(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061533
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】作業機及び機器用フック
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240425BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169533
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正幸
(72)【発明者】
【氏名】東海林 潤一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 滋
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA02
3C064BA12
3C064BA18
3C064BA32
3C064BB10
3C064BB86
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB28
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB86
3C064CB92
(57)【要約】
【課題】カラビナと落下防止コードの双方を容易に装着可能な作業機及び機器用フックを提供する。
【解決手段】作業機1は、電池パック装着部13に機器用フックとしてカラビナフック30を装着できる。カラビナフック30は、背面部31、左側面部32、右側面部33、第1引っ掛け部34、第2引っ掛け部35を有する。第1引っ掛け部34及び第2引っ掛け部35は、U字状であり、背面部31の後面からそれぞれ後方に突出する。第1引っ掛け部34は後方から見て上下方向に延びる。第1引っ掛け部34は、作業機1をカラビナ53に吊り下げるのに利用できる。第2引っ掛け部35は後方から見て左右方向に延びる。第2引っ掛け部35は、作業機1に落下防止コード56を装着するのに利用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に先端工具装着部を有する作業機において、
後部に第1及び第2引っ掛け部を有し、
後方から見て前記第1及び第2引っ掛け部が互いに交差する方向に延びる、作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機であって、
ハウジングを有し、
前記第1及び第2引っ掛け部は、左右方向において前記ハウジングの存在範囲内に収まる、作業機。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機であって、
後方に臨むベース面を有するベース部を有し、
前記第1及び第2引っ掛け部はそれぞれ前記ベース面から後方に突出する、作業機。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機であって、
ハウジングを有し、
前記ベース部は前記ハウジングと別体であり、
前記第1及び第2引っ掛け部は前記ベース部に一体的に接続される、作業機。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機であって、
カラープレートを取付け可能な電池パック装着部を有し、
前記ベース部は、前記カラープレートを取り付けた状態及び取り付けていない状態の双方において前記電池パック装着部に着脱可能である、作業機。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機であって、
上下方向に延びるハンドル部を有し、
前記ハンドル部の一端側に前記第1及び第2引っ掛け部が設けられる、作業機。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機であって、
前記第1引っ掛け部は後方から見て上下方向に延び、
前記第2引っ掛け部は後方から見て左右方向に延びる、作業機。
【請求項8】
請求項7に記載の作業機であって、
前記第1引っ掛け部が前記第2引っ掛け部よりも大きい、作業機。
【請求項9】
請求項7に記載の作業機であって、
上下方向において前記第1引っ掛け部の存在範囲内に前記第2引っ掛け部が位置する、作業機。
【請求項10】
後方に臨むベース面を有するベース部と、
