(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061626
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ロータリーレーキ式除塵機
(51)【国際特許分類】
E02B 5/08 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
E02B5/08 104E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148382
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022168764
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168193
【氏名又は名称】株式会社ミゾタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001759
【氏名又は名称】弁理士法人よつ葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】徳島 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】西村 直道
(57)【要約】
【課題】大がかりな構造が不要で、可動エプロンから残渣を除去することが可能なロータリーレーキ式除塵機を提供する。
【解決手段】スプロケット13の位置を調整してテークアップ長さが変化し、平面部3Aの外面側に露出している矩形の切欠孔31の長さが変化すると、露出している矩形の切欠孔31の長さに合わせて第1の残渣除去部材4を刃物で切断する。この長さを合わせた第1の残渣除去部材4をテークアップ調整後の矩形の切欠孔31に挿入する。従って、テークアップ長さに応じて第1の残渣除去部材4の長さを調整することが容易になる。この結果、第1の残渣除去部材4の上面42は固定エプロン18の上面18Aと同一平面になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路又は河川に流れる塵芥を捕集するスクリーンを備えたフレームと、
前記スクリーン上端部のフレームに固定された固定エプロンと、
前記スクリーンに付着した前記塵芥を掻き揚げながら前記スクリーンと前記固定エプロンに沿って上方に移動するレーキと、
前記レーキが取り付けられた無端ローラチェーンと、
前記フレームの上端部に回転可能に軸支され前記無端ローラチェーンを駆動するスプロケットと、
前記無端ローラチェーンの伸びによる弛みを取るために前記スプロケットの位置を調整するテークアップ機構と、
前記固定エプロンの上端部に最大テークアップ長さだけ移動可能に設けられた可動エプロンとを有するロータリーレーキ式除塵機において、
前記可動エプロンの外面に前記レーキとの隙間を一定に保つ残渣除去部材を備えた
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記残渣除去部材は、
前記固定エプロンに平行に前記可動エプロンに形成された平面部に取付けられた第1の残渣除去部材及び/又は、
前記可動エプロンの前記平面部の上端から連続して形成され、前記スプロケットの回転中心軸を覆う円弧面部に取付けられた第2の残渣除去部材と
からなることを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項3】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第1の残渣除去部材は、前記テークアップ機構によるテークアップ調整後の前記可動エプロンの前記平面部に取付けられ、前記固定エプロンと前記可動エプロンの段差分の厚さを有する
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項4】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第2の残渣除去部材は、前記可動エプロンの前記円弧面部に取付けられ、前記レーキとの隙間を一定に保つ厚さを有する
