(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061490
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/36 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
E06B9/36 A
E06B9/36 E
E06B9/36 F
E06B9/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169469
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡芳
(57)【要約】
【課題】遮蔽状態を柔軟に変化させることができる遮蔽装置を提供する。
【解決手段】縦型ブラインド100は、ヘッドレール110と、ヘッドレール110内に配列される複数のキャリア120と、複数のキャリア120の各々から回転可能に垂下するキャリア軸121と、1つのキャリア軸121に吊り下げられる第1ルーバー130及び第2ルーバー140と、を備え、キャリア軸121の回転によって、第1ルーバー130及び第2ルーバー140が一体回転可能な一体回転状態と、第2ルーバー140の回転が規制されて第1ルーバー130のみが回転可能な相対回転状態と、に遷移することを特徴とする。かかる構成によれば、遮蔽状態を柔軟に変化させることができる遮蔽装置を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレールと、
前記ヘッドレール内に配列される複数のキャリアと、
複数の前記キャリアの各々から回転可能に垂下する軸部と、
1つの前記軸部に吊り下げられる第1ルーバー及び第2ルーバーと、
を備え、
前記第1ルーバー及び前記第2ルーバーは、前記軸部の回転によって、一体回転可能な一体回転状態、又は、前記第2ルーバーの回転が規制されて前記第1ルーバーのみが回転可能となる相対回転状態になることを特徴とする、遮蔽装置。
【請求項2】
前記第2ルーバーの回転角度が所定の範囲内である場合には、前記第1ルーバー及び前記第2ルーバーが一体回転状態となり、該一体回転状態において前記第2ルーバーの回転角度が所定の範囲を超えようとする場合には、前記第2ルーバーの回転が規制されて前記第1ルーバーのみが回転可能な相対回転状態となることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記軸部に一体回転可能に吊り下げられ、前記第1ルーバーを保持可能な第1ルーバーフックと、
前記軸部に相対回転可能に吊り下げられ、前記第2ルーバーを保持可能な第2ルーバーフックと、
を更に備え、
前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックは、互いに交差した状態で吊り下げられ、
前記第1ルーバー及び前記第2ルーバーを交差させた状態で保持可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックは、互いに連結する連結機構を備えており、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックが連結すると前記一体回転状態となり、連結が解除すると前記相対回転状態となることを特徴とする、請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記連結機構は、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックに設けられる磁石又は磁性体であり、前記磁石又は前記磁性体の磁力により互いに吸着すると前記一体回転状態となり、吸着が解除すると前記相対回転状態となることを特徴とする、請求項4に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記第1ルーバーフック又は前記第2ルーバーフックの少なくともいずれか一方には、前記軸部を回転軸心とする回転壁部が形成され、前記磁石又は前記磁性体は前記回転壁部に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックは、前記磁力による吸着により、互いのなす角度が略直交又は略平行に保持された状態で一体回転可能であることを特徴とする、請求項5に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記第2ルーバーフックは、前記ヘッドレール又は前記キャリアの一部に当接して回転を規制する回転規制部を有することを特徴とする、請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記第2ルーバーフックは、回転角度に応じて前記ヘッドレールの溝部に当接することで前記回転角度が所定の範囲を超えることを規制する前記回転規制部と、前記ヘッドレールの溝部に当接しない回転壁部と、を備えた中心部を有することを特徴とする、請求項8に記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックのうち少なくとも何れか一方は、隣接するキャリアから吊り下げられる第1ルーバーフック又は第2ルーバーフックと端部同士が当接可能な長さに構成されたことを特徴とする、請求項3に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遮蔽装置としては、特公平1-57227号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に示される遮蔽装置は、上下端面に回転軸が設けられた不透明な遮光羽板材と、遮光羽板材の表裏両面に設けられた溝状の係合部に係合可能な被係合部を有し、被係合部が係合部に係合されることで遮光羽板材に直交するように取り付けられる透明又は半透明な採光羽板材とを備えている。
