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特開2024-61650カバーテープ、カバーテープの製造方法、カバーテープの原反ロール、および電子部品包装体
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  • 特開-カバーテープ、カバーテープの製造方法、カバーテープの原反ロール、および電子部品包装体 図1
  • 特開-カバーテープ、カバーテープの製造方法、カバーテープの原反ロール、および電子部品包装体 図2
  • 特開-カバーテープ、カバーテープの製造方法、カバーテープの原反ロール、および電子部品包装体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061650
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】カバーテープ、カバーテープの製造方法、カバーテープの原反ロール、および電子部品包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240425BHJP
   B65D 85/38 20060101ALI20240425BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20240425BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65D65/40 A
B65D85/38 300
B65D85/38 310
B65D85/86 300
B65D75/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178062
(22)【出願日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2022169305
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022195449
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 皓基
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
3E096
【Fターム(参考)】
3E067AB41
3E067AC04
3E067BA24A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA11
3E067CA17
3E067CA21
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E086AB02
3E086AC07
3E086AC22
3E086AD24
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA33
3E086BA35
3E086BB01
3E086BB22
3E086BB35
3E086BB41
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB84
3E086CA31
3E086DA08
3E096AA06
3E096BA08
3E096CA15
3E096CC01
3E096DA04
3E096DA14
3E096DB06
3E096DC03
3E096EA01X
3E096EA04X
3E096EA04Y
3E096FA07
3E096FA12
3E096FA31
3E096GA07
(57)【要約】
【課題】キャリアテープに対する十分な接着性を有するとともに、電子部品の貼り付きが低減されたカバーテープ、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品が収容される収容部を長手方向に断続的に有する電子部品搬送用キャリアテープの表面に、前記収容部を封止するようにヒートシールして用いるカバーテープであって、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられたヒートシーラント層と、を備え、前記ヒートシーラント層は、前記基材層の長手方向の両側端の位置に帯状に延びるように形成されている、カバーテープ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収容される収容部を長手方向に断続的に有する電子部品搬送用キャリアテープの表面に、前記収容部を封止するようにヒートシールして用いるカバーテープであって、
基材層と、
前記基材層の一方の面に設けられたヒートシーラント層と、を備え、
前記ヒートシーラント層は、前記基材層の長手方向の両側端の位置に帯状に延びるように形成されている、
カバーテープ。
【請求項2】
請求項1に記載のカバーテープであって、
中間層をさらに備え、
前記基材層、前記中間層、および前記ヒートシーラント層が、この順に積層されている、カバーテープ。
【請求項3】
請求項1に記載のカバーテープであって、
前記基材層は、帯電防止剤を含む、カバーテープ。
【請求項4】
請求項1に記載のカバーテープであって、
前記基材層の少なくとも一方の面に設けられた帯電防止層をさらに含む、カバーテープ。
【請求項5】
請求項1に記載のカバーテープであって、
前記基材層は、ポリエステルフィルムである、カバーテープ。
【請求項6】
請求項1に記載のカバーテープであって、
前記ヒートシーラント層の厚みは、0.01μm以上10μm以下である、カバーテープ。
【請求項7】
請求項1に記載のカバーテープであって、
前記ヒートシーラント層は、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体を含む、カバーテープ。
【請求項8】
長手方向に断続的に有する収容部に電子部品が格納された電子部品搬送用キャリアテープと、
前記電子部品を封止するように、前記ヒートシーラント層により前記キャリアテープに接着された請求項1~7のいずれかに記載のカバーテープと、を備える、電子部品包装体。
【請求項9】
カバーテープの原反ロールであって、
前記カバーテープは、請求項1~7のいずれかに記載のカバーテープであり、
前記カバーテープは、前記ヒートシーラント層が径方向内側となり、かつ前記基材層が径方向外側となるようにロール状に巻回されている、原反ロール。
【請求項10】
請求項1に記載のカバーテープを製造する方法であって、
帯状の基材シートを準備する工程と、
前記基材シートの一方の面に、ヒートシール性接着剤を、前記基材シートの長手軸方向に対して平行に、所定の間隔をあけて、所定幅で塗布して、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成された、ヒートシーラント層付き基材シートを得る工程と、
前記ヒートシーラント層付き基材シートを、前記ヒートシーラント層の中心線に沿って長手方向に切断する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
基材シートの一方の面にヒートシール性接着剤を塗布する前記工程は、ダイレクトグラビアコーティング法またはスロットダイコーティング法を用いて実施される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーテープおよびその製造方法、カバーテープの原反ロール、およびカバーテープを使用した電子部品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ICチップなどの電子部品は、その製造後、実装工程に供されるまでの間、汚染を防止すべく包装材にてパッキングされ、紙製或いはプラスチック製のリールに巻き取られた状態で、保管および輸送される。この電子部品の包装には、自動実装装置による基板への実装工程に対応するように、テープ状の包装材が用いられており、この包装材は、長尺のシートに所定の間隔をおいて複数個の凹状の格納ポケットが形成されたキャリアテープと、該キャリアテープにヒートシールされるカバーテープから構成される。電子部品は、キャリアテープの格納ポケットに収容された後、キャリアテープの上面に蓋材としてのカバーテープが重ねられ、加熱したシールバーでカバーテープの両端を長さ方向に連続してヒートシールされて、電子部品包装体とされる。この電子部品包装体は、半導体基板への実装工程に移送され、次いで、キャリアテープからカバーテープが剥離され、格納された電子部品が取り出され、この電子部品は半導体基板に実装される。
【0003】
