(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061671
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車検装置およびコンピュータに実行させるためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240425BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240425BHJP
【FI】
G01M17/007 H
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180665
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2022168038
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517422744
【氏名又は名称】株式会社ジンオート
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】原黄 元植
(72)【発明者】
【氏名】原黄 紳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】車検の作業効率を向上可能な車検装置を提供する。
【解決手段】車検装置10は、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像と、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像とを撮影する撮影手段(カメラ4)と、第1の点検箇所における部品を示す第1の画像に基づいて画像認識によって第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を入力情報を用いて診断する診断手段5と、診断手段5による診断結果および整備士による点検結果に基づいて車検の見積書を作成するとともに、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する作成手段6と、車検についての質問を受けると、車検についての質問に対する回答を出力する応答手段7とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、車検の申込と、車検についての質問と、車検の開始を指示する指示書とを顧客の端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が前記車検の申込を受信すると、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像と、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像とを撮影する撮影手段と、
前記車検における点検箇所のうちの前記第1の点検箇所以外の第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果と、前記第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である入力情報と、車検における整備士による車両の整備作業が完了したことを示す整備作業の完了とを受け付ける受付手段と、
前記受信手段が前記車検の申込を受信すると、前記車検の申込を表示し、前記受信手段が前記指示書を受信すると、前記指示書を表示する表示手段と、
前記第1の画像を前記撮影手段から受けると、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を前記受付手段によって受け付けられた前記入力情報を用いて診断する診断手段と、
前記診断手段による診断結果を前記診断手段から受け、かつ、前記整備士による点検結果を前記受付手段から受けると、前記診断結果および前記点検結果に基づいて車検の見積書を作成し、前記整備作業の完了を前記受付手段から受けると、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する作成手段と、
前記車検についての質問を前記受信手段から受けると、前記車検についての質問に対する回答を出力する応答手段と、
前記車検の見積書を前記作成手段から受け、かつ、前記第1および第2の画像を前記撮影手段から受けると、ネットワークを介して、前記車検の見積書と前記第1および第2の画像とを前記顧客の端末装置へ送信し、前記車検についての質問に対する回答を前記応答手段から受けると、ネットワークを介して、前記車検についての質問に対する回答を前記顧客の端末装置へ送信し、前記車検の完了報告を前記作成手段から受けると、ネットワークを介して、前記車検の完了報告を顧客の端末装置へ送信する送信手段とを備える車検装置。
【請求項2】
前記診断手段は、車検の法定項目における部品を診断する、請求項1に記載の車検装置。
【請求項3】
前記診断手段は、前記第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法がある第1の部品については、前記熟練整備士による点検方法に従って前記第1の部品を診断する、請求項2に記載の車検装置。
【請求項4】
前記診断手段は、前記第1の部品がタイヤであるとき、前記入力情報としてタイヤの新品時から車検時までの車両の走行距離を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記タイヤを認識し、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記車両の走行距離がタイヤを交換すべき走行距離よりも短くても、前記画像認識によって認識したタイヤを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する、請求項3に記載の車検装置。
【請求項5】
前記診断手段は、前記タイヤの摩耗および前記タイヤのゴムの劣化がないと判定したとき、更に、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測し、その予測した走行距離が前記タイヤを交換すべき走行距離以上であると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する、請求項4に記載の車検装置。
【請求項6】
1年当たりの走行距離が20000km以上である走行、または1か月当たりの走行距離が10000km以上である走行をシビア走行としたとき、
前記診断手段は、前記第1の部品がバッテリであるとき、前記入力情報として車検時のバッテリのスタート容量および車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識し、その認識した車両の走行距離メータを参照して車検時の車両の走行距離を検出し、その検出した車検時の車両の走行距離と車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離とに基づいて車両の走行状況を取得し、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記スタート容量が、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていないことを表わす規準値よりも多くても、前記取得した車両の走行状況が前記シビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する、請求項3に記載の車検装置。
【請求項7】
前記診断手段は、前記第1の部品がエンジンオイルであるとき、前記入力情報として前回のオイル交換日時と、前記前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離とを前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記エンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識し、その認識したレベルゲージを参照してエンジンオイルの量が適量であると判定したとき、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離が前記エンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても、前記前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、前記エンジンオイルの交換が必要であると診断する、請求項3に記載の車検装置。
【請求項8】
前記診断手段は、前記第1の部品がオイルエレメントであるとき、前記入力情報として車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によってオイルパン(前記エンジンオイルを溜める容器)のオイルドレンボルト(前記オイルパンからオイルを抜くためのボルト)を認識し、点検を見落とし易い部品の点検忘れを防止する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記エンジンオイルの交換回数に基づいてオイルフィルタの交換要否を診断した場合でも、前記画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、前記オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断する、請求項3に記載の車検装置。
【請求項9】
前記診断手段は、前記第1の部品が冷却装置のベルトであるとき、前記入力情報として前記ベルトの新品時から車検時までの車両の走行距離を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記ベルトを認識し、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記車両の走行距離がベルト交換すべき走行距離未満であっても、前記画像認識によって認識したベルトを参照してベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、前記ベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、前記ベルトの交換が必要であると診断する、請求項3に記載の車検装置。
【請求項10】
前記診断手段は、前記第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法が無い第2の部品が車両の前輪のブレーキであるとき、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記前輪のブレーキ部分におけるパッドおよびローターを認識し、その認識したパッドを参照して前記パッドの内側と外側の減少量を観測するとともに前記画像認識によって認識したローターを参照して前記ローターの内側と外側の減少量を観測し、前記パッドの外側の減少量が前記パッドの内側の減少量よりも多くないと判定したとき、前記ローターが正常であると診断し、前記ローターの外側の方が内側よりも減少量が多くないと判定したとき、キャリパーが正常であると診断する、請求項2に記載の車検装置。
【請求項11】
前記応答手段は、質問と前記質問に対する回答とを対応付けた対応表を検索して、前記受信手段から受けた前記車検についての質問に対する回答を検出し、その検出した回答を前記送信手段へ出力する、請求項1に記載の車検装置。
【請求項12】
前記応答手段は、前記対応表を検索した結果、前記車検についての質問に対する回答を検出できなかったとき、車検場の整備士に連絡することを促すメッセージを前記質問に対する回答として前記送信手段へ出力する、請求項11に記載の車検装置。
【請求項13】
受信手段が、ネットワークを介して車検の申込を顧客の端末装置から受信する第1のステップと、
表示手段が、前記第1のステップにおいて受信された前記車検の申込を表示する第2のステップと、
撮影手段が、前記受信手段が前記第1のステップにおいて前記車検の申込を受信すると、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像とを撮影する第3のステップと、
受付手段が、前記第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である入力情報と、車検における点検箇所のうちの前記第1の点検箇所以外の点検箇所であって整備士による点検対象である第2の点検箇所における部品についての前記整備士による点検結果とを受け付ける第4のステップと、
診断手段が、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を前記第4のステップにおいて受け付けられた前記入力情報を用いて診断して診断結果を出力する第5のステップと、
作成手段が、前記第5のステップにおける診断結果と、前記受付手段が前記第4のステップにおいて受け付けた前記点検結果とに基づいて車検の見積書を作成する第6のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、前記車検の見積書と前記第1および第2の画像とを前記顧客の端末装置へ送信する第7のステップと、
前記受信手段が、前記第7のステップの後、ネットワークを介して、車検についての質問を前記顧客の端末装置から受信する第8のステップと、
応答手段が、前記車検についての質問に対する回答を出力する第9のステップと、
前記送信手段が、ネットワークを介して、前記第9のステップにおいて出力された回答を前記顧客の端末装置へ送信する第10のステップと、
前記受信手段が、前記第10のステップの後、ネットワークを介して、車検の開始を指示する指示書を前記顧客の端末装置から受信する第11のステップと、
前記表示手段が、前記受信手段が前記第11のステップにおいて受信した前記指示書を表示する第12のステップと、
前記撮影手段が、前記第11のステップの後、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像を撮影する第13のステップと、
前記受付手段が、前記第13のステップの後、車検における車両の整備作業の完了を受け付ける第14のステップと、
前記作成手段が、前記第14のステップにおいて受け付けられた前記車両の整備作業の完了に応じて、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する第15のステップと、
前記送信手段が、ネットワークを介して、前記第15のステップにおいて作成された前記車検の完了報告と前記第13のステップにおいて撮影された前記第3の画像とを前記顧客の端末装置へ送信する第16のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、車検の法定項目における部品を診断する、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法がある第1の部品については、前記熟練整備士による点検方法に従って前記第1の部品を診断する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の部品がタイヤであるとき、前記入力情報としてタイヤの新品時から車検時までの車両の走行距離を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記タイヤを認識し、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記車両の走行距離がタイヤを交換すべき走行距離よりも短くても、前記画像認識によって認識したタイヤを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記タイヤの摩耗および前記タイヤのゴムの劣化がないと判定したとき、更に、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測し、その予測した走行距離が前記タイヤを交換すべき走行距離以上であると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する、請求項16に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
1年当たりの走行距離が20000km以上である走行、または1か月当たりの走行距離が10000km以上である走行をシビア走行としたとき、
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の部品がバッテリであるとき、前記入力情報として車検時のバッテリのスタート容量および車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識し、その認識した車両の走行距離メータを参照して車検時の車両の走行距離を検出し、その検出した車検時の車両の走行距離と車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離とに基づいて車両の走行状況を取得し、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記スタート容量が、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていないことを表わす規準値よりも多くても、前記取得した車両の走行状況が前記シビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の部品がエンジンオイルであるとき、前記入力情報として前回のオイル交換日時と、前記前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離とを前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記エンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識し、その認識したレベルゲージを参照してエンジンオイルの量が適量であると判定したとき、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離が前記エンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても、前記前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、前記エンジンオイルの交換が必要であると診断する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の部品がオイルエレメントであるとき、前記入力情報として車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数を前記受信手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によってオイルパン(前記エンジンオイルを溜める容器)のオイルドレンボルト(前記オイルパンからオイルを抜くためのボルト)を認識し、点検を見落とし易い部品の点検忘れを防止する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記エンジンオイルの交換回数に基づいてオイルフィルタの交換要否を診断した場合でも、前記画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、前記オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の部品が冷却装置のベルトであるとき、前記入力情報として前記ベルトの新品時から車検時までの車両の走行距離を前記受付手段から受け、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記ベルトを認識し、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する前記熟練整備士による点検方法に従って、前記車両の走行距離がベルト交換すべき走行距離未満であっても、前記画像認識によって認識したベルトを参照してベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、前記ベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、前記ベルトの交換が必要であると診断する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項22】
前記診断手段は、前記第5のステップにおいて、前記第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法が無い第2の部品が車両の前輪のブレーキであるとき、前記第1の画像に基づいて画像認識によって前記前輪のブレーキ部分におけるパッドおよびローターを認識し、その認識したパッドを参照して前記パッドの内側と外側の減少量を観測するとともに前記画像認識によって認識したローターを参照して前記ローターの内側と外側の減少量を観測し、前記パッドの外側の減少量が前記パッドの内側の減少量よりも多くないと判定したとき、前記ローターが正常であると診断し、前記ローターの外側の方が内側よりも減少量が多くないと判定したとき、キャリパーが正常であると診断する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項23】
前記応答手段は、前記第9のステップにおいて、質問と前記質問に対する回答とを対応付けた対応表を検索して、前記受信手段から受けた前記車検についての質問に対する回答を検出し、その検出した回答を前記送信手段へ出力する、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
前記応答手段は、前記第9のステップにおいて、前記対応表を検索した結果、前記車検についての質問に対する回答を検出できなかったとき、車検場の整備士に連絡することを促すメッセージを前記質問に対する回答として前記送信手段へ出力する、請求項23に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車検装置およびコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の自動車車検システム装置が知られている。この自動車車検システム装置は、検査員が行った検査の項目ごとの判定結果を、「良」「注意」「不良」に分けて入力する判定結果入力部と、検査員の点検風景画像を入力する画像入力部2と、待合室に設置され、判定結果と点検風景画像を表示する客用表示部と、待合室に設置され、判定結果と点検風景画像を表示するフロント用表示部4と、待合室の壁に設置され、前記「良」「注意」「不良」の項目ごとの判定結果の全てを、それぞれ「青」「黄」「赤」の色で表示する壁表示部5と、判定結果において「注意」および「不良」とされた項目を修理するに必要な見積もり額を即座に算出するサーバー6とを備える。
【0003】
この自動車車検システム装置を用いることによって、客は、待合室に設置された客用表示部によって検査項目ごとの判定結果と、点検風景とを見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の自動車車検システム装置においては、検査員が現場で自動車の指定項目について一つづつ検査を行い、各項目ごとの判定結果を「良」、「注意」、「不良」に分けて自動者車検システム装置に入力するので、車検の作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の実施の形態によれば、車検の作業効率を向上可能な車検装置を提供する。
【0007】
また、この発明の実施の形態によれば、車検の作業効率の向上をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、車検装置は、受信手段と、撮影手段と、受付手段と、表示手段と、診断手段と、作成手段と、応答手段と、送信手段とを備える。受信手段は、ネットワークを介して、車検の申込と、車検についての質問と、車検の開始を指示する指示書とを顧客の端末装置から受信する。撮影手段は、受信手段が車検の申込を受信すると、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像と、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像とを撮影する。受付手段は、車検における点検箇所のうちの第1の点検箇所以外の第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果と、第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である入力情報と、車検における整備士による車両の整備作業が完了したことを示す整備作業の完了とを受け付ける。表示手段は、受信手段が車検の申込を受信すると、車検の申込を表示し、受信手段が指示書を受信すると、指示書を表示する。診断手段は、第1の画像を撮影手段から受けると、第1の画像に基づいて画像認識によって第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を受付手段によって受付けられた入力情報を用いて診断する。作成手段は、診断手段による診断結果を診断手段から受け、かつ、整備士による点検結果を受付手段から受けると、診断結果および点検結果に基づいて車検の見積書を作成し、整備作業の完了を受付手段から受けると、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する。応答手段は、車検についての質問を受信手段から受けると、車検についての質問に対する回答を出力する。送信手段は、車検の見積書を作成手段から受け、かつ、第1および第2の画像を撮影手段から受けると、ネットワークを介して、車検の見積書と第1および第2の画像とを顧客の端末装置へ送信し、車検についての質問に対する回答を応答手段から受けると、ネットワークを介して、車検についての質問に対する回答を顧客の端末装置へ送信し、車検の完了報告を作成手段から受けると、ネットワークを介して、車検の完了報告を顧客の端末装置へ送信する。
【0009】
(構成2)
構成1において、診断手段は、車検の法定項目における部品を診断する。
【0010】
(構成3)
構成2において、診断手段は、第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法がある第1の部品については、熟練整備士による点検方法に従って第1の部品を診断する。
【0011】
(構成4)
構成3において、診断手段は、第1の部品がタイヤであるとき、入力情報としてタイヤの新品時から車検時までの車両の走行距離を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってタイヤを認識し、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、車両の走行距離がタイヤを交換すべき走行距離よりも短くても、画像認識によって認識したタイヤを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する。
【0012】
(構成5)
構成4において、診断手段は、タイヤの摩耗およびタイヤのゴムの劣化がないと判定したとき、更に、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測し、その予測した走行距離がタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する。
【0013】
(構成6)
構成3において、1年当たりの走行距離が20000km以上である走行、または1ヵ月当たりの走行距離が10000km以上である走行を「シビア走行」としたとき、診断手段は、第1の部品がバッテリであるとき、入力情報として車検時のバッテリのスタート容量および車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識し、その認識した車両の走行距離メータを参照して車検時の車両の走行距離を検出し、その検出した車検時の車両の走行距離と車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離とに基づいて車両の走行状況を取得し、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、スタート容量が、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていないことを表わす規準値よりも多くても、取得した車両の走行状況がシビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する。
【0014】
(構成7)
構成3において、診断手段は、第1の部品がエンジンオイルであるとき、入力情報として前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離とを受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識し、その認識したレベルゲージを参照してエンジンオイルの量が適量であると判定したとき、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると診断する。
【0015】
(構成8)
構成3において、診断手段は、第1の部品がオイルエレメントであるとき、入力情報として車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってオイルパン(エンジンオイルを溜める容器)のオイルドレンボルト(オイルパンからオイルを抜くためのボルト)を認識し、点検を見落とし易い部品の点検忘れを防止する熟練整備士による点検方法に従って、エンジンオイルの交換回数に基づいてオイルフィルタの交換要否を診断した場合でも、画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断する。
【0016】
(構成9)
構成3において、診断手段は、第1の部品が冷却装置のベルトであるとき、入力情報としてベルトの新品時から車検時までの車両の走行距離を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってベルトを認識し、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、車両の走行距離がベルト交換すべき走行距離未満であっても、画像認識によって認識したベルトを参照してベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、ベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、ベルトの交換が必要であると診断する。
【0017】
(構成10)
構成2において、診断手段は、第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法が無い第2の部品が車両の前輪のブレーキであるとき、第1の画像に基づいて画像認識によって前輪のブレーキ部分におけるパッドおよびローターを認識し、その認識したパッドを参照してパッドの内側と外側の減少量を観測するとともに画像認識によって認識したローターを参照してローターの内側と外側の減少量を観測し、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多くないと判定したとき、ローターが正常であると診断し、ローターの外側の方が内側よりも減少量が多くないと判定したとき、キャリパーが正常であると診断する。
【0018】
(構成11)
構成1において、応答手段は、質問と質問に対する回答とを対応付けた対応表を検索して、受信手段から受けた車検についての質問に対する回答を検出し、その検出した回答を送信手段へ出力する。
【0019】
(構成12)
構成11において、応答手段は、対応表を検索した結果、車検についての質問に対する回答を検出できなかったとき、車検場の整備士に連絡することを促すメッセージを質問に対する回答として送信手段へ出力する。
【0020】
(構成13)
また、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、
受信手段が、ネットワークを介して車検の申込を顧客の端末装置から受信する第1のステップと、
表示手段が、第1のステップにおいて受信された車検の申込を表示する第2のステップと、
撮影手段が、受信手段が第1のステップにおいて車検の申込を受信すると、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像とを撮影する第3のステップと、
受付手段が、第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である入力情報と、車検における点検箇所のうちの第1の点検箇所以外の点検箇所であって整備士による点検対象である第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果とを受け付ける第4のステップと、
診断手段が、第1の画像に基づいて画像認識によって第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を第4のステップにおいて受け付けられた入力情報を用いて診断して診断結果を出力する第5のステップと、
作成手段が、第5のステップにおける診断結果と、受付手段が第4のステップにおいて受け付けた点検結果とに基づいて車検の見積書を作成する第6のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、車検の見積書と第1および第2の画像とを顧客の端末装置へ送信する第7のステップと、
受信手段が、第7のステップの後、ネットワークを介して、車検についての質問を顧客の端末装置から受信する第8のステップと、
応答手段が、車検についての質問に対する回答を出力する第9のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、第9のステップにおいて出力された回答を顧客の端末装置へ送信する第10のステップと、
受信手段が、第10のステップの後、ネットワークを介して、車検の開始を指示する指示書を顧客の端末装置から受信する第11のステップと、
表示手段が、受信手段が第11のステップにおいて受信した指示書を表示する第12のステップと、
撮影手段が、第11のステップの後、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像を撮影する第13のステップと、
受付手段が、第13のステップの後、車検における車両の整備作業の完了を受け付ける第14のステップと、
作成手段が、第14のステップにおいて受け付けられた車両の整備作業の完了に応じて、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する第15のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、第15のステップにおいて作成された車検の完了報告と第13のステップにおいて撮影された第3の画像とを顧客の端末装置へ送信する第16のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0021】
(構成14)
構成13において、診断手段は、第5のステップにおいて、車検の法定項目における部品を診断する。
【0022】
(構成15)
構成14において、診断手段は、第5のステップにおいて、第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法がある第1の部品については、熟練整備士による点検方法に従って第1の部品を診断する。
【0023】
(構成16)
構成15において、診断手段は、第5のステップにおいて、第1の部品がタイヤであるとき、入力情報としてタイヤの新品時から車検時までの車両の走行距離を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってタイヤを認識し、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、車両の走行距離がタイヤを交換すべき走行距離よりも短くても、画像認識によって認識したタイヤを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する。
【0024】
(構成17)
構成16において、診断手段は、第5のステップにおいて、タイヤの摩耗およびタイヤのゴムの劣化がないと判定したとき、更に、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測し、その予測した走行距離がタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する。
【0025】
(構成18)
構成15において、1年当たりの走行距離が20000km以上である走行、または1ヵ月当たりの走行距離が10000km以上である走行を「シビア走行」としたとき、
診断手段は、第5のステップにおいて、第1の部品がバッテリであるとき、入力情報として車検時のバッテリのスタート容量および車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識し、その認識した車両の走行距離メータを参照して車検時の車両の走行距離を検出し、その検出した車検時の車両の走行距離と車検時に最も近い前回の点検時の車両の走行距離とに基づいて車両の走行状況を取得し、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、スタート容量が、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていないことを表わす規準値よりも多くても、取得した車両の走行状況がシビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する。
【0026】
(構成19)
構成15において、診断手段は、第5のステップにおいて、第1の部品がエンジンオイルであるとき、入力情報として前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離とを受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識し、その認識したレベルゲージを参照してエンジンオイルの量が適量であると判定したとき、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、前回のオイル交換日時から車検時までの車両の走行距離がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると診断する。
【0027】
(構成20)
