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特開2024-61597深度情報を有したイメージセンサチップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061597
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】深度情報を有したイメージセンサチップ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/773 20230101AFI20240425BHJP
   H04N 25/705 20230101ALI20240425BHJP
【FI】
H04N25/773
H04N25/705
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093602
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】111140148
(32)【優先日】2022-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522054178
【氏名又は名称】國立陽明交通大學
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】李 鎮宜
(72)【発明者】
【氏名】▲ホァン▼ 熙皓
(72)【発明者】
【氏名】▲ホァン▼ 子芸
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX11
5C024CY17
5C024EX12
5C024GX03
5C024GX15
5C024GX16
5C024GY39
5C024GY41
5C024GY45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】深度情報を出力するイメージセンサチップを提供する。
【解決手段】イメージセンサチップ1は、SPADアレイ11と、時間-デジタルコンバータモジュール13と、第1の記憶回路15と、データ処理回路17と、を含む。SPADアレイ11は、複数のイメージセンサユニットIUを備え、イメージセンサユニットIUの各々は、複数のSPADユニットと、判定回路と、を備え、SPADユニットの各々は、スキャン期間内に光子検出結果を出力し、判定回路は、光子検出結果に基づいてイメージ検出信号Sを生成する。時間-デジタルコンバータモジュールは、イメージ検出信号Sに応答して、複数の第1の時間データT1を生成する。第1の記憶回路は、第1の時間データT1を一時的に記憶する。データ処理ユニットは、第1の記憶回路から第1の時間データT1を読み出し、第1の時間データT1に対応する複数の第2の時間データT2を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のイメージセンサユニットを備え、前記イメージセンサユニットの各々は、
スキャン期間内に光子検出結果を出力するように各々が構成された複数のSPADユニット、および
前記光子検出結果に基づいてイメージ検出信号を生成するように構成された判定回路を備える、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)アレイと、
前記イメージ検出信号に応答して、複数の第1の時間データを生成するように構成された時間-デジタルコンバータ(TDC)モジュールと、
前記第1の時間データを一時的に記憶するように構成された第1の記憶回路と、
前記第1の記憶回路から前記第1の時間データを読み出し、前記第1の時間データにそれぞれ対応する複数の第2の時間データを生成するように構成されたデータ処理回路とを備える、
イメージセンサチップ。
【請求項2】
光子を検出したことを、同一の前記イメージセンサユニットの前記光子検出結果のうちの少なくとも2つが示す場合に、対応する前記イメージ検出信号は、光子を検出したことを示す、請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項3】
光子を検出したことを、同一の前記イメージセンサユニットの前記光子検出結果のうちの少なくとも1つが示す場合に、対応する前記イメージ検出信号は、光子を検出したことを示す、請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項4】
前記判定回路の各々は、制御信号に基づいて、複数の検出モードのうちの1つを選択し、対応する前記光子検出結果に基づいて、対応する前記イメージ検出信号を生成するように構成される、請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項5】
前記データ処理回路は、更に、前記第1の時間データをソートし、ソートされた前記第1の時間データのうちの1番目のものを第1のビット数で記録し、ソートされた前記第1の時間データのうちの2番目のものからN番目のものまでの各々と、それらに対応して前の順位の第1の時間データとの間の差分値を、第2のビット数で記録するように構成され、前記第2のビット数は、前記第1のビット数よりも小さく、Nは正の整数である、請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項6】
前記データ処理回路は、更に、圧縮指示ビットと前記第2の時間データとを出力するように構成される、請求項5に記載のイメージセンサチップ。
【請求項7】
前記圧縮指示ビットと前記第2の時間データとを一時的に記憶するように構成された第2の記憶回路を更に備える、請求項6に記載のイメージセンサチップ。
【請求項8】
前記TDCモジュールは、複数のTDCユニットを備え、
前記TDCユニットは、前記イメージセンサユニットと1対1で対応し、前記TDCユニットの各々は、起動信号に応答して、カウントを開始するように構成され、前記TDCユニットの各々は、対応するイメージ検出信号に応答して、カウントを停止し、対応する前記第1の時間データを生成するように構成される、
