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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061622
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/06 20060101AFI20240425BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20240425BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20240425BHJP
   B60K 35/40 20240101ALI20240425BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20240425BHJP
   B60K 35/50 20240101ALI20240425BHJP
【FI】
B60J5/06 A
B60N2/16
B60N2/06
B60K37/00 J
B60K37/00 Z
B60K37/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143846
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】63/418,161
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
【テーマコード(参考)】
3B087
3D344
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA15
3D344AA03
3D344AA12
3D344AA14
3D344AB01
3D344AC01
3D344AC15
3D344AD04
(57)【要約】
【課題】乗員の乗降性を向上させた車両を提供する。
【解決手段】車両1は、車両1の側方において、スライド移動可能な開閉体2と、車両1の内部において、ヘッドレスト13を有する少なくとも1つの座席10と、を備え、開閉体2の上部の少なくとも一部は、ヘッドレスト13の直上においてヘッドレスト13の内側端部13aより、車両1の内側に位置している。開閉体2が開移動したとき、乗員の頭部が屋根に当たることが抑制され、乗降性が向上する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両あって、
前記車両の側方において、スライド移動可能な開閉体と、
前記車両の内部において、ヘッドレストを有する少なくとも1つの座席と、を備え、
前記開閉体の上部の少なくとも一部は、前記ヘッドレストの直上において前記ヘッドレストの内側端部より、前記車両の内側に位置していることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記開閉体は、前記車両の側部に位置する本体部分と、前記開閉体の上部を構成する上側部分とから構成され、前記本体部分と前記上側部分とは一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記開閉体は、前記車両の側部に位置する本体部と、前記開閉体の上部を構成する上側部分とから構成され、前記本体部と前記上側部分とは別体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記座席は、前記車両の床面からの高さを調整する高さ調整装置を有し、
前記座席は、前記高さ調整装置により、少なくとも前記ヘッドレストの上端が、前記開閉体の上部の下端より上方に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記開閉体は、前記車両の左右の側部に配置されており、
前記車両の屋根において、左右の前記開閉体の上部に挟まれた中央部分に乗員保護装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記車両の内部前方にはインストルメントパネルが設けられており、
前記インストルメントパネルは、伸縮可能な収納ボックスとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記インストルメントパネルは、前記車両の左右方向に伸縮可能であることを特徴とする請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記インストルメントパネルは、前記車両の上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項6に記載の車両。
【請求項9】
前記車両の床面に配置され、前記座席がスライドするシートレールを備えており、
前記シートレールは、前記インストルメントパネルの下方に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の車両。
【請求項10】
前記インストルメントパネルに、前記車両の内部の臭気を測定する臭気センサが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の車両。
【請求項11】
前記座席は、前記車両の上下方向の軸を中心に回転させるシート回転装置と、前記座席の左右側部に膨張部材と、を有し、