構成15において、診断手段は、第5のステップにおいて、第1の部品がオイルエレメントであるとき、入力情報として車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってオイルパン(エンジンオイルを溜める容器)のオイルドレンボルト(オイルパンからオイルを抜くためのボルト)を認識し、点検を見落とし易い部品の点検忘れを防止する熟練整備士による点検方法に従って、エンジンオイルの交換回数に基づいてオイルフィルタの交換要否を診断した場合でも、画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断する。
【0028】
(構成21)
構成15において、診断手段は、第5のステップにおいて、第1の部品が冷却装置のベルトであるとき、入力情報としてベルトの新品時から車検時までの車両の走行距離を受付手段から受け、第1の画像に基づいて画像認識によってベルトを認識し、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する熟練整備士による点検方法に従って、車両の走行距離がベルト交換すべき走行距離未満であっても、画像認識によって認識したベルトを参照してベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、ベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、ベルトの交換が必要であると診断する。
【0029】
(構成22)
構成14において、診断手段は、第5のステップにおいて、第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法が無い第2の部品が車両の前輪のブレーキであるとき、第1の画像に基づいて画像認識によって前輪のブレーキ部分におけるパッドおよびローターを認識し、その認識したパッドを参照してパッドの内側と外側の減少量を観測するとともに画像認識によって認識したローターを参照してローターの内側と外側の減少量を観測し、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多くないと判定したとき、ローターが正常であると診断し、ローターの外側の方が内側よりも減少量が多くないと判定したとき、キャリパーが正常であると診断する。
【0030】
(構成23)
構成13において、応答手段は、第9のステップにおいて、質問と質問に対する回答とを対応付けた対応表を検索して、受信手段から受けた車検についての質問に対する回答を検出し、その検出した回答を送信手段へ出力する。
【0031】
(構成24)
構成23において、応答手段は、第9のステップにおいて、対応表を検索した結果、車検についての質問に対する回答を検出できなかったとき、車検場の整備士に連絡することを促すメッセージを質問に対する回答として送信手段へ出力する。
【発明の効果】
【0032】
車検の作業効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施の形態1による車検装置の概略図である。
【
図10】
図1に示す車検装置を備えた通信システムの概略図である。
【
図14】エンジンと、オイルフィルタと、オイルパンとの関係を示す概略図である。
【
図15】冷却装置のベルトの表面を示す画像である。
【
図16】前輪のパッド、キャリパーおよびローターを示す画像である。
【
図17】後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))とホイールシリンダとを示す画像である。
【
図18】診断部品と熟練整備士の点検方法との対応表を示す概略図である。
【
図19】診断手段5による診断結果を示す概略図である。
【
図20】整備士による点検結果を示す概略図である。
【
図21】質問と、類似の質問または言い換えと、回答と、カテゴリとの対応関係を示す対応表の第1の概略図である。
【
図22】質問と、類似の質問または言い換えと、回答と、カテゴリとの対応関係を示す対応表の第2の概略図である。
【
図23】質問と、類似の質問または言い換えと、回答と、カテゴリとの対応関係を示す対応表の第3の概略図である。
【
図24】
図10に示す車検装置および端末装置の動作を説明するための第1のフローチャートである。
【
図25】
図10に示す車検装置および端末装置の動作を説明するための第2のフローチャートである。
【
図26】
図24に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図27】
図26のステップS62の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図28】
図27のステップS621の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図29】
図27のステップS622の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図30】
図27のステップS623の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図31】
図27のステップS624の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図32】
図27のステップS625の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図33】
図27のステップS626の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図34】
図27のステップS627の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図35】
図25のステップS15の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図36】
図1に示す診断手段5が
図27のステップS621~ステップS627を並列処理するときの診断手段5の概略図である。
【
図37】
図36に示す診断手段5Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図38】実施の形態2による車検装置の概略図である。
【
図39】
図38に示す車検装置10Aを備えた通信システムの概略図である。
【
図40】
図39に示す車検装置および端末装置の動作を説明するための第1のフローチャートである。
【
図41】
図39に示す車検装置および端末装置の動作を説明するための第2のフローチャートである。
【
図42】
図40に示すステップS6Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図43】
図42のステップS62Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図44】
図43のステップS621Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図45】
図43のステップS622Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図46】
図43のステップS623Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図47】
図43のステップS625Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図48】
図38に示す診断手段5Bが
図43のステップS621B~ステップS627Bを並列処理するときの診断手段5Bの概略図である。
【
図49】
図48に示す診断手段5B-Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0035】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1による車検装置の概略図である。
図1を参照して、実施の形態1による車検装置10は、受信手段1と、受付手段2と、制御手段3と、カメラ4と、診断手段5と、作成手段6と、応答手段7と、表示手段8と、送信手段9とを備える。
【0036】
車検装置10は、車両の車検を行う車検場において車検を行う際の作業効率を向上させるための装置である。そして、車検場には、ディーラーおよび販売店等の車検を行うことができる全ての店舗が含まれる。そして、後述するように、車検場に設置された車検装置10、顧客の端末装置およびウェブサーバの間で通信網を用いて情報のやり取りを行うことによって、スムーズに進行する車検を「Web車検」と言う。
【0037】
受信手段1は、ネットワークを介して車検の申込を顧客の端末装置から受信し、その受信した車検の申込を制御手段3へ出力する。車検の申込は、予約希望日(または車検希望日)、車種、顧客の氏名および顧客の連絡先からなる。
【0038】
また、受信手段1は、ネットワークを介して顧客の質問を顧客の端末装置から受信し、その受信した顧客の質問を制御手段3へ出力する。
【0039】
更に、受信手段1は、ネットワークを介して、車検の開始を指示する指示書ISTを顧客の端末装置から受信し、その受信した指示書ISTを制御手段3へ出力する。
【0040】
受付手段2は、整備士によって入力された入力情報IPT_infoを受け付ける。入力情報IPT_infoは、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である。そして、入力情報IPT_infoは、入力情報IPT_info1~IPT_info5からなる。
【0041】
入力情報IPT_info1は、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離d(mm)とからなる。
【0042】
入力情報IPT_info2は、車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1(km)とからなる。
【0043】
入力情報IPT_info3は、前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2(km)とからなる。
【0044】
入力情報IPT_info4は、車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数NBからなる。
【0045】
入力情報IPT_info5は、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)からなる。
【0046】
また、受付手段2は、車検における点検箇所のうちの第1の点検箇所以外の点検箇所である第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果ISPを受け付ける。
【0047】
受付手段2は、入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)と、第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果ISPとを受け付けると、その受け付けた入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)と第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果ISPとを制御手段3へ出力する。
【0048】
更に、受付手段2は、整備士による車検の整備作業が完了したことを示す整備作業の完了を受け付け、その受け付けた整備作業の完了を制御手段3へ出力する。
【0049】
制御手段3は、車検の申込=[予約希望日/車種/顧客の氏名/顧客の連絡先]を受信手段1から受ける。
【0050】
そして、制御手段3は、車検の申込に含まれる予約希望日が空いていることを確認すると、予約希望日を車検日とする。一方、制御手段3は、予約希望日が空いていないとき、[空いている複数の日]と、「空いている複数の日から車検希望日を選択下さい」とのメッセージとを送信手段9およびネットワーク40を介して顧客の端末装置へ送信する。その後、制御手段3は、顧客の端末装置からネットワーク40を介して受信手段1によって受信された車検希望日を受信手段1から受けると、車検希望日を車検日とする。
【0051】
制御手段3は、車検日が決定されると、車検日と顧客の氏名とをスケジュールに登録するとともに、車検日、車種、顧客の氏名および顧客の連絡先を車検の整備記録簿に登録する。そして、制御手段3は、車検の整備記録簿を保持する。
【0052】
また、制御手段3は、車検の申込に応じて、車検における点検箇所のうち、診断手段5による診断の対象となる第1の点検箇所を示す第1の画像IMG1の撮影を指示する指示信号S_INST1を生成し、その生成した指示信号S_INST1をカメラ4へ出力するとともに車検の申込を表示手段8へ出力する。この場合、車検の申込に含まれる予約希望日が車検日になったとき、車検の申込=[予約希望日/車種/顧客の氏名/顧客の連絡先]を表示手段8へ出力し、車検希望日が車検日になったとき、車検の申込=[車検希望日/車種/顧客の氏名/顧客の連絡先]を表示手段8へ出力する。
【0053】
更に、制御手段3は、指示信号S_INST1をカメラ4へ出力した後、第1の点検箇所を撮影した第1の画像IMG1をカメラ4から受け、その受けた第1の画像IMG1を診断手段5へ出力する。第1の画像IMG1は、動画または静止画からなる。
【0054】
更に、制御手段3は、車検における点検箇所のうち、第1の点検箇所以外の点検箇所であって整備士による点検対象である第2の点検箇所における部品についての整備士による点検過程を撮影するための指示信号S_INST2を生成し、その生成した指示信号S_INST2をカメラ4へ出力する。
【0055】
更に、制御手段3は、指示信号S_INST2をカメラ4へ出力した後、第2の点検箇所における部品についての整備士による点検過程を示す第2の画像IMG2をカメラ4から受ける。第2の画像IMG2は、動画または静止画からなる。
【0056】
更に、制御手段3は、部品についての整備士による整備過程を撮影するための指示信号S_INST3を生成し、その生成した指示信号S_INST3をカメラ4へ出力する。
【0057】
更に、制御手段3は、指示信号S_INST3をカメラ4へ出力した後、部品についての整備士による整備過程を示す第3の画像IMG3をカメラ4から受ける。第3の画像IMG3は、動画または静止画からなる。
【0058】
更に、制御手段3は、入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)を受付手段2から受けると、その受けた入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)を診断手段5へ出力する。
【0059】
更に、制御手段3は、第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果ISPを受付手段2から受けると、その受けた点検結果ISPを作成手段6へ出力する。
【0060】
更に、制御手段3は、第1の点検箇所における部品についての診断結果DGSを診断手段5から受け、その受けた診断結果DGSを作成手段6へ出力する。
【0061】
更に、制御手段3は、交換および/または修繕が必要になった箇所を交換および/または修繕するための費用を含む車検の費用の見積書SCHDを作成手段6から受ける。そして、制御手段3は、車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを送信手段9へ出力する。
【0062】
更に、制御手段3は、顧客の質問を受信手段1から受け、その受けた顧客の質問を応答手段7へ出力する。そして、制御手段3は、顧客の質問に対する回答を応答手段7から受け、その受けた回答を送信手段9へ出力する。
【0063】
更に、制御手段3は、指示書ISTを受信手段1から受け、その受けた指示書ISTを表示手段8へ出力する。
【0064】
更に、制御手段3は、整備作業の完了を受付手段1から受け、その受けた整備作業の完了を作成手段6へ出力する。そして、制御手段3は、車検の完了報告FRPTを作成手段6から受け、その受けた車検の完了報告FRPTと第3の画像IMG3とを送信手段9へ出力する。
【0065】
カメラ4は、制御手段3から受けた指示信S_INST1に応じて、第1の点検箇所示す第1の画像IMG1を撮影し、その撮影した第1の画像IMG1を制御手段3へ出力する。
【0066】
また、カメラ4は、制御手段3から受けた指示信S_INST2に応じて、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像IMG2を撮影し、その撮影した第2の画像IMG2を制御手段3へ出力する。
【0067】
更に、カメラ4は、制御手段3から受けた指示信S_INST3に応じて、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像IMG3を撮影し、その撮影した第3の画像IMG3を制御手段3へ出力する。
【0068】
診断手段5は、入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)と第1の画像IMG1とを制御手段3から受ける。そして、診断手段5は、入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)および第1の画像IMG1に基づいて、後述する方法によって、第1の点検箇所における部品を診断し、第1の点検箇所における部品についての診断結果DGSを作成して制御手段3へ出力する。
【0069】
この場合、診断手段5は、画像認識によって第1の点検箇所における部品を認識する。より具体的には、診断手段5は、画像認識技術として、例えば、テンプレートマッチングを用いて第1の点検箇所における部品を認識する。即ち、診断手段5は、検出したい部品の画像をテンプレートとして保持しており、画像認識の対象となる対象画像の一部分とテンプレートとの類似性を対象画像の領域をスライドさせながら比較し、最も類似する領域の物体をテンプレートの部品として認識する。
【0070】
また、診断手段5は、ニューラルネットワークを用いた機械学習によって第1の点検所における部品を認識してもよい。即ち、診断手段5は、第1の点検箇所における各部品を撮影した画像データをニューラルネットワークに学習させ、学習済のニューラルネットワークを用いて第1の点検箇所における部品を認識してもよい。
【0071】
作成手段6は、診断手段5による診断結果DGSと、整備士による点検結果ISPとを制御手段3から受ける。そして、作成手段6は、診断結果DGSおよび点検結果ISPに基づいて車検の見積書SCHDを作成し、その作成した車検の見積書SCHDを制御手段3へ出力する。
【0072】
また、作成手段6は、整備作業の完了を制御手段3から受け、その受けた整備作業の完了に応じて、車検の完了報告FRPTを作成し、その作成した車検の完了報告FRPTを制御手段3へ出力する。
【0073】
応答手段7は、顧客の質問を制御手段3から受ける。そして、応答手段7は、顧客の質問に対する回答を制御手段3へ出力する。
【0074】
この場合、応答手段7は、質問と回答との対応表を保持しており、顧客の質問と同じである質問を対応表から検出し、その検出した質問に対応する回答を対応表から検出して制御手段3へ出力する。
【0075】
表示手段8は、車検の申込を制御手段3から受け、その受けた車検の申込を表示する。
【0076】
また、表示手段8は、指示書ISTを制御手段3から受け、その受けた指示書ISTを表示する。
【0077】
更に、表示手段8は、診断結果DGSを制御手段3から受け、その受けた診断結果DGSを表示する。
【0078】
送信手段9は、車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを制御手段3から受ける。そして、送信手段9は、ネットワークを介して、その受けた車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを顧客の端末装置へ送信する。
【0079】
また、送信手段9は、顧客の質問に対する回答を制御手段3から受ける。そして、送信手段9は、ネットワークを介して、その受けた顧客の質問に対する回答を顧客の端末装置へ送信する。
【0080】
更に、送信手段9は、車検の完了報告FRPTと第3の画像IMG3とを制御手段3から受ける。そして、送信手段9は、ネットワークを介して、その受けた車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を顧客の端末装置へ送信する。
【0081】
図2は、見積書SCHDの概略図である。
図2を参照して、見積書SCHDは、法定項目と独自項目とについて、交換部品と交換部品の見積額とを対応付けた構成からなり、交換部品の見積額の合計を含む。
図2においては、交換部品の費用しか表示されていないが、実際には、交換部品の費用に加え、整備士による整備料および車検に必要な費用も見積書SCHDに含まれる。
【0082】
図3および
図4は、それぞれ、車検の法定項目を示す第1および第2の概略図である。
図3および
図4を参照して、車検の法定項目は、34個の項目からなる。
図3および
図4において、各法定項目のかっこ内の記載は、点検内容または診断内容を示す。また、かっこ内の記載がない法定項目については、点検内容が記載されている。例えば、1番目の法定項目は、ハンドルの操作具合を点検することが記載されている。
【0083】
1番目から34番目の法定項目のうち、5番目、9番目、11番目、13番目および20番目の法定項目における部品は、車検装置10の診断手段5によって診断される。
【0084】
そして、1番目から34番目の法定項目のうち、5番目、9番目、11番目、13番目および20番目の法定項目以外の法定項目における部品は、整備士によって点検される。
【0085】
1番目から4番目および6番目の法定項目は、車両の運転席において点検される。14番目から29番目の法定項目は、車両の周囲を回って点検される。30番目から34番目の法定項目は、テスタ等を用いて点検される。
【0086】
図5および
図6は、それぞれ、車検の独自項目を示す第1および第2の概略図である。
図5および
図6を参照して、車検の独自項目は、60個の項目からなる。このように、独自項目は、法定項目よりも多くの項目からなる。
図5および
図6において、各独自項目のかっこ内の記載は、点検内容を示す。
【0087】
51番目の独自項目であるCVT(Continuously Variable Transmission)・ATF(Automatic Transmission Fluid)は、例えば、エムケー精工のTF300Zという専用機を用いて行われるオイル交換である。このオイル交換は、専用機を用いなければ、できないものであるため、通常の車検においては、行われない。このオイル交換を行うことにより、無段変速機の自動切換えのレスポンスを向上できる。
【0088】
52番目の独自項目であるエアコンフレッシャーは、例えば、エムケー精工のAF4000Zという専用機を用いて行われるエアコンのオイル交換である。このオイル交換を行うことによって、エアコンの性能を向上できる。
【0089】
53番目の独自項目は、車内のオゾン臭の有無を点検し、オゾン臭が有る場合、オゾンを脱臭することである。そして、オゾンの脱臭には、例えば、オーニット株式会社の剛腕GWD-1000Fというオゾン脱臭機の専用機が用いられる。
【0090】
54番目の独自項目である車種に応じたテスタによる検査は、各車種の車両に蓄積されたデータを吸い上げ、その吸い上げたデータに基づいて車両の悪い箇所を発見する点検である。この点検に用いるテスタとして、各車種に応じた専用テスタが必要である。このように、51番目から54番目の独自項目は、専用機が必要な項目である。従って、独自項目は、専用機を用いた点検項目を含む。
【0091】
また、55番目のエンジンオイルの量・汚れの独自項目は、11番目の法定項目を補完する項目であり、64番目のバッテリ(専用テスタによる充電容量・スタート容量の点検)の独自項目は、9番目の法定項目を補完する項目であり、97番目のタイヤ溝の左右残量の確認、98番目のタイヤ溝の異常摩耗の確認、および99番目のタイヤローテーションの有無の独自項目は、13番目の法定項目を補完する項目である。このように、独自項目は、法定項目の一部の項目を補完する項目を含む。
【0092】
実施の形態1においては、独自項目は、次に示す構成(F1)~(F3)の少なくとも1つを備える。
【0093】
(F1)独自項目は、法定項目よりも多くの点検項目を含む。
【0094】
(F2)独自項目は、専用機がなければ実施できない点検項目を含む。
【0095】
(F3)独自項目は、法定項目の一部の項目を補完する点検項目を含む。
【0096】
独自項目が構成F1を備えることにより、法定項目のみを点検する場合に比べ車両の性能を向上できる。また、独自項目が構成F2を備えることにより、他の車検場では不可能な項目について点検でき、必要に応じて、他の車検場では不可能な部品の交換および/または修繕を行うことができる。更に、独自項目が構成F3を備えることにより、法定項目の点検に対する信頼性を向上できる。
【0097】
車検の担当者(整備士)は、
図3および
図4に示す法定項目のうち、5番目、9番目、11番目、13番目および20番目の法定項目以外の法定項目と、
図5および
図6に示す独自項目のうち、55番目、97番目および98番目以外の独自項目とについて、交換・修繕が必要か否かを点検し、その点検結果ISPを車検装置10の受付手段2に入力する。
【0098】
なお、64番目の独自項目は、専用テスタによるバッテリの充電容量およびスタート容量の点検であり、バッテリの充電容量およびスタート容量は、後述するように、診断手段5によるバッテリの交換要否の診断に必要な入力情報IPT_info2に含まれるので、車検の担当者(整備士)は、64番目の独自項目における点検を行う。
【0099】
図7から
図9は、動画MVに含まれる1コマを示す図である。
図7は、エアコンリフレッシュの効果を表した画像であり、施工前は、7.4℃までしか冷えなかったものが、施工後は、3.6℃まで冷えるようになったことを示す。
図8および
図9は、それぞれ、車両説明用の動画のうち、車両のよくない状態を表した1コマである。そして、
図8は、エンジンオイルがレベルゲージに着かないほど減少していたことを示す。また、
図9は、足回りのゴムが劣化し、グリスが漏れてしまっていることを示す。いずれも、車検費用の見積りで費用の計上がなされている項目についての説明のための1場面である。
【0100】
図10は、
図1に示す車検装置10を備えた通信システムの概略図である。
図10を参照して、通信システム100は、車検装置10と、ウェブサーバ20と、端末装置30とを備える。
【0101】
ウェブサーバ20は、車検装置10が設置される車検場が開設するサーバである。端末装置30は、顧客の端末装置であり、例えば、スマートフォンおよびパーソナルコンピュータ(PC)等からなる。
【0102】
車検装置10、ウェブサーバ20および端末装置30は、ネットワーク40に接続される。車検装置10の制御手段3は、カメラ4から第1および第2の画像IMG1,IMG2を受け、車検の見積書SCHDを作成手段6から受けると、車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを送信手段9へ出力し、送信手段9は、ネットワーク40を介して、車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを顧客の端末装置30へ送信する。
【0103】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介して車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを車検装置10から受信する。そして、顧客の端末装置30は、車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを表示手段に表示する。
【0104】
顧客は、自己の端末装置30に表示された車検の見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを見て、交換・修繕が必要な箇所を確認するとともに交換・修繕箇所の費用を含む車検の費用を確認する。
【0105】
そして、顧客は、交換・修繕が必要な箇所および費用等の車検について質問がある場合、質問内容を端末装置30に入力する。
【0106】
端末装置30は、質問内容を受け付け、その受け付けた質問内容をネットワーク40を介して車検装置10へ送信する。
【0107】
車検装置10の受信手段1は、ネットワーク40を介して端末装置30から質問内容を受信し、その受信した質問内容を制御手段3へ出力する。車検装置10の制御手段3は、受信手段1から受けた質問内容を応答手段7へ出力する。
【0108】
そうすると、車検装置10の応答手段7は、後述する方法によって、質問内容に対する回答を制御手段3へ出力する。
【0109】
車検装置10の制御手段3は、質問内容に対する回答を応答手段7から受け、その受けた回答を送信手段9へ出力する。車検装置10の送信手段9は、回答を制御手段3から受けると、ネットワーク40を介して、その受けた回答を顧客の端末装置30へ送信する。
【0110】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介して回答を車検装置10から受信し、その受信した回答を表示手段に表示する。これによって、顧客は、問い合わせ内容に対する回答を見ることができる。
【0111】
上述した質問と回答とのやり取りが車検装置10と端末装置30との間で顧客が納得するまで行われる。そして、顧客は、最終的に、交換・修繕が必要な項目および車検の費用について納得すると、車検の開始を指示する指示書INSTを端末装置30に入力する。端末装置30は、指示書INSTが入力されると、ネットワーク40を介して、指示書INSTを車検装置10へ送信する。
【0112】
車検装置10の受信手段1は、ネットワーク40を介して指示書INSTを端末装置30から受信し、その受信した指示書INSTを制御手段3へ出力し、制御手段3は、受信手段1から受けた指示書INSTを表示手段8に表示する。車検の担当者(整備士)は、車検装置10の表示手段8に表示された指示書INSTを見て車検における部品の点検作業を開始する。
【0113】
図11は、スマート記録簿の概略図である。
図11を参照して、スマート記録簿SRBは、時間情報と、整備情報/推奨情報とを含む。
【0114】
時間情報は、車検時t1、12ヵ月点検時t2、車検時t3、・・・からなる。整備情報/推奨情報は、(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証、(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目、(C)整備内容/画像(動画または静止画)、(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証、(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目、・・・からなる。
【0115】
(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目は、車検時t1に対応付けられてスマート記録簿SRBに格納される。
【0116】
(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目は、12ヵ月点検時t2に対応付けられてスマート記録簿SRBに格納される。
【0117】
(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目は、車検時t3に対応付けられてスマート記録簿SRBに格納される。
【0118】
(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証において、整備内容は、車検時t1に、整備士が整備した内容からなり、画像(動画または静止画)は、車検時t1の整備士による整備過程を示す画像であり、車検証は、車検時t1における車検に合格したことを表わす証書である。
【0119】
(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目において、次回点検時は、車検時t1よりも後の点検時を表し、次回点検時の交換推奨項目は、車検時t1よりも後の点検時において、交換を推奨する部品からなる。
【0120】
(C)整備内容/画像(動画または静止画)において、整備内容は、車検時t1よりも前の12ヵ月点検時t2に、整備士が整備した内容からなり、画像(動画または静止画)は、車検時t1よりも前の12ヵ月点検時t2の整備士による整備過程を示す画像である。
【0121】
(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目において、次回車検時は、車検時t1を表し、次回車検時の交換推奨項目は、車検時t1に交換を推奨する部品からなる。
【0122】
(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証において、整備内容は、12ヵ月点検時t2よりも前の車検時t3に、整備士が整備した内容からなり、画像(動画または静止画)は、車検時t3の整備士による整備過程を示す画像であり、車検証は、車検時t3における車検に合格したことを表わす証書である。
【0123】
(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目において、次回点検時は、12ヵ月点検時t2を表し、次回点検時の交換推奨項目は、12ヵ月点検時t2において、交換を推奨する部品からなる。
【0124】
一般に、車検は、2年毎に行われるので、車検時t3と車検時t1との時間間隔は、2年である。そして、12ヵ月点検時t2は、車検時t3から12ヵ月経過時であり、車検時t1は、12ヵ月点検時t2から12ヵ月経過時である。
【0125】
車検時t3、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目のみがスマート記録簿SRBに格納された段階において、車検装置10の受付手段2は、12ヵ月点検時t2、(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目を受け付けると、12ヵ月点検時t2、(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目を制御手段3へ出力する。
【0126】
制御手段3は、12ヵ月点検時t2、(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目を受付手段2から受けると、車検時t3と、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目とに追加して、12ヵ月点検時t2に対応付けて(C)整備内容/画像(動画または静止画)と、(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目とをスマート記録簿SRBに格納する。
【0127】
その結果、車検時t3、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目は、「過去の整備記録」を構成する。
【0128】
また、車検時t3、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目と、12ヵ月点検時t2、(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目とがスマート記録簿SRBに格納された段階において、受付手段2は、車検時t1、(A)整備内容/画像(動画または静止画)および(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目を受け付けると、車検時t1、(A)整備内容/画像(動画または静止画)および(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目を制御手段3へ出力する。
【0129】
制御手段3は、車検時t1、(A)整備内容/画像(動画または静止画)および(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目を受付手段2から受けると、12ヵ月点検時t2、(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目と、車検時t3、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目とに追加して、車検時t1に対応付けて(A)整備内容/画像(動画または静止画)および(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目をスマート記録簿SRBに格納する。
【0130】
その結果、12ヵ月点検時t2、(C)整備内容/画像(動画または静止画)および(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目と、車検時t3、(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証および(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目とは、「過去の整備記録」を構成する。
【0131】
このように、スマート記録簿SRBにおいては、新たな点検または新たな車検が行われるごとに、「過去の整備記録」は、随時、更新される。
【0132】
制御手段3は、車検または点検が行われるごとに、スマート記録簿SRBを更新し、その更新したスマート記録簿SRBを送信手段9へ出力し、送信手段9は、更新されたスマート記録簿SRBを制御手段3から受けると、ネットワーク40を介して、更新後のスマート記録簿SRBをウェブサーバ20にアップする。
【0133】
制御手段3は、送信手段9およびネットワーク40を介して、スマート記録簿SRBをウェブサーバ20にアップすると、ウェブサーバ20にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を生成し、その生成したURLを送信手段9へ出力する。
【0134】
送信手段9は、URLを制御手段3から受けると、その受けたURLをネットワーク40を介して顧客の端末装置30へ送信する。
【0135】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介してURLを車検装置10から受信する。そして、顧客の端末装置30は、URLを用いてウェブサーバ20にアクセスし、スマート記録簿SRBをダウンロードして表示手段に表示する。
【0136】
これによって、顧客は、スマート記録簿SRBを閲覧できる。
【0137】
