(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061606
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20240425BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H02K5/00 A
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113434
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】202222772919.5
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】王 禹
(72)【発明者】
【氏名】吉野 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】楊 永剛
(72)【発明者】
【氏名】淤見 真士
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC03
5H605CC10
5H605EA02
5H605GG03
5H605GG04
5H605GG12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蓋部とハウジングの連結を容易にするモータを提供する。
【解決手段】モータ1は、ハウジング10と、プレス成形された蓋部20とを備える。蓋部が、軸方向に沿って延在する第1の壁部21を備える。第1の壁部の軸方向の一方側がハウジングに締まり嵌め又は隙間嵌めされ、第1の壁部の軸方向の他方側が外部装置に連結される。この構造によって、ハウジングと蓋部の同軸出し及び連結が行いやすくなり、且つ、コストを低減している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、プレス成形された蓋部とを備えたモータであって、
前記蓋部は、軸方向に沿って延在する第1の壁部を備え、
前記第1の壁部の軸方向の一方側が前記ハウジングに締まり嵌め又は隙間嵌めされ、前記第1の壁部の軸方向の他方側が外部装置に連結される、モータ。
【請求項2】
前記蓋部は、前記第1の壁部の軸方向の他方側に連結されるとともに、中心軸から遠ざかる方向に延在する外縁部をさらに備え、
前記外縁部には、前記外縁部を軸方向に貫通する取り付け孔が設けられており、
前記取り付け孔は、前記第1の壁部の軸方向他方側の端部よりも軸方向の一方側に位置し、
前記第1の壁部の軸方向他方側の端部と前記取り付け孔との軸方向距離が、所定距離である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記外縁部は、
前記第1の壁部の軸方向他方側の端部に連結されるとともに軸方向の一方側に向かって屈曲して延びる軸方向延在部と、
前記軸方向延在部に連結されるとともに径方向外側に向かって屈曲して延び、前記取り付け孔が設けられる第1の径方向延在部と、を備える、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記取り付け孔は、軸方向から見て、前記ハウジングと重ならない、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記第1の壁部の軸方向一方側に、径方向内側に向かって延びる第2の径方向延在部が連結されており、
前記第2の径方向延在部は、前記ハウジングの底部に固定される、請求項3に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1の径方向延在部の少なくとも一部が前記底部と向かい合い、且つ、前記底部との間に軸方向の隙間を有する、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記第1の壁部の軸方向の一方側の外周は、前記ハウジングに締まり嵌め又は隙間嵌めされ、
前記第1の壁部の内周は、中心軸を中心として、軸方向の一方側に向かって凹んだ収容空間を形成し、モータ出力端を収容しており、
前記第2の径方向延在部と前記底部の固定位置は、径方向において、前記モータ出力端と前記第1の壁部の間に位置する、請求項5に記載のモータ。
【請求項8】
前記モータ出力端の頂部が、前記第1の壁部の上側縁部が設けられた平面よりも高い、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記ハウジングの底部が、
軸方向と垂直な方向に沿って延びる第1のハウジング延在部と、
前記第1のハウジング延在部の外周縁から、軸方向に沿って軸方向の他方側に向かって延びる第2の壁部と、
を備え、
前記第2の壁部の内周は、前記第1の壁部の軸方向の一方側に締まり嵌め又は隙間嵌めされる、請求項1に記載のモータ。
