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特開2024-61674変調ドライバを使用する電解デバイスのノイズ低減及び寿命改善
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061674
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】変調ドライバを使用する電解デバイスのノイズ低減及び寿命改善
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20240425BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20240425BHJP
   G01N 30/64 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01N30/02 B
G01N30/34 A
G01N30/34 E
G01N30/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180890
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】17/969,779
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】591025358
【氏名又は名称】ダイオネックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ムリナル ケイ セングプタ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ タン
(72)【発明者】
【氏名】フサム アル-エサウィ
(57)【要約】
【課題】ノイズを低減する。
【解決手段】イオンクロマトグラフィーシステム及び電解抑制装置のためのシステム及び方法が説明される。電解抑制装置の動作周波数を変化させることによって、気泡及びノイズの生成を最小限に抑えることができる。これは、例えば、イオンクロマトグラフィーシステム内の電解抑制装置の下流の導電率検出器において、より正確な結果につながる。特定の実施形態では、約700~750Hz、100~150Hz、及び925~975Hzの周波数が、最良の結果を達成していることが見出されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンクロマトグラフィーシステムのための電解抑制装置システムであって、
電源に電気的に結合され、前記電源からの電流を変調するように構成された信号生成器と、
イオンクロマトグラフィーシステム内の溶離液導電率を抑制するように構成された電解抑制装置であって、前記信号生成器に電気的に結合され、変調された前記電流を電力に使用するように構成された、電解抑制装置と、を備える、電解抑制装置システム。
【請求項2】
変調された前記電流が、700~750Hzの周波数を有する、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項3】
変調された前記電流が、100~150Hzの周波数を有する、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項4】
変調された前記電流が、925~975Hzの周波数を有する、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項5】
前記電解抑制装置が、導電率検出器からのリサイクルラインへの接続部を備える、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項6】
前記電解抑制装置が、連続再生トラップカラムへの、リサイクルラインへの接続部を備える、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項7】
前記信号生成器の変調を制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項8】
前記電解抑制装置が、
第1の再生イオンを生成するように構成されたアノードチャンバと、
第2の再生イオンを生成するように構成されたカソードチャンバと、
分離カラムから溶離液を受容するように構成された溶離液抑制床チャンバと、
前記溶離液抑制床チャンバを前記アノードチャンバ及び前記カソードチャンバから分離し、前記溶離液からの対イオンと前記第1の再生イオン及び前記第2の再生イオンとの交換を促進するように構成された、2つ以上のイオン交換膜と、を備える、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項9】
前記信号生成器が、測定されたノイズ及び測定されたバックグラウンド安定性に少なくとも部分的に基づく周波数で、前記電流を変調する、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項10】
前記信号生成器が、1つ以上のシステムパラメータからのアクティブフィードバックに少なくとも部分的に基づく周波数で、前記電流を変調する、請求項1に記載の電解抑制装置システム。
【請求項11】
前記1つ以上のシステムパラメータが、流量、温度、及び化学用途のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の電解抑制装置システム。
【請求項12】
イオンクロマトグラフィーシステムであって、
ソースからプロセス中の液体を受容することと、プロセス中の前記液体を、前記イオンクロマトグラフィーシステムを通して押圧する力を提供することと、を行うように構成されたポンプと、
前記ポンプの下流にあり、プロセス中の前記液体に溶離液を添加するように構成された、溶離液生成器と、
前記溶離液生成器の下流にあり、プロセス中の前記液体から汚染物質を除去するように構成された連続再生トラップカラムと、
前記連続再生トラップカラムの下流にあり、試験試料を受容することと、前記試験試料をプロセス中の前記液体に混合することと、を行うように構成された試料注入部と、
前記試料注入部の下流にあり、プロセス中の前記液体の1つ以上の試験分析物から1つ以上の成分を分離するように構成された分離カラムと、
電解抑制装置システムであって、
電源に電気的に結合され、前記電源からの電流を変調するように構成された信号生成器と、
前記分離カラムからプロセス中の前記液体を受容することと、プロセス中の前記液体の前記1つ以上の試験分析物における溶離液導電率を抑制することと、を行うように構成された電解抑制装置であって、前記信号生成器に電気的に結合され、変調された前記電流を電力に使用するように構成された、電解抑制装置と、
を備える、電解抑制装置システムと、
前記電解抑制装置からプロセス中の前記液体を受容することと、プロセス中の前記液体の1つ以上の特性を検出することと、を行うように構成された検出器と、
を備える、イオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項13】
前記検出器が、導電率検出器、紫外可視分光計、蛍光分光計、電気化学検出器、導電率検出器、電荷検出器、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項12に記載のイオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項14】
前記電解抑制装置が、
第1の再生イオンを生成するように構成されたアノードチャンバと、
第2の再生イオンを生成するように構成されたカソードチャンバと、
前記分離カラムから、プロセス中の前記液体を受容するように構成された溶離液抑制床チャンバと、
前記アノードチャンバ及び前記カソードチャンバから前記溶離液抑制床チャンバを分離し、プロセス中の前記液体からの対イオンと前記第1の再生イオン及び前記第2の再生イオンとの交換を促進するように構成された、2つ以上のイオン交換膜と、を備える、請求項12に記載のイオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項15】
前記導電率検出器が、前記1つ以上の特性に関するデータをデータ管理システムに出力するように構成されている、請求項12に記載のイオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項16】
前記導電率検出器が、データを視覚ディスプレイに出力するように構成されている、請求項12に記載のイオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項17】
前記導電率検出器の第1の流体送出口を前記電解抑制装置に結合する第1のリサイクルライン、
前記電解抑制装置の第2の流体送出口を前記連続再生トラップカラムに結合する第2のリサイクルライン、
前記連続再生トラップカラムの第3の流体送出口を廃棄部に結合する第3のリサイクルライン、のうちの少なくとも1つを更に備える、請求項12に記載のイオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項18】
