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特開2024-61628車両のセキュリティステータスベースの協調走行の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061628
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車両のセキュリティステータスベースの協調走行の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151084
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0135785
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503257778
【氏名又は名称】コリア エレクトロニクス テクノロジ インスティチュート
【住所又は居所原語表記】25,Saenari-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do 13509 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】シン デキョ
(72)【発明者】
【氏名】リム キテ
(72)【発明者】
【氏名】パク プシ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ハンギュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン サンフン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン スヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ソンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チョンヒュク
(72)【発明者】
【氏名】アン ビョンマン
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA12
5H181BB04
5H181BB13
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL14
5H181MA43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両のセキュリティステータスベースの協調走行の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施例に係る協調走行の制御方法は、協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握し、把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定し、決定された協調走行戦略に応じて、走行を制御する。それにより、相手車両のセキュリティステータスをベースに協調走行を実行するか排除することで、問題のある車との協調走行による事故発生を防止することができるため、運転者と同乗者の安全の確保に寄与することができるようになる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握するステップと、
把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定するステップと、
決定された協調走行戦略に応じて、走行を制御するステップと
を含むことを特徴とする協調走行の制御方法。
【請求項2】
決定するステップは、
協調走行の対象車のセキュリティステータスに応じて、実行しようとする協調走行のクラスを変更することを特徴とする請求項1に記載の協調走行の制御方法。
【請求項3】
決定するステップは、
協調走行の対象車のセキュリティステータスに応じて、協調走行を諦めることを特徴とする請求項2に記載の協調走行の制御方法。
【請求項4】
決定するステップは、
協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第1のクラスである場合、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが最も良い第1のステータス又は第1のステータスより悪い第2のステータスであれば、第1のクラスによる協調走行を決定することを特徴とする請求項2に記載の協調走行の制御方法。
【請求項5】
決定するステップは、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第2のステータスより悪い第3のステータスであれば、協調走行を諦めることを決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第3のステータスより悪い第4のステータスであれば、協調走行を諦め、警戒走行を決定することを特徴とする請求項4に記載の協調走行の制御方法。
【請求項6】
決定するステップは、
協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第1のクラスより多くの協調が求められる第2のクラスである場合、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第1のステータスであれば、第2のクラスによる協調走行を決定することを特徴とする請求項5に記載の協調走行の制御方法。
【請求項7】
決定するステップは、
