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特開2024-61673複数の電気的な駆動部品を備える自走式作業機のための冷媒回路
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  • 特開-複数の電気的な駆動部品を備える自走式作業機のための冷媒回路 図1
  • 特開-複数の電気的な駆動部品を備える自走式作業機のための冷媒回路 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061673
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】複数の電気的な駆動部品を備える自走式作業機のための冷媒回路
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20240425BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240425BHJP
【FI】
B60K11/04 A
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180776
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 127 839.5
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】507186322
【氏名又は名称】マニトワック・クレーン・グループ・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】Manitowoc Crane Group France SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】クルーク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベントン,ジョン エフ
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AB09
3D038AC22
3D038AC23
3D235AA19
3D235BB36
3D235BB43
3D235CC13
3D235CC14
3D235GB12
3D235HH63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全電気駆動設計又はハイブリッド電気駆動設計において、異なる電気的な駆動部品の冷却能力要求に効率的に対処する冷却システムを提供する。
【解決手段】複数の電気的な駆動部品(8~13)を備える自走式作業機のための冷媒回路であって、冷媒回路(1)内を循環する冷媒の流れを発生させる冷媒ポンプ(2)と、冷媒に蓄積された熱エネルギを放散するための熱交換器(3)と、互いに並列に延び、熱エネルギを吸収するために、それぞれに割り当てられた駆動部品(8~13)に冷媒を通過させる少なくとも2つの回路ライン(4~7)とを備える。また、複数の電気的な駆動部品(8~13)と1以上の前記冷媒回路(1)とを備える自走式作業機、特に移動式クレーンに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気的な駆動部品(8~19)を備える自走式作業機のための冷媒回路であって、
前記冷媒回路(1)内を循環する冷媒の流れを発生させる冷媒ポンプ(2)と、
前記冷媒に蓄積された熱エネルギを放散するための熱交換器(3)と、
互いに並列に延び、熱エネルギを吸収するために、それぞれに割り当てられた前記駆動部品(8~19)を通過する冷媒をガイドする少なくとも2つの回路ライン(4~7)と、
を備える、冷媒回路。
【請求項2】
前記回路ライン(4~7)は、それらの全体にわたって、前記冷媒の流れに実質的に等しい圧力損失を引き起こし、前記回路ライン(4~7)の少なくとも1つは、当該回路ライン(4~7)の圧力損失を、少なくとも1つの他の回路ライン(4~7)の圧力損失に調整する絞り要素(20)を有する、請求項1に記載の冷媒回路。
【請求項3】