請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項9】
前記TDCモジュールは、
前記イメージセンサユニットと1対1で対応する複数のTDCユニットと、
起動信号に応答して、異なる時間長さだけ遅延された複数の発振信号を生成し、前記発振信号に優先符号化を適用することによって複数の第1の出力ビットを生成し、前記第1の出力ビットを前記TDCユニットに出力するように構成されたグローバルタイミングジェネレータとを備え、
前記TDCユニットの各々は、更に、前記発振信号のうちの最初のものに応答してカウントを開始するように構成され、前記TDCユニットの各々は、更に、対応する前記イメージ検出信号に応答して、カウントを停止し、カウント結果に対応する複数の第2の出力ビットを記憶するように構成され、
前記第1の時間データの各々は、前記第1の出力ビットと、対応する前記第2の出力ビットとを含む、
請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項10】
前記グローバルタイミングジェネレータは、更に、調整信号に応答して、前記時間長を調整するように構成される、請求項9に記載のイメージセンサチップ。
【請求項11】
前記TDCモジュールは、
前記イメージセンサユニットと1対1で対応する複数のTDCユニットと、
起動信号に応答して、異なる時間長さだけ遅延された複数の発振信号を生成し、前記発振信号に優先符号化を適用することによって複数の第1の出力ビットを生成し、前記第1の出力ビットを前記TDCユニットに出力し、前記発振信号のうちの最初のものに応答してカウントを開始し、複数の第2の出力ビットを前記TDCユニットに出力するように構成されたグローバルタイミングジェネレータとを備え、
前記TDCユニットの各々は、更に、対応する前記イメージ検出信号に応答して、対応する前記第2の出力ビットの更新を停止するように構成され、前記第1の時間データの各々は、前記第1の出力ビットと、対応する前記第2の出力ビットとを含む、
請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項12】
前記グローバルタイミングジェネレータは、更に、調整信号に応答して、前記時間長を調整するように構成される、請求項11に記載のイメージセンサチップ。
【請求項13】
前記TDCモジュールは、更に、少なくとも1つのロック信号を送信するように構成され、前記少なくとも1つのロック信号の各々は、対応する前記イメージセンサユニットが光子を検出するのを一時的に停止させるためのものである、請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【請求項14】
第1の周波数を有した第1のクロック信号を、前記TDCモジュールに供給し、第2の周波数を有した第2のクロック信号を、前記データ処理回路に供給するように構成されたクロックジェネレータを更に備える、請求項1に記載のイメージセンサチップ。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2022年10月22日に出願された台湾特許出願第111140148号による優先権を主張するものであって、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[技術分野]
本発明は、深度情報を有したイメージセンサチップに関する。より具体的には、本発明は、単一光子アバランシェダイオードアレイを備え、深度情報を提供するイメージセンサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
単一光子検出器は、単一の光子を検出できることから、環境中の弱い光信号を検出することが可能であり、そのため、量子通信、生物医学的光電検出、および光学測距などの様々な分野に適用される。現在では、例えば、電荷結合素子(CCD)、量子ドット赤外光検出器、および単一光子アバランシェダイオード(SPAD)検出器などの様々な単一光子検出器が存在する。
【0003】
これらの様々なタイプの単一光子検出器の中でも、SPADを採用したものは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の標準製造プロセスと互換性があるので、特に好まれる。但し、SPADは、光および環境雑音に対して過敏であり、これにより、一般的に、光子が誤って検出されるという問題をもたらす。従って、通常は検出結果の精度が不十分となる。更に、広範囲の光子検出を実行する必要がある場合、特定の数のSPADユニットを単一光子検出器に装備しなければならない。その場合、膨大な量のデータを出力する必要があり、出力が遅延することになる。
【0004】
以上の理由から、この技術分野においては、光を正確に検出して高精度の深度測定を提供可能で、測定結果を迅速に出力することができるイメージセンサチップが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、イメージセンサチップを提供することである。イメージセンサチップは、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)アレイと、時間-デジタルコンバータ(TDC)モジュールと、第1の記憶回路と、データ処理回路とを備える。SPADアレイは、複数のイメージセンサユニットを備える。イメージセンサユニットの各々は、複数のSPADユニットと判定回路とを備え、SPADユニットの各々は、スキャン期間内に光子検出結果を出力するように構成され、判定回路は、光子検出結果に基づいてイメージ検出信号を生成するように構成される。TDCモジュールは、イメージ検出信号に応答して、複数の第1の時間データを生成するように構成される。第1の記憶回路は、第1の時間データを一時的に記憶するように構成される。データ処理回路は、第1の記憶回路から第1の時間データを読み出し、第1の時間データにそれぞれ対応する複数の第2の時間データを生成するように構成される。
【0006】
本発明のいくつかの態様では、光子を検出したことを、同一のイメージセンサユニットの光子検出結果のうちの少なくとも2つが示す場合に、対応するイメージ検出信号は、光子を検出したことを示す。
