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特開2024-61680小直径炭素ナノチューブの製造方法およびそれにより製造された炭素ナノチューブ
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  • 特開-小直径炭素ナノチューブの製造方法およびそれにより製造された炭素ナノチューブ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061680
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】小直径炭素ナノチューブの製造方法およびそれにより製造された炭素ナノチューブ
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/162 20170101AFI20240425BHJP
   B01J 23/75 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C01B32/162
B01J23/75 M
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181173
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0136551
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516298504
【氏名又は名称】コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Korea Kumho Petrochemical Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】100,Cheonggyecheon-ro,Jung-gu,Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ,ワン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン テ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,サン ヒョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チュン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ミュン フン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ウ ラム
(72)【発明者】
【氏名】カン,チャン ク
【テーマコード(参考)】
4G146
4G169
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB06
4G146AC01A
4G146AC01B
4G146AC03A
4G146AC03B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AC20B
4G146AC22A
4G146AC22B
4G146AC27A
4G146AC27B
4G146AC30B
4G146BA08
4G146BA12
4G146BA48
4G146BC09
4G146BC33B
4G146BC43
4G146BC44
4G146BC50
4G169AA02
4G169BC16B
4G169BC54B
4G169BC66B
4G169BC67B
4G169CB81
4G169EA01Y
4G169FB34
4G169FC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小直径炭素ナノチューブを高い純度で合成することができる炭素ナノチューブの製造方法を提供すること。
【解決手段】一実施例として(a)触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階;および(b)炭素源ガスを注入して炭素ナノチューブを合成する段階;を含み、前記触媒の投入量および前記炭素源ガスの流量は下記の式1を満足する、炭素ナノチューブの製造方法を提供する。
[式1]
0.1L/g・min≦a/b≦1.1L/g・min
前記式1で、aは前記炭素源ガスの流量(L/min)であり、bは前記触媒の投入量(g)である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階;および
(b)炭素源ガスを注入して炭素ナノチューブを合成する段階;を含み、
前記触媒の投入量および前記炭素源ガスの流量は下記の式1を満足する、炭素ナノチューブの製造方法:
[式1]
0.1L/g・min≦a/b≦1.1L/g・min
前記式1で、aは前記炭素源ガスの流量(L/min)であり、bは前記触媒の投入量(g)である。
【請求項2】
前記触媒は主触媒および支持体を含み、
前記支持体対比前記主触媒のモル分率は0.01~0.5である、請求項1に記載の炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項3】