前記ベース面から後方に突出する第1及び第2引っ掛け部と、を有し、
後方から見て前記第1及び第2引っ掛け部が互いに交差する方向に延びる、機器用フック。
【請求項11】
請求項10に記載の機器用フックであって、
前記第1引っ掛け部は後方から見て上下方向に延び、
前記第2引っ掛け部は後方から見て左右方向に延びる、機器用フック。
【請求項12】
請求項11に記載の機器用フックであって、
前記第1引っ掛け部が前記第2引っ掛け部よりも大きい、機器用フック。
【請求項13】
請求項11に記載の機器用フックであって、
上下方向において前記第1引っ掛け部の存在範囲内に前記第2引っ掛け部が位置する、機器用フック。
【請求項14】
請求項11に記載の機器用フックであって、
前記第1引っ掛け部が前記第2引っ掛け部の左方に位置する、機器用フック。
【請求項15】
請求項11に記載の機器用フックであって、
前記第1及び第2引っ掛け部はそれぞれU字状である、機器用フック。
【請求項16】
請求項15に記載の機器用フックであって、
前記第1引っ掛け部は上下方向に離間した二箇所で前記ベース面に接続され、
前記ベース部は、板金部品であり、前記ベース面の前記二箇所の間に前記ベース部の強度を向上させる絞り加工部を有する、機器用フック。
【請求項17】
請求項16に記載の機器用フックであって、
前記絞り加工部は左右方向に延びる、機器用フック。
【請求項18】
請求項11に記載の機器用フックであって、
左右方向において前記第1引っ掛け部が存在する第1範囲における前記ベース面の上下方向の長さが、左右方向において前記第2引っ掛け部が存在する第2範囲における前記ベース面の上下方向の長さよりも長い、機器用フック。
【請求項19】
請求項18に記載の機器用フックであって、
前記ベース面は、前記第1範囲と前記第2範囲との間で上下方向の長さが連続的に変化する部分を有する、機器用フック。
【請求項20】
後方に臨むベース面を有するベース部と、
前記ベース面から後方に突出する引っ掛け部と、を有し、
前記ベース部は、前記引っ掛け部の接続箇所の近傍に、前記ベース部の強度を向上させる絞り加工部を有する、機器用フック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機及び機器用フックに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、作業機に装着可能なカラビナフックであって、作業者のベルトにカラビナを介して作業機を吊り下げ可能とするカラビナフックを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば高所作業の場合、カラビナに加えて落下防止コードを作業機に装着することがあり、装着の作業性が課題となっていた。
【0005】
本発明の目的は、カラビナと落下防止コードの双方を容易に装着可能な作業機及び機器用フックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、作業機である。この作業機は、
前部に先端工具装着部を有する作業機において、
後部に第1及び第2引っ掛け部を有し、
後方から見て前記第1及び第2引っ掛け部が互いに交差する方向に延びる。
【0007】
本発明の別の態様は、機器用フックである。この機器用フックは、
後方に臨むベース面を有するベース部と、
前記ベース面から後方に突出する第1及び第2引っ掛け部と、を有し、
後方から見て前記第1及び第2引っ掛け部が互いに交差する方向に延びる。
【0008】
本発明の作業機は「電動作業機」や「電動工具」、「電気機器」等と表現されてもよく、そのように表現されたものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カラビナと落下防止コードの双方を容易に装着可能な作業機及び機器用フックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る作業機1の斜視図。
【
図2】
図1において電池パック装着部13にカラープレート40も装着した状態の要部斜視図。
【
図5】(A)は、カラビナフック30の背面図。(B)は、
図5(A)のA-A断面図。
【
図6】作業機1をカラビナ53に吊り下げ、かつ作業機1に落下防止コード56を装着した状態の斜視図。
【
図7】本発明の実施の形態2に係るカラビナフック60であって左利き用に構成されたカラビナフック60の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1~
