IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

特開2024-61624電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム
<>
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図1A
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図1B
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図2
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図3
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図4
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図5
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図6
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図7
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図8
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図9
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図10
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図11
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図12
  • 特開-電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061624
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20240425BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20240425BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06F11/30 158
G06F11/30 140A
G08C15/06 H
G08C17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145474
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2022168938
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 浩司
(72)【発明者】
【氏名】繁森 祥吾
【テーマコード(参考)】
2F073
5B042
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AB01
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC09
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE17
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG07
2F073GG08
5B042MA08
5B042MC38
(57)【要約】
【課題】計測タイミングを同期させることができる電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態に係る電池監視システムは、複数の計測装置と、電池監視装置とを備える。複数の計測装置は、電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測する。電池監視装置は、複数の計測装置それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、複数の計測装置それぞれからセル状態を示す状態情報を取得する。電池監視装置は、複数の計測装置それぞれに対してセル状態の計測指示を送信する場合に、複数の計測装置の計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの待機時間であって、複数の計測装置それぞれの待機時間を複数の計測装置へ送信する。複数の計測装置それぞれは、計測指示を受信してから待機時間が経過した後にセル状態を計測する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測する複数の計測装置と、
前記複数の計測装置それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、前記複数の計測装置それぞれから前記セル状態を示す状態情報を取得する電池監視装置とを備え、
前記電池監視装置は、
前記複数の計測装置それぞれに対して前記セル状態の計測指示を送信する場合に、前記複数の計測装置の計測タイミングが同期するように、前記計測指示を受信してから前記計測タイミングまでの待機時間であって、前記複数の計測装置それぞれの待機時間を前記複数の計測装置へ送信し、
前記複数の計測装置それぞれは、
前記計測指示を受信してから前記待機時間が経過した後に前記セル状態を計測する
電池監視システム。
【請求項2】
前記待機時間は、前記複数の計測装置それぞれで異なる
請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項3】
前記電池の電流値を計測する電流センサをさらに備え、
前記電池監視装置は、
同期された前記計測タイミングを、前記電流センサから前記電流値を取得するタイミングとして決定する
請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項4】
前記複数の計測装置は、
通信周期内において、前記電池監視装置と予め定められた順番で順次通信を行い、
前記電池監視装置は、
第1の通信周期で前記複数の計測装置が計測した前記状態情報それぞれを、前記第1の通信周期または前記第1の通信周期以降の周期である第2の通信周期で取得する
請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項5】
前記電池監視装置は、
前記第2の通信周期における最初の前記計測装置との通信タイミングから、前記状態情報を送信するために要する処理時間以上の時間を遡ったタイミングを前記計測タイミングとして決定する
請求項4に記載の電池監視システム。
【請求項6】
前記複数の計測装置それぞれは、
前記セル状態の前回計測時から今回計測時までの経過時間である時間情報を前記状態情報に紐づけて前記電池監視装置へ送信する
請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項7】
前記電池監視装置は、
前記時間情報に基づいて、前回計測時の計測処理を失敗したか否かを前記計測装置毎に判定する
請求項6に記載の電池監視システム。
【請求項8】
前記電池監視装置は、
前記複数の計測装置それぞれに対して周期的に前記計測指示を送信し、
前記複数の計測装置それぞれは、
前回の前記計測指示の受信時からの経過時間に基づいて、今回の前記計測指示の受信を失敗したか否かを判定する
請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項9】
前記複数の計測装置それぞれは、
今回の前記計測指示の受信を失敗した場合、前回の前記待機時間に基づく前記計測タイミングで前記セル状態を計測する
請求項8に記載の電池監視システム。
【請求項10】
前記複数の計測装置それぞれは、
受信した今回の前記計測指示が異常であった場合、前回の前記待機時間に基づく前記計測タイミングで前記セル状態を計測する
請求項8に記載の電池監視システム。
【請求項11】
前記複数の計測装置それぞれは、
各通信周期に対応付けられたシーケンス番号を前記状態情報に紐づけて前記電池監視装置へ送信し、