前記座席が前記車両の上下方向の軸を中心に回転した場合、回転方向と反対側に位置する前記膨張部材が膨張することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に係り、特に、スライド移動可能な開閉体を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車両用シートを移動可能に構成することにより、車体の内部空間において車両用シートの配置をアレンジ可能とした車両が知られている。
例えば、特許文献1に開示される車両では、搭載される複数の車両用シートそれぞれが回転機構、リクライニング機構、スライド機構を備えており、複数の車両用シートを動かすことにより、例えば、狭い空間であっても乗員が体を横たえることができるベッド面を形成可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-142771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるアレンジ可能な車両では、狭い空間においてシートが移動可能に構成されているため、車両用シートの位置によっては乗降し難くなる可能性があった。また、車両用シートを車室内において移動可能にするため、様々なアレンジに対応可能な車内装備が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、乗員の乗降性を向上させた車両を提供することにある。
また、別の目的として、様々なアレンジに対応可能な車内装備を有する車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の車両によれば、車両あって、前記車両の側方において、スライド移動可能な開閉体と、前記車両の内部において、ヘッドレストを有する少なくとも1つの座席と、を備え、前記開閉体の上部の少なくとも一部は、前記ヘッドレストの直上において前記ヘッドレストの内側端部より、前記車両の内側に位置していることにより解決される。
【0007】
開閉体の上部の一部が座席のヘッドレストの内側端部より内側に位置することで、開閉体が開いたとき、ヘッドレストの上まで開くことから、乗降時、乗員が起立しても乗員の頭部が屋根にあたることが抑制され、乗降が容易になる。また、開閉体が開移動したときの開放感が向上する。よって、乗員の乗降性を向上させた車両を提供することができる。
【0008】
また、上記の車両において、前記開閉体は、前記車両の側部に位置する本体部分と、前記開閉体の上部を構成する上側部分とから構成され、前記本体部分と前記上側部分とは一体に形成されているとよい。
開閉体の本体部分と上側部分とを一体に形成することにより、外観の統一感をだすことができる。
【0009】
また、上記の車両において、前記開閉体は、前記車両の側部に位置する本体部と、前記開閉体の上部を構成する上側部分とから構成され、前記本体部と前記上側部分とは別体で形成されているとよい。
開閉体の本体部と上側部分とを別体で形成することにより、開閉体の製造を容易にすることができる。
【0010】
また、上記の車両において、前記座席は、前記車両の床面からの高さを調整する高さ調整装置を有し、前記座席は、前記高さ調整装置により、少なくとも前記ヘッドレストの上端が、前記開閉体の上部の下端より上方に移動可能に構成されているとよい。
座席のヘッドレストの上端が、開閉体の上部の下端より上方に移動可能に構成されることで、開閉体が開移動したときの開放感がより向上するようになる。
【0011】
また、上記の車両において、前記開閉体は、前記車両の左右の側部に配置されており、前記車両の屋根において、左右の前記開閉体の上部に挟まれた中央部分に乗員保護装置が設けられているとよい。
屋根の中央部分に乗員保護装置(例えばエアバッグ)を設けることで、車両の中央部分から着座者の保護を行うことが可能となる。
【0012】
また、上記の車両において、前記車両の内部前方にはインストルメントパネルが設けられており、前記インストルメントパネルは、伸縮可能な収納ボックスとして構成されているとよい。
インストルメントパネルを伸縮可能な収納ボックスとして構成することで、車両の内部の空間を広げることができ、様々なアレンジに対応することが可能な車内装備を有する車両を提供することができる。
【0013】
また、上記の車両において、前記インストルメントパネルは、前記車両の左右方向に伸縮可能であるとよい。
インストルメントパネルが左右方向に伸縮可能であることにより、容易に車両内部の空間を広げることができる。
【0014】
また、上記の車両において、前記インストルメントパネルは、前記車両の上下方向に移動可能であるとよい。
インストルメントパネルが上下方向に移動可能であることで、インストルメントパネルの下方が利用可能となり、車内の空間をより活用することができる。また、上方に移動したインメントパネルにより、例えば停車時に外部からの視界を遮ることも可能となる。
【0015】
また、上記の車両において、前記車両の床面に配置され、前記座席がスライドするシートレールを備えており、前記シートレールは、前記インストルメントパネルの下方に配置されているとよい。
インストルメントパネルの下方にシートレールを配置することで、インストルメントパネルの下方まで座席を移動させることができ、アレンジの幅を広げることができる。