プロセス中の液体の流れを制御することと、前記信号生成器を調整することと、を行うように構成されたコントローラを更に備える、請求項12に記載のイオンクロマトグラフィーシステム。
【請求項19】
イオンクロマトグラフィーシステム内の電解抑制装置を動作させる方法であって、
電流を所定の周波数で変調することであって、前記電流が前記電解抑制装置に電力を供給するように構成されている、変調することと、
前記電解抑制装置に変調された前記電流で電力を供給することであって、前記電解抑制装置が、プロセス中の液体の1つ以上の試験分析物における溶離液導電率を抑制するように構成されている、電力を供給することと、を含む、方法。
【請求項20】
プロセス中の前記液体を、前記電解抑制装置を備える溶離液抑制床チャンバを通るように方向付けることと、
プロセス中の前記液体からの対イオンと、アノードチャンバからの第1の再生イオン及びカソードチャンバからの第2の再生イオンとの交換を促進することであって、前記アノードチャンバ及び前記カソードチャンバが、2つ以上のイオン交換膜によって前記溶離液抑制床チャンバから分離される、促進することと、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電解抑制装置の送出流体を、連続再生トラップカラムに結合されたリサイクルラインに方向付けることを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電解抑制装置に入るプロセス中の前記液体が、塩基性溶離液中の分析物塩を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記電解抑制装置を出るプロセス中の前記液体が、水性流出液中の酸性分析物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記電解抑制装置が、アニオン抑制装置を備える、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記アニオン抑制装置に入るプロセス中の前記液体が、NaOH溶離液中のNa+Cl-を含み、抑制された生成物が、H2O中のH+Cl-を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
イオンクロマトグラフィーシステムを動作させる方法であって、
ポンプでプロセス中の液体を受容することと、
プロセス中の前記液体を、前記システムを通してポンプ圧送することと、
溶離液生成器によって、プロセス中の前記液体に溶離液を添加することと、
連続再生トラップカラムによって、プロセス中の前記液体から汚染物質を除去することと、
試料注入部において、プロセス中の前記液体への試験試料を受容することと、
分離カラムによって、プロセス中の前記液体中の1つ以上の試験分析物から1つ以上の成分を分離することと、
信号生成器によって、電源から受容した電流を所定の周波数で変調することと、
前記イオンクロマトグラフィーシステム内の1つ以上の構成要素に前記変調された電流で、電力を供給することと、
電解抑制装置によって、プロセス中の前記液体中の前記1つ以上の試験分析物の溶離液導電率を抑制することと、
導電率検出器によって、プロセス中の前記液体中の1つ以上の特性を検出することと、を含む、方法。
【請求項27】
前記変調することが、700~750Hzで変調することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記変調することが、100~150Hzで変調することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記変調することが、925~975Hzで変調することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記分離カラムによって、前記1つ以上の成分を廃棄することを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記抑制することが、
プロセス中の前記液体を、前記電解抑制装置を備える溶離液抑制床チャンバを通るように方向付けることと、
プロセス中の前記液体からの対イオンと、アノードチャンバからの第1の再生イオン及びカソードチャンバからの第2の再生イオンとの交換を促進することであって、前記アノードチャンバ及び前記カソードチャンバが、2つ以上のイオン交換膜によって前記溶離液抑制床チャンバから分離される、促進することと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ以上の構成要素が、電解抑制装置、溶離液生成器、連続再生トラップカラムのうちの少なくとも1つを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の構成要素にわたるインピーダンスを測定することに基づいて、前記1つ以上の構成要素の性能を予測することを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の構成要素が、電解抑制装置を備え、前記方法が、前記電解抑制装置のインピーダンスを測定することと、前記インピーダンスが所定の値よりも高い場合、水和アラームを作動させることと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の構成要素が、溶離液生成器を備え、前記方法が、前記溶離液生成器のインピーダンスを測定することと、前記インピーダンスが所定の値よりも低い場合、平衡アラームを作動させることと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の構成要素が、溶離液生成器を備え、前記方法が、前記溶離液生成器のインピーダンスを測定することと、逆バイアス電圧を最適化し、化学物質漏出を防止するように前記インピーダンスを調節することと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抑制クロマトグラフィーを対象とする。
【背景技術】
【0002】
抑制イオンクロマトグラフィー(ion chromatography、IC)は、水溶液中のイオンの微量レベル分析のためのベンチマーク技術である。抑制装置は、完全に解離した分析物に対する応答を最大化しながら、溶出イオンの影響を排除することによって、検出において重要な役割を果たす。ICにおける抑制は、2つの主要な方法、すなわち化学的抑制及び電解的抑制において達成することができる。
【0003】
化学的抑制は、多くの場合、低ノイズを提供するが、抑制反応を維持するために、再生剤供給の一定のフラックス並びに最適な再生剤濃度及び流速を伴い得る。溶離液のタイプに応じて、使用される再生剤は、主に、希釈濃度の硫酸又はテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Tetrabutylammonium hydroxide、TBAOH)であり、これは、定期的に調製及び再充填される必要があり、多くの廃棄物を生成する。
【0004】
一方、電解抑制では、再生剤は水の電気分解中に自己生成され、それによって、手動介入を排除し、再生剤流がなくなり、抑制装置性能を低下させるリスクを低減する。しかしながら、電解プロセス中に、電極のアノード表面及びカソード表面で酸素ガス及び水素ガスの生成があり、これが導電率ベースラインに意図しないノイズを導入する。
【発明の概要】
【0005】
本開示による一実施形態は、イオンクロマトグラフィーシステムのための電解抑制装置システムを含む。システムは、電源に電気的に結合され、電源からの電流を変調するように構成された信号生成器と、イオンクロマトグラフィーシステム内の溶離液導電率を抑制するように構成された電解抑制装置であって、信号生成器に電気的に結合され、変調された電流を電力のために使用するように構成された電解抑制装置と、を備える。
【0006】
本開示の下で可能な別の実施形態は、イオンクロマトグラフィーシステムを含む。システムは、ソースからプロセス中の液体を受容し、イオンクロマトグラフィーシステムを通してプロセス中の液体を押圧する力を提供するように構成されたポンプと、ポンプの下流にあり、プロセス中の液体に溶離液を添加するように構成された溶離液生成器と、を備える。システムは、溶離液生成器の下流にあり、プロセス中の液体から汚染物質を除去するように構成された連続再生トラップカラムと、連続再生トラップカラムの下流にあり、試験試料を受容し、試験試料をプロセス中の液体に混合するように構成された試料注入部と、試料注入部の下流にあり、プロセス中の液体の1つ以上の試験分析物から1つ以上の成分を分離するように構成された分離カラムと、を更に備える。システムはまた、電源に電気的に結合され、電源からの電流を変調するように構成された信号生成器と、分離カラムからプロセス中の液体を受容することと、プロセス中の液体の1つ以上の試験分析物における溶離液導電率を抑制することと、を行うように構成された電解抑制装置であって、信号生成器に電気的に結合され、変調された電流を電力のために使用するように構成された、電解抑制装置と、を備える、電解抑制装置システムを含む。システムは、電解抑制装置からプロセス中の液体を受容し、プロセス中の液体の1つ以上の特性を検出するように構成された導電率検出器を更に備える。
