IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-61670光酸発生剤を有するポリマー組成物及びフォトレジスト
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061670
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光酸発生剤を有するポリマー組成物及びフォトレジスト
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/14 20060101AFI20240425BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240425BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C08F212/14
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180660
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】17/970,130
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチアン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】チウ ダイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル トーマス シーハン
(72)【発明者】
【氏名】ムラリ ガンス ゼイヴァナヤガム
【テーマコード(参考)】
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AF24P
2H225AF44P
2H225AF48P
2H225AF99P
2H225AH12
2H225AH17
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ42
2H225AJ44
2H225AJ48
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN67P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
4J100AB07P
4J100AB07Q
4J100AB07R
4J100AL03R
4J100AL03S
4J100AL04R
4J100AL04S
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100BA02R
4J100BA03P
4J100BA03R
4J100BA04R
4J100BA06R
4J100BA11S
4J100BA15Q
4J100BA15S
4J100BA22R
4J100BA56Q
4J100BB07S
4J100BB12Q
4J100BB18S
4J100BC02R
4J100BC03R
4J100BC04R
4J100BC08S
4J100BC09R
4J100BC12R
4J100BC12S
4J100BC43R
4J100BC43S
4J100BC53R
4J100BC53S
4J100BC60S
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA28
4J100DA61
4J100JA37
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】 光酸発生剤を有するポリマー組成物及びフォトレジストを提供する。
【解決手段】 第1の態様では、ポリマー組成物は、0.5~99モル%のヒドロキシスチレン繰り返し単位と、0.5~99モル%のスルホン化光酸発生剤繰り返し単位と、0.5~99モル%の酸に不安定な繰り返し単位とを含む。第2の態様では、フォトレジスト組成物は第1の態様のポリマー組成物を含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A):
【化1】
を有するヒドロキシスチレン繰り返し単位0.5~99モル%と、
式(B):
【化2】
を有するスルホン化光酸発生剤繰り返し単位0.5~99モル%と、
式(C):
【化3】
を有する酸に不安定な繰り返し単位0.5~99モル%と、
を含有するポリマー組成物
(式中、
、R、及びRのそれぞれは、独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し;
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し、mは1~4の範囲の整数を表し、mが2以上の場合には、各Rは、独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し;
及びQのそれぞれは、独立して、水素原子、フッ素原子、又は1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し、nは0~4の範囲の整数を表し、nが2以上の場合には、Q及びQのそれぞれは、独立して水素原子、フッ素原子、又は1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し;
は、単結合を表すか、又は1~20個の炭素原子を有する二価の飽和炭化水素基を表し、前記二価の飽和炭化水素基中の1つ以上のメチレン基は、酸素、硫黄、カルボニル基、又はスルホニル基で置き換えられており;
は有機カチオンを表し;
は、酸に不安定な基を含む有機基を表す)。
【請求項2】