前記回路ライン(4~7)の少なくとも1つにおいて、前記複数の駆動部品(8~19)は、それぞれの動作温度限界、熱放散、及び/又は、安全性との関連のレベルに応じて、最も低い動作温度限界、最も低い熱放散、及び/又は、最も大きい安全性との関連を起点として、前記冷媒の流れ方向に配置される、請求項1及び2のいずれか1つに記載の冷媒回路。
【請求項4】
前記回路ライン(4~7)は、前記冷媒の流れ方向において前記冷媒ポンプ(2)と前記熱交換器(3)との間に配置されている、請求項1~3のいずれか1つに記載の冷媒回路。
【請求項5】
前記回路ライン(4~7)の少なくとも2つを流体的に接続する少なくとも1つの接続ライン(21)と、
前記接続ライン(21)を開閉するため、且つ/又は、前記接続ライン(21)を通じてガイドされる前記冷媒の流量を変化させるための少なくとも1つのバルブ(22)と、
を更に備える、請求項1~4のいずれか1つに記載の冷媒回路。
【請求項6】
前記接続ライン(21)は、前記冷媒の流れ方向において、第1回路ライン(4~7)における少なくとも1つの駆動部品(8~19)の下流側の第1回路ライン(4~7)と、前記冷媒の流れ方向において、第2回路ライン(4~7)における少なくとも1つの駆動部品(8~19)の上流側の第2回路ライン(4~7)とを接続している、請求項5に記載の冷媒回路。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバルブ(22)は、前記接続ライン(21)を介して冷媒が供給される駆動部品(8~19)の冷却要求に応じて、前記接続ライン(21)を介した冷媒の流量をガイドするために、制御装置(23)によって駆動されるように構成されている、請求項5及び6のいずれか1つに記載の冷媒回路。
【請求項8】
前記制御装置(23)は、駆動部品(8~19)の温度を検知する少なくとも1つのセンサ(24)を備え、前記駆動部品が、当該駆動部品(8~19)に対して予め設定された温度閾値以下に低下したとき又は当該温度閾値を超えたとき、前記少なくとも1つのバルブ(22)を選択的に開閉させる、請求項7に記載の冷媒回路。
【請求項9】
複数の電気的な駆動部品(8~19)と請求項1~8のいずれか1つに記載の冷媒回路(1)とを備える、自走式作業機。
【請求項10】
互いに独立して構成された請求項1~8のいずれか1つに記載の冷媒回路(1)を複数備え、第1冷媒回路(1)は、複数の駆動部品(8~19)を備える作業機の下部構造に割り当てられ、第2冷媒回路(1)は、複数の駆動部品(8~19)を備える作業機の上部構造に割り当てられている、請求項9に記載の自走式作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式作業機、特に移動式クレーンの電気的な駆動部品によって発生する熱出力を放散し、電気的な駆動部品を冷却する冷媒回路に関する。また、本発明は、1以上の前記冷媒回路を備えた自走式作業機、特に移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンを備える既知の作業機においては、個々の(クレーン)機能が、例えば機械(シャフト)出力が供給される1以上の油圧ポンプが最終的に駆動されるために個々の(クレーン)機能の油圧シリンダ又は油圧モータに流体的に接続される、いわゆる油圧駆動によって動作されるのが通常である。ハイブリッド電気駆動又は全電気駆動の設計においては、これらの油圧駆動は、少なくとも部分的に電気駆動で補われるか、電気駆動に置き換えられる。電気駆動装置は、通常、出力及び位置制御用の関連するインバータを有する電気モータを備える。必要な電力は、発電機によって供給される。発電機は、例えば、作業機の下部構造にある内燃機関によって駆動されるか、外部電力を入力することによって駆動される。同様に、作業機は、電力を供給するためにそれ自身のエネルギ貯蔵装置を備えることができ、前記供給オプションの組み合わせも考えられる。個々の駆動装置を減速させることによって、エネルギが放出され、当該エネルギでエネルギ貯蔵装置を充電することができる。エネルギ貯蔵装置が完全に充電されている場合、この電力は、多くの場合、電気抵抗器、いわゆるブレーキチョッパを介して減少させなければならず、それによって熱エネルギが放出される。エネルギ貯蔵装置及び/又は蓄電装置、電気モータ、及び関連するインバータには、パワーエレクトロニクスやコントローラとともに、許容動作温度の維持に高い要求がある。動作温度がいわゆる動作温度制限を超えたり下回ったりすると、システムを保護するために関連部品の出力が低下する。このような機械運転に不利な出力の低下を避けるため、前記電気駆動部品は、精巧な機構によって冷却されることが多い。この目的のために、液体冷却システム、すなわち液体冷却媒体(多くの場合、水グリコール混合物)を使用する冷却システムが広く使用されている。簡単のため、以下では、自走式作業機の具体的な実施形態として移動式クレーンを参照する。以下に説明する設計は、もちろんあらゆるタイプの自走式機械に適用することができ、移動式クレーンに限定されるものではない。
