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特開2024-61639検出領域内の物体を検出するための光電センサ及び検出領域の位置を強調する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061639
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】検出領域内の物体を検出するための光電センサ及び検出領域の位置を強調する方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/10 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G01V8/10 S
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173711
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】22203117
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ライヒェンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ベーレンス
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB17
2G105CC01
2G105DD01
2G105EE06
2G105FF04
2G105GG03
2G105HH04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検出領域内の物体を検出するための光電センサを提示する。
【解決手段】該センサは、検出領域(14)から入射する光から受信信号を生成するための受光素子(12)と、検出領域(14)内に投影された光パターン(26)により該検出領域(14)の位置を人間の目のために強調するための標示装置(22a~b)と、受信信号を評価するための制御及び評価ユニット(30)とを含む。また、光パターン(26)は別の供給源(22a~b)から投影された少なくとも2つの部分パターン(26a~b)を備え、該2つの部分パターンが共同して、検出領域(14)の中心点(28)を、該検出領域(14)において前記光パターン(26)が投影された距離に依存することなくマークする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域(14)内の物体を検出するための光電センサ(10)であって、前記検出領域(14)から入射する光から受信信号を生成するための受光素子(12)と、前記検出領域(14)内に投影された光パターン(26)により該検出領域(14)の位置を人間の目のために強調するための標示装置(22a~b)と、前記受信信号を評価するための制御及び評価ユニット(30)とを備える光電センサ(10)において、
前記光パターン(26)が別の供給源(22a~b、52、54)から投影された少なくとも2つの部分パターン(26a~b)を備え、該2つの部分パターンが共同して、前記検出領域(14)の中心点(28)を、該検出領域(14)において前記光パターン(26)が投影された距離に依存することなくマークすること
を特徴とする光電センサ(10)。
【請求項2】
各部分パターン(26a~b)が1本の線であり、それらの線が互いにある角度、特に互いに直角を成し、且つ前記中心点(28)において交差する、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項3】
前記供給源(22a~b、52、54)が前記中心点(28)を中心として周方向に0度及び180度とは異なる角度で互いに角度をずらして配置されている、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項4】
各部分パターン(26a~b)がそれぞれ独自の部分パターン中心点(56a~b)をマークし、それにより前記中心点(28)が該部分パターン中心点(56a~b)の真ん中としてマークされる、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項5】
各部分パターン(26a~b)が十字、又は、同心円の配置である、請求項4に記載のセンサ(10)。
【請求項6】
前記部分パターン(26a~b)が互いに同一である、請求項4に記載のセンサ(10)。
【請求項7】
前記供給源(22a~b、52、54)が前記中心点(24、28)の両側で該中心点(24、28)から等距離に配置されている、請求項4に記載のセンサ(10)。
【請求項8】