前記式(A)を有する前記ヒドロキシスチレン繰り返し単位が4-ヒドロキシスチレンから誘導される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記式(B)を有する前記スルホン化光酸発生剤繰り返し単位が、
【化4】
で与えられる、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
の前記有機カチオンが、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記式(C)を有する前記酸に不安定な繰り返し単位が、側鎖に酸に不安定な基を有するアクリレートから、又は側鎖に酸に不安定な基を有するメタクリレートから誘導される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
酸に不安定な基を含まない式(D)を有する繰り返し単位:
【化5】
(式中、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し;
は酸に不安定な基を含まない有機基を表す)
を更に0~98.5モル%含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
酸に不安定な基を含まない前記式(D)を有する前記繰り返し単位が、スチレン、アクリレート、又はメタクリレートから誘導される、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のポリマー組成物を含むフォトレジスト組成物。
【請求項9】
EUVフォトレジスト又はKrFフォトレジストである、請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、光酸発生剤を含有するポリマー組成物及びフォトレジストである。
【背景技術】
【0002】
半導体産業における集積回路製造に広く使用されている化学増幅型レジスト(CAR)は、主に光酸発生剤(PAG)とポリマーとからなる。フォトレジストが露光されると、PAGから生成した酸が触媒反応を引き起こし、露光領域のポリマーを塩基性水溶液である現像液に溶けやすくすることができる。その結果、シリコン基板をパターニングすることで、望まれるフィーチャを備えた集積回路を形成することができる。従来のポリマーブレンドのフォトレジストは、大きいテクノロジーノード(すなわちArF及びKrFのプロセスなどの大きな限界寸法)でのチップ製造にはうまく機能するものの、フィーチャサイズが微細化し続けるのに伴い、優れたリソグラフィー性能(例えば高い解像度、低い線幅粗さ(LWR)又は線端粗さ(LER)、及び高い感度)を維持しながら、より小さいテクノロジーノード(10nm以下などのより小さい限界寸法)の集積回路を製造するための新しい技術が必要とされている。メーカーは、これらのニーズに対応するために極端紫外線(EUV)フォトレジストに注目し始めている。
【0003】
従来のポリマーブレンドのフォトレジストでは、イオン性のPAGはポリマーマトリックス中で微小凝集体を容易に形成し得る。これらの凝集体の形成は、フォトレジストを不均一にし、それにより、パターニング時の欠陥の形成及び高いLWR、並びにその他の多くの問題を引き起こす。PAGが結合したポリマーでは、ポリマー主鎖に共有結合したPAG分子がポリマーマトリックス内でより均一に分布し、リソグラフィー性能を更に向上させることができる(例えば(非特許文献1)を参照のこと)。ポリマー主鎖は、PAG部位の微小凝集体の形成を阻害する。したがって、PAGが結合したポリマーは新世代のEUVフォトレジストに非常に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,087,772号明細書
【特許文献2】米国特許第6,759,483B2号明細書
【特許文献3】米国特許第6,864,324B2号明細書
【特許文献4】米国特許第7,312,281B2号明細書
【特許文献5】米国特許第6,414,110B1号明細書
【特許文献6】米国特許第6,593,431B2号明細書
【特許文献7】米国特許第6,787,661B2号明細書
【特許文献8】米国特許第7,148,320B2号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M.Thiyagarajan et al.,“Improved Lithographic Performance for EUV Resists Based on Polymer having a Photoacid Generator(PAG)in the Backbone,”J.Photopolym.Sci.Technol.,Vol.18,No.6,2005
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、ポリマー組成物は、
式(A):
【0007】
【化1】
【0008】
を有するヒドロキシスチレン繰り返し単位0.5~99モル%と、
式(B):
【0009】
【化2】
【0010】
を有するスルホン化光酸発生剤繰り返し単位0.5~99モル%と、
式(C):
【0011】
【化3】
【0012】
を有する酸に不安定な繰り返し単位0.5~99モル%と、
を含有し、
これらの式中、
、R、及びRのそれぞれは、独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し;
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し、mは1~4の範囲の整数を表し、mが2以上の場合には、各Rは、独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し;