【0003】
これによれば、十字状に構成された遮光羽板材及び採光羽板材を一体回転させることで、遮光及び採光の調整を行うことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の遮蔽装置では、ルーバーとしての遮光羽板材及び採光羽板材が常に十字状のまま回転する構成であるため、遮蔽状態を柔軟に変化させることができないという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、遮蔽状態を柔軟に変化させることができる遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、ヘッドレールと、前記ヘッドレール内に配列される複数のキャリアと、複数の前記キャリアの各々から回転可能に垂下する軸部と、1つの前記軸部に吊り下げられる第1ルーバー及び第2ルーバーと、を備え、前記第1ルーバー及び前記第2ルーバーは、前記軸部の回転によって、一体回転可能な一体回転状態、又は、前記第2ルーバーの回転が規制されて前記第1ルーバーのみが回転可能となる相対回転状態になることを特徴とする、遮蔽装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、軸部の回転によって、第1ルーバー及び第2ルーバーを一体回転させたり、第1ルーバーのみを回転させたりすることが可能となるため、遮蔽状態を柔軟に変化させることができる。
【0009】
また、本発明の応用例として様々なものが考えられる。例えば、前記第2ルーバーの回転角度が所定の範囲内である場合には、前記第1ルーバー及び前記第2ルーバーが一体回転状態となり、該一体回転状態において前記第2ルーバーの回転角度が所定の範囲を超えようとする場合には、前記第2ルーバーの回転が規制されて前記第1ルーバーのみが回転可能な相対回転状態となるようにしてもよい。かかる構成によれば、第2ルーバーの回転角度に応じて、第1ルーバー及び第2ルーバーを一体回転させたり、第1ルーバーのみを回転させたりすることが可能となるため、遮蔽状態を柔軟に変化させることができる。
【0010】
また、前記軸部に一体回転可能に吊り下げられ、前記第1ルーバーを保持可能な第1ルーバーフックと、前記軸部に相対回転可能に吊り下げられ、前記第2ルーバーを保持可能な第2ルーバーフックと、を更に備え、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックは、互いに交差した状態で吊り下げられ、前記第1ルーバー及び前記第2ルーバーを交差させた状態で保持可能であってもよい。かかる構成によれば、異なるルーバーを交差させた状態でキャリアに吊り下げることができる。
【0011】
また、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックは、互いに連結する連結機構を備えており、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックが連結すると前記一体回転状態となり、連結が解除すると前記相対回転状態となるようにしてもよい。かかる構成によれば、連結機構によって第1ルーバー及び第2ルーバーを一体回転状態と相対回転状態にすることができる。
【0012】
また、前記連結機構は、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックに設けられる磁石又は磁性体であり、前記磁石又は前記磁性体の磁力により互いに吸着すると前記一体回転状態となり、吸着が解除すると前記相対回転状態となるようにしてもよい。かかる構成によれば、磁石と磁性体という簡易な構造で第1ルーバー及び第2ルーバーを一体回転状態と相対回転状態にすることができる。
【0013】
また、前記第1ルーバーフック又は前記第2ルーバーフックの少なくともいずれか一方には、前記軸部を回転軸心とする回転壁部が形成され、前記磁石又は前記磁性体は前記回転壁部に配置されるようにしてもよい。かかる構成によれば、軸部の回転によって回転壁部が回転することにより、磁石と磁性体を接近させて吸着させたり離間させて吸着を解除させたりすることができる。
【0014】
また、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックは、前記磁力による吸着により、互いのなす角度が略直交又は略平行に保持された状態で一体回転可能であるようにしてもよい。かかる構成によれば、磁力による吸着により、一体回転状態における第1ルーバーフック及び第2ルーバーフックのなす角度を容易に変更することができる。
【0015】
