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特開2024-61477ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061477
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20240425BHJP
   B66C 23/70 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B66C23/88 R
B66C23/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169449
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】郡 昭彦
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA03
(57)【要約】
【課題】ワイヤロープの損傷を抑制することが可能なブーム装置とブーム装置を備えるクレーンを提供する。
【解決手段】ブームと延長ジブとを、延長ジブの姿勢が、側面視で延長ジブがブームに重なった姿勢である格納姿勢と、延長ジブがブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢に変化することが可能な状態で連結するブーム側連結部62とジブ側連結部63を備え、ブーム側連結部62は、作業姿勢ではワイヤロープWと非接触であり、格納姿勢でワイヤロープWと接触する第二接触面20aを有する第二接触部材20を備え、ジブ側連結部63は、作業姿勢ではワイヤロープWと非接触であり、格納姿勢でワイヤロープWと接触する第一接触面10aを有する第一接触部材10を備え、第二接触面20a及び第一接触面10aが、ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられ、且つ前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを前記ブーム側連結部と共に連結するジブ側連結部と、
前記作業姿勢において、前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部は、前記作業姿勢では前記ワイヤロープと非接触であり、且つ前記格納姿勢で前記ワイヤロープと接触する第一接触面を有する第一接触部材を備え、
前記ジブ側連結部は、前記作業姿勢では前記ワイヤロープと非接触であり、且つ前記格納姿勢で前記ワイヤロープと接触する第二接触面を有する第二接触部材を備え、
前記第一接触面及び前記第二接触面は、前記ワイヤロープの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面であるブーム装置。
【請求項2】
前記作業姿勢では、前記ブーム側連結部の内部において、前記第二接触部材が前記第一接触部材よりも前記ブームに近い位置へ配置される請求項1に記載したブーム装置。
【請求項3】
前記格納姿勢は、前記延長ジブの姿勢が、側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である請求項1に記載したブーム装置。
【請求項4】
前記ジブ側連結部は、前記第二接触面から突出する第一ワイヤ保持部と、前記第二接触面から突出し、且つ前記ワイヤロープを間に挟んで前記第一ワイヤ保持部と対向する第二ワイヤ保持部と、を備える請求項1に記載したブーム装置。
【請求項5】
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられ、且つ前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを前記ブーム側連結部と共に連結するジブ側連結部と、
前記作業姿勢において、前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、
前記ブームの先端に配置され、且つ前記ワイヤロープを支持する第一ワイヤ支持部材と、
前記ジブ側連結部の内部に配置され、且つ前記ワイヤロープを支持する第二ワイヤ支持部材と、を備え、
前記第一ワイヤ支持部材と前記第二ワイヤ支持部材は、前記作業姿勢において前記ワイヤロープの軸線に沿って配置され、
前記格納姿勢において前記ワイヤロープに接触することで、前記第一ワイヤ支持部材及び前記第二ワイヤ支持部材から前記ワイヤロープが逸脱することを防止する逸脱防止部材を備えるブーム装置。
【請求項6】
前記第一ワイヤ支持部材と前記第二ワイヤ支持部材は、前記格納姿勢において前記ワイヤロープを最小曲げ半径以上の曲率半径の状態で支持する請求項5に記載したブーム装置。
【請求項7】
前記逸脱防止部材は、前記ブーム側連結部が備えるブーム側逸脱防止部材と、前記ジブ側連結部が備えるジブ側逸脱防止部材と、を含み、
前記ブーム側逸脱防止部材と前記ジブ側逸脱防止部材は、前記格納姿勢において最小曲げ半径以上の曲率半径の状態である前記ワイヤロープに接触する請求項6に記載したブーム装置。
