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特開2024-61615エネルギー貯蔵モジュール及びエネルギー貯蔵システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061615
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵モジュール及びエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240425BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240425BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H02J7/00 L
H02J7/34 J
H02J7/34 B
H02M3/28 H
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134270
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】202211295176.5
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Delta Electronics (Shanghai) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】1F&2F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張騰慎
(72)【発明者】
【氏名】章進法
(72)【発明者】
【氏名】鐘林楓
(72)【発明者】
【氏名】王長永
(72)【発明者】
【氏名】王亜峰
【テーマコード(参考)】
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503GB03
5H730AA20
5H730AS01
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB66
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エネルギー貯蔵モジュールのパワー損失を非常に小さくする。
【解決手段】エネルギー貯蔵モジュール1は、直列補償型直流変換装置4を有し、第1の導通端子41は、正母線接続端子21及び負母線接続端子22に電気的に接続されるか又は第1のバッテリーパックのバッテリー正端子31及びバッテリー負端子32に電気的に接続され、第2の導通端子42は、コンデンサCbの両端に電気的に接続され、前記装置が内蔵する4象限直流/直流コンバータは、コンデンサを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパックのバッテリー正端子とバッテリー負端子との間の電圧を補償するか又はは第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御する。コンデンサ上の補償電圧は、第1のバッテリーパックの両端の電圧に比べて非常に小さく、直列補償型直流変換装置の変換パワーは、従来のフルパワー直流コンバータよりも小さく、パワー損失は非常に小さくなる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母線接続部、第1のバッテリーパック、コンデンサ、及び直列補償型直流変換装置を含む、エネルギー貯蔵モジュールであって、
前記母線接続部は、正母線接続端子及び負母線接続端子を含み、
前記第1のバッテリーパックは、前記正母線接続端子と前記負母線接続端子との間に電気的にカップリングされ、バッテリー正端子及びバッテリー負端子を含み、
前記コンデンサは、前記正母線接続端子と前記バッテリー正端子との間に電気的にカップリングされ、または前記負母線接続端子と前記バッテリー負端子との間に電気的にカップリングされ、
前記直列補償型直流変換装置は、第1の導通端子、第2の導通端子、双方向絶縁型コンバータ、及び4象限直流/直流コンバータを含み、
前記第1の導通端子は、第1の正導通端子及び第1の負導通端子を含み、前記第1の正導通端子及び前記第1の負導通端子は、それぞれ前記正母線接続端子及び前記負母線接続端子に電気的に接続され、または前記バッテリー正端子及び前記バッテリー負端子に電気的に接続され、
前記第2の導通端子は、第2の正導通端子及び第2の負導通端子を含み、前記第2の正導通端子及び前記第2の負導通端子は、それぞれ前記コンデンサの両端に電気的に接続され、
前記双方向絶縁型コンバータは、前記第1の導通端子に電気的に接続され、
前記4象限直流/直流コンバータは、前記双方向絶縁型コンバータと前記第2の導通端子との間に電気的に接続され、前記4象限直流/直流コンバータは、前記コンデンサを制御して補償電圧を形成し、前記第1のバッテリーパックの前記バッテリー正端子と前記バッテリー負端子との間の電圧を補償し、または、前記4象限直流/直流コンバータは前記第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御する、
エネルギー貯蔵モジュール。
【請求項2】
前記直列補償型直流変換装置の前記第1の導通端子は、前記直列補償型直流変換装置の高電圧側を構成し、前記直列補償型直流変換装置の前記第2の導通端子は、前記直列補償型直流変換装置の低電圧側を構成する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項3】
前記コンデンサは、前記正母線接続端子と前記バッテリー正端子との間に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の正導通端子は、前記バッテリー正端子に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の負導通端子は、前記バッテリー負端子に電気的に接続される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項4】
前記コンデンサは、前記正母線接続端子と前記バッテリー正端子との間に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の正導通端子は、前記正母線接続端子に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の負導通端子は、前記負母線接続端子に電気的に接続される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項5】
前記コンデンサは、前記負母線接続端子と前記バッテリー負端子との間に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の正導通端子は、前記バッテリー正端子に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の負導通端子は、前記バッテリー負端子に電気的に接続される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項6】
前記コンデンサは、前記負母線接続端子と前記バッテリー負端子との間に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の正導通端子は、前記正母線接続端子に電気的に接続され、前記第1の導通端子の前記第1の負導通端子は、前記負母線接続端子に電気的に接続される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項7】
前記4象限直流/直流コンバータは、前記第1の導通端子に流れる電流と第2の導通端子に流れる電流を制御することにより、前記第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値にする、請求項3または5に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項8】
前記4象限直流/直流コンバータは、前記第2の導通端子に流れる電流を制御することにより、前記第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値にする、請求項4または6に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項9】
前記コンデンサは前記4象限直流/直流コンバータと集積される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項10】
前記双方向絶縁型コンバータは、CLLC変換回路であり、少なくとも1つの共振コンデンサ及び少なくとも1つの共振インダクタンスを含み、前記双方向絶縁型コンバータのスイッチング周波数は、前記少なくとも1つの共振コンデンサ及び前記少なくとも1つの共振インダクタンスの共振周波数の±10%の誤差範囲内の任意の値である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項11】
前記双方向絶縁型コンバータは、CLLC変換回路であり、一次側回路、変圧器、及び二次側回路を含み、前記一次側回路は、フルブリッジ変換回路またはハーフブリッジ変換回路であり、前記二次側回路は、フルブリッジ変換回路またはハーフブリッジ変換回路である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項12】
前記4象限直流/直流コンバータは、フルブリッジ変換回路であり、第1のブリッジアーム、第2のブリッジアーム、及び第1の変換インダクタンスを含み、
前記第1のブリッジアームは、直列に接続された第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子を含み、前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子との間の接続点は第1の接続点を形成し、