また、前記第2ルーバーフックは、前記ヘッドレール又は前記キャリアの一部に当接して回転を規制する回転規制部を有するようにしてもよい。かかる構成によれば、簡易な構造で第2ルーバーの回転角度を規制することができる。
【0016】
また、前記第2ルーバーフックは、回転角度に応じて前記ヘッドレールの溝部に当接することで前記回転角度が所定の範囲を超えることを規制する前記回転規制部と、前記ヘッドレールの溝部に当接しない回転壁部と、を備えた中心部を有するようにしてもよい。かかる構成によれば、第2ルーバーの回転と回転の規制とが簡易な構造で実現される。
【0017】
また、前記第1ルーバーフック及び前記第2ルーバーフックのうち少なくとも何れか一方は、隣接するキャリアから吊り下げられる第1ルーバーフック又は第2ルーバーフックと端部同士が当接可能な長さに構成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、遮蔽状態において、隣接するキャリアから吊り下げられるルーバー間に隙間ができてしまうこと防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遮蔽装置において、遮蔽状態を柔軟に変化させることができることが可能である。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の縦型ブラインド100(遮蔽装置)の全体構成を示す正面図である。
【
図2】縦型ブラインド100の正面図であり、(a)は第1ルーバー130及び第2ルーバー140を共に開いた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて、第2ルーバー140を開いた状態を示す。
【
図3】縦型ブラインド100の側面図であり、(a)は第1ルーバー130を開いて、第2ルーバー140を閉じた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて、第2ルーバー140を開いた状態を示す。
【
図4】キャリア120と第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141を説明するための図であり、(a)は分解斜視図であり、(b)は組立図である。
【
図5】ヘッドレール110内の断面図であり、(a)は第1ルーバー130を開いて、第2ルーバー140を閉じた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて第2ルーバー140を開いた状態を示す。
【
図6】連結機構の作用を説明するための図であり、(a)は第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141が一体回転状態となった水平断面図であり、(b)は第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141が相対回転状態となった水平断面図である。
【
図7】第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作を説明するための図であり、(a)は第1ルーバー130及び第2ルーバー140を閉じた状態を示し、(b)は第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141が時計回りに回転している状態を示す。
【
図8】第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作を説明するための図であり、(a)は第1ルーバー130及び第2ルーバー140を開いた状態を示し、(b)は第1ルーバーフック131のみが時計回りに回転している状態を示す。
【
図9】第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作を説明するための図であり、(a)は第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141が反時計回りに回転している状態を示し、(b)は第1ルーバーフック131のみが反時計回りに回転している状態を示す。
【
図10】隣り合うキャリア120から吊り下げられた第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作を説明するための図であり、(a)は第1ルーバー130及び第2ルーバー140を閉じた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて、第2ルーバー140を開いた状態を示し、(c)は第1ルーバー130を開いて、第2ルーバー140を閉じた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
本実施形態に係る縦型ブラインド100(遮蔽装置)の全体構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の縦型ブラインド100の全体構成を示す正面図である。
図2は、縦型ブラインド100の正面図であり、(a)は第1ルーバー130及び第2ルーバー140を共に開いた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて、第2ルーバー140を開いた状態を示す。