【請求項10】
前記底部が、
前記第2の壁部の軸方向他方側の端部から、径方向に沿って径方向外側に向かって延びる第2のハウジング延在部をさらに備え、
前記蓋部の一部が前記第2のハウジング延在部と隙間を隔てて向かい合う、請求項9に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータでは、ハウジングと蓋部が、いずれもアルミニウム製の鋳造品であり、互いにネジによって連結される場合がある。このような従来のモータだと、ハウジングと蓋部を連結するネジの数だけモータの部品点数が増加するため、モータのコストが高くなっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
背景技術についての上記説明は、本発明の技術的解決策について明確且つ十全な説明を行うのを容易にするとともに、当業者の理解を容易にするために叙述したものであり、当業者にとって公知であると見なしてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えばモータとEPS(電動パワーステアリング)などの外部装置との取付に関して、外部装置側の要求する仕様によっては、蓋部の上側(軸方向他方側)縁部が外部装置と対向し、蓋部周囲に設けた貫通孔を介して外部装置とモータとを連結する一方で、蓋部の上側縁部と貫通孔が設けられた平面との間の距離(軸方向距離)が、一定の寸法を満たさなければならない。
【0006】
また、コストを低減するために、発明者は、アルミニウム製の鋳造品の代わりに鉄製のプレス品を採用してハウジング及び蓋部を構成し、ハウジングの底部を蓋部の凹部に挿入するとともに、TOX(トックス、登録商標)かしめによって蓋部とハウジングを連結することを考えた。しかしながら、ねじで連結する場合と異なり、TOXかしめだと、連結工程中にハウジングと蓋部の同軸度がずれないようにする必要があり、作業が困難になる虞があった。
【0007】
本発明は、蓋部とハウジングの連結を容易にするモータの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的なモータは、ハウジングと、プレス成形された蓋部とを備える。蓋部は、軸方向に沿って延在する第1の壁部を備える。第1の壁部の軸方向の一方側がハウジングに締まり嵌め又は隙間嵌めされ、第1の壁部の軸方向の他方側が外部装置に連結される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的なモータによれば、蓋部の軸方向の一方側(軸方向下側)をハウジングに締まり嵌め又は隙間嵌めさせることによって、TOXかしめ工程中でも蓋部とハウジングの同軸度が確保されるので、蓋部とハウジングとを容易に連結することができる。
【0010】
後述の説明及び図面では、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明しているが、それに限定されず特許請求の範囲の趣旨及び条項の範囲内で、多くの変更、修正及び均等を含む。
【0011】
なお、「及び/又は」という用語は、本明細書で使用する場合には、同じであるか又は類似した方式により、1つ又はより多くの他の実施形態において使用するか、他の実施形態と組み合わせるか、又は、他の実施形態における一部の構成要素と代替することができる。
【0012】
「~を備える/~を含む/~を有する」という用語は、技術的特徴、部品、又はアセンブリの存在を指すが、1つ又はより多くの他の技術的特徴、部品又はアセンブリの存在を排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の例示的なモータの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の例示的なモータの縦断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の例示的なモータにおける、ハウジングの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の例示的なモータにおける、蓋部の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の例示的なモータにおける、ハウジングと蓋部をTOXかしめにより連結している時点の縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の例示的なモータにおける、ハウジングと蓋部をTOXかしめにより連結した直後の縦断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の例示的なモータにおける、ハウジングと蓋部の連結が完了した時点の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面及び明細書によって、本発明の特徴を説明する。図面及び明細書は、本発明の例示的な一つの実施形態を具体的に開示している。なお、本発明は、図面及び明細書に記載された実施形態に限定されず、特許請求の範囲に該当するすべての修正、変形及び均等物を含む。