電子部品が収容された包装材はリールに巻き取られた状態で輸送され、使用時まで保管される。リールに巻き取られた状態の包装体は、輸送の際にカバーテープまたはキャリアテープと電子部品とが摩擦することにより生じる静電気、およびこの輸送の際にキャリアテープとカバーテープとが接触することにより生じる静電気により帯電する。また包装体の使用時においては、キャリアテープからカバーテープを剥離する際に静電気が生じる。さらに、包装体に付着した埃や内容物からも静電気が生じる。このように発生した静電気により、収容された電子部品が故障(静電破壊)したり、電子部品取り出しの際に電子部品がキャリアテープまたはカバーテープに貼り付いたりする場合がある。そのため、キャリアテープとカバーテープには、帯電防止能を有していることが求められてきた。
【0004】
さらにカバーテープには、搬送時には収納部品が脱落などしないようにキャリアテープと確実にシールでき、かつ実装時には部品が飛び出したりしないようにスムースに剥離できるという、適度な接着力(すなわち、剥離力)を有することが求められている。また近年の高速実装化に伴い、カバーテープの剥離速度が上昇していることから、カバーテープには適度な剥離力を有することが求められている。
【0005】
上述の課題を解決するための様々な検討がなされており、例えば、特許文献1では、第一のシーラント層の上に、帯電防止剤を含むヒートシーラント層をパターン状に形成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-026299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1記載の技術では、カバーテープの最外層のヒートシール層に、電子部品が貼り付く場合があった。また、特許文献1のカバーテープは、キャリアテープとの接着が不十分な場合があった。
【0008】
本発明者は、カバーテープのヒートシール層を、キャリアテープとの接着領域にのみ設けることにより、キャリアテープとの接着性が良好であるとともに、収納部品の貼り付きが低減されたカバーテープが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示すカバーテープ、カバーテープの原反ロール、カバーテープの製造方法、および電子部品包装体が提供される。
[1]電子部品が収容される収容部を長手方向に断続的に有する電子部品搬送用キャリアテープの表面に、前記収容部を封止するようにヒートシールして用いるカバーテープであって、
基材層と、
前記基材層の一方の面に設けられたヒートシーラント層と、を備え、
前記ヒートシーラント層は、前記基材層の長手方向の両側端の位置に帯状に延びるように形成されている、
カバーテープ。
[2]項目[1]に記載のカバーテープであって、
中間層をさらに備え、
前記基材層、前記中間層、および前記ヒートシーラント層が、この順に積層されている、カバーテープ。
[3]項目[1]または[2]に記載のカバーテープであって、
前記基材層は、帯電防止剤を含む、カバーテープ。
[4]項目[1]~[3]のいずれかに記載のカバーテープであって、
前記基材層の少なくとも一方の面に設けられた帯電防止層をさらに含む、カバーテープ。
[5]項目[1]~[4]のいずれかに記載のカバーテープであって、
前記基材層は、ポリエステルフィルムである、カバーテープ。
[6]項目[1]~[5]のいずれかに記載のカバーテープであって、
前記ヒートシーラント層の厚みは、0.01μm以上10μm以下である、カバーテープ。
[7]項目[1]~[6]のいずれかに記載のカバーテープであって、
前記ヒートシーラント層は、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体を含む、カバーテープ。
[8]長手方向に断続的に有する収容部に電子部品が格納された電子部品搬送用キャリアテープと、
前記電子部品を封止するように、前記ヒートシーラント層により前記キャリアテープに接着された項目[1]~[7]のいずれかに記載のカバーテープと、を備える、電子部品包装体。
[9]カバーテープの原反ロールであって、
前記カバーテープは、項目[1]~[7]のいずれかに記載のカバーテープであり、
前記カバーテープは、前記ヒートシーラント層が径方向内側となり、かつ前記基材層が径方向外側となるようにロール状に巻回されている、原反ロール。
[10]項目[1]~[7]のいずれかに記載のカバーテープを製造する方法であって、
帯状の基材シートを準備する工程と、
前記基材シートの一方の面に、ヒートシール性接着剤を、前記基材シートの長手軸方向に対して平行に、所定の間隔をあけて、所定幅で塗布して、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成された、ヒートシーラント層付き基材シートを得る工程と、
前記ヒートシーラント層付き基材シートを、前記ヒートシーラント層の中心線に沿って長手方向に切断する工程と、
を含む、方法。
[11]項目[10]に記載の方法であって、
基材シートの一方の面にヒートシール性接着剤を塗布する前記工程は、ダイレクトグラビアコーティング法またはスロットダイコーティング法を用いて実施される、方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャリアテープに対する十分な接着性を有するとともに、電子部品の貼り付きが低減されたカバーテープ、およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るカバーテープの長手(剥離)方向に対して垂直に切断した縦断面積層構造を表す図である。
図2】本実施形態に係るカバーテープを、電子部品が収容されたキャリアテープにシールした状態の、電子部品包装体を説明する斜視図である。
図3】本実施形態に係るカバーテープの製造において、ヒートシール層が形成された基材シートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、すべての図面は、概略図であり、あくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
また、本明細書中、「a~b」との記載は、「a以上b以下」を意味する。
【0013】
本実施形態に係るカバーテープ10は、図1に示すように、基材層3と、基材層3の一方の面に設けられたヒートシーラント層2とを含む。本実施形態において、ヒートシーラント層2は、基材層3の長手方向Pの両側端の位置に帯状に延びるように形成されている。カバーテープ10は、基材層3/ヒートシーラント層2の二層構造であってもよいし、例えば、基材層3とヒートシーラント層2との間に別の層である中間層1を介在させた、基材層3/中間層1/ヒートシーラント層2のような多層構造であってもよい。ヒートシーラント層2は、カバーテープ10の最表面であり、カバーテープ10の長手方向Pの両側端の位置であって、キャリアテープとヒートシールされる部分に設けられており、これにより後述するキャリアテープ20に密着することができる。また本実施形態において、中間層1と、ヒートシーラント層2とは、ともに同じ長手方向長さで、長手方向に切れ目や分断なく存在している。
【0014】
本実施形態のカバーテープ10は、その長手方向の両側端の位置(以下、「ヒートシール領域」と称する)にのみ帯状に延びるヒートシーラント層2が設けられており、カバーテープ10のヒートシール領域以外の部分、換言すると、キャリアテープ20のポケット21に収容された電子部品12と接する領域(以下、「電子部品接触領域」と称する)は、基材層3または中間層1が露出している。そのため、電子部品12のカバーテープ10への貼り付きが生じないかまたは低減される。また、ヒートシール領域に設けられたヒートシーラント層2により、カバーテープ10はキャリアテープ20に十分に密着し得る。
【0015】
カバーテープ10の使用方法について図2を参照して説明する。図2に示すとおり、カバーテープ10は、電子部品12の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられたキャリアテープ20の蓋材として用いられる。具体的には、カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の両側の表面に接着(ヒートシール)させて使用する。すなわち、カバーテープ10の長手方向両側端に帯状に設けられたヒートシーラント層2(ヒートシール領域)がキャリアテープ20と接するようにヒートシールされる。なお、本明細書中、カバーテープ10と、キャリアテープ20とを接着して得られた構造体のことを、電子部品包装体100と称する。
【0016】
