(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061758
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】カセット
(51)【国際特許分類】
B41J 17/32 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
B41J17/32 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032769
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2022203010の分割
【原出願日】2019-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 信次
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
(57)【要約】
【課題】媒体を上層から下層へ降ろす際に、媒体のスプール軸に対する角度を変更することで、媒体の搬送不良を可及的に抑えるカセットを提供する。
【解決手段】カセット10は、上下方向に重なり合うテープケース20とリボンケース21と、印刷テープ22が巻き回される印刷テープロール26と、第一傾斜角θi1を有する傾斜面54iを有する第一ガイド130と、第二傾斜角θi2を有する傾斜面154iを有する第二ガイド132と、リボンケース21を構成する第3ケース部材16に設けられた第三ガイド134と、を備える。傾斜面54iは、テープケース20からリボンケース21側に向かう方向において印刷テープロール26から離れるように、傾斜面154iは、印刷テープロール26に近づくようにそれぞれ形成される。印字テープ22は、第一ガイド130、第二ガイド132、および、第三ガイド134の順に案内される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一層と第二層とを備え、前記第一層にヘッド空間を有する筐体と、
前記第二層に設けられ、媒体が巻き回されて構成されるロールと、
前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第一傾斜角をなすよう傾斜した第一傾斜部を有する第一ガイドと、
前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第二傾斜角をなすよう傾斜した第二傾斜部を有する第二ガイドと、
前記第一層に設けられた第三ガイドと、を備え、
前記第一傾斜部は、その前記第二層側端部から前記第一層側に向かうにつれて、前記ロールから離れるように形成され、
前記第二傾斜部は、その前記第二層側端部から前記第一層側に向かうにつれて、前記ロールに近づくように形成され、
前記媒体は、前記第一ガイド、前記第二ガイド、および、前記第三ガイドの順に案内されることにより、前記第二層から前記第一層へ移動して前記ヘッド空間に至るように前記筐体に設けられることを特徴とするカセット。
【請求項2】
前記第一傾斜部の前記第一傾斜角は、前記第二傾斜部の前記第二傾斜角より大きいことを特徴とする請求項1記載のカセット。
【請求項3】
前記第三ガイドは、前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第三傾斜角をなすよう傾斜した第三傾斜部を有し、
前記第三傾斜角は、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において前記ロールに近づくように形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のカセット。
【請求項4】
前記第三傾斜部の前記第三傾斜角は、前記第二傾斜部の前記第二傾斜角より小さいことを特徴とする請求項3記載のカセット。
【請求項5】
前記第一ガイドは、前記ロールの回転中心に対して、前記ロールの外縁よりも径方向外側に設けられ、前記回転中心から離れる方向へ突出する複数の第一突条を備え、
前記複数の第一突条の各々の先端が、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において突出量が増加するように傾斜することで前記第一傾斜部を形成していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のカセット。
【請求項6】
前記第二ガイドは、前記回転中心から離れる方向へ突出する複数の第二突条を備え、
前記複数の第二突条の各々の先端が、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において突出量が減少するように傾斜することで前記第二傾斜部を形成していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載のカセット。