図3は、縦型ブラインド100の側面図であり、(a)は第1ルーバー130を開いて、第2ルーバー140を閉じた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて、第2ルーバー140を開いた状態を示す。
【0022】
縦型ブラインド100は、
図1及び
図2に示したように、ヘッドレール110と、ヘッドレール110内を長手方向に移動可能な複数のキャリア120と、複数のキャリア120の各々から回転可能に垂下するキャリア軸121(軸部)(
図4参照)と、1つのキャリア軸121に吊り下げられる第1ルーバー130及び第2ルーバー140と、を備える。第1ルーバー130及び第2ルーバー140は、キャリア軸121の回転によって、一体回転可能な一体回転状態と、第2ルーバー140の回転が規制されて第1ルーバー130のみが回転可能となる相対回転状態とになるように構成されている。
【0023】
縦型ブラインド100は、第1ルーバー130と第2ルーバー140とが、
図1に示したように、共に閉じている略平行の状態、又は、
図2(a)に示したように、共に開いている略平行の状態、
図2(b)及び
図3(b)に示したように、第1ルーバー130が閉じて、第2ルーバー140が開いている状態、又は
図3(a)に示したように、その逆の状態である略直交の状態から第2ルーバー140が所定角度(約90度)回転しているときは、一体回転状態となる。そして、第2ルーバー140がそれ以上回転しようとすると回転が規制され、第1ルーバー130のみが回転可能となる相対回転状態となる。以下、各構成要素について説明する。
【0024】
(ヘッドレール110)
ヘッドレール110は、複数のキャリア120を長手方向に移動可能に支持するものである。ヘッドレール110は、
図1に示したように、ブラケット111によって、窓枠などに取り付けられる。ヘッドレール110内には、
図1に示したように、長手方向に移動可能に複数のキャリア120が配列されている。複数のキャリア120には、ヘッドレール110の長手方向に延びる駆動軸112が駆動力を伝達可能に挿通している。駆動軸112は、ヘッドレール110の一端に設けられる操作棒113によって回転操作可能である。
【0025】
また、ヘッドレール110の一端には、
図1に示したように、第1ルーバー130及び第2ルーバー140の展開及び畳込みを操作するための開閉用コード114が吊り下げられている。開閉用コード114は、ループ状に構成されており、ヘッドレール110の長手方向ほぼ全長にわたって各キャリア120を挿通しながら配回されている。開閉用コード114が、ヘッドレール110の長手方向に移動することによって、各キャリア120が開閉用コード114の移動に応じてヘッドレール110の幅方向に移動する。これによって、第1ルーバー130と第2ルーバー140が展開及び畳込みされて開閉する。
【0026】
(キャリア120)
キャリア120は、第1ルーバー130及び第2ルーバー140を吊り下げるものである。キャリア120について、
図1~
図3に加え、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4は、キャリア120と第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141を説明するための図であり、(a)は分解斜視図であり、(b)は組立図である。
図5は、ヘッドレール110内の断面図であり、(a)は第1ルーバー130を開いて、第2ルーバー140を閉じた状態を示し、(b)は第1ルーバー130を閉じて第2ルーバー140を開いた状態を示す。
【0027】
キャリア120は、
図4に示したように、キャリア軸121(軸部)を回転可能に垂下している。キャリア軸121は、円柱部121aと円柱部の下端に位置する方形部121bを備える。円柱部121aには、
図5に示したように、第2ルーバー140を保持可能な第2ルーバーフック141が配置される。また、第2ルーバーフック141の下方には、止め輪122が配置される。さらに、方形部121bには、第1ルーバーフック131が一体に回転するように嵌め合わされる。
【0028】
キャリア120には、
図5に示したように、駆動軸112の溝に係合するウォーム123及びウォーム123と噛み合うウォームホイール124からなる回転伝達機構が内設されている。ウォームホイール124の下部にはウォームホイール124と一体的に鉛直軸の周りに回転可能なキャリア軸121がマサツスプリング125を介して連結されてキャリア120から下方に突出している。
【0029】
キャリア120は、
図5に示したように、その幅方向の左右に貫通孔126-1、126-2がそれぞれ形成され、貫通孔126-1、126-2を開閉用コード114が貫通している。キャリア120と開閉用コード114との組付けは、一般的な縦型ブラインドと同様とすることができるため、説明を省略する。
【0030】
各キャリア120は、
図5に示したように、間隔保持部材であるスペーサリンク127によって決まる所定間隔を最大間隔として離間又は接近可能に連結されている。スペーサリンク127の構成及び作用は、一般的な縦型ブラインドと同様とすることができるため、説明を省略する。
【0031】
(第1ルーバー130、第2ルーバー140)
