(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061539
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報管理方法、情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240425BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169539
(22)【出願日】2022-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】521385024
【氏名又は名称】合同会社バビエカ
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】枚田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 典行
(72)【発明者】
【氏名】上山 大介
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】取り扱う製品や部品を含むアイテムにおける各フェーズや業務といったプロセスを越えた統合的な構成管理と、高精度、かつ、双方向のトレーサビリティを実現する情報管理装置等を提供する。
【解決手段】情報管理端末Cにおいて、符号化部11は、アイテムを特定するアイテム情報を符号化する第1符号化部と、アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化するの第2符号化部と、アイテム、プロセスに対する実行などインストラクション情報を符号化する第3符号化部と、アイテム情報、コンテキスト情報、インストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化する第4符号化部と、依存制約情報により成立するアイテム情報、コンテキスト情報、インストラクション情報との相互関係情報を符号化する第5符号化部とを有し、算出部12は、符号化された相互関係情報に基づき構成の解を命題論理式で算出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を符号化する符号化部と、符号化された各種情報に基づき所望の解を算出する算出部とを備え、
符号化部は、
アイテムを特定するアイテム情報を符号化する第1符号化部と、
アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化する第2符号化部と、
アイテム及び/又はプロセスに対する実行又は変更の指示又は承認に関するインストラクション情報を符号化する第3符号化部と、
アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化する第4符号化部と、
依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化する第5符号化部とを有し、
算出部は、符号化された相互関係情報に基づき前記構成の解を命題論理式で算出する
ことを特徴とする情報管理装置。
【請求項2】
インストラクション情報は、アイテム情報及び/又はコンテキスト情報を特定する所定の順序を示す順序情報及び/又は年月日時分秒を示す時系列情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
アイテム情報は、アイテムの管理用に付与されるアイテム共通識別情報と、アイテム共通識別情報を前提としてアイテムの管理用に付与されるアイテム非共通識別情報とを含み、
コンテキスト情報は、プロセスの管理用に付与されるプロセス共通識別情報と、プロセス共通識別情報を前提としてプロセスの管理用に付与されるプロセス非共通識別情報とを含み、
インストラクション情報は、アイテム非共通識別情報及び/又はプロセス非共通識別情報を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項4】
算出部は、相互関係情報の組み合わせ問題として前記構成の解を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
符号化された各種情報を可視化する可視化部をさらに備え、
可視化部は、算出された前記構成の解を組み合わせ毎にリストとして可視化する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報管理装置。
【請求項6】
符号化された各種情報を可視化する可視化部をさらに備え、
可視化部は、
符号化されたアイテム情報をアイテム情報モデルとして可視化する第1可視化部と、
符号化されたコンテキスト情報をコンテキスト情報モデルとして可視化する第2可視化部と、
符号化されたインストラクション情報をインストラクション情報モデルとして可視化する第3可視化部と、 符号化された依存制約情報を依存制約情報モデルとして可視化する第4可視化部と、
符号化された相互関係情報を相互関係情報モデルとして可視化する第5可視化部とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項7】
第1可視化部は、2種類のアイコンを含む第1のアイコン群及び/又は第1のアイコン群と異なる2種類以上のアイコンを含む第2のアイコン群からアイコンを抽出してアイテム情報モデルを可視化し、
第2可視化部は、第1のアイコン群及び/又は第2のアイコン群からアイコンを抽出してコンテキスト情報モデルを可視化し、
第3可視化部は、第1のアイコン群及び/又は第2のアイコン群からアイコンを抽出してインストラクション情報モデルを可視化する ことを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
アイテムを特定するアイテム情報を符号化するステップと、
アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化するステップと、
アイテム及び/又はプロセスに対する実行又は変更の指示又は承認に関するインストラクション情報を符号化するステップと、
アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化するステップと、
依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、及び/又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化するステップと、
符号化された相互関係情報に基づき前記構成の解を命題論理式で算出するステップとを含む
ことを特徴とする情報管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
アイテムを特定するアイテム情報を符号化するステップと、
アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化するステップと、
アイテム及び/又はプロセスに対する実行又は変更の指示又は承認に関するインストラクション情報を符号化するステップと、
アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化するステップと、
依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、及び/又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化するステップと、
符号化された相互関係情報に基づき前記構成の解を命題論理式で算出するステップとを実行させる
ことを特徴とする情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製造業での設計・製造・販売(販売後のアフターサービス含む)の対象となる製品の仕様に関する情報と上記製品が設計から販売に至るまでの工程を含む業務に関する情報とを管理する情報管理装置、情報管理方法、情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば製造業の分野では、CAD(Computer Aided Design)やCAE(Computer Aided Engineering)等のツール(ソフトウェア)に代表されるように、コンピュータを使用して製品の設計・製造・販売といった各フェーズを支援するツールが多く用いられている。このようなツールに関する技術として、例えば特許文献1では製品の製造における計画立案について、特許文献2では製品の製造に関わる情報のトレーサビリティについて、それぞれ開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の計画立案システムは、計画の仕様を特定する複数の要素に関する仕様情報と複数の要素の各々についての制約条件を規定した制約条件情報とを基に複数の計画候補を立案して計画データを生成する計画立案装置と、各計画データを評価して、複数の評価データを生成する計画評価装置と、計画立案装置により生成された各計画データをユーザー用端末に送信し、ユーザー用端末から各計画データに対するユーザーの評価結果を示すユーザーデータを受信する評価入力装置と、少なくとも評価入力装置の受信による各ユーザーデータを学習データとして学習し、学習結果から各計画候補に対する評価学習器を構築する評価学習装置を備える。
【0004】
特許文献2に記載のトレーサビリティ方法は、前加工品を組み立てる前組工程と、前組工程で組み立てた前加工品を、1又は複数の前加工品ごとに台車に保管する保管工程と、保管工程で保管した前加工品から完成品を組み立てる完成品組立工程とを有し、前組工程は、各前加工品について、組立材料と台車番号とを有する前加工品票を記録する工程を含み、完成品組立工程は、各完成品について、組立材料となる前加工品の保管場所となる台車の台車番号を有する製品票を記録する工程を含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-201611号公報
【特許文献2】特開2018-22208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、要するに仕様情報と制約条件情報とに基づく計画データに対するユーザーの評価を学習させた評価学習器を用いて予測信頼度の高い計画を選択するものであるが、製品の設計から販売に至るまでの工程を含む業務及びこれらの領域を越えた統合的な構成管理には至っていない。すなわち、仕様情報を構成する製品の納期・品種・生産時間・コストといった複数の要素に対する実行や変更の指示や承認といった情報を考慮しなければ、本質的に予測信頼度の高い計画データを生成できないことから、統合的な構成管理の実現には程遠い。
【0007】
また、特許文献2の技術は、要するに前加工品票を第1トレーサビリティ情報、製品票を第2トレーサビリティ情報として、前加工品の組立工程と完成品の組立工程とが時間的に不連続でも製品1台ごとのトレーサビリティを可能にするものであるが、製品や部品の納期・品種・生産時間・コスト等に対する実行や変更の指示や承認といった情報について記載も示唆もないことから、たとえ特許文献1の技術と組み合わせても、製品の設計から販売に至るまでの工程を含む業務やこれらの領域を越えた統合的な構成管理の実現は困難である。
【0008】
