(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061467
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】地質試料採取方法
(51)【国際特許分類】
E02D 1/04 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
E02D1/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169436
(22)【出願日】2022-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】512010982
【氏名又は名称】宮古 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】宮古 茂
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043BA08
2D043BB02
(57)【要約】
【課題】掘削する深さや地盤の状態にかかわらず、地質試料を確実に採取することができるとともに、作業効率をよくすることのできる、地質試料採取方法を提供する。
【解決手段】地中を掘削する掘削工程と、インナーロッド22内にインナーチューブアセンブリ4を固定するインナーチューブアセンブリ固定工程と、インナーチューブアセンブリ4内に地質試料を採取する地質試料採取工程と、スライド管固定用ラッチ64の係合状態を解除するスライド管固定用ラッチ解除工程と、ラッチ傾倒防止部634を軸方向先端側に移動させるラッチ傾倒防止部解除工程と、インナー固定用ラッチ62を係止溝26から解除するインナー固定用ラッチ解除工程と、ウォータースイベル3の給排水を入れ替える給排水入替工程と、インナーチューブアセンブリ4を二重管2の基端側へと押し戻し回収するインナーチューブアセンブリ回収工程とを有する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターロッドおよびインナーロッドからなる二重管により地中を掘削する二重管掘削装置を用いた地質試料採取方法であって、
ウォータースイベルによって前記インナーロッドの基端側から掘削水を供給し、かつ前記アウターロッドの内周面と前記インナーロッドの外周面との間の隙間を通って戻る前記掘削水を基端側から排水するとともに、前記二重管掘削装置によって前記二重管を回転および前進させて、地質試料を採取する深さまで地中を掘削する掘削工程と、
インナーチューブアセンブリを前記インナーロッドの基端側から挿入し、かつ前記ウォータースイベルによって供給される押入水の水圧によって先端側の所定位置まで押入することで、付勢力によって自動的に拡開するインナー固定用ラッチを前記インナーロッドの内壁面の係止溝に係合させて前記インナーチューブアセンブリを固定するインナーチューブアセンブリ固定工程と、
前記二重管掘削装置によって前記二重管を回転および前進させて、掘削された地質試料を先端から流入させて前記インナーチューブアセンブリ内に採取する地質試料採取工程と、
オーバーショットを前記インナーロッドの基端側から挿入し、前記ウォータースイベルによって供給される押入水の水圧によって押入することで、前記インナーチューブアセンブリのスライド管固定用ラッチを傾倒させてラッチ解除用スライド管との係合状態を解除するスライド管固定用ラッチ解除工程と、
係合状態が解除された前記ラッチ解除用スライド管を前記ウォータースイベルによる押入水の水圧により先端側に押してメインシャフトの外周面に沿って軸方向先端側にスライドさせることにより、ラッチ傾倒防止部を軸方向先端側に移動させて前記インナー固定用ラッチに対する当接状態を解除するラッチ傾倒防止部解除工程と、
スライドされる前記ラッチ解除用スライド管により前記インナー固定用ラッチを付勢力に抗して内方向に傾倒させて前記係止溝から解除するインナー固定用ラッチ解除工程と、
前記ウォータースイベルの給水と排水とを入れ替える給排水入替工程と、
前記ウォータースイベルによって前記アウターロッドと前記インナーロッドの間の隙間に回収水を注入し、先端から前記インナーロッド内を通って基端側に戻る前記回収水の水圧によって前記インナーチューブアセンブリを前記インナーロッドの基端側に押し戻して回収するインナーチューブアセンブリ回収工程と
を有する前記地質試料採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管掘削装置を用いて地質試料を採取する地質試料採取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事では、本格的な掘削作業を進める前に地中に含まれる重金属量などの地質調査を実施するために地質資料が採取される。重金属が多く含まれている土壌は産業廃棄物として処理する必要があり、地質調査によって事前準備ができるため掘削作業をスムーズに進めることができるようになる。
【0003】
従来、このような地質を調査するための地質試料(土、砂、砂利、砕石など)の採取には、地中を掘削する掘削装置(ボーリングマシン)が用いられている。
