(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006153
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20240110BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20240110BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240110BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20240110BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20240110BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20240110BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/79
F24F11/74
F24F13/10 A
F24F120:12
F24F120:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106778
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薄田 健太
(72)【発明者】
【氏名】大石 剛久
【テーマコード(参考)】
3L081
3L260
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB05
3L260AA01
3L260AB02
3L260BA07
3L260BA08
3L260BA25
3L260CA02
3L260CA07
3L260FA02
3L260FA07
3L260FA08
3L260FB12
3L260FC14
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】所望の生体に対して所望の風を提供可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係る空気調和機は、室内機と、風向板と、センサと、制御部とを備える。前記室内機は、室内に風を吹き出す。前記風向板は、前記室内機に設けられ、前記室内機が吹き出す風をガイドするとともに、向きを変更可能である。前記センサは、前記室内機に設けられ、前記室内における生体を検知可能である。前記制御部は、複数のモードの中でモードを切り替え可能であり、前記複数のモードのうち選択された前記モードに応じて前記センサにより検知された前記生体に対する前記風向板の向きを制御する。前記複数のモードは、第1のモードと第2のモードとを含む。前記第1のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさは、前記第2のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさと異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に風を吹き出す室内機と、
前記室内機に設けられ、前記室内機が吹き出す風をガイドするとともに、向きを変更可能な、風向板と、
前記室内機に設けられ、前記室内における生体を検知可能なセンサと、
複数のモードの中でモードを切り替え可能であり、前記複数のモードのうち選択された前記モードに応じて前記センサにより検知された前記生体に対する前記風向板の向きを制御する、制御部と、
を具備し、
前記複数のモードは、第1のモードと第2のモードとを含み、
前記第1のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさは、前記第2のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさと異なる、
空気調和機。
【請求項2】
前記センサは、レーダーを有する、
請求項1の空気調和機。
【請求項3】
前記第1のモードにおける前記レーダーの受信感度は、前記第2のモードにおける前記レーダーの受信感度と異なる、請求項2の空気調和機。
【請求項4】
前記第1のモードにおいて前記レーダーが送信する電磁波の波長帯域は、前記第2のモードにおいて前記レーダーが送信する電磁波の波長帯域と異なる、請求項2の空気調和機。
【請求項5】
前記第1のモードにおいて、前記制御部は、前記室内機が吹き出す風が前記センサに検知された前記生体を避けるように、又は、前記室内機が前記センサに検知された前記生体に向けて風を吹き出すように前記風向板の向きを制御し、
前記第2のモードにおいて、前記制御部は、前記室内機が吹き出す風が前記センサに検知された前記生体を避けるように前記風向板の向きを制御し、
前記第2のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさは、前記第1のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさより小さい、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つの空気調和機。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記センサが前記生体を検知しない場合に、前記室内機が吹き出す風の風量を低減し、又は前記室内機が前記室内における上方の空間に向けて風を吹き出すように前記風向板の向きを制御する、請求項5の空気調和機。
【請求項7】
前記室内機に設けられ、風が吹き出される当該室内機の吹き出し口の少なくとも一部を覆う閉じ位置と、前記吹き出し口の少なくとも一部を開放する開き位置と、の間で移動可能であり、通風口が設けられた、通風部材、
をさらに具備し、
前記通風部材が前記閉じ位置に位置するとき、前記室内機は、前記吹き出し口から前記通風口を通って吹き出される第1の風と、前記吹き出し口から前記通風口と異なる流路を通って吹き出される第2の風と、が混合される混合風を前記室内に吹き出し、
前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記センサが前記生体を検知しない場合に、前記通風部材を前記閉じ位置に配置する、
請求項5の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機は、室内に風を吹き出し、空気調和を行う。従来、室内における生体をセンサにより検知し、当該センサによる検知結果に応じた動作を行う空気調和機が知られる。例えば、検知された生体の位置に応じて、室内機が風を吹き出す向きが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体の大きさによっては、センサが当該生体を検知しにくい場合がある。センサが生体を検知できない場合、空気調和機は、所望の生体に対して所望の風を提供することができない虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、所望の生体に対して所望の風を提供可能な空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、室内機と、風向板と、センサと、制御部とを備える。前記室内機は、室内に風を吹き出す。前記風向板は、前記室内機に設けられ、前記室内機が吹き出す風をガイドするとともに、向きを変更可能である。前記センサは、前記室内機に設けられ、前記室内における生体を検知可能である。前記制御部は、複数のモードの中でモードを切り替え可能であり、前記複数のモードのうち選択された前記モードに応じて前記センサにより検知された前記生体に対する前記風向板の向きを制御する。前記複数のモードは、第1のモードと第2のモードとを含む。前記第1のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさは、前記第2のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさと異なる。
【0007】
上記空気調和機では、例えば、前記センサは、レーダーを有する。
【0008】
上記空気調和機では、例えば、前記第1のモードにおける前記レーダーの受信感度は、前記第2のモードにおける前記レーダーの受信感度と異なる。
【0009】
上記空気調和機では、例えば、前記第1のモードにおいて前記レーダーが送信する電磁波の波長帯域は、前記第2のモードにおいて前記レーダーが送信する電磁波の波長帯域と異なる。
【0010】