なお、この発明の実施の形態においては、“車検時t1”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“12ヵ月点検時t2”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“車検時t3”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよく、“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データは、タイムスタンプが付与されていてもよい。
【0138】
この場合、車検装置10が配置された車検場の整備士は、タイムスタンプが付与された“車検時t3”の電子データD_TS(t3)、タイムスタンプが付与された“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(E)、およびタイムスタンプが付与された“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(F)がスマート記録簿SRBに格納されている段階で、12ヵ月点検を完了すると、“12ヵ月点検時t2”の電子データ、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データおよび“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データへのタイムスタンプの付与を時刻認証業務認定事業者TSA(Time Stamping Authority)に依頼し、タイムスタンプが付与された“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)と、タイムスタンプが付与された“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)と、タイムスタンプが付与された“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とを時刻認証業務認定事業者TSAから受け取ると、“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)と、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)と、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とを車検装置10の受付手段2に入力する。
【0139】
受付手段2は、“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)と、(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)と、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とを受け付けると、その受け付けた“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)と、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)と、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とを制御手段3へ出力する。
【0140】
制御手段3は、“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)と、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)と、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とを受付手段2から受けると、“車検時t3”の電子データD_TS(t3)、“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(E)および“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TD(F)に追加して、その受けた“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)に対応付けて、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)と、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とをスマート記録簿SRBに格納する。
【0141】
また、“車検時t3”の電子データD_TS(t3)、“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(E)および“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(F)と、“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)および“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)とがスマート記録簿SRBに格納された段階において、受付手段2は、タイムスタンプが付与された“車検時t1”の電子データD_TS(t1)と、タイムスタンプが付与された“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(A)と、タイムスタンプが付与された“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(B)とを受け付けると、“車検時t1”の電子データD_TS(t1)、“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(A)および“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(B)を制御手段3へ出力する。
【0142】
制御手段3は、“車検時t1”の電子データD_TS(t1)、“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(A)および“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(B)を受付手段2から受けると、“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)および“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)と、“車検時t3”の電子データD_TS(t3)、“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(E)および“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(F)とに追加して、“車検時t1”の電子データD_TS(t1)に対応付けて“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(A)と“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(B)とをスマート記録簿SRBに格納する。
【0143】
タイムスタンプは、ある日時に特定の電子データが存在していたこと、ある日時以降に電子データの内容に改ざんが無いことを示すものである。
【0144】
そして、タイムスタンプは、電子データのハッシュ値に時刻情報を付与したものであり、ハッシュ値は、電子データを不規則な文字列に置き換えたものである。そうすると、元のデータに少しでも変更が加えられると、ハッシュ値が変わる。
【0145】
タイムスタンプが付与された電子データは、タイムスタンプに含まれるハッシュ値と現状の電子データのハッシュ値との一致を確認し、タイムスタンプが付与された日以降に改ざんが無いことを証明する仕組みになっている。
【0146】
従って、電子データD_TS(t1)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値と現状の電子データD_TS(t1)のハッシュ値との一致を確認することによって、“車検時t1”の電子データD_TS(t1)に改ざんが無いことを証明できる。
【0147】
また、電子データD_TS(A)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値と現状の電子データD_TS(A)のハッシュ値との一致を確認することによって、“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(A)に改ざんが無いことを証明できる。
【0148】
更に、電子データD_TS(B)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値と現状の電子データD_TS(B)のハッシュ値との一致を確認することによって、“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(B)に改ざんが無いことを証明できる。
【0149】
“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)、“車検時t3”の電子データD_TS(t3)、“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(E)および“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(F)についても、同様である。
【0150】
制御手段3は、“車検時t1”の電子データD_TS(t1)、“(A)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(A)、“(B)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(B)、“12ヵ月点検時t2”の電子データD_TS(t2)、“(C)整備内容/画像(動画または静止画)”の電子データD_TS(C)、“(D)次回車検時/次回車検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(D)、“車検時t3”の電子データD_TS(t3)、“(E)整備内容/画像(動画または静止画)/車検証”の電子データD_TS(E)および“(F)次回点検時/次回点検時の交換推奨項目”の電子データD_TS(F)をスマート記録簿SRBに格納するとき、電子データD_TS(t1)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(t1)、電子データD_TS(A)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(A)、電子データD_TS(B)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(B)、電子データD_TS(t2)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(t2)、電子データD_TS(C)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(C)、電子データD_TS(D)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(D)、電子データD_TS(t3)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(t3)、電子データD_TS(E)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(E)、および電子データD_TS(F)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash(F)を保持する。
【0151】
そして、制御手段3は、電子データD_TS(t1)の改ざんの有無を判定する判定依頼Req_FLS(t1)を受付手段2を介して受けると、送信手段9およびネットワーク40を介してウェブサーバ20にアクセスし、ネットワーク40および受信手段1を介してスマート記録簿SRBをダウロードする。そうすると、制御手段3は、判定依頼Req_FLS(t1)を受けたときの電子データD_TS(t1)のタイムスタンプに含まれるハッシュ値Hash_Req(t1)を取得する。
【0152】
その後、制御手段3は、ハッシュ値Hash_Req(t1)がハッシュ値Hash(t1)に一致するとき、電子データD_TS(t1)が改ざんされていないと判定し、ハッシュ値Hash_Req(t1)がハッシュ値Hash(t1)に一致しないとき、電子データD_TS(t1)が改ざんされていると判定する。
【0153】
制御手段3は、電子データD_TS(A)、電子データD_TS(B)、電子データD_TS(t2)、電子データD_TS(C)、電子データD_TS(D)、電子データD_TS(t3)、電子データD_TS(E)および電子データD_TS(F)の各々についても、電子データD_TS(t1)の改ざんの有無の判定方法と同じ判定方法によって、改ざんの有無を判定する。
【0154】
そうすると、制御手段3は、電子データD_TS(t1)、電子データD_TS(A)、電子データD_TS(B)、電子データD_TS(t2)、電子データD_TS(C)、電子データD_TS(D)、電子データD_TS(t3)、電子データD_TS(E)および電子データD_TS(F)の各々について、改ざんの有無の判定結果を表示手段8に表示する。
【0155】
車検装置10が設置された車検場の整備士は、車検装置10の表示手段8に表示された改ざんの有無の判定結果を参照して、電子データD_TS(t1)、電子データD_TS(A)、電子データD_TS(B)、電子データD_TS(t2)、電子データD_TS(C)、電子データD_TS(D)、電子データD_TS(t3)、電子データD_TS(E)および電子データD_TS(F)の各々について、改ざんがあったか改ざんが無かったかを知ることができる。
【0156】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した時刻認証業務認定事業者TSAに代えて公証人役場にタイムスタンプの付与を依頼してもよい。
【0157】
[診断手段5による部品の診断]
車検装置10の診断手段5が第1の点検箇所における部品を診断する方法について説明する。
【0158】
診断手段5による診断の対象になる部品は、例えば、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキである。
【0159】
そして、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキは、車検における点検箇所のうち、診断手段5による自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品である。
【0160】
また、第1の画像IMG1は、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキをカメラ4によって撮影した画像である。
【0161】
更に、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキのうち、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトについては、後述するように、診断手段5は、熟練整備士による点検方法に従ってタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトを診断する。従って、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトは、第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法がある第1の部品である。また、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキは、第1の点検箇所における部品のうち、熟練整備士による点検方法が無い第2の部品である。
【0162】
診断手段5は、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキのうち、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトを診断するとき、受付手段2が受け付けた入力情報IPT_infoを制御手段3から受ける。
【0163】
診断手段5が制御手段3から受ける入力情報IPT_infoと診断手段5による診断部品との対応関係を表1に示す。
【0164】
【0165】
表1に示すように、診断部品がタイヤであるとき、診断手段5は、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離d(mm)とを入力情報IPT_info1として制御手段3から受ける。
【0166】
また、診断部品がバッテリであるとき、診断手段5は、車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1(km)とを入力情報IPT_info2として制御手段3から受ける。
【0167】
更に、診断部品がエンジンオイルであるとき、診断手段5は、前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2(km)とを入力情報IPT_info3として制御手段3から受ける。
【0168】
更に、診断部品がオイルエレメントであるとき、診断手段5は、車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数NBを入力情報IPT_info4として制御手段3から受ける。
【0169】
更に、診断部品が冷却装置のベルトであるとき、診断手段5は、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)を入力情報IPT_info5として制御手段3から受ける。
【0170】
なお、入力情報IPT_info1~IPT_info5は、整備士によって受付手段2に入力される。
【0171】
(I)タイヤの診断
診断手段5は、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離d(mm)とを入力情報IPT_info1として制御手段3から受ける。また、診断手段5は、第1の画像IMG1を制御手段3から受ける。
【0172】
ここで、車検時よりも以前に、タイヤ交換が行われていても、車検においては、タイヤの新品時からの走行距離x0(km)を考慮してタイヤを交換すべきか否かを診断すればよい。
【0173】
また、車検時よりも以前のタイヤ交換において、中古のタイヤが取り付けられていても、車検においては、タイヤの新品時からの走行距離x0(km)を考慮してタイヤを交換すべきか否かを診断すればよい。
【0174】
タイヤの新品時からの走行距離x0(km)は、そのタイヤが走行した実際の走行距離を表し、実際の走行距離がタイヤの劣化度合いに反映されるので、タイヤを交換すべきか否かを診断するのに適しているからである。
【0175】
従って、タイヤの診断においては、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)が用いられる。
【0176】
なお、中古のタイヤが取り付けられた場合、新品時から取り付け時までの走行距離、中古のタイヤが取り付けられた日時、および中古のタイヤが取り付けられたときの走行距離が記録されているものとする。その結果、中古のタイヤが取り付けられたときの走行距離と車検時の走行距離とに基づいて、中古のタイヤを取り付けてから車検時までの走行距離を算出できるので、新品時から取り付け時までの走行距離と中古のタイヤを取り付けてから車検時までの走行距離との和をタイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)として取得できる。
【0177】
図12は、タイヤを示す図である。
図12においては、タイヤの溝の断面図が模式的に図示されている。また、
図12においては、新品のタイヤと中古のタイヤの画像が図示されている。
【0178】
図12を参照して、新品のタイヤは、溝が深いため、スリップサインが見え難くなっているが、中古のタイヤは、路面に接触する部分が擦り減っているため、スリップサインが見え易くなっている。
【0179】
図12の[タイヤの溝の断面図]に示すように、スリップサインは、タイヤの溝の底面から盛り上がった部分である。そして、スリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離をdとする。
【0180】
診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってタイヤの路面に接触する部分、タイヤの溝(スリップサインが配置された溝部分)およびタイヤの側面を認識する。
【0181】
診断手段5は、走行距離x0(km)と距離d(mm)とを入力情報IPT_info1として制御手段3から受けると、走行距離x0(km)が、タイヤ交換すべき走行距離(例えば、40,000km)以上であるか否かを判定する。
【0182】
そして、診断手段5は、走行距離x0が、タイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、更に、距離dが規準値STD1(例えば、2mm)以下であるか否かを判定する。ここで、規準値STD1は、タイヤの溝の深さがタイヤ交換すべき深さであることを表わす規準である。
【0183】
診断手段5は、距離dが規準値STD1以下でないと判定したとき、画像認識によって認識したタイヤの溝(スリップサインが配置された溝部分)を参照して、更に、スリップサインが溝から出ているか否かを判定する。
【0184】
診断手段5は、スリップサインが溝から出ていないと判定したとき、画像認識によって認識したタイヤのトレッド部およびサイドウォールを参照して、更に、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあるか否かを判定する。
【0185】
診断手段5は、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびが無いと判定したとき、更に、画像認識によって認識したタイヤの側面を参照して、タイヤの製造日を検出し、タイヤの製造日から車検時までの月数で走行距離x0を除算して1ヵ月当たりの走行距離xmonthを算出する。
【0186】
ここで、診断対象のタイヤが1回も交換されていないとき、診断対象のタイヤの側面に記載されたタイヤの製造年月日から車検時までの期間における走行距離がx0である。また、診断対象のタイヤが新品のタイヤに交換されていたとき、診断対象のタイヤの側面に記載されたタイヤの製造年月日から車検時までの期間における走行距離がx0である。更に、診断対象のタイヤが中古のタイヤに交換されていたとき、診断対象のタイヤの側面に記載されたタイヤの製造年月日から車検時までの期間における走行距離がx0である。
【0187】
従って、診断対象のタイヤが車検時以前に交換されているか否かに拘わらず、診断手段5は、画像認識によって認識したタイヤの側面を参照して、診断対象のタイヤの側面に記載された製造年月日を検出し、その検出したタイヤの製造年月日から車検時までの月数で走行距離x0を除算することによって、1か月当たりの走行距離xmonthを算出する。
【0188】
診断手段5は、走行距離xmonthを算出すると、車検時から次の12ヵ月点検時までの期間(=12ヵ月)を走行距離xmonthに乗算して車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthを算出する。
【0189】
そうすると、診断手段5は、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する。
【0190】
診断手段5は、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、タイヤ交換が不要であると診断する。
【0191】
一方、診断手段5は、次の(a)~(e)のいずれかに該当するとき、タイヤ交換が必要であると診断する。
(a)走行距離x0(km)が、タイヤ交換すべき走行距離(例えば、40,000km)以上であると判定したとき
(b)距離dが規準値STD1(例えば、2mm)以下であると判定したとき
(c)スリップサインが溝から出ていると判定したとき
(d)タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定したとき
(e)車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定したとき
診断手段5は、上述した方法によって、4個のタイヤの全てについてタイヤの交換要否を診断する。
【0192】
上述したタイヤの診断方法において、スリップサインが溝から出ていると判定することは、タイヤが摩耗していると診断することに相当し、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定することは、タイヤのゴムが劣化していると診断することに相当する。
【0193】
そして、走行距離x0(km)がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があれば、タイヤを交換すべきと診断することは、熟練整備士の点検方法に従ってタイヤを交換すべきと診断することである。
【0194】
なお、熟練整備士は、例えば、10年以上、車両の整備経験を有する整備士である。
【0195】
また、車検時(現時点)から次の12ヵ月点検までの走行距離x12monthを予測してタイヤの交換要否を診断することも、熟練整備士の点検方法に従ってタイヤの交換要否を診断することである。
【0196】
従って、診断手段5は、熟練整備士の点検方法に従ってタイヤを診断する。
【0197】
なお、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定することは、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthが車検時から次の12ヵ月点検時までにタイヤ交換すべき走行距離に達すると判定することに相当し、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定することは、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthが車検時から次の12ヵ月点検時までにタイヤ交換すべき走行距離に達しないと判定することに相当する。
【0198】
(II)バッテリの診断
診断手段5は、車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1(km)とを入力情報IPT_info2として制御手段3から受ける。
【0199】
ここで、バッテリのスタート容量(単位:%)は、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りているか否かを示す指標であり、バッテリの充電容量は、バッテリが放電可能な電気量(単位:mAh)である。
【0200】
また、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識する。
【0201】
そして、診断手段5は、充電容量が規準値STD2(例えば、80%)以下であるか否かを判定する。診断手段5は、充電容量が規準値STD2以下でないと判定したとき、更に、スタート容量が規準値STD3(例えば、70%)以下であるか否かを判定する。
【0202】
ここで、規準値STD2は、充電容量がバッテリを交換すべき電気量に減少したことを表わし、規準値STD3は、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていないことを表わす。
【0203】
診断手段5は、スタート容量が規準値STD3以下でないと判定したとき、画像認識によって認識した車両の走行距離メータを参照して、車検時の走行距離xvh_ins(km)を検出する。そして、診断手段5は、走行距離xvh_ins,x1に基づいて車両の走行状況を取得する。より具体的には、診断手段5は、走行距離xvh_ins,x1に基づいて、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの走行距離xvh_ins-x1を算出し、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの月数で走行距離xvh_ins-x1を除算して1か月当たりの走行距離を算出し、その算出した1か月当たりの走行距離を1年当たりの走行距離に換算することによって車両の走行状況を取得する。また、診断手段5は、走行距離xvh_ins,x1に基づいて、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの走行距離xvh_ins-x1を算出し、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの月数で走行距離xvh_ins-x1を除算して1か月当たりの走行距離を算出することによって車両の走行状況を取得する。
【0204】
そして、1年当たりの走行距離が20000km(=20000km/年)以上である走行、または1ヵ月当たりの走行距離が10000km(=10000km/月)以上である走行を「シビア走行」としたとき、診断手段5は、取得した走行状況が「シビア走行」であるか否かを判定する。
【0205】
そうすると、診断手段5は、取得した走行状況が「シビア走行」でないと判定したとき、バッテリの交換が不要であると診断する。
【0206】
一方、診断手段5は、バッテリの充電容量が規準値STD2以下であると判定したとき、またはバッテリのスタート容量が規準値STD3以下であると判定したとき、または車両の走行状況がシビア走行であると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する。
【0207】
上述したバッテリの診断方法において、診断手段5が、バッテリのスタート容量が規準値STD3よりも多くても(即ち、バッテリがエンジンを起動できるスタート容量を有していても)、車両の走行状況がシビア走行に該当するとき、バッテリの交換が必要であると診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってバッテリの交換が必要であると診断することである。
【0208】
なお、上述したバッテリの診断方法においては、(SBR1)1年当たりの走行距離が20000km(=20000km/年)以上である走行、(SBR2)1ヵ月当たりの走行距離が10000km(=10000km/月)以上である走行、および(SBR3)1回当たりの走行距離が8km以下である走行を繰り返す走行のいずれかを「シビア走行」としてもよい。
【0209】
この場合、診断手段5は、走行距離xvh_ins,x1に基づいて、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの走行距離xvh_ins-x1を算出し、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの月数で走行距離xvh_ins-x1を除算して1か月当たりの走行距離を算出することによって車両の走行状況を取得する。また、診断手段5は、上述した方法によって算出した1か月当たりの走行距離を1年当たりの走行距離に換算することによって車両の走行状況を取得する。更に、診断手段5は、1年当たりの走行距離が規準距離(例えば、5000km)以下であるとき、「規準距離以下の1年当たりの走行距離」を車両の走行状況として取得する。ここで、「規準距離以下の1年当たりの走行距離」を車両の走行状況として取得するのは、1年当たりの走行距離が5000km以下であるとき、1年当たりの走行距離としては非常に短いので、1回当たりの走行距離が8km以下と短く、その短い走行距離の走行を繰り返しており、「シビア走行」に該当すると推定できるからである。
【0210】
そして、診断手段5は、取得した車両の走行状況が(SBR1)~(SBR3)のいずれかに該当するか否かを判定することによって、取得した走行状況が「シビア走行」であるか否かを判定する。より具体的には、診断手段5は、取得した車両の走行状況が(SBR1)~(SBR3)のいずれかに該当すると判定したとき、取得した走行状況が「シビア走行」であると判定し、取得した車両の走行状況が(SBR1)~(SBR3)のいずれにも該当しないと判定したとき、取得した走行状況が「シビア走行」でないと判定する。
【0211】
(III)エンジンオイルの診断
診断手段5は、前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2とを入力情報IPT_info3として制御手段3から受ける。
【0212】
また、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識する。
【0213】
図13は、レベルゲージの概略図である。
図13を参照して、レベルゲージは、オイルレベル1とオイルレベル2とを有する。
【0214】
エンジンオイルの量がオイルレベル2よりも右側であるとき、エンジンオイルの量が適量よりも多いことを表わし、エンジンオイルの量がオイルレベル2の位置であるとき、エンジンオイルの量が適量であることを表わし、エンジンオイルの量がオイルレベル1とオイルレベル2との間であるとき、エンジンオイルの量が適量よりも少ないことを表わす。
【0215】
図14は、エンジンと、オイルフィルタと、オイルパンとの関係を示す概略図である。
図14を参照して、オイルパンは、エンジンに供給するエンジンオイルを溜める容器である。そして、オイルパンは、オイルドレンボルトを有する。オイルドレンボルトは、オイルパンからオイルを抜くためのボルトである。オイルフィルタは、オイルパンから供給されるエンジンオイル中のゴミ等を除去するフィルタである。
【0216】
オイルパンに溜められたエンジンオイルは、オイルフィルタを通ってエンジンに供給される。
【0217】
整備士は、車検の点検時に、オイルパンにレベルゲージを挿入し、エンジンオイルの量を計測する。この時、カメラ4は、整備士がオイルパンから取り出したレベルゲージを第1の画像IMG1の一部として撮影する。
【0218】
診断手段5は、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、エンジンオイルの量が適量よりも少ないか否かを判定する。
【0219】
より具体的には、診断手段5は、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、エンジンオイルがレベルゲージのオイルレベル1とオイルレベル2との間に付着していると判定したとき、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定する。
【0220】
一方、診断手段5は、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、エンジンオイルが、レベルゲージのオイルレベル2に付着していると判定したとき、エンジンオイルの量が適量よりも少なくないと判定する(即ち、診断手段5は、エンジンオイルの量が適量であると判定する)。
【0221】
診断手段5は、エンジンオイルの量が適量よりも少なくないと判定したとき、更に、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離(例えば、5000km)以上であるか否かを判定する。
【0222】
診断手段5は、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、更に、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過したか否かを判定する。
【0223】
診断手段5は、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していないと判定したとき、エンジンオイルの交換が不要であると診断する。
【0224】
一方、診断手段5は、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定したとき、または走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であると判定したとき、または前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると診断する。
【0225】
上述したエンジンオイルの診断方法において、診断手段5が、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していれば、エンジンオイルの交換が必要であると診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってエンジンオイルの交換が必要であると診断することである。
【0226】
(IV)オイルエレメントの診断
診断手段5は、車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数NBを入力情報IPT_info4として制御手段3から受ける。
【0227】
また、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってオイルパンのオイルドレンボルトを認識する。
【0228】
そして、診断手段5は、上述した(III)エンジンオイルの診断における診断結果に基づいて、車検においてエンジンオイルを交換したか否かを判定する。この場合、診断手段5は、(III)エンジンオイルの診断における診断結果が「エンジンオイルの交換が必要である」とき、車検においてエンジンオイルを交換したと判定し、(III)エンジンオイルの診断における診断結果が「エンジンオイルの交換が不要である」とき、車検においてエンジンオイルを交換しなかったと判定する。
【0229】
診断手段5は、車検においてエンジンオイルを交換しなかったと判定したとき、更に、交換回数NBが規準値STD4(例えば、2)以上であるか否かを判定する。ここで、規準値STD4は、エンジンオイルの交換回数NBがオイルフィルタを交換すべきである回数に達したことを表わす規準である。
【0230】
一方、診断手段5は、車検においてエンジンオイルを交換したと判定したとき、更に、NB+1が規準値STD4以上であるか否かを判定する。
【0231】
そうすると、診断手段5は、交換回数NBが規準値STD4以上であると判定したとき、または交換回数NB+1が規準値STD4以上であると判定したとき、オイルフィルタの交換が必要であると診断する。これは、エンジンオイルの交換回数NB(またはNB+1)が規準値STD4以上であるとき、オイルフィルタが汚れていると判定し、オイルフィルタの交換が必要であると診断することにしたものである。
【0232】
