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特開2024-61587移動体、管理システム、移動体システム、操作装置、プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061587
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】移動体、管理システム、移動体システム、操作装置、プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20240425BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240425BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240425BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240425BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240425BHJP
   B64U 10/14 20230101ALI20240425BHJP
   B64U 60/10 20230101ALI20240425BHJP
   B64U 20/80 20230101ALI20240425BHJP
   B64U 101/55 20230101ALN20240425BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
G08B25/10 Z
G08B21/02
G08B25/04 K
G06Q50/26
B64U10/14
B64U60/10
B64U20/80
B64U101:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】63
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061051
(22)【出願日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】18/048,156
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516190806
【氏名又は名称】株式会社パテントインベストメント
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】草野 大悟
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA24
5C086CA06
5C086CA25
5C086DA08
5C086FA06
5C086FA12
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA11
5C087AA37
5C087BB18
5C087DD03
5C087DD17
5C087EE08
5C087EE18
5C087FF16
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】ユーザによって持ち運びまたは搭載が可能で、外部通信機との通信ができないときに移動し、通信ができるときに、ユーザに関連する情報を外部通信機に向けて送信する移動体、管理システム、移動体システム、プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【解決手段】本発明の移動体10は、移動体ユーザ10によって持ち運びまたは搭載が可能な移動体であって、移動するための移動機構15と、通信を行う通信部13と、通信部13と外部通信機15との通信ができないときに、移動体10が移動するように移動機構15を制御する制御部12と、移動体ユーザUに関連する情報であるユーザ関連情報を記憶または取得するユーザ関連情報部20とを備え、通信部13は、外部通信機30A~30Cとの通信ができるときにユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
300kg以下の重量であり、ユーザによって起動されて移動する移動体であって、
移動するための移動機構と、
通信を行う通信部と、
前記通信部と外部通信機との通信ができないときに、前記移動体が移動するように前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記通信部は、前記外部通信機との通信ができるときに前記ユーザに関連する情報であるユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする移動体。
【請求項2】
音声を発する音声発生部を有し、
前記音声は、前記移動体の操作または機能を説明するための音声であることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記音声発生部は、前記移動体が移動を開始する前に前記音声を発することを特徴とする請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
音声を発する音声発生部を有し、
前記音声発生部は、前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信した後に前記音声を発することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記音声の内容は、前記通信部による通信の結果を報知する内容を含むことを特徴とする請求項4に記載の移動体。
【請求項6】
前記音声発生部は、前記移動体が移動を行うための操作の案内に関する音声または前記通信部が通信を行うための操作の案内に関する音声を発することを特徴とする請求項2に記載の移動体。
【請求項7】
前記移動体がテストとして移動を行うためのテストモードを有することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項8】
前記制御部は、前記テストモードにおいて、所定の時間移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項7に記載の移動体。
【請求項9】
前記制御部は、前記テストモードにおいて、所定の距離を移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項7に記載の移動体。
【請求項10】
前記制御部は、前記テストモードにおいて、所定の方向において往復して移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項7に記載の移動体。
【請求項11】
前記通信部は、前記移動体が前記テストモードで移動をしていることを表す情報を前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする請求項7に記載の移動体。
【請求項12】
水に浮くための浮き部を有することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項13】
前記浮き部は、空気を密封可能な中空部を有することを特徴とする請求項12に記載の移動体。
【請求項14】
前記浮き部は、着脱可能であることを特徴とする請求項12に記載の移動体。
【請求項15】
前記移動体は、飛行による移動を行う飛行体であることを特徴とする請求項12に記載の移動体。
【請求項16】
水中又は水上で用いられるとともに、
前記通信部は、地上にある前記外部通信機と通信を行うことを特徴とする請求項15に記載の移動体。
【請求項17】
乗物への固定を行うための固定部を有し、
前記制御部は、前記固定部による前記固定が解除された場合に、前記移動体が移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項18】
前記外部通信機は、搭乗可能な乗物に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項19】
前記乗物は、前記ユーザを手当する為の手当物を搭載することを特徴とする請求項18に記載の移動体。
【請求項20】
前記ユーザ関連情報には、商品又はサービスを注文する為の注文情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項21】
前記通信部は、前記移動体が利用可能なエネルギーのうち、前記外部通信機に前記ユーザ関連情報を送信するために前記通信部が利用可能なエネルギーが尽きるまで、前記外部通信機に前記ユーザ関連情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項22】
前記制御部は、前記移動体が利用可能なエネルギーのうち、前記移動体を移動させるために前記移動機構が利用可能なエネルギーが尽きるまで、前記移動体を移動させるように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項21に記載の移動体。
【請求項23】
前記通信部は、前記外部通信機との通信ができるときに前記移動体の識別情報を前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項24】
前記ユーザが前記移動体を操作するための操作部を有し、前記操作部は1つであることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項25】
前記ユーザが前記移動体を操作するための操作部を有し、
前記操作部は、少なくとも前記移動体が移動を開始するための第1の操作部および前記テストモードを開始するための第2の操作部を含むことを特徴とする請求項7に記載の移動体。
【請求項26】
前記第1の操作部および前記第2の操作部は、互いに色または表示が異なることを特徴とする請求項25に記載の移動体。
【請求項27】
物体を検知する検知部を有し、
前記制御部は、前記検知部が前記物体を検知した場合に、前記移動体が移動する方向を変更するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項28】
前記移動体は飛行による移動を行う飛行体であるとともに、
物体を検知する検知部を有し、
前記制御部は、前記検知部が前記物体を検知した場合に、前記飛行体が着陸を行うように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項29】
物体を検知する検知部を有し、
前記制御部は、前記検知部が前記物体を検知した場合に、前記移動体が減速または停止を行うように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項30】
前記移動体が現在位置から移動する前であって、かつ、前記通信部が外部通信機と通信ができる場合において、前記移動体は移動を行わずに、前記通信部は、前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項31】
前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することに成功したときに、前記制御部は、前記移動体が移動する方向を変えるように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項32】
前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することに成功したときに、前記制御部は、前記移動体が減速または停止を行うように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項33】
前記移動体は飛行による移動を行う飛行体であるとともに、前記制御部は、所定の高度まで前記移動体が上昇するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項34】
前記所定の高度は、前記移動体が上昇を始めた位置から50m以上の高さの高度であることを特徴とする請求項33に記載の移動体。
【請求項35】
前記所定の高度は、前記移動体が上昇を始めた位置から150m以上の高さの高度であることを特徴とする請求項33に記載の移動体。
【請求項36】
前記制御部は、前記移動体が鉛直上向きへの移動および鉛直下向きへの移動を行うように前記移動機構を制御するとともに、前記移動体の水平方向の位置がずれた場合に前記移動体が水平方向への移動を行うように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項37】
前記ユーザ関連情報には、少なくとも前記移動体の位置情報が含まれるとともに、前記通信部が送信する前記ユーザ関連情報の情報量は1乃至100バイトとすることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項38】
前記通信部が送信する前記ユーザ関連情報の情報量は1乃至12バイトとすることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項39】
前記制御部は、前記移動体の速度を、前記移動体が移動を開始してから徐々に大きくなるように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項40】
前記制御部は、前記移動体の速度が所定の速度に達した場合に前記移動体の速度を一定の速度となるように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項41】
前記外部通信機は複数あるとともに、
前記通信部は、前記ユーザ関連情報を前記複数の前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項42】
前記制御部は、前記移動体が所定の時間移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項43】
前記制御部は、前記移動体が所定の距離を移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項44】
前記制御部は、所定の方向に対して往復するようにして移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項45】
前記ユーザ関連情報は、物資供給要請情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項46】
前記物資供給要請情報には、供給が必要な物資の量又は種類が含まれることを特徴とする請求項45に記載の移動体。
【請求項47】
前記ユーザの生体情報を受信する生体情報受信部を備え、
前記制御部は、前記生体情報受信部により前記ユーザの異常を示す前記生体情報が受信された場合に、移動するように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか一項に記載の移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを含む前記ユーザ関連情報を管理する情報管理部を有し、
前記情報管理部は、前記移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを関連付けて管理することを特徴とする管理システム。
【請求項49】
前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報を取得する情報取得部を有し、
前記情報管理部は、前記情報取得部が取得した前記ユーザ関連情報を更に管理することを特徴とする請求項48に記載の管理システム。
【請求項50】
前記ユーザへの対応に関するステータスの情報であるステータス情報を取得する情報取得部を有し、
前記情報管理部は、前記情報取得部が取得した前記ステータス情報を更に管理することを特徴とする請求項48に記載の管理システム。
【請求項51】
前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報には前記現在位置の位置情報が含まれるとともに、
前記現在位置の位置情報に基づいて2次情報を表示する2次情報表示部を有することを特徴とする請求項48に記載の管理システム。
【請求項52】
前記情報管理部は、前記ユーザ関連情報として所定の連絡先の情報の管理を行うとともに、
前記情報取得部が前記ユーザ関連情報を取得した場合に、前記情報取得部が前記ユーザ関連情報を取得したことを含む内容の通知を前記所定の連絡先に行う通知部を有することを特徴とする請求項49または請求項50に記載の管理システム。
【請求項53】
前記通知は、前記ユーザまたは前記ユーザの関係者の救助を行うための救助要請に関する通知を含むことを特徴とする請求項52に記載の管理システム。
【請求項54】
請求項1に記載の移動体の識別情報を含む前記ユーザ関連情報を管理する情報管理部と、
前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報を取得する情報取得部と、
物資情報を登録する物資情報登録部と、を備え、
前記情報取得部により、前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報が取得された場合に、前記物資情報登録部に登録された前記物資情報に基づいて、物資供給指示情報を外部に送信することを特徴とする管理システム。
【請求項55】
請求項1に記載の前記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置と、を有する移動体システムであって、
前記操作装置は、
前記移動体が移動を行うための指示を行う移動指示部と、
音声を発する音声発生部と、を有し、
前記音声は、前記移動体の操作または機能を説明するための音声であることを特徴とする移動体システム。
【請求項56】