図6は、本発明の実施の形態1に関する。本実施の形態は、作業機1及びカラビナフック30に関する。作業機1はインパクトドライバである。カラビナフック30は機器用フックの例示である。
図1、
図3、
図4、
図5(A)に示すように、作業機1及びカラビナフック30における互いに直交する前後、上下、左右方向を定義する。
【0012】
図1に示すように、作業機1は、ハウジング10を有する。ハウジング10は、例えば左右二分割構造の樹脂成形体である。ハウジング10は、モータ収容部11、ハンドル部12、及び電池パック装着部13を含む。
【0013】
モータ収容部11は、中心軸が前後方向と略平行な筒状部である。ハンドル部12は、上端がモータ収容部11の前後方向の中間部に接続されて前記中間部から下方に延びる。電池パック装着部13は、ハンドル部12の下端に設けられ、電池パック17を着脱可能に装着できる。作業機1は、電池パック17の電力で動作する。
【0014】
作業機1は、モータ収容部11の後側の開口に接続されて当該開口を覆うテールカバー14を有する。テールカバー14は、ねじ止め等によりモータ収容部11に固定される。
【0015】
作業機1は、モータ収容部11の前部に接続されたハンマケース18を有する。ハンマケース18は、例えば金属製であり、モータ収容部11に保持されてモータ収容部11から前方に延びる。
【0016】
作業機1は、モータ収容部11及びハンマケース18の内側に、モータ、減速機構、スピンドル、回転打撃機構、ファン等を有する。モータの回転は減速機構を介してスピンドルに伝達され、スピンドルが回転打撃機構を駆動する。ファンは、モータに直結され、モータ等を冷却する冷却風を発生する。モータ収容部11及びハンマケース18の内部の構成は周知のため、図示及びこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0017】
回転打撃機構の前端部、すなわち作業機1の前部には、先端工具20を装着可能な先端工具装着部45が設けられる。ビット等の先端工具20は、先端工具装着部45から前方に延びる。
【0018】
作業機1は、ハンドル部12の上端部に、ユーザがモータの回転、停止を切り替えるためのトリガスイッチ15を有する。作業機1は、モータ収容部11とハンドル部12との境界部付近に、ユーザがモータの正転、逆転を切り替えるための正逆切替スイッチ16を有する。
【0019】
作業機1は、電池パック装着部13内に制御基板を有する。この制御基板は、モータの駆動を制御するマイコン等を搭載する。作業機1は、電池パック装着部13の前部上面に操作パネル19を有する。操作パネル19は、表示部や制御モード切替スイッチ、照明切替スイッチ等を有する。
【0020】
電池パック装着部13には、カラビナフック30を着脱可能に装着できる。電池パック装着部13は左側面に、カラビナフック30を係止するための穴部21を有する。図には現れないが、電池パック装着部13は右側面にも、穴部21と同様にカラビナフック30を係止するための穴部を有する。電池パック装着部13は左右両側面にそれぞれ、カラビナフック30を固定するねじ39を螺着させる図示しないねじ穴を有する。
【0021】
カラビナフック30は、背面部31、左側面部32、右側面部33、第1引っ掛け部34、第2引っ掛け部35を有する。背面部31、左側面部32、右側面部33は、ハウジング10とは別体の単一の板金部品であり、カラビナフック30のベース部を構成する。ベース部は、
図2に示すように電池パック装着部13にカラープレート40を取り付けた状態、及び
図1に示すように電池パック装着部13にカラープレート40を取り付けていない状態の双方において、電池パック装着部13に着脱可能である。カラープレート40は、様々な色のものが市販されており、作業機1の所有者を判別しやすくする等の機能を有する。
【0022】
背面部31は、前後方向と略垂直な板状部である。背面部31の一方の面であって後方に臨む面(後面)は、ベース面を構成する。背面部31は、電池パック17の背面を部分的に覆う。
【0023】
左側面部32は、背面部31の左端部から折れ曲がって前方に延び、電池パック17の左側面を部分的に覆う。
図5(A)に示すように、左側面部32は、背面部31の上端部よりも上方に延在する。
【0024】
左側面部32は、上端部に右方に折れ曲がった挿入部37を有する。挿入部37は、電池パック装着部13の左側の穴部21に挿入ないし嵌入され、軽圧入による保持力を発生する。なお、