【請求項7】
前記第三ガイドは、前記回転中心から離れる方向へ突出する複数の第三突条を備え、
前記複数の第三突条の各々の先端が、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において突出量が減少するように傾斜することで前記第三傾斜部を形成していることを特徴とする請求項3または4に記載のカセット。
【請求項8】
前記筐体は複数のケースを備え、
前記第三ガイドは、前記複数のケースのうちの一のケースに設けられ、
前記一のケースは、前記媒体の幅方向位置を規制する幅規制部を備える請求項1~7のいずれかに記載のカセット。
【請求項9】
前記第二ガイドは、前記一のケースに設けられる請求項8に記載のカセット。
【請求項10】
前記第一ガイドは、前記複数のケースのうち、前記一のケースとは異なる他のケースに設けられる請求項9に記載のカセット。
【請求項11】
前記筐体は、直方体形状をしており、
前記第一ガイド、前記第二ガイド、前記第三ガイドは、各々、前記筐体の前記第二層から前記第一層に向けた方向の辺のいずれかに対応する相異なる前記筐体の隅に設けられ、 前記第一ガイドが設けられた隅から前記第二ガイドが設けられた隅までの前記筐体の辺の長さは、前記第二ガイドが設けられた隅から前記第三ガイドが設けられた隅までの前記筐体の辺の長さより大きいことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のカセット。
【請求項12】
前記第一層には、インクリボンと、前記インクリボンの供給スプールと、前記インクリボンの巻取スプールとが設けられ、
前記媒体は、被印刷媒体であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のカセット。
【請求項13】
前記第一層には、カバーフィルムのロールが設けられる請求項1~12のいずれかに記載のカセット。
【請求項14】
第一層と第二層とを備え、前記第一層にヘッド空間、及び底面を有する筐体と、
前記第二層に設けられたロールであって、媒体が巻き回されて構成される前記ロールと、
前記第二層に設けられた第一ガイドと、
前記第一層に設けられた第三ガイドと、
前記媒体の搬送経路において前記第一ガイドと前記第三ガイドとの間に設けられた第二ガイドと、を備え、
前記媒体は、前記第一ガイドと前記第二ガイドとの間、及び前記第二ガイドと前記第三ガイドとの間において、各々、前記媒体の幅方向端部が前記底面に対して傾斜した状態となるよう架け渡され、
前記媒体は、前記第三ガイドと前記ヘッド空間との間において、前記媒体の前記幅方向端部が、前記底面と平行となるよう架け渡され、
前記媒体は、前記第一ガイド、前記第二ガイド、および、前記第三ガイドの順に案内されることにより、前記第二層から前記第一層へ移動して前記ヘッド空間に至るように前記筐体に設けられ、
前記第一ガイドから前記第二ガイドの間に架け渡された前記媒体の前記幅方向端部の前記底面に対する第一搬送角は、前記第二ガイドから前記第三ガイドの間に架け渡された前記媒体の前記幅方向端部の前記底面に対する第二搬送角より大きいことを特徴とするカセット。
【請求項15】
前記媒体の前記幅方向端部の前記底面に対する角度は、前記媒体が前記巻回された状態において、0度であり、
前記角度は、前記第一ガイド周りにおいて、前記媒体の搬送方向における上流から下流に向かって連続的に増大し、
前記角度は、前記第一ガイドと前記第二ガイドとの間において、一定であり、
前記角度は、前記第二ガイド周りにて、前記媒体の搬送方向における上流から下流に向かって連続的に減少し、
前記角度は、前記第二ガイドと前記第三ガイドとの間において、一定であり、
前記角度は、前記第三ガイド周りにて、前記媒体の搬送方向における上流から下流に向かって、0度に至るまで連続的に減少し、
前記角度は、前記第三ガイドと前記ヘッド空間との間において、0度であることを特徴とする請求項14に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体がロール状に収容されたカセットに関するものであり、特に、その筐体が二層構造を有する場合に、筐体内において好適に媒体を搬送することのできるカセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻き回された媒体を二層構造を有する筐体の一方の層に収納し、他方の層に移動して使用するカセットが提案されている。たとえば特許文献1、2に記載のカセットがそれである。特許文献1においては、リボン4の供給リール3は、蓋2と仕切り板6との間に配置される。リボン4の巻取リール7は、仕切り板6より下のカセット本体1に配置される。駆動ローラ8がプリンタの駆動手段により回転されると、駆動ローラ8と従動ローラ10に掛けられた弾性ベルト9が走行し、巻取リール7が回転する。これにより、リボン4は弾性ベルト9と巻取リール7との間に挟まれ巻き取られていく。このときリボン4は、テンションローラ5によって一定の供給張力を付与された後、カセット内の仕切り板6とカセット本体1との間の隙間を通って下方に移動する。