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項5】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第1の残渣除去部材は前記可動エプロンの前記平面部に最大テークアップ長さだけ形成された切欠孔に取付けられている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項6】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第1の残渣除去部材及び/又は前記第2の残渣除去部材は、前記可動エプロンの水路幅方向に所定間隔で複数取付けられている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項7】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第1の残渣除去部材は、弾性材で成形されている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項8】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第2の残渣除去部材は、金属で成形され、前記可動エプロンの前記円弧面部に溶接又はボルトで固定されている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項9】
請求項2に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記レーキの前記可動エプロン側には、前記可動エプロンの外面の前記第1の残渣除去部材及び/又は前記第2の残渣除去部材との隙間を一定に保つ第3の残渣除去部材が取付けられている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項10】
請求項9に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第3の残渣除去部材は、前記第1の残渣除去部材及び/又は前記第2の残渣除去部材の前記水路幅方向の間隔と同一間隔で同数取付けられている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項11】
請求項9に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第3の残渣除去部材は、前記レーキの移動方向に平行に長く形成されている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【請求項12】
請求項9に記載のロータリーレーキ式除塵機において、
前記第3の残渣除去部材は、金属または弾性材で成形されている
ことを特徴とするロータリーレーキ式除塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリーレーキ式除塵機に関する。更に詳しくは、スクリーン上部のエプロンに残る塵芥の残渣を効果的に除去することが可能なロータリーレーキ式除塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
水路又は河川を横断する形で、流水を制御するため水門が設置され、これにポンプ等が設置されている。水路又は河川には浮草、塵芥等が流れてきて、水門、ポンプ等の機能を阻害するので、これを除去するためにロータリーレーキ式除塵機等の各種の除塵設備が設置されている。
図9は、従来のロータリーレーキ式除塵機1を示す全体側面図、
図10は
図9のロータリーレーキ式除塵機1のフレーム11の上端部を示す拡大側面図である。
図9、
図10に示すように、ロータリーレーキ式除塵機1は、そのフレーム11の下端が水路又は河川の底面21に接して設置されている。フレーム11には、塵芥22を捕集するための複数の板状のスクリーン(バースクリーン)12が水路又は河川の幅方向に等間隔に複数取り付けられている。フレーム11には、上端部と下端部に各々スプロケット13、14が回転可能に軸支され、無端ローラチェーン15がスプロケット(駆動側スプロケット)13、スプロケット(従動側スプロケット)14に巻き掛けられている。尚、従動側スプロケットを使用せず、ローラチェーン用に円弧状のガイドレールが代用されるロータリーレーキ式除塵機も存在する。
【0003】
無端ローラチェーン15には櫛歯状のレーキ16が所定間隔で複数取り付けられている。レーキ16はスクリーン12の下流側を降下(背面降下)し、フレーム11の最下部で反転した後、スクリーン12の下端開口部をくぐってスクリーン12の上流側を上昇し、スクリーン12に溜まっている塵芥22を掻き揚げるように構成されている。ロータリーレーキ式除塵機1には、スクリーン12の上部におけるレーキ16の移動経路から塵芥22がスクリーン12の背面に落下して、水路又は河川へ塵芥22が落下するのを防止するためにエプロンが取り付けられている。尚、ロータリーレーキ式除塵機1には、無端ローラチェーン15の伸びによる弛みを取るためにスプロケット13の位置を調整するテークアップ機構17が備えられている。従って、エプロンは、スクリーン12の上端部に、スクリーン12に連続してフレーム11に固定された固定エプロン18と、最大テークアップ長さLだけ固定エプロン18に対して移動可能な可動エプロン19の二段構造を有している。
