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特開2024-61713烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
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  • 特開-烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061713
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20240426BHJP
   A23L 33/00 20160101ALN20240426BHJP
【FI】
A23L19/00 D
A23L33/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023161852
(22)【出願日】2023-09-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】202211248372.7
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520133961
【氏名又は名称】広東省農業科学院蚕業与農産品加工研究所
(71)【出願人】
【識別番号】523366694
【氏名又は名称】溜溜果園集団股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】余元善
(72)【発明者】
【氏名】鄒波
(72)【発明者】
【氏名】徐玉娟
(72)【発明者】
【氏名】楊帆
(72)【発明者】
【氏名】胡騰根
(72)【発明者】
【氏名】李▲ル▼
(72)【発明者】
【氏名】余洋洋
(72)【発明者】
【氏名】陳暁維
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LG03
4B016LK01
4B016LK04
4B016LK14
4B016LP08
4B016LP09
4B016LP13
4B018LB03
4B018MD52
4B018ME07
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法を提供する。
【解決手段】方法は、1)果実の選別と洗浄、2)青ウメの表面に、オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合材料を塗布したあと、蒸留水に浸し、超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させるアク抜き処理、3)乾燥及び等級分け、4)乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させる高温反応、5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品が食用可能な烏梅の完成品となる、とのステップを含む。得られる烏梅は、ムメフラールやネオクロロゲン酸等の有機酸の含有量が著しく向上するとともに、5-HMFを産生可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法であって、
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別して、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切り、
2)アク抜き処理:青ウメの表面に、オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合材料を塗布したあと、蒸留水に浸し、超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させ、
前記オレアノール酸の質量濃度は50~60%であり、
前記蜂蜜の質量濃度は80~90%であり、
前記オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合質量比は(3~4):(1~3):(5~7)であり、
前記超音波振動の振動数は30~40kHzであり、
3)乾燥及び等級分け:洗浄後の青ウメの果実を熱風乾燥し、乾燥後に等級分けを行い、
前記等級分けでは3つの等級に分け、10g以下のものを1級、10~20gのものを2級、20g以上のものを3級とし、
前記熱風乾燥の温度は55~65℃であり、
乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は20%以下であり、
4)高温反応:乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させ、
前記スプレー式高温殺菌装置の反応温度は115~125℃であり、反応時間は60~90minであり、
5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品は食用可能な烏梅の完成品となる、
とのステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ5)における前記耐熱性のレトルトパウチは包装用のプラスチックフィルム材質でなり、GB/T1004-2008の高温スチームボイルレベル要求を満たすべきであることを特徴とする請求項1に記載の烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青ウメ加工の技術分野に属し、具体的には、烏梅(ウバイ)のムメフラール含有量を向上させる加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