【請求項8】
前記逸脱防止部材は、前記ブーム側連結部が備えるブーム側逸脱防止部材と、前記ジブ側連結部が備えるジブ側逸脱防止部材と、を含む請求項5に記載したブーム装置。
【請求項9】
前記ブーム側逸脱防止部材と前記ジブ側逸脱防止部材は、前記格納姿勢において最小曲げ半径以上の曲率半径の状態である前記ワイヤロープに接触する請求項8に記載したブーム装置。
【請求項10】
前記第一ワイヤ支持部材と前記第二ワイヤ支持部材は、前記格納姿勢において前記ワイヤロープを最小曲げ半径以上の曲率半径の状態で支持する請求項9に記載したブーム装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載したブーム装置を備えるクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニクローラクレーン等のクレーンが備え、延長ジブを備えるブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
延長ジブを備えるブーム装置としては、例えば、特許文献1に開示されている構成のものがある。特許文献1に開示されているブーム装置は、ブームの先端に取り付けた延長ジブを備えている。そして、延長ジブを格納する姿勢では、ブームの側面に延長ジブが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012‐001295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、延長ジブを使用する際に、ブームの使用時に用いるフックをワイヤロープから取り外す。そして、フックを取り外したワイヤロープを延長ジブに取り付けてから、延長ジブに取り付けたワイヤロープにフックを取り付ける。その後、フックを取り付けた状態で延長ジブを格納すると、ブームの側面に延長ジブを配置する際にワイヤロープが曲げられるため、ワイヤロープがブームや延長ジブが有する角部等に接触して損傷するという問題がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、ワイヤロープの損傷を抑制することが可能なブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るブーム装置は、クレーン用のブームと、延長ジブと、ブーム側連結部と、ジブ側連結部と、フックを備える。延長ジブは、ブームの先端に配置される。ブーム側連結部は、ブームの先端に取り付けられる。ジブ側連結部は、延長ジブの基端に取り付けられる。これに加え、延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で延長ジブがブームに重なった姿勢である格納姿勢と、延長ジブがブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、ブームと延長ジブとをブーム側連結部と共に連結する。フックは、作業姿勢において、ブームと延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられる。さらに、ブーム側連結部は、作業姿勢ではワイヤロープと非接触であり、且つ格納姿勢でワイヤロープと接触する第一接触面を有する第一接触部材を備える。また、ジブ側連結部は、作業姿勢ではワイヤロープと非接触であり、且つ格納姿勢でワイヤロープと接触する第二接触面を有する第二接触部材を備える。そして、第一接触面及び第二接触面は、ワイヤロープの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面である。
【0006】
また、本発明の一態様に係るブーム装置は、クレーン用のブームと、延長ジブと、ブーム側連結部と、ジブ側連結部と、フックと、第一ワイヤ支持部材と、第二ワイヤ支持部材と、逸脱防止部材を備える。第一ワイヤ支持部材は、ブームの先端に配置され、且つワイヤロープを支持する。第二ワイヤ支持部材は、ジブ側連結部の内部に配置され、且つワイヤロープを支持する。また、第一ワイヤ支持部材と第二ワイヤ支持部材は、作業姿勢においてワイヤロープの軸線に沿って配置されている。逸脱防止部材は、格納姿勢においてワイヤロープに接触することで、第一ワイヤ支持部材及び第二ワイヤ支持部材からワイヤロープが逸脱することを防止する。
また、本発明の一態様に係るクレーンは、ブーム装置を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワイヤロープの損傷を抑制することが可能な、ブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ブーム装置を備えるクレーンの走行姿勢を示す側面図である。
図2】ブーム装置を備えるクレーンの作業姿勢を示す側面図である。
図3】延長ジブが格納姿勢であるブーム装置の構成を示す平面図である。
図4図3のIV線矢視図である。
図5】延長ジブが格納姿勢であるブーム装置の構成を示す斜視図である。