第1ルーバー130、第2ルーバー140は、開口部を開放又は閉鎖するものである。第1ルーバー130及び第2ルーバー140は、
図1に示したように、1つのキャリア軸121に吊り下げられる。キャリア軸121の回転によって、第1ルーバー130及び第2ルーバー140が一体回転可能な一体回転状態と、第2ルーバー140の回転が規制されて第1ルーバー130のみが回転可能となる相対回転状態と、の間を遷移する。第1ルーバー130及び第2ルーバー140は、これらが略平行又は略直交の状態のとき、及びこれらの状態から第2ルーバー140が所定角度(約90度)回転する間の状態においては、一体に回転する一体回転状態となる。
【0032】
第1ルーバー130は、
図3に示したように、キャリア軸121に一体回転可能に吊り下げられる第1ルーバーフック131に保持される。また、第2ルーバー140は、キャリア軸121に回転自在に吊り下げられる第2ルーバーフック141に保持される。第2ルーバー140は、第1ルーバーの幅の略1/2または1/2以下の幅を有する一対のルーバー片140-1、140-2によって構成され、
図3に示したように、一対のルーバー片140-1、140-2は、第1ルーバー130を境とした両側において第2ルーバーフック141にそれぞれ保持されている。第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141は、
図4に示したように、止め輪122を介して互いに交差した状態でキャリア軸121に吊り下げられ、第1ルーバー130及び第2ルーバー140を交差させた状態で保持可能である。
【0033】
第1ルーバー130と第2ルーバー140は、一方を遮光性のある生地、他方を採光性のある生地にすることによって、遮光状態と採光状態とを切り替えることができる。また、色、柄などが異なる生地にすることによって、部屋の雰囲気を変えることもできる。以下、本実施形態の特徴的な構成である第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141について、詳細に説明する。
【0034】
(第1ルーバーフック131)
第1ルーバーフック131は、
図4(a)に示したように、長手方向中央部に凹状に窪んだ凹部132が形成されている。凹部132の側部は、後述する第2ルーバーフック141の回転壁部146を回転可能に収容する回転壁部を構成している。凹部132の底部には、キャリア軸121の方形部121bと嵌合する方形孔133に連通する挿通孔136が形成されている。凹部132の両側部には、磁石134(連結機構)が対面して設けられている。
【0035】
第1ルーバーフック131は、挿通孔136を挟んだ両側に第1ルーバー130を保持する第1フック部135がそれぞれ形成されている。2つの第1フック部135は同様の形状である。各第1フック部135は、全長にわたって下端が開放された溝状に形成されており、挿入された第1ルーバー130の上端を保持する。
【0036】
(第2ルーバーフック141)
第2ルーバーフック141は、
図4(a)に示したように、第2ルーバー140の一対のルーバー片140-1、140-2をそれぞれ保持する2つの第2フック部142と、2つの第2フック部142を連結する中心部143とを備える。第2ルーバーフック141は第1ルーバーフック131よりも長さが若干短く構成されている。2つの第2フック部142は、同様の形状である。2つの第2フック部142は、短手方向にオフセットして平行に配置される。2つの第2フック部142の先端は略コの字を構成するように上方に突出しており、第2フック部142からの第2ルーバー140の脱落が防止されている。
【0037】
中心部143は、
図4(a)に示したように、軸心にキャリア軸121が挿通する円形孔144が形成されている。中心部143は、回転角度に応じてヘッドレール110の溝部110a(
図7(a)参照)に当接することで、回転角度が所定の範囲を超えることを規制する直線状の回転規制部145と、ヘッドレール110の溝部110aに当接せず、キャリア軸121を回転軸心として回転可能な状態とする回転壁部146と、を有する。
【0038】
回転規制部145は、第2フック部142の長手方向に連続する直線状に構成される面と短手方向に連続する直線状に構成される面とによって構成される。1つの回転規制部145は、2つの第2フック部142の間隔の約半分の長さである。回転壁部146は、回転規制部145の端部同士を円弧状に連結する面によって構成される。回転規制部145と回転壁部146の全ての境界には、第1ルーバーフック131の磁石134に吸着可能な鉄製の磁性体147(連結機構)がそれぞれ設けられている。このように、キャリア軸部121を軸心とする円周面上に磁石134および磁性体147を配置することで連結機構を安定的に作動させ、コンパクトに収容することができる。
【0039】
第1ルーバーフック131の磁石134と第2ルーバーフック141の磁性体147とによって、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141とを連結する連結機構が構成される。連結機構の作用について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、連結機構の作用を説明するための図である。
【0040】