請求項1に記載の前記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置と、を有する移動体システムであって、
前記操作装置は、
音声を発する音声発生部を有し、
前記音声発生部は、前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信した後に前記音声を発することを特徴とする移動体システム。
【請求項57】
請求項1に記載の前記移動体を操作できる操作装置であって、
通信を行う第二通信部を備え、
前記第二通信部は、前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする操作装置。
【請求項58】
請求項1に記載の前記移動体を操作できる操作装置であって、
通信行う第二通信部を有し、
前記第二通信部は、前記ユーザ関連情報を前記移動体または前記外部通信機に向けて送信し、
前記ユーザ関連情報には、物資供給要請情報が含まれることを特徴とする操作装置。
【請求項59】
ユーザによって持ち運びまたは移動手段への搭載が可能であり、前記ユーザによって起動され、バッテリから電力の供給を受けて所定の移動機構により移動する移動体のコンピュータを、
通信を行う通信部と、
少なくとも前記通信部と外部通信機との通信ができないときに、前記移動体が前記現在位置から移動するように前記移動機構を制御する制御部として機能させるとともに、
前記通信部を、更に前記外部通信機との通信ができるときに前記ユーザに関連する情報を前記外部通信機に向けて送信するように機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項60】
所定の管理システムのコンピュータを、
請求項1~47のいずれか記載の移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを含む前記ユーザ関連情報を予め管理する情報管理部として機能させ、
前記情報管理部は、前記移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを関連付けて管理することを特徴とするプログラム。
【請求項61】
請求項1に記載の前記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置と、を有する移動体システムのコンピュータを、
前記操作装置において前記移動体が移動を行うための指示を行う移動指示部と、音声を発する音声発生部として機能させ、
前記音声は、前記移動体の操作または機能を説明するための音声であることを特徴とするプログラム。
【請求項62】
請求項1に記載の前記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置と、を有する移動体システムのコンピュータを、
前記操作装置において音声を発する音声発生部として機能させ、
前記音声発生部は、前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信した後に前記音声を発することを特徴とするプログラム。
【請求項63】
請求項59乃至請求項62のいずれか一項に記載のプログラムを記憶することを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、管理システム、移動体システム、操作装置、プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、山、海等の厳しい自然条件のもとで発生する様々な事故に対応して、移動体を使い、遠隔位置から対象者を捜索し、早期発見する手法が取られてきた。最近では、バッテリを動力源とし、通信装置を備え、空中からの調査、監視を行う無人の移動体(例えば、ラジコンヘリ、ドローン)も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、捜索対象者側からの救助要請に関して、捜索対象者側携帯端末を利用した救助情報発信装置および方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-85755号公報
【特許文献2】特開2009-199542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外部通信機との通信ができないときに移動し、通信ができるときに、ユーザに関連する情報を外部通信機に向けて送信する移動体、当該移動体に関連する管理システム、移動体システム、操作装置、プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の移動体は、300kg以下の重量であり、ユーザによって起動されて移動する移動体であって、移動するための移動機構と、通信を行う通信部と、前記通信部と外部通信機との通信ができないときに、前記移動体が移動するように前記移動機構を制御する制御部と、を備え、前記通信部は、前記外部通信機との通信ができるときに前記ユーザに関連する情報を前記外部通信機に向けて送信することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上記の構成により、外部通信機との通信ができないときに移動し、通信ができるときに、ユーザに関連する情報を外部通信機に向けて送信する移動体を提供することができる。
【0008】
音声を発する音声発生部を有し、前記音声は、前記移動体の操作または機能を説明するための音声であることとすれば、ユーザが移動体の操作または機能の理解を音声によって促進することができる。
【0009】
前記音声発生部は、前記移動体が移動を開始する前に前記音声を発することとすれば、移動体が移動を開始する前にユーザが操作または機能を確認することができる。
【0010】
音声を発する音声発生部を有し、前記音声発生部は、前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信した後に前記音声を発することができる。
【0011】
前記音声の内容は、前記通信部による通信の結果を報知する内容を含むこととすれば、通信が成功したか否かを把握することできる。
前記音声発生部は、前記移動体が行うための操作の案内に関する音声または前記通信部が通信を行うための操作の案内に関する音声を発することとすれば、音声案内に従って移動または通信を行うことができる。
前記移動体がテストとして移動を行うためのテストモードを有することとすれば、移動体ユーザUが移動体をテストとして移動させることができる。
前記制御部は、前記テストモードにおいて、所定の時間移動するように前記移動機構を制御することとすれば、テストモードにおける移動体の移動に要する時間をコントロールすることができる。
【0012】
前記制御部は、前記テストモードにおいて、所定の距離を移動するように前記移動機構を制御することとすれば、テストモードにおける移動体の移動距離をコントロールすることができる。
前記制御部は、前記テストモードにおいて、所定の方向において往復して移動するように前記移動機構を制御することとすれば、テストモードにおける移動体の移動が単に所定の方向における往復移動とすることができる等、移動体の移動を単純化することができ、移動体の動きを把握し易くすることができる。
前記通信部は、前記移動体が前記テストモードで移動をしていることを表す情報を前記外部通信機に向けて送信することとすれば、外部通信機を通じて情報を受け取った者がテストモードであることを把握することができる。
【0013】
水に浮くための浮き部を有することとすれば、移動体が水に沈むことを抑制することができる。
前記浮き部は、空気を密封可能な中空部を有することとすれば、中空部に空気を密封することにより水に浮かびやすくすることができる。
前記浮き部は、着脱可能であることとすれば、利用場面に応じて浮き部の着脱を行うことができる。
前記移動体は、飛行による移動を行う飛行体であることとすれば、飛行を行うとき又は飛行を行った後に水没することを抑制できる。
水中又は水上で用いられるとともに、前記通信部は、地上にある前記外部通信機と通信を行うこととすれば、ユーザが水中又は水上にいる場合であっても、飛行による移動を行うことにより地上にある外部通信機と通信を行いやすくすることができる。
【0014】
乗物への固定を行うための固定部を有し、前記制御部は、前記固定部による前記固定が解除された場合に、前記移動体が移動するように前記移動機構を制御することができる。
前記外部通信機は、搭乗可能な乗物に設置されていることとすれば、外部通信機を乗物と同時に移動させることができる。また、移動体からの通信に応じて人が乗物を操作することにより、例えばユーザがいる場所へ向かうことができる。
前記乗物は、前記ユーザを手当する為の手当物を搭載することとすれば、移動体からの通信に応じて人が乗物を操作して、例えばユーザがいる場所へ辿り着いた場合に迅速な手当を行うことができる。
【0015】
前記ユーザ関連情報には、商品又はサービスを注文する為の注文情報が含まれることとすれば、ユーザがいる位置とは離れた位置からでも商品又はサービスを注文することができる。
前記通信部は、前記移動体が利用可能なエネルギーのうち、前記外部通信機に前記ユーザ関連情報を送信するために前記通信部が利用可能なエネルギーが尽きるまで、前記外部通信機に前記ユーザ関連情報を送信することとすれば、多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機にユーザ関連情報を送信する回数を増やすことができる。あるいは、多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機との通信が成功しやすくなる。
前記制御部は、前記移動体が利用可能なエネルギーのうち、前記移動体を移動させるために前記移動機構が利用可能なエネルギーが尽きるまで、前記移動体を移動させるように前記移動機構を制御することができる。
【0016】
前記通信部は、前記外部通信機との通信ができるときに前記移動体の識別情報を前記外部通信機に向けて送信することとすれば、外部通信機を通じて情報を受け取った者が移動体を識別することができる。
【0017】
前記ユーザが前記移動体を操作するための操作部を有し、前記操作部は1つであることとすれば、操作部を必要最低限としてシンプルな構成とすることができる。
【0018】
前記ユーザが前記移動体を操作するための操作部を有し、前記操作部は、少なくとも前記移動体が移動を開始するための第1の操作部および前記テストモードを開始するための第2の操作部を含むことができる。
前記第1の操作部および前記第2の操作部は、互いに色または表示が異なることとすれば、第1の操作部および第2の操作部を互いに識別しやすくすることができる。
【0019】
物体を検知する検知部を有し、前記制御部は、前記検知部が前記物体を検知した場合に、前記移動体が移動する方向を変更するように前記移動機構を制御することとすれば、移動体が物体に衝突して移動が妨げられて通信が失敗することを抑制することができる。
【0020】
前記移動体は飛行による移動を行う飛行体であるとともに、物体を検知する検知部を有し、前記制御部は、前記検知部が前記物体を検知した場合に、前記飛行体が着陸を行うように前記移動機構を制御することができる。
【0021】
物体を検知する検知部を有し、前記制御部は、前記検知部が前記物体を検知した場合に、前記移動体が減速または停止を行うように前記移動機構を制御することとすれば、移動体が物体に衝突して移動が妨げられて通信が失敗することを抑制することができる。
【0022】
前記移動体が移動する前であって、かつ、前記通信部が外部通信機と通信ができる場合において、前記移動体は移動を行わずに、前記通信部は、前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することとすれば、電力の消費を抑制することができる。
【0023】
前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することに成功したときに、前記制御部は、前記移動体が移動する方向を変えるように前記移動機構を制御することができる。
【0024】
前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することに成功したときに、前記制御部は、前記移動体が減速または停止を行うように前記移動機構を制御することができる。
【0025】
前記移動体は飛行による移動を行う飛行体であるとともに、前記制御部は、所定の高度まで前記移動体が上昇するように前記移動機構を制御することとすれば、通信がしやすい高度まで飛行体を上昇させることができ、あるいは飛行体が上昇し過ぎることを抑制することができる。
【0026】
前記所定の高度は、前記移動体が上昇を始めた位置から50m以上の高さの高度であることとすれば、50m程度の高さのビル、丘等に囲まれている場合にあっても通信をしやすくすることができる。
【0027】
前記所定の高度は、前記移動体が上昇を始めた位置から150m以上の高さの高度であることとすれば、150m程度の高さのビル、丘、山等に囲まれている場合にあっても通信をしやすくすることができる。
【0028】
前記制御部は、前記移動体が鉛直上向きへの移動および鉛直下向きへの移動を行うように前記移動機構を制御するとともに、前記移動体の水平方向の位置がずれた場合に前記移動体が水平方向への移動を行うように前記移動機構を制御することとすれば、例えば水平方向の位置のずれを修正するように水平方向に移動体を移動させることにより移動を開始したときの緯度経度とのずれを抑制することができる。
【0029】
前記ユーザ関連情報には、少なくとも前記移動体の位置情報が含まれるとともに、前記通信部が送信するユーザ関連情報の情報量を1乃至100バイトとすることができ、より好ましくは、前記通信部が送信するユーザ関連情報の情報量を1乃至12バイトとすることができる。
【0030】
前記制御部は、前記移動体の速度を、前記移動体が移動を開始してから徐々に大きくなるように前記移動機構を制御することとすれば、急な電圧などの変化を抑制することができる。
前記制御部は、前記移動体の速度が所定の速度に達した場合に前記移動体の速度を一定の速度となるように前記移動機構を制御することができる。
【0031】
前記外部通信機は複数あるとともに、前記通信部は、前記ユーザ関連情報を前記複数の前記外部通信機に向けて送信することができる。
【0032】
前記制御部は、前記移動体が所定の時間移動するように前記移動機構を制御することとすれば、移動体が移動に要する時間を把握することができる。
【0033】
前記制御部は、前記移動体が所定の距離を移動するように前記移動機構を制御することとすれば、移動体が移動する距離を把握することができる。
【0034】
前記制御部は、所定の方向に対して往復するようにして移動するように前記移動機構を制御することとすれば、移動体の移動が単に所定の方向における往復移動とすることができる等、移動体の移動を単純化することができ、移動体の動きを把握し易くすることができる。
【0035】
前記ユーザ関連情報は、物資供給要請情報を含むことができる。
前記物資供給要請情報には、供給が必要な物資の量又は種類が含まれる。
前記ユーザの生体情報を受信する生体情報受信部を備え、前記制御部は、前記生体情報受信部により前記ユーザの異常を示す前記生体情報が受信された場合に、移動するように前記移動機構を制御することができる。
【0036】
上記目的を達成するために、本発明の管理システムは、上記移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを含む前記ユーザ関連情報を管理する情報管理部を有し、前記情報管理部は、前記移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを関連付けて管理することを特徴とする。
【0037】
前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報を取得する情報取得部を有し、前記情報管理部は、前記情報取得部が取得した前記ユーザ関連情報を更に管理することができる。
【0038】
前記ユーザへの対応に関するステータスの情報であるステータス情報を取得する情報取得部を有し、前記情報管理部は、前記情報取得部が取得した前記ステータス情報を更に管理することができる。
【0039】
前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報には前記位置情報が含まれるとともに、前記位置情報に基づいて2次情報を表示する2次情報表示部を有することができる。
【0040】
前記情報管理部は、前記ユーザ関連情報として所定の連絡先の情報の管理を行うとともに、前記情報取得部が前記ユーザ関連情報を取得した場合に、前記情報取得部が前記ユーザ関連情報を取得したことを含む内容の通知を前記所定の連絡先に行う通知部を有することができる。
【0041】
前記通知は、前記ユーザまたは前記ユーザの関係者の救助を行うための救助要請に関する通知を含むことができる。
【0042】
上記目的を達成するために、本発明の管理システムは、上記に記載の移動体の識別情報を含む前記ユーザ関連情報を管理する情報管理部と、前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報を取得する情報取得部と、物資情報を登録する物資情報登録部と、を備え、前記情報取得部により、前記通信部が前記外部通信機に向けて送信した前記ユーザ関連情報が取得された場合に、前記物資情報登録部に登録された前記物資情報に基づいて、物資供給指示情報を外部に送信することができる。
【0043】
上記目的を達成するために、本発明の移動体システムは、上記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置からなる移動体システムであって、前記操作装置は、前記移動体が移動を行うための指示を行う移動指示部と、音声を発する音声発生部と、を有し、前記音声は、前記移動体の操作または機能を説明するための音声であることを特徴とする。
【0044】
