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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061651
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電気モータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/08 20060101AFI20240425BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H02K7/08 Z
H02K5/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178251
(22)【出願日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】2210939
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】511110625
【氏名又は名称】ジェイテクト ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロショ パトリス
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605CC02
5H605EB10
5H605EB16
5H605EB37
5H605EB39
5H607AA14
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD08
5H607DD16
5H607GG01
5H607GG08
5H607GG29
5H607JJ05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】よりコンパクトなモータアセンブリを提供する。
【解決手段】少なくとも一部がケーシングの長手方向軸に沿って延びるケーシング11と、ケーシング11内に固定して取り付けられたステータ12と、ケーシング11内に回転可能に取り付けられたロータ13とを備え、ロータ13が、駆動軸の回転軸心の周りで回転をガイドされるように構成された駆動軸15と、駆動軸の回転軸心を中心として駆動軸15の回転をガイドするように構成された第1ガイド軸受18とを有するモータアセンブリ10に関し、モータアセンブリ10は、さらに、ケーシング11と連結され且つ第1ガイド軸受18を支持するように構成されたガイド軸受サポート23を備え、ガイド軸受サポート23及びケーシング11は、ガイド軸受サポート23及びケーシング11の連結によって第1ガイド軸受18に調整可能な軸方向予荷重を作用させることが可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(11)と、
前記ケーシング(11)内に固定して取り付けられるステータ(12)と、
前記ケーシング(11)内に回転可能に取り付けられるロータ(13)であって、第1駆動軸端部と第2駆動軸端部とを有する駆動軸(15)を備え、前記駆動軸(15)が前記駆動軸の回転軸心を中心として回転可能にガイドされるように構成されたロータ(13)と、
前記駆動軸の回転軸心を中心として前記駆動軸(15)を回転可能にガイドするように構成された第1ガイド軸受(18)と、
を備えたモータアセンブリ(10,10’)であって、
さらに、前記ケーシング(11)に連結され且つ前記第1ガイド軸受(18)を支持するように構成されたガイド軸受サポート(23)を備え、前記ガイド軸受サポート(23)及び前記ケーシング(11)が前記ガイド軸受サポート(23)及び前記ケーシング(11)の連結によって前記第1ガイド軸受(18)に調整可能な軸方向予荷重を作用させることが可能に構成されていることを特徴とするモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項2】
請求項1に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ケーシング(11)が第1連結部を備え、前記ガイド軸受サポート(23)が前記第1連結部と協働するように構成された第2連結部(24)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項3】
請求項2に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ケーシング(11)の少なくとも一部が第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間で前記ケーシングの長手方向軸(A1)に沿って延び、
前記第1ケーシング端部が前記第1連結部を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項4】
請求項2または3に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記第1及び第2連結部の一方がタップねじ(34)を有し、他方がタップねじ34と協働するように構成されたねじ(24)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ガイド軸受サポート(23)と前記ケーシング(11)との連結を阻止するように構成されたブロック要素(35)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータアセンブリ(10’)において、
前記駆動軸の回転軸心を中心として前記駆動軸(15)の回転をガイドするように構成された第2ガイド軸受(19)と、前記第2ガイド軸受(19)の一部に少なくとも部分的に接して配置される弾性要素(30)とをさらに備え、前記弾性要素(30)及び前記ケーシング(11)が前記第2ガイド軸受(19)に軸方向予荷重を与えるように構成されているモータアセンブリ(10’)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ケーシング(11)は、電子制御カード(25)を受け入れるように構成された電子制御カードハウジング(40)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項8】
請求項7に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
第2ケーシング端部が前記電子制御カードハウジング(40)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項9】
請求項7または8に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記電子制御カードハウジング(40)は、実質的に平面状で且つ前記ケーシングの長手方向軸(A1)と直交する平面内で延びる電子制御カード受け入れ面(21)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
