(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061638
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】コイル装置および電子回路
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240425BHJP
H01F 19/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173138
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】17/969,832
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梅木 陸
(72)【発明者】
【氏名】藤原 清文
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, ヨウリ
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA11
5E070AB03
5E070BA08
5E070BB03
(57)【要約】
【課題】小型化を実現可能なコイル装置および電子回路を提供する。
【解決手段】コイル装置は、第1導体と、前記第1導体の内側に配置してある第2導体と、前記第2導体の内側に配置してある第1中芯部と、前記第1導体と前記第2導体との間に配置してある第2中芯部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体と、
前記第1導体の内側に配置してある第2導体と、
前記第2導体の内側に配置してある第1中芯部と、
前記第1導体と前記第2導体との間に配置してある第2中芯部と、を有するコイル装置。
【請求項2】
前記第2導体は、前記第1導体に沿って延在する延在部を有し、前記延在部は、前記第1導体から離れて延在する第1部分と、前記第1導体の近くで延在する第2部分と、を有し、
前記第2中芯部は、前記第1部分と前記第1導体との間に配置してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
外脚部をさらに有し、前記外脚部と前記第1中芯部とで閉磁路を形成する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記第1中芯部および前記第2中芯部は、同じ磁性材料で形成してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第1中芯部および前記第2中芯部は、異なる磁性材料で形成してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第2中芯部は、前記第1中芯部よりも透磁率が低い材料で構成してある請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記第1中芯部および前記第2中芯部は、磁性材料と樹脂材料とを有するモールド材で構成してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項8】
請求項1に記載のコイル装置を有する電子回路。
【請求項9】
前記コイル装置が複数である請求項8に記載の電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル装置および電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコイル装置は、導体間に高い磁気結合を実現することができ、電源回路等に用いられるカップリングインダクタとして好適に用いられている。このようなカップリングインダクタを用いた電源回路において、さらに小型化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記の実情を鑑みてなされ、その目的は、装置の小型化を実現可能なコイル装置および電子回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示に係るコイル装置は、
第1導体と、
前記第1導体の内側に配置してある第2導体と、
前記第2導体の内側に配置してある第1中芯部と、
前記第1導体と前記第2導体との間に配置してある第2中芯部と、を有する。
【0006】
また、本開示に係る電子回路は、前記コイル装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは一実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図6】
図6はさらに他の実施形態に係る断面図である。
【
図7】
図7は一実施形態に係る電子回路を示す回路図である。
【
図8】
図8はコイル装置の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態を、図面を用いて説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、以下、実施形態により具体的に説明するが、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0009】
