(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061623
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20240425BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240425BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145459
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0136492
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ホアン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB03
5E070BB03
5E070CB17
(57)【要約】
【課題】小型化に有利であり、コイル間の結合係数を効果的に調節することができるアレイ構造のコイル部品を実現する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、本体と、上記本体の内部に配置され、一面及び上記一面に第1方向に対向する他面を含む支持部材と、上記支持部材の一面に配置された第1巻回部を含む第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された第2巻回部を含む第2コイルと、上記第1コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極と、上記第2コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第3及び第4外部電極及び上記支持部材の他面側に配置され、上記第1コイルの一端及び他端を上記第1及び第2外部電極にそれぞれ連結する第1及び第2連結電極を含むコイル部品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の内部に配置され、一面及び前記一面に第1方向に対向する他面を含む支持部材と、
前記支持部材の一面に配置された第1巻回部を含む第1コイルと、
前記支持部材の他面に配置された第2巻回部を含む第2コイルと、
前記第1コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極と、
前記第2コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第3外部電極及び第4外部電極と、
前記支持部材の他面側に配置され、前記第1コイルの一端及び他端を前記第1外部電極及び前記第2外部電極にそれぞれ連結する第1連結電極及び第2連結電極と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部は単層構造である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1巻回部のコアと前記第2巻回部のコアは、少なくとも一部が前記第1方向に重なる、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1連結電極は前記第2巻回部の外側に配置され、前記第2連結電極は前記第2巻回部の内側に配置された、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記支持部材の他面側に配置され、前記第2コイルの一端及び他端を前記第3外部電極及び前記第4外部電極にそれぞれ連結する第3連結電極及び第4連結電極をさらに含む、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第3連結電極は前記第1巻回部の外側に配置され、
前記第4連結電極は前記第1巻回部の内側に配置された、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記本体は、前記第1方向に対向し、前記支持部材の一面及び他面側にそれぞれ配置された第1面及び第2面を含み、
前記第1外部電極から前記第4外部電極は、前記第2面に配置された、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、前記第2面の互いに異なる角にそれぞれ配置され、
前記第1外部電極と前記第4外部電極は前記第2面の対角方向に対向し、
前記第2外部電極と前記第3外部電極は、前記第2面の対角方向に対向するように配置された、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1コイルの一端は、前記第1巻回部の最外側ターンの端部であり、
前記第1コイルの他端は、前記第1巻回部の最内側ターンの端部であり、
前記第2コイルの一端は、前記第2巻回部の最外側ターンの端部であり、
前記第2コイルの他端は、前記第2巻回部の最内側ターンの端部である、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1コイルの一端及び他端は、前記本体において前記第1面及び前記第2面と連結された側面に露出せず、
