(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061475
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ホースリール、ホースリールを備えるクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/693 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B66C23/693 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169447
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】郡 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】石橋 秀
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205AC01
3F205CB03
3F205CB04
3F205CB20
(57)【要約】
【課題】ホースリール巻き取り部の位置を、伸縮ブームの側面から近い位置にすることが可能な、ホースリールと、ホースリールを備えるクレーンを提供する。
【解決手段】板状に形成され、且つ基端伸縮ブーム61aの側面と対向する回転軸取付け部11cと、回転軸取付け部11cを、基端伸縮ブーム61aの側面との間に隙間を有する状態で、基端伸縮ブーム61aの側面に取り付ける前方ブラケット辺11a及び後方ブラケット辺11bとを有するホースリールブラケット11と、回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面に配置され、且つ水平方向を向く回転軸の軸回りに回転可能な回転軸部12と、回転軸取付け部11cと基端伸縮ブーム61aの側面との間に配置され、且つ第二ホースHbが基端から巻かれるホースリール巻き取り部13を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段階に伸縮可能な伸縮ブームに取り付けられる油圧機器へ接続するホースを前記伸縮ブームが伸縮する動作に伴って繰り出し又は巻き取るホースリールであって、
板状に形成され、且つ前記伸縮ブームの基端側の側面と対向する回転軸取付け部と、前記回転軸取付け部を前記側面との間に隙間を有する状態で側面に取り付けるブラケット辺と、を有するホースリールブラケットと、
前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面に配置され、且つ水平方向を向く回転軸部の軸回りに回転可能な回転軸部と、
前記回転軸取付け部と前記側面との間に配置され、且つ前記ホースが基端から巻かれるホースリール巻き取り部と、を備え、
前記回転軸部の一端は、前記ホースリール巻き取り部が前記軸回りに回転可能となるようにホースリール巻き取り部へ取り付けられ、
前記回転軸部の他端は、前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面へ取り付けられるホースリール。
【請求項2】
前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面と前記回転軸部の他端との間に配置され、且つ前記ホースリールブラケット及び前記回転軸部に取り付けられたホースリール取付部をさらに備える請求項1に記載したホースリール。
【請求項3】
前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面と反対側の面に固定され、且つ側面視で少なくとも一部が前記ホースリール巻き取り部と重なるブラケットカバー部材をさらに備える請求項1に記載したホースリール。
【請求項4】
複数段階に伸縮可能な伸縮ブームと、
前記伸縮ブームに取り付けられる油圧機器へ接続するホースと、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載したホースリールと、を備えるクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニクローラクレーン等のクレーンに、複数段階に伸縮可能な伸縮ブームと共に備えられるホースリールと、ホースリールを備えるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