及びQのそれぞれは、独立して、水素原子、フッ素原子、又は1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し、nは0~4の範囲の整数を表し、nが2以上の場合には、Q及びQのそれぞれは、独立して水素原子、フッ素原子、又は1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し;
は、単結合を表すか、又は1~20個の炭素原子を有する二価の飽和炭化水素基を表し、二価の飽和炭化水素基中の1つ以上のメチレン基は、酸素、硫黄、カルボニル基、又はスルホニル基で置き換えられており;
は有機カチオンを表し;
は、酸に不安定な基を含む有機基を表す。
【0013】
第2の態様では、フォトレジスト組成物は、第1の態様のポリマー組成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載されるものと同様の又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、適切な方法及び材料は、本明細書に記載される。
【0015】
量、濃度、又は他の値又はパラメーターが、範囲、好ましい範囲又は上方の好ましい値及び下方の好ましい値のリストのいずれかとして示される場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は好ましい値と、任意の下限範囲又は好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示していると理解されるべきである。ある範囲の数値が本明細書において列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、その終点並びにその範囲内の全ての整数及び分数を含むことを意図する。本発明の範囲は、範囲を明確にする場合に列挙された具体的な値に限定されることを意図しない。
【0016】
特定のポリマーを記載するとき、それらを製造するために使用されるモノマー又はそれらを製造するために使用されるモノマーの量により、本出願人らは、ポリマーに言及する場合があることが理解されるべきである。このような記載は、最終的なポリマーを記述するために用いられる特定の命名法を含まなくてもよいか、又はプロダクトバイプロセス用語を含まなくてもよいが、モノマー及び量へのいかなるこのような言及も、ポリマーがそれらのモノマー又はその量のモノマーから製造されていること並びに対応するポリマー及びそれらの組成を意味すると解釈されるべきである。
【0017】
本明細書での材料、方法及び実施例は、例示的であるにすぎず、具体的に述べられる場合を除き、限定的であることを意図しない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」という用語又はそれらのいかなる他の変形も非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含む方法、プロセス、物品又は装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確に列挙されていないか、又はこのような方法、プロセス、物品又は装置に固有の他の要素を含み得る。更に、明確にそれとは反対を述べられない限り、「又は」は、包括的な又はを意味し、排他的な又はを意味しない。例えば、条件A又はBは、下記のいずれか1つによって満たされる:Aは、真であり(又は存在し)、及びBは、偽であり(又は存在しない)、Aは、偽であり(又は存在せず)、及びBは、真であり(又は存在する)、並びにA及びBは、両方とも真である(又は存在する)。
【0019】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用も本発明の要素及び成分を記載するために用いられる。これは、便宜上及び本発明の一般的な意味を示すために行われるにすぎない。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、複数形も包含する。
【0020】
第1、第2、第3等の用語は、様々な要素、成分、領域、層及び/又は区域を記載するために本明細書で用いられ得るが、これらの要素、成分、領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層及び/又は区域を、別の要素、成分、領域、層及び/又は区域から区別するために用いられるにすぎない。したがって、第1の要素、成分、領域、層及び/又は区域は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、成分、領域、層及び/又は区域と称されることができよう。同様に、「最上部」及び「底部」という用語は、互いに対してであるにすぎない。要素、成分又は層等が逆にされる場合、逆にされる前に「底部」であったものが逆にされた後に「最上部」であろうこと及び逆も同様であることが十分に理解されるであろう。要素が別の要素の「上に」ある又は「上に配置」されていると言われる場合、それは、物体部分の上又は下に位置していることを意味するが、重力方向に基づく物体部分の上側に位置することを本質的に意味せず、それは、他の要素の直接上にあり得るか、又は介在要素がその間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「上に直接」ある又は「上に直接配置」されていると言われる場合、介在要素は存在しない。
【0021】
更に、1つの要素、成分、領域、層及び/又は区域が2つの要素、成分、領域、層及び/又は区域「間」にあると言われる場合、それは、2つの要素、成分、領域、層及び/若しくは区域間の唯一の要素、成分、領域、層及び/若しくは区域であり得るか、又は1つ以上の介在する要素、成分、領域、層及び/若しくは区域も存在し得ることも理解されるであろう。
