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特開2024-61660溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法
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  • 特開-溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法 図1
  • 特開-溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061660
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C06B 29/18 20060101AFI20240425BHJP
   C06B 29/22 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C06B29/18
C06B29/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180040
(22)【出願日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】2210862
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】523395915
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テディ・ジユー
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ビュロ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法であって:ニトロ芳香環、優先的には2,4,6-トリニトロトルエンを含む溶融性爆発物を溶融させるステップ(1)と、溶融させた溶融性爆発物に粘度調整剤を添加するステップ(2)と、少なくとも1つの不活性粒状要素及び/又は少なくとも1つのエネルギー粒状要素を添加するステップ(3)とを含み;使用される成分の比率は、得られた組成物が、20重量%~60重量%の溶融性爆発物、及び最大10重量%の粘度調整剤、優先的には3%~5%の粘度調整剤を含むような比率である、製造方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法であって:
ニトロ芳香環、優先的には2,4,6-トリニトロトルエンを含む溶融性爆発物を溶融させるステップ(1)と;
前記溶融させた溶融性爆発物に粘度調整剤を添加するステップ(2)であって、前記粘度調整剤が、閾値温度(Ts)よりも高温で溶解度閾値(Ss)よりも高く、前記閾値温度(Ts)よりも低温で前記溶解度閾値(Ss)よりも低い前記溶融性爆発物に対する溶解度を有し、前記閾値温度(Ts)は、前記爆発性組成物の混合及び装填温度(Tmc)よりも低く、前記組成物の粘度は、前記閾値温度(Ts)よりも高温で粘度閾値(Vs)よりも低く、前記閾値温度(Ts)よりも低温で前記粘度閾値(Vs)よりも高く;前記粘度調整剤は、前記閾値温度付近で絶対値で最大5℃の温度の変化の場合、絶対値における粘度の対応する変化は、絶対値での温度の前記変化に10Pa.sを掛けたものよりも大きく、絶対値での溶解度の対応する変化は15重量%を超えるような粘度調整剤であるステップと;
少なくとも1つの不活性粒状要素及び/又は少なくとも1つのエネルギー粒状要素を添加するステップ(3)とを含み;
使用される成分の比率は、得られた前記組成物が、20重量%~60重量%の溶融性爆発物、及び最大10重量%の粘度調整剤、優先的には3%~5%の粘度調整剤を含むような比率である、製造方法。
【請求項2】
前記閾値温度(Ts)が85℃~95℃の間であり、前記混合及び装填温度(Tmc)が95℃を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粘度調整剤が、ベンゼン又はナフタレン又はアントラセンの誘導体である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粘度調整剤が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はスルホニル基の中の1つ以上の基によって官能化されたベンゼン又はナフタレン又はアントラセンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粘度調整剤が、ナフトールであり、優先的には1-ナフトール又は2-ナフトールである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