車両の電気的な操舵補助を実施するように構成されているモータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの分野に属し、電気モータアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術で知られている電気モータアセンブリは、特に、一般にアルミニウム合金製または鋼合金製のケーシングからなり、モータの構成要素の少なくとも一部を保護することをその機能とするシェルを構成している。従来技術で知られている電気モータのケーシングは実質的に円筒形状であり、ケーシングの長手方向に沿って延びている。また、このアセンブリは、ケーシング内に固定して取り付けられ且つ一般に全体がケーシング内に含まれるステータで構成され、このステータも円筒形状でケーシングの長手方向軸に沿って延びる。また、このアセンブリは、ケーシング内に回転可能に取り付けられてケーシングの長手方向軸と概ね一致する回転軸の回りで回転駆動可能な駆動軸を備えたロータを有する。また、このアセンブリは、ロータの回転軸を回転可能にガイドするように構成された少なくとも1つのガイド軸受、一般的には2つのガイド軸受を有する。
【0003】
このようなモータアセンブリは、一般に組立クリアランスがあり、運転中にモータの特定の要素が加熱されるために運転中に熱膨張が生じる。モータの信頼性の高い動作と満足できる寿命を確保するためには、組立隙間を埋め、熱膨張を補償することが必要である。実際、このような組立クリアランスと熱膨張は、特にモータの駆動軸の回転を乱し得るものであり、振動、摩擦、モータアセンブリの不要な騒音、及びモータの構成要素の少なくとも一部の全体的な異常摩耗の原因になることがある。
【0004】
組立クリアランスを埋めることと熱膨張を補償することは、特に少なくとも1つのガイド軸受に軸方向予荷重を加えることによって行われる。軸方向予荷重は、ケーシングの長手方向軸と実質的に直交する方向に作用する径方向予荷重とは異なり、ケーシングの長手方向軸と実質的に平行な方向、つまりロータ駆動軸の回転軸と平行な方向に作用する。軸方向予荷重を特定のタイプのガイド軸受にのみ作用させ得るこのような軸方向予荷重は、、一般的には、ガイド軸受に接して配置されるか、またはガイド軸受の近傍に適切に配置される、特定形状の少なくとも1つの弾性要素によって発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような弾性要素によって少なくとも1つのガイド軸受に作用する軸方向予荷重は組立公差に左右されるという欠点があり、少なくとも1つのガイド軸受に最適の予荷重を加えることはできない。さらに、このような弾性要素の存在にケーシング内のスペースがとられてモータアセンブリの全長が長くなり、モータを配置するために利用できるスペースが極めて限られている特定の環境または特定の用途において不利になる。特に、このような電気モータは、一般にケーシングの一端に一般に固定されたサポートに配置される電子制御カードによって制御されるため、それもまた大きな追加のスペースを占めることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、前述の欠点の全部または一部を解決することを目的とするものであり、以下を有するモータアセンブリに関する。このモータアセンブリは、
ケーシングと、
ケーシング内に固定して取り付けられるステータと、
前記ケーシング内に回転可能に取り付けられるロータであって、第1駆動軸端部と第2駆動軸端部とを有する駆動軸を備え、駆動軸が前記駆動軸の回転軸心を中心として回転可能にガイドされるように構成されたロータと、
駆動軸の回転軸心を中心として前記駆動軸を回転可能にガイドするように構成された第1ガイド軸受と、を備え、
モータアセンブリは、さらに、ケーシングに連結され且つ第1ガイド軸受を支持するように構成されたガイド軸受サポートを備え、ガイド軸受サポート及び前記ケーシングがガイド軸受サポート及びケーシングの連結によって第1ガイド軸受に調整可能な軸方向予荷重を作用させることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
従来技術のモータアセンブリと比較すると、本発明の解決手段では、調整可能な軸方向予荷重を少なくとも1つのガイド軸受に作用させることが可能になる。このような調整可能な軸方向予荷重は、組立誤差に左右されず、モータアセンブリ内部に弾性要素のような追加の部品を存在させる必要がないため、よりコンパクトなモータアセンブリが提供される。
【0008】
モータアセンブリは、さらに、以下の特徴の1つ以上を単独で、または組み合わせて有するようにしてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングが第1連結部を備え、ガイド軸受サポートが第1連結部と協働することのできる第2連結部を有する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングの少なくとも一部が第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間でケーシングの長手方向軸に沿って延び、第1ケーシング端部が第1連結部分を有する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間でケーシングの長手方向軸に沿って延びるケーシングの一部は、モータアセンブリの構成要素の少なくとも一部、特にステータ、第1ガイド軸受、及びロータの全部または一部を包囲する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間でケーシングの長手方向軸に沿って延びるケーシングの一部は、中空円筒の形状であり、外径を定める外面と内径を定める内面とを有する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングは金属製であり、例えばアルミニウム合金製である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングはプラスチック製である。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、ステータは、ケーシングの一部、特にケーシングの内面に直接配置されるようにケーシング内に取り付けられる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、ステータの少なくとも一部は、ケーシングの長手方向軸と実質的に平行にケーシングの長手方向軸に沿って延び、外径を定める外面と、少なくとも1つの内径を定める内面とを有する中空円筒形状である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングの内面によって定められるケーシングの内径は複数の異なる値をとる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ステータは、ステータの外面の少なくとも一部がケーシングの内面の一部に接して配置されるようにケーシング内に取り付けられる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、ステータの長手方向軸は、ケーシングの長手方向軸と実質的に平行である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ステータの長手方向軸は、ケーシングの長手方向軸と一致する。