第1ルーバー130と第2ルーバー140が共に開いているとき、又は閉じているときは、
図6(a)に示したように、第1ルーバーフック131の第1フック部135と第2ルーバーフック141の第2フック部142とが略平行な状態になる。そして、磁石134と磁性体147が対面するため吸着し、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が一体回転状態となる。
【0041】
第2ルーバー140が開いているとき、又は閉じているときは、第2ルーバーフック141の一方向への回転が規制される。この状態で、
図6(b)の二点鎖線に示したように、第1ルーバーフック131が第2ルーバーフック141の回転が規制されている矢印aの方向(反時計回り)へ回転したときは、磁石134と磁性体147の吸着が解除されて相対回転状態となる。よって、第1ルーバーフック131のみが回転する。
【0042】
そして、第1フック部135が、
図6(b)の実線に示したように、第2フック部142と略直交した状態になると、磁石134と磁性体147が対面するため吸着する。よって、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が一体回転状態(図中時計回りの回転)となる。
【0043】
以上、本実施形態の縦型ブラインド100の構成について説明した。次に、遮蔽装置100の動作について、
図7~
図9を参照しながら説明する。
図7~
図9は、第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作を説明するための図であり、キャリア120を底面から見ている。
【0044】
第1ルーバー130と第2ルーバー140が共に閉じているときには、
図7(a)に示したように、第1ルーバーフック131の第1フック部135と第2ルーバーフック141の第2フック部142とが略平行な状態になる。このとき、第2ルーバーフック141の回転規制部145がヘッドレール110の溝部110aに当接しており、第2ルーバーフック141の反時計回りの回転を規制する。そして、第1フック部135と第2フック部142とが略平行な状態のときには、
図6(a)に示したように、磁石134と磁性体147が対面するため吸着し、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が一体回転状態となる。
【0045】
キャリア軸121を、
図7(b)の矢印bの方向(時計回り)に回転させると、第2ルーバーフック141の時計回りの回転は回転壁部146がヘッドレール110の溝部110aに沿って移動するため規制されない。よって、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が一体に回転する。
【0046】
第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141は、
図8(a)に示したように、第1フック部135と第2フック部142がヘッドレール110の長手方向と略直交する位置まで矢印b方向に回転する。そして、第2ルーバーフック141の回転規制部145が溝部110aに当接して回転が規制される。このとき、第1ルーバー130と第2ルーバー140は共に開状態になる。また、第1フック部135と第2フック部142とは略平行な状態であるため、
図6(a)に示したように、磁石134と磁性体147は吸着しており、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141は一体回転状態を維持している。なお、
図8(a)に示す状態において開閉用コード114を牽引すれば、第1ルーバー130と第2ルーバー140を展開及び畳込むことが可能となる。
【0047】
さらにキャリア軸121を、
図8(b)の矢印bに示したように、時計方向に回転させると、第2ルーバーフック141は、回転規制部145によって回転が規制されているため、磁石134と磁性体147の吸着が解除されて第1ルーバーフック131のみが回転する。第1ルーバーフック131がヘッドレール110の長手方向と略平行な状態まで回転すると、磁石134と磁性体147が吸着して第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が一体回転状態となる。このとき、第1フック部135と第2フック部142は略直交した状態となり、第1ルーバー130が閉状態、第2ルーバー140が開状態となる。
【0048】
そして、キャリア軸121を、
図9(a)の矢印cに示したように、反時計方向に回転させると、第2ルーバーフック141の反時計回りの回転は回転壁部146がヘッドレール110の溝部110aに沿って移動するため規制されない。よって、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が略直交した状態を維持したまま一体に回転する。第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が約90度回転し、第2フック部142がヘッドレール110の長手方向と略平行な状態になると、回転規制部145が溝部110aに当接して回転が規制される。このとき、第1フック部135と第2フック部142は略直交した状態となり、第1ルーバー130が開状態、第2ルーバー140が閉状態となる。また、第1フック部135と第2フック部142とは略直交した状態であるため、