第1実施形態
図1Aに示すように、本実施形態に係るコイル装置10は、第1面2aと、第2面2bと、第3面2cと、第4面2dと、第5面2eと、第6面2fとを有する略直方体の外形を有するが、形状は特に限定されない。第1面2aと第2面2bとはX軸方向に対向しており、第3面2cと第4面2dとはY軸方向に対向しており、第5面2eと第6面2fとはZ軸方向に対向している。なお、図面において、X軸方向とY軸方向とZ軸方向とは相互に直交している。
【0010】
コイル装置10の寸法は特に限定されないが、X軸方向の幅はたとえば9.0~12.0mmであり、Y軸方向の幅はたとえば4.0~6.0mmであり、Z軸方向の高さはたとえば3.0~20.0mmである。
【0011】
図2に示すように、コイル装置10は、磁性体コア20a,20bと、第1導体30と、第2導体40とを有する。第1導体30および第2導体40のいずれか一方は一次コイルとして機能し、他方は二次コイルとして機能する。導体30,40の詳細については後述する。
【0012】
図1Aに示すように、例示的な実施形態では、磁性体コア20a,20bが組み合わされて、コイル装置10の第1面2aと、第2面2bと、第3面2cと、第4面2dと、第5面2eと、第6面2fと、を構成している。
図1Bに示すように、磁性体コア20a,20bは、いわゆるE字形状からなり、それぞれ同一形状を有するが、形状はこれに限定されない。たとえば一方の磁性体コアがE字形状であり、他方の磁性体コアがI字形状であってもよい。
【0013】
磁性体コア20a,20bは、それぞれY軸方向に対向するように配置されている。磁性体コア20a,20bは、互いに接着剤等を用いて接合されていてもよい。磁性体コア20a,20bは、磁性体で構成され、たとえば、Ni-Zn系フェライトや、Mn-Zn系フェライト、あるいは金属磁性体などの比較的透磁率の高い磁性材料で構成された磁性粉体を、成型および焼結することにより作製されていてもよい。
【0014】
図2に示すように、磁性体コア20a,20bは、それぞれ、ベース部21と、外脚部221,222と、外脚部221,222のX軸に沿っての間に配置される中芯部23と、溝部24と、第1側方溝部251と、第2側方溝部252と、を有する。ベース部21は、略平板形状(略直方体形状)からなる。以下では、主として、磁性体コア20aについて説明するが、磁性体コア20aについての説明は、磁性体コア20bにも適用される。
【0015】
図2に示すように、外脚部221,222は、それぞれベース部21のX軸方向の一方側および他方側の端部に、X軸方向に離間して配置してある。外脚部221,222は、それぞれ、ベース部21から、Y軸方向の他方側のベース部21に向けて突出している。外脚部221,222は、それぞれZ軸方向に細長い形状を有し、ベース部21のZ軸方向の上端から下端部にかけて延在している。
【0016】
図2に示すように、中芯部23は、第1中芯部231と、第2中芯部232と、を有する。また、第1中芯部231および第2中芯部232は、それぞれ、ベース部21のY軸方向の一方側の面から、Y軸方向の一方側に向けて突出している。
【0017】
図2に示すように、第1中芯部231は、ベース部21のX軸方向の略中心部に形成されている。第1中芯部231は、ベース部21のZ軸方向の下部に配置してある。第2中芯部232は、第1中芯部231のZ軸方向の上部に、第1中芯部231から離間して配置してある。第1中芯部231および第2中芯部232のY軸方向への突出幅は、外脚部221,222のY軸方向の突出幅と略等しくなっている。例示的な実施形態では、第1中芯部231および第2中芯部232のX軸方向幅は、外脚部221,222のX軸方向幅よりも大きく、略2~3倍程度となっている。
【0018】
図2に示すように、溝部24は、外脚部221,222の間に形成してある。溝部24は、第1側方部241と、第2側方部242と、上方部243と、中間部244と、を有する。第1側方部241および第2側方部242は、それぞれZ軸方向に沿って略直線状に延在しており、ベース部21のZ軸方向の上端部から下端部にかけて延在している。
【0019】
図2に示すように、第1側方部241は、X軸方向の一方側に位置する外脚部221と中芯部23との間に形成されている。また、第2側方部242は、X軸方向の他方側に位置する外脚部222と中芯部23との間に形成されている。第1側方部241および第2側方部242の各々のX軸方向の幅は、導体30,40の各々の厚み(板厚)の和よりも大きくなっている。
【0020】
図2に示すように、上方部243は、ベース部21の上方に形成されており、X軸方向に沿って延在している。上方部243は、第1側方部241の上端部と第2側方部242の上端部とを接続している。上方部243のZ軸方向の幅は、導体30の厚み(板厚)よりも大きくなっている。
【0021】
図2に示すように、中間部244は、第1中芯部231と第2中芯部232との間に形成されており、X軸方向に沿って延在している。中間部244は、第1側方部241の中腹部と第2側方部242の中腹部とを接続している。中間部244のZ軸方向幅は、導体40の厚み(板厚)よりも大きくなっている。
【0022】