【0022】
ヒドロキシスチレン繰り返し単位
一実施形態では、ヒドロキシスチレン繰り返し単位は、式(A):
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し;
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し、mは1~4の範囲の整数を表し、mが2以上の場合には、各Rは、独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し;
aは0.5~99モル%の範囲である)
を有する。
【0025】
一実施形態では、R及びRのアルキル基は、それぞれ個別に、直鎖であっても分岐していてもよく、またメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びオクチル基など、1~8個の炭素を有することができる。特定の実施形態では、アルキル基は、メチル基、イソプロピル基、又はtert-ブチル基であってよい。
【0026】
一実施形態では、Rのシクロアルキル基は、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基など、3~10個の炭素を有する一価のシクロアルキル基であってよい。特定の実施形態では、シクロアルキル基はシクロペンチル基又はシクロヘキシル基であってよい。
【0027】
一実施形態では、Rのアルコキシカルボニル基は、直鎖であっても分岐していてもよく、また2~11個の炭素を有することができ、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、2-メチルプロポキシカルボニル基、1-メチルプロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、及びn-デシルオキシカルボニル基であってよい。特定の実施形態では、アルコキシカルボニル基は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、又はn-ブトキシカルボニル基であってよい。
【0028】
一実施形態では、Rのアルコキシ基は、直鎖であっても分岐していてもよく、また2~11個の炭素を有することができ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基、1-メチルプロポキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、及びn-デシルオキシ基であってよい。特定の実施形態では、アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、又はn-ブトキシ基であってよい。
【0029】
一実施形態では、ヒドロキシスチレン繰り返し単位は、4-ヒドロキシスチレン(HSM)、3-メチル-4-ヒドロキシスチレン、又はα-メチル-4-ヒドロキシスチレンから誘導することができる。
【0030】
一実施形態では、4-ヒドロキシスチレンモノマーは、4-アセトキシスチレンモノマー(ASM)から調製することができる。(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、及び(特許文献4)には、ヒドロキシスチレンモノマー及びヒドロキシスチレン含有コポリマーを製造するための有用な方法が記載されており、これらはその全体が参照により組み込まれる。(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)、及び(特許文献8)には、ヒドロキシスチレンモノマーを更に精製するための有用な方法が記載されており、これらはその全体が参照により組み込まれる。
【0031】
光酸発生剤繰り返し単位
一実施形態では、スルホン化光酸発生剤繰り返し単位は、式(B):
【0032】
【化5】
【0033】
(式中、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し;
は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位のRについて上に記載したものと同じであり;
及びQのそれぞれは、独立して、水素原子、フッ素原子、又は1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し、nは0~4の範囲の整数を表し、nが2以上の場合には、Q及びQのそれぞれは、独立して水素原子、フッ素原子、又は1~4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し;
は、単結合を表すか、又は1~20個の炭素原子を有する二価の飽和炭化水素基を表し、二価の飽和炭化水素基中の1つ以上のメチレン基は、酸素、硫黄、カルボニル基、又はスルホニル基で置き換えられており;
は有機カチオンを表し;
bは0.5~99モル%の範囲である)
を有する。
【0034】
一実施形態では、Rのアルキル基は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位のR及びRについて上に記載した基のいずれかであってよい。
【0035】
一実施形態では、Rのシクロアルキル基又はアルコキシカルボニル基は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位のRについて上に記載した基のいずれかであってよい。
【0036】
一実施形態では、有機カチオンはスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンを含み得る。