前記第2のブリッジアームは、直列に接続された第3のスイッチ素子及び第4のスイッチ素子を含み、前記第3のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子との間の接続点は第2の接続点を形成し、
前記第1の変換インダクタンスは、前記第1の接続点と前記第2の正導通端子との間に電気的に接続され、または前記第1の接続点と第2の負導通端子との間に電気的に接続される、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項13】
前記4象限直流/直流コンバータは、第2の変換インダクタンスをさらに含み、前記第1の変換インダクタンスが前記第1の接続点と前記第2の正導通端子との間に電気的に接続されている場合、前記第2の変換インダクタンスは、前記第2の接続点と前記第2の負導通端子との間に電気的に接続され、前記第1の変換インダクタンスが前記第1の接続点と前記第2の負導通端子との間に電気的に接続されている場合、前記第2の変換インダクタンスは、前記第2の接続点と前記第2の正導通端子との間に電気的に接続される、請求項12に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項14】
前記エネルギー貯蔵モジュールは、充電モードまたは放電モードにある、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項15】
前記4象限直流/直流コンバータが、前記コンデンサを制御して補償電圧を形成し、前記第1のバッテリーパックの両端の電圧を補償する場合、前記第1のバッテリーパックの前記バッテリー正端子と前記バッテリー負端子との間の電圧方向は、前記コンデンサ上の前記補償電圧の電圧方向と同じまたは反対である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項16】
前記直列補償型直流変換装置は、前記4象限直流/直流コンバータに電気的に接続された制御ユニットをさらに含み、前記エネルギー貯蔵モジュールが定電流モードで動作しているときに、前記制御ユニットは電流指令を受信し、前記第1のバッテリーパックに流れる前記電流を前記設定値に制御し、または、前記エネルギー貯蔵モジュールが定電圧モードで動作しているときに、前記制御ユニットは電圧指令を受信し、前記4象限直流/直流コンバータを制御して前記コンデンサに前記補償電圧を形成する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項17】
前記直列補償型直流変換装置は、前記4象限直流/直流コンバータに電気的に接続された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、第1の勾配制御装置、第1のコンパレータ、第1の比例制御装置、第1の振幅リミッタ、セレクタ、第2のコンパレータ、第2の比例制御装置、及び第2の振幅リミッタを含み、
前記エネルギー貯蔵モジュールが定電圧モードで動作しているときに、前記第1の勾配制御装置は電圧指令を受信して変換し、電圧勾配の所定値を出力し、前記第1のコンパレータは、前記第1の勾配制御装置から出力される前記電圧勾配の所定値と前記制御ユニットの出力端子から出力される前記補償電圧を受信して比較し、誤差電圧を取得し、
前記第1の比例制御装置は、前記誤差電圧に応じて、所定の電流を計算して出力し、前記第1の振幅リミッタは前記所定の電流を制限し、前記セレクタは、前記第1の振幅リミッタから出力される制限された前記所定の電流を受信し、前記第2のコンパレータは、前記直列補償型直流変換装置の前記第1の導通端子に流れる電流及び前記第2の導通端子に流れる電流を受信し、前記第1の振幅リミッタから出力される制限された前記所定の電流と比較して、比較電流を取得し、
前記第2の比例制御装置は前記比較電流を受信して計算し、前記第2の振幅リミッタは、前記第2の比例制御装置から出力される計算された前記比較電流を受信し、前記比較電流を制限し、前記4象限直流/直流コンバータにおける少なくとも1つのスイッチ素子のオン・オフを制御するためのデューティ比を取得する、請求項3または5に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項18】
前記直列補償型直流変換装置は、前記4象限直流/直流コンバータに電気的に接続された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、第2の勾配制御装置、セレクタ、第2のコンパレータ、第2の比例制御装置、及び第2の振幅リミッタを含み、
前記エネルギー貯蔵モジュールが定電流モードで動作しているときに、前記第2の勾配制御装置は電流指令を受信して変換し、電流勾配の所定値を出力し、前記セレクタは、前記第2の勾配制御装置によって提供される前記電流勾配の所定値を受信し、前記第2のコンパレータは、前記セレクタによって提供される前記電流勾配の所定値、前記直列補償型直流変換装置の前記第1の導通端子に流れる電流及び前記第2の導通端子に流れる電流を受信し、前記電流勾配の所定値と比較し、比較電流を取得し、
前記第2の比例制御装置は前記比較電流を受信して計算し、前記第2の振幅リミッタは、前記第2の比例制御装置から出力される計算された前記比較電流を受信し、前記比較電流を制限し、前記4象限直流/直流コンバータにおける少なくとも1つのスイッチ素子のオン・オフを制御するためのデューティ比を取得する、請求項3または5に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項19】
前記直列補償型直流変換装置は、前記4象限直流/直流コンバータに電気的に接続された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、第1の勾配制御装置、第1のコンパレータ、第1の比例制御装置、第1の振幅リミッタ、セレクタ、第2のコンパレータ、第2の比例制御装置、及び第2の振幅リミッタを含み、
前記エネルギー貯蔵モジュールが定電圧モードで動作しているときに、前記第1の勾配制御装置は電圧指令を受信して変換し、電圧勾配の所定値を出力し、前記第1のコンパレータは、前記第1の勾配制御装置から出力される前記電圧勾配の所定値と前記制御ユニットの出力端子から出力される前記補償電圧を受信して比較し、誤差電圧を取得し、
前記第1の比例制御装置は、前記誤差電圧に応じて、所定の電流を計算して出力し、前記第1の振幅リミッタは前記所定の電流を制限し、前記セレクタは、前記第1の振幅リミッタから出力される制限された前記所定の電流を受信し、前記第2のコンパレータは、前記直列補償型直流変換装置の前記第2の導通端子に流れる電流を受信し、前記第1の振幅リミッタから出力される制限された前記所定の電流と比較し、比較電流を取得し、
前記第2の比例制御装置は前記比較電流を受信して計算し、前記第2の振幅リミッタは、前記第2の比例制御装置から出力される計算された前記比較電流を受信し、前記比較電流を制限し、前記4象限直流/直流コンバータにおける少なくとも1つのスイッチ素子のオン・オフを制御するためのデューティ比を取得する、請求項4または6に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項20】
前記直列補償型直流変換装置は、前記4象限直流/直流コンバータに電気的に接続された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、第2の勾配制御装置、セレクタ、第2のコンパレータ、第2の比例制御装置、及び第2の振幅リミッタを含み、
前記エネルギー貯蔵モジュールが定電流モードで動作しているときに、前記第2の勾配制御装置は電流指令を受信して変換し、電流勾配の所定値を出力し、前記セレクタは、前記第2の勾配制御装置によって提供される前記電流勾配の所定値を受信し、前記第2のコンパレータは、前記セレクタによって提供される前記電流勾配の所定値、前記直列補償型直流変換装置の前記第2の導通端子に流れる電流を受信し、前記電流勾配の所定値と比較し、比較電流を取得し、
前記第2の比例制御装置は前記比較電流を受信して計算し、前記第2の振幅リミッタは、前記第2の比例制御装置から出力される計算された前記比較電流を受信し、前記比較電流を制限し、前記4象限直流/直流コンバータにおける少なくとも1つのスイッチ素子のオン・オフを制御するためのデューティ比を取得する、請求項4または6に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項21】
前記エネルギー貯蔵モジュールは、前記コンデンサと前記正母線接続端子との間に電気的に接続された第2のバッテリーパックをさらに含み、前記4象限直流/直流コンバータは、前記コンデンサを制御して前記補償電圧を形成し、前記第1のバッテリーパックの両端の電圧及び前記第2のバッテリーパックの両端の電圧を補償する、請求項4に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項22】
前記エネルギー貯蔵モジュールは、前記コンデンサと前記負母線接続端子との間に電気的に接続された第2のバッテリーパックをさらに含み、前記4象限直流/直流コンバータは、前記コンデンサを制御して前記補償電圧を形成し、前記第1のバッテリーパックの両端の電圧及び前記第2のバッテリーパックの両端の電圧を補償する、請求項6に記載のエネルギー貯蔵モジュール。
【請求項23】
パワー変換装置と、複数のエネルギー貯蔵モジュールとを含むエネルギー貯蔵システムであって、
前記パワー変換装置は、パワー正端子及びパワー負端子を含み、
各前記エネルギー貯蔵モジュールは、母線接続部、第1のバッテリーパック、コンデンサ、及び直列補償型直流変換装置を含み、
前記母線接続部は、正母線接続端子及び負母線接続端子を含み、前記正母線接続端子は、前記パワー正端子に電気的に接続され、前記負母線接続端子は、前記パワー負端子に電気的に接続され、
前記第1のバッテリーパックは、前記正母線接続端子と前記負母線接続端子との間に電気的に接続され、バッテリー正端子及びバッテリー負端子を含み、