上記目的を達成するために、本発明の移動体システムは、上記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置からなる移動体システムであって、前記操作装置は、音声を発する音声発生部を有し、前記音声発生部は、前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信した後に前記音声を発することを特徴とする。
【0045】
上記目的を達成するために、本発明の操作装置は、上記に記載の前記移動体を操作できる操作装置であって、通信を行う第二通信部を備え、前記第二通信部は、前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信することができる。
【0046】
上記目的を達成するために、本発明の操作装置は、上記に記載の前記移動体を操作できる操作装置であって、通信を行う第二通信部を有し、前記第二通信部は、前記ユーザ関連情報を前記移動体または前記外部通信機に向けて送信し、前記ユーザ関連情報には、物資供給要請情報が含まれる。
【0047】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、ユーザによって持ち運びまたは移動手段への搭載が可能であり、前記ユーザによって起動され、バッテリから電力の供給を受けて所定の移動機構により移動する移動体のコンピュータを、通信を行う通信部と、前記通信部と外部通信機との通信ができないときに、前記移動体が前記現在位置から移動するように前記移動機構を制御する制御部として機能させるとともに、前記通信部を、更に前記外部通信機との通信ができるときに前記ユーザに関連する情報を前記外部通信機に向けて送信するように機能させることを特徴とする。
【0048】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、所定の管理システムのコンピュータを、上記移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを含む前記ユーザ関連情報を予め管理する情報管理部として機能させ、前記情報管理部は、前記移動体の識別情報と前記ユーザの個人情報とを関連付けて管理することを特徴とする。
【0049】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、上記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置と、を有する移動体システムのコンピュータを、前記操作装置において前記移動体が移動を行うための指示を行う移動指示部と、音声を発する音声発生部として機能させ、前記音声は、前記移動体の操作または機能を説明するための音声であることを特徴とする。
【0050】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、上記移動体と、前記移動体を操作する為の操作装置と、を有する移動体システムのコンピュータを、前記操作装置において音声を発する音声発生部として機能させ、 前記音声発生部は、前記通信部が前記ユーザ関連情報を前記外部通信機に向けて送信した後に前記音声を発することを特徴とする。
【0051】
上記目的を達成するために、本発明のコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、上記プログラムを記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、ユーザによって持ち運びまたは搭載が可能で、外部通信機との通信ができないときに移動し、通信ができるときに、ユーザに関連する情報を外部通信機に向けて送信する移動体、管理システム、移動体システム、操作装置、プログラム、およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の実施形態に係る移動体の使用形態の一例を示す概略図である。
図2】移動体および管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】移動体のコンピュータの構成を示すブロック図である。
図4】管理システムのコンピュータの構成を示すブロック図である。
図5】移動体の通常モードの動作を説明するためのフローチャートである。
図6】移動体のテストモードの動作を説明するためのフローチャートである。
図7】管理システムにおける処理フローを説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の移動体システムの構成を示すブロック図である。
図9】本発明の移動体システムの構成を示す図8に続くブロック図である。
図10】移動体システムのコンピュータの構成を示すブロック図である。
図11】移動体システムの構成を示す別のブロック図である。
図12】本発明の他の実施形態の構成を示す図である。
図13】本発明の更に他の実施形態の構成を示す図である。
図14】本発明のまた更に他の実施形態の構成を示す図である。
図15】本発明の別の実施形態の構成を示す図である。
図16】本発明の更に別の実施形態の構成を示す図である。
図17】本発明のまた更に別の実施形態の構成を示す図である。
図18】本発明の更にまた別の実施形態の構成を示す図である。
図19】本発明の異なる実施形態の構成を示す図である。
図20】本発明の更に異なる実施形態の構成を示す図である。
図21】本発明のまた更に異なる実施形態の構成を示す図である。
図22】本発明の更にまた異なる実施形態の構成を示す図である。
図23】本発明の更に異なる実施形態の構成を示す図である。
図24】本発明のまた更に異なる実施形態の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
まず、本実施形態の概要を説明して、その後、本実施形態の具体的内容について図面を参照しながら説明する。なお以下において移動体ユーザUとは、移動体10を使用するユーザUをいい、例えば登山やハイキングにおいては事故や遭難時に移動体10を用いて捜索者に救助要請を行う捜索対象者になり得る者(登山者やハイキングを行う者)や、地震や土砂崩れ等の災害時に移動体10を用いて捜索者に救助要請を行う捜索対象者になり得る者とする。なお、移動体10により移動体ユーザUから救助要請を受けた者が他者に捜索を依頼してもよい。また、移動体ユーザUは、救助要請を行う捜索対象者になり得る者以外の者、例えば宅配、作業、出張サービス、運送等の依頼をする者であって単に所定の注文をするために移動体10を使用する者も含むこととしてよい。
【0055】
図1を参照して、本実施形態の一例の概略を説明する。本実施形態では、移動体ユーザUが移動体10を起動する。移動体10は、好ましい実施態様として、移動体ユーザUによって持ち運びおよび移動手段への搭載が可能な構成となっている。
【0056】
ここで、移動体ユーザUによって持ち運び可能とは、例えば、移動体ユーザUが手で持って持ち運ぶことができる、または移動体ユーザUが抱えて持ち運ぶことできる、若しくは移動体ユーザUがリュック等に入れて持ち運ぶことができるような構成をいい、携帯可能な構成とすることが好ましい。携帯可能な構成は、折り畳み可能な構成や分解可能な構成または組み立て可能な構成を含むことができる。
【0057】
更に、移動体ユーザUによって移動手段への搭載が可能とは、移動体ユーザUが移動体10を車、船、飛行機等の移動手段に積む、または置くことにより搭載できることいい、大型の移動体10は除外する意である。
【0058】
すなわち、移動体10は、空、陸、海(海上、海中、海底)等を移動することが可能なように構成されており、移動体ユーザUによって持ち運びおよび移動手段への搭載が可能な構成として、例えばラジコンヘリやドローン(無人航空機)等の飛行による移動を行う飛行体とすることが好ましい。ラジコンヘリやドローンは、例えば、プロペラ、フライトコントローラー、基板、通信モジュール、アンテナ、気圧センサー、ジャイロセンサー、加速度センサー、超音波センサー、GPS、カメラ等を備えることができる。移動体10は、自動で移動することが好ましい。
【0059】
移動体10の重量は、300kg以下とすることが好ましく、100kg以下とすることが更に好ましく、1kg以下とすることが更に一層好ましく、500g以下とすることがまた更に一層好ましく、100~300gとすることが更にまた一層好ましく、100g以上200g未満とすることがまた更に一層好ましい。移動体10の重量を軽くすることにより持ち運びを簡単にすることができる。また、重量を軽くすることにより、万が一、人や物に移動体10が当たった場合にあっても損害の程度を低減することができる。移動体10は、重量が300kgを超える大型の移動体10(ヘリコプター、飛行船、船、車、ロボット等)は除外されることが好ましく、100kgを超えないことが更に好ましい。また、移動体10が移動体ユーザUによって持ち運びまたは移動手段への搭載が可能であっても、移動体10を家やオフィス等に置く、設置する等の態様でもよく、災害時等に移動体10を用いることとしてもよい。すなわち、移動体10は移動体ユーザUによって持ち運びまたは移動手段への搭載が可能な重量や大きさ等であればよく、実際の使用態様については持ち運びまたは移動手段への搭載に限定されない。
【0060】
本実施形態の移動体10は外部通信機30A~30Cとの通信が確保できるまで移動を行い、通信が確保できる位置で移動体10の現在位置を外部通信機30A~30Cへと送信する。
【0061】
外部通信機30A~30Cとは、移動体10から離れて設けられた通信用の機器であり、サイトの一例に相当する。外部通信機30A~30Cは、例えば、基地局、端末、人工衛星等である。なお、サイトとは、ある位置を占め、その位置を特定できる特徴物(例えば、建造物、機械等)であり、位置を特定できれば、時間とともにその位置が変化してもよいし、変化しなくともよい。外部通信機30A~30Cは、図1に示すように、複数ある。本実施形態の移動体10は、移動体10が通常の移動や通信すなわち移動体ユーザUの救助要請を行うべく移動や通信を行うための通常モードと、テストとして移動や通信を行うためのテストモードと、を有している。テストモードは実際には救助要請が行われないモードであり、移動体ユーザUが移動体10の移動や通信を試す等の目的で用いられる。
【0062】
[構成]
図2を参照して、本実施形態に係る移動体10および管理システム40の構成例を説明する。
【0063】
<移動体10の構成>
本実施形態では、移動体10は、バッテリ11と、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、を備える。また、移動体10は、移動体10の各部への電力供給を開始する電源スイッチ(図示せず)を備える。
【0064】
移動体10は、コンピュータとしての一般的な構成を備えている。移動体10は、図3に示すように、相互にバス10Aを介して接続された中央処理装置(CPU、GPU、DSP)10B、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク、キャッシュメモリ)10C、入力装置(タッチパネル、ボタン)10D、表示装置(液晶ディスプレー)10E等を有している。記憶装置10Cは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体として機能する。記憶装置10Cには、プログラム100が記憶されている。プログラム100を実行させることにより、移動体10の各部11~17,20~26を機能させることができる。すなわち、プログラム100は、移動体10のコンピュータを、制御部12、通信部13、判定部14、位置特定部16、現在位置記録部17、ユーザ関連情報部20、音声記憶部21、音声発生部22、設定部23、検知部24、規制部25、および操作部26として機能させることができる。移動体10の外観の色は、消防車、パトカー、救急車のように緊急事態や救助を連想させるために、白色または赤色を含むことが好ましく、白色および赤色を含むことがより好ましい。
【0065】
(バッテリ11)
電源スイッチが入れられると、バッテリ11は、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、に電力を供給する。
【0066】
バッテリ11は、バッテリ11の状態(以下、「バッテリ情報」という)を測定する機能を備えてもよい。バッテリ情報とは、例えばバッテリ残量等である。また、その結果をバッテリ情報として制御部12へと送信してもよい。バッテリ11は、例えば、小型化されたラジコンヘリやドローン等に広く利用され、小型軽量で充電可能な、リチウムイオンバッテリ、リチウムポリマーバッテリ、燃料電池等を、単一セル或いは複数セル備えればよい。
【0067】
(制御部12)
制御部12は、バッテリ11と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部25と、規制部26と、を制御する。例えば、制御部12は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができないときに移動機構15を制御する。より詳しくは、制御部12は、後述の判定部14からの通信確立判定信号(通信が確立した(通信ができる状態)と判定したことを通知する信号)を受信できない場合に、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができない状態であると判断し、移動機構15を制御する。
【0068】
制御部12が行う制御は、上記プログラム100によって自動的に行われてもよい。また、移動体ユーザUがコントローラを介し、制御信号を移動体10に送信し、その制御信号を通信部13が受信する構成でもよい。移動体ユーザUによる当該制御信号によって、制御部12は、移動体10の各部を制御してもよいし、上記プログラム100を立ち上げて自動制御を行ってもよい。
【0069】
(通信部13)
通信部13は、送信・受信アンテナを備え、制御部12からの制御を受けて、信号の送受信を行う。通信部13は、外部通信機30A~30Cへの所定の送信信号を発信し、また外部通信機30A~30Cからの信号を受信する。通信部13は、外部通信機30A~30Cからの信号を受信したときは、受信信号を判定部14に送る。また、通信部13は、外部通信機30A~30Cからの信号を受信していないときは、判定部14に信号は送らない。
また、通信部13が外部通信機30A~30Cへと送信する所定の送信信号は、例えば、通信部13に設けられたメモリに記録された定型的な信号であってもよい。
【0070】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、外部通信機30A~30Cが所定の間隔毎に送信する同報信号(ビーコン)を通信部13が受信することとしてもよい。通信部13は、同報信号を、受信信号としてもよい。
【0071】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎に外部通信機30A~30Cに対する問い合わせ信号を送信し、当該問い合わせ信号を受信した外部通信機30A~30Cからの返信信号を受信することとしてもよい。通信部13は外部通信機30A~30Cからの返信信号を、受信信号としてもよい。
【0072】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎(例えば10秒に1回毎)に外部通信機30A~30Cに対して情報(ユーザ関連情報等)を送るようにしてもよい。
また、通信部13は、前記コントローラからの制御信号を受信し、制御部12へ送信することもできる。
【0073】
また、通信部13が備える送信・受信アンテナの送信・受信可能な周波数帯域は、可変とすることができる。受信アンテナは、外部通信機30A~30Cおよびユーザ端末(例えば、前記コントローラ、携帯端末等;図示しない)からの信号を全方向から受信できるように、無指向に配置されているとよい。送信アンテナは、送信信号を全方位に送信できるように、無指向に配置されているとよい。
【0074】
また、通信部13は、バッテリ11からの電力供給を受けてもよいが、通信部13が専用のバッテリを備えていてもよい。当該バッテリの容量は、前記所定の送信信号を所定の期間、送信できるだけの容量があればよい。また、このバッテリは、小型軽量で充電可能なバッテリが望ましい。
【0075】
また、通信部13は、通信部13が送信を開始したこと、或いは外部通信機30A~30Cからの信号を受信したことを、移動体ユーザUに対して知らせる手段を持っていてもよい。例えば、移動体10において、移動体ユーザUが視認できる位置に、フラッシュライトを設ける。このフラッシュライトを、送信・受信に応じて点滅させてもよい。或いは、通信部13から、移動体ユーザU側の前記コントローラに対し、送信・受信確認信号を送信してもよい。
【0076】
通信部13は、ユーザ関連情報部20が記憶または取得するユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することができる。上記の通り外部通信機30A~30Cは複数有することができ、通信部13は、ユーザ関連情報を複数の外部通信機30A~30Cに向けて送信することができる。
【0077】
(判定部14)
判定部14は、受信信号を通信部13から受け取る。
【0078】
通信部13から受信信号を受け取った場合、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立したと判定する。判定部14は、通信確立信号を制御部12へと送信する。
【0079】
通信部13から受信信号を所定の時間に受け取らなかった場合、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができない状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立していないと判定する。判定部14は、通信未確立信号(通信が未確立(通信ができない状態)であることを通知する信号)を制御部12へと送信する。