前記電池監視装置は、
前記シーケンス番号に基づいて、前記セル状態の計測処理を失敗したか否かを前記計測装置毎に判定する
請求項1に記載の電池監視システム。
【請求項12】
電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測する複数の計測装置それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、前記複数の計測装置それぞれから前記セル状態を示す状態情報を取得するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記複数の計測装置それぞれに対して前記セル状態の計測指示を送信する場合に、前記複数の計測装置の計測タイミングが同期するように、前記計測指示を受信してから前記計測タイミングまでの待機時間であって、前記複数の計測装置それぞれの待機時間を前記複数の計測装置へ送信する
電池監視装置。
【請求項13】
電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測し、通信周期内において無線通信により通信することで、電池監視装置へ前記セル状態を示す状態情報を送信するコントローラを備え、
前記コントローラは、
他の計測装置と計測タイミングを同期させる待機時間であって、計測指示を受信してから前記計測タイミングまでの待機時間を前記電池監視装置から受信し、前記計測指示を受信してから前記待機時間が経過した後に前記セル状態を計測する
計測装置。
【請求項14】
電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測する複数の計測装置と、
前記複数の計測装置それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、前記複数の計測装置それぞれから前記セル状態を示す状態情報を取得する電池監視装置とを用いた電池監視方法において、
前記電池監視装置が、前記複数の計測装置それぞれに対して前記セル状態の計測指示を送信する場合に、前記複数の計測装置の計測タイミングが同期するように、前記計測指示を受信してから前記計測タイミングまでの待機時間であって、前記複数の計測装置それぞれの待機時間を前記複数の計測装置へ送信する工程と、
前記複数の計測装置それぞれが、前記計測指示を受信してから前記待機時間が経過した後に前記セル状態を計測する工程と、
を含む電池監視方法。
【請求項15】
電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測する複数の計測装置と、
前記複数の計測装置それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、前記複数の計測装置それぞれから前記セル状態を示す状態情報を取得する電池監視装置とを備える電池監視システムに、
前記電池監視装置が、前記複数の計測装置それぞれに対して前記セル状態の計測指示を送信する場合に、前記複数の計測装置の計測タイミングが同期するように、前記計測指示を受信してから前記計測タイミングまでの待機時間であって、前記複数の計測装置それぞれの待機時間を前記複数の計測装置へ送信する手順と、
前記複数の計測装置それぞれが、前記計測指示を受信してから前記待機時間が経過した後に前記セル状態を計測する手順と、
を実行させる電池監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池監視システムでは、バッテリを構成する複数のセルそれぞれの状態を計測する複数の子機と、各子機からセルの状態を取得してバッテリを監視する親機とを無線通信により接続する技術が提案されている。
【0003】
また、この種の電池監視システムでは、一般に子機間で通信接続されないため、各子機の計測タイミングを揃えるために、親機が各子機の計測タイミングを同期させる必要がある。
【0004】
この点に関して、特許文献1では、親機が各子機に対してサンプリング信号をブロードキャスト方式により一斉送信することで、各子機のサンプリング(計測)を同期させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2022-535122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、ブロードキャスト方式による一斉送信を前提としているため、例えば、通信周期内において無線通信により各子機と1対1で順次通信するユニキャスト方式では計測タイミングを同期させることができないおそれがあった。
【0007】
具体的には、特許文献1では、ブロードキャスト方式によりサンプリング信号を同時にすべての子機へ一斉送信することで、すべての子機は、同時に受信したサンプリング信号に従って計測することで、計測タイミングを同期させている。
【0008】
ここで、仮に、ユニキャスト方式でサンプリング信号を送信した場合、サンプリング信号を受信するタイミングが子機間で異なってしまうことから、サンプリング信号に従って計測したとしても、子機間で計測タイミングを同期させることができない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、計測タイミングを同期させることができる電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電池監視システムは、複数の計測装置と、電池監視装置とを備える。前記複数の計測装置は、電池を構成する複数のセルそれぞれのセル状態を計測する。前記電池監視装置は、前記複数の計測装置それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、前記複数の計測装置それぞれから前記セル状態を示す状態情報を取得する。前記電池監視装置は、前記複数の計測装置それぞれに対して前記セル状態の計測指示を送信する場合に、前記複数の計測装置の計測タイミングが同期するように、前記計測指示を受信してから前記計測タイミングまでの待機時間であって、前記複数の計測装置それぞれの待機時間を前記複数の計測装置へ送信する。前記複数の計測装置それぞれは、前記計測指示を受信してから前記待機時間が経過した後に前記セル状態を計測する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、計測タイミングを同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、実施形態に係る電池監視システムの構成例を示すブロック図である。
図1B図1Bは、実施形態に係る電池監視システムの動作例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る電池監視装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る計測装置の機能構成例を示すブロック図である。
図4図4は、電流値の取得タイミングの同期処理を示す図である。
図5図5は、待機時間の算出方法を説明するための説明図である。
図6図6は、実施形態に係る電池監視システムにおいて実行される処理の処理手順を示すタイミングチャートである。
図7図7は、計測装置における計測処理の失敗の有無を検出する処理を説明する図である。
図8図8は、計測装置における計測指示の受信失敗の有無を検出する処理を説明する図である。
図9図9は、計測装置における計測処理の失敗の有無を検出する処理を説明する図である。
図10図10は、変形例に係る電池監視システムの構成例を示す図である。
図11図11は、変形例に係る電池監視システムの構成例を示す図である。
図12図12は、変形例に係るTCUが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
図13図13は、変形例に係る電池監視装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る電池監視システム、電池監視装置、計測装置、電池監視方法および電池監視プログラムを詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