【0016】
また、上記の車両において、前記インストルメントパネルに、前記車両の内部の臭気を測定する臭気センサが設けられているとよい。
臭気センサを設けることで、車両の内部の臭気を測定して、測定結果に基づき車内の環境を向上させることができる。
【0017】
また、上記の車両において、前記座席は、前記車両の上下方向の軸を中心に回転させるシート回転装置と、前記座席の左右側部に膨張部材と、を有し、前記座席が前記車両の上下方向の軸を中心に回転した場合、回転方向と反対側に位置する前記膨張部材が膨張するとよい。
座席が回転するとき、回転方向と反対側に位置する膨張部材が膨張することで、乗員の体が回転方向と反対側に傾くことが抑制され、乗員姿勢の保持力が向上し、乗員の違和感が抑制される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両によれば、乗員の乗降性を向上させた車両を提供することができる。
また、開閉体の本体部分と上側部分とを一体に形成することにより、外観の統一感をだすことができる。
また、開閉体の本体部と上側部分とを別体で形成することにより、開閉体の製造を容易にすることができる。
また、座席のヘッドレストの上端が、開閉体の上部の下端より上方に移動可能に構成されることで、開閉体が開移動したときの開放感がより向上するようになる。
また、屋根の中央部分に乗員保護装置(例えばエアバッグ)を設けることで、車両の中央部分から着座者の保護を行うことが可能となる。
また、インストルメントパネルを伸縮可能な収納ボックスとして構成することで、車両の内部の空間を広げることができ、様々なアレンジに対応することが可能な車内装備を有する車両を提供することができる。
また、インストルメントパネルが左右方向に伸縮可能であることにより、容易に車両内部の空間を広げることができる。
また、インストルメントパネルが上下方向に移動可能であることで、インストルメントパネルの下方が利用可能となり、車内の空間をより活用することができる。また、上方に移動したインメントパネルにより、例えば停車時に外部からの視界を遮ることも可能となる。
また、インストルメントパネルの下方にレールを配置することで、インストルメントパネルの下方まで座席を移動させることができ、アレンジの幅を広げることができる。
また、臭気センサを設けることで、車両の内部の臭気を測定して、測定結果に基づき車内の環境を向上させることができる。
また、座席が回転するとき、回転方向と反対側に位置する膨張部材が膨張することで、乗員の体が回転方向と反対側に傾くことが抑制され、乗員姿勢の保持力が向上し、乗員の違和感が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る車両の側面図であり、スライドドアを開けた状態を示す図である。
図2図1のA-A線に沿った断面図で、車内の構成を示す図である。
図3】左右のスライドドアが開移動され、車両用シートが上方に移動した状態を示す図である。
図4】ルーフの中央部に設けられたエアバッグが展開した状態を示す図である。
図5図1のB-B線に沿った断面図であり、車内の構成を示す図である。
図6】インストルメントパネルが収縮した状態を示す図である。
図7】インストルメントパネルの構造を模式的に示す図である。
図8】インストルメントパネルから足置きが引き出された状態示す図である。
図9A】足置きの引出し構造を模式的に示す図である。
図9B】足置きの引出し構造の別例を示す図である。
図10】インストルメントパネルが上方向に移動した場合の車内を示す断面図である。
図11】センターコンソールが設けられた車両の車内構成を示す図である。
図12】車両用シートの回転時に、サイドサポートに設けられたエアセルを用いて乗員を支持する手順を説明する説明図である。
図13】車両用シートの回転時に、アームレストに設けられたエアセルを用いて乗員を支持する手順を説明するための説明図である。
図14】車両用シートの回転時にアームレストを用いて乗員を支持する手順を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る、スライド移動可能な開閉体を有する車両1の構成について図面を参照しながら、説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、車両1に搭載される座席(車両用シート10)、インストルメントパネル20、エアバッグ装置23等の構成部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0021】
なお、以下では、スライド移動可能な開閉体を備えた車両1として、自動運転可能な電気自動車を挙げ、その構成例について説明することとする。ただし、本発明は、手動運転によるエンジン自動車にも適用されてもよい。また、自動車・鉄道車両など車輪を有する地上走行用乗物に限定されるものではなく、例えば、地上以外を移動する航空機や船舶にも適用され得る。
【0022】
また、以下の説明中、「前後方向」とは、車両1の前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「幅方向」、「左右方向」とは、車両1の横幅方向、左右方向であり、「上下方向」とは、車両1の上下方向であり、車両1が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