図6図5のVI線矢視図である。
図7】延長ジブが作業姿勢であるブーム装置の構成を示す平面図である。
図8図7のVIII線矢視図である。
図9】延長ジブの姿勢が変化する際のブーム装置の動作を示す図である。
図10】延長ジブの姿勢が変化する際のブーム装置の動作を示す図である。
図11】延長ジブの姿勢が変化する際のブーム装置の動作を示す図である。
図12】延長ジブの姿勢が変化する際のブーム装置の動作を示す図である。
図13】延長ジブの姿勢が変化する際のブーム装置の動作を示す図である。
図14】延長ジブの姿勢が変化する際のブーム装置の動作を示す図である。
図15】延長ジブの姿勢が変化する際のワイヤロープの状態を示す図である。
図16】延長ジブの姿勢が変化する際のワイヤロープの状態を示す図である。
図17】延長ジブの姿勢が変化する際のワイヤロープの状態を示す図である。
図18】延長ジブの姿勢が変化する際のワイヤロープの状態を示す図である。
図19】延長ジブの姿勢が変化する際のワイヤロープの状態を示す図である。
図20】変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0010】
(実施形態)
(構成)
図1に示すように、クレーン1は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8を備える。なお、図1では、走行部2、機台フレーム4、ブーム装置6及びアウトリガ装置8の構成について、簡略化して図示している部分がある。
また、図1に示すように、クレーン1は、小型のクローラクレーン(ミニクローラクレーン)である。
【0011】
なお、以降の説明及び図面では、クレーン1が前進して走行する方向を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、クレーン1が後退して走行する方向を、「後方」と記載する場合がある。
また、以降の説明及び図面では、クレーン1が前進するときの左手側を「左側」と示し、クレーン1が前進するときの右手側を「右側」と示す。したがって、以降の説明及び図面では、クレーン1を左側から見た視点を「左側面視」とし、クレーン1を右側から見た視点を「右側面視」とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
【0012】
クレーン1は、図1に示す走行姿勢で、走行部2により走行して作業場所へ移動した後、作業場所でアウトリガ装置8を張り出して機台フレーム4の安定を確保して作業姿勢となる。そして、図2示すように、ブーム装置6を起立・伸長させた後、ブーム装置6が備える延長ジブEJの姿勢を、図1に示す格納姿勢から作業姿勢へと変化させ、延長ジブEJが備えるフックFで荷を吊り、荷役作業を行う。
ブーム装置6は、延長ジブEJとフックFに加え、ブーム(伸縮ブーム)61と、ブーム側連結部62と、ジブ側連結部63を備えている。
【0013】
ブーム61は、複数段階(例えば、五段階)に伸縮が可能であり、また、機台フレーム4に対して起伏が可能である。
延長ジブEJは、ブーム61の先端に配置されている。
ブーム側連結部62は、ブーム61の先端に取り付けられており、連結軸64により、ジブ側連結部63と連結している。
ジブ側連結部63は、延長ジブEJの基端に取り付けられている。
また、ジブ側連結部63は、延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢と作業姿勢とに変化することが可能な状態で、ブーム61と延長ジブEJとを、ブーム側連結部62と共に連結している。
【0014】
格納姿勢は、図1と、図3から図6に示すように、平面視又は側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢である。
実施形態では、一例として、格納姿勢を、延長ジブEJの姿勢が、側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢とした場合について説明する。
作業姿勢は、図2と、図7及び図8に示すように、延長ジブEJが、ブーム61の先端側に配置された姿勢である。
延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢と作業姿勢とに変化する際には、連結軸64の中心軸を回転中心として、ブーム側連結部62に対してジブ側連結部63が回転することで、ブーム61に対して延長ジブEJが回転する。
【0015】
フックFは、ブーム装置6に取り付けられ、ブーム61を経由して延長ジブEJの先端から突出したワイヤロープWの先端に取り付けられている。
すなわち、フックFは、作業姿勢において、ブーム61と延長ジブEJとを貫通して延長ジブEJの先端から突出する、一つのワイヤロープWに取り付けられる。
【0016】
(ブーム側連結部の具体的な構成)
以下、図1から図8を参照しつつ、図9から図19を用いて、ブーム側連結部62の具体的な構成について説明する。