図2に示すように、第1側方溝部251は、X軸方向の一方側に位置する外脚部221の下方に形成されている。第1側方溝部251は、X軸方向に沿って、ベース部21のX軸方向の一端側に向かって延びている。第2側方溝部252は、X軸方向の他方側に位置する外脚部222の下方に形成されている。第2側方溝部252は、X軸方向に沿って、ベース部21のX軸方向の他端側に向かって延びている。側方溝部251,252は、それぞれ側方部241,242の下端部に接続されており、側方部241,242と側方溝部251,252とで略L字状の溝部が形成されている。側方溝部251,252の各々のZ軸方向幅は、第1導体30の厚み(板厚)と同程度、あるいはそれよりも大きくなっている。
【0023】
図1Bに示すように、磁性体コア20a,20bの組み合わせは、第3面2cとはY軸方向の反対側に位置する磁性体コア20aの一方側の面と、第4面2dとはY軸方向の反対側に位置する磁性体コア20bの一方側の面とを接着剤等(図示略)を介して接合することにより可能となっている。より詳細には、磁性体コア20a,20bの外脚部221,222同士、第1中芯部231同士および第2中芯部232同士が接合される。なお、外脚部221,222同士、第1中芯部231同士および第2中芯部232同士のすべてが接合していなくてもよく、一方またはそれぞれの双方にギャップが形成してあってもよい。
【0024】
図2に示すように、例示的な実施形態では、第1導体30は、導体板からなり、湾曲形状(略U字形状)を有する。
図1Bに示すように、第1導体30は、第2導体40とともに、磁性体コア20a,20bの間に配置される。第1導体30を構成する材料としては、例えば、銅および銅合金、銀、ニッケルなどの金属の良導体が挙げられるが、導体材料であれば特に限定されない。第1導体30は、例えば、金属の板材を機械加工して形成されるが、第1導体30の形成方法はこれに限定されるものではない。なお、第1導体30は、導体板に限定されず、平角線であってもよい。
【0025】
図4に示すように、例示的な実施形態では、第1導体30は全体として縦長形状を有しており、第1導体30のZ軸方向の高さは、そのX軸方向の幅よりも大きくなっている。例示的な実施形態では、第1導体30の延在方向に垂直な断面積は、第2導体40の延在方向に垂直な断面積よりも大きくなっている。また、例示的な実施形態では、第1導体30の厚み(板厚)は、第2導体40の厚み(板厚)よりも大きくなっている。第1導体30の厚みは、0.5~2.5mmであってもよく、第2導体40の厚みは0.1~1mmであってもよい。第1導体30のY軸方向の幅は、第2導体40のY軸方向の幅と略等しくなっていてもよい。
【0026】
第1導体30の表面全体には、メッキ層が形成されていてもよい。メッキ層は、単層あるいは複層で構成してもよい。メッキ層は、たとえばCuメッキ、Niメッキ、Snメッキ、Ni-Snメッキ、Cu-Ni-Snメッキ、Ni-Auメッキ、Auメッキ等の金属メッキ層で構成してもよい。メッキ層は、第1導体30の表面に、たとえば電界メッキまたは無電界メッキを施すことにより形成することができる。メッキ層の厚みは、特に限定されないが、たとえば1~30μmであってもよい。
【0027】
図2に示すように、例示的な実施形態では、第1導体30は、第1導体側部31と、第2導体側部32と、導体上部33と、第1実装部34と、第2実装部35と、を有する。導体上部33は、Z軸方向の上方に配置され、X軸方向に沿って延在している。第1導体側部31は、導体上部33のX軸方向の一端に接続しており、第2導体側部32は、導体上部33のX軸方向の他端に接続している。第1導体側部31および第2導体側部32は、それぞれZ軸方向に沿って延びている。
【0028】
第1実装部34および第2実装部35は、それぞれ第1導体30の一端部および他端部、すなわち第1導体側部31および第2導体側部32の下端部に連続して(一体に)形成されている。実装部34,35は、導体側部31,32に対して屈曲しており、X軸方向の外側に向かって延びている。これらの実装部34,35を介して、第1導体30を電子回路100(
図7参照)などに接続することが可能となっている。第1導体30の電子回路への接続は、たとえばハンダや導電性接着剤等の接合部材を介して行われ得る。
【0029】
第1導体側部31と第1実装部34との境界付近には、X軸方向の外側(第2導体40が配置されている側とは反対側)に向けて屈曲する第1外側屈曲部36が形成されており、第2導体側部32と第2実装部35との境界付近には、X軸方向の外側に向けて屈曲する第2外側屈曲部37が形成されている。
【0030】
図2に示すように、例示的な実施形態では、第2導体40は、導体板からなり、湾曲形状(略U字形状)を有する。
図1Bに示すように、第2導体40は、第1導体30と同様の材料で構成してあってもよい。第2導体40は、第1導体30とともに、磁性体コア20a,20bの間に配置される。なお、第2導体40は、導体板に限定されず、平角線であってもよい。
【0031】
図4に示すように、例示的な実施形態では、第2導体40は縦長形状を有しており、第2導体40のZ軸方向の高さは、そのX軸方向の長さよりも長くなっている。第2導体40は、第1導体30よりも小さい。第2導体40は、第1導体30の内側(第1導体側部31と第2導体側部32との間であり、導体上部33のZ軸方向の下方)に配置される。
