(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061485
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】濾過膜ユニット
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20240425BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20240425BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240425BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D63/08
B01D63/00 510
B01D65/02 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169461
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】白▲柳▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】林 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】国分 那忠
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA48
4D006HA93
4D006JA06A
4D006JA06C
4D006JA08A
4D006JA08C
4D006JA18A
4D006JA19A
4D006JA30A
4D006JA30C
4D006JA31A
4D006KA43
4D006KC02
4D006KC14
4D006MA03
4D006MC22
4D006MC27
4D006MC29
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63
4D006PA01
4D006PB02
(57)【要約】
【課題】部品点数を増加させることなく隣接する膜モジュールの濾過膜を確実に所定寸法離間させることができる濾過膜ユニットを提供する。
【解決手段】一対のシート状部材から成るとともに、当該一対のシート状部材の間に間隙部Sが形成され、被浄化水を濾過して得られた浄化水を間隙部Sに導入する濾過膜(3a、3b)と、一対の前記濾過膜(3a、3b)を対向させて保持する第1保持部4及び第2保持部5と、間隙部Sに導入された浄化水を吸引して外部に導出するノズル部6とを有する膜モジュール2が複数積層して配設された濾過膜ユニット1であって、第1保持部4及び第2保持部5は、膜モジュール2が積層した状態で重なり合い、隣接する膜モジュール2の濾過膜(3a、3b)を所定寸法離間させるものである。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被浄化水に含まれる不純物を捕捉して濾過可能な一対のシート状部材から成るとともに、当該一対のシート状部材の間に間隙部が形成され、前記被浄化水を濾過して得られた浄化水を前記間隙部に導入する濾過膜と、
一対の前記濾過膜を対向させて保持する保持部と、
前記間隙部に導入された前記浄化水を吸引して外部に導出するノズル部と、
を有する膜モジュールが複数積層して配設された濾過膜ユニットであって、
前記保持部は、前記膜モジュールが積層した状態で重なり合い、隣接する前記膜モジュールの前記濾過膜を所定寸法離間させることを特徴とする濾過膜ユニット。
【請求項2】
前記ノズル部は、前記間隙部の前記浄化水を吸引する吸引口と、前記吸引口から吸引された前記浄化水を前記膜モジュールの外部に導出する導出口とを具備するとともに、前記吸引口及び導出口が前記保持部に形成されたことを特徴とする請求項1記載の濾過膜ユニット。
【請求項3】
前記保持部は、前記濾過膜の側縁に亘って形成された長尺状部材から成り、その長手方向に前記吸引口が延設されたことを特徴とする請求項2記載の濾過膜ユニット。
【請求項4】
前記保持部は、隣接する前記膜モジュールの保持部と重なり合う部位の幅寸法が前記濾過膜の離間寸法に応じて設定されたことを特徴とする請求項1記載の濾過膜ユニット。
【請求項5】
前記膜モジュールは、前記間隙部に多孔質部材が収容されたことを特徴とする請求項1記載の濾過膜ユニット。
【請求項6】