【0007】
本発明のいくつかの態様では、光子を検出したことを、同一のイメージセンサユニットの光子検出結果のうちの少なくとも1つが示す場合に、対応するイメージ検出信号は、光子を検出したことを示す。
【0008】
本発明のいくつかの態様において、判定回路の各々は、制御信号に基づいて、複数の検出モードのうちの1つを選択し、対応する光子検出結果に基づいて、対応するイメージ検出信号を生成するように構成される。
【0009】
いくつかの態様において、データ処理回路は、更に、第1の時間データをソートし、ソートされた第1の時間データのうちの1番目のものを第1のビット数で記録し、ソートされた第1の時間データのうちの2番目のものからN番目のものまでの各々と、それらに対応して前の順位の第1の時間データとの間の差分値を、第2のビット数で記録するように構成され、第2のビット数は、第1のビット数よりも小さく、Nは正の整数である。
【0010】
本発明のいくつかの態様において、イメージセンサチップは、第2の記憶回路を更に備える。データ処理回路は、更に、圧縮指示ビットと第2の時間データとを第2の記憶回路に出力するように構成される。
【0011】
本発明のいくつかの態様において、TDCモジュールは、複数のTDCユニットを備え、TDCユニットは、イメージセンサユニットと1対1で対応する。TDCユニットの各々は、起動信号に応答して、カウントを開始するように構成され、TDCユニットの各々は、対応するイメージ検出信号に応答して、カウントを停止し、対応する第1の時間データを生成するように構成される。
【0012】
本発明のいくつかの態様において、TDCモジュールは、複数のTDCユニットと、グローバルタイミングジェネレータとを備える。TDCユニットは、イメージセンサユニットと1対1で対応する。グローバルタイミングジェネレータは、起動信号に応答して、異なる時間長だけ遅延された複数の発振信号を生成し、当該発振信号に優先符号化を適用することによって複数の第1の出力ビットを生成し、当該第1の出力ビットをTDCユニットに出力するように構成される。TDCユニットの各々は、更に、発振信号のうちの最初のものに応答してカウントを開始するように構成され、TDCユニットの各々は、更に、対応するイメージ検出信号に応答して、カウントを停止し、カウント結果に対応する複数の第2の出力ビットを記憶するように構成される。第1の時間データの各々は、第1の出力ビットと、対応する第2の出力ビットとを含む。
【0013】
本発明のいくつかの態様において、TDCモジュールは、複数のTDCユニットと、グローバルタイミングジェネレータとを備える。TDCユニットは、イメージセンサユニットと1対1で対応する。グローバルタイミングジェネレータは、起動信号に応答して、異なる時間長だけ遅延された複数の発振信号を生成し、当該発振信号に優先符号化を適用することによって複数の第1の出力ビットを生成し、当該第1の出力ビットをTDCユニットに出力し、発振信号のうちの最初のものに応答してカウントを開始し、複数の第2の出力ビットをTDCユニットに出力するように構成される。TDCユニットの各々は、更に、対応するイメージ検出信号に応答して、対応する第2の出力ビットの更新を停止するように構成され、第1の時間データの各々は、第1の出力ビットと、対応する第2の出力ビットとを含む。
【0014】
本発明のいくつかの態様において、グローバルタイミングジェネレータは、更に、調整信号に応答して、時間長を調整するように構成される。
【0015】
本発明のいくつかの態様において、TDCモジュールは、更に、少なくとも1つのロック信号を送信するように構成され、少なくとも1つのロック信号の各々は、対応するイメージセンサユニットが光子を検出するのを一時的に停止させるためのものである。
【0016】
本発明のいくつかの態様において、イメージセンサチップは、更に、クロックジェネレータを備える。クロックジェネレータは、第1の周波数を有した第1のクロック信号を、TDCモジュールに供給し、第2の周波数を有した第2のクロック信号を、データ処理回路に供給するように構成される。
【0017】
本発明が提供するイメージセンサチップは、特別なアーキテクチャを有しており、SPADアレイ内のイメージセンサユニットの各々は、複数のSPADユニットを備える。このアーキテクチャにおいて、イメージセンサユニットの各々は、実際の適用の要件に基づいて、SPADユニットのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくともその他の数が光子を検出する場合に、イメージセンサユニットが光子を検出していると判定するように設定することができる。複数のSPADユニットが光子を検出することをもって、イメージセンサユニットが光子を検出していると判定するようにイメージセンサユニットの各々を設定することができるので、環境ノイズによって引き起こされるSPADユニットの誤判定を防止することができる。また、イメージセンサチップのデータ処理回路は、第1の時間データを圧縮することができるので、本発明は、必要な出力帯域を減少させるだけでなく、出力速度を向上させることができる。従って、本発明が提供するイメージセンサチップは、光を正確に検出して高精度の深度測定を提供することが可能であり、測定結果を迅速に出力することができる。
【0018】
特許請求の範囲に記載された発明の特徴を、当業者が十分に理解するように、本発明に関する詳細な技術、および実施される好ましい態様について、添付図面と共に以下の段落において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態におけるイメージセンサチップ1のアーキテクチャの概略図である。
【0020】
図2図2は、具体例におけるイメージセンサユニットIUの概略図である。
【0021】
図3図3は、具体例における判定回路DUの概略図である。
【0022】
図4図4は、別の具体例における判定回路DUの概略図である。
【0023】
図5図5は、更に別の具体例における判定回路DUの概略図である。
【0024】
図6図6は、具体例におけるTDCモジュールTM1の概略図である。
【0025】
