(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061593
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】インターロイキン-12産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 35/644 20150101AFI20240425BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240425BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240425BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240425BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240425BHJP
A23L 21/25 20160101ALI20240425BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240425BHJP
【FI】
A61K35/644
A61P43/00 111
A61P37/04
A61P43/00 105
A61P31/12
A61P31/04
A23L21/25
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071496
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2022168234
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100211199
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】谷 央子
(72)【発明者】
【氏名】山家 雅之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 能弘
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018MD77
4B018ME14
4B041LC10
4B041LD07
4B041LE01
4B041LE02
4B041LK39
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB22
4C087ZB09
4C087ZB21
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZC41
(57)【要約】
【課題】蜂蜜を有効成分として含むIL-12産生促進剤を提供すること。
【解決手段】ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜を有効成分として含む、インターロイキン-12(IL-12)産生促進剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜を有効成分として含む、インターロイキン-12(IL-12)産生促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載のIL-12産生促進剤を含む、細胞性免疫活性化用組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のIL-12産生促進剤を含む、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化を促進する、細胞性免疫活性化用組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のIL-12産生促進剤を含む、ナチュラルキラー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞を活性化する、細胞性免疫活性化用組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のIL-12産生促進剤を含む、細菌性感染症及び/又はウイルス性感染症予防用組成物。
【請求項6】
食品組成物又は医薬組成物である、請求項1に記載のIL-12産生促進剤又は請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン-12(以下「IL-12」ともいう)産生促進剤に関し、より具体的には、蜂蜜を含むIL-12産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂蜜は食用のみならず、様々な健康効果や美容効果を有することが知られている。例えば、蜂蜜を抗菌剤(特許文献1)や、創傷治療用組成物、化粧品用組成物(特許文献2、3)などとして様々な用途に利用することができる。
【0003】
IL-12は、細胞性免疫に係るサイトカインの一種であり、マクロファージ又は樹状細胞等から分泌される。血中のIL-12濃度が増加すると、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化促進、並びにナチュラルキラー細胞及び細胞傷害性T細胞の活性化が生じ、細胞性免疫が活性化される。
【0004】
蜂蜜とIL-12に関し、非特許文献1には、ラットに対してオレンジ蜂蜜及び抗原を同時投与すると、抗原のみを投与した場合と比較して、血中のIL-12濃度が有意に高くなることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2016/072377
【特許文献2】特表2003-516357号公報
【特許文献3】特開2003-63984号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mohammed A. K. AL-Saadi,"Immunoadjuvant activity of honeyagainst bacterial antigens: In vivostudy", Int. J. Curr. Microbiol. App.Sci. 2013, 2(7), 12-21.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、蜂蜜を有効成分としたIL-12産生促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったところ、蜜源の異なる蜂蜜をそれぞれ含む培地中で通常型樹状細胞を培養すると、いくつかの蜂蜜でIL-12の産生が促進されることを見出した。さらに、本発明者らは、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、又はレワレワ蜂蜜を含む培地中で通常型樹状細胞を培養すると、オレンジ蜂蜜を含む培地中で培養した場合と比較して、IL-12の産生量が有意に増加することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[1]ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜を有効成分として含む、インターロイキン-12(IL-12)産生促進剤。