【0003】
クレーンに通常見られる個々のクレーン機能の駆動部品には、例えば、ラフィング機構、昇降機構、伸縮機構、旋回機構を駆動させるために、それらに割り当てられた油圧モータ又は油圧シリンダを駆動する油圧ポンプが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、全電気駆動設計又はハイブリッド電気駆動設計において、異なる電気的な駆動部品の冷却能力要求に効率的に対処する冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、移動式クレーンの動作中、全ての駆動装置が関連する冷却能力要求で同時に高負荷率で運転されることは、通常無いことを認識した。従って、インテリジェントな冷却システム設計は、大幅な節約の可能性をもたらす。
【0006】
この目的は、独立請求項1及び請求項9の主題によって達成される。
【0007】
本発明によれば、複数の電気的な駆動部品を備える自走式作業機のための冷媒回路であって、
前記冷媒回路内を循環する冷媒の流れを発生させる冷媒ポンプと、
前記冷媒に蓄積された熱エネルギを放散するための熱交換器と、
互いに並列に延び、熱エネルギを吸収するために、それぞれに割り当てられた前記駆動部品を通過する冷媒をガイドする少なくとも2つの回路ラインと、
を備える、冷媒回路が提供される。
【0008】
言い換えれば、本発明に係る冷媒回路の少なくとも一部の領域は、それぞれに割り当てられた駆動部品を冷却するために互いに並列に延びる複数のラインを備え、これらのラインは、共通の供給フローを介して供給され、再び共通の戻りフローに出ることができる。冷媒ポンプは、供給フローに配置されてもよい。熱交換器/冷却器は、戻りフローに配置されてもよい。
【0009】
本発明によれば、互いに並列に配置された少なくとも2つの回路ラインを設けることによって、個々の駆動部品を、その冷却能力要求に応じて、設けられたライン間で分割することができる。更に、熱入力が冷媒回路全体で可能な限り均一になるように、個々の駆動部品を熱入力に応じて利用可能な回路ライン間で分割することができる。これにより、局所的に過剰な熱入力が発生することが回避される。
【0010】
一実施形態において、前記回路ラインは、それらの全体にわたって、前記冷媒の流れに実質的に等しい圧力損失を引き起こし、前記回路ラインの少なくとも1つは、当該回路ラインの圧力損失を、少なくとも1つの他の回路ラインの圧力損失に調整する絞り要素を有する。
【0011】
言い換えれば、各回路ラインには、実質的に等しい背圧が発生する。このことは、各回路ラインに配置された駆動部品を目標通りに選択することによって可能になる。すなわち、各回路ラインを通じてガイドされる冷媒の流量は、クレーンの運転中は一定の比率であるが、完全に互いに異なる大きさを示してもよい。各クレーンに設けられる駆動部品を巧みに組み合わせて配置しても、個々の回路ラインに十分に同様の背圧及び/又は圧力損失を発生させることができない場合であっても、絞り、バッフル、又は絞りバルブなどの絞り要素を個々の回路ラインに使用して、回路ライン全体で十分に等しい圧力損失及び/又は背圧を発生させることができる。
【0012】
別の実施例によれば、前記回路ラインの少なくとも1つにおいて、前記複数の駆動部品は、それぞれの動作温度限界のレベルに応じて、最も低い動作温度限界を起点として冷媒の流れ方向に配置されてもよい。
【0013】
言い換えれば、前記回路ラインの少なくとも1つにおいて、最も低い動作温度限界を有する駆動部品、すなわち、動作温度が高すぎるために出力の低減が最初に必要となる可能性が高い駆動部品に、冷媒が最初に通過するように流すことによって、効率が更に向上する。1つの回路ラインに3以上の駆動部品がある場合、それらは、回路ラインを通じてガイドされる冷媒が、最初に最も低い動作温度限界を有する駆動部品に到達し、次いで、中間の動作温度限界を有する駆動部品に到達し、最後に最も高い動作温度限界を有する駆動部品に到達するように配置されてもよい。このように駆動部品を配置することによって、利用可能な冷媒の流れを効率的に使用することができ、冷媒ポンプと配管とを備える冷媒回路を結果的に小型化することができる。