【0015】
以降の説明において、「第1の」、「第2の」、「上」、「下」等の用語は、異なる要素を区別するために用いられるが、これらの要素は時間的順序又は空間的配列等を表さず、これらの要素は、これらの用語によって限定的に解釈されない。「及び/又は」という用語は、関連して列記される用語の1種又は複数のうちいずれか1つ及びすべての組み合わせを含む。「~を含む」、「~を備える」、「~を有する」等の用語は、記載の特徴、要素、部品又はアセンブリの存在を指すが、1つ又は複数の他の特徴、要素、部品又はアセンブリの存在、又はそれらを追加することを排除しない。
【0016】
また、「一」、「該」等の単数形は複数形を含み、「1種の」又は「1タイプの」と広義に理解するべきであり、「1つの」という意味に限定しない。また、「前記」という用語は、前後で別途明示されていない限り、単数形も複数形も含む。また、前後で別途明示されていない限り、「に基づいて」という用語は、「……に少なくとも部分的に基づいて」と理解すべきである。
【0017】
また、モータの中心軸に沿って延在する方向、又はそれと平行な方向を「軸方向」、中心軸を中心とする半径方向を「径方向」、中心軸を囲む方向を「周方向」と呼ぶ。また、半径方向に沿って中心軸から遠ざかる方向を「径方向外側」、半径方向に沿って中心軸に近付く方向を「径方向内側」と呼ぶ。ハウジングの底部から軸方向に沿ってハウジングの開口の方を指す方向を「軸方向の一方側」、「軸方向下側」「下側」又は「下方」と呼び、ハウジングの開口から軸方向に沿ってハウジングの底部の方を指す方向を「軸方向の他方側」、「軸方向上側」、「上側」又は「上方」と呼ぶ。これらの用語は説明の便宜のためであるに過ぎず、実際に使用及び製造する際のモータの向きを限定しない。
【0018】
図1は、本発明の例示的なモータの斜視図である。
図2は、本発明の例示的なモータの縦断面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本実施例のモータ1は、ハウジング10及びプレス成形された蓋部20を備える。
図3は、本発明の例示的なモータにおける、ハウジング10の斜視図である。
図4は、本発明の例示的なモータにおける、蓋部20の斜視図である。蓋部20は、第1の壁部21と、外縁部22と、第2の径方向延在部24と、を有する。
図2に示すように、蓋部20は、軸方向に沿って延在する第1の壁部21を備える。第1の壁部21の軸方向の一方側がハウジング10に締まり嵌め又は隙間嵌めされ、第1の壁部21の軸方向の他方側が外部装置(不図示)に連結される。
【0020】
本実施例によれば、蓋部20における、軸方向に沿って延在する壁部(第1の壁部21)の軸方向の一方側をハウジング10に締まり嵌め又は隙間嵌めさせ、蓋部20における、軸方向に沿って延在する壁部(第1の壁部21)の軸方向の他方側を外部装置に連結させることによって、蓋部20とハウジング10の同軸度を確保している。これにより、後述のTOXかしめ工程中でも蓋部20とハウジング10の同軸度が確保されるので、蓋部20とハウジング10の連結を容易にすることができる。
【0021】
図2及び
図4に示すように、蓋部20は、第1の壁部21の軸方向の他方側に連結されるとともに、中心軸Cから遠ざかる方向に延在する外縁部22をさらに備える。外縁部22には、外縁部22を軸方向に貫通する取り付け孔23が設けられている。取り付け孔23は、第1の壁部21の軸方向他方側の端部(蓋部20の上側縁部E1)よりも軸方向の一方側に近い。つまり、軸方向において、取り付け孔23が、蓋部20の上側縁部E1よりも下方に位置する。
【0022】
本実施例では、第1の壁部21の軸方向他方側の端部(上側縁部E1)と取り付け孔23との軸方向距離dが所定距離である。所定距離は、外部装置との取り付けに必要な寸法である。なお、距離dは、特に制限されず、任意の値に設定できる。本実施例では、
図2及び
図4に示すように、蓋部20の上側縁部E1と、取り付け孔23が設けられた平面S1との間の距離dは、外部装置との取り付けに必要な寸法を満たす。
【0023】
本実施例によれば、第1の壁部21及び取り付け孔23によって、モータ1と外部装置との位置決めをしながら、互いに連結することができる。
【0024】
本実施例では、外縁部22の構造について制限しない、
図2及び
図4は外縁部22の一例を示している。
【0025】
図2及び
