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特開2024-61637光分布生成のための自動車前照灯用照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061637
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光分布生成のための自動車前照灯用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/24 20180101AFI20240425BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240425BHJP
【FI】
F21S41/24
F21W102:13
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172333
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】22202973.8
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マルチン ハマル
(57)【要約】
【課題】光出射特性を変更可能な光学体を有する照明装置の提供。
【解決手段】自動車前照灯用照明装置。照明装置(1)は第1垂直長さ(v1)を有する光ビームを放出する光源(2)、光ビームを導く光学体(3)、光ビームを照明装置(1)の前方へ投射する光学システム(5)を含む。光学体(3)は光学体(3)に入射された光ビームを案内する第1ペアの光学的作用面(6)を含む。第1ペアの光学的作用面(6)は光学体(3)を通って進行する間に光ビームを偏向するよう構成された第1及び第2光偏向面(6a、6b)からなる。第1及び第2光偏向面(6a、6b)は光ビームを形成する複数の光線が光学体(3)から出射された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ主方向(X)に対し実質的に平行をなすよう構成されている。出射された平行な光ビームは主垂直断面(v)に第2垂直長さ(v2)を有する。第2垂直長さ(v2)は第1垂直長さ(v1)よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光分布を生成するための自動車前照灯のための照明装置であって、
前記照明装置(1)は、
・前記照明装置(1)の主方向(X)に少なくとも1つの光ビームを放出するよう構成された光源(2)、
・前記主方向(X)に沿って前記光源(2)の下流側に配置された光学体(3)、但し、前記光学体(3)は
・前記光源(2)からの光ビームを前記光学体(3)内へ結合するための光入射部(3a)、但し、前記光入射部(3a)は、前記光源(2)に割り当てられ、かつ、割り当てられた光源(2)からの光ビームを、前記光ビームを形成する複数の光線が前記光学体(3)内へ結合された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向(X)に対し実質的に平行をなすよう、前記光学体(3)内へ結合するよう構成された光収集要素(4)を含み、平行な光ビームは、前記光学体(3)内への結合の際、前記照明装置が自動車に適正に搭載された状態で見て、主垂直断面(v)において第1垂直長さ(v1、v1’)を有し、但し、前記主垂直断面(v)は前記主方向(X)に対し平行である、
・前記光入射部(3a)を介して前記光学体(3)内へ結合された光ビームを前記主方向(X)において前記光学体(3)の内部から外部へ分離するための光出射部(3b)、
・前記光学体(3)を限定するシェル面(3c)、但し、前記シェル面(3c)は前記光学体(3)内へ結合された光ビームを偏向するよう構成されており、前記シェル面(3c)は前記光入射部(3a)と前記光出射部(3b)との間に延在する
を含む、
・前記光学体(3)の前記光出射部(3b)から放出された光ビームを受け取るために前記主方向(X)に沿って前記光学体(3)の下流側に配置された、少なくとも1つの光学素子(5a)を含む、光学システム(5)、但し、前記光学システム(5)は前記照明装置(1)の前方へ光ビームを投射するよう構成されており、前記光源(2)及び前記光学体(3)と組み合わされた前記光学システム(5)は前記光分布を生成するよう構成されている、
を含み、
前記光学体(3)は、前記光入射部(3a)を介して前記光学体(3)内へ結合された光ビームを第1光ビーム路(LB1)に沿って前記光入射部(3a)から前記光出射部(3b)へ案内するための第1ペアの光学的作用面(6)を含むこと、
前記第1ペアの光学的作用面(6)は第1光偏向面(6a)と第2光偏向面(6b)から構成され、前記第1光偏向面(6a)と前記第2光偏向面(6b)は前記シェル面(3c)に設けられ、前記光学体(3)は向い合って位置する第1面及び第2面を含み、前記第1光偏向面(6a)は前記光学体(3)の前記第1面に設けられ、前記第2光偏向面(6b)は前記光学体(3)の前記第2面に設けられていること、
前記主垂直断面(v)において、前記第1光偏向面(6a)は第1放物線に従い、前記第2光偏向面(6b)は第2放物線に従い、前記第1光偏向面(6a)と前記第2光偏向面(6b)は、前記第1放物線と前記第2放物線が共通の焦点(fp1)を有するよう、前記シェル面(3c)に設けられていること、
前記第1光ビーム路(LB1)に従う光ビームは前記第1光偏向面(6a)に入射し、前記第2光偏向面(6b)へ偏向され、偏向された光ビームは前記第2光偏向面(6b)に入射し、前記光学体(3)の内部から外部への分離のために前記光出射部(3b)へ偏向されること、
前記光出射部(3b)は第1光出射面(7a)を含み、前記第1ペアの光学的作用面(6)と前記光出射部(3b)は、前記第2光偏向面(6b)によって偏向された光ビームが前記第1光出射面(7a)に入射するよう、配置されていること、
前記第1光偏向面(6a)及び前記第2光偏向面(6b)と前記第1光出射面(7a)は、光ビームを形成する複数の光線が前記光学体(3)の内部から外部へ分離された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向(X)に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離された平行光ビームは主垂直断面(v)において第2垂直長さ(v2、v2’)を有し、前記第2垂直長さ(v2、v2’)は前記第1垂直長さ(v1、v1’)よりも大きいこと