前記第2コイルの一端及び他端は、前記本体において前記第1面及び前記第2面と連結された側面に露出しない、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1コイルの一端及び他端は前記支持部材の他面に延び、
前記第1コイルの一端及び他端において、前記支持部材の他面に延びる領域の厚さは前記第2コイルの厚さと同一である、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記コイル部品内において、前記第1コイル及び前記第2コイルは互いに電気的に連結されない、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記支持部材は磁性物質を含む、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項14】
本体と、
前記本体の内部に配置され、一面及び前記一面に第1方向に対向する他面を含む支持部材と、
前記支持部材の一面に配置された第1巻回部を含む第1コイルと、
前記支持部材の他面に配置された第2巻回部を含む第2コイルと、
前記第1コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極と、
前記第2コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第3外部電極及び第4外部電極と、
前記第1コイルの他端を前記第2外部電極と連結する第1迂回電極と、
前記第2コイルの他端を前記第4外部電極と連結する第2迂回電極と、を含み、
前記第1コイルの一端は、前記第1巻回部の最外側ターンの端部であり、
前記第1コイルの他端は、前記第1巻回部の最内側ターンの端部であり、
前記第2コイルの一端は、前記第2巻回部の最外側ターンの端部であり、
前記第2コイルの他端は、前記第2巻回部の最内側ターンの端部である、コイル部品。
【請求項15】
前記第1迂回電極及び前記第2迂回電極のそれぞれは、少なくとも一部領域が前記第1巻回部及び前記第2巻回部と前記第1方向に重なる、請求項14に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記第1迂回電極及び前記第2迂回電極は、少なくとも一部が前記支持部材に埋め込まれた、請求項14または15に記載のコイル部品。
【請求項17】
前記支持部材は、磁性層及び前記磁性層の一面及び他面に配置された絶縁層を含む、請求項14または15に記載のコイル部品。
【請求項18】
前記第1コイルは、前記第1迂回電極と前記支持部材との間に配置され、
前記第2コイルは、前記第2迂回電極と前記支持部材との間に配置された、請求項14または15に記載のコイル部品。
【請求項19】
前記第1迂回電極及び前記第2迂回電極はそれぞれ屈曲部を含む、請求項18に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタアレイ構造を有するコイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、携帯電話、ノートパソコンなどの電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が要求されており、このような要求に応えるために様々な形態の巻線タイプまたは薄膜タイプのコイル部品の研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル部品の小型化及び薄型化に伴う主なイシューは、このような小型化及び薄型化にも関わらず、従来と同等の特性を実現することである。このような要求を満たすためには、磁性物質が充填されるコアで磁性物質の割合を増加させなければならないが、インダクタ本体の強度、絶縁性による周波数特性の変化などの理由によりその割合を増加させることに限界がある。
【0004】
一方、コイル部品の実装面積を減らすことができる利点を有するアレイ形態の部品に対する需要が増加している。このようなアレイ形態のコイル部品は、複数個のコイル部間の結合係数または相互インダクタンスに応じて、ノンカップルド(Noncoupled)またはカップルド(Coupled)インダクタ形態、または上記形態の混合形態を有することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、小型化に有利であり、コイル間の結合係数を効果的に調節することができるアレイ構造のコイル部品を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一例を通じてコイル部品の新規な構造を提案しようとし、具体的には、本体と、上記本体の内部に配置され、一面及び上記一面に第1方向に対向する他面を含む支持部材と、上記支持部材の一面に配置された第1巻回部を含む第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された第2巻回部を含む第2コイルと、上記第1コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極と、上記第2コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第3及び第4外部電極及び上記支持部材の他面側に配置され、上記第1コイルの一端及び他端を上記第1及び第2外部電極にそれぞれ連結される第1及び第2連結電極を含む。