前記コンデンサは、前記正母線接続端子と前記バッテリー正端子との間に電気的にカップリングされ、または前記負母線接続端子と前記バッテリー負端子との間に電気的にカップリングされ、
前記直列補償型直流変換装置は、第1の導通端子、第2の導通端子、双方向絶縁型コンバータ、及び4象限直流/直流コンバータを含み、
前記第1の導通端子は、第1の正導通端子及び第1の負導通端子を含み、前記第1の正導通端子及び前記第1の負導通端子は、それぞれ前記正母線接続端子及び前記負母線接続端子に電気的に接続され、または前記バッテリー正端子及び前記バッテリー負端子に電気的に接続され、
前記第2の導通端子は、第2の正導通端子及び第2の負導通端子を含み、前記第2の正導通端子及び前記第2の負導通端子は、それぞれ前記コンデンサの両端に電気的に接続され、
前記双方向絶縁型コンバータは、前記第1の導通端子に電気的に接続され、
前記4象限直流/直流コンバータは、前記双方向絶縁型コンバータと前記第2の導通端子との間に電気的に接続され、前記4象限直流/直流コンバータは、前記コンデンサを制御して補償電圧を形成し、前記第1のバッテリーパックの前記バッテリー正端子と前記バッテリー負端子との間の電圧を補償し、または、前記4象限直流/直流コンバータは前記第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御する、
エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵の分野に属し、特にエネルギー貯蔵モジュール及びエネルギー貯蔵システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵システムは、鉄道交通、電力、新エネルギー、電気自動車、ハイパワー伝達などにおいて幅広い用途の見通しがある。エネルギー貯蔵システム内の複数のバッテリーパックは、直流母線に同時にカップリングされ、複数のバッテリーパック間の電圧差により、バッテリーパック間で循環電流が発生し、回路損失が増加し、バッテリーパックの寿命が短くなる。
【0003】
上記の状況を回避するために、エネルギー貯蔵システムは通常、直流母線にカップリングされたフルパワー型直流コンバータを設置して、直流母線上のバッテリーパックによって提供される電気エネルギーを直流バスバーに変換する。フルパワー型直流コンバータの正入力端子及び負入力端子は、それぞれバッテリーパックの両端に電気的にカップリングされ、かつフルパワー型直流コンバータの正出力端子及び負出力端子は、それぞれ直流バスバーの両端に電気的にカップリングされることで、バッテリーパックによって提供される電気エネルギーを直接変換する。しかし、上記のフルパワー型直流コンバータの接続方式及び制御方法によれば、エネルギー貯蔵システムのパワー損失が大きく、例えば、バッテリーパックによって提供される電気エネルギーの定格電圧が1000V、定格電流が100Aである場合、フルパワー型直流コンバータのパワーは100kWとなり、フルパワー型直流コンバータの変換効率が99%である場合、そのパワー損失は1kWとなる。エネルギー貯蔵システムのパワー損失が大きいため、製品コストが高くなり、パフォーマンスが低下し、信頼性も低下する。
【0004】
そこで、従来技術が直面する問題を解決するためのエネルギー貯蔵モジュール及びエネルギー貯蔵システムをどのように開発するかは、この分野における緊急の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、直列補償型直流変換装置を含み、直列補償型直流変換装置の第1の導通端子が、正母線接続端子及び負母線接続端子に電気的に接続され、または第1のバッテリーパックのバッテリー正端子及びバッテリー負端子に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置の第2の導通端子がコンデンサの両端に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置の4象限直流/直流コンバータが、コンデンサを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパックのバッテリー正端子とバッテリー負端子との間の電圧を補償し、または、第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御し、ここで、補償電圧の値が正の値または負の値であってもよく、一方向の補償電圧と比較して、パワーレベルが小さく、損失が小さく、効率が高い、エネルギー貯蔵モジュール及びエネルギー貯蔵システムを提供することにある。従って、コンデンサ上の補償電圧は第1のバッテリーパックの両端の電圧に比べて非常に小さいため、第1のバッテリーパックに流れる電流が等しい場合、直列補償型直流変換装置の変換パワーは、従来のフルパワー直流コンバータの変換パワーよりもはるかに小さいため、本発明のエネルギー貯蔵モジュールは、上記の接続方式及び制御方法により、低いパワー損失を得ることができ、エネルギー貯蔵モジュールの全体的な性能が向上し、信頼性も向上し、バッテリーパックに流れる電流を設定値に制御することにより、すなわち、バッテリーパックの充放電電流の大きさを制御することにより、バッテリーパックが適切な充放電曲線で動作することを保証し、バッテリーパックの急速な充放電を保証するとともに、バッテリーパックの耐用年数を向上させることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態では、母線接続部、第1のバッテリーパック、コンデンサ、及び直列補償型直流変換装置を含むエネルギー貯蔵モジュールを提供する。母線接続部は、正母線接続端子及び負母線接続端子を含む。第1のバッテリーパックは、正母線接続端子と負母線接続端子との間に電気的にカップリングされ、バッテリー正端子及びバッテリー負端子を含む。コンデンサは、正母線接続端子とバッテリー正端子との間に電気的にカップリングされ、または負母線接続端子とバッテリー負端子との間に電気的にカップリングされる。直列補償型直流変換装置は、第1の導通端子、第2の導通端子、双方向絶縁型コンバータ、及び4象限直流/直流コンバータを含む。第1の導通端子は、第1の正導通端子及び第1の負導通端子を含み、第1の正導通端子及び第1の負導通端子は、それぞれ正母線接続端子及び負母線接続端子に電気的に接続され、またはバッテリー正端子及びバッテリー負端子に電気的に接続される。第2の導通端子は、第2の正導通端子及び第2の負導通端子を含み、第2の正導通端子及び第2の負導通端子は、それぞれコンデンサの両端に電気的に接続される。双方向絶縁型コンバータは、第1の導通端子に電気的に接続される。4象限直流/直流コンバータは、双方向絶縁型コンバータと第2の導通端子との間に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータは、コンデンサを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパックのバッテリー正端子とバッテリー負端子との間の電圧を補償し、または、4象限直流/直流コンバータは第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の別の好ましい実施形態では、パワー変換装置と複数のエネルギー貯蔵モジュールとを含み、パワー変換装置はパワー正端子及びパワー負端子を含み、各エネルギー貯蔵モジュールは、母線接続部、第1のバッテリーパック、コンデンサ、及び直列補償型直流変換装置を含む、エネルギー貯蔵システムを提供する。母線接続部は、正母線接続端子及び負母線接続端子を含み、正母線接続端子はパワー正端子に電気的に接続され、負母線接続端子はパワー負端子に電気的に接続される。第1のバッテリーパックは、正母線接続端子と負母線接続端子との間に電気的にカップリングされ、バッテリー正端子及びバッテリー負端子を含む。コンデンサは、正母線接続端子とバッテリー正端子との間に電気的にカップリングされ、または負母線接続端子とバッテリー負端子との間に電気的にカップリングされる。直列補償型直流変換装置は、第1の導通端子、第2の導通端子、双方向絶縁型コンバータ、及び4象限直流/直流コンバータを含む。第1の導通端子は、第1の正導通端子及び第1の負導通端子を含み、第1の正導通端子及び第1の負導通端子は、それぞれ正母線接続端子及び負母線接続端子に電気的に接続され、またはバッテリー正端子及びバッテリー負端子に電気的に接続される。第2の導通端子は、第2の正導通端子及び第2の負導通端子を含み、第2の正導通端子及び第2の負導通端子は、それぞれコンデンサの両端に電気的に接続される。双方向絶縁型コンバータは、第1の導通端子に電気的に接続される。4象限直流/直流コンバータは、双方向絶縁型コンバータと第2の導通端子との間に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータは、コンデンサを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパックのバッテリー正端子とバッテリー負端子との間の電圧を補償し、または、4象限直流/直流コンバータは第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の第1の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。
図1B図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の詳細な回路トポロジ図である。
図2A】第1のバッテリーパックが充電モードにありかつ補償電圧が正の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図である。
図2B】第1のバッテリーパックが充電モードにありかつ補償電圧が負の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図である。
図2C】第1のバッテリーパックが放電モードにありかつ補償電圧が正の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図である。