構成管理(Configuration Management)とは、IT(Information Technology)を活用したサービスの提供に必要な要素の管理を意味し、上記要素には、例えば組織や人材、図面・仕様書・指示書・発注書といったドキュメント、システムを構成するハードウェアやソフトウェアやこれらのライセンス、トラブルやクレームへの対応も含まれる。すなわち、上記サービスの提供に応じたインシデント・問題・変更・リリース等の管理において、構成管理が必要不可欠であることから、上記要素に関する情報を構成アイテム(CI、Configuration Item)とし管理するのも効果的である。
【0009】
また上記複数の要素に対する実行や変更の指示や承認といった情報を考慮しなければ、所定の制約が相対的に厳しくなるおそれもある。すなわち、制約の設定には、仕様のような無機的(抽象的)な情報のみならず、順序や時系列を含む有機的(具体的)な情報を加味するべきである。換言すると、有機的な情報で無機的な情報を特定することで、制約を厳しくしたり緩めたり柔軟に設定でき、また、無機的な情報はそのままでも有機的な情報を見直すことで、制約を随時調整できる。
【0010】
ここで、
図15を参照しつつ、製造業における情報管理の従来手法の一例を説明する。
図15に示すように、製品や部品を販売するまでに、各フェーズの部門や担当者の各々の要求を体現した上記ドキュメントを管理する複数のリスト(複合的な要求)は、組織等のルールに従って集約されたリスト(単一の結果)として、次フェーズに提供される。提供されたリストは、そのフェーズで生成された複数のリストと共に扱われる。すなわち、各フェーズでは、リスト化された複合的な要求(前フェーズからの要求含む)を、所定の事情を踏まえて上記要求の承認や変更を適宜加えながら、単一の結果に集約している。
【0011】
そのため、各フェーズでは、前フェーズの部門や担当者毎の要求を正確に把握し切れず、提供されたリストのみで上記要求の承認・非承認、上記要求に対する変更の有無・範囲、及びをこれらが行われた時期を判断せざるを得ない。また、各フェーズの部門や担当者は、各々の要求をリスト化するところまでしか行わず、それ以降に上記要求の承認・非承認、上記要求に対する変更の有無・範囲、及びをこれらが行われた時期を把握しにくい。すなわち、各フェーズの部門や担当者の要求が最終的な製品にいつ・どこで・誰に・どの程度反映されたかの追跡(いわゆるトレーサビリティ)は容易でない。
【0012】
例えば、最終製品に組み込まれた部品に不具合が発見された場合、上記部品に関する最初の設計フェーズの部門や担当者の要求の適否の確認、上記要求を含む単一の結果の適否の確認、次フェーズでの上記単一の結果の反映状況の適否の確認、上記反映状況を踏まえて集約された単一の結果の適否の確認といった最上流から下流に向かって順々に上記適否の確認をしなければ、上記部品の不具合の原因を突き止められなかった。換言すると、アフターサービスを含む販売フェーズでの上記部品に関する直前の要求の適否の確認といった最下流から上流に向かって逆順にそれぞれのフェーズで行われた処理の適否を確認できないため、上記部品の不具合の原因を発見するまで極めて非効率だった。
【0013】
また、上記部品の不具合は、上記部品の仕様自体のみならず、上記部品が通過した各フェーズでの工程を含む業務自体に原因があった場合もある。すなわち、製品や部品ばかりでなく、各フェーズでこれらに施される業務に対する要求に加え、上記要求の承認・非承認、上記要求に対する変更の有無・範囲、及びこれらが行われた時期を、例えば制約条件として反映して集約しない限り、最適な単一結果とは言えず、最適な単一結果でない限り、トレーサビリティの精度も期待できず、上述した逆順からのトレーサビリティが不可能であることは言うまでもない。
【0014】
例えば、設計フェーズにおける部品のデザイン・色・機能・素材といった仕様に対する要求、この要求に対する承認・非承認、変更の有無・範囲、及びこれらが行われた時期、製造フェーズにおける部品の製造のための手配・配置・調整といった業務に対する要求、この要求に対する承認・非承認、変更の有無・範囲、及びこれらが行われた時期を含め、各フェーズで選択できる項目や発生する可能性がある項目を組み合わせの対象とすることで、最適な組み合わせとして単一結果を得られる効果を期待できる。
【0015】
また、従来から製品や部品に付す管理番号は、組織毎にルール化されており、かつ複雑な構成だった。上記管理番号は、例えば製品や部品の図面(例えば組立図、システム図、構造図、外観図、仕様図、緊度図、加工図、配管配線図、線図、アイテム図、治具図、関係図、プロセス図)、機能、構成(例えば親子関係)、類別(例えば試作、量産)、完成レベル(例えば完成品、半完成品)、仕様(例えば単品、被結合)、仕向け(例えば日本、米国、欧州)、変更管理(例えば1回目変更、1回目改訂)、計画レベル(例えば正規試作、臨時試作、暫定図)といった要素の各々を表す数字や文字や記号を1つ又は2つ以上組み合わせて生成され、換言すると、各フェーズの部門や担当者の要求を結合かつ体現化したものであり、所定の意味を有する要素と有さない要素とを混ぜ合わせたものである。
【0016】
特に、所定の意味を有する要素を多用すると、採番可能な数字や文字や記号が払底し、意味が増えれば増えるほど管理番号が複雑になり、また、管理番号と現物とが乖離してしまったり、別の部門や担当者が上記意味を誤解したりするおそれがある。一方、所定の意味を有さない要素を優先すると、要素同士の組み合わせによる意味合いの連続性が失われ、また、部門や担当者同士が意思疎通しにくくなるおそれがある。このことから、所定の意味を有する要素と有しない要素とを簡潔に定義し、これらの採番をルール化することが、管理番号における問題の解決に効果的である。
【0017】
そこで、本発明の第1の目的は、取り扱う製品や部品を含むアイテムにおける各フェーズやこれらの業務といったプロセスを越えた統合的な構成管理と共に、高精度かつ双方向のトレーサビリティを実現する情報管理装置、情報管理方法、及び情報管理プログラムを提供することにある。
【0018】
本発明の第2の目的は、アイテムの仕様の要求、アイテムの仕様を叶えるプロセスの要求、並びにこれらの要求に対する承認・非承認、変更の有無・範囲、及び/又はこれらが行われた時期(以下「インストラクション」ともいう。)を含めた組み合わせの最適化を実現する情報管理装置、情報管理方法、及び情報管理プログラムを提供することにある。
【0019】
本発明の第3の目的は、アイテムとコンテキストとインストラクションの組み合わせによる管理番号の体系化を実現する情報管理装置、情報管理方法、及び情報管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
すなわち、本発明における情報管理装置は、各種情報を符号化する符号化部と、符号化された各種情報に基づき所望の解を算出する算出部とを備え、符号化部は、アイテムを特定するアイテム情報を符号化する第1符号化部と、アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化する第2符号化部と、アイテム及び/又はプロセスに対する実行又は変更の指示又は承認に関するインストラクション情報を符号化する第3符号化部と、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化する第4符号化部と、依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、及び/又はコンテキスト情報とインストラクション情報との相互関係情報を符号化する第5符号化部とを有し、算出部は、符号化された相互関係情報に基づき上記構成の解を命題論理式で算出することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、
図1に示すように、複合的な要求として符号化されたアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報との構成を依存制約情報で関係付けて符号化された相互関係情報に基づいてこれらの構成の解を命題論理式で算出することにより、上記構成の最適解を得られる効果を期待できる。また、上記最適解と上記構成の他の解とを当フェーズの複合的な要求を集約した結果として次フェーズに提供することにより、新たな要求ばかりでなく上記結果に対する変更の要求がインストラクション情報として次フェーズの複合的な要求に含まれていても、インストラクション情報としての適否や上記結果の良し悪しを前フェーズに遡って判断しやすい効果を期待できる。そして、各フェーズ共通のツールとして提供できることから、フェーズ毎のアイテム情報やコンテキスト情報やインストラクション情報を横断的(横串状)に管理しやすくなる効果を期待できる。
【0022】
すなわち、本発明によれば、例えばアイテムの提供に応じたインシデント・問題・変更・リリース等の管理として、設計から販売に至るまでの工程を含む業務やこれらの領域を越えた統合的な構成管理の実現と共に、ECM(Engineering Chain Management)・SCM(Supply Chain Management)といった各フェーズの作業状態の動的管理を期待できる。
【0023】
また、無機的なアイテム情報やコンテキスト情報を、有機的なインストラクション情報で特定することで、相互関係情報の制約を厳しくしたり緩めたり柔軟に設定でき、また、アイテム情報やコンテキスト情報はそのままで変更せずにインストラクション情報を見直して変更することで、制約を柔軟に調整できる効果を期待できる。
【0024】
また、所定のフェーズで発見されたアイテムの不具合等の原因究明の手法として、例えば直前のフェーズでなされたこのアイテムに対するインストラクションのような、下流から上流に向かって逆順にそれぞれのフェーズで行われた処理の適否を確認しやすいことから、上記原因究明を効率的に行える効果を期待できる。
【0025】
また、例えばアイテム情報やコンテキスト情報に対するインストラクション情報を含め、各フェーズで選択できる項目や発生する可能性がある項目をアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、コンテキスト情報とインストラクション情報といった組み合わせの対象とすることで、最適解である組み合わせとして各フェーズにて単一結果を得られる効果を期待できる。
【0026】
また、例えばアイテム情報としてアイテムの仕様に含まれる機能や適用箇所に基づく意味を有する管理番号、コンテキスト情報として所定の業務の申請順や時系列に基づく意味を有さない管理番号、インストラクション情報として上記業務に対する実行や変更の指示や承認の申請順や時系列に基づく意味を有さない管理番号のように採番をルール化することで、これらの管理番号により各フェーズの部門や担当者の要求を伝えられる上に、シンプルな番号体系の実現を期待できる。
【0027】
以下、本発明に含まれると望ましい発明を列挙する。
【0028】
インストラクション情報は、アイテム情報及び/又はコンテキスト情報を特定する所定の順序を示す順序情報及び/又は年月日時分秒を示す時系列情報を含むことが望ましい。
【0029】
この構成によれば、インストラクション情報に特定されたアイテム情報とコンテキスト情報の構成の解の確度をより高められる上、上流から下流のトレーサビリティも下流から上流のトレーサビリティも双方柔軟に行える効果を期待できる。
【0030】