一方、診断手段5は、交換回数NBが規準値STD4以上でないと判定したとき、または交換回数NB+1が規準値STD4以上でないと判定したとき、オイルフィルタの交換が不要であると診断する。
【0233】
そして、診断手段5は、オイルフィルタの交換が必要であると診断したとき、またはオイルフィルタの交換が不要であると診断したとき、画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、オイルドレンボルトが閉まっているか否かを判定する。
【0234】
診断手段5は、オイルパンのオイルドレンボルト(
図14参照)が閉まっていないと判定したとき、オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があると診断する。
【0235】
一方、診断手段5は、オイルパンのオイルドレンボルトが閉まっていると判定したとき、オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要がないと診断する。
【0236】
上述したオイルエレメントの診断において、診断手段5が、オイルフィルタの交換要否を診断しても、オイルフィルタの交換要否の診断結果に拘わらず、オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってオイルパンのオイルドレンボルトを閉める要否を診断することである。
【0237】
診断手段5がオイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断するのは、整備士(例えば、経験年数が1年~2年の整備士)は、オイルパンのオイルドレンボルトが閉まっているか否かの確認を見落としがちであるからである。
【0238】
(V)冷却装置のベルトの診断
図15は、冷却装置のベルトの表面を示す画像である。
図15の(a)は、新品のベルトの表面を示す画像であり、
図15の(b)は、中古のベルトの表面を示す画像である。
図15を参照して、新品のベルトにおいては、表面の色が黒く、印字された文字がくっきりと表示されている(
図15の(a)参照)。
【0239】
一方、中古のベルトにおいては、表面の色が茶色く、印字された文字が薄くなっている(
図15の(b)参照)。
【0240】
診断手段5は、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの車両の走行距離x3(km)を入力情報IPT_info5として制御手段3から受ける。
【0241】
ここで、車検時よりも以前に、冷却装置のベルトの交換が行われていても、車検においては、冷却装置のベルトの新品時からの走行距離x3(km)を考慮して冷却装置のベルトを交換すべきか否かを診断すればよい。
【0242】
また、車検時よりも以前の冷却装置のベルトの交換において、中古のベルトが取り付けられていても、車検においては、ベルトの新品時からの走行距離x3(km)を考慮して冷却装置のベルトを交換すべきか否かを診断すればよい。
【0243】
ベルト自体の劣化を診断するには、ベルトの新品時からの走行距離x3(km)を考慮するのが適切であるからである。
【0244】
従って、冷却装置のベルトの診断においては、ベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)が用いられる。
【0245】
なお、中古のベルトが取り付けられた場合、新品時から取り付け時までの走行距離、中古のベルトが取り付けられた日時、および中古のベルトが取り付けられたときの走行距離が記録されているものとする。その結果、中古のベルトが取り付けられたときの走行距離と車検時の走行距離とに基づいて、中古のベルトを取り付けてから車検時までの走行距離を算出できるので、新品時から取り付け時までの走行距離と中古のベルトを取り付けてから車検時までの走行距離との和をベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)として取得できる。
【0246】
また、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって冷却装置のベルトを認識する(
図15参照)。
【0247】
そして、診断手段5は、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する。ベルト交換すべき走行距離は、例えば、40000kmである。
【0248】
診断手段5は、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面が変色しているか否か、またはベルトの表面の印字が薄くなっているか否かを判定することによってベルトが摩耗しているか否かを判定する。
【0249】
この場合、診断手段5は、ベルトの表面が変色していると判定したとき、またはベルトの表面の印字が薄くなっていると判定したとき、ベルトが摩耗していると判定する。一方、診断手段5は、ベルトの表面が変色していないと判定したとき、またはベルトの表面の印字が薄くなっていないと判定したとき、ベルトが摩耗していないと判定する。
【0250】
診断手段5は、ベルトが摩耗していないと判定したとき、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面にひび割れがあるか否かを判定する。
【0251】
そして、診断手段5は、ベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、ベルトが放置状態であると判定する。
【0252】
なお、ベルトが放置状態とは、一定期間、車両が未使用であるため、または車両の走行距離が短いため(例えば、100km/月未満)、ベルトが劣化した状態である。
【0253】
診断手段5は、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上であると判定したとき、またはベルトが摩耗していると判定したとき、またはベルトが放置状態であると判定したとき、ベルトの交換が必要であると診断する。
【0254】
一方、診断手段5は、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定するとともにベルトが摩耗していないと判定し、かつ、ベルトの表面にひび割れが無いと判定したとき、ベルトが正常であると判定し、ベルトの交換が不要であると診断する。
【0255】
上述した冷却装置のベルトの診断において、診断手段5が、ベルトの新品時から車検時までの走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定した場合でも、ベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、ベルトが放置状態であると判定し、ベルトの交換が必要であると診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってベルトを診断することである。
【0256】
(VI)前輪のブレーキの診断
図16は、前輪のパッド、キャリパーおよびローターを示す画像である。
図16においては、矢印ARWの方向から見たパッドおよびローターの側面図 が図示されている。
【0257】
図16を参照して、キャリパーは、パッドの動きを制御する部品であり、車の減速・停止時にローターを押さえつけながら回転を制御する。
【0258】
診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって前輪のパッドおよびローター(
図16参照)を認識する。
【0259】
診断手段5は、画像認識によって認識した前輪のパッドおよびローターを参照して、パッドの内側と外側の減少量を観測する。この場合 、診断手段5は、画像認識によって認識した前輪のパッドおよびローターを参照して、外側のローターとパッドとの境界位置からパッドの外側の表面までの距離Lout_pd_vh_insを検出するとともに、内側のローターとパッドとの境界位置からパッドの内側の表面までの距離Lin_pd_vh_insを検出し、その検出した距離Lout_pd_vh_insを車検時におけるパッドの外側の減少量として観測するとともに、その検出した距離Lin_pd_vh_insを車検時におけるパッドの内側の減少量として観測する。
【0260】
その後、診断手段5は、パッドの外側の減少量(Lout_pd_vh_ins)がパッドの内側の減少量(Lin_pd_vh_ins)よりも多いか否かを判定する。
【0261】
診断手段5は、パッドの外側の減少量(Lout_pd_vh_ins)がパッドの内側の減少量(Lin_pd_vh_ins)よりも多くないと判定したとき、ローターが正常であると診断する。
【0262】
一方、診断手段5は、パッドの外側の減少量(Lout_pd_vh_ins)がパッドの内側の減少量(Lin_pd_vh_ins)よりも多いと判定したとき、ローターが不具合であると診断し、ローターを調整すべきであると診断する。
【0263】
引き続いて、診断手段5は、画像認識によって認識したローターおよびパッドを参照して、ローターの内側と外側の減少量を観測する。この場合 、診断手段5は、ローターの新品時におけるパッドの外表面から外側のローターの外表面までの距離Lout_rot_0とローターの新品時におけるパッドの内表面から内側のローターの内表面までの距離Lin_rot_0とを予め保持しており、画像認識によって認識したパッドおよびローターを参照して、パッドの外表面からローターの外表面までの距離Lout_rot_vh_insを検出するとともに、パッドの内表面からローターの内表面までの距離Lin_rot_vh_insを検出し、ローターの新品時における距離Lout_rot_0から距離Lout_rot_vh_insを減算して車検時におけるパッドの外側の減少量(=Lout_rot_0-Lout_rot_vh_ins)を算出するとともに、ローターの新品時における距離Lin_rot_0から距離Lin_rot_vh_insを減算して車検時におけるパッドの内側の減少量(=Lin_rot_0-Lin_rot_vh_ins)を算出することによって、車検時におけるパッドの外側の減少量(=Lout_rot_0-Lout_rot_vh_ins)とパッドの内側の減少量(=Lin_rot_0-Lin_rot_vh_ins)とを観測する。
【0264】
そして、診断手段5は、ローターの外側の減少量(=Lout_rot_0-Lout_rot_vh_ins)が内側の減少量(=Lin_rot_0-Lin_rot_vh_ins)よりも多いか否かを判定する。
【0265】
診断手段5は、ローターの外側の減少量(=Lout_rot_0-Lout_rot_vh_ins)が内側の減少量(=Lin_rot_0-Lin_rot_vh_ins)よりも多くないと判定したとき、キャリパーが正常であると診断する。
【0266】
一方、診断手段5は、ローターの外側の減少量(=Lout_rot_0-Lout_rot_vh_ins)が内側の減少量(=Lin_rot_0-Lin_rot_vh_ins)よりも多いと判定したとき、キャリパーが不具合と診断し、キャリパーを調整すべきと診断する。
【0267】
(VII)後輪のブレーキの診断
図17は、後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))とホイールシリンダとを示す画像である。
【0268】
診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって
図17に示す後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))とホイールシリンダとを認識する。
【0269】
そして、診断手段5は、画像認識によって認識した後輪のドラムを参照して、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5(例えば、2mm)以下であるか否かを判定する。ここで、規準値STD5は、ブレーキシューを交換すべきであることを表わす規準である。
【0270】
診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5以下でないと判定したとき、画像認識によって認識したブレーキシュー(リーディング)を参照して、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れがあるか否かを判定する。
【0271】
診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れが無いと判定したとき、ブレーキシュー(リーディング)の交換が不要であると診断する。
【0272】
一方、診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5以下であると判定したとき、またはブレーキシュー(リーディング)にひび割れがあると判定したとき、ブレーキシュー(リーディング)の交換が必要であると診断する。
【0273】
その後、診断手段5は、画像認識によって認識した後輪のドラムを参照して、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下であるか否かを判定する。
【0274】
診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下でないと判定したとき、画像認識によって認識したブレーキシュー(トレーディング)を参照して、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れがあるか否かを判定する。
【0275】
診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れが無いと判定したとき、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が不要であると診断する。
【0276】
一方、診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下であると判定したとき、またはブレーキシュー(トレーディング)にひび割れがあると判定したとき、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が必要であると診断する。
【0277】
引き続いて、診断手段5は、画像認識によって認識したホイールシリンダを参照して、ホイールシリンダからのオイル漏れがあるか否かを判定する。
【0278】
診断手段5は、ホイールシリンダからのオイル漏れがあると判定したとき、ホイールシリンダの交換が必要であると診断する。
【0279】
一方、診断手段5は、ホイールシリンダからのオイル漏れが無いと判定したとき、ホイールシリンダの交換が不要であると診断する。
【0280】
上述した後輪のブレーキの診断においては、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5よりも大きくても、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れがあれば、ブレーキシュー(リーディング)の交換が必要であると診断する。
【0281】
また、上述した後輪のブレーキの診断においては、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5よりも大きくても、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れがあれば、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が必要であると診断する。
【0282】
上述した(I)タイヤの診断、(II)バッテリの診断、(III)エンジンオイルの診断、(IV)オイルエレメントの診断および(V)冷却装置のベルトの診断においては、診断手段5は、熟練整備士による点検方法に従ってタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトを診断する。
【0283】
図18は、診断部品と熟練整備士の点検方法との対応表を示す概略図である。
図18を参照して、対応表TBL_INSPは、診断部品と、熟練整備士の点検方法とを含む。診断部品および熟練整備士の点検方法は、相互に対応付けられる。
【0284】
診断部品がタイヤであるとき、熟練整備士の点検方法は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1と、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する点検方法INSP_M2とからなる。
【0285】
また、診断部品がバッテリであるとき、熟練整備士の点検方法は、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M3からなる。
【0286】
更に、診断部品がエンジンオイルであるとき、熟練整備士の点検方法は、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M4からなる。
【0287】
更に、診断部品がオイルエレメントであるとき、熟練整備士の点検方法は、点検を見落とし易い部品の点検忘れを防止する点検方法INSP_M5からなる。
【0288】
更に、診断部品が冷却装置のベルトであるとき、熟練整備士の点検方法は、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する点検方法INSP_M6からなる。
【0289】
診断手段5は、対応表TBL_INSPを保持する。そして、診断手段5は、診断部品がタイヤであるとき、対応表TBL_INSPから点検方法INSP_M1,INSP_M2を検出し、その検出した点検方法INSP_M1,INSP_M2に従って上述した方法によってタイヤを診断する。
【0290】
また、診断手段5は、診断部品がバッテリであるとき、対応表TBL_INSPから点検方法INSP_M3を検出し、その検出した点検方法INSP_M3に従って上述した方法によってバッテリを診断する。
【0291】
更に、診断手段5は、診断部品がエンジンオイルであるとき、対応表TBL_INSPから点検方法INSP_M4を検出し、その検出した点検方法INSP_M4に従って上述した方法によってエンジンオイルを診断する。
【0292】
更に、診断手段5は、診断部品がオイルエレメントであるとき、対応表TBL_INSPから点検方法INSP_M5を検出し、その検出した点検方法INSP_M5に従って上述した方法によってオイルエレメントを診断する。
【0293】
更に、診断手段5は、診断部品が冷却装置のベルトであるとき、対応表TBL_INSPから点検方法INSP_M6を検出し、その検出した点検方法INSP_M6に従って上述した方法によって冷却装置のベルトを診断する。
【0294】
なお、診断手段5は、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキを診断する際には、熟練整備士による点検方法を用いずに、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキを診断する。これは、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキの診断は、部品の減少量を観測して行われるので、部品点検の経験が少ない整備士と熟練整備士との間で点検結果に大きな差(例えば、部品交換要との点検結果と部品交換不要との点検結果との差)が生じ難いからである。
【0295】
従って、実施の形態1においては、診断手段5は、部品点検の経験が熟練整備士よりも少ない整備士と熟練整備士との間で点検結果に大きな差が生じ得る部品について、熟練整備士による点検方法に従って部品を診断する。これによって、診断手段5による部品の診断結果DGSを熟練整備士による点検結果に一致させることができる。その結果、車検の品質を向上できる。
【0296】
図19は、診断手段5による診断結果DGSを示す概略図である。
図19を参照して、診断結果DGSは、診断部品と診断結果とを含む。診断部品および診断結果は、相互に対応付けられる。
【0297】
診断部品は、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキからなる。そして、タイヤは、前輪の右側タイヤ、前輪の左側タイヤ、後輪の右側タイヤおよび後輪の左側タイヤからなる。なお、前輪の右側タイヤ、前輪の左側タイヤ、後輪の右側タイヤおよび後輪の左側タイヤは、例えば、車検対象の車の進行方向を向いたときの名称である。オイルエレメントは、オイルフィルタと、オイルパンのオイルドレンボルトとからなる。前輪のブレーキは、ローターとキャリパーとからなる。後輪のブレーキは、ブレーキシュー(リーディング)と、ブレーキシュー(トレーディング)と、ホイールシリンダとからなる。
【0298】
診断結果は、診断部品がタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルフィルタ、冷却装置のベルト、ブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダであるとき、交換要または交換不要からなり、診断部品がオイルパンのオイルドレンボルトであるとき、“閉める必要あり”または“閉める必要なし”からなり、診断部品がローターおよびキャリパーであるとき、正常または不具合からなる。
【0299】
診断手段5は、上述した方法によって、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキを診断すると、診断結果DGSを作成し、その作成した診断結果DGSを制御手段3へ出力し、制御手段3は、診断結果DGSを作成手段6へ出力する。
【0300】
図20は、整備士による点検結果ISPを示す概略図である。
図20を参照して、点検結果ISPは、点検部品と点検結果とを含む。点検部品および点検結果は、相互に対応付けられる。
【0301】
点検部品は、ハンドルの操作具合、ブレーキペダルの遊び及び踏み込んだときの床板とのすき間、・・・、クリップボルト、・・・、ラジエータ漏れ、・・・、冷却ファン動作状態、・・・、ウォッシャー液、・・・、ミッションオイル、・・・からなる。
【0302】
図20においては、点検部品として、ハンドルの操作具合等の一部の部品が示されているが、実際には、点検部品は、
図3から
図6に示す法定項目および独自項目における部品のうち、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキ以外の部品からなる。
【0303】
点検結果は、点検部品がハンドルの操作具合、ブレーキペダルの遊び及び踏み込んだときの床板とのすき間、および冷却ファン動作状態であるとき、良好/不良からなり、点検部品がクリップボルトであるとき、緩み有り/緩み無しからなり、点検部品がラジエータ漏れであるとき、漏れ有り/漏れ無しからなり、点検部品がウォッシャー液であるとき、適量/不足からなり、点検部品がミッションオイルであるとき、適量/不足/汚れ有り/汚れ無しからなる。
【0304】
受付手段2は、整備士による点検結果ISPを受け付け、その受け付けた点検結果ISPを制御手段3へ出力し、制御手段3は、受付手段2から受けた点検結果ISPを作成手段6へ出力する。
【0305】
車検装置10の作成手段6の動作について説明する。作成手段6は、整備士による部品の点検結果ISPと、診断手段5による部品の診断結果DGSとを制御手段3から受ける。
【0306】
作成手段6は、各部品と、各部品の価格または整備料金とを対応付けた対応表TBL_PRCを保持する。作成手段6は、整備士による部品の点検結果ISPと、診断手段5による部品の診断結果DGSとを制御手段3から受けると、整備士による部品の点検結果ISPから不良である部品を検出し、対応表TBL_PRCを参照して、検出した不良である部品の価格を検出する。
【0307】
また、作成手段6は、整備士による部品の点検結果ISPから不足を検出し、対応表TBL_PRCを参照して、ウォッシャー液を補充する整備料金を検出する。
【0308】
更に、作成手段6は、整備士による部品の点検結果ISPから汚れ有りを検出し、対応表TBL_PRCを参照して、ミッションオイルから汚れを除去する整備料金を検出する。
【0309】
更に、作成手段6は、診断手段5による部品の診断結果DGSから交換要である部品を検出し、対応表TBL_PRCを参照して、検出した交換要である部品の価格を検出する。この場合、作成手段6は、交換要である部品の価格の検出を交換要である全ての部品について実行する。
【0310】
更に、作成手段6は、診断手段5による部品の診断結果DGSから不具合である部品を検出し、不具合である部品の整備士による整備料金を対応表TBL_PRCから検出する。作成手段6は、不具合である部品および整備料金の検出を不具合である部品の全てについて実行する。
【0311】
そして、作成手段6は、検出した交換要である部品が法定項目における部品であるとき、検出した交換要である部品を見積書SCHDの法定項目における交換部品の欄に格納するとともに、格納した交換要である部品に対応する見積額の欄に部品の価格を格納し、検出した交換要である部品が独自項目における部品であるとき、検出した交換要である部品を見積書SCHDの独自項目における交換部品の欄に格納するとともに、格納した交換要である部品に対応する見積額の欄に部品の価格を格納する。作成手段6は、検出した交換要である部品および部品の価格の見積書SCHDへの格納を、検出した交換要である部品の全てについて実行する。
【0312】
また、作成手段6は、整備士による部品の点検結果ISPからの交換要である部品の検出と、対応表TBL_PRCからの交換要である部品の価格の検出と、その検出した部品および価格の見積書SCHDへの格納とを、上述した診断結果DGSに基づく動作と同じ動作によって行う。
【0313】
更に、作成手段6は、診断結果DGSから不具合の部品(整備士による整備対象であ部品)を検出するとともに対応表TBL_PRCから整備士による整備料金を検出する。そして、作成手段6は、整備対象の部品と整備士による整備料金との見積書SCHDへの格納を、上述した診断結果DGSに基づく動作と同じ動作によって行う。
【0314】
更に、作成手段6は、整備士による部品の点検結果ISPから整備士による整備対象である部品を検出するとともに対応表TBL_PRCから整備士による整備料金を検出する。そして、作成手段6は、整備対象の部品と整備士による整備料金との見積書SCHDへの格納を、上述した診断結果DGSに基づく動作と同じ動作によって行う。
【0315】
更に、作成手段6は、車検に必要な費用を見積書SCHDに格納し、見積書SCHDを作成する。そして、作成手段6は、作成した見積書SCHDを制御手段3へ出力する。
【0316】
車検装置10の応答手段7の動作について説明する。
図21から
図23は、それぞれ、番号と、質問と、類似の質問または言い換えと、回答と、カテゴリとの対応関係を示す対応表の第1から第3の概略図である。
【0317】
図21から
図23を参照して、番号、質問、類似の質問または言い換え、回答、およびカテゴリは、相互に対応付けられる。番号は、質問の番号を表す。カテゴリは、車検/手続き/案内または修理/整備からなる。
【0318】
対応表TBL1~TBL3の各々において、「類似の質問または言い換え」は、質問に類似の質問または質問を言い換えた質問を表す。
【0319】
応答手段7は、対応表TBL1~TBL3を保持する。応答手段7は、車検についての質問を制御手段3から受けると、対応表TBL1~TBL3を参照して、その受けた車検についての質問と同じ質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれるか否かを検索する。
【0320】
応答手段7は、検索の結果、車検についての質問と同じ質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれているとき、対応表TBL1~TBL3の質問欄に格納された質問(=顧客の端末装置30からの“車検についての質問”と同じ質問)に対応付けられた回答欄の回答を検出し、その検出した回答を“車検についての質問”に対する回答として制御手段3へ出力する。
【0321】
一方、応答手段7は、検索の結果、車検についての質問と同じ質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれていないとき、対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に“車検についての質問”と同じ質問が含まれるか否かを検索する。
【0322】
応答手段7は、検索の結果、“車検についての質問”と同じ質問が対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に含まれているとき、対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に格納された質問(=“車検についての質問”に類似の質問または言い換えた質問)に対応付けられた回答欄の回答を検出し、その検出した回答を“車検についての質問”に対する回答として制御手段3へ出力する。
【0323】
応答手段7は、検索の結果、“車検についての質問”と同じ質問が対応表TBL2の番号14の質問であるとき、対応表TBL2の回答欄に格納された複数の回答を全て検出し、その検出した複数の回答の全てを“車検についての質問”に対する回答としてもよいし、対応表TBL2の回答欄に格納された複数の回答のうちの1つの回答を“車検についての質問”に対する回答としてもよいし、対応表TBL2の回答欄に格納された複数の回答のうちのn(nは、2≦n<回答の総数を表す整数)個の回答を“車検についての質問”に対する回答としてもよい。
【0324】
応答手段7は、検索の結果、“車検についての質問”と同じ質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれず、かつ、“車検についての質問”が対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に含まれていないとき、「整備士に問い合わせて下さい」からなるメッセージを生成し、その生成したメッセージ=「整備士に問い合わせて下さい」を“車検についての質問”に対する回答として制御手段3へ出力する。
【0325】
図24および
図25は、それぞれ、
図10に示す車検装置10および端末装置30の動作を説明するための第1および第2のフローチャートである。
【0326】
図24を参照して、車検装置10および端末装置30の動作が開始されると、顧客の端末装置30は、上述した方法によって、ネットワーク40を介して車検の申込を車検装置10へ送信する(ステップS1)。
【0327】
車検装置10の受信手段1は、ネットワーク40を介して車検の申込を顧客の端末装置30から受信し(ステップS2)、その受信した車検の申込を制御手段3へ出力する。
【0328】
制御手段3は、受信手段1から車検の申込を受け、顧客の端末装置30からの車検の申込を受け付ける。
【0329】
そして、制御手段3は、車検の申込を表示手段8へ出力し、表示手段8は、制御手段3から車検の申込を受けると、車検の申込を表示する(ステップS3)。表示手段8が車検の申込を表示すると、整備士は、車検の申込があったことを検知し、部品を点検する。
【0330】
ステップS3の後、制御手段3は、車検の申込に応じて指示信号S_INST1を生成し、その生成した指示信号S_INST1をカメラ4へ出力する。
【0331】
カメラ4は、制御手段3からの指示信号S_INST1に応じて、自動診断の対象となる第1の点検箇所を示す第1の画像IMG1を撮影し(ステップS4)、その撮影した第1の画像IMG1を制御手段3へ出力する。
【0332】
その後、制御手段3は、指示信号S_INST2を生成し、その生成した指示信号S_INST2をカメラ4へ出力する。カメラ4は、制御手段3からの指示信号S_INST2に応じて、整備士による点検過程を示す第2の画像IMG2を撮影し(ステップS5)、その撮影した第2の画像IMG2を制御手段3へ出力する。
【0333】
制御手段3は、カメラ4から第1の画像IMG1を受けると、その受けた第1の画像IMG1を診断手段5へ出力する。
【0334】
診断手段5は、制御手段3から第1の画像IMG1を受けると、第1の画像IMG1に基づいて第1の点検箇所における部品を診断し(ステップS6)、診断結果DGSを制御手段3へ出力する。
【0335】
そして、受付手段2は、整備士による点検対象である第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果ISPを受け付け(ステップS7)、その受け付けた点検結果ISPを制御手段3へ出力する。
【0336】
その後、制御手段3は、受付手段2から受けた点検結果ISPと診断手段5から受けた診断結果DGSとを作成手段6へ出力する。
【0337】
作成手段6は、制御手段3から点検結果ISPおよび診断結果DGSを受け、その受けた点検結果ISPおよび診断結果DGSに基づいて、上述した方法によって見積書SCHDを作成し(ステップS8)、その作成した見積書SCHDを制御手段3へ出力する。
【0338】
制御手段3は、第1の画像IMG1および第2の画像IMG2をカメラ4から受け、見積書SCHDを作成手段6から受けると、見積書SCHD、第1の画像IMG1および第2の画像IMG2を送信手段9へ出力する。送信手段9は、見積書SCHD、第1の画像IMG1および第2の画像IMG2を制御手段3から受けると、ネットワーク40を介して、見積書SCHD、第1の画像IMG1および第2の画像IMG2を顧客の端末装置30へ送信する(ステップS9)。
【0339】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介して、見積書SCHD、第1の画像IMG1および第2の画像IMG2を受信する(ステップS10)。
【0340】
そして、顧客の端末装置30は、見積書SCHD、第1の画像IMG1および第2の画像IMG2を表示手段によって表示する(ステップS11)。
【0341】
図25を参照して、
図24のステップS11の後、顧客の端末装置30は、顧客から車検についての質問が入力されたか否かを判定することによって車検について質問があるか否かを判定する(ステップS12)。この場合、顧客の端末装置30は、顧客から車検についての質問が入力されたと判定したとき、車検について質問があると判定し、顧客から車検についての質問が入力されなかったと判定したとき、車検について質問が無いと判定する。
【0342】
ステップS12において、車検について質問が有ると判定されたとき、顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介して、顧客から入力された質問を車検装置10へ送信する(ステップS13)。
【0343】
車検装置10の受信手段1は、ネットワーク40を介して、質問を顧客の端末装置30から受信し(ステップS14)、その受信した質問を制御手段3へ出力する。
【0344】
制御手段3は、受信手段1から質問を受けると、その受けた質問を応答手段7へ出力する。
【0345】
応答手段7は、制御手段3から質問を受けると、上述した方法によって、その受けた質問に対する回答を制御手段3へ出力する。
【0346】
制御手段3は、応答手段7から回答を受けると、その受けた回答を送信手段9へ出力する。送信手段9は、制御手段3から回答を受けると、ネットワーク40を介して回答を顧客の端末装置30へ送信する(ステップS15)。
【0347】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介して回答を受信し、その受信した回答を表示手段によって表示する(ステップS16)。
【0348】
そして、顧客の端末装置30は、回答を表示した後、ステップS13において送信した質問と類似する質問を顧客から受け付けたか否かを判定することによって、顧客が回答を承諾したか否かを判定する(ステップS17)。この場合、顧客の端末装置30は、回答を表示した後、ステップS13において送信した質問と類似する質問を顧客から受け付けたと判定したとき、顧客が回答を承諾しなかったと判定し、回答を表示した後、ステップS13において送信した質問と類似する質問を顧客から受け付けなかったと判定したとき、顧客が回答を承諾したと判定する。
【0349】
そして、顧客の端末装置30は、ステップS13において送信した質問と類似する質問であるか否かを自然言語処理における類似文書検索によって判定する。
【0350】
顧客の端末装置30は、形態素解析の処理によって質問を単語単位に分割する。その後、顧客の端末装置30は、1つの質問における各単語の出現回数を数え、長さが語彙数となるベクトルを生成する。顧客の端末装置30は、質問をベクトルに変換する処理を、ステップS13において送信した質問と、ステップS17において受け付けた質問とについて実行する。そうすると、顧客の端末装置30は、ステップS13において送信した質問から生成されたベクトルqと、ステップS17において受け付けた質問から生成されたベクトルkとのコサイン類似度を次式によって算出する。
【0351】
【0352】
式(1)において、mは、ベクトルq,kの長さを表す。
【0353】
コサイン類似度は、-1~1の範囲の値を取る。そして、顧客の端末装置30は、コサイン類似度がしきい値th_cos(例えば、0<th_cos≦1)以上であるとき、ステップS17において受け付けた質問が、ステップS13において送信した質問と類似すると判定する。即ち、顧客の端末装置30は、ステップS17において受け付けた質問が、ステップS13において送信した質問と同じ方向を向いているとき、ステップS17において受け付けた質問が、ステップS13において送信した質問と類似すると判定する。
【0354】
一方、顧客の端末装置30は、コサイン類似度がしきい値th_cos(例えば、0<th_cos≦1)以上でないとき、ステップS17において受け付けた質問が、ステップS13において送信した質問と類似しないと判定する。即ち、顧客の端末装置30は、ステップS17において受け付けた質問が、ステップS13において送信した質問と同じ方向を向いていないとき、ステップS17において受け付けた質問が、ステップS13において送信した質問と類似しないと判定する。
【0355】
ステップS17において、回答が承諾されなかったと判定されたとき、顧客の端末装置30の動作は、ステップS13へ移行し、ステップS17において、回答が承諾されたと判定されるまで、上述したステップS13~S17が繰り返し実行される。
【0356】
そして、ステップS17において、回答が承諾されたと判定されたとき、顧客の端末装置30の動作は、ステップS12へ移行する。
【0357】
その後、ステップS12において、車検について質問が無いと判定されるまで、上述したステップS12~S17が繰り返し実行される。
【0358】
そして、ステップS12において、車検について質問が無いと判定されると、顧客の端末装置30は、見積書SCHDを承諾し、車検の開始を指示する指示書ISTを作成し、ネットワーク40を介して指示書ISTを車検装置10へ送信する(ステップS18)。
【0359】
