IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河ユニック株式会社の特許一覧

特開2024-61478ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン
<>
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図1
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図2
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図3
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図4
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図5
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図6
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図7
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図8
  • 特開-ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061478
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ブーム装置、ブーム装置を備えるクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20240425BHJP
   B66C 23/70 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B66C23/88 M
B66C23/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169450
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】郡 昭彦
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA03
3F205KA10
(57)【要約】
【課題】損傷の発生を抑制することが可能なブーム装置とクレーンを提供する。
【解決手段】ブーム61の先端に配置される延長ジブEJと、ブーム61の先端に取り付けたブーム側連結部62と、延長ジブEJの基端に取り付けたジブ側連結部63と、荷役の対象物を保持するフック本体部11と、ワイヤロープWに取り付けられ、且つフック本体部11を接続可能なワイヤソケット12を含むフック10を備え、ブーム側連結部62とジブ側連結部63は、延長ジブEJの姿勢を格納姿勢と作業姿勢に変化可能な状態でブーム61と延長ジブEJを連結し、ジブ側連結部63は、格納姿勢でワイヤロープWに取り付けられたフック10を取り付け可能なフック固定部材50を備え、延長ジブEJは、格納姿勢でワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12を取り付け可能なソケット固定部材40を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、
前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部と前記ジブ側連結部は、前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを連結し、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープに取り付けられ、且つ前記フック本体部を接続可能なワイヤソケットと、を含み、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記フックを取り付け可能なフック固定部材を備え、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記ワイヤソケットを取り付け可能なソケット固定部材を備えるブーム装置。
【請求項2】
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、
前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部と前記ジブ側連結部は、前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを連結し、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記フックを取り付け可能なフック固定部材を備えるブーム装置。
【請求項3】
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、
前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部と前記ジブ側連結部は、前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを連結し、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープに取り付けられ、且つ前記フック本体部を接続可能なワイヤソケットと、を含み、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記ワイヤソケットを取り付け可能なソケット固定部材を備えるブーム装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載したブーム装置を備えるクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニクローラクレーン等のクレーンが備え、延長ジブを備えるブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