【0014】
前記回路ライン内の駆動部品は、熱放散や安全性に応じて配置されてもよい。具体的には、冷媒は、安全性に最も関連する部品を最初に通過し、続いて安全性にあまり関連しない部品を通過する。最も低い熱放散を示す部品を最初に通過させ、次に高い熱放散を示す部品を通過させてもよい。また、前記回路ライン内の部品を、動作温度限界、熱放散、及び安全性への関連のうち少なくとも2つの基準に基づいて配置することも考えられる。
【0015】
前記回路ラインは、前記冷媒の流れ方向から見て、冷媒ポンプと熱交換器との間に配置されてもよい。冷媒ポンプは、例えば、個々の回路ラインの上流側の供給フローに配置されてもよく、熱交換器及び/又は冷却器は、例えば、個々の回路ラインの下流側の戻りフローに配置されてもよい。もちろん、熱交換器を供給フローに配置すること、及び/又は冷媒ポンプを戻りフローに配置することも考えられる。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、前記冷媒回路は、前記回路ラインの少なくとも2つを流体的に接続する少なくとも1つの接続ラインと、接続ラインを開閉するため、及び/又は、前記接続ラインを通じてガイドされる前記冷媒の流量を変化させるための少なくとも1つのバルブとを備える。このような接続ラインは、1つの回路ラインから、それと並列に延びる別の回路ラインに冷媒を移送し、「自身の」回路ラインを介して可能な温度よりも低い又は高い温度の冷媒を駆動部品に供給することを可能にする。このような「相互供給」は、冷却されるべき駆動部品の動作温度が低すぎるか高すぎると判断されたとき又は予想されるときに、選択的に行われてもよい。接続ラインは、選択的に切り替え可能な1以上のバルブによって開閉されてもよい。また、冷媒の流れの全部又は一部だけが、寄与している回路ラインから引き出されることが考えられる。また、供給フローを介した実際の冷媒供給が、受け入れる回路ラインにおいて完全又は部分的にのみ閉じられることも考えられる。
【0017】
一実施形態において、前記接続ラインは、前記冷媒の流れ方向において、第1回路ラインにおける少なくとも1つの駆動部品の下流側の第1回路ラインと、前記冷媒の流れ方向において、第2回路ラインにおける少なくとも1つの駆動部品の上流側の第2回路ラインとを接続している。このような配置により、個々の駆動部品からの廃熱は、第1回路ライン内の冷媒に伝達され、第2回路ライン内の1以上の駆動部品を加熱するために使用することができる。このことは、出力の低下を避けるために、クレーンの動作のための駆動部品が最初に動作温度に到達しなければならない場合に特に有用である。このことは特に、バッテリ及び/又はアキュムレータとの関連で考えられることであり、クレーンの機能のために既に提供されている任意の考え得る駆動部品を熱源として使用することができるが、加熱装置、特に電気的に作動する加熱装置を提供することも同様に可能である。
【0018】
少なくとも1つのバルブのための少なくとも1つの接続ラインの機能は、例えば、クレーンの作業員によって手動で駆動されることが考えられるが、前記少なくとも1つのバルブは、前記接続ラインを介して冷媒が供給される駆動部品の冷却要求に応じて、前記接続ラインを介した冷媒の流量を自動的にガイドするために制御装置によって駆動されるように構成されてもよい。
【0019】
別の実施形態において、前記制御装置は、駆動部品の温度を検知する少なくとも1つのセンサを備え、前記駆動部品が、当該駆動部品に対して予め設定された温度閾値以下に低下したとき又は当該温度閾値を超えたとき、前記少なくとも1つのバルブを選択的に開閉させてもよい。
【0020】
これにより、駆動部品が加熱されることが必要であるか、或いは単に運転に有利であると判断された場合に、1つの駆動部品からの廃熱を利用して別の駆動部品を加熱するために、(好ましくは電子)制御装置によって接続ラインを開くことができる。必要な動作温度に達すると、制御装置は、接続ラインを再び閉じてもよい。このことは、駆動部品に追加の冷却要求がある場合にも同様に適用され、接続ラインを介してこれをカバーすることができる。