[2]ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜を有効成分として含む、[1]に記載のインターロイキン-12(IL-12)産生促進剤。
[3][1]又は[2]に記載のIL-12産生促進剤を含む、細胞性免疫活性化用組成物。
[4][1]又は[2]に記載のIL-12産生促進剤を含む、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化を促進する、細胞性免疫活性化用組成物。
[5][1]又は[2]に記載のIL-12産生促進剤を含む、ナチュラルキラー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞を活性化する、細胞性免疫活性化用組成物。
[6][1]又は[2]に記載のIL-12産生促進剤を含む、細菌性感染症及び/又はウイルス性感染症予防用組成物。
[7]食品組成物又は医薬組成物である、[1]又は[2]に記載のIL-12産生促進剤又は[2]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
【0010】
また、本発明は、以下の[1]~[6]にも関する。
[1]ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜を有効成分として含む、インターロイキン-12(IL-12)産生促進剤。
[2][1]に記載のIL-12産生促進剤を含む、細胞性免疫活性化用組成物。
[3][1]に記載のIL-12産生促進剤を含む、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化を促進する細胞性免疫活性化用組成物。
[4][1]に記載のIL-12産生促進剤を含む、ナチュラルキラー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞を活性化する細胞性免疫活性化用組成物。
[5][1]に記載のIL-12産生促進剤を含む、細菌性感染症及び/又はウイルス性感染症予防用組成物。
[6]食品組成物又は医薬組成物である、[1]に記載のIL-12産生促進剤又は[2]~[5]のいずれか1つに記載の組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定の蜂蜜を用いることにより、高活性な、蜂蜜を有効成分としたIL-12産生促進剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1における、通常型樹状細胞を各種蜂蜜を含む培地で培養した場合の、IL-12の産生量を示すグラフである。
【
図2】
図1は、実施例2における、通常型樹状細胞を各種蜂蜜を含む培地で培養した場合の、IL-12の産生量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明の一実施形態は、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜を有効成分として含む、インターロイキン-12(以下「IL-12」ともいう)産生促進剤である。
【0015】
蜂蜜は、ミツバチが、植物の花蜜、樹液、植物に寄生する虫の分泌液等から集めた蜜を主原料として作り出したものである。蜂蜜を採取するために利用されるミツバチの種類、及び蜂蜜の産地は特に限定されない。本実施形態において、蜂蜜はヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種であり、ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜であってもよく、甘露蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜であってもよく、1種を単独で用いてもよく、2種、3種又は4種を併用してもよい。
【0016】
ヒマワリ蜂蜜は、ミツバチが、キク科ヒマワリ属であるヒマワリ(Helianthus annuus)の花から採集できる蜂蜜である。
【0017】
ボダイジュ蜂蜜は、ミツバチが、アオイ科シナノキ属であるボダイジュ(Tilia miqueliana)の花から採集できる蜂蜜である。
【0018】
甘露蜂蜜は、ヨーロッパでは「森の蜜」と呼ばれ、さまざまな木(カシ:Quercusやマツ:Pinus、モミ:Abies firma、トウヒ:Piceaなど)から出る樹液を昆虫が一旦体に取り入れたのち、その糖分だけを再び樹木の葉や幹に水滴の形で残したものをミツバチが集め、はちみつに仕上げたものである。甘露蜂蜜は、一般的な花由来の蜂蜜よりも、ミネラル、アミノ酸などが多く含まれており、マヌカ蜂蜜と同様に、高い抗菌性を有することが知られている。
【0019】
レワレワ蜂蜜は、ヤマモガシ科ナイティア属であるレワレワ(Knightia excelsa)の花から採集できる蜂蜜である。マヌカ蜂蜜や甘露蜂蜜と同様に、高い抗菌性を有することが知られている。
【0020】
蜂蜜は、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。
【0021】
蜂蜜は、蜂の巣箱中に保管されている間は一般に、ミツバチの体温等により35℃前後に保たれている。蜂の巣箱から採取された蜂蜜は一般に、粘度を低下させて輸送、充填等の作業を容易にすること、及び結晶を融解することを目的として、必要に応じて加熱される。
【0022】
蜂蜜の加温温度は、59℃以下、58℃以下、57℃以下、56℃以下、55℃以下、54℃以下、53℃以下、52℃以下、51℃以下、50℃以下、49℃以下、48℃以下、47℃以下、46℃以下、45℃以下、44℃以下、43℃以下、42℃以下、41℃以下、40℃以下、39℃以下、38℃以下、37℃以下、又は36℃以下であってもよい。蜂蜜の加温温度は、例えば35℃以上、36℃以上、又は37℃以上であってよい。蜂蜜の加温温度が35℃以上であると、蜂蜜の粘度を低下させ、蜂蜜中の結晶を低減しやすいなど、蜂蜜の取り扱い性の点で好ましい。
【0023】