【0021】
一実施形態によれば、ステータは少なくとも一部が金属製である。例えば、ステータの中空円筒形状の部分は、その磁気特性のために選択される鋼製であり、ステータは中空円筒形状を有するステータ部分の周りに巻かれた銅巻線をさらに有する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸の回転軸心は、ケーシングの長手方向軸と実質的に平行である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸の回転軸心は、ケーシングの長手方向軸と一致する。
【0024】
本発明の実施形態によれば、ロータは、駆動軸の一部に少なくとも部分的に抗して配置される少なくとも1対の磁石をさらに備える。特に、ロータは、駆動軸の少なくとも一部、例えば駆動軸の中央部分を包囲する管の一部の形状、または平行六面体の一部の形状の一対の磁石を有する。
【0025】
一変形例によれば、モータアセンブリは、切り欠きに収容されるとともにN極-S極の交互配置を守るするようにロータに接着された複数対の磁石を有する。この変形例によれば、ロータは、駆動軸と複数対の磁石との間に配置される積層体を有する。このようなロータ13はこの技術分野においてよく知られている。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、モータアセンブリは永久磁石同期電気モータを含む。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、駆動軸は、実質的にケーシングの全長にわたって延び、駆動軸の第1端部は実質的に第1ケーシング端部の位置に配置され、第2駆動軸端部は実質的に第2ケーシング端部の位置に配置される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、第1ガイド軸受は少なくとも一部が第1駆動軸端部の一部の周りに配置される。
【0029】
一実施形態によれば、第1ガイド軸受は転がり軸受であり、例えば玉軸受である。この構成では、このようなガイド軸受は、軸方向予荷重、すなわち駆動軸の回転軸心に実質的に平行な方向へ作用する予荷重を受けることができる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、ガイド軸受サポートは中空円筒形状であり、外径を定める外面と内径を定める内面とを有する。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ガイド軸受サポートの内径は少なくとも2つの異なる値を有する。この実施形態によれば、ガイド軸受サポートの内面は、ガイド軸受サポートとケーシングとが連結されたときにケーシングの長手方向軸に実質的に平行な方向へ延びる円形状の少なくとも1つの側壁と、ガイド軸受サポートとケーシングとが連結されたときにケーシングの長手方向軸と実質的に直交する面内で延びる円形状の横壁とを有する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、第1ガイド軸受は少なくとも一部がガイド軸受サポートの内面の横壁に接して配置される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、ガイド軸受サポートの外径は一定値である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ガイド軸受サポートの外径は、ケーシングが呈する内径よりも、その長さの少なくとも一部においてはごく僅かに小さく、この構成によりガイド軸受サポートとケーシングとを連結することが可能である。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、ガイド軸受サポートとケーシングとが連結されるとき、ガイド軸受サポートは少なくとも一部がケーシング内に含まれる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、ガイド軸受サポートの外径は、ケーシングの第1端部の少なくとも一部が呈する内径よりも、ごく僅かに小さく、これによりガイド軸受サポートとケーシングとを第1ケーシング端部の位置で連結することができる。
【0037】
一実施形態によれば、第1及び第2連結部の一方がタップねじを有し、他方がタップねじと協働するように構成されたねじを有する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、第1ケーシング端部はケーシングの内面に形成されたタップねじを有し、ガイド軸受サポートはガイド軸受サポートの外面の少なくとも一部に形成されたねじを有する。
【0039】
一変形例によれば、第1ケーシング端部はケーシングの内面に形成されたねじを有し、ガイド軸受サポートはガイド軸受サポートの外面の少なくとも一部に形成されたタップねじを有する。
【0040】
ガイド軸受サポートとケーシングとをねじ込みにより連結することにより、有利なことに、第1ガイド軸受に累進的且つ調節可能な予荷重を作用させることが可能になる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、ねじ及び/またはタップねじは、ねじロック及び/またはシール液によって緩み及び/または水の浸入から保護される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、モータアセンブリはガイド軸受サポートとケーシングとの連結を阻止するように構成されたブロック部材を有する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ブロック要素は、ガイド軸受とケーシングの緩みを防止するように構成される。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、ブロック要素は、ガイド軸受サポートとケーシングとのねじの緩み、特に、例えば駆動軸が駆動軸の回転中心周りで回転するときの、不時の、及び/または不要なねじの緩みを防止するように構成される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、ブロック要素は、ねじ込むことによりケーシングと連結されるように構成されたロックナットを含む。