(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061677
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】検査室機器
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023181094
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】22202944
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ビルクナー
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル グート
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GB10
2G058GE08
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】 試料を処理するための検査室機器(110)の提供を目的とする。
【解決手段】検査室機器(110)は、少なくとも1つのレベル信号を生成するように構成された少なくとも1つのレベルセンサ(112)を備える。検査室機器(110)は、レベル信号を評価し、それによって検査室機器(110)の少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価および制御ユニット(114)をさらに備える。評価および制御ユニット(114)はさらに、レベル信号の少なくとも1つの変化を判定し、それによって検査室機器(110)に対する干渉影響を検出するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を処理するための検査室機器(110)であって、前記検査室機器(110)が、少なくとも1つのレベル信号を生成するように構成された少なくとも1つのレベルセンサ(112)を備え、前記検査室機器(110)が、前記レベル信号を評価し、それによって前記検査室機器(110)の少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価および制御ユニット(114)をさらに備え、前記評価および制御ユニット(114)はさらに、前記レベル信号の少なくとも1つの変化を特定し、それによって前記検査室機器(110)に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するようにさらに構成されている、検査室機器(110)。
【請求項2】
前記評価および制御ユニット(114)が、検出された干渉影響中に生成された前記検査室機器(110)の結果にフラグを立てるように構成されている、請求項1に記載の検査室機器(110)。
【請求項3】
前記干渉影響が、前記検査室機器(110)の機械的振動、前記検査室機器(110)の機械的衝撃からなる群から選択される少なくとも1つの外部影響を含む、請求項1または2に記載の検査室機器(110)。
【請求項4】
前記評価および制御ユニット(114)が、少なくとも1つのマイクロプロセッサ(122)および少なくとも1つの記憶ユニット(124)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査室機器(110)。
【請求項5】
前記記憶ユニット(124)が、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)を備える、請求項4に記載の検査室機器(110)。
【請求項6】
前記記憶ユニット(124)が、前記レベルセンサ(112)から前記レベル信号を受信し、前記レベル信号を記憶するように構成され、前記マイクロプロセッサ(122)が、前記記憶ユニット(124)から前記レベル信号を取り出し、取り出された前記レベル信号を分析することによって前記レベル信号の前記変化を判定するように構成されている、請求項4または5のいずれか一項に記載の検査室機器(110)。
【請求項7】
前記評価および制御ユニット(114)が、少なくとも1つの機器制御ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器制御ユニットを備え、前記検査室機器(110)に対する前記検出された干渉影響および前記検査室機器(110)の結果が前記機器制御ソフトウェアに記憶され、前記評価および制御ユニット(114)が、少なくとも1つの機器管理ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器管理ユニットをさらに備え、前記機器管理ソフトウェアが、前記機器制御ソフトウェアに記憶された、前記検査室機器(110)に対する前記検出された干渉影響を評価し、前記検査室機器(110)の結果が前記検出された干渉影響に影響されたかどうかを判定するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の検査室機器(110)。
【請求項8】
前記レベルセンサ(112)が、少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の検査室機器(110)。
【請求項9】
前記レベルセンサ(112)が、前記検査室機器(110)の作業面上に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の検査室機器(110)。
【請求項10】
前記傾斜情報項目が、前記検査室機器(110)の傾斜、具体的には前記検査室機器の作業面(118)の傾斜、前記検査室機器(110)の水平レベルからなる群から選択される少なくとも1つの情報項目を含み、前記検査室機器(110)が、前記検査室機器(110)のユーザに前記傾斜情報項目を表示するための少なくとも1つのユーザインターフェース(126)をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の検査室機器(110)。
【請求項11】
試料を処理するように構成された検査室機器(110)に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法であって、前記検査室機器(110)が、少なくとも1つのレベルセンサ(112)と、少なくとも1つの評価および制御ユニット(114)とを備え、前記方法が、
i)前記レベルセンサ(112)を使用することによって、少なくとも1つのレベル信号を生成するステップ(132)と、
ii)前記評価および制御ユニット(114)を使用することによって、前記レベル信号を評価することによって、前記検査室機器(110)の少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するステップ(134)と、
iii)前記評価および制御ユニット(114)を使用することによって、前記レベル信号の少なくとも1つの変化を判定することによって、前記検査室機器(110)に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するステップ(136)と
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の検査室機器(110)を使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、少なくとも部分的にコンピュータ実装されており、例えば、ステップii)およびiii)のうちの少なくとも1つがコンピュータ実装されている、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が、請求項1から10のいずれか一項に記載の検査室機器(110)によって前記コンピュータプログラムが実行されると、前記検査室機器に、請求項11から13のいずれか一項に記載の検査室機器(110)に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
コンピュータ可読記憶媒体、具体的には非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、命令を含んでおり、前記命令が、請求項1から10のいずれか一項に記載の検査室機器(110)によって実行されると、前記検査室機器(110)に、請求項11から13のいずれか一項に記載の検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化されたインビトロ診断(IVD)試料処理の分野に関する。具体的には、本発明は、試料を処理するための検査室機器および検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法に関する。本発明は、さらに、本方法を実行するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体に関する。検査室機器は、例として、血液、尿、唾液、間質液または他の体液、組織切片、試薬、システム流体などの人体の試料を分析するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