烏梅は、本邦における重要な伝統的漢方薬材であり、青ウメの生の果実を火干し又は燻煙することで製造される。烏梅の「性」と「味」は、「酸」及び「平」であり、「収斂」、「生津」、「安蛔」、「駆虫」の効果を有する。烏梅は、大腸菌、赤痢菌、チフス菌及び緑膿菌等に対し明らかな抑制作用を有し、烏梅汁は、腸炎や腸チフスを予防及び治療することが可能である。また、つぶした烏梅を塗布することで、腫れやリューマチ、刺傷、神経痛等を治療できる。近年、乾燥烏梅は、薬用とされるだけでなく、各種の飲料や食品の加工にも幅広く用いられており、消費者から非常に好まれている。
【0003】
ムメフラール(Mumefural)とは、化学名を1-[5-(2-ホルミルフリル)メチル]ジヒドロ2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(1-[5-(2-formylfuryl)methyl]-dihydrogen2-hydroxypropane-1,2,3-tricarboxylate)と言い、烏梅の加工過程で5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)とクエン酸等の有機酸が反応して産生されるものである。これは、青ウメ製品における主要機能成分の一つであり、血液循環の改善、インフルエンザウイルスへの抵抗、認知機能障害の改善等の作用を有する。
【0004】
現在のところ、烏梅の加工設備はシンプルであり、一般的には土かまどを使用して、薪による火干し又は燻煙技術を用いている。しかし、烏梅の市場需要の高まりに伴い、従来の土かまどによる加工技術では市場需要への適応が困難となっている。一部の企業では、オーブンによる低温乾燥(一般的な技術では、60~65℃で30~48時間火干しにする)技術を採用しており、生産効率が低いという伝統的な火干しにおける課題を良好に解決可能としている。ところが、火干しした烏梅製品はムメフラールの含有量が少なく、風味のバランスが十分に取れていないため、各種の飲料や食品への加工にはあまり向いていない。そこで、如何にして烏梅加工の技術改良を行い、烏梅の火干し生産効率を向上させ、且つ、製品中のムメフラール含有量及び品質を向上させるかには、高い市場需要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題に対し、本発明の目的は、烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術内容は次の通りである。
【0007】
本発明は、烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法を提供する。当該方法は、以下のステップを含む。
【0008】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別する。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切る。
【0009】
2)アク抜き処理:青ウメの表面に、オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合材料を塗布したあと、蒸留水に浸し、超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させる。前記オレアノール酸の質量濃度は50~60%である。前記蜂蜜の質量濃度は80~90%である。前記オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合質量比は、(3~4):(1~3):(5~7)である。前記超音波振動の振動数は30~40kHzである。
【0010】
3)乾燥及び等級分け:洗浄後の青ウメの果実を熱風乾燥し、乾燥後に等級分けを行う。前記熱風乾燥の温度は55~65℃である。前記乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は20%以下である。前記等級分けでは3つの等級に分け、10g以下のものを1級、10~20gのものを2級、20g以上のものを3級とする。
【0011】
4)高温反応:乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させる。これは、風味を増し、水分を保持するためである。前記スプレー式高温殺菌装置の反応温度は115~125℃であり、反応時間は60~90minである。なお、青ウメの等級の違いによって、相応の温度に適切に調節する。前記耐熱性のレトルトパウチは包装用のプラスチックフィルム材質でなり、GB/T1004-2008の高温スチームボイルレベル要求を満たすべきである。
【0012】
5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品は食用可能な烏梅の完成品となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の有益な効果は次の通りである。
【0014】
本発明で記載した烏梅中の有機酸を向上させる加工方法は、従来技術と比較して、木材の直接的な燃焼による火干し又は燻煙が不要なため、環境への影響が小さい。また、工場化による大規模生産に適しており、自動化度合が高い。得られる烏梅の外観及び品質、香り等は従来技術と大差ないが、得られる烏梅のムメフラールやネオクロロゲン酸等の有機酸の含有量は著しく向上し、且つ5-HMFも産生可能である。これにより、烏梅の栄養成分が最大限保持されるため、烏梅の食用としての価値が向上する。また、烏梅を食することで、肝臓の保護や抗アレルギー等の効果に有益となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例及び比較例で製造した烏梅の外観画像である。
図2図2は、実施例及び比較例で製造した烏梅のムメフラール含有量の測定結果の図である。
図3図3は、実施例及び比較例で製造した烏梅の5-HMF含有量の測定結果の図である。