【0003】
一方、特許文献2においては、リボン21が上層に設けられた供給リール18から下層に設けられた巻取リール36までローラ50、ローラ56、ガイドポスト59、ベイルバー60/ショルダー74、ローラ78等を介して搬送される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59-095780号公報
【特許文献2】米国特許第4034935号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、搬送される媒体であるインクリボンを下層へ降ろしきる前のヘッド開口にて印刷を行っているため、媒体が斜めの状態で印刷が行われることとなり、印刷精度を向上させることができなかった。また、特許文献2においては、ヘッド開口にて媒体であるインクリボンを水平に保つため、ヘッド開口の上流位置において、一定角度にて、媒体を上層から下層まで降ろしきっており、当該位置における媒体のたわみ角度が大きくなり、媒体の搬送不良が起き易くなっていた。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、媒体を上層から下層へ降ろす途中において、媒体のスプール軸に対する角度を変更することにより、媒体の搬送不良を可及的に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための第1の発明は、(a)第一層と第二層とを備え、前記第一層にヘッド空間を有する筐体と、(b)前記第二層に設けられ、媒体が巻き回されて構成されるロールと、(c)前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第一傾斜角をなすよう傾斜した第一傾斜部を有する第一ガイドと、(d)前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第二傾斜角をなすよう傾斜した第二傾斜部を有する第二ガイドと、(e)前記第一層に設けられた第三ガイドと、を備え、(f)前記第一傾斜部は、その前記第二層側端部から前記第一層側に向かうにつれて、前記ロールから離れるように形成され、(g)前記第二傾斜部は、その前記第二層側端部から前記第一層側に向かうにつれて、前記ロールに近づくように形成され、(h)前記媒体は、前記第一ガイド、前記第二ガイド、および、前記第三ガイドの順に案内されることにより、前記第二層から前記第一層へ移動して前記ヘッド空間に至るように前記筐体に設けられることを特徴とするカセットである。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、前記第一ガイドは、前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第一傾斜角をなすよう傾斜した第一傾斜部を有し、前記第二ガイドは、前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第二傾斜角をなすよう傾斜した第二傾斜部を有し、前記第一層に第三ガイドが設けられ、前記第一傾斜部は、その前記第二層側端部から前記第一層側に向かうにつれて、前記ロールから離れるように形成され、前記第二傾斜部は、その前記第二層側端部から前記第一層側に向かうにつれて、前記ロールに近づくように形成されるので、第一層と第二層とを備え、前記第一層にヘッド空間を有する筐体において前記第二層に設けられたロールに巻き回された媒体が、前記第一ガイド、前記第二ガイド、および、前記第三ガイドの順に案内されることにより、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記第一傾斜部の前記第1傾斜角は、前記第二傾斜部の前記第2傾斜角より大きいものである。このようにすれば、前記第一傾斜部によって第一層側に傾いた媒体の搬送経路は、第二傾斜部によってその傾きの一部だけ戻される。すなわち、第二傾斜部を経た後においては、媒体の搬送経路は、第一傾斜部の通過前と通過後との間の傾きを有するので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0010】
また第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記第三ガイドは、前記第二層から前記第一層へ向けた方向に対して第三傾斜角をなすよう傾斜した第三傾斜部を有し、前記第三傾斜部は、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において前記ロールに近づくように形成されることを特徴とする。このようにすれば、前記第二傾斜部によって戻された媒体の搬送経路の傾きは、第三傾斜部によってさらに戻されるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0011】