前記触媒はi)Co、Fe、Niおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの主触媒;ii)Al、Ca、Mgおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの支持体;およびiii)V、Mn、Moおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの助触媒;を含む、請求項1に記載の炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項4】
前記炭素源ガスは炭素数1~4の飽和または不飽和炭化水素、一酸化炭素およびこれらのうち2以上の混合物からなる群から選択された一つを含む、請求項1に記載の炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された方法で製造された、炭素ナノチューブ。
【請求項6】
前記炭素ナノチューブの直径は7~12nmである、請求項5に記載の炭素ナノチューブ。
【請求項7】
前記炭素ナノチューブの純度は90%以上である、請求項5に記載の炭素ナノチューブ。
【請求項8】
前記炭素ナノチューブのバンドルの長さは50~200μmである、請求項5に記載の炭素ナノチューブ。
【請求項9】
前記炭素ナノチューブのBET比表面積は250~400m/gである、請求項5に記載の炭素ナノチューブ。
【請求項10】
前記炭素ナノチューブの見掛け密度は0.005~0.5g/mlである、請求項5に記載の炭素ナノチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は小直径炭素ナノチューブの製造方法およびそれにより製造された炭素ナノチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しいエネルギーおよび電気自動車に対する関心と需要が増加するにつれて、二次電池の需要および性能改善の必要性が急激に増加している。特に、電気自動車用二次電池はエネルギー密度が高く、寿命が長く、自己放電率が低い高容量二次電池であることが要求され、このような物性を確保するためには電気伝導性が高い導電材の開発が必須である。
【0003】
導電材は電池内電荷の移動通路の役割をするもので、炭素系列の導電性物質、例えば黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、炭素ナノチューブなどが使われ得、既存には主に導電性カーボンブラックを使っていた。
【0004】
炭素ナノチューブ(carbon nanotube)は炭素原子が互いに連結されて六角形のハニカム形の格子をなすチューブ状構造の素材で、優秀な電気伝導性によって二次電池用次世代導電材として脚光を浴びている。炭素ナノチューブを導電材として使う場合、二次電池のエネルギー密度および寿命特性を向上させることができ、電池の大きさを減らすことができる。
【0005】
一方、炭素ナノチューブは直径が小さいほど優秀な電気伝導性を示すため、小直径の炭素ナノチューブを二次電池用導電材として使う場合、二次電池の容量および寿命特性をさらに向上させることができる。したがって、既存対比減少した直径を有する炭素ナノチューブを高い純度で合成できる製造技術の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書の記載事項は前述した従来技術の問題点を解決するためのもので、本明細書の一目的は、小直径炭素ナノチューブを高い純度で合成することができる炭素ナノチューブの製造方法を提供することである。
【0007】
本明細書の他の一目的は、電気伝導性が優秀な小直径炭素ナノチューブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によると、(a)触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階;および(b)炭素源ガスを注入して炭素ナノチューブを合成する段階;を含み、前記触媒の投入量および前記炭素源ガスの流量は下記の式1を満足する、炭素ナノチューブの製造方法を提供する。
【0009】
[式1]
0.1L/g・min≦a/b≦1.1L/g・min
前記式1で、aは前記炭素源ガスの流量(L/min)であり、bは前記触媒の投入量(g)である。
【0010】
一実施例において、前記触媒は主触媒および支持体を含み、前記支持体対比前記主触媒のモル分率は0.01~0.5であり得る。
【0011】
一実施例において、前記触媒はi)Co、Fe、Niおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの主触媒;ii)Al、Ca、Mgおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの支持体;およびiii)V、Mn、Moおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの助触媒;を含むことができる。
【0012】
一実施例において、前記炭素源ガスは炭素数1~4の飽和または不飽和炭化水素、一酸化炭素およびこれらのうち2以上の混合物からなる群から選択された一つを含むことができる。