アイテム情報は、アイテムの管理用に付与されるアイテム共通識別情報と、アイテム共通識別情報を前提としてアイテムの管理用に付与されるアイテム非共通識別情報とを含み、コンテキスト情報は、プロセスの管理用に付与されるプロセス共通識別情報と、プロセス共通識別情報を前提としてプロセスの管理用に付与されるプロセス非共通識別情報とを含み、インストラクション情報は、アイテム非共通識別情報及び/又はプロセス非共通識別情報を特定することが望ましい。
【0031】
この構成によれば、例えば所定の番号に相当するアイテム共通識別情報とアイテム非共通識別情報とのセットで成立する管理番号でアイテム情報を符号化でき、所定の番号に相当するプロセス共通識別情報とプロセス非共通識別情報とで成立する管理番号でコンテキスト情報を符号化でき、さらに所定の番号に相当するインストラクション情報でアイテム非共通識別情報やプロセス非共通識別情報を特定すればより正確な管理番号を得られることから、アイテム情報とコンテキスト情報の構成の解の確度を高める効果を期待できる。
【0032】
算出部は、相互関係情報の組み合わせ問題として上記構成の解を算出することが望ましい。
【0033】
この構成によれば、公知の数理モデルにより命題論理式を解けることから、高度な中央集約的装置(ハードウェア)ではなく、汎用的なコンピュータ等の情報処理装置で足りるため、導入及び展開しやすい効果を期待できる。
【0034】
上記情報管理装置は、符号化された各種情報を可視化する可視化部をさらに備え、可視化部は、算出された上記構成の解を組み合わせ毎にリストとして可視化することが望ましい。
【0035】
この構成によれば、アイテム情報とコンテキスト情報とインストラクション情報の構成の解のパターンを組み合わせ毎にリストとして提供できることから、フェーズ間で最適解とそれ以外の解との両方を共有しやすく、これらの解に対する変更等を要求しやすくなるため、解の確度を高めるのみならず、上述した双方向のトレーサビリティを行いやすくなる効果を期待できる。
【0036】
上記情報管理装置は、符号化された各種情報を可視化する可視化部をさらに備え、可視化部は、符号化されたアイテム情報をアイテム情報モデルとして可視化する第1可視化部と、符号化されたコンテキスト情報をコンテキスト情報モデルとして可視化する第2可視化部と、符号化されたインストラクション情報をインストラクション情報モデルとして可視化する第3可視化部と、符号化された依存制約情報を依存制約情報モデルとして可視化する第4可視化部と、符号化された相互関係情報を相互関係情報モデルとして可視化する第5可視化部とを有することが望ましい。
【0037】
この構成によれば、モデル化したアイテム情報モデル、コンテキスト情報モデル、インストラクション情報モデル、及び依存制約情報モデルでこれらの相互関係情報モデルを記述できることから、ユーザビリティが向上し、より効率的な情報管理が実現する効果を期待できる。
【0038】
第1可視化部は、2種類のアイコンを含む第1のアイコン群及び/又は第1のアイコン群と異なる2種類以上のアイコンを含む第2のアイコン群から第1のアイコン及び/又は第2のアイコンを抽出してアイテム情報モデルを可視化し、第2可視化部は、第1のアイコン群及び/又は第2のアイコン群から第1のアイコン及び/又は第2のアイコンを抽出してコンテキスト情報モデルを可視化し、第3可視化部は、第1のアイコン群及び/又は第2のアイコン群から第1のアイコン及び/又は第2のアイコンを抽出してインストラクション情報モデルを可視化することが望ましい。
【0039】
この構成によれば、例えば形状の異なる複数のアイコンのうち、2種類を第1のアイコン群、第1のアイコン群以外の2種類以上を第2のアイコン群とすることで、視覚によりアイテム情報モデルとコンテキスト情報モデルとインストラクション情報の意味合いを理解しやすく、相互関係情報モデルを生成しやすくなる効果を期待できる。
【0040】
また、以下は、本発明に対してカテゴリーのみ異なる方法及びプログラムに関する発明であることから、発明の作用効果や発明を表現する言葉の意味や例示を省略する。
【0041】
本発明による情報管理方法は、コンピュータが、アイテムを特定するアイテム情報を符号化するステップと、アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化するステップと、アイテム及び/又はプロセスに対する実行又は変更の指示又は承認に関するインストラクション情報を符号化するステップと、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化するステップと、依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、及び/又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化するステップと、符号化された相互関係情報に基づき上記構成の解を命題論理式で算出するステップとを含むことを特徴とする。
【0042】
本発明による情報管理プログラムは、コンピュータに、アイテムを特定するアイテム情報を符号化するステップと、アイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報を符号化するステップと、アイテム及び/又はプロセスに対する実行又は変更の指示又は承認に関するインストラクション情報を符号化するステップと、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化するステップと、依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、及び/又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化するステップと、符号化された相互関係情報に基づき上記構成の解を命題論理式で算出するステップとを実行させることを特徴とする。
【0043】
以下、本発明の内容を補足するために、これを表現する言葉の意味や例示のうち、特筆すべきものを列挙する。
【0044】
符号化とは、コンピュータで処理できるように所定の文字列・画像・音声・信号といった情報を電子化(デジタル化)したりその他の形式に置き換えたりすることであり、上記情報を模式的に表す(例えばモデル化する)ことを含んでもよい。
【0045】
可視化とは、符号化された情報をアイコンのように図形・線・符号等で図化したり、上記情報の種類(項目)・名称・属性値(例えば価格・評価・寸法・重量・温度・速度・面積)等をリスト化したりすることであり、ユーザーの情報処理端末で操作可能な所定のツールで行ってもよい。
【0046】
アイテムとは、ハードウェアでもソフトウェアでも所定の文字列で構成された電子データでもよく、製造業で製品化されるハードウェアの場合、所定の原料から得られる素材、上記素材を形成して得られる部材、上記部材を加工したり組み立てたりして得られる完成品でもよく、完成品には製品も部品も含まれ、また、上記ハードウェアが市場に流通するまでの流れの全部又は一部(以下「フロー」ともいう。)において採用される原料・素材・部材・部品・プログラム・ソフトウェアパッケージ・図面・原料・素材・消耗品・治具等の品目であってもよい。
【0047】
プロセスとは、アイテムを所定の状態から別の状態に変更することであり、例えばハードウェアの設計工程や製造工程(例えば加工工程・成型工程・塗装工程・組立工程・検査工程、以下「ワーク」ともいう。)、上記設計工程や上記製造工程の成立に必要な手順(以下「ステップ」ともいう。)、上記手順の成立に必要な行為(以下「タスク」ともいう。)、ハードウェアの移動先であるエリアや団体を示す経路(以下「ルート」ともいう。)、2つ以上のハードウェアや2つ以上のワーク・ステップ・タスク・ルートに対する選択(以下「セレクション」又は「チョイス」ともいう。)を含む。
【0048】
アイテム情報とは、アイテムを特定する情報であり、例えば名称や形状・デザイン・色・構造・寸法・成分・精度・機能・性能・グレード・分類・適用技術といった仕様を含むアイテム基礎情報、アイテム基礎情報の管理用に付与されるアイテム共通識別情報と、アイテム共通識別情報を前提としてアイテム基礎情報の管理用に付与されるアイテム非共通識別情報とを含む。
【0049】
アイテム共通識別情報とは、アイテムの名称や仕様又はこれらを文字列化した番号や記号で、例えば機能番号や機能に付随する規格番号・計測単位・法規を含み、品目を除くアイテムに付与されるものでもよい。
【0050】
アイテム非共通識別情報とは、アイテムの名称や仕様又はこれらを文字列化した番号や記号で、例えば部品番号・図面番号を含み、アイテム共通識別情報と組み合わさってアイテムを識別可能にするものであってもよく、品目を除くアイテムに付与されるものでもよい。
【0051】
コンテキスト情報とは、プロセスを特定する情報であり、プロセスの名称や仕様といったプロセス基礎情報と、品目又はプロセスの管理用に付与されるプロセス共通識別情報と、プロセス共通識別情報を前提として品目又はプロセスの管理用に付与されるプロセス非共通識別情報と、アイテム非共通識別情報及び/又はプロセス非共通識別情報に付加されてこれらの情報を具体的にする非共通識別付加情報とを含む。
【0052】
プロセス共通識別情報とは、ワーク・ステップ・タスク・ルート・セレクションの名称や仕様又はこれらを文字列化した番号や記号で、例えば標準的な工程(以下「標準工程」ともいう。)を識別する標準工程番号や上記工程に付随する規格番号・計測単位・法規を含む。
【0053】
プロセス非共通識別情報とは、ワーク・ステップ・タスク・ルート・セレクションの名称や仕様又はこれらを文字列化した番号や記号で、例えば標準工程に適用するように調整された工程(以下「適用工程」ともいう。)を識別する適用工程番号を含み、プロセス共通識別情報と組み合わさってプロセスを識別可能にするものであってもよい。
【0054】
換言すると、アイテム共通識別情報及びプロセス共通識別情報は、所定の条件(識別対象の外部環境、例えば、温度、場所などの設計・製造に関する条件)に関わらず変化しない情報、アイテム非共通識別情報及びプロセス非共通識別情報は上記条件に応じて変化する情報である。
【0055】
非共通識別付加情報とは、例えばルートに関する情報(以下「ルート情報」ともいう。)やセレクションに関する情報(以下「セレクション情報」ともいう。)を含む。ルート情報は、ルートの名称又はこれを文字列化した番号や記号でもよい。セレクション情報は、セレクションの名称又はこれを文字列化した番号や記号でもよい。
【0056】
インストラクション情報とは、インストラクションに関する説明又はこれを文字列化した番号や記号で、例えば設変番号・承認番号・指示番号を含む。
【0057】
インストラクション情報に含まれる順序情報とは、アイテム及び/又はプロセスを所定の状態から所望の状態にするために必要な段取りに関する情報(以下「アレンジ情報」ともいう。)を意味する。
【0058】
インストラクション情報に含まれる時系列情報(以下「タイム情報」ともいう。)とは、アイテム及び/又はプロセスを所定の状態から所望の状態にする年月日時分秒であっても、アイテム及び/又はプロセスに対するインストラクションが発動される年月日時分秒であってもよい。
【0059】
ルート情報・チョイス情報は、コンテキスト情報の全部又は一部であってもよい。
【0060】