【0037】
一実施形態では、スルホニウムカチオンとしては、
【0038】
【化6】
【0039】
を挙げることができる。
【0040】
一実施形態では、ヨードニウムカチオンとしては、
【0041】
【化7】
【0042】
を挙げることができる。
【0043】
一実施形態では、式(B)を有するスルホン化光酸発生剤繰り返し単位は、
【0044】
【化8】
【0045】
で与えられる。
【0046】
特定の実施形態では、式(B)を有するスルホン化光酸発生剤繰り返し単位は、
【0047】
【化9】
【0048】
で与えられる。
【0049】
より具体的な実施形態では、式(B)を有するスルホン化光酸発生剤繰り返し単位は、
【0050】
【化10】
【0051】
で与えられる。
【0052】
酸に不安定な基を有するモノマー
一実施形態では、酸に不安定な繰り返し単位は、式(C):
【0053】
【化11】
【0054】
(式中、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し、
は、酸に不安定な基を含む有機基を表す)
を有する。
【0055】
一実施形態では、Rのアルキル基、シクロアルキル基、又はアルコキシカルボニル基は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位のRについて上に記載した基のいずれかであってよい。
【0056】
一実施形態では、Gの酸に不安定な基は、酸素原子に直接結合した三級炭素原子を有する三級炭素官能基、又はアセタール官能基であってよい。一実施形態では、酸に不安定な繰り返し単位(C)は、側鎖に酸に不安定な基を有するアクリレートモノマー、又は側鎖に酸に不安定な基を有するメタクリレートモノマーから誘導することができる。酸に不安定な基を有するアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーの例としては、
【0057】
【化12】
【0058】
を挙げることができる。
【0059】
一実施形態では、式(C)を有する酸に不安定な繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン誘導体モノマーから誘導することができ、それらとしては、
【0060】
【化13】
【0061】
を挙げることができる。
【0062】
当業者は、ポリマー組成物中の酸に不安定な繰り返し単位が、酸に不安定な基を有する多様なモノマーから誘導され得ることを理解している。
【0063】
追加のモノマー
一実施形態では、酸に不安定な基を含まない追加の繰り返し単位は、式(D):
【0064】
【化14】
【0065】
(式中、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表し;
は酸に不安定な基を含まない有機基を表す)
を有する。
【0066】
一実施形態では、Rのアルキル基、シクロアルキル基、又はアルコキシカルボニル基は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位のR及びRについて上に記載した基のいずれかであってよい。
【0067】
一実施形態では、酸に不安定な基を含まない式(D)を有する追加の繰り返し単位は、以下を含むアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマーから誘導することができる:
【0068】
【化15】
【0069】
一実施形態では、式(D)を有する酸に不安定な基を含まない追加の繰り返し単位は、以下を含むスチレンモノマーから誘導することができる:
【0070】
【化16】
【0071】
当業者は、ポリマー組成物中に酸に不安定な基を含まない追加の繰り返し単位が含まれる場合、追加の繰り返し単位が幅広い範囲のモノマーから誘導され得ることを理解している。
【0072】
ポリマー組成物
典型的には、PAG結合ポリマーの合成は、ラジカル開始重合反応を使用してPAGモノマーと他のモノマーとを直接共重合することを含む。高品質で純粋なPHS含有PAG結合ポリマーを製造するために、フェノールヒドロキシの位置にアセチル又はtert-ブチルなどの保護基を含むヒドロキシスチレンが共重合に使用され、続いて酸又は塩基により触媒される脱保護反応が行われることで、PHS含有PAG結合ポリマーが生成される。PAG結合ポリマーはその構造内に酸と塩基の両方に対して不安定な基を含むため、酸又は塩基により触媒される脱保護反応により、これらの酸及び塩基に対して不安定な基が分解される。したがって、目的とするPAG結合ポリマーは、共重合/脱保護合成アプローチを使用して製造することが非常に困難な場合がある。
【0073】
本発明のポリマー組成物は、PAGモノマーと他のモノマーとの間の連鎖成長重合、又はコポリマー若しくはターポリマーの官能化のいずれかによって合成することができる。一実施形態では、より均一に分布したPAG部位を有するPAG結合ポリマーを生成するために、コポリマー又はターポリマーの官能化が使用される。
【0074】
本発明におけるPHS含有ベースコポリマー又はターポリマーのPAGモノマーによる官能化により、直接共重合の課題が克服され、PHS含有PAG結合ポリマーの合成が商業的に実行可能になる。更に、ポリマーの官能化によるアプローチは、PAG部位が、従来の直接共重合によるアプローチを使用する際にみられるよりもポリマー主鎖に沿ってより均一に分布した、より均一なPAG結合ポリマーを生成することができる。嵩高いPAG部位を含むPAGモノマーは、共重合反応において他の小さいモノマーよりもはるかにゆっくりと反応するため、最終的なPAG結合ポリマー中のPAG部位があまり均一でない分布になる(すなわち、共重合の開始時に形成されるポリマー鎖の中に非常に少数のPAGモノマーが組み込まれ、共重合の終了時に形成されるポリマー鎖の中にはるかに多くの数のPAGモノマーが組み込まれる)。ポリマー主鎖内にPAG部位がより均一に分布しているPAG結合ポリマーは、より小さい線幅粗さ(LWR)及び線端粗さ(LER)など、優れたリソグラフィー性能を有することができる。