【0004】
その結果、固定エプロン18と可動エプロン19には固定エプロン18の板厚分の段差Eが発生し、レーキ(レーキ軌跡)16と可動エプロン19の平面部19Aとの間の隙間Fは段差Eの分だけ拡大する。また、スプロケット13部分で無端ローラチェーン15の滑らかな真円の回転を実現するためには、スプロケット13のピッチ円直径を大きくすることが必要である。しかし、ロータリーレーキ式除塵機1が過度に大きくなるため、スプロケット13のピッチ円直径をあまり大きくすることはできない。その結果、無端ローラチェーン15の回転部が真円にならず、弦状(直線的)に変化するため、レーキ(レーキ軌跡)16と可動エプロン19の円弧面部19Bとの間の隙間Gが更に拡大する。このようなレーキ(レーキ軌跡)16と可動エプロン19との隙間の拡大により、レーキ16より可動エプロン19へ塵芥22の落下が起こる。その結果、可動エプロン19の外面に塵芥22が残り、いわゆる残渣となり、残渣の腐敗による悪臭、残渣の風による飛散、美観の悪化が生じる。
【0005】
特許文献1のロータリーレーキ式除塵機は、鋼板製エプロンに代えて回転する幅の広いベルトで塵芥を搬送するようにしたロータリーレーキ式除塵機である。特許文献2のロータリーレーキ式除塵機は、レーキの先端にエプロンに接触する弾性体を取り付けたロータリーレーキ式除塵機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭60-11144号公報
【特許文献2】実開平1-167427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のロータリーレーキ式除塵機は、水路幅に相当する幅の広いベルトを回転させる構造であるため、設備費が高くなり、費用対効果を考慮すると現実的ではない。また、特許文献2のロータリーレーキ式除塵機は、レーキ先端の弾性体がエプロンだけではなくスクリーンにも接触するので、レーキを移動させるための抵抗(摩擦)が大きくなり、ロータリーレーキ式除塵機の駆動源の大型化と設備費用のアップになるため、好ましくない。
本発明は、以上のような背景により以下の目的を達成するものである。
本発明の目的は、大がかりな構造が不要で、可動エプロンから残渣を除去することが可能なロータリーレーキ式除塵機を提供することにある。
本発明の他の目的は、可動エプロンから残渣を効果的に除去することにより、残渣の腐敗による悪臭防止、残渣の風による飛散防止、残渣の除去による美観の向上が可能なロータリーレーキ式除塵機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、次の手段を採る。
即ち、本発明1のロータリーレーキ式除塵機は、
水路又は河川に流れる塵芥を捕集するスクリーンを備えたフレームと、
前記スクリーン上端部のフレームに固定された固定エプロンと、
前記スクリーンに付着した前記塵芥を掻き揚げながら前記スクリーンと前記固定エプロンに沿って上方に移動するレーキと、
前記レーキが取り付けられた無端ローラチェーンと、
前記フレームの上端部に回転可能に軸支され前記無端ローラチェーンを駆動するスプロケットと、
前記無端ローラチェーンの伸びによる弛みを取るために前記スプロケットの位置を調整するテークアップ機構と、
前記固定エプロンの上端部に最大テークアップ長さだけ移動可能に設けられた可動エプロンとを有するロータリーレーキ式除塵機において、
前記可動エプロンの外面に前記レーキとの隙間を一定に保つ残渣除去部材を備えたことを特徴とする。
本発明2のロータリーレーキ式除塵機は、本発明1において、前記残渣除去部材は、前記固定エプロンに平行に前記可動エプロンに形成された平面部に取付けられた第1の残渣除去部材及び/又は、前記可動エプロンの前記平面部の上端から連続して形成され、前記スプロケットの回転中心軸を覆う円弧面部に取付けられた第2の残渣除去部材とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明3のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、
前記第1の残渣除去部材は、前記テークアップ機構によるテークアップ調整後の前記可動エプロンの前記平面部に取付けられ、前記固定エプロンと前記可動エプロンの段差分の厚さを有することを特徴とする。
本発明4のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、