【0007】
一実施形態において、上記第1及び第2巻回部は単層構造であることができる。
【0008】
一実施形態において、上記第1巻回部のコアと上記第2巻回部のコアは、少なくとも一部が上記第1方向に重なることができる。
【0009】
一実施形態において、上記第1連結電極は上記第2巻回部の外側に配置され、上記第2連結電極は上記第2巻回部の内側に配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記支持部材の他面側に配置され、上記第2コイルの一端及び他端を上記第3及び第4外部電極にそれぞれ連結する第3及び第4連結電極をさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態において、上記第3連結電極は上記第1巻回部の外側に配置され、上記第4連結電極は上記第1巻回部の内側に配置されることができる。
【0012】
一実施形態において、上記本体は、上記第1方向に対向し、上記支持部材の一面及び他面側にそれぞれ配置された第1面及び第2面を含み、上記第1~第4外部電極は上記第2面に配置されることができる。
【0013】
一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は上記第2面の互いに異なる角にそれぞれ配置され、上記第1外部電極と上記第4外部電極は上記第2面の対角方向に対向し、上記第2外部電極と上記第3外部電極は、上記第2面の対角方向に対向するように配置されることができる。
【0014】
一実施形態において、上記第1コイルの一端は上記第1巻回部の最外側ターンの端部であり、上記第1コイルの他端は上記第1巻回部の最内側ターンの端部であり、上記第2コイルの一端は上記第2巻回部の最外側ターンの端部であり、上記第2コイルの他端は上記第2巻回部の最内側ターンの端部であることができる。
【0015】
一実施形態において、上記第1コイルの一端及び他端は、上記本体で上記第1面及び第2面と連結された側面に露出せず、上記第2コイルの一端及び他端は、上記本体で上記第1面及び第2面と連結された側面に露出しないことができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1コイルの一端及び他端は、上記支持部材の他面に延び、上記第1コイルの一端及び他端において、上記支持部材の他面に延びる領域の厚さは、上記第2コイルの厚さと同一であることができる。
【0017】
一実施形態において、上記コイル部品内で上記第1及び第2コイルは互いに電気的に連結されないことができる。
【0018】
一実施形態において、上記支持部材は磁性物質を含むことができる。
【0019】
一方、本発明の他の側面は、
本体と、上記本体の内部に配置され、一面及び上記一面に第1方向に対向する他面を含む支持部材と、上記支持部材の一面に配置された第1巻回部を含む第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された第2巻回部を含む第2コイルと、上記第1コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極と、上記第2コイルの一端及び他端とそれぞれ連結された第3及び第4外部電極と、上記第1コイルの他端を上記第2外部電極と連結する第1迂回電極及び上記第2コイルの他端を上記第4外部電極と連結する第2迂回電極を含み、上記第1コイルの一端は上記第1巻回部の最外側ターンの端部であり、上記第1コイルの他端は上記第1巻回部の最内側ターンの端部であり、上記第2コイルの一端は上記第2巻回部の最外側ターンの端部であり、上記第2コイルの他端は上記第2巻回部の最内側ターンの端部であるコイル部品を提供する。
【0020】
一実施形態において、上記第1及び第2迂回電極のそれぞれは、少なくとも一部領域が上記第1及び第2巻回部と上記第1方向に重なることができる。
【0021】
一実施形態において、上記第1及び第2迂回電極は、少なくとも一部が上記支持部材に埋め込まれることができる。
【0022】
一実施形態において、上記支持部材は、磁性層及び上記磁性層の一面及び他面に配置された絶縁層を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、上記第1コイルは上記第1迂回電極と上記支持部材との間に配置され、上記第2コイルは上記第2迂回電極と上記支持部材との間に配置されることができる。
【0024】
一実施形態において、上記第1及び第2迂回電極はそれぞれ屈曲部を含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一例によるコイル部品の場合、小型化に有利であり、コイル間の結合係数を効果的に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図3】
図1のコイル部品における主要構成要素を上部から見た平面図である。
【
図4】
図1のコイル部品における主要構成要素を上部から見た平面図である。
【
図9】変形された例によるコイル部品を示したものである。
【
図10】変形された例によるコイル部品を示したものである。
【
図11】変形された例によるコイル部品を示したものである。
【