協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第1のクラスより多くの協調が求められる第2のクラスである場合、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第2のステータスであれば、第1のクラスによる協調走行を決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第3のステータスであれば、協調走行を諦めることを決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第4のステータスであれば、協調走行を諦め、警戒走行を決定することを特徴とする請求項6に記載の協調走行の制御方法。
【請求項8】
決定するステップは、
協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第2のクラスより多くの協調が求められる第3のクラスである場合、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第1のステータスであれば、第3のクラスによる協調走行を決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第2のステータスであれば、第1のクラスによる協調走行を決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第3のステータスであれば、協調走行を諦めることを決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第4のステータスであれば、協調走行を諦め、警戒走行を決定することを特徴とする請求項5に記載の協調走行の制御方法。
【請求項9】
決定するステップは、
協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが緊急車両の指示に協調することが求められる第4のクラスである場合、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが最も悪い第4のステータスであれば、協調走行を諦めて警戒走行を決定し、
協調走行の対象車のセキュリティステータスが第4のステータスでなければ、第4のクラスによる協調走行を決定することを特徴とする請求項5に記載の協調走行の制御方法。
【請求項10】
協調走行の対象車と通信する通信部と、
協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握し、把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定し、決定された協調走行戦略に応じて、走行を制御する制御部と
を含むことを特徴とする協調走行の制御システム。
【請求項11】
車両のセキュリティステータスを協調走行の対象車に伝送するステップと、
協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握するステップと、
把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定するステップと
を含むことを特徴とする協調走行の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行技術に関し、より詳細には、周辺の他の車両と連携して情報を共有し、走行を交渉する協調走行を安全に運用/制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レベル3以上の自律走行車は、車に装着されたセンサと予め与えられた詳細マップなどのような情報を基に自律走行を行う。しかし、交通の流れに影響を及ぼしかねない戦略的な行動を行うためには、周辺の他の車両との協調を通じて情報を共有する必要がある。
協調走行は、自分の車が取得している情報と、周辺の他の車両が提供する情報とを基に、最適な走行条件、走行ルートを決める。
協調走行が決まる走行環境は、車線変更、追い越し、回避、割り込み、十字路、合流など、事故発生の可能性が高い環境として、協調走行の決定は、運転者と他の車両の安全に多大な影響を及ぼしかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、運転者と同乗者を危険に晒しかねない協調走行に対し、相手車両のセキュリティステータスをベースに実行/排除する制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係る協調走行の制御方法は、協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握するステップと、把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定するステップと、決定された協調走行戦略に応じて、走行を制御するステップとを含む。
【0005】
決定するステップは、協調走行の対象車のセキュリティステータスに応じて、実行しようとする協調走行のクラスを変更してよい。決定するステップは、協調走行の対象車のセキュリティステータスに応じて、協調走行を諦めてよい。
決定するステップは、協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第1のクラスである場合、協調走行の対象車のセキュリティステータスが最も良い第1のステータス又は第1のステータスより悪い第2のステータスであれば、第1のクラスによる協調走行を決定してよい。決定するステップは、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第2のステータスより悪い第3のステータスであれば、協調走行を諦めることを決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第3のステータスより悪い第4のステータスであれば、協調走行を諦め、警戒走行を決定してよい。
【0006】