前記供給源(22a~b、52、54)がそれぞれ1つの標示光源(22a~b)を備えている、請求項1~7のいずれかに記載のセンサ(10)。
【請求項9】
少なくとも1つの供給源(22a~b、52、54)が別の供給源(22a~b、52、54)の光をビームスプリッタ(52)で分離して取り出す、請求項1~7のいずれかに記載のセンサ(10)。
【請求項10】
前記検出領域(14)を照らすための照明装置(18)を備え、前記標示装置(22a~b)が該照明装置(18)の一部である、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項11】
前記照明装置(18)が、周囲に分配された、特に円形に分配された多数の光源(20)を備え、前記標示装置(22a~b)の供給源(22a~b)が前記周囲に分配された前記光源(22)の間に配置されている、請求項10に記載のセンサ(10)。
【請求項12】
カメラとして構成され、前記受光素子(12)が、画像データを生成するための多数の画素を有する画像センサとして構成されている、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項13】
光学コード(44)を読み取るためのコード読み取り装置として構成され、前記制御及び評価ユニット(30)がデコード方法を用いた受信信号の評価により光学コード(44)を読み取るように構成されている、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項14】
前記検出領域(14)を通って搬送方向(42)に検出対象の物体(40)を案内する搬送装置(38)付近に固定的に取り付けられている、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項15】
光電センサ(10)、特に請求項1~7のいずれかに記載のセンサ(10)の検出領域(14)の位置を強調する方法であって、人間の目に見える光パターン(26)が前記検出領域(14)内に投影される方法において、
少なくとも2つの別の供給源(22a~b、52、54)から前記光パターン(26)の少なくとも2つの部分パターン(26a~b)が投影され、該2つの部分パターンが共同して、前記検出領域(14)の中心点(28)を、該検出領域(14)において前記光パターン(26)が投影される距離に依存することなくマークすること
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び15のプレアンブルにそれぞれ記載の、検出領域内の物体を検出するための光電センサ及び検出領域の位置を強調する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサの検出領域を視覚的に知覚可能にすることは数多くの応用において有益である。多くの例の1つがコードリーダの読み取り野である。手動読み取りの場合、そうすれば読み取り対象のコードを正しい位置に持ってくることができる。物体を読み取り野を通して搬送する読み取りトンネルでは調整段階で役に立つ。検出領域を視覚化するための標示装置は、それを用いてセンサの向きを把握することができることから、照準装置(Aiming)とも呼ばれる。検出領域の強調にはその中心点を示す単一のレーザ点があれば十分かもしれないが、より複雑なパターンも用いられている。例えばカメラの画像撮影中といった本来の稼働時には、妨害を避けるために照準装置を切るのが普通である。
【0003】
センサの光軸の周囲は受光のため、例えば対物レンズとカメラチップのために必要とされる。それ故、照準装置の光源は軸外に取り付けざるを得ない。だたし、そうすると検出領域の視覚化が特定の距離、例えば焦点距離に対してしか設定できないという結果となる。そこから外れた距離では光点又は光パターンの横ずれが生じる。
【0004】
特許文献1は適応可能な照明、即ち対物照明及び/又は位置決め照明を有する画像撮影装置を開示している。受信光学系の焦点の位置を変更すると対物及び/又は位置決め照明が位置変更後の焦点に自動的に合わせられる。従ってこれは焦点位置に合わせて調節される照準装置の一例である。なぜなら、投影された光パターンの重畳が正にその位置で生じるからである。
【0005】
特許文献2は、光る参照図形を検出平面に投影するカメラシステムであって、カメラの焦点合わせと参照図形が互いに対応するシステムに関するものである。従ってここでも焦点距離が選択されており、他の距離においては参照図形はいずれにせよ最適な視覚化をもたらすことはできない。
【0006】
