルを用いた。このシミュレーションで、複数の伝熱管53から流出する冷媒の量が略同じであるという結果が得られた。特に、案内部材55の+X方向の幅L1が第1の流路61の直径D1の10%~40%の範囲内にあるときに、効果が顕著であった。なお、図5では、各伝熱管53から延びる矢印F1~F6の長さは、各伝熱管53から流出する冷媒の量を示す。このシミュレーションの結果から、本実施形態の構成では、複数の伝熱管53に流入する冷媒の量のばらつきが抑制されることが分かった。
【0058】
以上のように、本実施の熱交換器50は、ヘッダ51と、複数の伝熱管53と、案内部材55と、を備える。ヘッダ51には、-Z方向(第1の方向)に冷媒が流れる第1の流路61が設けられている。複数の伝熱管53は、-Z方向に間隔をあけて並べられている。複数の伝熱管53は、それぞれに、第1の流路61と接続され-Z方向と交差する+X方向(第2の方向)に延び冷媒が流入する第2の流路62が設けられている。案内部材55は、第1の流路61に設けられている。案内部材55は、複数の伝熱管53のうち少なくとも第1の流路61における-Z方向側の一端部61a(端部)に最も近い伝熱管53に対して設けられている。案内部材55は、案内面55aを有する。案内面55aは、少なくとも一部が第1の流路61における第2の流路62との接続口61eと対向し-Z方向に向かうにつれて+X方向に向かうように-Z方向に対して傾斜し、-Z方向に流れる冷媒を第2の流路62側に案内する。
【0059】
このような構成によれば、第1の流路61の一端部61aから第1の流路61に流入した気体状の冷媒が、案内部材55の案内面55aによって、複数の伝熱管53のうち少なくとも第1の流路61における-Z方向側の一端部61aに最も近い伝熱管53Aに案内される。よって、ヘッダ51から複数の伝熱管53に流入する冷媒の量のばらつきを抑制することができる。
【0060】
また、案内部材55は、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aに最も近い伝熱管53Aを含む複数の伝熱管53A~53Cのそれぞれに対して設けられている。
【0061】
このような構成によれば、複数の案内部材55の案内面55aによって、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aに最も近い伝熱管53Aを含む複数の伝熱管53A~53Cのそれぞれに案内される。よって、ヘッダ51から複数の伝熱管53に流入する冷媒の量のばらつきをより一層抑制することができる。
【0062】
また、案内部材55は、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aから最も遠い伝熱管53Fとは異なる伝熱管53A~53Cに対して設けられている。
【0063】
このような構成によれば、全ての伝熱管53に対して案内部材55を設ける構成に比べて、熱交換器50の構成を簡素化することができる。
【0064】
また、第1の流路61は、案内部材55に対して+X方向側の第1の部分61cと、案内部材55に対して+X方向の反対方向側の第2の部分61dと、を含む。
【0065】
このような構成によれば、冷媒が、第1の部分61cと第2の部分61dとによって、案内部材55の下流側に冷媒を流すことができる。
【0066】
また、-Z方向から見た場合に、案内部材55の+X方向の幅L1は、第1の流路61の直径D1の10%~40%の範囲内である。
【0067】
このような構成によれば、ヘッダ51から複数の伝熱管53に流入する冷媒の量のばらつきをより一層抑制することができる。
【0068】
また、ヘッダ51は、案内部材55が設けられていない第1の部材71と、案内部材55が設けられ、第1の部材71とは別部材であり第1の部材71と接続された第2の部材72と、を有する。
【0069】
このような構成によれば、ヘッダ51が第1の部材71と第2の部材72との分割構造ではない構成に比べて、案内部材55の形成が容易である。
【0070】
次に、変形例を説明する。本変形例では、複数の案内部材55の複数の案内面55aは、第1の流路61の一端部61aから離れるにつれてすなわち-Z方向に位置するにつれて面積が小さい。
【0071】
このような構成によれば、ヘッダ51から複数の伝熱管53に流入する冷媒の量のばらつきをより一層抑制することができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、複数の案内部材55が設けられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、複数の伝熱管53のうち第1の流路61の一端部61aに最も近い伝熱管53Aだけに案内部材55が設けられていても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、複数の伝熱管53の数が6本の例が示されたが、これに限定されない。複数の伝熱管53は、複数であれば良い。
【0074】
また、上記実施形態では、ヘッダ51,52がX方向に並び、伝熱管53が、直線状の形状である例が示されたが、これに限定されない。例えば、ヘッダ51,52がY方向に並び、伝熱管53が折り返しされた形状であっても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、第1の流路61の一端部60aが+Z方向側に位置し、他端部60bが-Z方向側に位置する例が示されたが、これに限定されない。第1の流路61の一端部60aが-Z方向側に位置し、他端部60bが+Z方向側に位置しても良い。すなわち、図2及び図3において上下反転した姿勢で熱交換器50が配置されても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、ヘッダ51が第1の部材71と第2の部材72との組み合わせによって構成された例が示されたが、これに限定されない。例えば、ヘッダ51は、単一の部材(管)によって構成されていても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、室外熱交換器21と室内熱交換器31との両方の熱交換器50にヘッダ51,52が設けられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、室外熱交換器21と室内熱交換器31とのうち一方の熱交換器50にヘッダ51,52が設けられていない構成であっても良い。
【0078】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10…空気調和機、50…熱交換器、51…ヘッダ、53A~53F…伝熱管、55,55A~55C…案内部材、55a…案内面、61…第1の流路、61a…一端部(端部)、61c…第1の部分、61d…第2の部分、61e…接続口、62…第2の流路、71,71A~71D…第1の部材、72,72A~72C…第2の部材、D1…直径、L1…幅。
図1
図2
図3
図4
図5