ホースリールとしては、例えば、特許文献1に開示されている構成のものがある。特許文献1に開示されているホースリールは、伸縮ブームが備える伸縮用の油圧シリンダに接続された油圧ホースが巻かれるホースリール巻き取り部を備える。また、ホースリールは、一般的に、ホースリール巻き取り部を伸縮ブームの側面に取り付けるホースリール取付部と、ホースリール巻き取り部とホースリール取付部を連結する回転軸部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成を含め、一般的なホースリールの構成では、回転軸部の長さに応じて、ホースリール巻き取り部が、ホースリール取付部から離れた位置に配置される。このため、ホースリール巻き取り部の位置が、伸縮ブームの側面から離れた位置となり、例えば、狭い場所における作業等が困難となるという問題がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、ホースリール巻き取り部の位置を、伸縮ブームの側面から近い位置にすることが可能なホースリールと、ホースリールを備えるクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るホースリールは、複数段階に伸縮可能な伸縮ブームに取り付けられる油圧機器へ接続する油圧ホースを、伸縮ブームが伸縮する動作に伴って繰り出し又は巻き取るホースリールである。また、ホースリールは、ホースリールブラケットと、回転軸部と、ホースリール巻き取り部を備える。ホースリールブラケットは、板状に形成され、且つ伸縮ブームの基端側の側面と対向する回転軸取付け部と、回転軸取付け部を側面との間に隙間を有する状態で、伸縮ブームの基端側の側面に取り付けるブラケット辺を有する。回転軸部は、回転軸取付け部の、伸縮ブームの基端側の側面と対向する面に配置され、且つ水平方向を向く回転軸の軸回りに回転可能である。ホースリール巻き取り部は、回転軸取付け部と伸縮ブームの基端側の側面との間に配置され、且つ油圧ホースが基端から巻かれる。そして、回転軸部の一端は、ホースリール巻き取り部が水平方向を向く回転軸の軸回りに回転可能となるようにホースリール巻き取り部へ取り付けられ、回転軸部の他端は、回転軸取付け部の、伸縮ブームの基端側の側面と対向する面へ取り付けられる。
【0006】
また、本発明の一態様に係るクレーンは、複数段階に伸縮可能な伸縮ブームと、伸縮ブームに取り付けられる油圧機器へ接続する油圧ホースと、ホースリールとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ホースリール巻き取り部の位置を、伸縮ブームの側面から近い位置にすることが可能な、ホースリールと、ホースリールを備えるクレーンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ホースリールを備えるクレーンの構成を示す側面図である。
【
図2】クレーンに取り付けられたホースリールの構成を示す平面図である。
【
図4】ホースリールブラケットを除く、ホースリールの構成を示す斜視図である。
【
図5】伸縮ブームの側面からホースリール巻き取り部までの距離を比較する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るホースリールと、ホースリールを備えるクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0010】
(実施形態)
(構成)
図1に示すように、ホースリール10を備えるクレーン(図中及び以降の説明では、「クレーン1」とする)は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8と、延長ジブEJを備える。なお、
図1では、走行部2、機台フレーム4、ブーム装置6、アウトリガ装置8、延長ジブEJの構成について、簡略化して図示している部分がある。
また、
図1に示すように、クレーン1は、小型のクローラクレーン(ミニクローラクレーン)である。
【0011】
なお、以降の説明及び図面では、クレーン1が前進して走行する方向を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、クレーン1が後退して走行する方向を、「後方」と記載する場合がある。
また、以降の説明及び図面では、クレーン1が前進するときの左手側を「左側」と示し、クレーン1が前進するときの右手側を「右側」と示す。したがって、以降の説明及び図面では、クレーン1を左側から見た視点を「左側面視」とし、クレーン1を右側から見た視点を「右側面視」とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
【0012】
クレーン1は、
図1に示す走行姿勢で、走行部2により走行して作業場所へ移動した後、作業場所でアウトリガ装置8を張り出して機台フレーム4の安定を確保して作業姿勢となり、例えば、延長ジブEJを用いて、荷役作業等を行う。延長ジブEJには、走行部2が有するモータ(図示略)が駆動する油圧ポンプ(図示略)から、油圧ホースを介して圧油が供給される。なお、走行部2が有するモータは、クレーン1が備えるバッテリ(図示略)から供給される電力により駆動する。