不活性粒状要素が過塩素酸塩又はアルミニウムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
エネルギー粒状要素が、RDX、HMX、又はTKX-50である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
中空体によって境界が定められる軍需品の中に前記組成物を装填するステップ(4)であって、前記爆発性組成物を軍需品の前記中空体の中に注ぐことを含むステップをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記閾値温度(Ts)よりも低い前記組成物の温度まで前記組成物を冷却中の固化ステップ(5)であって、それによって均一な方法で多量の沈殿が得られ、前記混合物の粘度が前記粘度閾値(Vs)よりも高くまで増加し、即座に前記粒状要素が捕捉されるステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法、及びその軍需品中への装填に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの装填は、主として2,4,6-トリニトロトルエン(頭字語はTNT)に基づいており、これは80℃に近い温度で溶融する明確な特徴を有する爆発物であり、そのため、重力の作用のみで、液体状態で軍需品の本体などの金属ケーシングに装填することができる。
【0003】
通常は、軍需品の要求(爆轟性能品質、非感受性など)に適合する配合物を得るために、この爆発物に、ヘキソーゲン(RDX)、オクトーゲン(HMX)又はオキシニトロトリアゾール(ONTA)などの別の爆発物、又はさらに添加剤(鈍感剤、安定剤、鋭感剤など)が加えられる。
【0004】
高付加価値の配合物は、5~7の構成要素を含むことが多い。これらは本質的には、異なる粒状要素が溶融性媒体中に不規則に分散するのが見られるので不均一となる。にもかかわらず、寿命プロファイル(製造、保管、輸送、使用、及び非武装化)全体にわたって軍需品の安全性及び性能品質の信頼性を保証するために、軍需品のケーシング内で固化した後に爆発物の装填の実現可能な最良の均一性が保証されることが重要である。この均一を保証するために一般に用いられるパラメーターは、粘度増加、及び添加剤の粒度分布を含む。
【0005】
これは、非常に粘稠な混合物中に存在する粒状要素は、移動(沈降又はクリーミング)が起こる可能性が実質的になく、したがって装填の不均一性の危険性が非常に大きく制限されるからである。しかし、粘稠となる装填作業を行うためには、複雑な技術の使用が必要であり、特に生産速度が限定される。
【0006】
これらの配合物は、ますます厳しくなる要求(少ない性質のばらつき、及び時間経過によるこれらの性質の維持)にも適合する必要があり、これらは、Franceの場合、一般指示書(general instruction)のS-CAT 17500,Edition 6,dated December 2019に記載されており、NATOメンバーの場合、STANAG.4170,Edition 3,dated 2008に記載されている。これらの法的要求に応じることは、軍需品の装填の均一性の制御を高めるために必要となる。
【0007】
軍需品中の爆発物の装填の均一性に関連する問題の重要な性質は、ごく最近であり、軍需品の使用及び保管の安全性に関連する基準に従う。4つ以上の構成要素を有する配合物に関するこの均一性の管理はいっそう重要になる。
【0008】
歴史的には、軍需品は、ピクリン酸、次に第二次世界大戦後はトリニトロトルエンをベースとして装填された。これらの装填は、1成分の装填であり、したがって実際にこの問題に対応していた。軍需品の最終性能品質の向上に関連する理由のため、このTNTベースに添加剤を加えることによる多数の配合物が開発された。
【0009】