依存制約情報とは、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す情報であり、例えば一方と他方とが並列する関係(以下「並列関係」という。)、一方が他方に従属する関係(以下「従属関係」という。)、一方が1つ又は2つ以上の他方を選択する関係(以下「選択関係」という。)、一方が1つ又は2つ以上の他方を必須とする関係(以下「必須関係」という。)、双方が排他する関係(以下「排他関係」ともいう。)、一方が1つ又は2つ以上の他方を所属させる関係(以下「所属関係」ともいう。)、一方が1つの他方を所有する関係(以下「所有関係」ともいう。)、一方が1つ又は2つ以上の他方を共有する関係(以下「共有関係」ともいう。)、一方が他方に派生した関係(以下「派生関係」ともいう。)、一方を他方で具現化した関係(以下「具現化関係」ともいう。)を含む。
【0061】
組み合わせ問題とは、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成に相当する相互関係情報の各々を組み合わせとして処理することであり、上記組み合わせの制約充足に寄与する制約情報や最適化に寄与する目的関数に鑑みて処理されてもよく、組み合わせの制約充足とは、依存制約情報を前提に、所望の組み合わせとして最適解を得るために抽出する組み合わせを絞ることを意味し、組み合わせの最適化とは、上記制約充足を前提に、さらに所望の組み合わせとして最適解を得るために抽出する組み合わせを絞ることを意味する。
【0062】
制約情報とは、属性値(個別値)又は属性値の計算値を閾値として所定の数値範囲内であること、所定の数値以上であること、又は以下であることの全6通りのいずれかとして設定され、目的関数は、属性値の計算値が最大、最小、又は極値となることの全3通りのいずれかとして設定されてもよい。制約情報及び目的関数は、属性値の各項目に応じて1つ又は2つ以上設定されてもよく、目的関数が2つ以上ある場合は優先順位があってもよい。属性値の計算値とは、例えば複数の属性値の総和やいずれか2つ以上の属性値の合計値であるが、四則演算等の計算式により算出される値であればいずれでもよい。制約情報は、属性値又は属性値の計算値を閾値として設定され、目的関数は、属性値の計算値の最大、最小、又は極値として設定されてもよい。
【0063】
命題論理式を解く数理モデルとは、例えばSAT(Satisfiability Problem、充足可能性検証)、SMT(Satisfiable Modulo Theories、充足可能性検証)、ASP(Answer Set Programming、解集合プログラミング)、SPIN(Simple Promela Interpreter、状態遷移検証)、CTL(Computation Tree Logic、分岐的時相論理検証)、LTL(Linear Time Temporal Logic、線形時相論理検証)、ATP(Automated Theorem Proving、自動定理証明)、PA(証明支援器)、PC(証明支援器)、VDM(Vienna Development Method、形式仕様記述検証)を含み、これら以外でもよい。
【0064】
本発明を実施するユーザーとは、各フェーズの部門や担当者を含み、例えば製造業における完成品メーカー・パーツメーカー・OEM(Original Equipment Manufacturing)メーカー・部品や部材やソフトウェアの供給会社(いわゆるサプライヤー、ベンダー)・ソフトハウス・物流業者等・その他関連する会社であり、これらのうち2社以上で構成されるグループでもよい。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、取り扱う製品や部品を含むアイテムにおける各フェーズやこれらの業務といったプロセスを越えた統合的な構成管理と共に、高精度かつ双方向のトレーサビリティを実現し、また、アイテムの仕様の要求、アイテムの仕様を叶えるプロセスの要求、並びにこれらの要求に対する承認・非承認、変更の有無・範囲、及び/又はこれらが行われた時期といったインストラクションを含めた組み合わせの最適化を実現し、また、アイテムとコンテキストとインストラクションとの組み合わせによる管理番号の体系化を実現する効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本発明の一実施形態を示す情報管理装置の概念図である。
【
図3】上記情報管理装置により実行されるソフトウェア画面の一例を示す図である。
【
図4A】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図4B】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図4C】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図5】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図6】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図7】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図8】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図9】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図10A】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図10B】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図11A】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図11B】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図11C】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図12A】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図12B】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図13A】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図13B】上記ソフトウェアで作成されたモデルの一例を示す図である。
【
図14】上記情報管理装置の基本的な実行処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、
図1~
図2を参照しつつ、本発明の一実施形態における情報管理装置(以下「本情報処理装置」ともいう。)の一例について説明する。
【0068】
<本情報管理装置の概要>
本情報管理装置は、要するに、製造業における製品の企画・設計から製造を経て販売に至るまでに必要なアイテムやプロセスやインストラクションのパターンに相当するBOM(Bill Of Material)を柔軟に組み合わせ、上記パターン同士の組み合わせとして適した解を上記製品に関わるユーザー同士で共有し、上記選択肢や解の良し悪しの判断やこれらの見直しをしやすくするもので、製造業における統合的な構成管理、上記製品における各フェーズの作業状態の動的管理、上記製品に対する双方向のトレーサビリティ、上記組み合わせに対する制約の調整、上記組み合わせによるシンプルな番号体系を実現し、最終的には上記製品の品質の向上に寄与するものである。
【0069】
アイテムは、例えば製造業で製品化される自動車の場合、所定の原料から得られる素材、上記素材を形成して得られる部材、上記部材を加工したり組み立てたりして得られるエンジン・ボディ・ECU(Electronic Control Unit)といった部品、部品を組み立てて得られる自動車といった完成品であり、完成品が市場に流通するまでのフローにおいて採用される原料・素材・部材・部品・プログラム・ソフトウェアパッケージ・図面・消耗品・治具等の品目も含み、製造業で製品化される自動車以外の完成品や部品でも、非製造業で商品化されるサービスでもよい。
【0070】
プロセスは、上述したワーク、ステップ、タスク、セレクションを含む。
【0071】
<本情報管理装置を構成する基本的なハードウェア・ソフトウェア>
本情報管理装置は、コンピュータ又は2つ以上のコンピュータで構成されたコンピュータシステムであって、電子情報{例えばOS(Operating System)・ミドルウェア・ファームウェア・アプリケーションといったソフトウェア・これらを実行するプログラム・その他文字・静止画像・動画像・音}を演算処理したり各ハードウェアに命令処理したりするCPU(Central Processing Unit)を含むマイクロプロセッサ、電子情報を記憶するハードディスクやSSDといった補助記憶装置、CPUによる制御に伴い一時的に上記電子情報を記憶する一時記憶装置、RFチップ・ベースバンドチップ・その他通信モジュールといった通信機器、キーボード・マウス・タッチパネル・マイク・カメラ・ボイスレコーダー・センサ等の入力機器、ディスプレイ・プリンタ・スピーカ・ヘッドホン等の出力機器、バッテリー等の電源機器、モーター等の稼働機器といったハードウェアを適宜組み合わせて形成されてもよく、ハードウェアの各々はバスやUSB等の入出力インタフェースを介して相互に接続されてもよい。
【0072】
コンピュータは、例えばパーソナルコンピュータ・スマートフォン・タブレットといった情報処理端末である。コンピュータが搭載するハードウェアやソフトウェアの種類・数・サイズは、用途やスペックに応じて適宜決定してもよく、量子コンピュータとして構成されてもよい。2つ以上のコンピュータの各々は、入出力インタフェース又は通信機器から通信ネットワークを介して相互に接続され、これ以外の方式で接続されてもよい。通信ネットワークは、例えばインターネット・イントラネット・エキストラネット・LAN・CATV通信網・VPN・電話回線・移動体通信網・衛星通信網である。通信ネットワークを構成する伝送媒体は、IEEE1394・電力線搬送・電話線等の有線やIrDA、ブルートゥース(登録商標)・IEEE802.11(wifi等)・携帯電話網・衛星回線・地上波デジタル網等の無線でもよい。コンピュータの各々は、通信機器から通信ネットワークを介して電子情報を相互に送受信してもよい。
【0073】
<本情報管理装置とハードウェアとの関係>
図2に示すように、本情報管理装置は、情報処理端末Cで構成されており、マイクロプロセッサとして機能する制御部1と、補助記憶装置や一時記憶装置として機能する記憶部2とを備えており、制御部1又はこれに備わる各部が記憶部2に格納されたソフトウェアやプログラムを実行することで実現するものであるが、所定の電子情報を他の端末処理装置に送信したり他の端末処理装置から受信したりする通信機器として機能する付番しない通信部と、出力機器として機能する付番しない出力部と、入力機器として機能する付番しない入力部とを備えてもよく、電子情報を取り扱う公知のコンピュータに備わる部品や機能を全て備えてもよい。情報処理端末Cは、通信ネットワークを介してサーバ装置Sと通信し合ってもよく、サーバ装置に備わる図示しない記憶部に電子情報を記憶してもよく、制御部1に備わる各部がサーバ装置Sから提供された上記ソフトウェアや上記プログラムを実行することで実現するもの{いわゆるASP(Application Service Provider)方式}でもよい。
【0074】
<制御部1の詳細>