また第4の発明は、前記第3の発明において、前記第三傾斜部の前記第三傾斜角は、前記第二傾斜部の前記第二傾斜角より小さいことを特徴とする。このようにすれば、ヘッド空間に搬送される前に第三傾斜部によって戻される前記媒体の搬送経路の傾きの大きさを、第二傾斜部によって戻される傾きの大きさよりも小さくすることができるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更する際に、媒体の搬送不良を一層抑えることができる。
【0012】
また第5の発明は、前記第1乃至第4発明のいずれか1において、前記第一ガイドは、前記ロールの回転中心に対して、前記ロールの外縁よりも径方向外側に設けられ、前記回転中心から離れる方向へ突出する複数の第一突条を備え、前記複数の第一突条の各々の先端が、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において突出量が増加するように傾斜することで前記第一傾斜部を形成していることを特徴とする。このようにすれば、第一ガイドを形成する複数の第一突条の先端によって第一傾斜部を構成することができ、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0013】
また第6の発明は、前記第1乃至第5発明のいずれか1において、前記第二ガイドは、前記回転中心から離れる方向へ突出する複数の第二突条を備え、前記複数の第二突条の各々の先端が、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において突出量が減少するように傾斜することで前記第二傾斜部を形成していることを特徴とする。このようにすれば、第二ガイドを形成する複数の第二突条の先端によって第二傾斜部を構成することができ、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0014】
また第7の発明は、前記第3または第4の発明において、前記第三ガイドは、前記回転中心から離れる方向へ突出する複数の第三突条を備え、前記複数の第三突条の各々の先端が、前記第二層から前記第一層へ向けた方向において突出量が減少するように傾斜することで前記第三傾斜部を形成していることを特徴とする。このようにすれば、このようにすれば、第三ガイドを形成する複数の第三突条の先端によって第三傾斜部を構成することができ、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0015】
また第8の発明は、前記第1乃至第7発明のいずれか1において、前記筐体は複数のケースを備え、前記第三ガイドは、前記複数のケースのうちの一のケースに設けられ、前記一のケースは、前記媒体の幅方向位置を規制する幅規制部を備えることを特徴とする。このようにすれば、前記媒体が前記一のケースを通過する際に、前記第三ガイドにより前記媒体の搬送方向の傾きが戻されるとともに、前記幅規制部により前記媒体の幅方向の位置が規制されるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更する場合であっても、媒体の搬送不良を一層抑えることができる。
【0016】
また第9の発明は、前記第8の発明において、前記第二ガイドは、前記一のケースに設けられること、を特徴とする。このようにすれば、ともに前記一のケースに設けられた前記第二ガイドおよび第三ガイドにより、前記媒体の搬送方向の傾きが戻されるともに、前記幅規制部により幅方向の位置が規制されるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで、媒体の搬送不良を一層抑えることができる。
【0017】
また第10の発明は、前記第9の発明において、前記第一ガイドは、前記複数のケースのうち、前記一のケースとは異なる他のケースに設けられること、を特徴とする。このようにすれば、前記一のケースとは異なる他のケースに設けられた第一ガイドにより前記媒体の搬送方向の傾きが傾けられる一方、前記一のケースに設けられた前記第二ガイドおよび第三ガイドにより前記媒体の搬送方向の傾きが戻され、前記幅規制部により幅方向の位置が規制されるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで、媒体の搬送不良を一層抑えることができる。
【0018】
また第11の発明は、前記第1乃至第10の発明のいずれか1において、前記筐体は、直方体形状をしており、前記第一ガイド、前記第二ガイド、前記第三ガイドは、各々、前記筐体の前記第二層から前記第一層に向けた方向の辺のいずれかに対応する相異なる前記筐体の隅に設けられ、前記第一ガイドが設けられた隅から前記第二ガイドが設けられた隅までの前記筐体の辺の長さは、前記第二ガイドが設けられた隅から前記第三ガイドが設けられた隅までの前記筐体の辺の長さより大きいことを特徴とする。このようにすれば、筐体の隅の空間を利用して、第一乃至第三ガイドを配設することができるとともに、第一ガイドによって傾かされた搬送方向で媒体が搬送される距離が、第二ガイドによって戻された搬送方向で搬送される距離よりも長いので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0019】