図12】変形された例によるコイル部品を示したものである。
【
図13】変形された例によるコイル部品を示したものである。
【
図14】変形された例によるコイル部品を示したものである。
【
図15】本発明の他の実施形態によるコイル部品を示したものである。
【
図16】本発明の他の実施形態によるコイル部品を示したものである。
【
図17】本発明の他の実施形態によるコイル部品を示したものである。
【
図18】本発明の他の実施形態によるコイル部品を示したものである。
【
図19】本発明の他の実施形態によるコイル部品を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0028】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示した透過斜視図であり、
図3及び
図4は、
図1のコイル部品における主要構成要素を上部から見た平面図であり、
図5~
図8は、
図1に示した領域に対する断面図であり、
図9~
図14は、変形された例によるコイル部品を示したものである。
【0029】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル部品100は、本体110、支持部材130、第1コイル121、第2コイル122、第1~第4連結電極131-134、第1~第4外部電極141-144を含む。本実施形態の場合、支持部材130の一面Saと他面Sbに第1及び第2コイル121、122をそれぞれ配置することで、第1及び第2コイル121、122の磁気的結合程度を効果的に調節することができる一方、インダクタアレイの形態のコイル部品100のサイズが低減されることができるようにし、これに対する詳細な内容は後述する。以下、本実施形態のコイル部品100を構成する主要要素を説明する。
【0030】
本体110は、その内部に第1及び第2コイル121、122等が配置され、コイル部品100の全体的な外観をなすことができる。本体110は、互いに向かい合いながら第1方向(X方向)に垂直に配置された第1面S1及び第2面S2と、これらと連結された一つ以上の側面を含むことができる。この場合、第1方向(X方向)に垂直な方向を第2方向(Y方向)と第3方向(Z方向)と定義することができ、第2方向(Y方向)と第3方向(Z方向)は互いに垂直であることができる。そして、第1方向(X方向)は、本体110、支持部材130などの厚さ方向に該当することができる。以下の説明において、第1方向(X方向)、第2方向(Y方向)、第3方向(Z方向)はそれぞれ両方向を全て示し、例えば、第1方向(X方向)は図面を基準として上方向と下方向を全て含む。
【0031】
本体110は、絶縁樹脂及び磁性物質を含むことができる。具体的に、本体110は、磁性物質が絶縁樹脂に分散された磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。磁性物質は、フェライトまたは金属磁性粉末であることができる。フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μmから30μmであることができるが、これに制限されるものではない。本体110は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれかで互いに区別されることを意味する。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されない。
【0032】
製造方法の一例に関連して、本体110は積層工法で形成されることができる。具体的には、本体110を製造するための単位積層体を多数個設けて、これらを第1及び第2コイル121、122の上部及び下部に積層することができる。ここで、上記単位積層体は、金属などの磁性粒子と熱硬化性樹脂、バインダー、及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法によりキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布した後、乾燥してシート(sheet)状に製造することができる。これにより、単位積層体は、磁性粒子がエポキシ樹脂またはポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散した形態で製造されることができる。
【0033】
支持部材130は本体110の内部に配置され、一面Sa及び他面Sbを含む。ここで、一面Sa及び他面Sbは第1方向(X方向)に対向し、支持部材130の一面Saと他面Sbには第1及び第2コイル121、122がそれぞれ配置される。支持部材130は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)支持部材、フェライト支持部材、または金属系軟磁性支持部材などで形成されることができる。図示の形態のように、支持部材130の一部が貫通して貫通孔が形成されることができ、このような貫通孔には本体110を構成する物質が充填することができる。但し、