診断検査室では、自動化された分析前、分析、および分析後の検査室機器が様々な試料処理ステップに使用され、医師にとって極めて重要な情報を表す正確で信頼性の高い検査結果を生成する。そのような検査室機器は、通常、試料、試薬および対照の1つまたは複数に対して吸引、分注などのピペッティングステップを実行するように構成されているピペッティングステーションを備える。試料、試薬および対照は、一般に、検査室機器内の作業面に組み立てられた専用ユニットに収容された単一の管または多重壁プレート、試料ラックおよび/または試薬ラックにおいて取り扱われる。検査室機器、特にピペッティングステーションの性能の高い精度および信頼性を確保するために、検査室機器の水平な作業面が重要であり得る。
【0003】
英国特許出願公開第2571254号明細書は、装置の健全性を決定するために診断装置の動作を監視するための方法および装置を開示している。本方法は、1つまたは複数の振動センサを使用して、診断装置の動作中に生成された振動運動を記録することと、記録された振動運動をデータベース内の記憶された振動パターンと比較することと、を含む。1つまたは複数のステータスメッセージは、比較に基づいて表示装置上で生成される。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0069195号明細書は、回路遮断器、器具、機械、機器、または他の機械システムなどの装置の機械的状態を決定する際に使用するための回路遮断器分析装置などの分析装置、方法、およびシステムを開示している。一実施形態では、分析装置は、スマートフォンまたは他のスマートデバイスを使用して分析対象の装置に結合し、加速度計などの力検出器を使用して動作事象中に装置の表面に発生した機械的振動を測定し、次いで、そのような測定値を、同じタイプの機器の同じタイプの動作事象についての機械的振動の既知の良好なシグネチャと比較するように実装される。
【0005】
公知の方法および装置によって達成される利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。具体的には、検査室機器の動作中、検査室機器の不適切な取り扱いに起因する機械的衝撃または強い振動は、試料材料が飛散したりこぼれたりする可能性があるため、相互汚染に起因して誤った分析結果をもたらす可能性がある。さらに、ピペッティングエラーは、ピペッティング関連モータの位置制御の喪失に起因して発生する可能性がある。さらに、輸送中に、強い機械的衝撃によって検査室機器が損傷する可能性がある。
【0006】
解決すべき課題
したがって、上述した技術的課題に少なくとも部分的に対処する方法および装置を提供することが望ましい。具体的には、検査室機器の正確で信頼できる性能を保証する検査室機器および検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法が開示されるものとする。
【発明の概要】
【0007】
概要
この課題は、独立請求項の特徴を有する検査室機器、検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読記憶媒体によって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項ならびに明細書全体に記載されている。
【0008】
以下において使用される場合、「有する(have)」、「備える(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、包括的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0009】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在してもよいことを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回を超えて存在してもよいという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は繰り返されない。
【0010】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」という表現または同様の表現によって導入される特徴は、任意による特徴であるように意図され、本発明の他の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の技術的範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の任意による特徴または任意ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない。
【0011】
本発明の第1の態様では、試料を処理するための検査室機器が開示される。
【0012】
本明細書で使用される「検査室機器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、試料または試料容器の処理ステップを行うように構成されている任意の装置を指し得る。例えば、検査室機器は、臨床診断分析装置であってもよい。
【0013】
検査室機器は、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つまたは複数であってもよい。分析前機器は、通常、試料または試料容器の予備処理に使用され得る。分析機器は、例えば、測定可能な信号を生成するために試料または試料の一部および試薬を使用するように設計され得、それに基づいて分析物が存在するかどうか、および必要に応じてどの濃度で存在するかを決定することができる。分析後機器は、通常、試料の貯蔵などの試料の後処理に使用され得る。検査室機器は、試料をピペッティング操作するためのピペッティング装置と、試料または試料容器を選別するための選別装置、試料容器のキャップまたはクロージャを取り外すためのキャップ除去装置、試料容器のキャップまたはクロージャを取り付けるためのキャップ取り付け装置、試料をアリコートするためのアリコート装置、試料を遠心分離するための遠心分離装置、試料を分析するための分析装置、試料を加熱するための加熱装置、試料を冷却するための冷却装置、試料を混合するための混合装置、試料の分析物を単離するための分離装置、試料を保存するための保存装置、試料を貯蔵するための貯蔵装置、試料容器タイプを決定するための試料容器タイプ決定装置、試料品質を決定するための試料品質決定装置などのさらなる装置と、を備え得る。
【0014】
本明細書で使用される用語「試料」は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、目的の分析物を含有すると疑われる物質を指し得る。試料は、任意の生物源、例えば、組織切片を含む生物学的材料、および/または、血液、唾液、眼の水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水液、粘液、滑液、腹腔液、羊水、組織、細胞などを含む生理学的液に由来することができる。試料は、血液からの血漿の調製、粘性流体の希釈、溶解など、使用前に前処理され得る;処理の方法は、濾過、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、および試薬の添加を含むことができる。少なくとも1つの試薬または少なくとも1つのシステム流体などの他の試料が可能であってもよい。試料は、例えば、別の溶液で希釈された後、または試薬と混合された後、例えば、臨床化学アッセイ、イムノアッセイ、凝固アッセイ、核酸検査などのような1つまたは複数の診断アッセイを実施するために、供給源から得られたまま、または試料の特性を改変するための前処理後に直接使用され得る。したがって、本明細書で使用される「試料」という用語は、元の試料に使用されるだけでなく、ピペッティングされ、希釈され、試薬と混合され、濃縮され、精製され、増幅されたなど、既に処理された試料に関する。本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、検出または測定される化合物または組成物を指し得る。
【0015】
本明細書で使用される「試料を処理する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、試料の任意の処理を指し得る。例えば、処理は、試料を移送すること、アリコートすること、単離すること、精製すること、インキュベートすること、反応させること、または試薬を試料と組み合わせることのうちの1つまたは複数を含み得る。本明細書で使用される「試薬」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、試料の処理に必要な組成物を指し得る。試薬は、例えば、反応を起こすために、または検出を可能にするために、試料および/または他の試薬と順番に混合される必要がある任意の液体、例えば、溶媒または化学溶液であり得る。試薬は、例えば、水を含む希釈液であってもよく、有機溶媒を含んでもよく、洗浄剤を含んでもよく、緩衝剤であってもよい。試薬はまた、例えば試料、別の試薬または希釈液によって溶解されるように適合された乾燥試薬であってもよい。用語のより厳密な意味での試薬は、例えば、試料中に存在する1つまたは複数の分析物に結合するまたは1つまたは複数の分析物を化学的に変換することができる反応物、典型的には化合物または薬剤を含む液体溶液であり得る。反応物の例は、酵素、酵素基質、共役色素、タンパク質結合分子、核酸結合分子、抗体、キレート剤、プロモータ、阻害剤、エピトープ、抗原などである。本明細書で使用される「検査室機器の結果」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、定性的および/または定量的な分析結果を指し得る。
