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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006158
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】撹拌体及びそれを備える撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/1151 20220101AFI20240110BHJP
   B01F 27/112 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 27/1152 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 27/192 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 27/808 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 27/93 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 23/43 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 23/60 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 27/13 20220101ALI20240110BHJP
   B01F 101/21 20220101ALN20240110BHJP
   B01F 101/24 20220101ALN20240110BHJP
   B01F 101/22 20220101ALN20240110BHJP
   B01F 101/06 20220101ALN20240110BHJP
【FI】
B01F27/1151
B01F27/112
B01F27/1152
B01F27/192
B01F27/808
B01F27/90
B01F27/93
B01F23/43
B01F23/53
B01F23/60
B01F27/13
B01F101:21
B01F101:24
B01F101:22
B01F101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106785
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 賢一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 裕規
(72)【発明者】
【氏名】長光 陽平
(72)【発明者】
【氏名】平山 良之
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB38
4G035AB46
4G035AB48
4G078AA03
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA13
4G078DA01
4G078DA23
4G078DA28
4G078DC01
4G078DC02
4G078DC06
(57)【要約】
【課題】剪断性能及び吐出性能を両立させた撹拌体及びそれを備える撹拌装置を提供する。
【解決手段】撹拌体1は、回転して被撹拌物を剪断する剪断部材2と、剪断部材2の回転軸L1の一方側に配置されると共に被撹拌物を剪断部材2に向かって吐出する撹拌翼3と、を備え、剪断部材2は、複数の貫通孔212を有する本体部21と、本体部21から回転軸L1の一方側に突出する突起部22と、を備え、突起部22は、貫通孔212よりも本体部21の縁21a側に設けられている。撹拌装置は、撹拌体1と、被撹拌物を収容する撹拌槽と、撹拌体1を回転させる駆動部と、を備え、剪断部材2は、撹拌翼3よりも撹拌槽の底部側に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転して被撹拌物を剪断する剪断部材と、
前記剪断部材の回転軸の一方側に配置されると共に前記被撹拌物を前記剪断部材に向かって吐出する撹拌翼と、を備え、
前記剪断部材は、複数の貫通孔を有する本体部と、前記本体部から前記回転軸の一方側に突出する突起部と、を備え、
前記突起部は、前記貫通孔よりも前記本体部の縁側に設けられている、撹拌体。
【請求項2】
前記突起部には、隙間又は貫通孔が設けられている、請求項1に記載の撹拌体。
【請求項3】
前記突起部は、前記回転軸の軸方向視において前記回転軸の回転方向に沿った形状に形成されている、請求項2に記載の撹拌体。
【請求項4】
前記本体部は、網目状に形成された網目部を備え、
前記貫通孔は、前記網目部に設けられている、請求項1に記載の撹拌体。
【請求項5】
前記網目部は、前記剪断部材の回転中心から径方向外側に延びる線部を備えている、請求項4に記載の撹拌体。
【請求項6】
前記撹拌翼の前記回転軸の軸方向の他方端は、前記突起部の前記軸方向の一方端よりも前記本体部側に配置されている、請求項1に記載の撹拌体。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の撹拌体と、