決定するステップは、協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第1のクラスより多くの協調が求められる第2のクラスである場合、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第1のステータスであれば、第2のクラスによる協調走行を決定してよい。決定するステップは、協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第1のクラスより多くの協調が求められる第2のクラスである場合、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第2のステータスであれば、第1のクラスによる協調走行を決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第3のステータスであれば、協調走行を諦めることを決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第4のステータスであれば、協調走行を諦め、警戒走行を決定してよい。
【0007】
決定するステップは、協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが第2のクラスより多くの協調が求められる第3のクラスである場合、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第1のステータスであれば、第3のクラスによる協調走行を決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第2のステータスであれば、第1のクラスによる協調走行を決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第3のステータスであれば、協調走行を諦めることを決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第4のステータスであれば、協調走行を諦め、警戒走行を決定してよい。
【0008】
決定するステップは、協調走行の対象車と実行しようとする協調走行クラスが緊急車両の指示に協調することが求められる第4のクラスである場合、協調走行の対象車のセキュリティステータスが最も悪い第4のステータスであれば、協調走行を諦めて警戒走行を決定し、協調走行の対象車のセキュリティステータスが第4のステータスでなければ、第4のクラスによる協調走行を決定してよい。
【0009】
本発明の別の実施例に係る協調走行の制御システムは、協調走行の対象車と通信する通信部と、協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握し、把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定し、決定された協調走行戦略に応じて、走行を制御する制御部とを含む。
本発明の別の実施例に係る協調走行の制御方法は、車両のセキュリティステータスを協調走行の対象車に伝送するステップと、協調走行の対象車のセキュリティステータスを把握するステップと、把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行戦略を決定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、相手車両のセキュリティステータスを基に協調走行を実行するか排除することで、問題のある車との協調走行による事故発生を防止することができるため、運転者と同乗者の安全の確保に寄与することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】協調走行において車両を分類する表である。
図2】Class Aによる協調走行方法を示す図である。
図3】Class Aによる協調走行の例を示す図である。
図4】Class Bによる協調走行方法を示す図である。
図5】Class Bによる協調走行の例を示す図である。
図6】Class Cによる協調走行方法を示す図である。
図7】Class Cによる協調走行の例を示す図である。
図8】Class Dによる協調走行方法を示す図である。
図9】Class Dによる協調走行の例を示す図である。
図10】本発明の実施例では、協調走行で走行交渉の対象車であるT-CDA車両の車内ネットワークのセキュリティステータスを分類する表である。
図11】Class Downの例を示す図である。
図12】警戒走行の例を示す図である。
図13】セキュリティステータスベースのClass Aによる協調走行方法を示すフローチャートである。
図14】セキュリティステータスベースのClass Bによる協調走行方法を示すフローチャートである。
図15】セキュリティステータスベースのClass Cによる協調走行方法を示すフローチャートである。
図16】セキュリティステータスベースのClass Dによる協調走行方法を示すフローチャートである。
図17】本発明の別の実施例に係るセキュリティステータスベースの協調走行システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
1.概要
自律走行車は、自車のセンサと与えられた情報とを基に、自律走行を行う。しかし、交通の流れに影響を及ぼしかねない戦略的な行動を行うためには、周辺の他の車両との協調を通じて、情報を共有できるようにしなければならない。
自律走行における協調走行は、自車の取得した情報と、周辺の他の車両の与える情報とを基に、最適な走行条件、走行ルートを決める。
協調走行が決まる走行環境は、車線変更、追い越し、回避、割り込み、十字路、合流など、事故発生の可能性が高い環境として、協調走行の決定は、運転者と他の車両の安全に多大な影響を及ぼしかねない。