採取後の蜂蜜は、採取されたそのままであってもよく、加温前又は後に、タンパク質、ワックス、ゴミ、蜂や巣のカス等の除去、ろ過、有機溶媒による抽出、分画などの精製処理、殺菌、濃縮等の処理が行われてもよい。
【0024】
蜂蜜の組成としては、約80%が糖質であり、そのほか、ビタミン、ミネラル、フラボノイド、有機酸、脂肪酸などの健康成分が含まれており、残りは水分である。蜂蜜の糖質の多くは、ブドウ糖及び果糖であり、他にオリゴ糖や麦芽糖も少量に含まれている。
【0025】
本実施形態において、IL-12産生促進剤における蜂蜜の含有量は、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜の合計(例えば、ヒマワリ蜂蜜及びボダイジュ蜂蜜の2種を併用する場合には、ヒマワリ蜂蜜及びボダイジュ蜂蜜の合計)で、例えば0.1質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、又は100質量%であってよい。組成物における蜂蜜の含有量は、例えば99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下又は1質量%以下であってよい。
【0026】
一実施形態に係るIL-12産生促進剤は、蜂蜜に加えて、その他の公知のIL-12産生促進作用を有する成分を更に含んでいてもよい。公知のIL-12産生促進作用を有する成分としては、例えばラクトバチルス・アシドフィルス等の乳酸菌、ビフィドバクテリウムブレーベ等のビフィズス菌、サッカロマイセス・セレビシエ等の酵母等を挙げることができる。
【0027】
IL-12産生促進能は、骨髄細胞を分化誘導することにより得た通常型樹状細胞(cDCs、conventional dendritic cells)を用いて、試験物質を添加し、一定期間培養後の培養液中のIL-12量をELISA法により定量することで評価することができる。蜂蜜を添加した場合(陰性対照)に比べて、産生されるIL-12量が増えれば、IL-12産生促進作用を有すると評価でき、また、陰性対照におけるIL-12産生量に対する増加率で、IL-12産生促進作用の強さを評価することができる。
【0028】
一実施形態に係るIL-12産生促進剤は、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜(例えば、ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜)のみからなってもよく、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜(例えば、ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜)と、それ以外の成分とを含む組成物であってもよい。また、一実施形態に係るIL-12産生促進剤は、食品組成物又は医薬組成物であってよい。食品組成物及び医薬組成物に関しては、後述のとおりである。
【0029】
本発明の他の一側面は、一実施形態に係るIL-12産生促進剤を含む、細胞性免疫活性化用組成物である。IL-12は、細胞性免疫に係るサイトカインの一種であり、血中のIL-12濃度が増加すると、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化が促進されることを介して、細胞性免疫が活性化される。また、血中のIL-12濃度が増加すると、ナチュラルキラー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞の活性化を介して、細胞性免疫が活性化される。したがって、一実施形態に係る細胞性免疫活性化用組成物は、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化を促進する、又は、ナチュラルキラー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞を活性化することができる。
【0030】
本発明の他の一側面は、一実施形態に係るIL-12産生促進剤を含む、細菌性感染症及び/又はウイルス性感染症予防用組成物である。細胞性免疫において、細菌は、1型ヘルパーT細胞が産生したサイトカインによって活性化されたマクロファージ等によって貪食される。また、ウイルスに感染した細胞は、ナチュラルキラー細胞又は細胞傷害性T細胞等によって殺傷される。したがって、一実施形態に係るIL-12産生促進剤を含む組成物は、ナイーブヘルパーT細胞の1型ヘルパーT細胞への分化促進やナチュラルキラー細胞及び/又は細胞傷害性T細胞の活性化を介して、細菌及び/又はウイルスに対する生体防御機構を活性化させることができるため、細菌性感染症及び/又はウイルス性感染症予防用組成物として用いることができる。
【0031】
一実施形態に係る細胞性免疫活性化用組成物は、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜(例えば、ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜)のみからなる組成物であってもよく、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜(例えば、ヒマワリ蜂蜜及び/又はボダイジュ蜂蜜)と、それ以外の成分とを含む組成物であってもよい。一実施形態に係る細胞性免疫活性化用組成物は、食品組成物又は医薬組成物であってよい。
【0032】
上記組成物における蜂蜜の含有量は、ヒマワリ蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、甘露蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種の蜂蜜の合計(例えば、ヒマワリ蜂蜜及びボダイジュ蜂蜜の2種を併用する場合には、ヒマワリ蜂蜜及びボダイジュ蜂蜜の合計)で、例えば0.1質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、又は100質量%であってよい。組成物における蜂蜜の含有量は、例えば99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下又は1質量%以下であってよい。
【0033】
本発明に係る組成物は、食品組成物、医薬組成物(医薬品)又は医薬部外品であってよく、食品組成物又は医薬組成物であってもよい。また、蜂蜜はそのまま食品組成物(食品)として用いてもよく、食品に添加して用いてもよい。
【0034】
食品組成物(食品)としては、食品の3次機能(体調調節機能)が強調されたものであることが好ましい。食品の3次機能が強調された食品としては、例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品等が挙げられる。