図4図4は、実施例及び比較例で製造した烏梅のネオクロロゲン酸含有量の測定結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、具体的実施例と図面の説明を通じて、本発明につき更に詳細に述べる。なお、理解すべき点として、これらの実施例は本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の保護の範囲を制限するものではない。本発明を閲覧後に、当業者が本発明につき行う等価の形式の各種修正は、いずれも本願の添付の請求項による規定に含まれる。
【0017】
特に説明がない場合、本発明における全ての原料及び試薬は、いずれも一般的な市場における原料及び試薬である。
【0018】
実施例1
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0019】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0020】
2)アク抜き処理:青ウメの表面に、質量濃度55%のオレアノール酸、質量濃度85%の蜂蜜及び塩の混合材料を塗布した。混合質量比は3:2:6とし、23min塗布した。その後、蒸留水に浸し、35kHzの超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させた。
【0021】
3)乾燥及び等級分け:洗浄後の青ウメの果実を60℃で熱風乾燥し、乾燥後に等級分けを行った。前記乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。前記等級分けでは3つの等級に分け、10g以下のものを1級、10~20gのものを2級、20g以上のものを3級とした。
【0022】
4)高温反応:乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、反応温度を120℃、反応時間を75minとして、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させた。前記耐熱性のレトルトパウチは、包装用のプラスチックフィルム材質でなり、GB/T1004-2008の高温スチームボイルレベル要求を満たしていることとした。
【0023】
5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品は食用可能な烏梅の完成品となった。
【0024】
実施例2
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0025】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0026】
2)アク抜き処理:青ウメの表面に、質量濃度50%のオレアノール酸、質量濃度80%の蜂蜜及び塩の混合材料を塗布した。混合質量比は3:1:5とし、30min塗布した。その後、蒸留水に浸し、30kHzの超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させた。
【0027】
3)乾燥及び等級分け:洗浄後の青ウメの果実を55℃で熱風乾燥し、乾燥後に等級分けを行った。前記乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。前記等級分けでは3つの等級に分け、10g以下のものを1級、10~20gのものを2級、20g以上のものを3級とした。
【0028】
4)高温反応:乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、反応温度を115℃、反応時間を90minとして、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させた。前記耐熱性のレトルトパウチは、包装用のプラスチックフィルム材質でなり、GB/T1004-2008の高温スチームボイルレベル要求を満たしていることとした。
【0029】
5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品は食用可能な烏梅の完成品となった。
【0030】
実施例3
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0031】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0032】
2)アク抜き処理:青ウメの表面に、質量濃度60%のオレアノール酸、質量濃度90%の蜂蜜及び塩の混合材料を塗布した。混合質量比は4:3:7とし、15min塗布した。その後、蒸留水に浸し、40kHzの超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させた。
【0033】
3)乾燥及び等級分け:洗浄後の青ウメの果実を65℃で熱風乾燥し、乾燥後に等級分けを行った。前記乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。前記等級分けでは3つの等級に分け、10g以下のものを1級、10~20gのものを2級、20g以上のものを3級とした。
【0034】
4)高温反応:乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、反応温度を125℃、反応時間を60minとして、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させた。前記耐熱性のレトルトパウチは、包装用のプラスチックフィルム材質でなり、GB/T1004-2008の高温スチームボイルレベル要求を満たしていることとした。
【0035】
5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品は食用可能な烏梅の完成品となった。
【0036】
比較例1
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0037】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0038】
2)乾燥:洗浄後の青ウメの果実を60℃で熱風乾燥した。乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。