図2に示すように電池パック装着部13の左側面にカラープレート40が装着されている場合、挿入部37は、カラープレート40に貫通孔41を貫通して電池パック装着部13の左側の穴部21に挿入ないし嵌入される。
【0025】
左側面部32は、
図3及び
図4に示すように貫通孔42を有する。
図1に示すねじ39は、貫通孔42を貫通して電池パック装着部13の図示しないねじ穴に螺着され、カラビナフック30を電池パック装着部13に固定する。
【0026】
右側面部33は、背面部31の右端部から折れ曲がって前方に延び、電池パック17の右側面を部分的に覆う。
図5(A)に示すように、右側面部33は、背面部31の上端部よりも上方に延在する。
【0027】
右側面部33は、上端部に左方に折れ曲がった挿入部38を有する。挿入部38は、電池パック装着部13の右側の図示しない穴部に挿入ないし嵌入され、軽圧入による保持力を発生する。なお、電池パック装着部13の右側面にカラープレートが装着されている場合、挿入部38は、カラープレートの貫通孔を貫通して電池パック装着部13の右側の図示しない穴部に挿入ないし嵌入される。
【0028】
右側面部33は、
図3に示すように貫通孔43を有する。図示しないねじが貫通孔43を貫通して電池パック装着部13の図示しないねじ穴に螺着され、カラビナフック30を電池パック装着部13に固定する。
【0029】
第1引っ掛け部34は、U字状であり、背面部31の後面から後方に突出する。第1引っ掛け部34は、
図5(A)に示すように後方から見て上下方向に延びる。第1引っ掛け部34は、上下方向に離間した2箇所で背面部31の後面に例えば溶接により一体的に接続される。第1引っ掛け部34は、
図6に示すように作業機1をカラビナ53に吊り下げるカラビナ係止部として好適に利用できる。
【0030】
第2引っ掛け部35は、U字状であり、背面部31の後面から後方に突出する。第2引っ掛け部35は、
図5(A)に示すように後方から見て左右方向に延びる。第2引っ掛け部35は、左右方向に離間した2箇所で背面部31の後面に例えば溶接により一体的に接続される。第2引っ掛け部35は、
図6に示すように作業機1に落下防止コード56を装着する落下防止コード係止部として好適に利用できる。
【0031】
第1引っ掛け部34及び第2引っ掛け部35は、
図5(A)に示すように後方から見て互いに交差する方向に延びる。第1引っ掛け部34及び第2引っ掛け部35は、ハンドル部12の下端側に位置し、左右方向においてハウジング10の存在範囲内に収まる(ハウジング10から左右方向に出っ張らない)。
【0032】
第1引っ掛け部34は、第2引っ掛け部35よりも大きい。具体的には、第1引っ掛け部34は後方への突出長が第2引っ掛け部35よりも長い。また第1引っ掛け部34の上下方向の長さは、第2引っ掛け部35の左右方向の長さよりも長い。
【0033】
図5(A)に示すように、上下方向において第1引っ掛け部34の存在範囲内に第2引っ掛け部35が位置する。第1引っ掛け部34は第2引っ掛け部35の左方に位置する。第1引っ掛け部34と第2引っ掛け部35の左右の位置関係は、右利きの作業者を想定したものであり、右手に作業機1を持った作業者が
図6に示すようにカラビナ53を第1引っ掛け部34に取り付ける作業性を考慮したものである。
【0034】
背面部31は、第1引っ掛け部34が接続された2箇所の間に、背面部31の強度を向上させる絞り加工部36(絞り部)を有する。
図5(A)に示すように、絞り加工部36は左右方向に延びる。
図5(B)に示すように、絞り加工部36は後方に突出するよう形成される。
【0035】
図5(A)に示すように、背面部31は、左右方向において第1引っ掛け部34が存在する第1範囲におけるベース面の上下方向の長さL1が、左右方向において第2引っ掛け部35が存在する第2範囲におけるベース面の上下方向の長さL2よりも長い。背面部31は、下縁部に傾斜部44を有する。傾斜部44は、第1範囲と第2範囲との間で上下方向の長さが連続的に変化する部分である。
【0036】
図3、
図5(A)に示すように、背面部31は、上縁部と下縁部にそれぞれ突出部46、47を有する。突出部46は、背面部31と第1引っ掛け部34との2箇所の接続部のうち上側の接続部の上方に位置し、当該接続部を迂回するように上側に膨らむように湾曲した部分である。突出部47は、背面部31と第1引っ掛け部34との2箇所の接続部のうち下側の接続部の下方に位置し、当該接続部を迂回するように下側に膨らむように湾曲した部分である。