を特徴とする、照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記光源(2)は第2光ビームを放出するよう構成されており、前記光学体(3)は、前記光入射部(3a)を介して前記光学体(3)内へ結合された前記第2光ビームを第2光ビーム路(LB2)に沿って前記光入射部(3a)から前記光出射部(3b)へ導くための第2ペアの光学的作用面(8)を含み、前記第2光ビームは、前記光学体(3)内へ結合される際、前記主垂直断面(v)において第3垂直長さ(v3)を有すること、
前記第2ペアの光学的作用面(8)は第3光偏向面(8a)及び第4光偏向面(8b)から構成されており、前記第3光偏向面(8a)と前記第4光偏向面(8b)は前記シェル面(3c)に設けられており、前記第3光偏向面(8a)は前記光学体(3)の前記第1面に設けられ、前記第4光偏向面(8b)は前記光学体(3)の前記第2面に設けられていること、
前記主垂直断面(v)において、前記第3光偏向面(8a)は第3放物線に従い、前記第4光偏向面(8b)は第4放物線に従い、前記第3光偏向面(8a)と前記第4光偏向面(8b)は、前記第3放物線と前記第4放物線が共通の第2焦点(fp2)を有するよう、前記シェル面(3c)に設けられていること、
前記第2光ビーム路(LB2)に従う前記第2光ビームは前記第3光偏向面(8a)に入射し、前記第4光偏向面(8b)へ偏向され、偏向された第2光ビームは前記第4光偏向面(8b)に入射し、前記光学体(3)の内部から外部への分離のために前記光出射部(3b)へ偏向されること、
前記光出射部(3b)は第2光出射面(7b)を含み、前記第2ペアの光学的作用面(8)と前記光出射部(3b)は、前記第4光偏向面(8b)によって偏向された光ビームが前記第2光出射面(7b)に入射するよう、配置されていること、
前記第3光偏向面(8a)と前記第4光偏向面(8b)は、前記第2光ビームの複数の光線が前記光学体(3)の内部から外部へ分離された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向(X)に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離された実質的に平行な光ビームは前記主垂直断面(v)において第4垂直長さ(v4)を有し、前記第4垂直長さ(v4)は前記第3垂直長さ(v3)よりも小さいこと
を特徴とする、照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面(6a)、前記第2光偏向面(6b)、前記第3光偏向面(8a)及び前記第4光偏向面(8b)は、前記共通の第1焦点(fp1)及び前記共通の第2焦点(fp2)と交差する仮想面が交差線において前記光学体(3)と交差するよう、配置されており、前記光学体(3)は、前記第1光偏向面(6a)が前記第3光偏向面(8a)よりも前記交差線に対し相対的に垂直方向により高い位置にあるよう、構成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項4】
請求項2に記載の照明装置において、
生成された光分布は第1部分光分布と第2部分光分布を含み、前記第1光出射面(7a)から外部へ分離された少なくとも1つの光ビームは前記第1部分光分布を形成し、前記第2光出射面(7b)から外部へ分離された前記第2光ビームは前記第2部分光分布を形成すること
を特徴とする、照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載の照明装置において、
前記生成された光分布はロービーム用光分布であり、前記ロービーム用光分布の垂直長さはVV線に沿って少なくとも0°から該VV線において少なくとも-10°まで下方に延在すること
を特徴とする、照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明装置において、
前記第1部分光分布の中心は前記第2部分光分布の中心よりも前記VV線の0°線のより近くにあること
を特徴とする、照明装置。
【請求項7】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面(6a)と前記第3光偏向面(8a)は前記光学体(3)の前記シェル面(3c)の同じ面に配されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項8】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第2光偏向面(6b)と前記第4光偏向面(8b)は前記光学体(3)の前記シェル面(3c)の同じ面に配されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項9】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面(6a)と前記第2光偏向面(6b)は凹状湾曲を有し、かつ、前記第2光偏向面(8a)と前記第4光偏向面(8b)は凸状湾曲を有すること
を特徴とする、照明装置。
【請求項10】
請求項1に記載の照明装置において、
前記少なくとも1つの光ビームを形成する複数の光線は前記主垂直断面(v)において前記主方向(X)に沿って第1発散(d1)を有し、前記少なくとも1つの光ビームを形成する前記複数の光線は、前記光学体(3)の内部から外部へ分離された後、前記主垂直断面(v)において第2発散(d2)を有し、前記第2発散(d2)は前記第1発散(d1)よりも小さいこと
を特徴とする、照明装置。
【請求項11】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第2光ビームを形成する複数の光線は前記主垂直断面(v)において前記主方向(X)に沿って第3発散(d3)を有し、前記第2光ビームを形成する前記複数の光線は、前記光学体(3)の内部から外部へ分離された後、前記主垂直断面(v)において第4発散(d4)を有し、前記第4発散(d4)は前記第3発散(d3)よりも大きいこと
を特徴とする、照明装置。
【請求項12】
請求項1~11の何れかに記載の照明装置(1)を含む、自動車前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年10月21日に出願された欧州特許出願第22202973.8号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、光分布を生成するための自動車前照灯のための照明装置であって、