図9の変形された実施形態のように、支持部材130には、第1及び第2コイル121、122のコアに対応する領域に別の貫通孔が形成されないこともできる。支持部材130は磁性物質を含むことができ、これによってコイル部品100の透磁率を十分に確保し、第1及び第2コイル121、122の結合係数を効果的に調節することができる。支持部材130の磁性物質は、本体110の磁性物質と同じ磁性体粉末を含むことができ、また他の例としてNiなどの金属層を含むこともできる。支持部材130の厚さは、第1及び第2コイル121、122の磁気的結合などを考慮して調節されることができ、数μmから数十μmの厚さを有することができる。さらに具体的には、支持部材130の厚さは10μm以上50μm以下であることができる。
【0034】
図3を参照して、第1コイル121の詳細な構造を説明する。第1コイル121は、支持部材130の一面Saに配置され、第1巻回部121Cを含む。第1コイル121の一端121E1及び他端121E2は、それぞれ第1及び第2外部電極141、142と連結されるが、ここで第1コイル121の一端121E1は第1巻回部121Cの最外側ターンの端部であり、他端121E2は、第1巻回部121Cの最内側ターンの端部であることができる。そして、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2は、本体110において第1面S1及び第2面S2と連結された側面に露出しない場合があり、後述するように連結電極131、132を介して本体110の第2面S2側に延びることができる。
【0035】
図4を参照すると、第2コイル122は支持部材130の他面Saに配置され、第2巻回部122Cを含み、
図4では支持部材130を除いて、その下に配置された第2コイル122が示されている。第2コイル122の一端122E1及び他端122E2は、それぞれ第3及び第4外部電極141、142と連結されるが、ここで第2コイル122の一端122E1は第2巻回部122Cの最外側ターンの端部であり、他端122E2は、第2巻回部122Cの最内側ターンの端部であることができる。そして、第2コイル122の一端122E1及び他端122E2は、本体110において第1面S1及び第2面S2と連結された側面に露出しない場合があり、後述するように連結電極133、134を介して本体110の第2面S2側に延びることができる。
【0036】
第1及び第2コイル121、122はインダクタアレイの形態で実現することができ、コイル部品100内で互いに電気的に連結されないことができる。これにより、第1及び第2コイル121、122は、コイル部品100内で磁気的のみに結合されることができる。第1及び第2巻回部121C、122Cの巻軸は、図示のように第1方向(X方向)に平行であることができる。本実施形態の場合、第1及び第2巻回部121C、122Cは単層構造であることができる。すなわち、第1巻回部121Cにおいてコイルのターンは一つの層にのみ存在し、第1巻回部121Cの上部や支持部材130の他面Sb側には追加的なターンが発生しないことがある。同様に、第2巻回部122Cにおいてコイルのターンは一つの層にのみ存在し、第2巻回部122Cの下部や支持部材130の一面Sa側には追加的なターンが発生しないことがある。また、第1巻回部121CのコアC1と第2巻回部122CのコアC2は、少なくとも一部が第1方向(X方向)に重なることができる。このような構造を有することによって、第1及び第2コイル121、122のサイズが減ることができ、小型化したインダクタアレイ構造が実現することができる。
【0037】
一方、第1及び第2コイル121、122の場合、当技術分野で用いられるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方めっき、等方めっきなどの方法を用いて形成されためっきパターンであることができ、これらの工程のうち、複数の工程を用いて多層構造で形成されることもできる。第1及び第2コイル121、122を構成する物質の例として、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれらの合金などの導電性物質があるが、但し、これに限定されるものではない。
【0038】
第1及び第2コイル121、122の表面には絶縁膜123が形成されることができる。また、絶縁膜123は、連結電極121-124と支持部材130の一部にも形成されることができる。絶縁膜123は、第1及び第2コイル121、122を本体110等から電気的に絶縁させるためのものであり、パラリン等の公知の絶縁物質を含むことができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜123は、パラリンではないエポキシ樹脂などの絶縁物質を含むこともできる。絶縁膜123は気相蒸着法で形成されることができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜123は、第1及び第2コイル121、122が形成された状態で上部及び下部から絶縁フィルムを積層及び硬化するか、または絶縁ペーストを塗布及び硬化することで形成されることもできる。一方、絶縁膜123は実施形態によって省略されることができる。すなわち、コイル部品100の設計された作動電流及び電圧で本体110が十分な電気的抵抗を有する場合であれば、絶縁膜123は省略されることができる。
【0039】
図5~