この電子部品包装体100は、上述のように、紙製あるいはプラスチック製のリールに電子部品包装体100を巻いた状態で、電子回路基板等に表面実装を行う作業領域まで搬送される。電子部品12の表面実装工程において、カバーテープ10がキャリアテープ20から剥離されて、電子部品12がパッケージから自動的に取出され、電子回路基板上に実装される。
【0017】
[カバーテープ]
以下、カバーテープ10の各層の態様、素材などについて説明する。
カバーテープ10の幅や長さは、主としてキャリアテープの幅および長さに応じて適宜設定することができる。カバーテープ10の厚みは、例えば、20~80μmであり、好ましくは、25~70μmである。典型的には、カバーテープ10の幅は、1~100mm程度、長さは100~30,000mである。
【0018】
(ヒートシーラント層)
本実施形態のカバーテープ10が備えるヒートシーラント層2は、カバーテープ10の最外面に、カバーテープ10の長手方向Pの両側端の領域に設けられ、キャリアテープ20に密着される層である。
【0019】
本実施形態のカバーテープ10が備えるヒートシーラント層2の剥離強度は、これに用いる材料およびその配合量、製造方法を選択することにより調整することができる。
本実施形態のカバーテープ10が備えるヒートシーラント層2は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体(A)を含む樹脂組成物から作製される。このような樹脂組成物を用いることにより、収納部品が脱落などしないようにキャリアテープと確実にシールでき、かつ実装時には部品が飛び出したりしないようにスムースに剥離するのに適切な剥離強度を有するヒートシーラント層2を得ることができる。さらに、このような樹脂組成物からなるヒートシーラント層2を用いることにより、カバーテープ10をキャリアテープ20から剥離する際に、剥離強度が安定する。なおここで、実装時には部品が飛び出すことなくスムースに剥離するのに適切な剥離強度は、JIS C0806-3の4.7「カバーテープの剥離強度」に準じ、引き剥がし速度300mm/min±10mm/minで測定した場合の剥離強度が、0.1N~1.3Nの範囲である。
【0020】
・(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体
成分(A)のポリ(メタ)アクリル酸誘導体とは、(A-1)(メタ)アクリル酸または(A-2)(メタ)アクリル酸エステルのいずれかまたは両方を含む重合体をいう。
成分(A-1)の(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸またはメタクリル酸等が挙げられる。
成分(A-2)の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、および(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体は、他のモノマーとの共重合体とすることもできる。例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸誘導体、エチレン-(メタ)アクリル酸誘導体からなる群から選択される1種または2種以上を含む共重合体であってもよい。
ポリ(メタ)アクリル酸誘導体は、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位を、たとえば5質量%以上含むものであり、好ましくは10質量%以上含むものであり、より好ましくは15質量%以上含むものである。
【0022】
(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体の含有量は、ヒートシーラント層2形成用の樹脂組成物100質量%に対する1質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。一方、(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体の含有量は、ヒートシーラント層2形成用の樹脂組成物100質量%に対し、100質量%であってもよく、98質量%以下であってもよい。これにより、良好な耐付着性が得られる。
【0023】
ヒートシーラント層2は、さらに以下の成分を含んでもよい。
・帯電防止剤(B)
ヒートシーラント層2は、帯電防止剤(B)を含んでもよい。これにより、帯電防止能を向上させることができる。
帯電防止剤(B)としては、例えば、リチウムイオンを含むものが挙げられる。リチウムイオンが樹脂中に存在する高分子型帯電防止剤を用いることができる。これにより、優れた帯電防止性能が持続的に安定して発揮される。
リチウムイオンは、例えば、リチウム塩のような形で帯電防止剤に含有させることができる。このリチウム塩としては、塩化リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、メタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸リチウム等が挙げられる。
【0024】
帯電防止剤(B)に含まれるリチウムイオンは、金属元素量測定により確認することができる。帯電防止剤に含まれるリチウムイオン量は、例えば、50μg/g以上(50ppm以上)であることが好ましい。
【0025】
帯電防止剤(B)としては、リチウムイオンを含むもの以外にも、公知の帯電防止剤を用いることができる。また、リチウムイオンを含むものと、そうでないものとを併用することもできる。
リチウムイオンを含まない帯電防止剤としては、例えば、以下を挙げることができる。
・ポリエーテル構造を含むポリマー(例えば、ポリエーテルエステルアミドなどのポリアミド系コポリマー、ポリオレフィンとポリエーテルのブロックポリマー、ポリエチレンエーテル及びグリコールからなるポリマーなど)、カリウムアイオノマーなどのカルボン酸塩基含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基含有コポリマーなど。
・酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属フィラー。
・ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアセチレン、ポリアニリン等の導電性ポリマー。
・導電カーボン
【0026】
ヒートシーラント層2が帯電防止剤(B)を含む場合、その量(2種以上を含む場合は合計量)は、ヒートシーラント層2全体に対して、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。これにより、適切な帯電防止能を得ることができる。
また、帯電防止剤の含有量は、ヒートシーラント層2全体に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。帯電防止剤はしばしば高価である。よって、帯電防止剤の含有量をこのようにすることで、カバーテープ10作製のコスト低減につながる。
【0027】
・スチレン系樹脂(C)
ヒートシーラント層2は、スチレン系樹脂(C)を含んでもよい。これにより、より良好なヒートシール性が得られる。
スチレン系樹脂(C)中のスチレン含有率は15質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、スチレン系樹脂(C)中のスチレン含有率の上限値は、特に限定されないが、ヒートシーラント層2の密着性を保持する観点から、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
本実施形態のカバーテープ10においては、ヒートシーラント層2のスチレン含有率を、上記下限値以上とすることにより、中間層1とヒートシーラント層2との密着性が向上する。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、中間層1とヒートシーラント層2との親和性が向上するためと推測される。
ここでスチレン含有率とは、スチレン系樹脂(C)に含まれるスチレン由来の構造単位の割合(質量%)をいう。スチレン系樹脂(C)が、2種以上の共重合体を含むとき、それぞれが有するスチレン含有率の平均値が、スチレン系樹脂(C)のスチレン含有率となる。
【0028】
