(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061511
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/32 20190101AFI20240425BHJP
C08J 9/12 20060101ALI20240425BHJP
B29C 48/285 20190101ALI20240425BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240425BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20240425BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20240425BHJP
B29L 23/00 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
B29C48/32
C08J9/12 CES
B29C48/285
B29C44/00 E
B29C49/04
B29K23:00
B29L23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169490
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹治 忠敏
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 邦将
(72)【発明者】
【氏名】南川 佑太
【テーマコード(参考)】
4F074
4F207
4F208
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA17L
4F074BA33
4F074CA22
4F074CA24
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4F207AA04
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4F208AA04
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4F208AB02
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4F214AG08
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4F214AR07
4F214AR20
4F214UA11
4F214UB02
4F214UC02
4F214UN04
4F214UP88
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高発泡ポリエチレン系発泡成形品の量産効率を向上させる、発泡成形体の製造方法の提供。
【解決手段】発泡成形体の製造方法であって、前記発泡成形体は、発泡倍率が2.0倍以上であり、投入工程と、パリソン形成工程と、成形工程を備え、前記投入工程では、ホッパーを通じて原料樹脂を押出機のシリンダ内に投入し、前記パリソン形成工程では、前記シリンダ内で前記原料樹脂と発泡剤を溶融混練後、ヘッドから押出して発泡パリソンを形成し、前記成形工程では、金型を用いて前記発泡パリソンを成形し、前記原料樹脂は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上、および粉砕機を用いて発泡体を粉砕した粉砕材を含み、前記発泡体は、発泡倍率が2.0倍以上であり、前記粉砕機は、スクリーンメッシュに設けられた開口を通じて前記粉砕材を前記粉砕機から排出するように構成され、前記開口の直径は、8.0mm以下である、方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡成形体の製造方法であって、
前記発泡成形体は、発泡倍率が2.0倍以上であり、
前記方法は、投入工程と、パリソン形成工程と、成形工程を備え、
前記投入工程では、ホッパーを通じて原料樹脂を押出機のシリンダの内部空間内に投入し、
前記パリソン形成工程では、前記内部空間内で前記原料樹脂と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂をヘッドから押し出して発泡パリソンを形成し、
前記成形工程では、金型を用いて前記発泡パリソンを成形して発泡成形体を形成し、
前記原料樹脂は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含み、
前記原料樹脂は、粉砕機を用いて発泡体を粉砕して製造した粉砕材を含み、
前記発泡体は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含む樹脂で構成され、かつ発泡倍率が2.0倍以上であり、
前記粉砕機は、スクリーンメッシュに設けられた開口を通じて前記粉砕材を前記粉砕機から排出するように構成され、