油圧ホースは、油圧ポンプとホースリール10との間に接続される第一ホースHaと、ホースリール10とブーム装置6との間に接続される第二ホースHbと、ブーム装置6と延長ジブEJとの間に接続される第三ホースHcを含む。
【0013】
なお、ブーム装置6は、複数段階に伸縮が可能であり、また、起伏が可能な伸縮ブーム61を備えている。
実施形態では、一例として、
図1に示すように、伸縮ブーム61の構成を、四段階に伸縮が可能な伸縮ブームとした場合について説明する。
したがって、実施形態では、伸縮ブーム61の構成を、基端伸縮ブーム61aと、基端側中間伸縮ブーム61bと、先端側中間伸縮ブーム61cと、先端伸縮ブーム61dを備える構成とした場合について説明する。
【0014】
基端伸縮ブーム61aは、機台フレーム4に対して起伏が可能なブームである。
基端側中間伸縮ブーム61bは、基端伸縮ブーム61aの内部に挿入されており、基端伸縮ブーム61aに対して長さ方向へ変位することで、伸縮ブーム61を伸長又は収縮させることが可能である。また、基端側中間伸縮ブーム61bの側面(右側の側面)には、第二ホースHbが支持される第一ホース支持部62aが配置されている。
【0015】
先端側中間伸縮ブーム61cは、基端側中間伸縮ブーム61bの内部に挿入されており、基端側中間伸縮ブーム61bに対して長さ方向へ変位することで、伸縮ブーム61を伸長又は収縮させることが可能である。また、先端側中間伸縮ブーム61cの側面(右側の側面)には、第二ホースHbが支持される第二ホース支持部62bが配置されている。
【0016】
先端伸縮ブーム61dは、先端側中間伸縮ブーム61cの内部に挿入されており、先端側中間伸縮ブーム61cに対して長さ方向へ変位することで、伸縮ブーム61を伸長又は収縮させることが可能である。また、先端伸縮ブーム61dの側面(右側の側面)には、第二ホースHbが支持される第三ホース支持部62cと、第二ホースHbの先端と第三ホースHcの基端が接続されるホースコネクタ62dが配置されている。さらに、先端伸縮ブーム61dには、水平方向を向く軸回りに回転可能なジブ取付けピン(図示略)を介して、延長ジブEJが取り付けられている。
【0017】
延長ジブEJは、先端伸縮ブーム61dに対して、延長ジブEJを使用しない状態では、伸縮ブーム61の下面に格納され、延長ジブEJの使用時には、伸縮ブーム61の先端に配置されるように取り付けられている。
また、延長ジブEJは、伸縮ブーム61に取り付けられる油圧機器であり、第三ホースHcが接続されている。
ホースリール10は、基端伸縮ブーム61aの側面(右側の側面)に取り付けられており、伸縮ブーム61が伸縮する動作に伴って、第二ホースHbを繰り出し又は巻き取る。
すなわち、第二ホースHbは、伸縮ブーム61が伸縮する動作に伴ってホースリール10が繰り出し又は巻き取る油圧ホースである。
【0018】
(ホースリール10の具体的な構成)
以下、
図1を参照しつつ、
図2から
図4を用いて、ホースリール10の具体的な構成について説明する。
ホースリール10は、
図2から
図4に示すように、ホースリールブラケット11と、回転軸部12と、ホースリール巻き取り部13と、ホースリール取付部14と、ブラケットカバー部材15を備える。
ホースリールブラケット11は、前方ブラケット辺11aと、後方ブラケット辺11bと、回転軸取付け部11cと、前方フランジ部11dと、後方フランジ部11eを有する。
【0019】
前方ブラケット辺11aと後方ブラケット辺11bは、板状に形成されており、伸縮ブーム61が伸縮する方向に沿って対向する二つの辺を形成している。
前方ブラケット辺11aと後方ブラケット辺11bは、前方ブラケット辺11aと後方ブラケット辺11bとの間に、ホースリール巻き取り部13を配置することが可能な形状に形成されている。
【0020】
回転軸取付け部11cは、板状に形成されており、前方ブラケット辺11aと後方ブラケット辺11bとを接続する一つの辺を形成している。
また、回転軸取付け部11cは、ホースリール巻き取り部13よりも基端伸縮ブーム61aの側面(伸縮ブーム61の基端側の側面)から離れた位置に配置されており、基端伸縮ブーム61aの側面と対向している。
すなわち、前方ブラケット辺11aと後方ブラケット辺11bは、回転軸取付け部11cを、基端伸縮ブーム61aの側面との間に隙間を有する状態で、基端伸縮ブーム61aの側面に取り付けるブラケット辺を形成している。
【0021】
前方フランジ部11dは、前方ブラケット辺11aの回転軸取付け部11cと連続する端部と反対側の端部に形成されており、平面視で回転軸取付け部11cと平行である。