車検装置10の受信手段1は、ネットワーク40を介して車検の指示書ISTを受信し(ステップS19)、その受信した指示書ISTを制御手段3へ出力する。
【0360】
制御手段3は、診断結果DGSを診断手段5から受けるとともに指示書ISTを受信手段1から受け、その受けた診断結果DGSおよび指示書ISTを表示手段8へ出力し、表示手段8は、制御手段3から受けた診断結果DGSおよび指示書ISTを表示する(ステップS20)。
【0361】
制御手段3は、診断結果DGSおよび指示書ISTを表示手段8へ出力すると、指示信号S_INST3を生成してカメラ4へ出力する。
【0362】
カメラ4は、制御手段3からの指示信号S_INST3に応じて、整備士による整備過程を示す第3の画像IMG3を撮影し(ステップS21)、その撮影した3の画像IMG3を制御手段3へ出力する。
【0363】
そして、受付手段2は、整備士による車両の整備が完了すると、車検における整備作業の完了を受け付け(ステップS22)、その受け付けた整備作業の完了を制御手段3へ出力する。
【0364】
制御手段3は、受付手段2から整備作業の完了を受けると、その受けた整備作業の完了を作成手段6へ出力する。
【0365】
作成手段6は、制御手段3から整備作業の完了を受けると、その受けた整備作業の完了に応じて、車検の完了報告FRPTを作成し、その作成した車検の完了報告FRPTを制御手段3へ出力する。
【0366】
制御手段3は、作成手段6から車検の完了報告FRPTを受けると、車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を送信手段9へ出力する。
【0367】
送信手段9は、制御手段3から車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を受けると、ネットワーク40を介して、車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を顧客の端末装置30へ送信する(ステップS23)。
【0368】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介して、車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を車検装置10から受信し、車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を表示手段によって表示する(ステップS24)。これによって、車検装置10および顧客の端末装置30の動作が終了する。
【0369】
図26は、
図24に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0370】
図26を参照して、
図24のステップS5の後、受付手段2は、自動診断用の入力情報IPT_infoを受け付け(ステップS61)、その受け付けた入力情報IPT_infoを制御手段3へ出力する。ここで、入力情報IPT_infoは、上述した表1に示す入力情報IPT_info1~IPT_info5からなる。
【0371】
ステップS61の後、制御手段3は、入力情報IPT_infoおよび第1の画像IMG1を診断手段5へ出力する。
【0372】
診断手段5は、入力情報IPT_infoおよび第1の画像IMG1を制御手段3から受ける。そして、診断手段5は、入力情報IPT_infoおよび第1の画像IMG1に基づいて第1の点検箇所における部品を診断し、診断結果DGSを制御手段3へ出力する(ステップS62)。その後、車検装置10の動作は、
図24のステップS7へ移行する。
【0373】
図27は、
図26のステップS62の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0374】
図27を参照して、
図26のステップS61の後、車検装置10の診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってタイヤを認識し、その認識したタイヤと、入力情報IPT_info1=[タイヤの新品時から車検時までの走行距離x
0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離d(mm)]とに基づいてタイヤの交換要否を診断し、タイヤの診断結果を作成する(ステップS621)。
【0375】
次に、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識し、その認識した走行距離メータと、入力情報IPT_info2=[車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1(km)]とに基づいてバッテリの交換要否を診断し、バッテリの診断結果を作成する(ステップS622)。
【0376】
引き続いて、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識し、その認識したレベルゲージと、入力情報IPT_info3=[前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時からの走行距離x2(km)]とに基づいてエンジンオイルの交換要否を診断し、エンジンオイルの診断結果を作成する(ステップS623)。
【0377】
更に、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってオイルパンのオイルドレンボルト(=オイル抜き用の栓)を認識し、その認識したオイルパンのオイルドレンボルト(=オイル抜き用の栓)と、入力情報IPT_info4=[車検時以前におけるオイルの交換回数NB]とに基づいて、オイルエレメントの交換要否およびオイルパンのオイルドレンボルト(=オイル抜き用の栓)を閉める必要があるか否かを診断し、オイルエレメントの診断結果を作成する(ステップS624)。
【0378】
更に、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって冷却装置のベルトを認識し、その認識した冷却装置のベルトと、入力情報IPT_info5=[冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)]とに基づいて冷却装置のベルトの交換要否およびベルトの状態を診断し、冷却装置のベルトの診断結果を作成する(ステップS625)。
【0379】
更に、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって前輪のパッドおよびローターを認識し、その認識した前輪のパッドおよびローターに基づいて前輪のローターおよびキャリパーを診断し、前輪のローターおよびキャリパーの診断結果を作成する(ステップS626)。
【0380】
更に、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))を認識し、その認識した後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))に基づいて後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)、およびホイールシリンダの交換要否を診断し、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)、およびホイールシリンダの診断結果を作成する(ステップS627)。
【0381】
そして、診断手段5は、タイヤの診断結果、バッテリの診断結果、エンジンオイルの診断結果、オイルエレメントの診断結果、冷却装置のベルトの診断結果、前輪のローターおよびキャリパーの診断結果および後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)、およびホイールシリンダの診断結果に基づいて、診断結果DGSを作成し(ステップS628)、その作成した診断結果DGSを制御手段3へ出力する。その後、車検装置10の動作は、
図24のステップS7へ移行する。
【0382】
図28は、
図27のステップS621の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0383】
図28を参照して、
図26のステップS61の後、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってタイヤのトレッド部(タイヤの路面に接触する部分)およびサイドウォール(タイヤの側面)と、タイヤの溝とを認識する(ステップS6211)。
【0384】
そして、診断手段5は、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤのトレッド部(タイヤの路面に接触する部分)との距離d(mm)とを入力情報IPT_info1から検出する(ステップS6212)。
【0385】
その後、診断手段5は、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する(ステップS6213)。ここで、タイヤ交換すべき走行距離は、例えば、40,000(km)である。
【0386】
ステップS6213において、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5は、距離dが規準値STD1(例えば、2mm)以下であるか否かを判定する(ステップS6214)。
【0387】
ステップS6214において、距離dが規準値STD1以下でないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識したタイヤの溝(スリップサインが設けられた溝)を参照して、タイヤの溝に設けられたスリップサインが溝から出ているか否かを判定す(ステップS6215)。ここで、
図12に示す距離dが1mm未満であるとき、タイヤの溝に設けられたスリップサインが溝から出ていると判定され、
図12に示す距離dが1mm以上であるとき、タイヤの溝に設けられたスリップサインが溝から出ていないと判定される。
【0388】
ステップS6215において、スリップサインが溝から出ていないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識したタイヤのトレッド部およびサイドウォールを参照して、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあるか否かを判定する(ステップS6216)。ここで、タイヤのトレッド部は、タイヤの路面に接触する部分であり、タイヤのサイドウォールは、タイヤの側面である。
【0389】
ステップS6216において、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびが無いと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識したタイヤの側面を参照して、タイヤの製造日を検出し、タイヤの製造日から車検時までの月数で走行距離x0を除算して1ヵ月当たりの走行距離xmonthを算出し、走行距離xmonthに基づいて車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthを算出する(ステップS6217)。
【0390】
そうすると、診断手段5は、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する(ステップS6218)。
【0391】
ステップS6218において、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5は、タイヤ交換が不要であると診断する(ステップS6219)。
【0392】
一方、ステップS6213において、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS6214において、距離dが規準値STD1以下であると判定されたとき、またはステップS6215において、スリップサインがひび割れていると判定されたとき、またはステップS6216において、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定されたとき、またはステップS6218において、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、診断手段5は、タイヤ交換が必要であると診断する(ステップS6220)。
【0393】
そして、ステップS6219またはステップS6220の後、診断手段5の動作は、
図27のステップS622へ移行する。
【0394】
図28に示すフローチャートのステップS6214において、距離dが規準値STD1以下であると判定されたとき、ステップS6220において、タイヤ交換が必要であると診断するのは、タイヤが擦り減って溝が浅くなり、タイヤがスリップし易くなっているからである。
【0395】
また、
図28に示すフローチャートのステップS6215において、スリップサインが溝から出ていると判定することは、タイヤが摩耗していると判定することに相当する。
【0396】
更に、
図28に示すフローチャートのステップS6216において、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定することは、タイヤのゴムが劣化していると判定することに相当する。
【0397】
従って、診断手段5は、画像認識によって認識したタイヤのトレッド部およびサイドウォールと、タイヤの溝とを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する(ステップS6215の“YES”またはステップS6216の“YES”→ステップS6220参照)。
【0398】
図28において、ステップS6215~ステップS6220は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図28の点線で囲まれた領域参照)。
【0399】
図28に示すフローチャートは、タイヤの診断方法であるので、診断手段5は、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)のタイヤに対応付けられた点検方法INSP_M1,INSP_M2を検出する。
【0400】
そして、診断手段5は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1に従って、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても(ステップS6213の“NO”参照)、画像認識によって認識したタイヤを参照して、スリップサインが溝から出ていると判定したとき、タイヤの摩耗と診断して(即ち、タイヤ自体に問題があるとして)タイヤ交換が必要であると診断する(ステップS6215の“YES”→ステップS6220参照)。
【0401】
また、診断手段5は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1に従って、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても(ステップS6213の“NO”参照)、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定したとき、タイヤのゴムの劣化と診断して(即ち、タイヤ自体に問題があるとして)タイヤ交換が必要であると診断する(ステップS6216の“YES”→ステップS6220参照)。
【0402】
即ち、診断手段5は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1に従って、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても(ステップS6213の“NO”参照)、画像認識によって認識したタイヤを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき(ステップS6215の“YES”またはステップS6216の“YES”参照)、タイヤの交換が必要であると診断する(ステップS6220参照)。
【0403】
更に、診断手段5は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する点検方法INSP_M2に従って、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても(ステップS6213の“NO”参照)、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離に達すると判定したとき、タイヤ交換が必要であると診断する(ステップS6218の“YES”→ステップS6220参照)。
【0404】
このように、診断手段5は、タイヤの診断においては、熟練整備士による点検方法INSP_M1,INSP_M2に従ってタイヤを診断する。
【0405】
更に、
図28に示すフローチャートにおいては、診断手段5は、走行距離x
0がタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否か(ステップS6213参照)、および距離dが規準値STD1以下であるか否か(ステップS6214参照)を判定するとともに、熟練整備士による点検方法INSP_M1,INSP_M2に従って、タイヤの摩耗およびタイヤのゴムの劣化があるか否か(ステップS6215およびステップS6216参照)、および車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離がタイヤ交換すべき走行距離に達するか否か(ステップS6218参照)を判定して、タイヤ交換の要否を診断する(ステップS6219,S6220参照)。
【0406】
このように、診断手段5は、車検時のタイヤの状態だけではなく、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離を予測してタイヤ交換の要否を診断するので、タイヤの診断の信頼性を向上できる。
【0407】
なお、
図28に示すフローチャートのステップS6218においては、診断手段5は、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離に限らず、車検時から次の6か月点検時までの走行距離、または車検時から次の車検時までの走行距離がタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定してもよい。つまり、ステップS6218においては、診断手段5は、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離がタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定してもよい。
【0408】
従って、診断手段5は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する点検方法INSP_M2に従って、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測し、その予測した走行距離がタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断し、その予測した走行距離がタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、タイヤの交換が不要であると診断する。
【0409】
また、タイヤは、車検の法定項目13における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目13における部品(タイヤ)を診断する。
【0410】
図29は、
図27のステップS622の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0411】
図29を参照して、
図27のステップS621の後、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識する(ステップS6221)。
【0412】
また、診断手段5は、車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1とを入力情報IT_info2から検出する(ステップS6222)。
【0413】
そして、診断手段5は、バッテリの充電容量が規準値STD2(例えば、80%)以下であるか否かを判定する(ステップS6223)。
【0414】
ステップS6223において、バッテリの充電容量が規準値STD2以下でないと判定されたとき、診断手段5は、バッテリのスタート容量が規準値STD3(例えば、70%)以下であるか否かを判定する(ステップS6224)。
【0415】
ステップS6224において、バッテリのスタート容量が規準値STD3以下でないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識した走行距離メータを参照して、車検時の走行距離xvh_insを検出する(ステップS6225)。
【0416】
そして、診断手段5は、走行距離xvh_ins,x1に基づいて車両の走行状況を取得する(ステップS6226)。
【0417】
より具体的には、診断手段5は、走行距離xvh_ins,x1に基づいて、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの走行距離xvh_ins-x1を算出し、車検時に最も近い前回の点検時から車検時までの月数で走行距離xvh_ins-x1を除算して1か月当たりの走行距離を算出することによって車両の走行状況を取得する。また、診断手段5は、その算出した1か月当たりの走行距離を1年当たりの走行距離に換算することによって車両の走行状況を取得する。
【0418】
ステップS6226の後、診断手段5は、取得した車両の走行状況がシビア走行であるか否かを判定する(ステップS6227)。
【0419】
ステップS6227において、車両の走行状況がシビア走行に該当しないと判定されたとき、診断手段5は、バッテリの交換が不要であると診断する(ステップS6228)。
【0420】
一方、ステップS6223において、バッテリの充電容量が規準値STD2以下であると判定されたとき、またはステップS6224において、バッテリのスタート容量が規準値STD3以下であると判定されたとき、またはステップS6227において車両の走行状況がシビア走行に該当すると判定されたとき、診断手段5は、バッテリの交換が必要であると診断する(ステップS6229)。
【0421】
そして、ステップS6228またはステップS6229の後、診断手段5の動作は、
図27のステップS623へ移行する。
【0422】
なお、ステップS6224において、バッテリのスタート容量が規準値STD3以下であると判定されたとき、バッテリの交換が必要であると診断する(ステップS6224の“YES”→ステップS6229参照)のは、次の理由による。
【0423】
バッテリの充電容量が規準値STD2未満になると、エンジンを起動でき難くなるが、エンジンを起動できるので、バッテリのスタート容量がエンジンを起動できなくなったこと(=バッテリのスタート容量が規準値STD3以下になったこと)を確認する必要があるからである。
【0424】
図29において、ステップS6225~ステップS6229は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図29の点線で囲まれた領域参照)。
【0425】
図29に示すフローチャートは、バッテリの診断方法であるので、診断手段5は、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)のバッテリに対応付けられた点検方法INSP_M3を検出する。
【0426】
そして、診断手段5は、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M3に従って、バッテリのスタート容量が規準値STD3よりも多くても(ステップS6224の“NO”参照)、車両の走行状況がシビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する(ステップS6227の“YES”→ステップS6229参照)。
【0427】
このように、診断手段5は、バッテリの診断においては、熟練整備士による点検方法INSP_M3に従ってバッテリを診断する。
【0428】
なお、バッテリは、車検の法定項目9における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目9における部品(バッテリ)を診断する。
【0429】
図30は、
図27のステップS623の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0430】
図30を参照して、
図27のステップS622の後、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識する(ステップS6231)。
【0431】
また、診断手段5は、前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2とを入力情報IPT_info3から検出する(ステップS6232)。
【0432】
そして、診断手段5は、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、上述した方法によって、エンジンオイルの量が適量よりも少ないか否かを判定する(ステップS6233)。
【0433】
ステップS6233において、エンジンオイルの量が適量よりも少なくないと判定されたとき、診断手段5は、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する(ステップS6234)。ここで、エンジンオイルを交換すべき走行距離は、例えば、5000kmである。
【0434】
ステップS6234において、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5は、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過したか否かを判定する(ステップS6235)。
【0435】
ステップS6235において、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していないと判定されたとき、診断手段5は、エンジンオイルの交換が不要であると診断する(ステップS6236)。
【0436】
一方、ステップS6233において、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定されたとき、またはステップS6234において、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS6235において、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定されたとき、診断手段5は、エンジンオイルの交換が必要であると診断する(ステップS6237)。
【0437】
そして、ステップS6236またはステップS6237の後、診断手段5の動作は、
図27のステップS624へ移行する。
【0438】
図30において、ステップS6235の~ステップS6237は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図30の点線で囲まれた領域参照)。
【0439】
図30に示すフローチャートは、エンジンオイルの診断方法であるので、診断手段5は、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)のエンジンオイルに対応付けられた点検方法INSP_M4を検出する。
【0440】
そして、診断手段5は、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がエンジンオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M4に従って、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても(ステップS6234の“NO”参照)、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると診断する(ステップS6235の“YES”→ステップS6237参照)。
【0441】
このように、診断手段5は、エンジンオイルの診断においては、熟練整備士による点検方法INSP_M4に従ってエンジンオイルを診断する。
【0442】
なお、エンジンオイルは、車検の法定項目11における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目11における部品(エンジンオイル)を診断する。
【0443】
図31は、
図27のステップS624の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0444】
図31を参照して、
図27のステップS623の後、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってオイルパンのオイルドレンボルトを認識する(ステップS6241)。
【0445】
また、診断手段5は、車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数NBを入力情報IPT_info4から検出する(ステップS6242)。
【0446】
そして、診断手段5は、
図30に示すフローチャートによるエンジンオイルの診断結果に基づいて、車検においてエンジンオイルを交換したか否かを判定する(ステップS6243)。
【0447】
ステップS6243において、車検においてエンジンオイルを交換しなかったと判定されたとき、診断手段5は、車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数NBが規準値STD4(例えば、2)以上であるか否かを判定する(ステップS6244)。
【0448】
一方、ステップS6243において、車検においてエンジンオイルを交換したと判定されたとき、診断手段5は、交換回数NB+1が規準値STD4以上であるか否かを判定する(ステップS6245)。
【0449】
そして、ステップS6244において、交換回数NBが規準値STD4以上であると判定されたとき、またはステップS6245において、交換回数NB+1が規準値STD4以上であると判定されたとき、診断手段5は、オイルフィルタの交換が必要であると診断する(ステップS6246)。
【0450】
一方、ステップS6244において、交換回数NBが規準値STD4以上でないと判定されたとき、またはステップS6245において、交換回数NB+1が規準値STD4以上でないと判定されたとき、診断手段5は、オイルフィルタの交換が不要であると診断する(ステップS6247)。
【0451】
そして、ステップS6246またはステップS6247の後、診断手段5は、画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、オイルパンのオイルドレンボルトが閉まっているか否かを判定する(ステップS6248)。
【0452】
ステップS6248において、オイルパンのオイルドレンボルトが閉まっていないと定されたとき、診断手段5は、オイルドレンボルトを閉める必要があると診断する(ステップS6249)。
【0453】
一方、ステップS6248において、オイルパンのオイルドレンボルトが閉まっていると判定されたとき、診断手段5は、オイルドレンボルトを閉める必要がないと診断する(ステップS6250)。
【0454】
そして、ステップS6249またはステップS6250の後、診断手段5の動作は、
図27のステップS625へ移行する。
【0455】
図31において、車検時以前におけるエンジンオイルの交換回数N
Bが規準値STD4以上であると判定されたとき(ステップS6244の“YES”参照)、または交換回数N
B+1が規準値STD4以上であると判定されたとき(ステップS6245の“YES”)、オイルフィルタの交換が必要であると診断する(ステップS6246参照)のは、規準値STD4以上の回数のオイル交換によってオイルフィルタが汚れているからである。
【0456】
また、
図31において、ステップS6248~ステップS6250は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図31の点線で囲まれた領域参照)。
【0457】
図31に示すフローチャートは、オイルエレメントの診断方法であるので、診断手段5は、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)のオイルエレメントに対応付けられた点検方法INSP_M5を検出する。
【0458】
そして、診断手段5は、点検を見落とし易い部品の点検忘れを防止する点検方法INSP_M5に従って、エンジンオイルの交換回数(NBまたはNB+1)に基づいてオイルフィルタの交換要否を診断した場合(ステップS6244~S6247参照)でも、画像認識によって認識したオイルパンのオイルドレンボルトを参照して、オイルパンのオイルドレンボルトを閉める必要があるか否かを診断する(ステップS6248~ステップS6250参照)。
【0459】
このように、診断手段5は、オイルエレメントの診断においては、熟練整備士による点検方法INSP_M5に従ってオイルエレメントを診断する。
【0460】
なお、オイルエレメントは、車検の法定項目11における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目11における部品(オイルエレメント)を診断する。
【0461】
図32は、
図27のステップS625の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0462】
図32を参照して、
図27のステップS624の後、診断手段5は、第1の画像IGM1に基づいて画像認識によって冷却装置のベルトを認識する(ステップS6251)。
【0463】
また、診断手段5は、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)を入力情報IPT_info5から検出する(ステップS6252)。
【0464】
そして、診断手段5は、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離(例えば、40000km)以上であるか否かを判定する(ステップS6253)。
【0465】
ステップS6253において、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面が変色しているか否か、またはベルトの表面の印字が薄くなっているか否かを判定することによってベルトが摩耗しているか否かを判定する(ステップS6254)。
【0466】
ステップS6254において、ベルトが摩耗していないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面にひび割れがあるか否かを判定する(ステップS6255)。
【0467】
ステップS6255において、ベルトの表面にひび割れが無いと判定されたとき、診断手段5は、冷却装置のベルトが正常であると判定し(ステップS6256)、冷却装置のベルトの交換が不要であると診断する(ステップS6257)。
【0468】
一方、ステップS6255において、ベルトの表面にひび割れがあると判定されたとき、診断手段5は、冷却装置のベルトが放置状態であると判定する(ステップS6258)。
【0469】
そして、ステップS6253において、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS6254において、ベルトが摩耗していると判定されたとき、またはステップS6258において、冷却装置のベルトが放置状態であると判定されたとき、診断手段5は、冷却装置のベルトの交換が必要であると診断する(ステップS6259)。
【0470】
そして、ステップS6257またはステップS6259の後、診断手段5の動作は、
図27のステップS626へ移行する。
【0471】
図32において、ステップS6255~ステップS6259は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図32の点線で囲まれた領域参照)。
【0472】
図32に示すフローチャートは、冷却装置のベルトの診断方法であるので、診断手段5は、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)の冷却装置のベルトに対応付けられた点検方法INSP_M6を検出する。
【0473】
そして、診断手段5は、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する点検方法INSP_M6に従って、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離未満であっても(ステップS6253の“NO”参照)、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、冷却装置のベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、冷却装置のベルトの交換が必要であると診断する(ステップS6255の“YES”→ステップS6258→ステップS6259参照)。
【0474】
このように、診断手段5は、冷却装置のベルトの診断において、熟練整備士による点検方法INSP_M6に従って冷却装置のベルトを診断する。
【0475】
なお、冷却装置のベルトは、車検の法定項目5における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目5における部品(冷却装置のベルト)を診断する。
【0476】
図33は、
図27のステップS626の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0477】
図33を参照して、
図27のステップS625の後、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の前輪のブレーキ部分におけるパッドおよびローターを認識する(ステップS6261)。
【0478】
そして、診断手段5は、画像認識によって認識した前輪のパッドを参照して、前輪のパッドの内側と外側の減少量を観測する(ステップS6262)。
【0479】
その後、診断手段5は、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多いか否かを判定する(ステップS6263)。
【0480】
ステップS6263において、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多くないと判定されたとき、診断手段5は、ローターが正常であると診断する(ステップS6264)。
【0481】