【0016】
検査室機器は、少なくとも1つのレベル信号を生成するように構成された少なくとも1つのレベルセンサを備える。検査室機器は、レベル信号を評価し、それによって検査室機器に対する少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価および制御ユニットをさらに備える。評価および制御ユニットはさらに、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定し、それによって検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するように構成されている。
【0017】
本明細書で使用される「干渉影響」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、検査室機器の少なくとも1つの要素の状態の任意の変化を指し得る。干渉影響は、外部影響、例えば、少なくとも1つの外力を検査室機器に加えることなどによる、検査室機器に対する少なくとも1つの外部状態の変化であり得る。追加的または代替的に、干渉影響は、検査室機器の別の要素によって引き起こされる検査室機器の少なくとも1つの要素に少なくとも1つの力を加えることなどによる、少なくとも1つの機器の内部状態の変化などの内部影響であり得る。外力および/または内力は、短時間、例えば数秒、数ミリ秒または数マイクロ秒で加えられ得る。外力および/または内力は、1回または繰り返し加えられてもよい。外力および/または内力は、検査室機器の少なくとも一部の、機械的衝撃とも呼ばれる急激な加速をもたらし得る。検査室機器の動作中に、試料材料が飛散したりおよび/またはこぼれたり、ピペッティング関連モータの位置制御の喪失に起因してピペッティングエラーが発生したりする可能性があるため、干渉影響が誤った分析結果、例えば、交差汚染をもたらす可能性がある。干渉影響は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの外部影響を含み得る:検査室機器の機械的振動、具体的には異常な機械的振動;検査室機器の機械的衝撃。検査室機器の不適切な取り扱いに起因して、機械的衝撃および/または強い振動が発生する可能性がある。検査室機器の輸送中に機械的衝撃および/または強い振動が発生する可能性がある。例えば、機器の動作中の非正常な機械的振動が検出されることがある。検査室機器は、強い機械的衝撃によって損傷を受けることがある。外部影響は、引き出し、例えば固形廃棄物または液体廃棄物のための引き出しを閉じるときなどの衝撃によって加えられることがある。他の実施形態も実現可能である。例えば、外部影響は、検査室機器が配置された表面の振動、落下、揺れ、キック、衝突などのうちの1つまたは複数によって加えられることがある。内部影響は、検査室機器の少なくとも1つの第1の要素によって、検査室機器の少なくとも1つの第2の要素に加えられることがある。例えば、第1の要素は、モータ、駆動システム、遠心分離機、移送システムのうちの少なくとも1つなどの検査室機器の少なくとも1つの電気機械要素であり得る。第2の要素は、作業面、例えば、電気機械要素によって加えられる内部影響に応答して機械的振動を実行する電気機械要素に隣接する作業面であり得る。例えば、内部影響は、機械的振動および/または電気機械素子の動作の変化をもたらす別の誤動作であり得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「レベル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、検査室機器の少なくとも1つの平面の空間的な角度位置を指し得て、平面は作業面であり得る。例えば、水平な作業面からの逸脱は、試料ホルダまたは試料ラックが空間内で斜めに配向されることをもたらす可能性がある。例えば、水平な作業面からの逸脱は、試料材料が飛散し得るおよび/またはこぼれ得るため、交差汚染につながる可能性がある。レベルは、平面の水平および/または垂直位置合わせまたは水平および/または垂直位置合わせからの逸脱の尺度であり得る。水平位置合わせからの逸脱は、垂直位置合わせからの逸脱ももたらすことがあり、その逆もまた同様である。レベルは、平面の少なくとも2つの点の相対的な高さであってもよく、高さは、その表面に垂直な線に沿って上方に測定された、選択された基準面からの点のそれぞれの距離であり得る。レベルは、平面の傾斜であってもよい。
【0019】
本明細書で使用される「レベルセンサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つのレベル信号を生成するように構成されたセンサを指し得る。レベルセンサは、傾斜計測用のセンサであってもよい。レベルセンサは、2軸または3軸レベルセンサであってもよい。レベルセンサは、少なくとも1つの加速度計のうちの1つまたは複数を備えてもよい。レベルセンサは、少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)を備えてもよい。
【0020】
本明細書で使用される「レベル信号」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、重力の方向に対する平面の少なくとも1つの角度を示す、例えば平面の水平方向の位置合わせまたは水平方向の位置合わせからのずれを示す信号を指し得る。レベル信号は、少なくとも1つのアナログ電気信号および/または少なくとも1つのデジタル電気信号などの少なくとも1つの電気信号であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、レベル信号は、少なくとも1つの電圧信号および/または少なくとも1つの電流信号および/または容量の変化であり得るか、またはそれを含み得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「作業面」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、検査室機器の試料、試料容器、試薬および/または試薬容器処理ステップのうちの1つまたは複数などの少なくとも1つの処理ステップが実行される実際の表面を表す検査室機器内に取り付けられた平面を指し得る。この目的のために、作業面は、消耗品を収容するための埋め込み区画、試料処理装置、少なくとも1つのピペッティングステーション、廃棄物容器、活性化装置、および試料、試料容器、試薬および/または試薬容器処理ステップを実行するために必要なラックを備え得る。作業面は、単一の部品を備えてもよい。作業面は、十分な剛性(例えば、金属および/またはプラスチック)を有する任意の適切な材料から作製され得る。作業面は、検査室機器の要件を満たすために異なる形状および形態を有してもよい。
【0022】
レベルセンサは、検査室機器の作業面上に配置されてもよい。例えば、レベルセンサは、ピペッティングステーションの作業面に配置されてもよい。本明細書において使用される「ピペッティングステーション」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、液体または乾燥粉末などの他の材料の少なくとも1回の輸送および/または移送を含む少なくとも1つのピペッティングステップを実行するように構成されている少なくとも1つの装置またはシステムを指し得る。ピペッティングステーションは、吸引および/または分注などの少なくとも1つのピペッティングステップを実行するように構成され得る。ピペッティングステーションは、自動ピペッティングステーションであり得る。したがって、ピペッティング手順は、例えばユーザ相互作用なしに自動的に実行され得る。しかしながら、ピペッティング手順は、消耗品の装填などの手動の動作を必要とするステップを含んでもよい。
【0023】
本明細書で使用される「評価および制御ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、指定された動作を実行するように構成された少なくとも1つの任意の装置またはシステムを指し得る。評価および制御ユニットは、少なくとも1つのデータ処理装置、例えば少なくとも1つのプロセッサを備え得る。評価および制御ユニットは、例えばデータ処理、検査室機器の制御、データ管理などのための複数の層および/またはユニットを備え得る。
【0024】
評価および制御ユニットは、少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび少なくとも1つの記憶ユニットを備え得る。マイクロプロセッサは、記憶ユニットからレベル信号を取り出し、取り出されたレベル信号を分析することによってレベル信号の変化を特定するように構成され得る。マイクロプロセッサおよびレベルセンサは、少なくとも1つのデータインターフェースを備え得る。本明細書において使用される「データインターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、情報を転送するように構成された境界を形成するアイテムまたは要素を指し得る。データインターフェースは、レベルセンサから評価および制御ユニットに情報を転送するように構成され得る。データインターフェースは、情報を転送または交換するための手段を提供し得る。データインターフェースは、例えばアナログまたはデジタルレベルセンサの場合、レベルセンサに応じて設計されてもよい。例えば、データインターフェースは、アナログレベルセンサの場合、電圧、電流、周波数、容量などのうちの1つまたは複数のためのインターフェースであってもよく、デジタルレベルセンサの場合、少なくとも1つの集積回路間(I2C)、シリアル周辺インターフェース(SPI)などのうちの1つまたは複数であってもよい。記憶ユニットは、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)を備え得る。記憶ユニットは、レベルセンサからレベル信号を受信し、レベル信号を記憶するように構成され得る。