【0075】
一実施形態では、ポリマー組成物は連鎖成長重合によって合成することができ、その場合のポリマー鎖の成長は、各成長段階の終了時に活性部位を再生しながら、モノマーとポリマー鎖上の活性部位との間の反応によってもっぱら進行する。開始剤は、モノマーと反応して重合の開始を誘発するために必要とされる。開始剤は、フリーラジカル、カチオン、アニオン、又は有機金属錯体それ自体、或いは熱分解又は他の化学反応によって上記反応種を生成することができる安定な前駆体とすることができる。一実施形態では、ラジカル開始連鎖成長重合が使用される。例えば、典型的なベースポリマーであるPHS-MCPMAは、アセトキシスチレンモノマー(ASM)とメチルシクロペンチルメタクリレート(MCPMA)モノマーの共重合、及びそれに続くアセチル基の塩基触媒によるメタノリシス脱保護によって調製することができ((特許文献2)に記載)、これはスキーム1に示されている。
【0076】
【化17】
【0077】
一実施形態では、PAG結合ポリマーは、スキーム2に示すラジカル開始連鎖成長重合を使用して、PAGモノマーであるスルホニウム,トリフェニル-2,2-ジフルオロ-2-スルホアセテート(1:1)、CAS番号942619-42-3と、スキーム1のPHS-MCPMAとから出発して合成することができる。
【0078】
【化18】
【0079】
一実施形態では、ポリマー組成物は、主にランダムなコポリマー又はターポリマーであってよい。いくつかの実施形態では、ランダムコポリマー及びターポリマーは、PAGモノマーとのポリマー官能化反応を介して、それらの主鎖中により均一に分布したPAG部位を有するPAG結合ポリマーを生成することができる。
【0080】
一実施形態では、PAG結合ポリマー組成物は、3つ又は4つの異なる繰り返し単位を含む。ヒドロキシスチレン繰り返し単位(A)は、基板との接着性、エッチング耐性、及びEUV透過性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、スルホン化光酸発生剤繰り返し単位(B)は、LERを減少させること、LWRを減少させること、アウトガスを減少させること、酸の均一性を改善すること、又はフォトスピードを増加させることなどによって、KrF又はEUVフォトレジストのリソグラフィー性能を向上させることができる。酸に不安定な繰り返し単位(C)は、酸触媒による脱保護反応による極性変化によって生じる溶解スイッチを提供することができる。一実施形態では、スルホン化光酸発生剤繰り返し単位(B)は、酸を生成して、酸に不安定性な繰り返し単位(C)における脱保護反応を触媒することができる。PAG結合ポリマーをフォトレジスト用途により適したものにする目的で、基板への接着性を改善し、親水性又は疎水性を変化させ、光増感を高め、エッチング耐性を改善するために、場合によっては酸に不安定な基を持たない繰り返し単位(D)を組み込むことができる。
【0081】
フォトレジスト組成物
一実施形態では、ベース樹脂としてPAG結合ポリマー組成物を含むフォトレジスト組成物はポジ型であり、化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物として特に有用である。具体的には、化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物は、PAG結合ポリマー組成物、失活剤、及び有機溶媒を含むことができる。一実施形態では、クエンチャーは有機塩基性化合物であってよい。そのような塩基性化合物としては、一級、二級、三級脂肪族アミン、一級、二級、三級アミンを含む混合脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、並びにヒドロキシ基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、カルボン酸基、又はシアノ基などの様々な官能基を有する窒素含有化合物が挙げられる。塩基性化合物の他の例としては、アミド誘導体、イミド誘導体、及びカルバメート誘導体が挙げられる。塩基性化合物を使用することは、レジスト膜内で形成された光酸の拡散速度を抑制すること、及びパターンのプロファイルを改善することに役立ち得る。一実施形態では、クエンチャーは、α-炭素位にフッ素置換基を有さないスルホン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、若しくはアンモニウム塩などのオニウム塩、又はカルボン酸の同様のオニウム塩であってよい。α-フッ素化スルホン酸、イミド酸、及びメチド酸は、カルボン酸エステルの酸に不安定な基を脱保護できる有機超酸である。しかしながら、α-非フッ素化スルホン酸及びカルボン酸のイオニウム塩の存在下では、リソグラフィープロセスにおける光化学反応によって生成するこれらの有機超酸は、超酸とα-非フッ素化オニウム塩との交換反応によって失活する。したがって、α-非フッ素化スルホン酸とカルボン酸のイオニウム塩がクエンチャーとして機能し、これがレジスト膜中で発生する光酸の拡散速度を抑制することにより酸拡散抑制効果を発揮することができ、それによってパターンプロファイルを改善することができる。一実施形態では、クエンチャーは、PAG結合ポリマー組成物100重量部あたり最大5重量部、又は最大2重量部の量で存在する。クエンチャーは、単独で使用されても、混合して使用されてもよい。