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングの内面によって定められる内径は、第2ケーシング端部の位置において少なくとも2つの異なる値をとる。この実施形態によれば、ケーシングの内面は、第2ケーシング端部の位置において、ケーシングの長手方向軸と実質的に平行な方向へ延びる少なくとも1つの円形状の側壁と、ケーシングの長手方向軸と実質的に直交する平面内で延びる円形状の横壁とを有する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、モータアセンブリは、駆動軸の回転軸心を中心として駆動軸を回転可能にガイドするように構成された第2ガイド軸受と、第2ガイド軸受の一部に少なくとも部分的に接して配置される弾性要素とをさらに備え、弾性要素及びケーシングが第2ガイド軸受に軸方向の予荷重を与えるように構成される。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、第2ガイド軸受は第1ガイド軸受と同一である。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、第2ガイド軸受は少なくとも一部が駆動軸の一部、特に第2駆動軸端部の一部の周りに配置される。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、弾性要素はケーシングの一部と第2ガイド軸受の一部との間に介在する。特に、弾性要素はケーシングの内面の横壁と第2ガイド軸受の一部との間に介在する。このような構成により、有利なことに、第2ガイド軸受に軸方向予荷重を直接作用させることが可能になる。
【0051】
一実施形態によれば、弾性要素は、弾性ワッシャ、例えば波形の弾性ワッシャまたは皿バネタイプの弾性ワッシャを含む。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、モータアセンブリは、電子制御カードによって制御されるように構成されたモータアセンブリを含む。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、モータアセンブリは、電子カードサポート、特に電子制御カードを受けるように構成された電子制御カードサポートを有する。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、電子カードサポートは、ケーシングに例えば固定ねじによって取り外し可能に取り付けられる。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、電子カードサポートは、第1及び第2ケーシング端部の一方に、特に第2ケーシング端部に取り付けられる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、電子カードサポートは、ケーシングの長手方向軸と実質的に直交する平面内で延びる、実質的に平坦な面を有する。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、電子カードサポートとケーシングとが一体に形成される。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、ケーシングは、電子制御カードを受け入れるように構成された電子制御カードハウジングを備える。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、第2ケーシング端部が電子制御カードハウジングを有する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、電子制御カードハウジングは、ケーシングの長手方向軸に直交する平面内で延びる実質的に平面状の電子制御カード受け入れ面を有する。
【0061】
第2ケーシング端部に電子制御カードハウジングを一体化したこのようなケーシングは、第2ケーシング端部の位置で恒久的に(取り外せないように)閉じられる。したがって、従来技術のモータアセンブリとは異なり、ケーシング内でのモータアセンブリの異なる構成要素の取り付け、場合によっては分解やメンテナンスを実施するために、ガイド軸受サポートとケーシングの特有の連結は特に有利であり、それはケーシングの内部への恒久的なアクセスが可能になるためである。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、モータアセンブリは、車両の電気的な操舵補助を実施するように構成される。
【0063】
本発明は、図を参照してなされる説明により、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、従来技術で知られている永久磁石同期電気モータアセンブリの例示的な実施形態の縦断面図である。
図2図2は、本発明に係る永久磁石同期電気モータアセンブリの縦断面図である。
図3図3は、図2のモータアセンブリとそのすぐ周辺の第2の縦断面図である。
図4a図4aは、本発明の第1の他の実施形態に係る永久磁石同期電気モータアセンブリの縦断面図である。
図4b図4bは、本発明の第2の他の実施形態に係る永久磁石同期電気モータアセンブリの縦断面図である。
図5a図5aは、図2のモータアセンブリの斜視図である。
図5b図5bは、図2のモータアセンブリの斜視図である。
図5c図5cは、図2のモータアセンブリの斜視図である。
図6a図6aは、図2のモータアセンブリを実装した車両の電動アシスト式ステアリングシステムの斜視図である。
図6b図6bは、図2のモータアセンブリを実装した車両の電動アシスト式ステアリングシステムの斜視図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るガイド軸受サポートの斜視図である。
図8a図8aは、本発明の一実施形態に係るケーシングの斜視図である。
図8b図8bは、本発明の一実施形態に係るケーシングの斜視図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係るロータの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
<従来技術の解決手段の説明>
従来技術により知られている図1の電気モータアセンブリ100は、電子制御カード(図示せず)によって制御されるように構成された永久磁石同期電気モータアセンブリを示している。
【0066】
電気モータアセンブリ100は、ケーシングA100の長手方向軸に沿ってケーシングの長さの全体に延びる実質的に中空円筒形状のシェルを形成するアルミニウム合金製のケーシング101を有する。したがって、ケーシング101は、ケーシング100の内側を向くとともにケーシングの内径を定めるケーシングの内面と、ケーシング100の外側を向くとともにケーシングの外径を定めるケーシングの外面とを有する。
【0067】