図2D】第1のバッテリーパックが放電モードにありかつ補償電圧が負の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図である。
図3図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型変換装置の4象限直流/直流コンバータの制御ループのブロック図である。
図4A】本発明の第2の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。
図4B図4Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の詳細な回路トポロジ図である。
図5】本発明の第3の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。
図6】本発明の第4の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。
図7A図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の双方向絶縁型コンバータの第1の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。
図7B図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の双方向絶縁型コンバータの第2の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。
図7C図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の双方向絶縁型コンバータの第3の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。
図8A図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの4象限直流/直流コンバータの第1の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。
図8B図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの4象限直流/直流コンバータの第2の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。
図9】本発明のエネルギー貯蔵システムの回路トポロジ図である。
図10A】本発明の第5の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。
図10B】本発明の第6の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において詳細に記述する。本発明は異なる態様において様々な変更を加えることができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に説明するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。また、本発明に使用される「カップリング」に関しては、2つまたは複数の素子が互いに直接物理的または電気的に接触していること、または互いに間接的に物理的または電気的に接触していることを意味するものであり、本発明では限定されない。
【0010】
図1A及び図1Bを参照し、図1Aは本発明の第1の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図であり、図1B図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の詳細な回路トポロジ図である。図示のように、エネルギー貯蔵モジュール1は、母線接続部2、第1のバッテリーパック3、コンデンサCb、及び直列補償型直流変換装置4を含む。母線接続部2は、正母線接続端子21及び負母線接続端子22を含み、エネルギー貯蔵モジュール1は、母線接続部2の正母線接続端子21及び負母線接続端子22により直流バスバー(図示せず)に接続される。第1のバッテリーパック3は、正母線接続端子21と負母線接続端子22との間に電気的にカップリングされ、バッテリー正端子31、バッテリー負端子32、及び複数のバッテリー33を含み、複数のバッテリー33は、バッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間に直列に接続され、第1のバッテリーパック3が直流バスバーに電力を供給しようとして放電モードにあるとき、第1のバッテリーパック3は、バッテリー正端子31及びバッテリー負端子32を介して直流バスバーに給電電気エネルギーを供給する。直流バスバーが第1のバッテリーパック3を充電しようとして充電モードにあるとき、第1のバッテリーパック3は、バッテリー正端子31及びバッテリー負端子32を介して直流バスバーによって供給される充電電気エネルギーを受ける。本実施形態では、コンデンサCbは、正母線接続端子21とバッテリー正端子31との間に電気的にカップリングされる。
【0011】
図1A及び図1Bに示すように、直列補償型直流変換装置4は、第1の導通端子41、第2の導通端子42、双方向絶縁型コンバータ43、及び4象限直流/直流コンバータ44を含む。第1の導通端子41は、第1の正導通端子411及び第1の負導通端子412を含み、本実施形態では、第1の正導通端子411は、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31に電気的に接続され、第1の負導通端子412は、第1のバッテリーパック3のバッテリー負端子32に電気的に接続される。第2の導通端子42は、第2の正導通端子421及び第2の負導通端子422を含み、第2の正導通端子421及び第2の負導通端子422は、それぞれコンデンサCbの両端に電気的に接続され、本実施形態では、直列補償型直流変換装置4がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧の方向が、第1のバッテリーパック3の両端の電圧方向と反対である場合、第2の正導通端子421はコンデンサCbの電圧正端子に接続され、第2の負導通端子422はコンデンサCbの電圧負端子に接続され、このとき、第2の正導通端子421は、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31に電気的に接続され、第2の負導通端子422は、母線接続部2の正母線接続端子21に電気的に接続される。いくつかの他の実施形態では、直列補償型直流変換装置4がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧の方向が、第1のバッテリーパック3の両端の電圧方向と同じである場合、第2の正導通端子421はコンデンサCbの電圧正端子に接続され、第2の負導通端子422はコンデンサCbの電圧負端子に接続され、このとき、第2の正導通端子421は、母線接続部2の正母線接続端子21に電気的に接続され、第2の負導通端子422は、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31に電気的に接続されることが理解され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の導通端子41は、例えば、直列補償型直流変換装置4の高電圧側を構成することができ、第2の導通端子42は、例えば、直列補償型直流変換装置4の低電圧側を構成することができ、このとき、コンデンサ上の補償電圧は、第1のバッテリーパックの両端の電圧に比べて非常に小さいため、第1のバッテリーパックに流れる電流が等しい場合、直列補償型直流変換装置の変換パワーは、フルパワー直流コンバータの変換パワーよりもはるかに小さいため、本発明のエネルギー貯蔵モジュールのパワー損失は非常に小さくなる。
【0013】
図1Bに示すように、双方向絶縁型コンバータ43は、第1の導通端子41の第1の正導通端子411及び第1の負導通端子412に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータ44は、双方向絶縁型コンバータ43と第2の導通端子42との間に電気的に接続され、第2の導通端子42は、コンデンサCbの両端に電気的に接続され、コンデンサCbは、正母線接続端子21とバッテリー正端子33との間に電気的に接続される。エネルギー貯蔵モジュールが放電モードにあるとき、双方向絶縁型コンバータ43は、第1のバッテリーパック3によって提供される給電電気エネルギーを受け取って過渡電気エネルギーに変換することができる。4象限直流/直流コンバータ44は、双方向絶縁型コンバータ43と第2の導通端子42との間に電気的に接続され、双方向絶縁型コンバータ43が過渡電気エネルギーを供給する場合、4象限直流/直流コンバータ44は、過渡電気エネルギーに応じてコンデンサCbを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧を補償し、ここで、補償電圧の値は正の値または負の値であってもよく、すなわち、コンデンサCbの両端の補償電圧の方向は、第1のバッテリーパック3の両端の電圧方向と同じまたは反対である。または、双方向絶縁型コンバータ43が過渡電気エネルギーを供給する場合、4象限直流/直流コンバータ44は、過渡電気エネルギーを利用して、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値に制御する。さらに、エネルギー貯蔵モジュールが充電モードにあるとき、4象限直流/直流コンバータ44は、母線接続部2によって提供される給電電気エネルギーを受け取って過渡電気エネルギーに変換することができ、双方向絶縁型コンバータ43は、過渡電気エネルギーを受け取り、第1のバッテリーパック3に送信し、4象限直流/直流コンバータ44は、母線接続部2によって提供される給電電気エネルギーを利用して、コンデンサCbを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧を補償し、ここで、補償電圧の値は正の値または負の値であってもよく、すなわち、コンデンサCbの両端の補償電圧の方向は、第1のバッテリーパック3の両端の電圧方向と同じまたは反対である。