図7図7は、別の具体例におけるTDCモジュールTM2の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の記載において、本発明が提供する深度情報を有したイメージセンサチップを、特定の実施形態に関して説明する。但し、これらの実施形態は、これらの実施形態において述べられるいずれかの特定の環境、用途、または実施への本発明の限定を意図するものではない。従って、これらの実施形態の説明は、本発明の範囲を限定するものではなく、例示するものである。なお、以下の実施形態および添付図面において、本発明とは関係のない要素の図示は省略している。添付図面における個々の要素間の寸法および寸法尺度は、図示および例示を容易にすることのみを目的として示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。また、更に説明しない限り、明細書および特許請求の範囲中に記載された「a」、「the」等の表現は、単数形および複数形の両方を含むものとする。
【0027】
図1は、本発明のいくつかの実施形態における、深度情報を有したイメージセンサチップ1のアーキテクチャの概略図である。イメージセンサチップ1は、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)アレイ11と、時間-デジタルコンバータ(TDC)モジュール13と、第1の記憶回路15と、データ処理回路17とを備える。SPADアレイ11は、複数のイメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nを備える。なお、本発明は、SPADアレイ11に含まれるイメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nの数を限定するものではない。更に、実際の適用の要件に応じ、SPADアレイ11に含まれるイメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nは、1次元アレイ、または2次元アレイに配列してもよい。
【0028】
イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nの各々は、複数のSPADユニットと、判定回路とを備える。イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nの各々について、イメージセンサユニットに含まれるSPADユニットの各々は、スキャン期間内に光子検出結果を個別に出力し(即ち、光子が検出されたか否かを示す信号を出力し)、イメージセンサユニットに含まれる判定回路は、この光子検出結果に基づいてイメージ検出信号を生成する。従って、スキャン期間内において、SPADアレイ11のイメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nは、それぞれイメージ検出信号S_1,S_2,・・・,S_Nを生成する。
【0029】
より良い理解のために、図2に示す具体例を参照されたい。但し、これは、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。この具体例において、イメージセンサユニットIU(イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nのいずれかを表す)は、4個のSPADユニットSU1,SU2,SU3,SU4と、判定回路DUとを備えている。SPADユニットSU1,SU2,SU3,SU4は、同じ回路構成を有する。SPADユニットSU1,SU2,SU3,SU4の各々は、フォトダイオード、クエンチ回路、および高電圧下で動作可能なインバータを備えていてもよく、これらの回路要素は、図2に示すように結合することができる。バイアス電圧Vbias下で、SPADユニットSU1,SU2,SU3,SU4は、スキャン期間内に、個別に光子検出を行い、それぞれ光子検出結果R1,R2,R3,R4を出力する。判定回路DUは、光子検出結果R1,R2,R3,R4に基づき、イメージ検出信号IRを生成する。イメージセンサユニットIUが出力するイメージ検出信号IRは、イメージセンサユニットIUがスキャン期間内に光子を検出しているか否かを表す。
【0030】
いくつかの実施形態において、イメージセンサユニットIUの判定回路DUは、光子を検出したことを、受け取った光子検出結果のうちの少なくとも2つが示す場合に、イメージセンサユニットIUが光子を検出したことを示すイメージ検出信号を生成するように構成することができる。即ち、イメージセンサユニットIUは、それ自体のSPADユニットSU1,SU2,SU3,SU4のうちの少なくとも2つが励起されたときに、それ自体が光子を検出したと見なす。このようにして、SPADユニットがノイズで干渉されることで生じる誤判定を防止することができる。
【0031】
より良い理解のために、図3および図4に示す2つの具体例を参照されたい。但し、これらは、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。図3および図4は、判定回路DUについての異なる回路構成を示しており、いずれも、図2に示すイメージセンサユニットIU(即ち、イメージセンサユニットIUが、4個のSPADユニットを備える実施形態)に適している。また、図3および図4に示す判定回路DUは、回路動作用の動作電圧VDDの下で動作するように設計されている。光子を検出したことを、光子検出結果R1,R2,R3,R4のうちの2つが示す場合、イメージ検出信号IRは、イメージセンサユニットIUが光子を検出したことを示す。図3および図4に示すイメージ検出信号IRは、以下の式(1)および式(2)によって定式化することができる。
IR=R+R+R+R+R+R (1)
IR=R(R+R+R)+R(R+R)+R (2)
【0032】
図3および図4に示す回路構成に基づく判定回路DUは、同じイメージ検出信号IRを生成する。但し、図4に示す回路構成の判定回路DUは、図3に示す回路構成を採用するものに比べ、回路面積が小さくなる。
【0033】