【0035】
食品に添加して用いる場合、食品は食品として許容される成分を含んでいてもよい。食品として許容される成分としては、例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0036】
食品組成物は栄養補助食品、サプリメントなどである場合は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、錠剤(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト等の剤形であってもよい。これらは、例えば、蜂蜜と、必要に応じて他の成分とを混合して製剤することによって調製することができる。
【0037】
食品組成物は、蜂蜜を食品に添加して得られたものであってよく、食品としては以下のようなものが挙げられ、これらの製造工程中の中間製品、又は最終製品に、有効量の蜂蜜を混合して、上記の目的に用いられる食品を得ることができる:コーヒー、ジュース及び茶飲料等の清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、並びに、日本酒、洋酒、果実酒及び蜂蜜酒等の酒などの飲料;カスタードクリーム等のスプレッド;フルーツペースト等のペースト;チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ及びプリン等の洋菓子;大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ及び羊羹等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンデー及びシャーベット等の氷菓;カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等の調理済みの食品;ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料及びスープの素等の調味料。
【0038】
食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、食品組成物の製造工程における中間製品又は最終製品に、上記蜂蜜を混合等して、上記の目的に用いられる食品組成物を得ることができる。
【0039】
医薬品又は医薬部外品は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液若しくは電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)等の剤形であってもよい。これらの各種製剤は、例えば、有効成分である上記発酵物と、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
【0040】
医薬組成物は、蜂蜜の他に、薬学的に許容される成分、例えば、薬学的に許容される添加剤(賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等)、食品として許容される成分(例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤)を挙げることができる。
【0041】
組成物に含まれる蜂蜜の一日の摂取量は、IL-12産生促進効果が挙げられれば特に限定されず、例えば0.01~70g/日であってよく、4~70g/日がより好ましい。本実施形態に係る組成物は一日一回摂取されてもよく、一日二回、一日三回等、複数回に分けて摂取されてもよい。また、摂取のタイミングも特に限定されず、食前、食後、食間、就寝前のいずれのタイミングであってもよい。
【実施例0042】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1:各種蜂蜜によるインターロイキン-12産生促進作用の検討(1)]
正常C57BL/6Jマウスより採取した骨髄細胞(4.0×10
6Cells/mL)を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)存在下で7日間培養し、通常型樹状細胞(cDCs、conventional dendritic cells)への分化を誘導した。その培養液に対し、終濃度1%となるように滅菌水で希釈したオレンジ蜂蜜、ヒマワリ蜂蜜若しくはボダイジュ蜂蜜、又はポジティブコントロールとして終濃度1μg/mLとなるように滅菌水で希釈したリポポリサッカライド(LPS)を添加した(IL-12産生誘導工程)。さらに48時間培養した後、培養液中のIL-12量をELISA法により定量した。定量には、ELISA MAX
TM Standard Set Mouse IL-12/IL-23 (p40)を用いた。得られたIL-12量について、LPSを添加した群のIL-12量を100%、IL-12産生誘導工程を行わなかった群のIL-12量を0%として表示した結果を、
図1に示す。
【0044】
結果として、いずれの蜂蜜を添加した群においても、IL-12産生誘導工程を行わなかった群と比較して、IL-12の産生量の増加が見られた。また、ヒマワリ蜂蜜(LPS比68.7%)又はボダイジュ蜂蜜(LPS比60.4%)を添加した場合のIL-12産生量は、オレンジ蜂蜜(LPS比34.5%)を添加した場合と比較して有意に高く、それぞれ2.0倍、1.7倍のIL-12産生活性を有することが示された。
【0045】
[実施例2:各種蜂蜜によるインターロイキン-12産生促進作用の検討(2)]
実施例1と同様に通常型樹状細胞への分化を誘導した。その培養液に対し、終濃度1%となるように滅菌水で希釈したオレンジ蜂蜜、甘露蜂蜜、レワレワ蜂蜜又はポジティブコントロールとして終濃度1μg/mLとなるように滅菌水で希釈したリポポリサッカライド(LPS)を添加した(IL-12産生誘導工程)。さらに48時間培養した後、培養液中のIL-12量を実施例1と同様にELISA法により定量した。得られたIL-12量について、LPSを添加した群のIL-12量を100%、IL-12産生誘導工程を行わなかった群のIL-12量を0%として表示した結果を、
図2に示す。
【0046】
結果として、いずれの蜂蜜を添加した群においても、IL-12産生誘導工程を行わなかった群と比較して、IL-12の産生量の増加が見られた。また、甘露蜂蜜(LPS比71.8%)又はレワレワ蜂蜜(LPS比110.5%)を添加した場合のIL-12産生量は、オレンジ蜂蜜(LPS比27.9%)を添加した場合と比較して有意に高く、それぞれ2.6倍、4.0倍のIL-12産生活性を有することが示された(n=6)。