上記空気調和機では、例えば、前記第1のモードにおいて、前記制御部は、前記室内機が吹き出す風が前記センサに検知された前記生体を避けるように、又は、前記室内機が前記センサに検知された前記生体に向けて風を吹き出すように前記風向板の向きを制御する。前記第2のモードにおいて、前記制御部は、前記室内機が吹き出す風が前記センサに検知された前記生体を避けるように前記風向板の向きを制御する。前記第2のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさは、前記第1のモードにおいて前記センサにより検知され得る前記生体の大きさより小さい。
【0011】
上記空気調和機では、例えば、前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記センサが前記生体を検知しない場合に、前記室内機が吹き出す風の風量を低減し、又は前記室内機が前記室内における上方の空間に向けて風を吹き出すように前記風向板の向きを制御する。
【0012】
上記空気調和機は、例えば、通風部材をさらに備える。前記通風部材は、前記室内機に設けられ、風が吹き出される当該室内機の吹き出し口の少なくとも一部を覆う閉じ位置と、前記吹き出し口の少なくとも一部を開放する開き位置と、の間で移動可能であり、通風口が設けられる。前記通風部材が前記閉じ位置に位置するとき、前記室内機は、前記吹き出し口から前記通風口を通って吹き出される第1の風と、前記吹き出し口から前記通風口と異なる流路を通って吹き出される第2の風と、が混合される混合風を前記室内に吹き出す。前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記センサが前記生体を検知しない場合に、前記通風部材を前記閉じ位置に配置する。
【0013】
以上の空気調和機によれば、例えば、所望の生体に対して所望の風を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る空気調和機の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の風向板が閉じ位置に位置する室内機を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の風向板が開き位置に位置する室内機を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の風向板が開き位置に位置する室内機を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の通風部材が閉じ位置に位置する室内機を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の通風部材を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の無風感モードにおいて室内機が吹き出す風を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の室内機制御部を機能的に示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態のおでかけモードにおける室内機の制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の非検知時制御における室内機及び生体を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る室内機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図10を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係る空気調和機1の構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、空気調和機1は、室内機10と室外機100とを有する。室内機10は、例えば、室内に配置される。室外機100は、例えば、屋外に配置される。
【0017】
本実施形態の空気調和機1の室内機10は、レーダー2と、複数の風向板25,29と、通風部材26と、室内機制御部80とを有する。言い換えると、レーダー2、風向板25,29、通風部材26、及び室内機制御部80は、室内機10に設けられる。レーダー2は、センサの一例である。風向板25,29及び通風部材26は、ルーバーとも称され得る。室内機制御部80は、制御部の一例である。
【0018】
室内機10は、レーダー2を用いて、室内機10が設置された室内に存在する検知対象の検知を行う。本実施形態において、検知対象は、生体CR、家具のような物体、及び壁を含む。このため、空気調和機1は、レーダー2によって、室内機10が設置されている部屋(室内)の容積及び形状も検知可能である。生体CRは、大人、子供、幼児、及び動物を含む。
【0019】
本実施形態において、空気調和機1は、レーダー2によって検知された検知対象のうち生体CRの有無、生体CRの数、及び生体CRの形状情報(例えば、大きさ)に関する情報を取得する。空気調和機1は、当該情報に基づき、室内に存在する生体CRに適した風(空調空気)を提供するように、制御態様を決定することができる。
【0020】
例えば、空気調和機1は、レーダー2の検知結果に基づき、室内で動く検知対象を生体CRと見なす(判定する)ことができる。空気調和機1は、検知対象が部屋に進入してきた場合、その進入動作の検知により、当該検知対象を生体CRであると認識し、室内機10の制御に反映させることができる。
【0021】
空気調和機1は、検知対象が移動していなかった場合でも、検知対象が動いたときに当該検知対象を生体CRであると認識して室内機10の制御に反映させることができる。一方、空気調和機1は、家具及び壁のような継続的に静止状態を保つものは、非生体であると見なし、室内機10の制御の反映対象から除く。なお、生体CRか否かの判定は、この例に限られない。例えば、空気調和機1は、検知対象の形状や脈動に基づいて当該検知対象を生体CRと見なしても良い。また、空気調和機1は、赤外線センサのような他のセンサの検知結果と合わせて、検知対象が生体CRか否かの判定を行っても良い。
【0022】
空気調和機1の操作端末94aは、室内に存在する生体CRから操作指示を受け付け、受け付けられた操作指示に応じて、室内機10に指令を送信する。操作端末94aは、例えばリモートコントローラである。また、操作端末94aは、例えば、空気調和機1を制御するためのアプリケーションで動作するスマートフォンでも良い。
【0023】
室内機制御部80は、操作端末94aから受信された指令に応じて、空気調和処理を行うとともに、レーダー2を用いて検知された生体CRに応じた制御を行うことができる。空気調和機1は、レーダー2による検知結果に基づき実質的に室内機10を自動制御する「レーダー制御モード」と、レーダー2を利用せずにユーザが操作端末94aを用いた操作によって室内機10の制御(設定)を行う「通常制御モード」とを備える。
【0024】
レーダー制御モードにおいて、レーダー2は、室内機制御部80による制御の下、室内における検知対象(生体CR)の位置を連続的又は断続的に検知する。室内機制御部80は、検知される生体CRの位置を追跡しながら、生体CRに向かう風、又は逆に生体CRを避ける風を送るように、風向板25,29及び通風部材26を制御する。
【0025】
室内機制御部80は、室内機10が風(空調空気)を吹き出す向きの制御を風向板25,29の動作制御によって行う。これにより、空気調和機1は、室内機10が風を吹き出す方向を、室内に存在する生体CRの移動に応じて動的に変更することができるので、室内に存在する生体CRの快適性を動的に向上することができる。
【0026】
具体的には、室内機10は、室内から吸い込んだ空気に対して空気調和処理を行い、空気調和処理が施された空調空気(風)を室内に吹き出す。空気調和処理は、例えば、吸熱処理(冷房)、加熱処理(暖房)、除湿処理、加湿処理、送風処理、及び空気清浄処理等を含む。吸熱処理、加熱処理、除湿処理、加湿処理、送風処理、及び空気清浄処理のそれぞれは、空気調和機1の運転モード(主運転モード)としての、冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード、加湿運転モード、送風運転モード、及び空気清浄運転モードに対応する。
【0027】
主運転モードは、制御モード(レーダー制御モード、通常制御モード)と組み合わせられる。空気調和機1は、レーダー制御モードにおいて、冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード、加湿運転モード、送風運転モード、及び空気清浄運転モードのいずれのモードも選択し得る。通常制御モードについても同様である。