スチレン系樹脂(C)としては、(C-1)ポリスチレン、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体、スチレン-オレフィン共重合体、水素添加スチレンブロック共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS;High Impact Polystyrene)、および汎用ポリスチレン樹脂(GPPS;General Purpose Polystyrene等のスチレン系ポリマー、並びに(C-2)スチレン系重合体、α-メチルスチレン系重合体、スチレン-(α-メチルスチレン)系共重合体、スチレン-脂肪族炭化水素系共重合体、スチレン-(α-メチルスチレン)-脂肪族炭化水素系共重合体、およびスチレン-芳香族炭化水素系共重合体等のスチレン系オリゴマー等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なかでも、適切な剥離強度を得る観点から、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体および/またはスチレン-オレフィン共重合体を用いることが好ましい。
【0029】
上記のスチレン-オレフィン共重合体は、オレフィンに由来する単位とスチレンに由来する単位とを有する共重合体である。オレフィンの具体例として、エチレン、プロピレン、ブテン等のα-オレフィンをはじめとするモノオレフィン;ブタジエン、イソプレン等のジオレフィン(共役ジエン)が挙げられる。
スチレン-オレフィン共重合体の重合様式に制限はないが、カバーテープ10とキャリアテープ20との剥離強度を適切な範囲とする観点から、スチレン-オレフィン共重合体は好ましくはブロック共重合体である。
【0030】
スチレン-オレフィン共重合体としては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。
【0031】
スチレン-オレフィン共重合体中のスチレン含有率は、スチレン-オレフィン共重合体全体に対し、カバーテープ10とキャリアテープ20との剥離強度をより好ましいものとする観点から、好ましくは15質量%以上であり、より20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。また、同様の観点から、スチレン-オレフィン共重合体中のスチレン含有率は、スチレン-オレフィン共重合体全体に対し、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
【0032】
ヒートシーラント層2がスチレン系樹脂(C)を含む場合、スチレン系樹脂(C)の含有量は、カバーテープ10とキャリアテープ20との剥離強度を適切な範囲とする観点から、ヒートシーラント層2全体に対し、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上である。また、同様の観点から、スチレン系樹脂(C)の含有量は、ヒートシーラント層全体に対し、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0033】
スチレン系樹脂(C)のうち、(C-1)のスチレン系ポリマーを使用する場合、200℃、5kgにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.05g/10min以上200g/10min以下であり、好ましくは0.1g/10min以上100g/10min以下であるポリマーが好ましく用いられる。
MFRを、上記下限値以上とすることにより、剥離強度を適切な範囲とすることができる。一方、MFRを、上記上限値以下とすることにより、作業性を良好にし、剥離強度を安定化できる。
ここで、スチレン系樹脂(C)のMFRは、200℃、5kgの条件でJIS-K-7210に準じて測定される。
【0034】
(C)スチレン系樹脂のうち、(C-2)のスチレン系オリゴマーを使用する場合、数平均分子量は、例えば300以上5000以下であり、好ましくは500以上3000以下であるポリマーが好ましく用いられる。
【0035】
・粘着付与剤
ヒートシーラント層2は、粘着付与剤を含んでもよい。
粘着付与剤としては、石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、クマロン・インデン樹脂等が挙げられる。中でも、電子部品の付着しにくさ、キャリアテープに対するヒートシール性、ガスバリア性などから、石油樹脂とスチレン樹脂が好適である。
石油樹脂系の粘着付与剤としては、脂肪族系の石油樹脂、芳香族系の石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系の石油樹脂等が挙げられる。市販品としては、荒川化学工業社の水素化石油樹脂、商品名「アルコン」シリーズなどがある。
【0036】
粘着付与剤を用いる場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ヒートシーラント層2が粘着付与剤を含む場合、ヒートシーラント層2全体に対する粘着付与剤の含有量の下限値は、キャリアテープとのシール強度を好適なものとする観点から、好ましくは0.5質量%より多く、より好ましくは1質量%以上である。
また、ヒートシーラント層2全体に対する粘着付与剤の含有量の上限値は、電子部品の付着しにくさや、キャリアテープに対するヒートシール性などの観点から、例えば5質量%以下、具体的には4質量%以下である。
【0037】
・その他添加成分
ヒートシーラント層2は、その特性を損なわない範囲で、上記成分のほか、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、界面活性剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。かつ/または、ヒートシーラント層2の表面には、これらのコーティング処理が施されていてもよい。
【0038】
アンチブロッキング剤の例としては、シリカ、アルミノ珪酸塩(ゼオライト等)などを
挙げることができる。ヒートシーラント層2がアンチブロッキング剤を含有することで、ヒートシーラント層2のブロッキングが緩和される。
【0039】
スリップ剤の例としては、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの各種アミド類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水添ひまし油などが挙げられる。ヒートシーラント層2がスリップ剤を含有することで、押出加工等の加工性、離ロール性、フィルム滑り性などが向上される。
【0040】
ヒートシーラント層2中のその他添加成分の量は、添加目的に応じて適宜調整すればよい。典型的には、ヒートシーラント層2全体に対して0.01~10質量%程度の範囲で調整すればよい。
【0041】
ヒートシーラント層2の厚さは、例えば、0.01~10μmであり、好ましくは、0.05~8μmであり、より好ましくは、0.1~5μmである。ヒートシーラント層2の厚さが上記上限値以下のものであれば、ヒートシール時の染み出しを制御しやすくなり、また、ヒートシーラント層2の厚さが、上記下限値以上のものであれば、カバーテープ10のキャリアテープ20に対する剥離強度が好適なものとなる。
【0042】
ヒートシーラント層2の幅(図2におけるW)は、例えば、0.01~10mmであり、好ましくは、0.1~8mmであり、より好ましくは、0.5~6mmである。ヒートシーラント層2の幅Wは、用いる電子部品12の寸法に依り適宜調整することができる。
【0043】
(基材層)
基材層3は、ヒートシーラント層2を積層してカバーテープを作製する際、キャリアテープ20に対してカバーテープ10を接着させる際、およびカバーテープ10を使用する際に、外部から加わる応力に耐え得る程度の機械的強度を有するとともに、キャリアテープ20に対してカバーテープ10を接着させる際に加わる熱履歴に耐え得る程度の耐熱性を有することが好ましい。また、基材層3を構成する材料は、加工が容易である観点から、フィルム状に加工された形態であることが好ましい。
【0044】
基材層3の上記特性は、これを構成する材料を適宜選択することにより調整することができる。基材層3を構成する材料の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタアクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。中でも、カバーテープ10の機械的強度と柔軟性を向上させる観点から、ポリエステル系樹脂、ナイロン6を用いることが好ましい。基材層3はさらに、滑剤等の添加剤を含有してもよい。
【0045】
基材層3は、帯電防止剤を含んでもよい。帯電防止剤としては、上述の帯電防止剤(B)を使用することができる。
【0046】
基材層3が帯電防止剤を含む場合、その量(2種以上を含む場合は合計量)は、基材層3全体に対して、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。これにより、適切な帯電防止能を得ることができる。