前記第2の残渣除去部材は、前記可動エプロンの前記円弧面部に取付けられ、前記レーキとの隙間を一定に保つ厚さを有する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明5のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、前記第1の残渣除去部材は前記可動エプロンの前記平面部に最大テークアップ長さだけ形成された切欠孔に取付けられていることを特徴とする。
本発明6のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、前記第1残渣除去部材及び/又は前記第2の残渣除去部材は、前記可動エプロンの水路幅方向に所定間隔で複数取付けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明7のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、前記第1の残渣除去部材は、弾性材で成形されていることを特徴とする。
本発明8のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、前記第2の残渣除去部材は、金属で成形され、前記可動エプロンの前記円弧面部に溶接又はボルトで固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明9のロータリーレーキ式除塵機は、本発明2において、前記レーキの前記可動エプロン側には、前記可動エプロンの外面の前記第1の残渣除去部材及び/又は前記第2の残渣除去部材との隙間を一定に保つ第3の残渣除去部材が取付けられていることを特徴とする。
本発明10のロータリーレーキ式除塵機は、本発明9において、前記第3の残渣除去部材は、前記第1の残渣除去部材及び/又は前記第2の残渣除去部材の前記水路幅方向の間隔と同一間隔で同数取付けられていることを特徴とする。
本発明11のロータリーレーキ式除塵機は、本発明9において、前記第3の残渣除去部材は、前記レーキの移動方向に平行に長く形成されていることを特徴とする。
本発明12のロータリーレーキ式除塵機は、本発明9において、前記第3の残渣除去部材は、金属または弾性材で成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のロータリーレーキ式除塵機は、簡単な構造で可動エプロンの平面部及び円弧面部から残渣を除去することが可能となるので、残渣の腐敗による悪臭防止、残渣の風による飛散防止、残渣の除去による美観の向上が可能となる。
また、テークアップ調整量に応じて残渣除去部材(特に第1の残渣除去部材)の長さを簡単に調整することが可能となる。
また、第3の残渣除去部材により第1の残渣除去部材及び/又は第2の残渣除去部材との対向する長さを増加させることにより、残渣の除去能力も向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態のロータリーレーキ式除塵機のフレームの上端部を示す拡大側面図である。
【
図5】
図5は、第1の残渣除去部材及び第2の残渣除去部材を取り外した状態を示す
図3相当図である。
【
図7】
図7は、第1の残渣除去部材を示す部品図であり、
図7(a)第1の残渣除去部材の正面図、
図7(b)は
図7(a)の平面図、
図7(c)は
図7(b)の右側面図である。
【
図8】
図8は、第2の残渣除去部材を示す部品図であり、
図8(a)第2の残渣除去部材の正面図、
図8(b)は
図8(a)の平面図、
図8(c)は
図8(a)の右側面図、
図8(d)は
図8(a)の左側面図である。
【
図9】
図9は、従来のロータリーレーキ式除塵機を示す全体側面図である。
【
図10】
図10は、
図9のロータリーレーキ式除塵機のフレームの上端部を示す拡大側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態のロータリーレーキ式除塵機のフレームの上端部を示す拡大側面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施の形態の第3の残渣除去部材の例を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔ロータリーレーキ式除塵機の第1の実施の形態〕
除塵機の設置は、水路又は河川であるが、以下の本発明の実施の形態では水路について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態のロータリーレーキ式除塵機100のフレームの上端部を示す拡大側面図、
図2は
図1のA-A断面図、
図3は
図1のP矢視図、
図4は
図3のB-B断面図である。
図5は第1の残渣除去部材及び第2の残渣除去部材を取り外した状態を示す
図3相当図、
図6は
図5のC-C断面図である。尚、
図1及び