【0004】
例えば、特開2007-70870号公報には、掘削装置としてロータリーパーカッションドリルを用いる地盤調査工法が開示されている(特許文献1)。具体的には、アウターロッドとインナーロッドからなる二重管で掘削し、前記インナーロッドを地盤のコアを採取するサンプラ(以下「インナーチューブアセンブリ」ともいう)と交換した後、サンプラの先端を地盤に当接させた状態で、ドリルの駆動部からサンプラに対して所定のスラスト力及び所定の連続した打撃力を作用させて、サンプラを地盤に貫入させ、前記サンプラをワイヤーラインで引き上げることで、地質試料を採取することができるとされている。
【0005】
また、特開平11-61793号公報には、前記サンプラに関して、アウターロッドの内壁面に形成された係止溝に係合するラッチを有するサンプリング装置が開示されている(特許文献2)。この特許文献2によれば、前記ラッチは、回収時にワイヤーにより入口側に引っ張ることで前記係止溝との係合が解除され、インナーチューブアセンブリを回収することができるとされている。
【0006】
しかしながら、これら特許文献1および特許文献2に記載された発明においては、回収時に引っ張り上げる際のインナーチューブアセンブリ等に係る重力を利用してラッチを解除させる構造となっているため、トンネル工事の地質調査のように水平方向や上り勾配方向に掘削する場合には、重力が利用できずラッチが外れないという問題があった。
【0007】
そこで、本願の出願人は、水平方向や上り勾配方向に掘削する状況において地質試料を採取したインナーチューブを確実に回収することのできる、インナーチューブアセンブリおよびインナーチューブ回収方法等に関する発明を提案し、特許権を得ている(特許文献3)。具体的には、オーバーショットを連結する際の押し込む力によって、アウターロッドとの固定を解除可能にすることで、解除時にワイヤーで引っ張る必要が無く、水平方向や上り勾配方向に掘削する場合にも解除できるようにした。また、アウターロッドとの固定を解除した後のインナーチューブは、アウターチューブ内に流れ込む地下水の水圧で押し戻して回収するか、またはワイヤーで引き抜くことにより回収するようになっている。
【0008】
ところで、特開2019-73864号公報には、多量湧水・高圧湧水がある自立した地山において、水平方向にシングル管(インナーロッド)をボーリングすることで地質試料を採取する水平ボーリング工法が開示されている(特許文献4)。具体的には、前記地山の口元孔壁に地山コーキングを介して設置した口元管を設け、前記口元管にインナーロッドを挿入し、このインナーロッドと地山の間に口元管側から水を送りながらボーリングマシンによるインナーロッドの給進と打撃・回転によってインナーロッドの先端に取り付けたコアビットで掘削し、この掘削によって削り取ったコア(地質試料)をリバース水と湧水圧によってインナーロッドの基端側へ送って回収するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-70870号公報
【特許文献2】特開平11-61793号公報
【特許文献3】特許第6675040号公報
【特許文献4】特開2019-73864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献4に記載された発明においては、サンプラを用いずに掘削された地質試料をインナーロッドの基端側に押し流す方法であるため、口元から深い位置から地質試料を採取する場合にはインナーロッドの途中で前記地質試料が詰まり、回収できないという問題がある。
【0011】
また、リバース水は口元管に連結されたプリペンダー装置によって供給され、地山とインナーロッドの外周との隙間を通って、前記インナーロッドの先端から流入させるように構成されているが、地山に割れ目があったり、砂礫のような透水性の高い地層を通る場合には、地山とインナーロッドの外周との隙間を通るリバース水が前記割れ目や地層から流出して、地質試料をインナーロッドの基端側へ送るのに十分な水圧が得られないという問題もある。
【0012】
これらの問題から、特許文献4に記載された発明は、地質試料が途中で詰まることなく、かつリバース水が流出しない多量湧水・高圧湧水がある自立した地山でしか用いることのできない工法であり、採取できる地盤が限られるという問題がある。
【0013】
また、特許文献1および特許文献2に記載された発明においては、上記の通り、水平方向や上り勾配方向の掘削に用いることができないものであるとともに、二重管で掘削した後の地質試料の採取には、二重管からインナーロッドを引き抜き、サンプラと交換する必要があるため、交換作業に多くの時間を要してしまい、作業効率が悪いという問題があった。