【0021】
本発明の別の態様は、複数の電気的な駆動部品と上述した一実施形態に係る冷媒回路とを備える自走式作業機、特に移動式クレーンに関する。
【0022】
別の実施形態において、前記自走式作業機(特に、移動式クレーン)は、互いに独立して同様に又は異なるように構成された前記冷媒回路を複数備えている。下部構造と当該下部構造上に回転可能に配置される上部構造とを備える作業機及び/又はクレーンについては、例えば、上部構造と下部構造との間の回転結合部を通じて延びる1つの冷媒回路を設けることが考えられる。逆に、下部構造と上部構造とにそれぞれ、互いに独立した冷媒回路を設けることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】クレーンの下部構造用の冷媒回路を示す図である。
図2】クレーンの上部構造用の冷媒回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を、好適な実施形態に基づいて、添付の図を参照しながら、より詳細に説明する。本発明は、ここで説明した特徴のいずれかを、個々に及び任意の好都合な組み合わせで含むことができる。
【0025】
図1は、クレーンの下部構造用の冷媒回路1を示している。冷媒回路1は、冷媒ポンプ2を含む供給フローと熱交換器3を含む戻りフローとに加えて、供給フローと戻りフローとの間に互いに並列に延びる4本の回路ライン4~7とを備えている。ポンプ2によって送られた冷媒は、それぞれの回路ライン4~7に配置された電気的な駆動部品8~13を冷却する(言い換えれば、その廃熱を放散する)ために、全ての回路ライン4~7に供給される。加熱された冷媒は、共通の戻りフローを介して熱交換器3に送られ、そこで蓄積された熱エネルギが冷媒から再び取り除かれる。冷媒の流れ方向で熱交換器3とポンプ2との間に配置された膨張タンク25は、冷媒の体積の熱による変化を補正するために使用される。
【0026】
図1に示す例において、全ての回路ライン4~7は、ほぼ等しい圧力損失を示し、及び/又は、ほぼ等しい背圧を発生する。このことは、それぞれの回路ライン4~7を通じてガイドされる冷媒の流量が一定の大きさの比率であり、個々の回路ライン4~7が供給過多になったり供給不足になったりすることがないことを意味する。電気エネルギ供給の中間回路12のインバータと発電機13のインバータとを備える回路ライン7が最大の圧力損失を示すので、他の回路ライン4~6(割り当てられた駆動部品8~11がより小さい圧力損失を引き起こす)には、絞りバルブ20が設けられ、全ての回路ライン4~7が、ほぼ等しい圧力損失を示すように、及び/又は、ほぼ等しい背圧を発生するようになっている。
【0027】
個々の回路ライン4~7内において、駆動部品8~13は、冷媒の流れが、まず動作温度限界の最も低い駆動部品を通過し、その後、動作温度限界の高い駆動部品を通過するように配置されている。
【0028】
また、図1に示す冷媒回路1は、2つのバルブ22と温度センサ24とに信号伝達可能に接続され、センサ24から伝達される温度値に応じてバルブ22を開閉させる電子制御装置23を備えている。具体的には、センサ24がアキュムレータ及び/又はバッテリ9の温度が低すぎることを検知した場合、制御装置23は、接続ライン21を開放させ、ブレーキチョッパ8によって冷媒に放出された廃熱を、接続ライン21を介してバッテリ9に供給し、バッテリ9が動作温度に達するようにする。バルブ22がこの状態にあるとき、回路ライン4と戻りフローとの間には直接接続がなく、回路ライン5と供給フローとの間には直接接続がない。その結果、ブレーキチョッパ8を通過する全ての冷媒は、バッテリ9を通過する。
【0029】
ブレーキチョッパ8は、例えば、駆動のブレーキによる回復から生じ、バッテリ9が十分に充電されているためにバッテリ9の充電に使用できない余剰エネルギを、電気抵抗器を介して熱エネルギに変換する。この熱エネルギは、通過する冷媒によって吸収される。
【0030】
発電機10及び外部電源11のインバータの両方から同時に高い熱出力が放散されることは予想されないため、これらの部品は、同じライン6に配置することができる。
【0031】