前記被撹拌物を収容する撹拌槽と、
前記撹拌体を回転させる駆動部と、を備え、
前記剪断部材は、前記撹拌翼よりも前記撹拌槽の底部側に配置されている、撹拌装置。
【請求項8】
前記撹拌槽の底部に回転可能に取り付けられる軸部材を備え、
前記撹拌体は、前記撹拌槽の底部と近接した位置で前記軸部材に固定されている、請求項7に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撹拌体及びそれを備える撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品、洗剤、医薬品や食品の製造において、複数の材料を撹拌するために撹拌装置が用いられてきた。撹拌装置には、材料(被撹拌物)を撹拌するための撹拌体が設けられている。特に化粧品分野においては、液だれや水分の蒸発を防止するために液体の粘性を高める水系増粘剤が用いられることがある。水系増粘剤を薬液に投入して撹拌装置で撹拌すると、水系増粘剤が凝縮して凝縮体が形成され、薬液の成分に偏りが生じる。そのため、撹拌後に分散装置を用いて凝縮体を剪断し、薬液の成分を均一化させる作業を要していた。
【0003】
撹拌後に分散装置を用いることは、分散装置への移し替えや凝縮体の剪断などに時間がかかる。また、撹拌装置から分散装置への移し替えなどの自動化が困難である。そのため、分散装置を用いずに凝縮体を剪断可能な撹拌装置が望まれている。具体的には、凝縮体を剪断する剪断性能と液体の成分を均一にする吐出性能とを両立させた撹拌体が望まれている。
【0004】
特許文献1には、撹拌翼と、ディスク部に貫通孔を有する剪断部材と、を備える撹拌体が開示されている。これにより、撹拌翼によって吐出された被撹拌物を剪断部材で剪断することができる。しかしながら、当該撹拌体の構成では撹拌翼によって吐出された被撹拌物が回転軸から離れる方向に流動しやすいと考えられ、当該撹拌体の剪断性能は低いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-8247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本開示の目的は、剪断性能及び吐出性能を両立させた撹拌体及びそれを備える撹拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の撹拌体は、回転して被撹拌物を剪断する剪断部材と、前記剪断部材の回転軸の一方側に配置されると共に前記被撹拌物を前記剪断部材に向かって吐出する撹拌翼と、を備え、前記剪断部材は、複数の貫通孔を有する本体部と、前記本体部から前記回転軸の一方側に突出する突起部と、を備え、前記突起部は、前記貫通孔よりも前記本体部の縁側に設けられている。
【0008】
斯かる構成によれば、撹拌翼によって被撹拌物を剪断部材に向かって吐出することができ、剪断部材に設けられた貫通孔に流動した被撹拌物を本体部で剪断することができる。また、突起部を設けることによって、突起部と衝突した被撹拌物が貫通孔に流動しやすくなり、剪断部材の剪断性能を向上させることができる。これにより、剪断性能及び吐出性能を両立させることができる。
【0009】
本開示の撹拌装置は、前記撹拌体と、前記被撹拌物を収容する撹拌槽と、前記撹拌体を回転させる駆動部と、を備え、前記剪断部材は、前記撹拌翼よりも前記撹拌槽の底部側に配置されている。
【0010】
斯かる構成によれば、撹拌体によって剪断性能及び吐出性能を両立させた撹拌装置とすることができ、撹拌槽内の被撹拌物を効率よく撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る撹拌装置の概要図
図2】同実施形態に係る撹拌体の斜視図
図3】同実施形態に係る撹拌体の平面図
図4図3のIV-IV線断面図
図5】測定条件を説明するための撹拌装置の概要図
図6】実施例1に係る撹拌体で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図7】実施例2に係る撹拌体の斜視図
図8】実施例2に係る撹拌体で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図9】実施例3に係る撹拌体の斜視図
図10】実施例3に係る撹拌体で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図11】実施例4に係る撹拌体の斜視図
図12】実施例4に係る撹拌体で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図13】実施例5に係る撹拌体の斜視図
図14】実施例5に係る撹拌体で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図15】比較例1に係る撹拌体の斜視図
図16】比較例1に係る撹拌体で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図17】比較例2に係るディスパー翼の斜視図
図18】比較例2に係るディスパー翼で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図19】比較例3に係る平パドル翼の斜視図