また、帯電防止剤の含有量は、基材層3全体に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。帯電防止剤はしばしば高価である。よって、帯電防止剤の含有量をこのようにすることで、カバーテープ10作製のコスト低減につながる。
【0047】
基材層3は、上述した材料を含む単層フィルムの形態であってもよいし、上述した材料を各層に含む多層フィルムの形態であってもよい。また、基材層3を形成するために使用するフィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。カバーテープ10の機械的強度を向上させる観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
【0048】
基材層3の厚さは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、基材層3の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下である。基材層3の厚さが上記上限値以下である場合、カバーテープ10の剛性が高くなりすぎず、シール後のキャリアテープ20に対して捻り応力がかかった場合であっても、カバーテープ10がキャリアテープ20の変形に追従し、剥離してしまうことを抑制することができる。また、基材層3の厚さが上記下限値以上である場合、カバーテープ10の機械的強度を良好なものとすることができるため、キャリアテープ20からカバーテープ10を高速で剥離する際、カバーテープ10が破断してしまうことを抑制することができる。
【0049】
基材層3の全光線透過率は、好ましくは、80%以上であり、さらに好ましくは、85%以上である。こうすることで、後述するカバーテープ10とキャリアテープ20とからなる電子部品包装体100において、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品が正しく収容されているか否かを検査することができる程度に必要な透明性を付与することができる。言い換えれば、基材層3の全光線透過率を上記下限値以上とすることにより、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる電子部品包装体100の内部に収容した電子部品を、当該電子部品包装体100の外部から視認して確認することが可能となる。なお、基材層3の全光線透過率は、JIS K7361-1(1999)に準じて測定することが可能である。
【0050】
(中間層)
一実施形態において、基材層3とヒートシーラント層2との間に中間層1を設けてもよい。中間層1を設けることにより、カバーテープ10全体のクッション性を向上させることができる。
【0051】
中間層1を形成する材料としては、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、およびポリエチレンが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、カバーテープ10全体のクッション性を向上させる観点から、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、およびポリスチレン系樹脂を含むことが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)がより好ましい。また、中間層1は、当該分野で一般的に使用される添加剤を含んでもよい。
【0052】
中間層1を設ける場合、その厚さは、カバーテープ全体のクッション性を向上させる観点から、好ましくは、10~50μmであり、さらに好ましくは、15~45μmである。
【0053】
(その他の層)
カバーテープ10は、上記の各層に加え、他の層を備えていてもよい。
他の層としては、例えば、カバーテープ10の機械的強度を高めるための補強層、あるいは、基材層3と中間層1の間、および/または、中間層1とヒートシーラント層2の間に設けられる接着層が挙げられる。
【0054】
-補強層
カバーテープ10は、ヒートシーラント層2の中間層1側の面上の任意の位置に、さらに補強層を備えていてもよい。補強層を備えることにより、さらにカバーテープ10の機械的強度を高めることができる。
【0055】
補強層を構成する材料の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタアクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびABS樹脂等が挙げられる。中でも、カバーテープ10の機械的強度を向上させる観点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。また、カバーテープ10の機械的強度および/または柔軟性を向上させる観点から、ポリアミド系樹脂、特にナイロン6を用いることが好ましい。また、補強層は、滑材などの添加剤を含んでもよい。
【0056】
補強層は、ヒートシーラント層2の中間層1側の面上であれば、いずれの位置に設けられてもよい。または、補強層は、基材層3の中間層1側の面と反対側の表面に設けられてもよい。
【0057】
補強層は、1層のみであってもよいし、2層以上あってもよく、例えば、補強層は、上述した材料が積層された多層フィルムにより形成されてもよい。補強層を形成するために用いられるフィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。カバーテープ10の機械的強度を一層向上させる観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
【0058】
補強層の厚さは特に限定されない。補強層の厚さは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、補強層の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。
補強層の厚さが50μm以下であることで、カバーテープ10の剛性が高くなりすぎない。これにより、シール後のキャリアテープ20に対して捻り応力がかかった場合でも、カバーテープ10がキャリアテープ20の変形に追従しやすい。よって、カバーテープ10がキャリアテープ20から意図せず剥離してしまうことを抑制することができる。
補強層の厚さが5μm以上であることで、カバーテープ10の機械的強度を十分良好なものとすることができる。よって、例えばキャリアテープ20からカバーテープ10を高速で剥離する場合でも、カバーテープ10が破断してしまうことを抑制することができる。
【0059】
補強層の全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。これにより、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる電子部品包装体100において、電子部品が正しく収容されているか否かを検査できる程度に必要な透明性を確保することができる。言い換えると、補強層の全光線透過率を80%以上とすることにより、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる包装体の内部に収容した電子部品を、外部から視認して確認しやすくなる。全光線透過率は、JIS-K-7361に準じて測定することが可能である。
【0060】
-接着層
カバーテープ10は、基材層3の中間層1側の面上の任意の位置に、さらに接着層を備えていてもよい。接着層を備えることにより、基材層3と、これに積層される他の層(ヒートシーラント層2または中間層1等)との密着性を向上させることができ、結果として、カバーテープ10の機械的強度を高めることができるとともに、剥離強度の安定化を図ることができる。より詳細には、基材層3が、接着層を介して中間層1またはヒートシーラント層2と積層されることにより、これらの層間の密着性が向上する。これによりカバーテープ10をキャリアテープ20から剥離する際、ヒートシーラント層2と基材層3または中間層1との間の破壊による剥離を防ぐことができる。
【0061】
接着層を形成する材料としては、例えば、公知の溶剤系または水系の各種アンカーコート剤を使用することができる。アンカーコート剤についてより具体的には、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系などのものを挙げることができる。
【0062】