なお、図9から図14は、延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢から作業姿勢へ変化する状態を順番に示す図である。また、図9から図14では、説明のために、ブーム側連結部62及びジブ側連結部63の一部を破断した状態を図示する。さらに、図9から図14には、説明のために、ブーム61の先端に配置され、ワイヤロープWを支持する第一ワイヤ支持部材WS1と、ジブ側連結部63の内部に配置され、ワイヤロープWを支持する第二ワイヤ支持部材WS2を示す。
【0017】
さらに、図15から図19は、延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢から作業姿勢へ変化する状態を順番に示す図である。また、図9に示す状態と図15に示す状態、図11に示す状態と図16に示す状態、図12に示す状態と図17に示す状態、図13に示す状態と図18に示す状態、図14に示す状態と図19に示す状態は、それぞれ、対応している。
第一ワイヤ支持部材WS1と第二ワイヤ支持部材WS2は、図14に示すように、作業姿勢において、ワイヤロープWの軸線(中心軸線)に沿って配置される。
また、第一ワイヤ支持部材WS1と第二ワイヤ支持部材WS2は、格納姿勢において、ワイヤロープWを最小曲げ半径以上の曲率半径の状態で支持する。
【0018】
ブーム側連結部62は、図6と、図9から図17に示すように、第一接触部材10を備える。
第一接触部材10は、板材を湾曲させて形成されており、ブーム側連結部62の内部に配置されている。
また、第一接触部材10は、第一接触面10aを有する。
第一接触面10aは、作業姿勢ではワイヤロープWと非接触であり、格納姿勢ではワイヤロープWと接触する面である。
さらに、第一接触面10aは、ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面である。
【0019】
(ジブ側連結部の具体的な構成)
以下、図1から図19を参照して、ジブ側連結部63の具体的な構成について説明する。
ジブ側連結部63は、図5及び図6と、図9から図16に示すように、第二接触部材20を備える。
第二接触部材20は、板材を湾曲させて形成されており、第二接触面20aを有する。
第二接触面20aは、ジブ側連結部63のうち、延長ジブEJの基端から離れた位置に形成されている。具体的には、第二接触面20aは、延長ジブEJが作業姿勢では、図14に示すように、ブーム側連結部62の内部に配置される位置であり、延長ジブEJが格納姿勢では、図9に示すように、ブーム側連結部62及びジブ側連結部63の外部に配置される位置に形成されている。
【0020】
また、第二接触面20aは、作業姿勢ではワイヤロープWと非接触であり、格納姿勢ではワイヤロープWと接触する面である。さらに、第二接触面20aは、ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面である。
なお、ワイヤロープWの最小曲げ半径は、例えば、ワイヤロープWの直径に応じて設定される値である。
また、第二接触部材20は、例えば、図14に示すように、延長ジブEJが作業姿勢では、ブーム側連結部62の内部において、第一接触部材10よりもブーム61に近い位置へ配置される。
【0021】
また、ジブ側連結部63は、図15から図18に示すように、第一ワイヤ保持部63aと、第二ワイヤ保持部63bを備える。
第一ワイヤ保持部63aは、板状に形成されており、第二接触面20aから突出している。
第二ワイヤ保持部63bは、板状に形成されており、第一ワイヤ保持部63aよりも下方において、第二接触面20aから突出している。
また、第二ワイヤ保持部63bは、ワイヤロープWを間に挟んで、第一ワイヤ保持部63aと対向している。
【0022】
<動作・作用>
次に、図1から図19を参照して、ブーム装置6を備えるクレーン1の動作・作用について説明する。
クレーン1の使用時には、図2に示すように、延長ジブEJの姿勢を格納姿勢から作業姿勢に変化させ、ブーム61を、荷役作業に応じた角度に起立させ、荷役作業に応じた長さに伸長させる。そして、フックFで荷を吊る等の荷役作業等を行う。
ここで、延長ジブEJの姿勢が格納姿勢である場合、例えば、図9に示すように、ワイヤロープWは、曲げられた状態で第一接触面10aと第二接触面20aに接触している。
【0023】
実施形態では、第一接触面10aと第二接触面20aが、共に、ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面である。このため、延長ジブEJの姿勢が格納姿勢である状態においても、延長ジブEJの姿勢が格納姿勢から作業姿勢に変化する際においても、ワイヤロープWの最小曲げ半径を保持した状態で、ワイヤロープWの方向(向き)を変化させることが可能となる。これにより、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能となる。
【0024】
また、実施形態では、第一接触面10aと第二接触面20aが、共に、延長ジブEJの姿勢が作業姿勢である状態では、ワイヤロープWと非接触である。このため、第一接触部材10及び第二接触部材20が、ワイヤロープWに対して摺動抵抗を発生させることが無く、荷役作業等の効率を低下させることが防止される。