図10にはレーキ(レーキ軌跡)の固定エプロン18及び可動エプロン3(19)上における状態が記載されている。
図1から
図6に示すように、本発明のロータリーレーキ式除塵機100の可動エプロン3は従来のロータリーレーキ式除塵機1の可動エプロン19とは残渣除去部材を有する点で構造が異なる。すなわち、可動エプロン3の平面部3Aは固定エプロン18に平行に可動エプロン3に形成されている。また、可動エプロン3の円弧面部3Bは、可動エプロン3の平面部3Aの上端から連続して形成され、スプロケット13の回転中心軸131を覆うように円弧状に形成されている。そして、可動エプロン3の平面部3Aの外面には
図7に示す第1の残渣除去部材4が取り付けられ、可動エプロン3の円弧面部3Bの外周面には
図8に示す第2の残渣除去部材5が取り付けられている。
図3から
図6では、固定エプロン18は2点鎖線で示す。
【0016】
図5に示すように、可動エプロン3の平面部3Aには、矩形の切欠孔31が複数形成されている。切欠孔31は水路幅方向の幅(
図5の上下方向の長さ)がW1で、水路幅方向に直交する方向の長さ(
図5の左右方向の長さ)が最大テークアップ長さLと同一長さに形成されている。切欠孔31は、可動エプロン3の平面部3Aの水路幅方向(
図5の上下方向)に所定間隔で複数形成されている。
図7に示すように、第1の残渣除去部材4はゴム又はシリコン等の弾性材で成形された直方体の板状部材で、水路幅方向に直交する方向の長さ(
図7(b)の左右方向の長さ)が最大テークアップ長さLと同一長さに形成されている。また、第1の残渣除去部材4の両側面には矩形溝41、41が形成されている。矩形溝41の溝幅Tは可動エプロン3の板厚Tと同一で、矩形溝41、41の溝底間の長さW1は切欠孔31の幅W1と同一に形成されている。第1の残渣除去部材4の上面42及び下面43から矩形溝41、41までの厚さEは、固定エプロン18と可動エプロン3の平面部3Aとの間の段差Eと同一に形成されている。第1の残渣除去部材4の水路幅方向に平行な方向の幅(
図7(b)の上下方向の長さ)W2は切欠孔31の幅W1よりも広い幅に形成されている。
【0017】
切欠孔31に第1の残渣除去部材4を挿入する手順は以下の通りである。
図1、
図3、
図4、
図5、
図6は、最大テークアップ長さLだけスプロケット13の位置を調整した状態を示す。この状態では、矩形の切欠孔31は固定エプロン18に隠れず、切欠孔31の全長Lが平面部3Aの外面側に露出しているので、長さLの第1の残渣除去部材4の矩形溝41、41をそのまま矩形の切欠孔31に挿入して使用する。可動エプロン3の平面部3Aには長孔32、32が形成されている。スプロケット13の位置の調整が完了すると、可動エプロン3は長孔32、32に挿入されたボルト33、33で固定エプロン18に固定される。スプロケット13の位置を調整してテークアップ長さが変化し、平面部3Aの外面側に露出している矩形の切欠孔31の長さが変化すると、露出している矩形の切欠孔31の長さに合わせて第1の残渣除去部材4を刃物で切断する。この長さを合わせた第1の残渣除去部材4の矩形溝41、41をテークアップ調整後の矩形の切欠孔31に挿入する。従って、テークアップ長さに応じて第1の残渣除去部材4の長さを調整することが容易になる。この結果、第1の残渣除去部材4の上面42は固定エプロン18の上面18Aと同一平面になる。すなわち、第1の残渣除去部材4は、レーキ(レーキ軌跡)16との隙間を一定に保つように形成される。
【0018】
図8に示すように、第2の残渣除去部材5は金属で成形され、可動エプロン3の円弧面部3Bと内径が同一形状の円弧状に形成されている。第2の残渣除去部材5は、レーキ(レーキ軌跡)16との隙間を一定に保つような形状を有するように厚さがEから{E+(G-F)}へ変化する円弧状に形成されている。この厚さの式で、Gは前記した
図10の隙間G、Fは
図10の隙間Fである。第2の残渣除去部材5の水路幅方向に平行な方向の幅(
図8(b)の上下方向の長さ)W2は、第1の残渣除去部材4の水路幅方向に平行な方向の幅W2と同一幅に形成されている。第2の残渣除去部材5は、可動エプロン3の円弧面部3Bの外周面に溶接またはボルトによって固定される。従って、第2の残渣除去部材5の上面51はレーキ(レーキ軌跡)16との隙間を一定に保つようになる。このように、可動エプロン3の表面に凸形状となる残渣除去部材を設ける構造で、レーキ16から可動エプロン3へ落下した塵芥22を残渣除去部材によりレーキで引っ掛けるようにして、落下した塵芥22の除去が可能となる。
【0019】
尚、上記の第1の実施の形態では、可動エプロン3の残渣除去部材として第1の残渣除去部材4(可動エプロン3の平面部)と第2の残渣除去部材5(可動エプロン3の円弧面部)との両方を使用する場合を説明しているが、除塵機のエプロン勾配が緩やかな場合には、第1の残渣除去部材4(可動エプロン3の平面部)のみを使用する場合もある。