制御部1は、各種情報を符号化する符号化部11と、符号化された各種情報に基づき所望の解を算出する算出部12と、符号化された各種情報を可視化する可視化部13とを備えているが、符号化された各種情報に対して制約を設定する設定部14と、入力部を介して符号化する各種情報を取得する図示しない取得部と、出力部を介して符号化及び可視化された各種情報を表示する図示しない表示部とを備えていてもよい。
【0075】
<記憶部2の詳細>
記憶部2は、符号化されたアイテム情報・コンテキスト情報・インストラクション情報・依存制約情報・相互関係情報、可視化されたアイテム情報モデル・コンテキスト情報モデル・インストラクション情報モデル・依存制約情報モデル・相互関係情報モデル、OVM(Orthogonal Variability Model、直交可変性モデル)によってアイテム情報・コンテキスト情報・インストラクション情報・依存制約情報・相互関係情報を記述するOVMモデラー及びOVMモデラーで記述された相互関係情報を組み合わせ問題としてアイテム情報同士の構成・コンテキスト情報同士の構成・インストラクション情報同士の構成・アイテム情報とコンテキスト情報・アイテム情報とインストラクション情報・コンテキスト情報とインストラクション情報の構成を命題論理式で解くソルバを含むソフトウェアやプログラム、本情報管理装置に関係するユーザーに関するユーザー情報を記憶していてもよい。
【0076】
アイテム情報は、上述したアイテム基礎情報、アイテム共通識別情報、アイテム非共通識別情報を含む。
【0077】
コンテキスト情報は、上述したプロセス基礎情報、プロセス共通識別情報、プロセス非共通識別情報、ルート情報、セレクション情報を含む。
【0078】
インストラクション情報は、上述したアレンジ情報、タイム情報を含む。
【0079】
依存制約情報は、上述した並列関係、従属関係、選択関係、必須関係、排他関係、所属関係、所有関係、共有関係、派生関係、具現化関係を含む。
【0080】
OVMとは、アイテム情報やコンテキスト情報やインストラクション情報のような可変性の情報をモデル化する手法であり、変異の対象を示す可変情報{以下「バリエーションポイント」又は「VP」(Variation Pointの略称)ともいう。}、変異の内容(可変点の具体的なインスタンス)を示す変異情報{以下「バリアント」、「V」(Variantの略称)、又は単に選択肢ともいう。}、及びこれらの依存制約情報でモデル化する。アイテム情報やコンテキスト情報やインストラクション情報は、可変情報や変異情報として扱われてもよく、可変情報や変異情報に置き換えられてもよい。可変情報同士、変異情報同士、及び可変情報と変異情報の構成の依存制約情報は、上述した並列関係、従属関係、選択関係、必須関係、排他関係であってもよい。
【0081】
<符号化部11の詳細>
符号化部11は、アイテム情報を符号化する第1符号化部と、コンテキスト情報を符号化する第2符号化部と、インストラクション情報を符号化する第3符号化部と、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化する第4符号化部と、依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化する第5符号化部とを有する。符号化されるアイテム情報・コンテキスト情報・インストラクション情報・依存制約情報は、取得部が取得した文字情報でも画像情報でも音声情報でもよい。符号化部11は、OVMモデラーを実行して各種情報を符号化してもよい。
【0082】
<算出部12の詳細>
算出部12は、符号化された相互関係情報に基づき、組み合わせ問題として、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成の解を命題論理式で算出する。算出部12は、OVMモデラーを介して例えばASPソルバを実行して上記解を算出してもよい。ASPとは、論理プログラミングと制約プログラミングの概念を融合した概念であり、変数を含むプログラムを符号化し、符号化されたプログラムの解集合を計算するものである。
【0083】
<可視化部13の詳細>
可視化部13は、算出された上記構成の解を組み合わせ毎にリストとして可視化する。可視化部13は、符号化されたアイテム情報をアイテム情報モデルとして可視化する第1可視化部と、符号化されたコンテキスト情報をコンテキスト情報モデルとして可視化する第2可視化部と、符号化されたインストラクション情報をインストラクション情報モデルとして可視化する第3可視化部と、符号化された依存制約情報を依存制約情報モデルとして可視化する第4可視化部と、符号化された相互関係情報を相互関係情報モデルとして可視化する第5可視化部とを有する。可視化部13は、OVMモデラーを実行して上記リストや各種情報を可視化してもよい。
【0084】
第1可視化部は、2種類のアイコンを含む第1のアイコン群及び/又は第1のアイコン群と異なる2種類以上のアイコンを含む第2のアイコン群からアイコンを抽出してアイテム情報モデルを可視化し、第2可視化部は、第1のアイコン群及び/又は第2のアイコン群からアイコンを抽出してコンテキスト情報モデルを可視化し、第3可視化部は、第1のアイコン群及び/又は第2のアイコン群からアイコンを抽出してインストラクション情報モデルを可視化し、第4可視化部は、第3のアイコン群からアイコンを抽出して依存制約情報モデルを可視化する。第1可視化部・第2可視化部・第3可視化部・第4可視化部は、OVMモデラーを実行して第1のアイコン、第2のアイコン、第3のアイコンを抽出してもよい。
【0085】
第1のアイコン群は、例えば三角形や四角形といった2種類の形状のアイコンを含む。第2のアイコン群は、第1のアイコン群に含まれるアイコンの各々と視覚により区別できればいずれでもよいが、例えば形状及び/又は色が異なっており、ファイル、メモ、円形、太線状の矢印、三角形、その他フローチャート用の図形に相当するアイコンを含む。第1のアイコン群のアイコン及び第2のアイコン群のアイコンには、それぞれの意味や名称が記載されていてもよく、第1のアイコン群と第2のアイコン群との差異を上記意味や名称で区別してもよい。第3のアイコン群は、細線状の矢印に相当するアイコンを含む。第3のアイコン群には、それぞれの意味や名称が記載されていてもよい。
【0086】
<設定部14の詳細>
設定部14は、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成に相当する相互関係情報の各々の組み合わせの制約充足に寄与する制約情報及び/又は最適化に寄与する目的関数を設定し、設定した制約情報及び/又は目的関数を算出部12に提供してもよい。設定部14は、OVMモデラーを実行して制約情報及び/又は目的関数の設定並びに算出部12への提供を行ってもよい。
【実施例0087】
次に、OVMモデラーの操作画面を用いて本情報管理装置について説明する。
【0088】
図2及び
図3に示すように、本情報管理装置は、制御部1がOVMモデラーを実行することで実現する。制御部1は、OVMモデラーを起動する。制御部1は、各種情報を可視化するために記述する記述部D1と、第1のアイコン群I1、第2のアイコン群I2、及び第3のアイコン群I3を含むアイコン抽出部D2とを含む操作画面Dを表示する。
【0089】
第1のアイコン群I1は、可変情報を表す三角形に「VP」と表示されたアイコンI1a、変異情報を表す四角形に「V」と表示されたアイコンI1bを含む。
【0090】
第2のアイコン群I2は、アイテム共通識別情報(以下「MasterItem」ともいう。)を表すファイルに「MasterItem」と表示されたアイコンI2a、アイテム非共通識別情報(以下「AffectedItem」ともいう。)を表す円形に「AffectedItem」と表示されたアイコンI2b、プロセス共通識別情報(以下「MasterLink」ともいう。)を表すファイルに「MasterLink」と表示されたアイコンI2c、プロセス非共通識別情報(以下「AffectedLink」ともいう。)を表す円形に「AffectedLink」と表示されたアイコンI2d、ルート情報(以下「CodeLine」ともいう。)を表す太線状の矢印かに「CodeLine」と表示されたアイコンI2e、セレクション情報(以下「Selection」、「チョイス情報」、「Choice」ともいう。)を表す三角形に「Selection」と表示されたアイコンI2f、インストラクション情報(以下「WorkItem」や「EngineeringChange」ともいう。)を表すメモに「EngineeringChange」と表示されたアイコンI2gを含む。
【0091】
第3のアイコン群I3は、可変情報同士・変異情報同士・可変情報と変異情報の構成を示す必須関係・選択関係・要求関係・排他関係を表す細線状の矢印に「必須」・「選択」・「要求」・「排他」と表示されたアイコンI3a、アイテム情報同士・コンテキスト情報同士・インストラクション情報同士・アイコン情報とコンテキスト情報・アイテム情報とインストラクション情報の構成を示す所属関係・所有関係・共有関係・派生関係を表す細線状の矢印に「所属」・「所有」・「共有」・「派生」、変異情報とアイテム情報、コンテキスト情報、又はインストラクション情報・可変情報とアイテム情報、コンテキスト情報、又はインストラクション情報との構成を示す具現化関係を表す細線状の矢印に「具現化」と表示されたアイコンI3bを含む。
【0092】
符号化部11のうち、第1符号化部がアイテム情報からアイテム共通識別情報及び/又はアイテム非共通識別情報を選択して符号化し、第2符号化部がコンテキスト情報からプロセス共通識別情報、プロセス非共通識別情報、ルート情報、セレクション情報のいずれか又は2つ以上を選択して符号化し、第3符号化部がインストラクション情報を符号化し、第4符号化部が第1符号化部、第2符号化部、及び/又は第3符号化部で符号化された各種情報を構成する依存制約情報を選択して符号化し、第5符号化部が上記依存制約情報で成立する各種情報の相互関係情報を符号化する。
【0093】
符号化部11は、第6符号化部と第7符号化部と第8符号化部を有してもよく、第6符号化部が可変情報及び変異情報を選択して符号化し、第7符号化部が第6符号化部で符号化された可変情報と変異情報を構成する依存制約情報を選択して符号化し、第8符号化部が上記依存制約情報で成立する各種情報の相互関係情報を符号化する。この構成によれば、アイテム共通識別情報・アイテム非共通識別情報・プロセス共通識別情報・プロセス非共通識別情報・ルート情報・セレクション情報・インストラクション情報を可変情報や変異情報に置き換えて抽象的に符号化できる。
【0094】
符号化部11は、第9符号化部と第10符号化部とを有してもよく、第9符号化部が第6符号化部により符号化された可変情報と第1符号化部により符号化されたアイテム共通識別情報又は第2符号化部により符号化されたプロセス共通識別情報或いはセレクション情報を構成する依存制約情報、または第6符号化部により符号化された変異情報と第1符号化部により符号化されたアイテム共通識別情報或いはアイテム非共通識別情報、第2符号化部により符号化されたプロセス共通識別情報、プロセス非共通識別情報、ルート情報、セレクション情報、又は第3符号化部により符号化されたインストラクション情報のいずれかを構成する依存制約情報として具現化関係を選択して符号化し、第10符号化部が上記具現化関係で成立する各種情報の相互関係情報を符号化する。この構成によれば、抽象的に符号化した可変情報や変異情報と具体的に符号化したアイテム共通識別情報・アイテム非共通識別情報・プロセス共通識別情報・プロセス非共通識別情報・ルート情報・セレクション情報・インストラクション情報の構成を具現化関係として表せるため、各種情報の選択肢のバリエーションの増加及び構成の解の確度の向上を期待できる。