【0013】
他の一側面によると、前記炭素ナノチューブの製造方法で製造された、炭素ナノチューブを提供する。
【0014】
一実施例において、前記炭素ナノチューブの直径は7~12nmであり得る。
【0015】
一実施例において、前記炭素ナノチューブの純度は90%以上であり得る。
【0016】
一実施例において、前記炭素ナノチューブのバンドルの長さは50~200μmであり得る。
【0017】
一実施例において、前記炭素ナノチューブのBET比表面積は250~400m/gであり得る。
【0018】
一実施例において、前記炭素ナノチューブの見掛け密度は0.005~0.5g/mlであり得る。
【発明の効果】
【0019】
本明細書の一側面に係る炭素ナノチューブの製造方法は既存対比減少された直径を有する小直径炭素ナノチューブを高い純度で合成することができる。
【0020】
また、本明細書の他の一側面に係る炭素ナノチューブは直径が小さいため電気伝導性が優秀であり、二次電池用導電材として使う場合、二次電池の容量および寿命特性を向上させることができる。
【0021】
本明細書の一側面の効果は前記の効果に限定されるものではなく、本明細書の詳細な説明または請求の範囲に記載された構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本明細書の実施例または比較例により合成した炭素ナノチューブのTEMイメージである。
図2】本明細書の実施例または比較例により合成した炭素ナノチューブの直径分析結果である。
図3】本明細書の実施例または比較例により合成した炭素ナノチューブのSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付した図面を参照して本明細書の一側面を説明することにする。しかし、本明細書の記載事項は多様な異なる形態で具現され得、したがってここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面で本明細書の一側面を明確に説明するために説明とかかわらない部分は省略し、明細書全体を通じて類似する部分に対しては類似する図面符号を付した。
【0024】
明細書全体で、或る部分が他の部分と「連結」されているとする時、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、或る部分が何らかの構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに具備できるということを意味する。
【0025】
本明細書で数値的値の範囲が記載された時、この具体的な範囲が別途に記述されない限りその値は有効数字に対する化学での標準規則により提供された有効数字の精度を有する。例えば、10は5.0~14.9の範囲を含み、数字10.0は9.50~10.49の範囲を含む。
【0026】
以下、添付された図面を参照して本明細書の一実施例を詳細に説明することにする。
【0027】
炭素ナノチューブの製造方法
本明細書の一側面に係る炭素ナノチューブの製造方法は(a)触媒を化学気相蒸着反応器に投入する段階;および(b)炭素源ガスを注入して炭素ナノチューブを合成する段階;を含み、前記触媒の投入量および前記炭素源ガスの流量は下記の式1を満足する。
【0028】
[式1]
0.1L/g・min≦a/b≦1.1L/g・min
前記式1で、aは前記炭素源ガスの流量(L/min)であり、bは前記触媒の投入量(g)である。
【0029】
前記炭素ナノチューブの製造方法は触媒投入量対比炭素源ガス流量の比率(a/b値)を調節することによって既存対比減少した直径を有する小直径炭素ナノチューブを製造することができる。前記方法で製造した炭素ナノチューブの直径は7~12nmであり得、前記a/b値が小さいほど製造された炭素ナノチューブの直径が減少し得る。
【0030】
前記a/b値は例えば、0.1L/g・min、0.2L/g・min、0.3L/g・min、0.4L/g・min、0.5L/g・min、0.6L/g・min、0.7L/g・min、0.8L/g・min、0.9L/g・min、1.0L/g・min、1.1L/g・minまたはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。a/b値が前記範囲未満であれば、触媒活性が過度に減少して炭素ナノチューブが合成されない場合があり、前記範囲超過であれば、合成された炭素ナノチューブの直径が増加し、電気伝導性が低下し得る。
【0031】
前記触媒はi)Co、Fe、Niおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの主触媒;ii)Al、Ca、Mgおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの支持体;およびiii)V、Mn、Moおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つの助触媒;を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記支持体対比前記主触媒のモル分率は0.01~0.5であり得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5またはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。支持体対比主触媒のモル分率が前記範囲未満であれば、炭素ナノチューブの合成歩留まり率が低下し得、製造された炭素ナノチューブの分散性が低下し得る。支持体対比主触媒のモル分率が前記範囲超過であれば支持体含量が相対的に少ないため触媒の耐久性が低下し得、製造された炭素ナノチューブの電気伝導性が低下し得る。