【0032】
図2に示すように、例示的な実施形態では、第2導体40は、第1導体30に沿って延在する延在部40aと、第1実装部44と、第2実装部45とを有する。延在部40aは、導体上部43と、第1導体側部41と、第2導体側部42と、を有する。導体上部43は、Z軸方向の上方に配置され、第1導体30から離れてX軸方向に沿って延在している。第1導体側部41は、導体上部43のX軸方向の一端に接続しており、第2導体側部42は、導体上部43のX軸方向の他端に接続している。第1導体側部41および第2導体側部42は、それぞれ第1導体30の近くでZ軸方向に沿って延びている。
【0033】
図4に示すように、例示的な実施形態では、第2導体40の第1導体側部41は、第1導体30の第1導体側部31に対向して配置されている。第2導体40の第2導体側部42は、第1導体30の第2導体側部32に対向して配置されている。導体上部43は、第1導体30の導体上部33対向して配置されている。
【0034】
第1実装部44および第2実装部45は、それぞれ第1導体40の一端部および他端部、すなわち第1導体側部41および第2導体側部42の下端部に連続して(一体に)形成されている。
【0035】
実装部44,45は、導体側部41,42に対して屈曲しており、X軸方向の内側に向かって延びている。
図4に示すように、実装部44,45は第1中芯部231の底面に沿って延びており、実装部44,45の上面は、Z軸方向に第1中芯部231の底面と離間されて配置されている。
【0036】
第2導体40の第1実装部44の延在方向は、第1導体30の第1実装部34の延在方向とはX軸方向に関して逆向きになっている。また、第2導体40の第2実装部45の延在方向は、第1導体30の第2実装部35の延在方向とはX軸方向に関して逆向きになっている。
【0037】
これらの実装部44,45を介して、第2導体40を電子回路100(
図7参照)など接続することが可能となっている。第2導体40の電子回路への接続は、たとえばハンダや導電性接着剤等の接合部材を介して行われ得る。
【0038】
図4に示すように、第2導体40は、実装部44,45の電子回路などに接続する一部を除き、第2導体40の表面を覆う絶縁層70を有していてもよい。例示的な実施形態では、絶縁層70は、絶縁被膜で構成されており、第2導体40に対して一体的に形成されている。絶縁層70の表面(外面)は第1導体30の内面には接しておらず、第2導体40は、絶縁層70の外面が、第1導体30の内面から離間して配置される。
【0039】
絶縁層70を構成する材料は、特に限定されるものではないが、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、エポキシ、エポキシ変性アクリル樹脂等が挙げられる。
【0040】
図4に示すように、第1導体30の第1導体側部31および第2導体40の第1導体側部41が、溝部24の第1側方部241に配置される。第1導体30の第2導体側部32および第2導体40の第2導体側部42が、溝部24の第2側方部242に配置される。第1導体30の導体上部33が、溝部24の上方部243に配置される。上方部243のZ軸方向の幅W3は、特に限定されない。幅W3は、導体上部33が上方部243に配置された状態で、導体上部33の上面が第5面2eより下方または面一に配置されるように設計してあってもよい。
【0041】
導体40の導体上部43が、中間部244に配置される。中間部244のZ軸方向の幅W4は、特に限定されないが、幅W4は、導体上部43が中間部244に配置された状態で、導体上部43が第1中芯部231および第2中芯部232とZ軸方向に離間または接触して配置してあることが好ましい。たとえば、導体40の厚みTに対して、幅W4は、1倍~2倍程度が好ましい。
【0042】
図4に示すように、第1導体側部31と第2導体側部32との間に第2導体40および第1中芯部231が配置してある。第1導体側部31と第2導体側部32とのX軸方向の離間距離L1は、特に限定されない。また、第1導体側部31と第1中芯部231とのX軸方向の離間距離L2は、特に限定されないが、離間距離L2は、第1導体側部41が第1導体側部31と第1中芯部231との間に配置された状態で、第1導体側部41が第1導体側部31および第1中芯部231とZ軸方向に離間または接触して配置してあることが好ましい。たとえば、導体40の厚みTに対して、離間距離L2は、1倍~2倍程度が好ましい。なお、第1導体側部31と第2中芯部232とのX軸方向の離間距離も離間距離L2と同様であってもよい。
【0043】
第1側方部241には、第1導体30の第1導体側部31および第2導体40の第1導体側部41が配置されている。第1側方部241のX軸方向の幅W2は、特に限定されない。また、幅W2は、第1導体30の第1導体側部31が外脚部221および第2導体40の第1導体側部41と離間または接触して配置されるように設計されていてもよい。また、幅W2は、第2導体40の第1導体側部41が第1中芯部231とX軸方向に離間または接触して配置されるように設計してあってもよい。また、第2側方部242のX軸方向の幅も、第1側方部241のX軸方向の幅W2と同様であってもよい。
【0044】