【0095】
可視化部13のうち、第1可視化部が符号化されたアイテム共通識別情報をアイコンI2aでアイテム共通識別情報モデル、アイテム非共通識別情報をアイコンI2bでアイテム非共通識別情報モデルとして可視化し、第2可視化部が符号化されたプロセス共通識別情報をアイコンI2cでプロセス共通識別情報モデル、プロセス非共通識別情報をアイコンI2dでプロセス非共通識別情報モデル、ルート情報をアイコンI2eでルート情報モデル、セレクション情報をアイコンI2fでセレクション情報モデルとして可視化し、第3可視化部がインストラクション情報をアイコンI2gでインストラクション情報モデルとして可視化し、第4可視化部が符号化された所属関係・所有関係・共有関係・派生関係の各々をアイコンI3bで所属関係モデル・所有関係モデル・共有関係モデル・派生関係モデルとして可視化し、第5可視化部が第1可視化部・第2可視化部・第3可視化部・第4可視化部で可視化された各種モデルに基づいて相互関係情報モデルとして可視化する。
【0096】
可視化部13は、第6可視化部と第7可視化部と第8可視化部とを有してもよく、第6可視化部が符号化された可変情報をアイコンI1aで可変情報モデル、変異情報をアイコンI1bで変異情報モデルとして可視化し、第7可視化部が符号化された必須関係・選択関係・要求関係・排他関係の各々をアイコンI3aで必須関係モデル・選択関係モデル・要求関係モデル・排他関係モデルとして可視化し、第8可視化部が第6可視化部・第7可視化部で可視化された各種モデルに基づいて相互関係情報モデルとして可視化する。
【0097】
可視化部13は、第9可視化部と第10可視化部とを有してもよく、第9可視化部が符号化された具現化関係をアイコンI3bで具現化関係モデルとして可視化し、第10可視化部が第6可視化部で可視化された可変情報モデル又は変異情報モデルと第1可視化部で可視化されたアイテム共通識別情報モデル・アイテム非共通識別情報モデル、第2可視化部で可視化されたプロセス共通識別情報モデル・プロセス非共通識別情報モデル・ルート情報モデル・セレクション情報モデル、第3可視化部で可視化されたインストラクション情報モデルのいずれかの構成に基づいて相互関係情報モデルとして可視化する。
【0098】
次に、表1を用いて、変異情報「VP」・可変情報「V」・アイテム共通識別情報「MasterItem」・アイテム非共通識別情報「AffectedItem」・プロセス共通識別情報「MasterLink」・プロセス非共通識別情報「AffectedLink」・ルート情報「CodeLine」・セレクション情報「Selection」・インストラクション情報「EngineeringChange」のいずれか同士の依存制約情報について説明する。
【0099】
【0100】
表1は、縦軸(From)が主体側、横軸(To)が主体と所定の関係を有する側を示し、表内に記載されている関係を有したり、「×」印のように所定の関係を有さなかったりするが、表内に記載されていない他の関係を有したり、「×」印ではなく所定の関係を有したりしてもよく、限定されない。
【0101】
「VP」に対して別の「VP」は要求関係又は排他関係を有し、「V」は要求関係、排他関係、必須関係、又は選択関係を有する。換言すると、「VP」は別の「VP」を要求又は排他し、「V」を要求、排他、必須、又は選択する。
【0102】
「V」に対して「VP」及び別の「V」は要求関係又は排他関係を有する。換言すると、「V」は「VP」及び別の「V」を要求又は排他する。
【0103】
「VP」に対して「MasterItem」や「MasterLink」や「Selection」は具現化の関係を有する。換言すると、「VP」が抽象的な記述であるのに対し、「MasterItem」や「MasterLink」や「Selection」は具体性を伴う記述である。
【0104】
「V」に対して「MasterItem」や「MasterLink」や「AffectedLink」や「CodeLine」や「Selection」や「EngineeringChange」は具現化の関係を有する。換言すると、「V」が抽象的な記述であるのに対し、「MasterItem」や「MasterLink」や「AffectedLink」や「CodeLine」や「Selection」や「EngineeringChange」は具体性を伴う記述である。
【0105】
「MasterItem」に対して別の「MasterItem」や「AffectedLink」や「Selection」は所属関係を有する。換言すると、「MasterItem」は別の「MasterItem」や「AffectedLink」や「Selection」を所属させる。
【0106】
「AffectedItem」に対して「MasterItem」や「MasterLink」は所有関係又は共有関係を有し、別の「AffectedItem」は派生関係にある。換言すると、「AffectedItem」は「MasterItem」や「MasterLink」を所有又は共有し、別の「AffectedItem」を派生する。また「AffectedItem」は別の「AffectedItem」及び/又は「AffectedLink」を所有又は共有してもよい。
【0107】
「MasterLink」に対して別の「MasterLink」や「AffectedLink」や「CodeLine」は所属関係にある。換言すると、「MasterLink」は別の「MasterLink」や「AffectedLink」や「CodeLine」を所属させる。
【0108】
「AffectedLink」に対して「MasterItem」や「MasterLink」は所有関係又は共有関係にあり、別の「AffectedLink」は派生関係にある。換言すると、「AffectedLink」は「MasterItem」や「MasterLink」を所有し、別の「AffectedLink」を派生する。また「AffectedLink」は別の「AffectedItem」及び/又は「AffectedLink」を所有又は共有してもよい。
【0109】
「CodeLine」に対して「AffectedItem」や「AffectedLink」は所属関係にある。換言すると、「CodeLine」は「AffectedItem」や「AffectedLink」を所属させる。
【0110】
「Selection」に対して「AffectedItem」や「AffectedLink」は共有関係にある。換言すると、「Selection」は「AffectedItem」や「AffectedLink」を共有する。
【0111】
「EngineeringChange」対して「AffectedItem」や「AffectedLink」や「CodeLine」や「Selection」は所有関係にあり、別の「EngineeringChange」は共有関係にある。換言すると、「EngineeringChange」は「AffectedItem」や「AffectedLink」や「CodeLine」や「Selection」を所有し、別の「EngineeringChange」を共有する。
【0112】
次に、
図4~
図12を用いて、各種情報の符号化及び可視化の例を説明する。
【0113】
図4A~
図4Cは、「MasterItem」と「AffectedItem」の基本的な構成例、
図5は、「MasterLink」と「AffectedLink」の基本的な構成例を示す。
【0114】
図4Aは、「MasterItem」を部品A、「AffectedItem」を部品Aのバージョン1~3として、部品Aが部品Aのバージョン1~3を所属させる関係を符号化及び可視化したものである。
【0115】
これによれば、アイテム共通識別情報(例えば部品A)とアイテム非共通識別情報(例えば部品Aのバージョン1~3)とこれらの構成を示す依存制約情報(例えば所属関係)とによる相互関係情報を符号化及び可視化でき、具体的には部品Aとしてはバージョン1~3が選択の対象であることを管理しやすい効果を期待できる。
【0116】
図4Bは、
図4Aの内容に加え、「MasterItem」を部品B、「AffectedItem」を部品Bのバージョン1~3とし、部品Bが部品Bのバージョン1~3を所属させる関係、及び部品Aが部品Bを所属させる関係を符号化及び可視化したものである。
【0117】
これによれば、
図4Aで説明した効果に加え、アイテム共通識別情報同士(例えば部品Aと部品B)とこの構成を示す依存制約情報(例えば所属関係)とによる相互関係情報を符号化及び可視化でき、具体的には部品Aとしては部品Bのバージョン1~3も選択の対象であることを管理しやすい効果を期待できる。
【0118】
図4Cは、
図4Bの内容のうち、部品Aのバージョン3が部品Bを所有する関係に変更して符号化及び可視化したものである。これによれば、アイテム非共通識別情報(例えば部品Aのバージョン3)とアイテム共通識別情報(例えば部品B)との構成を示す依存制約情報(例えば所有関係)との相互関係情報を符号化及び可視化でき、具体的には部品Aのバージョン3としては部品Bのバージョン1~3が選択の対象であることを管理しやすい効果を期待できる。
【0119】
図5は、「MasterLink」を手配、「AffectedLink」を内製・A社からの調達・B社からの調達として、手配が内製・A社からの調達・B社からの調達を所属させる関係を符号化及び可視化したものである。
【0120】
これによれば、プロセス共通識別情報(例えば手配)とプロセス非共通識別情報(例えば内製・A社からの調達・B社からの調達)とこれらの構成を示す依存制約情報(例えば所属関係)とによる相互関係情報を符号化及び可視化でき、具体的には手配としては内製・A社からの調達・B社からの調達が選択の対象であることを管理しやすい効果を期待できる。
【0121】
図4Aと
図5からわかるとおり、「MasterItem」と「AffectedItem」の構成例と、「MasterLink」と「AffectedLink」の構成例とは、情報の種別のみ異なることから、「MasterLink」と「AffectedLink」も
図4B及び
図4Cに示すような構成例を採用できる。
【0122】
図6は、「MasterItem」と「AffectedItem」の構成例に対し、「CodeLine」と「Selection」を付加した構成例を示す。
【0123】
図6は、「MasterItem」を部品B、「AffectedItem」を部品Bのバージョン1・バージョン2a・バージョン2b、「CodeLine」をメーカーA・メーカーB、「Selection」を部品Bの互換性とし、部品BがメーカーA・メーカーBを所属させる関係、メーカーA・メーカーBが部品Bのバージョン1をそれぞれ所属させる関係、部品Bのバージョン1が部品Bのバージョン2a・バージョン2bに派生した関係、部品Bの互換性が部品Bのバージョン1・バージョン2bを共有する関係を符号化及び可視化したものである。
【0124】
これによれば、アイテム共通識別情報(例えば部品B)とアイテム非共通識別情報(例えば部品Bのバージョン1・バージョン2a・バージョン2b)の構成に対し、ルート情報(例えばメーカーA・メーカーB)及び/又はセレクション情報(例えば部品Bの互換性)とこれらの依存制約情報(例えば所属関係・共有関係)との相互関係情報を付加して符号化及び可視化でき、具体的には部品Bのバージョン1とこの派生版であるバージョン2a・バージョン2bの所在(例えば製造先・保管先・搬送先)としてはメーカーAとメーカーBが選択の対象であり、互換性を有する部品Bとしてはバージョン1とこの派生版であるバージョン2bが選択の対象であることを管理しやすい効果を期待できる。