まず、図1Aおよび図1Bを用いて実施形態に係る電池監視システムの概要について説明する。図1Aは、実施形態に係る電池監視システムSの構成例を示すブロック図である。図1Bは、実施形態に係る電池監視システムSの動作例を示す図である。
【0015】
実施形態に係る電池監視システムSは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される車両駆動用の電池(例えば、リチウムイオンバッテリ)の状態を監視するシステムである。なお、電池監視システムSは、車両用の電池以外の任意の電池の状態を監視するように構成されてもよい。
【0016】
図1Aに示すように、電池監視システムSは、電池監視装置1と、複数の計測装置10a,10b,10cと、電池50と、電流センサ100とを備える。図1Aに示す電池監視システムSは、複数のセル51a,51b,51cが直列に接続された電池50から出力される電圧の電圧情報と、電池50を流れる電流の電流情報とから電池50のセル抵抗を算出し、セル抵抗の抵抗値に基づいて電池50の劣化状態を監視する。なお、以下では、複数の計測装置10a,10b,10cを特に区別しない場合、複数の計測装置10と総称する。また、複数のセル51a,51b,51cを特に区別しない場合、複数のセル51と総称する。
【0017】
複数の計測装置10は、電池50を構成する複数のセル51それぞれに接続され、電池監視装置1の計測指示に従って、複数のセル51それぞれのセル状態を計測する。セル状態は、例えば、セルの電圧(以下、セル電圧)や、セルの温度(以下、セル温度)等である。なお、以下では、計測装置10は、セル状態として、セル電圧を計測する場合を例に挙げて説明する。
【0018】
具体的には、計測装置10aは、セル51aのセル電圧を計測し、計測装置10bは、セル51bのセル電圧を計測し、計測装置10cは、セル51cのセル電圧を計測する。
【0019】
電池監視装置1は、例えば、時分割の無線通信により複数の計測装置10それぞれと通信可能に接続され、複数の計測装置10それぞれからセル状態を示す状態情報を取得する。具体的には、電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信する。つまり、電池監視装置1は、通信周期を時分割し、予め決められた時間内で複数の計測装置10それぞれと1対1で順次通信するユニキャスト方式により通信接続される。なお、通信周期とは、電池監視装置1がすべての計測装置10と通信を完了するまでの期間である。
【0020】
電流センサ100は、電池50を流れる電流を計測する。電流センサ100は、電池監視装置1が備えてもよく、電池監視装置1の外部に配置し、計測した電流値を電池監視装置1に送信してもよい。なお、以下では、電流センサ100が電池監視装置1の外部に配置され、計測した電流値を電池監視装置1に有線接続により送信する場合を例に挙げて説明する。
【0021】
このような構成において、実施形態に係る電池監視システムSでは、電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれに対してセル状態の計測指示を送信する場合に、複数の計測装置10の計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの、複数の計測装置10の待機時間を複数の計測装置10へ送信する。そして、複数の計測装置10それぞれは、電池監視装置1からユニキャスト方式により計測指示を受信し、計測指示を受信してから待機時間が経過した後のタイミングである計測タイミングでセル状態を計測する。
【0022】
ここで、図1Bを用いて、実施形態に係る電池監視システムSの計測タイミングの同期処理について説明する。なお、図1Bでは、通信周期1~通信周期3の連続する3周期において実行される電池監視システムSの処理例を示している。
【0023】
図1Bに示すように、電池監視装置1は、まず、通信周期1が始まる前、すなわち、通信周期1における最初の通信順番の計測装置10aと通信を行う前に、複数の計測装置10a,10b,10cそれぞれの待機時間を算出する(S1)。なお、待機時間の具体的な算出方法については、図5で後述する。
【0024】
つづいて、電池監視装置1は、通信周期1における最初の通信順番の計測装置10aへ送信する計測指示の送信データを作成し、計測装置10aへ送信する(S2)。具体的には、電池監視装置1は、計測指示と、計測装置10aに対応した待機時間d1とを含んだ送信データを作成し、ユニキャスト方式により計測装置10aへ送信データを送信する。
【0025】
つづいて、計測装置10aは、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d1の情報を読み取る(S3)。つづいて、計測装置10aは、待機時間d1のカウント(カウントアップもしくはカウントダウン)を開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S4)。なお、計測装置10aは、応答を送信する際、以前に計測したセル電圧を状態情報として電池監視装置1へ送信してもよい。
【0026】
つづいて、電池監視装置1は、次の通信順番の計測装置10bへ送信する計測指示の送信データを作成し、計測装置10bへ送信する(S5)。具体的には、電池監視装置1は、計測指示と、計測装置10bに対応した待機時間d2とを含んだ送信データを作成し、ユニキャスト方式により計測装置10bへ送信データを送信する。
【0027】
つづいて、計測装置10bは、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d2の情報を読み取る(S6)。つづいて、計測装置10bは、待機時間d2のカウントを開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S7)。
【0028】
つづいて、電池監視装置1は、次の通信順番の計測装置10cへ送信する計測指示の送信データを作成し、計測装置10cへ送信する(S8)。具体的には、電池監視装置1は、計測指示と、計測装置10cに対応した待機時間d3とを含んだ送信データを作成し、ユニキャスト方式により計測装置10cへ送信データを送信する。
【0029】
つづいて、計測装置10cは、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d3の情報を読み取る(S9)。つづいて、計測装置10cは、待機時間d3のカウントを開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S10)。
【0030】
ここで、待機時間d1~d3は、計測タイミングが同期するようにするため、通信順番が先であるほど、長い時間が設定される。つまり、電池監視装置1は、複数の計測装置10a,10b,10cの計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの待機時間d1~d3をそれぞれ算出して複数の計測装置10a,10b,10cへ送信する。
【0031】
そして、図1Bに示すように、複数の計測装置10a,10b,10cそれぞれは、計測指示を受信してからそれぞれに対応した待機時間d1~d3が経過した後にセル電圧を計測する(S11-1~S11-3)。これにより、複数の計測装置10a,10b,10cそれぞれの計測タイミングを同期させることができる。
【0032】
つづいて、電池監視装置1は、通信周期3が始まる前、すなわち、通信周期3における最初の通信順番の計測装置10aと通信を行う前に、複数の計測装置10a,10b,10cそれぞれの待機時間を算出する(S12)。
【0033】
つづいて、電池監視装置1は、通信周期3における最初の通信順番の計測装置10aへ送信する計測指示の送信データを作成し、計測装置10aへ送信する(S13)。具体的には、電池監視装置1は、計測指示と、計測装置10aに対応した待機時間d1とを含んだ送信データを作成し、ユニキャスト方式により計測装置10aへ送信データを送信する。
【0034】
なお、通信周期3において、計測指示を送信しない場合、言い換えれば、次回の計測指示が通信周期3よりもさらに後の通信周期で行うスケジュールである場合、電池監視装置1は、ステップS12の処理を省略し、計測指示や待機時間の情報を含まない送信データ(ヘッダのみ)を計測装置10aへ送信することとなる。