【0007】
更なる可能な実施形態は、イオンクロマトグラフィーシステムにおいて電解抑制装置を動作させる方法を含む。方法は、電流を所定の周波数で変調することであって、電流が電解抑制装置に電力を供給するように構成された、変調することと、電解抑制装置に変調電流で電力を供給することであって、電解抑制装置が、プロセス中の液体の1つ以上の試験分析物における溶離液導電率を抑制するように構成された、電力を供給することと、を含む。
【0008】
更なる実施形態は、イオンクロマトグラフィーシステムを動作させる方法を含む。方法は、ポンプでプロセス中の液体を受容することと、プロセス中の液体を、システムを通してポンプ圧送することと、溶離液生成器によって、プロセス中の液体に溶離液を添加することと、連続再生トラップカラムによって、プロセス中の液体から汚染物質を除去することと、を含む。方法はまた、試料注入において、プロセス中の液体への試験試料を受容することと、分離カラムによって、プロセス中の液体中の1つ以上の試験分析物から1つ以上の成分を分離することと、信号生成器によって、電源から受容した電流を所定の周波数で変調することと、を含む。方法はまた、変調された電流で電解抑制装置に電力を供給することと、電解抑制装置によって、プロセス中の液体中の1つ以上の試験分析物の溶離液導電率を抑制することと、導電率検出器によって、プロセス中の液体中の1つ以上の特性を検出することと、を含む。
【0009】
上記は、以下の本発明の詳細な説明がより良く理解され得るように、本発明の特徴及び技術的利点をかなり広く概説している。本発明の追加的な特徴及び利点は、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する以下で説明する。開示される概念及び特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実行するために、他の構造を修正するか又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。また、かかる等価な構成が、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことも、当業者によって理解されるべきである。本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、添付の図面に関連して考慮されるとき、その構成及び動作方法の両方に関して、更なる目的及び利点とともに、以下の説明からより良く理解されるであろう。しかしながら、各図は、例示及び説明のみを目的として提供されており、本発明を限定する定義として意図されていないことが明確に理解されるべきである。
【0010】
ここで、本発明のより完全な理解のために、添付の図面と併せて考慮される以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】RFIC溶離液生成及び電解抑制装置を使用するイオンクロマトグラフィーシステムセットアップ概略図の一実施形態を例解する。
図2】溶離液生成器カートリッジの動作原理を例解する。
図3A】CR-TC実施形態の動作原理を例解する。
図3B】CR-TC実施形態の動作原理を例解する。
図4】抑制装置機能の概略図の一実施形態を示す。
図5】抑制装置、溶離液生成器(eluent generator、EGC)、連続再生トラップカラム(continuously regenerated trap column、CR-TC)を電源供給装置とともに含む、電解デバイスの可能な実施形態を例解する。
図6】抑制装置、EGC及びCR-TCを電源装置とともに含む、電解デバイスの可能な実施形態を例解する。
図7】監視された電圧又は電流を複素値に変換する方法の概略表現である。
図8】インピーダンスの計算の式及びグラフ表示を示す。
図9】高調波の計算の一例を示す。
図10A】インピーダンス測定値に関連する試料プロット及び表現を示す。
図10B】インピーダンス測定値に関連する試料プロット及び表現を示す。
図10C】インピーダンス測定値に関連する試料プロット及び表現を示す。
図10D】インピーダンス測定値に関連する試料プロット及び表現を示す。
図10E】インピーダンス測定値に関連する試料プロット及び表現を示す。
図11】ADRS600 4mm抑制装置1周波数掃引の研究を示す。
図12】ADRS600 4mm抑制装置2周波数掃引の研究を示す。
図13】より長い期間の抑制装置1の研究を示す。
図14】抑制装置1及び抑制装置2からの試料データを示す。
図15】本開示の下で可能な方法の実施形態を示す。
図16】本開示の下で可能な方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、当然変わり得る、特に例示されたデバイス、システム、方法、装置、製品、プロセス、及び/又はキットのパラメータに限定されないことを理解されたい。したがって、本開示の特定の実施形態は、特定の構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して詳細に説明されるが、説明は例示であり、特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書で使用される用語は、実施形態を説明することを目的としており、必ずしも特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0013】
本開示の実施形態は、電解変調ドライバを使用して最適化された周波数でICシステム内に印加された電流を変調して、均一性を制御すること、及びそれによって、気泡の生成を最小限に抑えて、定電流供給抑制装置と比較して、より低い導電率ノイズを達成し、発熱を低減し、製品寿命を延長することを含む。この電解変調アプローチは、溶離液生成器及び連続再生トラップカラム(CR-TC)などの任意の電解デバイスに適用可能であり得る。更に、非常に高い周波数が印加される場合、非抑制状態が達成され、このため、最適な変調周波数を選択することが、改善された性能を達成するために重要であることが実証されている。
【0014】
図1は、抑制された試薬フリーIC(reagent free IC、RFIC)システム5の一実施形態を例解する。RFICシステム5は、ポンプ20、電解溶離液生成器30、連続再生トラップカラム(CR-TC)40、試料インジェクタ45、分離カラム50、電解抑制装置60、検出器70、及びコントローラ95を含み得る。分離カラム50は、毛管カラム又は分析カラムの形態であり得る。リサイクルライン72は、液体を検出器70の送出口から電解抑制装置60の入口に移送するために使用され得、リサイクルライン62は、液体を電解抑制装置60の出口からCR-TC40の入口に移送するために使用され得、リサイクルライン42は、液体をCR-TC40の出口から、廃棄部35に移送するために使用され得る。
【0015】
ポンプ20は、液体リザーバ又は液体源10から液体をポンプ圧送し、電解溶離液生成器30に流体的に接続されるように構成することができる。液体は、脱イオン水、電解質を有する水溶液、又は有機溶媒と脱イオン水若しくは電解質水溶液との混合物であり得る。いくつかの電解質の例は、酢酸ナトリウム及び酢酸である。有機溶媒を含有する溶離液混合物は、例えば、メタノールなどの水混和性有機溶媒を含んでもよい。ポンプ20は、約20PSI~約15,000PSIの範囲の圧力で液体を輸送するように構成することができる。特定の状況下では、15,000PSIを超える圧力が実行されることもある。本明細書に示されている圧力は、周囲圧力(13.7PSI~15.2PSI)を基準として列挙されていることに留意されたい。ポンプ20は、高圧液体クロマトグラフィー(high-pressure liquid chromatography、HPLC)ポンプの形態であり得る。加えて、ポンプ20はまた、液体がポンプ20の不活性部分にのみ接触するように構成することもでき、そのため著しい数の不純物が浸出することはない。この文脈において、著しいとは、意図された測定を妨げる不純物の数を意味する。例えば、不活性部分は、液体に暴露されたときに有意な数のイオンを浸出させることがない、ポリエーテルエーテルケトン(polyetherether ketone、PEEK)で作るか、又は少なくともPEEKライニングでコーティングすることができる。
【0016】
溶離液は、酸、塩基、塩、又はそれらの混合物を含有する液体であり、クロマトグラフィカラムを介して分析物を溶出するために使用することができる。更に、溶離液は、液体と水混和性有機溶媒との混合物を含むことができ、液体は、酸、塩基、塩、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。電解溶離液生成器30は、ジェネラントを生成するように構成され得る。ジェネラントとは、溶離液に加えることができる特定の種類の酸、塩基、又は塩を指す。一実施形態では、ジェネラントは、カチオン性水酸化物などの塩基であってもよく、又はジェネラントは、炭酸、リン酸、酢酸、メタンスルホン酸、又はそれらの組み合わせなどの酸であってもよい。