判定部14は、後述するように、テストモードにおいては、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が成功したか否かの判定を行うことができる。
【0080】
(移動機構15)
制御部12から制御を受けて、移動機構15は、移動体10を一体的に移動させる。前述したように、制御部12が判定部14から通信未確立信号を受け取った場合、制御部12が通信部13と外部通信機30との通信ができない状態と判断し、移動機構15は、制御部12の制御を受けて、移動体10を現在位置から一体的に移動させる。
【0081】
移動機構15は、例えば、バッテリ11からの電力供給により駆動するモータ(図示せず)を動力源とし、モータ軸の回転を利用して、プロペラなどの部材を介して、浮力・推力等を得て、移動体10を制御可能に移動させるものであればよい。電力供給によって移動体10を移動させる機構であれば、上記モータを動力源とした機構にこだわらず、その他の移動機構を採用してもよい。
【0082】
ここで、移動機構15は、移動体10が現在位置より詳しくは移動体10が移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置から移動する前であって、かつ、通信部13が外部通信機30A~30Cと通信ができる場合においては、制御部12からの制御を受けて、移動体10の移動を行わないこととすることができる。
【0083】
すなわち、移動体10が現在位置より詳しくは移動体10が移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置から移動する前であって、かつ、通信部13が外部通信機30A~30Cと通信ができる場合においては、移動体10の移動を行わずに、通信部13は、ユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することができる(なお、移動体10が移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置は、例えば移動体ユーザUによって移動体10が起動されたときの現在位置であり、移動体10の電源スイッチがオンされたときの現在位置等を含む)。つまり、移動体10が移動しなくても通信ができる状態にある場合においては、移動体10を移動せずに通信部13は通信を行うことができる構成となっている。
【0084】
また、移動機構15の動作として、例えば、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときには、制御部12は、移動体10が移動する方向を変えるように移動機構15を制御することができる。例えば、通信部13が外部通信機30A~30Cへの送信に成功したときには、制御部12は、移動体10が移動する方向を上向きから下向き、左向きから右向きに変更するように移動機構15を制御することができる。これにより、移動体ユーザUの元に移動体10を帰還させることができる。
【0085】
また、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときには、制御部12は、移動体10が減速または停止を行うように移動機構15を制御することができる。移動体10がラジコンヘリやドローン等の飛行体の場合には、制御部12は、飛行体が空中において停止後鉛直下向きに降下して着陸するように移動機構15を制御することができる。
【0086】
なお、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときとは、通信部13が外部通信機30A~30Cからの信号を受信したとき、または、判定部14が受信信号を通信部13から受信したときである。
【0087】
更に、移動機構15の動作として、制御部12が、移動体10の速度を、移動体10が移動を開始してから徐々に大きくなるように移動機構15を制御することができる。制御部12は、例えば、移動体10の速度を、移動体10が移動を開始してから、加速度センサーで速度を測りながら最初の5秒間は1m/sとし、次の5秒間は3m/sとするなど、徐々に大きくなるように移動機構15を制御することができる。
【0088】
また、制御部12は、移動体10の速度が所定の速度に達した場合には、移動体10の速度を一定の速度となるように移動機構15を制御することができる。
更にまた、移動機構15の動作として、例えば、移動体10が上昇し、所定の高度になった位置で、次に水平移動を行うように、制御部12が移動機構15を制御することができる。なお、高度は、例えば、地上からの高さや標高とすることができる。後述するように、高度は、設定部23により予め設定することができる。
【0089】
(位置特定部16)
位置特定部16は、入力部(図示せず)を備え、入力部を介して、移動体10の現在位置(移動体10が存在する位置)に関する物理信号(「物理的入力」)を受け取る。物理的入力として、例えば、温度・圧力信号、GPS(Global Posituining System)、全球測位衛星システムからの航法信号等がある。
【0090】
温度・圧力信号とは、例えば、移動体10に設けられた温度センサー・圧力センサーの測定値(移動体10の高度(深度)に応じた温度・圧力)を指す。
【0091】
全球測位衛星システムからの航法信号とは、例えば、全球測位衛星システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を構成する衛星が送信する信号(信号発信時刻および衛星軌道に係る情報を含む)である。
【0092】
位置特定部16は、物理的入力を解析し現在位置を特定する。
位置特定部16は、移動体10に備えられた電源スイッチが入力状態であれば、移動体10の現在位置を特定する。
【0093】
位置特定部16は、特定した現在位置を、現在位置記録部17へと記録する。
【0094】
位置特定部16は、所定の時間間隔で移動体10の現在位置を特定してもよい。また、位置特定部16は、所定の時間間隔で特定した現在位置を、当該所定の時間間隔で現在位置記録部17へと記録してもよい。なお、現在位置を、現在位置を記録した時刻とともに記録してもよい。また、位置特定部16は、制御部12の制御を受けて、移動体10が移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前の現在位置を現在位置記録部17へと記録するように予め設定されていてもよい。このように位置特定部16を構成することにより、位置特定部16が特定した現在位置を移動体10または移動体ユーザUが存在した位置と同一(または近傍の位置)とみなすことにより、移動体10または移動体ユーザUが存在した位置の情報を外部通信機30A~30Cに発信することができる。そのため第三者は、移動体10または移動体ユーザUが存在した位置の情報を、外部通信機30A~30Cを通じて取得した場合は、移動体10または移動体ユーザUが存在した位置を把握することができる。
【0095】
制御部12が判定部14から通信確立信号を受け取った場合、通信部13と外部通信機30との通信ができる状態と判断し、制御部12の制御により、位置特定部16は、特定した現在位置を通信部13から、外部通信機30A~30Cへと送信する。
【0096】
位置特定部16が特定する現在位置は、1次元位置として、重力方向に沿った深度・高度であってもよい。また、2次元位置として緯度・経度であってもよい。更に、3次元位置として緯度、経度、深度・高度であってもよい。また、位置特定部16が特定する現在位置は、緯度、経度、深度、高度のうち少なくとも1つであってもよい。
【0097】
1次元位置を特定するのであれば、位置特定部16として、例えば温度センサー、圧力センサー(水圧計・気圧計)を搭載し、その結果を基に深度・高度に変換計算してもよい。或いは、位置特定部16として、超音波センサー(例えば、ヴィジョンポジショニングセンサー)等を搭載し、地表・海底等から移動体10までの距離を測ってもよい。
【0098】
2次元位置或いは3次元位置を特定するのであれば、前記入力部として、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)からの航法信号を物理的入力とする専用アンテナを搭載し、位置特定部16が単独測位解析等を行ってもよい。前記専用アンテナは、通信部13の受信アンテナと兼用してもよい。単独測位等の解析から付随して得られる測定誤差等の情報を評価し、例えば、高度の値を他のセンサーで得られた高度の値と入れ替えてもよい。また、前記入力部として、例えば3軸加速度センサーを搭載して、位置特定部16が慣性航法による解析から移動開始点からの移動軌跡を求めて、移動開始点に対する現在の3次元相対位置を特定してもよい。
【0099】
(現在位置記録部17)
現在位置記録部17は、位置特定部16により特定された現在位置を記録する。
【0100】
制御部12が判定部14から通信確立信号を受け取った場合、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態と判断し、制御部12の制御により、位置特定部16は、現在位置記録部17に記録された現在位置を読み出し、通信部13から外部通信機30A~30Cへと送信してもよい。
【0101】
現在位置記録部17は、揮発性メモリと不揮発性メモリの何れであってもよい。これらのメモリは、低電力消費、小型軽量であることが望ましい。
【0102】
(ユーザ関連情報部20)
ユーザ関連情報部20は、移動体ユーザUに関連する情報(以下、「ユーザ関連情報」という)を記憶している。ユーザ関連情報部20が記憶するユーザ関連情報は、例えば移動体ユーザUや移動体ユーザUの関係者の連絡先(氏名、住所、メールアドレス)等の個人情報や移動体10の各種の情報を含むことができる。
【0103】
すなわち、ユーザ関連情報は、移動体ユーザUの直接的な情報のみならず、移動体ユーザUが操作する移動体10の識別情報や移動体10の現在位置の位置情報や移動体ユーザUや周囲の画像等の情報も含むことができる。また、移動体10の識別情報には、移動体10の製品番号(ID番号)、通信モジュールの製品番号(ID番号)等を含むことができる。通信部13は、外部通信機30A~30Cとの通信ができるときに移動体10の識別情報を外部通信機30に向けて送信することができる。通信部13による移動体10の識別情報の外部通信機30A~30Cへの送信は、移動体ユーザUが、コントローラを操作して行うこととしてもよい。
【0104】
あるいは、ユーザ関連情報部20は、簡易入力装置(例えば、簡易キーボード、録音マイク、デジタルカメラ、簡易医療機器等)、を備え、ユーザ関連情報が、当該簡易入力装置を介して、随時追加入力されて取得される構成としてもよい。その保存形式は、例えば文字列、音声、画像等でもよい。また、ユーザ関連情報の取得は移動体10以外の外部装置からの入力によるものであってもよい。ユーザ関連情報部20が取得するユーザ関連情報は、例えば移動体10の現在位置の位置情報、移動体ユーザUや周囲の画像等の情報を含むことができる。
【0105】
更に、ユーザ関連情報は、移動体ユーザUが非常事態にあることを示す情報が含むこととしてもよい。この非常事態にあることを示す情報には、遭難したことや被災したことを示す情報、救助を求めることを示す情報等が含まれることが好ましい。また、ユーザ関連情報は、例えば、移動体ユーザUを認識できる情報(氏名、住所等の個人情報)、その場で逐次的に蓄積する医療情報(体温、血圧等)、移動体ユーザUの状態、移動体ユーザUからのメッセージ(これまでの移動経路、今後の行動予定等)、移動体ユーザU周辺の環境情報(気温、湿度等)等であってもよい。
【0106】
ユーザ関連情報部20は、ハードディスク等の不揮発性メモリを利用しておいてもよいし、揮発性メモリであってもよい。
判定部14が通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立していると判定したとき、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態と判断し、制御部12は、通信部13を制御して、ユーザ関連情報部20に記憶されたユーザ関連情報を、外部通信機30A~30Cへと送信することができる。
【0107】
(音声情報記憶部21)
音声情報記憶部21は、音声の情報を記憶することができる。音声は、移動体10の操作および機能を説明するための音声とすることができる。また、音声は、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したことを移動体ユーザUに報知するための音声とすることができる。音声情報記憶部21は、ハードディスク等の不揮発性メモリを利用しておいてもよいし、揮発性メモリであってもよい。
【0108】
(音声発生部22)
音声発生部22は、音声情報記憶部21から音声の情報を呼び出して音声を発することができる。音声発生部22は、移動体10が移動を開始する前に音声を発することができる。移動体10の電源スイッチを入れ、操作部26を操作にすることにより所定の信号が出力されて音声記憶部21から音声の情報が呼び出されて、音声発生部22を音声案内が流れるように構成することができる。この音声は、移動体10の操作および機能を説明するための音声とすることができる。音声発生部22は、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信した後にも音声情報記憶部21から音声の情報を呼び出して音声を発することができる。この音声は、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したことを移動体ユーザUに報知するための音声とすることができる。
【0109】
音声発生部22が発する音声の内容は、移動体ユーザUに対して通信部13による通信の結果を報知する内容を含むことができる。このとき、移動体10が着陸または動作を停止するまで報知し続けるようにしてもよい。音声発生部22は、移動体ユーザUが移動体10の移動を行うための操作の案内に関する音声および通信部13が通信を行うための操作の案内に関する音声を発することができる。音声発生部22は、増幅回路を有するスピーカーユニットを含むことができる。
【0110】
(設定部23)
設定部23は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が移動する時間を設定することができる。また、設定部23は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が移動する距離を設定することができる。移動体10が移動する距離は、水平方向、上下方向の距離とすることができる。また、移動体10が移動する距離は、実際に移動する距離を「移動体10の移動速度×移動体10の移動時間」により算出することができる。また、移動体10が移動を開始する前の位置から移動体10が到達する位置までの直線距離を移動体10が移動する距離に用いてもよい。例えば、移動体10が飛行体である場合は移動体10が到達する高度(移動体10が上昇を始めた位置からの高度)を設定し、当該高度の数値の2倍を移動体10が移動する距離としてもよい(この場合、移動体10が当該高度まで移動した後に着陸をする)。設定部23が設定する移動体10が移動する距離は、テストモードにおいては30m以下が好ましく、10m以下が更に好ましく、5m以下が更に一層好ましい。更に、設定部23は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が移動する方向を設定することができる。設定部23が設定する移動体10が移動する方向は、上下方向や左右方向を含み、制御部12は、上下方向、左右方向において往復して移動するように移動機構15を制御することができる。
【0111】
更にまた、設定部23は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10を飛行体としたときに、飛行体が上昇する高度を設定することができる。すなわち、設定部23は、高度を、移動体10が上昇を始めた位置から50m以上の高さの高度に設定することができる。更に、高度は、移動体10が上昇を始めた位置から150m以上の高さに設定することが好ましく、300m以上の高さに設定することが更に好ましい。移動体10が上昇を始めた位置は、例えば地上とすることができる。
【0112】
ここで、制御部12は、設定部23から時間、距離、高度、方向の各設定信号を入力する。すなわち、制御部12は、設定部23から設定信号を入力すると、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が設定部23により設定された所定の時間移動するように移動機構15を制御することができる。また、制御部12は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が設定部23により設定された所定の距離を移動するように移動機構15を制御することができる(なお、距離は、移動体10の速度と移動時間により演算してもよく、また現在位置の位置情報の変化から演算してもよい)。
【0113】
更に、制御部12は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が設定部23により設定された所定の高度まで上昇するように移動機構15を制御することができる。更にまた、制御部12は、通常モードおよびテストモードにおいて移動体10が設定部23により設定された所定の方向において往復するようにして移動するように移動機構15を制御することができる。設定部23による設定は、移動体ユーザUが入力装置1Dを介して所定のデータを入力し行うことができる。また、設定部23による設定は、移動体ユーザUがスマートフォンや携帯電話からアプリケーションソフトを介して設定することとしてもよい。このスマートフォンや携帯電話からの設定は、Wi-FiやBluetooth等で移動体10と通信して行うことができる。