前記膜モジュールに向かって気泡を噴出する気泡噴出部を具備したことを特徴とする請求項1記載の濾過膜ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過膜及びノズル部を有する膜モジュールが複数積層して配設された濾過膜ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚泥を濾過して浄化水を得る浄化技術として、膜分離活性汚泥法(MBR)と称される膜モジュールを有した濾過膜ユニットが挙げられる。従来の濾過膜ユニットで用いられる膜モジュール(特に、平膜型モジュール)は、例えば特許文献1に開示されているように、対向配置されたシート状の濾過膜と、濾過膜の間に介装された支持体と、濾過膜の所定部位に形成されたノズル部とを具備し、濾過膜にて濾過された浄化水がノズル部にて吸引されて外部に導出されるよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2014/010554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の膜モジュールは、複数積層して配設したとき、隣接する膜モジュールの濾過膜が近接又は密着してしまうと、十分な量の被浄化水を濾過することができないため、隣接する膜モジュールの濾過膜を所定寸法離間させるためにスペーサ等の介在物や介在機構が必要となってしまい、部品点数の増加や組付け性の悪化により製造コストが嵩んでしまうという不具合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、部品点数を増加させることなく隣接する膜モジュールの濾過膜を確実に所定寸法離間させることができる濾過膜ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、被浄化水に含まれる不純物を捕捉して濾過可能な一対のシート状部材から成るとともに、当該一対のシート状部材の間に間隙部が形成され、前記被浄化水を濾過して得られた浄化水を前記間隙部に導入する濾過膜と、一対の前記濾過膜を対向させて保持する保持部と、前記間隙部に導入された前記浄化水を吸引して外部に導出するノズル部と、を有する膜モジュールが複数積層して配設された濾過膜ユニットであって、前記保持部は、前記膜モジュールが積層した状態で重なり合い、隣接する前記膜モジュールの前記濾過膜を所定寸法離間させることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の濾過膜ユニットにおいて、前記ノズル部は、前記間隙部の前記浄化水を吸引する吸引口と、前記吸引口から吸引された前記浄化水を前記膜モジュールの外部に導出する導出口とを具備するとともに、前記吸引口及び導出口が前記保持部に形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の濾過膜ユニットにおいて、前記保持部は、前記濾過膜の側縁に亘って形成された長尺状部材から成り、その長手方向に前記吸引口が延設されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の濾過膜ユニットにおいて、前記保持部は、隣接する前記膜モジュールの保持部と重なり合う部位の幅寸法が前記濾過膜の離間寸法に応じて設定されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の濾過膜ユニットにおいて、前記膜モジュールは、前記間隙部に多孔質部材が収容されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の濾過膜ユニットにおいて、前記膜モジュールに向かって気泡を噴出する気泡噴出部を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、保持部は、膜モジュールが積層した状態で重なり合い、隣接する膜モジュールの濾過膜を所定寸法離間させるので、スペーサ等の介在物や介在機構を不要とすることができ、部品点数を増加させることなく隣接する膜モジュールの濾過膜を確実に所定寸法離間させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、ノズル部は、間隙部の浄化水を吸引する吸引口と、吸引口から吸引された浄化水を膜モジュールの外部に導出する導出口とを具備するとともに、吸引口及び導出口が保持部に形成されたので、保持部を利用してノズル部を形成することができ、ノズル部の吸引口及び導出口の形成を容易に行わせることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、保持部は、濾過膜の側縁に亘って形成された長尺状部材から成り、その長手方向に吸引口が延設されたので、保持部に形成された吸引口の長手方向の寸法を大きく設定することができ、ファウリングの抑制効果をより向上させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