【0028】
空気調和機1は、補助運転モードとして、無風感モードを有する。無風感モードにおいて、空気調和機1は、室内機10が風を吹き出す際に二種類の流速の風を混在させることで広範囲に拡散する乱流を発生させて、放出される風を全体的に緩やかな風(いわゆる無風感(登録商標)の風)にする。補助運転モードは、制御モード及び主運転モードと組み合わせ可能である。
【0029】
空気調和機1は、主運転モードとして、自動運転モードを有しても良い。空気調和機1は、室温センサで室内の温度を検知する。空気調和機1は、自動運転モードにおいて、検知温度が設定温度より高ければ、暖房運転モードで動作し、検知温度が設定温度より低ければ、暖房運転モードで動作するようにしても良い。
【0030】
室内機10は、熱交換器22、ファン23、及び受信装置94をさらに有する。また、室内機10は、室内機制御部80によって制御される複数の駆動回路81~83及び複数のモータ84~87をさらに有する。
【0031】
室外機100は、熱交換器122、ファン123、四方弁124、圧縮機125、及び室外機制御部180を有する。また、室外機100は、室外機制御部180によって制御される複数の駆動回路181~183及び複数のモータ184~186をさらに有する。
【0032】
室内機10において、ファン23は、熱交換器22の近傍に位置する。ファン23は、室内機10の吸込み口を介して室内から吸い込んだ空気を熱交換器22へ導くとともに、熱交換器22で熱交換された空調空気を室内機10の吹出し口へ導く。室内機制御部80は、駆動回路81を制御することにより、ファン23を回転させるモータ84を駆動する。室内機制御部80は、ファン23の回転数を変更可能である。
【0033】
熱交換器22は、例えば冷媒配管と複数のフィンとを有する。熱交換器22は、当該熱交換器22の近傍を通る冷媒配管に熱的に接続される。熱交換器22は、室内から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う。
【0034】
室外機100において、ファン123は、熱交換器122の近傍に位置する。ファン123は、外気を吸い込んで熱交換器122へ導くとともに、熱交換器122で熱交換された外気を室外機100の外へ排出する。室外機制御部180は、駆動回路181を制御することにより、ファン123を回転させるモータ184を駆動する。室内機制御部80は、ファン123の回転数を変更可能である。
【0035】
熱交換器122は、例えば冷媒配管と複数のフィンとを有する。熱交換器122は、当該熱交換器122の近くを通る冷媒配管に熱的に接続される。熱交換器122は、外気と冷媒との間で熱交換を行う。
【0036】
四方弁124は、冷媒配管に設けられる。四方弁124は、室外機制御部180による制御に応じて、冷媒配管における冷媒の流路を冷房側と暖房側とで切り替え可能である。室外機制御部180は、駆動回路182を制御することにより、四方弁124を切り替えるモータ185を駆動する。室内機制御部80は、四方弁124を冷房側と暖房側とで切り替え可能である。
【0037】
圧縮機125は、冷媒配管に設けられ、冷媒を圧縮して冷媒配管に送り出す。室外機制御部180は、駆動回路183を制御することにより、圧縮機125に冷媒の圧縮サイクル動作を行わせるモータ186を駆動する。室内機制御部80は、室外機制御部180を介して、圧縮機125のサイクル数(単位時間当たりの圧縮サイクルの実行回数)を変更可能である。
【0038】
冷房運転モードの空気調和機1において、室内機制御部80は、室外機制御部180を介して、四方弁124を冷房側に切り替える。空気調和機1は、熱交換器22で吸熱処理を行い、室内の空気から冷媒に熱を吸収させ、吸熱された空調空気を室内へ吹き出す。さらに、空気調和機1は、熱交換器122で放熱処理を行い、冷媒に吸収された熱を外気へ放出させる。
【0039】
暖房運転モードの空気調和機1において、室内機制御部80は、室外機制御部180を介して、四方弁124を暖房側に切り替える。空気調和機1は、熱交換器122で吸熱処理を行い、外気から冷媒に熱を吸収させる。さらに、空気調和機1は、熱交換器22で加熱処理を行い、冷媒に吸収された熱で室内の空気を加熱し、加熱された空調空気を室内へ吹き出す。
【0040】
風向板25,29のそれぞれは、室内機10が吹き出す風をガイドする。風向板25,29のそれぞれは、例えば回転することで、向きを変更可能である。風向板25,29の向きが変更されることで、室内機10が風を吹き出す向き(以下、風向きと称する)が変更される。
【0041】
本明細書では、室内機制御部80は直接的には風向板25,29が向く方向を制御するが、風向板25,29が向く方向と風向きとは、おおむね一致するものとして説明する。すなわち、室内機制御部80は、風向板25,29の向きを調整することで、風向きを調整可能である。風向板25,29は、個別に回転させられることができる。これにより、室内機10は、一方向に風を吹き出すこともできるし、風向板25,29で区画される二つ以上の領域からそれぞれ異なる方向に風を吹き出すこともできる。
【0042】
風向板25は、風向きを上下方向に調整する。風向板29は、風向きを左右方向に調整する。風向板25は、閉じ位置と開き位置との間で回転可能である。閉じ位置に位置する風向板25は、室内機10の吹出し口を閉塞する。開き位置に位置する風向板25は、吹出し口を開放する。風向板25,29は、風向板25が開き位置に位置する状態で風向きを調整する。
【0043】
以下、
図2から
図7を用いて、室内機10のより具体的な構造を説明する。
図2は、第1の実施形態の風向板25が閉じ位置Pc1に位置する室内機10を概略的に示す断面図である。
図3は、第1の実施形態の風向板25が開き位置Po1に位置する室内機10を概略的に示す断面図である。
図4は、第1の実施形態の風向板25が開き位置Po1に位置する室内機10を示す斜視図である。
【0044】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、室内機10の幅に沿って設けられる。Y軸は、室内機10の奥行に沿って設けられる。Z軸は、室内機10の高さに沿って設けられる。
【0045】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。本実施形態において、+Z方向は上方向であり、-Z方向は下方向である。
【0046】
図2に示すように、室内機10は、筐体21を有する。筐体21は、X方向に延びた略直方体状に形成される。なお、筐体21は、他の形状に形成されてもよい。筐体21は、例えば、室内の壁に取り付けられる。筐体21は、上面21aと下面21bとを有する。上面21aは、筐体21の上方向の端部又はその近傍に設けられ、略上方向に向く。下面21bは、筐体21の下方向の端部又はその近傍に設けられ、略下方向に向く。
【0047】
筐体21に、通風路31、吸込み口32、及び吹き出し口33が設けられる。通風路31は、筐体21の内部に設けられる。吸込み口32は、例えば、筐体21の上面21aに開口する。吹き出し口33は、例えば、筐体21の下面21bに開口する。吸込み口32及び吹き出し口33は、筐体21の他の部分に開口しても良い。
【0048】
室内機10は、通風路31に風を通すことができる。吸込み口32は、通風路31の一方の端に設けられ、通風路31を室内機10の外部に連通する。吹き出し口33は、通風路31の他方の端に設けられ、通風路31を室内機10の外部に連通する。言い換えると、通風路31は、筐体21の内部において、吸込み口32と吹き出し口33との間に設けられる。
【0049】
熱交換器22は、通風路31に設けられる。熱交換器22は、通風路31において周囲の気体と熱交換を行う。これにより、熱交換器22は、冷房運転時に通風路31を流れる風を冷却し、暖房運転時に通風路31を流れる風を加熱する。
【0050】
ファン23は、通風路31に設けられる。ファン23は、X方向に延びる回転軸Axfまわりに回転することで、通風路31において吸込み口32から吹き出し口33へ風を送る。これにより、室内機11は、吸込み口32から室内の空気を通風路31へ吸い込み、吹き出し口33から通風路31の空気(風)を吹き出す。このため、本明細書では、通風路31において吸込み口32に近い側を上流、吹き出し口33に近い側を下流と称する。
【0051】
ファン23は、熱交換器22の下流に位置する。このため、ファン23が風を生じさせると、吸込み口32から吸い込まれた空気が熱交換器22のフィンを通過する。これにより、通風路31を流れる空気が熱交換器22と熱交換を行う。
【0052】