または、4象限直流/直流コンバータ44は、母線接続部2によって提供される給電電気エネルギーを利用して、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値に制御する。本実施形態では、図1Bに示すように、4象限直流/直流コンバータ44が、双方向絶縁型コンバータ43によって提供される過渡電気エネルギーを利用して、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値に制御する場合、または、4象限直流/直流コンバータ44が、母線接続部2によって提供される給電電気エネルギーを利用して、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値に制御する場合、4象限直流/直流コンバータ44は、第1の導通端子41に流れる電流I2及び第2の導通端子42に流れる電流I3を制御することにより、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1を設定値とし、図1Bにおいて、第1のバッテリーパック3が充電モードにありかつ補償電圧が正の値である場合の、第1の導通端子41に流れる電流I2、第2の導通端子42に流れる電流I3、及び第1のバッテリーパック3に流れる電流I1の電流流れを例にする。なお、このとき、コンデンサCbは定常状態にあり、コンデンサCbの分岐電圧は変化せず、コンデンサCbの分岐には直流電流がないため、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1は、第1の導通端子41に流れる電流I2と第2の導通端子42に流れる電流I3との合計となる。本実施形態では、双方向絶縁型コンバータ43及び4象限直流/直流コンバータ44の設置位置により、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41と第2の導通端子42とが離間して設置されているため、直列補償型直流変換装置4の動作時に、第1のバッテリーパック3の両端(すなわち、バッテリー正端子31とバッテリー負端子32)及び母線接続部2の両端(すなわち、正母線接続端子21と負母線接続端子22)間で短絡が発生することを回避することができる。
【0014】
上記から分かるように、本発明のエネルギー貯蔵モジュール1は、直列補償型直流変換装置4を含み、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41は、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31及びバッテリー負端子32に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42は、コンデンサCbの両端に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置4の4象限直流/直流コンバータ44は、コンデンサCbを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧を補償し、または、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値に制御する。従って、従来のエネルギー貯蔵システムの接続方式及び制御方法と比較して、コンデンサ上の補償電圧は、第1のバッテリーパックの両端の電圧に比べて非常に小さいため、第1のバッテリーパックに流れる電流が等しい場合、直列補償型直流変換装置の変換パワーは、従来のフルパワー直流コンバータの変換パワーよりもはるかに小さいため、本発明のエネルギー貯蔵モジュールは、上記の接続方式及び制御方法により、より低いパワー損失とより低い変換パワーを得ることができ、エネルギー貯蔵モジュールの全体的な性能が向上し、信頼性も向上する。例えば、第1のバッテリーパック3によって提供される給電電気エネルギーの定格電圧が1000V、定格電流が100Aである場合、直列補償型直流変換装置4の4象限直流/直流コンバータ44によって形成される補償電圧は約100Vとなり、直列補償型直流変換装置4の変換効率が96%である場合、そのパワー損失は0.4kWとなるため、従来のフルパワー型直流コンバータのパワー損失が1kWであるのと比較して、本発明のエネルギー貯蔵モジュール1のパワー損失は低く、エネルギー貯蔵モジュール1の全体的な性能が向上し、信頼性も向上する。
【0015】
以下、エネルギー貯蔵モジュール1の充放電モードについてさらに説明する。図2A、2B、2C及び2Dを参照し、図1A及び図1Bと併せて参照する。図2Aは、第1のバッテリーパックが充電モードにありかつ補償電圧が正の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図であり、図2Bは、第1のバッテリーパックが充電モードにありかつ補償電圧が負の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図であり、図2Cは、第1のバッテリーパックが放電モードにありかつ補償電圧が正の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図であり、図2Dは、第1のバッテリーパックが放電モードにありかつ補償電圧が負の値である場合の、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの電流流れを示す概略図である。図2A図2Dにおいて、I1は第1のバッテリーパック3に流れる電流、I2は直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流、I3は直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流を表し、このとき、コンデンサCbは定常状態にあり、コンデンサCbの分岐電圧は変化せず、コンデンサCbの分岐には直流電流がない。
【0016】
図2Aに示すように、この時点は、第1のバッテリーパック3が充電モードにあり、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧が正の値である場合であり、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1は、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2に第2の導通端子42に流れる電流I3を加算したものに等しく、この時点の直流バスバーの電圧は、第1のバッテリーパック3によって提供される給電電圧に4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧を加算したものに等しく、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧の電圧方向は、コンデンサCb上の補償電圧の電圧方向と同じである。図2Bに示すように、この時点は、第1のバッテリーパック3が充電モードにあり、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧が負の値である場合であり、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3から第1の導通端子41に流れる電流I2を減算したものに等しく、この時点の直流バスバーの電圧は、第1のバッテリーパック3によって提供される給電電圧から4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧を減算したものに等しく、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧の電圧方向は、コンデンサCb上の補償電圧の電圧方向と反対である。図2Cに示すように、この時点は、第1のバッテリーパック3が放電モードにあり、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧が正の値である場合であり、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1は、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2に第2の導通端子42に流れる電流I3を加算したものに等しく、この時点の直流バスバーの電圧は、第1のバッテリーパック3によって提供される給電電圧に4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧を加算したものに等しく、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧の電圧方向は、コンデンサCb上の補償電圧の電圧方向と同じである。図2Dに示すように、この時点は、第1のバッテリーパック3が放電モードにあり、4象限直流/直流コンバータ44によって形成される補償電圧が負の値である場合であり、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3から第1の導通端子41に流れる電流I2を減算したものに等しく、この時点の直流バスバーの電圧は、第1のバッテリーパック3によって提供される給電電圧から4象限直流/直流コンバータ44によって形成される補償電圧を減算したものに等しく、第1のバッテリーパック3のバッテリー正端子31とバッテリー負端子32との間の電圧の電圧方向は、コンデンサCb上の補償電圧の電圧方向と反対である。
【0017】