未公開の欧州特許出願第22185480.5号には、焦点の位置変更と最新の調節された焦点位置の良好さに関する報告とを行うコード読み取り装置が記載されている。これは、標示装置が光学コードに投影する光信号又は光パターンを通じて行うことができる。これは焦点距離と結び付ける別の例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 2 136 248 A1
【特許文献2】WO 2009/007772 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
故に本発明の課題は、検出領域を視覚化するための光電センサの標示装置を更に改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は請求項1及び15にそれぞれ記載の、検出領域内の物体を検出するための光電センサ及び検出領域の位置を強調する方法により解決される。ここで物体の検出とは、例えば物体の特性(距離等)を特定すること、物体若しくは該物体を含む光景の画像を撮影すること、光学コードを読み取ること、等を意味し得る。受光素子に検出領域からの光が入射し、特に画像データを生成するために受信信号に変換される。標示装置が、投影された光パターンによって検出領域を人間の目に見えるようにする。標示装置は好ましくは光電センサを調整するための照準装置として構成される。視覚的なフィードバックを通じて向きを検査し、再調節することができる。制御及び評価ユニットが受信信号若しくは画像データを評価する。これは光電センサにおいて内部で行ってもよいし、それに接続された計算ユニット、例えば制御装置、コンピュータ、ネットワーク又はクラウド等において外部で行ってもよいし、一部を内部で、一部を外部で行ってもよい。具体的な評価及びその目的は非常に多種多様であり得るが、それは当面重要ではない。なぜなら本発明は検出領域の位置の光学的な強調に関するものだからである。
【0010】
本発明の出発点となる基本思想は、光パターンを少なくとも2つの投影された部分パターンから合成することにある。各部分パターンは独自の供給源から生じるのであって、1つの共通の投影された光パターンの一部領域を部分パターンと呼ぶということではない。部分パターンは供給源、例えばライン発生器から直接生成することができ、あるいは供給源毎に若しくは部分パターン毎にパターン生成素子が付属する。これは円柱レンズ又はスリット絞りのように簡単に構成されていてもよいし、DOE(回折光学素子)のようにより複雑に構成されていてもよい。2つの部分パターンが共同して検出領域の中心点をマークする。ここで「マークする」とは人間の目のための視覚的な強調又は可視化を意味する。2つの部分パターンは、投影された光パターンが検出領域内で光景、物体又は背景に当たる距離に依存することなく、中心点をマークする。
【0011】
1つの供給源はLED若しくはレーザ等の光源とすること又は該光源から例えば分割ミラーにより導出することができる。供給源は同軸に配置することはできない。なぜなら冒頭で述べたように光軸は既に受信路により占められているからである。ここで光軸とは光電センサの光軸又は受光素子若しくはこれに割り当てられた受信光学系の光軸である。本発明では、このように光電センサの光軸に対する供給源の軸のずれが不可避であるにも関わらず、例えば焦点距離においてだけではなく距離と無関係に検出領域の中心点をマークすることに成功する。
【0012】
本発明には、投影された光パターンの中心点が距離に関わらず光軸と一致し、従って距離に関わらず同じ精度と信頼性で検出領域の位置を推定することができるという利点がある。部分パターンの生成に適した供給源は、DOE型パターンプロジェクタ又はレーザ型ラインプロジェクタ等、小型で安価に入手可能である。また、視覚化を更に良好にするため、若しくは光パターンを様々な光景において明確に視認できるように目立たせるために、異なる色又は波長領域を用いることもできる。センサの構造は、本発明による標示装置を用いても冒頭で説明した既知の解決策の場合に比べてせいぜい僅かにコストが高くなるにすぎない。標示装置を単に既存のセンサの基本構成に若しくはその照明に填め込むことができるようなモジュール型の構成も考えられる。
【0013】
各部分パターンが1本の線であり、それらの線が互いにある角度、特に互いに直角を成し、且つ前記中心点において交差するものであることが好ましい。2本の互いに直交する線は十字に似たものとなる。ただし、1つの投影された十字架とは違って、その十字の交点は固定されておらず、部分パターンが投影される距離に応じて、それらの線の真ん中に対して移動する。これにより距離に関わらず検出領域の中心点がマークされたままとなるが、1つの投影された十字の場合はそうはならず、この十字は距離に応じて中心点からずれる。線の交点が距離に関わらず中心点を強調するという原理は、2本の非直角の線又はより多くの線の場合、例えば120度の角度間隔でずれた3本の線の場合でも同じである。本実施形態において前記線は各部分パターンの基本的な要素であり、これにより中心点がマークされる。もっともそれは、面的な印象をより良く伝えるために部分パターン若しくは光パターンに更に追加の要素(例えば点ラスタ)を含めることや、中心点をマークするために必要ではない理由からでも追加のパターン要素を含めることを排除するものではない。