図4に示すように、本実施例では、外縁部22は、第1の壁部21の軸方向他方側の端部(上側端部)に連結されるとともに軸方向の一方側(軸方向下側)に向かって屈曲して延びる軸方向延在部221と、軸方向延在部221に連結されるとともに径方向外側に向かって屈曲して延び、取り付け孔23が設けられる第1の径方向延在部222と、を備える。軸方向延在部221は、略筒状の部位である。軸方向から見て、第1の径方向延在部222は、略環状である。第1の径方向延在部222は、径方向外側に突出する複数の突出部を有する。本実施例では、突出部は、周方向に等間隔に配置され、ハウジング10よりも径方向外側に位置する。突出部には、取り付け孔23がそれぞれ設けられる。
【0026】
これにより、取り付け孔23が形成された第1の径方向延在部222が、第1の壁部21の軸方向他方側の端部(蓋部20の上側縁部E1)よりも軸方向の一方側に位置する。つまり、軸方向において、第1の径方向延在部222が、蓋部20の上側縁部E1よりも下方に位置することで、第1の壁部21の軸方向他方側の端部(上側縁部E1)と取り付け孔23(第1の径方向延在部222)との間の軸方向距離dが、所定距離であるように形成できる。
【0027】
また、第1の壁部21は、軸方向延在部221の径方向内側に位置し、軸方向延在部221と径方向に重なる。すなわち、第1の壁部21及び軸方向延在部221によって、蓋部20の二重壁部構造が形成されている。これにより、二重壁部構造により蓋部20とハウジング10とが連結する部位の剛性が向上し、本実施例のモータ1が外部装置と連結される際の信頼性をさらに向上できる。また、蓋部20は、プレス部材を2回屈曲させることで形成される。より詳細には、蓋部20は、上側縁部E1から軸方向に沿って軸方向下側へ屈曲させる、且つ、径方向外側へさらに屈曲させることで成形される。これにより、容易な成形によって、ハウジング10と外部装置との軸方向の位置決めをする部分を形成することができる。蓋部20の一部は、2回の屈曲工程によって二重壁部構造を有する。
【0028】
なお、他の実施例として、外縁部22は1つの延在部のみを有し、取り付け孔23が当該延在部に形成されてもよい。例えば、取り付け孔23と上側縁部E1との間の軸方向距離dが所定距離であるのであれば、外縁部22を上側縁部E1から、径方向外側かつ軸方向下方に向かって延ばしてもよい(つまり、軸方向と交差する方向に向かって延ばしてもよい)。
【0029】
或いは、外縁部22は2つの径方向延在部と1つの軸方向延在部を有してもよい。例えば、1つの径方向延在部が蓋部20の上側縁部E1から径方向外側に向かって延び、軸方向延在部が当該径方向延在部の末端から軸方向下方に向かって延び、もう1つの径方向延在部が当該軸方向延在部の末端から径方向外側に向かって延び、取り付け孔23が当該もう1つの径方向延在部に形成してもよい。このとき、該もう1つの径方向延在部と蓋部20の上側縁部E1との間の軸方向距離dが所定距離となるように設定する。
【0030】
本実施例では、軸方向から見て、取り付け孔23は、ハウジング10と重ならない。つまり、径方向において、取り付け孔23が、ハウジング10の外側に位置する。これにより、取り付け孔23の軸方向上下いずれにも他の部材の干渉がないため、モータ1を外部装置に取り付けるのが容易となる。
【0031】
本実施例では、
図2に示すように、ハウジング10は、底部11と、底部11の縁から軸方向に沿って延びるハウジング壁部12とを有する。例えば、ハウジング壁部12は筒状であり、筒状のハウジング壁部12は、軸方向において底部11と対向する開口を有する。
【0032】
本実施例では、第1の壁部21の軸方向の一方側(軸方向下側)に、径方向内側に向かって延びる第2の径方向延在部24が連結されている。第2の径方向延在部24は、ハウジング10の底部11と、軸方向に重なる。第2の径方向延在部24は、ハウジング10の底部11に固定される。より詳細には、蓋部20の第2の径方向延在部24は、ハウジング10の底部11の少なくとも一部と、所定の固定手段によって、固定される。これにより、蓋部20をハウジング10に確実に連結することができる。
【0033】
本実施例では、蓋部20とハウジング10を、TOXかしめによって互いに連結する。なお、他の実施例では、TOXかしめに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意の固定方式を採用できる。
図5~
図7は、蓋部20とハウジング10をTOXかしめによって連結する際の縦断面図である。
図5~
図7に示すように、蓋部20の第2の径方向延在部24とハウジング10の底部11とが軸方向に対向する。
図5に示すように、TOXかしめ治具F1を第1の連結面S1の軸方向一方側に配置し、TOXかしめ治具F2を第2の連結面S2の軸方向他方側に配置する。TOXかしめ治具F1及びF2によって、第2の径方向延在部24とハウジング10の底部11とをTOXかしめ固定することでTOX連結構造Lを形成する。ハウジング10と蓋部20とが連結された後、