図1に示されるように、ケーシング101は第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間で長手方向軸A100に沿って延び、ケーシングの内径及びケーシングの外径は、それぞれ少なくとも2つの異なる値になっている。このことは、特に、ケーシングの内面が、第1及び第2ケーシング端部のそれぞれにおいて、ケーシングA100の長手方向軸に平行な方向へ延びる少なくとも一つの円形の側壁と、ケーシングA100の長手方向軸に直交する平面内で延びる少なくとも一つの円形状の横壁とを有することを示している。
【0068】
ケーシング101は、第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間に、実質的に一定値の内径と、これも実質的に一定値の外径とを有する中央部分を有する。したがって、特に、ケーシングの中央部分の内面は、ケーシングの長手方向軸と実質的に平行な方向へ延びる円形の側壁を有する。
【0069】
同じく実質的に中空円筒経常であるステータ102が、ケーシング101内に固定して取り付けられ、ステータ102は、ケーシングの長さよりも短い長さのステータの全体にわたってケーシングA100の長手方向軸に沿って延び、ステータの外面がステータの外径を定め、ステータの内面がステータの内径を定めている。特に、図1に示されているように、ステータ102は実質的にケーシングの中央部分に沿って延び、ステータの内径と外径の両方がステータの全長にわたって一定の値である。
【0070】
ステータの外径の値は、ケーシングの中央部分に沿ったケーシングの内径の値と実質的に等しく、ステータ102は、ステータの外面がケーシングの内面の一部と一体的になるように、特にケーシングの中央部分におけるケーシングの内面と一体的になるように、ケーシング101に固定して取り付けられている。
【0071】
例えば、ステータ102はケーシング101に輪状部材で固定して取り付けられる。ステータ102には銅の巻線が巻かれている(図1には示さず)。
【0072】
ケーシング内に回転可能に取り付けられたロータ103は、複数対の磁石104と、円筒形状で第1駆動軸端部と第2駆動軸端部との間でケーシングの長手方向に沿って延びる駆動軸105とを有する。駆動軸105は、ケーシングA100の長手方向軸を中心として回転駆動可能である。このように、ケーシングA100の長手方向軸は、モータアセンブリ100の軸心に相当する。言い換えると、ケーシング101,ステータ102及びロータ103が同じ長手方向軸A100を有し、この長手方向軸A100がロータ103の駆動軸105の回転軸心でもある。
【0073】
図1に示すように、複数対の磁石104は、駆動軸105の中央部分で駆動軸105を包囲し、実質的に円形で直径が一定の外面を有し、ステータの内面に沿ってその近傍に配置されている。
【0074】
磁石104の長さはステータの長さと実質的に等しい。駆動軸105の長さは、ステータの長さよりも長い。第1ケーシング端部に実質的に沿って延びる第1駆動軸端部は、ウォームスクリュー(図示せず)を駆動軸105に連結するために第1駆動軸端部に固定して取り付けられる連結部106を有する。第2ケーシング端部に実質的に沿って延びる第2端部は、第2駆動軸端部に固定して取り付けられた磁石位置センサ107を有する。
【0075】
また、ケーシングは、特に第1駆動軸端部の一部に配置された第1玉軸受108と、特に第2駆動軸端部の一部に配置された、第1玉軸受108と同一の第2玉軸受109とを備える。
【0076】
第1駆動軸端部では駆動軸が第1ケーシング端部から突出し、連結部106により駆動軸105にウォームスクリューを結合できるようになっている。
【0077】
第2駆動軸端部では、位置センサ磁石107が電子制御カード(図示せず)の検出セルに対向しており、ステータ102に対するロータ103の角度を連続的に判定することができるようになっている。モータの制御を可能にする電子制御カードは、アルミニウム合金製の電子制御カードサポート200に配置され、少なくとも2本の固定ねじ301,302(図1の縦断面図では2本のみが示されている実際には4本のねじ)によりケーシングの第2端部に固定されている。
【0078】
電子制御カードサポート200は、ケーシング101の内側を向く内面と、ケーシング101の外側を向き、ケーシングA100の長手方向軸に直交する平面内で延びる実質的に平坦な外面201とを有する。外面201は、特に電子制御カードサポート200の電子制御カードを受け入れるように構成され、例えば銅タブなどのモータの銅コイルに対する接続要素用のねじ止めパッド、放熱面、あるいは通路開口部のようなインターフェース要素を有し、電子制御カードサポート200の外面201に電子制御カードを取り付けることが可能になっている。
【0079】
図1に示すように、電子制御カードサポート200の一部はケーシング101の内部に位置している。円形のハウジング110は、電子制御カードサポート200とステータ102との間に介在する接続部(図示せず)を受け入れるためのものである。
【0080】
電子制御カードサポート200の内面は、ケーシングA100の長手方向軸と平行な方向へ延びる円形状の側壁と、ケーシングA100の長手方向軸と直交する平面内で延びる円形状の横壁とを有する。
【0081】
円形状の第2玉軸受109は、駆動軸105と電子制御カードサポート200との間に配置されることによって、特に、一方では駆動軸105と電子カードサポート200の内面の側壁との間と、及び他方では駆動軸105と電子カードサポート200の内面の横壁の間との両方に配置されることによって、第2駆動軸端部の一部を包囲している。電子制御カードサポート200と第2玉軸受109のこの特有の取り付けにより、ケーシングの長手方向軸A100を中心とする駆動軸105の回転中に、駆動軸105の回転のガイドを確実にするために、第2玉軸受109を適切な位置に維持することが可能になる。
【0082】
第1ケーシング端部において、円形状の第1玉軸受108は、一方では駆動軸105とケーシング内面の側壁との間に、他方では駆動軸105と弾性ワッシャ111(第1玉軸受108とケーシング内面の横壁との間に介在する)の間に配置されることによって、第1駆動軸端部の一部を包囲している。第1玉軸受108と弾性ワッシャ111のこの特有の取り付けにより、駆動軸105の回転中に第1玉軸受108を適切な位置に維持することが可能になるだけでなく、第1玉軸受108に軸方向予荷重を与えることが可能になり、組立クリアランスを埋めて熱膨張を補償することができる。熱膨張は、モータの運転により発生し、特に駆動軸105の高速回転に起因する摩擦により発生し、熱になる磁気損失により発生し、さらに一般的に-40℃から140℃の範囲になり得る自動車のモータカウル下の環境における温度変化によって発生する。
【0083】
前述したモータアセンブリ100には種々の不利な点があり、特に、弾性ワッシャ111を介して与えられる軸方向予荷重が、アセンブリの許容誤差に直接的に依存することに関して不利な点がある。さらに、弾性ワッシャ111が存在することで、モータアセンブリ100の全長が著しく大きくなり、このことが、このようなモータアセンブリを使用する多くの環境において問題となる。