第1中芯部231および第2中芯部232は、X軸方向に関して、第2導体40の第1導体側部41と第2導体側部42との間に配置される。第1中芯部231は、Z軸方向に関して、第2導体40の導体上部43と実装部44,45との間に配置される。第2中芯部232は、Z軸方向に関して、第1導体30の導体上部33と第2導体40の導体上部43との間に配置される。
【0045】
第1中芯部231のZ軸方向の高さH1および第2中芯部232のZ軸方向の高さH2は、特に限定されない。たとえば、高さH1およびH2は、第1中芯部231のY軸方向の断面積をS1、第2中芯部232のY軸方向の断面積をS2としたときの断面積比率S1/(S1+S2)が0.5以上、1未満になるように設計されることが好ましい。また、好ましくは、高さH1およびH2は、断面積比率S1/(S1+S2)が0.7以上、0.95未満になるように設計してもよい。
【0046】
図4に示すように、第1導体30の実装部34,35が、それぞれ、側方溝部251,252に配置される。実装部34,35の端部(端面)は、磁性体コア20a,20bのX軸方向の側方から外部に露出している。実装部34,35の下面は、磁性体コア20aの下方(第6面2f)から外部に露出している。実装部44,45の下面は、磁性体コア20aの下方(第6面2f)から外部に露出している。
【0047】
図4に示すように、本実施形態に係るコイル装置10では、第1中芯部231の高さH1および第2中芯部232の高さH2の比率を変更することで容易に断面積比率S1/(S1+S2)を変更することができ、結合係数Kは、容易に調整することができる。
【0048】
コイル装置10は、たとえば、
図7に示すようなトランスインダクタボルテージレギュレータ(TLVR)回路などの電子回路に用いられ得る。
図7に示すコイル装置10は、TLVR回路において、カップリングインダクタとして機能し得る。コイル装置10を有するTLVR回路では、サーバの応答速度の向上を実現できる。
図7に示すTLVR回路では、複数のコイル装置10を直列に接続しているが、これに限定されない。
【0049】
なお、従来のTLVR回路では、カップリングインダクタの他に別途、インダクタLcを取り付けることで、所望のインダクタンスが賄われていた。
図7に示すTLVR回路では、結合係数Kが所定の値に調整された本実施形態のコイル装置10をカップリングインダクタとして取り付けることで、所望のインダクタンスを賄うことができる。そのため、
図7に示すようなTLVR回路では、別途、調整用のインダクタLcを取り付ける必要がなくなり、装置の小型化を実現することができる。
【0050】
以下に、例示的な実施形態について説明する。例示的な実施形態では、
図4に示す第1導体30のうち、第1導体側部31が配置されている側が、入力端子(あるいは、出力端子)として機能し、第2導体側部32が配置されている側が、出力端子(あるいは、入力端子)として機能する。また、第2導体40のうち、第1導体側部41が配置されている側が、入力端子(あるいは、出力端子)として機能し、第2導体側部42が配置されている側が、出力端子(あるいは、入力端子)として機能する。
【0051】
例示的な実施形態では、第2導体40は、第1導体30に沿って延在する延在部40aを有する。また、延在部40aは、第1導体30から離れて延在する第1部分である導体上部43と、第1導体30の近くで延在する第2部分である第1導体側部41および第2導体側部42と、を有する。また、第2中芯部232は、導体上部43と第1導体30との間に配置してある。各部位がこのように配置されることで、コイル装置10の結合係数を調整しつつ、コイル装置10を小型化することができる。
【0052】
例示的な実施形態では、第2導体40の実装部44,45は、第1中芯部231のZ軸方向の下方に配置してある。第1中芯部231は、延在部40aと実装部44,45の内側に配置してある。第2導体40には、絶縁被膜で構成された絶縁層70が、一体的に形成されている。絶縁層70の表面(外面)は第1導体30の内面には接しておらず、第2導体40は、絶縁層70の外面が、第1導体30の内面から離間して配置される。例示的な実施形態では、第2導体40が、第1導体30および磁性体コア20a,20bと良好に絶縁されている。また、第1中芯部231のZ軸方向の下方の底面には、エポキシ樹脂あるいはウレタン樹脂等の絶縁コーティング層が形成してあってもよい。第1中芯部231の底面に、絶縁コーティング層が形成されていると、第1中芯部231と実装部44,45との絶縁がより良好になる。
【0053】
例示的な実施形態では、磁性体コア20a,20bは、ベース部21と外脚部221,222と第1中芯部231と第2中芯部232とで閉磁路を形成してもよい。磁性体コアが閉磁路を形成することで、コイル装置10の特性を向上させることができる。
【0054】
例示的な実施形態では、第1中芯部231および第2中芯部232は、同じ磁性材料で形成してあってもよい。第1中芯部231および第2中芯部232が同じ材料で形成されている場合には、第1中芯部231および第2中芯部232を磁性体コア20a(または20b)の一部として一体成型することができ、コイル装置10の製造が容易になる。
【0055】