室内機10は、フィルタ24をさらに有する。フィルタ24は、吸込み口32、又は通風路31における吸込み口32の近傍に設けられる。フィルタ24は、熱交換器22の上流に位置する。
【0053】
フィルタ24は、筐体21の内部から吸込み口32を覆う。フィルタ24は、例えば、吸込み口32から吸い込まれた空気を濾過し、当該空気中の塵埃を捕捉する。フィルタ24は、HEPAフィルタを有しても良い。
【0054】
本実施形態の室内機10は、二つの風向板25(25A,25B)を有する。なお、風向板25の数は、この例に限られない。風向板25A,25Bのそれぞれは、風向きを上下方向に調整する部材であり、上下ルーバーとも称され得る。
【0055】
風向板25A,25Bのそれぞれは、軸部41と板部42とを有する。軸部41は、X方向に延びる略円柱状に形成される。軸部41は、X方向に延びる回転軸Axlまわりに回転可能に筐体21に支持される。なお、風向板25A,25Bはそれぞれ、個別の回転軸Axlを有する。板部42は、軸部41から回転軸Axlと略直交する方向に突出する。板部42は、X方向に延びる略矩形の板状に形成される。
【0056】
室内機制御部80は、
図1に示す駆動回路82を制御することにより、風向板25A,25Bを回転させるモータ85を駆動する。室内機制御部80は、風向板25A,25Bを
図2に示される閉じ位置Pc1と
図3に示される開き位置Po1との間で個別に回転させる。
【0057】
図3に示すように、開き位置Po1に位置する風向板25Aは、第1の流路C1を開放する。開き位置Po1に位置する風向板25Bは、第2の流路C2を開放する。第1の流路C1及び第2の流路C2のそれぞれは、吹き出し口33の一部である。すなわち、開き位置Po1に位置する風向板25A,25Bは、吹き出し口33の少なくとも一部を開放する。
【0058】
開き位置Po1は、風向板25A,25Bが吹き出し口33の一部を開放する種々の位置を含む。例えば、開き位置Po1は、
図3のように風向板25A,25Bが略水平方向に向く位置と、風向板25A,25Bが下方に向く位置と、これら二つの位置の間の複数の位置とを含む。すなわち、風向板25A,25Bは、略水平方向に向く位置と、下方に向く位置との間で回動可能である。
【0059】
開き位置Po1に位置する風向板25A,25Bは、当該風向板25A,25Bの向きにより、上下方向における風向きを調整する。すなわち、
図3のように風向板25A,25Bが略水平方向に向くことで、室内機10は略水平方向に風を吹き出す。一方、風向板25A,25Bが下方に向くことで、室内機10は下方向に風を吹き出す。
【0060】
図2に示すように、閉じ位置Pc1に位置する風向板25Aは、第1の流路C1を覆う。閉じ位置Pc1に位置する風向板25Bは、第2の流路C2を覆う。すなわち、閉じ位置Pc1に位置する風向板25A,25Bは、吹き出し口33の少なくとも一部を覆う。
【0061】
図4に示すように、室内機10は、複数の風向板29を有する。複数の風向板29のそれぞれは、例えば、略Z方向に延びる回転軸によって支持される。室内機制御部80は、
図1に示す駆動回路82を制御することにより、複数の風向板29を回転させるモータ86を駆動する。
【0062】
図4に示すように、複数の風向板29は、例えば、複数の風向板29-1~29-k,29-(k+1)~29-2kを含む。複数の風向板29-1~29-k,29-(k+1)~29-2kは、それぞれ、風向きを左右方向(-X方向、+X方向)に調整する部材であり、左右ルーバーとも称され得る。なお、-X側の風向板29-1~29-kと+X側の風向板29-(k+1)~29-2kとは、室内機制御部80により個別に回転させられても良い。
【0063】
-X側の風向板29-1~29-kは、共通の回転軸に連結される。室内機制御部80は、駆動回路82を介してモータ86を駆動することで、風向板29-1~29-kを一括して回転させる。
【0064】
+X側の風向板29-(k+1)~29-2kは、共通の回転軸に連結される。室内機制御部80は、駆動回路82を介してモータ86を駆動させ、風向板29-(k+1)~29-2kを一括して回転させる。
【0065】
図5は、第1の実施形態の通風部材26が閉じ位置Pc2に位置する室内機10を概略的に示す断面図である。風向板25Aが開き位置Po1に位置するとき、通風部材26は、
図5に示す閉じ位置Pc2と、
図2に示す開き位置Po2との間で移動可能である。
【0066】
図5に示すように、閉じ位置Pc2に位置する通風部材26は、開き位置Po1に位置する風向板25Aによって開放された吹き出し口33の少なくとも一部(第1の流路C1)を覆う。なお、通風部材26は、第2の流路C2を覆っても良い。
【0067】
図6は、第1の実施形態の通風部材26を示す斜視図である。
図6に示すように、通風部材26は、軸部51と板部52とを有する。軸部51は、X方向に延びる略円柱状に形成される。軸部51は、X方向に延びる回転軸Axcまわりに回転可能に筐体21に支持される。板部52は、軸部51から回転軸Axcと略直交する方向に突出する。板部52は、X方向に延びる略矩形の板状に形成される。
【0068】
室内機制御部80は、
図1に示す駆動回路83を制御することにより、通風部材26を回転させるモータ87を駆動する。室内機制御部80は、通風部材26を閉じ位置Pc2と開き位置Po2との間で移動(回転)させる。なお、通風部材26は、閉じ位置Pc2と開き位置Po2との間で平行移動しても良い。
【0069】
図5に示すように、板部52は、閉じ位置Pc2において通風路31に向く内面52aと、閉じ位置Pc2において外部に向く外面52bと、を有する。板部52に、内面52a及び外面52bに開口する少なくとも一つの通風口56が設けられる。本実施形態の板部52には、複数の通風口56が設けられる。
【0070】
通風部材26が閉じ位置Pc2に位置するとき、第1の流路C1を流れる風は、通風口56を通って吹き出し口33から吹き出される。すなわち、閉じ位置Pc2に位置する通風部材26は、第1の流路C1に挿入され、第1の流路C1の開口率を変更する。
【0071】
図3に示すように、開き位置Po2に位置する通風部材26は、第1の流路C1を開放する。すなわち、通風部材26が開き位置Po2に移動することで、第1の流路C1への通風部材26の挿入が解除され(例えば、第1の流路C1から退避され)、第1の流路C1の開口率が元に戻される。
【0072】
開き位置Po2に位置する通風部材26は、吹き出し口33の近傍に設けられた筐体21の窪み21cに収容される。窪み21cは、通風路31の一部を形成する筐体21の内面21dから窪んでいる。開き位置Po2に位置する通風部材26は、窪み21cに収容されることで、第1の流路C1を流れる風を妨げることを抑制される。
【0073】
室内機制御部80は、補助運転モードとしての無風感モードにおいて、通風部材26を閉じ位置Pc2に配置し、第1の流路C1の開口率を変更する。一方、通風部材26が存在しない第2の流路C2の開口率は元のまま維持される。
【0074】
室内機制御部80は、補助運転モードとしての無風感モードが解除されると、通風部材26を開き位置Po2に移動させる。これにより、通風部材26が第1の流路C1から退避し、第1の流路C1の開口率が元に戻される。
【0075】
図7は、第1の実施形態の無風感モードにおいて室内機10が吹き出す風を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、通風部材26が閉じ位置Pc2に位置すると、第1の流路C1の開口率は、通風部材26が開き位置Po2に位置するときに比べて小さくなる。通風部材26が閉じ位置Pc2に位置するとき、ファン23によって通風路31内を移動する風は通風口56を通り、風W1aに変化する。風W1aは、第1の風の一例である。
【0076】
一方、第2の流路C2には、通風部材26が設けられない。第2の流路C2の開口率は、元のまま維持されている。つまり、第2の流路C2から放出される風は、通風部材26を通過しない風W2aとなる。風W2aは、第2の風の一例である。風W2aは、例えば、層流である。第1の流路C1に設けられた通風部材26を通過する風W1aと、通風部材26が設けられない第2の流路C2を通過した風W2aとは、隣接して形成される。
【0077】
第1の流路C1の開口率が小さくなったことに応じて、風W1aの流速が早くなる。このため、風W1aは、風W2aを引き込む。これにより、風W2aが風W1aに当たる。また、乱流に遷移した風W1aは拡散することで、当該風W1aに隣接して流れる風W2aに当たる。このように、流速や状態(層流又は乱流)が異なる風W1a及び風W2aは、隣り合って流れることで、互いに当たる。すなわち、通風部材26(通風口56)を通過しない風W2aと、通風部材26(通風口56)を通過した風W1aとが互いに干渉する。