前記照明装置は、
・前記照明装置の主方向に少なくとも1つの光ビームを放出するよう構成された光源、
・前記主方向に沿って前記光源の下流側に配置された光学体、但し、前記光学体は
・前記光源からの光ビームを前記光学体内へ結合(入射)するための光入射部、但し、前記光入射部は、前記光源に割り当てられ、かつ、割り当てられた光源からの光ビームを、前記光ビームを形成する複数の光線が前記光学体内へ結合された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、前記光学体内へ結合するよう構成された光収集要素を含み、平行な光ビームは、前記光学体内への結合の際、前記照明装置が自動車に適正に搭載された状態で見て、主垂直(縦)断面において第1垂直(縦)長さ(幅)を有し、但し、前記主垂直断面は前記主方向に対し平行である、
・前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された光ビームを前記主方向において前記光学体の内部から外部へ分離(出射)するための光出射部、
・前記光学体を限定(画成)するシェル面、但し、前記シェル面は前記光学体内へ結合された光ビームを偏向するよう構成されており、前記シェル面は前記光入射部と前記光出射部との間に延在する
を含む、
・前記光学体の前記光出射部から放出された光ビームを受け取る(受光する)ために前記主方向に沿って前記光学体の下流側に配置された、少なくとも1つの光学素子を含む、光学システム、但し、前記光学システムは前記照明装置の前方へ光ビームを投射するよう構成されており、前記光源及び前記光学体と組み合わされた前記光学システムは前記光分布を生成するよう構成されている、
を含む、照明装置に関する。
【0003】
更に、本発明は照明装置を含む自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術において、光分布を生成するために自動車前照灯において使用するための照明装置はよく知られている。典型的には、光源は光を生成及び放出し、該光は光学体、例えばライトガイドを介して光学システムへ導かれる。光学システムは、光学体を介して光源から受光した光によって特定の光機能ないし光分布(例えばロービーム用光分布、ハイビーム用光分布等)を生成するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 10 288 248 B1
【特許文献2】DE 10 2017 117560 A1
【特許文献3】WO 2015/170071 A1
【特許文献4】US 2022/186902 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、光学体は、通常、光を特定の部位、例えば光学システムの光入射面へ導くように構成された、平面状(planar)ライトガイドである。そのような平面状ライトガイド(ないし導光光学体)は光源と光学システムの軸外れ(off-axis)配置を補償することも可能であるが、そのような配置は照明装置ないし照明装置を使用する前照灯の設計が原因である。その特性(性質)のため、平面状ライトガイドは、当該ライトガイドを通過して導かれる光ビームないし光線のサイズ(径)や発散(の角度)(拡開ないし(末)広がり(の角度):divergency)に影響を及ぼすことはできない。従って、平面状ライトガイドからの可能な光出射は寧ろ限定されている。光ビームのサイズや発散を修正するために、通常は、レンズのような追加の光学素子が使用されている。
【0007】
本発明の目的は、その光出射特性を修正(変更)可能な光学体を有する照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明に応じた照明装置及び自動車前照灯によって達成される。
本発明の第1の視点により、光分布を生成するための自動車前照灯のための照明装置が提供される。該照明装置は
・前記照明装置の主方向に少なくとも1つの光ビームを放出するよう構成された光源、
・前記主方向に沿って前記光源の下流側に配置された光学体、但し、前記光学体は
・前記光源からの光ビームを前記光学体内へ結合(入射)するための光入射部、但し、前記光入射部は、前記光源に割り当てられ、かつ、割り当てられた光源からの光ビームを、前記光ビームを形成する複数の光線が前記光学体内へ結合された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、前記光学体内へ結合するよう構成された光収集要素を含み、平行な光ビームは、前記光学体内への結合の際、前記照明装置が自動車に適正に搭載された状態で見て、主垂直断面において第1垂直長さ(幅)を有し、但し、前記主垂直断面は前記主方向に対し平行である、
・前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された光ビームを前記主方向において前記光学体の内部から外部へ分離(出射)するための光出射部、
・前記光学体を限定(画成)するシェル面、但し、前記シェル面は前記光学体内へ結合された光ビームを偏向するよう構成されており、前記シェル面は前記光入射部と前記光出射部との間に延在する
を含む、
・前記光学体の前記光出射部から放出された光ビームを受け取る(受光する)ために前記主方向に沿って前記光学体の下流側に配置された、少なくとも1つの光学素子を含む、光学システム、但し、前記光学システムは前記照明装置の前方へ光ビームを投射するよう構成されており、前記光源及び前記光学体と組み合わされた前記光学システムは前記光分布を生成するよう構成されている、
を含み、
前記光学体は、前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された光ビームを第1光ビーム路に沿って前記光入射部から前記光出射部へ案内するための第1ペアの光学的作用面(複数)を含むこと、
前記第1ペアの光学的作用面は第1光偏向面と第2光偏向面から構成され、前記第1光偏向面と前記第2光偏向面は前記シェル面に設けられ(形成され)、前記光学体は向い合って位置する第1面(サイド)及び第2面(サイド)を含み、前記第1光偏向面は前記光学体の前記第1面に設けられ(形成され)、前記第2光偏向面は前記光学体の前記第2面に設けられ(形成され)ていること、
前記主垂直断面において、前記第1光偏向面は第1放物線に従い(沿っており)、前記第2光偏向面は第2放物線に従い(沿っており)、前記第1光偏向面と前記第2光偏向面は、前記第1放物線と前記第2放物線が共通の焦点を有するよう、前記シェル面に設けられ(形成され)ていること、