例示的な実施形態では、第1中芯部231および第2中芯部232は、異なる磁性材料で形成してあってもよい。第1中芯部231および第2中芯部232の磁性材料を変更することでも、容易にコイル装置の結合係数を調整することができる。たとえば第2中芯部232は、第1中芯部231よりも透磁率が低い材料で構成してあってもよい。第2中芯部232の透磁率が、第1中芯部231の透磁率よりも低い材料で形成することで、断面積比率S1/(S1+S2)を変更しなくても、コイル装置の結合係数を調整することができる。
【0056】
図4に示すように、コイル装置10は、第5面2eのZ軸方向の上方に溝部24を覆うように、Iコア80をさらに有していてもよい。Iコア80は接着剤などでコイル装置10に取り付けてもよい。コイル装置10は、Iコア80を取り付けることでも結合係数を調整することができる。また、Iコアには、製造番号など識別子を印字することもできる。Iコアの材料は、磁性体コア20a,20bと同様の材料を用いることができる。
【0057】
コイル装置10の製造では、
図2に示す磁性体コア20a,20bと第1導体30と第2導体40とを準備する。第2導体40としては、たとえば、表面に絶縁被膜(絶縁層70)が形成された導体板を
図2に示す形状に機械加工したものを準備する。なお、このような絶縁被膜付きの導体板は、例えば金属の板材を樹脂液に浸漬させることにより形成することができる。
【0058】
次いで、磁性体コア20aに第1導体30および第2導体40を組み合わせる。
図3に示すように、第1導体30と第2導体40とを磁性体コア20aの溝部24の内部に配置する。より詳細には、第2導体40が第1中芯部231の周囲を取り囲むように配置し、その後、第2導体40の第1導体側部41、第2導体側部42および第2中芯部232の周囲を取り囲むように、所定の間隔をあけて第1導体30を配置する。このとき、第1導体30および/または第2導体40を接着剤等によって磁性体コア20aに固定してもよい。
【0059】
次いで、磁性体コア20bの溝部24の内部に第1導体30および第2導体40が収まるように、磁性体コア20aと磁性体コア20bを組み合わせる。
【0060】
このとき、
図1Bに示すように、磁性体コア20aの中芯部23の端面が、磁性体コア20bの中芯部23の端面に突き合わされる。磁性体コア20aの外脚部221,222の端面が、磁性体コア20bの外脚部221,222の端面に突き合わされる。磁性体コア20,20bが、それぞれ接着剤等で接合することにより、
図1Aに示すコイル装置10が得られる。
図4に示すように、さらにIコア80を取り付ける場合は、第5面2eに接着剤などを用いて接合する。
【0061】
第2実施形態
本実施形態のコイル装置10aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置10と同様である。以下、第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、異なる部分について主として詳細に説明する。
【0062】
コイル装置10aの断面図は
図5に示される。本実施形態では、磁性体コア20cは、磁性材料と樹脂材料を有するモールド材で構成してある。
【0063】
モールド材に用いられる磁性材料は、特に限定されず、たとえば、フェライトあるいは金属磁性体であってもよい。フェライトとしては、特に限定されないが、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等が例示される。金属磁性体としては、特に限定されないが、Fe-Ni合金、Fe-Si合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Al合金などが例示される。モールド材に用いられる樹脂材料は、特に限定されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、その他の合成樹脂、あるいはその他の非磁性材料等が例示される。
【0064】
本実施形態のコイル装置10aの製造では、以下の方法を用いてもよい。磁性材料と樹脂材料を有するモールド材と磁性体コア20cの成形に用いられる金型と
図2に示す第1導体30と第2導体40とを準備する。コイル装置10aは、磁性体コア成形用の金型にモールド材を充填すると共に、第1導体30および第2導体40を所定の位置に配置し、公知の方法でモールド材を圧縮し、磁性体コア20cを成形することで得られる。なお、磁性体コア20の成形には、射出成形などを用いてもよい。
【0065】
図5に示すように、例示的な実施形態では、第1中芯部231および第2中芯部232を含む磁性体コア20cは、磁性材料と樹脂材料とを有するモールド材で構成してある。モールド材で構成される第1中芯部231および第2中芯部232は、第1導体30および第2導体40に密着する。また、第1中芯部231および第2中芯部232をモールド材で構成することでも、コイル装置の結合係数を調整することができる。
【0066】
第3実施形態
本実施形態のコイル装置10bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置10と同様である。以下、第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、異なる部分について主として詳細に説明する。