【0035】
つづいて、計測装置10aは、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d1の情報を読み取る(S14)。つづいて、計測装置10aは、待機時間d1のカウント(カウントアップもしくはカウントダウン)を開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S15)。具体的には、計測装置10aは、電池監視装置1へ応答を送信する際、通信周期2で自身が計測したセル電圧を状態情報として送信する。
【0036】
つづいて、電池監視装置1は、次の通信順番の計測装置10bへ送信する計測指示の送信データを作成し、計測装置10bへ送信する(S16)。具体的には、電池監視装置1は、計測指示と、計測装置10bに対応した待機時間d2とを含んだ送信データを作成し、ユニキャスト方式により計測装置10bへ送信データを送信する。
【0037】
つづいて、計測装置10bは、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d2の情報を読み取る(S17)。つづいて、計測装置10bは、待機時間d2のカウントを開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S18)。具体的には、計測装置10bは、電池監視装置1へ応答を送信する際、通信周期2で自身が計測したセル電圧を状態情報として送信する。
【0038】
つづいて、電池監視装置1は、次の通信順番の計測装置10cへ送信する計測指示の送信データを作成し、計測装置10cへ送信する(S19)。具体的には、電池監視装置1は、計測指示と、計測装置10cに対応した待機時間d3とを含んだ送信データを作成し、ユニキャスト方式により計測装置10cへ送信データを送信する。
【0039】
つづいて、計測装置10cは、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d3の情報を読み取る(S20)。つづいて、計測装置10cは、待機時間d3のカウントを開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S21)。具体的には、計測装置10cは、電池監視装置1へ応答を送信する際、通信周期2で自身が計測したセル電圧を状態情報として送信する。
【0040】
このステップS14~ステップS21の処理により、電池監視装置1は、通信周期2で複数の計測装置10a~10cそれぞれが計測したセル電圧を通信周期3内ですべて取得することができる。
【0041】
上述したように、実施形態に係る電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれに対してセル状態の計測指示を送信する場合に、複数の計測装置10の計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの待機時間をそれぞれ算出して複数の計測装置10へ送信する。そして、複数の計測装置10それぞれは、計測指示を受信してからそれぞれに対応した待機時間が経過した後にセル状態を計測することで、計測タイミングを同期させることができる。
【0042】
なお、上述した電池監視システムSの処理例は一例であり、必ずしも上述の手順で行われなくてもよい。例えば、ステップS11-1~ステップS11-3の処理は通信周期2以外で行われてもよく、複数の計測装置10a~10cそれぞれが受信した待機時間d1~d3に応じて、例えば、通信周期3以降で行ってもよい。
【0043】
同様に、ステップS14~ステップS21の処理は通信周期3で行われなくてもよく、例えば、通信周期4以降で行ってもよい。その場合、複数の計測装置10a~10cそれぞれが計測したセル電圧は、電池監視装置1に送信されるまで、複数の計測装置10a~10cそれぞれが保持する。また、通信周期2の早いタイミングでステップS11-1~ステップS11-3の処理が完了するなどの理由で、通信周期2でステップS14~ステップS21の処理が可能な場合、通信周期2で行ってもよい。
【0044】
次に、図2および図3を用いて、電池監視装置1および計測装置10の機能構成例について説明する。図2は、実施形態に係る電池監視装置1の機能構成例を示すブロック図である。図3は、実施形態に係る計測装置10の機能構成例を示すブロック図である。
【0045】
図2に示すように、実施形態に係る電池監視装置1は、通信部2と、コントローラ3と、記憶部4とを備える。コントローラ3は、電流センサ100に有線接続される。
【0046】
通信部2は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energyの略称。Bluetoothは登録商標)通信機能を備える通信IC(Integrated Circuit)である。通信部2は、複数の計測装置10それぞれに対して、通信周期内において時分割の無線通信により1対1で順次通信を行う。つまり、通信部2は、ユニキャスト方式により無線通信を行う。また、通信部2は、コントローラ3との間で、例えば、SPI(Serial Peripheral Interfaceの略称。)通信による有線通信を行う。また、通信部2は、上記した待機時間の算出処理を行う。
【0047】
記憶部4は、たとえば、RAM(Random Access Memory)やデータフラッシュである。記憶部4は、計測装置10から取得した状態情報や、電流センサ100から取得した電流値、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、電池監視装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0048】
コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAMなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、電池監視装置1全体の動作を制御する。なお、コントローラ3は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0049】
コントローラ3は、上記した計測指示の送信処理等を行う。なお、コントローラ3は、通信部2に代わって待機時間の算出処理を行ってもよい。また、コントローラ3は、算出した待機時間に基づいて、電流センサ100から電流値を取得するタイミングを計測装置10の計測タイミングと同期させるが、かかる点の詳細については、図4で後述する。
【0050】
次に、図3に示すように、実施形態に係る計測装置10は、通信部20と、コントローラ30と、記憶部40とを備える。コントローラ30は、セル51に有線接続される。
【0051】
通信部20は、例えば、BLE通信機能を備える通信ICである。通信部20は、電池監視装置1に対して、通信周期内において予め決められた時間に無線通信により1対1で通信を行う。つまり、通信部20は、ユニキャスト方式により無線通信を行う。また、通信部20は、コントローラ30との間で、例えば、SPI通信による有線通信を行う。
【0052】
記憶部40は、たとえば、RAM(Random Access Memory)やデータフラッシュである。記憶部40は、計測装置10が計測したセル状態や、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、計測装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0053】
コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAMなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、計測装置10全体の動作を制御する。なお、コントローラ30は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0054】
コントローラ30は、セル51のセル状態の計測処理や、セル状態を示す状態情報の送信処理等を行う。また、コントローラ30は、タイマー11で計測した時間情報に基づいて、計測指示の受信失敗の有無を判定可能であるが、かかる点の詳細については、図8を用いて説明する。