また、前方フランジ部11dは、ボルト等を用いて、基端伸縮ブーム61aの側面に取り付けられている。
後方フランジ部11eは、後方ブラケット辺11bの回転軸取付け部11cと連続する端部と反対側の端部に形成されており、平面視で回転軸取付け部11cと平行である。
また、後方フランジ部11eは、ボルト等を用いて、基端伸縮ブーム61aの側面に取り付けられている。
【0022】
回転軸部12は、円柱状に形成されており、回転軸取付け部11cの、基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面に配置されている。
また、回転軸部12は、水平方向を向く回転軸の軸回りに回転可能である。
回転軸部12の一端は、ホースリール巻き取り部13が、水平方向を向く軸回りに回転可能となるように、ホースリール巻き取り部13(後述する第二保持部13c)へ取り付けられている。
回転軸部12の他端は、回転軸取付け部11cの、基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面へ取り付けられている。
【0023】
ホースリール巻き取り部13は、回転軸取付け部11cと基端伸縮ブーム61aの側面との間に配置されており、巻き取り本体部13aと、第一保持部13bと、第二保持部13cを備える。
巻き取り本体部13aは、円柱状に形成されており、外周面に第二ホースHbが基端から巻かれる。なお、巻き取り本体部13aには、基端が油圧ポンプに接続された第一ホースHaの先端が、例えば、後方ブラケット辺11bに形成されているホース挿入孔11fを介して接続されている。
【0024】
また、巻き取り本体部13aの内部には、テンショナー(図示略)が収容されている。
テンショナーは、例えば、渦巻ばねを用いて形成されており、第二ホースHbを巻き取る方向へのテンションを、第二ホースHbへ常に付与する
したがって、第二ホースHbは、基端伸縮ブーム61aの側方において、常に張った状態となる。このため、第二ホースHbが垂れることや、基端伸縮ブーム61aとの距離が変化することが抑制されている。
【0025】
第一保持部13bは、巻き取り本体部13aよりも外径が大きい円板状に形成されており、巻き取り本体部13aのうち、基端伸縮ブーム61aの側面と対向する端面に固定されている。
第二保持部13cは、巻き取り本体部13aよりも外径が大きい円板状に形成されており、巻き取り本体部13aのうち、基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面と反対側の端面に固定されている。
【0026】
したがって、
図1に示すように、第二ホースHbは、伸縮ブーム61の伸縮可能な部分(基端側中間伸縮ブーム61b、先端側中間伸縮ブーム61c、先端伸縮ブーム61d)の側面に支持されている。
また、
図2に示すように、ホースリール巻き取り部13から繰り出された第二ホースHbは、平面視で、伸縮ブーム61が伸縮する方向と平行に配置されている。
なお、
図2では、ホースリール巻き取り部13から繰り出された第二ホースHbのうち、第三ホース支持部62cに支持されている部分を示しているが、第一ホース支持部62a及び第二ホース支持部62bに支持されている部分も同様である。
【0027】
ホースリール取付部14は、板状に形成されており、回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面と回転軸部12の他端との間に配置されている。
また、ホースリール取付部14は、ホースリールブラケット11及び回転軸部12に取り付けられている。
ブラケットカバー部材15は、円板状に形成されており、回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面と反対側の面に固定されている。また、ブラケットカバー部材15は、少なくとも一部が、側面視でホースリール巻き取り部13と重なっている。
さらに、
図3に示すように、ブラケットカバー部材15の伸縮ブーム61の側面と対向する面には、第一湾曲カバー部材16と、第二湾曲カバー部材17が固定されている。
【0028】
第一湾曲カバー部材16は、板材を用いて、ブラケットカバー部材15の厚さ方向から見て下方が開口する円弧状に形成されており、ブラケットカバー部材15の伸縮ブーム61の側面と対向する面のうち、回転軸取付け部11cよりも上方に配置されている。
また、第一湾曲カバー部材16のブラケットカバー部材15と対向する面と反対側の面は、第二保持部13cと対向している。
なお、
図2では、説明のために、第一湾曲カバー部材16の図示を省略している。
【0029】
第二湾曲カバー部材17は、板材を用いて、ブラケットカバー部材15の厚さ方向から見て上方が開口する円弧状に形成されており、ブラケットカバー部材15の伸縮ブーム61の側面と対向する面のうち、回転軸取付け部11cよりも下方に配置されている。