【0037】
図6は、作業機1をカラビナ53に吊り下げ、かつ作業機1に落下防止コード56を装着した状態の斜視図である。
図6において、ベルト50は、作業者が例えば腰に身に付けたものである。カラビナ工具差51は、ベルト50に取り付けるベルトクリップ52と、カラビナ53とを一体化したものである。図示の例の他にも、様々な種類のカラビナ工具差が市販されている。
【0038】
右利きの作業者は通常、自身の右側にカラビナ工具差51が来るようにカラビナ工具差51をベルト50に取り付ける。そしてカラビナ53に作業機1を吊り下げる際には、先端工具装着部45を地面等に向けた姿勢で、第1引っ掛け部34によってカラビナ53の可動部54を回動させながら、
図6に示すように第1引っ掛け部34がカラビナ53の内側を通る状態とする。
【0039】
このとき、第1引っ掛け部34が後方から見て上下方向に延びるため、先端工具装着部45を地面等に向けた姿勢で第1引っ掛け部34とカラビナ53の可動部54とを交差状態で接触させやすく、第1引っ掛け部34により可動部54を回動させやすい。よって、カラビナ53に作業機1を吊り下げる作業性が良い。
【0040】
比較として第1引っ掛け部34を後方から見て左右方向と平行にした場合、先端工具装着部45を地面等に向けた姿勢にしたときに、第1引っ掛け部34とカラビナ53の可動部54とを交差状態で接触させにくく、第1引っ掛け部34により可動部54を回動させにくい。このため、第1引っ掛け部34は、後方から見て上下方向に延びることが望ましい。
【0041】
落下防止コード56は、図示しない一端が例えばベルト50に取り付けられる。落下防止コード56の他端のフック部57は、第2引っ掛け部35に引っ掛けられる。具体的には、フック部57の可動部58を第2引っ掛け部35に押し付けて可動部58を回動させながら、
図6に示すように第2引っ掛け部35がフック部57の内側を通る状態とする。
【0042】
このとき、第2引っ掛け部35が後方から見て左右方向に延びていることで、カラビナ53に吊り下げた状態の作業機1の第2引っ掛け部35に落下防止コード56のフック部57を引っ掛ける際、作業者は手首を特にひねらなくてもフック部57の可動部58と第2引っ掛け部35とを交差状態で接触させやすく、第2引っ掛け部35により可動部58を回動させやすい。よって、落下防止コード56のフック部57を作業機1に取り付ける作業性が良い。
【0043】
比較として第2引っ掛け部35を後方から見て上下方向と平行にした場合、フック部57の可動部58と第2引っ掛け部35とを交差状態で接触させるために手首をひねる必要があり、作業性が良くない。このため、第2引っ掛け部35は、後方から見て左右方向に延びることが望ましい。
【0044】
本実施の形態は、下記の作用効果を奏する。
【0045】
(1) カラビナフック30は、後方から見て第1引っ掛け部34及び第2引っ掛け部35が互いに交差する方向に延びる構成のため、カラビナ53と落下防止コード56のように装着の仕方が異なる複数の部材を好適に装着できる。よって、後方から見て第1引っ掛け部34及び第2引っ掛け部35が平行な構成と比較して、カラビナ53と落下防止コード56の双方を容易に装着可能となる。
【0046】
(2) 第1引っ掛け部34は、後方から見て上下方向に延びるため、カラビナ53に作業機1を吊り下げる際にカラビナ53の可動部54を回動させやすい。また、第2引っ掛け部35は、後方から見て左右方向に延びるため、カラビナ53に吊り下げた状態で落下防止コード56のフック部57の可動部58を回動させやすい。よって、カラビナ53と落下防止コード56の双方を容易に装着可能となる。
【0047】
(3) 第1引っ掛け部34及び第2引っ掛け部35が左右方向においてハウジング10の存在範囲内に収まるため、第1引っ掛け部34又は第2引っ掛け部35がハウジング10から左右方向に出っ張る場合と比較して、狭い場所や隅へのねじ締めの際に第1引っ掛け部34又は第2引っ掛け部35が邪魔になり作業性が低下することを抑制できる。
【0048】
(4) 第1引っ掛け部34が第2引っ掛け部35よりも大きいため、落下防止コード56よりも着脱の頻度が高いカラビナ53の着脱容易性が優先的に高められた構成となり、使い勝手が良い。また、カラビナフック30と右前腕との干渉による作業性の悪化が抑制される。すなわち、右手でハンドル部12を握った場合に右前腕が電池パック装着部13の後方を通るような作業姿勢において、右前腕は右方に位置する第2引っ掛け部35の後方を通ることが多い。このとき、第2引っ掛け部35が第1引っ掛け部34より小さいため、右前腕との干渉による作業性の悪化が抑制される。