【0078】
風W1aと風W2aとが互いに当たることで、例えば、風W1a及び風W2aの塊が砕かれ、乱流である風W1aが風W2aに運ばれる。風W1a及び風W2aは、このような種々の相互作用を生じて、広範囲に拡散する混合風Wsを発生させる。
【0079】
別の表現によれば、通風部材26が閉じ位置Pc2に位置するとき、室内機10は、吹き出し口33から通風口56を通って吹き出される風W1aと、吹き出し口33から通風口56と異なる第2の流路C2を通って吹き出される風W2aと、が混合される混合風Wsを室内に吹き出す。なお、室内機10が吹き出した風が混合風Wsになるのであれば、室内機10が吹き出した直後の風が混合風Wsでなくても良い。
【0080】
混合風Wsは、乱流である。室内機10から吹き出される混合風Wsは、吹き出し口33から放出された直後の風よりも自然の風(いわゆる、無風感の風)に近い状態になる。通風部材26は、第1の流路C1及び第2の流路C2のいずれか一方に設けられれば良いため、部品点数の増加、室内機10の構成の複雑化、コスト上昇を抑制することができる。また、通風部材26は、簡素な構造を有し、コストの上昇及び通風部材26の強度低下を抑制することができる。
【0081】
以上の例では、室内機10は、二つの風向板25、一つの通風部材26、及び複数の風向板29を有しているが、風向板25,29及び通風部材26は、この例に限られない。例えば、室内機10は、X方向に並べられた複数の風向板25と、X方向に並べられた複数の通風部材26と、X方向に並べられた複数の風向板29とを有しても良い。この場合、室内機制御部80は、複数の風向板25,29の向きを個別に制御することで、風向板25,29で区画される二つ以上の領域からそれぞれ異なる方向に風を吹き出すことができる。また、室内機制御部80は、複数の通風部材26の位置を個別に閉じ位置Pc2又は開き位置Po2に設定することで、それぞれが通風部材26に覆われ又は開放された二つ以上の領域から互いに異なる性質の風(層流又は無風感の風)を吹き出すことができる。
【0082】
図1に示すレーダー2は、室内における検知対象(例えば生体CR)の位置、移動速度、角度、及び形状を検知可能である。レーダー2は、超音波レーダー、ミリ波レーダー、マイクロ波レーダー、又はドップラーLiDARのようなドップラーレーダである。なお、レーダー2は、この例に限られない。また、空気調和機1が備えるセンサは、レーダー2に限られず、光学センサ又は赤外線センサのような生体CRを検知可能な他のセンサであっても良い。
【0083】
レーダー2は、送信部2aと、受信部2bと、信号処理部2cとを有する。レーダー2は、ミリ波若しくはマイクロ波のような電磁波、音波、又は可視光、赤外線、若しくは紫外線のような光を信号処理部2cで生成して、送信部2aから室内に送信する。レーダー2は、室内に存在する検知対象(生体CR)によって反射した反射波を受信部2bで受信し、当該反射波に対応した信号を信号処理部2cから出力する。
【0084】
レーダー2は、例えば、室内機10の筐体21の前面のいずれかの位置、又は室内における検知対象(生体CR)の位置を検知しやすい他の位置に設けられる。レーダー2は、
図4に破線で示されように、筐体21の前方の部分におけるX方向中央近傍の位置に埋め込まれていても良い。送信部2a及び受信部2bは、筐体21の表面から露出する。
【0085】
図8は、第1の実施形態の室内機制御部80を機能的に示すブロック図である。室内機制御部80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、室内機制御部80は、この例に限られない。
【0086】
例えば、室内機制御部80のCPUは、ROM又は記憶装置にインストールされ記憶された制御プログラムを読み出し、当該プログラムに従って各種制御や演算処理を実行するモジュールを実現する。室内機制御部80は、運転モード制御部80a、駆動回路制御部80b、レーダー制御部80c、及び生体検知部80dのようなモジュールを備える。なお、これらの各モジュールは、ハードウェアにより実現されても良い。また、各モジュールは、機能毎に統合や分割されても良い。
【0087】
運転モード制御部80aは、室内機10の運転モードとして上述した制御モード(レーダー制御モード及び通常制御モード)、主運転モード(冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード、加湿運転モード、送風運転モード、及び空気清浄運転モード)、及び補助運転モード(無風感モード)のそれぞれの切り替えを行う。これらの切り替え動作は、ユーザが操作する操作端末94aからの指令信号に基づいて実行されたり、レーダー2の検知結果に基づいて自動的に行われたりする。
【0088】
駆動回路制御部80bは、運転モード制御部80aにおいて設定された主運転モード、制御モード、及び補助運転モードに基づき、駆動回路81~83を介してファン23、風向板25,29、及び通風部材26の動作制御を行う。通常制御モードにおいては、駆動回路制御部80bは、ユーザの操作に基づき、ファン23、風向板25,29、及び通風部材26の動作制御を行う。
【0089】
駆動回路制御部80bは、駆動回路82を介してモータ85を制御して風向板25の左右方向の位置制御を行う。また、駆動回路制御部80bは、駆動回路82を介してモータ86を制御して風向板29の上下方向の位置制御を行う。駆動回路制御部80bは、風向板25の方向制御と風向板29の方向制御とを組み合わせて行うことにより、吹き出し口33から吹き出される風の方向(到達位置)を適宜変更することができる。
【0090】
駆動回路制御部80bは、駆動回路81を介してモータ84を制御することでファン23の回転速度を変更し、室内機10が吹き出す風の流速を変更することができる。補助運転モードとしての無風感モードにおいて、駆動回路制御部80bは、駆動回路83を介してモータ87を制御し、通風部材26を閉じ位置Pc2に移動させる。これにより、無風感モードにおいて、室内機10は、乱流(いわゆる無風感の風)を吹き出し口33から吹き出すことができる。このように、駆動回路制御部80bは、室内機10が吹き出す風の質を変更することができる。
【0091】
レーダー制御部80cは、レーダー2(送信部2a、受信部2b)の送受信を制御するとともに、信号処理部2cから送信波及び受信波の解析結果(検知結果)を取得する。なお、レーダー2は、室内機10が操作端末94aの操作によって起動した後に検知処理を有効としても良いし、室内機10の起動にかかわらず、常時スタンバイモードで待機して、例えば室内で物体(検知対象)の移動(動き)を検知した場合、検知対象の有無、検知対象の数、検知対象の形状情報等を取得する通常起動するようにしても良い。
【0092】
生体検知部80dは、レーダー制御部80cが取得したレーダー2の検知結果に基づき、例えば、検知対象の中から生体CRを特定するとともに、特定した生体ごとにID(識別子)を付し、例えばRAM又は記憶装置に記憶する。なお、生体検知部80dは、例えば、動きによる変化量が所定の閾値以上の場合に検知対象を生体CRと見なし、その動きを検知したとき又は変化量が所定の閾値を超えたときにIDを生体CRに付す。また、例えば、室内に新たに進入してきた検知対象を生体CRと見なし、室内に進入したとき又はその直後にIDを生体CRに付す。以降、生体検知部80dは、例えば、生体CRが室内から退去したり室内に存在する死角に入ったりすることで生体CRを見失って所定期間が経過するまで、IDを維持し監視する。
【0093】
生体検知部80dは、室内に存在する有効なIDを追跡する。生体検知部80dは、追跡中の検知対象(生体CR、ID)が死角に入り、見失った場合は、所定期間(例えば30分)IDを維持し、同じ死角から現れた場合に同じIDを有効にするようにしても良い。この場合、室内機制御部80は、有効なIDを見失う直前の風の制御態様を継続するようにしても良い。また、生体検知部80dは、所定期間の経過後に死角から現れた検知対象(生体CR)に新たなIDを付しても良い。また、IDが付された検知対象(生体CR)が、室内の出入口(部屋の出入口)から退去した場合、生体検知部80dはIDを無効にしても良い。
【0094】
レーダー制御モードにおける駆動回路制御部80bは、レーダー2によって検知可能な室内における検知対象(生体CR)の位置に応じて、ファン23、風向板25,29、及び通風部材26を制御し、吹き出し口33から吹き出す風の方向や吹き出す風の質を制御する。なお、レーダー制御モードにおける駆動回路制御部80bは、生体CRの位置のみならず、他の条件に応じて、ファン23、風向板25,29、及び通風部材26を制御しても良い。