【0014】
供給源は中心点を中心として周方向に0度及び180度とは異なる角度で互いに角度をずらして配置されていることが好ましい。従ってこの実施形態では供給源は共通の半径上にはなく、また中心を通る共通の直径上にもない。例えば部分パターンとして線を用いる場合、そうしなければ2本の部分パターンから光パターンとして全体で単に1本の共通の線しか生じず、認識可能な交点が中心点になくなる。0度及び180度とは異なる角度ずれの例として、互いに90度ずれて配置された供給源がある。なお、各供給源は必ずしも中心点を中心とする同じ円の上にある必要はなく、半径方向の距離が違っていることも考えられる。
【0015】
各部分パターンはそれぞれ独自の部分パターン中心点をマークし、それにより前記中心点が該部分パターン中心点の真ん中としてマークされるものであることが好ましい。この実施形態では、中心点に対する追加の又は唯一の視覚的な手掛かりを与えることができる。人間の目には、各部分パターン中心点を認識し、それらの真ん中を目的の検出領域の中心点として認識することは容易にできる。その際、光パターン中の中心点を既に強調しておき、更に部分パターン中心点が追加の手掛かりを与えるものとすることができる。あるいは、光パターン自体の中心点を際立たせることはせず、観察者に部分パターン中心点の真ん中に基づいて前記中心点を見つけさせる。
【0016】
各部分パターンは十字、又は、同心円の配置であることが好ましい。これらはそれ自身の部分パターン中心点をマークする部分パターンの例である。十字を部分パターンとする場合を従来の照準装置と混同してはならない。従来は十字の交点が中心点を示すが、その場合、供給源が軸外に配置されていると実際の中心点からのずれが生じる。これに対し、ここで説明している実施形態では十字の交点が部分パターン中心点をマークしており、検出領域の中心点は2番目のステップでようやく部分パターン中心点の真ん中として決まる。従って中心点はどの距離においてもずれ無しで強調される。
【0017】
部分パターンは互いに同一であることが好ましい。ここで「同一である」とは特に合同且つ同じ大きさであるものと理解することができる。これによりセンサの構成と中心点の認識が簡単になる。例えば、2つの十字を投影すれば中心点は十字の交点の真ん中にあり、あるいは2組の同心円の配置を投影すれば中心点は円の中心を結ぶ線の真ん中にある。
【0018】
供給源は中心点の両側で該中心点から等距離に配置されていることが好ましい。この実施形態では、供給源は、上述のように0度及び180度とは異なる角度ずれでではなく、それから逸脱して共通の直径上において光軸又は受信路のほぼ左右に配置されている。これは、それ自身の部分パターン中心点をマークする部分パターンとの関連で特に適している。
【0019】
供給源はそれぞれ1つの標示光源を備えていることが好ましい。これによれば、各部分パターンはそれぞれ独自の光源(LED、レーザダイオード等)から生じるが、その光源は例えば光強度を高めるために複数の個別光源を備えていてもよい。
【0020】
少なくとも1つの供給源が別の供給源の光をビームスプリッタで分離して取り出すことが好ましい。この実施形態ではもはや各供給源が独自の光源を備えてはいない。少なくとも2つの供給源が1つの共通の光源を分け合う。ビームスプリッタに加えて、部分パターンを所望の位置に及び/又は所望の向きにするために他の光学素子、例えば別の鏡があってもよい。
【0021】
本センサが検出領域を照らすための照明装置を備え、前記標示装置が該照明装置の一部であることが好ましい。照明装置はセンサの本来の検出を支援する。照明装置には、目に見えない波長領域(特に赤外領域)で作動したり、常に短時間しか作動状態にならなかったりするものが多い。従って、照明装置は検出領域を視覚的に強調するのに適しておらず、しかも人間の目で検出領域の位置を特定し易くするパターンを与えもしないからなおさらである。しかし標示装置、特にその標示光源を照明装置に統合することはできる。特に共通の照明/表示モジュールを構成することができる。
【0022】
照明装置が、周囲に分配された、特に円形に分配された多数の光源を備え、標示装置の供給源が前記周囲に分配された光源の間に配置されていることが好ましい。前記周囲に好ましくはセンサの光軸を中心として分配された光源により、光軸に対応して検出領域がくまなく照らされる。標示装置の供給源はこの周囲に分散させて配置することができる。これは一方で部分パターンの投影に適した位置であり、他方で全体の構造を簡単にする。照明装置の光源の配置には他にも、例えば供給源が行列位置又はそれらの間にある行列状等が考えられる。