前記開口の直径は、8.0mm以下である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記発泡成形体及び前記発泡体の発泡倍率は、それぞれ、3.2倍以上である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ヘッドは、ダイコアと、これを取り囲むダイシェルを備え、
前記ダイコアと前記ダイシェルの間の流路を通じて流れた前記発泡剤含有樹脂が環状スリットを通じて前記ヘッドから押し出されることによって前記発泡パリソンが形成され、
前記環状スリットから鉛直方向の20mmの範囲内の先端領域において、前記ダイコアと前記ダイシェルは、それぞれ、ダイコア側流路形成面とダイシェル側流路形成面を有し、
前記ダイコア側流路形成面と前記ダイシェル側流路形成面の間の角度は、3.0度以上である、方法。
【請求項4】
発泡成形体の製造方法であって、
前記発泡成形体は、発泡倍率が2.0倍以上であり、
前記方法は、投入工程と、パリソン形成工程と、成形工程を備え、
前記投入工程では、ホッパーを通じて原料樹脂を押出機のシリンダの内部空間内に投入し、
前記パリソン形成工程では、前記内部空間内で前記原料樹脂と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂をヘッドから押し出して発泡パリソンを形成し、
前記成形工程では、金型を用いて前記発泡パリソンを成形して発泡成形体を形成し、
前記原料樹脂は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含み、
前記ヘッドは、ダイコアと、これを取り囲むダイシェルを備え、
前記ダイコアと前記ダイシェルの間の流路を通じて流れた前記発泡剤含有樹脂が環状スリットを通じて前記ヘッドから押し出されることによって前記発泡パリソンが形成され、
前記環状スリットから鉛直方向の20mmの範囲内の先端領域において、前記ダイコアと前記ダイシェルは、それぞれ、ダイコア側流路形成面とダイシェル側流路形成面を有し、
前記ダイコア側流路形成面と前記ダイシェル側流路形成面の間の隙間角度は、3.0度以上である、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記先端領域において、前記ダイシェル側流路形成面は、水平面に対する傾斜角度が45度以上である、方法。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載の方法であって、
前記発泡成形体を構成する樹脂は、ポリエチレン系樹脂を80質量%以上含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の空調装置では、空気を通風させるための管状の空調用ダクトが用いられている。
【0003】
空調用ダクトとしては、熱可塑性樹脂を発泡剤により発泡させた発泡樹脂を用いた発泡成形体が知られている。発泡成形体は、高い断熱性と軽量化を同時に実現できることから需要が拡大している。
【0004】
こうした発泡成形体の製造方法としては、溶融状態の発泡樹脂を分割金型で型締めし、内部に空気を吹き込んで膨張させる発泡ブロー成形が広く知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発泡ブロー成形では、押出機で原料樹脂と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂をヘッドから押し出して発泡パリソンを形成し、この発泡パリソンを金型を用いて成形することによって、発泡成形体が得られる。次に、発泡成形体に対して、バリや袋部の除去などの後加工を行って、所望の製品となる発泡成形品が得られる。
【0007】
除去した部位は、通常、粉砕機で粉砕されて粉砕材となる。粉砕材は、押出機に投入され、次の発泡成形体の製造に用いられる。
【0008】
ところで、高発泡のポリエチレン系発泡成形品の量産設備の開発を行っていたところ、粉砕材が押出機のホッパーに詰まってしまうという現象が頻発し、量産効率が低くなってしまうことが分かった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高発泡ポリエチレン系発泡成形品の量産効率を向上させることができる、発泡成形体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](第1観点)発泡成形体の製造方法であって、前記発泡成形体は、発泡倍率が2.0倍以上であり、前記方法は、投入工程と、パリソン形成工程と、成形工程を備え、前記投入工程では、ホッパーを通じて原料樹脂を押出機のシリンダの内部空間内に投入し、前記パリソン形成工程では、前記内部空間内で前記原料樹脂と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂をヘッドから押し出して発泡パリソンを形成し、前記成形工程では、金型を用いて前記発泡パリソンを成形して発泡成形体を形成し、前記原料樹脂は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含み、前記原料樹脂は、粉砕機を用いて発泡体を粉砕して製造した粉砕材を含み、前記発泡体は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含む樹脂で構成され、かつ発泡倍率が2.0倍以上であり、前記粉砕機は、スクリーンメッシュに設けられた開口を通じて前記粉砕材を前記粉砕機から排出するように構成され、前記開口の直径は、8.0mm以下である、方法。