また第12の発明は、前記第1乃至第11の発明のいずれか1において、前記第一層には、インクリボンと、前記インクリボンの供給スプールと、前記インクリボンの巻取スプールとが設けられ、前記媒体は、被印刷媒体であることを特徴とする。このようにすれば、第二層に設けられたロールに巻き回された媒体が、搬送経路により第一層に設けられたヘッド空間に搬送される一方、インクリボンは第一層に設けられた供給スプールから供給されて巻取スプールに巻き取られる態様のカセットにおいても、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0020】
また第13の発明は、前記第1乃至第11発明のいずれか1において、前記第一層には、カバーフィルムのロールが設けられることを特徴とする。このようにすれば、第二層に設けられたロールに巻き回された媒体が、搬送経路により第一層に設けられたヘッド空間に搬送される一方、カバーフィルムは第一層に設けられたロールに巻き回されて供給される態様のカセットにおいても、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0021】
さらに好適には、第14の発明は、(a)第一層と第二層とを備え、前記第一層にヘッド空間、及び底面を有する筐体と、(b)前記第二層に設けられたロールであって、媒体が巻き回されて構成される前記ロールと、(c)前記第二層に設けられた第一ガイドと、(d)前記第一層に設けられた第三ガイドと、(e)前記媒体の搬送経路において前記第一ガイドと前記第三ガイドとの間に設けられた第二ガイドとを備え、(f)前記媒体は、前記第一ガイドと前記第二ガイドとの間、及び前記第二ガイドと前記第三ガイドとの間において、各々、前記媒体の幅方向端部が前記底面に対して傾斜した状態となるよう架け渡され、(g)前記媒体は、前記第三ガイドと前記ヘッド空間との間において、前記媒体の前記幅方向端部が、前記底面と平行となるよう架け渡され、(h)前記媒体は、前記第一ガイド、前記第二ガイド、および、前記第三ガイドの順に案内されることにより、前記第二層から前記第一層へ移動して前記ヘッド空間に至るように前記筐体に設けられ、、(i)前記第一ガイドから前記第二ガイドの間に架け渡された前記媒体の前記幅方向端部の前記底面に対する第一搬送角は、前記第二ガイドから前記第三ガイドの間に架け渡された前記媒体の前記幅方向端部の前記底面に対する第二搬送角より大きいことを特徴とするカセットである。このようにすれば、前記媒体は、前記第一ガイドによりその搬送方向が前記第一搬送角となるように傾かされて前記第二ガイドまで搬送される一方、前記第二ガイドにより搬送方向が前記第二搬送角となるように傾きが戻されて前記第三ガイドまで搬送される。そして前記第三ガイドにより前記底辺と平行となるようにさらに搬送方向の傾きが戻されて、前記ヘッド空間まで搬送されることができるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【0022】
また第15の発明は、前記第14の発明において、(j)前記媒体の前記幅方向端部の前記底面に対する角度は、前記媒体が前記巻回された状態において、0度であり、(k)前記角度は、前記第一ガイド周りにおいて、前記媒体の搬送方向における上流から下流に向かって連続的に増大し、(l)前記角度は、前記第一ガイドと前記第二ガイドとの間において、一定であり、(m)前記角度は、前記第二ガイド周りにて、前記媒体の搬送方向における上流から下流に向かって連続的に減少し、(n)前記角度は、前記第二ガイドと前記第三ガイドとの間において、一定であり、(o)前記角度は、前記第三ガイド周りにて、前記媒体の搬送方向における上流から下流に向かって、0度に至るまで連続的に減少し、(p)前記角度は、前記第三ガイドと前記ヘッド空間との間において、0度であることを特徴とする。このようにすれば、前記媒体が前記第一乃至第三のガイドのそれぞれに案内される際に、媒体幅方向端部の前記底面に対する角度が連続的に変化させられるので、媒体の歪みを低減しうる。また、第一および第二ガイド間、および、第二および第三ガイド間においては、媒体幅方向端部の前記底面に対する角度が一定とさせられるので、媒体が前記第二層から前記第一層へ層間を搬送される途中において、媒体の搬送角度を変更することで媒体の搬送不良を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態のカセットの上面側を示す斜視図である。
【
図2】