ここで、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多くないと判定されたとき、ローターが正常であると診断するのは、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多くないとき、ローターの表面に歪が無く、パッドが均一にローターを挟んでいるので、ローターが偏摩耗していないからである。
【0482】
一方、ステップS6263において、パッドの外側の減少量がパッドの内側の減少量よりも多いと判定されたとき、診断手段5は、ローターが不具合と診断し、ローターを調整すべきであると診断する(ステップS6265)。
【0483】
そして、診断手段5は、画像認識によって認識した前輪のローターを参照して、上述した方法によって、ローターの内側と外側の減少量を観測する(ステップS6266)。
【0484】
その後、診断手段5は、ローターの外側の減少量が内側の減少量よりも多いか否かを判定する(ステップS6267)。
【0485】
ステップS6267において、ローターの外側の減少量が内側の減少量よりも多いと判定されたとき、診断手段5は、キャリパーが不具合であると診断し、キャリパーを調整すべきであると診断する(ステップS6268)。
【0486】
一方、ステップS6267において、ローターの外側の減少量が内側の減少量よりも多くないと判定されたとき、診断手段5は、キャリパーが正常であると診断する(ステップS6269)。
【0487】
ここで、ローターの外側の減少量が内側の減少量よりも多くないと判定されたとき、キャリパーが正常であると診断するのは、キャリパーが正常に作動しているからである。
【0488】
そして、ステップS6264、ステップS6268およびステップS6269のいずれかの後、診断手段5の動作は、
図27のステップS627へ移行する。
【0489】
なお、前輪のブレーキは、車検の法定項目20における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目20における部品(前輪のブレーキ)を診断する。
【0490】
図34は、
図27のステップS627の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0491】
図34を参照して、
図27のステップS626の後、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の後輪のブレーキ部分におけるドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))と、ホイールシリンダとを認識する(ステップS6271)。
【0492】
そして、診断手段5は、画像認識によって認識したドラムのブレーキシュー(リーディング)を参照して、ブレーキシュー(リーディング)の厚みを計測し、その計測したブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5(例えば、2mm)以下であるか否かを判定する(ステップS6272)。
【0493】
ステップS6272において、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5以下でないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識したドラムのブレーキシュー(リーディング)を参照して、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れがあるか否かを判定する(ステップS6273)。
【0494】
ステップS6273において、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れが無いと判定されたとき、診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)の交換が不要であると診断する(ステップS6274)。
【0495】
一方、ステップS6272において、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5以下であると判定されたとき、またはステップS6273において、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れがあると判定されたとき、診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)の交換が必要であると診断する(ステップS6275)。
【0496】
そして、ステップS6274またはステップS6275の後、診断手段5は、画像認識によって認識したドラムのブレーキシュー(トレーディング)を参照して、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みを計測し、その計測したブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5(例えば、2mm)以下であるか否かを判定する(ステップS6276)。
【0497】
ステップS6276において、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下でないと判定されたとき、診断手段5は、画像認識によって認識したドラムのブレーキシュー(トレーディング)を参照して、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れがあるか否かを判定する(ステップS6277)。
【0498】
ステップS6277において、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れが無いと判定されたとき、診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が不要であると診断する(ステップS6278)。
【0499】
一方、ステップS6276において、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下であると判定されたとき、またはステップS6277において、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れがあると判定されたとき、診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が必要であると診断する(ステップS6279)。
【0500】
そして、ステップS6278またはステップS6279の後、診断手段5は、画像認識によって認識したホイールシリンダを参照して、ホイールシリンダからのオイル漏れがあるか否かを判定する(ステップS6280)。
【0501】
ステップS6280において、ホイールシリンダからのオイル漏れがあると判定されたとき、診断手段5は、ホイールシリンダの交換が必要であると診断する(ステップS6281)。
【0502】
一方、ステップS6280において、ホイールシリンダからのオイル漏れが無いと判定されたとき、診断手段5は、ホイールシリンダの交換が不要であると診断する(ステップS6282)。
【0503】
そして、ステップS6281またはステップS6282の後、車検装置10の動作は、
図27のステップS628へ移行する。
【0504】
図34に示すフローチャートによれば、診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5よりも大きく(ステップS6272の“NO”参照)、かつ、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れが無いとき(ステップS6273の“NO”参照)、ブレーキシュー(リーディング)の交換が不要であると診断する(ステップS6272の“NO”→ステップS6273の“NO”→ステップS6274参照)。
【0505】
また、
図34に示すフローチャートによれば、診断手段5は、ブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5以下であるとき(ステップS6272の“YES”参照)、またはブレーキシュー(リーディング)の厚みが規準値STD5以下でなくても(ステップS6272の“NO”参照)、ブレーキシュー(リーディング)にひび割れがあるとき(ステップS6273の“YES”参照)、ブレーキシュー(リーディング)の交換が必要であると診断する(ステップS6272の“YES”→ステップS6275、またはステップS6272の“NO”→ステップS6273の“YES”→ステップS6275参照)。
【0506】
更に、
図34に示すフローチャートによれば、診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5よりも大きく(ステップS6276の“NO”参照)、かつ、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れが無いとき(ステップS6277の“NO”参照)、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が不要であると診断する(ステップS6276の“NO”→ステップS6277の“NO”→ステップS6278参照)。
【0507】
更に、
図34に示すフローチャートによれば、診断手段5は、ブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下であるとき(ステップS6276の“YES”参照)、またはブレーキシュー(トレーディング)の厚みが規準値STD5以下でなくても(ステップS6276の“NO”参照)、ブレーキシュー(トレーディング)にひび割れがあるとき(ステップS6277の“YES”参照)、ブレーキシュー(トレーディング)の交換が必要であると診断する(ステップS6276の“YES”→ステップS6279、またはステップS6276の“NO”→ステップS6277の“YES”→ステップS6279参照)。
【0508】
従って、ブレーキシュー(リーディング)またはブレーキシュー(トレーディング)の厚みに加え、ブレーキシュー(リーディング)またはブレーキシュー(トレーディング)のひび割れの有無を考慮することによってブレーキシュー(リーディング)またはブレーキシュー(トレーディング)の交換が必要であるか否かを正確に診断できる。
【0509】
更に、
図34に示すフローチャートによれば、診断手段5は、ステップS6272~ステップS6275においてブレーキシュー(リーディング)の交換が必要であるか否かを診断し、その後、ステップS6276~ステップS6279においてブレーキシュー(トレーディング)の交換が必要であるか否かを診断し、その後、ステップS6280~ステップS6282においてホイールシリンダの交換が必要であるか否かを診断する。
【0510】
従って、ブレーキシュー(リーディング)の交換の要否、ブレーキシュー(トレーディング)の交換の要否およびホイールシリンダの交換の要否を相互に独立して診断できる。
【0511】
なお、
図34に示すフローチャートにおいては、ステップS6272~ステップS6275におけるブレーキシュー(リーディング)の交換要否の診断、ステップS6276~ステップS6279におけるブレーキシュー(トレーディング)の交換要否の診断、およびステップS6280~ステップS6282におけるホイールシリンダの交換要否の診断は、[ステップS6272~ステップS6275におけるブレーキシュー(リーディング)の交換要否の診断]、[ステップS6276~ステップS6279におけるブレーキシュー(トレーディング)の交換要否の診断]および[ステップS6280~ステップS6282におけるホイールシリンダの交換要否の診断]の順に実行されてもよく、[ステップS6276~ステップS6279におけるブレーキシュー(トレーディング)の交換要否の診断]、[ステップS6272~ステップS6275におけるブレーキシュー(リーディング)の交換要否の診断]および[ステップS6280~ステップS6282におけるホイールシリンダの交換要否の診断]の順に実行されてもよく、[ステップS6280~ステップS6282におけるホイールシリンダの交換要否の診断]、[ステップS6276~ステップS6279におけるブレーキシュー(トレーディング)の交換要否の診断]、[ステップS6272~ステップS6275におけるブレーキシュー(リーディング)の交換要否の診断]の順に行われてもよく、一般的には、任意の順序で行われてもよい。[ステップS6272~ステップS6275におけるブレーキシュー(リーディング)の交換要否の診断]、[ステップS6276~ステップS6279におけるブレーキシュー(トレーディング)の交換要否の診断]および[ステップS6280~ステップS6282におけるホイールシリンダの交換要否の診断]は、相互に独立して実行可能であるからである。
【0512】
また、後輪のブレーキは、車検の法定項目20における部品であるので、診断手段5は、上述した方法によって、車検の法定項目20における部品(後輪のブレーキ)を診断する。
【0513】
上述した
図28から
図34における診断手段5による診断対象であるタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のブレーキおよび後輪のブレーキは、車検の法定項目における部品である。
【0514】
従って、診断手段5は、車検の法定項目における部品を診断する。
【0515】
図35は、
図25のステップS15の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0516】
図35を参照して、
図25のステップS14の後、車検装置10の応答手段7は、顧客の質問を制御手段3から受けたか否かを判定することによって顧客からの質問があるか否かを判定する(ステップS151)。この場合、応答手段7は、顧客の質問を制御手段3から受けたと判定したとき、顧客からの質問があると判定し、顧客の質問を制御手段3から受けなかったと判定したとき、顧客からの質問が無いと判定する。
【0517】
ステップS151において、顧客からの質問があると判定されると、応答手段7は、対応表TBL1~TBL3を参照して、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれているか否かを検索する(ステップS152)。
【0518】
そして、応答手段7は、検索の結果、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれているか否かを判定する(ステップS153)。
【0519】
ステップS153において、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれていると判定されたとき、応答手段7は、顧客からの質問と同じである“質問欄の質問”に対応する回答を対応表(対応表TBL1~TBL3のいずれか)から検出する(ステップS154)。
【0520】
一方、ステップS153において、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の質問欄に含まれていないと判定したとき、応答手段7は、対応表TBL1~TBL3を参照して、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に含まれているか否かを検索する(ステップS155)。
【0521】
そして、応答手段7は、検索の結果、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に含まれているか否かを判定する(ステップS156)。
【0522】
ステップS156において、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に含まれていると判定されたとき、応答手段7は、[類似の質問または言い換え]の欄の質問に対応する回答を対応表(対応表TBL1~TBL3のいずれか)から検出する(ステップS157)。
【0523】
そして、ステップS154またはステップS157の後、応答手段7は、検出した回答を制御手段3へ出力し、制御手段3は、応答手段7からの回答を送信手段9へ出力し、送信手段9は、ネットワーク40を介して、制御手段3から受けた回答を顧客の端末装置30へ送信する(ステップS158)。
【0524】
一方、ステップS156において、顧客からの質問が対応表TBL1~TBL3の[類似の質問または言い換え]の欄に含まれていないと判定されたとき、応答手段7は、「整備士に問い合わせて下さい」とのメッセージを制御手段3へ出力し、制御手段3は、応答手段7からのメッセージ=「整備士に問い合わせて下さい」を送信手段9へ出力し、送信手段9は、ネットワーク40を介して、制御手段3から受けたメッセージ=「整備士に問い合わせて下さい」を顧客の端末装置30へ送信する(ステップS159)。
【0525】
そして、ステップS158またはステップS159の後、一連の動作は、
図25のステップS16へ移行する。
【0526】
なお、メッセージ=「整備士に問い合わせて下さい」は、車検場の整備士に連絡することを促すメッセージである。そして、応答手段7が制御手段3を介してメッセージ=「整備士に問い合わせて下さい」を送信手段9へ出力することは、応答手段7が車検場の整備士に連絡することを促すメッセージを顧客の質問に対する回答として送信手段9へ出力することに相当する。
【0527】
上述した
図24および
図25に示すフローチャート(
図26から
図35に示すフローチャートを含む)においては、表示手段8が車検の申込を表示すると(ステップS3参照)、整備士は、表示手段8に表示された車検の申込を見て、車検における部品の点検を開始する。
【0528】
そうすると、カメラ4は、指示信号S_INST1に応じて、自動診断の対象となる第1の点検箇所を示す第1の画像IMG1を撮影し(ステップS4参照)、指示信号S_INST2に応じて、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像IMG2を撮影する(ステップS5参照)。また、診断手段5は、第1の画像IMG1に基づいて第1の点検箇所における部品を診断する(ステップS6参照)。
【0529】
その後、受付手段2が第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果ISPを受け付けると(ステップS7参照)、作成手段6が診断結果DGSおよび点検結果ISPに基づいて見積書SCHDを作成し(ステップS8参照)、送信手段9が、ネットワーク40を介して第1および第2の画像IMG1,IMG2と見積書SCHDとを顧客の端末装置30へ送信する(ステップS9参照)。
【0530】
その結果、整備士は、ステップS3において車検の申込が表示された後からステップS7において点検結果ISPが受け付けられるまでの間、車検における部品の点検作業を行う。
【0531】
ステップS9の後、車検装置10と顧客の端末装置30との間で質問と質問に対する回答とのやり取りが行われ(ステップS12~ステップS17参照)、車検装置10において車検の指示書ISTが表示されると(ステップS20参照)、整備士は、表示手段8に表示された指示書ISTを見て、診断結果DGSおよび点検結果ISPに基づいて車検の整備作業を開始する。
【0532】
その結果、カメラ4は、指示信号S_INST3に応じて、整備士による整備過程を示す第3の画像IMG3を撮影する(ステップS21参照)。
【0533】
そして、整備士による整備作業が完了すると、受付手段2によって整備作業の完了が受け付けられる(ステップS22参照)。
【0534】
その結果、整備士は、ステップS20において指示書ISTが表示手段8によって表示された後からステップS22において整備作業の完了が受け付けられるまでの間、車検の整備作業を行う。
【0535】
従って、
図24および
図25に示すフローチャート(
図26から
図35に示すフローチャートを含む)によれば、車検装置10の動作は、整備士による車検の点検作業および整備作業と並行して実行される。
【0536】
そして、車検装置10は、整備士に代わって、第1の画像IMG1、第2の画像IMG2および第3の画像IMG3を撮影し(ステップS4,S5,S21参照)、第1の点検箇所における部品を診断し(ステップS6参照)、見積書SCHDを作成し(ステップS8参照)、ネットワーク40を介して見積書SCHDと第1および第2の画像IMG1,IMG2とを顧客の端末装置30へ送信し(ステップS9参照)、ネットワーク40を介して顧客の質問に対して回答し(ステップS15)、ネットワーク40を介して車検の完了報告FRPTおよび第3の画像IMG3を顧客の端末装置30へ送信する(ステップS23参照)。
【0537】
よって、従来よりも、第1の点検箇所における部品を迅速に診断できるとともに整備士による部品の点検作業に要する時間が減少するので、車検の作業効率を向上できる。
【0538】
また、
図24および
図25に示すフローチャート(
図26から
図35に示すフローチャートを含む)においては、診断手段5は、
図18に示す熟練整備士による点検方法INSP_M1,INSP_M2に従ってタイヤを診断し(
図28のステップS6215~ステップS6220参照)、
図18に示す熟練整備士による点検方法INSP_M3に従ってバッテリを診断し(
図29のステップS6225~ステップS6229参照)、
図18に示す熟練整備士による点検方法INSP_M4に従ってエンジンオイルを診断し(
図30のステップS6235~ステップS6237参照)、
図18に示す熟練整備士による点検方法INSP_M5に従ってオイルエレメントを診断し(
図31のステップS6248~ステップS6250参照)、
図18に示す熟練整備士による点検方法INSP_M6に従って冷却装置のベルトを診断する(
図32のステップS6255~ステップS6259参照)。
【0539】
その結果、診断手段5によるタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトの診断結果が熟練整備士による点検結果に一致する。
【0540】
従って、整備士がタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトを点検する場合に比べ、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメントおよび冷却装置のベルトの診断結果を均一化できる。
【0541】
更に、診断手段5が熟練整備士による点検方法INSP_M1~INSP_M6に従って診断した診断結果DGSを車検の整備作業の経験が少ない整備士に見せることによって、車検の経験が少ない整備士が熟練整備士と同等に車検における点検および整備をできるように車検の経験が少ない整備士を教育することができる。
【0542】
なお、車検装置10が
図24および
図25に示すフローチャートのステップS2~S9,S14,S15,S19~S23(
図26~
図35に示すフローチャートを含む)を実行した後、車検装置10の制御手段3は、車検時における「整備内容S/画像(動画または静止画)/車検証」および「次回点検時/次回点検時の交換推奨項目」を車検時に対応付けてスマート記録簿SRBに格納することによってスマート記録簿SRBを更新する。その結果、スマート記録簿SRBに既に格納されている「整備内容S/画像(動画または静止画)/車検証」および「次回点検時/次回点検時の交換推奨項目」は、過去の整備記録を構成する。
【0543】
車検装置10の制御手段3は、スマート記録簿SRBを更新すると、その更新したスマート記録簿SRBを送信手段9へ出力し、送信手段9は、更新されたスマート記録簿SRBを制御手段3から受けると、ネットワーク40を介して、更新後のスマート記録簿SRBをウェブサーバ20にアップする。
【0544】
車検装置10の制御手段3は、送信手段9およびネットワーク40を介して、スマート記録簿SRBをウェブサーバ20にアップすると、ウェブサーバ20にアクセスするためのURLを生成し、その生成したURLを送信手段9へ出力する。
【0545】
車検装置10の送信手段9は、URLを制御手段3から受けると、その受けたURLをネットワーク40を介して顧客の端末装置30へ送信する。
【0546】
顧客の端末装置30は、ネットワーク40を介してURLを車検装置10から受信する。そして、顧客の端末装置30は、URLを用いてネットワーク40を介してウェブサーバ20にアクセスし、スマート記録簿をダウンロードして表示手段に表示する。
【0547】
従って、顧客は、スマート記録簿を閲覧できる。
【0548】
実施の形態1においては、車検装置10の動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、車検装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。
【0549】
ROMは、
図24および
図25に示すステップS2~S9,S14,S15,S19~S23(
図26から
図35に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_Aを記憶する。
【0550】
そして、CPUは、ROMに記憶されたプログラムProg_Aを読み出して実行し、Web車検を行う。RAMは、見積書SCHD、
図18に示す対応表TBL_INSP、第1の画像IMG1~第3の画像IMG3、点検結果ISPおよび診断結果DGS等を一時的に記憶する。
【0551】
従って、プログラムProg_Aは、Web車検をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
【0552】
また、プログラムProg_Aは、CDおよびDVD等の記録媒体に記録されて流通されてもよい。この場合、コンピュータ(CPU)は、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、Web車検を行う。従って、プログラムProg_Aを記録したCD,DVD等は、プログラムProg_Aを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0553】
図36は、
図1に示す診断手段5が
図27のステップS621~ステップS627を並列処理するときの診断手段5の概略図である。
【0554】
なお、
図27のステップS621~ステップS627を並列処理する診断手段5を“診断手段5A”と表記する。
【0555】
図36を参照して、診断手段5Aは、入力ユニット50と、診断ユニット51~56と、出力ユニット57とを含む。
【0556】
入力ユニット50は、入力情報IPT_info1~IPT_info5および第1の画像IGM1を制御手段3から受ける。
【0557】
そして、入力ユニット50は、入力情報IPT_info1および第1の画像IGM1を診断ユニット51へ出力する。
【0558】
また、入力ユニット50は、入力情報IPT_info2および第1の画像IGM1を診断ユニット52へ出力する。
【0559】
更に、入力ユニット50は、入力情報IPT_info3,IPT_info4および第1の画像IGM1を診断ユニット53へ出力する。
【0560】
更に、入力ユニット50は、入力情報IPT_info5および第1の画像IGM1を診断ユニット54へ出力する。
【0561】
更に、入力ユニット50は、第1の画像IGM1を診断ユニット55および診断ユニット56へ出力する。
【0562】
診断ユニット51は、入力情報IPT_info1および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット51は、入力情報IPT_info1および第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS621を実行してタイヤの診断結果DGS1を作成し、その作成した診断結果DGS1を出力ユニット57へ出力する。
【0563】
診断ユニット52は、入力情報IPT_info2および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット52は、入力情報IPT_info2および第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS622を実行してバッテリの診断結果DGS2を作成し、その作成した診断結果DGS2を出力ユニット57へ出力する。
【0564】
診断ユニット53は、入力情報IPT_info3,IPT_info4および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット53は、入力情報IPT_info3および第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS623を実行してエンジンオイルの診断結果DGS3を作成し、その後、入力情報IPT_info4および第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS624を実行してオイルエレメントの診断結果DGS4を作成する。そして、診断ユニット53は、その作成した診断結果DGS3,DGS4を出力ユニット57へ出力する。
【0565】
診断ユニット54は、入力情報IPT_info5および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット54は、入力情報IPT_info5および第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS625を実行して冷却装置のベルトの診断結果DGS5を作成し、その作成した診断結果DGS5を出力ユニット57へ出力する。
【0566】
診断ユニット55は、第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット55は、第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS626を実行して前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を作成し、その作成した診断結果DGS6を出力ユニット57へ出力する。
【0567】
診断ユニット56は、第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット56は、第1の画像IGM1に基づいて、
図27のステップS627を実行して後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を作成し、その作成した診断結果DGS7を出力ユニット57へ出力する。
【0568】
出力ユニット57は、診断ユニット51からタイヤの診断結果DGS1を受け、診断ユニット52からバッテリの診断結果DGS2を受け、診断ユニット53からエンジンオイルの診断結果DGS3およびオイルエレメントの診断結果DGS4を受け、診断ユニット54から冷却装置のベルトの診断結果DGS5を受け、診断ユニット55から前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を受け、診断ユニット56から後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を受ける。
【0569】
そして、出力ユニット57は、診断結果DGS1~DGS7からなる診断結果DGSを作成し、その作成した診断結果DGSを制御手段3へ出力する。
【0570】
図37は、
図36に示す診断手段5Aの動作を説明するためのフローチャートである。
図37を参照して、
図26のステップS61の後、診断ユニット51、診断ユニット52、診断ユニット53、診断ユニット54、診断ユニット55および診断ユニット56は、それぞれ、ステップS621A、ステップS622A、ステップS623A、ステップS624A、ステップS625AおよびステップS626Aを並列して実行する。
【0571】
この場合、診断ユニット51、診断ユニット52、診断ユニット53、診断ユニット54、診断ユニット55および診断ユニット56の動作は、次の通りである。
【0572】
診断ユニット51は、入力情報IPT_info1および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS621(=
図28に示すフローチャート)を実行してタイヤの診断結果DGS1を作成し(ステップS621A)、その作成したタイヤの診断結果DGS1を出力ユニット57へ出力する。
【0573】
また、診断ユニット52は、入力情報IPT_info2および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS622(=
図29に示すフローチャート)を実行してバッテリの診断結果DGS2を作成し(ステップS622A)、その作成したバッテリの診断結果DGS2を出力ユニット57へ出力する。
【0574】
更に、診断ユニット53は、入力情報IPT_info3および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS623(=
図30に示すフローチャート)を実行してエンジンオイルの診断結果DGS3を作成し、その後、入力情報IPT_info4および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS624(=
図31に示すフローチャート)を実行してオイルエレメントの診断結果DGS4を作成する(ステップS623A)。そして、診断ユニット53は、エンジンオイルの診断結果DGS3およびオイルエレメントの診断結果DGS4を出力ユニット57へ出力する。
【0575】
更に、診断ユニット54は、入力情報IPT_info5および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS625(=
図32に示すフローチャート)を実行して冷却装置のベルトの診断結果DGS5を作成し(ステップS624A)、その作成した冷却装置のベルトの診断結果DGS5を出力ユニット57へ出力する。
【0576】
更に、診断ユニット55は、第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS626(=
図33に示すフローチャート)を実行して前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を作成し(ステップS625A)、その作成した前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を出力ユニット57へ出力する。
【0577】
更に、診断ユニット56は、第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS627(=
図34に示すフローチャート)を実行して後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を作成し(ステップS626A)、その作成した後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を出力ユニット57へ出力する。
【0578】
出力ユニット57は、並行して、それぞれ、診断ユニット51~56から診断結果DGS1,DGS2,DGS3+DGS4,DGS5,DGS6,DGS7を受け、その受けた診断結果DGS1,DGS2,DGS3+DGS4,DGS5,DGS6,DGS7からなる診断結果DGS(=DGS1~DGS7)を作成し(ステップS627A)、その作成した診断結果DGS(=DGS1~DGS7)を制御手段3へ出力する。
【0579】
その後、車検装置10の動作は、
図24のステップS7へ移行する。
【0580】
なお、
図37に示すフローチャートのステップS623Aにおいて、診断ユニット53が、入力情報IPT_info3および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS623(=
図30に示すフローチャート)を実行してエンジンオイルの診断結果DGS3を作成し、その後、入力情報IPT_info4および第1の画像IMG1に基づいて、
図27のステップS624(=
図31に示すフローチャート)を実行してオイルエレメントの診断結果DGS4を作成するのは、
図27のステップS624の詳細な動作を示す
図31のフローチャートのステップS6243において、
図27のステップS623の詳細な動作を示す
図30のフローチャートによるエンジンオイルの交換要否の診断結果を使用して、車検においてエンジンオイルを交換したか否かが判定されるからである。
【0581】
この場合、
図30のフローチャートにおいて、エンジンオイルの交換が必要であると診断された場合、
図31のフローチャートのステップS6243において、車検においてエンジンオイルを交換したと判定され、
図30のフローチャートにおいて、エンジンオイルの交換が不要であると診断された場合、
図31のフローチャートのステップS6243において、車検においてエンジンオイルを交換しなかったと判定される。
【0582】
図37に示すフローチャートによれば、ステップS621A,S622A,S623A,S624A,S625A,S626Aが並列的に実行されるので、
図27に示すフローチャートに従って、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダを診断する場合よりも、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダを迅速に診断できる。従って、車検の作業効率を向上できる。
【0583】
車検装置10の動作が
図27に示すフローチャートに代えて
図37に示すフローチャートに従って実行される場合、ROMは、
図24および
図25に示すステップS2~S9,S14,S15,S19~S23(
図26、
図28から
図35および
図37に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_Bを記憶する。
【0584】
そして、CPUは、ROMに記憶されたプログラムProg_Bを読み出して実行し、Web車検を行う。RAMは、見積書SCHD、
図18に示す対応表TBL_INSP、第1の画像IMG1~第3の画像IMG3、点検結果ISPおよび診断結果DGS等を一時的に記憶する。
【0585】
従って、プログラムProg_Bは、Web車検をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
【0586】
また、プログラムProg_Bは、CDおよびDVD等の記録媒体に記録されて流通されてもよい。この場合、コンピュータ(CPU)は、記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行し、Web車検を行う。従って、プログラムProg_Bを記録したCD,DVD等は、プログラムProg_Bを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0587】
[実施の形態2]
図38は、実施の形態2による車検装置の概略図である。
図38を参照して、実施の形態2による車検装置10Aは、
図1に示す車検装置10の診断手段5を診断手段5Bに変えたものであり、その他は、