【0011】
発泡成形品の量産において、粉砕材を利用することは一般的に行われており、ポリプロピレン系発泡成形品の量産や、発泡倍率が低いポリエチレン系発泡成形品の量産では、粉砕材がホッパーに詰まるという現象が起こることはなかった。このため、粉砕材がホッパーに詰まりやすいという現象は、ポリエチレン系発泡成形品の量産において発生する特有の現象である。そして、この問題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、粉砕機の出口に設けられているスクリーンメッシュの穴径の直径を8.0mm以下とすることによって、ホッパーでの粉砕材の詰まりの発生が抑制可能であることを見出し、本発明の完成に到った。
【0012】
[2][1]に記載の方法であって、前記発泡成形体及び前記発泡体の発泡倍率は、それぞれ、3.2倍以上である、方法。
[3][1]又は[2]に記載の方法であって、前記ヘッドは、ダイコアと、これを取り囲むダイシェルを備え、前記ダイコアと前記ダイシェルの間の流路を通じて流れた前記発泡剤含有樹脂が環状スリットを通じて前記ヘッドから押し出されることによって前記発泡パリソンが形成され、前記環状スリットから鉛直方向の20mmの範囲内の先端領域において、前記ダイコアと前記ダイシェルは、それぞれ、ダイコア側流路形成面とダイシェル側流路形成面を有し、前記ダイコア側流路形成面と前記ダイシェル側流路形成面の間の角度は、3.0度以上である、方法。
[4](第2観点)発泡成形体の製造方法であって、前記発泡成形体は、発泡倍率が2.0倍以上であり、前記方法は、投入工程と、パリソン形成工程と、成形工程を備え、前記投入工程では、ホッパーを通じて原料樹脂を押出機のシリンダの内部空間内に投入し、前記パリソン形成工程では、前記内部空間内で前記原料樹脂と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂をヘッドから押し出して発泡パリソンを形成し、前記成形工程では、金型を用いて前記発泡パリソンを成形して発泡成形体を形成し、前記原料樹脂は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含み、前記ヘッドは、ダイコアと、これを取り囲むダイシェルを備え、前記ダイコアと前記ダイシェルの間の流路を通じて流れた前記発泡剤含有樹脂が環状スリットを通じて前記ヘッドから押し出されることによって前記発泡パリソンが形成され、前記環状スリットから鉛直方向の20mmの範囲内の先端領域において、前記ダイコアと前記ダイシェルは、それぞれ、ダイコア側流路形成面とダイシェル側流路形成面を有し、前記ダイコア側流路形成面と前記ダイシェル側流路形成面の間の隙間角度は、3.0度以上である、方法。
[5][4]に記載の方法であって、前記先端領域において、前記ダイシェル側流路形成面は、水平面に対する傾斜角度が45度以上である、方法。
[6][1]~[5]の何れか1つに記載の方法であって、前記発泡成形体を構成する樹脂は、ポリエチレン系樹脂を80質量%以上含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2中のスクリーンメッシュ15aの斜視図である。
【
図5】分割金型14a,14bを閉じ、発泡パリソン13をブロー成形して発泡成形体18を形成した後の状態を示す断面図である。
【
図6】
図6Aは、発泡成形体18からバリ18cを除去して得られる発泡成形体本体18bを示す斜視図である。
図6Bは、発泡成形体本体18bから袋部18dを除去して得られる発泡成形品18aを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0015】
以下に示す実施形態は、第1及び第2観点に関連する。但し、第1観点に関連した技術事項は、第2観点では任意の構成であり、第2観点に関連した技術事項は、第1観点では任意の構成である。
【0016】
1.成形装置100
本発明の一実施形態の発泡成形体18の製造方法は、一例では、
図1に示す押出機1と、ヘッド12と、金型14を含む成形装置100を用いて実施することができる。押出機1は、シリンダ3と、ホッパー5と、スクリュー7と、発泡剤注入部8、温度制御部9と、樹脂押出口11を備える。
【0017】
以下、最初に、発泡成形体18の製造に用いる原料樹脂2について説明し、その後、成形装置100について説明する。
【0018】
<原料樹脂2>