【0084】
最後に、電子制御カードサポート200,特にその第2ケーシング端部への取り付けにより、モータの全体構造と取り付けが複雑になる。ケーシング101の電子制御カードサポート200の固定ねじ301,302が一定の容積を占めることで、電子制御カードのインターフェース要素に利用可能なスペースが小さくなる。さらに、固定ねじ301,302によりモータアセンブリ100の長さが長くなり、さらにモータの動作中にねじが緩む可能性がある。このようなねじの緩みにより、電子制御カードサポート200が不安定になり、第1及び第2玉軸受108,109,特に第2玉軸受109の位置決めの安定性が低下するだけでなく、電子制御カードサポート200の安定性が低いとステータ102に対してロータ103の成す角度の測定(決定)に必然的に乱れが生じるためにモータの全体的な動作も不安定になる。
【0085】
<詳細な説明>
本発明の一実施形態に係る図2のモータアセンブリ10は、(図3に示す)電子カード25によって制御されるように構成された永久磁石同期電気モータアセンブリである。
【0086】
モータアセンブリ10はアルミニウム合金製のケーシング11を有し、ケーシングは、ケーシングの長手方向軸A1に沿ってケーシングの長さの全体に延びる、実質的に中空円筒形状のシェルを形成する。したがって、ケーシング11は、特にケーシングの内側を向いてケーシングの内径を定めるケーシングの内面と、外側を向いてケーシングの外径を定めるケーシングの外面とを有する。
【0087】
図2に示されているように、ケーシング11は、第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間でケーシングの長手方向軸A1に沿って延び、それらの端部においてケーシングの内径の値は異なる値をとる。このことは、特に、ケーシングの内面が、第2ケーシング端部において、ケーシングの長手方向軸A1に平行な方向へ延びる少なくとも1つの円形状の側壁と、ケーシングの長手方向軸A1に直交する平面内で延びる少なくとも1つの円形状の横壁とを有するということである。
【0088】
ケーシング11は、第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間に、内径が実質的に一定の値で且つ外径も一定の値の中央部分を有する。したがって、特に、ケーシングの中央部分の内面は、ケーシングの長手方向軸A1に平行な方向へ延びる円形状の単一の側壁を有する。
【0089】
中空円筒形状のステータ12がケーシング内に固定するように取り付けられ、ステータ12は、ケーシングの長さよりも短いステータの長さの全体にわたってケーシングの長手方向軸A1と平行な方向へ延び、ステータ外面とステータ内面とを有する。特に、図2に示されているように、ステータ12は、実質的にケーシングの中央部分に沿って延び、ステータ12の全長にわたって一定値のステータの内径と、一定値のステータの外径とを有する。
【0090】
ステータの外径の値は、ケーシング11がケーシングの中央部分で示すケーシングの内径の値と実質的に等しく、ステータ12は、ステータの外面の全体がケーシングの内面の一部、特にケーシングの中央部分に相当するケーシングの内面に位置するように、ケーシング11に固定されるように取り付けられている。ステータ12には銅の巻線(図示せず)が巻かれている。
【0091】
ケーシング11内に回転可能に取り付けられるロータ13は、複数対の磁石14と、円筒形状で且つ第1駆動軸端部と第2駆動軸端部との間でケーシングの長手方向軸A1に沿って延びる駆動軸15とを有する。図9に示されているように、複数対の磁石14からなる磁石は、N極とS極の交互の位置関係を守るように切り欠き部に収容されてロータ13に接着される。駆動軸15と複数対の磁石14との間には、互いに重ねられた複数枚のシート(図9には示さず)が配置されている。
【0092】
駆動軸15は、ケーシングの長手方向軸A1を中心として回転可能である。したがって、ケーシングの長手方向軸A1はモータアセンブリ10の軸心に相当する。言い換えると、ケーシング11,ステータ12及びロータ13は同じ長手方向軸A1を有し、この長手方向軸A1がロータ13の駆動軸15の回転軸心でもある。
【0093】
図1及び図9に示されているように、複数対の磁石14は、公知の態様の管の一部の形状または平行六面体の一部の形状を有し、駆動軸の中央部分で駆動軸を包囲する、実質的に円形状で直径が一定の内面と、ステータの内面に沿うとともにそれ近接配置される実質的に円形状で直径が一定の外面とを有する。
【0094】
各磁石14の長さは、ステータの長さと実質的に等しい。駆動軸15の長さは、ステータの長さよりも長い。第1ケーシング端部に実質的に沿って延びる第1駆動軸端部は、ウォームスクリュー(図2には示さず)を駆動軸15に連結するために第1連結軸端部に固定して取り付けられた連結部16を有する。第2駆動軸端部は、実質的に第2ケーシング端部の一部に沿って延び、第2駆動軸端部に固定して取り付けられた位置センサ磁石17を有する。
【0095】
また、ケーシングは、特に第1駆動軸端部の一部の周囲に配置された第1ガイド軸受18と、特に第2駆動軸端部の一部の周囲に配置された、第1ガイド軸受18と同一の第2ガイド軸受19とを備える。
【0096】
図2及び図3に示された実施形態、さらには図4aに示された第1変形例及び図4bに表わされた第2変形例では、ガイド軸受18は玉軸受からなる。同様に、ガイド軸受18と同一のガイド軸受19も玉軸受からなる。図示されていない一変形例によれば、ガイド軸受19はガイド軸受18とは構造が異なるものであってもよい。
【0097】
位置センサ磁石17は、電子制御カード25(特に図3に示す)に配置された検出セル(図示せず)の方を向き、ステータ12に対してロータ13が成す角度を連続的に測定することができる。
【0098】
ケーシング11は、第2ケーシング端部に電子制御カードハウジング40(図5aに示す)を有し、この電子制御カードハウジング40は実質的に平坦であり、電子制御カード25を受け入れるようにケーシングの長手方向軸A1と直交する平面内で延びる電子制御カード受け入れ面21を有する。
【0099】
前記モータアセンブリ100とは異なり、本発明に係るモータアセンブリ10は、電子制御カード25をケーシング11に直接配置できるという特徴を有する。言い換えると、ケーシング11は、モータの構成要素の一部のための保護シェル、特にステータ及びロータのための保護シェルとして機能するだけでなく、電子制御カードのハウジングとしても機能し、すべてが1つになっている。
【0100】
電子制御カード受け入れ面21は、ねじ止めパッドなどのインターフェース要素22,放熱面、及び例えば銅タブなどのモータの銅コイルへの接続要素用の通路開口部を有し、電子制御カード受け入れ面21への電子カードの取り付けを可能にしている。電子制御カード25を保護するため、図5cに示すように、ケーシング11に取り外し可能または取り外し不可の態様で取り付けられるカウル27により、電子制御カードハウジング40の全面、ひいては電子制御カード受け入れ面21の全面を覆うことが可能になっている。