なお、設定部23が設定する各種の設定値は、プログラム等において予め含まれることとしたり、所定の記憶部に予め記憶されることとしたり、入力装置1Dを介して移動体ユーザU等が入力することとしてもよい。
【0114】
(検知部24)
検知部24は、物体(物体は、移動体10の移動に際して障害となるものをいう)を検知することができる。制御部12は、検知部24が物体を検知した場合に、移動体10が移動する方向を変更するように移動機構15を制御することができる。
【0115】
より詳しくは、制御部12は、検知部24が物体を検知した場合に、移動体10としての飛行体が着陸を行うように移動機構15を制御することができる。また、制御部13は、検知部24が物体を検知した場合に、移動体10が減速または停止を行うように移動機構15を制御することができる。
例えば、検知部24が木などの障害物(物体)を検知すると、制御部12は移動体10が移動する方向を上方向から横方向や斜め上方向に変更するように移動機構15を制御することができる。検知部24は、赤外線センサー、超音波センサー等の物体を検知可能な検知センサーやTOFカメラ等の物体を検知可能なカメラを含むことができる。検知部24により検知された物体の検知信号は制御部12に送信することができ、制御部12は、検知信号を入力することにより、移動機構15を制御することができる。
【0116】
(規制部25)
規制部25は、送信部13が送信するユーザ関連情報を所定の情報量以下に規制することができる。規制部25は、通信部13が送信するユーザ関連情報の情報量を100バイト以下(1乃至100バイト)に規制することができる。更に、規制部25は、送信部13が送信するユーザ関連情報の情報量を12バイト以下(1乃至12バイト)に規制することができる。
【0117】
すなわち、通信部13は、送信するユーザ関連情報の情報量を規制部25により規制された情報量以下とすることができる。送信するユーザ関連情報の情報量を規制することにより、より遠くの外部通信機30A~30Cと通信をすることができる。送信するユーザ関連情報の情報量を100バイト以下(1乃至100バイト)とすると十分な量のテキストを送信しつつ相対的に長い通信距離を確保することができる。
【0118】
規制部25は、ユーザ関連情報に関するデータを圧縮することにより、または通信部13が所定の情報量(例えば100バイト)を一定時間間隔で送信可能とすることにより、通信部13が送信するユーザ関連情報の情報量を規制された情報量以下とすることができる。
【0119】
なお、通信部13の通信方式は、LPWA(Sigfox、LoRa等)、4G、5G、Wi-Fi等とすることができ、移動体10はこれらの通信方式に対応する通信モジュールを備えることができる。通信距離の観点からLPWAとすることが好ましく、例えば、LPWAの一つの規格であるSigfoxは通信できる情報量が最大で12バイトであり、12バイト以下(1乃至12バイト)の情報量の情報はSigfoxにより送信することが可能となる。例えば、移動体10の現在位置の緯度および経度を6~10桁程度の数字で表し、位置情報としてSigfoxにより送信することが可能となる。
【0120】
すなわち、移動体ユーザUが持つスマートフォンや携帯電話等では通信ができない環境において移動体10を使用することを想定する場合、移動体10の通信方式は移動体ユーザUのスマートフォンや携帯電話等の通信方式(3G、4G、5G、Wi-Fi等)とは異なる通信方式であるLPWAとすることが好ましい。また、通信部13はLPWAにより人工衛星との通信を行うようにしてもよい。
【0121】
(操作部26)
操作部26は、移動体10を操作するためのものである。操作部26は、少なくとも移動体10が移動体ユーザUの救助要請を行うべく移動を開始するための第1の操作部(通常モードを開始するための第1の操作部26a)およびテストモードを開始するための第2の操作部26bを含むことができる。移動体10が飛行体であるときは、第2の操作部26bを操作して、例えば、1m程度上下方向に往復して着陸するようにテスト飛行を行うことができる。
【0122】
操作部26は、例えば、押釦やタッチパネル上に設けられた押釦の画像等により構成することができ、第1の操作部26aおよび第2の操作部26bは、互いに色または表示が異なることとしている。操作部26が押釦である場合は、例えば、第1の操作部26aの色は赤色で構成され、第2の操作部26bの色は白色で構成されるようにしてもよい。
【0123】
ここで、移動体ユーザUが、操作部26(押釦)を操作(押下)することにより、音声発生部22が移動体10の操作および機能を説明するための音声を発することができる。また、移動体ユーザUが前記移動体10の操作および機能を説明するための音声に従って再度操作部26(押釦)を操作(押下)することにより、移動体10が移動や外部通信機30A~30Cとの通信を開始することができる。
【0124】
なお、通信部13は、第2の操作部26bが操作(押下)されたとき、移動体10がテストモードで移動や通信をしていることを表す情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することができる。
【0125】
<管理システム40の構成>
管理システム40は、情報管理部41と、情報取得部42と、2次情報表示部43と、通知部44と、を備える。
【0126】
管理システム40は、コンピュータとしての一般的な構成を備えている。管理システム40は、図4に示すように、相互にバス40Aを介して接続された中央処理装置(CPU、GPU、DSP)40B、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク、キャッシュメモリ)40C、入力装置(キーボード、タッチパネル、マウス)40D、表示装置(液晶ディスプレー)40E等を有している。また、管理システム40は、外部通信機30A~30Cとインターネット等のネットワーク等により通信が可能であり、移動体10から送信されたユーザ関連情報等を、外部通信機30A~30Cを通じて取得することができる。記憶装置40Cは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体として機能する。記憶装置40Cには、プログラム200が記憶されている。プログラム200を実行させることにより、管理システム40の各部41~44を機能させることができる。すなわち、プログラム200は、管理システム40のコンピュータを、情報管理部41、情報取得部42、2次情報表示部43、および通知部44として機能させることができる。
【0127】
(情報管理部41)
情報管理部41は、移動体10の識別情報と、移動体ユーザUの個人情報(氏名、住所、メールアドレス等)とを含むユーザ関連情報を予め記憶し管理することができる。情報管理部41は、移動体10の識別情報と移動体ユーザUの個人情報とを関連付けて記憶し管理することができる。ユーザ関連情報は1人の情報に限られず、複数人の情報であってもよい。
【0128】
すなわち、予め個人情報等を登録した移動体ユーザUと、実際に移動体10を使用する移動体ユーザUが違う場合にあっても、いずれの移動体ユーザUに関連する情報のいずれもがユーザ関連情報として扱われることとしてもよい。情報管理部41は、ハードディスク等の不揮発性メモリを利用しておいてもよいし、揮発性メモリであってもよい。
【0129】
情報取得部42は、通信部13が外部通信機30A~30Cに向けて送信したユーザ関連情報を所定の信号情報として入力し取得することができる。情報管理部41は、予め記憶し管理するユーザ関連情報(移動体10の識別情報と、移動体ユーザUの個人情報)とともに、情報取得部42が取得したユーザ関連情報(例えば、移動体10の現在位置の位置情報や移動体ユーザUや周囲の画像等の情報)を更に重畳して記憶し管理することができる。これにより、移動体10から送られてきた情報を追加で管理することができる。
【0130】
2次情報表示部43は、ユーザ関連情報に含まれる移動体10の現在位置の位置情報に基づいて現在位置に関する2次情報を表示することができる。現在位置に関する2次情報の表示とは、例えば、住所の表示、現在位置の周囲の画像の表示、地図情報の表示等を含むことができる。また、地図情報を表示するとともに現在位置の位置情報に対応する目印となるマーク等を表示してもよい。2次情報表示部43は、例えば液晶ディスプレーにより構成することができる。
【0131】
通知部44は、情報取得部42がユーザ関連情報を取得した場合に、情報取得部42がユーザ関連情報を取得したことを含む内容の通知を所定の連絡先(移動体ユーザUの家族、救助隊、セキュリティ会社等)に例えばメールにより行うことができる。通知は、移動体ユーザUまたは移動体ユーザUの関係者の救助を行うための救助要請に関する通知を含むことができる。なお、関係者とは、移動体ユーザUの近くにいる人で怪我や重傷を負っている人(移動体ユーザUが救助要請を受けた人)などを含むことができる。
【0132】
[移動体10の動作]
図5は、本実施形態の移動体10における通常モードの処理の流れを示す図である。以下に、図5を参照して、移動体10の通常モードの動作を、ステップ番号(S1~S11)に添って説明する。
【0133】
(S1)
移動体ユーザUが遭難をしたときに移動体10の電源スイッチを入れ、移動体10を起動させる。
【0134】
(S2)
移動体ユーザUが、救助要請のために第1の操作部26aを操作する。
(S3)
音声発生部22が音声記憶部21から音声の情報を呼び出して音声を発する。この音声は、移動体10の操作および機能を説明するための音声とすることができる。
【0135】
(S4)
移動体ユーザUが、S3の音声に従って再度第1の操作部26aを操作する。この操作により、設定部23による時間、距離、高度、方向の設定、検知部24による物体の検知が開始される。
【0136】
(S5)
制御部12からの制御に従って、通信部13は、外部通信機30A~30Cとの送受信を行う。通信部13は、受信信号を判定部14へ送る。
【0137】
(S6)
判定部14が受信信号を所定時間に受け取らなかった場合、すなわち通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに失敗したときより詳しくは通信部13が外部通信機30A~30Cからの信号を所定時間に受信できなかったとき、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができない状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が未確立であると判定する(S6;No)。更に、判定部14は、通信未確立信号を、制御部12へと送り、処理を次のステップ(S7:移動体10を移動させる)へと進める。
【0138】
判定部14が受信信号を所定時間に受け取った場合、すなわち通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときより詳しくは通信部13が外部通信機30A~30Cからの信号を所定時間に受信したとき、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立していると判定する(S6;Yes)。更に、判定部14は、通信確立信号を、制御部12へと送り、処理を次のステップ(S8:移動体10の現在位置特定)へと進める。
【0139】
すなわち、移動体10が現在位置より詳しくは移動体10が移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置から移動する前であって、かつ、通信部13が外部通信機30A~30Cと通信ができる場合においては、移動体10の移動を行わずに、通信部13は、ユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することができる。
【0140】
受信信号を受け取った場合、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立していると判定する(S6;Yes)。更に、判定部14は、通信確立信号を、制御部12へと送り、処理を次のステップ(S8:移動体10の現在位置特定)へと進める。
【0141】
(S7)
制御部12は、判定部14から送られた通信未確立信号を受けて、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができない状態であると判断し、位置特定部16を制御して、移動体10を移動させる。処理をステップ(S5)へと戻す。
【0142】
なお、移動体10の移動においては、制御部12は、設定部23から時間、距離、高度、方向の各設定信号を受け取り、移動体10が設定部23により設定された所定の時間移動するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の距離を移動するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の高度まで上昇するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の距離を移動するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の方向において往復して移動するように移動機構15を制御することができる。
【0143】
更に、制御部12は、移動体10の速度を、移動体10が移動を開始してから徐々に大きくなるように移動機構15を制御することができる。また、制御部12は、移動体10の速度が所定の速度に達した場合には、移動体10の速度を一定の速度となるように移動機構15を制御することができる。
【0144】
また、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときには、制御部12は、移動体10が移動する方向を変えるように移動機構15を制御し、移動体10が減速または停止(飛行体の場合は着陸)を行うように移動機構15を制御することができる。
更に、制御部12は、検知部24が物体を検知した場合には、移動体10が移動する方向を変更するように移動機構15を制御することができる。
【0145】
(S8)
制御部12は、判定部14から送られた通信確立信号を受けて、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であると判断し、位置特定部16を制御して、移動体10の現在位置を特定する。
【0146】
(S9)
制御部12は、位置特定部16を制御して、位置特定部16が特定した移動体10の現在位置を、現在位置記録部17に記録する。
【0147】
(S10)
制御部12は、通信部13を制御し、特定した現在位置を通信部13から外部通信機30A~30Cへと送信する。この通信部13からの外部通信機30A~30Cへの送信は、規制部25によりユーザ関連情報を所定の情報量以下に規制しながら行うことができる。
【0148】
(S11)
音声発生部22が音声記憶部21から音声の情報を呼び出して音声を発する。すなわち、音声発生部22は、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したことを移動体ユーザUに報知するための音声を発する。音声による報知は移動体10が着陸してから行うようにしてもよい。
【0149】
[移動体10の動作]
図6は、本実施形態の移動体10におけるテストモードの処理の流れを示す図である。以下に、図6を参照して、移動体10のテストモードの動作を、ステップ番号(S20~S31)に添って説明する。
【0150】
(S20)
移動体ユーザUが移動体10の電源スイッチを入れ、移動体10を起動させる。
【0151】
(S21)
移動体ユーザUが、第2の操作部26bを操作しテストモードを行う。
【0152】
(S22)
音声発生部22が音声記憶部21から音声の情報を呼び出して音声を発する。この音声は、移動体10の操作および機能を説明するための音声とすることができる。
【0153】
(S23)
移動体ユーザUが、S22の音声に従って再度操作部26を操作する。この操作により、設定部23による時間、距離、高度、方向の設定、検知部24による物体の検知が開始されるとともに、移動体10の移動および通信が開始される。また、通信部13は、第2の操作部26bが操作(押下)されたとき、移動体10がテストモードで移動や通信をしていることを表す情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信する。テストモードで移動や通信をしていることを表す情報は、テストという文字の情報を送る、あるいは所定の暗号化した文字を送ることとしてもよい。
【0154】
(S24)
移動体10が、所定の間隔で通信を行いながら移動する。移動体10の移動においては、制御部12は、設定部23から時間、距離、高度、方向の各設定信号を入力し、移動体10が設定部23により設定された所定の時間移動するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の距離を移動するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の高度を上昇するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の距離を移動するように移動機構15を制御し、移動体10が設定部23により設定された所定の方向において往復して移動するように移動機構15を制御することができる。
【0155】
更に、制御部12は、移動体10の速度を、移動体10が移動を開始してから徐々に大きくなるように移動機構15を制御することができる。また、制御部12は、移動体10の速度が所定の速度に達した場合には、移動体10の速度を一定の速度となるように移動機構15を制御することができる。更にまた、移動体10が所定の高度に上昇したときには、所定の高度になった位置で、水平移動を行うように、制御部12は移動機構15を制御することができる。
【0156】