なお、基材層3に対してコロナ処理またはプラズマ処理を行うことにより、基材層3と他の層との密着性を向上させることができる。このコロナ処理またはプラズマ処理は公知の条件を適宜選択して行えばよい。
【0063】
-帯電防止層
その他、本実施形態の電子部品包装用のカバーテープ10は、基材層3、中間層1およびヒートシーラント層2とは別に、基材層3の一方の面または両方の面に、少なくとも1層の帯電防止層を備えていてもよい。たとえば、本実施形態のカバーテープは、基材層3、中間層1、帯電防止層、ヒートシーラント層2がこの順で積層された層構造を有していてもよい。または本実施形態のカバーテープは、第一の帯電防止層、基材層3、中間層1、第二の帯電防止層、ヒートシーラント層2がこの順で積層された層構造を有していてもよい。好ましい実施形態において、ヒートシーラント層2は、帯電防止層の上に直接積層される。このような構成を備えることにより、カバーテープ10の電子部品接触領域は、ヒートシーラント層が存在せず、収容される電子部品12が接触する層は、ヒートシーラント層2ではなく、帯電防止層となるため、電子部品12のカバーテープへの貼り付きが低減される。
【0064】
帯電防止層は、例えば、「帯電防止剤(B)」として記載された、リチウムイオン含有帯電防止剤、カルボン酸塩基含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基含有コポリマー、導電性ポリマー、金属フィラー、導電カーボンを、当該分野で公知の方法で製膜することにより作製することができる。帯電防止層は、製膜工程における取り扱い性の改善のため、および得られる膜の脆性や帯電防止性を調整するために、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体等の樹脂を含んでもよい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
帯電防止層の表面抵抗率は、23℃、50%RHにおいて、10~1012Ω/□であることが好ましい。表面抵抗値率が上記範囲であれば、キャリアテープからカバーテープを剥離する際の静電気の発生を防止することができる。
帯電防止層を設ける場合、その厚さは、帯電防止能と安定した剥離強度を得る観点から、例えば、0.01~50μmであり、好ましくは、0.05~40μmであり、さらに好ましくは、0.1~30μmである。
【0066】
[カバーテープの製造方法]
本実施形態のカバーテープ10は、以下の工程を含む手法で製造することができる。
(工程1)帯状の基材シートを準備する工程;
(工程2)工程1で準備した基材シートの一方の面に、ヒートシール性接着剤を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、所定の間隔をあけて、所定幅で塗布して、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成された、ヒートシーラント層付き基材シートを得る工程;
(工程3)工程2で得たヒートシーラント層付き基材シートを、ヒートシーラント層の中心線に沿って長手方向に切断する工程。
以下、各工程について説明する。
【0067】
(工程1)
工程1における帯状の基材シートは、市販の基材シートを使用することができる。基材シートは、幅20~100m、厚み5~50μmであり、上述の基材層3に相当するシートである。基材シートは、カバーテープ10のマザーシートとして使用さる。
基材シートには、上述の中間層をラミネートしてもよい。得られるカバーテープ10が、基材層3/中間層1の二層構造である場合には、基材シートの片面にラミネート剤を塗布し、その上に中間層1に相当する層を、押出ラミネート法もしくはドライラミネート法により製膜する。これにより、中間層1が形成された基材シートを得ることができる。
基材シートには、中間層1のみならず、上述の補強層、接着層、帯電防止層などのその他の層を押出ラミネート法もしくはドライラミネート法やコーティング法などで形成してもよい。
【0068】
(工程2)
次いで工程2では、図3に示すように、工程1で得られた基材シートの一方の面にヒートシール性接着剤を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、所定の間隔をあけて、所定幅で塗布して、複数の帯状のヒートシーラント層2が長手軸方向に対して平行に形成された、ヒートシーラント層付き基材シートを得る。
基材シートにストライプ状に塗布される帯状のヒートシーラント層2’の幅は、最終的に得られるカバーテープ10におけるヒートシーラント層2の幅Wの2倍である。
基材シートのヒートシーラント層2’が塗布されていない領域は、得られるカバーテープ10の電子部品接触領域に相当する。ヒートシーラント層2’は、例えば、0.2~20mmの間隔をあけて基材シートに塗布される。この間隔は、目的の電子部品接触領域の幅となるように選択することができる。
【0069】
基材シートへのヒートシール性接着剤の塗布は、例えば、ダイレクトグラビアコーティング法またはスロットダイコーティング法を用いて行うことができる。より具体的には、給送ローラから供給された基材シートが、上記方法によりコーティング処理され、巻取りローラ上に巻き取られる。
【0070】
(工程3)
次いで、ヒートシーラント層2’が塗布された基材シート(ヒートシーラント層付き基材シート)を、ヒートシーラント層2’の中心線に沿って長手方向に切断し、目的のカバーテープ10を得る。
具体的には、工程2で巻取りローラ上に巻き取られたヒートシーラント層付き基材シートを、例えば、2軸スリット法により長手方向に切断し、巻取りローラ上に巻き取る。これにより、目的のカバーテープ10を原反ロールの形態で得ることができる。この原反ロールにおいて、カバーテープ10は、ヒートシーラント層2が径方向内側となり、かつ基材層3が径方向外側となるようにロール状に巻回されていることが、取扱い性の観点から好ましい。
【0071】
[電子部品包装体]
上述のカバーテープ10と、電子部品12がポケット21(凹部)に収容されたキャリアテープ20とから、電子部品包装体100を得ることができる。これについて図2を参照しつつ説明する。
【0072】
図2において、カバーテープ10は、電子部品12の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられた帯状のキャリアテープ20の蓋材として用いられている。具体的には、カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に接着(ヒートシール)される。なお、本明細書中、カバーテープ10と、キャリアテープ20とを接着して得られた構造体のことを、電子部品包装体100と称する。
【0073】
電子部品包装体100は、例えば、以下の手順で作製することができる。
まず、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品12を収容する。
次いで、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面にカバーテープ10をヒートシール法により接着する。この際、カバーテープ10におけるヒートシーラント層2がキャリアテープ20と接するようにする(つまり、図2におけるカバーテープ10の「裏面」がヒートシーラント層2となるようにしてヒートシールを行う)。こうすることで、電子部品12が密封収容された構造体(電子部品包装体100)が得られる。
ヒートシールの具体的なやり方や条件は、カバーテープ10がキャリアテープ20に十分強く接着する限り特に限定されない。典型的には、公知のテーピングマシンを用い、温度100~240℃、荷重0.1~10kgf、時間0.0001~1秒の範囲内で行うことができる。
【0074】
キャリアテープ20の素材は、ヒートシールによりカバーテープ10を接着可能である限り特に限定されないが、ポリスチレン樹脂を含む材料、ポリカーボネート樹脂を含む材料、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む材料などの樹脂製、または紙製が挙げられる。なかでも、剥離強度を適切な範囲とする観点から、樹脂製であることが好ましい。
上述のカバーテープ10を、これら材料で構成されたキャリアテープにヒートシールして電子部品包装体とすることで、ヒートシーラント層2のキャリアテープ側への残存を一層低減しやすい。
【0075】
電子部品包装体100は、例えば、リールに巻かれ、その後、電子部品12を電子回路基板等に実装する作業領域まで搬送される。リールの素材は、例えば、金属製、紙製、プラスチック製などである。
【0076】
電子部品包装体100が作業領域まで搬送された後、カバーテープ10をキャリアテープ20から剥離し、収容された電子部品12を取り出す。