【0023】
本センサがカメラとして構成され、受光素子が、画像データを生成するための多数の画素を有する画像センサとして構成されていることが好ましい。この場合、受信信号はその都度撮影された画像又はその一部である。画素は行列状に配置されていることが好ましい。
【0024】
本センサが光学コードを読み取るためのコード読み取り装置として構成され、制御及び評価ユニットがデコード方法を用いた受信信号の評価により光学コードを読み取るように構成されていることが好ましい。このコード読み取り装置はバーコードスキャナ又はカメラベースのコードリーダとすることができる。
【0025】
本センサは、検出領域を通って搬送方向に検出対象の物体を案内する搬送装置付近に固定的に取り付けられていることが好ましい。これは、特にコードリーダとして構成されたセンサを読み取りトンネル内に備えた、非常によくある使用状況である。本発明に従って検出領域の中心点をマークすることにより、固定的な稼働位置にあるセンサの調整が容易になり且つ改善される。
【0026】
本発明に係る方法は同様のやり方で仕上げていくことが可能であり、それにより同様の利点を示す。そのような有利な特徴は、例えば本願の独立請求項に続く従属請求項に模範的に記載されているが、それらに限られるものではない。
【0027】
以下、本発明について、更なる特徴及び利点をも考慮しつつ、実施形態に基づいて模範的に、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。図面の各図が示すものは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】光電センサの概略断面図。
図2】カメラとして構成された光電センサを搬送装置付近に模範的に取り付けたもの。
図3】円形に配置された光源とそこに填め込まれた2つのラインプロジェクタを有する照明装置の平面図。
図4図3と同様の図であって、今度は3つのラインプロジェクタがあるもの。
図5図3に点パターンを追加した図。
図6】行列状に配置された光源とそこに填め込まれた2つのラインプロジェクタを有する照明装置の平面図。
図7】軸に平行な2つのプロジェクタを側方に有する、カメラとして構成された光電センサの概略図。
図8図7と同様の図であって、プロジェクタが1つしかなく、分割ミラーで追加的に分離取り出しを行うもの。
図9】模範的な部分パターンとしての2つの十字。
図10】模範的な部分パターンとしての2組の同心円の配置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ここでは模範的にカメラとして、特にカメラベースのコードリーダとして構成された光電センサ10の概略断面図を示している。受光素子12、特に行列状に配列された画素を有する画像センサが、検出領域からの入射光から受信信号若しくは画像データを生成する。受光素子12の前には受信光学系16が配置されている。該光学系は好ましくは複数のレンズ並びに絞り、プリズム等の他の光学素子から成る対物レンズとして構成されるが、ここでは簡略化して単に1つのレンズによって表されている。
【0030】
センサ10は、検出領域14を照らすために、多数の光源20を有する照明ユニット18を含んでいる。加えて照明ユニット18には破線で示した2つの標示光源22a~bが設けられている。代わりに標示光源22a~bを照明ユニット18から独立させることもできる。光源20及び標示光源22a~bは例えばLED又はレーザダイオードとすることができる。光源20と標示光源22a~bの幾何学的な配置は図1の単に概略的な描画からは不十分にしか分からない。それらは例えばセンサ10の光軸24を中心として円形に配置されている。この配置及び他の配置については後で図示して検討する。
【0031】
標示光源22a~bは、場合によっては各々の図示せぬパターン生成素子を利用して、検出領域14内で共同して1つの光パターン26を生成する。光パターン26は少なくとも2つの部分パターン26a~bから成り、それら光パターン26a~bはそれぞれ1つの標示光源22a~bから投影されている。この2つの部分パターン26a~bが検出領域14の中心点28をマークする。これは、所与の距離において検出領域14を平面29内で実質的に2次元的に観察したものである。光パターン26はこの平面29内に形成される。なぜならここには物体又は背景(例えば壁やベルトコンベア等)があるからである。
【0032】