いくつかの実施形態において、イメージセンサユニットIUの判定回路は、光子を検出したことを、受け取った光子検出結果のうちの別の数(例えば、3つ以上)のものが示す場合に、イメージセンサユニットIUが光子を検出したことを示すイメージ検出信号を生成するように構成することができる。即ち、イメージセンサユニットIUは、それ自体のSPADユニットのうちの当該別の数が励起されたときに、それ自体が光子を検出したと見なす。このような構成は、SPADユニットがノイズで干渉されることによって生じる誤判定を防止するために、より厳格な規則を採用する。
【0034】
いくつかの実施形態において、イメージセンサユニットIUの判定回路は、光子を検出したことを、受け取った光子検出結果のうちの少なくとも1つが示す場合に、イメージセンサユニットIUが光子を検出したことを示すイメージ検出信号を生成するように構成することができる。即ち、イメージセンサユニットIUは、それ自体のSPADユニットのうちの少なくとも1つが励起されていれば、それ自体が光子を検出したと見なす。このような構成は、微弱な光を検出することを意図して、SPADユニットがノイズで干渉されることによって生じる誤判定を許容できるような用途に適している。
【0035】
いくつかの実施形態において、イメージセンサチップ1は、選択用の異なる検出モードを設けることができる。異なる検出モードにおいて、イメージセンサユニットIUは、それ自体のSPADユニットのうちの異なる数が励起されたときに、それ自体が光子を検出したと見なす。例えば、イメージセンサチップ1は、第1の検出モードと第2の検出モードとを設けることができる。第1の検出モードにおいて、イメージセンサユニットIUは、それ自体のSPADユニットのうちの少なくとも1つが励起されたときに、それ自体が光子を検出したと見なす。第2の検出モードの場合、イメージセンサユニットIUは、それ自体のSPADユニットのうちの少なくとも2つが励起されたときに、それ自体が光子を検出したと見なす。これらの実施形態では、イメージセンサユニットIUの判定回路が、制御信号に基づいて検出モードのうちの1つを選択し、次に、対応する光子検出結果に基づき、対応するイメージ検出信号を生成する。
【0036】
より良い理解のために、図5に示す具体例を参照されたい。但し、これは、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。図5に示す判定回路DUは、図2に示すイメージセンサユニットIU(即ち、イメージセンサユニットIUが、4個のSPADユニットを備える実施形態)に適している。判定回路DUは、2つのサブ回路DU1,DU2を備えており、サブ回路DU1は、前述の第1の検出モードに対応し、サブ回路DU2は、前述の第2の検出モードに対応する。判定回路DUは、制御信号ENに基づいて第1の検出モードまたは第2の検出モードを選択し、次に、対応する光子検出結果R1,R2,R3,R4に基づき、対応するイメージ検出信号IRを生成する。より具体的には、制御信号ENがイネーブルのときに、サブ回路DU2が動作し(即ち、第2の検出モードを選択し)、制御信号ENがディスエーブルのときに、サブ回路DU1が動作する(即ち、第1の検出モードを選択する)。
【0037】
上述したように、スキャン期間内に、SPADアレイ11のイメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nは、それぞれイメージ検出信号S_1,S_2,・・・,S_Nを生成する。
【0038】
TDCモジュール13は、イメージ検出信号S_1,S_2,・・・,S_Nにそれぞれ応答し、複数の第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nを生成する。なお、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nは、イメージ検出信号S_1,S_2,・・・,S_Nと1対1で対応しており、従って、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nは、イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nと1対1で対応する。第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nの各々は、スキャン期間の開始時点から、対応するイメージセンサユニットが光子を検出した時点までの時間長(即ち、レーザパルスが出射されてから、物体表面からの対応する反射レーザパルスが検出されるまでの時間長)を表す。但し、対応するイメージセンサユニットが光子を検出しなければ、第1の時間データは、値が0となる。第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nのそれぞれは、深度情報を反映している。即ち、イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nと物体表面との間の深度(即ち、距離)は、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nに基づいて、それぞれ算出することができる。,TDCモジュール13によって生成された第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nは、一時的に第1の記憶回路15に記憶される。
【0039】
いくつかの実施形態において、TDCモジュール13は、更に、少なくとも1つのロック信号を送信し、このとき、ロック信号の各々は、イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nのうちの1つに送信され、ロック信号の各々は、対応するイメージセンサユニットが光子を検出するのを一時的に停止させる(即ち、励起されないようにする)ためのものである。より具体的には、スキャン期間内に、イメージセンサユニットによって生成されたイメージ検出信号から、当該イメージセンサユニットが光子を検出したことを、TDCモジュール13が検知すると、TDCモジュール13は、そのイメージセンサユニットに対し、ロック信号を適時に(例えば、即座に、極めて短時間で)送信し、次のスキャン期間の到来まで、そのイメージセンサユニットが光子を検出するのを一時的に停止させる。このようにして、いずれのイメージセンサユニットについても、最初に到着した光子のみが検出され、最初に到着した光子の第1の時間データのみが、TDCモジュール13によって記録されることになる。