【0025】
本明細書で使用される「傾斜情報項目」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、検査室機器の少なくとも1つの平面の空間的な角度位置に関する情報を指し得る。傾斜情報項目は、検査室機器の傾斜、具体的には検査室機器の作業面の傾斜、検査室機器の水平レベルからなる群から選択される少なくとも1つの情報項目を含み得る。
【0026】
本明細書で使用される「レベル信号を評価する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、レベル信号から少なくとも1つの測定結果を導出するための方法を適用することを指し得る。評価することは、フィルタリング、バックグラウンド低減、信号調整、オフセット調整などによってレベル信号を前処理することを含み得る。評価は、例えば、傾斜情報項目を決定するための少なくとも1つのアルゴリズムを使用することによってレベル信号を処理することを含み得る。
【0027】
評価および制御ユニットはさらに、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定し、それによって検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するように構成されている。検査室機器の機械的衝撃および/または振動は、レベルセンサと同じセンサ、例えば少なくとも1つのMEMSを使用することによって検出され得る。したがって、少なくとも1つの干渉影響の検出は、レベルセンサを使用して実行され得る。評価および制御ユニットは、レベル信号および/またはそれから導出された情報を少なくとも1つの閾値と比較するように構成され得る。例えば、閾値は、例えば期待値から10%を超える許容偏差であってもよい。信号レベルの変化は、閾値を超える偏差であってもよい。追加的または代替的に、レベル信号の変化を特定することは、少なくとも2つの異なる時点でレベル信号を比較することを含んでもよい。信号レベルの変化は、少なくとも1つの許容範囲を超える少なくとも1つの第1のレベル信号と少なくとも1つの第2のレベル信号との間の偏差であってもよい。第1または第2のレベル信号のうちの一方は、基準信号であってもよい。
【0028】
評価および制御ユニットは、少なくとも1つの機器制御ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器制御ユニットを備え得る。データは、機器制御ソフトウェア(IC-Level)に記憶される。検査室機器に対する検出された干渉影響および検査室機器の結果は、機器制御ソフトウェアに記憶され得る。評価および制御ユニットは、少なくとも1つの干渉影響が検出された場合に、少なくとも1つの動作を実行するように構成され得る。この衝撃発生の時間中に生成された結果には、フラグが立てられ得る。評価および制御ユニットは、干渉影響の検出中に生成された検査室機器の結果にフラグを立てるように構成され得る。
【0029】
評価および制御ユニットは、少なくとも1つの機器管理ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器管理ユニットをさらに備え得る。機器管理ソフトウェアは、機器制御ソフトウェアに記憶された検査室機器に対する検出された干渉影響を評価し、検査室機器の結果が検出された干渉影響に影響されたかどうかを判定するように構成され得る。機器管理ソフトウェアは、例えばピペッティングプロセス中に検査室機器を揺することによって、検査室機器の特定の結果が干渉影響に影響されたかどうかをチェックするように構成され得る。
【0030】
検査室機器は、検査室機器のユーザに傾斜情報項目を表示するための少なくとも1つのユーザインターフェースを備えてもよい。本明細書で使用される「ユーザインターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されるものではないが、データまたはコマンドの1つまたは複数の交換などのために、一方向または双方向に情報を交換する目的などのために、その環境と相互作用するように構成されている検査室機器の特徴を指し得る。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザと情報を共有し、ユーザによって情報を受信するように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイなどのユーザと視覚的に相互作用する機能、またはユーザと音響的に相互作用話する機能であってもよい。ユーザインターフェースは、例として、グラフィカルユーザインターフェース、無線および/または有線データインターフェースなどのデータインターフェースのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0031】
例えば、ユーザインターフェースは、少なくとも1つの光電ディスプレイを備える。光電ディスプレイは、複数の発光ダイオード(LED)、例えば、検査室機器の作業面の傾斜を示すための4つ、8つ、またはそれ以上のLEDを備え得る。各LEDは、作業面を調整および/またはレベリングするための自由度に関連付けられ得る。例えば、検査室機器は、複数の調整可能な機器足部、例えば各隅部に1つの機器足部を備え得る。LEDのそれぞれは、機器足部に関連付けられ得る。各LEDは、検査室機器の関連するセクタの傾斜情報項目を示すように構成され得る。各LEDは、傾斜情報項目に応じた色で発光するように構成され得る。例えば、各LEDは、検査室機器の作業面が水平に平準化されている場合に、色を変える、例えば赤色から緑色またはその逆に変えるように構成され得る。例えば、光電ディスプレイは、8つのLED、例えば4つの赤色および4つの緑色LEDを備え得る。レベルセンサは、レベル信号を機器制御ソフトウェアおよび光電ディスプレイに供給するように構成され得る。
【0032】
例えば、検査室機器は、複数のレベルセンサを備えてもよい。レベルセンサは、検査室機器の異なる平面上、例えば異なる作業面上または異なるモジュール上に配置されてもよい。ユーザインターフェースは、少なくとも1つの光電ディスプレイを備え得る。光電ディスプレイは、例えば平面の傾斜を示すための複数の発光ダイオード(LED)を備え得る。各LEDは、検査室機器の平面に関連付けられ得る。各LEDは、検査室機器の関連する平面の傾斜情報項目を示すように構成され得る。各LEDは、傾斜情報項目に応じた色で発光するように構成され得る。例えば、各LEDは、検査室機器の関連する面が水平に平準化されている場合に、色を変える、例えば赤色から緑色またはその逆に変えるように構成され得る。レベルセンサは、レベル信号を機器制御ソフトウェアおよび光電ディスプレイに供給するように構成され得る。
【0033】
光電ディスプレイは、検査室機器の前面の底部に配置されてもよい。検査室機器の前面は、ユーザが検査室機器にアクセスすることができる機器の側であり得る。背面は、前面に対向する検査室機器の側であり得る。LEDは、平面が水平に平準化されたときに色を変えてもよい。
【0034】
検査室機器は、複数の機器足部、例えば4つの機器足部を備え得る。機器足部は、平歯車機構を使用することによって調整可能であり得る。例えば、検査室機器の背面に2つ、正面に2つの機器足部の高さは、例えば、それぞれの機器足部のねじを回すことによって調整され得る。機器足部の高さ調整のためのねじは、検査室機器の前面の底部に配置されてもよい。現場サービス技術者は、LEDの色の変化を使用して作業面を平準化することができる。平面の最良のレベルは、生産中の組み立て中に事前設定され得る。これは、顧客サイトで機器レベルを調整した後に再び同じレベルに到達することを可能にし得る。レベリングは、初期生産中に定義された適切な調整を確実にするためにLED視覚化によってサポートされる現場技術者によって行われてもよい。
【0035】
ユーザインターフェースは、干渉影響が検出されたことを示すようにさらに構成され得る。例えば、光電ディスプレイは、例えば色の変化、光の点滅などを使用して干渉影響が検出されたことを示すようにさらに構成され得る。ユーザインターフェースは、少なくとも1つのディスプレイを備え得る。干渉影響が検出されたという指示は、ディスプレイを使用することによって、例えば、検査室機器の結果のフラグを示すことによって、および/または警告などのメッセージを発することによって、ユーザに提供され得る。例えば、メッセージは、予防保守を行うための指示を含み得る。
【0036】
少なくとも1つの干渉影響を検出するためにマイクロコントローラ、EEPROMおよびMEMSセンサを使用することは、センサの位置とは異なる位置で適切なサイズおよび価格範囲で解決策を提供し、視覚化することを可能にする。
【0037】