【0095】
本実施形態の空気調和機1は、複数のレーダー制御モードを備える。運転モード制御部80aは、複数のレーダー制御モードの中でレーダー制御モードを切り替え可能である。駆動回路制御部80bは、複数のレーダー制御モードのうち選択されたレーダー制御モードに応じて、レーダー2により検知された生体CRに対する風向板25,29の向きを制御する。
【0096】
複数のレーダー制御モードは、例えば、風当てモード、風避けモード、及びおでかけモードを含む。なお、レーダー制御モードは、この例に限られない。風当てモード又は風避けモードは、第1のモードの一例である。おでかけモードは、第2のモードの一例である。なお、レーダー制御モードは、他のモードを含んでも良い。
【0097】
風当てモードにおいて、駆動回路制御部80bは、例えば、レーダー2により検知されるとともに生体検知部80dによって追跡されている生体CRに向けて室内機10が風を吹き出すように、風向板25,29の向きを制御する。すなわち、駆動回路制御部80bは、生体CRに常に風が当たるように風向板25,29を制御する。風当てモードにおいて、空気調和機1は、例えば、冷房制御時の清涼感を向上させることができる。
【0098】
風避けモード及びおでかけモードのそれぞれにおいて、駆動回路制御部80bは、例えば、室内機10が吹き出す風がレーダー2により検知されるとともに生体検知部80dによって追跡されている生体CRを避けるように、風向板25,29の向きを制御する。言い換えると、駆動回路制御部80bは、生体CRが存在しない位置(不在領域)に向けて室内機10が風を吹き出すように風向板25,29を制御する。このため、風避けモードにおいて、空気調和機1は、生体CRに直接的に風が当たることを抑制し、生体CRの違和感を軽減させることができる。
【0099】
風当てモード及び風避けモードは、例えば、大人である生体CRが室内に居るときに利用される。一方、おでかけモードは、例えば、大人である生体CRが室内におらず、子供、幼児、又は動物である生体CRが室内に居るときに利用される。なお、風当てモード、風避けモード、及びおでかけモードの利用態様は、この例に限られない。
【0100】
上述の利用態様に応じて、風当てモード及び風避けモードにおけるレーダー2は、主に大人である生体CRを検知する。一方、おでかけモードにおいては、レーダー2は、子供、幼児、又は動物である生体CRを検知することとなる。一般的に、子供、幼児、又は動物である生体CRは、大人である生体CRより小さい。
【0101】
本実施形態のレーダー2は、風当てモード及び風避けモードにおいて大人である生体CRを検知しやすく、おでかけモードにおいて子供、幼児、又は動物である生体CRを検知しやすくなっている。おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさは、風当てモード及び風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさより小さい。すなわち、風当てモード及び風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさと、おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさと、が異なる。
【0102】
風当てモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさと、風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさとが、互いに異なっても良い。この場合においても、おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさは、風当てモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさよりも小さく、且つ風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさよりも小さい。
【0103】
なお、レーダー2により検知され得る生体CRの大きさは、レーダー2が検知可能な生体CRの最小の大きさを示す。すなわち、おでかけモードにおいても、レーダー2は、大人である生体CRを検知することが可能である。
【0104】
具体的に、一つの例においては、風当てモード及び風避けモードにおけるレーダー2の受信感度が、おでかけモードにおけるレーダー2の受信感度と異なっている。本実施形態におけるレーダー2の受信感度は、レーダー2による生体CRの検知しやすさの度合いである。
【0105】
例えば、上述のように、レーダー制御部80cがレーダー2から検知結果を取得し、生体検知部80dがレーダー2の検知結果に基づいて検知対象から生体CRを特定する。風当てモード及び風避けモードと、おでかけモードと、の間において、生体検知部80dが検知対象を生体CRと見なすための条件は異なる。
【0106】
生体検知部80dは、例えば、レーダー2の検知結果のうち、大きさが所定の閾値より小さい検知対象をノイズと見なし、生体CRとは特定しない。これにより、生体検知部80dは、例えば塵や埃を生体CRと誤って特定することを抑制できる。おでかけモードにおける当該閾値は、風当てモード及び風避けモードにおける当該閾値よりも小さく設定される。すなわち、おでかけモードにおいて、生体検知部80dは、より小さい検知対象を生体CRと特定することができる。
【0107】
レーダー2の受信感度は、他の方法により変更されても良い。例えば、レーダー制御部80cは、レーダー2の検知結果をフィルタリングし、当該検知結果における小さな検知対象の移動を示す情報をノイズとして除去しても良い。この場合、おでかけモードにおいて、レーダー制御部80cは、風当てモード及び風避けモードよりもフィルタリングの条件を緩め、比較的小さな検知対象の移動を示す情報を除去しない。これにより、おでかけモードにおいて、より小さい生体CRが検知され得る。
【0108】
また、レーダー2の信号処理部2cは、受信部2bが受信した反射波に対応する信号をフィルタリングしても良い。この場合、おでかけモードにおいて、信号処理部2cは、風当てモード及び風避けモードよりもフィルタリングの条件を緩める。これにより、おでかけモードにおいて、より小さい生体CRが検知され得る。
【0109】
他の一つの例においては、風当てモード及び風避けモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域が、おでかけモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域と異なっている。例えば、おでかけモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域の下限波長(又は中心波長若しくは上限波長)は、風当てモード及び風避けモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域の下限波長(又は中心波長若しくは上限波長)よりも短い。
【0110】
本実施形態のレーダー2は、パルス方式又はFMCW方式のtime of flight(TOF)センサである。パルス方式のレーダー2は、当該レーダー2のアンテナから、パルス状に電磁波を送信する。FMCW方式のレーダー2は、アンテナから送信する電磁波の周波数を連続的に変化させる。
【0111】
パルス方式のレーダー2において、おでかけモードのレーダー2が送信する電磁波の周波数は、風当てモード及び風避けモードのレーダー2が送信する電磁波の周波数よりも高く設定される。FMCW方式のレーダー2において、おでかけモードのレーダー2が送信する電磁波の上限周波数(又は中心周波数若しくは下限周波数)は、風当てモード及び風避けモードのレーダー2が送信する電磁波の上限周波数(又は中心周波数若しくは下限周波数)よりも高く設定される。
【0112】
送信する電磁波の周波数が高く波長が短いほど、レーダー2の距離分解能及び角度分解能が小さくなる。このため、おでかけモードにおいて、生体検知部80dは、より小さい検知対象を生体CRと特定することができる。
【0113】
風当てモード、風避けモード、及びおでかけモードにおける風向板25,29の動作制御は、上述の例に限られない。例えば風当てモード又は風避けモードにおいて、駆動回路制御部80bは、周期的に風向きを変化させ、生体CRに風が当たる状態と風が当たらない状態を交互に生じさせても良い。
【0114】
図9は、第1の実施形態のおでかけモードにおける室内機10の制御の一例を示すフローチャートである。以下、