【0040】
図1を参照されたい。一例として、TDCモジュール13は、イメージ検出信号S_1から、イメージセンサユニットIU_1が光子を検出したことを検知し、これにより、TDCモジュール13は、ロック信号L_1をイメージセンサユニットIU_1に送信し、次のスキャン期間の到来まで、当該イメージセンサユニットIU_1が光子を検出するのを一時的に停止させる。また、TDCモジュール13は、イメージ検出信号S_Nから、イメージセンサユニットIU_Nが光子を検出したことを検知し、これにより、TDCモジュール13は、ロック信号L_NをイメージセンサユニットIU_Nに送信し、次のスキャン期間の到来まで、当該イメージセンサユニットIU_Nが光子を検出するのを一時的に停止させる。なお、TDCモジュール13がロック信号L_1を送信した時点と、TDCモジュール13がロック信号L_Nを送信した時点とは、異なることもあるし、同じこともあり得る。
【0041】
データ処理回路17は、第1の記憶回路15から、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nを読み出し、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nにそれぞれ対応する複数の第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nを生成して、これら第2時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nを出力する。
【0042】
いくつかの実施形態において、イメージセンサチップ1は、十分な出力帯域幅を有しており、従って、データ処理回路17は、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nを圧縮しない。これらの実施形態では、第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nが、それぞれ第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nと、本質的に同等である。
【0043】
いくつかの実施形態において、イメージセンサチップ1は、必要な出力帯域幅を減少させるために、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nを圧縮して、第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nを生成する。
【0044】
いくつかの実施形態において、データ処理回路17は、第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nを、最大のものから最小のものへとソートし、ソートされた第1の時間データのうちの1番目のものを第1のビット数で記録し、ソートされた第1の時間データのうちの2番目のものからN番目のものまでの各々と、それらに対応して前の順位の第1の時間データとの間の差分値を、第2のビット数で記録する(即ち、ソートされた第1の時間データのうちの2番目のものと、ソートされた第1の時間データのうちの1番目のものとの間の差分値を、第2のビット数で記録し、ソートされた第1の時間データのうちの3番目のものと、ソートされた第1の時間データのうちの2番目のものとの間の差分値を、第2のビット数で記録し、以下同様に行う)。第2のビット数は、第1のビット数よりも小さく、Nは正の整数である。第1のビット数で記録された1番目の時間データと、(N-1)個の差分値(それぞれ第2のビット数で記録される)とが、第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nである。
【0045】
いくつかの実施形態において、イメージセンサチップ1は、2つの出力モードを設けることが可能であって、第1の出力モードは、圧縮モードであり、第2の出力モードは、非圧縮モードである。これらの実施形態において、データ処理回路17は、更に、圧縮設定CSを受信する。圧縮設定CSは、第1の出力モード(即ち、第1の時間データの圧縮)または第2の出力モード(即ち、第1の時間データの非圧縮)の適用を、データ処理回路17に指示するために使用される。また、データ処理回路17は、更に、第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nが圧縮されているか否かを示す圧縮指示ビット(図示せず)を出力することにより、受信側が、第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nを、対応する手順で正しく読み込むことができるようにする。
【0046】
いくつかの実施形態において、イメージセンサチップ1は、更に、第2の記憶回路19を備える。これらの実施形態では、第2の記憶回路19が、第2の時間データT2_1,T2_2,・・・,T2_Nを一時的に記憶して、出力する。また、第2の記憶回路19は、圧縮指示ビット(存在する場合)も記憶する。
【0047】
ここで、イメージセンサチップ1が備えるTDCモジュール13について詳細に説明する。
【0048】
いくつかの実施形態において、TDCモジュール13は、複数のTDCユニット(図示せず)を備え、これらTDCユニットは、イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nと1対1で対応する。TDCユニットの各々は、起動信号に応答して、カウントを開始し、TDCユニットの各々は、対応するイメージ検出信号に応答して、カウントを停止し、対応する第1の時間データを生成する。
【0049】