、保持部は、隣接する膜モジュールの保持部と重なり合う部位の幅寸法が濾過膜の離間寸法に応じて設定されたので、隣接する膜モジュールにおける濾過膜の離間寸法を保持部の重なり合う部位における幅寸法を変更することによって任意に調整することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、膜モジュールは、間隙部に多孔質部材が収容されたので、間隙部を所望の離間寸法に確保することができるとともに、間隙部に浄化水を良好に導入することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、膜モジュールに向かって気泡を噴出する気泡噴出部を具備したので、濾過膜に付着した汚泥物質を気泡を噴出させることによって容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る濾過膜ユニットを示す外観斜視図
【
図2】同濾過膜ユニットの下部及び背面側を示す外観斜視図
【
図3】同濾過膜ユニットの積層ユニットを示す3面図
【
図4】同積層ユニットを構成する膜モジュールを示す3面図
【
図5】同膜モジュールのノズル部(導出口)を示す斜視図
【
図6】同膜モジュールにおいてノズル(吸引口及び導出口)が形成された保持部(第1保持部)を示す斜視図
【
図7】同膜モジュールにおける断面を示す模式図であって、(a)
図4のA―A線断面、(b)
図4のB―B線断面図
【
図8】同積層ユニットの積層構造を示す断面模式図(
図3のC-C線断面図)
【
図10】本発明の他の実施形態に係る膜モジュールを示す外観図
【
図11】本発明の他の実施形態に係る膜モジュールを示す外観図
【
図12】本発明の他の実施形態に係る膜モジュールの保持部を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る濾過膜ユニット1は、汚泥を含む被浄化水が収容された浄化槽に設置されて被浄化水を濾過して浄化し得るもので、
図1~8に示すように、箱状のフレームFの内部に複数の積層ユニットMを具備して構成されるとともに、各積層ユニットMは、
図3、9に示すように、複数の膜モジュール2を積層して一体化されている。
【0020】
膜モジュール2は、濾過膜(3a、3b)と、第1保持部4及び第2保持部5と、ノズル部6とを有している。濾過膜(3a、3b)は、被浄化水に含まれる汚泥物質等の不純物を捕捉して濾過可能な一対のシート状部材から成り、
図4に示すように、平面視で矩形状に形成されるとともに、対向する一対の側縁がそれぞれ第1保持部4及び第2保持部5にて保持されている。
【0021】
かかる濾過膜(3a、3b)は、例えば化学繊維を有する構造体(例えばポリプロピレン、アクリル、アラミド樹脂又はポリエチレンテレフタレート)から成り、具体的な材質として、ポリスルホン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート(CA)等が挙げられる。
【0022】
本実施形態に係る濾過膜(3a、3b)は、一対のシート状部材の間に間隙部Sが形成され、被浄化水を濾過して得られた浄化水を間隙部Sに導入するようになっている。すなわち、濾過膜3aと濾過膜3bとが所定寸法離間しつつ対向配置され、これら濾過膜3aと濾過膜3bとの間に間隙部Sが形成されることにより、被浄化水が濾過膜(3a、3b)のそれぞれを通過して間隙部Sに至る過程で濾過され、間隙部Sに浄化水が導入されるのである。
【0023】
また、濾過膜(3a、3b)の間隙部Sには、多孔質部材Wが収容されており、負圧が作用しても間隙部Sが維持されるようになっている。かかる多孔質部材Wの材質として、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が挙げられる。なお、多孔質部材Wに代えて又は共に、メッシュ部材を間隙部Sに収容させてもよい。
【0024】
第1保持部4及び第2保持部5は、
図4に示すように、一対の濾過膜(3a、3b)を対向させて保持する長尺状部材から成り、濾過膜(3a、3b)の縁部を溶着する溶着面Dが形成されている。すなわち、
図7に示すように、濾過膜(3a、3b)は、それぞれの両側縁部が第1保持部4及び第2保持部5の溶着面Dに超音波溶着や熱板溶着等にて溶着(又は接着であってもよい)されて支持されており、その間に間隙部Sが形成されるようになっている。
【0025】
しかるに、
図4に示すように、第1保持部4は、その溶着面Dに濾過膜(3a、3b)の一方側縁部(同図中左側側縁部)をそれぞれ支持するとともに、第2保持部5は、その溶着面Dに濾過膜(3a、3b)の一方側縁部(同図中左側側縁部)をそれぞれ支持することにより、濾過膜(3a、3b)を対向状態で支持しているのである。なお、濾過膜(3a、3b)の上部及び下部の縁部は、互いに超音波溶着や熱板溶着等にて溶着(又は接着であってもよい)されることにより封止されている。