図20】比較例3に係る平パドル翼で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
図21】比較例4に係るパルセータ翼の斜視図
図22】比較例4に係るパルセータ翼で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態に係る撹拌体及び撹拌装置について、図1図4を参照しながら説明する。なお、各図(図5図22も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
以下の説明で用いられる上方向及び下方向は、撹拌装置を設置した状態における上方向及び下方向を意味する。軸方向D1は、後述する回転軸L1の延びる方向をいい、径方向D2は、回転軸L1から垂直に延びる方向をいい、周方向D3は、回転軸L1周りの方向(回転軸L1の回転方向)をいう。径方向D2のうち、回転軸L1に近い側を内側といい、回転軸L1から遠い側を外側という。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る撹拌装置100は、化粧品、洗剤、医薬品や食品などの材料である被撹拌物を撹拌するために用いられる。被撹拌物は、流動性を有するものであればよく、液体、粒子状や粉末状の固体、及び、これらの混合物を含む。
【0015】
撹拌装置100は、被撹拌物を撹拌する撹拌体1と、被撹拌物を収容する撹拌槽101と、撹拌体1を回転させる駆動部102と、を備えている。撹拌体1は、軸部材103を介して駆動部102に固定されていることが好ましい。
【0016】
撹拌槽101は、底部101aと周壁部101bと蓋部101cとを備えている。底部101aの形状は、平板状で示しているが、これに限定されない。例えば、底部101aの形状は、皿形状、半楕円形状、半球形状、円錐形状などであってもよい。周壁部101bの形状は、円筒状である。
【0017】
軸部材103は、撹拌槽101の中心軸L2からずれた位置に取り付けられている(偏心取付されている)。これにより、撹拌槽101を乱流状態とし、被撹拌物の撹拌効率を向上させることができる。軸部材103の回転軸L1の偏心距離Ln2は、撹拌槽101の内径Dm3の10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。本実施形態において、偏心距離Ln2は、例えば、47.5mmであり、撹拌槽101の内径Dm3の25%である。
【0018】
本実施形態において、軸部材103(回転軸L1)は、撹拌槽101の中心軸L2と実質的に平行に配置されているが、これに限られない。例えば、軸部材103は、撹拌槽101の中心軸L2に対して傾斜して配置されていてもよい。
【0019】
軸部材103は、撹拌槽101の底部101aに回転可能に取り付けられていることが好ましい。これにより、撹拌槽101の蓋部101cに軸部材103が取り付けられた場合と比べ、撹拌槽101への被撹拌物の投入を容易にすることができる。また、撹拌槽101内に作業者の手が入りやすくなり、撹拌槽101内の清掃を容易にすることができる。さらに、少量の被撹拌物でも撹拌が可能となり、化粧品などの多品種少量生産が可能となる。なお、軸部材103を撹拌槽101の蓋部101cに取り付けてもよい。
【0020】
駆動部102は、不図示の駆動モータと減変速機とを備えている。駆動モータとしては、電動モータ、エアーモータ、油圧モータなどが挙げられる。減変速機としては、ギア減速機、ベルト減速機、機械式変速機などが挙げられる。駆動部102は、撹拌槽101の底部101a側(下側)に配置されているが、これに限られない。例えば、駆動部102を撹拌槽101の蓋部101c側(上側)に配置してもよい。また、駆動部102は、例えば、電動ドライバなどであってもよい。
【0021】
撹拌体1は、撹拌槽101内に配置され、軸部材103に固定されている。撹拌体1は、撹拌槽101の底部101aと近接した位置に配置されていることが好ましい。撹拌体1の配置高さH1は、底部101aから5mm~20mmであることが好ましい。これにより、沈降性の高い被撹拌物であっても被撹拌物を撹拌することができる。また、撹拌槽101に対し少量の被撹拌物であっても被撹拌物を撹拌することができる。本実施形態において、撹拌体1の配置高さH1は、例えば、底部101aから7mmである。
【0022】
撹拌体1は、回転して被撹拌物を剪断する剪断部材2と、剪断部材2の回転軸L1の一方側に配置されると共に被撹拌物を剪断部材2に向かって吐出する撹拌翼3と、を備えている。本実施形態において、剪断部材2は、撹拌翼3よりも撹拌槽101の底部101a側に配置されている。
【0023】
図2図4に示すように、剪断部材2は、複数の貫通孔212を有する本体部21と、本体部21から回転軸L1の一方側に突出する突起部22と、を備えている。本体部21の径Dm1(幅又は長さ)は、撹拌翼3の径Dm2と実質的に同じ(±5%の差を含む)又はそれ以上であることが好ましい(図3参照)。これにより、剪断部材2に流動する被撹拌物を増やすことができ、撹拌体1の剪断性能を向上させることができる。本実施形態において、本体部21は、円板状に形成されているが、これに限られない。例えば、本体部21は、多角形板状や曲板状に形成されていてもよい。