原料樹脂2は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含む。原料樹脂2中のポリエチレン系樹脂の割合は、例えば50~100質量%であり、80~100質量%が好ましく、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0019】
ポリエチレン系樹脂とは、モノマー単位の80質量%(好ましくは85、90、又は95質量%)以上がポリエチレンである樹脂である。ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体や、エチレンと他のオレフィン(例:1-ブテンなどのα-オレフィン)の共重合体であるエチレン共重合体、酸変性ポリエチレンなどが挙げられる。エチレン単独重合体としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)などが挙げられる。エチレン共重合体としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。エチレン共重合体中の他のオレフィン単位の割合は、例えば1~20質量%であり、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。原料樹脂2中のポリエチレン系樹脂は、例えば、HDPEとLDPEの合計を100質量%とすると、HDPEの割合が20~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがさらに好ましい。HDPEの密度は、例えば0.941g/cm3以上であり、LDPEの密度は、0.910~0.940g/cm3である。
【0020】
原料樹脂2中のポリエチレン系樹脂以外の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィンが挙げられ、このようなポリオレフィンとしては、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど)が例示される。また、原料樹脂2には、樹脂以外に発泡核剤(例:重曹&クエン酸)、酸化防止剤、着色剤などの各種添加剤を配合することができる。
【0021】
第1観点の発明では、
図1~
図2に示すように、原料樹脂2は、粉砕機15を用いて発泡体16を粉砕して製造した粉砕材17を含む。粉砕材17を構成する粒子は、形状やサイズが揃っていない不定形状であることが好ましい。原料樹脂2中の粉砕材17の割合は、例えば、50~100質量%であり、85~95質量%が好ましく、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。原料樹脂2のうち粉砕材17以外の樹脂は、バージン樹脂26であることが好ましい。バージン樹脂26は、ペレット状であることが好ましく、ペレットの直径は、例えば、1~6mmである。この場合、粉砕材17とバージン樹脂26を混合することによって原料樹脂2が得られる。
【0022】
発泡体16の例としては、
図6Bに図示する発泡成形品18aの以前の製造に発生したスクラップが挙げられる。スクラップの例としては、
図5~
図6に示すように、発泡成形体18を所望の発泡成形品18aに加工する際に発生した端材(バリ18cや、開口部18eを形成するために切除した袋部18dなど)や、検査で不合格となった発泡成形品18aが挙げられる。この場合、発泡体16は、発泡成形体18と同様の組成及び発泡倍率を有する。なお、発泡体16の組成及び/又は発泡倍率は、発泡成形体18と異なっていてもよい。例えば、本実施形態で製造する発泡成形体18とは、別の組成及び/又は発泡倍率を有する発泡成形体の製造において発生したスクラップを用いる場合には、発泡体16の組成及び/又は発泡倍率は、発泡成形体18と異なる。
【0023】
発泡体16は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含む樹脂で構成され、かつ発泡倍率が2.0倍以上である。この樹脂の説明は、原料樹脂2の説明と同様である。発泡倍率は、3.2倍以上が好ましく、3.5倍以上がさらに好ましく、具体的には例えば、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、5.0、5.5、6.0倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。本発明者は、粉砕材17の製造に用いる発泡体16がこのような組成及び発泡倍率を有する場合に、ホッパー5での詰まりが発生しやすいことを発見したので、発泡体16がこのような組成及び発泡倍率を有する場合、本発明を適用することの技術的意義が特に顕著である。発泡体16が上記組成及び発泡倍率を有する場合に、ホッパー5での詰まりが発生しやすい理由の例としては、ポリエチレン系樹脂はポリプロピレン系樹脂に比べて柔らかいので粉砕材17同士がくっつきやすいことと、発泡倍率が高いために粉砕材17に加わる下向きの力が不十分になりやすいことであると考えられる。
【0024】
図2~