延長ジブを備えるブーム装置としては、例えば、特許文献1に開示されている構成のものがある。特許文献1に開示されているブーム装置は、ブームの先端に取り付けた延長ジブを備えている。そして、延長ジブを格納する姿勢では、ブームの側面に延長ジブが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012‐001295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、ワイヤロープにフックを取り付けた状態で延長ジブを格納すると、ブーム装置を備えるクレーンの走行時等に発生する振動等により、フックやワイヤロープが揺れて他の部材に接触し、損傷が発生するという問題がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、損傷の発生を抑制することが可能なブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るブーム装置は、クレーン用のブームと、ブームの先端に配置される延長ジブと、ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、フックを備える。ブーム側連結部とジブ側連結部は、延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で延長ジブがブームに重なった姿勢である格納姿勢と、延長ジブがブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢に変化することが可能な状態で、ブームと延長ジブとを連結する。フックは、ブームと延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられる。さらに、フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、ワイヤロープに取り付けられ、且つフック本体部を接続可能なワイヤソケットを含む。そして、ブーム側連結部、ジブ側連結部及び延長ジブのうち少なくとも一つは、格納姿勢でワイヤロープに取り付けられたフックを取り付け可能なフック固定部材を備える。これに加え、ブーム側連結部、ジブ側連結部及び延長ジブのうち少なくとも一つは、格納姿勢でワイヤロープに取り付けられたワイヤソケットを取り付け可能なソケット固定部材を備える。
【0006】
また、本発明の一態様に係るブーム装置は、ブームと、延長ジブと、ブーム側連結部と、ジブ側連結部と、フックを備える。そして、ブーム側連結部、ジブ側連結部及び延長ジブのうち少なくとも一つは、格納姿勢でワイヤロープに取り付けられたフックを取り付け可能なフック固定部材を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係るブーム装置は、ブームと、延長ジブと、ブーム側連結部と、ジブ側連結部と、フックを備える。フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、ワイヤロープに取り付けられ、且つフック本体部を接続可能なワイヤソケットを含む。そして、ブーム側連結部、ジブ側連結部及び延長ジブのうち少なくとも一つは、格納姿勢でワイヤロープに取り付けられたワイヤソケットを取り付け可能なソケット固定部材を備える。
また、本発明の一態様に係るクレーンは、ブーム装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、損傷の発生を抑制することが可能な、ブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ブーム装置を備えるクレーンの走行姿勢を示す側面図である。
図2】ブーム装置を備えるクレーンの作業姿勢を示す側面図である。
図3】延長ジブが格納姿勢であるブーム装置の構成を示す平面図である。
図4図3のIV線矢視図である。
図5】延長ジブが格納姿勢であるブーム装置の構成を示す斜視図である。
図6】延長ジブが作業姿勢であるブーム装置の構成を示す平面図である。
図7図6のVII線矢視図である。
図8】フックの構成を示す分解図である。
図9】ソケット固定部材の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るブーム装置と、ブーム装置を備えるクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0011】
(実施形態)
(構成)
図1に示すように、クレーン1は、走行部2と、機台フレーム4と、ブーム装置6と、アウトリガ装置8を備える。なお、図1では、走行部2、機台フレーム4、ブーム装置6及びアウトリガ装置8の構成について、簡略化して図示している部分がある。
また、図1に示すように、クレーン1は、小型のクローラクレーン(ミニクローラクレーン)である。
【0012】
なお、以降の説明及び図面では、クレーン1が前進して走行する方向を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、クレーン1が後退して走行する方向を、「後方」と記載する場合がある。
また、以降の説明及び図面では、クレーン1が前進するときの左手側を「左側」と示し、クレーン1が前進するときの右手側を「右側」と示す。したがって、以降の説明及び図面では、クレーン1を左側から見た視点を「左側面視」とし、クレーン1を右側から見た視点を「右側面視」とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
【0013】
クレーン1は、図1に示す走行姿勢で、走行部2により走行して作業場所へ移動した後、作業場所でアウトリガ装置8を張り出して機台フレーム4の安定を確保して作業姿勢となる。そして、図2示すように、ブーム装置6を起立・伸長させた後、ブーム装置6が備える延長ジブEJの姿勢を、図1に示す格納姿勢から作業姿勢へと変化させ、延長ジブEJが備えるフック10で荷を吊り、荷役作業を行う。