標示光源26a~bを光軸24上に同軸に配置することはできない。なぜならそうすると受光素子12若しくは受信光学系16の受信路が陰になってしまうからである。こうして標示光源26a~bが軸外に、即ち光軸24からずれて配置されているにも関わらず、中心点28はそれと関係なく、平面29の存在する距離においてマークされる。図1に示した例では2つの部分パターン26a~bがそれぞれ、向きの異なる、特に互いに直交した線であり、その結果、それらの線が互いに交差し、その交点で中心点28をマークしている。2本の線から成る十字は平面29の距離に応じて非対称に歪むが、交点は中心点28に留まる。従って観察者は中心点28に基づいて検出領域14の位置をあらゆる距離において把握して、例えば物体を検出領域14の中央に置いたり、センサ10の取り付け位置と向きを制御又は調節したりすることができる。
【0033】
少なくとも1つのデジタル式計算部品を備える制御及び評価ユニット30が受光素子12及び照明ユニット18と接続されており、センサ10内での制御、評価、その他の調整の任務を担っている。該ユニットは必要に応じて光パターン26を生成し、検出領域14を照らし、受信信号若しくは画像を記録し、該受信信号若しくは画像を評価する。コードリーダとしての実施形態では、受信信号又は画像データで捕らえられた光学コードが読み取られる。そのために好ましくはそれ自体公知のやり方でコード領域を見つけるためのセグメント化が行われ、そのコード領域が少なくとも1つのデコーダに渡される。読み取られたコード、そして任意選択で生データ又は前処理結果も、保存したり、インターフェイス32に出力したりすることができる。制御及び評価の様々な課題に対して複数の部品を設けて、例えば画像データの前処理を単独のFPGA上で行い、本来の評価をマイクロプロセッサにより行うことができる。制御及び評価ユニット30の少なくとも一部は外部に設けることもできる。
【0034】
前記インターフェイス32又は他のインターフェイスを用いて、外部から標示光源22a~bを作動させたり停止したりすることができる。図1から離れて、照明ユニット18及び/又は標示光源22a~bを有するユニットは、照明若しくは光パターン26を作動させるための適宜の接続部を有する外部部品とすることができる。しかし、例えば稼働中に本来の検出を妨げないようにするために照明の作動時に標示光源22a~bが自動的に停止ることにより、標示光源22a~bの個別の制御を放棄することもできる。
【0035】
センサ10はケーシング34で保護されており、該ケーシングは光が入射及び出射する前側の領域が前面パネル36で閉鎖されている。図示した構造的な構成は純粋に模範的なものと理解すべきである。
【0036】
図2はカメラとして構成された光電センサ10を搬送装置若しくはベルトコンベア38の付近に模範的に取り付けたものを示している。センサ10はここでは単に記号として示されており、図1に基づいて説明したその構造はもはや示されていない。ベルトコンベア38は矢印42で示したように検出領域14を通って物体40を搬送する。物体40は一応用例においてその外側表面にコード領域44を持っている。センサ10の任務は、この応用例においては、コード領域44を認識し、そこに付されたコードを読み取り、デコードし、その都度該当する物体40に割り当てることである。側面に付されたコード領域46も捕らえるために、好ましくは追加の図示せぬセンサ10が異なる方向から用いられる。更に、複数のセンサ10を並べて配置することで、全体でより幅の広い検出領域14をカバーすることもできる。図2は1つの応用例であり、本発明は、取り付け位置がベルトコンベア38付近であることにも、センサ10の機能がコードの読み取りであることにも限定されない。例えば、物体の形状及び大きさや特定の質的特徴といった他の物体特性を捕らえることができ、しかもそれは、各物体がベルトコンベア38によるのとは異なる方法で、特に手動での提示により、検出領域14に達するような使用状況でも可能である。
【0037】
図3は光源20を模範的に円形又は円環状に配置した場合の照明装置18とそこに填め込まれた2つの標示光源22a~bの平面図である。標示光源はここではラインプロジェクタとして構成されている。観察方向はここでは光軸24に沿っているため、いくつかの幾何学的な関係が図1を補ってより良く認識できるようになる。2つの標示光源22a~bはそれぞれ光軸24に対して放射方向に延在する線を光パターン26の部分パターン26a~bとして生成し、検出領域14の中心点28がそれらの線の交点としてマークされる。光電センサ10としてのカメラにおいては、画像センサとして構成された受光素子12が中央に配置されるのが普通であり、その場合、中心点28は画像の中心にある。
【0038】
また中心点28は距離に関係なくマークされる。光パターン26がより近く又はより遠くの物体に当たると、部分パターン26aの水平線がその水平な線方向に、また部分パターン26bの垂直線がその垂直な線方向にずれる若しくは伸縮する。しかしそれでも中心点28にある交点の位置は全く変化しない。