図6(b)に示したように、磁石134と磁性体147は吸着しており、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141は一体回転状態を維持している。
【0049】
さらにキャリア軸121を、
図9(b)の矢印cに示したように、反時計方向に回転させると、第2ルーバーフック141は、回転規制部145によって回転が規制されているため、磁石134と磁性体147の吸着が解除されて第1ルーバーフック131のみが回転する。第1フック部135がヘッドレール110の長手方向と略平行な状態まで回転すると、磁石134と磁性体147が吸着して第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が一体回転状態となる。このとき、第1フック部135と第2フック部142は略平行な状態となり、第1ルーバー130と第2ルーバー140が共に閉状態となる。
【0050】
以上、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141の動作について説明した。以下、隣り合うキャリア120から吊り下げられた第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、隣り合うキャリア120から吊り下げられた第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141の回転動作を説明するための図であり、キャリア120を底面から見ている。
【0051】
第1ルーバー130と第2ルーバー140が共に閉状態の場合、
図10(a)に示したように、隣り合う第1フック部135の端部同士が前後方向に若干重なり合う。第2ルーバーフック141は第1ルーバーフック131よりも短いため、第1フック部135と第2フック部142の先端の先端同士が左右方向に近接した状態になる。
【0052】
次に、第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141が時計方向に一体回転し、第2ルーバーフック141がヘッドレール110の長手方向と略直交した状態で回転が規制され、第1ルーバーフック131のみがさらに時計方向に約90度回転して、第1ルーバー130が閉状態、第2ルーバー140が開状態になると、
図10(b)に示したように、第1ルーバーフック131は反転して第1フック部135の端部同士が前後方向に若干重なり合った状態になり、隣接する第1ルーバー同士で開口部を閉鎖する。
【0053】
次に、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141が反時計方向に約90度一体回転し、第2ルーバーフック141の回転が規制された状態では、
図10(c)に示したように、隣り合う第2フック部142の端部同士が近接した状態になり、隣接する第2ルーバー同士で開口部を閉鎖する。
【0054】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、キャリア軸121の回転によって、第1ルーバー130及び第2ルーバー140を一体回転させたり、第1ルーバー130のみを回転させたりすることが可能となるため、縦型ブラインド100を柔軟に変化させることができる。
【0055】
また、第2ルーバー140の回転角度に応じて、第1ルーバー130及び第2ルーバー140を一体回転させたり、第1ルーバー130のみを回転させたりすることが可能となるため、遮蔽状態を柔軟に変化させることができる。
【0056】
また、第1ルーバー130及び第2ルーバー140という異なるルーバーを交差させた状態でキャリア120に吊り下げることができる。
【0057】
また、磁石134と磁性体147という簡易な構造で第1ルーバー130及び第2ルーバー140を一体回転状態と相対回転状態にすることができる。
【0058】
また、キャリア軸121の回転によって回転壁部146が回転することにより、磁石134と磁性体147を接近させて吸着させたり離間させて吸着を解除させたりすることができる。
【0059】
また、磁石134と磁性体147の磁力による吸着により、一体回転状態における第1ルーバーフック131及び第2ルーバーフック141のなす角度を容易に変更することができる。
【0060】
また、第2ルーバーフック141の中心部がヘッドレール110の溝部110aに当接する回転規制部145と、当接しない回転壁部146とを備えることにより、第2ルーバー140の回転と回転の規制とが簡易な構造で実現される。
【0061】
また、第1ルーバーフック131は、隣接するキャリア120から吊り下げられる第1ルーバーフック131と端部同士が重なり合う長さであるため、縦型ブラインド100において、隣接するキャリア120から吊り下げられる第1ルーバー130間に隙間ができてしまうこと防止することができる。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0063】