【0024】
貫通孔212は、軸方向D1に沿って本体部21を貫通している孔である。貫通孔212を設けた本体部21が回転することによって、貫通孔212に流動した被撹拌物を本体部21で剪断することができる。これにより、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。本実施形態において、貫通孔212は、略四角形状に形成されているが、これに限られない。例えば、貫通孔212は、円形状や三角形状などに形成されていてもよい。
【0025】
貫通孔212は、並列されていることが好ましい。本実施形態において、貫通孔212は、径方向D2に沿って並列されている。また、貫通孔212は、周方向D3に沿って並列されている。貫通孔212は、上記に限られず、例えば、多角形状を表すように並列されていてもよい。
【0026】
貫通孔212の径方向D2の幅W1は、他の貫通孔212の径方向D2の幅W1と実質的に同じである。貫通孔212の周方向D3の長さLn1は、径方向D2の外側に向かって大きくなっている。貫通孔212の長さLn1(面積)は、径方向D2の内側に位置する他の貫通孔212の長さLn1(面積)よりも大きく、周方向D3に並列された他の貫通孔212の長さ(面積)と実質的に同じである。貫通孔212の幅W1、長さLn1、面積は、上記に限られない。例えば、全ての貫通孔212の幅W1、長さLn1、面積が実質的に同じであってもよい。
【0027】
突起部22は、貫通孔212よりも本体部21の縁21a側に設けられている。これにより、突起部22と衝突した被撹拌物が貫通孔212に流動しやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。本実施形態において、突起部22は、本体部21の縁21aに設けられているが、これに限られない。
【0028】
突起部22には、隙間G1又は貫通孔223が設けられていることが好ましい。これにより、隙間G1又は貫通孔223に流動した被撹拌物を突起部22で剪断することができ、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。突起部22は、少なくとも1つ以上の突起221を備えていることが好ましい。本実施形態において、突起部22は、複数の突起221を備えており、隣り合う突起221の間に隙間G1が設けられている。本実施形態における隙間G1は、長方形状(スリット状)の貫通孔223ともいえる。なお、突起部22は、隙間G1又は貫通孔223を有していなくてもよい。
【0029】
突起部22は、軸方向D1視において回転軸L1の回転方向(周方向D3)に沿った形状に形成されていることが好ましい。突起221は、円弧状(湾曲形状)に形成されていることがより好ましい。本実施形態において、突起部22は、突起221を補強する補強部222を備えており、補強部222は、各突起221の軸方向D1の一方端を連結している。突起部22は、軸方向D1視において突起221と補強部222とによって円環状をなしている。なお、突起部22は、上記に限られない。
【0030】
図3に示すように、突起221の径方向D2に対する角度θ1は、70度を超えていることが好ましい。これにより、突起221と衝突した被撹拌物が貫通孔212に流動しやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。突起221の角度θ1は、80度以上であることがより好ましく、85度以上であることがさらに好ましい。
【0031】
隙間G1(又は貫通孔223)の周方向D3に沿った幅W3(円弧角度θ3)は、突起221の周方向D3に沿った幅W2(円弧角度θ2)の60%以下であることが好ましい。これにより、貫通孔212に流動する被撹拌物を増やすことができ、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。隙間G1(又は貫通孔223)の幅W3(円弧角度θ3)は、突起221の幅W2(円弧角度θ2)の40%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。隙間G1の幅W3は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。本実施形態において、例えば、突起221の幅W2は17.2mm(円弧角度θ2は、33、4度)であり、幅W3は、3.5mm(円弧角度θ3は、6.6度)である。
【0032】
突起221の設置数は、突起221の幅W2(円弧角度θ2)と隙間G1の幅W3(円弧角度θ3)とによって定まる。突起221の設置数は、後述する羽根31の枚数よりも多いことが好ましい。本実施形態において、突起221の設置数は、例えば、9つである。
【0033】
図4に示すように、突起部22の高さH2は、1mm以上であることが好ましい。これにより、突起部22を設けることによる剪断性能の向上効果を確保することがきできる。突起部22の高さH2は、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましい。突起部22の高さH2は、撹拌翼3の高さH3よりも低いことが好ましい。これにより、突起部22を設けることによる撹拌翼3の吐出性能の低下を抑制することができる。本実施形態において、例えば、突起部22の高さH2は、10mmであり、撹拌翼3の高さH3は、13mmである。