それにより、本発明の実施例では、セキュリティステータスベースの協調走行方法を提示する。それは、自車の情報と他の車両から提供する情報のインテグリティを保障し、ネットワーク侵入など、車内データのセキュリティステータスを外部に提供し、安全な協調走行ができるようにする。
具体的に、自車の内部ネットワークのセキュリティステータスを外部の車両に報知し、他の車両のセキュリティステータスを獲得し、自律走行協調クラスを変更、協調対象から除外、又は緊急車両又は危険車両として警戒走行を行う方法である。
【0013】
2.車両の分類
協調走行シナリオでは、自律走行システムの装着の有無及び通信装置の有無に応じて、様々な車両が存在する。図1は、協調走行において車両を分類する表であり、車両は計5つに分類されている。
E-CDA(Ego Cooperative Driving Automation)車両は、協調走行の主体になる車両として、自律走行(ADS可)をサポートし、車両間における通信(V2X)をサポートする。T-CDA(Target Cooperative Driving Automation)車両は、協調走行の対象(相手)になる車両として、E-CDA車両と同様に、自律走行(ADS可)をサポートし、車両間における通信(V2X可)をサポートする。
【0014】
C-VEH(Connected VEHicle)は、自律走行はサポートせず(ADS不可)、車両間における通信のみをサポート(V2X可)する車両として、自律走行をサポートする車両のうち、運転者の手動運転に切り替えた車両を含み、走行交渉の対象車ではない。N-VEH(Normal VEHicle)は、自律走行及び車両間における通信をサポートしない車両として、走行交渉の対象車ではない。
CE-VEH(Connected Emergency VEHicle)は、緊急車両として、車両間における通信(V2X)を通じて、強制的な協調走行命令(強制的なルート変更要請)を出すことができる。
【0015】
3.協調走行の分類
協調走行は、車両間で共有される情報の量と質によって、次のように、Class A、B、C、Dに分けられる。
3.1 Class A:Here I am and What I see
Class Aは、認識された交通環境情報を自律走行車に共有する方式で協調する形の協調走行である。車両間における通信が可能な車両(T-CDA車両、C-VEH、CE-VEH)は、自分の車両情報(位置、方向、ステアリング・ホイールなど)を周辺に配信し、E-CDA車両は、受信された車両情報を基に協調走行を行う。
【0016】
図2は、Class Aによる協調走行方法を示す図である。図示のように、Class Aによる協調走行プロトコルは、周期的に繰り返される形で行う(S101)。周辺の車両間における通信が可能な車両(T-CDA車両、C-VEH、CE-VEH)を検知すると、車両情報を生成して周辺の車両に配信する(S102、S103)。なお、E-CDA車両は、周辺の車両が配信する車両情報を受信すると(S104)、それを基にルートの生成及び制御を試みる(S105)。
【0017】
図3は、Class Aによる協調走行の例を示す図である。図示のように、2台のC-VEH(1、2)は、周期的に自分の車両情報を周辺に配信し、E-CDA車両(A)は、受信した車両情報を基に合流道路の走行を決定して実行する。
【0018】
3.2 Class B:This is what I plan to do
Class Bは、計画された未来行動に対する走行意図を共有する方式で協調する形の協調走行である。T-CDA車両が自分の走行意図(左折、右折、後退、直進、Uターンなど)を周辺に配信すると、E-CDA車両は、受信された走行意図を基に協調走行を実行する。
【0019】
図4は、Class Bによる協調走行方法を示す図である。図示のように、Class Bによる協調走行プロトコルは、E-CDA車両に現在の走行と異なる走行が予想される場合(左折及び右折、Uターン、車線変更、合流道路への進入、十字路への進入など)に(S201)、自分の走行意図を配信する(S202)。なお、E-CDA車両は、周辺の車両が伝送する走行意図を受信すると(S203)、それを基にルートの生成及び制御を試みる(S204)。
【0020】
図5は、Class Bによる協調走行の例を示す図である。図示のように、T-CDA車両(T)とC-VEH(C)とが本線道路を走行し、E-CDA車両(A)が合流道路を走行する場合、E-CDA車両(A)は、C-VEH(C)の走行状態とT-CDA車両(T)の走行計画を受信し、受信された情報を基にC-VEH(C)とT-CDA車両(T)との間に合流する。
【0021】
3.3 Class C:Lets do this together
Class Cは、車両間における一連の提携メッセージを通じ、走行順に合意する形の協調走行である。主導権をもつE-CDA車両は、交渉対象であるT-CDA車両を認知し、安全走行のために走行交渉が必要であることを判断した後、走行優先権を提案し、走行交渉メッセージを通じてT-CDA車両に伝送する。T-CDA車両は、走行交渉メッセージを受信した後、同意メッセージを返し、提案された走行順に沿って走行する。
図6は、Class Cによる協調走行方法を示す図である。図示のように、Class Cによる協調走行プロトコルは、相手車両の走行意図メッセージを受信した後で行う(S301)。衝突の可能性が高い場合(S302)、現在の車両の走行位置に応じて、交渉主導者であるかを確認(合流道路<本線優先、回転走行<直線走行など)する(S303)。
【0022】
E-CDA車両が交渉主導者である場合には(S303-Yes)、走行交渉優先権を提案し(S304)、提案が受諾された場合(S305)、ルートの生成及び制御を実行し(S306)、実行の結果を送信する(S307)。
一方、T-CDA車両が交渉主導者である場合には(S303-No)、走行交渉優先権の提案を受信し(S308)、提案を受諾するか拒否するメッセージを伝達する(S309)。提案を受諾した場合には(S309-Yes)、提案によってルートの生成及び制御を実行する(S310)。