爆轟性能品質を非常に大きく向上させるため、所望の性能品質を得るため、及び製品の寿命全体にわたって均一性を維持するために、RDX及びHMXなどの粒状爆発物が歴史的な配合物中に混入されてきた。特に、約60重量%の含有量の固体要素が導入されてきた(Composition B 60/40)。この含有量によって、液体混合物の粘度を大幅に増加させて相分離及び沈降を制限することが可能となるが、要素の緻密さを変化させる場合もある。原則は、特定の空間内に最大限の粒状要素を導入可能となる粒度分布をできる限り正確に求めることにある。この主要な効果は、要素の互いに対する配列を阻止することである。
【0010】
この固体構成要素のパーセント値の非常に大幅な増加(60重量%を超える)及びこのそれぞれの固体添加剤の粒度分布の調整によって、最大限の緻密さを実現できる。この緻密さが実現されると、軍需品に装填した後、異なる粒状要素は機械的に束縛されて、沈降や相分離が起こらない。しかし、この緻密さが実現されると、混合物は容器内で非常に粘稠となり、配合物の流動性が制限される。次に、実際に軍需品のケーシング内に負圧(約50mbarの減圧)を発生させる場合でさえも、混合物の温度を上昇させる必要が生じることが多い。温度を上昇させると、軍需品を製造するためのエネルギーコストが大幅に増加し、装填作業を減圧下で行うことは、当業者の標準的な設備には適合しない。
【0011】
組成物の経時による均一性及び安定性を補償するために、界面活性剤型の添加剤が使用されている。これらの分子は、親水性頭部と疎水性尾部とを有する能力を有し、それによってTNTと鈍感剤との間の親和性を高めることができる。ポリビニルピロリドン類の界面活性剤を使用する特許の仏国特許第2 750 131号明細書及び仏国特許第2 954 308号明細書に言及されているNexterの特許権を有する組成物XF13333及びXF11585を挙げることができる。これらの組成物は、“Rheologie des suspensions concentrees de materiaux energetiques recyclables-Modelisation du temps de coulee”(「再生可能エネルギー材料の高濃度懸濁液のレオロジー-注入時間のモデリング」)と題される学位論文の研究の主題を形成している。技術報告書WL-TR-94-7058では、異なる種類の鈍感剤とTNTとの間の影響及び化学親和性が研究されており、配合物H-6(compB/AI/D-2)及びDestex(TNT/AI/D-3)中に存在する組成物D-2(MIL-C-18164A)の代替を目的としている。これらの場合では、大豆レシチン及びさらにはカーボンブラックの使用によって、混合物を安定化させた。
【0012】
配合物への添加剤の添加は、混合物の粘度を非常に大きく増加させながら、50%を超える液相の比率を維持するという目的を有する。混合容器中のこのような粘度のために、フックに類似した撹拌ブレード、Zブレード、又はシートプラネタリー(sheet planetary)などの構成要素の均質化を保証するための特定の設備が必要となる。次に、これらの撹拌手段は歴史的な配合物にはもはや適しておらず、製造業者はそれぞれの配合物に専用の設備を設置する必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許第2 750 131号明細書
【特許文献2】仏国特許第2 954 308号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】S-CAT 17500,Edition 6,dated December 2019
【非特許文献2】STANAG.4170,Edition 3,dated 2008
【非特許文献3】Rheologie des suspensions concentrees de materiaux energetiques recyclables-Modelisation du temps de coulee
【非特許文献4】WL-TR-94-7058
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によると、溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法であって:
- ニトロ芳香環、優先的には2,4,6-トリニトロトルエンを含む溶融性爆発物を溶融させるステップと;
- 溶融させた溶融性爆発物に粘度調整剤を添加するステップであって、粘度調整剤は、閾値温度よりも高温で溶解度閾値よりも高く、閾値温度よりも低温で溶解度閾値よりも低い溶融性爆発物に対する溶解度を有し、閾値温度は、爆発性組成物の混合及び装填温度よりも低く、上記組成物の粘度は、閾値温度よりも高温で粘度閾値よりも低く、閾値温度よりも低温で粘度閾値よりも高く;粘度調整剤は、閾値温度付近で絶対値で最大5℃の温度の変化の場合、絶対値における粘度の対応する変化は、絶対値での温度の変化に10Pa.sを掛けたものよりも大きく、絶対値における溶解度の対応する変化は15重量%を超えるような粘度調整剤であるステップと;