【0026】
なお、第1保持部4及び第2保持部5の材質として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ABS,ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0027】
ノズル部6は、間隙部Sに導入された浄化水を吸引して外部に導出するもので、本実施形態にいては、第1保持部4に形成された吸引口6a及び導出口6bで構成されている。吸引口6aは、
図6、7に示すように、濾過膜(3a、3b)の縁部(側縁部)に沿って間隙部Sを臨ませつつ開口して間隙部Sの浄化水を吸引可能な長溝から成り、第1保持部4の側面(内側の面)において長手方向に沿って形成されている。
【0028】
また、導出口6bは、吸引口6aの一部(本実施形態においては、濾過膜(3a、3b)に対して上部の位置)に連結されるとともに、
図5に示すように、膜モジュール2の側方に向かって突出形成されており、吸引口6aから吸引された浄化水を膜モジュール2の外部に導出するよう構成されている。かかる導出口6bは、フレームFに取り付けられた吸入管部7(
図2参照)に接続されており、吸入管部7に接続された負圧発生器(不図示)で負圧を発生させると、吸入管部7を介して間隙部Sに負圧が生じるようになっている。
【0029】
このように、間隙部Sに負圧を生じさせることにより、被浄化水が濾過膜(3a、3b)の間隙部Sに向かって吸引され、濾過膜(3a、3b)を通過する過程で濾過された浄化水が間隙部Sに導入されるとともに、その導入された浄化水がノズル部6を経て外部に導出された後、吸入管部7を介して濾過膜ユニット1の外部(浄化槽外部に設置された浄化水収容タンク等)に収容されるよう構成されている。
【0030】
そして、
図3に示すように、複数の膜モジュール2を積層して一体化することにより、積層ユニットMを得ることができる。積層ユニットMは、
図8、9に示すように、複数の膜モジュール2が積層して隣接する膜モジュール2の第1保持部4及び第2保持部5を重なり合わせ、両端に金属板Hを積層させた後、金属製のシャフトLを挿通して抜け止めすることにより一体化されるようになっている。
【0031】
ここで、本実施形態に係る保持部(第1保持部4及び第2保持部5)は、膜モジュール2が積層した状態で重なり合い、隣接する膜モジュール2の濾過膜(3a、3b)を所定寸法離間させるよう構成されている。すなわち、本実施形態においては、積層ユニットMを構成するため、膜モジュール2を積層させると、隣接する膜モジュール2の第1保持部4及び第2保持部5が重なり合うことにより、隣接する膜モジュール2の濾過膜(3a、3b)を所定寸法離間させるよう構成されている。
【0032】
具体的には、本実施形態に係る膜モジュール2の第1保持部4及び第2保持部5は、
図8に示すように、隣接する膜モジュール2の第1保持部4及び第2保持部5と重なり合う部位(端部の幅広部)の幅寸法tが濾過膜(3a、3b)の離間寸法u(膜間寸法)に応じて設定されているのである。したがって、複数の膜モジュール2を積層して積層ユニットMを構成すると、隣接する膜モジュール2の第1保持部4及び第2保持部5が重なり合って離間寸法u(膜間寸法)となるよう位置決めされることとなる。
【0033】
また、本実施形態に係る積層ユニットMは、
図3に示すように、隣接する膜モジュール2におけるノズル部6の導出口6bが上下方向にずれた位置(オフセットした位置)で突出形成されている。これにより、導出口6bを所定の大きさとすることができ、間隙部Sから導出される浄化水の流量を十分に確保することができるとともに、隣接した導出口6bが互いに干渉してしまうのを回避することができる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る吸引口6aは、
図6に示すように、濾過膜(3a、3b)の縁部に沿って間隙部Sを臨ませつつ開口して間隙部Sの浄化水を吸引可能な長溝から成るので、濾過膜(3a、3b)の側辺全域に亘って間隙部Sの浄化水を吸引することができ(
図4中矢印参照)、吸引される浄化水の流速が局所的に高くなってしまうのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る濾過膜ユニット1は、
図1、2に示すように、積層ユニットMの配設部位より下部において気泡噴出部8が取り付けられている。かかる気泡噴出部8は、供給された空気を流通させつつ複数の気泡孔から気泡を噴出可能な流通管から成り、膜モジュール2に向かって気泡を噴出することにより、濾過膜(3a、3b)に付着した汚泥物質を除去し得るようになっている。