【0034】
突起部22の径方向D2の内側面は、回転軸L1と実質的に平行(10度以下の傾きを含む)であることが好ましい。これにより、被撹拌物を貫通孔212に流動させやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。
【0035】
本体部21は、図1の軸部材103が挿通される挿通孔211を備えている。挿通孔211は、軸方向D1に沿って本体部21を貫通する孔である。挿通孔211の中心は、回転軸L1と実質的に一致する。挿通孔211は、多角形状やその他の回り止め形状に形成されていることが好ましい。これにより、回転によって本体部21と軸部材103との固定が解除されることを抑制できる。本実施形態において、挿通孔211は、例えば、六角形状である。
【0036】
図2図4に示すように、本体部21は、網目状に形成された網目部213を備えている。貫通孔212は、網目部213に設けられている。網目部213は、剪断部材2の回転中心(回転軸L1)から径方向外側に延びる複数の第1線部213aを備えている。本実施形態において、第1線部213aは、直線状に延びている、即ち、放射状に延びているが、これに限られない。例えば、第1線部213aは、曲線状に延びていてもよい。第1線部213aの幅W4(図3参照)は、実質的に一定であるが、これに限られない。例えば、第1線部213aは、径方向D2の外側に向かって幅広に形成されていてもよい。
【0037】
第1線部213aは、周方向D3に並列されている。第1線部213aの設置数は、突起221や後述する第2線部213bの設置数よりも多いことが好ましい。第1線部213aの設置数は、10本以上であることが好ましく、20本以上であることがさらに好ましい。これにより、被撹拌物が第1線部213aに衝突しやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。第1線部213aの設置数は、26本以下であることが好ましい。これにより、貫通孔212に被撹拌物が詰まることを抑制できる。本実施形態において、第1線部213aの設置数は、例えば、21本である。
【0038】
網目部213は、周方向D3に沿って延びる複数の第2線部213bを備えていることが好ましい。第2線部213bは、複数の第1線部213aを連結している。これにより、第1線部213aの強度を向上させることができる。本実施形態において、第2線部213bは、円環状に形成されているが、これに限られない。例えば、第2線部213bは、角環状に形成されていてもよく、一部が途切れた断続的な環状に形成されていてもよい。第2線部213bの幅W5(図3参照)は、実質的に一定であり、第1線部213aの幅W4と実質的に同じであるが、これに限られない。
【0039】
第2線部213bは、径方向D2に並列されている。第2線部213bの配置数は、8本以下であることが好ましい。これにより、貫通孔212に被撹拌物が詰まることを抑制できる。第2線部213bの配置数は、6本以下であることがより好ましい。本実施形態において、第1線部213aの設置数は、例えば、5本である。第2線部213bは、本体部21の縁21aを形成しているが、これに限られない。
【0040】
撹拌翼3は、軸方向D1の一方側から他方側に向かって吐出している。本実施形態において、撹拌翼3は、図1の撹拌槽101の上から下に向かって吐出しているが、これに限られない。撹拌翼3の軸方向D1の他方端は、突起部22の軸方向D1の一方端よりも本体部21側に配置されていることが好ましい。これにより、被撹拌物が貫通孔212に流動しやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。撹拌翼3は、本体部21と接して固定されていることがより好ましい。これにより、剪断部材2と撹拌翼3とを共通の駆動で一体的に回転させることができる。
なお、撹拌翼3は、上記に限られず、図1の軸部材103を介して剪断部材2から離れた位置に固定されていてもよい。
【0041】
図3に示すように、撹拌翼3の径Dm2は、図1の撹拌槽101の内径Dm3や被撹拌物の粘度によって適宜設定される。被撹拌物の粘度が大きくなるにつれて、撹拌槽101の内径Dm3に対する撹拌翼3の径Dm2を大きくすることが好ましい。撹拌翼3の径Dm2は、撹拌槽101の内径Dm3の25%以上であることが好ましい。これにより、撹拌槽101において撹拌されない領域が生じることを抑制できる。本実施形態において、径Dm2は、例えば、60mmであり、撹拌槽101の内径Dm3の32%である。
【0042】
撹拌翼3は、少なくとも1枚以上の羽根31と、羽根31が固定される軸部32と、を備えている。羽根31は、2枚であることが好ましい。これにより、羽根31の枚数を増やすことによる吐出性能の低下を抑制できる。
【0043】
羽根31は、回転軸L1と直交する面(例えば、水平面)に対して傾斜している。撹拌翼3は、傾斜パドル翼やプロペラ翼であることが好ましい。回転軸L1と直交する面に対する羽根31の径方向D2の外側端の傾斜角度は、20度~70度であることが好ましく、35度~55度であることがより好ましい。これにより、剪断部材2に流動する被撹拌物を増やすことができ、撹拌体1の剪断性能を向上させることができる。本実施形態において、例えば、羽根31は、スクリュー状にねじられた羽根(プロペラ羽根)であり、ねじれ回転数が0.0956回(上記傾斜角度は35.8度)である。なお、上記傾斜角度とねじれ回転数との関係式は下記の数1となる。