【0125】
図7は、「MasterItem」と「AffectedItem」と「MasterLink」と「AffectedLink」とによる手配手順の構成例を示す。
【0126】
図7は、「MasterItem」を部品A・部品B、「AffectedItem」を部品Aのバージョン1~3・部品Bのバージョン1、「MasterLink」を部品Aの手配1・手配2、「AffectedLink」を内製・A社からの調達・B社からの調達・C社からの調達とし、部品Aが部品Aのバージョン1~3を所属させ、部品Bが部品Bのバージョン1を所属させ、部品Aの手配1が内製とA社からの調達を所属させ、部品Aの手配2がB社からの調達とC社からの調達を所属させ、部品Aのバージョン1と2が部品Aの手配1を共有し、部品Aのバージョン3が部品Aの手配2を所有し、部品Aの手配1の内製が部品Bを所有する関係を符号化及び可視化したものである。
【0127】
これによれば、アイテム共通識別情報(例えば部品A)に含まれるアイテム非共通識別情報(例えば部品Aのバージョン1~3)をプロセス共通識別情報(例えば部品Aの手配1・手配2)とこの各々に含まれるプロセス非共通識別情報(例えば内製・A社からの調達・B社からの調達・C社からの調達)で特定でき、さらにプロセス非共通識別情報(例えば内製)をアイテム共通識別情報(例えば部品B)とこれに含まれるアイテム非共通識別情報(例えば部品Bのバージョン1)で特定でき、具体的には部品Aとしてはバージョン1~3が選択の対象であり、部品Aのバージョン1・2の手配先として内製かA社からの調達、部品Aのバージョン3の手配先としてB社からの調達かC社からの調達が選択の対象であり、手配先が内製の場合は部品Bのバージョン1が選択の対象であることを管理しやすい効果を期待できる。
【0128】
図8は、「MasterItem」と「AffectedItem」と「MasterLink」と「AffectedLink」とによる組立手順の構成例を示す。
【0129】
図8は、「MasterItem」を部品A・部品B・部品C、「AffectedItem」を部品Aのバージョン1・部品Bのバージョン1・部品Cのバージョン1、「MasterLink」を部品Aの組立・部品Bの組立、「AffectedLink」を部品Aの組立1・部品Aの組立2・部品Bの組立とし、部品A~Cがそれぞれ部品A~Cのバージョン1を所属させ、部品Aの組立が組立1・組立2を所属させ、部品Bの組立が組立を所属させ、部品Aのバージョン1が部品Aの組立を所有し、部品Aの組立1が部品Bを共有し、部品Aの組立2が部品B・部品Cを共有し、部品Bのバージョン1が部品Bの組立を所有し、部品Bの組立が部品Cを共有する関係を符号化及び可視化したものである。
【0130】
これによれば、アイテム共通識別情報(例えば部品A・部品B)に含まれるアイテム非共通識別情報(例えば部品A・部品Bのバージョン1)をプロセス共通識別情報(例えば部品Aの組立、部品Bの組立)とこれに含まれるプロセス非共通識別情報(例えば部品Aの組立1・組立2、部品Bの組立)で特定でき、プロセス非共通識別情報(例えば部品Aの組立1・組立2、部品Bの組立)をアイテム共通識別情報(例えば部品B・部品C)とこれらに含まれるアイテム非共通識別情報(例えば部品B・部品Cのバージョン1)で特定でき、具体的には部品Aのバージョン1の組立工程は組立工程1と組立工程2の2種類が選択の対象であり、組立工程1は部品Bのバージョン1の組立工程で部品Cのバージョン1を組み込み済みの部品Bのバージョン1が要求され、組立工程2は部品Bのバージョン1と部品Cのバージョン1の各々が要求されていることを管理しやすい効果を期待できる。
【0131】
図9は、「MasterItem」と「AffectedItem」と「MasterLink」と「AffectedLink」と「EngineeringChange」とによる組立手順の構成例を示す。
【0132】
図9は、「MasterItem」を部品A・部品B・部品C、「AffectedItem」を部品Aのバージョン1・部品Bのバージョン1・部品Cのバージョン1、「MasterLink」を部品Aの組立・部品Bの組立、「AffectedLink」を部品Aの組立1・部品Aの組立2・部品Bの組立、「EngineeringChange」を部品Aのバージョン1に対する設計変更(以下「設変」ともいう。)指示A1、部品Bのバージョン1に対する設変指示B1、部品Cのバージョン1に対する設変指示C1、部品Aの組立1及び部品Bの組立に対する組立指示1、部品Aの組立2に対する組立指示2とし、部品A~Cがそれぞれ部品A~Cのバージョン1を所属させ、部品Aの組立が組立1・組立2を所属させ、部品Bの組立が組立を所属させ、部品Aのバージョン1が部品Aの組立を所有し、部品Aの組立1が部品Bを共有し、部品Aの組立2が部品B・部品Cを共有し、部品Bのバージョン1が部品Bの組立を所有し、部品Bの組立が部品Cを共有し、設変指示A1~C1がそれぞれ部品A~Cのバージョン1を所有し、組立指示1が部品Aの組立1と部品Bの組立を所有し、組立指示2が部品Aの組立2を所有する関係、換言すると、
図3に示す関係に対して「EngineeringChange」を追加した関係を符号化及び可視化したものである。
【0133】
これによれば、アイテム共通識別情報(例えば部品A・部品B)に含まれるアイテム非共通識別情報(例えば部品A・部品Bのバージョン1)をプロセス共通識別情報(例えば部品Aの組立、部品Bの組立)とこれに含まれるプロセス非共通識別情報(例えば部品Aの組立1・組立2、部品Bの組立)で特定でき、プロセス非共通識別情報(例えば部品Aの組立1・組立2、部品Bの組立)をアイテム共通識別情報(例えば部品B・部品C)とこれらに含まれるアイテム非共通識別情報(例えば部品B・部品Cのバージョン1)で特定でき、アイテム非共通識別情報(例えば部品A~Cのバージョン1)をインストラクション情報(例えば設変指示A1~C1)で特定でき、プロセス非共通識別情報(例えば部品Aの組立1・組立2、部品Bの組立)をインストラクション情報(例えば組立指示1・2)で特定でき、具体的には部品Aのバージョン1の組立工程は組立工程1と組立工程2の2種類が選択の対象であり、組立工程1は部品Bのバージョン1の組立工程で部品Cのバージョン1を組み込み済みの部品Bのバージョン1が要求され、組立工程2は部品Bのバージョン1と部品Cのバージョン1の各々が要求され、部品A~Cのバージョン1はそれぞれ設変指示A1~C1に従い、部品Aの組立工程1と部品Bの組立はそれぞれ組立指示1に従い、部品Aの組立工程2は組立指示2に従うことを管理しやすい効果を期待できる。
【0134】
図10Aでは
図4Aに示す「MasterItem」と「AffectedItem」の基本的な構成例と「VP」と「V」の基本的な構成例との関係を示す。
【0135】
図10Aは、「VP」を部品A、「V」を部品Aのバージョン1~3とし、部品Aが部品Aのバージョン1~3を選択する関係であり、さらに「VP」の部品Aが「MasterItem」の部品Aを具現化した関係を符号化及び可視化したものである。
【0136】
これによれば、可変情報(例えば部品A)をアイテム共通識別情報(例えば部品A)に具現化できることから、OVMモデルの記法で示す可変情報としての部品Aを実際の業務に近い表現であるBOMモデルで管理しやすい効果を期待できる。
【0137】
図10Bでは
図5に示す「MasterLink」と「AffectedLink」の基本的な構成例と「VP」と「V」の基本的な構成例との関係を示すが、情報の種類の差異以外は
図10Aで説明した内容と同等である。
【0138】
図11Aでは、
図10Aとは異なる「MasterItem」と「AffectedItem」の基本的な構成例と「VP」と「V」の基本的な構成例との関係を示す。
【0139】
図11Aは、「VP」を仕向け、「V」を日本仕向け・米国仕向けとし、仕向けが日本仕向け・米国仕向けを選択する関係であり、さらに「V」の日本仕向け・米国仕向けがそれぞれ「AffectedItem」の製品Aのバージョン1・バージョン2を具現化した関係、換言すると、製品Aのバージョン1が日本仕向け、バージョン2が米国仕向けであることを符号化及び可視化したものである。
【0140】
これによれば、変異情報(例えば日本仕向け・米国仕向け)をアイテム非共通識別情報(例えば製品Aのバージョン1・バージョン2)に具現化できることから、OVMモデルの記法で示す変異情報としての仕向けに関する情報を実際の業務に近い製品Aのバージョン1・バージョン2で特定したBOMモデルで管理しやすい効果を期待できる。
【0141】
図11Bでは、
図6に示す「MasterItem」と「AffectedItem」と「CodeLine」の構成例と「VP」と「V」の基本的な構成例との関係を示す。
【0142】
図11Bは、「VP」を工場、「V」をA工場・B工場とし、工場AがA工場・B工場を選択する関係であり、さらに「V」のA工場・B工場が「CodeLine」のメーカーA・メーカーBを具現化した関係を符号化及び可視化したものである。
【0143】
これによれば、変異情報(例えばA工場・B工場)をルート情報(例えばメーカーA・メーカーB)として具現化することで、OVMモデルの記法で示す変異情報としてのA工場・B工場を実際の業務により近い発注先等に相当するメーカーA・メーカーBで特定したBOMモデルで管理しやすい効果を期待できる。
【0144】
図11Cでは、「VP」と「V」の基本的な構成例と「EngineeringChange」との関係を示す。
【0145】
図11Cは、「VP」を製品、「V」を製品X・製品Y・製品Zとし、製品が製品X~Zを選択する関係であり、さらに「V」の製品X~Zが「EngineeringChange」の製造指示X~Zをそれぞれ具現化した関係を符号化及び可視化したものである。
【0146】
これによれば、変異情報(例えば製品X~Z)をインストラクション情報(例えば製造指示X~Z)として具現化することで、OVMモデルの記法で示す変異情報としての製品X~Zを実際の業務により近い製造指示で特定したBOMモデルで管理しやすい効果を期待できる。
【0147】
図12Aは、「MasterItem」と「AffectedItem」と「MasterLink」と「AffectedLink」と「VP」と「V」とによる仕様説明の構成例を示す。以下では、
図4A~
図11Cで説明した内容と同等な内容についての説明を適宜省略している箇所もある。
【0148】
図12Aは、「MasterItem」を機械A・サブ機械A1・サブ機械A2、「AffectedItem」を部品a1・部品a11・部品a12、「MasterLink」を部品a1の構成、「AffectedLink」を部品a1の構成1・構成2、「VP」を機械Aの部品構成、「V」を機械Aの部品構成1・部品構成2とし、機械Aが部品a1、サブ機械A1が部品a11、サブ機械A2が部品a12をそれぞれ所属させ、部品a1の構成が構成1・構成2を所属させ、部品a1が部品a1の構成を所有し、部品a1の構成1がサブ機械A1・A2を所有又は共有し、部品a1の構成2がサブ機械1を所有し、機械Aの部品構成が部品a1の構成、機械Aの部品構成1が部品a1の構成1、機械Aの部品構成2が部品a1の構成2にそれぞれ具現化された関係を符号化及び可視化したものである。
【0149】