図8を参照すると、第1及び第2連結電極131、132は、支持部材130の他面Sb側に配置され、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2を第1及び第2外部電極141、142にそれぞれ連結する。上述したように、第1コイル121が支持部材130の一面Sbに単層構造で提供される場合、第1及び第2連結電極131、132を介して効果的な配線構造が実現することができる。この場合、
図1及び
図2に示された形態のように、第1連結電極131は第2巻回部122Cの外側に配置され、第2連結電極132は第2巻回部122Cの内側に配置されることができる。必須ではないが、連結電極による配線構造は、第2コイル122にも適用されることができる。すなわち、第3及び第4連結電極133、134は、支持部材130の他面側に配置され、第2コイル122の一端122E1及び他端122E2を第3及び第4外部電極143、144にそれぞれ連結することができる。この場合、第3連結電極133は第1巻回部121Cの外側に配置され、第4連結電極134は第1巻回部121Cの内側に配置されることができる。
【0040】
第1~第4連結電極131-134は、金属柱(post)の形態で提供されることができ、例えば、銅柱であることができる。金属柱構造物の形態である第1及び第2連結電極131、132は、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2にそれぞれ接合されることができ、ここで接合工程は、例えば熱超音波ボンディング工程を利用することができる。同様に、金属柱構造物の形態である第3及び第4連結電極133、134は、第2コイル122の一端122E1と他端122E2にそれぞれ接合されることができる。この場合、第1コイル121の一端121E1と他端121E2で第1及び第2連結電極131、132とそれぞれ連結される領域は、支持部材130を貫通する導電性ビア121V1、121V2であることができる。これとは異なり、
図10及び
図11の変形例のように、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2は、支持部材130の他面Sbに延び、ここで、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2から支持部材130の他面Sbに延びる領域の厚さは、第2コイル122の厚さと同一であることができる。また、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2から支持部材130の他面Sbに延びる領域は、第2コイル122と同じ材質で同時に形成されることもできる。
【0041】
第1及び第2外部電極141、142は、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2とそれぞれ連結され、第3及び第4外部電極143、144は、第2コイル122の一端122E1及び他端122E2とそれぞれ連結される。図示の形態のように、第1~第4外部電極141-144は本体110の第2面S2に配置されることができ、これによって第2面S2はコイル部品100の実装面で提供されることができる。第1~第4外部電極141-144は、第2面S2の互いに異なる角にそれぞれ配置されることができ、この場合、第1外部電極141と第4外部電極144は、第2面S2の対角方向に対向し、第2外部電極142と第3外部電極143は、第2面S2の対角方向に対向するように配置されることができる。
【0042】
一方、第1及び第2コイル121、122と外部電極141-144の配置方式は、
図12及び
図13の変形例のような構造を有することもできる。具体的には、第1及び第2外部電極141、142は、第1コイル121の一端121E1及び他端121E2とそれぞれ連結され、第3及び第4外部電極143、144は、第2コイル122の一端122E1及び他端122E2とそれぞれ連結されるが、先の実施形態と外部電極141-144及び端部121E1、121E2、122E1、122E2の位置が異なる。第1及び第2外部電極141、142は第3方向(Z方向)に、第3及び第4外部電極143、144は第3方向(Z方向)に対向することができる。そして、第1及び第3外部電極141、143は第2方向(Y方向)に、第2及び第4外部電極142、144は第2方向(Z方向)に対向することができる。そして、第1及び第4外部電極141、144は対角方向に、第2及び第3外部電極142、143は対角方向に対向することができる。
図12及び
図13に示された第1及び第2コイル121、122と外部電極141-144の配置方式は、
図15以下の実施形態にも採用されることができる。
【0043】
第1~第4外部電極141-144は、電気導電性の高い金属を含むペーストを用いて形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)または銀(Ag)等の単独またはこれらの合金などを含む導電性ペーストであることができる。これとは異なり、第1~第4外部電極141-144はめっき層であることもでき、第1~第4連結電極131-134の表面に直接めっき層を形成する方法などで形成されることができる。また、