[数1]
傾斜角度=tan-1(H3/(Dm2×π×ねじれ回転数))×180/π
【0044】
軸部32は、図1の軸部材103が挿通される挿通孔321を備えている。挿通孔321の中心は、回転軸L1と実質的に一致する。挿通孔321は、図4の本体部21に設けられた挿通孔211と実質的に同じ形状である。
【0045】
剪断部材2及び撹拌翼3の各パラメータ(羽根31のねじり回転数、突起221の高さH2、突起221の幅W2(円弧角度θ2)、突起221の設置数、第1線部213aの設置数、第2線部213bの設置数など)は、例えば、本体部21の貫通孔212や突起221の隙間G1における液中での剪断応力や被撹拌物の漏れ率などから、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)解析によって決定してもよい。
【実施例0046】
撹拌体1及び撹拌装置100の効果を具体的に示すため、撹拌体1の実施例及び比較例について図2図22を参照しながら、以下に説明する。
【0047】
<剪断性能及び吐出性能の評価>
図5に示す撹拌槽101に粉末を含む被撹拌物を投入し、後述する実施例又は比較例の撹拌体で1分撹拌した。そして、撹拌の5分後に、被撹拌物の液面での粉体の割合と被撹拌物の粘度とを測定して剪断性能及び吐出性能の評価をした。
【0048】
被撹拌物は、1.3ブチレングリコールとアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(水系増粘剤)とを混合したものである。液体である1.3ブチレングリコールを先に撹拌槽101に投入し、その後、粉末状のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(40g)を10分かけて篩を通して投入した。
【0049】
撹拌後の被撹拌物の液面での粉体の割合は、画像処理装置を用いて測定した。具体的には、被撹拌物の液面の写真を撮影し、その写真の粉体部分が白色、その他が黒色となるように画像処理を施し、任意の領域a~cにおける白色部分の面積割合をそれぞれ測定した。撹拌後の被撹拌物の粘度は、回転式粘度計(NDJ-5S)を用いて測定した。
【0050】
図5に示すように、測定条件は、撹拌槽101の内径Dm3が190mm、被撹拌物の液高さH4が74mm(2L相当)、撹拌体1の配置高さH1が撹拌槽101の底部101aから7mm、回転軸L1の偏心距離Ln2が撹拌槽101の中心軸L2から47.5mm、撹拌体1の回転速度が1346rpmである。駆動部102は、蓋部101cに固定されたマキタ製電動ドライバである。
【0051】
<実施例1>
実施例1は、図2図4に示す上記実施形態に係る撹拌体1である。具体的には、羽根31のねじれ回転数が0.0956回、突起部22の高さH2が10mm、突起221の円弧角度θ2が33.4度、突起221の設置数が9つ、第1線部213aの設置数が21本、第2線部213bの設置数が5本である。本体部21の径Dm1及び撹拌翼3の径Dm2は、それぞれ60mmである。撹拌翼3の高さH3は、13mmである。径Dm1(比較例2~4を除く)、径Dm2及び高さH3については、他の実施例及び比較例についても同様である。図6は、実施例1に係る撹拌体1で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0052】
<実施例2>
実施例2は、図7に示す撹拌体1である。具体的には、羽根31のねじれ回転数が0.1207回、突起部22の高さH2が5mm、突起221の円弧角度θ2が30度、突起221の設置数が6つ、第1線部213aの設置数が18本、第2線部213bの設置数が5本である。図8は、実施例2に係る撹拌体1で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0053】
<実施例3>
実施例3は、図9に示す撹拌体1である。具体的には、実施例2に係る撹拌体1に対し、第1線部213aの設置数を12本に変更した撹拌体1である。図10は、実施例3に係る撹拌体1で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0054】
<実施例4>
実施例4は、図11に示す撹拌体1である。具体的には、実施例2に係る撹拌体1に対し、突起221の円弧角度θ2を10度に変更し、第1線部213aの設置数を12本に変更した撹拌体1である。図12は、実施例4に係る撹拌体1で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
<実施例5>
実施例5は、図13に示す撹拌体1である。具体的には、実施例2に係る撹拌体1に対し、羽根31のねじれ回転数を0.0283回に変更し、第1線部213aの設置数を12本に変更した撹拌体1である。図14は、実施例5に係る撹拌体1で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0055】