これによれば、可変情報(例えば機械Aの部品構成)をアイテム共通識別情報(例えば部品a1の構成)、変異情報(例えば機械Aの部品構成1・部品構成2)をそれぞれアイテム非共通識別情報(例えば部品a1の構成1・構成2)として具現化することで、OVMモデルの記法で示す可変情報及び変異情報としての機械Aの部品構成を実際の業務に近い部品a1の構成で特定したBOMモデルで管理しやすい効果を期待できる。
【0150】
図12Bは、
図12Aを
図10A・
図10Bに示すように具現化して符号化及び可視化したものである。すなわち、
図12Bと
図12Aとの相違品は、「MasterItem」及び「MasterLink」を「VP」、「AffectedItem」及び「AffectedLink」を「V」、所属関係を選択関係、所有関係又は共有関係を要求関係に変換した点である。
【0151】
これによれば、BOMモデルをOVMモデルに変換して符号化できることから、BOMモデルで記述された各種情報の構成から得られる解をOVMモデラーのソルバで算出することができる。
【0152】
図13Aは各種情報に基づいて作成された組み合わせ情報モデルの一例を示し、
図13Bは上記モデルの解を示す。
【0153】
図13Aに示すように、「VP」が部品A、「VP」に対して選択関係を有する「V」が部品A-1及び部品A-2とする。これにより、部品Aの種類として部品A-1と部品A-2があることを記述できる。一方、「VP」と「V」のみでは部品A並びに部品A-1及び部品A-2に関する組み合わせ情報をモデル化しきれないことから、他の選択肢との併用によりBOMとしての組み合わせ情報モデルを記述しやすくなる。
【0154】
まず「VP」である部品Aを「MasterItem」として具現化し、「V」である部品A-1及び部品A-2を「AffectedItem」として具現化する。そして「MasterItem」である部品Aに「CodeLine」である第1工場を介して「AffectedItem」である部品A-1を所属させ、「CodeLine」である第2工場を介して「AffectedItem」である部品A-2を所属させる。これにより、例えば上位概念として定義される部品Aのうち、下位概念として定義される部品A-1を第1工場での製造等を経由して得られ、部品A-2を第2工場での製造等を経由して得られることを記述できる。
【0155】
次に「EngineeringChange」である製造指示が「Selection」である変更(例えば2022年1月1日より)を所有し、上記変更が「AffectedItem」である部品A-1と部品A-2とを共有する。これにより、製造指示が2022年1月1日より変更して部品A-1又は部品A-2を製造することを記述できる。
【0156】
また「AffectedItem」である部品A-1は別の「AffectedItem」である部品A-1aに派生する。これにより、例えば部品A-1と略同等だが仕様が一部のみ異なる部品A-1aを記述できる。
【0157】
また「AffectedItem」である部品A-1は「MasterLink」である部品A-1の組立工程を所有しており、上記部品A-1の組立工程は「AffectedLink」である部品A-1の組立手順1と組立手順2を所属させる。これより、部品A-1における組立工程に組立手順1と組立手順2が含まれることを記述できる。
【0158】
また「AffectedLink」である部品A-1の組立手順1と組立手順2は「MasterItem」である部品Bを共有し、上記部品Bは「AffectedItem」である部品B-1と部品B-2を所属させる。これにより、部品A-1の組立手順1と組立手順2には部品B-1及び/又は部品B-2が使われることを記述できる。
【0159】
また「EngineeringChange」である部品A-1の組立指示は2パターンあり、1パターン目は「EngineeringChange」が部品A-1の組立工程の設変指示1と部品B-1の仕様の設変指示とを共有し、2パターン目は「EngineeringChange」が部品A-1の組立工程の設変指示2と部品B-2の仕様の設変指示とを共有する。これによれば、部品A-1の組立手順1と組立手順2とのいずれかは部品A-1の組立指示に従うことを記述できる。すなわち、部品A-1の組立工程が2つ以上のパターンを含み、かつ各パターンで部品Bに分類される部品B-1や部品B-2が用いられる場合、部品A-1の組立指示として部品A-1の組立工程の設計変更指示1と部品B-1の仕様の設変指示とをし、または部品A-1の組立工程の設計変更指示2と部品B-2の仕様の設変指示とをそれぞれ記述できる。
【0160】
図13Bに示すように、算出部12は、
図13Aの組み合わせ情報モデルを構成する各選択肢の組み合わせのパターンを、ASPソルバインタフェースを介して解として算出する。
図13Bには、「VP」が可変点かつ「V」がこの選択肢(変位点)、「MasterItem」と「Selection」と「CodeLine」が可変点かつ「AffectedItem」がこれらの選択肢(変位点)、「MasterLink」が可変点かつ「AffectedLink」がこの選択肢(変位点)、「EngineeringChange」が可変点かつこの内容が選択肢(変位点)であることと、それぞれの可変点及び選択肢の組み合わせを満たす場合に「〇」、満たさない場合に「×」、満たすが関連する他の組み合わせの一部を満たさない場合に「△」として算出された解1~5とがリスト化されている。解1~5の算出に制約情報及び目的関数は設定されていないが、これらが設定されたら解の数が減ることもある。
【0161】
このとき、算出部12は、部品B-1の仕様の設変指示が部品B-1、部品B-2の仕様の設変指示が部品B-2、部品A-1の組立工程の設変指示1が部品A-1の組立1、部品A-1の組立工程の設変指示2が部品A-1の組立2に対応していることから、「EngineeringChange」の全組み合わせを解に反映せず、それぞれ対応している組み合わせのみ解に反映することで、不要な組み合わせに基づく解の算出を回避する効果を期待できる。
【0162】
設定部14は、上述した解の算出前に制約情報及び目的関数を設定してよい。例えば価格や評価といった属性値の属性項目と、それぞれ例えばW1・W2といった変数とを設定し、選択肢の属性に対する個別値としての制約の最小値・最大値、合計値としての制約の最小値・最大値、及び目的関数を設定し、依存制約情報の属性に対する個別値としての制約の最小値・最大値を設定してもよい。
【0163】
具体的に図示しないが、設定部14は、例えば制約情報として「部品A-1~2及び部品B-1~2(変異情報に相当)の価格(属性値に相当)の計算値(変数に相当)が300(値に相当)以下であること」、目的関数として「部品A-1~2及び部品B-1~2(変異情報に相当)の評価(属性値に相当)の計算値(変数に相当)が最大であること」を設定する。なお、結果的に目的関数を満たす解が複数算出された場合、算出された解全てではなく、「選択肢を最少化」とする解、又は「選択肢を最大化」とする解、のいずれかを抽出する設定をしてもよい。
【0164】
制約情報は、「計算値が所定の値以下」の他に、「計算値が所定の値以上」、「計算値が所定の値と所定の値の間」、「個別値が所定の値以下」、「個別値が所定の値以上」、「個別値が所定の値と所定の値の間」も含む。さらに、目的関数は、計算値が最大となる解を求める「最大化」の他に、最小となる解を求める「最小化」、極値となる解を求める「極値化」も含み、最大化又は最小化と極値化とが結果的に同等であってもよい。すなわち、制約情報が属性値(個別値)又は属性値の計算値を閾値とする6タイプであり、かつ目的関数が属性値の計算値の最大、最小、又は極値とする3タイプであることで、ユーザーは組み合わせに対して所望の制約を設定しやすい。
【0165】
以下、上述した内容を参照しつつ、本情報管理装置の基本的な実行処理の流れについて説明する。
【0166】
図14に示すように、まず、例えば部品や名称や仕様といったアイテムを特定するアイテム情報、組立指示・部品手配・設変指示といったアイテムを所定の状態から別の状態に変更するプロセスを特定するコンテキスト情報、及び/又はアイテム或いはプロセスに対する実行若しくは変更の指示若しくは承認に関するインストラクション情報を符号化及び可視化する(Step1)。インストラクション情報は、アレンジ情報及び/又はタイム情報を含んでいる。次に、アイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報の構成を示す依存制約情報を符号化及び可視化する(Step2)。そして、依存制約情報により成立するアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、及び/又はコンテキスト情報とインストラクション情報の相互関係情報を符号化及び可視化する(Step3)。最後に、符号化した相互関係情報に基づき上記構成の解を命題論理式で算出する(Step4)。
【0167】
このような流れによれば、例えばアイテムの提供に応じたインシデント・問題・変更・リリース等の管理として、設計から販売に至るまでの工程を含む業務やこれらの領域を越えた統合的な構成管理の実現と共に、ECM(Engineering Chain Management)・SCM(Supply Chain Management)といった各フェーズの作業状態の動的管理を期待できる。
【0168】
また、無機的なアイテム情報やコンテキスト情報を、順序情報や時系列情報といったこれらとは相対的に有機的なインストラクション情報で特定することで、相互関係情報の制約を厳しくしたり緩めたり柔軟に設定でき、また、アイテム情報やコンテキスト情報はそのままで変更せずにインストラクション情報を見直して変更することで、制約を柔軟に調整できる効果を期待できる。
【0169】
また、所定のフェーズで発見されたアイテムの不具合等の原因究明の手法として、例えば直前のフェーズでなされたこのアイテムに対するインストラクションのような、下流から上流に向かって逆順にそれぞれのフェーズで行われた処理の適否を確認しやすいことから、上記原因究明を効率的に行える効果を期待できる。
【0170】
また、例えばアイテム情報やコンテキスト情報インストラクション情報を含め、各フェーズで選択できる項目や発生する可能性がある項目をアイテム情報同士、コンテキスト情報同士、インストラクション情報同士、アイテム情報とコンテキスト情報、アイテム情報とインストラクション情報、又はコンテキスト情報とインストラクション情報といった組み合わせの対象とすることで、最適解である組み合わせとして各フェーズにて単一結果を得られる効果を期待できる。
【0171】
また、例えばアイテム情報としてアイテムの仕様に含まれる機能や適用箇所に基づく意味を有する管理番号、コンテキスト情報として所定の業務の申請順や時系列に基づく意味を有さない管理番号、インストラクション情報として上記業務に対する実行や変更の指示や承認の申請順や時系列に基づく意味を有さない管理番号のように採番をルール化することで、これらの管理番号により各フェーズの部門や担当者の要求を伝えられる上に、シンプルな番号体系の実現を期待できる。
【0172】
また、モデル化したアイテム情報モデルやコンテキスト情報モデルやインストラクション情報モデルや依存制約情報モデルでこれらの相互関係情報モデルを記述できることから、ユーザビリティが向上し、より効率的な情報管理が実現する効果を期待できる。
【0173】
なお、本実施形態は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆるシステム構成・方法・ソフトウェア・ハードウェア・機能、及びこれらの相互関係を含む。