【0017】
図1を参照すると、溶離液生成器30は、ポンプ20から液体を受容し、次いで溶離液を液体に添加するように構成することができる。溶離液を含有している液体は、溶離液生成器30から、CR-TC40の入口へ送出することができる。CR-TC40は、溶離液からカチオン性又はアニオン性汚染物質を除去するように構成される。CR-TC40は、溶離液出口に電極を備えたイオン交換床を含むことができる。イオン交換膜界面は、溶離液を第2の電極から分離させることができ、汚染イオンは、イオン交換膜によって第2の電極に向かって一掃することができる。様々な実施形態において、アニオン除去は、アニオン交換膜によってアノードから分離された溶離液出口にカソードを備えたアニオン交換床を利用することができる。あるいは、カチオン除去は、カチオン交換膜によってカソードから分離された溶離液出口にアノードを備えたカチオン交換床を利用することができる。汚染イオンは、リサイクルライン42を介してリサイクルされた液体を使用してCR-TC40から一掃することができる。
【0018】
任意選択の脱ガス装置(図示せず)は、CR-TCの下流にあってもよく、溶離液中の残留ガスを除去するために使用されてもよい。一実施形態では、残留ガスは水素及び酸素であってもよい。脱ガス器は、例えば、アモルファスフルオロポリマー、又はより具体的には、テフロンAFなどの、ガス透過性及び液体不透過性であるチュービングセクションを含み得る。流れる液体は、ガスのかなりの部分が除去された状態で、脱ガス器から試料インジェクタ45へ送出することができる。ガスは、リサイクルライン42、62のうちの1つを介してリサイクルされた液体を使用して脱ガス装置から一掃され得る。他の実施形態では、脱ガス装置は、周囲環境に排出するポートを備え得る。除去されたガスは、ポートを通して排出されてもよい。
【0019】
試料インジェクタ45は、液体試料のボーラスを溶離液流に注入するために使用することができる。液体サンプルは、複数の化学成分(すなわち、マトリックス成分)及び1つ以上の対象の分析物を含み得る。
【0020】
分離カラム50を使用して、液体試料中に存在する様々なマトリックス成分を対象の分析物から分離することができる。分離カラム50は、充填固定相を含む中空円筒の形態であり得るが、他のタイプの分離カラムも可能である。液体試料が分離カラム50を通って流れる際、マトリックス成分及び標的分析物は、分離カラム50から溶出するために、ある範囲の保持時間を有する可能性がある。標的分析物及びマトリックス成分の特性に応じて、それらは、分離カラム50内の固定相に対して異なる親和性を有することができる。分離カラム50の送出口は、電解抑制装置60に流体的に接続することができる。
【0021】
電解抑制装置60は、再生イオンのための溶離液の対イオンの効率的な交換により、溶離液導電率バックグラウンドを低減し、分析物の応答を向上させるために使用することができる。電解抑制装置60には、検出器70の下流にあるリサイクルライン72を介してリサイクル液体を供給することができる。電解抑制装置60の送出口は、液体試料の分離された化学成分の存在を測定するために、検出器70に流体的に接続することができる。
【0022】
図1に例解されるように、検出器70からの溶離液の送出流体は、リサイクルライン72を介して電解抑制装置60にリサイクルされ、電解抑制装置60の送出流体は、リサイクルライン62を介してCR-TC40にリサイクルされ、CR-TC40からの送出流体は、ライン42を介して廃棄部35に方向付けられる。
【0023】
検出器70は、紫外可視分光計、蛍光分光計、電気化学検出器、導電率検出器、電荷検出器、荷電化粒子検出器、又はこれらの組み合わせの形態であり得る。荷電化バリア及び2つの電極に基づく、電荷検出器に関する詳細は、参照により本明細書に完全に組み込まれる米国付与前公開第20090218238号において見出すことができる。電解デバイスの場合、リサイクルラインは、再生剤の供給源であるので、一般的に使用される。質量分析計などの他の検出器の場合には、外部水源が、電解デバイスのための再生剤源として働くことができる。荷電化粒子検出器を有する実施形態では、検出器は、流出液流を霧化し、分析物の濃度に比例した電流として測定することができる荷電粒子を生成する。荷電化粒子検出器に関する詳細は、参照することにより本明細書に完全に組み込まれる米国特許第6,544,484号及び同第6,568,245号に見出すことができる。
【0024】
図1に示されるように、コントローラ95は、RFICシステム5の構成要素のうちの1つ又は全てに電子的に結合され得る。コントローラ95は、マイクロプロセッサ、タイマ、メモリ部分、電源への接続を含むことができ、制御信号を印加するように構成することができる。コントローラ95は、RFICシステム5の動作を制御するために使用することができる。コントローラ95は、RFICシステム5に統合されてもよく、又はRFICシステム5と通信するパーソナルコンピュータ(又は他の計算デバイス)の一部であり得る。コントローラ95は、試料を注入する試料インジェクタ45のスイッチングに関して、電流波形の大きさ及びタイミングを設定するための命令を記憶し得る。
【0025】
電解抑制装置60を使用するとき、抑制装置ケーブル55は、抑制のために必要な電流を提供する電源65にプラグ接続され得る。電源65は、コントローラ95に電力を供給するのと同じ電源であってもよく、又は異なるものであってもよい。いずれの場合も、コントローラ95は、電解抑制装置60及び電源65の機能を制御し得る。
【0026】
図2は、電解溶離液生成器100の動作原理を例解する。溶離液生成器100は、高圧溶離液生成チャンバ102及び低圧電解質リザーバ104を含むことができる。様々な実施形態では、高圧生成チャンバ102は、少なくとも約5,000psi、更には少なくとも約10,000psiなど、約2,000psiを超え、約15,000psi以下など、約30,000psi以下の圧力で動作することができる。
【0027】
溶離液生成チャンバ102は、有孔白金(platinum、Pt)電極106を含むことができる。電解質リザーバ104は、Pt電極108及び電解質溶液を含むことができる。様々な実施形態では、電解溶離液生成器カートリッジ100は、KOHなどの塩基を生成することができ、電極106は、水酸化物イオンが形成され得るカソードであり得、電極108は、アノードであり得る。他の実施形態では、電解溶離液生成器カートリッジ100は、炭酸、リン酸、酢酸、メタンスルホン酸などの酸を生成することができ、電極106は、ヒドロニウムイオンが形成され得るアノードであり得、電極108は、カソードであり得る。溶離液生成チャンバ102は、電解質リザーバ104から高圧生成チャンバ102へ1つの電荷のみのイオンの通過を可能にすることができる交換コネクタ110によって、電解質リザーバ104に接続することができる。交換コネクタ110はまた、低圧電解質リザーバ104と高圧生成チャンバ102との間の高圧物理的バリアという重要な役割を果たすことができる。電解溶離液生成器カートリッジ100が塩基生成器である様々な実施形態では、交換コネクタ110は、電解質リザーバ104から生成チャンバ102へのアニオンの通過を実質的に防止しながら、カチオンの通過を可能にすることができる。電解生成器100が酸生成器である代替的な実施形態では、交換コネクタ110は、電解質リザーバ104から生成チャンバ102へのカチオンの通過を実質的に防止しながら、アニオンの通過を可能にすることができる。様々な実施形態では、溶離液生成チャンバ102及びイオン交換コネクタ110を、溶離液生成カートリッジに組み込むことができる。
【0028】
KOH溶離液を生成するために、脱イオン水を溶離液生成チャンバ102を通じてポンプ圧送することができ、DC電流を電極108と電極106との間に印加することができる。印加された電界の下で、水の電気分解が、デバイス100の電極108及び電極106の両方において生じ得る。電解質リザーバ104の電極108においてH+イオン及び酸素ガスを形成するために水を酸化させることができる:H2O→2H++1/2O2↑+2e-。KOH生成チャンバ102内の電極106においてOH-イオン及び水素ガスを形成するために水を還元することができる:2H2O+2e-→2OH-+H2↑。アノード106において生成されたH+イオンが電解質リザーバ104においてK+イオンを置換するため、置換されたイオンは、カチオン交換コネクタ110を横切って溶離液生成チャンバ102へ移動することができる。これらのK+イオンは、カソード106において生成された水酸化物イオンと結合して、KOH溶液を生成することができ、このKOH溶液を、アニオン交換クロマトグラフィーの溶離液として使用することができる。生成されたKOHの濃度は、生成器100に印加される電流及び生成チャンバ102を通る担体としての水の流量によって決定することができる。
【0029】