【0082】
一実施形態では、有機溶媒を使用して、化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物を配合することができる。有機溶媒は、典型的には、フォトレジスト成分を溶解してフォトレジストを分注及びコーティングに適したものにするために使用される。使用される有機溶媒は、PAG結合ポリマー組成物、クエンチャー、及びその他の添加剤がそれらの中に溶解できる限り、特に限定されない。例示的な有機溶媒としては、アニソール;3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、及びジアセトンアルコール(DAA)などのアルコール;シクロヘキサノン、シクロペンタノン、及び2-ヘプタノンなどのケトン;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル(EL)、酢酸ブチル、及びメチル3-メトキシプロピオネートなどのエステル;並びにγ-ブチロラクトン(GBL)などのラクトンが挙げられる。有機溶媒は、単独で使用されても、混合して使用されてもよい。一実施形態では、有機溶媒は、PAG結合ポリマー100重量部あたり100~20,000重量部、又は200~10,000重量部の範囲で存在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、フォトレジストの性能を高めるために追加の成分又は添加剤が使用される。一実施形態では、添加剤には、界面活性剤、溶解抑制剤、及び撥水性向上剤が含まれる。一実施形態では、添加剤は、PAG結合ポリマー100重量部あたり0~20重量部、又は0.5~10重量部の範囲で存在する。添加剤は、化学増幅ポジ型フォトレジスト組成物を配合するために、単独で使用することができ、或いは任意の望みの組み合わせでブレンドして使用することができる。
【0084】
一実施形態では、PAG結合ポリマー組成物を含むフォトレジスト組成物は、化学増幅ネガ型レジスト組成物である。
【0085】
一実施形態では、PAG結合ポリマー組成物を含むフォトレジスト組成物は、EUVフォトレジストであってよい。一実施形態では、PAG結合ポリマー組成物を含むフォトレジスト組成物は、KrFフォトレジストであってよい。
【0086】
一実施形態では、ベース樹脂としてPAG結合ポリマー組成物を含有するフォトレジスト組成物は、PAGブレンドポリマー組成物を有するフォトレジスト組成物と比較して、フォトレジストマトリックス中により均一に分布したPAG部位を有する。PAG結合組成物は、LERとLWRを減少させ、PAGのアウトガスを抑制し、フォトスピードを向上させるために役立ち得る。
【0087】
本発明の有利な特性は、本発明を例示するが、それを限定しない以下の実施例を参照することによって見ることができる。全ての部及び百分率は、特に明記しない限り、重量による。
【実施例0088】
試験方法
ポリマーの特性評価
ポリマー組成物(PHS含有ベースコポリマーとPAG結合ポリマーの両方)は、400MHzのNMR分光計(Bruker Ascend(商標)400、Bruker Corp.,Billerica,MA)で定量的13C及び/又は19F NMRを使用して特性評価した。異なる炭素シグナルをより正確に積分するために、逆ゲートデカップリング(IGD)パルスシーケンス(pulse zgig)を使用して13Cスペクトルを取得した。また、NMRサンプルを調製する際に、緩和試薬Cr(acac)も使用して不要な核オーバーハウザー効果(NOE)と縦緩和時間(T1)を最小限に抑えることで、炭素シグナルの積分がより正確になり、スペクトル取得時間がより短縮されるようにした。ポリマーの組成は、異なる繰り返し単位由来の炭素シグナルの相対積分数を比較することによって得た。19Fスペクトルは、zg30パルスシーケンスを使用して取得した。19F NMRは13C NMRよりもはるかに感度が高いため、19F NMRはフッ素含有ポリマー構造の特性評価の他に、反応やプロセスを監視するためにも使用した。全てのポリマーの質量分子量(M)及び多分散度(PD、M/M)は、フォトダイオードアレイ(PDA)と屈折率(RI)計とを備えたGPC装置(ACQUITY(商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)System,Waters Corp.,Milford,MA)で取得した。移動相及び流量は、それぞれ40mMのLiClを含むDMAc、0.5mL/分であった。利用したカラムは、ガードカラムと直列の2本のPLgel 5μm Mixed-D 300×7.5mmカラムであった。サンプルは100mMのLiClを含むDMAcに溶解し、装置はAPC PMMAの中分子量範囲の標準で校正した。MWの計算に使用した検出器はRI検出器であった、
【0089】
ポリマー1
ポリマー1(P1)については、4-ヒドロキシスチレンモノマー(HSM)と、スルホン化光酸発生剤(PAG)モノマーであるPAG1と、酸に不安定なモノマーであるメチルシクロペンチルメタクリレート(MCPMA)とから誘導されたポリマーを合成した。100mlのフラスコに、6.14gのスルホニウム,トリフェニル-2,2-ジフルオロ-2-スルホアセテート(1:1)、CAS番号942619-42-3(PAG1)と、30gのクロロホルムとを入れ、続いて2.30gの1,1’-カルボニルジ(1H-イミダゾール)、CAS番号530-62-1(CDI、SynQuest Labs,Inc.)をゆっくりと添加した。混合物を加熱浴中で60±2℃で2時間撹拌した。フラスコを加熱浴から取り出し、溶液を室温まで放冷した。
【0090】