【0039】
図4図3と同様の図であって、今度は3つの標示光源22a~c若しくはラインプロジェクタがあり、それに対応して部分光パターン26a~cとしての3本の線がある。従って、まず、3つ以上の部分パターン26a~cを用いて及び/又は互いに直交しない線を用いて距離に関わらず中心点28をマークすることができることが例示されている。他方で、このようにすると全体として光軸24に対して回転対称な光パターン26が生じるが、これは照明ユニット18の光源20との相互作用において並びに視認性に関して有利となり得る。
【0040】
図5は、考えられる実施形態を更に説明するために図3に点パターン48を追加した図を示している。距離に関わらず部分光パターン26a~bで中心点28をマークするという本発明の原理は、純粋に模範的に描かれたこの点パターン48のような追加のパターン要素を許容する。このようなパターン要素は検出領域14の位置の視覚化の助けとなり得るが、例えばセンサ情報を入れる等、全く別の目的でも利用できる。
【0041】
図6は照明装置18の平面図を示しており、今度は光源20が矩形又は行列状に配置され、その配置内で2つの標示光源22a~b(ここでもまたラインプロジェクタの形をしたもの)が行列位置又は行列位置の間に填め込まれている。部分パターン26a~bを用いて距離に関わらず中心点28をマークすることは照明装置18の形態には依存せず、極めて多様な照明装置18と組み合わせることができる。
【0042】
図7は2つの標示光源22a~bを側方に有する、カメラとして構成された光電センサ10の概略図を示している。各投影方向50a~bは光軸24に平行であるため、軸平行型のプロジェクタとなっている。代わりに光軸24に対して傾けることも考えられる。光軸24の両側に対称に標示光源22a~bがあるこのような実施形態ではやや複雑な部分パターン26a~bを用いることが好ましく、これについてはすぐに図9及び10と関連付けて検討する。そのために好ましくは標示光源22a~bに図示せぬパターン生成素子、例えばそれぞれDOE(回折光学素子)が付属しているが、そのようなパターン生成素子は、先の実施形態においても、具体的には線を形成するために用いることができる。
【0043】
更なる好適な部分パターン26a~bについて検討する前に、更に図8図7と同様の図であって、代案として標示光源22が1つしかないものを示す。ここまでは各部分パターン26a~bの投影の出射元である供給源がそれぞれ独自の標示光源22a~bを用いていたのに対し、今度はそうではなく、一方の供給源が分割ミラー又はビームスプリッタ52を用いた分離取り出しにより発生している。標示光源22はこれにより二重化されて実質的に2つの供給源になる。パターン生成素子を用いる場合、その背後で分離取り出しを行うことが好ましく、そうすれば、単に光ではなく、部分パターン26a~bに対応して変調又は成形された光さえも分離して取り出される。これにより、同じ物理的なプロジェクタから2つの部分パターン26a~bが生じる。分離して取り出された供給源より後の光路は、図8で模範的にミラー54を用いているように、別の光学素子により更に1回又は複数回、改めて調整することができる。原理的には、追加の供給源を作り出すために更なる分離取り出しを行うことも考えられる。また、追加の供給源の生成を対称で軸平行な配置との関係で説明したが、これは図3~6と関連付けて上述した各実施形態についても考えられる。本明細書において複数の標示光源22a~bが記載されている箇所ではどこでも、少なくとも1つの標示光源22a~bを分離取り出しで置き換えることができる。
【0044】
図9は部分パターン26a~bの一例を示している。これは特に図7及び8の軸平行型プロジェクタに関して中心点28をマークするために適している。ここでは各部分パターン26a~bが既にそれぞれ十字であるため、各々の部分パターン中心点56a~bがすぐに分かる。もっとも、部分パターン中心点56a~bは、対応する標示光源22a~bが軸外にずれているため、まだ距離に関係なく中心点28と一致するものでは決してない。そうではなく、中心点28は2つの部分パターン中心点56a~bの真ん中にあることによってマークされる。この真ん中、従って中心点28は同じく人間の目にはすぐに認識可能であり、その真ん中の位置は距離に依存しない。
【0045】
図10は部分パターン26a~bの別の例を示しており、今度は十字ではなく同心円の配置が用いられている。部分パターン中心点56a~bは円の中心としてすぐに認識可能であり、故に部分パターン中心点56a~bの真ん中も同様であり、従って中心点28も同様である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】