【0077】
電子部品包装体100内に収容される電子部品12は、特に限定されないが、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子、光学素子、LED関連部材、コネクタ、電極など、電気・電子機器の製造に用いられる部品全般を挙げることができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0079】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
下記表1に記載される実施例で使用した成分の詳細を以下に示す。
[基材層]
・二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140)
[ヒートシーラント層]
(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体
・ポリ(メタ)アクリル酸誘導体(大日本インキ社製「A450A」)
(B)帯電防止剤
・酸化錫(三菱マテリアル社製「T-1」)
・導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)
(C)スチレン系樹脂
・スチレン-ブタジエン共重合体:旭化成社製、「タフテックH1517」(スチレン含有率(PS比率):43%、MFR(230℃、2.16kg):3g/10分)
[中間層]
・住友化学社製、「スミカセンL705」低密度ポリエチレン(LDPE)
・宇部丸善ポリエチレン社製、「ユメリット021GT」直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
[帯電防止層]
・導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)
・酸化錫(三菱マテリアル社製「T-1」)
・ポリ(メタ)アクリル酸誘導体(三菱ケミカル社製「BR-50」)
・低密度ポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、「スミカセンL705」)と、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体(三洋化成工業社製、「ペレクトロンPVL」)とからなる樹脂組成物(質量比8:2)
[補強層]
・二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:E5202)
・二軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡株式会社、商品名:N1202)
【0081】
<カバーテープの製造>
(実施例1)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140、フィルム幅1200mm)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、基材層上に中間層(厚み25μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)をグラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜して、帯電防止層を形成した。さらに、24質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、60質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および16質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、表1に示すストライプコート間隔およびストライプコート幅で、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成されるよう、グラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜した。最後に、ストライプコートの中央線に沿って、幅5.5mmとなるよう切断して、長手方向の両側端に幅2.25mmのヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0082】
(実施例2~4)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140、フィルム幅1200mm)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、基材層上に中間層(厚み40μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)をグラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜して、帯電防止層を形成した。さらに、24質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、60質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および16質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、表1に示すストライプコート間隔およびストライプコート幅で、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成されるよう、グラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜した。最後に、ストライプコートの中央線に沿って、幅5.5mmとなるよう切断して、長手方向の両側端にヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0083】
(実施例5)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140、フィルム幅1200mm)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、基材層上に中間層(厚み40μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、70質量%の酸化錫(三菱マテリアル社製「T-1」)と、30質量%のアクリル樹脂(三菱ケミカル社製「BR-50」)からなる帯電防止層を、グラビアコーティング法により膜厚0.5μmで製膜した。さらに、48質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、20質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および32質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、表1に示す間隔および幅で、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成されるよう、グラビアコーティング法により膜厚0.5μmで製膜した。最後に、ストライプコートの中央線に沿って、幅5.5mmとなるよう切断して、長手方向の両側端にヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0084】
(実施例6)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140、フィルム幅1200mm)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、基材層上に中間層(厚み20μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、80質量%のスミカセンL705および20質量%のペレクトロンPVLからなる樹脂組成物を押出ラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、中間層上に帯電防止層(厚み20μm)を形成した。さらに、24質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、60質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および16質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、表1に示す間隔および幅で、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成されるよう、グラビアコーティング法により膜厚0.5μmで製膜した。最後に、ストライプコートの中央線に沿って、幅5.5mmとなるよう切断して、長手方向の両側端にヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0085】