<比較例1>
比較例1は、図15に示す撹拌体C1である。撹拌翼C3は、実施例2における撹拌翼3と同じであるが、剪断部材C2は、貫通孔212(網目部213)を備えない点で実施例2における剪断部材2と異なる。図16は、比較例1に係る撹拌体C1で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0056】
<比較例2>
比較例2は、図17に示すディスパー翼C4である。図18は、比較例2に係るディスパー翼C4で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0057】
<比較例3>
比較例3は、図19に示す一般的な平パドル翼C5である。図20は、比比較例3に係る平パドル翼C5で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0058】
<比較例4>
比較例4は、図21に示す一般的なパルセータ翼C6である。図22は、比較例4に係るパルセータ翼C6で被撹拌物を撹拌した後の被撹拌物の液面における粉体の割合を示す画像である。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1は、実施例1~5及び比較例1の構成を示している。表2は、実施例1~5及び比較例1~4の測定結果を示している。被撹拌物の液面での粉体の割合は、数値が低いほど被撹拌物の液面に浮かんだ粉体が剪断されていることを示している。被撹拌物の粘度は、数値が高いほど増粘剤である粉体が剪断されていることを示している。
【0062】
表2に示すように、剪断性能の優れたディスパー翼C4(比較例2)、吐出性能の優れた平パドル翼C5(比較例3)及びパルセータ翼C6(比較例4)は、液面での粉体の割合が高く、被撹拌物の粘度が低い傾向にある。この結果から、液面での粉体の割合が低く、且つ、被撹拌物の粘度が高い撹拌体1は、剪断性能及び吐出性能が共に優れていると判断できる。したがって、実施例1~5に係る撹拌体1は、剪断性能及び吐出性能が共に優れている(を両立している)と評価できる。
【0063】
表1及び表2に示すように、剪断部材において、突起の高さH2が大きくなると剪断性能が向上すると考えられる(実施例1~5及び比較例1)。突起の円弧角度θ2が大きくなると剪断性能が向上する傾向にある(実施例3及び4)。突起221の設置数が増えると剪断性能が向上する傾向にある(実施例1~5及び比較例1)。即ち、突起221間の隙間G1の円弧角度θ3(幅W3)が小さくなると剪断性能が向上すると考えられる(図3参照)。これらの結果より、突起221の軸方向D1の一方側や隙間G1から流れ出る被撹拌物の流量(漏れ率)を小さくすると、剪断部材2の剪断性能が向上すると考えられる(図4参照)。
【0064】
また、剪断部材において、第1線部213aを設置したほうが剪断性能が向上する傾向にある(実施例3及び比較例1)。これにより、図3の貫通孔212を設けると剪断性能が向上する傾向にある。第1線部213aの設置数が増えると剪断性能が向上する傾向にある(実施例1~3)。これより、貫通孔212の設置数が増えると剪断性能が向上すると考えられる。
【0065】
撹拌翼において、羽根のねじれ回転数が大きくなると、撹拌体の剪断性能が向上すると考えられる(実施例3及び5)。一方、ねじれ回転数が一定の値を超えると撹拌翼の吐出性能が下がると考えられる(実施例1~5)。
【0066】
[1]
以上より、本実施形態に係る撹拌体1は、回転して被撹拌物を剪断する剪断部材2と、剪断部材2の回転軸L1の一方側に配置されると共に被撹拌物を剪断部材2に向かって吐出する撹拌翼3と、を備え、剪断部材2は、複数の貫通孔212を有する本体部21と、本体部21から回転軸L1の一方側に突出する突起部22と、を備え、突起部22は、貫通孔212よりも本体部21の縁側に設けられている。
【0067】
斯かる構成によれば、撹拌翼3によって被撹拌物を剪断部材2に向かって吐出することができ、剪断部材2に設けられた貫通孔212に流動した被撹拌物を本体部21で剪断することができる。また、突起部22を設けることによって、突起部22と衝突した被撹拌物が貫通孔212に流動しやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。これにより、剪断性能及び吐出性能を両立させることができる。その結果、被撹拌物の撹拌に要する時間を削減することができ、例えば、化粧品や医薬品の品質を確保した上で、化粧品や医薬品の生産性を向上させることができる。
【0068】
[2]
また、上記[1]に係る撹拌体1において、突起部22には、隙間G1又は貫通孔223が設けられている、という構成が好ましい。
【0069】
斯かる構成によれば、突起部22に設けた隙間G1又は貫通孔223から被撹拌物を流動させることができ、撹拌体1の吐出性能を向上させることができる。また、その隙間G1又は貫通孔223に流動した被撹拌物を突起部22で剪断することができ、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。
【0070】
[3]
また、上記[1]又は[2]に係る撹拌体1において、突起部22は、回転軸L1の軸方向D1視において回転軸L1の回転方向(周方向D3)に沿った形状に形成されている、という構成が好ましい。