【0014】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、本願の出願人が発明したインナーチューブアセンブリに基づき開発されたものであって、掘削する深さや地盤の状態にかかわらず、地質試料を確実に採取することができるとともに、二重管の掘削作業から地質試料の採取作業までの作業効率を向上させることのできる、地質試料採取方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る地質試料採取方法は、地盤の状態にかかわらず地質試料を採取したインナーチューブアセンブリを確実に回収するとともに、インナーロッドの引き抜きなどを行わず、ウォータースイベルによって掘削作業から地質試料の採取作業まで効率よく作業を行うという課題を解決するために、アウターロッドおよびインナーロッドからなる二重管により地中を掘削する二重管掘削装置を用いた地質試料採取方法であって、ウォータースイベルによって前記インナーロッドの基端側から掘削水を供給し、かつ前記アウターロッドの内周面と前記インナーロッドの外周面との間の隙間を通って戻る前記掘削水を基端側から排水するとともに、前記二重管掘削装置によって前記二重管を回転および前進させて、地質試料を採取する深さまで地中を掘削する掘削工程と、インナーチューブアセンブリを前記インナーロッドの基端側から挿入し、かつ前記ウォータースイベルによって供給される押入水の水圧によって先端側の所定位置まで押入することで、付勢力によって自動的に拡開するインナー固定用ラッチを前記インナーロッドの内壁面の係止溝に係合させて前記インナーチューブアセンブリを固定するインナーチューブアセンブリ固定工程と、前記二重管掘削装置によって前記二重管を回転および前進させて、掘削された地質試料を先端から流入させて前記インナーチューブアセンブリ内に採取する地質試料採取工程と、オーバーショットを前記インナーロッドの基端側から挿入し、前記ウォータースイベルによって供給される押入水の水圧によって押入することで、前記インナーチューブアセンブリのスライド管固定用ラッチを傾倒させてラッチ解除用スライド管との係合状態を解除するスライド管固定用ラッチ解除工程と、係合状態が解除された前記ラッチ解除用スライド管を前記ウォータースイベルによる押入水の水圧により先端側に押してメインシャフトの外周面に沿って軸方向先端側にスライドさせることにより、ラッチ傾倒防止部を軸方向先端側に移動させて前記インナー固定用ラッチに対する当接状態を解除するラッチ傾倒防止部解除工程と、スライドされる前記ラッチ解除用スライド管により前記インナー固定用ラッチを付勢力に抗して内方向に傾倒させて前記係止溝から解除するインナー固定用ラッチ解除工程と、前記ウォータースイベルの給水と排水とを入れ替える給排水入替工程と、前記ウォータースイベルによって前記アウターロッドと前記インナーロッドの間の隙間に回収水を注入し、先端から前記インナーロッド内を通って基端側に戻る前記回収水の水圧によって前記インナーチューブアセンブリを前記インナーロッドの基端側に押し戻して回収するインナーチューブアセンブリ回収工程とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、掘削する深さや地盤の状態にかかわらず、地質試料を確実に採取することができるとともに、二重管の掘削作業から地質試料の採取作業までの作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る地質試料採取方法に用いられる二重管掘削装置を示す模式図である。
【
図2】本実施形態における二重管の先端部分を示す縦断面図である。
【
図3】本実施形態におけるインナーチューブアセンブリをインナービットの先端位置に保持した状態を示す縦断面図である。
【
図4】本実施形態においてインナーチューブアセンブリをインナービットの先端位置から解除した状態を示す縦断面図である。
【
図5】本実施形態におけるコアバレルヘッドの一実施形態であってラッチ解除用スライド管を半透明に表現した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5のコアバレルヘッドを先端側から見た状態示す斜視図である。
【
図7】
図3のインナーチューブとコアバレルヘッドとの連結部分を示す拡大断面図である。
【
図8】
図3の先端シャフト部(インナー固定用ラッチおよびラッチ傾倒防止部の設置部分)を示す拡大断面図である。
【
図9】本実施形態における先端シャフト部の一部を示す拡大平面図である。
【
図10】
図3の後端シャフト部(スライド管用付勢部材およびスライド管固定用ラッチの設置部分)および係合部を示す拡大断面図である。
【
図11】本実施形態における後端シャフト部および係合部を示す拡大平面図である。
【
図12】本実施形態の地質試料採取方法における各工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る地質試料採取方法に用いられる、二重管掘削装置およびインナーチューブアセンブリの一実施形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本実施形態における二重管掘削装置1は、
図1に示すように、アウターロッド21およびインナーロット22からなる二重管2を回転および前進させて地中を掘削する装置であり、本実施形態では、前記二重管2を回転および振動させつつ地中に進行させることで地中を掘削することのできるロータリーパーカッションドリルによって構成される。本実施形態における二重管2の基端側には、当該二重管2に対して後述する掘削水や押入水、回収水を供給するウォータースイベル3が設けられている。