【0101】
円形のハウジング20は、インターフェース要素22とステータ12との間に介在する相互接続部(図示せず)を受け入れるためのものである。一変形例によれば、ハウジング20は部分的にのみ円形である。
【0102】
円形の第2ガイド軸受19は、第2駆動軸端部の一部を包囲する一方で、第2駆動軸端部の前記一部とケーシング11との間、特に一方側の第2駆動軸端部15の前記一部と、他方側のケーシングの内面の側壁と横壁との間、詳しくは一方側の第2駆動軸端部15の前記一部と、第2ケーシング端部に位置するケーシングの内面の側壁と横壁と側壁との間に配置される。第2ガイド軸受19のこのような特有の取り付けにより、ケーシングの長手方向軸A1を中心とする駆動軸15の回転中に、駆動軸15の効果的な回転のガイドを可能にするために、第2ガイド軸受19を適切な位置に維持することが可能になる。
【0103】
円形の第1ガイド軸受18は、第1駆動軸端部の前記一部と、ケーシング11と連結するように構成されたガイド軸受サポート23との間に配置されることにより、第1駆動軸端部の一部を包囲する。
【0104】
ガイド軸受サポート23は、ケーシング11に連結されると、長手方向軸A1に沿ってガイド軸受サポートの長さの全体にわたって延びる実質的に中空円筒の形状をしている。ガイド軸受サポート23は、ガイド軸受サポートの外面とガイド軸受サポートの内面とを有する。
【0105】
ガイド軸受サポートの内面は、いくつかの異なる値の直径を有する。したがって、ガイド軸受サポートの内面は、ケーシングの長手方向軸A1に実質的に平行な方向へ延びる円形状の側壁と、ケーシングの長手方向軸A1に実質的に直交する平面内で延びる円形状の横壁の両方とを有する。ガイド軸受サポートの外面は外径が一定である。
【0106】
図2に示されているように、第1ガイド軸受18は、ガイド軸受サポートの内面の側壁と横壁の両方に接して配置されている。
【0107】
ガイド軸受サポート23とケーシング11との連結を可能にするために、ケーシング、特に第1ケーシング端部は第1連結部を有し、ガイド軸受サポート23は第1連結部と協働するように構成された第2連結部を有する。
【0108】
特に、図8a及び図8bに示されているように、第1ケーシング端部に位置し、ガイド軸受サポートの外径よりもわずかに大きい一定の内径を有するケーシング11の内面の一部は、タップねじ34を有する。
【0109】
図7に示されているように、ガイド軸受サポート23の外面はねじ24を有する。
【0110】
ガイド軸受サポート23の外面のねじ24は、ケーシング11の内面の前記一部に形成されたタップねじ34と協働するようになっている。言い換えると、ガイド軸受サポート23は、第1ケーシング端部においてケーシング11にねじ込むことができる。このようにねじ込むことで、ガイド軸受サポート23をケーシング11に取り付ける際に、ガイド軸受サポート23は、ケーシングの長手方向軸A1と実質的に平行な方向へ、且つ第1ケーシング端部から第2ケーシング端部に向かう方向へ、徐々に前進していく。
【0111】
第1ガイド軸受18及びガイド軸受サポート23のケーシング11へのこの特に効果的な取付けにより、駆動軸15の回転中に第1ガイド軸受18を安定した位置に維持して駆動軸15を十分にガイドすることが可能になり、効果的に組立クリアランスを埋めて熱膨張を補償するために、第1ガイド軸受18に対して調整可能で累進可能な軸方向予荷重を与えることも可能になる。この熱膨張は、モータの動作により発生し、特に駆動軸15の高速回転に起因する摩擦により発生し、熱の形態での磁気損失により発生し、さらに一般的に-40℃から140℃の範囲になり得る自動車のモータカウル下の環境における温度変化によって発生するものである。
【0112】
図1のモータアセンブリ100の弾性ワッシャによって与えられる軸方向予荷重と比較すると、ガイド軸受サポート23とケーシング11の特有の連結によって、調整可能で累進可能な予荷重を適用することが可能になり、軸方向予荷重の値が、ケーシング11内のガイド軸受サポート23のねじ込みによって発生する締め付けトルクで直接的に決まることになる。このような調整可能な予荷重は組立誤差に左右されず、十分に精緻にすることができる。さらに、モータアセンブリ10に弾性ワッシャがないため、モータアセンブリ10の長さを短くすることができる。さらに、ケーシング11が電子カードサポートとしても機能すること、言い換えると電子カードサポートとケーシング11とが一体的に形成されていることにより、図1のモータアセンブリ100にある固定ねじ301,302を省くことが可能になる。このような固定ねじ301,302がないことにより、スペースを大幅に削減し、モータアセンブリ10の長さをさらに短くすることができる。
【0113】
最後に、モータアセンブリ10は、モータアセンブリ100とは異なり、第1ケーシング端部での取り付けと取り外しが行われ、ガイド軸受サポート23とケーシング11をねじ結合することでガイド軸受サポート23をいつでも取り外すことができるので、ケーシング11の内部へのアクセスが可能になる。
【0114】
図3には、モータアセンブリ10がそのすぐ周辺部で示されている。
【0115】
ウォーム減速機のウォームスクリューの一端31は、ウォーム減速機のウォームスクリューを駆動軸15に連結するために連結部16に固定するように取り付けられ、これのことより、駆動軸15は、ケーシングの長手方向軸A1の周りでウォーム減速機のウォームスクリューを回転させることができる。
【0116】
ウォーム減速機のケーシング32は、第1ケーシング端部でケーシング11に嵌合することによりケーシング11に連結されている。ケーシング11とウォーム減速機のケーシング32との間に好適に介装されたOリング33が、この連結部のシール性を確保している。
【0117】
第2ケーシング端部では、電子制御カード25(図5bにも示す)が電子制御カード受け入れ面21に配置されている。前述したように、電子制御カード受け入れ面21は、ケーシングの長手方向軸A1に実質的に直交する平面内で延び、ねじパッド、放熱面、及び例えば銅タブなどのモータの銅コイルに対する接続要素のための通路開口部などのインターフェース要素22(図5aにも示す)を有し、電子制御カード25と電子制御カード受け入れ面21との相互接続を可能にしている。少なくとも1つの固定ねじ26(図5bに示すように実際には複数の固定ねじ)により、電子制御カード25を電子制御カード受け入れ面21に固定できる。
【0118】
カウル27は、電子制御カードハウジング40の全体を覆って電子制御カード25を保護するように、ケーシング11に取り外し可能または取り外し不可に取り付けられている(図5cにも示す)。最後に、ケーシング11とカウル27の間の連結部のシールを確実にするために、シール要素28がカウル27とケーシング11の間に介装される。
【0119】