また、以下の説明において、「シート幅方向」、「シート高さ方向」のように各種方向に「シート」を付して記載する場合には、車両1に搭載される車両用シート10に対する方向を示し、「車両内側」、「車両外側」のように「車両」を付して記載する場合には、車両1に対する方向を示すものとする。
【0023】
<車両1>
図1乃至図5を用いて車両1の構成について説明する。図1は、車両1の側面図で、スライドドアである後方ドア2Rを開状態とした図であり、図2は、図1のA-A線に沿った断面図であり、車内の構成を示す図である。図3は、車両用シートが上方に移動した状態を示す図で、図4はルーフ3の中央部に設けられたエアバッグが展開した状態を示す図である。図5は、図1のB-B線に沿った断面図である。
【0024】
車両1は、四輪の電気自動車であり、図1乃至図5に示すように、床4の四隅にタイヤ6を備え、床4の下方にモータ等に電力を供給するバッテリ5を備える。
車両1は、前方に窓8としてフロントウインドウ8a、後方にリアウインドウ8bを有する。車両1は側方にサイドウインドウ8cを備える。
また、車両1の床4には、図2及び図5に示すように三列に並べられた車両用シート10が配置される。車両1は、床4上において、一列目の左右に配置されるフロントシート10Fと、二列目の左右に配置されるミッドシート10Mと、三列目の左右に配置されるリアシート10Rと、を備える。フロントシート10F、ミッドシート10M、リアシート10Rは、基本的に同じ構成を有しており、以下の説明において、特に区別する必要が無い場合は、車両用シート10と称する。
【0025】
<車両用シート10>
車両用シート10(座席)のそれぞれは、着座する乗員Hの大腿部及び臀部を支持するシートクッション11と、乗員Hの背部を支持するシートバック12と、シートバック12の上端部に設けられ、乗員Hの頭部を支持するヘッドレスト13とを備えている。
シートクッション11の後端部とシートバック12の下端部は連結されており、連結部分にリクライニング装置14が設けられている。リクライニング装置14により、シートバック12はシートクッション11に対して後傾角度を調整可能に回動することができる。
【0026】
シートクッション11の下方には、車両用シート10の高さを調整する高さ調整装置15が設けられている。高さ調整装置15の下方には、車両用シート10を車両1の上下方向(床4に対する垂直方向)を軸にして回転させるシート回転装置16が設けられている。シート回転装置16の下方には、車両用シート10を車両1の床4上において前後方向にスライドさせるスライド装置が設けられている。
【0027】
スライド装置は、車両用シート10の下方に設けられるアッパーレール(不図示)と、車両1の床面に配置されるシートレール17とから構成されており、アッパーレールが、シートレール17上をスライドすることにより、車両用シート10が、車内を前後方向にスライド移動することが可能となっている。
【0028】
なお、本実施形態において、シートレール17は、ロングレールとして床4に埋め込まれて配置されている。図5に示すように、運転席側のシートレール17上に、車両右側に配置されるフロントシート10F、ミッドシート10M、リアシート10Rが、スライド移動又は回転移動ができるように配置されている。また、助手席側のシートレール17上に、車両左側に配置されるフロントシート10F、ミッドシート10M、リアシート10Rが、スライド移動又は回転移動ができるように配置されている。
【0029】
車両用シート10は、シートレール17に対して、着脱可能に取り付けられてもよい。 本実施形態において、シートレール17は、前後方向に配置されるフロントシート10Fからリアシート10Rで共有されているが、シートレール17は共有されなくてもよい。すなわち、フロントシート10Fは、独立した一対のレールを使用し、ミッドシート10M、リアシート10Rは、そのレールとは別に設けられた一対のレール上に移動可能に配置されてもよい。
また、運転席側に配置されるシートレール17及び助手席側のシートレール17は、バッテリ5の上方を覆う床の平面部に配置されるのが好ましい。
【0030】
助手席側に配置されるシートレール17は、図5に示すように車両1の前方端まで延び、シートレール17の前方部分が、インストルメントパネル20の下方に位置するように配置されている。そのため、インストルメントパネル20の横幅が縮められた場合、助手席側のフロントシート10Fを車両1の前方端部まで移動させることができる(図6参照)。
【0031】
図5に示す車両用シート10の移動方向は前後方向のみであるが、左右方向に移動可能なレール装置を各車両用シート10に追加し、左右方向に移動可能にしてもよい。
また、車両用シート10のスライド移動、回転移動、上下移動(高さ調整)は、乗員により手動で行われてもよく、また、モータ等の駆動装置を設け、各車両用シート10が自動でスライド移動、回転移動、上下移動するように構成されてもよい。
【0032】
車両用シート10が自動でスライド移動、回転移動、上下移動することが可能な場合、例えば乗員が保持する送信機を用いて操作することで、自動的に登録されたシートアレンジとなるように構成されてもよい。乗員が操作する送信機は、ドアのロックや開閉を指示するための操作スイッチと一体に形成されもよく、また、操作スイッチとは別体として形成されてもよい。