【0020】
アウターロッド21は、二重管2において外側に配置される管であって、
図2に示すように、先端には掘削用のアウタービット23が装着されている。基端側は他のアウターロッド21と連結可能に構成されており、掘削する深さに応じて複数のアウターロッド21を連結することで所定の深さまで掘削できるように構成されている。
【0021】
アウタービッド23は、アウターロッド21の先端に設けられた略筒状の掘削具であり、先端側に複数個の突起が形成されている。硬質の金属等によって形成されており、掘削面に対して回転させながら当接させることで岩盤などの硬い地層も掘削できるようになっている。
【0022】
インナーロッド22は、アウターロッド21内の同心位置に配置される管であって、先端に掘削用のインナービット24が装着されている。基端側は、アウターロッド21と同様に、他のインナーロッド22と連結可能に構成されており、複数のインナーロッド22を連結することで所定の深さまで掘削できるように構成されている。また、インナーロッド22の外径は、前記アウターロッド21の内径より細く形成されており、アウターロッド21との間に、掘削により発生する土砂や砕石およびそれらを含む掘削水を流通可能な隙間を有している。
【0023】
インナービット24は、アウタービット23と同様に、インナーロッド24の先端に設けられ、形状は略筒状であり先端は開口していて地質試料を採取する採取口25となっている。硬質の金属等によって形成されており、先端側には複数個の突起が形成されている。
【0024】
ウォータースイベル3は、二重管2への給排水を行うものであり、回転している各ロッドに対して給水可能に構成されている。本実施形態におけるウォータースイベル3は、
図1に示すように、二重管に対する給排水を行う2つの給排水口31a,31bを備えており、一方の給排水口31aはインナーロッド22内に給排水可能に連結されているとともに、他方の給排水口31bはインナーロッド22の外周面とアウターロッド21の内周面との隙間に給排水可能に連結されている。これら給排水口31a,31bは、給水ホースを自在に着脱できるように構成されている。
【0025】
本実施形態におけるインナーチューブアセンブリ4は、
図3および
図4に示すように、地質資料を採取するインナーチューブ5と、このインナーチューブ5の後端に連結されるコアバレルヘッド6とから構成される。
【0026】
インナーチューブ5は、地質試料(土、砂、砂利、岩盤など)を採取するために筒状に形成された部材である。先端には採取口51が開口しており、インナーロッド22先端に設けられたインナービット24の採取口25と連通するように設置されることにより、進入する地質資料を採取するようになっている。
【0027】
コアバレルヘッド6は、インナーチューブ5をインナーロッド22内の先端位置に着脱可能に保持するためのものであり、本願の出願人が取得した特許第6675040号公報において開示したものと同一のものである。
【0028】
具体的には、コアバレルヘッド6は、
図3ないし
図6に示すように、インナーチューブ5の後端に連結されるメインシャフト61と、このメインシャフト61の略中央位置に設けられたインナー固定用ラッチ62と、このインナー固定用ラッチ62を傾倒させるラッチ解除用スライド管63と、このラッチ解除用スライド管63を前記メインシャフト61に係脱可能に固定するスライド管固定用ラッチ64とを有する。
【0029】
メインシャフト61は、
図7および
図8に示すように、略円柱状に形成された部材であり、先端から順に、インナーチューブ5を連結するためのチューブ連結部611と、このチューブ連結部611に連結された先端シャフト部612と、この先端シャフト部612の後端側で一段細く形成された後端シャフト部613と、この後端シャフト部613の後端軸心から後方に延出された係合部614とを有する。
【0030】
チューブ連結部611は、インナーチューブ5の後端を嵌合させて連結するためのものであり、本実施形態では、
図7に示すように、インナーチューブ5を回転自在に支持するため、先端シャフト部612との間にベアリング615を備えている。
【0031】
先端シャフト部612は、
図8および
図9に示すように、インナー固定用ラッチ62およびラッチ傾倒防止部634を設置する部分であり、略中央位置にインナー固定用ラッチ62を収容する第一ラッチ収容孔616およびラッチ傾倒防止部634を収容する傾倒防止部収容孔617が形成されている。
【0032】
第一ラッチ収容孔616は、インナー固定用ラッチ62を収容する孔である。本実施形態における第一ラッチ収容孔616は、前記インナー固定用ラッチ62がメインシャフト31の外方向に拡開できるように、上下方向に貫通する孔として形成されている。
【0033】
傾倒防止部収容孔617は、ラッチ傾倒防止部634を収容し、かつ当該ラッチ傾倒防止部634を軸方向に沿ってスライド可能にする孔であり、第一ラッチ収容孔616の先端側に連通するように形成されている。また、傾倒防止部収容孔617は、ラッチ傾倒防止部634をラッチ解除用スライド管63と一体的に連結させるため上下方向に貫通する孔として形成されている。