【0020】
〔ロータリーレーキ式除塵機の第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、レーキ16の可動エプロン3側に第3の残渣除去部材6を取り付けたものである。尚、以下の説明においては、第3の残渣除去部材6の一形態である第3の残渣除去部材6(a)を用いて説明する。
図11は本発明の第2の実施の形態のロータリーレーキ式除塵機101のフレームの上端部を示す拡大側面図、
図12は
図11のD-D断面図、
図13は、本発明の第2の実施の形態の第3の残渣除去部材6の各種形態の例を示す拡大側面図である。
図11、
図12、
図13(a)に示すように、第3の残渣除去部材6(a)は、金属で成形されたL字型の部材で、第1の残渣除去部材4及び/又は第2の残渣除去部材5の水路幅方向に平行な方向の幅W2よりも広い幅W3に形成されている。第3の残渣除去部材6(a)は、第1の残渣除去部材4及び/又は第2の残渣除去部材5の水路幅方向の間隔と同一間隔で同数取り付けられている。第3の残渣除去部材6(a)は、2本のボルト61及び2個のナット63によってレーキ16に取り付けられている。
【0021】
図13(a)に示す第3の残渣除去部材6(a)はL字型の部材に成形されていて、塵芥受け長さL1が長いため、レーキ16から可動エプロン3側に落下する塵芥22の量を減少させることができるため好ましい。また、第3の残渣除去部材6(a)は第1の残渣除去部材4及び又は第2の残渣除去部材5との隙間を一定に保ち、可動エプロン3側の塵芥22との接触長さL2(第1の残渣除去部材4及び/又は第2の残渣除去部材5との対向する長さ)が長いため、第3の残渣除去部材6(a)によりレーキ16で塵芥22を引っ掛けるようにして、可動エプロン3側の塵芥22を除去する能力が向上する。また、第3の残渣除去部材6(a)は、水路幅方向の全幅よりも狭い幅W3で、水路幅方向に間隔を空けて複数形成されているので、重量が軽減され、ロータリーレーキ式除塵機101の駆動力の増加を抑制することが可能となる。
【0022】
図13(a)、(b)、(c)は、金属で成形された第3の残渣除去部材6の例を示し、
図13(d)、(e)、(f)は、ゴム又はシリコン等の弾性材で成形された第3の残渣除去部材6の例を示す拡大側面図である。
図13(d)、(e)、(f)は、金属製で薄い板状の座金(押え板)62を介してボルト61及びナット63により締め付けて、レーキ16に取り付けられている。
図13(a)、(d)は、第3の残渣除去部材6(a)、6(d)がL字型の部材の例、
図13(b)、(e)は、第3の残渣除去部材6(b)、6(e)が平板状の部材の例、
図13(c)、(f)は、第3の残渣除去部材6(c)、6(f)が厚板状の部材の例である。
図13(a)、(d)は、第3の残渣除去部材6(a)、6(d)がL字型であるため、塵芥受け長さL1、可動エプロン3側の塵芥22との接触長さL2を最も長くできるため、好ましい。
【0023】
従って、本発明のロータリーレーキ式除塵機は、簡単な構造で可動エプロン3の平面部3A及び円弧面部3Bから残渣を除去することが可能となるので、残渣の腐敗による悪臭防止、残渣の風による飛散防止、残渣の除去による美観の向上が可能となる。また、テークアップ調整量に応じて第1の残渣除去部材4の長さを簡単に調整することが可能となる。また、第3の残渣除去部材6によりレーキから(固定・可動)エプロンへ塵芥22が落下しにくい一種の”塵芥受け”が形成されることにより、(固定・可動)エプロン上への塵芥落下を減少させることが可能となる。更に、第3の残渣除去部材6により第1の残渣除去部材4及び/又は第2の残渣除去部材5との対向する長さを増加させることにより、落下した塵芥22をレーキで引っ掛け易くなり、塵芥22の除去能力も向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1、100、101…ロータリーレーキ式除塵機
11…フレーム
12…スクリーン
13…スプロケット(駆動側スプロケット)
131…回転中心軸
14…スプロケット(従動側スプロケット)
15…無端ローラチェーン
16…レーキ
17…テークアップ機構
18…固定エプロン
18A…上面
19…可動エプロン
19A…平面部
19B…円弧面部
21…水路又は河川の底面
22…塵芥
3…可動エプロン
3A…平面部
3B…円弧面部
31…切欠孔
32…長孔
33…ボルト
4…第1の残渣除去部材
41…矩形溝
42…上面
43…下面
5…第2の残渣除去部材
51…上面
6…第3の残渣除去部材
6(a)、6(b)、6(c)、6(d)、6(e)、6(f)…第3の残渣除去部材の各種形態
61…ボルト
62…座金(押え板)
63…ナット