ブーム装置6は、延長ジブEJとフック10に加え、ブーム(伸縮ブーム)61と、ブーム側連結部62と、ジブ側連結部63を備えている。
【0014】
ブーム61は、複数段階(例えば、五段階)に伸縮が可能であり、また、機台フレーム4に対して起伏が可能である。
延長ジブEJは、ブーム61の先端に配置されている。
ブーム側連結部62は、ブーム61の先端に取り付けられており、連結軸64により、ジブ側連結部63と連結している。
ジブ側連結部63は、延長ジブEJの基端に取り付けられている。
また、ブーム側連結部62とジブ側連結部63は、延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢と作業姿勢とに変化することが可能な状態で、ブーム61と延長ジブEJとを連結している。
【0015】
格納姿勢は、図1と、図3から図5に示すように、平面視又は側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢である。
実施形態では、一例として、格納姿勢を、延長ジブEJの姿勢が、側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢とした場合について説明する。
作業姿勢は、図2と、図6及び図7に示すように、延長ジブEJが、ブーム61の先端側に配置された姿勢である。
延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢と作業姿勢とに変化する際には、連結軸64の中心軸を回転中心として、ブーム側連結部62に対してジブ側連結部63が回転することで、ブーム61に対して延長ジブEJが回転する。
【0016】
フック10は、ブーム装置6に取り付けられ、ブーム61を経由して延長ジブEJの先端から突出したワイヤロープWの先端に取り付けられている。
すなわち、フック10は、作業姿勢において、ブーム61と延長ジブEJとを貫通して延長ジブEJの先端から突出する、一つのワイヤロープWに取り付けられる。
また、フック10は、図8に示すように、フック本体部11と、ワイヤソケット12を含む。
【0017】
フック本体部11は、鉤爪状に形成されている部分を有しており、荷役の対象物(吊荷等)を保持する。
また、フック本体部11は、本体側ピン挿入部11aを備える。
本体側ピン挿入部11aは、板状に形成されており、ワイヤソケット12との連結に用いる連結ピン20(図4図5図7を参照)を挿入可能な本体側孔部11bを有する。
ワイヤソケット12は、ワイヤロープWに取り付けられており、フック本体部11を接続可能である。
具体的に、ワイヤソケット12は、筒部12aと、ソケット側ピン挿入部12bを備える。
【0018】
筒部12aの内部には、空間が形成されている。筒部12aに形成されている空間の内部では、ワイヤロープWがU字状に折り返されている。
また、例えば、図4に示すように、ワイヤロープWのうち、筒部12aに形成されている空間の内部へ挿入される部分と、筒部12aに形成されている空間の内部で折り返されて筒部12aから突出した部分とは、ワイヤクランプ30等を用いて固定される。
ソケット側ピン挿入部12bは、本体側ピン挿入部11aを挟む二枚の板材を組み合わせて形成されており、連結ピン20(図4図5図7を参照)を挿入可能なソケット側孔部12cを有する。
【0019】
(延長ジブの具体的な構成)
以下、図1から図8を参照しつつ、図9を用いて、延長ジブEJの具体的な構成について説明する。
延長ジブEJは、図4図5図7図9等に示すように、ソケット固定部材40を備える。
ソケット固定部材40は、板状に形成されており、連結ピン20を挿入可能な固定部材側孔部41を有する。
また、ソケット固定部材40は、図9に示すように、格納姿勢で、ワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12を取り付け可能に形成されている。なお、図9では、説明のために、連結ピン20の図示を省略している。
なお、ワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12をソケット固定部材40に取り付ける場合、フック本体部11は、例えば、機台フレーム4に固定する。
また、ソケット固定部材40は、延長ジブEJのうち、格納姿勢で下方を向く面(図4では、下面)に配置されている。
【0020】
(ジブ側連結部の具体的な構成)
以下、図1から図8を参照して、ジブ側連結部63の具体的な構成について説明する。
ジブ側連結部63は、図4図5図7図9等に示すように、フック固定部材50を備える。
フック固定部材50は、例えば、図4及び図5に示すように、格納姿勢で、ワイヤロープWに取り付けられたフック10を取り付け可能に形成されている。
また、フック固定部材50は、ジブ側連結部63のうち、格納姿勢で下方を向く面(図4では、下面)に配置されている。
【0021】
<動作・作用>
次に、図1から図9を参照して、ブーム装置6を備えるクレーン1の動作・作用について説明する。
クレーン1の使用時には、図2に示すように、延長ジブEJの姿勢を格納姿勢から作業姿勢に変化させ、ブーム61を、荷役作業に応じた角度に起立させ、荷役作業に応じた長さに伸長させる。そして、フック10で荷を吊る等の荷役作業等を行う。
【0022】
荷役作業等を終了した場合等には、ブーム61の状態をクレーン1の走行に対応した状態(図1を参照)とし、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させる。
なお、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させる理由としては、クレーン1を安定させるために、クレーン1の重心を中心に寄せる必要があるためである。すなわち、延長ジブEJの姿勢が作業姿勢であると、クレーン1の重心が延長ジブEJの先端側に寄ってしまい、クレーン1の安定性が低下する。
【0023】