【0034】
後端シャフト部613は、
図10および
図11に示すように、スライド管用付勢部材618を装着するとともに、スライド管固定用ラッチ64を収容するものである。本実施形態における後端シャフト部613は、先端シャフト部612の外径より細く形成されている。先端シャフト部612との間にできる段差により、圧縮ばねからなるスライド管用付勢部材618の先端側を係止できるようになっている。
【0035】
また、後端シャフト部613は、スライド管固定用ラッチ64を収容する第二ラッチ収容孔619を有する。第二ラッチ収容孔619は、装着されるスライド管用付勢部材618より後端側の位置において、上下方向に貫通する軸方向に長い孔として形成されている。
【0036】
係合部614は、インナーチューブ5の回収時にオーバーショットと連結する部分であり、後端シャフト部613の後端軸心位置から後方に延出されている。後端部には円錐状に膨出されたオーバーショットに係合する係合凸部620が形成されている。
【0037】
なお、メインシャフト61における先端シャフト部612、後端シャフト部613および係合部614は、削り出し加工等によって一体形成されていてもよく、複数の部材に分けて形成し、組み立てることで一体的に構成されるようにしてもよい。
【0038】
インナー固定用ラッチ62は、インナーロッド22の内壁面に形成された係止溝26に係合するものであり、
図8に示すように、メインシャフト61の軸方向に沿った略中間位置に開口された第一ラッチ収容孔616に収容されている。本実施形態におけるインナー固定用ラッチ62は、上下一対の爪付き腕部材621,621と、この一対の爪付き腕部材621,621の一端部を軸支する支持軸622と、一対の前記爪付き腕部材621,621の他端部を外方向に拡開させる弾性材623とを有する。
【0039】
爪付き腕部材621は、軸方向に長い棒状の部材であり、後端側に形成された支持軸622を挿通させる軸孔624と、外側面625(メインシャフト61の外方向に向いた面)に凸状に形成された係合爪部626とを有する。係合爪部626は、インナーロッド22の内壁面に形成された係止溝26に係合可能な形状に形成されている。また、前記外側面625は、ラッチ解除用スライド管63により傾倒され易いように、後端側から係合爪部626にかけて緩やかな傾斜角にて湾曲形成されている。
【0040】
支持軸622は、上下一対の爪付き腕部材621,621同士を軸支するものであり、本実施形態では、爪付き腕部材621の後端側に形成された軸孔624と、メインシャフト61に形成された軸挿通孔(図示しない)とに挿通されるボルトおよびこのボルトを締結するナットとにより構成されている。なお、支持軸622は、ボルトおよびナットによる構成に限定されるものではなく、円筒型の板バネなど、軸支可能な部材から適宜選択してもよい。
【0041】
弾性材623は、支持軸622によって軸支された上下一対の爪付き腕部材621,621を外方向(
図31および
図4における上下方向)に拡開させる付勢力を発揮するための弾性材であり、本実施形態では、針金を支持軸622に沿うように環状に巻いて形成された、ねじりコイルばねを用いている。なお、弾性材623は、ねじりコイルばねに限定されるものではなく、例えば、圧縮コイルばねなどの他のバネ材や、ゴムなどの他の弾性材から適宜選択してもよい。
【0042】
ラッチ解除用スライド管63は、インナー固定用ラッチ62を付勢力に抗して傾倒させて係合爪部626を係止溝26から解除するためのものであり、メインシャフト61の外周面に対し軸方向へスライド可能に装着されている。本実施形態におけるラッチ解除用スライド管63は、
図8に示すように、メインシャフト61の先端シャフト部612の外径と略同一の内径を有する長尺状の円管として構成されている。
【0043】
このラッチ解除用スライド管63は、
図5、
図6および
図7に示すように、略中央位置に上下方向に貫通した傾倒用孔631と、後端内周面にリング状に形成された係止用凸部632と、この係止用凸部632より先端側の内周面にリング状に形成された付勢部材係止用凸部633と、一体的に連結されたラッチ傾倒防止部634とを有する。
【0044】
傾倒用孔631は、インナー固定用ラッチ62が拡開できるようにするとともに、その後端縁部635でインナー固定用ラッチ62を傾倒するために開口された孔である。本実施形態における傾倒用孔631は、第一ラッチ収納孔616と同程度の開口寸法で上下両側に開口している。
【0045】
係止用凸部632は、スライド管固定用ラッチ64により係止されるものであり、ラッチ解除用スライド管63の後端内周面にリング状でかつ凸状に形成されている。本実施形態における係止用凸部632は、
図10に示すように、後端シャフト部613の外径と略同一の内径を有するリング状に形成されている。
【0046】