また、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときには、制御部12は、移動体10が移動する方向を変えるように移動機構15を制御し、移動体10が減速または停止(飛行体の場合は着陸)を行うように移動機構15を制御することができる。
【0157】
更に、制御部12は、検知部24が物体を検知した場合には、移動体10が移動する方向を変更するように移動機構15を制御することができる。
【0158】
(S25)
判定部14が、通信が成功したか否かの判定を行う。より詳しくは、判定部14が受信信号を所定時間に受け取らなかった場合、すなわち通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに失敗したときより詳しくは通信部13が外部通信機30A~30Cからの信号を所定時間に受信できなかったとき、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができない状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が未確立であると判定し(S25;No)、テストモードが失敗したことを移動体ユーザUに報知する(S26)。
【0159】
判定部14が受信信号を所定時間に受け取った場合、すなわち通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することに成功したときより詳しくは通信部13が外部通信機30A~30Cからの信号を所定時間に受信したとき、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であり、判定部14は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立していると判定し(S25;Yes)、テストモードが成功したことを移動体ユーザUに報知する(S27)。
【0160】
[管理システム40の処理]
図7は、本実施形態の管理システム40における処理の流れを示す図である。以下に、図7を参照して、管理システム40の処理を、ステップ番号(S30~S34)に添って説明する。
【0161】
(S30)
情報管理部41が、移動体10の識別情報と、移動体ユーザUの個人情報とを含むユーザ関連情報を予め記憶し管理する。情報管理部41への移動体10の識別情報とユーザ関連情報の管理は、管理システム40の管理者が入力装置40Dを介して行うことができる。
【0162】
(S31)
情報取得部42が、通信部13が外部通信機30A~30Cに向けて送信したユーザ関連情報を所定の信号情報として入力し取得する。
【0163】
(S32)
情報管理部41が、予め記憶し管理するユーザ関連情報(移動体10の識別情報と、移動体ユーザUの個人情報)とともに、情報取得部42が取得したユーザ関連情報(例えば、移動体10の現在位置の位置情報や移動体ユーザUや周囲の画像等の情報)を更に重畳して記憶し管理する。
【0164】
(S33)
2次情報表示部43が、ユーザ関連情報に含まれる移動体10の現在位置の位置情報に基づいて現在位置に関する2次情報を表示する。現在位置に関する2次情報の表示は、例えば、住所の表示、現在位置の周囲の画像の表示、地図情報の表示等を含む。
【0165】
(S34)
通知部44が、情報取得部42がユーザ関連情報を取得した場合に、情報取得部42がユーザ関連情報を取得したことを含む内容の通知を所定の連絡先(移動体ユーザUの家族、救助隊、セキュリティ会社等)に行う。ユーザ関連情報に移動体10の現在位置の位置情報等が含まれていれば、移動体ユーザUの家族や救助隊が現地に救助に向かうことができる。
【0166】
[効果]
本実施形態によれば、上記の構成により、移動体ユーザUによって持ち運びまたは搭載が可能で、外部通信機30A~30Cとの通信ができないときに移動し、通信ができるときに、移動体ユーザUに関連する情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信する移動体10を提供することができる。
【0167】
また、本実施形態によれば、音声発生部22を有し、音声は、移動体10の操作または機能を説明するための音声であることとしたので、移動体ユーザUが移動体10の操作または機能の理解を音声によって促進することができる。
更に、本実施形態によれば、音声発生部22は、少なくとも移動体10が移動を開始する前に音声を発することとしたので、移動体10が移動を開始する前に移動体ユーザUが操作または機能を確認することができる。
【0168】
更にまた、本実施形態によれば、音声の内容は、通信部13による通信の結果を報知する内容を含むこととしたので、通信が成功したか否かを把握することできる。
また更に、音声発生部22は、移動体ユーザUが移動体10の移動を行うための操作の案内に関する音声または通信部13が通信を行うための操作の案内に関する音声を発することとしたので、音声案内に従って移動または通信を行うことができる。
【0169】
また、通信部13は、外部通信機30A~30Cとの通信ができるときに移動体10の識別情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することとしたので、外部通信機30A~30Cを通じて情報を受け取った者が移動体10を識別することができる。
【0170】
更にまた、制御部12は、検知部24が物体を検知した場合に、移動体10が移動する方向を変更するように移動機構15を制御することとしたので、移動体10が物体に衝突して移動が妨げられて通信が失敗することを抑制することができる。
また更に、制御部12は、検知部24が物体を検知した場合に、移動体10が減速または停止を行うように移動機構15を制御することとしたので、移動体10が物体に衝突して移動が妨げられて通信が失敗することを抑制することができる。
【0171】
また、移動体10が移動する前であって、かつ、通信部13が外部通信機30A~30Cと通信ができる場合において、移動体10は移動を行わずに、通信部13は、ユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することとしたので、電力の消費を抑制することができる。
更に、移動体10は飛行による移動を行う飛行体であるとともに、制御部12は、所定の高度まで移動体10が上昇するように移動機構15を制御することとしたので、通信がしやすい高度まで飛行体を上昇させることができ、また、飛行体が上昇し過ぎることを抑制することができる。
【0172】
更にまた、所定の高度は、移動体10が上昇を始めた位置から50m以上の高さの高度としたので、50m程度の高さのビルや丘に囲まれている場合にあっても通信をしやすくすることができる。
また更に、所定の高度は、移動体10が上昇を始めた位置から150m以上の高さの高度としたので、150m程度の高さのビル、丘、山に囲まれている場合にあっても通信をしやすくすることができる。
【0173】
更に、制御部12は、移動体10の速度を、移動体10が移動を開始してから徐々に大きくなるように移動機構15を制御することとしたので、急な電圧などの変化を抑制することができる。
【0174】
更にまた、制御部12は、10移動体が所定の時間移動するように移動機構を制御することとしたので、移動体10が移動に要する時間を把握することができる。
また更に、制御部12は、移動体10が所定の距離を移動するように移動機構15を制御することとしたので、移動体10が移動する距離を把握することができる。
【0175】
また、制御部12は、所定の方向に対して往復するようにして移動するように移動機構15を制御することとしたので、移動体10の移動が単に所定の方向における往復移動とすることができる等、移動体10の移動を単純化することができ、移動体10の動きを把握し易くすることができる。
更に、移動体10がテストとして移動を行うためのテストモードを有することとしたので、移動体ユーザUが移動体10をテストとして移動させることができる。
【0176】
更にまた、制御部12は、テストモードにおいて、所定の時間移動するように移動機構15を制御することとしたので、テストモードにおける移動体10の移動に要する時間をコントロールすることができる。
また更に、制御部12は、テストモードにおいて、所定の距離を移動するように移動機構15を制御することとしたので、テストモードにおける移動体10の移動距離をコントロールすることができる。
【0177】
また、制御部12は、テストモードにおいて、所定の方向において往復して移動するように移動機構15を制御することとしたので、テストモードにおける移動体10の移動が単に所定の方向における往復移動とすることができる等、移動体10の移動を単純化することができ、移動体10の動きを把握し易くすることができる。
更に、通信部13は、移動体10がテストモードで移動をしていることを表す情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信することとしたので、外部通信機30A~30Cを通じて情報を受け取った者がテストモードであることを把握することができる。
【0178】
また更に、第1の操作部26aおよび第2の操作部26bは、互いに色または表示が異なることとしたので、第1の操作部および第2の操作部を互いに識別しやすくすることができる。
【0179】
[移動体システム]
次に本発明の移動体システム1について説明する。移動体システム1は、図8および図9に示すように、上述した移動体10と、移動体10を操作する為の操作装置50と、を有している。
【0180】
操作装置50は、移動体10を操作することができる。操作装置50は、移動体10とは別体となっている。操作装置50は、移動指示部51と、音声発生部52と、を有し、移動指示部51は、移動体10が移動を行うための指示(移動指示)を行う機能部であり、音声発生部52は、音声を発するための機能部である。音声は、例えば、移動体10の操作または機能を説明するための音声とすることができる。また、音声発生部52は、通信部13が外部通信機30との通信ができるときにユーザ関連情報を外部通信機30に向けて送信した後に音声を発することができる。
【0181】
操作装置50は、例えば携帯可能な装置(コントローラ等のユーザUが所定の操作を行うためのインターフェースとなり得る端末装置)又は、車や船等に搭載された装置(コントローラ等のユーザUが所定の操作を行うためのインターフェースとなり得る端末装置)とすることができる。操作装置50は、押釦やタッチパネル上に設けられた押釦の画像、レバー等で構成される操作部50aを有しており、操作部50aは移動体10と連動する。操作部50aを操作(押下)することにより移動指示部51が所定の制御信号を出力し、移動体10を移動させることができる。移動体10と別体の操作装置50に操作部50aを設けることで、ユーザUは、移動体10の移動後においても操作部50aを介して移動体10の操作を行うことができる。また、移動体10と別体の操作装置50に音声発声部52をつけることによって、移動体10がユーザUから離れた位置にある場合でも、ユーザUが操作装置50からの移動体10の操作または機能に関する音声を近距離で聞くことができる。
【0182】
操作装置50による移動体10への移動指示は、例えば通信部13を介して無線通信又は有線通信のいずれの通信によっても行うことができるが、操作装置50と移動体10との通信は無線で行うことがより好ましい。操作装置50と移動体10との無線通信又は有線通信は常時行うようにしてもよい。
【0183】
操作装置50と移動体10との通信を有線としたときに移動指示部51が移動指示をした場合に、移動体10との有線の接続を解除することによって(移動体10との有線の接続が解除されたことを示す信号を移動体10が受信することによって)移動体10が移動を開始するようにしてもよい(有線の通信ケーブルが移動体10の移動に干渉するため有線の接続の解除後に移動体10の移動を可能にする)。
【0184】
また、移動体10と連動した操作装置50におけるボタン、レバー等を単に操作することによって移動指示を行う等、通信以外の方法で移動指示を行ってもよい。
【0185】
移動指示部51による移動指示は、移動体10が移動を開始するための指示であってもよく、左右、上下の移動、着陸のための移動等を行うための指示であってもよい。
移動指示は、移動の開始の指示のみを移動体10(移動指示部51)により行い、移動を開始した後は移動体10が自律的に移動を行ってもよい。
【0186】
移動体システム1は、コンピュータとしての一般的な構成を備えている。移動体システム1は、図10に示すように、相互にバス1Aを介して接続された中央処理装置(CPU、GPU、DSP)1B、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク、キャッシュメモリ)1C、入力装置(キーボード、タッチパネル、マウス)1D、表示装置(液晶ディスプレー)1E等を有している。記憶装置1Cは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体として機能する。記憶装置1Cには、プログラム300が記憶されている。プログラム300を実行させることにより、移動体システム1の各部10,50,51,52を機能させることができる。すなわち、プログラム300は、移動体システム1のコンピュータを、操作装置50より詳しくは移動指示部51および音声発生部52として機能させることができる。
なお、移動体システム1は、図11に示すように、上記の管理システム40を更に備えてもよい。
【0187】
<移動体の他の実施形態>
本発明の移動体の他の実施形態について図12を参照して説明する。なお、以下の説明および図12において上述した実施形態と同一の符号が付された構成および説明のない構成については上述した実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0188】
本発明の他の実施形態に係る移動体10aは、上記の実施形態と同様に、バッテリ11と、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、を備えるとともに、移動体10aは外部通信機30A~30C(外部通信機30)との通信が確保できるまで移動を行い、通信が確保できる位置で移動体10aの現在位置を外部通信機30A~30C(外部通信機30)へと送信する。
【0189】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎(例えば10秒に1回毎)に外部通信機30A~30Cに対して情報(ユーザ関連情報等)を送るようにしてもよい。
【0190】
本発明の他の実施形態に係る移動体10aは、水に浮くための浮き部55を更に有する構成となっている。移動体10aは、浮き部55を更に有することにより、移動体10aが水に沈むことを抑制することができる。浮き部55は、移動体10aが水に沈むことを抑制することができる構成であれば各種の構成を採用することができる。
【0191】
すなわち、浮き部55は、例えば、軽い部材(密度が小さい部材)を用いたり、中空状の構造にしたりすることによって構成されていてもよい。浮き部55を有することで水に浮くようにすることにより、移動体10aが水面(水上)を移動できるようにしたり、水面から飛立つことができるようにしたりしてもよい。
【0192】
また、浮き部55は、移動体10aのうち特定(一部)の部位により構成されていてもよい。更に、浮き部55は、別体として移動体10aに装着されていてもよい。更にまた、浮き部55は、移動体10aの全ての部位(移動体10aの全体)により構成されていてもよい。
【0193】
例えば、浮き部55は、密度が水の密度よりも小さく構成された移動体10aそのものとすることとしてもよい。浮き部55を構成する部材(材料)は、例えば、ゴム材料やプラスチック材料が用いられてもよい。
【0194】
また、浮き部55は、空気を密封可能な中空部56を有することとしてもよい。中空部56に空気を密封することにより移動体10aを水に浮かびやすくすることができる。中空部56における空気は、常に入れた状態にしてもよく、あるいは移動体10aの使用時に入れるようにしてもよい。浮き部55は固定の形状でもよく、空気の出し入れにより萎んだり膨らんだりするような非固定の形状でもよい。「空気を密封可能」とは、必ずしも中空部56の外部への空気の流出を完全に防止できる状態でなくてもよく、例えば時間の経過とともに一部の空気が中空部56の外部に流出する状態であってもよい。すなわち、所定時間が経過した場合に所定量の空気を中空部56の内部に保持できればよい。
【0195】
また、浮き部55は、着脱可能(取付けおよび取外しが可能)であることとしてもよい。着脱可能とすることで、利用場面に応じて浮き部55の着脱を行うことができる。例えば、水上(海上や湖上等)で移動体10aを利用する場合には浮き部55を取り付けておき、陸地で移動体10aを利用する場合には浮き部55を取り外して取り付けないことが想定される。浮き部55の着脱は、例えば磁石、ネジ等の部材を使用して取付け及び取外しを行えるようにしてもよい。
【0196】
また、浮き部55は、スクリュー、スラスタ等により機械的な推進力を利用して移動体10aを水に浮かせるものであってもよい。
【0197】
ここで、本発明の他の実施形態に係る移動体10aは、飛行による移動を行う飛行体であることとしてもよい。浮き部55を有することで、飛行を行うとき又は飛行を行った後に水没することを抑制できる。
【0198】
移動体10aは、水中又は水上で用いられるとともに、通信部13は、地上にある外部通信機30と通信を行うこととしてもよい。移動体ユーザUが水中又は水上にいる場合であっても、飛行による移動を行うことにより地上にある外部通信機30と通信を行いやすくすることができる。なお、移動体10aが水中で用いられる場合は、耐水性能を備えるとともに、水中と空中を移動できることが好ましい。例えば、移動体10aはいわゆる水空両用ドローンであってもよい。なお、移動体10aが浮力で水面まで浮き上がった後に、水面から飛立ち、空中を移動するようにしてもよい。水上とは、水面付近の位置を意味する。すなわち水面と同等の高さの位置、水面より上の位置、水に浮かぶ船やボート等の上の位置であってもよい。例えば、海底で身動きが取れなくなった場合、海で溺れた場合、搭乗する船が遭難した場合等に移動体10aを移動体ユーザUが用いることができる。