前記第1光ビーム路に従う(に沿って進行する)光ビームは前記第1光偏向面に入射し、前記第2光偏向面へ偏向され、偏向された光ビームは前記第2光偏向面に入射し、前記光学体の内部から外部への分離のために前記光出射部へ偏向されること、
前記光出射部は第1光出射面を含み、前記第1ペアの光学的作用面と前記光出射部は、前記第2光偏向面によって偏向された光ビームが前記第1光出射面に入射するよう、配置されていること、
前記第1光偏向面及び前記第2光偏向面と前記第1光出射面は、光ビームを形成する複数の光線が前記光学体の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離された平行光ビームは主垂直断面において第2垂直長さを有し、前記第2垂直長さは前記第1垂直長さよりも大きいこと
を特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、少なくとも1つの本発明の照明装置を含む自動車前照灯が提供される(形態12)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の照明装置において、
前記光源は第2光ビームを放出するよう構成されており、前記光学体は、前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された前記第2光ビームを第2光ビーム路に沿って前記光入射部から前記光出射部へ導くための第2ペアの光学的作用面(複数)を含み、前記第2光ビームは、前記光学体内へ結合される際、前記主垂直断面において第3垂直長さを有すること、
前記第2ペアの光学的作用面は第3光偏向面及び第4光偏向面から構成されており、前記第3光偏向面と前記第4光偏向面は前記シェル面に設けられ(形成され)ており、前記第3光偏向面は前記光学体3の前記第1面に設けられ(形成され)、前記第4光偏向面は前記光学体の前記第2面に設けられ(形成され)ていること、
前記主垂直断面において、前記第3光偏向面は第3放物線に従い、前記第4光偏向面は第4放物線に従い、前記第3光偏向面と前記第4光偏向面は、前記第3放物線と前記第4放物線が共通の第2焦点を有するよう、前記シェル面に設けられ(形成され)ていること、
前記第2光ビーム路に従う(に沿って進行する)前記第2光ビームは前記第3光偏向面に入射し、前記第4光偏向面へ(向かって)偏向され、偏向された第2光ビームは前記第4光偏向面に入射し、前記光学体の内部から外部への分離のために前記光出射部へ偏向されること、
前記光出射部は第2光出射面を含み、前記第2ペアの光学的作用面と前記光出射部は、前記第4光偏向面によって偏向された光ビームが前記第2光出射面に入射するよう、配置されていること、
前記第3光偏向面と前記第4光偏向面は、前記第2光ビームの複数の光線が前記光学体の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離された実質的に平行な光ビームは前記主垂直断面において第4垂直長さを有し、前記第4垂直長さは前記第3垂直長さよりも小さいことが好ましい。
(形態3)形態2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面、前記第2光偏向面、前記第3光偏向面及び前記第4光偏向面は、前記共通の第1焦点及び前記共通の第2焦点と交差する仮想面が交差線において前記光学体と交差するよう、配置されており、前記光学体は、前記第1光偏向面が前記第3光偏向面よりも前記交差線に対し相対的に垂直方向により高い位置にあるよう、構成されていることが好ましい。
(形態4)形態2に記載の照明装置において、
生成された光分布は第1部分光分布と第2部分光分布を含み、前記第1光出射面から外部へ分離された少なくとも1つの光ビームは前記第1部分光分布を形成し、前記第2光出射面から外部へ分離された前記第2光ビームは前記第2部分光分布を形成することが好ましい。
(形態5)形態4に記載の照明装置において、
前記生成された光分布はロービーム用光分布であり、前記ロービーム用光分布の垂直(方向)長さ(広がり)はVV線に沿って少なくとも0°から該VV線において少なくとも-10°まで下方に延在することが好ましい。
(形態6)形態5に記載の照明装置において、
前記第1部分光分布の中心は前記第2部分光分布の中心よりも前記VV線の0°線のより近くにあることが好ましい。
(形態7)形態2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面と前記第3光偏向面は前記光学体の前記シェル面の同じ面(サイド)に配されていることが好ましい。
(形態8)形態2に記載の照明装置において、
前記第2光偏向面と前記第4光偏向面は前記光学体の前記シェル面の同じ面(サイド)に配されていることが好ましい。
(形態9)形態2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面と前記第2光偏向面は凹状湾曲を有し、かつ、前記第2光偏向面前記第4光偏向面は凸状湾曲を有することが好ましい。
(形態10)形態1に記載の照明装置において、
前記少なくとも1つの光ビームを形成する複数の光線は前記主垂直断面において前記主方向に沿って第1発散を有し、前記少なくとも1つの光ビームを形成する前記複数の光線は、前記光学体の内部から外部へ分離された後、前記主垂直断面において第2発散を有し、前記第2発散は前記第1発散よりも小さいことが好ましい。
(形態11)形態2に記載の照明装置において、
前記第2光ビームを形成する複数の光線は前記主垂直断面において前記主方向に沿って第3発散を有し、前記第2光ビームを形成する前記複数の光線は、前記光学体の内部から外部へ分離された後、前記主垂直断面において第4発散を有し、前記第4発散は前記第3発散よりも大きいことが好ましい。
(形態12)上記本発明の第2の視点参照。
【0010】