いくつかの実施形態において、TDCモジュール13は、複数のTDCユニットとグローバルタイミングジェネレータとを備える。TDCユニットは、イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nと1対1で対応する。グローバルタイミングジェネレータは、起動信号STに応答し、異なる時間長だけ遅延された1つまたは複数の発振信号を生成する。一具体例において、発振信号の各々は、50ピコ秒の正の整数倍だけ遅延され、この50ピコ秒は、TDCモジュール13によって生成される第1の時間データT1_1,T1_2,・・・,T1_Nの時間分解能を意味する。また、グローバルタイミングジェネレータは、発振信号に優先符号化を適用することにより、複数の第1の出力ビットを生成し(例えば、2進数列0000111111111111に優先符号化を適用し、対応する16進数列0101を導出する)、これら第1の出力ビットをTDCユニットに出力する。更に、TDCユニットの各々は、発振信号のうちの最初のものに応答してカウントを開始し、TDCユニットの各々は、対応するイメージ検出信号に応答してカウントを停止し、カウント結果に対応する複数の第2の出力ビットを記憶する。第1の時間データの各々は、第1の出力ビットと、対応する第2の出力ビットとを含む。いくつかの実施形態において、グローバルタイミングジェネレータは、更に、調整信号に応答して上述の時間長を調整する。
【0050】
より良い理解のために、図6に示す具体例を参照されたい。但し、これは、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。図6に示すTDCモジュールTM1は、グローバルタイミングジェネレータGT1と、N個のTDCユニットTU1とを備える(図6において、記号×Nは、N個の同じものを表す)。
【0051】
ここで、グローバルタイミングジェネレータGT1について説明する。マルチプレクサ601は、調整信号PVTと起動信号STとを受信するように構成される。調整信号PVTは、時間長が所定値(例えば、50ピコ秒)に近付くように発振信号を遅延させるために16相リング発振器607が用いる時間長調整用の試験段階で使用される。活性化信号STは、レーザパルスが活性化されたことを示すために、動作段階において使用される(例えば、レーザパルスが200ナノ秒毎に生成される場合、マルチプレクサ601は、200ナノ秒毎に活性化信号STを受信することになる)。選択信号SELは、調整信号PVTまたは起動信号STがマルチプレクサ601を通過してもよいか否かを判定するために用いられる。前処理回路603は、リセット信号RSTを受信するように構成され、このリセット信号RSTは、グローバルタイミングジェネレータGT1内の16相リング発振器607をゼロにリセットするために使用される。また、リセット信号RSTは、全てのTDCユニットTU1内の8ビットカウンタ615およびレジスタ619に供給され、それらをゼロにリセットする。前処理回路603は、マルチプレクサ601から出力信号を受信し、当該出力信号を、それらの駆動電力を増加させるためにバッファ605に送信するように構成される。前処理回路603がマルチプレクサ601から受信した出力信号が、起動信号STに由来するものである場合、バッファ605が出力する信号は、駆動電力が増大した起動信号STRである。起動信号STRは、16相リング発振器607に供給される。
【0052】
16相リング発振器607は、遅延制御信号CTを受信するように構成されており、この遅延制御信号CTは、要求された時間分解能を16相リング発振器607が達成するために使用される。遅延制御信号CTは、達成すべき目標時間分解能に応じ、様々な実施形態において異なるビット数とすることができる。遅延制御信号CTは、16相リング発振器607の遅延単位量を調整するため(例えば、電流による充電時間および/または放電時間を制御するため)に使用され、16相リング発振器607の16個の相が、活性化信号STRに対して異なる度合いの遅延(例えば、50ピコ秒の遅延、100ピコ秒の遅延など)を行い、結果として、異なる時間長で遅延された16個の発振信号D[15:0]を得る。そして、16個の発振信号D[15:0]は、駆動電力を増大させるために、それぞれ16個のバッファ609(図6では、16個のバッファ609が存在することを示すために記号×16を使用している)に渡され、16個の発振信号R[15:0]が得られる。
【0053】
グローバルタイミングジェネレータGT1の優先符号化回路67は、16個の発振信号R[15:0]に優先符号化を適用することにより、4個の第1の出力ビットF[3:0]を生成するように構成されている。より具体的には、優先符号化回路67が、XOR演算器671と、15個のバッファ673(図6では、15個のバッファ673があることを示すために記号×15を使用している)と、16-4エンコーダ675と、4個のバッファ677(図6では、4個のバッファ677があることを示すために記号×4を使用している)とを備え、15個のバッファ673および4個のバッファ677は、対応する入力信号の駆動電力を増大させるために使用される。16個の発振信号R[15:0]は、XOR演算器671、バッファ673、16-4エンコーダ675、およびバッファ677によって順番に処理され、その結果、4個の第1の出力ビットF[3:0]が得られる。優先符号化を適用することにより、16本の信号線を4本の出力線に変換し、それによって、高周波信号間の干渉を防止することができる。第1の出力ビットF[3:0]は、N個のTDCユニットTU1のレジスタ619に供給される。
【0054】
上述のように、TDCモジュールTM1は、N個のTDCユニットTU1を備えており、図6中の記号×Nは、N個の同じものが存在することを表す。ここでは、説明のための一例として、1つのTDCユニットTU1を用いる。16個の発振信号R[15:0]のうちの最初の発振信号R[0]は、TDC部TU1のバッファ613に供給されて駆動電力が増大され、次に、8ビットカウンタ615に供給されて、8ビットカウンタ615に適宜カウントを開始させる。TDCユニットTU1は、対応するイメージ検出信号S(即ち、前述のイメージ検出信号S_1,S_2,・・・,S_Nのうちの1つ)に応答してカウントを停止し、カウント結果に対応した複数の第2の出力ビットC[7:0]をレジスタ619に記憶する。8ビットカウンタ615には、発振信号R[0]のみが供給されて動作するので、過剰な配線による信号干渉を防止することができる。