【0067】
本実施形態のコイル装置10bは、
図6に示す磁性体コア20dを有する。なお、コイル装置10bは、磁性体コア20dに接合される同様の形状の磁性体コアをさらに有し、略直方体の外形を有する。
【0068】
磁性体コア20dでは、中芯部23は、第1中芯部231と、第2中芯部232a,232bと、を有する。第2中芯部232a,232bは、それぞれ第1中芯部231および外脚部221,222からX軸方向に離間して配置してある。
【0069】
図6に示すように、第2中芯部232aは、第1中芯部231と外脚部221との間に配置してある。第2中芯部232bは、第1中芯部231と外脚部222との間に配置してある。第1中芯部231は、第2中芯部232a,232bの間に配置してある。第2中芯部232a,232bのそれぞれのX軸方向の幅は異なっていてもよい。
【0070】
図6に示すように、磁性体コア20dでは、溝部24は、第1側方部241と、第2側方部242と、上方部243と、第1中間部244aと、第2中間部244bと、を有する。第1側方部241は、一方の外脚部221と一方の第2中芯部232aとの間に形成されている。また、第2側方部242は、他方の外脚部222と他方の第2中芯部232bとの間に形成されている。第1側方部241および第2側方部242は、それぞれZ軸方向に沿って略直線状に延在しており、ベース部21のZ軸方向の上端部から下端部にかけて延在している。
【0071】
図6に示すように、第1中間部244aは、第1中芯部231と一方の第2中芯部232aとの間に形成されている。また、第2中間部244bは、第1中芯部231と他方の第2中芯部232bとの間に形成されている。第1中間部244aおよび第2中間部244bは、それぞれZ軸方向に沿って略直線状に延在しており、ベース部21のZ軸方向の上端部から下端部にかけて延在している。なお、各中間部間のX軸方向の幅は、それぞれ異なっていてもよい。
【0072】
図6に示すように、溝上方部243は、ベース部21の上方に形成されており、X軸方向に沿って延在している。上方部243は、第1側方部241の上端部と第2側方部242の上端部と第1中間部244aの上端と第2中間部244bの上端とをそれぞれ接続している。
【0073】
図6に示すように、例示的な実施形態では、第1導体30は、第1導体側部31と、第2導体側部32と、導体上部33と、第1実装部34と、第2実装部35と、を有する。
【0074】
図6に示すように、例示的な実施形態では、第2導体40は、第1導体30に沿って延在する延在部40aと、第1実装部44と、第2実装部45とを有する。延在部40aは、第1導体30の近くで延在する第2部分である導体上部43と、第1導体30から離れて延在する第1部分である第1導体側部41および第2導体側部42と、を有する。導体上部43は、Z軸方向の上方に配置され、第1導体30の導体上部33の近くでX軸方向に沿って延在している。
【0075】
第1導体側部41は、導体上部43のX軸方向の一端に接続しており、第2導体側部42は、導体上部43のX軸方向の他端に接続している。第1導体側部41および第2導体側部42は、それぞれ、第1導体30の導体側部31,32から離れてZ軸方向に沿って延在している。
図6に示す第2導体40の第1導体側部41と第1導体30の第1導体側部31との間の離間距離L4を有する。
【0076】
図6に示すように、第1導体30の導体上部33および第2導体40の導体上部43が、溝部24の上方部243に配置される。第1導体30の第1導体側部31が、溝部24の第1側方部241に配置される。第1導体30の第2導体側部32が、溝部24の第2側方部242に配置される。導体40の第1導体側部41が、第1中間部244aに配置される。導体40の第2導体側部42が、第2中間部244bに配置される。
【0077】
第1中芯部231は、X軸方向に関して、第2導体40の第1導体側部41と第2導体側部42との間に配置される。第1中芯部231は、Z軸方向に関して、第2導体40の導体上部43と実装部44,45との間に配置される。第2中芯部232aは、X軸方向に関して、第1導体30の第1導体側部31と第2導体40の第1導体側部41との間に配置される。第2中芯部232bは、X軸方向に関して、第1導体30の第2導体側部32と第2導体40の第2導体側部42との間に配置される。
【0078】
第1中芯部231のX軸方向の幅W1および第2中芯部232a,232bのX軸方向の幅W5は、特に限定されない。本実施形態では、断面積比率S1/(S1+S2)に関して、断面積S2は、第2中芯部232a,232bのY軸方向の断面積の合計として計算してもよい。コイル装置10bでは、第1中芯部231の幅W1および第2中芯部232a,232bの幅W5の比率を変更することで、断面積比率S1/(S1+S2)を変更することができ、結合係数Kは、容易に調整することができる。
【0079】
なお、上述した実施形態は、特許請求の範囲の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
【0080】
図6に示すように、コイル装置10bでは、中芯部23が、1つの第1中芯部231と2つの第2中芯部232a,232bが形成してあるが、第1中芯部231が複数に分割されていてもよく、第2中芯部が連結されていてもよい。