本発明に応じた照明装置は、光ビームが光学体内を通って進行する間に拡開(ないし拡幅)され、そのため、光ビームの発散(divergence)を低減することができ、これにより、不所望の光学的効果、例えば、色収差を減少(抑制)することができるという利点を有する。このことは、照明装置によって創出することができる可能な光機能におけるより大きな多様性を提供する。とりわけ、光学体は、光ビームの直径が当該光学体を通って進行する間に拡大するため、いわゆるビームエキスパンダとして作用(機能)する。光学体を立体的に見て考えると、第1ペアの光学的作用面は(3Dで)放物面ないし(一部)切り取られた(truncated)放物面として記述することも可能である。発散は、光伝搬方向に沿った(に見た)隣接する光線間の角度に実質的に相当すると理解することができる。発散は、また、ビームが出現する(出て来る)要素(例えば光源)からの距離に応じたビーム径ないしビーム半径の増大の角度(表記)として記述可能なビーム発散として記述することができる。ビーム発散は、通常、円形断面を有するビームに関する。ビームは、例えば、楕円形断面を有することもあるが、この場合、ビーム発散の方向(ないし配向:orientation)は、例えば楕円形断面の長軸又は短軸について、特定される必要がある。好ましくは、光学システムは、とりわけ少なくとも1つの光学素子は、光学体から受け取った(受光した)光パターンを(垂直軸又は垂直面に沿って)反転するよう構成される。一般的に、ビーム径がより大きくなれば、発散(の角度)はより小さくなる。
【0011】
有利には、光源は第2光ビームを放出するよう構成されており、光学体は、光入射部を介して光学体内へ結合(入射)された第2光ビームを第2光ビーム路に沿って光入射部から光出射部へ導くための第2ペアの光学的作用面を含み、第2光ビームは、光学体内へ結合(入射)される際、主垂直断面において第3垂直(縦)長さ(幅)を有し、
第2ペアの光学的作用面は第3光偏向面及び第4光偏向面から構成されており、第3光偏向面と第4光偏向面はシェル面に設けられ(形成され)ており、第3光偏向面は光学体の第1面に設けられ(形成され)、第4光偏向面は光学体の第2面に設けられ(形成され)ており、
主垂直断面において、第3光偏向面は第3放物線に従い、第4光偏向面は第4放物線に従い、第3光偏向面と第4光偏向面は、第3放物線と第4放物線が共通の第2焦点を有するよう、シェル面に設けられ(形成され)ており、
第2光ビーム路に従う(に沿って進行する)第2光ビームは第3光偏向面に入射し、第4光偏向面へ(向かって)偏向され、偏向された第2光ビームは第4光偏向面に入射し、光学体の内部から外部への分離(出射)のために光出射部へ偏向され、
光出射部は第2光出射面を含み、第2ペアの光学的作用面と光出射部は、第4光偏向面によって偏向された光ビームが第2光出射面に入射するよう、配置されており、
第3光偏向面と第4光偏向面は、第2光ビームの複数の光線が光学体の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ主方向に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離(出射)された実質的に平行な光ビームは主垂直断面において第4垂直長さを有し、第4垂直長さは第3垂直長さよりも小さい。
【0012】
これは、第1ペアの光学的作用面がビームエキスパンダとして作用(機能)することができかつ第2ペアの光学的作用面がビームコンプレッサとして作用(機能)することができるという利点を有する。なお、ビームエキスパンダは光ビームの第1部分(即ち少なくとも1つの光ビーム)の断面を拡大し、ビームコンプレッサは光ビームの第2部分(即ち第2光ビーム)の断面を縮小する。有利には、光源から放出される全光ビームの第1部分は圧縮(縮小)されることができる一方で、全光ビームの第2部分は拡大されることができ、該拡大と該圧縮は光学的作用面の第1部分と第2部分によって夫々達成されることができる。
【0013】
有利には、第1光偏向面、第2光偏向面、第3光偏向面及び第4光偏向面は、共通の第1焦点及び共通の第2焦点と交差する仮想面が交差線において光学体と交差するよう、配置されており、光学体は、第1光偏向面が第3光偏向面よりも交差線に対し相対的に垂直方向により高くにある(位置する)よう、構成される。
【0014】
有利には、生成された光分布は第1部分光分布と第2部分光分布を含み、第1光出射面から外部へ分離(出射)された少なくとも1つの光ビームは第1部分光分布を形成し、第2光出射面から外部へ分離(出射)された第2光ビームは第2部分光分布を形成する。換言すれば、拡大された光ビームは第1部分光分布を形成するために使用され、圧縮された光ビームは第2部分光分布を形成するために使用される。
【0015】
有利には、生成された光分布はロービーム用光分布であり、ロービーム用光分布の垂直(方向)長さ(広がり)はVV線に沿って少なくとも0°からVV線において少なくとも-10°まで下方に延在(延伸)する。
【0016】
有利には、第1部分光分布の中心は第2部分光分布の中心よりもVV線の0°線のより近くにある(位置する)。有利には、第1ペアの光学的作用面と第2ペアの光学的作用面は、第2部分光分布の中心が第1部分光分布の中心よりもVV線の0°線のより近くにある(位置する)よう、配置されることができる。換言すれば、垂直方向においてより高くに位置する光分布は、第1ペアの光学的作用面と第2ペアの光学的作用面の配置に依存して、圧縮(縮小)又は拡大された光ビームによって生成されることができる。
【0017】
有利には、第1光偏向面と第3光偏向面は光学体のシェル面の同じ面(サイド)に設けられ(形成され)る。
【0018】
有利には、第2光偏向面と第4光偏向面は光学体のシェル面の同じ面(サイド)に設けられ(形成され)る。
【0019】
有利には、第1光偏向面と第2光偏向面は凹状湾曲を有し、かつ、第2光偏向面と第4光偏向面は凸状湾曲を有する。
【0020】
有利には、少なくとも1つの光ビームを形成する複数の光線は主垂直断面において主方向に沿って第1発散を有し、少なくとも1つの光ビームを形成する複数の光線は、光学体の内部から外部へ分離(出射)された後、主垂直断面において第2発散を有し、第2発散は第1発散よりも小さい。
【0021】
有利には、第2光ビームを形成する複数の光線は主垂直断面において主方向に沿って第3発散を有し、第2光ビームを形成する複数の光線は、光学体の内部から外部へ分離(出射)された後、主垂直断面において第4発散を有し、第4発散は第3発散よりも大きい。有利には、(圧縮された第2光ビームの)第4発散は、また、少なくとも1つの(ないし第1)光ビームの第2発散よりも大きい。より低い(ないしより小さい)第2発散は、より幅の広い(拡大された)少なくとも1つの光ビームの結果である。その結果、少なくとも1つの光ビームは、投影(投射)レンズにより小さい角度をなして当射することになり、そのため、色収差又は他の色効果は減少される。
【0022】
用語「上」、「下」、「垂直」、「水平」、「前方」、「前」、「後方」及び「後」は、自動車前照灯ないし自動車に適正に搭載された状態にある照明装置からのもの(を基準としたもの)と理解されるべきものである。