【0071】
斯かる構成によれば、剪断部材2の周方向D3に沿って突起部22を回転させることによって、液中における突起部22の剪断応力を向上させることができる。これにより、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。
【0072】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか1つに係る撹拌体1において、本体部21は、網目状に形成された網目部213を備え、貫通孔212は、網目部213に設けられている、という構成が好ましい。
【0073】
斯かる構成によれば、被撹拌物が貫通孔212に流動しやすくなり、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。また、多数の細かい貫通孔212を設けることができ、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。
【0074】
[5]
また、上記[4]に係る撹拌体1において、網目部213は、剪断部材2の回転中心から径方向D2の外側に延びる線部(第1線部213a)を備えている、という構成が好ましい。
【0075】
斯かる構成によれば、剪断部材2の回転方向(周方向D3)と線部(第1線部213a)とを略直交させることができ、被撹拌物が線部(第1線部213a)によって剪断されやすくなる。これにより、剪断部材2の剪断性能を向上させることができる。
【0076】
[6]
また、上記[1]~[5]の何れか1つに係る撹拌体1において、撹拌翼3の回転軸L1の軸方向D1の他方端は、突起部22の軸方向D1の一方端よりも本体部21側に配置されている、という構成が好ましい。
【0077】
斯かる構成によれば、撹拌翼3によって吐出された被撹拌物が貫通孔212に流動しやすくなり、撹拌体1の剪断性能を向上させることができる。
【0078】
[7]
また、本実施形態に係る撹拌装置100は、上記[1]~[6]の何れか1つに係る撹拌体1と、被撹拌物を収容する撹拌槽101と、撹拌体1を回転させる駆動部102と、を備え、剪断部材2は、撹拌翼3よりも撹拌槽101の底部101a側に配置されている。
【0079】
斯かる構成によれば、撹拌体1によって剪断性能及び吐出性能を両立させた撹拌装置100とすることができ、撹拌槽101内の被撹拌物を効率よく撹拌することができる。
【0080】
[8]
また、上記[7]に係る撹拌装置100において、撹拌槽101の底部101aに回転可能に取り付けられる軸部材103を備え、撹拌体1は、撹拌槽101の底部101aと近接した位置で軸部材103に固定されている、という構成が好ましい。
【0081】
斯かる構成によれば、沈降性の高い被撹拌物を効果的に撹拌することができる。また、軸部材103を撹拌槽101の底部101aに取り付けることにより、撹拌体1が底部101aと近接した位置に設けられた撹拌装置100において軸部材103の長さを短くすることができ、撹拌槽101内の清掃を容易にすることができる。
【0082】
なお、撹拌体1及び撹拌装置100は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、撹拌体1及び撹拌装置100は、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0083】
(A)本実施形態において、撹拌体1は、1つの撹拌翼3を備えているが、これに限られない。例えば、撹拌体1は、軸方向D1に並列される複数の撹拌翼3を備える、という構成であってもよい。
【0084】
(B)本実施形態において、網目部213は、径方向D2に沿って延びる第1線部213aと、第1線部213aと交わると共に周方向D3に沿って延びる第2線部213bと、を備えているが、これに限られない。例えば、網目部213は、直線状の第1線部213a及びそれと直交する直線状の第2線部213bを備え、格子状をなしている、という構成であってもよい。
【0085】
(C)本実施形態において、撹拌翼3は、本体部21と接して固定され、剪断部材2と一体的に回転しているが、これに限られない。例えば、撹拌翼3は、軸部材103と異なる軸部材に固定され、剪断部材2と異なる回転をしていてもよい。即ち、剪断部材2と撹拌翼3とを別々に回転させてもよい。この場合、剪断性能を向上させる観点から、剪断部材2の回転速度は、撹拌翼3の回転速度よりも速いことが好ましい。
【符号の説明】
【0086】
1…撹拌体、2…剪断部材、21…本体部、21a…縁、211…挿通孔、212…貫通孔、213…網目部、213a…第1線部、213b…第2線部、22…突起部、221…突起、222…補強部、223…貫通孔、3…撹拌翼、31…羽根、32…軸部、321…挿通孔、100…撹拌装置、101…撹拌槽、101a…底部、101b…周壁部、101c…蓋部、102…駆動部、103…軸部材、G1…隙間、L1…回転軸、L2…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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