300mlのフラスコに、20gのPHS-MCPMA及び20gのTHFを入れた。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、透明で粘稠な溶液を形成した。氷水浴を使用して溶液を2~4℃まで冷却した。この溶液に、上のPAG含有溶液を5分間かけて滴下した。冷浴を外し、混合溶液を室温に温まるまで放置した。次いで、溶液を周囲温度で18時間撹拌した。ポリマーをヘプタンと脱イオン水との混合物中で2回析出させた。ポリマーを濾過し、50℃の高真空オーブン中で24時間乾燥することで、18.4g(収率:90%)のPAG結合ポリマー(P1)を得た。各繰り返し単位(ヒドロキシスチレン(A)、スルホン化PAG(B)、及び酸に不安定(C))の比は、定量的13C NMRにより37.2:3.3:59.5であると決定された。移動相としてDMAcを使用したGPC分析からは、重量平均分子量(M)が19,600であり、多分散度(PD、M/M)が1.33であることが判明した。
【0091】
ポリマー2~16
ポリマー2~16(P2~P16)は、P1と同じアプローチを使用し、同じヒドロキシスチレン及びスルホン化PAG(PAG1)を使用するが、それぞれの量を変更し、酸に不安定なモノマーの量及び種類を変更して、同様に合成した。更に、ポリマーP9及びP16の合成には、酸に不安定な基を含まない追加のモノマーが含まれる。P1~P16の組成(モル比)、重量平均分子量(M)、及び多分散度(PD、M/M)は表1に示されている。繰り返し単位は、対応する異性体モノマーを使用して説明される。HSMは4-ヒドロキシスチレンモノマーを指し、MCPMAはメチルシクロペンチルメタクリレートを指し、TBAはtert-ブチルアクリレートを指し、STYはスチレンを指し、EAMAは2-エチル-2-アダマンチルメタクリレートを指し、TBMAはtert-ブチルメタクリレートを指し、BzMAはベンジルメタクリレートを指す。
【0092】
【表1】
【0093】
フォトレジスト1~4
フォトレジスト1~4(R1~R4)については、表2に示す組成(質量部)を有するフォトレジスト配合物を調製した。R1及びR3は、それぞれ上記スルホン化PAG結合ポリマーP6及びP8を使用した。R2及びR4については、PAG、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(TPS-Nf)をPHS-MCPMAコポリマーとブレンドした。全てのフォトレジスト配合物で同じクエンチャー(乳酸テトラブチルアンモニウム、TBAL)及び溶媒(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、PGMEA、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、PGME)を使用した。R1は、PAGブレンドR2とほぼ同じモル量のPAGを有し、R3は、PAGブレンドR4とほぼ同じモル量のPAGを有する。
【0094】
【表2】
【0095】
実施例1及び2並びに比較例1及び2
実施例1及び2(E1~E2)並びに比較例1及び2(CE1~CE2)では、フォトレジスト組成物R1~R4を、下層を含む基板上にスピンコートし、120℃で60秒間のソフトベーク条件で、40~42nmの範囲の厚さを有するレジスト膜を形成した。これらの基板に対し、EUV干渉リソグラフィー露光ツールと、線幅50、40、30、及び22nmのマスクとを使用して、パターン露光を行った。露光後、基板に対して120℃で90秒間露光後ベーク(PEB)を行い、TMAH(0.26N)を使用してアルカリ現像して、緻密なラインアンドスペース(L/S)パターンを現像し、その後脱イオン水ですすぎ洗いした。コントラスト曲線上の3つの最小データ点を平均することによって各レジストの感度を評価するために、透明になるまでの最適な露光量(E、mJ/cm)を決定した。露光量裕度(EL、%)は、次の式に従って、線幅50nm±10%(45nm~55nm)の緻密なL/Sパターンを与える露光量から決定した:
露光量裕度(%)=(|E-E|/Eop)×100
は、線幅45nm、ピッチ100nmのL/Sパターンを与える露光量であり、Eは、線幅55nm、ピッチ100nmのL/Sパターンを与える露光量であり、Eopは、線幅50nm、ピッチ100nmのL/Sパターンを与えるサイズに対する露光量である。
【0096】
線幅粗さ(LWR)及び線端粗さ(LER)は、L/Sパターンフィーチャの走査型電子顕微鏡(SEM)測定(4KeV/30μm/倍率200k,Supra VP55,Carl Zeiss AG,Germany)を使用することによって決定した。顕微鏡写真を使用し、Summit分析ソフトウェアを用いて限界寸法(CD)、LER、及びLWRを計算した。得られた標準偏差(σ)に3を掛けて(3σ)、LWR又はLERと定義した。ダークロスは、露光なしでのフィルムの厚さの少量の減少を意味する。Esizeは、線幅40nmの1:1のL/Sパターンを与え、且つ表3に示す対応するLWR及びLER値を生成する露光量であり、ツール係数に基づいて校正した。
【0097】
表3の結果は、本発明のフォトレジスト組成物が、アルカリ現像によるポジパターンにおいて、感度、LER、及びLWRなどの有利なリソグラフィー性能、並びに露光量裕度(EL)などの同等のリソグラフィー性能を有することを示している。高いPAG含有量のCE2のみが、完全なパターン崩壊を示し、ダークロスさえも示した。他の3つのフォトレジストはパターニング可能であり、ダークロスも示さなかった。これらは、本発明のPAG結合ポリマーが、対応するPAGブレンドフォトレジストよりも優れたリソグラフィー性能を示すことを示唆している。
【0098】
【表3】
【外国語明細書】