【0033】
<車両用ドア2>
車両1の左右外側部分には、車体に対して開閉可能な車両用ドア2(開閉体)が設けられている。車両用シート10に着座する乗員Hは車両用ドア2を開移動させることで、乗降することができる。本実施形態の車両1は、一列目のフロントシート10Fの左右に前方ドア2Fが設けられており、二列目のミッドシート10Mの左右に後方ドア2Rが設けられている。前方ドア2Fの内側には取り外し可能なドアポケット2eが設けられている。後方ドア2Rには、窓部2cが設けられている。
【0034】
後方ドア2Rは、図1に示すように、後方に向けてスライド可能なスライドドアとして構成されている。また、後方ドア2Rは、図2に示すように、車両1の側部だけでなく車両1の屋根の一部も含むよう構成されている。具体的には、後方ドア2Rの上部の少なくとも一部が、ミッドシート10Mのヘッドレスト13の直上においてヘッドレスト13の内側端部13aより、車両1の内側に配置されるように、後方ドア2Rが構成されている。
【0035】
より詳しく述べると、後方ドア2Rは、車両1の側部に位置するドア本体部分2aと、方ドア2Rの上部を構成するドア上側部分2bとから構成されており、ドア上側部分2bは、ドア本体部分2aの上側端部から車両1の内側に向けて延びるように形成されている。そして、ドア上側部分2bの内側端部2baが、ヘッドレスト13の内側端部13aより、車両1の内側に位置するように構成されている。
【0036】
後方ドア2Rの上部、ドア上側部分2bをこのように構成することで、後方ドア2Rが開くと車両用シート10の上まで開くことから、乗員が起立したときに頭部がルーフ3に当たることが抑制され、乗降性が向上する。また、後方ドア2Rを開けたときの開放感が向上する。
【0037】
ドア本体部分2aとドア上側部分2bとは一体に形成されているとよい。特に、ドア本体部分2aの表皮を含む内装部材と、ドア上側部分2bの表皮を含む内装部材と、を一体化して形成すると、ドアの外観の統一感が出て好ましい。
なお、ドア本体部分2aとドア上側部分2bとは別体として構成されてもよい。別体とすることで、後方ドア2Rの製造を容易にすることができる。
【0038】
また、図2に示すように、ドア上側部分2bの一部にサンルーフ2dを設けるとよい。
また、ルーフ3にもサンルーフ3aを設けてもよい。サンルーフ2d、3aを設けることで、後方ドア2Rが閉じられた状態であっても、乗員は開放感を得ることができる。
【0039】
本実施形態の車両1は、後方ドア2Rを開けたとき、図3に示すように、屋根の一部が開いた状態となる。そのため、後方ドア2Rが開状態である場合、高さ調整装置15により、車両用シート10を高くしてもよい。本実施形態では、車両用シート10は、高さ調整装置15により、少なくともヘッドレスト13の上端が、閉状態の後方ドア2Rの上部の下端2fより上方に移動可能に構成されている。言い換えれば、高さ調整装置15により、ヘッドレスト13を、ルーフ3の下端より高くすることができるように構成されている。ヘッドレスト13の上端が、後方ドア2Rの上部の下端2fより上方に移動可能にすることで、乗員Hはより開放感を得ることができる。
【0040】
また、車両用シート10のヘッドレスト13を、後方ドア2Rの上部の下端より高くした場合、すなわち、ヘッドレスト13をルーフ3より高くした場合、車内に設けられた通知手段、例えばスピーカや照明等から離れてしまう。そのため、通常時、すなわち車両用シート10が車内に配置されている場合より、通知手段の機能を高めるとよい。
例えば、通知手段がスピーカである場合は通知音をより大きくする。通知手段が、照明である場合はより強く発光させる。それにより、車両用シート10の位置を高くし、乗員の頭部が車外にあるような場合でも、通知できるようになる。
また、図3に示すように、車両用シート10に通知手段としてスピーカ19を配置しても良い。この場合においても、通知音は車外に発散する可能性があり、通常時よりも音を大きくするのが望ましい。
【0041】
<ルーフエアバッグ装置3b>
車両1のルーフ3において、左右にある後方ドア2Rの上部(ドア上側部分2b)に挟まれた中央部分には、乗員保護装置であるルーフエアバッグ装置3bが設けられてもよい。例えば側方から衝撃があった場合、図4に示すように、ルーフエアバッグ装置3bの袋体が下方に向けて膨出して乗員Hを保護することができる。
【0042】
<インストルメントパネル20>
本実施形態の他の装備について図5乃至図14を用いて説明する。図5に示すように、車両1の内部前方には、操作系ボックス7とインストルメントパネル20とが設けられている。操作系ボックス7には、運転者によって操作されるハンドル7a(ステアリング)やペダル(不図示)が取り付けられている。インストルメントパネル20には、車内の装置を操作する操作パネルが設けられている、車両1の乗員は、操作パネルを用いて、車両用シート10の配置等を入力して変更することが可能になっている。
【0043】
また、インストルメントパネル20には、物を収納する機能が設けられていて、収納ボックスとして利用することができる。