図6および
図7に示すように、TOXかしめ治具F1及びF2をそれぞれ軸方向に移動させ、TOXかしめ治具F1及びF2をハウジング10および蓋部20から離す。このようにして、ハウジング10と蓋部20との連結を実現している。
【0034】
ここで、
図5は、TOXかしめ治具F1及びF2が分離していない状況を示している。
図6は、TOXかしめ治具F1及びF2が徐々に分離する状況を示している。
図7は、TOX作業治具F1及びF2が完全に分離した状況を示している。
【0035】
本実施例では、
図5~
図7に示すように、第1の径方向延在部222の少なくとも一部は、ハウジング10の底部11と向かい合い、且つ、ハウジング10の底部11との間に軸方向の隙間を有する。これにより、第2の径方向延在部24とハウジング10の底部11を固定するとき、第1の径方向延在部222と底部11が接触しない。つまり、第1の径方向延在部222とハウジング10の底部11との間に隙間があるため、蓋部20とハウジング10を連結する際に、第1の径方向延在部222と底部11とが接触することによる影響を抑えることができる。例えば、第1の径方向延在部222と底部11とが接触することで、ハウジング10に対する蓋部20の軸方向位置が、所望の位置よりずれることを抑制できる。
【0036】
本実施例では、
図2に示すように、蓋部20の第1の壁部21の軸方向一方側(軸方向下側)の外周は、ハウジング10に締まり嵌め又は隙間嵌めされる。より詳細には、ハウジング10に底部11に設けられた凹部の内部に、第1の壁部21が、締まり嵌め又は隙間嵌めの状態で配置される。蓋部20の第1の壁部21の内周は、中心軸Cを中心として、軸方向一方側(軸方向下側)に向かって凹んだ収容空間SPを形成し、収容空間SPにモータ出力端30を収容している。
【0037】
本実施例では、第2の径方向延在部24とハウジング10の底部11との固定位置(例えば、前述のTOXかしめの位置)は、径方向において、モータ出力端30と第1の壁部21との間に位置する。径方向において、モータ出力端30と第1の壁部21との間には、隙間がある。これにより、固定位置の作業空間が確保されるため、固定作業が容易になる。
【0038】
本実施例では、いくつかの実施形態において、
図2に示すように、モータ出力端30の頂部E2が、第1の壁部21の上側縁部E1が設けられた平面よりも高い。つまり、軸方向において、蓋部20の上側縁部E1に対し、モータ出力端30の頂部E2が軸方向上方に位置する。これにより、作業者等がモータ出力端30を外部装置に取り付けやすくすることができ、モータ出力を外部装置に確実に伝達できる。
【0039】
上記実施例では、モータ出力端30は、例えばカップリングであり、モータの回転軸40に連結される。
【0040】
本実施例では、
図2に示すように、ハウジング10の底部11が、軸方向と垂直な方向に沿って延びる第1のハウジング延在部111と、第1のハウジング延在部111の外周縁から、軸方向に沿って軸方向他方側(軸方向上側)に向かって延在する第2の壁部112と、を備える。
【0041】
本実施例では、第2の壁部112の内周は、第1の壁部21の軸方向一方側(軸方向下側)に締まり嵌め又は隙間嵌めされる。これにより、第1の壁部21の外周と第2の壁部112の内周が径方向に締まり嵌め又は隙間嵌めされることで、蓋部20とハウジング10の同軸度を確保しつつ、蓋部20とハウジング10を連結できる。
【0042】
本実施例では、
図2に示すように、ハウジング10の底部11が、第2の壁部112の軸方向他方側(軸方向上側)の端部から、径方向外側に向かって延在する第2のハウジング延在部113をさらに備えてもよい。
【0043】
本実施例では、蓋部20の一部が第2のハウジング延在部113と隙間を隔てて向かい合う。
【0044】
以上、本実施例のモータ1に関連する構造についてのみ説明した。モータ1はさらに、例えば
図2に示す軸受50、固定子60、回転子70など、他の構成又は構造を有していてもよい。
【0045】
本発明のモータは、EPS用のモータに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な用途に用いることができる。
【0046】
上述の実施例から、モータの蓋部の軸方向の一方側をハウジングに締まり嵌め又は隙間嵌めさせ、蓋部の軸方向の他方側を外部装置に連結させることによって、蓋部とハウジングの連結を容易にすることができる。
【0047】
以上、図面を参照しながら本発明の例示的な実施例について詳述し、本発明の原理が採用され得る形態を明示した。しかしながら、本発明の実施は上述した実施例の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での、すべての変更、修正及び均等な構成および構造などを含む。