一実施形態において、図1Bに示すように、直列補償型直流変換装置4は制御ユニット5をさらに含み、前記制御ユニット5は、4象限直流/直流コンバータ44に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータ44を制御してコンデンサCbに補償電圧を形成し、または第1のバッテリーパック3に流れる電流I1を設定値に制御する。図3を参照し、図1Aと併せて参照する。図3は、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型変換装置の4象限直流/直流コンバータの制御ループのブロック図である。図3に示すように、エネルギー貯蔵モジュール1が定電流モードで動作しているときに、エネルギー貯蔵モジュール1の制御ユニット5は、外部ホスト(図示せず)によって提供される電流指令Ispを受信して、4象限直流/直流コンバータ44におけるスイッチ素子520を制御することができ、エネルギー貯蔵モジュール1が定電圧モードで動作しているときに、エネルギー貯蔵モジュール1の制御ユニット5は、外部ホスト(図示せず)によって提供される電圧指令Vspを受信して、4象限直流/直流コンバータ44におけるスイッチ素子520を制御することができる。制御ユニット5は、第1の勾配制御装置511、第1のコンパレータ512、第1の比例制御装置513、第1の振幅リミッタ514、第2の勾配制御装置515、セレクタ516、第2のコンパレータ517、第2の比例制御装置518、及び第2の振幅リミッタ519を含む。一実施形態において、エネルギー貯蔵モジュール1が定電流モードで動作しているときに、制御ユニット5は第1のバッテリーパック3に流れる電流I1を設定値に制御する場合、第2の勾配制御装置515は、外部ホストによって提供される電流指令Ispを受信して変換し、電流勾配の所定値を出力し、第2の勾配制御装置515は、電流指令Ispがステッピングするのを防止するために使用される。エネルギー貯蔵モジュール1が定電流モードで動作しているときに、セレクタ516は第2の勾配制御装置515によって提供される電流勾配の所定値を受信する。第2のコンパレータ517は、セレクタ516によって提供される電流勾配の所定値、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2、及び第2の導通端子42に流れる電流I3を受信し、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2及び第2の導通端子42に流れる電流I3を、電流勾配の所定値と比較して、比較電流Ierrを取得する。第2の比例制御装置518は、比較電流Ierrを受信して計算する。第2の振幅リミッタ519は、第2の比例制御装置518から出力される計算された比較電流Ierrを受信し、比較電流Ierrを制限し、デューティ比dを取得することで、4象限直流/直流コンバータ44におけるスイッチ素子520のオン・オフを制御し、さらに、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2と第2の導通端子42に流れる電流I3との合計が設定値となるようにインダクタンス素子521上の電流を制御し、すなわち、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1を設定値に制御する。他の実施形態では、例えば、図4Aに示す実施形態では、第2のコンパレータ517は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3を受信し、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3を電流勾配の所定値と比較して、比較電流Ierrを取得する。第2の比例制御装置518は比較電流Ierrを受信して計算する。第2の振幅リミッタ519は、第2の比例制御装置518から出力される計算された比較電流Ierrを受信し、比較電流Ierrを制限し、デューティ比dを取得することで、4象限直流/直流コンバータ44におけるスイッチ素子520のオン・オフを制御し、さらに、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3が設定値となるようにインダクタンス素子521上の電流を制御し、すなわち、第1のバッテリーパック3に流れる電流I1を設定値に制御し、本実施形態では、設定値は、例えば電流指令Ispである。スイッチ素子520は、4象限直流/直流コンバータ44内のスイッチ素子であってもよく、インダクタンス素子521は、4象限直流/直流コンバータ44内のインダクタンス素子、例えば、図8A及び図8Bにおける第1の変換インダクタンスL1であってもよい。以下、4象限直流/直流コンバータ44内のスイッチ素子及びインダクタンス素子の詳細な設置方式及び接続方式について説明する。
【0018】
引き続き図3を参照し、図1Aと併せて参照する。一実施形態において、エネルギー貯蔵モジュール1が定電圧モードで動作しているときに、制御ユニット5は4象限直流/直流コンバータ44を制御してコンデンサCbに補償電圧を形成する場合、第1の勾配制御装置511は外部ホストによって提供される電圧指令Vspを受信して変換し、電圧勾配の所定値を出力し、第1の勾配制御装置511は、電圧指令Vspがステッピングするのを防止するために使用される。第1のコンパレータ512は、第1の勾配制御装置511から出力される電圧勾配の所定値と制御ユニット5の出力端子から出力される補償電圧Vcbを受信して比較し、誤差電圧Verrを取得する。第1の比例制御装置513は、誤差電圧Verrに応じて、所定の電流を計算して出力する。第1の振幅リミッタ514は、所定の電流を制限する。エネルギー貯蔵モジュール1が定電圧モードで動作しているときに、セレクタ516は第1の振幅リミッタ514から出力される制限された所定の電流を受信する。第2のコンパレータ517は、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2及び第2の導通端子42に流れる電流I3を受信し、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に流れる電流I2及び第2の導通端子42に流れる電流I3を、第1の振幅リミッタ514から出力される制限された所定の電流と比較して、比較電流Ierrを取得する。第2の比例制御装置518は、比較電流Ierrを受信して計算する。第2の振幅リミッタ519は、第2の比例制御装置518から出力される計算された比較電流Ierrを受信し、比較電流Ierrを制限し、デューティ比dを取得することで、4象限直流/直流コンバータ44におけるスイッチ素子520のオン・オフを制御し、さらに、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbに補償電圧Vcbを形成するように、インダクタンス素子521上の電流を制御する。他の実施形態では、例えば、図4Aに示す実施形態では、第2のコンパレータ517は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3を受信し、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流I3を第1の振幅リミッタ514から出力される制限された所定の電流と比較して、比較電流Ierrを取得する。第2の比例制御装置518は、比較電流Ierrを受信して計算する。第2の振幅リミッタ519は、第2の比例制御装置518から出力される計算された比較電流Ierrを受信し、比較電流Ierrを制限し、デューティ比dを取得することで、4象限直流/直流コンバータ44におけるスイッチ素子520を制御し、さらに、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbに補償電圧Vcbを形成するように、インダクタンス素子521上の電流を制御し、本実施形態では、補償電圧Vcbは、例えば電圧指令Vspである。スイッチ素子520は、4象限直流/直流コンバータ44内のスイッチ素子であってもよく、インダクタンス素子521は、4象限直流/直流コンバータ44内のインダクタンス素子、例えば、図8A及び図8Bにおける第1の変換インダクタンスL1であってもよく、コンデンサ素子522は、コンデンサCbであってもよい。以下、4象限直流/直流コンバータ44内のスイッチ素子、インダクタンス素子及びコンデンサ素子の詳細な設置方式及び接続方式について説明する。
【0019】
図4A及び図4Bを参照する。図4Aは、本発明の第2の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図であり、図4Bは、図4Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の詳細な回路トポロジ図である。図示のように、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュール1と比較して、本実施形態のエネルギー貯蔵モジュール1aの第1の正導通端子411は、母線接続部2の正母線接続端子21に電気的に接続され、第1の負導通端子412は、母線接続部2の負母線接続端子22に電気的に接続される。本実施形態では、第1のバッテリーパック3の充電電流または放電電流は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42の電流に等しい。本実施形態では、4象限直流/直流コンバータ44は第2の導通端子42に流れる電流を制御することにより、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値とし、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧の値は、正の値または負の値であってもよい。
【0020】