このため、クレーン1を安定させるためには、延長ジブEJの姿勢を、平面視又は側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢とするか、延長ジブEJをブーム61から取り外す必要がある。しかしながら、延長ジブEJをブーム61から取り外す場合、作業者等の負担が増加するため、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢と格納姿勢に変化させる構成とすることで、作業者等の負担を低下させることが可能となる。
【0024】
延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させた後、ワイヤロープWにフック10を取り付けた状態で、フック10をフック固定部材50に取り付ける場合には、フック10をフック固定部材50に取り付け、ワイヤロープWを直線状に張る。
なお、フック10をフック固定部材50に取り付ける際には、フック本体部11が有する、鉤爪状に形成されている部分を、フック固定部材50が有する棒状の部分に取り付ける(図5を参照)。
【0025】
一方、フック10を分解し、ワイヤロープWにワイヤソケット12を取り付けた状態で、ワイヤソケット12をソケット固定部材40に取り付ける場合には、ワイヤソケット12をソケット固定部材40に取り付け、ワイヤロープWを直線状に張る。
なお、ワイヤソケット12をソケット固定部材40に取り付ける際には、固定部材側孔部41とソケット側孔部12cとを重ねた状態で、固定部材側孔部41とソケット側孔部12cに連結ピン20を挿入する。
【0026】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態のブーム装置6であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)クレーン用のブーム61と、ブーム61の先端に配置される延長ジブEJと、ブーム61の先端に取り付けられるブーム側連結部62を備える。また、延長ジブEJの基端に取り付けられるジブ側連結部63を備える。さらに、ブーム61と延長ジブEJとを貫通して延長ジブEJの先端から突出する一つのワイヤロープWに取り付けられるフック10を備える。また、ブーム側連結部62とジブ側連結部63は、延長ジブEJの姿勢が、格納姿勢と作業姿勢に変化することが可能な状態で、ブーム61と延長ジブEJとを連結する。フック10は、荷役の対象物を保持するフック本体部11と、ワイヤロープWに取り付けられ、且つフック本体部11を接続可能なワイヤソケット12を含む。そして、ジブ側連結部63は、格納姿勢でワイヤロープWに取り付けられたフック10を取り付け可能なフック固定部材50を備える。これに加え、延長ジブEJは、格納姿勢でワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12を取り付け可能なソケット固定部材40を備える。
【0027】
その結果、ワイヤロープWにフック10を取り付けた状態で延長ジブEJを格納姿勢とした場合であっても、フック固定部材50に、ワイヤロープWに取り付けられたフック10が取り付けられている状態となる。このため、クレーン1の走行時等に、フック10やワイヤロープWが他の部材に接触することが抑制される。
また、フック10を、フック本体部11とワイヤソケット12に分解した状態で延長ジブEJを格納姿勢とした場合であっても、ソケット固定部材40に、ワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12が取り付けられている状態となる。このため、クレーン1の走行時等に、ワイヤロープWが他の部材に接触することが抑制される。
これにより、クレーン1等に対し、損傷の発生を抑制することが可能な、ブーム装置6を提供することが可能となる。
【0028】
また、延長ジブEJの姿勢を作業姿勢から格納姿勢に変化させる際に、フック10を延長ジブEJから突出するワイヤロープWから取り外す作業を省略することが可能となる。
さらに、延長ジブEJを使用する際に、ブーム61から突出するワイヤロープWからフック10を取り外し、取り外したフック10を延長ジブEJから突出するワイヤロープWに取り付ける作業を省略することが可能となる。
【0029】
また、ワイヤロープWに取り付けられたフック10をフック固定部材50に取り付けた状態で、クレーン1を走行させると、フック本体部11の質量が、走行時に発生する振動によってワイヤロープWへ伝達される。このため、長期的には、振動によってワイヤロープWが損傷するおそれがあるが、ソケット固定部材40に、ワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12を取り付けることで、走行時に発生する振動によるワイヤロープWの損傷を抑制することが可能となる。
【0030】
(2)フック固定部材50が、ジブ側連結部63のうち、格納姿勢で下方を向く面に配置されている。
その結果、フック固定部材50に対する、ワイヤロープWに取り付けられたフック10の取り付け作業及び取り外し作業が容易となる。
【0031】
(3)ソケット固定部材40が、延長ジブEJのうち、格納姿勢で下方を向く面に配置されている。
その結果、ソケット固定部材40に対する、ワイヤロープWに取り付けられたワイヤソケット12の取り付け作業及び取り外し作業が容易となる。
【0032】
(4)格納姿勢は、延長ジブEJの姿勢が、側面視で延長ジブEJがブーム61に重なった姿勢である。
その結果、例えば、クレーン1の構成が、ブーム61の下方に延長ジブEJを配置する空間を確保することが困難な構成である場合であっても、クレーン1等に対し、損傷の発生を抑制することが可能なブーム装置6を提供することが可能となる。
【0033】
実施形態のブーム装置6を備えるクレーン1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(5)フック固定部材50とソケット固定部材40を備えるブーム装置6を備える。
その結果、クレーン1等に対し、損傷の発生を抑制することが可能な、ブーム装置6を備えるクレーン1を提供することが可能となる。