さらなる態様では、検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出する方法が開示される。検査室機器は、試料を処理するように構成されている。検査室機器は、少なくとも1つのレベルセンサと、少なくとも1つの評価および制御ユニットとを備える。本方法は、上記で与えられた、または以下にさらに詳細に与えられる実施形態の1つまたは複数などにかかる、本発明にかかる検査室機器を使用することを含む。詳細、選択肢および定義については、上述した検査室機器を参照し得る。
【0038】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つまたは複数の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、1つ、複数、さらには全ての方法ステップが繰り返し実行されてもよい。
【0039】
本方法は、以下のステップ:
i)レベルセンサを使用することによって、少なくとも1つのレベル信号を生成するステップと、
ii)評価および制御ユニットを使用することによって、レベル信号を評価することによって、検査室機器の少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するステップと、
iii)評価および制御ユニットを使用することによって、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定することによって、検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するステップと
を含む。
【0040】
本方法は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよい。例えば、ステップii)およびiii)のうちの少なくとも1つがコンピュータ実装される。本方法は、自動的に実行されてもよい。本明細書で使用される「自動的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/または機械によって、例えば手動の動作および/またはユーザとの対話なしに実行されるプロセスを指し得る。しかしながら、本方法は、消耗品の装填などの手動動作を含んでもよい。
【0041】
例えば、ステップi)からiii)は、事象関連で行われてもよい。例えば、本方法は、検査室機器の初期設定のために実行されてもよい。例えば、本方法は、検査室機器の動作中に実行されてもよい。ステップi)は、レベルセンサを使用することによってレベル信号を連続的におよび/または繰り返し生成することを含んでもよい。例えば、測定周波数は、約50Hzであってもよい。ステップii)および/またはiii)は、所与の時間間隔内に少なくとも1回実行されてもよい。例えば、ステップii)および/またはiii)は、1つのレベル信号の時間間隔内に少なくとも1回実行されてもよい。ステップii)およびiii)は、少なくとも部分的に適時に重複して実行されてもよい。
【0042】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、コンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータプログラムであって、命令がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数における本発明にかかる方法を実行するためのコンピュータプログラムである。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。
【0043】
コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが本発明にかかる検査室機器によって実行されると、本発明にかかる検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法の少なくともステップii)およびiii)を検査室機器、例えば評価および制御ユニットに実行させる命令を含む。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが本発明にかかる検査室機器によって、例えば評価および制御ユニットによって実行されると、検査室機器、例えばレベルセンサに、本発明にかかる検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法のステップi)を実行させる命令をさらに含み得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読データキャリア」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令が記憶されたハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指し得る。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であり得るか、またはそれを含み得る。
【0045】
したがって、具体的には、上述したような方法ステップi)からiii)のうちの1つ、2つ以上、または全てが、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行されてもよい。
【0046】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、コンピュータプログラム製品であり、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数における本発明にかかる方法を実行するために、プログラムコード手段を有する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。
【0047】
コンピュータ可読記憶媒体、具体的には非一時的コンピュータ可読記憶媒体は命令を含み得、命令は、これが本発明にかかる検査室機器によって実行されると、本発明にかかる検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法の少なくともステップii)およびiii)を検査室機器に実行させる。コンピュータ可読記憶媒体、具体的には非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、命令を含み得、命令は、これが本発明にかかる検査室機器によって実行されると、検査室機器、例えばレベルセンサに、本発明にかかる検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法のステップi)を実行させる。
【0048】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは2つ以上にかかる方法を実行し得るデータ構造が記憶されたデータキャリアである。
【0049】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに本発明にかかる方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0050】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、コンピュータプログラム製品であり、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行するために、機械可読キャリアに記憶されたプログラムコード手段を有する。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在し得る。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されてもよい。
【0051】
最後に、本明細書において開示および提案されるものは、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0052】
本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法のうちの1つまたは複数の方法ステップまたは全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。一般に、これらの方法ステップは、試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含み得る。
【0053】
具体的には、本明細書では、さらに以下が開示される:
- プロセッサが、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
- データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造、
- プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム、
- コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、先行する実施形態にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークのメインおよび/またはワーキング記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された、記憶媒体、
- コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶媒体上に記憶され得る、または記憶される、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【0054】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0055】
実施形態1.試料を処理するための検査室機器であって、検査室機器が、少なくとも1つのレベル信号を生成するように構成された少なくとも1つのレベルセンサを備え、検査室機器が、レベル信号を評価し、それによって検査室機器に関する少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価および制御ユニットをさらに備え、評価および制御ユニットは、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定し、それによって検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するようにさらに構成されている、検査室機器。
【0056】
実施形態2.評価および制御ユニットが、検出された干渉影響中に生成された検査室機器の結果にフラグを立てるように構成されている、先行する実施形態に記載の検査室機器。
【0057】
実施形態3.干渉影響が、検査室機器の機械的振動、特に異常な機械的振動、検査室機器の機械的衝撃からなる群から選択される少なくとも1つの外部影響を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0058】
実施形態4.評価および制御ユニットが、少なくとも1つのマイクロプロセッサと、少なくとも1つの記憶ユニットとを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0059】
実施形態5.記憶ユニットが、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)を備える、先行する実施形態に記載の検査室機器。
【0060】
実施形態6.記憶ユニットが、レベルセンサからレベル信号を受信し、レベル信号を記憶するように構成されている、2つの先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0061】
実施形態7.マイクロプロセッサが、記憶ユニットからレベル信号を取り出し、取り出されたレベル信号を分析することによってレベル信号の変化を特定するように構成されている、先行する実施形態に記載の検査室機器。
【0062】
実施形態8.評価および制御ユニットが、少なくとも1つの機器制御ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器制御ユニットを備え、検出された検査室機器に対する干渉影響および検査室機器の結果が、機器制御ソフトウェアに記憶される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0063】
実施形態9.評価および制御ユニットが、少なくとも1つの機器管理ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器管理ユニットをさらに備え、機器管理ソフトウェアが、機器制御ソフトウェアに記憶された検査室機器に対する検出された干渉影響を評価し、検査室機器の結果が検出された干渉影響に影響されたかどうかを判定するように構成されている、先行する実施形態に記載の検査室機器。
【0064】
実施形態10.レベルセンサが、少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0065】
実施形態11.レベルセンサが、検査室機器の作業面上に配置される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0066】
実施形態12.傾斜情報項目が、検査室機器の傾斜、具体的には検査室機器の作業面の傾斜、検査室機器の水平レベルからなる群から選択される少なくとも1つの情報項目を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0067】
実施形態13.傾斜情報項目を検査室機器のユーザに表示するための少なくとも1つのユーザインターフェースをさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器。
【0068】
実施形態14.試料を処理するように構成された検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法であって、検査室機器が、少なくとも1つのレベルセンサと、少なくとも1つの評価および制御ユニットとを備え、方法が、以下のステップ:
i)レベルセンサを使用することによって、少なくとも1つのレベル信号を生成するステップと、
ii)評価および制御ユニットを使用することによって、レベル信号を評価することによって、検査室機器の少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するステップと、
iii)評価および制御ユニットを使用することによって、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定することによって、検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するステップと
を含む、方法。
【0069】
実施形態15.方法が、検査室機器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器を使用することを含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0070】
実施形態16.方法が、少なくとも部分的にコンピュータ実装されており、例えばステップii)およびiii)のうちの少なくとも1つがコンピュータ実装されている、先行する方法実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
実施形態17.命令を含むコンピュータプログラムであって、該命令が、検査室機器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器によってコンピュータプログラムが実行されると、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法を検査室機器に実行させる、コンピュータプログラム。
【0072】
実施形態18.コンピュータ可読記憶媒体、具体的には非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、命令を含んでおり、該命令が、検査室機器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器によって実行されると、検査室機器に、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0073】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方式で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。ここで、これらの図における同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指す。
【0074】
図では以下のとおりである:
【
図3】検査室機器に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法の実施形態のフロー図を示している。
【
図4】レベルセンサ112、コントロールユニット114、ストレージユニット124、及びインターフェース126などのハードウェア資源を含む検査室機器を示している。ここでストレージユニットに格納されたプログラムによる情報処理が、これらのハードウェア資源の協同により実行される。
【発明を実施するための形態】
【0075】
実施形態の詳細な説明
図1は、試料を処理するための検査室機器110の実施形態の一部を斜視図で示している。検査室機器110の前面の下部および検査室機器110の一方の側の一部が示されている。
【0076】
例えば、検査室機器110は、臨床診断分析装置であってもよい。検査室機器は、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つまたは複数であってもよい。試料の処理は、試料を移送すること、アリコートすること、単離すること、精製すること、インキュベートすること、反応させること、または試薬を試料と組み合わせることのうちの1つまたは複数を含み得る。試料は、任意の生物源、例えば、組織切片を含む生物学的材料、および/または、血液、唾液、眼の水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水液、粘液、滑液、腹腔液、羊水、組織、細胞などを含む生理学的液に由来することができる。試料は、血液からの血漿の調製、粘性流体の希釈、溶解など、使用前に前処理され得る;処理の方法は、濾過、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、および試薬の添加を含むことができる。少なくとも1つの試薬または少なくとも1つのシステム流体などの他の試料が可能であってもよい。試料は、例えば、別の溶液で希釈された後、または試薬と混合された後、例えば、臨床化学アッセイ、イムノアッセイ、凝固アッセイ、核酸検査などのような1つまたは複数の診断アッセイを実施するために、供給源から得られたまま、または試料の特性を改変するための前処理後に直接使用され得る。