図5を参照し、本発明の第3の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。図示のように、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュール1と比較して、本実施形態のエネルギー貯蔵モジュール1bのコンデンサCbは、母線接続部2の負母線接続端子22と第1のバッテリーパック3のバッテリー負端子32との間に電気的に接続される。本実施形態の直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42の第2の正導通端子421及び第2の負導通端子422は、それぞれコンデンサCbの両端に電気的に接続され、例えば、直列補償型直流変換装置4がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧が第1のバッテリーパック3の両端の電圧と同じ方向である場合、第2の正導通端子421は、第1のバッテリーパック3のバッテリー負端子32に電気的に接続され、第2の負導通端子422は、母線接続部2の負母線接続端子22に電気的に接続される。本実施形態では、4象限直流/直流コンバータ44は第1の導通端子41に流れる電流及び第2の導通端子42に流れる電流を制御することにより、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値とし、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧の値は、正の値または負の値であってもよい。
【0021】
図6を参照し、本発明の第4の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。図示のように、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュール1と比較して、本実施形態のエネルギー貯蔵モジュール1cの第1の正導通端子411は、母線接続部2の正母線接続端子21に電気的に接続され、第1の負導通端子412は、母線接続部2の負母線接続端子22に電気的に接続される。本実施形態のエネルギー貯蔵モジュール1cのコンデンサCbは、母線接続部2の負母線接続端子22と第1のバッテリーパック3のバッテリー負端子32との間に電気的に接続され、第1のバッテリーパック3の充電電流または放電電流は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42に流れる電流に等しい。本実施形態の直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42の第2の正導通端子421及び第2の負導通端子422は、それぞれコンデンサCbの両端に電気的に接続され、例えば、直列補償型直流変換装置4がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧が第1のバッテリーパック3の両端の電圧と同じ方向である場合、第2の正導通端子421は、第1のバッテリーパック3のバッテリー負端子32に電気的に接続され、第2の負導通端子422は、母線接続部2の負母線接続端子22に電気的に接続される。本実施形態では、4象限直流/直流コンバータ44は第2の導通端子42に流れる電流を制御することにより、第1のバッテリーパック3に流れる電流を設定値とし、4象限直流/直流コンバータ44がコンデンサCbを制御して形成される補償電圧の値は、正の値または負の値であってもよく、ここでは繰り返さない。
【0022】
図10Aを参照し、本発明の第5の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。図示のように、図4Aに示すエネルギー貯蔵モジュール1aと比較して、本実施形態のエネルギー貯蔵モジュール1dは、第2のバッテリーパック3aをさらに含み、本実施形態の第2のバッテリーパック3aは、図1Aに示す第1のバッテリーパック3と類似するため、ここでは繰り返さない。本実施形態では、第2のバッテリーパック3aは、コンデンサCbと正母線接続端子21との間に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータは、コンデンサCbを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパック3及び第2のバッテリーパック3aの電圧を補償することができる。
【0023】
図10Bを参照し、本発明の第6の実施形態のエネルギー貯蔵モジュールの回路トポロジ図である。図示のように、図6に示すエネルギー貯蔵モジュール1cと比較して、本実施形態のエネルギー貯蔵モジュール1eは、第2のバッテリーパック3aをさらに含み、本実施形態の第2のバッテリーパック3aは、図1Aに示す第1のバッテリーパック3と類似するため、ここでは繰り返さない。本実施形態では、第2のバッテリーパック3aは、コンデンサCbと負母線接続端子22との間に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータは、コンデンサCbを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパック3及び第2のバッテリーパック3aの電圧を補償することができる。
【0024】
図7Aを参照し、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の双方向絶縁型コンバータの第1の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。図7Aに示すように、本実施形態の双方向絶縁型コンバータ43は、例えばCLLC変換回路であってもよく、第1の端子431、第2の端子432、一次側回路433、変圧器434、及び二次側回路435を含み、本発明のCLLC変換回路は双方向LLC回路であり、ソフトスイッチングを実現し、双方向絶縁型コンバータにおけるスイッチ素子の損失をさらに低減することができる。双方向絶縁型コンバータ43の第1の端子431は、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に電気的に接続され、双方向絶縁型コンバータ43の第2の端子432は、4象限直流/直流コンバータ44に電気的に接続され、または、双方向絶縁型コンバータ43の第1の端子431は、4象限直流/直流コンバータ44に電気的に接続され、双方向絶縁型コンバータ43の第2の端子432は、直列補償型直流変換装置4の第1の導通端子41に電気的に接続される。本実施形態では、一次側回路433は、例えばハーフブリッジ変換回路であってもよく、2つの一次側コンデンサC1、C2、2つの一次側スイッチQ1、Q2、共振インダクタンスLL、及び第1の共振コンデンサCC1を含む。2つの一次側コンデンサC1、C2が直列に接続されて第3のブリッジアームを構成し、2つの一次側コンデンサC1、C2間の接続点は第3の接続点Cを構成し、第3の接続点Cは、変圧器434の一次側巻線の第2の端子に電気的に接続される。2つの一次側スイッチQ1、Q2が直列に接続されて第4のブリッジアームを構成し、第4のブリッジアームは第3のブリッジアームと並列に接続され、2つの一次側スイッチQ1、Q2間の接続点は第4の接続点Dを構成する。共振インダクタンスLL及び第1の共振コンデンサCC1は、第4の接続点Dと変圧器434の一次側巻線の第1の端子との間に直列に接続される。二次側回路435は、例えばフルブリッジ変換回路であってもよく、4つの二次側スイッチQ3、Q4、Q5、Q6、及び第2の共振コンデンサCC2を含む。2つの二次側スイッチQ3、Q4が直列に接続されて第5のブリッジアームを構成し、2つの二次側スイッチQ3、Q4間の接続点は第5の接続点Eを構成し、第5の接続点Eは、変圧器434の二次側巻線の第1の端子に電気的に接続される。他の2つの二次側スイッチQ5、Q6が直列に接続されて第6のブリッジアームを構成し、第6のブリッジアームは第5のブリッジアームと並列に接続され、2つの二次側スイッチQ5、Q6間の接続点は第6の接続点Fを構成する。第2の共振コンデンサCC2は、第6の接続点Fと変圧器434の二次側巻線の第2の端子との間に電気的に接続される。本実施形態では、双方向絶縁型コンバータ43の第1の端子431及び第2の端子432の変圧比はほとんど変化せず、双方向絶縁型コンバータ43のスイッチング周波数は、第1の共振コンデンサCC1、第2の共振コンデンサCC2、及び共振インダクタンスLLの共振周波数に等しく、または、双方向絶縁型コンバータ43のスイッチング周波数は、第1の共振コンデンサCC1、第2の共振コンデンサCC2、及び共振インダクタンスLLの共振周波数の±10%の誤差範囲内の任意の値であることで、双方向絶縁型コンバータ43は定周波数制御を実現する。いくつかの実施形態では、一次側回路433は、フルブリッジ変換回路であってもよく、及び/または二次側回路435はハーフブリッジ変換回路であってもよいが、本発明では限定されない。
【0025】
図7Bを参照し、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の双方向絶縁型コンバータの第2の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。図7Aに示す双方向絶縁型コンバータ43の一次側回路433が、2つの一次側コンデンサC1、C2からなる第3のブリッジアームと2つの一次側スイッチQ1、Q2からなる第4のブリッジアームとを含むのに対し、本実施形態の双方向絶縁型コンバータ43aの一次側回路433は、4つの一次側スイッチQ7、Q8、Q9、Q10を含む。2つの一次側スイッチQ7、Q8が直列に接続されて第3のブリッジアームを構成し、他の2つの一次側スイッチQ9、Q10が直列に接続されて第4のブリッジアームを構成する。また、本実施形態の双方向絶縁型コンバータ43aの二次側回路435は、2つの二次側スイッチQ11、Q12が直列に接続されて構成された第5のブリッジアームと、2つの二次側スイッチQ13、Q14が直列に接続されて構成された第6のブリッジアームとを含み、本実施形態の二次側スイッチQ11、Q12、Q13、Q14は、図7Aに示す双方向絶縁型コンバータ43の二次側回路435の二次側スイッチQ3、Q4、Q5、Q6と類似するため、ここでは繰り返さない。
【0026】