【0023】
図7は、Class Cによる協調走行の例を示す図である。図示のように、T-CDA車両(T)とC-VEH(C)は合流道路を走行し、N-HEV(N)とE-CDA車両(A)は本線道路を走行する場合、E-CDA車両(A)は、C-VEH(C)の走行状態を共有され、T-CDA車両(T)とは走行交渉データをやり取りする。そして、本線道路を走行するE-CDA車両(A)は、走行状態及び走行交渉情報を基に、T-CDA車両(T)がN-HEV(N)の後ろに本線道路に進んだ後、C-VEH(C)が本線進入前に合流道路を通る。
【0024】
3.4 Class D:I will do as detected
Class Dは、特殊車両(緊急車両)が周辺の車両に行動を指示する形の協調走行である。EC-VEHのような緊急走行車(例えば、消防車など)は、自分の緊急走行情報(EDM)を周辺に配信することで、他の車両の譲り合い運転を誘導する。
【0025】
図8は、Class Dによる協調走行方法を示す図である。図示のように、Class Dによる協調走行プロトコルは、EC-VEHのような緊急走行車は、T-CDA車両との衝突の可能性が発生する場合に(S401-Yes&S402-Yes)、状況に応じて協調走行を実行する(S403)。なお、EC-VEHは、周辺の車両と衝突する可能性がある場合に(S401-Yes&S402-No)、周辺の車両に緊急走行情報を配信し(S404)、相手車両のルートの生成及び制御を誘導する(S405)。
図9は、Class Dによる協調走行の例を示す図である。図示のように、CE-VEH(E)が合流道路を走行し、E-CDA車両(A)は本線道路を走行する場合、E-CDA車両(A)は、CE-VEH(E)と走行交渉データをやり取りし、CE-VEH(E)の指示に応じて、CE-VEH(E)が先に本線道路に合流するように譲る。
【0026】
4.走行交渉対象車両の分類
本発明の実施例では、協調走行で走行交渉の対象車であるT-CDA車両の車内ネットワークのセキュリティステータスを、図10に示すように、4段階(レベル)であるNegligible(正常)、Severe(深刻)、Major(危険)、Moderate(警告)状態に分類する。
Negligible(正常)状態とは、車両のセキュリティステータスが正常か、無視できるほどの脅威がある場合である。Moderate(警告)状態とは、運転者が走行品質に不満を感じるほど(User satisfaction negatively affected)にセキュリティが侵害された状態である。
Major(危険)状態とは、運転者が運転するうえで相当なストレス(Significant annoyance of the driver)が発生するほどにセキュリティが侵害された状態である。Severe(深刻)状態とは、車両が動作できないか、予期せぬ場所への走行などの誤作動状態(Vehicle not working or showing unexpected behaviour of core functions such as enabling of limp home mode or autonomous driving to an unintended location)を意味する。
【0027】
5.車両のセキュリティステータスベースの協調走行の対応方法
5.1 協調走行の対応方法#1:Class Down
T-CDA車両のセキュリティステータスがModerate(警告)状態である場合、Class BかClass Cによる協調走行を試みる場合には、Class Aによる協調走行にClassを下げて実行する。
例えば、図11の左に示すように、E-CDA車両(A)は、Negligible(正常)状態のT-CDA車両とはClass Cによる協調走行ができるが、右に示すように、Moderate(警告)状態のT-CDA車両とはClass Aによる協調走行のみが可能である。
【0028】
5.2 協調走行の対応方法#2:走行交渉対象から除外
T-CDA車両のセキュリティステータスがMajor(危険)状態である場合には、協調走行を諦めてN-VEHとして扱う。
【0029】
5.3 協調走行の対応方法#3:警戒走行の実行
T-CDA車両のセキュリティステータスがSevere(深刻)状態である場合には、当該車両を警戒する警戒走行又は防御走行を実行する。
例えば、図12に示すように、セキュリティステータスがSevere(深刻)状態であるT-CDA車両に対しては、協調走行を実行しないことは無論のこと、車間距離を更に取るなどの警戒走行を実行する。
【0030】
6.セキュリティステータスベースの協調走行戦略
6.1 Class Aによる協調走行戦略
図13は、セキュリティステータスベースのClass Aによる協調走行方法を説明するために提供されるフローチャートである。ここには、「5.2 走行交渉対象から除外」及び「5.3 警戒走行の実行」が適用される。
具体的に、T-CDA車両のセキュリティステータスがSevere(深刻)状態である場合(S110-Yes)、E-CDA車両は、T-CDA車両に対し、警戒走行及び回避走行を実行する(S120)。なお、T-CDA車両のセキュリティステータスがMajor(危険)状態である場合(S130-Yes)、E-CDA車両は、T-CDA車両との交渉走行を諦める(S120)。
一方、T-CDA車両のセキュリティステータスがModerate(警告)又はNegligible(正常)状態なら(S130-No)、Class Aによる協調走行を実行する(S105)。
【0031】
6.2 Class Bによる協調走行戦略
図14は、セキュリティステータスベースのClass Bによる協調走行方法を説明するために提供されるフローチャートである。ここには、「5.1 Class Down」、「5.2 走行交渉対象から除外」及び「5.3 警戒走行の実行」が適用される。