【0077】
検査室機器110は、少なくとも1つのレベル信号を生成するように構成された少なくとも1つのレベルセンサ112を備える。検査室機器110は、レベル信号を評価し、それによって検査室機器110に対する少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価および制御ユニット114をさらに備える。評価および制御ユニット114は、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定し、それによって検査室機器110に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するようにさらに構成されている。
【0078】
レベルは、検査室機器110の少なくとも1つの平面の空間的な角度位置であり得る。平面116は、作業面118であり得る。例示的な作業面116が
図1に示されている。水平状態では、平面116は水平であってもよい。例えば、水平な作業面118からの逸脱は、試料ホルダまたは試料ラックが空間内で斜めに配向されることをもたらす可能性がある。例えば、水平な作業面118からの逸脱は、試料材料が飛散し得るおよび/またはこぼれ得るため、交差汚染につながる可能性がある。
図1は、例示的な水平面116と、水平位置合わせからの逸脱が可能なx、y、およびzの方向とを示している。レベルは、平面116の水平および/または垂直位置合わせまたは水平および/または垂直位置合わせからの逸脱の尺度であり得る。水平位置合わせからの逸脱は、垂直位置合わせからの逸脱ももたらすことがあり、その逆もまた同様である。レベルは、平面116の少なくとも2つの点の相対的な高さであってもよく、高さは、その表面に垂直な線に沿って上方に測定された、選択された基準面からの点のそれぞれの距離であり得る。レベルは、平面116の傾斜であってもよい。レベル信号は、重力の方向に対する平面116の少なくとも1つの角度を示す、例えば平面116の水平方向の位置合わせまたは水平方向の位置合わせからの偏差を示す信号であってもよい。レベル信号は、少なくとも1つのアナログ電気信号および/または少なくとも1つのデジタル電気信号などの少なくとも1つの電気信号であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、レベル信号は、少なくとも1つの電圧信号および/または少なくとも1つの電流信号および/または容量の変化であり得るか、またはそれを含み得る。レベルセンサ112は、傾斜計測用のセンサであってもよい。レベルセンサ112は、2軸または3軸レベルセンサであってもよい。
図3に示す実施形態では、レベルセンサ112は、少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)を備え得る。
【0079】
レベルセンサ112は、検査室機器の作業面118上に配置されてもよい。作業面118は、検査室機器110の試料、試料容器、試薬および/または試薬容器処理ステップのうちの1つまたは複数など、少なくとも1つの処理ステップが実行される実際の表面を表す、検査室機器110内に取り付けられた平面116であり得る。この目的のために、作業面118は、消耗品を収容するための埋め込み区画、試料処理装置、少なくとも1つのピペッティングステーション、廃棄物容器、活性化装置、および試料、試料容器、試薬および/または試薬容器処理ステップを実行するために必要なラックを備え得る。作業面118は、単一の部品を備えてもよい。作業面118は、十分な剛性(例えば、金属および/またはプラスチック)を有する任意の適切な材料から作製され得る。作業面118は、検査室機器110の要件を満たすために異なる形状および形態を有してもよい。
【0080】
例えば、
図1に示されるように、レベルセンサ112は、平面116上に、例えばピペッティングステーション120の作業面118に配置され得る。ピペッティングステーション120は、液体または乾燥粉末などの他の材料の少なくとも1回の輸送および/または移送を含む少なくとも1つのピペッティングステップを実行するように構成されている少なくとも1つの装置またはシステムであり得る。ピペッティングステーション120は、吸引および/または分注などの少なくとも1つのピペッティングステップを実行するように構成され得る。ピペッティングステーション120は、自動ピペッティングステーションであり得る。したがって、ピペッティング手順は、例えばユーザ相互作用なしに自動的に実行され得る。しかしながら、ピペッティング手順は、消耗品の装填などの手動の動作を必要とするステップを含んでもよい。
【0081】
評価および制御ユニット114は、少なくとも1つのデータ処理装置、例えば少なくとも1つのプロセッサを備え得る。評価および制御ユニット114は、例えばデータ処理、検査室機器110の制御、データ管理などのための複数の層および/またはユニットを備え得る。
図1の実施形態に示すように、評価および制御ユニット114は、少なくとも1つのマイクロプロセッサ122と、少なくとも1つの記憶ユニット124とを備える。マイクロプロセッサ122は、記憶ユニット124からレベル信号を取り出し、取り出されたレベル信号を分析することによってレベル信号の変化を特定するように構成され得る。マイクロプロセッサ122およびレベルセンサ112は、少なくとも1つのデータインターフェースを備え得る。データインターフェースは、レベルセンサから評価および制御ユニットに情報を転送するように構成され得る。データインターフェースは、情報を転送または交換するための手段を提供し得る。データインターフェースは、例えばアナログまたはデジタルレベルセンサの場合、レベルセンサ112に応じて設計されてもよい。例えば、データインターフェースは、アナログレベルセンサの場合、電圧、電流、周波数、容量などのうちの1つまたは複数のためのインターフェースであってもよく、デジタルレベルセンサの場合、少なくとも1つの集積回路間(I2C)、シリアル周辺インターフェース(SPI)などのうちの1つまたは複数であってもよい。記憶ユニット124は、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)を備え得る。記憶ユニット124は、レベルセンサ112からレベル信号を受信し、レベル信号を記憶するように構成され得る。
【0082】
傾斜情報項目は、検査室機器110の傾斜、具体的には検査室機器110の作業面118の傾斜、検査室機器110の水平レベルからなる群から選択される少なくとも1つの情報の項目を含み得る。
【0083】
レベル信号を評価することは、レベル信号から少なくとも1つの測定結果を導出するための方法を適用することを含み得る。評価することは、フィルタリング、バックグラウンド低減、信号調整、オフセット調整などによってレベル信号を前処理することを含み得る。評価は、例えば、傾斜情報項目を決定するための少なくとも1つのアルゴリズムを使用することによってレベル信号を処理することを含み得る。
【0084】
評価および制御ユニット114は、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定し、それによって検査室機器110に対する干渉影響を検出するようにさらに構成されている。干渉影響は、検査室機器110の少なくとも1つの要素の状態の任意の変化であり得る。干渉影響は、外部影響、例えば、少なくとも1つの外力を検査室機器110に加えることなどによる、検査室機器110に対する外部状態の任意の変化であり得る。追加的または代替的に、干渉影響は、検査室機器110の別の要素によって引き起こされる検査室機器110の少なくとも1つの要素に少なくとも1つの力を加えることなどによる、少なくとも1つの機器の内部状態の変化などの内部影響であり得る。外力および/または内力は、短時間、例えば数秒、数ミリ秒または数マイクロ秒で加えられ得る。外力および/または内力は、1回または繰り返し加えられてもよい。外力および/または内力は、検査室機器110の少なくとも一部の急激な加速をもたらし得る。検査室機器110の動作中に、試料材料が飛散したりおよび/またはこぼれたり、ピペッティング関連モータの位置制御の喪失に起因してピペッティングエラーが発生したりする可能性があるため、干渉影響が誤った分析結果、例えば、交差汚染をもたらす可能性がある。干渉影響は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの外部影響を含み得る:検査室機器110の機械的振動、具体的には異常な機械的振動;検査室機器110の機械的衝撃。機器の不適切な取り扱いに起因して、機械的衝撃および/または強い振動が発生する可能性がある。検査室機器110の輸送中に機械的衝撃および/または強い振動が発生する可能性がある。例えば、機器の動作中の非正常な機械的振動が検出されることがある。検査室機器110は、強い機械的衝撃によって損傷を受けることがある。外部影響は、引き出し、例えば固形廃棄物または液体廃棄物のための引き出しを閉じるときなどの衝撃によって加えられることがある。他の実施形態も実現可能である。例えば、外部影響は、検査室機器110が配置された表面の振動、落下、揺れ、キック、衝突などのうちの1つまたは複数によって加えられることがある。内部影響は、検査室機器110の少なくとも1つの第1の要素によって、検査室機器110の少なくとも1つの第2の要素に加えられることがある。例えば、第1の要素は、モータ、駆動システム、遠心分離機、移送システムのうちの少なくとも1つなどの検査室機器110の少なくとも1つの電気機械要素であり得る。第2の要素は、作業面、例えば、電気機械要素によって加えられる内部影響に応答して機械的振動を実行する電気機械要素に隣接する作業面118であり得る。例えば、内部影響は、機械的振動および/または電気機械素子の動作の変化をもたらす別の誤動作であり得る。