- 少なくとも1つの不活性粒状要素及び/又は少なくとも1つのエネルギー粒状要素を添加するステップとを含み;
使用される成分の比率は、得られた組成物が、20重量%~60重量%の溶融性爆発物、及び最大10重量%の粘度調整剤、優先的には3%~5%の粘度調整剤を含むような比率である、製造方法が提案される。
【0016】
一実施形態では、閾値温度は85℃~95℃の間であり、混合及び装填温度は95℃を超える。
【0017】
一実施形態によると、粘度調整剤は、ベンゼン又はナフタレン又はアントラセンの誘導体である。
【0018】
一実施形態では、粘度調整剤は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はスルホニル基の中の1つ以上の基によって官能化されたベンゼン又はナフタレン又はアントラセンである。
【0019】
一実施形態によると、粘度調整剤は、ナフトールであり、優先的には1-ナフトール又は2-ナフトールである。
【0020】
一実施形態では、不活性粒状要素は、過塩素酸塩又はアルミニウムである。
【0021】
一実施形態によると、エネルギー粒状要素は、RDX、HMX、又はTKX-50である。
【0022】
一実施形態では、上記方法は、さらに、中空体によって境界が定められる軍需品の中に上記組成物を装填するステップであって、上記爆発性組成物を軍需品の中空体の中に注ぐことを含むステップを含む。
【0023】
一実施形態によると、上記方法は、さらに、閾値温度よりも低い組成物の温度までの組成物の冷却中の固化ステップであって、それによって均一な方法で多量の沈殿が得られ、混合物の粘度が粘度閾値よりも高くまで増加し、即座に粒状要素が捕捉されるステップを含む。
【0024】
完全に非限定的な例によって説明され、添付の図面によって示される幾つかの実施形態を検討することによって本発明がより十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一態様による、組成物の温度の関数としての、TNTに対して溶解性の粘度調整剤の溶解度、及び混合物の粘度を図で示している。
図2】本発明の一態様による溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法の一例を図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図全体にわたって、同一の参照記号は類似のものである。
【0027】
図1は、本発明の一態様による、組成物の温度の関数としての、TNTに対して溶解性の粘度調整剤の溶解度、及び混合物の粘度を示している。
【0028】
本発明は、特に粘度調整剤の使用からなり、その化学構造は、2,4,6-トリニトロトルエン、すなわちTNTなどのニトロ芳香環を含む溶融性爆発物に対して非常に強い化学親和性を有する。
【0029】
TNTなどのニトロ芳香環を含む溶融性爆発物は、ベンゼン環のため、並びに2位、4位、及び6位のニトロ基のために強いファンデルワールス相互作用を示す。ニトロ基の酸素上の非結合対の存在は、TNTが強いルイス塩基でもあることを意味する。混和性、したがって溶液の最大限の均一性を保証するために、粘度調整剤の構造は、このため強いファンデルワールス相互作用及びルイス酸機能を示す必要がある。
【0030】
したがって、本発明では、ニトロ芳香環を含む溶融性爆発物に対して、閾値温度Tを有し温度依存性が高い溶解度プロファイルを有する粘度調整剤が使用され、この閾値温度よりも低いと、粘度調整剤は、ニトロ芳香環を含む液体溶融性爆発物に対してわずかな溶解性でない又はわずかな溶解性であると見なされ、すなわち粘度調整剤の溶解度は溶解度閾値Ssよりも低く、この閾値温度よりも高いと、粘度調整剤は、ニトロ芳香環を含む液体溶融性爆発物に対して高い溶解性であると見なされ、すなわち粘度調整剤の溶解度は溶解度閾値Ssよりも高い。
【0031】
さらに、閾値温度Tsよりも高いと、組成物の粘度は、あまり粘稠ではないと見なされ、すなわち粘度閾値Vsを下回り、閾値温度Tsより低いと、組成物の粘度は非常に粘稠であると見なされ、すなわち粘度閾値Vsを超える。
【0032】
閾値温度Tsは、一般に約95℃である爆発性組成物の混合及び装填温度よりも低い。