【0033】
前記触媒は噴霧熱分解法または担持法によって製造されたものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記触媒が噴霧熱分解法によって製造される場合、前記触媒は、(a’)前記主触媒、前記支持体および前記助触媒の前駆体を溶媒に溶解させて触媒混合溶液を準備する段階;(b’)前記触媒混合溶液をガス噴霧方式で2~5気圧の運搬ガスによって高温の反応器の内部に噴霧して600~1200℃の温度で高温熱分解させて触媒粉末を形成する段階;(c’)前記触媒粉末を収得する段階によって製造され得る。
【0035】
前記前駆体は硝酸塩、硫酸塩、アルコキシドおよびカーボネートであり得るが、これに限定されるものではない。
【0036】
前記溶媒は脱イオン水であり得るが、これに限定されるものではない。
【0037】
前記運搬ガスは空気であり得るが、これに限定されるものではない。
【0038】
前記熱分解時温度は600~1200℃であり得、好ましくは600~1000℃であり得るが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記熱分解時運搬ガスの圧力は2~5気圧であり得、好ましくは2~4気圧であり得るが、これに限定されるものではない。
【0040】
このように噴霧熱分解法によって製造された触媒は0.01~0.50g/mLの見掛け密度(bulk density)を有することができ、好ましくは0.03~0.40g/mLの見掛け密度を有することができる。
【0041】
このように噴霧熱分解法によって製造された触媒は中空構造を有することができ、中空の厚さは0.5~10μm、好ましくは1~8μmであり得、中空の比率は50体積%以上であり得る。ここで中空構造とは、内部が空いている立体構造であって、例えば、内部が空いている球状または多面体状の構造を意味し、中空がすべて密閉された閉じられた構造(closed structure)、中空のうち一部が開放された開かれた構造(open structure)、またはこれらの組み合わせをすべて含む。触媒が前記のような中空構造を有する場合、小直径炭素ナノチューブの合成に有利であり得る。
【0042】
前記化学気相蒸着反応器は固定層化学気相蒸着反応器または流動層化学気相蒸着反応器であり得るが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記炭素源ガスは炭素数1~4の飽和または不飽和炭化水素、一酸化炭素およびこれらのうち2以上の混合物からなる群から選択された一つを含むことができ、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、エチレン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、アセチレン(C)、一酸化炭素(CO)またはこれらのうち2以上の混合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記(b)段階で、化学気相蒸着反応器の内部温度は600~1,000℃であり得る。例えば、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1,000℃またはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。反応器の内部温度が前記範囲未満であれば、炭素ナノチューブの成長が不可能であるか遅延され得、前記範囲超過であれば、合成された炭素ナノチューブが熱分解されるかそれぞれが相互に結合して形態を維持できない場合もある。
【0045】
前記(b)段階で、前記炭素源ガスは運搬ガスとともに注入され得る。前記運搬ガスはヘリウム、窒素、アルゴンおよびこれらのうち2以上の混合物からなる群から選択された一つであり得るが、これに限定されるものではない。
【0046】
前記(b)段階で、炭素ナノチューブの合成は高温の熱によって分解された炭素源ガスが触媒内に浸透、飽和された後、炭素が析出されながら遂行されるものであり得る。
【0047】
炭素ナノチューブ
本明細書の他の一側面に係る炭素ナノチューブは前述した炭素ナノチューブの製造方法で製造されたものであり得る。
【0048】
前記炭素ナノチューブの直径は7~12nmであり得る。例えば、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nmまたはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。直径が前記範囲未満であれば、炭素ナノチューブに構造的欠陥が発生したり分散性が低下し得、前記範囲超過であれば、電気伝導性が低下して二次電池用導電材として使用時、二次電池のエネルギー密度、寿命特性および自己放電率が低下し得る。