なお、上記のプログラム100および移動体システム1は、移動体10aの構成に対応していることは言うまでもない。
【0199】
<移動体の更に他の実施形態>
本発明の移動体の更に他の実施形態について図13を参照して説明する。なお、以下の説明および図13において上述した実施形態と同一の符号が付された構成および説明のない構成については上述した実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0200】
本発明の更に他の実施形態に係る移動体10bは、上記の実施形態と同様に、バッテリ11と、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、を備えるとともに、移動体10bは外部通信機30A~30C(外部通信機30)との通信が確保できるまで移動を行い、通信が確保できる位置で移動体10bの現在位置を外部通信機30A~30C(外部通信機30)へと送信する。
【0201】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎(例えば10秒に1回毎)に外部通信機30A~30Cに対して情報(ユーザ関連情報等)を送るようにしてもよい。
【0202】
本発明の他の実施形態に係る移動体10bは、所定の乗物80への固定を行うための固定部60を更に有し、制御部12は、固定部60による固定が解除された場合に、移動体10bが移動するように移動機構15を制御することができる。固定部60により移動体10bを乗物80における定位置に備え付けることができる。移動体10bの乗物80への固定(移動体10bが乗物80に固定された状態)は、移動体10b又は乗物80により自動で解除されてもよく、移動体ユーザUが手動で解除してもよい。移動体10bの乗物80への固定が解除された後は、移動体ユーザUの操作によって移動を開始してもよく、自動で移動を開始してもよい。乗物80への固定は、例えば、磁石、電磁石、ネジ、接着剤等により行ってもよい。移動体10bは、固定部60による固定の解除を検出するための検出器を有することとしてもよく、制御部12は、検出器の検出信号に基づいて移動体10bが移動するように移動機構15を制御することとしてもよい。また、乗物80に備えられたボタン等を操作することにより固定を解除して制御部12が所定の制御を行うこととしてもよい。乗物80は、ヘリコプター、救急車、タクシー等の人が搭乗することができる乗物である。
なお、上記のプログラム100および移動体システム1は、移動体10bの構成に対応していることは言うまでもない。
【0203】
<移動体のまた更に他の実施形態>
本発明の移動体のまた更に他の実施形態について図14および図15を参照して説明する。なお、以下の説明および図14および図15において上述した実施形態と同一の符号が付された構成および説明のない構成については上述した実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0204】
本発明のまた更に他の実施形態に係る移動体10cは、上記の実施形態と同様に、バッテリ11と、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、を備えるとともに、移動体10cは外部通信機30A~30C(外部通信機30)との通信が確保できるまで移動を行い、通信が確保できる位置で移動体10cの現在位置を外部通信機30A~30C(外部通信機30)へと送信する。
【0205】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎(例えば10秒に1回毎)に外部通信機30A~30Cに対して情報(ユーザ関連情報等)を送るようにしてもよい。
【0206】
本発明の他の実施形態において、外部通信機30は、搭乗可能な乗物80に設置されており、外部通信機30を乗物80と同時に移動させることができる。また、移動体10cからの通信に応じて人(例えば救助者)が乗物80を操作することにより、例えば移動体ユーザUがいる場所へ向かうことができる。搭乗可能な乗物80とは、ヘリコプター、救急車、タクシー等の人が搭乗することができる乗物である。
【0207】
また、搭乗可能な乗物80は、医療コンテナ300としてもよく、医療コンテナ300には、外部通信機30A~30Cを搭載することができる。例えば、図16に示すように、移動体ユーザUが砂漠地帯等で遭難した際に、移動体10c(ドローン)が救助要請の為の情報(移動体10cの位置情報を含む)を、搭乗可能な乗物80である医療コンテナ300に搭載された外部通信機30A~30Cに送信することで、その後自治体、セキュリティ会社等に外部通信機30A~30Cを介して通知がされ、出動の要請を受けることで、救助隊が医療コンテナ300を運転して遭難者の元に向かうことができる。
【0208】
医療コンテナ300には、例えば、発電・蓄電装置、LPWAの受信機(外部通信機30A~30C)、通信端末(パソコン、タブレット等)、医療機器・用具、電気・水道設備、冷蔵庫・冷凍庫、トイレ等が設置されていてもよい。
【0209】
また、外部通信機30は、移動体10cに対して所定の情報(例えば、搭乗可能な乗物80が移動体ユーザUの救助に向かっていることに関する情報、搭乗可能な乗物80の位置情報等)を送信してもよい。移動体10cは、通信部13が外部通信機30により送信された所定の情報を受信した場合は、所定の情報を受信した旨を移動体ユーザUに対して音声、光、ディスプレイにおける表示等により通知してもよい。
【0210】
乗物80は、移動体ユーザUを手当する為の手当物70を搭載することとしてもよい。移動体10cからの通信に応じて人が乗物80を操作して、例えば移動体ユーザUがいる場所へ辿り着いた場合に迅速な手当を行うことができる。手当物70は、例えば、薬、包帯、食料等、移動体ユーザUを手当することが各種のものを含むことができる。手当物70は、移動体ユーザUを物理的に手当することができるものの他、精神的に手当てすることができるものも含んでもよい。
なお、上記のプログラム100および移動体システム1は、移動体10cの構成に対応していることは言うまでもない。
【0211】
<移動体の別の実施形態>
本発明の移動体の別の実施形態について説明する。なお、以下の説明において上述した実施形態と同一の符号が付された構成および説明のない構成については上述した実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0212】
本発明の別の実施形態に係る移動体10dは、図17に示すように、上記の実施形態と同様に、バッテリ11と、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、を備えるとともに、移動体10dは外部通信機30A~30C(外部通信機30)との通信が確保できるまで移動を行い、通信が確保できる位置で移動体10dの現在位置を外部通信機30A~30C(外部通信機30)へと送信する。
【0213】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎(例えば10秒に1回毎)に外部通信機30A~30Cに対して情報(ユーザ関連情報等)を送るようにしてもよい。
【0214】
ここで、移動体10dにおいて、ユーザ関連情報部20が記憶または取得するユーザ関連情報には、商品又はサービスを注文する為の注文情報が含まれている。ユーザ関連情報に注文情報が含まれることで、移動体ユーザUがいる位置とは離れた位置からでも商品又はサービスを注文することができる。これにより、例えば、電波が届きにくいような場所であっても商品又はサービスを注文することができる可能性が向上することが期待される。注文情報とは、商品又はサービスを注文する為の情報であって、例えば宅配、作業、出張サービス、運送等の依頼をするための情報である(救助を呼ぶための情報は含まれない)。注文情報は、文章であってもよく、番号であってもよい。商品又はサービスを提供する提供者は、移動体10dから外部通信機30に送信された注文情報を取得した場合に、移動体ユーザUに対して商品又はサービスを提供する。具体的には、例えば、外部通信機30に送信された注文情報を取得した業者は、注文情報に基づいて移動体ユーザUの居場所に向かい商品又はサービスを提供する、又は、移動体ユーザUの居場所に商品を発送する。注文情報には移動体ユーザUのID、氏名、住所、性別等の個人情報が含まれていてもよい。あるいは、業者が予め移動体ユーザUのID、氏名、住所、性別等の個人情報を管理し、移動体10dにより送信された注文情報に含まれる移動体ユーザUのIDと照合することにより移動体ユーザUの各個人情報を把握し、移動体ユーザUに商品又はサービスを提供してもよい。
なお、上記のプログラム100および移動体システム1は、移動体10dの構成に対応していることは言うまでもない。
【0215】
<移動体の更に別の実施形態>
本発明の移動体の更に別の実施形態について説明する。なお、以下の説明において上述した実施形態と同一の符号が付された構成および説明のない構成については上述した実施形態と同様の構成であるとしてその説明を省略することがあるものとする。
【0216】
本発明の更に別の実施形態に係る移動体10eは、図18に示すように、上記の実施形態と同様に、バッテリ11と、制御部12と、通信部13と、判定部14と、移動機構15と、位置特定部16と、現在位置記録部17と、ユーザ関連情報部20と、音声記憶部21と、音声発生部22と、設定部23と、検知部24と、規制部25と、操作部26と、を備えるとともに、移動体10eは外部通信機30A~30C(外部通信機30)との通信が確保できるまで移動を行い、通信が確保できる位置で移動体10eの現在位置を外部通信機30A~30C(外部通信機30)へと送信する。
【0217】
通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信は、例えば、通信部13が所定の間隔毎(例えば10秒に1回毎)に外部通信機30A~30Cに対して情報(ユーザ関連情報等)を送るようにしてもよい。
【0218】
本発明の更に別の実施形態に係る移動体10eは、通信部13に特徴を有している。すなわち、通信部13は、移動体Uが利用可能なエネルギーのうち、外部通信機30にユーザ関連情報を送信するために通信部13が利用可能なエネルギーが尽きるまで、外部通信機30にユーザ関連情報を送信することができる。これにより、多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機30にユーザ関連情報を送信する回数、時間等を増やすことができる。具体的には、例えば、通信部13は、送信回数、送信時間等の制限を設けることなく外部通信機30にユーザ関連情報を送信し続けることができる。あるいは、例えば、多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機30との通信が成功しやすくなる。あるいは、例えば、通信部13は、外部通信機30にユーザ関連情報を送信することに成功した場合にも、更に外部通信機30にユーザ関連情報を送信し続けることができる。なお、外部通信機30にユーザ関連情報を送信するために通信部13が利用可能なエネルギーとは、バッテリ等のエネルギーがゼロになるまでの全てのエネルギーであってもよく、バッテリ等のエネルギーが予め用途別に配分された所定量のエネルギーであってもよい。移動体10eが利用可能なエネルギーのうち、外部通信機30にユーザ関連情報を送信するために通信部13が利用可能なエネルギーが尽きたことを検知する検知部と、検知部からの検知信号に基づいて通信部13が利用可能なエネルギーが尽きたことを判断する判断部と、を有し、判断部による判断結果に基づいて外部通信機30にユーザ関連情報を送信するか否かの判断を行うこととしてもよい。
【0219】
制御部12は、移動体10eが利用可能なエネルギーのうち、移動体10eを移動させるために移動機構16が利用可能なエネルギーが尽きるまで、移動体10eを移動させるように移動機構16を制御することとしてもよい。これにより、多くのエネルギーを利用可能となるため、移動体10eの移動距離、移動時間等を大きくすることができる。具体的には、例えば、制御部12は、移動距離、移動時間等の制限を設けることなく移動体10eを移動させ続けるように移動機構16を制御することができる。あるいは、例えば、通信部13が外部通信機30にユーザ関連情報を送信することに成功した場合にも、制御部12は、移動体10eを移動させ続けるように移動機構16を制御することができる。なお、移動体10eを移動させるために移動機構16が利用可能なエネルギーとは、バッテリ等のエネルギーがゼロになるまでの全てのエネルギーであってもよく、バッテリ等のエネルギーが予め用途別に配分された所定量のエネルギーであってもよい。移動体10eが利用可能なエネルギーのうち、移動体10eを移動させるために移動機構16が利用可能なエネルギーが尽きたことを検知する検知部と、検知部からの検知信号に基づいて移動体10eを移動させるために移動機構16が利用可能なエネルギーが尽きたことを判断する判断部と、を有し、判断部による判断結果に基づいて外部通信機30にユーザ関連情報を送信するか否かの判断を行うこととしてもよい。
なお、上記のプログラム100および移動体システム1は、移動体10eの構成に対応していることは言うまでもない。
【0220】
<変形例>
以上に説明した構成は、この発明を実施するための一例にすぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。任意の変形の一例について、以下、説明する。
【0221】
上述した実施形態にあっては、通信部13がユーザ端末とデータ通信が可能であり、判定部14により移動体10乃至10eと外部通信機30A~30Cとの通信が確立されていると判定されたとき、制御部12は、ユーザ端末と外部通信機30A~30Cとの間の通信を中継できるように構成することが可能である。
【0222】
なお、中継とは、一方からの受信データを加工し、或いは加工せずに、他方に転送することである。
【0223】
また、上述した実施形態にあっては、制御部12が、判定部14の判定結果を、移動体ユーザUのユーザ端末に送信するように構成することが可能である。この変形例においてユーザ端末は、スマートフォンや携帯電話である。
【0224】
また、上述した実施形態にあっては、制御部12が、判定部14によって通信が確立されていると判定された後、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であると判断し、移動機構15を制御して、移動体10乃至10eを退避位置に移動させる構成とすることが可能である。
【0225】
また、判定部14により通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信が確立していると判定することなく通信部13が外部通信機30A~30Cにユーザ関連情報を送信するようにしてもよい。例えば、判定部14が受信信号を所定時間に受け取らなかった場合に、制御部12移動機構15を制御して、移動体10乃至10eが移動を行いながら通信部13が所定の間隔でユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信し続けることにより、障害物の影響が緩和された等の理由により通信ができる状態になったタイミングでユーザ関連情報が外部通信機30A~30Cに送信され、その後外部通信機30A~30Cからの信号を受信するようにできる。このとき、位置特定部16が所定の間隔で取得した現在位置の位置情報をユーザ関連情報として、通信部13が所定の間隔で外部通信機30A~30Cに向けて送信し続けるようにしてもよい。
【0226】
更に、規制部25を省略することとして、通信部13が送信する情報量の制限(ユーザ関連情報を100バイト以下、12バイト以下とする情報量の制限)は設定や規格等で予め定めることとしてもよい。
【0227】
更にまた。設定部23は省略することとして、予め固定の時間、距離、高度、方向を定めることとしてもよい。
【0228】
なお、退避位置に移動するとは、移動体10乃至10eの状態に応じた、着陸、停止等であればよい。例えば、移動体10乃至10eは飛行による移動を行うラジコンヘリ、ドローン等の飛行体とすることとして、制御部12は、移動体10乃至10eが鉛直上向きへの移動および鉛直下向きへの移動を行うように移動機構15を制御するとともに、制御部12は、移動体ユーザUに関連する情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信するときの現在位置を外部通信機30A~30Cに向けて送信し、現在位置を外部通信機30A~30Cに向けて送信した後に鉛直下向き方向に移動し着陸するように構成することが可能である。
【0229】
このように鉛直下向きに移動することにより、移動体ユーザUに関連する情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信するときの飛行体の現在位置と、飛行体が着陸する位置における、緯度および経度(水平面での位置)の差を小さくすることができる。そのため、例えば、第三者が外部通信機30A~30Cに送信された当該現在位置を把握した場合に、飛行体が着陸した位置を容易に推定できると期待される。
【0230】
また、制御部12が、移動体10乃至10eが鉛直上向きへの移動および鉛直下向きへの移動を行うように移動機構15を制御する場合において、制御部12は、移動体10乃至10eの水平方向の位置がずれた場合に水平方向のずれた位置を修正するべく移動体10乃至10eが水平方向への移動を行うように移動機構15を制御することができる。このように制御することで、例えば水平方向の位置のずれを修正するように水平方向に移動体10乃至10eを移動させることにより移動を開始したときの緯度経度とのずれを抑制することができる。なお、水平方向の位置の変化は移動体10乃至10eの現在位置の位置情報や加速度センサーによって測定することができる。また、移動体10乃至10eは、飛行体のみならず陸上や海上を移動するように構成することも可能である。