【0055】
TDCユニットTU1の各々について、第1の出力ビットF[3:0]と、その第2の出力ビットC[7:0]とは、対応する第1の時間データを形成し、第1の出力ビットF[3:0]は、第1の時間データの下位ビット(即ち、より精細な粒度の部分)となり、第2の出力ビットC[7:0]は、第1の時間データの上位ビット(即ち、より粗い粒度の部分)となる。
【0056】
なお、バッファ605,609,613,617,673,677は、いずれも、対応する信号の駆動電力を増大させるためのものであり、実際の状況によっては省略してもよい。また、16相リング発振器607の相数、および8ビットカウンタ615のビット数は、本発明の範囲を限定するものではない。他の実施形態では、リング発振器の相数および/またはカウンタのビット数を別の値とすることが可能であり、その場合、対応する出力信号の数、バッファの数、エンコーダの入力信号の数、およびエンコーダの出力信号の数は、それに対応して変化することになる。
【0057】
いくつかの実施形態において、TDCモジュール13は、複数のTDCユニットと、グローバルタイミングジェネレータとを備えている。TDCユニットは、イメージセンサユニットIU_1,IU_2,・・・,IU_Nと1対1で対応する。グローバルタイミングジェネレータは、起動信号STに応答して、時間長が異なる複数の発振信号を生成し、これら発振信号に優先符号化を適用して複数の第1の出力ビットを生成し、これら第1の出力ビットをTDCユニットに出力し、発振信号の最初のものに応答してカウントを開始し、複数の第2の出力ビットをTDCユニットに出力する。TDCユニットの各々は、対応するイメージ検出信号に応答し、対応する第2の出力ビットの更新を停止する。第1の時間データの各々は、第1の出力ビットと、対応する第2の出力ビットとを含む。
【0058】
より良い理解のために、図7に示される具体例を参照されたい。但し、これは、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。図7に示すTDCモジュールTM2は、グローバルタイミングジェネレータGT2と、N個のTDCユニットTU2とを備える(図7において、記号×Nは、N個の同じものを表す)。図6に示す例と比べると、グローバルタイミングジェネレータGT2は、マルチプレクサ601と、前処理回路603と、バッファ605と、16相リング発振器607と、16個のバッファ609と、優先符号化回路67とだけではなく、バッファ613と、8ビットカウンタ615と、バッファ617とを備えている。N個のTDCユニットTU2の各々は、レジスタ619を備えているが、バッファ613と、8ビットカウンタ615と、バッファ617とを有していない。図6に関する説明に基づき、当業者は、TDCモジュールTM2がどのように動作するかを理解するはずであり、従って、ここでは詳細な説明を繰り返さない。TDCモジュールTM2の場合、バッファ613、8ビットカウンタ615、およびバッファ617は、グローバルタイミングジェネレータGT2内に組み込まれる。従って、TDCモジュールTM2の回路面積は、TDCモジュールTM1の回路面積よりも小さくなる。
【0059】
いくつかの実施形態において、イメージセンサチップ1は、更に、クロックジェネレータ12を備える。例えば、クロックジェネレータ12は、乗算遅延ロックループ(MDLL)とすることができる。クロックジェネレータ12は、TDCモジュール13およびデータ処理回路17が動作できるように、第1の周波数を有した第1のクロック信号CLK1をTDCモジュール13に供給し、第2の周波数を有した第2のクロック信号CLK2をデータ処理回路17に供給するように構成されている。
【0060】
本発明の明細書および特許請求の範囲において、いくつかの用語(例えば、記憶回路、時間データ、ビット数、出力ビット、検出モード、出力モード、周波数、クロック信号)の前には、「第1の」または「第2の」があることが認識されるはずである。「第1の」および「第2の」は、異なる用語を区別することのみの目的で使用されることに留意されたい。これらの用語の順序が指定されていないか、または文脈から導出できない場合、これらの用語の順序は、前にある「第1の」および「第2の」によって限定されない。
【0061】
本発明が提供するイメージセンサチップは、特別なアーキテクチャを有しており、SPADアレイ内のイメージセンサユニットの各々は、複数のSPADユニットを備える。このアーキテクチャにおいて、イメージセンサユニットの各々は、実際の適用の要件に基づいて、SPADユニットのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくともその他の数が光子を検出する場合に、イメージセンサユニットが光子を検出していると判定するように設定することができる。複数のSPADユニットが光子を検出することをもって、イメージセンサユニットが光子を検出していると判定するようにイメージセンサユニットの各々を設定することができるので、環境ノイズによって引き起こされるSPADユニットの誤判定を防止することができる。また、イメージセンサチップのデータ処理回路は、第1の時間データを圧縮することができるので、本発明は、必要な出力帯域を減少させるだけでなく、出力速度を向上させることができる。従って、本発明が提供するイメージセンサチップは、光を正確に検出して、高精度の深度測定を提供することが可能であり、測定結果を迅速に出力することができる。
【0062】
上述の開示は、詳細な技術内容および発明の特徴に関するものである。当業者は、本発明の特徴から逸脱することなく、記載された本発明の開示および示唆に基づいて、様々な変更および置換を進めることができる。但し、そのような変更および置換は、上述の説明において完全には開示されていないが、添付の特許請求の範囲に実質的に網羅されているものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7