図1のカセットの下面側を示す斜視図である。
【
図3】
図1のカセットのケースの構成および内部構成を、ケースを構成する第1ケース部材、第2ケース部材、第3ケース部材、および第4ケース部材を分離して示す斜視図である。
【
図4】
図1の第1ケース部材の上面側を示す正面図である。
【
図5】
図1の第1ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図6】
図1の第2ケース部材の上面側を印刷テープロールとともに示す正面図である。
【
図7】
図1のカセットを、第1ケース部材を取り除いて示す斜視図である。
【
図8】印刷テープがテープケース内からリボンケース内へ架け渡されている状態を示す、
図6のVIII-VIII断面図である。
【
図9】
図1の第2ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図10】
図1の第3ケース部材の上面側を示す斜視図である。
【
図11】
図1の第3ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図12】
図1の第4ケース部材の上面側を示す斜視図である。
【
図13】
図1の第4ケース部材の下面側を示す下面図である。
【
図14】第1ガイドの構成を説明するための斜視図である。
【
図15】第1ガイドを構成する案内リブの形状の例を説明する図である。
【
図16】案内リブと印刷テープとの接触態様を説明する図である。
【
図17】第2ガイドを構成する案内リブの形状の例を説明する図である。
【
図18】第3ガイドを構成する案内リブの形状の例を説明する図である。
【
図19】印刷テープの筐体内での上下方向位置と、搬送角との、搬送経路に対する変化を説明する図である。
【
図20】
図1の第3ケ―ス部材の下面を示す図を用いて、印刷テープロールから引き出される印刷テープおよび貼合せテープロールから引き出される貼合せテープの経路と、インクリボンから引き出されるインクリボンの経路とを、それぞれ示す図である。
【
図21】
図1のカセットから送り出された印刷テープおよび貼合せテープの積層体を説明する図である。
【
図22】
図1のカセットの平面視であって、印刷テープロール、貼合せテープロール、インクリボン、巻取スプールの相対位置を示す図である。
【
図23】
図6のXVII-XVII視断面図である。
【
図24】
図1のカセットが装着される、印刷装置のカセット装着部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0025】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態であるカセット10を正面側すなわち上面から示す斜視図である。本実施形態の説明では、
図1の上側をカセット10の前側とし、下側をカセット10の後側とし、右側をカセット10の左側とし、左側をカセット10の右側とし、左上側をカセット10の上側とし、右下側をカセット10の下側とする。
図1に示すように、カセット10は、第1ケースすなわちテープケース20と、第2ケースすなわちリボンケース21とを備えている。テープケース20は、第1ケース部材12および第2ケース部材14から構成される。リボンケース21は、第3ケース部材16および第4ケース部材18から構成される。
【0026】
図2は、カセット10を裏面側すなわち下面から示す斜視図である。
図2に示すように、リボンケース21は、テープケース20に対して上下方向の一方側に位置する。本実施形態では、リボンケース21は、テープケース20に対して上下方向の一方側である下側に位置する。カセット10は、全体として直方体状を成す。
図2に示すように、カセット10は、巻取スプール支持穴94と凹溝11とローラ露出穴98とを備える。巻取スプール支持穴94は、カセット10の第4ケース部材18の下面19に設けられる。巻取スプール支持穴94は、第4ケース部材18の下面19を上下方向に貫通する。巻取スプール支持穴94は、巻取スプール76の下端部を露出させる。具体的には、巻取スプール76の端面に形成された連結穴96が、
図2に示すように巻取スプール支持穴94を通して第4ケース部材18の下面に露出させられる。カセット10が
図24に示す印刷装置102に装着されたとき、印刷装置102の巻取スプール駆動軸108が連結穴96内に挿入されて巻取スプール76に連結され、巻取スプール76が巻取スプール駆動軸108により回転駆動される。
図2に示すように、凹溝11は、第3ケース部材16および第4ケース部材18の前側の面、すなわち、リボンケース21の前側の面に形成されている。凹溝11には、カセット10が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に設けられた後述の印刷ヘッド106が挿入される。凹溝11が、本願のヘッド空間に対応する。ローラ露出穴98は、第4ケース部材18に、第3ケース部材16に形成されたローラ支持穴82に対応する位置に設けられている。ローラ露出穴98は、ローラ80の軸端を露出させる。具体的には、ローラ80の第4ケース部材18側の端部に形成された連結部80aが、