また、第二湾曲カバー部材17のブラケットカバー部材15と対向する面と反対側の面は、第二保持部13cと対向している。
なお、
図2では、説明のために、第二湾曲カバー部材17の図示を省略している。
【0030】
<動作>
次に、
図1から
図4を参照して、ホースリール10を備えるクレーン1の動作について説明する。
クレーン1の使用時には、作業場所で作業姿勢となり、伸縮ブーム61を、荷役作業に応じた角度に起立させ、また、荷役作業に応じた長さに伸長させた後、さらに、延長ジブEJを、伸縮ブーム61の先端に配置する。そして、延長ジブEJが備えるフック(図示略)で荷を吊り、荷役作業を行う。
伸縮ブーム61を伸長させると、第二ホースHbが、伸縮ブーム61が伸長する動作に伴って、ホースリール10から繰り出される。
荷役作業を終了した場合等には、伸長させている伸縮ブーム61を収縮させる。
伸縮ブーム61を収縮させると、第二ホースHbが、伸縮ブーム61が収縮する動作に伴って、ホースリール10に巻き取られる。
【0031】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態のホースリール10であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)板状に形成され、且つ伸縮ブーム61の基端側の側面と対向する回転軸取付け部11cと、回転軸取付け部11cを基端伸縮ブーム61aの側面との間に隙間を有する状態で、基端伸縮ブーム61aの側面に取り付けるブラケット辺(前方ブラケット辺11a、後方ブラケット辺11b)を有するホースリールブラケット11を備える。さらに、回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面に配置され、且つ水平方向を向く回転軸の軸回りに回転可能な回転軸部12と、回転軸取付け部11cと基端伸縮ブーム61aの側面との間に配置され、且つ第二ホースHbが基端から巻かれるホースリール巻き取り部13を備える。そして、回転軸部12の一端は、ホースリール巻き取り部13が水平方向を向く軸回りに回転可能となるようにホースリール巻き取り部13へ取り付けられる。また、回転軸部12の他端は、回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面へ取り付けられる。
【0032】
その結果、回転軸部12の長さに関わらず、ホースリール巻き取り部13の位置を、伸縮ブーム61の側面から近い位置にすることが可能なホースリール10を提供することが可能となる。
具体的には、基端伸縮ブーム61aの側面からホースリール巻き取り部13までの距離を、例えば、
図5(a)に示すような従来の構成における距離R1から、
図5(b)に示す実施形態の構成における距離R2に短縮する(R1>R2)ことが可能となる。なお、
図5(a)に示すような従来の構成は、ホースリール巻き取り部13とホースリール取付部14が回転軸部12によって連結されている構成である。
【0033】
これにより、例えば、狭い場所における作業等が容易となるため、機能性や商品性を向上させることが可能となる。
また、例えば、クレーン1が小型のクローラクレーンである場合、
図1に示すように、折り畳んだ(格納した)アウトリガ装置8と第二ホースHbとの干渉を回避することが可能となる。
【0034】
(2)回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面と回転軸部12の他端との間に配置され、且つホースリールブラケット11及び回転軸部12に取り付けられたホースリール取付部14をさらに備える。
その結果、ホースリール取付部14の形状(厚さ)に応じて、伸縮ブーム61の側面からホースリール巻き取り部13までの距離を設定することが可能となる。
【0035】
(3)回転軸取付け部11cの基端伸縮ブーム61aの側面と対向する面と反対側の面に固定され、且つ側面視でホースリール巻き取り部13と重なるブラケットカバー部材15をさらに備える。
その結果、ブラケットカバー部材15が、ホースリール巻き取り部13が回転しても変位しないため、ブラケットカバー部材15を、例えば、塗装やステッカーの貼り付けにより、視認可能な情報を提示する部材として用いることが可能となる。
実施形態のホースリール10を備えるクレーン1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
【0036】
(4)複数段階に伸縮可能な伸縮ブーム61と、伸縮ブーム61に取り付けられる油圧機器(延長ジブEJ)へ接続する第二ホースHbと、ホースリール10とを備える。