【0023】
以下に、本発明を更に説明するために、図面に示されるような、例示的かつ非限定的な実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の照明装置の第1実施形態の光学体の一例の模式的側面図。
図2】本発明の照明装置の第2実施形態の光学体の一例の模式的側面図。
図3】光学体の一例の斜視図。
図4】第2実施形態の照明装置の模式図。
図5図4の照明装置の他の模式図。
図6】従来技術の照明装置の一例。
【実施例0025】
図1は自動車前照灯のための照明装置1の第1実施形態の光学体3の一例の模式的側面図である。
【0026】
図2は以下においてより詳細に説明する第2実施形態の光学体3の一例を示す。第2実施形態の光学体の斜視図は図3に示されている。
【0027】
図4において見られるような)照明装置1は、照明装置1の主方向Xにおいて少なくとも1つの光ビームを放出するよう構成された光源2を含む。光学体3は主方向Xに沿って光源2の下流側に配置されている。
【0028】
図1は、光源2からの(斜線ハッチ(付)矢印で示されている)光ビームを光学体3内へ結合(入射)するための光入射部3aを含む光学体3の模式図である。光入射部3aは(図4に見られる)光収集要素4を含む。該光収集要素4は、光源2に割り当てられ、かつ、該割り当てられた光源2からの光ビームを、該光ビームを形成する複数の光線が光学体3内へ結合された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ主方向Xに対し実質的に平行をなすように、光学体3内へ結合(入射)するよう構成されている。平行な光ビームは、光学体3内へ結合される際―照明装置1が自動車に適正に搭載された状態で見て―主垂直(縦)断面vにおいて第1垂直(縦)(方向)長さv1’を有する。該主垂直断面vは主方向Xに対し平行をなしている。
【0029】
光学体3は、光入射部3aを介して光学体3内へ結合(入射)された光ビームを主方向Xにおいて光学体3の内部から外部へ分離(出射)するための光出射部3bを含む。光学体3は更に光学体3を限定(画成)するシェル面3cを含む。該シェル面3cは光学体3内へ結合(入射)された光ビームを偏向するよう構成されている。シェル面3cは光入射部3aと光出射部3bとの間に延在している。
【0030】
図4に見られるように、照明装置1は、光学体3の光出射部3bから放出された光ビームを受け取るために主方向Xに沿って光学体3の下流に配置される、少なくとも1つの光学素子5aを含む、光学システム5を含む。光学システム5は照明装置1の前方へ光ビームを投射するよう構成されている。光源2及び光学体3と組み合わされた光学システム5は光分布を生成するよう構成されている。生成される光ビームはロービーム用光分布であることが可能であり、ロービーム用光分布の垂直方向の伸び(範囲)はVV線(垂直線)に沿って少なくとも0°からVV線上において少なくとも-10°まで下方へ延在する。
【0031】
光学体3は、光入射部3aを介して光学体3内へ結合(入射)された光ビームを第1光ビーム路LB1を介して光入射部3aから光出射部3bへ導くための第1ペアの光学的作用面6を含む。第1ペアの光学的作用面6は第1光偏向面6a及び第2光偏向面6bから構成され、第1光偏向面6a及び第2光偏向面6bはシェル面3cに設けられ(形成され)ている。光学体3は向い合って位置する第1面(サイド)及び第2面(サイド)を含み、第1光偏向面6aは(光学体3の)第1面(サイド)に設けられ(形成され)、第2光偏向面6bは光学体3の第2面(サイド)に設けられ(形成され)ている。
【0032】
主垂直(縦)断面vにおいて、第1光偏向面6aは第1放物線に従い(沿っており)、第2光偏向面6bは第2放物線に従い(沿っており)、第1光偏向面6aと第2光偏向面6bは、第1放物線と第2放物線が共通の第1焦点fp1を有するよう、シェル面3cに設けられ(形成され)ている。第1光ビーム路LB1に従う(に沿って進行する)光ビームは第1光偏向面6aに入射し、第2光偏向面6bへ(向かって)偏向される。偏向された光ビームは第2光偏向面6bに入射し、光学体3の内部から外部への分離(出射)のために光出射部3bへ(向かって)偏向される。
【0033】
光出射部3bは第1光出射面7aを含み、第1ペアの光学的作用面6と光出射部3bは、第2光偏向面6bによって偏向された光ビームが第1光出射面7aに入射するよう、配置されている。第1及び第2光偏向面6a、6bと第1光出射面7aは、光ビームを形成する複数の光線が光学体3の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ主方向Xに対し実質的に平行をなすよう、構成されている。分離された平行光ビームは主垂直(縦)断面vにおいて第2垂直(縦)(方向)長さv2’を有する。該第2垂直長さv2’は第1垂直長さv1’よりも大きい。このことは、光学体3の(紙面)左側におけるより幅の広い斜線ハッチ矢印で示されている。光学体3は図1に示された実施形態ではビームエキスパンダとして作用する。
【0034】
図2に示された実施形態では、光源2は第2光ビーム(ないし2つの部分を含む光ビーム)を放出するよう構成されており、光学体3は、光入射部3aを介して光学体3内へ結合(流力)された第2光ビームを第2光ビーム路LB2に沿って光入射部3aから光出射部3bへ導くための第2ペアの光学的作用面8を含む。第2光ビームは、光学体3内へ結合される際、主垂直(縦)断面vにおいて第3垂直(縦)長さv3を有する。第2光ビームは黒(塗)矢印で記載されている。
【0035】
第2ペアの光学的作用面8は第3光偏向面8a及び第4光偏向面8bから構成されている。第3光偏向面8aと第4光偏向面8bはシェル面3cに設けられ(形成され)ている。第3光偏向面8aは(光学体3の)第1面(サイド)に設けられ(形成され)、第4光偏向面8bは光学体3の第2面(サイド)に設けられ(形成され)ている。主垂直(縦)断面vにおいて、第3光偏向面8aは第3放物線に従い(沿っており)、第4光偏向面8bは第4放物線に従う(沿っている)。第3光偏向面8aと第4光偏向面8bは、第3放物線と第4放物線が共通の第2焦点fp2を有するよう、シェル面3cに設けられ(形成され)ている。
【0036】
第2光ビーム路LB2に従う(に沿って進行する)第2光ビームは第3光偏向面8aに入射し、第4光偏向面8bへ(向かって)偏向され、偏向された第2光ビームは第4光偏向面6bに入射し、光学体3の内部から外部への分離のために光出射部3bへ偏向される。
【0037】