図2に示すようにローラ露出穴98を通して第4ケース部材18の下面に露出させられる。前記テープケース20およびリボンケース21を含むカセット10の構造体が本発明の筐体に対応する。また、第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16、第4ケース部材18が本発明の複数のケースに対応する。前記インクリボン72、供給プール70、巻取スプール76がそれぞれ本発明のインクリボン、供給スプール、巻取スプールに対応する。
【0027】
図3は、カセット10の第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16、および第4ケース部材18を分離させて、カセット10の内部構成を説明する斜視図である。テープケース20は、内部に形成された第1空間S1に印刷テープロール26を備える。リボンケース21は、内部に形成された第2空間S2にインクリボンロール72、貼合せテープロール64、巻取スプール76、ローラ80、および張付防止ローラ91を備える。第1空間S1は、第1ケース部材12と第2ケース部材14とにまたがって形成されている。第1空間S1には、印刷テープロール26が上下方向に平行な第1回転中心線C1まわりに回転可能に収容されている。なお、第1回転中心線C1は、印刷テープロール26の回転中心であるとともに、印刷テープスプール24の回転中心でもある印刷テープロール26は、印刷テープ22が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール24に巻回されて構成される。印刷テープロール26の上下には、それぞれ、スペーサフィルム38が設けられる。スペーサフィルム38は、円形であり、印刷テープロール26の外径と略同じ外径を有する。第1ケース部材12および第2ケース部材14は長方形状である。第1回転中心線C1は、第1ケース部材12および第2ケース部材14における、左右方向の中央略右寄り、且つ、前後方向の略中央付近に位置している。印刷テープ22は、たとえば
図21に示すように、剥離テープ22cが被印刷テープ22aの印刷面とは反対側の面に、粘着剤22bを介して積層されることにより構成されたものである。
図3に示す印刷テープ22は、印刷ヘッド106によって印刷される被印刷媒体である。この印刷テープ22が本願発明の媒体に対応し、印刷テープロール26がロールに対応する。第1空間S1が本発明の第二層に、第二空間S2が本発明の第一層にそれぞれ相当する。また、
図1に示す上下方向、言い換えればカセット10の上下方向が、本発明の第二層から第一層へ向けた方向に対応する。
【0028】
インクリボンロール72は、帯状のインクリボン68が供給スプール70に巻回されて構成されている。供給スプール70およびインクリボンロール72は、第1回転中心線C1と平行な第3回転中心線C3まわりに回転可能である。インクリボン68は、印刷テープ22への印刷に使用される。印刷に使用されたインクリボン68は、巻取スプール76に巻き取られる。巻取スプール76は、第1回転中心線C1と平行な第4回転中心線C4まわりに回転可能である。
図3に示すように、供給スプール70の他端には、クラッチばねを収容したクラッチばねホルダ90が嵌め付けられている。インクリボンロール72には、クラッチばねホルダ90内のクラッチばねによって、適度の回転抵抗が付与されるようになっている。ローラ80は、印刷テープ22の印刷面と貼合せテープ60の接着面とを圧着するために印刷テープ22と貼合せテープ60とを
図24に示す印刷装置102のローラとの間で挟圧する。ローラ80は、第1回転中心線C1と平行な第5回転中心線C5まわりに回転可能である。貼合せテープロール64は、貼合せテープ60の幅方向が上下方向となるように貼合せスプール62に巻回されている。すなわち、貼合せテープロール64の径方向は前後方向及び左右方向を含む、上下方向に対して垂直な方向である。換言すると、径方向に直交する直交方向は上下方向である。貼合せスプール62および貼合せテープロール64は、第1回転中心線C1と平行な第2回転中心線C2まわりに回転可能である。貼合せテープ60は、
図21に示すように、印刷テープ22の印刷面を保護するために、たとえば、この印刷面と接触する一面に粘着剤60bが塗布された透明フィルム60aから成る。貼合せテープ60は、印刷された印刷テープ22に貼り合わされる帯状のテープである。