【0055】
次に、図4を用いて、電池監視装置1による電流値の取得タイミングの同期処理について説明する。図4は、電流値の取得タイミングの同期処理を示す図である。電池監視装置1は、待機時間により同期された計測タイミングを、電流センサ100から電流値を取得するタイミングとして決定する。
【0056】
具体的には、まず、電池監視装置1のコントローラ3は、計測装置10に対して送信する計測指示の送信データを作成し、SPI通信により通信部2へ送信データを送信する(S1)。
【0057】
つづいて、電池監視装置1の通信部2は、計測指示の送信データに基づいて計測装置10の待機時間d1を算出し、計測指示と待機時間d1とを含む送信データを計測装置10へ送信する(S2)。
【0058】
つづいて、計測装置10は、受信した送信データを解析し、送信データから計測指示および待機時間d1の情報を読み取る(S3)。つづいて、計測装置10は、待機時間d1のカウント(カウントアップもしくはカウントダウン)を開始するとともに、電池監視装置1へ送信データに対する応答を送信する(S4)。
【0059】
また、電池監視装置1のコントローラ3は、通信部2の通信端子をモニターし、通信部2から計測装置10への送信データの送信タイミングを検出する(S5)。つづいて、電池監視装置1は、検出した送信タイミングから所定時間後を起点として待機時間d1のカウントを開始する(S6)。所定時間は、例えば、計測装置10が計測指示を受信してから待機時間d1のカウントを開始するまでの時間であり、例えば、実験等により予め設定される。
【0060】
つづいて、電池監視装置1は、待機時間d1が経過した後の計測タイミングにおいて、電流センサ100から電流値を取得する(S7-1)。また、計測装置10は、待機時間d1が経過した後の計測タイミングにおいて、セル電圧を計測する(S7-2)。
【0061】
このように、電池監視装置1は、待機時間により同期された計測タイミングを、電流センサ100から電流値を取得するタイミングとして決定することで、セル状態の計測タイミングと電流値の取得タイミングとを同期させることができる。すなわち、時分割である無線通信において、タイムスタンプを用いることで電流値と電圧値を同期したタイミングで取得することが可能となる。
【0062】
次に、図5を用いて、待機時間の算出方法について説明する。図5は、待機時間の算出方法を説明するための説明図である。なお、図5に示すステップS1~S21については、図1Bにて既に説明したため、各ステップの処理内容の説明については省略する。
【0063】
図5に示すように、各待機時間d1~d3は、個別時間Diと、共通時間Dcとを合算した時間である。具体的には、待機時間d1は、個別時間Di1と、共通時間Dc1とを合算した時間である。また、待機時間d2は、個別時間Di2と、共通時間Dc2とを合算した時間である。また、待機時間d3は、共通時間Dc2である(個別時間Diはゼロ)。
【0064】
より具体的には、個別時間Diは、計測装置10a~10cそれぞれに対応した異なる時間であり、共通時間Dcは、計測装置10a~10cそれぞれで同じ時間である。
【0065】
図5に示すように、個別時間Diは、計測装置10毎に算出される。具体的には、個別時間Diは、通信周期内において通信接続する計測装置10の接続台数(図5では3台)から通信周期内における通信順番を減算した値と時間Eとの積である。
【0066】
時間Eは、通信周期内において各計測装置10の通信が行われる間隔の時間である。つまり、時間Eは、ガード時間(ガードインターバル)である。
【0067】
例えば、計測装置10aの個別時間Di1は、通信周期内において最初の通信順番であるため、接続台数である「3」から通信順番である「1」を減算した値と時間Eとの積となる。これにより、各計測装置10の個別時間Diを正確に算出することができる。
【0068】
次に、共通時間Dcは、時間A、時間Bおよび時間Cを合算した時間から時間Dを減算した時間である。
【0069】
時間Aは、通信周期内において最後の通信順番の計測装置10cが電池監視装置1からの計測指示の受信を完了(待機時間d3の解析完了)してから通信周期が終わるまでの時間である。つまり、図5では、時間Aは、ステップS9を完了してから通信周期1が終わるまでの時間である。
【0070】
時間Bは、今回計測指示を送信した通信周期1の終わりからセル状態を送信する通信周期3を開始するまでの時間である。つまり、図5では、時間Bは、通信周期1の終わりから通信周期3を開始するまでの時間である。
【0071】
時間Cは、セル状態を送信する通信周期3の開始から最初の通信順番の計測装置10aがセル状態を電池監視装置1へ送信開始するまでの時間である。つまり、図5では、時間Cは、通信周期3の開始からステップS15の開始(ステップS14の完了)までの時間である。
【0072】
時間Dは、計測装置10がセル状態を計測してから電池監視装置1へセル状態を送信するまでに計測装置10が行う内部処理に要する処理時間である。つまり、図5では、時間Dは、ステップS11-1~S11-3の開始からステップS15の開始(ステップS14の完了)までの時間である。内部処理は、例えば、セル状態のデータ圧縮やデータ形式の変換等の処理を含む。つまり、計測装置10aは、内部処理の完了をもって状態情報を送信可能となるため、内部処理が完了しない状態でステップS15を迎えた場合には、ステップS11-1で計測したセル状態は通信周期3より後の通信周期で送信されることなる。なお、計測装置10の内部処理に想定より時間がかかった場合に状態情報の送信が間に合わないといった事態を回避するため、時間Dを計測装置10が行う内部処理に要する処理時間よりも長く設定してもよい。
【0073】
このように、電池監視装置1は、第1の通信周期(通信周期2)で複数の計測装置10が計測した状態情報それぞれを、第1の通信周期の次の周期である第2の通信周期(通信周期3)で取得する。そして、電池監視装置1は、この場合において、第2の通信周期における最初の計測装置10との通信タイミングから、状態情報を送信するために要する処理時間(時間D)を遡ったタイミングを計測タイミングとして決定する。
【0074】
これにより、複数の計測装置10が計測したセル状態を次の通信周期において電池監視装置1へすべて送信することができる。言い換えれば、計測装置10の内部処理の処理時間分だけ遡ることで、内部処理により最初の通信順番の計測装置10がセル状態の送信に間に合わなくなることを回避することができる。なお、待機時間は算出により求められなくてもよく、あらかじめ決定された待機時間を電池監視装置1が保持していてもよい。その場合、電池監視装置1は待機時間を算出する処理を行う必要がなくなり、負荷が軽減される。
【0075】
次に、図6を用いて、実施形態に係る電池監視システムSにおいて実行される処理の処理手順について説明する。図6は、実施形態に係る電池監視システムSにおいて実行される処理の処理手順を示すタイミングチャートである。
【0076】
図6に示すように、まず、電池監視装置1は、計測装置10毎の待機時間を算出する(ステップS101)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10毎に異なる個別時間Diと、計測装置10それぞれで共通の共通時間Dcとを合算した待機時間を算出する。
【0077】
つづいて、電池監視装置1は、通信周期内における最初の通信順番の計測装置10aに対してセル状態の計測指示を行う(ステップS102)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10aに対応した待機時間を含む計測指示をユニキャスト方式により計測装置10aへ送信する。
【0078】
つづいて、計測装置10aは、計測指示を受信した場合に、計測指示から待機時間を解析し、解析完了後に電池監視装置1に対して計測指示の受信完了(待機時間の解析完了)を示す応答を電池監視装置1へ送信する(ステップS103)。
【0079】
つづいて、電池監視装置1は、通信周期内における次の通信順番の計測装置10bに対してセル状態の計測指示を行う(ステップS104)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10bに対応した待機時間を含む計測指示をユニキャスト方式により計測装置10bへ送信する。