【0049】
前記炭素ナノチューブの純度は90%以上であり得る。純度が前記範囲未満であれば電気伝導性が低下し得、二次電池用導電材として使用時に、不純物が電池の内部で反応して安全事故が発生し得る。
【0050】
前記炭素ナノチューブは複数の炭素ナノチューブが相互に凝集したバンドル(bundle)型炭素ナノチューブであり得るが、これに限定されるものではない。
【0051】
前記炭素ナノチューブのバンドルの長さは50~200μmであり得る。例えば、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μmまたはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。バンドルの長さが前記範囲未満であれば電気伝導性が低下し得、前記範囲超過であれば分散性が低下し得る。
【0052】
前記炭素ナノチューブのBET比表面積(specific surface area)は250~400m/gであり得る。例えば、250m/g、260m/g、270m/g、280m/g、290m/g、300m/g、310m/g、320m/g、330m/g、340m/g、350m/g、360m/g、370m/g、380m/g、390m/g、400m/gまたはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。BET比表面積が前記範囲未満であれば電気伝導性が低下し得、前記範囲超過であれば分散性が低下し得る。
【0053】
前記炭素ナノチューブの見掛け密度(bulk density)は0.005~0.5g/mlであり得る。例えば、0.005g/ml、0.01g/ml、0.02g/ml、0.03g/ml、0.04g/ml、0.05g/ml、0.06g/ml、0.07g/ml、0.08g/ml、0.09g/ml、0.1g/ml、0.2g/ml、0.3g/ml、0.4g/ml、0.5g/mlまたはこれらのうち両値の間の範囲であり得る。前記見掛け密度は粉末形態の炭素ナノチューブを利用して測定したものであり得る。見掛け密度が前記範囲未満であれば分散性が低下し得、前記範囲超過であれば電気伝導性が低下し得る。
【0054】
前記炭素ナノチューブは優秀な電気伝導性を示すため、二次電池用導電材として使用時に少ない量でも同一または既存対比改善された性能を示すことができ、それによりエネルギー密度が高く、寿命が長く、自己放電率が低い高容量二次電池の生産に適用され得る。
【0055】
以下、本明細書の実施例に関してさらに詳細に説明することにする。ただし、以下の実験結果は前記実施例のうち代表的な実験結果のみを記載したものであり、実施例などによって本明細書の範囲と内容が縮小されたり制限されて解釈され得ない。下記で明示的に提示していない本明細書の多様な具現例のそれぞれの効果は、該当部分で具体的に記載することにする。
【0056】
製造例1
Co(NO・6HO 0.76モル、Al(NO・9HO 2.36モルおよびNHVO 0.09モルを脱イオン水に溶解させて前駆体混合溶液を製造した。その後、前駆体混合溶液を750℃の反応器の内部に噴霧して熱分解することによって触媒を製造した。
【0057】
製造例2
Co(NO・6HO 0.31モル、Al(NO・9HO 3.42モルおよびNHVO 0.04モルを脱イオン水に溶解させて前駆体混合溶液を製造した。その後、前駆体混合溶液を750℃の反応器の内部に噴霧して熱分解することによって触媒を製造した。
【0058】
製造例3
Co(NO・6HO 0.62モル、Al(NO・9HO 2.61モルおよびNHVO 0.07モルを脱イオン水に溶解させて前駆体混合溶液を製造した。その後、前駆体混合溶液を750℃の反応器の内部に噴霧して熱分解することによって触媒を製造した。
【0059】
製造例4
NHVO 0.07モルおよびC 0.07モルを脱イオン水に溶解させて透明な溶液を製造した後、Fe(NO・9HO 0.8モル、Al(NO・9HO 1.65モルおよびMg(NO・6HO0.78モルを追加で溶解させて前駆体混合溶液を製造した。その後、前駆体混合溶液を750℃反応器の内部に噴霧して熱分解することによって触媒を製造した。
【0060】
実施例1~7および比較例1~3
前記製造例1~4で製造した触媒を350mm流動層化学気相蒸着反応器に投入し、窒素雰囲気下で反応器の内部温度を650~800℃まで昇温させた後、炭素源ガスを注入して炭素ナノチューブを合成した。この時、炭素源ガスは下記の表1の触媒投入量対比炭素源ガス流量の比率(a/b値)により注入するものの、注入された炭素源ガスの総量は同一に維持した。
【0061】
下記の表1は実施例1~7および比較例1~3で使われた触媒の種類、支持体対比主触媒のモル分率、および触媒投入量対比炭素源ガス流量の比率を表したものである。
【0062】
【表1】
【0063】
実験例1
前記実施例および比較例により合成した炭素ナノチューブの触媒歩留まり率、純度および構造的特性を分析し、その結果を下記の表2および図1~3に表した。
【0064】
1)触媒歩留まり率:触媒投入量対比合成された炭素ナノチューブの総量を意味し、下記の式により計算した。
【0065】