図7Cを参照し、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの直列補償型直流変換装置の双方向絶縁型コンバータの第3の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。図7Aに示す双方向絶縁型コンバータ43の二次側回路435が、2つの二次側スイッチQ3、Q4からなる第5のブリッジアームと2つの二次側スイッチQ3、Q4からなる第6のブリッジアームとを含むのに対し、本実施形態の双方向絶縁型コンバータ43bの二次側回路435は、2つの二次側スイッチQ17、Q18、及び2つの二次側コンデンサC5、C6を含み、2つの二次側スイッチQ17、Q18が直列に接続されて第5のブリッジアームを構成し、2つの二次側コンデンサC5、C6が直列に接続されて第6のブリッジアームを構成する。また、本実施形態の双方向絶縁型コンバータ43bの一次側回路433は、2つの一次側コンデンサC3、C4が直列に接続されて構成された第3のブリッジアームと、2つの一次側スイッチQ15、Q16が直列に接続されて構成された第4のブリッジアームとを含み、本実施形態の一次側コンデンサC3、C4、及び一次側スイッチQ15、Q16は、それぞれ図7Aに示す双方向絶縁型コンバータ43の一次側回路433の一次側コンデンサC1、C2、及び一次側スイッチQ1、Q2と類似するため、ここでは繰り返さない。
【0027】
図8Aを参照し、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの4象限直流/直流コンバータの第1の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。図示のように、本実施形態の4象限直流/直流コンバータ44は、第1の端子441、第2の端子442、4つのスイッチ素子(すなわち、第1のスイッチ素子S1、第2のスイッチ素子S2、第3のスイッチ素子S3、及び第4のスイッチ素子S4)、及び第1の変換インダクタンスL1を含む。4象限直流/直流コンバータ44の第1の端子441は、双方向絶縁型コンバータ43に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータ44の第2の端子442の電圧正端子は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42の第2の正導通端子421に電気的に接続され、4象限直流/直流コンバータ44の第2の端子442の電圧負端子は、直列補償型直流変換装置4の第2の導通端子42の第2の負導通端子422に電気的に接続される。2つのスイッチ素子S1、S2が直列に接続されて第1のブリッジアームを構成し、2つのスイッチ素子S1、S2間の接続点が第1の接続点Aを構成する。第1の変換インダクタンスL1は、第1の接続点Aと第2の端子442の電圧正端子との間に電気的に接続され、すなわち、第1の接続点Aと第2の正導通端子421との間に電気的に接続される。2つのスイッチ素子S3、S4が直列に接続されて第2のブリッジアームを構成し、2つのスイッチ素子S3、S4間の接続点が第2の接続点Bを構成し、第2の接続点Bは、第2の端子442の電圧負端子間に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、4象限直流/直流コンバータ44は、変換コンデンサCtをさらに含むことができ、変換コンデンサCtは、第2の端子442の電圧正端子と電圧負端子との間に電気的に接続され、図1Aに示すコンデンサCbによって構成されることができ、それによって、コンデンサCbは4象限直流/直流コンバータ44と集積される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵モジュールの4象限直流/直流コンバータは、複数の図8Aに示す4象限直流/直流コンバータ44を並列に接続したものであってもよく、本発明では限定されない。
【0028】
図8Bを参照し、図1Aに示すエネルギー貯蔵モジュールの4象限直流/直流コンバータの第2の実施形態の詳細な回路トポロジ図である。図示のように、図8Aに示す4象限直流/直流コンバータ44と比較して、本実施形態の4象限直流/直流コンバータ44aは、第2の変換インダクタンスL2をさらに含み、第2の変換インダクタンスL2は、第2の接続点Bと第2の端子442の電圧負端子との間に電気的に接続され、すなわち、第2の接続点Bと第2の負導通端子422との間に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、第1の変換インダクタンスL1は、第1の接続点Aと第2の端子442の電圧負端子との間に電気的に接続され、すなわち、第1の接続点Aと第2の負導通端子422との間に電気的に接続されることができ、第2の変換インダクタンスL2は、第2の接続点Bと第2の端子442の電圧正端子との間に電気的に接続され、すなわち、第2の接続点Bと第2の正導通端子421との間に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵モジュールの4象限直流/直流コンバータは、複数の図8Bに示す4象限直流/直流コンバータ44aを並列に接続したものであってもよく、本発明では限定されない。
【0029】
図9を参照し、本発明のエネルギー貯蔵システムの回路トポロジ図である。図示のように、本実施形態のエネルギー貯蔵システム6は、パワー変換装置7と複数のエネルギー貯蔵モジュールとを含み、各エネルギー貯蔵モジュールは、前記のエネルギー貯蔵モジュールのいずれであってもよく、ここでは、エネルギー貯蔵モジュール1を例にする。パワー変換装置7は、パワー正端子71及びパワー負端子72を含む。各エネルギー貯蔵モジュール1の母線接続部2の正母線接続端子21はパワー正端子71に電気的に接続され、各エネルギー貯蔵モジュール1の母線接続部2の負母線接続端子22はパワー負端子72に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置を介して第1のバッテリーパックの両端の電圧を補償することにより、直流バスバーに接続された各エネルギー貯蔵モジュールの電圧を一致に保つことができるため、エネルギー貯蔵システム6は、複数のエネルギー貯蔵モジュール1を利用して高効率の充放電機能を実現するとともに、異なるエネルギー貯蔵モジュール間の循環電流の発生を抑制することができる。
【0030】
上記のように、本発明のエネルギー貯蔵モジュールは直列補償型直流変換装置を含み、直列補償型直流変換装置の第1の導通端子は、正母線接続端子及び負母線接続端子に電気的に接続され、または第1のバッテリーパックのバッテリー正端子及びバッテリー負端子に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置の第2の導通端子はコンデンサの両端に電気的に接続され、直列補償型直流変換装置の4象限直流/直流コンバータは、コンデンサを制御して補償電圧を形成し、第1のバッテリーパックのバッテリー正端子とバッテリー負端子との間の電圧を補償し、または、第1のバッテリーパックに流れる電流を設定値に制御し、ここで、補償電圧の値は正の値または負の値であってもよく、一方向の補償電圧と比較して、パワーレベルが小さく、損失が小さく、効率が高い。従って、コンデンサ上の補償電圧は第1のバッテリーパックの両端の電圧に比べて非常に小さいため、同じ電流での直列補償型直流変換装置の変換パワーは、従来のフルパワー直流コンバータの変換パワーよりもはるかに小さいため、本発明のエネルギー貯蔵モジュールは、上記の接続方式及び制御方法により、より低いパワー損失を得ることができ、エネルギー貯蔵モジュールの全体的な性能が向上し、信頼性も向上し、バッテリーパックに流れる電流を設定値に制御することにより、すなわち、バッテリーパックの充放電電流の大きさを制御することにより、バッテリーパックが適切な充放電曲線で動作することを保証し、バッテリーパックの急速な充放電を保証するとともに、バッテリーパックの耐用年数を向上させることもできる。
【符号の説明】
【0031】
1、1a、1b、1c、1d、1e:エネルギー貯蔵モジュール
2:母線接続部
21:正母線接続端子
22:負母線接続端子
3:第1のバッテリーパック
3a:第2のバッテリーパック
31:バッテリー正端子
32:バッテリー負端子
33:バッテリー
Cb:コンデンサ
4:直列補償型直流変換装置
41:第1の導通端子
411:第1の正導通端子
412:第1の負導通端子
42:第2の導通端子
421:第2の正導通端子
422:第2の負導通端子
43、43a、43b:双方向絶縁型コンバータ
431:第1の端子
432:第2の端子
433:一次側回路
434:変圧器
435:二次側回路
C1、C2、C3、C4:一次側コンデンサ
Q1、Q2、Q7、Q8、Q9、Q10、Q15、Q16:一次側スイッチ
LL:共振インダクタンス
CC1:第1の共振コンデンサ
Q3、Q4、Q5、Q6、Q11、Q12、Q13、Q14、Q17、Q18:二次側スイッチ
C5、C6:二次側コンデンサ
CC2:第2の共振コンデンサ
C:第3の接続点
D:第4の接続点
E:第5の接続点
F:第6の接続点
44、44a:4象限直流/直流コンバータ
441:第1の端子
442:第2の端子
S1:第1のスイッチ素子
S2:第2のスイッチ素子
S3:第3のスイッチ素子
S4:第4のスイッチ素子
L1:第1の変換インダクタンス
Ct:変換コンデンサ
L2:第2の変換インダクタンス
A:第1の接続点
B:第2の接続点
I1:第1のバッテリーパックに流れる電流
I2:直列補償型直流変換装置の高電圧側に流れる電流
I3:コンデンサに流れる電流
5:制御ユニット
Isp:電流指令
Vsp:電圧指令
511:第1の勾配制御装置
512:第1のコンパレータ
513:第1の比例制御装置
514:第1の振幅リミッタ
515:第2の勾配制御装置
516:セレクタ
517:第2のコンパレータ
518:第2の比例制御装置
519:電流リミッタ
520:スイッチ素子
521:インダクタンス素子
522:コンデンサ素子
Ierr:比較電流
Verr:誤差電圧
d:デューティ比
Vcb:補償電圧
6:エネルギー貯蔵システム
7:パワー変換装置
71:パワー正端子
72:パワー負端子
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10A
図10B