メタンスルホン酸溶離液を生成するために、脱イオン水を溶離液生成チャンバ102を通じてポンプ圧送することができ、DC電流を電極108と電極106との間に印加することができる。印加された場の下で、水の電気分解が、溶離液生成器100の電極108及び電極106の両方において生じ得る。KOH生成チャンバ102内の電極106においてH+イオン及び酸素ガスを形成するために水を酸化させることができる:H2O→2H++1/2O2↑+2e-。電解質リザーバ104内の電極108においてOH-イオン及び水素ガスを形成するために水を還元することができる:2H2O+2e-→2OH-+H2↑。電極106において生成されたOH-イオンが電解質リザーバ204においてメタンスルホン酸塩イオンを置換するため、置換されたイオンは、アニオン交換コネクタ110を横切って溶離液生成チャンバ102へ移動することができる。これらのメタンスルホン酸塩イオンは、電極106において生成されたヒドロニウムイオンと結合して、メタンスルホン酸溶液を生成することができ、このメタンスルホン酸溶液を、カチオン交換クロマトグラフィーの溶離液として使用することができる。生成されたメタンスルホン酸の濃度は、生成器100に印加される電流及び生成チャンバ102を通る担体としての水の流量によって決定することができる。
【0030】
CRTCの動作が、図3A及び図3Bで例解される。図3AのCRTC200aは、CR-ATC(連続再生アニオントラップカラム)であり、図3BのCRTC200bは、CR-CTC(連続再生カチオントラップカラム)である。CR-ATC200aは、アニオン交換膜235aを利用し、一方、CR-CTC200bは、カチオン交換膜235bを利用する。図3A及び図3Bは、可能な溶離液を用いたCRTC機能及び動作を例解するが、他の溶離液及び他の材料も可能である。図3A及び図3Bは、多くの可能性のうちの2つのみを例解する。
【0031】
最初に図3Aを参照すると、K+OH-+K+ 2CO3 2-が、溶離液生成器(例えば、図2の生成器100)からカソードチャンバ220a内のアニオン交換樹脂230aに供給される。H2Oは、抑制装置流出液からアノードチャンバ240a及びカソードチャンバ220aに供給される。カソード270aは、H2O+2e-をOH-+H2(g)に変えるのを助ける負電荷を印加する。アノード260aは、2H2Oを4H++O2(g)+2e-に変換するのを助ける正電荷を印加する。アニオン交換膜230aは、溶離液からCO3 2-及びOH-を引き出して、以下のように組み合わせる:CO3 2-+2H+→H2CO3、及びH++OH-→H2O。その結果、H2O及びH2CO3が、脱ガス装置に供給されて廃棄される。及びK+OH-は、プロセス流体として脱ガス器及び注入弁に供給される。
【0032】
図3Bを参照すると、H+MSA-+Na+MSA--は、溶離液生成器からアノードチャンバ220b内のカチオン交換樹脂230bに供給される。H2Oは、抑制装置流出液からカソードチャンバ240b及びアノードチャンバ220bに供給される。アノード270bは、2H2Oを4H++O2(g)+2e-に変えるのを助ける正電荷を印加する。カソード260bは、H2O+2e-をOH-+H2(g)に変換するのを助ける負電荷を印加する。カチオン交換膜230bは、溶離液からNa+及びH+を引き出して、以下のように組み合わせる:Na++OH-→NaOH、及びH++OH-→H2O。その結果、H2O及びNaOHが脱ガス装置に供給され、廃棄される。H+MSA-は、プロセス流体として脱ガス装置及び注入弁に供給される。
【0033】
電解抑制装置300の一実施形態が図4に示される。電解抑制装置300は、再生イオンのための溶離液の対イオンの効率的な交換により、溶離液導電率バックグラウンドを低減し、分析物の応答を向上させるために使用することができる。電解抑制装置300は、イオン交換膜345によって分離されたアノードチャンバ310、カソードチャンバ320、及び溶離液抑制床チャンバ330を含むことができる。アノードチャンバ310及び/又はカソードチャンバ320は、再生イオン350(この例では、H2、O2ガスを含むH+)を生成することができる。溶離液抑制床チャンバ330は、イオン交換バリアによって再生剤350から分離された溶離液360(この場合NaOH)のための流路を含むことができ、溶離液対イオンは、イオン交換バリアを越えて再生イオンと交換することができる。カソードチャンバ320又はアノードチャンバ310は、リサイクルライン(例えば、図1のリサイクルライン72)を介してリサイクルされた液体(例えば、H2O)が供給され得る。電解抑制装置300の送出口は、導電率検出器(例えば、図1の検出器70)に流体的に接続することができる。上記で説明されたように、先行技術における1つの問題は、電解抑制装置300における気泡の生成であり、RFICシステムにおいてノイズの増加及び精度の低下をもたらす。
【0034】
100%電流効率抑制装置に対する電流要件は、溶離液濃度及び用途の流速に依存するファラデーの式に基づいて、計算される。抑制を維持するために、概して、任意の所与の用途について、推奨される印加電流は、理論電流よりも1.6~2倍高く設定される。かかるより高い電流を印加する理由は、ほとんどの機械に関して、カチオン及びアニオン抑制装置電流効率が、70~90%の範囲内にあるためである。抑制装置電流の断続的な使用又は抑制装置の出口における電流を低下させることは、低ノイズをもたらすことが以前に見出されている。印加電流が高ければ高いほど、デバイスワット数が高くなり、その結果、著しい熱の生成、及び後続の過剰な気泡の生成をもたらす。印加電流を増加させると、再生剤区画からランダムに出てくる気泡が著しく増加することが観察されている。出願人は、電極表面で生成され、溶離液チャネルを覆うイオン交換膜表面に近接する気泡が、溶離液流動力学を乱し、高いノイズを引き起こす可能性があると仮定した。
【0035】
本開示の下でのある実施形態は、抑制装置印加電流を低下させることなく、気泡の生成を最小限に抑え、かつ制御することができる。説明される解決策の1つの態様は、電解抑制装置を駆動するための変調電流の使用である。かかる一実施形態が、図5に示される。システム400は、定電流電源440と組み合わされた信号生成器(例えば、変調ドライバ)420を含む。これらは、(図1の電解抑制装置60などの)電解抑制装置460の電源を駆動する。信号生成器420は、駆動電流を変調するように制御することができる。例えば、特定の周波数において、0mA~50mAで変化する50%デューティサイクルの方形波を生成することができる。出願人は、特定の周波数を印加することによって、気泡生成が最小限に抑えられ、ノイズが少なくなり、例えば、図1のRFICシステム5からより正確な結果が得られることを見出した。
【0036】
電解抑制装置の代替的な実施形態が図6に示される。電解デバイス560は、電源540(例えば、電圧制御電流源)及び信号生成器520に結合される。図6の電解デバイス560は、抑制装置、EGC、及びCRTCを備えることができる。信号生成器520は、電源540からの電流を変調するために変調を適用することができる。電解デバイス560は、モニタ580によって追跡/測定され得る負荷電圧V負荷と、モニタ570によって追跡/監視され得る負荷電流i負荷と、を受けることができる。GNDは、接地を表現する。
【0037】
図5及び図6に示される信号生成器及び電源は、図1のコントローラ95などのコントローラによって制御することができる。コントローラ95又は電源440/540は、変調設定で予めプログラムすることができ、又は図1のシステム5などのICシステムからの読取り値又は測定値に基づいて、周波数を変調することができる。例えば、変調は、どの周波数がシステム又は構成要素で最も低い測定ノイズを引き起こすかに基づいてもよく、これは、システム構成又は使用される構成要素の特定のモデルに応じて、変化し得る。変調は、システム又は任意の構成要素の測定された安定性に基づくことができる。変調はまた、流量、温度、化学用途、又は他の変数の測定値などのリアルタイム測定値に基づいて、能動的に変化し得る。これらの測定値は、ICシステム内の任意の点又は複数の点で取得され得る。
【0038】
図7は、監視された電圧又は電流を複素値に変換する方法の概略表現を示す。610において、V負荷又はi負荷が入力され、信号生成器620からの変調信号と合成される。デジタイザ630は、V負荷又はi負荷をデジタル信号に変換し、次いで、デジタル信号は、640において0°の同相正弦波で乗算され、650において直交正弦波で乗算される。これにより、同相データ660及び直交データ670が得られる。640の送出はまた、DC構成要素による使用のためにローパスフィルタ680を通して送られる。
【0039】
同相データ及び直交データを用いて、インピーダンスを計算することができる。図7は、計算の式及びグラフ表示を示す。xy軸上の同相(実数)及び直交(虚数)データをグラフ化すると、以下のように与えられる角度φを有する値Mを得ることができる。
【0040】
【数1】
【0041】
インピーダンスZは、次のように取得され得る。
【0042】
【数2】
【0043】