【0039】
3)高温・高圧処理:100℃、0.12Mpaで青ウメの果実を1h高圧反応させて、烏梅製品を取得した。
【0040】
比較例2
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0041】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0042】
2)乾燥:洗浄後の青ウメの果実を60℃で熱風乾燥した。乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。
【0043】
3)高温・高圧処理:121℃、0.12Mpaで青ウメの果実を1h高圧反応させて、烏梅製品を取得した。
【0044】
比較例3
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0045】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0046】
2)乾燥:洗浄後の青ウメの果実を60℃で熱風乾燥した。乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。
【0047】
3)ベーキング処理:青ウメの果実を100℃で0.5hベーキング処理して、烏梅製品を取得した。
【0048】
比較例4
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法
【0049】
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別した。そして、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切った。
【0050】
2)乾燥:洗浄後の青ウメの果実を60℃で熱風乾燥した。乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は10.5±0.5%であった。
【0051】
3)ベーキング処理:青ウメの果実を100℃で1hベーキング処理して、烏梅製品を取得した。
【0052】
実施例及び比較例で述べた加工方法により製造した烏梅について、外観比較と、ムメフラール含有量、5-HMF含有量及びネオクロロゲン酸含有量の測定を行ったところ、結果は以下の通りとなった。
【0053】
図1は、実施例1及び比較例1~4で取得した烏梅の外観画像を示している。図面から明らかなように、実施例1で取得した烏梅の果実は比較的ふっくらしており、色が比較的濃い黒であった。一方、比較例1と比較例2で取得した烏梅は実施例1に比べてふくらみの度合がやや劣っていた。また、比較例3と比較例4で取得した烏梅は色が薄く、ふくらみの度合もやや劣っていた。
【0054】
図2は、ムメフラール含有量の測定結果の図を示している。図示するように、高温・高圧やベーキング技術の場合と比較して、本発明による烏梅製造のための加工方法は、青ウメ中のムメフラールを保持して烏梅のムメフラール含有量を向上させるのに有益であった。
【0055】
図3は、5-HMF含有量の測定結果の図を示している。図示するように、本発明で処理及び加工して取得した烏梅は5-HMFを含有していた。5-HMFの産生は、烏梅の抗アレルギー作用を向上させるのに有益である。
【0056】
図4は、ネオクロロゲン酸含有量の測定結果の図を示している。図示するように、高温・高圧やベーキング技術の場合と比較して、本発明による烏梅製造のための加工方法は、青ウメ中のネオクロロゲン酸を保持して烏梅のネオクロロゲン酸含有量を向上させるのに有益であった。烏梅中のネオクロロゲン酸には肝臓を守る働きがあり、食することで人体内のトランスアミナーゼを低下させて、肝臓の障害を減少させることが可能である。
【0057】
従って、上記から明らかなように、本発明における上記の加工方法で製造される烏梅は栄養成分を最大限保持可能であり、烏梅中のムメフラールやネオクロロゲン酸等の有機酸を保持するとともに、5-HMFを産生することで、烏梅の食用としての価値を向上させる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法であって、
1)果実の選別と洗浄:成熟度が80%以上で、実が大きく肉厚であり、核の小さな青ウメの新鮮な果実を選別して、病虫害により果核にかびが生えて腐敗している果実を除去し、浄水で洗浄して水気を切り、
2)アク抜き処理:青ウメの表面に、オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合材料を塗布したあと、蒸留水に浸し、超音波振動で洗浄してアミグダリンを析出させ、
前記オレアノール酸の質量濃度は50~60%であり、
前記蜂蜜の質量濃度は80~90%であり、
前記オレアノール酸、蜂蜜及び塩の混合質量比は(3~4):(1~3):(5~7)であり、
前記超音波振動の振動数は30~40kHzであり、
3)乾燥及び等級分け:洗浄後の青ウメの果実を熱風乾燥し、乾燥後に等級分けを行い、
前記等級分けでは3つの等級に分け、10g以下のものを1級、10~20gのものを2級、20g以上のものを3級とし、
前記熱風乾燥の温度は55~65℃であり、
乾燥後の青ウメの果実の水分含有量は20%以下であり、
4)高温反応:乾燥及び等級分け後の青ウメの果実を耐熱性のレトルトパウチに分けて詰め、スプレー式高温殺菌装置に投入して高温反応させ、
前記スプレー式高温殺菌装置の反応温度は115~125℃であり、反応時間は60~90minであり、
5)乾燥青ウメが詰められたレトルトパウチを高温殺菌装置から取り出し、レトルトパウチ表面の水滴を風乾燥することで、レトルトパウチ内の製品は食用可能な烏梅の完成品となる、
とのステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ5)における前記耐熱性のレトルトパウチは包装用のプラスチックフィルム材質でなることを特徴とする請求項1に記載の烏梅のムメフラール含有量を向上させる加工方法。