触媒歩留まり率(%)=合成された炭素ナノチューブの総量(g)/触媒投入量(g)
2)純度:熱酸化炉を利用して800℃で炭素ナノチューブを燃焼させた後、投入した炭素ナノチューブの重さと燃焼後の重さを利用して下記の式により純度を計算した。
【0066】
炭素ナノチューブ純度(%)=[(投入した炭素ナノチューブの重さ-燃焼後の重さ)/投入した炭素ナノチューブの重さ]×100
3)平均直径:TEM(JEOL社、JEM-2100F)を利用して200,000倍の倍率で測定した。
【0067】
図1および図2は、実施例1、4および比較例2により合成した炭素ナノチューブのTEMイメージおよび直径分析結果を表したものである。
【0068】
4)バンドル長さ:FE-SEM(JEOL社、JSM-7500F)を利用して700倍の倍率で測定した。
【0069】
図3は、実施例1、4および比較例2により合成した炭素ナノチューブのSEMイメージを示したものである。
【0070】
5)見掛け密度:重さを知っている100ml容器に炭素ナノチューブ粉末を満たして重さを測定した後、下記の式により見掛け密度を換算した。
【0071】
見掛け密度=合成された炭素ナノチューブの総量(g)/合成された炭素ナノチューブの体積(ml)
6)BET比表面積:TriStar II 3020装備(Micrometritics社)を使って測定した。
【0072】
【表2】
【0073】
前記表2を参照すると、実施例1~7により合成された炭素ナノチューブは7~12nmの減少した直径を有するとともに、高い触媒歩留まり率および純度を示した。また、触媒投入量対比炭素源ガス流量の比率(a/b値)が減少するほど合成された炭素ナノチューブの直径が減少することを確認した。
【0074】
a/b値が減少するほどBET比表面積値は増加したし、通常的に炭素ナノチューブの直径が小さくなるほど比表面積は増加すると知られているので、増加した比表面積値によっても炭素ナノチューブの直径が減少したことを確認することができる。
【0075】
このような結果は炭素源ガス流量と触媒投入量の比率を調節して触媒活性度を調節することによるもので、触媒投入量対比炭素源ガスの流量比率が減少するほど触媒活性度は減少し、それにより小直径の炭素ナノチューブを合成することができる。
【0076】
a/b値が減少するほど触媒活性度が減少して炭素ナノチューブのバンドルの長さは長くなったことを確認したし、合成された炭素ナノチューブの直径が減少し、長さが増加するにつれて見掛け密度は次第に点小さくなることを確認した。
【0077】
比較例1に係る合成方法はa/b値が0.1L/g・min未満である場合であり、触媒活性度が過度に低くなったことにより、炭素ナノチューブが合成されなかった。
【0078】
比較例2および3に係る合成方法はa/b値が1.1L/g・minを超過する場合であり、触媒活性度が過度に高いため炭素ナノチューブの合成が急激に進行されながら、直径が12nmを超過する炭素ナノチューブが合成された。また、直径が増加しながら比表面積値が減少し、過度に高い触媒活性によって長さが短い炭素ナノチューブが合成されたのであり、大きい直径と短い長さによって見掛け密度が増加する傾向を見せた。
【0079】
実験例2
前記実施例および比較例により合成した炭素ナノチューブの電気伝導性を評価するために、炭素ナノチューブの表面抵抗および粘度を測定し、その結果を下記の表3に表した。
【0080】
炭素ナノチューブの分散液評価は100ml N-メチルピロリドン(NMP、N-methylpyrrolidone)に0.5%炭素ナノチューブおよび分散剤として0.25%ポリビニルピロリドン(PVP、Polyvinylpyrrolidone)を添加し、超音波装備(SONICS & MATERIALS社、VC750)を利用して実施した。分散液の製造時、20分の間超音波を作動させた後、分散液の製造を完了した。
【0081】
炭素ナノチューブの表面抵抗はバーコーティング(bar coating)後に4点法(4-pointprobe)を利用して測定した。
【0082】
粘度は携帯用粘度計(Hydramotion社、Viscolite 700)を使って測定した。
【0083】
【表3】
【0084】
前記表3を参照すると、実施例1、2および4により合成された炭素ナノチューブは表面抵抗が低いため優秀な電気伝導性を示したし、炭素ナノチューブの直径が小さいほど分散液を利用したコーティング電気伝導性が向上することを確認した。
【0085】
比較例2により合成された炭素ナノチューブは実施例対比表面抵抗が高いため電気伝導性が低下したことを確認した。
【0086】
前述した本明細書の説明は例示のためのものであり、本明細書の一側面が属する技術分野の通常の知識を有する者は本明細書に記載された技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散されて実施されてもよく、同様に分散されたものと説明されている構成要素も結合された形態で実施され得る。
【0087】
本明細書の範囲は後述する請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態は本明細書の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3