光出射部3bは第2光出射面7bを含む。第2ペアの光学的作用面8と光出射部3bは、第4光偏向面8bによって偏向された光ビームが第2光出射面7bに入射するよう、配置されている。第3光偏向面8aと第4光偏向面8bは、第2光ビームの複数の光線が光学体3の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ主方向Xに対し実質的に平行をなすよう、構成されている。分離された実質的に平行な光ビームは主垂直(縦)断面vにおいて第4垂直(縦)(方向)長さv4を有する。該第4垂直長さv4は第3垂直長さv3よりも小さい。光学体3は図1に示された実施形態におけるビームエキスパンダとして作用すると同時に、ビームコンプレッサ(compressor)として作用する。
【0038】
第1、第2、第3、第4光偏向面6a、6b、8a、8bは、共通の第1焦点fp1及び共通の第2焦点fp2と交差する仮想面が交差線において光学体3と交差するよう、配置されている。光学体3は、第1光偏向面6aが第3光偏向面8aよりも交差線について(に対し)垂直方向により高く(高い位置に)にある(位置する)よう、構成されている。第1光偏向面6aと第3光偏向面8aは光学体3のシェル面3cの同じ面(サイド)に設けられ(形成され)ている。第2光偏向面6bと第4光偏向面8bは光学体3のシェル面3cの同じ面(サイド)に設けられ(形成され)ている。第1光偏向面6aと第2光偏向面6bは(垂直方向下側に凹む)凹状の湾曲を有し、第3光偏向面8aと第4光偏向面8bは(垂直方向上側に突出する)凸状の湾曲を有する。
【0039】
図3は第2実施形態の光学体3の斜視図であり、点線で示したボックス状体(六面体)は実際の光学体3を表すが、これは第1ペアの光学的作用面6及び第2ペアの光学的作用面8の一切り出し部分である。
【0040】
図5は照明装置1の第2実施形態を示す。図5図4の照明装置を示すが、光ビーム路LB1及びLB2が(追加的に)示されている。上側の、少なくとも1つの光ビームは光学体3に入射する前に発散(拡開ないし広がり:divergence)d1を有する。該少なくとも1つの光ビームが光学体3を出射した後、該少なくとも1つの光ビームは発散d2を有する。発散d2は、ビーム路LB1に沿って光学体3を通って進行する間に該少なくとも1つの光ビームが拡径ないし拡開するため、初期発散d1よりも小さい。
【0041】
下側の、第2光ビームは光学体3に入射する前に発散d3を有する。第2光ビームが光学体3を出射した後、第2光ビームは発散d4を有する。発散d4は、ビーム路LB2に沿って光学体3を通って進行する間に第2光ビームが縮小(縮径)するため、初期発散d3よりも大きい。第2(下側)光ビームの発散d4は、更に、上記少なくとも1つの光ビーム(上側の、第1光ビーム)の発散d2よりも大きい。その結果、光学素子5aに当射する上側光ビームは低減された色収差を有する。
【0042】
図6は標準的な平面光学体3’を有する従来技術の照明装置の一例を示す。上側の光ビームは光学体3’に入射する前に発散d1’を有する。上側光ビームは、光学体3’から出射した後、発散d2’を有するが、これは初期発散d1’に等しい。上側光ビームの発散は、ビーム路LB1’に沿って光学体3’を通って進行する間、不変である。
【0043】
下側光ビームは光学体3’に入射する前に発散d3’を有する。下側光ビームは、光学体3’から出射した後、発散d4’を有するが、これは初期発散d3’に等しい。下側光ビームの発散は、ビーム路LB2’に沿って光学体3’を通って進行する間、不変である。この例では、平面光学体3’であるが故に、d1’=d2’=d3’=d4’である。その結果、光学素子5aに当射する光ビーム(複数)はより高い(より大きい)色収差を有することになる。
【0044】
上記の実施形態及び実施例の全部又は一部は以下の付記として記載可能であるが、それらに限定されない。
[付記1]光分布を生成するための自動車前照灯のための照明装置。
前記照明装置は、
・前記照明装置の主方向に少なくとも1つの光ビームを放出するよう構成された光源、
・前記主方向に沿って前記光源の下流側に配置された光学体、但し、前記光学体は
・前記光源からの光ビームを前記光学体内へ結合(入射)するための光入射部、但し、前記光入射部は、前記光源に割り当てられ、かつ、割り当てられた光源からの光ビームを、前記光ビームを形成する複数の光線が前記光学体内へ結合された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、前記光学体内へ結合するよう構成された光収集要素を含み、平行な光ビームは、前記光学体内への結合の際、前記照明装置が自動車に適正に搭載された状態で見て、主垂直断面において第1垂直長さ(幅)を有し、但し、前記主垂直断面は前記主方向に対し平行である、
・前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された光ビームを前記主方向において前記光学体の内部から外部へ分離(出射)するための光出射部、
・前記光学体を限定(画成)するシェル面、但し、前記シェル面は前記光学体内へ結合された光ビームを偏向するよう構成されており、前記シェル面は前記光入射部と前記光出射部との間に延在する
を含む、
・前記光学体の前記光出射部から放出された光ビームを受け取る(受光する)ために前記主方向に沿って前記光学体の下流側に配置された、少なくとも1つの光学素子を含む、光学システム、但し、前記光学システムは前記照明装置の前方へ光ビームを投射するよう構成されており、前記光源及び前記光学体と組み合わされた前記光学システムは前記光分布を生成するよう構成されている、
を含む。
前記光学体は、前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された光ビームを第1光ビーム路に沿って前記光入射部から前記光出射部へ案内するための第1ペアの光学的作用面を含む。
前記第1ペアの光学的作用面は第1光偏向面と第2光偏向面から構成され、前記第1光偏向面と前記第2光偏向面は前記シェル面に設けられ(形成され)、前記光学体は向い合って位置する第1面(サイド)及び第2面(サイド)を含み、前記第1光偏向面は前記光学体の前記第1面に設けられ(形成され)、前記第2光偏向面は前記光学体の前記第2面に設けられ(形成され)ている。
前記主垂直断面において、前記第1光偏向面は第1放物線に従い(沿っており)、前記第2光偏向面は第2放物線に従い(沿っており)、前記第1光偏向面と前記第2光偏向面は、前記第1放物線と前記第2放物線が共通の焦点を有するよう、前記シェル面に設けられ(形成され)ている。