例えば、上記実施形態では、第2ルーバー140の回転角度が約90度の範囲内である場合には、第1ルーバー130及び第2ルーバー140が一体回転状態となり、該一体回転状態において第2ルーバー140の回転角度が約90度の範囲を超えようとする場合には、第2ルーバー140の回転が規制されて第1ルーバー130のみが回転可能な相対回転状態となるようにしたが、本発明ではこの例に限定されない。1つのキャリア軸に吊り下げられる2つのルーバーが一体回転状態又は相対回転状態になれば任意に設計することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、第1ルーバー130及び第2ルーバー140は、第1フック部135と第2フック部142が略直交又は略平行な状態で連結するが、本発明はこの例に限定されない。第1ルーバー及び第2ルーバーは、任意の角度で連結するように設計することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、磁石134と磁性体147とで連結機構を構成したが、本発明はこの例に限定されない。第1ルーバーフックと第2ルーバーフックとを連結したり連結を解除したりすることができれば任意に設計することができる。例えば、第1ルーバーフックに凹部を、第2ルーバーフックに凸部を形成し、凹凸が嵌合することによって連結し、嵌合が解除されることによって連結が解除されたりする連結機構を構成してもよい。また、樹脂ばねで連結機構を構成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141の両方に回転壁部(凹部132、回転壁部146)を形成したが、本発明はこの例に限定されない。第1ルーバー及び第2ルーバーが一体回転状態と相対回転状態になる構成であれば任意に設計することができる。例えば、第1ルーバーフックと第2ルーバーフックのどちらか一方にのみ回転壁部を形成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第2ルーバーフック141は、回転規制部145がヘッドレール110の溝部110aに当接することによって移動が規制されるが、本発明はこの例に限定されない。第2ルーバーフックの移動を規制することができれば任意に設計することができる。例えば、第2ルーバーフックはキャリアに当接して移動が規制されるようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、隣り合うキャリア120の第1フック部135の端部同士が当接可能な長さに第1ルーバーフック131を構成したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、隣接する第2ルーバー同士の相対回転が許容される範囲であれば第2フック部の端部同士が当接可能な長さに第2ルーバーフックを構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、キャリア120のキャリア軸121は、上部に円柱部121aを、下部に方形部121bを形成し、上部に配置される第2ルーバーフック141を回転自在に支持し、下部に配置される第1ルーバーフック131を一体回転するように支持したが、本発明はこの例に限定されない。1つのキャリア軸に吊り下げられる2つのルーバーが一体回転状態又は相対回転状態になれば任意に設計することができる。例えば、上部に配置されるルーバーを一体回転するように支持し、下部に配置されるルーバーを回転自在に支持するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、複数のキャリア120がヘッドレール110内に移動可能に配列され、これにより第1ルーバーフック131と第2ルーバーフック141を展開及び畳み込める構成としたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、複数のキャリアはヘッドレール内に移動不能に配列されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、第1ルーバー130及び第2ルーバー140は、一方を遮光性のある生地、他方を採光性のある生地としたり、色や柄などが異なる生地としたり、第1ルーバー130及び第2ルーバー140の生地を自由に組み合わせることできるとしたが、第2ルーバー140を構成する一対のルーバー140-1、140-2をそれぞれ色や柄などが異なる生地を組み合わせてもよい。
【0072】
以上説明した実施形態・応用例・変形例等は、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
100 縦型ブラインド(遮蔽装置)
110 ヘッドレール
110a 溝部
111 ブラケット
112 駆動軸
113 操作棒
114 開閉用コード
120 キャリア
121 キャリア軸(軸部)
121a 円柱部
121b 方形部
122 止め輪
123 ウォーム
124 ウォームホイール
125 マサツスプリング
126-1、126-2 貫通孔
127 スペーサリンク
130 第1ルーバー
131 第1ルーバーフック
132 凹部(回転壁部)
133 方形孔
134 磁石(連結機構)
135 第1フック部
140 第2ルーバー
141 第2ルーバーフック
142 第2フック部
143 中心部
144 円形孔
145 回転規制部
146 回転壁部
147 磁性体(連結機構)