【0025】
さらに、実施形態では、ジブ側連結部63が、第一ワイヤ保持部63aと、ワイヤロープWを間に挟んで第一ワイヤ保持部63aと対向する第二ワイヤ保持部63bを備える。このため、例えば、ワイヤロープWが高さ方向(上下方向)にずれた場合であっても、ワイヤロープWが第二接触面20aから外れることを抑制することが可能となる。
【0026】
また、第一接触部材10及び第二接触部材20は、格納姿勢においてワイヤロープWに接触することで、第一ワイヤ支持部材WS1及び第二ワイヤ支持部材WS2からワイヤロープWが逸脱することを防止する逸脱防止部材を形成している。なお、「逸脱」は、第一ワイヤ支持部材WS1及び第二ワイヤ支持部材WS2から、ワイヤロープWが高さ方向(上下方向)に逸脱する場合と、ワイヤロープWの軸線方向から逸脱する場合とを含む。
逸脱防止部材は、ブーム側連結部62が備えるブーム側逸脱防止部材としての第一接触部材10と、ジブ側連結部63が備えるジブ側逸脱防止部材としての第二接触部材20とを含む。
また、ブーム側逸脱防止部材としての第一接触部材10と、ジブ側逸脱防止部材としての第二接触部材20は、格納姿勢において、最小曲げ半径以上の曲率半径の状態であるワイヤロープWに接触する。
【0027】
荷役作業等を終了した場合等には、ブーム61の状態をクレーン1の走行に対応した状態(図1を参照)とし、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させる。その際においても、第一接触面10aと第二接触面20aにより、ワイヤロープWの最小曲げ半径を保持した状態で、ワイヤロープWの方向(向き)を変化させることが可能となる。これにより、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能となる。
【0028】
これに対し、第一接触部材10及び第二接触部材20を備えていない構成であると、例えば、ブーム側連結部62やジブ側連結部63が有する角部等に、ワイヤロープWが押し付けられて、ワイヤロープWにキンクや破損等、損傷が発生するおそれがある。また、ワイヤロープWが最小曲げ半径よりも大きく曲げられてしまい、ワイヤロープWに損傷が発生するおそれがある。
【0029】
ここで、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させる理由としては、クレーン1を安定させるために、クレーン1の重心を中心に寄せる必要があるためである。すなわち、延長ジブEJの姿勢が作業姿勢であると、クレーン1の重心が延長ジブEJの先端側に寄ってしまい、クレーン1の安定性が低下する。このため、クレーン1を安定させるためには、延長ジブEJの姿勢を、平面視又は側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢とするか、延長ジブEJをブーム61から取り外す必要がある。
しかしながら、延長ジブEJをブーム61から取り外す場合、作業者等の負担が増加するため、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢と格納姿勢に変化させる構成とすることで、作業者等の負担を低下させることが可能となる。
【0030】
なお、延長ジブEJの姿勢を格納姿勢に変化させた状態で、ブーム61を用いて荷役作業等を行う場合には、例えば、図9に示す開口部62aから突出させたワイヤロープWに、フックFを取り付ける。この場合、ジブ側連結部63及び延長ジブEJの内部には、ワイヤロープWは配置しない(貫通させない)。なお、開口部62aは、ブーム側連結部62のうち、ブーム61と対向する面と反対側の面に形成した開口部である。
【0031】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態のブーム装置6であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)クレーン用のブーム61と、ブーム61の先端に配置される延長ジブEJと、ブーム61の先端に取り付けられるブーム側連結部62と、延長ジブEJの基端に取り付けられるジブ側連結部63と、フックFとを備える。ジブ側連結部63は、延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢作業姿勢に変化することが可能な状態で、ブーム61と延長ジブEJとをブーム側連結部62と共に連結する。フックFは、作業姿勢において、ブーム61と延長ジブEJとを貫通して延長ジブEJの先端から突出する一つのワイヤロープWに取り付けられる。そして、ブーム側連結部62は、作業姿勢ではワイヤロープWと非接触であり、且つ格納姿勢でワイヤロープWと接触する第一接触面10aを有する第一接触部材10を備える。また、ジブ側連結部63は、作業姿勢ではワイヤロープWと非接触であり、且つ格納姿勢でワイヤロープWと接触する第二接触面20aを有する第二接触部材20を備える。これに加え、第一接触面10a及び第二接触面20aは、ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面である。