図3に示すように、粉砕機15は、スクリーンメッシュ15aに設けられた開口15a1を通じて粉砕材17を粉砕機15から排出するように構成されているであることが好ましい。開口15a1の直径は、8.0mm以下が好ましく、7.5mm以下又は7.0mm以下がさらに好ましい。この場合、後述する実施例で示すように、ホッパー5での詰まりの発生を抑制することができる。開口15a1の直径の下限は、特に規定されないが、例えば、3.0mmである。開口15a1の直径を小さくしすぎないことによって、粉砕に要する時間が長くなりすぎることが抑制される。開口15a1の直径は、具体的には例えば、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。開口15a1を形成するピッチ(つまり、隣接する開口15a1の中心間距離)は、開口15a1の直径×Pであることが好ましい。Pは、例えば、1.1~2であり、1.3~1.7が好ましく、具体的には例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。なお、開口15a1が円形ではない場合は、「直径」は、円相当径を意味する。スクリーンメッシュ15aには複数の開口15a1が設けられることが好ましい。複数の開口15a1の直径は同一であることが好ましい。複数の開口15a1の直径が互いに異なる場合、直径が8.0mm(好ましくは7.5又は7.0mm)以下である開口15a1の割合が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。この割合は、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。また、複数の開口15a1の直径の平均値が8.0mm(好ましくは7.5又は7.0mm)以下であることが好ましく、複数の開口15a1の直径の最大値が8.0mm(好ましくは7.5又は7.0mm)以下であることがさらに好ましい。この平均値又は最大値についても、開口15a1の直径について上述した説明が適用可能である。
【0025】
粉砕機15は、一例では、投入部15bと、粉砕部15cと、スクリーンメッシュ15aを備える。投入部15bから投入された発泡体16は、粉砕部15cで粉砕されて粉砕材17となってスクリーンメッシュ15aを通じて粉砕機15から排出される。粉砕部15cは、一例では、筐体15dに固定された固定刃15eと、回転軸15f2を中心に回転する回転刃15fを備える。回転軸15f2は、例えば水平方向に延びる軸である。固定刃15eと回転刃15fのエッジ15e1,15f1は、それぞれ、回転軸15f2の軸方向(
図2の紙面垂直方向)に沿って延びることが好ましい。エッジ15e1,15f1が最近接したときのエッジ15e1,15f1の間の隙間は、例えば0.3~2.0mmであり、0.5~1.2mmが好ましい。この隙間は、具体的には例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0026】
このような構成によれば、回転刃15fの回転に伴って、固定刃15eと回転刃15fによって発泡体16にせん断力が加えられて発泡体16が切断される。発泡体16が切断されて、開口15a1を通過できるサイズになると、開口15a1を通じて排出されて粉砕材17となる。粉砕効率を高めるために、固定刃15eと回転刃15fは、それぞれ、2つ以上設けられることが好ましい。
【0027】
スクリーンメッシュ15aは、
図2に示すように、回転軸15f2に垂直な断面において円弧形状を有することが好ましく、円弧の中心が回転軸15f2に一致することがさらに好ましい。この場合、回転刃15fのエッジがスクリーンメッシュ15aの内面と同心円状に移動するので、固定刃15eと回転刃15fによって切断されて細かくなった発泡体16が回転刃15fによってスクリーンメッシュ15aの内面に沿って搬送される。このような構成によれば、開口15a1を通過可能なサイズになった発泡体16が速やかに開口15a1を通じて排出されやすくなる。スクリーンメッシュ15aの内面と回転刃15fのエッジの隙間は、例えば、1~10mmであり、2~7mmが好ましい。この隙間は、具体的には例えば、1.0、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、9.0、10.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。この隙間が大きすぎると、小かく切断された発泡体16が回転刃15fによって搬送されにくくなり、開口15a1を通じて排出されにくくなる。
【0028】
<ホッパー5>
ホッパー5は、シリンダ3の側面に設けた開口部3aを通じて、シリンダ3の内部空間3bに連通しており、ホッパー5から内部空間3b内に原料樹脂2が投入される。原料樹脂2は、内部空間3b内で加熱されることによって溶融されて溶融状態になる。また、内部空間3b内に配置されたスクリュー7の回転によって、内部空間3bの先端に設けられた樹脂押出口11に向けて溶融状態の樹脂が搬送される。
【0029】