(実施例7)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140、フィルム幅1200mm)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す補強層となるフィルムをドライラミネート法により積層することで、基材層上に補強層(厚み12μm)を形成した。さらにこの上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第二接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、補強層上に中間層(厚み25μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)をグラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜して、帯電防止層を形成した。さらに、24質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、60質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および16質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、表1に示す間隔および幅で、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成されるよう、グラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜した。最後に、ストライプコートの中央線に沿って、幅5.5mmとなるよう切断して、長手方向の両側端にヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0086】
(実施例8)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140、フィルム幅1200mm)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す補強層となるフィルムをドライラミネート法により積層することで、基材層上に補強層(厚み15μm)を形成した。さらにこの上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第二接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、補強層上に中間層(厚み25μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)をグラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜して、帯電防止層を形成した。さらに、24質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、60質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および16質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層を、基材シートの長手軸方向に対して平行に、表1に示す間隔および幅で、複数の帯状のヒートシーラント層が長手軸方向に対して平行に形成されるよう、グラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜した。最後に、ストライプコートの中央線に沿って、幅5.5mmとなるよう切断して、長手方向の両側端にヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0087】
(比較例1)
基材層として膜厚12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、商品名:T6140)を用い、この上に、ラミネート剤(三井化学株式会社製、タケラック A-520)を塗り第一接着層(厚み2.5μm)を形成し、表1に示す中間層の原料となる樹脂を押出しラミネート法(押出し温度:280℃)により積層することで、基材層上に中間層(厚み40μm)を形成した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、導電性ポリマー(松尾産業社製「CPA-24」)をグラビアコーティング法により膜厚0.2μmで製膜して、帯電防止層を形成した。さらに、24質量%の(A)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、60質量%の表1に示す(B)帯電防止剤、および16質量%の(C)スチレン系樹脂からなるヒートシーラント層をグラビアコーティング法により膜厚0.2μmで全面製膜した。最後に、幅5.5mmとなるよう切断して、最外層の全面にヒートシーラント層が設けられた、幅5.5mmのカバーテープを得た。
【0088】
得られたカバーテープを、以下の性能について評価した。
(ヒートシール性)
各実施例、比較例で得られたカバーテープを、幅8mmの寸法のポリカーボネート(PC)キャリアテープに対しヒートシール機を用いて、以下の条件でヒートシールして、試験片とした。
得られた試験片を用いてカバーテープとキャリアテープの剥離強度を、以下の条件に従い測定した。
(ヒートシール条件)
設備:TWA-6621
アイロンサイズ:0.4mm×28mm
温度:180℃
荷重:5kg
シール時間:60ms
キャリアテープ送りピッチ:4mm
キャリアテープ:導電ポリカーボネート(3M社製:#3000)
(剥離強度測定条件)
剥離機:PTS-5000K
剥離速度:300mm/min
剥離角度:165~180°
規格:JIS C 0806-3
【0089】
(表面抵抗値)
各実施例、比較例で得られたカバーテープの、基材層表面上の表面抵抗値およびヒートシーラント層表面上の表面抵抗値を、IEC61340に準じて、25℃、50%RHの条件下で、TREK社製表面抵抗計により測定した。なおカバーテープの表面抵抗値は、基材層表面上、ヒートシーラント層表面上の値がともに、10~1012Ωの範囲内であれば、静電気発生を抑制する効果を有しているといえる。
【0090】
(電子部品の貼り付き性)
カバーテープに対する電子部品の貼り付き性を評価するため、以下方法で実装不良率を測定した。実装不良率の値が小さいほど、電子部品のカバーテープへの貼り付きが低減されていることを示す。
実施例および比較例で得られたカバーテープを、1万個のセラミックコンデンサを各ポケットに収容した紙キャリアテープ(トーテック社製)の表面に熱シールしてリールに巻き付け、電子部品包装体を作製した。
その後、リールを60℃90%RHで24時間保管した後に25℃50%RHで24時間保管し、さらに25℃30%RH環境下で電子部品包装体からカバーテープを剥離しつつ、実装機を用い、装着タクト0.10秒/チップで、紙キャリアテープのポケットに収納したセラミックコンデンサを1万個実装した。
このときの実装不良率を下記の式に基づいて算出した。
実装不良率(%)=[(実装されなかったセラミックコンデンサの個数)/(セラミックコンデンサの全数)]×100
結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
比較例1では部品の真上にあるヒートシーラント層が60℃90%RHという高温高湿下での保管時に軟化し、ヒートシーラント層への部品付着が発生したため、実装不良率が悪化した。これに対し、ヒートシーラント層がカバーテープの長手方向の両側端の位置(ヒートシール領域)にのみ設けられた実施例1~8では、部品の真上にはヒートシーラント層が無く、かつ帯電防止層は存在するため、高温高湿下でのヒートシーラント層の軟化の影響や、低湿度下での静電気発生を抑制でき、部品付着による実装不良は発生しなかった。
【符号の説明】
【0093】
1 中間層
2 ヒートシーラント層
3 基材層
10 電子部品包装用カバーテープ(カバーテープ)
12 電子部品
13 送り穴
20 キャリアテープ
21 ポケット
100 電子部品包装体
P カバーテープの長手方向(剥離方向)
W ヒートシーラント層の幅
図1
図2
図3