付勢部材係止用凸部633は、後端シャフト部613に装着されたスライド管用付勢部材618の後端側を係止するための突起であり、ラッチ解除用スライド管63の内周面にリング状でかつ凸状に形成されている。本実施形態における付勢部材係止用凸部633は、係止用凸部632より先端側に形成されており、後端シャフト部613の外径と略同一の内径を有するリング状に形成されている。
【0047】
ラッチ傾倒防止部634は、地質資料の採取中などにおいて意図せずインナー固定用ラッチ62が傾倒するのを防止するためのものである。本実施形態におけるラッチ傾倒防止部634は、
図8に示すように、その上下幅が拡開状態のインナー固定用ラッチ62の爪付き腕部材621,621の隙間に相当する幅に形成されているとともに、後端側に向けて先細になるように形成されている。また、ラッチ傾倒防止部634の先端側には、ラッチ解除用スライド管63と一体的に連結するための連結孔636が上下方向に貫通して形成されており、本実施形態では、円筒状に形成された板ばね637を用いてラッチ解除用スライド管63と一体的に連結されている。
【0048】
スライド管固定用ラッチ64は、メインシャフト61に対しラッチ解除用スライド管63を係脱可能に固定するためのラッチである。本実施形態におけるスライド管固定用ラッチ64は、
図10に示すように、ラッチ解除用スライド管63を固定する係合凹溝部645を有する上下一対の溝付き腕部材641,641と、この一対の溝付き腕部材641,641の一端部を軸支する支持軸642と、一対の前記溝付き腕部材641,641の他端部を外方向に拡開させる弾性材643とを有する。
【0049】
溝付き腕部材641は、軸方向に長い棒状の部材であり、先端側に形成された支持軸642を挿通させる軸孔644と、ラッチ解除用スライド管63の後端内面に形成された係止用凸部632に係合可能な凹溝状に形成された係合凹溝部645とを有する。また、前記係合凹溝部645より後端側の外側面(上下面)は、オーバーショットの先端によって傾倒され易いように、側面視において縮径するように湾曲状に形成されている。
【0050】
支持軸642は、上下一対の溝付き腕部材641,641同士を軸支するものであり、本実施形態では、インナー固定用ラッチ62の支持軸622と同様にボルトおよびナットとにより構成されている。なお、支持軸642は、ボルトおよびナットによる構成に限定されるものではなく、円筒型の板バネなど、軸支可能な部材から適宜選択してもよい。
【0051】
弾性材643は、支持軸642によって軸支された上下一対の溝付き腕部材641,641を外方向に拡開させる付勢力を発揮するための弾性材であり、本実施形態では、圧縮コイルばねにより構成されている。なお、スライド管固定用ラッチ64の弾性材643は、圧縮コイルばねに限定されるものではなく、例えば、インナー固定用ラッチ62の弾性材623と同様なねじりコイルばねや、その他のバネ材、ゴムなどの他の弾性材から適宜選択してもよい。
【0052】
また、スライド管固定用ラッチ64は、
図3、
図10および
図11に示すように、第二ラッチ収容孔619において、ラッチ解除用スライド管63を前記インナー固定用ラッチ62が拡開状態となる位置で係止するように収容されている。このとき、ラッチ解除用スライド管63は、
図5および
図6に示すように、先端側にスライドできるようにチューブ連結部611との間に十分なスペースがあるように固定されるようになっている。
【0053】
次に、本実施形態における二重管掘削装置1およびインナーチューブアセンブリ4を用いた地質試料採取方法について説明する。
【0054】
本実施形態の地質試料採取方法は、
図12に示すように、地質試料を採取する深さまで地中を掘削する掘削工程(S1)と、ウォータースイベル3からの水圧によってインナーロッド22内にインナーチューブアセンブリ4を押入して固定するインナーチューブアセンブリ固定工程(S2)と、インナーチューブアセンブリ4内に地質試料を流入させて採取する地質試料採取工程(S3)と、ウォータースイベル3からの水圧により押入されるオーバーショットによってスライド管固定用ラッチ64の係合状態を解除するスライド管固定用ラッチ解除工程(S4)と、ウォータースイベル3からの水圧により押入されるオーバーショットによってラッチ傾倒防止部634を軸方向先端側に移動させるラッチ傾倒防止部解除工程(S5)と、インナー固定用ラッチ62を係止溝26から解除するインナー固定用ラッチ解除工程(S6)と、ウォータースイベル3の給排水を入れ替える給排水入替工程(S7)と、ウォータースイベル3からの水圧により前記インナーチューブアセンブリ4を前記二重管2の基端側へと押し戻し地質試料を採取したインナーチューブアセンブリ4を回収するインナーチューブアセンブリ回収工程(S8)とを有する。以下、各工程について説明する。
【0055】
掘削工程(S1)は、地質試料を採取する深さまで地中を掘削する工程であり、二重管掘削装置1を用いた一般的な掘削工程である。具体的には、二重管掘削装置1は、アウターロッド21およびインナーロッド22からなる二重管2の先端を掘削面に当接させつつ回転および前進させる。岩盤などの硬い地層においては、アウタービット23およびインナービット24が、硬い地層を砕石しながら前進させることができる。複数本のアウターロッド21およびインナーロッド22を連結することで地質資料の採取を行う深さまで掘削することができる。