図4aには、本発明の第1変形例に係るモータアセンブリ10’が示されている。図2に示したモータアセンブリ10と比較すると、第2ガイド軸受19とケーシング内面の横壁との間、特に図2に示したモータアセンブリ10に第2ガイド軸受19が配置されている横壁との間には、弾性要素30が介在している。弾性要素30により、熱膨張を補償して、特に第2ケーシング端部に存在する組立クリアランスを埋めるように、第2ガイド軸受19に軸方向予荷重を直接作用させることが可能になる。図2のモータアセンブリ10と比較すると、モータアセンブリ10’は、モータアセンブリ10よりも長いという欠点があるものの、ガイド軸受サポート23と弾性要素30の両方により第1及び第2ガイド軸受18,19の軸方向予荷重をより細かく調整することができるという利点があるので、第1ガイド軸受18と第2ガイド軸受19の両方に直接軸方向予荷重を加えることが可能になる。
【0120】
図4bには、本発明の第2変形例に係るモータアセンブリ10”が示されている。図2に示すモータアセンブリ10と比較すると、モータアセンブリ10”は、ケーシング11のタップねじ34にねじ込まれ且つガイド軸受サポート23に対して締め付けられるカウンターナット35を有する。したがって、ケーシング11と螺合して結合したカウンターナット35は、ガイド軸受サポート23とケーシング11の連結を阻止するように構成されし、ガイド軸受サポート23とケーシング11の緩みを防止する。有利なことに、カウンターナット35は、ガイド軸受サポート23とケーシング11のねじの緩み、特に例えば駆動軸15が駆動軸の回転軸心の周りで回転する際の不時の緩み及び/又は不要な緩みを阻止するように構成されている。
【0121】
図示されていない代わりの実施形態または補足的な実施形態によれば、ねじ24及び/またはタップねじ34は、ねじロック及び/またはシール液によって、緩み及び/または水の浸入に対して保護される。
【0122】
モータアセンブリ10は、利用可能なスペースが限られている環境で有利に使用される。例えば、モータアセンブリ10は、図6a及び図6bに表されるように、自動車のステアリングを電気的に補助するために自動車環境で使用することができる。
【0123】
もちろん、本発明は、例示のためにのみ説明され図示された実施形態には決して限定されない。本発明の保護範囲から逸脱することなく、特に、様々な要素の構成の観点から、または技術的な均等物の置き換えにより、変更することが可能である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(11)であって、少なくとも一部が第1ケーシング端部と第2ケーシング端部との間で前記ケーシングの長手方向軸(A1)に沿って延びるケーシング(11)と、
前記ケーシング(11)内に固定して取り付けられるステータ(12)と、
前記ケーシング(11)内に回転可能に取り付けられるロータ(13)であって、前記第1ケーシング端部に沿って延びるとともに連結部(16)が取り付けられる第1駆動軸端部と、前記第2ケーシング端部に沿って延びる第2駆動軸端部とを有する駆動軸(15)を備え、前記駆動軸(15)が前記駆動軸の回転軸を中心として回転可能にガイドされるように構成されたロータ(13)と、
前記駆動軸の回転軸を中心として前記駆動軸(15)を回転可能にガイドするように構成された第1ガイド軸受(18)と、
を備えたモータアセンブリ(10,10’)であって、
さらに、前記第1ケーシング端部において前記ケーシング(11)に連結され且つ前記第1ガイド軸受(18)を支持するように構成されたガイド軸受サポート(23)を備え、前記ガイド軸受サポート(23)及び前記ケーシング(11)が前記ガイド軸受サポート(23)及び前記ケーシング(11)の連結によって前記第1ガイド軸受(18)に調整可能な軸方向予荷重を作用させることが可能に構成されていることを特徴とするモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項2】
請求項1に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ケーシング(11)が第1連結部を備え、前記ガイド軸受サポート(23)が前記第1連結部と協働するように構成された第2連結部(24)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項3】
請求項2に記載のモータアセンブリ(10,10’)において
記第1ケーシング端部が前記第1連結部を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項4】
請求項2または3に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記第1及び第2連結部の一方がタップねじ(34)を有し、他方がタップねじ34と協働するように構成されたねじ(24)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ガイド軸受サポート(23)と前記ケーシング(11)との連結を阻止するように構成されたブロック要素(35)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータアセンブリ(10’)において、
前記駆動軸の回転軸心を中心として前記駆動軸(15)の回転をガイドするように構成された第2ガイド軸受(19)と、前記第2ガイド軸受(19)の一部に少なくとも部分的に接して配置される弾性要素(30)とをさらに備え、前記弾性要素(30)及び前記ケーシング(11)が前記第2ガイド軸受(19)に軸方向予荷重を与えるように構成されているモータアセンブリ(10’)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記ケーシング(11)は、電子制御カード(25)を受け入れるように構成された電子制御カードハウジング(40)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項8】
請求項7に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記第2ケーシング端部が前記電子制御カードハウジング(40)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項9】
請求項7または8に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
前記電子制御カードハウジング(40)は、実質的に平面状で且つ前記ケーシングの長手方向軸(A1)と直交する平面内で延びる電子制御カード受け入れ面(21)を有するモータアセンブリ(10,10’)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のモータアセンブリ(10,10’)において、
車両の電気的な操舵補助を実施するように構成されているモータアセンブリ。
【外国語明細書】