【0049】
(5) 上下方向において第1引っ掛け部34の存在範囲内に第2引っ掛け部35が位置するため、背面部31が不要に上下方向に長くなることを抑制でき、小型化に有利である。
【0050】
(6) 後方から見て第1引っ掛け部34が第2引っ掛け部35の左方に位置するため、右利きの作業者が作業機1をカラビナ53に吊り下げる際に第2引っ掛け部35が邪魔になることを抑制できる。
【0051】
(7) 背面部31は、第1引っ掛け部34が接続された2箇所の間に、背面部31の強度を向上させる絞り加工部36を有する。背面部31、左側面部32、右側面部33を構成する板金部品は、板厚が例えば1mm程度であって変形しやすい。作業機1の落下時には、電池パック17の重量が大きいため、電池パック17側から落下することが多い。そしてカラビナフック30が地面等と衝突する場合、サイズの大きい第1引っ掛け部34が衝突部になることが多い。絞り加工部36は、第1引っ掛け部34が衝突部となった場合に変形力が大きく加わる位置にあり、第1引っ掛け部34が衝突部となった場合のカラビナフック30の変形を効果的に抑制し、変形したカラビナフック30が電池パック17を傷つけることを抑制できる。
【0052】
(8)
図5(A)に示すように、背面部31は、左右方向において第1引っ掛け部34が存在する第1範囲におけるベース面の上下方向の長さL1が、左右方向において第2引っ掛け部35が存在する第2範囲におけるベース面の上下方向の長さL2よりも長い。このため、背面部31の上下方向の長さが全体的にL1である場合と比較して、カラビナフック30の重量増大を抑制できる。
【0053】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係るカラビナフック60の斜視図である。カラビナフック60は、実施の形態1のカラビナフック30と左右対称形状である。実施の形態1のカラビナフック30が右利きの作業者用であるのに対し、本実施の形態のカラビナフック60左利きの作業者用である。右利きの作業者に対してカラビナフック30が奏するのと同様の効果を、左利きの作業者に対してカラビナフック60が奏する。
【0054】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されない。実施の形態で具体的に説明した各事項には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【0055】
第1引っ掛け部34は、後方から見て上下方向に対して所定角度以内、例えば30°以内で傾斜してもよい。第2引っ掛け部35は、後方から見て左右方向に対して所定角度以内、例えば30°以内で傾斜してもよい。
【0056】
カラビナフック30は、ハウジング10と別体かつハウジング10に着脱可能な構成に限定されず、ハウジング10と一体であってもよいし、ハウジング10に着脱不能に固定ないし一体化されてもよい。
【0057】
絞り加工部36は、1つに限定されず、複数設けられてもよい。この場合の複数の絞り加工部36は、背面部31の第1引っ掛け部34が接続された2箇所の間に上下方向に配列されてもよい。
【0058】
本発明の作業機は、インパクトドライバに限定されず、インパクトレンチやドライバドリル等の他の種類のものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…作業機、10…ハウジング、11…モータ収容部、12…ハンドル部、13…電池パック装着部、14…テールカバー、15…トリガスイッチ、16…正逆切替スイッチ、17…電池パック、18…ハンマケース、19…操作パネル、20…ビット、21…穴部、30…カラビナフック、31…背面部、32…左側面部、33…右側面部、34…第1引っ掛け部、35…第2引っ掛け部、36…絞り加工部(絞り部)、37、38…挿入部、39…ねじ、40…カラープレート、41、42、43…貫通孔、44…傾斜部、45…先端工具装着部、46、47…突出部、50…ベルト、51…カラビナ工具差、52…ベルトクリップ、53…カラビナ、54…可動部、56…落下防止コード(落下防止ワイヤー)、57…フック部、58…可動部。