図9を参照して、おでかけモードにおける室内機10の制御の一例について説明する。なお、おでかけモードにおける室内機10の制御は、以下に説明される例に限られない。
【0115】
まず、例えばユーザの操作により運転モード制御部80aが制御モードをおでかけモードに設定すると、生体検知部80dは、レーダー2の受信感度を高感度に設定する(S101)。具体的には、上述のように、生体検知部80dは、検知対象をノイズと見なすか否か判定するための閾値を、風当てモード及び風避けモードにおける当該閾値よりも小さくする。なお、上述のように、レーダー2の受信感度は、他の方法により変更されても良い。
【0116】
次に、生体検知部80dは、生体CRが検知されたか否かを判定する(S102)。上述のように、生体検知部80dは、室内で動く検知対象が存在する場合、当該検知対象を生体CRと見なし、当該生体CRにIDを付して追跡する。一方、生体検知部80dは、継続的に移動しない検知対象については生体CRと見なさない。
【0117】
生体検知部80dがレーダー2により生体CRを検知した場合(S102:Yes)、運転モード制御部80aは、無風感モードがオンに設定されているか否かを判定する(S103)。運転モード制御部80aは、補助運転モードとしての無風感モードがオンに設定されている場合(S103:Yes)、無風感モードをオフにする(S104)。
【0118】
運転モード制御部80aが無風感モードをオフに設定すると、駆動回路制御部80bは、駆動回路83を介してモータ87を駆動し、通風部材26を閉じ位置Pc2から開き位置Po2に移動させる。これにより、室内機10は、無風感の風ではない通常の風を吹き出し口33から吹き出す。
【0119】
S104において運転モード制御部80aが無風感モードをオフにした場合、又はS103において無風感モードがオフに設定されている場合(S103:No)、駆動回路制御部80bは、風避け制御を行う(S105)。具体的には、駆動回路制御部80bは、室内機10が吹き出す風が生体CRを避けるように、風向板25,29の向きを制御する。なお、S103,S104は、省略されても良い。すなわち、無風感モードがオンの状態で、駆動回路制御部80bが風避け制御を行っても良い。
【0120】
一方で、S102において、生体検知部80dがレーダー2により生体CRを検知しない場合(S102:No)、駆動回路制御部80bは、非検知時制御を行う(S106)。
図10は、第1の実施形態の非検知時制御における室内機10及び生体CRを模式的に示す図である。例えば、睡眠等により動きが無い場合やレーダー2の死角に入っている場合等、生体検知部80dがレーダー2により生体CRを検知しなかったとしても、子供、幼児、又は動物のような小さな生体CRが室内に存在することがある。非検知時制御における駆動回路制御部80bは、小さな生体CRに強い風を当てないように、ファン23、風向板25,29、及び通風部材26のうち少なくとも一つを制御する。
【0121】
例えば、駆動回路制御部80bは、駆動回路81を介してモータ84を制御し、ファン23の回転数を低減する。すなわち、駆動回路制御部80bは、おでかけモードにおいてレーダー2が生体CRを検知しない場合に、弱風運転を行い、室内機10が吹き出す風の風量を低減する。このため、もし室内機10が吹き出した風が生体CRに当たったとしても、風が生体CRに与える影響が低減される。
【0122】
さらに、駆動回路制御部80bは、駆動回路82を介してモータ85を制御し、風向板25が略水平方向に向くように当該風向板25の向きを制御する。言い換えると、駆動回路制御部80bは、風向板25を、冷房運転、暖房運転、及び除湿運転における風向板25の可動範囲のうち最も上方向に向ける。
【0123】
風向板25が略水平方向に向くことで、室内機10は、室内における上方の空間Suに向けて風を吹き出す。空間Suは、室内のうち所定の高さよりも上方の部分である。一般的に、子供、幼児、又は動物である生体CRが室内における上方の空間Suに存在することは少ない。このため、風向板25は、室内機10が吹き出した風が生体CRに直接的に当たることを抑制できる。
【0124】
風向板25の向きは、略水平方向に限られない。例えば、レーダー2が室内の出入口を検知している場合、駆動回路制御部80bは、室内機10が当該出入口よりも上方の空間に向けて風を吹き出すように、風向板25の向きを制御しても良い。また、レーダー2が、室内機10が設置されている壁の反対側の壁を検知している場合、駆動回路制御部80bは、当該反対側の壁において所定の高さよりも上方の部分に向けて室内機10が風を吹き出すように、風向板25の向きを制御しても良い。
【0125】
さらに加えて、運転モード制御部80aが、補助運転モードとしての無風感モードをオンにする。これにより、駆動回路制御部80bは、駆動回路83を介してモータ87を制御し、通風部材26を閉じ位置Pc2に移動させる。すなわち、駆動回路制御部80bは、おでかけモードにおいてレーダー2が生体CRを検知しない場合に、通風部材26を閉じ位置Pc2に配置する。
【0126】
無風感モードがオンに設定されることで、室内機10は、自然の風に近い無風感の風(混合風Ws)を吹き出す。このため、もし室内機10が吹き出した風が生体CRに当たったとしても、風が生体CRに与える影響が低減される。
【0127】
非検知時制御は、上述の弱風運転、風向板25の向きの変更、及び無風感モードのオンのうち、少なくとも一つを含む。また、駆動回路制御部80bは、弱風運転、風向板25の向きの変更、及び無風感モードのオンを、他の条件に基づき切り替えても良い。例えば、主運転モードとして冷房運転モードが選択されている場合、駆動回路制御部80bは、室内の温度が低いときに非検知時制御として弱風運転を行い、室内の温度が高いときに非検知時制御として無風感モードをオンにしても良い。また、非検知時制御は、操作端末94aを用いた操作によって切り替えられても良い。
【0128】
駆動回路制御部80bが
図9のS105において風避け制御を実行し又はS106において非検知時制御を実行すると、運転モード制御部80aは、おでかけモードの終了指令があったか否かを判定する(S107)。具体的には、運転モード制御部80aは、例えばユーザが操作する操作端末94aから、おでかけモードから他のモードに制御モードを切り替える指令信号を受信しているか否かを判定する。
【0129】
おでかけモードが終了せず継続する場合(S107:No)、S102に戻り、S102~S107を繰り返す。S107においておでかけモードの終了指令があった場合(S107:Yes)、生体検知部80dは、レーダー2の受信感度を通常の感度に設定する(S108)。すなわち、生体検知部80dは、検知対象をノイズと見なすか否か判定するための閾値を、おでかけモードにおける当該閾値よりも大きくする。レーダー2の受信感度が戻されると、おでかけモードは終了する。
【0130】
以上説明された第1の実施形態に係る空気調和機1において、室内機制御部80は、複数の制御モードの中で制御モードを切り替え可能である。室内機制御部80は、複数の制御モードのうち選択された制御モードに応じて、レーダー2により検知された生体CRに対する風向板25,29の向きを制御する。複数の制御モードは、風避けモード(又は風当てモード)とおでかけモードとを含む。風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさは、おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさと異なる。これにより、空気調和機1は、各制御モードにおいて望まれる向きの風を吹き出すことができる。一例として、風避けモード及びおでかけモードにおいて、室内機制御部80は、室内機10が吹き出す風がレーダー2に検知された生体CRを避けるように風向板25,29の向きを制御する。風避けモードにおいて大人のような比較的大きい生体CRがレーダー2により検知される場合、子供、幼児、又は小動物のような比較的小さい生体CRはノイズと判定され、空気調和機1は比較的小さい生体CRに向けて風を吹き出す可能性がある。しかし、おでかけモードにおいて比較的小さい生体CRがレーダー2により検知される場合、室内機制御部80は、室内機10が吹き出す風が比較的小さい生体CRを避けるように風向板25,29の向きを制御できる。このように、空気調和機1は、風避けモードとおでかけモードとの間で制御モードを切り替えることで、所望の生体CRに対して所望の風を提供することができる。
【0131】
空気調和機1は、センサとしてのレーダー2を有する。これにより、空気調和機1は、生体CRの追跡精度を向上させることができる。例えば、レーダー2は、例えば光学センサ又は赤外線センサに比べ、明るさや水分の影響を受けにくい。また、空気調和機1は、ドップラー効果を利用することで、レーダー2により生体CRの移動速度を検知することができる。