車両1のハンドル7aや前方ドア2Fに設けられるドアポケット2eは、着脱自在に構成されており、取り外されたハンドル7aやドアポケット2eは、拡幅されたインストルメントパネル20に収納することができる。取り外したハンドル7a及びドアポケット2eを、インストルメントパネル20に収納することで、車両用シート10の移動、例えば前後移動や回転移動の自由度が拡大される。
【0044】
インストルメントパネル20は、更に、車両1の幅方向に伸縮可能に構成されている。図6に示すように、インストルメントパネル20は、車両1の幅方向(左右方向)に伸縮可能に構成されるとよい。
インストルメントパネル20を縮小、言い換えれば、小型化することにより、空いた空間をシートスペースとすることができ、例えば、図6に示すように、フロントシート10Fを回転させ、シートスペースに配置することで、ミッドシート10Mに着座する乗員の足置き場とすることができる。更に、フロントシート10Fのシートクッション11又はシートバック12にマッサージ装置や、乗員の足を運動させる可動装置を設ければ、シートスペースを有効に活用することができる。
なお、インストルメントパネル20の伸縮は手動で行うようにしてもよく、また、モータ等を設け、伸縮を自動でするようにしてもよい。インストルメントパネル20の伸縮を自動でする場合、乗員Hは無線通信可能な送信機を用いて指示信号を送信し、その信号によりインストルメントパネル20が伸縮するように構成されてもよい。
【0045】
伸縮可能なインストルメントパネル20の構造について図7を用いて説明する。インストルメントパネル20は、パネル本体21と、パネル本体21に収納される引出部22とから構成される。収納ボックスとして利用する場合、図7の上段に示すように引出部22が車両1の左側に引出され、収納部分24に物、例えばハンドル7aやドアポケット2eを収納することが可能になっている。収納部分24に冷蔵装置を設置し、インストルメントパネル20を冷蔵庫として使用してもよい。
【0046】
インストルメントパネル20を縮小させ、シートスペースを広げる場合は、図7の中段に示すように、引出部22を車両1の右方向に移動させ、引出部22をパネル本体21内に収納する。
また、インストルメントパネル20のパネル本体21の上部に収納式テーブル25を設け、引出部22をパネル本体21に収納したとき、図7の下段に示すように、収納式テーブル25を、車両1の左方向に引出して利用してもよい。フロントシート10Fを車両1の前方に移動させることで、シートアレンジを、収納式テーブル25と向き合う学習モードにすることができる。
【0047】
また、図8に示すように、インストルメントパネル20の車室側の壁部をクッションとし、上側回転軸27aを中心に回動させ、任意の位置で固定することにより、足置き部27として使用してもよい。
インストルメントパネル20の後面、室内側の面に足置き部27を設けることで、フロントシート10Fに着座した乗員が足を置き、リラックス状態になることができ、車室空間を有効に活用することができる。
【0048】
足置き部27の引出しは、例えば図9Aに示すように、引出部22の上側に上側回転軸27aを設け、下方から足置き部27を引き出すようにしてもよい。
また、足置き部27の引出しは、図9Bに示すように、引出部22の下側に下側回転軸27bを設け、上側から足置き部27を引き出すようにしてもよい。
【0049】
インストルメントパネル20の別例を図10に示す。インストルメントパネル20Aは、上下方向に移動可能に構成されている。図10は、インストルメントパネル20Aが上方向に移動した状態を示している。例えば停車時において、インストルメントパネル20を上方に移動させることにより、外部からの視界を遮ることができる。このとき、フロントウインドウ8aを遮光状態に変更してもよい。また、リアウインドウ8b、サイドウインドウ8cを遮光状態に変更してもよい。
【0050】
また、サンルーフ3aを開けて、リアシート10Rを高さ調整装置15で高くすることにより乗員Hの視線位置を変更できるようにしてもよい。
また、インストルメントパネル20が上方に移動することで、インストルメントパネル20の下方に空間ができるため、フロントシート10Fの高さを下げた状態で前方に移動させ、インストルメントパネル20の下にシートクッション11の一部を収納することで、フロントシート10Fの後方の空間を有効に活用することができる。
【0051】
<センターコンソール30>
図11に別例である車両1Aを示す。車両1Aは、左右に配置された車両用シート10の間にセンターコンソール30が配置されている。より具体的に述べると、センターコンソール30は、運転手側のフロントシート10Fと助手席側のフロントシート10Fとの間に配置されている。センターコンソール30には、例えば、シフトレバー、サイドブレーキレバー等の操作部やカップホルダ等の収納部が設けられる。
センターコンソール30を配置すると、車両用シート10の回転移動の妨げになる可能性がある。そのため、図11に示すように、車両用シート10が回転移動する際、車両用シート10と干渉しないようにセンターコンソール30の一部が変形可能に構成されている。具体的には、センターコンソール30の側部の一部が変形し凹部31を形成する。
【0052】
助手席側のフロントシート10Fが回転する場合、センターコンソール30の左側側部が変形する。また、運転席側のフロントシート10Fが回転する場合は、右側側部が変形するように構成する。