図1Bに示すように、ホッパー5に投入された原料樹脂2が通る通路19の開口面積(通路19の水平断面での面積が最小となる部位での面積)は、例えば100~500cm
2が好ましく、150~400cm
2がさらに好ましい。この面積は、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500cm
2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。通路19の形状は特に限定されないが、一例では、長方形、長円又は楕円などの扁平形状であることが好ましい。「長円」とは、円が平行移動したときの軌跡の外縁の形状である。ここで、スクリュー7の回転軸に平行な方向を長軸方向とし、水平面において長軸方向に垂直な方向を短軸方向とし、長軸方向で通路19の長さが最大となる部位での通路19の長軸方向の長さをLLとし、短軸方向で通路19の長さが最大となる部位での通路19の短軸方向の長さをSLとする。
【0030】
LLは、例えば、10~40cmであり、15~25cmが好ましく、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。SLは、例えば、4~15cmであり、6~12cmが好ましく、具体的には例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。LL/SLは、例えば1.2~4.0であり、1.5~2.5が好ましく、具体的には例えば、1.2、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0あり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0031】
通路19がこのような形状である場合に、原料樹脂2の詰まりが発生しやすいので、本発明を適用することの技術的意義が顕著である。
【0032】
<スクリュー7>
スクリュー7は、シリンダ3の内部空間3b内に配置され、その回転によって溶融状態の樹脂を混練しながら樹脂押出口11に向けて搬送する。スクリュー7の一端にはモーター4が設けられている。モーター4は、スクリュー7を回転駆動するとともに、回転速度の制御も可能である。
【0033】
<発泡剤注入部8>
発泡剤注入部8は、シリンダ3内に発泡剤を注入するための部位である。発泡剤注入部8を設ける位置は特に限定されないが、シリンダ3の内部空間3bのホッパー5側の端部の位置を0、樹脂押出口11側の端部の位置をLとした場合、発泡剤注入部8は、0.3L~0.7L(好ましくは0.4~0.6L)の位置に設けることが好ましい。発泡剤注入部8が0.3Lよりもホッパー5側に設けられると、溶融樹脂の混練が不十分な状態で発泡剤が注入されてしまって発泡剤の分散が不十分になる場合がある。また、溶融樹脂の温度は通常樹脂押出口11に向かって徐々に低下するように制御されるので、発泡剤注入部80.7Lよりも樹脂押出口11側に設けられると、発泡剤を注入する部位での溶融樹脂の温度が低すぎて発泡剤の注入量が減少してしまう場合がある。
【0034】
発泡剤注入部8から注入される発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、及びその混合物が挙げられるが、物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素などを用いて作ることが好ましく、窒素であれば臨界温度-149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上、二酸化炭素であれば臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすることにより得られる。化学発泡剤としては、酸(例:クエン酸又はその塩)と塩基(例:重曹)との化学反応により炭酸ガスを発生させるものが挙げられる。また、発泡剤注入部8は、ホッパー5に連通する開口部であってもよい。
【0035】
<温度制御部9>
温度制御部9は、シリンダ3及びヘッド12に設けられた複数の温調ユニットを個別に制御して、各部位の温度を制御するように構成されている。
【0036】
<ヘッド12・金型14>
内部空間3b内で原料樹脂2と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂は、樹脂押出口11から押し出されてヘッド12内に注入される。ヘッド12は、スリットを有しており、発泡剤含有樹脂がスリットから押し出されることによって発泡パリソン13が形成される。スリットの形状は特に限定されないが、例えば、環状や線状(例:直線状)である。スリットが環状である場合、筒状の発泡パリソンが得られる。スリットが線状である場合(例えば、ヘッド12がTダイである場合)、シート状の発泡パリソンが得られる。なお、樹脂押出口11から押し出した発泡剤含有樹脂は、アキュムレータ(不図示)に一定量貯留した後に、アキュムレータのプランジャーを作動させてヘッド12から押し出して発泡パリソン13を形成するようにしてもよい。この場合、発泡パリソン13の押出速度を高めることができるので、発泡パリソン13の発泡状態を安定化させやすいという利点がある。発泡剤含有樹脂の押出速度は、250~1250g/秒が好ましく、具体的には例えば、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250g/秒であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0037】