図2は、クレーンの上部構造用の冷媒回路1を示しており、その本質的な部品は、図1に示した冷媒回路1と同じである。しかしながら、クレーンの上部構造用の冷媒回路1は、それぞれ3つの駆動部品14~16及び17~19に冷媒を供給する2つの並列な回路ライン5,6のみを備えている。ライン5には、(許容動作温度限界の高い順に)昇降機構14の電動モータ、第1空冷式旋回機構モータ15のインバータ、油圧ポンプ16のインバータがある。ライン6には、例えば、ラフィング機構及び伸縮機構に作動液を供給する油圧ポンプ17の水冷式モータ、第2空冷式旋回機構モータ18の別のインバータ、水冷式昇降機構モータ19のインバータがある。基礎となる移動式クレーンでは、昇降機構がラフィング機構や伸縮機構とともに常時作動する(それらの駆動部品が同時に高レベルの廃熱を発生する)ことがないと想定されるため、それらの対応する駆動部品14,16,17,19には、同じ回路ライン5,6を介して冷媒が供給される。局所的な「ヒートスパイク」を避けるため、昇降機構及び油圧ポンプの個々の駆動部品14,16,17,19は、循環ライン5,6の間で「横断的に」分配される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気的な駆動部品(8~19)を備える自走式作業機のための冷媒回路であって、
前記冷媒回路(1)内を循環する冷媒の流れを発生させる冷媒ポンプ(2)と、
前記冷媒に蓄積された熱エネルギを放散するための熱交換器(3)と、
互いに並列に延び、熱エネルギを吸収するために、それぞれに割り当てられた前記駆動部品(8~19)を通過する冷媒をガイドする少なくとも2つの回路ライン(4~7)と、
を備える、冷媒回路。
【請求項2】
前記回路ライン(4~7)は、それらの全体にわたって、前記冷媒の流れに実質的に等しい圧力損失を引き起こし、前記回路ライン(4~7)の少なくとも1つは、当該回路ライン(4~7)の圧力損失を、少なくとも1つの他の回路ライン(4~7)の圧力損失に調整する絞り要素(20)を有する、請求項1に記載の冷媒回路。
【請求項3】
前記回路ライン(4~7)の少なくとも1つにおいて、前記複数の駆動部品(8~19)は、それぞれの動作温度限界、熱放散、及び/又は、安全性との関連のレベルに応じて、最も低い動作温度限界、最も低い熱放散、及び/又は、最も大きい安全性との関連を起点として、前記冷媒の流れ方向に配置される、請求項1に記載の冷媒回路。
【請求項4】
前記回路ライン(4~7)は、前記冷媒の流れ方向において前記冷媒ポンプ(2)と前記熱交換器(3)との間に配置されている、請求項1に記載の冷媒回路。
【請求項5】
前記回路ライン(4~7)の少なくとも2つを流体的に接続する少なくとも1つの接続ライン(21)と、
前記接続ライン(21)を開閉するため、且つ/又は、前記接続ライン(21)を通じてガイドされる前記冷媒の流量を変化させるための少なくとも1つのバルブ(22)と、
を更に備える、請求項1に記載の冷媒回路。
【請求項6】
前記接続ライン(21)は、前記冷媒の流れ方向において、第1回路ライン(4~7)における少なくとも1つの駆動部品(8~19)の下流側の第1回路ライン(4~7)と、前記冷媒の流れ方向において、第2回路ライン(4~7)における少なくとも1つの駆動部品(8~19)の上流側の第2回路ライン(4~7)とを接続している、請求項5に記載の冷媒回路。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバルブ(22)は、前記接続ライン(21)を介して冷媒が供給される駆動部品(8~19)の冷却要求に応じて、前記接続ライン(21)を介した冷媒の流量をガイドするために、制御装置(23)によって駆動されるように構成されている、請求項5に記載の冷媒回路。
【請求項8】
前記制御装置(23)は、駆動部品(8~19)の温度を検知する少なくとも1つのセンサ(24)を備え、前記駆動部品が、当該駆動部品(8~19)に対して予め設定された温度閾値以下に低下したとき又は当該温度閾値を超えたとき、前記少なくとも1つのバルブ(22)を選択的に開閉させる、請求項7に記載の冷媒回路。
【請求項9】
複数の電気的な駆動部品(8~19)と請求項1~8のいずれか1つに記載の冷媒回路(1)とを備える、自走式作業機。
【請求項10】
互いに独立して構成された請求項1~8のいずれか1つに記載の冷媒回路(1)を複数備え、第1冷媒回路(1)は、複数の駆動部品(8~19)を備える作業機の下部構造に割り当てられ、第2冷媒回路(1)は、複数の駆動部品(8~19)を備える作業機の上部構造に割り当てられている、請求項9に記載の自走式作業機。
【外国語明細書】