【実施例0081】
以下、実施例に基づき説明するが、これら実施例は例示にすぎず、これに限定されない。
【0082】
実施例では、第1中芯部231のY軸方向の断面積S1、第2中芯部232のY軸方向の断面積S2としたときの断面積比率S1/(S1+S2)と、コンピュータシミュレーションによって求められた結合係数Kとを比較した。その結果を
図8に示す。
【0083】
実施例1
実施例1では、
図1Aに示すコイル装置10に関して、コンピュータシミュレーションによって結合係数Kを求めた。磁性体コア20a,20bにおいて、第1中芯部231、第2中芯部232、外脚部221,222およびベース部21のすべての材質を、Mn-Zn系フェライトとし、断面積比率S1/(S1+S2)を0.7、0.8、0.9、1になるように、中芯部23の幅W1を一定にし、第1中芯部231の高さH1と第2中芯部232の高さH2の値を変更した。
図8に示すように、実施例1では、結合係数Kは、理想直線に近く、断面積比率S1/(S1+S2)の値に対応して略直線的に変化することが確認できた。
【0084】
実施例2
実施例2では、
図1Aに示すコイル装置10に関して、X軸方向の寸法(L1)を実施例1の2倍にした以外は、実施例1と同様に結合係数Kを求めた。
図8に示すように、実施例2でも実施例1と、ほとんど同様な結果が得られることが確認できた。
【0085】
実施例3
実施例3では、
図4に示すように、磁性体コアと同じ材質のIコア80を取り付けた以外は、実施例1と同様に結合係数Kを求めた。
図8に示すように、実施例3では、実施例1と同様に、断面積比率S1/(S1+S2)の値に対応して略直線的に変化することが確認できた。なお、実施例3では、結合係数Kは、実施例1と同様の条件で実施例1よりも高くなることが確認できた。
【0086】
実施例4
実施例4では、
図5に示すコイル装置10aに関して、実施例1と同様に結合係数Kについて結合係数Kを求めた。実施例4では、実施例1と同様の寸法のコイル装置を用い、磁性体コア20cの材質は、磁性材料として金属磁性体、樹脂材料としてエポキシ樹脂を使用したモールド材を用いた。
図8に示すように、実施例4では、実施例1と同様に、断面積比率S1/(S1+S2)の値に対応して略直線的に変化することが確認できた。なお、実施例4では、結合係数Kは、実施例1と同様の条件で実施例1よりも低くなることが確認できた。
【0087】
実施例5
実施例5では、磁性体コア20a,20bにおいて、第1中芯部231、第2中芯部232、外脚部221,222およびベース部21の材質を、Fe-Si-Cr合金からなる金属磁性体を用いた以外は、実施例1と同様に結合係数Kを求めた。
図8に示すように、実施例5では、実施例1と同様に、断面積比率S1/(S1+S2)の値に対応して略直線的に変化することが確認できた。なお、実施例5では、結合係数Kは、実施例1と同様の条件で実施例1よりも低く、実施例4よりも高くなることが確認できた。
【0088】
実施例6
実施例6では、磁性体コア20a,20bのうち第2中芯部232の材質のみを、Fe-Si-Cr合金からなる金属磁性体を用いた以外は、実施例1と同様に結合係数Kを求めた。実施例6では、断面積比率S1/(S1+S2)を0.7、0.8、0.9になるように、中芯部23の幅W1を一定にし、第1中芯部231の高さH1と第2中芯部232の高さH2の値を変更した。
図8に示すように、実施例6では、実施例1と同様に、断面積比率S1/(S1+S2)の値に対応して略直線的に変化することが確認できた。実施例6では、断面積比率S1/(S1+S2)が0.7~0.9の範囲で、結合係数Kの傾きが実施例1よりも小さいことが確認できた。なお、実施例6では、結合係数Kは、実施例1と同様の条件で実施例3よりも高くなることが確認できた。
【0089】
比較例1
比較例1は、実施例1で用いたコイル装置10に関して、第2中芯部232を空洞にして実施例1と同様に結合係数Kを求めた。なお、比較例1では、断面積S2は、第2中芯部232が存在すると仮定し、断面積比率S1/(S1+S2)とした。
図8に示すように、比較例1では、断面積比率S1/(S1+S2)が変わっても、結合係数Kがほとんど変わらなかった。
【0090】
評価
図8に示すように、比較例1に比較して、実施例1~6において、結合係数Kは、断面積比率S1/(S1+S2)の値に対応して略直線的に変化することが確認できた。実施例1~6においては、断面積比率を変更するだけで容易に結合係数Kを所定の範囲内で所望の値に調整することができると確認できた。
【0091】
実施例7
実施例1において使用した断面積比率S1/(S1+S2)が0.7のコイル装置10を実際に作製した。作製したコイル装置10について、第1導体30の実装部34,35の間で一次コイルのインダクタンスLpを測定した。また、第1導体30の実装部34と第2導体40の実装部44との間でリーケージインダクタンスLeを測定し、結合係数Kを実際に求めた。すなわち、コイル装置10の一次コイルのインダクタンスLp、リーケージインダクタンスLeの測定値と、式K=1-Le/Lpから結合係数Kを計算したところ、実施例1の断面積比率S1/(S1+S2)が0.7の場合のシミュレーションの値と略一致することが確認できた。