具体的に、T-CDA車両のセキュリティステータスがSevere(深刻)状態である場合(S210-Yes)、E-CDA車両は、T-CDA車両に対し、警戒走行及び回避走行を実行する(S220)。なお、T-CDA車両のセキュリティステータスがMajor(危険)状態である場合(S230-Yes)、E-CDA車両は、T-CDA車両との交渉走行を諦める(S240)。
一方、T-CDA車両のセキュリティステータスがModerate(警告)状態なら(S250-Yes)、Class BをClass Aに下げ、協調走行を実行する(S260)。一方、T-CDA車両のセキュリティステータスがNegligible(正常)状態なら(S250-No)、Class Bによる協調走行を実行する(S204)。
【0032】
6.3 Class Cによる協調走行戦略
図15は、セキュリティステータスベースのClass Cによる協調走行方法を説明するために提供されるフローチャートである。ここには、「5.1 Class Down」、「5.2 走行交渉対象から除外」及び「5.3 警戒走行の実行」が適用される。
具体的に、T-CDA車両のセキュリティステータスがSevere(深刻)状態である場合(S310-Yes)、E-CDA車両は、T-CDA車両に対し、警戒走行及び回避走行を実行する(S320)。なお、T-CDA車両のセキュリティステータスがMajor(危険)状態である場合(S330-Yes)、E-CDA車両は、T-CDA車両との交渉走行を諦める(S340)。
一方、T-CDA車両のセキュリティステータスがModerate(警告)状態なら(S350-Yes)、Class CをClass Aに下げ、協調走行を実行する(S360)。一方、T-CDA車両のセキュリティステータスがNegligible(正常)状態なら(S350-No)、Class Cによる協調走行を実行する(S303~S311)。
【0033】
6.4 Class Dによる協調走行戦略
図16は、セキュリティステータスベースのClass Dによる協調走行方法を説明するために提供されるフローチャートである。ここには、「5.3 警戒走行の実行」が適用される。
具体的に、ステップS410によって受信される配信情報において、走行交渉の対象車であるCE-VEHのセキュリティステータスがSevere(深刻)状態である場合(S420-Yes)、E-CDA車両は、CE-VEHに対し、警戒走行及び回避走行を実行する(S430)。一方、CE-VEHのセキュリティステータスがMajor(危険)、Moderate(警告)又はNegligible(正常)状態なら(S420-No)、Class Dによる協調走行を実行する(S440)。
【0034】
7.セキュリティステータスベースの協調走行システム
図17は、本発明の別の実施例に係るセキュリティステータスベースの協調走行システムを示すブロック図である。本発明の実施例に係る協調走行システムは、セキュリティ点検部510、走行制御部520及び通信部530を含んで構成される。
セキュリティ点検部510は、自車のECU(Electronic Control Unit)のセキュリティステータスを点検し、ECUを接続する車内ネットワークへの侵入を探知し、車両のセキュリティステータスを点検する。
走行制御部520は、セキュリティ点検部510によって点検された車両のセキュリティステータスを通信部530を介して周囲の他の車両に伝送する。なお、走行制御部520は、通信部530を介して受信される走行交渉の対象車の車両情報からセキュリティステータスを把握し、把握されたセキュリティステータスに応じて、協調走行の実行/排除を決定する。そして、走行制御部520は、決定された協調走行戦略に応じて、ECUを制御して走行を制御する。
【0035】
8.変形例
これまで、車両のセキュリティステータスベースの協調走行の制御方法について、好適な実施例を挙げて詳細に説明してきた。
本発明の実施例では、走行交渉の対象車のセキュリティステータスを考慮し、自律走行車の協調走行に対応する方法を提示してきた。特に、自律走行車の協調走行を成功させるために、車両間の通信により、車両のセキュリティステータス及び安全状況に関する情報をやり取りし、それを基に協調走行を実行/放棄/無視/警戒する方法について提示してきた。
それにより、自律走行車のセキュリティステータスをベースに、運転者と同乗者を危険に晒しかねない自律走行交渉のような自律走行サービスをサポート/排除することができる根拠を設けて適用することができるようになる。
【0036】
一方、本実施例に係る装置及び方法の機能を行わせるコンピュータプログラムを組み込んだコンピュータで読み取り可能な記録媒体にも、本発明の技術的思想が適用され得る。なお、本発明の多様な実施例に係る技術的思想は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータで読み取り可能なコード形式で実現されてよい。コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、コンピュータによって読み取ることができ、データを保存することができる如何なるデータ保存装置でも可能である。例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスクドライブなどであってよい。なお、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されたコンピュータで読み取り可能なコード又はプログラムは、コンピュータ間で接続されたネットワークを介して伝送されてよい。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
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図17