変調された信号を印加することは、高調波をもたらし得る。高調波は、フーリエ級数で計算することができる。一実施例が、図9に示される。試料方形波が示され、結果として得られるフーリエ級数は次のように与えられる:
【0044】
【数3】
【0045】
720Hzの周波数の試料ケースに関して、高調波は、2160Hz、3600Hzなどである。
【0046】
インピーダンススキャンは、システムを評価するために使用することができ、所与の式が真であるか否かは、システムの機能性を評価するのに役立ち得る。図10A図10Eは、インピーダンススキャンプロットを示す。図10Aは、ポテンシオスタットを使用したプロットを示し、これは、本明細書において考察される実施形態について3つの点を与える。図10Bは、摂動信号を示す。図10Cは、可能な電気化学応答測定を示す。図10Dは、インピーダンスのグラフ表示を示す。図10Eは、二重層キャパシタンスを有する等価回路及びファラデーインピーダンスの式を示す。
【0047】
電解抑制装置及びその電源の変調に関して、いくつかの結論を下すことができる。負荷インピーダンスの原位置監視は、負荷電圧及び/又は負荷電流を処理することによって、負荷(抑制装置、ECG)の健全性を判定するために使用することができる。負荷インピーダンス監視は、IQ復調ブロックを使用して、変調されたEPSに追加され得る。更に、IQ復調送出から複素インピーダンスを算出することができる。
【0048】
本明細書において説明される変調のための最適周波数を判定するために、周波数掃引測定を、抑制装置ベースラインノイズ性能に対して行った。2つのアニオン動的再生抑制装置(anion dynamically regenerated suppressor、ADRS600)を、図11図12に示される周波数掃引研究のために使用した。研究に基づいて、最も低いノイズは、両方の抑制装置について720Hzの周波数で達成され、定電流供給モードと比較して、抑制装置1(図11)及び抑制装置2(図12)についてそれぞれ約35%及び約30%の改善を示した。約120及び960Hzの周波数もまた、両方の抑制装置について低いノイズを示した。選択された周波数(120、720及び960Hz)で抑制装置1を用いて更なる研究を行い、より長い持続時間で実行した。図13に示されるように、720Hzの周波数において、0.262nS/cmの最も低い平均ノイズが観察され、続いて120Hzにおいて0.292nS/cm、960Hzにおいて0.319nS/cmであり、これは周波数掃引研究からの知見と一致する。更に、720Hzにおける相関係数(R2)は0に近く、研究の全期間を通じて安定したノイズ性能を示した。追加的に、本出願人はまた、変調周波数が非常に高く増加される場合、バックグラウンド導電率及びベースラインノイズを著しく増加させることによって抑制に悪影響を及ぼし、非抑制状態につながることも見出した(図14)。これらの知見に基づいて、変調周波数を抑制装置又は任意の電解デバイス電源に結合することは、ベースラインノイズを低下させ、改善された信号対ノイズ及びデバイスの期待寿命につながり得ることが推測され得る。
【0049】
760Hz、120Hz、及び960Hzなどの周波数において有益な結果を達成することについて言及してきたが、周波数を印加することが必ずしも正確な動作ではないことを理解されたい。例えば、760Hzの周波数を印加することを目的とすることは、多くの場合、いずれかの方向に約5~10Hzの変化を示す周波数を印加することを意味する。結果として、760Hzの周波数を印加することは、760±5~10Hz、又は±5~10%の周波数を印加することを意味し得る。異なる信号生成器、電解抑制装置、及び電源は、異なる精度を有し得る。
【0050】
図15は、本開示の下で可能な方法の実施形態を表示する。方法1400は、イオンクロマトグラフィーシステム内の電解抑制装置を動作させる方法である。ステップ1410は、電解抑制装置に電力を供給するように構成された電流を所定の周波数で変調することである。ステップ1420は、電解抑制装置に変調された電流で電力を供給することであり、電解抑制装置は、プロセス中の液体の1つ以上の試験分析物における溶離液導電率を抑制するように構成される。
【0051】
図16は、本開示の下での別の可能な方法の実施形態を示す。方法1500は、イオンクロマトグラフィーシステムを動作させる方法である。ステップ1510は、ポンプでプロセス中の液体を受容することである。ステップ1520は、プロセス中の液体を、システムを通してポンプ圧送することである。ステップ1530は、溶離液生成器によって、プロセス中の液体に溶離液を添加することである。工程1540は、連続再生トラップカラムによって、プロセス中の液体から汚染物質を除去することである。ステップ1550は、試料注入において、プロセス中の液体への試験試料を受容することである。ステップ1560は、分離カラムによって、プロセス中の液体中の1つ以上の試験分析物から1つ以上の成分を分離することである。ステップ1570は、信号生成器によって、電源から受容した電流を所定の周波数で変調することである。ステップ1580は、変調された電流で電解抑制装置に電力を供給することである。ステップ1590は、電解抑制装置によって、プロセス中の液体中の1つ以上の試験分析物の溶離液導電率を抑制することである。ステップ1595は、導電率検出器によって、プロセス中の液体の1つ以上の特性を検出することである。
【0052】
本開示のコンピュータシステム
コンピュータシステムがますます多種多様な形態を取っていることが理解されるであろう。この説明及び特許請求の範囲において、「コントローラ」、「コンピュータシステム」、又は「コンピューティングシステム」という用語は、任意のデバイス若しくはシステム、又はそれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの物理的かつ有形のプロセッサ、及びプロセッサによって実行され得るコンピュータ実行可能命令をその上に保持し得る物理的かつ有形のメモリを含む。例として、限定ではなく、本明細書で使用される場合の「コンピュータシステム」又は「コンピューティングシステム」という用語は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、ハンドヘルドデバイス(例えば、携帯電話、PDA、ページャー)、マイクロコンピュータベースの若しくはプログラム可能な家電製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ネットワークPC、分散コンピューティングシステム、データセンター、メッセージプロセッサ、ルータ、スイッチ、更にはウェアラブル(例:メガネ)などの従来はコンピューティングシステムとは見なされていなかったデバイスを含むことを意図している。
【0053】
メモリは、任意の形式をとることができ、コンピューティングシステムの性質と形式に依拠し得る。メモリは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はその2つの組み合わせを含む物理システムメモリとすることができる。「メモリ」という用語は、本明細書では、物理記憶媒体などの不揮発性大容量記憶デバイスを指すために使用され得る。
【0054】
コンピューティングシステムはまた、「実行可能コンポーネント」と呼ばれることが多い複数の構造も有する。例えば、コンピューティングシステムのメモリは、実行可能コンポーネントを含むことができる。「実行可能コンポーネント」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせであることができる構造であるとして、コンピューティングの分野の当業者によく理解されている構造の名前である。
【0055】
例えば、ソフトウェアに実装される場合、当業者は、実行可能コンポーネントの構造が、コンピューティングシステム上の1つ以上のプロセッサによって実行され得るソフトウェアオブジェクト、ルーチン、メソッドなどを含み得、そのような実行可能コンポーネントがコンピューティングシステムのヒープに存在するかどうか、又は実行可能コンポーネントがコンピュータ可読記憶媒体に存在するかどうかについて理解するであろう。実行可能コンポーネントの構造は、コンピューティングシステムの1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、コンピューティングシステムに本明細書に記載の機能及び方法などの1つ以上の機能を実行させるように動作可能であるような形でコンピュータ可読媒体上に存在する。このような構造は、実行可能コンポーネントがバイナリである場合のように、プロセッサによる直接的なコンピュータ読み取りが可能なものであり得る。あるいは、その構造は、プロセッサが直接的に逐次解釈可能なバイナリを生成するように、(単一の段階であろうと複数の段階であろうと)逐次解釈可能に、かつ/又はコンパイルされるように構造化され得る。
【0056】