その結果、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能な、ブーム装置6を提供することが可能となる。
【0032】
また、ワイヤロープWにフックFを取り付けた状態で、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させることが可能となる。
これにより、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させる際に、フックFを延長ジブEJから突出するワイヤロープWから取り外す作業を省略することが可能となる。また、延長ジブEJを使用する際に、ブーム61の先端から突出するワイヤロープWからフックFを取り外し、取り外したフックFを延長ジブEJの先端から突出するワイヤロープWに取り付ける作業を省略することが可能となる。
【0033】
(2)作業姿勢では、ブーム側連結部62の内部において、第二接触部材20が第一接触部材10よりもブーム61に近い位置へ配置される。
その結果、第一接触部材10と第二接触部材20を備えるブーム装置6の構成を、コンパクトな構成とすることが可能となる。
【0034】
(3)格納姿勢は、延長ジブEJの姿勢が、側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢である。
その結果、例えば、クレーン1の構成が、ブーム61の下方に延長ジブEJを配置する空間を確保することが困難な構成である場合であっても、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能なブーム装置6を提供することが可能となる。
【0035】
(4)ジブ側連結部63が、第二接触面20aから突出する第一ワイヤ保持部63aと、第二接触面20aから突出し、且つワイヤロープWを間に挟んで第一ワイヤ保持部63aと対向する第二ワイヤ保持部63bを備える。
その結果、例えば、ワイヤロープWが高さ方向(上下方向)にずれた場合であっても、ワイヤロープWが第二接触面20aから外れることを抑制することが可能となり、荷役作業等の安定性を向上させることが可能となる。
【0036】
(5)第一ワイヤ支持部材WS1と第二ワイヤ支持部材WS2が、作業姿勢において、ワイヤロープWの軸線(中心軸線)に沿って配置される。また、第一接触部材10及び第二接触部材20は、格納姿勢においてワイヤロープWに接触することで、第一ワイヤ支持部材WS1及び第二ワイヤ支持部材WS2からワイヤロープWが逸脱することを防止する逸脱防止部材を形成している。
その結果、第一ワイヤ支持部材WS1及び第二ワイヤ支持部材WS2から逸脱したワイヤロープWが、他の部材と接触することを抑制することが可能となり、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能な、ブーム装置6を提供することが可能となる。
【0037】
(6)第一ワイヤ支持部材WS1と第二ワイヤ支持部材WS2が、格納姿勢において、ワイヤロープWを最小曲げ半径以上の曲率半径の状態で支持する。
その結果、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能となる。
【0038】
(7)逸脱防止部材が、ブーム側連結部62が備えるブーム側逸脱防止部材としての第一接触部材10と、ジブ側連結部63が備えるジブ側逸脱防止部材としての第二接触部材20とを含む。
その結果、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能となる。
【0039】
(8)ブーム側逸脱防止部材としての第一接触部材10と、ジブ側逸脱防止部材としての第二接触部材20は、格納姿勢において、最小曲げ半径以上の曲率半径の状態であるワイヤロープWに接触する。
その結果、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能となる。
【0040】
実施形態のブーム装置6を備えるクレーン1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(9)ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する第一接触面10aを有する第一接触部材10と、ワイヤロープWの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する第二接触面20aを有する第二接触部材20を備えるブーム装置6を備える。
その結果、ワイヤロープWの損傷を抑制することが可能な、ブーム装置6を備えるクレーン1を提供することが可能となる。
【0041】
<変形例>