その結果、ホースリール巻き取り部13の位置を、伸縮ブーム61の側面から近い位置にすることが可能な、ホースリール10を備えるクレーン1を提供することが可能となる。
【0037】
<変形例>
(1)実施形態では、ホースリール10の構成を、ブラケットカバー部材15や、第一湾曲カバー部材16や、第二湾曲カバー部材17を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ホースリール10の構成を、ブラケットカバー部材15や、第一湾曲カバー部材16や、第二湾曲カバー部材17を備えていない構成としてもよい。
(2)実施形態では、伸縮ブーム61に取り付けられる油圧機器を、延長ジブEJとしたが、これに限定するものではない。すなわち、伸縮ブーム61に取り付けられる油圧機器を、例えば、油圧カッター等としてもよい。
【0038】
(3)実施形態では、延長ジブEJに、走行部2が有し、バッテリから供給される電力により駆動するモータが駆動する油圧ポンプから、油圧ホースを介して圧油が供給される構成としたが、この構成に限定するものではない。すなわち、例えば、延長ジブEJに、走行部2が有し、外部電源から供給される電力により駆動するモータが駆動する油圧ポンプから、油圧ホースを介して圧油が供給される構成としてもよい。この場合、クレーン1の構成が、エンジンを搭載した構成であっても、エンジンの使用が困難な環境(屋内等)において、外部電源から供給される電力によってクレーン1を操作することが可能である。
また、クレーン1の構成が、エンジンを搭載した構成である場合、例えば、延長ジブEJに、走行部2が有するエンジンが駆動する油圧ポンプから、油圧ホースを介して圧油が供給される構成としてもよい。
【0039】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることが可能である。
(1)
複数段階に伸縮可能な伸縮ブームに取り付けられる油圧機器へ接続する油圧ホースを前記伸縮ブームが伸縮する動作に伴って繰り出し又は巻き取るホースリールであって、
板状に形成され、且つ前記伸縮ブームの基端側の側面と対向する回転軸取付け部と、前記回転軸取付け部を前記側面との間に隙間を有する状態で、前記伸縮ブームの基端側の側面に取り付けるブラケット辺と、を有するホースリールブラケットと、
前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面に配置され、且つ水平方向を向く回転軸の軸回りに回転可能な回転軸部と、
前記回転軸取付け部と前記側面との間に配置され、且つ前記油圧ホースが基端から巻かれるホースリール巻き取り部と、を備え、
前記回転軸部の一端は、前記ホースリール巻き取り部が前記軸回りに回転可能となるようにホースリール巻き取り部へ取り付けられ、
前記回転軸部の他端は、前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面へ取り付けられるホースリール。
【0040】
(2)
前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面と前記回転軸部の他端との間に配置され、且つ前記ホースリールブラケット及び前記回転軸部に取り付けられたホースリール取付部をさらに備える前記(1)に記載したホースリール。
(3)
前記回転軸取付け部の前記側面と対向する面と反対側の面に固定され、且つ側面視で少なくとも一部が前記ホースリール巻き取り部と重なるブラケットカバー部材をさらに備える前記(1)又は(2)に記載したホースリール。
(4)
複数段階に伸縮可能な伸縮ブームと、
前記伸縮ブームに取り付けられる油圧機器へ接続する油圧ホースと、
前記(1)~(3)のいずれかに記載したホースリールと、を備えるクレーン。
【符号の説明】
【0041】
1 クレーン
2 走行部
4 機台フレーム
6 ブーム装置
61 伸縮ブーム
61a 基端伸縮ブーム
61b 基端側中間伸縮ブーム
61c 先端側中間伸縮ブーム
61d 先端伸縮ブーム
62a 第一ホース支持部
62b 第二ホース支持部
62c 第三ホース支持部
62d ホースコネクタ
8 アウトリガ装置
10 ホースリール
11 ホースリールブラケット
11a 前方ブラケット辺
11b 後方ブラケット辺
11c 回転軸取付け部
11d 前方フランジ部
11e 後方フランジ部
11f ホース挿入孔
12 回転軸部
13 ホースリール巻き取り部
13a 巻き取り本体部
13b 第一保持部
13c 第二保持部
14 ホースリール取付部
15 ブラケットカバー部材
16 第一湾曲カバー部材
17 第二湾曲カバー部材
EJ 延長ジブ
Ha 第一ホース
Hb 第二ホース
Hc 第三ホース
R1 従来の構成における伸縮ブームの側面からホースリール巻き取り部までの距離
R2 実施形態の構成における伸縮ブームの側面からホースリール巻き取り部までの距離