助手席側のフロントシート10Fが回転する際、更に、前方にあるインストルメントパネル20Bの引出部22Bが変形して、凹部28が形成されてもよい。
インストルメントパネル20Bは、パネル本体21Bとパネル本体21Bに収納可能な引出部22Bとから構成される。助手席側のフロントシート10Fが回転する際、引出部22Bが、パネル本体21Bに収納されてもよい。
また、前方ドア2Fや後方ドア2Rの内側壁部やドアポケット2eが変形して凹部を形成してもよい。
【0053】
<臭気センサ32>
車内の環境、特に臭気を定量的に測定するために、室内に臭気センサ32を設ける場合がある。本実施形態では、車内状態を検出する手段として臭気センサ32が、インストルメントパネル20に設けられている。
インストルメントパネル20には乗員保護装置としてのエアバッグ装置23も取り付けられていることから、臭気センサ32は、エアバッグ装置23の取付部、例えばエアバッグ装置23の袋体が展開する展開経路等を避けた位置に取り付けられている。エアバッグ装置23の取付部を避けて臭気センサ32を取り付けることで、エアバッグ装置23への影響を抑制することができる。
【0054】
臭気センサ32を、インストルメントパネル20以外の内装部材、例えばルーフ3、車両用シート10及び車両用ドア2等に設けてもよい。
内装部材が、本実施形態のインストルメントパネル20のように伸縮可能である場合や、ルーフ3、車両用ドア2、センターコンソール30、サインバイザー等、変形部を有し、伸縮する可能性がある場合、臭気センサ32は、伸縮可能な部分又は変形可能な部分を避けた位置に設けられるとよい。変形する部分を避けて配置することで、臭気センサ32の検出精度の低下を抑制できる。
【0055】
内装部材に臭気センサ32を設ける場合、収納可能にするとよい。例えば、簡易的な方法として、臭気センサ32を覆うカバーを開閉可能に設け、臭気センサ32を使用しないときは、カバーを手動で又は自動で開閉するように構成する。
【0056】
臭気センサ32が自動で収納される場合、乗員Hの乗車をセンサ等で確認したときに、インストルメントパネル20等の内装部材に収納されていた臭気センサ32が、車内に露出するように構成されるとよい。例えば、乗員Hの乗車を検知すると、臭気センサ32が室内に向けて突出するように構成する。臭気センサ32が露出することにより、検知能力が向上する。
臭気センサ32は、臭気の検知を終了した後、例えば乗車を検知してから所定時間(5秒~10秒)経過後に、インストルメントパネル20等の内装部材内に収納されるように構成してよい。
なお、乗員の検知は、例えば、車両用シート10に設けられた着座センサや車内に設けられたカメラ等で行う。
【0057】
臭気センサ32をインストルメントパネル20等の内装部材に設ける場合、他のセンサ、例えば温度センサ、湿度センサ、音センサ、光センサ等とまとめて、一つのユニットにすることで、取付作業性を大幅に向上させることができる。
複数のセンサ、すなわち第1センサと第2センサ(検出対象が第1センサの検出対象と異なっても同じでもよい)をユニット化して、インストルメントパネル20に配置する場合も、乗員保護装置(エアバッグ装置等)を避けた位置に設けるとよい。
【0058】
<乗員支持部材>
本実施形態の車両1に搭載される車両用シート10は、上述のようにシート回転装置16を備え、車両1の上下方向の回転軸を中心に向きを変更することが可能となっている。このようなシート回転装置16を備えた車両用シート10において、乗員姿勢の保持力の向上し、シート回転時に発生する違和感を抑制することが望まれていた。
【0059】
本実施形態の車両用シート10は、シート部分が移動する際に、乗員を支持するサイドサポート18(乗員支持部材)が設けられている。サイドサポート18は、例えば、図12の上段に示すように、車両用シート10の左右側部に配置されており、より具体的には、シートクッション11の土手部11aの内部及びシートバック12の土手部12aの内部に設けられたエアセル(膨張部材)等により構成されている。
【0060】
サイドサポート18は、車両用シート10の移動(前後移動、回転移動も含む)時において、乗員Hを支持する。サイドサポート18は、車両用シート10の移動を検出した場合、例えば、乗員Hによりシート移動スイッチが操作された場合に作動する。
車両用シート10の移動は、サイドサポート18が作動状態となったこと、好ましくはサイドサポート18の作動完了状態を検出した後、開始されるとよい。
車両用シート10の移動とサイドサポート18の作動が同時にされる場合は、車両用シート10の移動の初期段階において、移動速度を通常よりも遅くする。それにより、違和感を抑制することができる。
車両用シート10の前後方向の移動を検知した場合、左右にあるサイドサポート18が作動するとよい。
【0061】
また、車両用シート10の回転を検知した場合、すなわち、シート回転スイッチが操作されたとき、回転方向と異なる側に配置されたサイドサポート18が作動するとよい。
具体的には、図12の中段に示すように、車両用シート10が左回り(反時計回り、図12の矢印E方向)に回転する場合、車両用シート10の右側に配置されたサイドサポート18、より詳細にはクッション用エアセル18Raと、バック用エアセル18Rbとが作動し、それらが膨張することにより乗員Hを支持する。