(1)実施形態では、延長ジブEJの格納姿勢を、側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢としたが、これに限定するものではない。すなわち、延長ジブEJの格納姿勢を、例えば、図20に示すように、平面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢としてもよい。
【0042】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることが可能である。
(1)
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられ、且つ前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを前記ブーム側連結部と共に連結するジブ側連結部と、
前記作業姿勢において、前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部は、前記作業姿勢では前記ワイヤロープと非接触であり、且つ前記格納姿勢で前記ワイヤロープと接触する第一接触面を有する第一接触部材を備え、
前記ジブ側連結部は、前記作業姿勢では前記ワイヤロープと非接触であり、且つ前記格納姿勢で前記ワイヤロープと接触する第二接触面を有する第二接触部材を備え、
前記第一接触面及び前記第二接触面は、前記ワイヤロープの最小曲げ半径以上の曲率半径を有する曲面であるブーム装置。
【0043】
(2)
前記作業姿勢では、前記ブーム側連結部の内部において、前記第二接触部材が前記第一接触部材よりも前記ブームに近い位置へ配置される前記(1)に記載したブーム装置。
(3)
前記格納姿勢は、前記延長ジブの姿勢が、側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である前記(1)又は(2)に記載したブーム装置。
(4)
前記ジブ側連結部は、前記第二接触面から突出する第一ワイヤ保持部と、前記第二接触面から突出し、且つ前記ワイヤロープを間に挟んで前記第一ワイヤ保持部と対向する第二ワイヤ保持部と、を備える前記(1)~(3)のいずれかに記載したブーム装置。
【0044】
(5)
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられ、且つ前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを前記ブーム側連結部と共に連結するジブ側連結部と、
前記作業姿勢において、前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、
前記ブームの先端に配置され、且つ前記ワイヤロープを支持する第一ワイヤ支持部材と、
前記ジブ側連結部の内部に配置され、且つ前記ワイヤロープを支持する第二ワイヤ支持部材と、を備え、
前記第一ワイヤ支持部材と前記第二ワイヤ支持部材は、前記作業姿勢において前記ワイヤロープの軸線に沿って配置され、
前記格納姿勢において前記ワイヤロープに接触することで、前記第一ワイヤ支持部材及び前記第二ワイヤ支持部材から前記ワイヤロープが逸脱することを防止する逸脱防止部材を備えるブーム装置。
【0045】
(6)
前記第一ワイヤ支持部材と前記第二ワイヤ支持部材は、前記格納姿勢において前記ワイヤロープを最小曲げ半径以上の曲率半径の状態で支持する前記(5)に記載したブーム装置。
(7)
前記逸脱防止部材は、前記ブーム側連結部が備えるブーム側逸脱防止部材と、前記ジブ側連結部が備えるジブ側逸脱防止部材と、を含み、
前記ブーム側逸脱防止部材と前記ジブ側逸脱防止部材は、前記格納姿勢において最小曲げ半径以上の曲率半径の状態である前記ワイヤロープに接触する前記(5)又は(6)に記載したブーム装置。
(8)
前記逸脱防止部材は、前記ブーム側連結部が備えるブーム側逸脱防止部材と、前記ジブ側連結部が備えるジブ側逸脱防止部材と、を含む前記(5)又は(6)に記載したブーム装置。
【0046】
(9)
前記ブーム側逸脱防止部材と前記ジブ側逸脱防止部材は、前記格納姿勢において最小曲げ半径以上の曲率半径の状態である前記ワイヤロープに接触する前記(8)に記載したブーム装置。
(10)
前記第一ワイヤ支持部材と前記第二ワイヤ支持部材は、前記格納姿勢において前記ワイヤロープを最小曲げ半径以上の曲率半径の状態で支持する前記(7)~(9)のいずれかに記載したブーム装置。
(11)
前記(1)~(10)のいずれかに記載したブーム装置を備えるクレーン。
【符号の説明】
【0047】
1 クレーン
2 走行部
4 機台フレーム
6 ブーム装置
61 ブーム
62 ブーム側連結部
63 ジブ側連結部
63a 第一ワイヤ保持部
63b 第二ワイヤ保持部
64 連結軸
8 アウトリガ装置
10 第一接触部材
10a 第一接触面
20 第二接触部材
20a 第二接触面
EJ 延長ジブ
F フック
W ワイヤロープ
WS1 第一ワイヤ支持部材
WS2 第二ワイヤ支持部材
図1
図2
図3
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