図14の変形例のように、第1~第4外部電極141-144は、導電性ペーストで形成されたベース層151とこれを覆うめっき層152が備える多層構造であることもできる。この場合、めっき層152は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びスズ(Sn)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層が順次に形成されることができる。
【0044】
図15~
図19を参照して本発明の他の実施形態を説明する。まず、
図15~
図17の実施形態の場合、コイル部品200Aは、本体210、支持部材230、第1コイル221、第2コイル222、第1及び第2迂回電極251、252、第1~第4外部電極241-244を含む。そして、第1及び第2コイル221、222等を保護するように表面の一部を覆う絶縁膜223が提供されることができる。上述した実施形態と異なる部分を中心に説明すると、本実施形態では、迂回電極251、252によってコイル221、222と外部電極241-244が連結され、ここで迂回電極251、252は本体210の側面側に延びることができる。具体的には、第1コイル221の一端221E1は第1巻回部221Cの最外側ターンの端部であり、第1コイル221の他端221E2は第1巻回部221Cの最内側ターンの端部であり、第2コイル222の一端222E1は第2巻回部222Cの最外側ターンの端部であり、第2コイル222の他端222E2は第2巻回部222Cの最内側ターンの端部であり、この場合、第1迂回電極251は、第1コイル221の他端221E2を第2外部電極242と連結し、第1コイル221の他端221E2とは導電性ビアV1を介して連結されることができる。そして、第1コイル221の一端221E1は本体210の側面に延びて第1外部電極241と直接連結されることができる。また、第2迂回電極252は、第2コイル222の他端222E2を第4外部電極242と連結し、第2コイル222の他端222E2とは導電性ビアV2を介して連結されることができる。そして、第2コイル222の一端222E1は本体210の側面に延びて第3外部電極243と直接連結されることができる。
【0045】
図示の形態のように、第1及び第2迂回電極251、252は、それぞれ少なくとも一部領域が第1及び第2巻回部221C、222Cと第1方向(X方向)に重なることができる。そして、第1及び第2コイル121、122の端部が本体210の側面に延びることによって、第1~第4外部電極241-244は、本体210の側面に形成されることができ、例えば、L字状を有することができる。支持部材230は多層構造を有することができ、具体的には、磁性層231とその一面及び他面に配置された絶縁層232、233を含むことができる。磁性層231の厚さなどを調節して透磁率を調節することができ、この場合、磁性層231は中央に貫通孔を有さないことができる。導電性ビアV1は絶縁層232を貫通することができ、第1迂回電極251は磁性層231と絶縁層232との間に配置されることができる。また、導電性ビアV2は絶縁層233を貫通することができ、第2迂回電極252は磁性層231と絶縁層233との間に配置されることができる。但し、支持部材230は、多層構造ではない先の実施形態のような構造の支持部材130として採用されることもできる。
【0046】
次に、
図18及び
図19の実施形態の場合、コイル部品200Bは、迂回電極261、262の形態で
図15~17の実施形態と差異がある。具体的には、第1及び第2迂回電極261、262は、支持部材230に埋め込まれる形態ではなく、第1及び第2コイル221、222の上側及び下側にそれぞれ形成される方式である。これにより、第1コイル221は第1迂回電極261と支持部材230との間に配置され、第2コイル222は第2迂回電極262と支持部材230との間に配置されることができる。第1及び第2迂回電極261、262は、超音波や熱などを用いたボンディング工程を介して第1及び第2コイル221、222にそれぞれ連結されることができ、それぞれ屈曲部261a、262aを含むことができる。また、第1及び第2迂回電極261、262は、第2及び第4外部電極242、244とそれぞれ連結される領域にパターン部261b、262bを含むことができ、パターン部261b、262bは、それぞれ第1及び第2コイル221、222と同じ材質及び高さで形成されることができる。支持部材230は多層構造を有することができ、具体的には、磁性層231とその一面及び他面に配置された絶縁層232、233を含むことができる。磁性層231の厚さなどを調節して透磁率を調節することができ、この場合、磁性層231は中央に貫通孔を有さないことができる。但し、支持部材230は、多層構造ではなく、先の実施形態のような構造の支持部材130として採用されることもできる。
【0047】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0048】
100、200A、200B コイル部品
110、210 本体
121、221 第1コイル
122、222 第2コイル
130、230 支持部材
231 磁性層
232、233 絶縁層
121C、122C 巻回部
121E1、122E1、221E1、222E1 一端
121E2、122E2、221E2、222E2 他端
141、142、143、144、241、242、243、244 外部電極
C1、C2 コア
121V1、121V2、V1、V2 導電性ビア