【0080】
つづいて、計測装置10bは、計測指示を受信した場合に、計測指示から待機時間を解析し、解析完了後に電池監視装置1に対して計測指示の受信完了(待機時間の解析完了)を示す応答を電池監視装置1へ送信する(ステップS105)。
【0081】
つづいて、電池監視装置1は、通信周期内における次の通信順番の計測装置10cに対してセル状態の計測指示を行う(ステップS106)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10cに対応した待機時間を含む計測指示をユニキャスト方式により計測装置10cへ送信する。
【0082】
つづいて、計測装置10cは、計測指示を受信した場合に、計測指示から待機時間を解析し、解析完了後に電池監視装置1に対して計測指示の受信完了(待機時間の解析完了)を示す応答を電池監視装置1へ送信する(ステップS107)。
【0083】
つづいて、電池監視装置1は、計測装置10の計測タイミングにより電流センサ100から電流値を取得し(ステップS108-1)、各計測装置10a~10cは、待機時間経過後の計測タイミングによりセル電圧を計測する(ステップS108-2~ステップS108-4)。
【0084】
つづいて、電池監視装置1は、計測後の次の通信周期内における最初の通信順番の計測装置10aに対してセル状態の計測指示を行う(ステップS109)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10aに対応した待機時間を含む計測指示をユニキャスト方式により計測装置10aへ送信する。
【0085】
つづいて、計測装置10aは、計測指示を受信した場合に、計測指示から待機時間を解析し、解析完了後に電池監視装置1に対して計測指示の受信完了(待機時間の解析完了)を示す応答を電池監視装置1へ送信する(ステップS110)。また、計測装置10aは、応答の送信とともに、ステップS108-2で計測したセル電圧を電池監視装置1へ送信する。
【0086】
つづいて、電池監視装置1は、次の通信順番の計測装置10bに対してセル状態の計測指示を行う(ステップS111)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10bに対応した待機時間を含む計測指示をユニキャスト方式により計測装置10bへ送信する。
【0087】
つづいて、計測装置10bは、計測指示を受信した場合に、計測指示から待機時間を解析し、解析完了後に電池監視装置1に対して計測指示の受信完了(待機時間の解析完了)を示す応答を電池監視装置1へ送信する(ステップS112)。また、計測装置10bは、応答の送信とともに、ステップS108-3で計測したセル電圧を電池監視装置1へ送信する。
【0088】
つづいて、電池監視装置1は、次の通信順番の計測装置10cに対してセル状態の計測指示を行う(ステップS113)。具体的には、電池監視装置1は、計測装置10cに対応した待機時間を含む計測指示をユニキャスト方式により計測装置10cへ送信する。
【0089】
つづいて、計測装置10cは、計測指示を受信した場合に、計測指示から待機時間を解析し、解析完了後に電池監視装置1に対して計測指示の受信完了(待機時間の解析完了)を示す応答を電池監視装置1へ送信する(ステップS114)。また、計測装置10cは、応答の送信とともに、ステップS108-4で計測したセル電圧を電池監視装置1へ送信する。
【0090】
上述してきたように、実施形態に係る電池監視システムSは、複数の計測装置と、電池監視装置とを備える。複数の計測装置10は、電池50を構成する複数のセル51それぞれのセル状態を計測する。電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信することで、複数の計測装置10それぞれからセル状態を示す状態情報を取得する。電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれに対してセル状態の計測指示を送信する場合に、複数の計測装置10の計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの待機時間であって、複数の計測装置10それぞれの待機時間を複数の計測装置10へ送信する。複数の計測装置10それぞれは、計測指示を受信してから待機時間が経過した後にセル状態を計測する。
【0091】
これにより、ユニキャスト方式での無線通信においても、複数の計測装置10の計測タイミングが同期する待機時間をそれぞれ算出することで、複数の計測装置10それぞれの計測タイミングを同期させることができる。
【0092】
次に、図7を用いて、計測装置10における計測処理の失敗の有無を検出する処理について説明する。図7は、計測装置10における計測処理の失敗の有無を検出する処理を説明する図である。なお、図7では、説明の簡略化のため、計測装置10aのみを示し、計測装置10b,10cを省略している。
【0093】
また、図7に示すステップS1~S9は、電池監視装置1が待機時間の算出処理(S1)を行ってからセル状態を示す状態情報を送信するまでの処理(S9)であり、図1BにおけるステップS1~S21に対応する。また、図7に示すステップS10は、ステップS8にて受信した待機時間d1後にセル状態を計測する処理である。
【0094】
図7に示すように、計測装置10aは、時間を計測するタイマー11を備える。なお、図示を省略した計測装置10b,10cもそれぞれ独立してタイマーを備える。計測装置10aは、タイマー11を用いて、セル状態の計測処理間の経過時間を計測する。つまり、計測装置10aは、セル状態の前回計測時から今回計測時までの経過時間である時間情報を計測する。図7に示す例では、計測処理であるステップS5でタイマー11をリセットするとともに再スタートし、次の計測処理であるステップS10で再びタイマー11をリセットするとともに再スタートする。そして、計測装置10aは、計測した時間情報を状態情報に紐づけて電池監視装置1へ送信する。
【0095】
ここで、ステップS5およびステップS10それぞれで正常にセル状態が計測された場合には、ステップS10におけるタイマー11の経過時間は、時間D1となる。一方、計測装置10aがステップS5の計測処理を失敗し、ステップS10の計測処理を成功した場合、ステップS10におけるタイマー11の経過時間は、ステップS5以前の計測時からの経過時間となるため、時間D1よりも長い時間となる。なお、ステップS5の計測処理に失敗した場合、ステップS9により送信されるセル状態は、ステップS5以前に計測された古いセル状態となる。
【0096】
そこで、電池監視装置1は、状態情報に紐づいた時間情報に基づいて、前回計測時の計測処理を失敗したか否かを計測装置10毎に判定する。具体的には、電池監視装置1は、時間情報である経過時間が所定の閾値(時間D1)よりも長い場合、前回計測時の計測処理(ステップS5)を失敗したと判定する。すなわち、電池監視装置1は、ステップS9で送信された状態情報がステップS5以前のセル状態であると判定する。
【0097】
無線通信において、一般に送信データ量は多ければ多いほど通信の確実性や通信時間などの面で不利になるため、送信データ量は少ない方が好まれる。しかしながら上述のように、状態情報に時間情報を紐づけることで、送信データ量は増加するものの、計測装置10が前回計測時の計測処理に失敗したことを高精度に検出することができる。
【0098】
次に、図8を用いて、計測装置10における計測指示の受信失敗の有無を検出する処理について説明する。図8は、計測装置10における計測指示の受信失敗の有無を検出する処理を説明する図である。
【0099】
なお、図8に示すステップS1~S10は、図7で示したステップS1~S10と同じ処理であるため、処理内容の説明の詳細については省略する。
【0100】
図8に示すように、計測装置10aは、タイマー11を用いて、前回の計測指示の受信時から今回の計測指示の受信までの経過時間を計測し、計測した経過時間に基づいて、今回の計測指示の受信を失敗したか否かを判定する。
【0101】