車両用シート10が移動(回転)することにより、乗員の体が移動方向(回転方向)と反対側に傾くことを抑制することができる。これにより、乗員の違和感を抑制したり、乗員姿勢の保持力を向上させたりすることができる。
【0062】
また、車両用シート10の移動(回転)が終了するまで、又は終了したときに、車両用シート10の移動方向(回転方向)と同じ側に配置されたサイドサポート18が作動するとよい。
具体的には、図12の下段に示すように、車両用シート10が左回りに回転した場合、回転が終了するとき、車両用シート10の左側に配置されたサイドサポート18、より詳細にはクッション用エアセル18Laと、バック用エアセル18Lbとが、更に作動し膨張することで、乗員Hを支持する。
このようにサイドサポート18が作動することで、シートの移動(回転)の終了直後に、乗員の体が移動方向(回転方向)と同じ側に傾くことを抑制することができる。これにより、乗員の違和感を抑制したり、乗員姿勢の保持力を向上させたりすることができる。
【0063】
また、図13の上段に示す車両用シート10’のように、サイドサポート18は、シートバック12の側部に設けられたアームレスト12bに設けられてもよい。
図13の中段に示すように、車両用シート10’が左回り(矢印F方向)に回転した場合、車両用シート10’の右側のアームレスト12bに設けられたサイドサポート18(アームレスト用エアセル18Rc)が膨張し、乗員Hを支持する。このとき、アームレスト用エアセル18Rcと同じ側にあるクッション用エアセル18La又はバック用エアセル18Lbが膨張してもよい。
【0064】
また、図13の下段に示すように、回転が終了するときに、車両用シート10’に左側に配置されたサイドサポート18(アームレスト用エアセル18Lc)が膨張することで乗員Hを支持する。この時、アームレスト用エアセル18Lcと同じ側に、クッション用エアセル18La又はバック用エアセル18Lbが作動してもよい。
【0065】
図12及び図13に示すサイドサポート18はエアセルにより実現されているが、乗員を支持できる構造であるならば、サイドサポート18はエアセル以外の構造により実現されてもよい。
図14にサイドサポート18の別例であるサイドサポート18Aを示す。図14の上段に示す車両用シート10’’のサイドサポート18Aは、シートバック12の側部に設けられ、自動的に収納位置と使用位置とを移動可能なアームレスト12bにより実現されている。収納位置にあるアームレスト12bを、シート移動時(回転時)に使用位置に移動させることにより、乗員姿勢を保持するように構成する。
【0066】
図14の中段に示すように、車両用シート10’’が左回りに回転するとき、回転方向と反対側にある右側のアームレスト12bのみが収納位置から使用位置に移動する。
そして、図14の下段に示すように、車両用シート10の回転が終了まで又は終了するときに、回転方向と同じ側にある左側のアームレスト12bを使用位置に移動させることにより、回転終了後の乗員の傾き(回転方向への傾き)を抑制する。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図を用いて説明した。本実施形態では、スライド移動可能な開閉体として、開くとき後方にスライド移動する車両用ドアを例とし、その車両用ドアを備えた車両1について説明したが、スライド移動可能な開閉体は、開くとき前方にスライド移動する前方ドアであってもよい。また、前後方向又は幅方向にスライド可能な窓であってもよい。窓の上部が、ヘッドレストの直上より車両の内側に位置していることで、窓を開けたときの乗員の開放感が向上する。
また、車両1に搭載される伸縮可能なインストルメントパネル20や変形可能なセンターコンソール30は、スライド移動可能なドアを有する車両だけでなく、通常の左右方向に開閉するドアを備えた車両にも適用することできる。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
2 車両用ドア(開閉体)
2F 前方ドア
2R 後方ドア
2a ドア本体部分
2b ドア上側部分
2ba 内側端部
2c 窓部
2d サンルーフ
2e ドアポケット
2f 下端
3 ルーフ
3a サンルーフ
3b ルーフエアバッグ装置
4 床
5 バッテリ
6 タイヤ
7 操作系ボックス
7a ハンドル
8 窓
8a フロントウインドウ
8b リアウインドウ
8c サイドウインドウ
10、10’、10’’ 車両用シート(座席)
10F フロントシート
10M ミッドシート
10R リアシート
11 シートクッション
11a 土手部
12 シートバック
12a 土手部
12b アームレスト
13 ヘッドレスト
13a 内側端部
14 リクライニング装置
15 高さ調整装置
16 シート回転装置
17 シートレール
18、18A サイドサポート(乗員支持部材)
18La、18Ra クッション用エアセル
18Lb、18Rb バック用エアセル
18Lc、18Rc アームレスト用エアセル
19 スピーカ
20、20A、20B インストルメントパネル
21、21B パネル本体
22、22B 引出部
23 エアバッグ装置
24 収納部分
25 収納式テーブル
27 足置き部
27a 上側回転軸
27b 下側回転軸
28 凹部
30 センターコンソール
31 凹部
32 臭気センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14