「実行可能コンポーネント」という用語はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、プログラム特定標準製品(Program-specific Standard Product、ASSP)、システムオンチップシステム(System-on-a-chip system、SOC)、複合グラマブルロジックデバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)、又は他の特殊な回路の内部など、ハードウェアロジックコンポーネントに排他的又はほぼ排他的に実装される構造を含むものとして、当業者によってよく理解されるであろう。したがって、「実行可能コンポーネント」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせで実装されているかどうかにかかわらず、コンピューティングの当業者によってよく理解されている構造の用語である。
【0057】
「コンポーネント」、「サービス」、「エンジン」、「モジュール」、「制御」、「発電機」などの用語も、この説明で使用され得る。この説明で使用されるように、この場合、これらの用語は、修飾節の有無にかかわらず、「実行可能コンポーネント」という用語と同義であることが意図されており、したがって、コンピューティングの当業者によく理解されている構造を持っている。
【0058】
全てのコンピューティングシステムがユーザインターフェースを必要とするわけではないが、いくつかの実施形態では、コンピューティングシステムは、ユーザとの間で情報を通信する際に使用するためのユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースには、入力メカニズムだけでなく出力メカニズムも含まれ得る。本明細書で説明される原理は、正確な出力メカニズム又は入力メカニズムに限定されず、それ自体はデバイスの性質に依存する。ただし、出力メカニズムには、例えば、スピーカー、ディスプレイ、触覚出力、投影、ホログラムなどが含まれる場合がある。入力メカニズムの例には、例えば、マイク、タッチスクリーン、投影、ホログラム、カメラ、キーボード、スタイラス、マウス、又はその他のポインタ入力、任意のタイプのセンサなどが含まれる。
【0059】
したがって、本明細書に記載の実施形態は、特別な目的又は汎用のコンピューティングシステムを含むか、又は利用し得る。実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令及び/又はデータ構造を担持又は記憶するための物理的及び他のコンピュータ可読媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は特殊目的のコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読媒体は、物理的記憶媒体である。コンピュータ実行可能命令を担持するコンピュータ可読媒体は、伝送媒体である。したがって、例として(限定するものではない)、本明細書で開示又は想定される実施形態は、少なくとも2つの明確に異なる種類のコンピュータ可読媒体、すなわち記憶媒体及び伝送媒体を含み得る。
【0060】
コンピュータ可読記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、ソリッドステートドライブ(solid state drive、「SSD」)、フラッシュメモリ、位相変化メモリ(phase-change memory、「PCM」)、CD-ROM若しくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージデバイス、又はコンピュータで実行可能な命令若しくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを格納するために使用でき、かつ本発明の開示された機能を実装するために汎用又は特殊目的のコンピューティングシステムによってアクセス及び実行できる他の物理的及び有形の記憶媒体が含まれる。例えば、コンピュータ実行可能命令は、コンピュータプログラム製品を形成するために、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に具体化され得る。
【0061】
伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形で所望のプログラムコードを担持することができ、かつ汎用又は特殊目的のコンピュータによってアクセス及び実行できる、ネットワーク及び/又はデータリンクを含むことができる。上述の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0062】
更に、様々なコンピュータシステムコンポーネントに到達すると、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形式のプログラムコードを、伝送媒体からコンピュータ記憶媒体に(又はその逆に)自動的に転送することができる。例えば、ネットワーク又はデータリンクを介して受信したコンピュータ実行可能命令又はデータ構造は、ネットワークインターフェイスモジュール(例えば、「NIC」)内のRAMにバッファリングされ、最終的にコンピュータシステムRAM及び/又はコンピュータシステムのより揮発性の低い記憶媒体に転送することができる。よって、記憶媒体は、伝送媒体も(というより主にそれが)利用するコンピューティングシステムコンポーネントに含まれ得ることを理解されたい。
【0063】
当業者であれば、コンピューティングシステムが、例えば、ネットワークを介して他のコンピューティングシステムと通信することを可能にする通信チャネルも含み得ることを更に理解するであろう。したがって、本明細書で説明する方法は、多くのタイプのコンピューティングシステム及びコンピューティングシステム構成を備えたネットワークコンピューティング環境で実施され得る。実施形態は、ネットワークを通して(有線データリンク、無線データリンク、又は有線データリンクと無線データリンクの組み合わせのいずれかによって)リンクされるローカル及びリモートコンピュータシステムが両方ともタスクを実行する分散型システム環境において実施され得る。分散システム環境では、処理、メモリ、及び/又はストレージ機能も分散され得る。
【0064】
当業者はまた、開示された方法がクラウドコンピューティング環境で実施され得ることを理解するであろう。クラウドコンピューティング環境は分散され得るが、これは必須ではない。クラウドコンピューティング環境を分散させると、組織内で国際的に分散され、及び/又は複数の組織にわたってコンポーネントが所有され得る。この説明及び以下の特許請求の範囲において、「クラウドコンピューティング」は、構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、及びサービス)の共有プールへのオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのモデルとして定義される。「クラウドコンピューティング」の定義は、適切にデプロイされたときにそのようなモデルから得ることができる他の多くの利点のいずれにも限定されない。
【0065】
クラウドコンピューティングモデルは、オンデマンドセルフサービス、広範なネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定されたサービスなど、様々な特性で構成することができる。クラウドコンピューティングモデルは、例えば、Software as a Service(「SaaS」)、Platform as a Service(「PaaS」)、Infrastructure as a Service(「IaaS」)など、様々なサービスモデルの形式で提供され得る。クラウドコンピューティングモデルはまた、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなどの異なるデプロイモデルを使用してデプロイされ得る。
【0066】
定義された用語の省略リスト
この書面による説明及び添付のクレームの範囲及び内容を理解しやすくするために、いくつかの用語をすぐ下に定義する。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0067】
本明細書で使用される「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を実行するか、又は所望の結果を達成する、特定の記載された量又は条件に近い量又は状態を表す。例えば、「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、具体的に記載された量又は条件から、10%未満、又は5%未満、又は1%未満、又は0.1%未満、又は0.01%未満だけ偏差する量又は状態を指す場合がある。
【0068】
デバイス、システム、及び方法を含む本開示の様々な態様は、本質的に例示的な1つ以上の実施形態又は実装形態を参照して例示し得る。本明細書で使用される場合、「例示的な」という用語は、「例、事例、又は実例として機能する」を意味し、必ずしも本明細書に開示される他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。加えて、本開示又は本発明の「実装形態」への言及は、その1つ以上の実施形態への特定の言及を含み、逆もまた同様であり、以下の説明というよりも、添付の特許請求の範囲に示される、本発明の範囲を限定することなく例示的な例を提供することを意図している。