【0034】
<変形例>
(1)実施形態では、ジブ側連結部63がフック固定部材50を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ブーム側連結部62や延長ジブEJが、フック固定部材50を備える構成としてもよい。また、ブーム側連結部62と、ジブ側連結部63と、延長ジブEJの全てが、フック固定部材50を備える構成としてもよい。
なお、ブーム側連結部62や延長ジブEJが、フック固定部材50を備える構成とした場合、フック固定部材50が、ブーム側連結部62や延長ジブEJのうち、格納姿勢で下方を向く面に配置されている構成としてもよい。
【0035】
(2)実施形態では、延長ジブEJがソケット固定部材40を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ブーム側連結部62やジブ側連結部63が、ソケット固定部材40を備える構成としてもよい。また、ブーム側連結部62と、ジブ側連結部63と、延長ジブEJの全てが、ソケット固定部材40を備える構成としてもよい。
なお、ブーム側連結部62やジブ側連結部63が、ソケット固定部材40を備える構成とした場合、ソケット固定部材40が、ブーム側連結部62やジブ側連結部63のうち、格納姿勢で下方を向く面に配置されている構成としてもよい。
【0036】
(3)
実施形態では、ブーム装置6の構成を、フック固定部材50とソケット固定部材40を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ブーム装置6の構成を、フック固定部材50のみ又はソケット固定部材40のみを備える構成としてもよい。
【0037】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることが可能である。
(1)
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、
前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部と前記ジブ側連結部は、前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを連結し、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープに取り付けられ、且つ前記フック本体部を接続可能なワイヤソケットと、を含み、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記フックを取り付け可能なフック固定部材を備え、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記ワイヤソケットを取り付け可能なソケット固定部材を備えるブーム装置。
【0038】
(2)
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、
前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部と前記ジブ側連結部は、前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを連結し、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記フックを取り付け可能なフック固定部材を備えるブーム装置。
(3)
前記フック固定部材が、前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つのうち、前記格納姿勢で下方を向く面に配置されている前記(1)又は(2)に記載したブーム装置。
【0039】
(4)
クレーン用のブームと、
前記ブームの先端に配置される延長ジブと、
前記ブームの先端に取り付けられるブーム側連結部と、
前記延長ジブの基端に取り付けられるジブ側連結部と、
前記ブームと前記延長ジブとを貫通して延長ジブの先端から突出する一つのワイヤロープに取り付けられるフックと、を備え、
前記ブーム側連結部と前記ジブ側連結部は、前記延長ジブの姿勢が、平面視又は側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である格納姿勢と、前記延長ジブが前記ブームの先端側に配置された姿勢である作業姿勢と、に変化することが可能な状態で、前記ブームと前記延長ジブとを連結し、
前記フックは、荷役の対象物を保持するフック本体部と、前記ワイヤロープに取り付けられ、且つ前記フック本体部を接続可能なワイヤソケットと、を含み、
前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つは、前記格納姿勢で前記ワイヤロープに取り付けられた前記ワイヤソケットを取り付け可能なソケット固定部材を備えるブーム装置。
【0040】
(5)
前記ソケット固定部材が、前記ブーム側連結部、前記ジブ側連結部及び前記延長ジブのうち少なくとも一つのうち、前記格納姿勢で下方を向く面に配置されている前記(1)又は(4)に記載したブーム装置。
(6)
前記格納姿勢は、前記延長ジブの姿勢が、側面視で前記延長ジブが前記ブームに重なった姿勢である前記(1)~(5)のいずれかに記載したブーム装置。
(7)
前記(1)~(6)のいずれかに記載したブーム装置を備えるクレーン。
【符号の説明】
【0041】
1 クレーン
2 走行部
4 機台フレーム
6 ブーム装置
61 ブーム
62 ブーム側連結部
63 ジブ側連結部
64 連結軸
8 アウトリガ装置
10 フック
11 フック本体部
11a 本体側ピン挿入部
11b 本体側孔部
12 ワイヤソケット
12a 筒部
12b ソケット側ピン挿入部
12c ソケット側孔部
20 連結ピン
30 ワイヤクランプ
40 ソケット固定部材
41 固定部材側孔部
50 フック固定部材
EJ 延長ジブ
W ワイヤロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9