【0231】
また、移動にあたって、バッテリ残量、或いは通信部13が外部通信機30A~30Cから受信した信号の強度等を基に、移動方向を決めてもよい。決定された移動方向に移動体10乃至10eが移動するように、制御部12は、移動機構15を制御してもよい。
【0232】
また、移動体10乃至10eが移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置が現在位置記録部17に記録されている場合に、制御部12は、当該現在位置に移動するように(戻るように)移動機構15を制御してもよい。更に、制御部12は、初期位置(移動体10乃至10eが移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置)まで戻ったときに、通信が完了した旨を移動体ユーザUに報知してもよく、あるいは、移動体ユーザUに関連する情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信したことを移動体ユーザUに報知してもよい。この報知は、図示しない表示部か、音声出力部による報知であってもよい。これにより、移動体10乃至10eが移動体ユーザUによって起動されてから移動を開始する前における現在位置(移動体10乃至10eが戻る位置)に移動体ユーザUが存在する場合は、外部通信機30A~30Cとの通信ができたことを移動体ユーザUが認知することができる。
【0233】
また、上述した実施形態にあっては、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信に際して電波中継地点を介在させるように構成することも可能である。すなわち、電波中継地点とは、通信部10と外部通信機30A~30Cとの通信の際に電波を中継する機器を有する場所であり、基地局や無線LAN機器(移動体10乃至10eと通信可能なデバイス)等が設置されている場所となる。電波中継地点とは、サイトの一例に相当する。通信の成功の判断は、基地局からの応答(下り通信)により行うこととしてもよい。
【0234】
つまり、移動体10乃至10eにおいて、位置情報記憶部18は、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信の際に電波を中継する複数の電波中継地点の位置情報を記憶し、選択部19は、制御部12からの制御を受けて複数の電波中継地点の位置情報を読み出し、また選択部19は、位置特定部16により特定された現在位置と複数の電波中継地点の位置情報とに基づいて、現在位置から複数の電波中継地点までの距離を、各々の電波中継地点について求め、更に選択部19は、複数の電波中継地点のうち、現在位置からの距離が最短となる電波中継地点を選択し、制御部12は、選択部19により選択された電波中継地点に移動するように移動機構15を制御するように構成することが可能である。このため、移動体10乃至10eが電波中継地点の位置情報を記憶していない場合に比べて、移動体10乃至10eの存在する現在位置から最も近い電波中継地点へ近づくことができる。
【0235】
また、上述した実施形態にあっては、移動体10乃至10eを非常事態モード(様式)に設定するための非常事態設定部を更に有するように構成してもよい。非常事態モードとは、移動体ユーザUが非常事態にある場合に対応して、移動体10乃至10eが機能の発揮や動作を行う状態をいう。例えば、制御部12は、判定部14により通信が確立されていないと判定され、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができない状態であると判断し、かつ、移動体10乃至10eが非常事態モードに設定されているときに現在位置から移動するように移動機構15を制御するように構成することが可能である。また、移動体ユーザUに関連する情報、より詳しくは移動体ユーザUが非常事態にあることを示す情報は、判定部14により通信が確立されていると判定され、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができる状態であると判断し、かつ、移動体10乃至10eが非常事態モードに設定されているときに、通信部13を介して外部通信機30A~30Cに送信するように構成することも可能である。非常事態モードへの設定は、例えば、移動体10乃至10eに非常事態用のボタン、スイッチ、又はアイコンを設け、移動体ユーザUがこれらを押下、タッチ等することにより行われるようにする。また、移動体10乃至10eが起動されるとともに非常事態モードに設定されるようにしてもよい。
【0236】
また、上述した実施形態にあっては、移動体10乃至10eは通常モードとテストモードのいずれも有することとしているが、通常モードのみとすることとしてもよい。この場合にあっては、移動体ユーザUが移動体10乃至10eを操作するための操作部26は、第1の操作部26aのみとなり、操作部は1つとなる。操作部26を1つとすることで、操作部26を必要最低限としてシンプルな構成とすることができる。
【0237】
更に、操作部26は、第1の操作部26aおよび第2の操作部26bの他に更に他の操作部を含むこととしてもよく、第1の操作部26aおよび第2の操作部26bのみとすることとしてもよい。すなわち、操作部26が第1の操作部26aおよび第2の操作部26bのいずれも有する場合においては、操作部は26、少なくとも移動体10乃至10eが移動を開始するための第1の操作部26aおよびテストモードを開始するための第2の操作部26bを含むこととすればよい。
【0238】
更にまた、上述した実施形態にあっては、テストモードでは、移動体10乃至10eは移動および通信のいずれも行うこととしているが移動のみで通信を行わないように構成することとしてもよい。
【0239】
また更に、上述した実施形態においては、通信部13と外部通信機30A~30Cとの通信ができるときにおいても、制御部12が、移動体10乃至10eを現在位置(例えば移動体10乃至10eが移動を開始する前の初期位置)から移動するように移動機構15を制御することとしてもよい。
【0240】
更にまた、音声発生部22は、移動体10乃至10eが移動を開始する前および通信部13がユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信した後のいずれも音声を発することとしているが、通信部13がユーザ関連情報を外部通信機に向けて送信した後にのみ音声を発することとしても所要の効果を奏する。すなわち、音声発生部22は、少なくとも通信部13がユーザ関連情報を外部通信機15に向けて送信した後に音声を発することとしても所要の効果を奏する。
【0241】
また更に、上述した実施形態にあっては、ユーザ関連情報は、各種の情報を含むこととしているが、移動体10乃至10eの現在位置の位置情報のみ含まれることとしても所要の効果を奏する。すなわち、ユーザ関連情報には、少なくとも移動体10乃至10eの現在位置の位置情報が含まれることとしても所要の効果を奏する。
【0242】
また、ユーザ関連情報は、物資供給要請情報を含むこととしてもよい。物資供給要請とは、物資の供給の要請であり、物資供給要請情報とは、物資の供給の要請を行う為の情報である。
【0243】
例えば、図19に示すように、移動体ユーザUが移動体10乃至10eを介して災害時に物資供給要請を行い、物資供給要請サービス提供者が物資供給要請を受けて、移動体ユーザUに対して物資を供給する(災害時に携帯が通じない場合に本発明の移動体10乃至10eは有効な手段となる)。物資の供給は、トラック430、ドローン440、人力等で行うことができる。ドローン440は、例えば、道の崩壊などによりトラックでは移動体ユーザUがいる被災地に到達できない場合に用いられる。また、人力による物資の供給は、例えば、被災地の地元民が行う場合がある。
【0244】
より詳しくは、移動体ユーザUが移動体10乃至10eを介して、例えばLPWA等の通信方式により、移動体ユーザUの位置情報とともに、災害時に物資供給要請の情報を基地局400を介してクラウドサーバ410に送信し、更にクラウドサーバ410から物資の輸送を指示するための情報を物資保管倉庫420を有する物資供給要請サービス提供者に送信し、物資供給要請サービス提供者が、移動体ユーザUに対して物資を供給する。
【0245】
物資供給要請情報には、供給が必要な物資の量又は種類が含まれてもよい。例えば、移動体ユーザUが操作装置50(コントローラ)に供給が必要な物資の量と種類(物資供給要請情報)を入力するとともに移動体10乃至10eに送信し、移動体10乃至10eは、外部通信機30A~30Cに向けて当該物資供給要請情報を送信してもよい。
【0246】
物資の種類は、例えば、飲料(水、清涼飲料水、酒等)、食料(米、レトルト食品、野菜、果物等)、日用品(ティッシュ、おむつ、トイレットペーパー等)、蛍光器具(乾電池、懐中電灯、ろうそく等)、医療品(消毒液、うがい薬、風邪薬等)等であってもよい。例えば、物資として、水、レトルト食品、ティッシュ、及び、懐中電灯が20人分必要である場合は、これらの物資の供給を要請するための物資供給要請情報を操作装置50に入力してもよい。
【0247】
物資供給要請情報には、更に、氏名、企業名、団体名、位置情報、状況等の情報が含まれていてもよい。
【0248】
また、図20に示すように、移動体10乃至10eは、移動体ユーザUの生体情報を受信する生体情報受信部27を備え、制御部12は、生体情報受信部27により移動体ユーザUの異常を示す生体情報が受信された場合に、移動するように移動機構15を制御することができる。生体情報受信部27は、生体情報を取得する生体情報取得装置310から生体情報を受信することができる。
【0249】
生体情報は、例えば、脈拍・心拍数、血圧、体温等に関する情報であってもよい。例えば、図21に示すように、移動体ユーザUが装着するウェアラブルデバイスを生体情報取得装置310として、ウェアラブルデバイスが、移動体ユーザUの脈拍の情報を取得するとともに、脈拍が所定の数値以下である場合(例えば、脈拍がゼロになった場合)に、移動体ユーザUに異常があると判定し、移動体ユーザUの異常を示す生体情報として脈拍が所定の数値以下であることを示す情報を移動体10の生体情報受信部27に送信してもよい。この送信(通信)は、WiFi、Bluetooth等で行うことができる。移動体10は、この送信を受けて通信と飛行の開始を行い、救助要請を行うことができる。なお、生体情報取得装置310は、加速度センサーを備え、生体情報は、移動体ユーザUの腕の動作に応じて出力される加速センサーから感知信号情報を含むこととしてもよい。
【0250】
また、図22に示すように、移動体10乃至10eの識別情報を含むユーザ関連情報を管理する情報管理部41と、通信部13が外部通信機30A~30Cに向けて送信したユーザ関連情報を取得する情報取得部42と、物資情報を登録する物資情報登録部45を管理システム40に備え、情報取得部42により、通信部13が外部通信機30A~30Cに向けて送信したユーザ関連情報が取得された場合に、物資情報登録部45に登録された物資情報に基づいて、物資供給指示情報を外部に送信することができる。
【0251】
外部とは、指定の端末等であってもよい。例えば、ユーザ関連情報に含まれる位置情報における住所や緯度経度の場所に最も近い倉庫にある端末であってもよい。
【0252】
例えば、予め物資情報(物資の種類、量等)をサーバ等に登録しておき、サーバ等がユーザ関連情報を取得した場合に、物資供給指示情報(物資の供給を指示する情報)を、物資を補完している倉庫にある端末等に送信する。
【0253】
ユーザ関連情報と物資情報は予め紐づけられているようにしてもよい。例えば、異なる移動体ユーザUのユーザ情報(氏名、属性、企業名、ID)ごとに物資情報(例えば、供給する物資の種類や量)を予め指定してもよい。物資供給指示情報の外部への送信は、通知部44によりメール等で行ってもよい。
【0254】
また、上述した実施形態において、情報取得部42は更に移動体ユーザUに関連する所定のステータス情報を取得することとして、情報管理部41は、情報取得部42が取得したステータス情報を更に管理することとしてもよい。ステータス情報とは、救助未対応、救助中、救助済み、問題が発生中、問題を解決済といったような、移動体ユーザUへの対応に関するステータス(状態)の情報を表す。
【0255】
また、上述した実施形態にあっては、移動体10乃至10eの用途は救助要請であったがこれに限られない。例えば、移動体ユーザUが自身の状態が無事であることを知らせることを目的とした用途、移動体ユーザUが自身の居場所を他者に知らせることのみを目的とした用途、救助要請以外の目的で他者を呼び寄せるための用途であってもよい。
【0256】
また、以下の様な構成を備える実施形態でもよい。本体と、前記本体に設けられ、外部通信機と通信を行う通信部と、前記本体に設けられ、前記本体を移動させる移動機構と、前記通信部が前記外部通信機と通信を行うことが可能であるかを判定する判定部と、前記通信部が前記外部通信機と通信を行うことが可能である位置に前記本体を移動させるように前記移動機構を制御する制御部と、を備えることを特徴とする移動体、であってもよい。
【0257】
更に、当該実施形態に従属して、以下の様な構成を更に備える実施形態でもよい。前記判定部は、前記通信部が前記外部通信機と通信を行うことが可能であるか否かを判断し、前記通信部が前記外部通信機と通信を行うことが可能できないと判断した場合、前記制御部は、前記通信部が前記外部通信機と通信を行うことが可能である位置に前記本体を移動させるように前記移動機構を制御することを特徴とする移動体であってもよい。
【0258】
また、操作装置50は、図23に示すように、上述した実施形態に加えて通信を行う第二通信部53を備え、第二通信部53は、ユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信してもよい。
【0259】
より詳しくは、操作装置50は、上述した実施形態に加えて通信を行う第二通信部53を備え、第二通信部53は、移動体10乃至10eの通信部13からユーザ関連情報を受信し、受信したユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信してもよい。
【0260】
更に詳しくは、操作装置50は、上述した実施形態に加えて通信を行う第二通信部53を備え、第二通信部53は、移動体10乃至10eの通信部13からユーザ関連情報を受信し、受信したユーザ関連情報を外部通信機30A~30Cに向けて送信し、ユーザ関連情報には、物資供給要請情報が含まれることとしてもよい。
【0261】
操作装置50は、移動体10乃至10eの操作のみでなく、操作装置50単体でも使用することができる。例えば、操作装置50がGPS等で取得した位置情報を外部送信機30A~30Cに向けて送信することで移動体ユーザUの場所を知らせることができる。また、操作装置50は、記憶部54を有するとともに、記憶部54が、ユーザ関連情報としての物資供給要請情報や救助要請情報(救助要請を行う為の情報)を記憶し、物資供給要請情報や救助要請情報(救助要請を行う為の情報)を記憶部54から読み出して外部送信機30A~30Cに向けて送信してもよい。
【0262】
例えば、図24に示すように、操作装置50は、複数のボタン50b1,50b2,50b3,50b4,50b5を設けて、当該複数のボタン50b1,50b2,50b3,50b4,50b5に応じた情報が移動体10乃至10eまたは外部通信機30A~30Cに送信されてもよい。操作装置50は、ボタン50b1,50b2,50b3,50b4,50b5を押下することにより、第二通信部53を介してボタン50b1,50b2,50b3,50b4,50b5に応じた情報が移動体10または外部通信機30A~30Cに送信される。ボタン50b1は、音声案内を送信し、ボタン50b2は、飛行・通信の開始に関する情報を送信し、ボタン50b3は、救援物資(水・食料・医療用品等)の供給要請に関する情報を送信し、ボタン50b4は、救助要請に関する情報を送信し、ボタン50b5は、至急の救助要請に関する情報を送信する。なお、操作装置50からの送信は、WiFi、Bluetooth等で行うことができる。
【0263】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0264】
1 移動体システム
1A バス
1B 中央処理装置
1C 記憶装置
1D 入力装置
1E 表示装置
10,10a,10b,10c,10d,10e 移動体
10A バス
10B 中央処理装置
10C 記憶装置
10D 入力装置
10E 表示装置
11 バッテリ
12 制御部
13 通信部
14 判定部
15 移動機構
16 位置特定部
17 現在位置記録部
20 ユーザ関連情報部
21 音声記憶部
22 音声発生部
23 設定部
24 検知部
25 規制部
26 操作部
30 外部通信機
40 管理システム
40A バス
40B 中央処理装置
40C 記憶装置
40D 入力装置
40E 表示装置
41 情報管理部
42 情報取得部
43 2次情報表示部
44 通知部
45 物資情報登録部
50 操作装置
50a 操作部
50b1,50b2,50b3,50b4,50b5 ボタン
51 移動指示部
52 音声発生部
53 第二通信部
54 記憶部
55 浮き部
60 固定部
70 手当物
80 乗物
100 プログラム
200 プログラム
300 医療コンテナ
310 生体情報取得装置
400 基地局
410 クラウドサーバ
420 物資保管倉庫
430 トラック
440 ドローン
U 移動体ユーザ
図1
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