【0033】
ニトロ芳香環を含む溶融性爆発物に対して溶解性の粘度調整剤によって、必要に応じて混合物の粘度を管理することが可能になる。
【0034】
図2は、本発明の一態様による溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法の一例を図で示している。
【0035】
溶融性/注型性爆発性組成物の製造方法は、ニトロ芳香環、優先的には2,4,6-トリニトロトルエン、すなわちTNTを含む溶融性爆発物を溶融させる(1)第1のステップ1を含む。
【0036】
ニトロ芳香環を含む溶融性爆発物の溶融は95℃を超える温度で行われる。
【0037】
上記方法は、溶融した溶融性爆発物に粘度調整剤を加える第2のステップ2を含む。粘度調整剤は、閾値温度Tsよりも高温で溶解度閾値Ssよりも高く、閾値温度Tsよりも低温で溶解度閾値Ssよりも低い溶融性爆発物に対する溶解性を有し、閾値温度は、一般に95℃を超える爆発性組成物の混合及び装填温度よりも低い。組成物の粘度は、閾値温度Tsよりも高温で粘度閾値Vsよりも低く、閾値温度Tsよりも低温で粘度閾値Vsよりも高い。
【0038】
粘度調整剤は、閾値温度Ts付近の絶対値において最大5℃の変化ΔT=Ts±5℃の場合、絶対値における粘度の対応する変化が10Pa.sを超え、絶対値における溶解度の対応する変化は15重量%を超えるような粘度調整剤である。
【0039】
このステップ2は、95℃を超える混合及び装填温度で行われるので、組成物は、低い粘度を有し、粘度調整剤の溶解性は高い。
【0040】
使用される成分の比率は、得られる組成物が、20重量%~60重量%の溶融性爆発物、及び最大10重量%の粘度調整剤、優先的には3%~5%の粘度調整剤を含むような比率である。
【0041】
したがって、ステップ2中、粘度調整剤は、TNTなどのニトロ芳香環を含む溶融性爆発物に対する溶解性が高く、組成物の粘度は、非常にわずか又はわずかな粘稠性であるともなされ、すなわち粘度閾値Vsよりも低い。
【0042】
閾値温度Tsよりも高温で溶解性が高くなり、低温で非常にわずかな溶解性、実際にはさらには溶解性でなくなるようにするため、TNTなどのニトロ芳香環を含む溶融性爆発物に対して非常に強い化学親和性を示す粘度調整剤を使用すると、混合物の温度を管理することによって、プロセスのステップにより、必要に応じて、粘度調整剤の機能を活性化させることが可能となる。
【0043】
TNTなどのニトロ芳香環を含む溶融性爆発物をベースとするすべての配合物の場合、幾つかの不活性粒状要素及び爆発物粒状要素が混入される。これらの組成物は、種々の重量パーセント値で過塩素酸塩又はアルミニウムなどの不活性要素を含む場合も含まない場合もあり、RDX、HMX、又はTKX-50などのエネルギー要素も種々の含有量で含む場合も含まない場合もある。
【0044】
これは、既存の製造ラインを変更する必要なしに、周知の標準的な設備上で当業者が行うことができる。
【0045】
さらに、本発明は、配合物中の溶融性要素の重量分率を減少させることを想定できる。例えば、これによって、溶融注型プロセスによってこれまで利用できなかった配合物が利用され、より複雑でより費用のかかる処理方法(混練、押出成形)を回避する可能性が開かれる。
【0046】
粘度調整剤は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はスルホニル基の中の1つ以上の基によって官能化されたベンゼン又はナフタレン又はアントラセンであってよい。
【0047】
有利には、粘度調整剤は、ナフトールであってもよく、優先的には1-ナフトール又は2-ナフトールであってもよい。
【0048】
さらに、上記方法は、中空体によって境界が定められる軍需品に爆発物を装填するステップ4であって、爆発性組成物を軍需品の中空体の中に注ぐことを含むステップを含むことができる。
【0049】
したがって、溶融性/注型性爆発性組成物は、続いて冷却中の軍需品の本体中で固化ステップ5中に固化させることができる。装填後、調整剤は、均一な方法における多量の沈殿によって活性化し、これによって粘度が大幅に増加し、沈降及びクリーミング機構が阻止される。これは、装填終了時に、軍需品中に存在する混合物が冷却されており、温度が閾値温度Tsよりも低くなるためである。調整剤は均一な方法で大量に沈殿し、それによって混合物の粘度が非常に大きく増加し、粘度閾値Vsを上回る。次に、異なる粒状要素が実質的に即座に捕捉され、固化条件の自由度がはるかに高くなる。
図1
図2
【外国語明細書】