図1に示す車検装置10と同じである。
【0588】
診断手段5Bは、入力情報IPT_info(=IPT_info1~IPT_info5)と第1の画像IMG1とを制御手段3から受ける。そして、診断手段5Bは、タイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルトの診断においては、入力情報IPT_info1,IPT_info2,IPT_info3,IPT_info5および第1の画像IMG1に基づいて、重要度が高い診断方法を優先して、タイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルトを診断し、オイルエレメント、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、後輪のブレーキシュー(トレーディング)および後輪のホイールシリンダの診断においては、診断手段5による診断方法と同じ診断方法によって、オイルエレメント、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、後輪のブレーキシュー(トレーディング)および後輪のホイールシリンダを診断する。
【0589】
そして、診断手段5Bは、第1の点検箇所における部品についての診断結果DGSを作成して制御手段3へ出力する。
【0590】
なお、診断手段5Bは、タイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルトの診断においては、熟練整備士による点検方法を使用可能であれば、熟練整備士による点検方法を用いてタイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルトを診断してもよい。この場合、診断手段5Bは、
図18に示す対応表TBL_INSPを保持する。
【0591】
診断手段5Bについてのその他の説明は、診断手段5についての説明と同じである。
【0592】
図39は、
図38に示す車検装置10Aを備えた通信システムの概略図である。
図39を参照して、通信システム100Aは、
図10に示す通信システム100の車検装置10を車検装置10Aに変えたものであり、その他は、
図10に示す通信システム100と同じである。
【0593】
車検装置10A、ウェブサーバ20および端末装置30は、ネットワーク40に接続される。
【0594】
通信システム100Aについてのその他の説明は、上述した通信システム100についての説明と同じである。この場合、通信システム100についての説明における“車検装置10”は、“車検装置10A”に読み替えられる。
【0595】
実施の形態2におけるタイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)、およびホイールシリンダの診断について説明する。
【0596】
(VIII)タイヤの診断
診断手段5Bは、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離d(mm)とを入力情報IPT_info1として制御手段3から受ける。また、診断手段5Bは、第1の画像IMG1を制御手段3から受ける。
【0597】
診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってタイヤのトレッド部(タイヤの路面に接触する部分)、タイヤの溝(スリップサインが配置された溝部分)およびタイヤのサイドウォール(タイヤの側面)を認識する。
【0598】
そして、診断手段5Bは、スリップサインが溝から出ているか否かを判定する。診断手段5Bは、スリップサインが溝から出ていないと判定したとき、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあるか否かを判定する。
【0599】
診断手段5Bは、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびが無いと判定したとき、実施の形態1において説明した方法によって、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthを算出し、その算出した車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する。
【0600】
診断手段5Bは、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する。
【0601】
診断手段5Bは、タイヤの新品時から車検時までの走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、距離dが規準値STD1以下であるか否かを判定する。
【0602】
診断手段5Bは、距離dが規準値STD1以下でないと判定したとき、タイヤ交換が不要であると診断する。
【0603】
一方、診断手段5Bは、スリップサインが溝から出ていると判定したとき、またはタイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定したとき、またはタイヤの新品時から車検時までの走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定したとき、または距離dが規準値STD1以下であると判定したとき、タイヤ交換が必要であると判定する。
【0604】
なお、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定することは、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthが車検時から次の12ヵ月点検時までにタイヤ交換すべき走行距離に達すると判定することに相当し、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定することは、車検時から次の12か月点検時までの走行距離x12monthが車検時から次の12ヵ月点検時までにタイヤ交換すべき走行距離に達しないと判定することに相当する。
【0605】
診断手段5Bによるタイヤの診断についてのその他の説明は、熟練整備士の点検方法に関する記載を除いて“実施の形態1における(I)タイヤの診断”についての説明と同じである。
【0606】
(IX)バッテリの診断
診断手段5Bは、車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1(km)とを入力情報IPT_info2として制御手段3から受ける。
【0607】
ここで、バッテリのスタート容量(単位:%)は、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りているか否かを示す指標であり、バッテリの充電容量は、バッテリが放電可能な電気量(単位:mAh)である。
【0608】
また、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識する。
【0609】
そして、診断手段5Bは、スタート容量が規準値STD3(例えば、70%)以下であるか否かを判定する。
【0610】
診断手段5Bは、スタート容量が規準値STD3以下でないと判定したとき、充電容量が規準値STD2(例えば、80%)以下であるか否かを判定する。
【0611】
診断手段5Bは、充電容量が規準値STD2以下でないと判定したとき、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって認識した走行距離メータを参照して、車検時の走行距離xvh_insを検出する。
【0612】
そして、診断手段5Bは、走行距離xvh_ins,x1に基づいて車両の走行状況を取得する。この場合、診断手段5Bは、実施の形態1において説明した方法によって、走行距離xvh_ins,x1に基づいて車両の走行状況を取得する。
【0613】
そうすると、1年当たりの走行距離が20000km(=20000km/年)以上である走行、または1ヵ月当たりの走行距離が10000km(=10000km/月)以上である走行を「シビア走行」としたとき、診断手段5Bは、取得した走行状況が「シビア走行」であるか否かを判定する。
【0614】
診断手段5Bは、取得した走行状況が「シビア走行」でないと判定したとき、バッテリの交換が不要であると診断する。
【0615】
一方、診断手段5Bは、スタート容量が規準値STD3以下であると判定したとき、または充電容量が規準値STD2以下であると判定したとき、または走行状況が「シビア走行」であると判定したとき、バッテリの交換が必要であると判定する。
【0616】
上述したバッテリの診断方法において、診断手段5Bが、バッテリのスタート容量が規準値STD3よりも多くても(即ち、バッテリがエンジンを起動できるスタート容量を有していても)、車両の走行状況がシビア走行に該当するとき、バッテリの交換が必要であると診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってバッテリの交換が必要であると診断することである。
【0617】
診断手段5Bによるバッテリの診断についてのその他の説明は、“実施の形態1における(II)バッテリの診断”についての説明と同じである。
【0618】
(X)エンジンオイルの診断
診断手段5Bは、前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2とを入力情報IPT_info3として制御手段3から受ける。
【0619】
また、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識する。
【0620】
エンジンオイルの量が
図13に示すオイルレベル2よりも右側であるとき、エンジンオイルの量が適量よりも多いことを表わし、エンジンオイルの量が
図13に示すオイルレベル2の位置であるとき、エンジンオイルの量が適量であることを表わし、エンジンオイルの量がオイルレベル1とオイルレベル2との間であるとき、エンジンオイルの量が適量よりも少ないことを表わす。
【0621】
診断手段5Bは、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する。
【0622】
診断手段5Bは、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、エンジンオイルの量が適量よりも少ないか否かを判定する。
【0623】
より具体的には、診断手段5Bは、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、エンジンオイルがレベルゲージのオイルレベル1とオイルレベル2との間に付着していると判定したとき、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定する。
【0624】
一方、診断手段5Bは、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、エンジンオイルが、レベルゲージのオイルレベル2に付着していると判定したとき、エンジンオイルの量が適量よりも少なくないと判定する(即ち、診断手段5Bは、エンジンオイルの量が適量であると判定する)。
【0625】
診断手段5Bは、エンジンオイルの量が適量よりも少なくないと判定したとき、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過したか否かを判定する。
【0626】
診断手段5Bは、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していないと判定したとき、エンジンオイルの交換が不要であると診断する。
【0627】
一方、診断手段5Bは、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離(例えば、5000km)以上であると判定したとき、またはエンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定したとき、または前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過したと判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると判定する。
【0628】
上述したエンジンオイルの診断方法において、診断手段5Bが、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していれば、エンジンオイルの交換が必要であると診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってエンジンオイルの交換が必要であると診断することである。
【0629】
診断手段5Bによるエンジンオイルの診断についてのその他の説明は、“実施の形態1における(III)エンジンオイルの診断”についての説明と同じである。
【0630】
(XI)冷却装置のベルトの診断
図15の(a)に示すように、新品のベルトにおいては、表面の色が黒く、印字された文字がくっきりと表示されている。
【0631】
一方、
図15の(b)に示すように、中古のベルトにおいては、表面の色が茶色く、印字された文字が薄くなっている。
【0632】
診断手段5Bは、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの車両の走行距離x3(km)を入力情報IPT_info5として制御手段3から受ける。
【0633】
ここで、車検時よりも以前に、冷却装置のベルトの交換が行われていても、車検においては、冷却装置のベルトの新品時からの走行距離x3(km)を考慮して冷却装置のベルトを交換すべきか否かを診断すればよい。
【0634】
また、車検時よりも以前の冷却装置のベルトの交換において、中古のベルトが取り付けられていても、車検においては、ベルトの新品時からの走行距離x3(km)を考慮して冷却装置のベルトを交換すべきか否かを診断すればよい。
【0635】
ベルト自体の劣化を診断するには、ベルトの新品時からの走行距離x3(km)を考慮するのが適切であるからである。
【0636】
従って、冷却装置のベルトの診断においては、ベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)が用いられる。
【0637】
なお、中古のベルトが取り付けられた場合、新品時から取り付け時までの走行距離、中古のベルトが取り付けられた日時、および中古のベルトが取り付けられたときの走行距離が記録されているものとする。その結果、中古のベルトが取り付けられたときの走行距離と車検時の走行距離とに基づいて、中古のベルトを取り付けてから車検時までの走行距離を算出できるので、新品時から取り付け時までの走行距離と中古のベルトを取り付けてから車検時までの走行距離との和をベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)として取得できる。
【0638】
また、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって冷却装置のベルトを認識する(
図15参照)。
【0639】
そして、診断手段5Bは、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する。ベルト交換すべき走行距離は、例えば、40000kmである。
【0640】
診断手段5Bは、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定したとき、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面にひび割れがあるか否かを判定する。
【0641】
診断手段5Bは、ベルトの表面にひび割れが無いと判定したとき、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面が変色しているか否か、またはベルトの表面の印字が薄くなっているか否かを判定することによってベルトが摩耗しているか否かを判定する。
【0642】
この場合、診断手段5Bは、ベルトの表面が変色していると判定したとき、またはベルトの表面の印字が薄くなっていると判定したとき、ベルトが摩耗していると判定する。一方、診断手段5Bは、ベルトの表面が変色していないと判定したとき、またはベルトの表面の印字が薄くなっていないと判定したとき、ベルトが摩耗していないと判定する。
【0643】
診断手段5Bは、冷却装置のベルトが摩耗していないと判定したとき、冷却装置のベルトが正常であると判定し、冷却装置のベルトの交換が不要であると診断する。
【0644】
一方、診断手段5Bは、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上であると判定したとき、または冷却装置のベルトの表面にひび割れがあると判定し、冷却装置のベルトが放置状態であると判定したとき、または冷却装置のベルトが摩耗していると判定したとき、冷却装置のベルトの交換が必要であると判定する。
【0645】
上述した冷却装置のベルトの診断において、診断手段5Bが、ベルトの新品時から車検時までの走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定した場合でも、ベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、ベルトが放置状態であると判定し、ベルトの交換が必要であると診断することは、熟練整備士による点検方法に従ってベルトを診断することである。
【0646】
診断手段5Bによる冷却装置のベルトの診断についてのその他の説明は、“実施の形態1における(V)冷却装置のベルトの診断”についての説明と同じである。
【0647】
(XII)オイルエレメント、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシューおよびホイールシリンダの診断
オイルエレメント、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断については、診断手段5Bは、実施の形態1における診断手段5と同じ方法によって診断する。
【0648】
図40および
図41は、それぞれ、
図39に示す車検装置10Aおよび端末装置30の動作を説明するための第1のフローチャートおよび第2のフローチャートである。
【0649】
図40および
図41に示すフローチャートは、
図24および
図25に示すフローチャートのステップS6をステップS6Aに変えたものであり、その他は、
図24および
図25に示すフローチャートと同じである。
【0650】
図40を参照して、車検装置10Aは、上述したステップS1の後、上述したステップS2~ステップS5を順次実行する。
【0651】
そして、車検装置10Aの診断手段5Bは、ステップS5の後、制御手段3から第1の画像IMG1を受けると、第1の画像IMG1に基づいて、重要度が高い診断方法を優先して第1の点検箇所における一部の部品を診断し、重要度が高い診断方法を用いずに第1の点検箇所における一部の部品以外の部品を診断する(ステップS6A)。その後、診断手段5Bは、診断結果DGSを制御手段3へ出力する。
【0652】
ここで、ステップS6Aにおいて、診断手段5Bが重要度が高い診断方法を用いずに第1の点検箇所における一部の部品以外の部品を診断することは、診断手段5Bが実施の形態1における診断手段5と同じ方法によって第1の点検箇所における一部の部品以外の部品を診断することに相当する。
【0653】
そして、ステップS6Aの後、上述したステップS7~ステップS24が順次実行される。
【0654】
図42は、
図40に示すステップS6Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0655】
図42を参照して、
図40のステップS5の後、上述したステップS61が実行される。
【0656】
そして、ステップS61の後、診断手段5Bは、入力情報IPT_infoおよび第1の画像IMG1を制御手段3から受ける。そして、診断手段5は、入力情報IPT_infoおよび第1の画像IMG1に基づいて、重要度が高い診断方法を優先して第1の点検箇所における一部の部品を診断し、重要度が高い診断方法を用いずに第1の点検箇所における一部の部品以外の部品を診断し、診断結果DGSを制御手段3へ出力する(ステップS62A)。その後、車検装置10Aの動作は、
図40のステップS7へ移行する。
【0657】
図43は、
図42のステップS62Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0658】
図43に示すフローチャートは、
図27に示すフローチャートのステップS621、ステップS622、ステップS623、ステップS624、ステップS625、ステップS626およびステップS627を、それぞれ、ステップS621B、ステップS622B、ステップS623B、ステップS624B、ステップS625B、ステップS626BおよびステップS627Bに変えたものであり、その他は、
図27に示すフローチャートと同じである。
【0659】
図43を参照して、
図42のステップS61の後、車検装置10Aの診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってタイヤを認識し、その認識したタイヤと、入力情報IPT_info1=[タイヤの新品時から車検時までの走行距離x
0(km)と、タイヤの溝に設けられたスリップサインの上面とタイヤの路面に接触する部分との距離d(mm)]とに基づいて、重要度が高い診断方法を優先してタイヤの交換要否を診断し、タイヤの診断結果を作成する(ステップS621B)。
【0660】
次に、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって車両の走行距離メータを認識し、その認識した走行距離メータと、入力情報IPT_info2=[車検時のバッテリの充電容量およびスタート容量と、車検時に最も近い前回の点検時と、車検時に最も近い前回の点検時の走行距離x1(km)]とに基づいて、重要度が高い診断方法を優先してバッテリの交換要否を診断し、バッテリの診断結果を作成する(ステップS622B)。
【0661】
引き続いて、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってエンジンオイルの量を測定したレベルゲージを認識し、その認識したレベルゲージと、入力情報IPT_info3=[前回のオイル交換日時と、前回のオイル交換日時からの走行距離x2(km)]とに基づいて、重要度が高い診断方法を優先してエンジンオイルの交換要否を診断し、エンジンオイルの診断結果を作成する(ステップS623B)。
【0662】
更に、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によってオイルパンのオイルドレンボルト(=オイル抜き用の栓)を認識し、その認識したオイルパンのオイルドレンボルト(=オイル抜き用の栓)と、入力情報IPT_info4=[車検時以前におけるオイルの交換回数NB]とに基づいて、重要度が高い診断方法を用いずにオイルエレメントの交換要否およびオイルパンのオイルドレンボルト(=オイル抜き用の栓)を閉める必要があるか否かを診断し、オイルエレメントの診断結果を作成する(ステップS624B)。
【0663】
更に、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって冷却装置のベルトを認識し、その認識した冷却装置のベルトと、入力情報IPT_info5=[冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3(km)]とに基づいて、重要度が高い診断方法を優先して冷却装置のベルトの交換要否およびベルトの状態を診断し、冷却装置のベルトの診断結果を作成する(ステップS625B)。
【0664】
更に、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって前輪のパッドおよびローターを認識し、その認識した前輪のパッドおよびローターに基づいて、重要度が高い診断方法を用いずに前輪のローターおよびキャリパーを診断し、前輪のローターおよびキャリパーの診断結果を作成する(ステップS626B)。
【0665】
更に、診断手段5Bは、第1の画像IMG1に基づいて画像認識によって後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))を認識し、その認識した後輪のドラム(ブレーキシュー(リーディング)およびブレーキシュー(トレーディング))に基づいて、重要度が高い診断方法を用いずに後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)、およびホイールシリンダの交換要否を診断し、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)、およびホイールシリンダの診断結果を作成する(ステップS627B)。
【0666】
そして、ステップS627Bの後、上述したステップS628が実行され、その後、車検装置10Aの動作は、
図40のステップS7へ移行する。
【0667】
図44は、
図43のステップS621Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0668】
図44に示すフローチャートは、
図28に示すフローチャートのステップS6213~ステップS6218をステップS621B-1~ステップS621B-6に変えたものであり、その他は、
図28に示すフローチャートと同じである。
【0669】
図44を参照して、
図42のステップS61の後、診断手段5Bは、上述したステップS6211およびステップS6212を順次実行する。
【0670】
そして、ステップS6212の後、診断手段5Bは、画像認識によって認識したタイヤの溝(スリップサインが設けられた溝)を参照して、上述した方法によって、タイヤの溝に設けられたスリップサインが溝から出ているか否かを判定する(ステップS621B-1)。
【0671】
ステップS621B-1において、タイヤの溝に設けられたスリップサインが溝から出ていないと判定されたとき、診断手段5Bは、画像認識によって認識したタイヤのトレッド部およびサイドウォールを参照して、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあるか否かを判定する(ステップS621B-2)。ここで、タイヤのトレッド部は、タイヤの路面に接触する部分であり、タイヤのサイドウォールは、タイヤの側面である。
【0672】
ステップS621B-2において、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびが無いと判定されたとき、診断手段5Bは、画像認識によって認識したタイヤの側面(サイドウォール)を参照して、タイヤの製造日を検出し、タイヤの製造日から車検時までの月数で走行距離x0を除算して1ヵ月当たりの走行距離xmonthを算出し、走行距離xmonthに基づいて車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthを算出する(ステップS621B-3)。
【0673】
その後、診断手段5Bは、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する(ステップS621B-4)。
【0674】
ステップS621B-4において、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5Bは、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する(ステップS621B-5)。
【0675】
ステップS621B-5において、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5Bは、距離dが規準値STD1(例えば、2mm)以下であるか否かを判定する(ステップS621B-6)。
【0676】
ステップS621B-6において、距離dが規準値STD1以下でないと判定されたとき、診断手段5Bは、タイヤ交換が不要であると診断する(ステップS6219)。
【0677】
一方、ステップS621B-1において、スリップサインが溝から出ていると判定されたとき、またはステップS621B-2において、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定されたとき、またはステップS621B-4において、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS621B-5において、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS621B-6において、距離dが規準値STD1以下であると判定されたとき、診断手段5Bは、タイヤ交換が必要であると診断する(ステップS6220)。
【0678】
そして、ステップS6219またはステップS6220の後、診断手段5Bの動作は、
図43のステップS622Bへ移行する。
【0679】
図44に示すフローチャートにおいては、スリップサインが溝から出ていると、タイヤの劣化が最も大きいので、ステップS621B-1は、タイヤ交換が必要であるか否かを判定するときの最も重要な判定ステップである。
【0680】
また、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると、タイヤが劣化していると判定できるので、ステップS621B-2は、タイヤ交換の要否を判定するときの2番目に重要な判定ステップである。
【0681】
更に、走行距離x12monthによる判定は、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12month(即ち、車検時からの将来の走行距離)に基づいてタイヤ交換の要否を判定するので、ステップS621B-4は、車検時以降の将来のタイヤの安全性を確保するものであり、タイヤ交換の要否を判定するときの3番目に重要な判定ステップである。
【0682】
更に、走行距離x0による判定は、タイヤの新品時から車検時までの走行距離(即ち、車検時までの過去の走行距離)に基づいてタイヤ交換の要否を判定するので、ステップS621B-5は、ステップS621B-4において、車検時から次の12ヵ月点検時までの走行距離x12monthがタイヤ交換すべき走行距離以上でないと判定されたときに、ステップS621B-4では、「タイヤ交換が必要である」と判定できないタイヤについて、タイヤ交換の要否を判定するものであるので、ステップS621B-4による判定を補完する判定ステップである。従って、ステップS621B-5は、4番目に重要な判定ステップである。
【0683】
更に、ステップS621B-6は、ステップS621B-1,S621B-2,S621B-4,S621B-5の全てにおいて、“タイヤ交換が必要である”と診断されなかったタイヤの交換要否を判定するステップであるので(即ち、ステップS621B-1,S621B-2,S621B-4,S621B-5を補完するステップであるので)、タイヤの交換要否を判定する最終ステップとすべきである。
【0684】
従って、
図44に示すフローチャートにおいては、診断手段5Bは、ステップS621B-1→ステップS621B-2→ステップS621B-4→ステップS621B-5→ステップS621B-6の順にステップS621B-1,S621B-2,S621B-4,S621B-5,S621B-6を実行する。
【0685】
図44に示すフローチャートのステップS621B-1において、スリップサインが溝から出ていると判定することは、タイヤが摩耗していると判定することに相当する。
【0686】
また、
図44に示すフローチャートのステップS621B-2において、タイヤのトレッド部およびサイドウォールにひびがあると判定することは、タイヤのゴムが劣化していると判定することに相当する。
【0687】
従って、診断手段5Bは、画像認識によって認識したタイヤのトレッド部およびサイドウォールと、タイヤの溝とを参照して、タイヤの摩耗またはタイヤのゴムの劣化があると判定したとき、タイヤの交換が必要であると診断する(ステップS621B-1の“YES”またはステップS621B-2の“YES”→ステップS6220参照)。
【0688】
図44に示すフローチャートのステップS621B-6において、距離dが規準値STD1以下であると判定されたとき、ステップS6220において、タイヤ交換が必要であると診断するのは、タイヤが擦り減って溝が浅くなり、タイヤがスリップし易くなっているからである。
【0689】
図44に示すフローチャートにおいては、診断手段5Bは、走行距離x
0がタイヤ交換すべき走行距離以上でなくても(
図44のステップS621B-5の“NO”参照)、距離dが規準値STD1以下であるとき、タイヤ交換が必要であると診断する(
図44のステップS621B-6の“YES”→ステップS6220参照)。
【0690】
診断手段5Bによるこの診断は、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1に従った診断である(
図44の点線で囲まれた領域参照)。
【0691】
なぜなら、走行距離x0がタイヤ交換すべき走行距離以上でないことは、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていないことに相当し、距離dが規準値STD1以下であるか否かを判定することは、タイヤ自体に問題がないかを点検することに相当するからである。
【0692】
従って、診断手段5Bは、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1に従って、走行距離x
0がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても(
図44のステップS621B-5の“NO”参照)、距離dが規準値STD1以下であると判定したとき、タイヤが擦り減っていると診断して(即ち、タイヤ自体に問題があるとして)、タイヤ交換が必要であると診断する(
図44のステップS621B-6の“YES”→ステップS6220参照)。
【0693】
但し、診断手段5Bは、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、車検時から次の定期点検時または次の車検時までの走行距離を予測して車検時にタイヤを交換すべきかを点検する点検方法INSP_M2に従ってタイヤを診断しない。その理由は、次の通りである。
【0694】
図44に示すフローチャートにおいては、重要度が高い診断方法を優先してタイヤを診断するので、「タイヤ自体に問題がある」ことに相当する
図44のステップS621B-1およびステップS621B-2が、「車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていない」と判定することに相当するステップS621B-5よりも先に実行されるため、ステップS621B-5において、「走行距離x
0がタイヤ交換すべき走行距離以上でない」と判定された後に、ステップS621B-1およびステップS621B-2のいずれかが実行されることがないからである。
【0695】
従って、診断手段5Bは、
図18に示す熟練整備士による点検方法INSP_M1,INSP_M2のうち、熟練整備士による点検方法INSP_M1を用いてタイヤを診断する。
【0696】
その結果、診断手段5Bは、重要度が高い診断方法を優先してタイヤを診断する
図44に示すフローチャートにおいて、熟練整備士による点検方法INSP_M1を用いてタイヤを診断することが可能である。
【0697】
図45は、
図43のステップS622Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0698】
図45に示すフローチャートは、
図29に示すフローチャートのステップS6223をステップS622B-1に変え、
図29に示すフローチャートのステップS6224をステップS622B-2に変えたものであり、その他は、
図29に示すフローチャートと同じである。
【0699】
図45を参照して、
図43のステップS621Bの後、診断手段5Bは、上述したステップS6221,S6222を順次実行する。
【0700】
そして、ステップS6222の後、診断手段5Bは、バッテリのスタート容量が規準値STD3(例えば、70%)以下であるか否かを判定する(ステップS622B-1)。
【0701】
ステップS622B-1において、バッテリのスタート容量が規準値STD3以下でないと判定されたとき、診断手段5Bは、バッテリの充電容量が規準値STD2(例えば、80%)以下であるか否かを判定する(ステップS622B-2)。
【0702】
ステップS622B-2において、バッテリの充電容量が規準値STD2(例えば、80%)以下でないと判定されたとき、診断手段5Bは、上述したステップS6225、ステップS6226およびステップS6227を順次実行する。
【0703】
そして、ステップS6227において、走行状況がシビア走行でないと判定されたとき、診断手段5Bは、バッテリの交換が不要であると判定する(ステップS6228)。
【0704】
一方、ステップS622B-1において、バッテリのスタート容量が規準値STD3以下であると判定されたとき、またはステップS622B-2において、バッテリの充電容量が規準値STD2以下であると判定されたとき、またはステップS6227において、走行状況がシビア走行であると判定されたとき、診断手段5Bは、バッテリの交換が必要であると診断する(ステップS6229)。
【0705】
そして、ステップS6228またはステップS6229の後、診断手段5Bの動作は、
図43のステップS623Bへ移行する。
【0706】
図45に示すフローチャートにおいて、ステップS622B-1,S622B-2,S6227がステップS622B-1→ステップS622B-2→ステップS6227の順に実行される理由は、次の通りである。
【0707】
規準値STD3は、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていないことを表すので、スタート容量が規準値STD3以下でないと判定されたとき、エンジンを起動させるときに流す電流の容量が足りていることになり、バッテリを充電しなくても、エンジンを起動できることになる。
【0708】
そして、エンジンを起動できれば、バッテリを交換しなくてもよいので、ステップS622B-1は、バッテリの交換要否を診断する上で最も重要な判定方法である。
【0709】
また、ステップS622B-2は、充電容量がバッテリを交換すべき電気量に減少したか否かを判定するステップであるので、ステップS622B-1の次に重要な判定方法である。
【0710】