具体的には、計測装置10aは、計測指示の受信タイミングであるステップS3,S8それぞれでタイマー11をリセットするとともに再スタートする。ここで、ステップS3,S8ともに計測指示の受信に成功した場合、待機時間のカウントを開始するステップS9では、タイマー11の経過時間は、ステップS8までの時間となるため、時間D2となる。一方、ステップS3の計測指示の受信を成功し、ステップS8の計測指示の受信を失敗した場合、タイマー11の経過時間は、リセットされないため、時間D2よりも長い時間となる。
【0102】
つまり、計測装置10aは、前回の計測指示の受信時からの経過時間が所定の閾値(時間D2)よりも長い場合には、今回の計測指示の受信に失敗したと判定する。このように、前回の計測指示の受信時からの経過時間を計測することで、今回の計測指示の受信に失敗したか否かを高精度に判定することができる。
【0103】
そして、計測装置10aは、今回の計測指示の受信に失敗した場合、今回の待機時間d1を判断できないため、前回の待機時間に基づく計測タイミングでセル状態を計測する。つまり、計測装置10aは、ステップS8での計測指示の受信に失敗した場合、ステップS3で受信した計測指示における待機時間を用いて、ステップS9から待機時間のカウントを開始する。なお、通信周期の長さや、通信順番は予め固定されているため、前回の待機時間を用いたとしても他の計測装置10b,10cと計測タイミングがずれることはない。これにより、待機時間の受信に失敗した場合であっても、前回の待機時間を用いることで、他の計測装置10b,10cと計測タイミングを同期させることができる。
【0104】
なお、図8では、ステップS8で計測指示を受信しなかった場合について説明したが、例えば、ステップS8で受信した計測指示が異常である場合、言い換えれば、計測指示や待機時間のデータのバグ等が生じる場合も起こりうる。かかる場合、タイマー11の待機時間は、時間D2となるため、異常な計測指示であったとしても受信に成功したと判定することとなる。
【0105】
そして、計測装置10aは、受信に成功した今回の計測指示が異常であった場合、前回の待機時間に基づく計測タイミングでセル状態を計測する。具体的には、計測装置10aは、受信した計測指示をステップS8の解析処理した結果、待機時間を読み取れない(あるいは、計測指示と読み取れない)異常を検出した場合、ステップS3で受信した計測指示における待機時間を用いて、ステップS9から待機時間のカウントを開始する。これにより、受信した計測指示が異常である場合でも、前回の待機時間を用いることで、他の計測装置10b,10cと計測タイミングを同期させることができる。
【0106】
なお、計測装置10aは、前回の待機時間に基づく計測タイミングでセル状態を計測した場合には、状態情報を送信する際に、計測指示の受信に失敗、もしくは、受信した計測指示が異常である異常情報を状態情報に紐づけて送信してもよい。これにより、電池監視装置1が異常情報が紐づいた状態情報を正規の値ではなく、状態情報の計測タイミングが少しでも同期していない可能性を含んだ参考値として扱うことができる。
【0107】
次に、図9を用いて、計測装置10における計測処理の失敗の有無を、通信周期に対応したシーケンス番号を用いて検出する処理について説明する。図9は、計測装置10における計測処理の失敗の有無を検出する処理を説明する図である。
【0108】
なお、図9に示すステップS1~ステップS21の基本的な処理内容は図1Bに示すステップS1~ステップS21の処理内容と同様であるため説明を省略し、シーケンス番号に関連する処理を中心に説明する。
【0109】
図9に示すように、電池監視装置1は、各通信周期に対応付けられたシーケンス番号を各計測装置10へ送信する。図9に示す例では、電池監視装置1は、通信周期1に対応するシーケンス番号1を、計測指示とともに各計測装置10へ送信する。具体的には、電池監視装置1は、通信周期1のステップS2,S5,S8において、シーケンス番号1を紐づけた計測指示を待機時間とともに送信する。
【0110】
そして、各計測装置10は、通信周期3のステップS15,S18,S21において、シーケンス番号を状態情報に紐づけて電池監視装置1へ送信する。そして、電池監視装置1は、収集した状態情報に紐づいたシーケンス番号に基づいて、セル状態の計測処理を失敗したか否かを計測装置10毎に判定する。
【0111】
具体的には、電池監視装置1は、通信周期3で受信した各状態情報に紐づいたシーケンス番号がすべて一致する場合、すべての計測装置10が計測処理に成功したと判定する。一方、電池監視装置1は、各状態情報に紐づいたシーケンス番号のうち少なくとも1つが異なる場合には、異なるシーケンス番号の状態情報を送信した計測装置10が計測処理に失敗したと判定する。
【0112】
計測処理に失敗した計測装置10が存在する場合、電池監視装置1は、成功した計測装置10から受信した状態情報を採用する。電池監視装置1は、失敗した計測装置10から受信した状態情報を無視するか、正規の値ではなく、状態情報の計測タイミングが少しでも同期していない可能性を含んだ参考値として扱うことができる。
【0113】
この場合、電池監視装置1は失敗した計測装置10に関して、計測処理に失敗したという情報を記憶し、失敗が連続するなどの異常を検知した場合、失敗した計測装置10をリセットするなどの異常処理をしてもよい。
【0114】
このように、電池監視システムSは、通信周期に対応したシーケンス番号を状態情報に紐づけることで、シーケンス番号から各計測装置10が計測処理に失敗したか否かを判定することができる。
【0115】
なお、上述した実施形態は一例であって、例えば、外部サーバと、車両との通信により電池監視装置1のプログラムの更新が行われてもよい。かかる点について、図10図13を用いて説明する。
【0116】
図10および図11は、変形例に係る電池監視システムSの構成例を示す図である。
【0117】
図10に示すように、変形例に係る電池監視システムSは、OTA(Over The Air)センタ200と、車両210とが通信ネットワークNを介して接続されている。通信ネットワークNは、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網が適用される。
【0118】
変形例に係る電池監視システムSは、OTAセンタ200と車両210との間で無線通信を行うことで、電池監視装置1の更新データをOTAセンタ200から取得してプログラム等の更新を実施する。
【0119】
また、図11に示すように、電池監視システムSにおいて、各車両210は、OTAセンタ200からの更新データを受信するTCU(Telematics Control Unit)60を備えている。
【0120】
TCU60は、アンテナ61を備え、通信ネットワークNを介してOTAセンタ200と通信を行うための車載用の通信ユニットであり、通信ネットワークNに接続することで、OTAセンタ200と車両210との間の通信を行う。
【0121】
次に、変形例に係る電池監視システムSにおけるデータ更新の流れを説明する。
【0122】
OTAセンタ200は、更新対象のプログラムがある場合、通信ネットワークNを介して、車両210のイグニッションスイッチがオン中にTCU60に対して更新データを送信する。なお、イグニッションスイッチは車両の電源スイッチである。
【0123】
TCU60は、OTAセンタ200から受信した更新データを、アンテナ61を介して電池監視装置1の通信部2に送信する。また、TCU60は、OTAセンタ200へ更新の問合せを行い、更新の有無を確認する。
【0124】
電池監視装置1は、通信部2を介してTCU60から受信した更新データを記憶部4に格納する。更新データの格納は、イグニッションスイッチのオン時に行う。更新データの格納は、イグニッションスイッチのオン時であれば特に限定されず、車両の走行中でもよい。
【0125】
電池監視装置1は、TCU60を介した更新データのダウンロードが全て完了すると、更新可能状態となる。ここで、車両210のイグニッションスイッチがオフされた場合、電池監視装置1のコントローラ3は、記憶部4に格納された更新データに基づいて更新を実施する。
【0126】
変形例では、イグニッションスイッチがオフされた場合に電池監視装置1が更新される例を示した。しかし、上記例に限定されない。電池監視装置1が更新可能状態になったことを運転者等の乗員に通知し、更新を許諾するか否かを受け付けてもよい。運転者等の乗員が、更新を許諾した後、イグニッションスイッチがオフされた場合に、電池監視装置1を更新するように構成されてもよい。