【0056】
また、掘削工程(S1)におけるウォータースイベル3は、インナーロッド22に連結された給排水口31aから掘削水を給水する。供給された掘削水は、インナーロッド22の先端の採取口25から掘削面に向けて噴出されて、アウタービット23およびインナービット24と掘削面との潤滑剤や摩擦により上昇する熱を冷却する冷却水として作用する。その後、掘削水は、掘削により発生した土砂や砕石などとともにアウターロッド21の内周面と前記インナーロッド22の外周面との間の隙間を流れて基端側へと戻り、他方の給排水口31bから二重管2の外に排出される。これにより掘削により発生した土砂等が掘削面に溜まること無く、連続して円滑な掘削が行える。
【0057】
次のインナーチューブアセンブリ固定工程(S2)は、インナーロッド22内の先端位置にインナーチューブアセンブリ4を固定する工程である。具体的には、
図4に示すように、ラッチ解除用スライド管63と一体的にラッチ傾倒防止部634を先端側に移動させて、インナー固定用ラッチ62を傾倒可能な状態にする。傾倒用孔631の後端縁部635で当該インナー固定用ラッチ62を傾倒させ上下幅をインナーロッド22内に挿入可能な幅に縮小させる。そして、インナーチューブアセンブリ4をインナーロッド22内に挿入する。
【0058】
インナーチューブアセンブリ固定工程(S2)におけるウォータースイベル3は、インナーロッド21内に押入水を給水し、その水圧によってインナーチューブアセンブリ4をインナーロッド21の先端側に移動させる。
【0059】
インナーチューブアセンブリ4がインナーロッド22の先端の所定の位置に到達すると、コアバレルヘッド6のインナー固定用ラッチ62が拡開し、
図3に示すように、インナーロッド22の内壁面に形成された係止溝26に係合する。具体的には、
図8に示すように、ラッチ解除用スライド管63がスライド管用付勢部材618の付勢力により後端側にスライドするとともに、爪付き腕部材621が弾性材623の付勢力によりメインシャフト61の外方向に自動的に拡開する。これにより、係合爪部626が係止溝26に嵌入し、インナーチューブアセンブリ4がインナーロッド22に固定される。
【0060】
次の地質試料採取工程(S3)は、インナーチューブアセンブリ4内に地質試料を流入させて採取する工程である。本実施形態では、二重管掘削装置1によって二重管2を回転および前進させる。これにより掘削された土砂や砕石が地質試料としてインナーロッド22およびインナーチューブ5の採取口25,51から流入し、インナーチューブ5内に採取される。
【0061】
次のスライド管固定用ラッチ解除工程(S4)は、スライド管固定用ラッチ64を傾倒させてラッチ解除用スライド管63との係合状態を解除する工程である。具体的には、オーバーショットをインナーロッド22内に挿入する。
【0062】
スライド管固定用ラッチ解除工程(S4)におけるウォータースイベル3は、インナーロッド22内に押入水を供給し、その水圧によってオーバーショットを先端側に押入する。本実施形態では、インナーロッド22の外周とアウターロッド21の内周との間の隙間を通って押入水が二重管2の外に排出されるため、オーバーショットを流れに載せてスムーズに押入することができる。
【0063】
水圧によりオーバーショットの円筒状の先端をコアバレルヘッド6のスライド管固定用ラッチ64の後端側に嵌め入れる。これにより、スライド管固定用ラッチ64の溝付き腕部材641は、オーバーショットの先端縁部により内方向に押されて、弾性材643の付勢力に抗して内方向に傾倒する。このとき溝付き腕部材641の後端側が湾曲しているため、スムーズに傾倒させることができる。スライド管固定用ラッチ64を傾倒させることで係合凹溝部645がラッチ解除用スライド管63の係止用凸部632から外れる。つまりラッチ解除用スライド管63との係合状態を解除する。これによりラッチ解除用スライド管63が先端方向にスライド可能な状態になる。
【0064】
次のラッチ傾倒防止部解除工程(S5)は、係合状態が解除されたラッチ解除用スライド管63を先端側に押してメインシャフト61の外周面に沿って軸方向先端側にスライドさせることによりラッチ傾倒防止部634を軸方向先端側に移動させてインナー固定用ラッチ62に対する当接状態を解除する工程である。
【0065】
ラッチ傾倒防止部解除工程(S5)におけるウォータースイベル3は、インナーロッド22内に押入水を供給し、その水圧によってラッチ解除用スライド管63をオーバーショットとともに水圧により先端側に押す。本実施形態におけるラッチ傾倒防止部634は、ラッチ解除用スライド管63に一体的に連結されているため、連動して軸方向先端側に移動する。これによりラッチ傾倒防止部634がインナー固定用ラッチ62における一対の爪付き腕部材621,621の間から先端側に移動し、インナー固定用ラッチ62に対する当接状態が解除される。
【0066】
次のインナー固定用ラッチ解除工程(S6)は、スライドされるラッチ解除用スライド管63によりインナー固定用ラッチ62を付勢力に抗して内方向に傾倒させてインナーロッド22の係止溝26から解除する工程である。
【0067】