更に、ステップS6227は、車の走行状況に基づいた判定ステップであり、シビア走行であるか否かは、1年当たりの走行距離または1ヵ月当たりの走行距離に基づいて判定され、1年当たりの走行距離または1ヵ月当たりの走行距離は、バッテリのスタート容量および充電容量に直接影響するものではなく、ステップS622B-1およびステップS622B-2における判定を補完するものである。従って、ステップS6227は、ステップS622B-1およびステップS622B-2の後に実行されてもよい判定方法である。
【0711】
以上の理由により、診断手段5Bは、ステップS622B-1,S622B-2,S6227をステップS622B-1→ステップS622B-2→ステップS6227の順に実行する。
【0712】
図45に示すフローチャートは、バッテリの診断方法であるので、診断手段5Bは、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)のバッテリに対応付けられた点検方法INSP_M3を検出する。
【0713】
そして、診断手段5Bは、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M3に従って、バッテリのスタート容量が規準値STD3よりも多くても(ステップS622B-1の“NO”参照)、車両の走行状況がシビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する(ステップS6227の“YES”→ステップS6229参照)。
【0714】
このように、診断手段5Bは、バッテリの診断においては、熟練整備士による点検方法INSP_M3に従ってバッテリを診断する。
【0715】
その結果、診断手段5Bは、重要度が高い診断方法を優先してバッテリを診断する
図45に示すフローチャートにおいて、熟練整備士による点検方法INSP_M3を用いてバッテリを診断することが可能である。
【0716】
図46は、
図43のステップS623Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0717】
図46に示すフローチャートは、
図30に示すフローチャートのステップS6233をステップS623B-1に変え、
図30に示すフローチャートのステップS6234をステップS623B-2に変えたものであり、その他は、
図30に示すフローチャートと同じである。
【0718】
図46を参照して、
図43のステップS622Bの後、診断手段5Bは、上述したステップS6231,S6232を順次実行する。
【0719】
そして、ステップS6232の後、診断手段5Bは、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であるか否かを判定する(ステップS623B-1)。
【0720】
ステップS623B-1において、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5Bは、エンジンオイルの量が適量よりも少ないか否かを判定する(ステップS623B-2)。
【0721】
この場合、診断手段5Bは、画像認識によって認識したレベルゲージを参照して、上述した方法によってエンジンオイルの量が適量よりも少ないか否かを判定する。
【0722】
ステップS623B-2において、エンジンオイルの量が適量よりも少なくないと判定されたとき(即ち、エンジンオイルの量が適量であると判定されたとき)、上述したステップS6235が実行される。
【0723】
そして、ステップS6235において、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していないと判定されたとき、診断手段5Bは、エンジンオイルの交換が不要であると診断する(ステップS6236)。
【0724】
一方、ステップS623B-1において、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS623B-2において、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定されたとき(即ち、エンジンオイルの量が適量であると判定されたとき)、またはステップS6235において、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過したと判定されたとき、診断手段5Bは、エンジンオイルの交換が必要であると診断する(ステップS6237)。
【0725】
そして、ステップS6236またはステップS6237の後、診断手段5Bの動作は、
図43のステップS624Bへ移行する。
【0726】
図46に示すフローチャートにおいて、ステップS623B-1,S623B-2,S6235がステップS623B-1→ステップS623B-2→ステップS6235の順に実行される理由は、次の通りである。
【0727】
走行距離がエンジンオイルの汚れに最も反映されるので、エンジンオイルの交換要否を判定する場合、ステップS623B-1の判定ステップは、最も重要な判定ステップである。
【0728】
また、エンジンオイルの量が適量であれば、エンジンの動作に与える影響は、少ないので、ステップS623B-2は、ステップS623B-1を補完するものである。従って、ステップS623B-2は、ステップS623B-1の後に実行されるのが適している。
【0729】
更に、走行距離x2は、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離であるので、前回のオイル交換日時から車検時までの期間が6ヵ月未満である場合、エンジンオイルの交換が必要であると診断されるのは、ステップS623B-1において、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS623B-2において、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定されたときである。
【0730】
一方、前回のオイル交換日時から車検時までの期間が6ヵ月以上である場合、エンジンオイルの交換が必要であると診断されるのは、ステップS623B-1において、走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離以上でないと判定され、かつ、ステップS623B-2において、エンジンオイルの量が適量よりも少ないと判定されたときである(即ち、ステップS623B-1およびステップS623B-2の両方における判定結果が“NO”であるときである)。
【0731】
その結果、前回のオイル交換日時から車検時までの期間が6ヵ月未満である場合、および前回のオイル交換日時から車検時までの期間が6ヵ月以上である場合の両方において、ステップS6235における判定結果によってエンジンオイルの交換が必要であると診断されるのは、前回のオイル交換日時から車検時までの期間が6ヵ月以上である場合である。そして、一般的には、エンジンオイルの交換は、6ヵ月間隔で行われている。
【0732】
従って、ステップS6235は、前回のオイル交換日時からの経過期間が6ヵ月以上である場合に必要な判定ステップであるので、重要度が最も低い。
【0733】
以上の理由により、診断手段5Bは、ステップS623B-1,S623B-2,S6235をステップS623B-1→ステップS623B-2→ステップS6235の順に実行する。
【0734】
図46において、ステップS6235の~ステップS6237は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図46の点線で囲まれた領域参照)。
【0735】
図46に示すフローチャートは、エンジンオイルの診断方法であるので、診断手段5Bは、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)のエンジンオイルに対応付けられた点検方法INSP_M4を検出する。
【0736】
そして、診断手段5Bは、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がエンジンオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M4に従って、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x2がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても(ステップS623B-1の“NO”参照)、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると診断する(ステップS6235の“YES”→ステップS6237参照)。
【0737】
このように、診断手段5Bは、エンジンオイルの診断においては、熟練整備士による点検方法INSP_M4に従ってエンジンオイルを診断する。
【0738】
その結果、診断手段5Bは、重要度が高い診断方法を優先してエンジンオイルを診断する
図46に示すフローチャートにおいて、熟練整備士による点検方法INSP_M4を用いてエンジンオイルを診断することが可能である。
【0739】
図47は、
図43のステップS625Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0740】
図47に示すフローチャートは、
図32に示すフローチャートのステップS6254,S6255をステップS625B-1,S625B-2に変えたものであり、その他は、
図32に示すフローチャートと同じである。
【0741】
図47を参照して、
図43のステップS624Bの後、診断手段5Bは、上述したステップS6251~ステップS6253を順次実行する。
【0742】
そして、ステップS6253において、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上でないと判定されたとき、診断手段5Bは、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照してベルトの表面にひび割れがあるか否かを判定する(ステップS625B-1)。
【0743】
ステップS625B-1において、ベルトの表面にひび割れが無いと判定されたとき、診断手段5Bは、ベルトが摩耗しているか否かを判定する(ステップS625B-2)。
【0744】
そして、ステップS625B-2において、ベルトが摩耗していないと判定されたとき、診断手段5Bは、ベルトが正常であると判定し(ステップS6256)、ベルトの交換が不要であると診断する(ステップS6257)。
【0745】
一方、ステップS6253において、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3がベルト交換すべき走行距離以上であると判定されたとき、またはステップS625B-1において、ベルトの表面にひび割れが有ると判定され、ステップS6258において、ベルトが放置状態であると判定されたとき、またはステップS625B-2において、ベルトが摩耗していると判定されたとき、診断手段5Bは、ベルトの交換が必要であると診断する(ステップS6259)。
【0746】
そして、ステップS6257またはステップS6259の後、診断手段5Bの動作は、
図43のステップS626Bへ移行する。
【0747】
図47に示すフローチャートにおいて、ステップS6253,S625B-1,S625B-2がステップS6253→ステップS625B-1→ステップS625B-2の順に実行される理由は、次の通りである。
【0748】
冷却装置は、車の走行中、作動しているので、走行距離が冷却装置のベルトの劣化に最も反映される。その結果、冷却装置のベルトの交換要否を判定する場合、冷却装置のベルトの新品時から車検時までの走行距離x3によって冷却装置のベルトの交換要否を判定するステップS6253は、最も重要な判定ステップである。
【0749】
そして、冷却装置のベルトの表面のひび割れの有無によって冷却装置のベルトの交換要否を判定するステップS625B-1は、走行距離x3が反映された冷却装置のベルトの劣化を視覚的に判定するステップであるので、ステップS6253における判定を補完するステップである。
【0750】
また、冷却装置のベルトの表面が変色していると判定されたとき、または冷却装置のベルトの表面の印字が薄くなっていると判定されたとき、冷却装置のベルトが摩耗していると判定されるので、冷却装置のベルトが摩耗していても、冷却装置のベルトの切断に繋がる可能性は低いと考えられる。一方、冷却装置のベルトのひび割れは、冷却装置のベルトの切断に繋がる可能性が高いと考えられる。
【0751】
従って、冷却装置のベルトの摩耗の有無を判定するステップS625B-2は、冷却装置のベルトのひび割れの有無を判定するステップS625B-1よりも重要度が低いと考えられる。
【0752】
以上の理由により、診断手段5Bは、ステップS6253,S625B-1,S625B-2をステップS6253→ステップS625B-1→ステップS625B-2の順に実行する。
【0753】
図47に示すフローチャートにおいて、ステップS625B-1およびステップS6258は、熟練整備士による点検方法に従った診断方法である(
図47の点線で囲まれた領域参照)。
【0754】
図47に示すフローチャートは、冷却装置のベルトの診断方法であるので、診断手段5Bは、上述した対応表TBL_INSP(
図18参照)の冷却装置のベルトに対応付けられた点検方法INSP_M6を検出する。
【0755】
そして、診断手段5Bは、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する点検方法INSP_M6に従って、走行距離x3がベルト交換すべき走行距離未満であっても(ステップS6253の“NO”参照)、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、冷却装置のベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、冷却装置のベルトの交換が必要であると診断する(ステップS625B-1の“YES”→ステップS6258→ステップS6259参照)。
【0756】
このように、診断手段5Bは、冷却装置のベルトの診断において、熟練整備士による点検方法INSP_M6に従って冷却装置のベルトを診断する。
【0757】
その結果、診断手段5Bは、重要度が高い診断方法を優先してエンジンオイルを診断する
図47に示すフローチャートにおいて、熟練整備士による点検方法INSP_M6を用いて冷却装置のベルトを診断することが可能である。
【0758】
上述したように、
図44から
図47に示すフローチャートにおいては、重要度が高い診断方法を優先してタイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルトを診断することを説明した。
【0759】
そして、重要度が高い診断方法を優先してタイヤを診断する
図44に示すフローチャートにおいては、診断手段5Bは、車検時の走行距離が走行距離によるタイヤの交換規準を満たしていなくても、タイヤ自体に問題がないかを点検する点検方法INSP_M1に従って、走行距離x
0がタイヤ交換すべき走行距離よりも短くても(
図44のステップS621B-5の“NO”参照)、距離dが規準値STD1以下であると判定したとき、タイヤが擦り減っていると診断して(即ち、タイヤ自体に問題があるとして)、タイヤ交換が必要であると診断する(
図44のステップS621B-6の“YES”→ステップS6220参照)ことを説明した。
【0760】
また、重要度が高い診断方法を優先してバッテリを診断する
図45に示すフローチャートにおいては、診断手段5Bは、バッテリのスタート容量がエンジンを起動可能な容量であっても、車両の走行状況に基づいてバッテリの交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M3に従って、バッテリのスタート容量が規準値STD3よりも多くても(ステップS622B-1の“NO”参照)、車両の走行状況がシビア走行に該当すると判定したとき、バッテリの交換が必要であると診断する(ステップS6227の“YES”→ステップS6229参照)ことを説明した。
【0761】
更に、重要度が高い診断方法を優先してエンジンオイルを診断する
図46に示すフローチャートにおいては、診断手段5Bは、前回のオイル交換時から車検時までの走行距離がエンジンオイルの交換規準を満たしていなくても、前回のオイル交換時からの経過時間に基づいてオイル交換が必要であるかを点検する点検方法INSP_M4に従って、前回のオイル交換日時から車検時までの走行距離x
2がエンジンオイルを交換すべき走行距離未満であっても(ステップS623B-1の“NO”参照)、前回のオイル交換日時から6ヵ月が経過していると判定したとき、エンジンオイルの交換が必要であると診断する(ステップS6235の“YES”→ステップS6237参照)ことを説明した。
【0762】
更に、重要度が高い診断方法を優先して冷却装置のベルトを診断する
図47に示すフローチャートにおいては、診断手段5Bは、走行距離によるベルトの交換規準を満たしていなくても、ベルト自体に車両の使用頻度または車両の走行距離に起因する問題がないかを点検する点検方法INSP_M6に従って、走行距離x
3がベルト交換すべき走行距離未満であっても(ステップS6253の“NO”参照)、画像認識によって認識した冷却装置のベルトを参照して、ベルトの表面にひび割れがあると判定したとき、冷却装置のベルトがベルトの劣化状態を表す放置状態であると判定し、冷却装置のベルトの交換が必要であると診断する(ステップS625B-1の“YES”→ステップS6258→ステップS6259参照)ことを説明した。
【0763】
従って、重要度が高い診断方法を優先して第1の部品の一部の部品(タイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルト)を診断する
図44から
図47に示すフローチャートにおいても、診断手段5Bは、熟練整備士による点検方法に従って第1の部品の一部の部品(タイヤ、バッテリ、エンジンオイルおよび冷却装置のベルト)を診断することになる。
【0764】
なお、
図43に示すフローチャートにおいて、ステップS624Bの詳細な動作は、
図31に示すフローチャートによって実行され、ステップS626Bの詳細な動作は、
図33に示すフローチャートによって実行され、ステップS627Bの詳細な動作は、
図34に示すフローチャートによって実行される。
【0765】
実施の形態2においては、車検装置10Aの動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、車検装置10Aは、CPU、ROMおよびRAMを備える。
【0766】
ROMは、
図40および
図41に示すステップS2~S5,S6A,S7~S9,S14,S15,S19~S23(
図31,
図33~
図35,
図42から
図47に示すフローチャートを含む)を備えるプログラムProg_Cを記憶する。
【0767】
そして、CPUは、ROMに記憶されたプログラムProg_Cを読み出して実行し、Web車検を行う。RAMは、見積書SCHD、
図18に示す対応表TBL_INSP、第1の画像IMG1~第3の画像IMG3、点検結果ISPおよび診断結果DGS等を一時的に記憶する。
【0768】
従って、プログラムProg_Cは、Web車検をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
【0769】
また、プログラムProg_Cは、CDおよびDVD等の記録媒体に記録されて流通されてもよい。この場合、コンピュータ(CPU)は、記録媒体からプログラムProg_Cを読み出して実行し、Web車検を行う。従って、プログラムProg_Cを記録したCD,DVD等は、プログラムProg_Cを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0770】
図48は、
図38に示す診断手段5Bが
図43のステップS621B~ステップS627Bを並列処理するときの診断手段5Bの概略図である。
【0771】
なお、
図43のステップS621B~ステップS627Bを並列処理する診断手段5Bを“診断手段5B-A”と表記する。
【0772】
図48を参照して、診断手段5B-Aは、診断手段5Aの診断ユニット51~診断ユニット56をそれぞれ診断ユニット51B~診断ユニット56Bに変えたものであり、その他は、診断手段5Aと同じである。
【0773】
診断手段5B-Aにおいては、入力ユニット50は、入力情報IPT_info1および第1の画像IGM1を診断ユニット51Bへ出力し、入力情報IPT_info2および第1の画像IGM1を診断ユニット52Bへ出力し、入力情報IPT_info3,IPT_info4および第1の画像IGM1を診断ユニット53Bへ出力し、入力情報IPT_info5および第1の画像IGM1を診断ユニット54Bへ出力し、第1の画像IGM1を診断ユニット55Bおよび診断ユニット56Bへ出力する。
【0774】
診断ユニット51Bは、入力情報IPT_info1および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット51Bは、入力情報IPT_info1および第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS621Bを実行してタイヤの診断結果DGS1を作成し、その作成した診断結果DGS1を出力ユニット57へ出力する。
【0775】
診断ユニット52Bは、入力情報IPT_info2および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット52Bは、入力情報IPT_info2および第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS622Bを実行してバッテリの診断結果DGS2を作成し、その作成した診断結果DGS2を出力ユニット57へ出力する。
【0776】
診断ユニット53Bは、入力情報IPT_info3,IPT_info4および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット53Bは、入力情報IPT_info3および第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS623Bを実行してエンジンオイルの診断結果DGS3を作成し、その後、入力情報IPT_info4および第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS624Bを実行してオイルエレメントの診断結果DGS4を作成する。そして、診断ユニット53Bは、その作成した診断結果DGS3,DGS4を出力ユニット57へ出力する。
【0777】
診断ユニット54Bは、入力情報IPT_info5および第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット54Bは、入力情報IPT_info5および第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS625Bを実行して冷却装置のベルトの診断結果DGS5を作成し、その作成した診断結果DGS5を出力ユニット57へ出力する。
【0778】
診断ユニット55Bは、第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット55Bは、第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS626Bを実行して前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を作成し、その作成した診断結果DGS6を出力ユニット57へ出力する。
【0779】
診断ユニット56Bは、第1の画像IGM1を入力ユニット50から受ける。そして、診断ユニット56Bは、第1の画像IGM1に基づいて、
図43のステップS627Bを実行して後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を作成し、その作成した診断結果DGS7を出力ユニット57へ出力する。
【0780】
出力ユニット57は、診断ユニット51Bからタイヤの診断結果DGS1を受け、診断ユニット52Bからバッテリの診断結果DGS2を受け、診断ユニット53Bからエンジンオイルの診断結果DGS3およびオイルエレメントの診断結果DGS4を受け、診断ユニット54Bから冷却装置のベルトの診断結果DGS5を受け、診断ユニット55Bから前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を受け、診断ユニット56Bから後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を受ける。
【0781】
そして、出力ユニット57は、診断結果DGS1~DGS7からなる診断結果DGSを作成し、その作成した診断結果DGSを制御手段3へ出力する。
【0782】
図49は、
図48に示す診断手段5B-Aの動作を説明するためのフローチャートである。
図49を参照して、
図42のステップS61の後、診断ユニット51B、診断ユニット52B、診断ユニット53B、診断ユニット54B、診断ユニット55Bおよび診断ユニット56Bは、それぞれ、ステップS621C、ステップS622C、ステップS623C、ステップS624C、ステップS625CおよびステップS626Cを並列して実行する。
【0783】
この場合、診断ユニット51B、診断ユニット52B、診断ユニット53B、診断ユニット54B、診断ユニット55Bおよび診断ユニット56Bの動作は、次の通りである。
【0784】
診断手ユニット51Bは、入力情報IPT_info1および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS621B(=
図44に示すフローチャート)を実行してタイヤの診断結果DGS1を作成し(ステップS621C)、その作成したタイヤの診断結果DGS1を出力ユニット57へ出力する。
【0785】
また、診断ユニット52Bは、入力情報IPT_info2および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS622B(=
図45に示すフローチャート)を実行してバッテリの診断結果DGS2を作成し(ステップS622C)、その作成したバッテリの診断結果DGS2を出力ユニット57へ出力する。
【0786】
更に、診断ユニット53Bは、入力情報IPT_info3および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS623B(=
図46に示すフローチャート)を実行してエンジンオイルの診断結果DGS3を作成し、その後、入力情報IPT_info4および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS624B(=
図31に示すフローチャート)を実行してオイルエレメントの診断結果DGS4を作成する(ステップS623C)。そして、診断ユニット53は、エンジンオイルの診断結果DGS3およびオイルエレメントの診断結果DGS4を出力ユニット57へ出力する。
【0787】
更に、診断ユニット54Bは、入力情報IPT_info5および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS625B(=
図47に示すフローチャート)を実行して冷却装置のベルトの診断結果DGS5を作成し(ステップS624C)、その作成した冷却装置のベルトの診断結果DGS5を出力ユニット57へ出力する。
【0788】
更に、診断ユニット55Bは、第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS626B(=
図33に示すフローチャート)を実行して前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を作成し(ステップS625C)、その作成した前輪のローターおよびキャリパーの診断結果DGS6を出力ユニット57へ出力する。
【0789】
更に、診断ユニット56Bは、第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS627B(=
図34に示すフローチャート)を実行して後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を作成し(ステップS626C)、その作成した後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダの診断結果DGS7を出力ユニット57へ出力する。
【0790】
出力ユニット57は、並行して、それぞれ、診断ユニット51B~56Bから診断結果DGS1,DGS2,DGS3+DGS4,DGS5,DGS6,DGS7を受け、その受けた診断結果DGS1,DGS2,DGS3+DGS4,DGS5,DGS6,DGS7からなる診断結果DGS(=DGS1~DGS7)を作成し(ステップS627A)、その作成した診断結果DGS(=DGS1~DGS7)を制御手段3へ出力する。
【0791】
その後、車検装置10Aの動作は、
図40のステップS7へ移行する。
【0792】
なお、
図49に示すフローチャートのステップS623Cにおいて、診断ユニット53Bが、入力情報IPT_info3および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS623B(=
図46に示すフローチャート)を実行してエンジンオイルの診断結果DGS3を作成し、その後、入力情報IPT_info4および第1の画像IMG1に基づいて、
図43のステップS624B(=
図31に示すフローチャート)を実行してオイルエレメントの診断結果DGS4を作成するのは、
図43のステップS624Bの詳細な動作を示す
図31のフローチャートのステップS6243において、
図43のステップS623Bの詳細な動作を示す
図46のフローチャートによるエンジンオイルの交換要否の診断結果を使用して、車検においてエンジンオイルを交換したか否かが判定されるからである。
【0793】
この場合、
図46のフローチャートにおいて、エンジンオイルの交換が必要であると診断された場合、
図31のフローチャートのステップS6243において、車検においてエンジンオイルを交換したと判定され、
図46のフローチャートにおいて、エンジンオイルの交換が不要であると診断された場合、
図31のフローチャートのステップS6243において、車検においてエンジンオイルを交換しなかったと判定される。
【0794】
図49に示すフローチャートによれば、ステップS621C,S622C,S623C,S624C,S625C,S626Cが並列的に実行されるので、
図43に示すフローチャートに従って、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダを診断する場合よりも、タイヤ、バッテリ、エンジンオイル、オイルエレメント、冷却装置のベルト、前輪のローターおよびキャリパー、後輪のブレーキシュー(リーディング)、ブレーキシュー(トレーディング)およびホイールシリンダを迅速に診断できる。従って、車検の作業効率を向上できる。
【0795】
【0796】
そして、CPUは、ROMに記憶されたプログラムProg_Dを読み出して実行し、Web車検を行う。RAMは、見積書SCHD、
図18に示す対応表TBL_INSP、第1の画像IMG1~第3の画像IMG3、点検結果ISPおよび診断結果DGS等を一時的に記憶する。
【0797】
従って、プログラムProg_Dは、Web車検をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
【0798】
また、プログラムProg_Dは、CDおよびDVD等の記録媒体に記録されて流通されてもよい。この場合、コンピュータ(CPU)は、記録媒体からプログラムProg_Dを読み出して実行し、Web車検を行う。従って、プログラムProg_Dを記録したCD,DVD等は、プログラムProg_Cを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体である。
【0799】
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
【0800】
上述した実施の形態1,2によれば、この発明の実施の形態による車検装置は、
ネットワークを介して、車検の申込と、車検についての質問と、車検の開始を指示する指示書とを顧客の端末装置から受信する受信手段と、
受信手段が車検の申込を受信すると、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像と、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像とを撮影する撮影手段と、
車検における点検箇所のうちの第1の点検箇所以外の第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果と、第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である入力情報と、車検における整備士による車両の整備作業が完了したことを示す整備作業の完了とを受け付ける受付手段と、
受信手段が車検の申込を受信すると、車検の申込を表示し、受信手段が指示書を受信すると、指示書を表示する表示手段と、
第1の画像を撮影手段から受けると、第1の画像に基づいて画像認識によって第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を受付手段によって受付けられた入力情報を用いて診断する診断手段と、
診断手段による診断結果を診断手段から受け、かつ、整備士による点検結果を受付手段から受けると、診断結果および点検結果に基づいて車検の見積書を作成し、整備作業の完了を受付手段から受けると、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する作成手段と、
車検についての質問を受信手段から受けると、車検についての質問に対する回答を出力する応答手段と、
車検の見積書を作成手段から受け、かつ、第1および第2の画像を撮影手段から受けると、ネットワークを介して、車検の見積書と第1および第2の画像とを顧客の端末装置へ送信し、車検についての質問に対する回答を応答手段から受けると、ネットワークを介して、車検についての質問に対する回答を顧客の端末装置へ送信し、車検の完了報告を作成手段から受けると、ネットワークを介して、車検の完了報告を顧客の端末装置へ送信する送信手段とを備えていればよい。
【0801】
車検装置が撮影手段と、診断手段と、作成手段と、応答手段とを備えていれば、第1の画像から第3の画像の撮影、第1の点検箇所における部品の診断、顧客の質問に対する回答、見積書の作成および車検の完了報告の作成を整備士に代わって車検装置が実行するので、第1の点検箇所における部品を整備士が点検する場合に比べて整備士の作業量が減少するとともに、第1の点検箇所における部品の診断と整備士による部品の点検作業とに要する時間が減少し、車検における作業効率を向上できるからである。
【0802】
また、この発明の実施の形態によるプログラムは、
受信手段が、ネットワークを介して車検の申込を顧客の端末装置から受信する第1のステップと、
表示手段が、第1のステップにおいて受信された車検の申込を表示する第2のステップと、
撮影手段が、受信手段が第1のステップにおいて車検の申込を受信すると、車検における点検箇所のうちの自動診断の対象となる第1の点検箇所における部品を示す第1の画像と、整備士による部品の点検過程を示す第2の画像とを撮影する第3のステップと、
受付手段が、第1の点検箇所における部品の診断に必要な情報である入力情報と、車検における点検箇所のうちの第1の点検箇所以外の点検箇所であって整備士による点検対象である第2の点検箇所における部品についての整備士による点検結果とを受け付ける第4のステップと、
診断手段が、第1の画像に基づいて画像認識によって第1の点検箇所における部品を認識し、その認識した部品を第4のステップにおいて受け付けられた入力情報を用いて診断して診断結果を出力する第5のステップと、
作成手段が、第5のステップにおける診断結果と、受付手段が第4のステップにおいて受け付けた点検結果とに基づいて車検の見積書を作成する第6のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、車検の見積書と第1および第2の画像とを顧客の端末装置へ送信する第7のステップと、
受信手段が、第7のステップの後、ネットワークを介して、車検についての質問を顧客の端末装置から受信する第8のステップと、
応答手段が、車検についての質問に対する回答を出力する第9のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、第9のステップにおいて出力された回答を顧客の端末装置へ送信する第10のステップと、
受信手段が、第10のステップの後、ネットワークを介して、車検の開始を指示する指示書を顧客の端末装置から受信する第11のステップと、
表示手段が、受信手段が第11のステップにおいて受信した指示書を表示する第12のステップと、
撮影手段が、第11のステップの後、整備士による部品の整備過程を示す第3の画像を撮影する第13のステップと、
受付手段が、第13のステップの後、車検における車両の整備作業の完了を受け付ける第14のステップと、
作成手段が、第14のステップにおいて受け付けられた車両の整備作業の完了に応じて、車検が完了したことを顧客に報告する車検の完了報告を作成する第15のステップと、
送信手段が、ネットワークを介して、第15のステップにおいて作成された車検の完了報告と第13のステップにおいて撮影された第3の画像とを顧客の端末装置へ送信する第16のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムであればよい。
【0803】
プログラムが第3のステップと、第5のステップと、第6のステップと、第9のステップと、第13のステップと、第15のステップとをコンピュータに実行させれば、第1の画像から第3の画像の撮影、第1の点検箇所における部品の診断、顧客の質問に対する回答、見積書の作成および車検の完了報告の作成を整備士に代わってコンピュータが実行するので、第1の点検箇所における部品を整備士が点検する場合に比べて整備士の作業量が減少するとともに、第1の点検箇所における部品の診断と整備士による部品の点検作業とに要する時間が減少し、車検における作業効率を向上できるからである。
【0804】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0805】
この発明は、車検装置およびコンピュータに実行させるためのプログラムに適用される。
【符号の説明】
【0806】
1 受信手段、2 受付手段、3 制御手段、4 カメラ、5,5A,5B,5B-A 診断手段、6 作成手段、7 応答手段、8 表示手段、9 送信手段、10,10A 車検装置、20 ウェブサーバ、30 端末装置、40 ネットワーク、50 入力ユニット、51~56,51B~56B 診断ユニット、57 出力ユニット、100,100A 通信システム。