発泡パリソン13は、金型14で成形される。金型14は、好ましくは、開閉可能な分割金型14a,14bであり、発泡パリソン13は、分割金型14a,14bの間に導かれる。金型14を用いて発泡パリソン13の成形を行うことによって発泡成形体18が得られる。発泡成形体18は、中空であることが好ましい。金型14を用いた成形の方法は特に限定されず、金型14のキャビティ内にエアーを吹き込んで成形を行うブロー成形であってもよく、金型14のキャビティの内面からキャビティ内を減圧して発泡パリソン13の成形を行う真空成形であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0038】
発泡成形体18の組成の説明は、原料樹脂2の説明と同様である。発泡成形体18の発泡倍率は、発泡体16の説明と同様である。発泡成形体18の平均肉厚は、例えば、1~5mmであり、2~4mmが好ましい。
【0039】
<発泡成形体18>
ところで、本発明者は、ポリエチレン系樹脂を50質量%以上含む樹脂で構成され、かつ発泡倍率が2.0倍以上である中空の発泡成形体18の内面を観察したところ、意図しない縞状の凹凸形状が形成されてしまっている場合があることに気がついた。このような凹凸形状は、ダクトのように発泡成形体18の内部にエアーを流通させる場合には、流通抵抗や騒音の増大につながるので望ましくない。このような凹凸形状は、ポリプロピレン系発泡成形体の量産や、発泡倍率が低いポリエチレン系発泡成形体では発生しないので、高発泡のポリエチレン系発泡成形体の製造において発生する特有の現象である。
【0040】
このような現象の発生を抑制すべく、鋭意検討を行ったところ、発泡パリソン13を形成するためのヘッド12の構成を工夫することで、上記現象の発生が抑制可能であることを見出し、第2観点の発明の完成に到った。以下、本観点の発明のヘッド12について説明する。
【0041】
この観点での発明によれば、
図4に示すように、ヘッド12は、ダイコア21と、これを取り囲むダイシェル22を備える。ダイコア21とダイシェル22の間の流路23を通じて流れた発泡剤含有樹脂が環状スリット24を通じてヘッド12から押し出されることによって発泡パリソン13が形成される。
【0042】
図4に示すように、環状スリット24から鉛直方向の20mmの範囲内の先端領域25において、ダイコア21とダイシェル22は、それぞれ、ダイコア側流路形成面21aとダイシェル側流路形成面22aを有する。ダイコア側流路形成面21aとダイシェル側流路形成面22aの間の隙間角度αは、3.0度以上である。後述する実施例で示すように、上述の意図しない縞状の凹凸形状が発生した成形装置のヘッド12を確認したところ、ダイコア側流路形成面21aとダイシェル側流路形成面22aの間の隙間角度αが3.0度よりも小さく、この角度を大きくすることによって、縞状の凹凸形状が抑制されることが確認できた。
【0043】
隙間角度αは、例えば、3.0~45度であり、3.3~30度が好ましく、具体的には例えば、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.65、3.7、3.8、3.9、4.0、5.0,6.0,7.0,8.0,9.0,10、15、20、25、30、35、40、45度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。この角度が3.0度以上の場合には、ヘッド12から発泡剤含有樹脂が押し出される際の脈動が抑制されて、縞状の凹凸形状が発生することが抑制される。
【0044】
先端領域25において、ダイシェル側流路形成面22aは、水平面に対する傾斜角度βが45度以上であることが好ましい。この場合に、縞状の凹凸形状の発生がより一層抑制される。傾斜角度βは、例えば、45~85度であり、具体的には例えば、45、49.4、50、55、60、65、70、75、80度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。ダイコア側流路形成面21aは、ダイコア21が先細りとなるように傾斜することが好ましい。
【0045】
環状スリット24が設けられている高さ位置でのダイコア21の直径Dは、例えば、50~300mmであり、100~200mmが好ましい。直径Dは、具体的には例えば、50、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0046】
環状スリット24の幅は、ダイシェル22に対するダイコア21の高さ位置を変化させることによって調整可能である。例えば、ダイシェル22に対してダイコア21を上昇させることによって環状スリット24の幅を広げることができる。環状スリット24の幅は、所望の肉厚の発泡成形体18を得るべく、適宜設定される。