前記第1光ビーム路に従う(に沿って進行する)光ビームは前記第1光偏向面に入射し、前記第2光偏向面へ偏向され、偏向された光ビームは前記第2光偏向面に入射し、前記光学体の内部から外部への分離のために前記光出射部へ偏向される。
前記光出射部は第1光出射面を含み、前記第1ペアの光学的作用面と前記光出射部は、前記第2光偏向面によって偏向された光ビームが前記第1光出射面に入射するよう、配置されている。
前記第1光偏向面及び前記第2光偏向面と前記第1光出射面は、光ビームを形成する複数の光線が前記光学体の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離された平行光ビームは主垂直断面において第2垂直長さを有し、前記第2垂直長さは前記第1垂直長さよりも大きい。
[付記2]上記の、とりわけ付記1に記載の照明装置において、
前記光源は第2光ビームを放出するよう構成されており、前記光学体は、前記光入射部を介して前記光学体内へ結合された前記第2光ビームを第2光ビーム路に沿って前記光入射部から前記光出射部へ導くための第2ペアの光学的作用面を含み、前記第2光ビームは、前記光学体内へ結合される際、前記主垂直断面において第3垂直長さを有する。
前記第2ペアの光学的作用面は第3光偏向面及び第4光偏向面から構成されており、前記第3光偏向面と前記第4光偏向面は前記シェル面に設けられ(形成され)ており、前記第3光偏向面は前記光学体の前記第1面に設けられ(形成され)、前記第4光偏向面は前記光学体の前記第2面に設けられ(形成され)ている。
前記主垂直断面において、前記第3光偏向面は第3放物線に従い、前記第4光偏向面は第4放物線に従い、前記第3光偏向面と前記第4光偏向面は、前記第3放物線と前記第4放物線が共通の第2焦点を有するよう、前記シェル面に設けられ(形成され)ている。
前記第2光ビーム路に従う(に沿って進行する)前記第2光ビームは前記第3光偏向面に入射し、前記第4光偏向面へ(向かって)偏向され、偏向された第2光ビームは前記第4光偏向面に入射し、前記光学体内部から外部への分離のために前記光出射部へ偏向される。
前記光出射部は第2光出射面を含み、前記第2ペアの光学的作用面と前記光出射部は、前記第4光偏向面によって偏向された光ビームが前記第2光出射面に入射するよう、配置されている。
前記第3光偏向面と前記第4光偏向面は、前記第2光ビームの複数の光線が前記光学体の内部から外部へ分離(出射)された後に互いに対し実質的に平行をなしかつ前記主方向に対し実質的に平行をなすよう、構成されており、分離された実質的に平行な光ビームは前記主垂直断面において第4垂直長さを有し、前記第4垂直長さは前記第3垂直長さよりも小さい。
[付記3]上記の、とりわけ付記2に記載の照明装置において、
前記第1光偏向面、前記第2光偏向面、前記第3光偏向面及び前記第4光偏向面は、前記共通の第1焦点及び前記共通の第2焦点と交差する仮想面が交差線において前記光学体と交差するよう、配置されている;前記光学体は、前記第1光偏向面が前記第3光偏向面よりも前記交差線に対し相対的に垂直方向により高い位置にあるよう、構成されている。
[付記4]上記の、とりわけ付記2又は3に記載の照明装置において、
生成された光分布は第1部分光分布と第2部分光分布を含む;前記第1光出射面から外部へ分離された少なくとも1つの光ビームは前記第1部分光分布を形成する;前記第2光出射面から外部へ分離された前記第2光ビームは前記第2部分光分布を形成する。
[付記5]上記の、とりわけ付記1~4の何れかに記載の照明装置において、
前記生成された光分布はロービーム用光分布であり、前記ロービーム用光分布の垂直(方向)長さ(広がり)はVV線に沿って少なくとも0°から該VV線において少なくとも-10°まで下方に延在する。
[付記6]上記の、とりわけ付記4及び5[付記4を引用する付記5]に記載の照明装置において、
前記第1部分光分布の中心は前記第2部分光分布の中心よりも前記VV線の0°線のより近くにある。
[付記7]上記の、とりわけ付記2~6の何れかに記載の照明装置において、
前記第1光偏向面と前記第3光偏向面は前記光学体の前記シェル面の同じ面に配されている。
[付記8]上記の、とりわけ付記2~7の何れかに記載の照明装置において、
前記第2光偏向面と前記第4光偏向面は前記光学体の前記シェル面の同じ面に配されている。
[付記9]上記の、とりわけ付記2~8の何れかに記載の照明装置において、
前記第1光偏向面と前記第2光偏向面は凹状湾曲を有し、かつ、前記第2光偏向面と前記第4光偏向面は凸状湾曲を有する。
[付記10]上記の、とりわけ付記1~9の何れかに記載の照明装置において、
前記少なくとも1つの光ビームを形成する複数の光線は前記主垂直断面において前記主方向に沿って第1発散を有する;前記少なくとも1つの光ビームを形成する前記複数の光線は、前記光学体の内部から外部へ分離された後、前記主垂直断面において第2発散を有する;前記第2発散は前記第1発散よりも小さい。
[付記11]上記の、とりわけ付記2~10の何れかに記載の照明装置において、
前記第2光ビームを形成する複数の光線は前記主垂直断面において前記主方向に沿って第3発散を有する;前記第2光ビームを形成する前記複数の光線は、前記光学体の内部から外部へ分離された後、前記主垂直断面において第4発散を有する;前記第4発散は前記第3発散よりも大きい。
[付記12]付記1~11の何れかに記載の照明装置を含む、自動車前照灯。
【0045】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0046】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0047】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【符号の説明】
【0048】
1 照明装置
2 光源
3 光学体
3a 光入射部
3b 光出射部
3c シェル面
4 光収集要素
5 光学システム
6 第1ペアの光学的作用面
6a 第1光偏向面
6b 第2光偏向面
7a 第1光出射面
7b 第2光出射面
8 第2ペアの光学的作用面
8a 第3光偏向面
8b 第4光偏向面
fp1 共通の第1焦点
fp2 共通の第2焦点

v 主垂直断面
v1、v1’ 第1垂直長さ
v2、v2’ 第2垂直長さ
v3 第3垂直長さ
v4 第4垂直長さ

LB1 第1光ビーム路
LB2 第2光ビーム路
X 主方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】