【0085】
検査室機器110の機械的衝撃および/または振動などの干渉影響は、レベルセンサ112と同じセンサ、例えば少なくとも1つのMEMSを使用することによって検出され得る。したがって、干渉影響の検出は、レベルセンサ112を使用して実行され得る。評価および制御ユニット114は、レベル信号および/またはそれから導出された情報を少なくとも1つの閾値と比較するように構成され得る。例えば、閾値は、例えば期待値から10%を超える許容偏差であってもよい。信号レベルの変化は、閾値を超える偏差であってもよい。追加的または代替的に、レベル信号の変化を特定することは、少なくとも2つの異なる時点でレベル信号を比較することを含んでもよい。信号レベルの変化は、少なくとも1つの許容範囲を超える少なくとも1つの第1のレベル信号と少なくとも1つの第2のレベル信号との間の偏差であってもよい。第1または第2のレベル信号のうちの一方は、基準信号であってもよい。
【0086】
評価および制御ユニット114は、少なくとも1つの機器制御ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器制御ユニットを備え得る。データは、機器制御ソフトウェア(IC-Level)に記憶される。検査室機器110に対する検出された干渉影響および検査室機器114の結果は、機器制御ソフトウェアに記憶され得る。評価および制御ユニット114は、少なくとも1つの干渉影響が検出された場合に、少なくとも1つの動作を実行するように構成され得る。この衝撃発生の時間中に生成された結果には、フラグが立てられ得る。評価および制御ユニット114は、干渉影響の検出中に生成された検査室機器110の結果にフラグを立てるように構成され得る。
【0087】
評価および制御ユニット114は、少なくとも1つの機器管理ソフトウェアを実行するための少なくとも1つの機器管理ユニットをさらに備え得る。機器管理ソフトウェアは、機器制御ソフトウェアに記憶された検査室機器110に対する検出された干渉影響を評価し、検査室機器110の結果が検出された干渉影響に影響されたかどうかを判定するように構成され得る。機器管理ソフトウェアは、例えばピペッティングプロセス中に検査室機器110を揺することによって、検査室機器110の特定の結果が干渉影響に影響されたかどうかをチェックするように構成され得る。
【0088】
検査室機器110は、検査室機器110のユーザに傾斜情報項目を表示するための少なくとも1つのユーザインターフェース126を備えてもよい。ユーザインターフェース126は、
図1に拡大されている。ユーザインターフェース126は、ディスプレイなどのユーザと視覚的に相互作用する機能、またはユーザと音響的に相互作用話する機能であってもよい。ユーザインターフェース126は、例として、グラフィカルユーザインターフェース、無線および/または有線データインターフェースなどのデータインターフェースのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0089】
例えば、ユーザインターフェース126は、
図1に示すように、少なくとも1つの光電ディスプレイ128を備える。光電ディスプレイ128は、複数の発光ダイオード(LED)、例えば、検査室機器110の作業面の傾斜を示すための4つ、8つ、またはそれ以上のLEDを備え得る。各LEDは、検査室機器110のセクタに関連付けられ得る。各LEDは、検査室機器110の関連するセクタの傾斜情報項目を示すように構成され得る。各LEDは、傾斜情報項目に応じた色で発光するように構成され得る。例えば、各LEDは、検査室機器110の作業面118が水平に平準化されている場合に、色を変える、例えば赤色から緑色またはその逆に変えるように構成され得る。例えば、光電ディスプレイ128は、8つのLED、例えば4つの赤色および4つの緑色LEDを備え得る。レベルセンサ112は、レベル信号を機器制御ソフトウェアおよび光電ディスプレイ128に供給するように構成され得る。
図2は、検査室機器の前面の図を示している。光電ディスプレイ128は、検査室機器110の前面の底部に配置されてもよい。検査室機器110の前面は、ユーザが検査室機器110にアクセスすることができる機器の側であり得る。背面は、前面に対向する検査室機器110の側であり得る。LEDは、平面116が水平に平準化されたときに色を変えてもよい。
【0090】
検査室機器110は、複数の機器足部130、例えば4つの機器足部を備え得る。例えば
図1および
図2に見られるように、機器足部130は、平歯車機構を使用することによって調整可能であり得る。例えば、検査室機器110の背面に2つ、正面に2つの機器足部130の高さは、例えば、それぞれの機器足部130のねじを回すことによって調整され得る。機器足部の高さ調整のためのねじは、検査室機器110の前面の底部に配置されてもよい。現場サービス技術者は、LEDの色の変化を使用して作業面118を平準化することができる。平面116の最良のレベルは、生産中の組み立て中に事前設定され得る。これは、顧客サイトで機器レベルを調整した後に再び同じレベルに到達することを可能にし得る。レベリングは、初期生産中に定義された適切な調整を確実にするためにLED視覚化によってサポートされる現場技術者によって行われてもよい。
【0091】
ユーザインターフェース126は、干渉影響が検出されたことを示すようにさらに構成され得る。例えば、光電ディスプレイ128は、例えば色の変化、光の点滅などを使用して干渉影響が検出されたことを示すようにさらに構成され得る。ユーザインターフェース126は、ここには示されていない少なくとも1つのディスプレイを備え得る。干渉影響が検出されたという指示は、ディスプレイを使用することによって、例えば、検査室機器110の結果のフラグを示すことによって、および/または警告などのメッセージを発することによって、ユーザに提供され得る。例えば、メッセージは、予防保守を行うための指示を含み得る。
【0092】
図3は、検査室機器110に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するための方法の実施形態のフロー図を示している。方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つまたは複数の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、1つ、複数、さらには全ての方法ステップが繰り返し実行されてもよい。
【0093】
本方法は、以下のステップ:
i)レベルセンサ112を使用することによって、少なくとも1つのレベル信号を生成するステップ(132)と、
ii)評価および制御ユニット114を使用することによって、レベル信号を評価することによって、検査室機器110の少なくとも1つの傾斜情報項目を決定するステップ(134)と、
iii)評価および制御ユニット114を使用することによって、レベル信号の少なくとも1つの変化を特定することによって、検査室機器110に対する少なくとも1つの干渉影響を検出するステップ(136)と
を含む。
【0094】
本方法は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよい。例えば、ステップii)およびiii)のうちの少なくとも1つがコンピュータ実装される。本方法は、自動的に実行されてもよい。本方法は、例えば手動のアクションおよび/またはユーザとの相互作用なしに、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/または機械によって実行され得る。しかしながら、本方法は、消耗品の装填などの手動動作を含んでもよい。
【0095】
例えば、ステップi)からiii)は、事象関連で行われてもよい。例えば、本方法は、検査室機器の初期設定のために実行されてもよい。例えば、本方法は、検査室機器の動作中に実行されてもよい。ステップi)は、レベルセンサを使用することによってレベル信号を連続的におよび/または繰り返し生成することを含んでもよい。例えば、測定周波数は、約50Hzであってもよい。ステップii)および/またはiii)は、所与の時間間隔内に少なくとも1回実行されてもよい。例えば、ステップii)および/またはiii)は、1つのレベル信号の時間間隔内に少なくとも1回実行されてもよい。ステップii)およびiii)は、少なくとも部分的に適時に重複して実行されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
110 検査室機器
112 レベルセンサ
114 評価および制御ユニット
116 平面
118 作業面
120 ピペッティングステーション
122 マイクロプロセッサ
124 記憶ユニット
126 ユーザインターフェース
128 光電ディスプレイ
130 機器足部
132 ステップi)
134 ステップii)
136 ステップiii)
【外国語明細書】