【0132】
風避けモードにおけるレーダー2の受信感度は、おでかけモードにおけるレーダー2の受信感度と異なる。これにより、空気調和機1は、一つのレーダー2を有することで、風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさを、おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさと異ならせることができる。従って、空気調和機1は、複数のレーダー2が不要となり、コストの増大を抑制することができる。
【0133】
風避けモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域は、おでかけモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域と異なる。一般的に、レーダー2が送信する電磁波の波長帯域が短ければ、レーダー2の空間分解能及び距離分解能が小さくなり、レーダー2がより小さい生体CRを検知することができる。これにより、空気調和機1は、一つのレーダー2を有することで、風避けモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさを、おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさと異ならせることができる。従って、空気調和機1は、複数のレーダー2が不要となり、コストの増大を抑制することができる。
【0134】
風避けモードにおいて、室内機制御部80は、室内機10が吹き出す風がレーダー2に検知された生体CRを避けるように風向板25,29の向きを制御する。また、風当てモードにおいて、室内機制御部80は、室内機10がレーダー2に検知された生体CRに向けて風を吹き出すように風向板25,29の向きを制御する。おでかけモードにおいて、室内機制御部80は、室内機10が吹き出す風がレーダー2に検知された生体CRを避けるように風向板25,29の向きを制御する。おでかけモードにおいてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさは、風避けモード(又は風当てモード)においてレーダー2により検知され得る生体CRの大きさより小さい。すなわち、おでかけモードにおける室内機制御部80は、室内機10が吹き出す風が比較的小さい生体CRを避けるように風向板25,29の向きを制御する。これにより、空気調和機1は、子供、幼児、又は小動物が直接的に風を受けることを抑制できる。一方、風当てモードが選択されることで、空気調和機1は、涼しさ又は暖かさを得たい生体CRに直接的に風を提供することができる。従って、空気調和機1は、風避けモード、風当てモード、及びおでかけモードの間で制御モードを切り替えることで、所望の生体CRに対して所望の風(生体CRに直接的に当たる風、又は生体CRに当たらず室内を空気調和する風)を提供することができる。
【0135】
室内機制御部80は、おでかけモードにおいてレーダー2が生体CRを検知しない場合に、室内機10が吹き出す風の風量を低減し、又は室内機10が室内における上方の空間Suに向けて風を吹き出すように風向板25,29の向きを制御する。これにより、空気調和機1は、検知されなかった比較的小さい生体CRが直接的に強い風を受けることを抑制できる。
【0136】
通風部材26は、室内機10に設けられ、通風口56が設けられる。通風部材26は、閉じ位置Pc2と開き位置Po2との間で移動可能である。閉じ位置Pc2において、通風部材26は、風が吹き出される室内機10の吹き出し口33の少なくとも一部を覆う。開き位置Po2において、通風部材26は、吹き出し口33の少なくとも一部を開放する。通風部材26が閉じ位置Pc2に位置するとき、室内機10は、吹き出し口から通風口56を通って吹き出される風W1aと、吹き出し口から通風口56と異なる流路を通って吹き出される風W2aと、が混合される混合風Wsを室内に吹き出す。室内機制御部80は、おでかけモードにおいてレーダー2が生体CRを検知しない場合に、通風部材26を閉じ位置Pc2に配置する。風W1aは、通風口56を通ることで増速させられる。このため、風W1aと風W2aとは、流速と状態(乱流又は層流)との少なくとも一方が互いに異なる。当該風W1a,W2aが混合されることで、風W1a,W2aの塊が砕かれ、混合風Wsは自然の風に近い乱流となる。自然の風に近い混合風Wsは、層流の風に比べて、生体CRに冷たさ及び暑さを感じさせにくい。これにより、空気調和機1は、検知されなかった比較的小さい生体CRが冷たさ及び暑さを感じやすい層流の風を受けることを抑制できる。
【0137】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図11を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0138】
図11は、第2の実施形態に係る室内機10を示す斜視図である。
図11に示すように、第2の実施形態の室内機10は、二つのレーダー2を有する。二つのレーダー2は、受信感度又は用いる電磁波の波長が互いに異なる。なお、二つのレーダー2は、種類が異なる二つのセンサであっても良い。
【0139】
レーダー制御部80cは、二つのレーダー2の中で使用するレーダー2を切り替えることができる。レーダー制御部80cは、使用するレーダー2を切り替えることで、レーダー2の受信感度、又はレーダー2が送信する電磁波の波長を変更することができる。
【0140】
例えば、運転モード制御部80aがレーダー制御モードを風当てモード又は風避けモードに設定すると、レーダー制御部80cは、受信感度が低い、又は波長が長い電磁波を送信するレーダー2を、使用されるレーダー2に設定する。一方、運転モード制御部80aがレーダー制御モードをおでかけモードに設定すると、レーダー制御部80cは、受信感度が高い、又は波長が短い電磁波を送信するレーダー2を、使用されるレーダー2に設定する。
【0141】
上述のように、第2の実施形態の空気調和機1は、レーダー2を切り替えることにより、風当てモード及び風避けモードにおけるレーダー2の受信感度を、おでかけモードにおけるレーダー2の受信感度と異ならせることができる。また、第2の実施形態の空気調和機1は、レーダー2を切り替えることにより、風当てモード及び風避けモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域を、おでかけモードにおいてレーダー2が送信する電磁波の波長帯域と異ならせることができる。これにより、おでかけモードにおいて、生体検知部80dは、より小さい検知対象を生体CRと特定することができる。
【0142】
以上説明された第2の実施形態の空気調和機1において、空気調和機1は、複数のレーダー2を有する。風避けモード(又は風当てモード)において電磁波を送信するレーダー2と、おでかけモードにおいて電磁波を送信するレーダー2とは、互いに異なる。これにより、例えば、空気調和機1は、風避けモードとおでかけモードとの間でレーダー2により検知可能な生体CRの大きさを大きく変更することができる。
【0143】
以上の実施形態の無風感モードにおいて、通風部材26の通風口56を通って吹き出される風W1aと、第2の流路C2から吹き出される風W2aとが混合され、混合風Wsが生じる。しかし、無風感モードはこの例に限られない。例えば、通風部材26に、通風口56と、スリットとが設けられても良い。通風口56を通って吹き出される風W1aと、スリットを通って吹き出される風(層流)と、が混合されることで、混合風Wsが生じても良い。
【0144】
以上の実施形態の複数のレーダー制御モードは、風当てモード、風避けモード、及びおでかけモードを含んでいる。しかし、風当てモード及び風避けモードのうち一方が省略されても良い。また、レーダー制御モードは、おでかけモードに加えて、又はおでかけモードの代わりに、風当てモード又は風避けモードよりもレーダー2が検知し得る生体CRの大きさが小さい他のモードを有しても良い。すなわち、レーダー制御モードは、レーダー2により検知され得る生体CRの大きさが互いに異なる二つ以上のモードを有していれば良い。
【0145】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
1…空気調和機、2…レーダー、10…室内機、25,25A,25B,29…風向板、26…通風部材、33…吹き出し口、56…通風口、80…室内機制御部、CR…生体、Pc2…閉じ位置、Po2…開き位置、W1a,W2a…風、Ws…混合風、Su…上方の空間。