【0047】
2.発泡成形体の製造方法
本発明の一実施形態の発泡成形体の製造方法について説明する。本実施形態の方法は、投入工程と、パリソン形成工程と、成形工程を備える。
【0048】
<投入工程>
投入工程では、ホッパー5を通じて原料樹脂2を押出機1のシリンダ3の内部空間3b内に投入する。原料樹脂2が上述の粉砕材17を含有することによって、原料樹脂2に詰まることが抑制され、量産効率が向上する。
【0049】
<パリソン形成工程>
パリソン形成工程では、
図1及び
図4に示すように、内部空間3b内で原料樹脂2と発泡剤を溶融混練して得られた溶融状態の発泡剤含有樹脂をヘッド12から押し出して発泡パリソン13を形成する。上述したように、ダイコア側流路形成面21aとダイシェル側流路形成面22aの間の角度が3.0度以上であるヘッド12を用いて発泡パリソン13を形成することによって、発泡成形体18の内面に縞状の凹凸形状が形成されることを抑制することができる。
【0050】
<成形工程>
成形工程では、
図5に示すように、金型14を用いて発泡パリソン13を成形して発泡成形体18を形成する。
【0051】
発泡成形体18は、金型14のキャビティ内の部位である発泡成形体本体18bに、金型14のキャビティ外の部位であるバリ18cが繋がって構成されており、発泡成形体18からバリ18cを除去することによって、
図6Aに示す発泡成形体本体18bが得られる。次に、必要に応じて発泡成形体本体18bに設けられた袋部18dを点線18fで示すラインに沿って切除することによって開口部を形成し、
図6Bに示すように、所望の発泡成形品(例:発泡ダクト)18aを得ることができる。なお、発泡成形体本体18bに開口部形成等の後加工が不要な場合は、発泡成形体本体18bをそのまま発泡成形品18aとしてもよい。
【0052】
発泡成形品18aの量産工程では、金型14から取り出した発泡成形体18を所望の発泡成形品18aに加工する際に発生した端材(バリ18cや袋部18dなど)や、検査で不合格となった発泡成形品18aで構成されるスクラップが発生する。このスクラップを発泡体16として、粉砕機15に投入して粉砕することによって、粉砕材17を得ることができる。粉砕材17は、そのまま、又はバージン樹脂を混合して、原料樹脂2として、ホッパー5に投入することができる。以上の方法によれば、以前の工程で発生したスクラップを利用して、高品質の発泡成形体18を効率的に量産することが可能である
【実施例0053】
1.比較例1
図1に示す発泡成形体の製造装置を用いて、発泡倍率4.0倍の発泡成形体18を製造した。原料樹脂2としては、HDPE/LDPE/発泡核剤(重曹&クエン酸系)/酸化防止剤/黒マスターバッチを質量比が40/60/1/4/1となるように配合したバージン樹脂と、以前の発泡成形体18の製造において発生したスクラップを粉砕機15を用いて粉砕して製造した粉砕材17を質量比1:9で配合したものを用いた。粉砕機15のスクリーンメッシュ15aの開口15a1の直径を9.0mm、開口15a1のピッチを13.0mmとした。
【0054】
ホッパー5に投入された原料樹脂2が通る通路19の水平断面形状は長円形状であり、長軸方向の長さLLが300mm、短軸方向の長さSLが100mmであった。
【0055】
発泡パリソン13の温度が190~200℃になるように温度制御部9の設定を行った。発泡剤にはN2ガスを用い、0.5Lの位置に設けられた発泡剤注入部8から注入した。注入ガス量を変化させることによって発泡倍率の調整を行った。押出機1の樹脂押出口11から押し出した発泡剤含有樹脂は、アキュムレータ(不図示)に一定量貯留した後に、アキュムレータのプランジャーを作動させてヘッド12から押し出して発泡パリソン13を形成した。発泡剤含有樹脂の押出速度は、554g/秒とした。ヘッド12は、ダイコア21の直径が120mm、隙間角度αが2.26度、傾斜角度βが41.8度のものを用いた。
【0056】
以上の条件で形成された発泡パリソン13を用いてブロー成形を行って発泡成形体18を製造した。また、発泡成形体18の製造時に発生するスクラップを用いて、発泡成形体18の製造を繰り返し行った。
【0057】
上記条件では、原料樹脂2が通路19に詰まってしまうという現象が頻発し、その度に詰まりを解消する必要があり、量産効率が悪かった。また、発泡成形体18の内面には縞状の凹凸形状が形成されていた。
【0058】
2.実施例1
スクリーンメッシュ15aの開口15a1の直径を7.0mmとし、開口15a1のピッチを10.5mとし、ヘッド12として、ダイコア21の直径が140mm、隙間角度αが3.65度、傾斜角度βが49.4度のものを用いた以外は、比較例1と同様の方法で発泡成形体18の製造を繰り返し行った。
【0059】
上記条件では、原料樹脂2が通路19に詰まってしまうという現象がほぼ発生せず、量産効率に優れていた。また、発泡成形体18の内面には縞状の凹凸形状が形成されていなかった。