【0036】
本実施形態に係る濾過膜ユニット1によれば、保持部(第1保持部4及び第2保持部5)は、膜モジュール2が積層した状態で重なり合い、隣接する膜モジュール2の濾過膜(3a、3b)を所定寸法離間させるので、スペーサ等の介在物や介在機構を不要とすることができ、部品点数を増加させることなく隣接する膜モジュール2の濾過膜(3a、3b)を確実に所定寸法離間させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係るノズル部6は、間隙部Sの浄化水を吸引する吸引口6aと、吸引口6aから吸引された浄化水を膜モジュール2の外部に導出する導出口6bとを具備するとともに、吸引口6a及び導出口6bが第1保持部4に形成されたので、第1保持部4を利用してノズル部6を形成することができ、ノズル部6の吸引口6a及び導出口6bの形成を容易に行わせることができる。
【0038】
さらに、本実施形態に係る保持部(第1保持部4)は、濾過膜(3a、3b)の側縁に亘って形成された長尺状部材から成り、その長手方向に吸引口6aが延設されたので、保持部(第1保持部4)に形成された吸引口6aの長手方向の寸法を大きく設定することができ、ファウリングの抑制効果をより向上させることができる。またさらに、本実施形態に係る保持部(第1保持部4及び第2保持部5)は、隣接する膜モジュール2の保持部(第1保持部4及び第2保持部5)と重なり合う部位の幅寸法tが濾過膜(3a、3b)の離間寸法uに応じて設定されたので、隣接する膜モジュール2における濾過膜(3a、3b)の離間寸法uを保持部(第1保持部4及び第2保持部5)の重なり合う部位における幅寸法tを変更することによって任意に調整することができる。
【0039】
加えて、本実施形態に係る膜モジュール2は、間隙部Sに多孔質部材Wが収容されたので、間隙部Sを所望の離間寸法に確保することができるとともに、間隙部Sに浄化水を良好に導入することができる。また、本実施形態に係る濾過膜ユニット1は、膜モジュール2に向かって気泡を噴出する気泡噴出部8を具備したので、濾過膜(3a、3b)に付着した汚泥物質を気泡を噴出させることによって容易に除去することができる。
【0040】
しかるに、ノズル部6は、濾過膜(3a、3b)の縁部に沿って間隙部Sを臨ませつつ開口して間隙部Sの浄化水を吸引可能な長溝から成る吸引口6aと、吸引口6aから吸引された浄化水を膜モジュール2の外部に導出する導出口6bとを具備したので、濾過膜(3a、3b)の所定部位に集中してファウリングが発生してしまうのを防止して浄化作用を向上することができるとともに、洗浄頻度を低下させて稼働時間を延ばすことができる。
【0041】
また、本実施形態に係るノズル部6は、一対の濾過膜(3a、3b)を対向させて保持する保持部(第1保持部4)に形成されたので、第1保持部4を利用してノズル部6を形成することができ、ノズル部6の吸引口6a及び導出口6bの形成を容易に行わせることができる。さらに、本実施形態に係る濾過膜(3a、3b)は、平面視で矩形状に形成されるとともに、対向する一対の側縁がそれぞれ保持部(第1保持部4及び第2保持部)にて保持されたので、第1保持部4に形成された吸引口6aの長手方向の寸法を大きく設定することができ、ファウリングの抑制効果をより向上させることができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図10に示すように、第1保持部4及び第2保持部5の両方にノズル部6(吸引口6a及び導出口6b)を形成するようにしてもよく、
図11に示すように、第1保持部4(又は第2保持部5)の中央位置にノズル部6の導出口6bを形成するようにしてもよい。また、
図12に示すように、隣接する膜モジュール2の第1保持部4及び第2保持部5と重なり合う部位(端部の幅広部)の幅寸法tが他の部位と異なるもの(同図においては幅寸法tが他の部位より小さい)であってもよく、この場合、濾過膜(3a、3b)の離間寸法u(膜間寸法)をより大きく設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
膜モジュールが積層した状態で重なり合い、隣接する膜モジュールの濾過膜を所定寸法離間させる保持部を具備した濾過膜ユニットであれば、他の形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 濾過膜ユニット
2 膜モジュール
3a、3b 濾過膜
4 第1保持部
5 第2保持部
6 ノズル部
6a 吸引口
6b 導出口
7 吸入管部
8 気泡噴出部
M 積層ユニット
S 間隙部
W 多孔質部材
F フレーム
D 溶着面