【0069】
本明細書中で使用される際、別段、暗黙的又は明示的に理解又は記載されない限り、単数で現れる単語は、その複数の同等のものを包含し、複数で現れる単語は、その単数の同等のものを包含する。よって、本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられる単数形「a」「an」及び「the」は、その内容が明確に指示されていない限り複数の対象を含むことに留意されたい。例えば、単一の指示対象(例えば、「ウィジェット」)への参照には、暗黙的又は明示的に理解又は明示されていない限り、1つ、2つ、又はそれ以上の指示対象が含まれる。同様に、複数の指示対象への言及は、内容及び/又は文脈が明確に指示しない限り、単一の指示対象及び/又は複数の指示対象を含むものとして解釈されるべきである。例えば、複数形の指示対象(例えば、「ウィジェット」)への参照は、必ずしも複数のそのような指示対象を必要としない。代わりに、推定される指示対象の数とは無関係に、特に明記しない限り、1つ以上の指示対象が本明細書で企図されることが理解されよう。
【0070】
本明細書で使用される場合、「頂(top)」、「底(bottom)」、「左(left)」、「右(right)」、「上(up)」、「下(down)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」などの方向を示す用語は、相対的な方向を示すためのみに本明細書で使用され、また他の点で、本開示又は請求された発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0071】
結論
別様に、暗黙的又は明示的に理解又は記載しない限り、本明細書において説明される任意の所与の構成要素又は実施形態について、その構成要素について列挙された可能な候補又は代替物のいずれかが、概して、個々に又は互いに組み合わせて使用され得ることが理解される。追加的に、別段、暗黙的又は明示的に理解又は記載されない限り、かかる候補又は代替物のいかなる列挙も、単なる図示であり、限定ではないことが理解されよう。
【0072】
加えて、別段の指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用された量、成分、距離、又は他の測定値を表す数は、「約(about)」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。それに応じて、矛盾して示されない限り、明細書及び添付の特許請求の範囲において記載された数値パラメータは、本明細書中に提示された主題によって得られることが求められる、所望の特性に応じて変化することがある近似値である。最低でも、かつ特許請求の範囲に対する均等の原則の塗布を限定することを企図しないように、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な数字の数に照らして、かつ通常の丸め技術を塗布することによって解釈されるべきである。本明細書中に提示された主題の広範な範囲を記載している数値範囲及びパラメータは近似値であるにも関わらず、特定の例に記載された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験的測定において見られた標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含有する。
【0073】
本明細書で使用されている見出し及び小見出しは、構造的な目的のみであり、説明又はクレームの範囲を制限するために使用されることを意図したものではない。
【0074】
本明細書で使用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、示され、説明されている特徴の均等物又はその一部を除外することを意図するものではないが、項目に記載された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが理解される。以上、本発明を、一部には、好ましい実施形態、例示的な実施形態、及び任意選択の特徴を用いて具体的に開示してきたが、当業者は、本明細書に開示される概念の変更及び変形を期することができ、そのような変更及び変形は、添付の項目によって定義される本発明の範囲内であると見なされることを理解されたい。本明細書で提供される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本明細書に示される本発明の特徴の様々な変更及び/又は修正、並びに関連技術の当業者が想到し得る本明細書に示された原理の更なる応用は、項目によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示された実施形態に対して行うことができ、それらは、本開示の範囲内であると見なされるべきである。
【0075】
本開示の特定の実施形態による、システム、デバイス、製品、キット、方法、及び/又はプロセスは、本明細書に開示及び/又は記載されている他の実施形態に記載されている特性又は特徴(例えば、構成要素、部材、要素、部品、及び/又は部分)を含む、組み込む、又は他の方法で含むことができることも理解されよう。したがって、特定の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と互換性があり、組み合わされ、含まれ、及び/又は組み込まれ得る。したがって、本開示の特定の実施形態に関連する特定の特徴の開示は、特定の実施形態に対する当該特徴の適用又は包含を制限するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態は、必ずしも本開示の範囲から逸脱することなく、当該特徴、部材、要素、部品、及び/又は部分を含み得ることが理解されよう。
【0076】
更に、ある特徴が、それと組み合わせて別の特徴を必要とするものとして説明されない限り、本明細書の任意の特徴は、本明細書に開示される同じ又は異なる実施形態の他の任意の特徴と組み合わせることができる。更に、例示的なシステム、方法、装置などの様々な周知の態様は、例示的な実施形態の態様が曖昧になることを回避するために、本明細書では特に詳細に説明されていない。しかしながら、そのような態様は、本明細書でも企図されている。
【0077】
本出願で引用された全ての参考文献は、それらが本出願の開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に具体的に記載されているもの以外の方法、デバイス、デバイス要素、材料、手順、及び技術が、過度の実験に頼ることなく、本明細書に広く開示されている本発明の実施に適用できることは当業者には明らかであろう。本明細書に具体的に記載されている方法、デバイス、デバイス要素、材料、手順、及び技術の全ての当技術分野で知られている機能的同等物は、本発明に包含されることが意図されている。
【0078】
材料、組成物、成分、又は化合物のグループが本明細書に開示される場合、それらのグループの全ての個々のメンバー及びその全てのサブグループが別々に開示されることが理解される。マーカッシュグループ又は他のグループが本明細書で使用される場合、グループの全ての個々のメンバー、及びグループの可能な全ての組み合わせ及びサブ組み合わせは、個別に本開示に含まれることが意図されている。本明細書に記載又は例示されている成分の全ての配合物又は組み合わせは、特に明記しない限り、本発明を実施するために使用することができる。ある範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、又は組成範囲が明細書に示されている場合は常に、全ての中間範囲及びサブ範囲、並びに与えられた範囲に含まれる全ての個々の値は、本開示に含まれることが意図されている。項目と等価な意味及び範囲に入る全ての変更は、それらの範囲に包含されるべきである。
【0079】
本発明及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを理解されたい。更に、本出願の範囲は、本明細書において説明されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者が本発明の開示から容易に理解するように、本明細書において説明される、対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、又は後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップが、本発明に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップをその範囲内に含むことが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】