本実施形態ではラッチ解除用スライド管63の傾倒用孔631の後端縁部635でインナー固定用ラッチ62を傾倒する。これにより爪付き腕部材621が内方向に傾倒し、
図4に示すように、係合爪部626がインナーロッド22の係止溝26から解除される。ラッチ解除用スライド管63は、前記爪付き腕部材621の外側面625が後端側から係合爪部626にかけて緩やかに傾斜しているため、スムーズに傾倒させることができる。これにより、インナーチューブアセンブリ4は、インナーロッド22の基端側に引っ張る動作を要することなく、インナーロッド22内を移動可能な状態になる。
【0068】
次の給排水入替工程(S7)は、ウォータースイベル3のそれまでの給排水口31a、31bを入れ替える工程である。具体的には、インナーロッド22に連結された給排水口31aから給水ホースを取り外して排水口とし、アウターロッド21と連結された給水口31bに給水ホースを取り付けて給水口にする。これにより二重管2内の水の流れは掘削工程(S1)からラッチ傾倒防止部解除工程(S5)までとは逆方向になる。
【0069】
次のインナーチューブアセンブリ回収工程(S8)は、インナー固定用ラッチ解除工程(S6)によってインナーロッド22との固定が解除されたインナーチューブアセンブリ4を水圧によって二重管2の基端側へと押し戻して回収する工程である。具体的には、アウターロッド21側と連結された給排水口31bから回収水を注入する。回収水は、アウターロッド21の内周面とインナーロッド22の外周面との間の隙間から先端側に流れ、インナーロッド22の採取口25から流入する。回収水はその水圧によってインナーチューブアセンブリ4を前記二重管2の基端側へと押し戻す。
【0070】
このとき回収水はインナーロッド22の周囲にはアウターロッド21があるため地中に流出することがなく、仮に掘削面が礫などの透水性の高い地層であったとしても開口面積は少ないため殆どの回収水はインナーロッド22内に流入する。よって、インナーロッド22内のインナーチューブアセンブリ4に強い水圧がかかり確実に基端側に押し戻し、回収することができる。
【0071】
基端側に押し戻されたインナーチューブアセンブリ4は、インナーロッド22から抜き取り、インナーチューブ5内に取り込まれた地質試料を回収し、地質試料の採取を終了する。
【0072】
以上のような本実施形態の地質試料採取方法によれば、以下の効果を奏することができる。
1.地質試料をインナーロッド22に直接流入させずに、インナーチューブアセンブリ4に採取させて回収することで地質試料がインナーロッド22内に詰まることがないため、掘削する深さに関わらず確実に地質試料を採取することができる。
2.インナーチューブアセンブリ4の回収時にインナーロッド22の外周にアウターロッド21があることで、回収水が地中に流出せず、強い水圧で基端側に押し戻すことができるため、地盤の状態にかかわらず確実に地質試料を採取することができる。
3.本願の出願人の発明したインナーチューブアセンブリ4を用いることで、垂直方向のみならず、トンネル工事に必要な水平や僅かな勾配があるような場合であってもウォータースイベル3による水圧だけでインナーチューブアセンブリ4の固定、解除および回収を行うことができる。
4.インナーロッド22の抜き取りや他の部品との交換の必要が無く、インナーチューブアセンブリ4の固定および解除と、回収とはウォータースイベル3の給排水の入れ替えによって簡単に切り替えることができるため、掘削作業から地質試料の回収作業まで、効率よく作業を行うことができる。
【0073】
なお、本発明に係る地質試料採取方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、地質試料採取工程(S3)において、インナーチューブ5に地質試料が流入しにくいときには、ウォータースイベル3の給排水を入れ替え、アウターロッド21側に給水することで、地質試料が給水された水とともにインナーチューブ5内に流入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 二重管掘削装置
2 二重管
3 ウォータースイベル
4 インナーチューブアセンブリ
5 インナーチューブ
6 コアバレルヘッド
21 アウターロッド
22 インナーロッド
23 アウタービット
24 インナービット
25 採取口
26 係止溝
31a、31b 給排水口
51 採取口
61 メインシャフト
62 インナー固定用ラッチ
63 ラッチ解除用スライド管
64 スライド管固定用ラッチ
611 チューブ連結部
612 先端シャフト部
613 後端シャフト部
614 係合部
615 ベアリング
616 第一ラッチ収容孔
617 傾倒防止部収容孔
618 スライド管用付勢部材
619 第二ラッチ収容孔
620 係合凸部
621 爪付き腕部材
622 支持軸
623 弾性材
624 軸孔
625 外側面
626 係合爪部
631 傾倒用孔
632 係止用凸部
633 付勢部材係止用凸部
634 ラッチ傾倒防止部
635 後端縁部
636 連結孔
637 板ばね
641 溝付き腕部材
642 支持軸
643 弾性材
644 軸孔
645 係合凹溝部