【0127】
先述したOTAセンタ200と車両210との間で無線通信を行うことで、電池監視装置1の更新データを取得してプログラム等を更新する例を、本発明に適用した場合について説明する。
【0128】
まず、更新データによる更新に関わらず、本発明の基本となる実施形態について説明する。
【0129】
先述したように、複数の計測装置10は、電池監視装置1の計測指示に従って、複数のセル51それぞれのセル状態を計測する。計測装置10aは、セル51aのセル電圧を計測し、計測装置10bは、セル51bのセル電圧を計測し、計測装置10cは、セル51cのセル電圧を計測する。
【0130】
電池監視装置1は、例えば、時分割の無線通信により複数の計測装置10それぞれと通信可能に接続され、複数の計測装置10それぞれからセル状態を示す状態情報を取得する。具体的には、電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれと通信周期内において無線通信により順次通信する。つまり、電池監視装置1は、通信周期を時分割し、予め決められた時間内で複数の計測装置10それぞれと1対1で順次通信するユニキャスト方式により通信接続される。
【0131】
次に、OTAセンタ200からの更新データに基づく電池監視装置1の更新について説明する。更新データが、電池監視プログラムに相当する。
【0132】
上述した実施形態では、電池監視装置1は、複数の計測装置10それぞれに対してセル状態の計測指示を送信する場合に、複数の計測装置10の計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの、複数の計測装置10の待機時間を複数の計測装置10へ送信する。そして、複数の計測装置10それぞれは、電池監視装置1からユニキャスト方式により計測指示を受信し、計測指示を受信してから待機時間が経過した後のタイミングである計測タイミングでセル状態を計測する。上述した実施形態ではこのような動作をする電池監視プログラムが、電池監視装置1に事前にインストールされていることを前提としていた。しかしながら、電池監視プログラムは、OTAセンタ200からの更新データに基づく更新によって、事後的にインストールされてもよい。
【0133】
例えば、OTAセンタ200からの更新データは、複数の計測装置10それぞれに対してセル状態の計測指示を送信する場合に、複数の計測装置10の計測タイミングが同期するように、計測指示を受信してから計測タイミングまでの、複数の計測装置10の待機時間を複数の計測装置10へ送信する電池監視プログラムであってもよい。複数の計測装置10それぞれは、更新後の電池監視装置1からユニキャスト方式により計測指示を受信し、計測指示を受信してから待機時間が経過した後のタイミングである計測タイミングでセル状態を計測する。
【0134】
次に、図12および図13を用いて、変形例に係る電池監視システムSにおける処理について具体的に説明する。図12は、変形例に係るTCU60が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0135】
図12に示すように、TCU60は、OTAセンサ200に対して更新データの有無を問い合わせる(ステップS101)。つづいて、TCU60は、OTAセンサ200からの応答が更新データ有りか否かを判定する(ステップS102)。
【0136】
TCU60は、更新データ有りの場合(ステップS102:Yes)、OTAセンサ200から更新データを受信する(ステップS103)。なお、TCU60は、更新データ無しの場合(ステップS102:No)、処理を終了する。
【0137】
つづいて、TCU60は、受信した更新データを電池監視装置1へ送信する(ステップS104)。具体的には、OTAセンサ200から送信される更新データには、対象装置を示す識別情報が紐付いており、TCU60は、かかる識別情報が電池監視装置1を示す場合に、更新データを電池監視装置1へ送信する。
【0138】
つづいて、TCU60は、OTAセンサ200から更新データをすべて受信したか否かを判定し(ステップS105)、更新データをすべて受信した場合(ステップS105:Yes)、処理を終了する。なお、TCU60は、更新データをすべて受信していない場合(ステップS105:No)、つまり、受信すべき更新データがOTAセンサ200に存在する場合、ステップS103に戻って再度更新データを受信する。
【0139】
次に、図13は、変形例に係る電池監視装置1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、電池監視装置1は、TCU60から更新データを受信したか否かを判定する(ステップS201)。
【0140】
電池監視装置1は、TCU60から更新データを受信した場合(ステップS201:Yes)、受信した更新データを記憶部4に格納する(ステップS202)。なお、電池監視装置1は、更新データを受信していない場合(ステップS201:No)、処理を終了する。
【0141】
つづいて、電池監視装置1は、車両210のイグニッションスイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS203)。電池監視装置1は、イグニッションスイッチがオフされた場合(ステップS203:Yes)、更新データを記憶部4から読み出す(ステップS204)。なお、電池監視装置1は、イグニッションスイッチがオフされていない場合(ステップS203:No)、イグニッションスイッチがオフされるまでステップS203を繰り返し実行する。
【0142】
つづいて、電池監視装置1は、読み出した更新データにより電池監視プログラムを更新し(ステップS205)、処理を終了する。なお、電池監視装置1は、更新データに計測装置10の更新データが含まれている場合、計測装置10へ更新データを送信する。これにより、計測装置10は、更新データに従って電池監視プログラムの更新が可能となる。
【0143】
本開示に記載の電池監視装置1、計測装置10、及びその手法は、電池監視プログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の電池監視装置1、計測装置10、及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0144】
もしくは、本開示に記載の電池監視装置1、計測装置10、及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、プログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0145】
電池監視装置1の記憶部4は、更新データに基づく更新を行った後も、更新前のプログラムを保持していてもよい。これにより、更新データが異常であった場合に、更新前のプログラムを用いて動作することができる。
【0146】
また、以下のような構成を採用してもよい。
【0147】
TCU60は、OTAセンタ200から受信した更新データを、アンテナ61を介して計測装置10の通信部20に送信する。計測装置10は、通信部20を介してアンテナ61から受信した更新データを記憶部40に格納する。計測装置10は、TCU60を介した更新データのダウンロードが全て完了すると、更新可能状態となる。ここで、イグニッションスイッチがオフされた場合、計測装置10のコントローラ30は、記憶部40に格納された更新データに基づいて更新を実施する。
【0148】
また、計測装置10の更新は上記例に限定されない。電池監視装置1のコントローラ3が更新データに基づいて更新を実行することによって計測装置10の更新が行われてもよい。
【0149】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0150】
1 電池監視装置
2、20 通信部
3、30 コントローラ
4、40 記憶部
10 計測装置
11 タイマー
50 電池
51 セル
100 電流センサ
S 電池監視システム
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13