図3に示すように、張付防止ローラ91は、張合せテープ60の張り付きを防止する。第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16および第4ケース部材18は、上下方向に相互に重ねられた状態で、相互の外周壁間にそれぞれ設けられた複数の係止爪27と固定爪28との係合と位置決め突起29による位置決めとによって相互に固定されている。なお、本実施形態において、各ケース部材12~18の上側の面を上面もしくは正面と称し、下側の面を下面もしくは裏面と称す。なお、前記貼合せテープ60が本発明のカバーフィルムに対応し、貼合せテープロール64がカバーフィルムのロールにそれぞれ対応する。
【0029】
図4は、第1ケース部材12の上面側を示す正面図である。
図4に示すように、第1ケース部材12は正面図において略長方形形状であり、
図1や
図2に示すようにカセット10の上下方向に長さを有する。すなわち、第1ケース部材12は有底筒状の形状を有している。第1ケース部材12は、後述する第2ケース部材14とともに、第1空間S1、言い換えればテープケース20を形成する。
【0030】
図5は第1ケース部材12の下面側を示す斜視図である。
図5に示すように、第1ケース部材12の下面側には、円筒状の第1支持突起30と、第1円周壁34とが設けられる。第1支持突起30は、
図6に示す印刷テープスプール24に挿入され印刷テープロール26を回転可能に支持する。第1円周壁34は、
図7に示す印刷テープロール26の外径よりも大きい内径を有する。
図5に示す第1支持突起30と第1円周壁34は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第1ケース部材12の下面側から下向きに突設されている。
図5に示すように、第1ケース部材12は、長辺部44aと短辺部44bを有する外周壁44を備える。第1ケース部材12の下面側には、第1円周壁34の一部を切り欠いて形成した印刷テープゲート40が形成されている。印刷テープゲート40は、印刷テープロール26から印刷テープ22を一定の位置から引き出すための印刷テープ22の出口である。
【0031】
図6は第2ケース部材14の上面側を示す正面図である。なお、
図6では、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22の記載は省略されている。
図7は第2ケース部材14の上面側を示す斜視図である。
図7は、第1ケース部材12を取り除いたカセット10を示す。
図6及び
図7に示すように、第2ケース部材14の上面側には、円筒状の第2支持突起32と、第2円周壁36とが設けられる。第2支持突起32は、円筒状の印刷テープスプール24に挿入され、印刷テープロール26を回転可能に支持する。第2円周壁36は、印刷テープロール26の外径よりも大きい内径を有する。第2支持突起32と第2円周壁36は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第2ケース部材14の上面側から上向きに突設されている。印刷テープロール26は、第1ケース部材12と第2ケース部材14との間に配設されている。
【0032】
第2ケース部材14の上面側には、
図6に示すように、第2円周壁36の一部を切り欠いて形成した印刷テープゲート42が形成されている。印刷テープゲート42は、
図5に示す印刷テープゲート40と同様に、印刷テープロール26から印刷テープ22を一定の位置から引き出すための印刷テープ22の出口である。
図6および
図7に示すように、第2ケース部材14の上面側には、印刷テープゲート42の左端から左側へ伸びる案内壁50が形成されている。案内壁50は、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22を一定の方向に案内する。
図6に示すように、案内壁50は、外周壁46の短辺部46aに到達する前に長辺部46b側すなわち後方へ曲がり、第2円周壁36に沿って延設されて長辺部46bへ接続されている。
【0033】
図6に示すように、第2ケース部材14の底板14aには、案内壁50と外周壁46の長辺部46bとに沿って前後方向及び左右方向に延びる正面視略L字状の貫通孔52が形成されている。案内壁50は、底板14aに形成されている。第2円周壁36のうち案内壁50に対向する部分および長辺部46bに対向する部分において第1ガイド130が形成されている。第1ガイド130は、複数の案内リブ54を備える。複数の案内リブ54は、印刷テープロール26から巻き出され且つ印刷テープゲート40および42を通して送り出された印刷テープ22を貫通孔52内へ案内する。第1ガイド130は、カセット10の上下方向と平行な4本の辺のうちの一つの辺に対応した隅K1近傍に設けられる。
【0034】
図7に示す印刷テープロール26から巻き出された印刷テープ22は、
図6に示す貫通孔52を通して
図3に示す第3ケース部材16と第4ケース部材18との間の第2空間内S2へ導かれる。印刷テープ22は、第1空間S1と第2空間内S2とを区画する板材として機能する
図6に示す底板14aに形成された貫通孔52を通して、
図8に示すようにテープケース20とリボンケース21とに架け渡される。
【0035】
図8は印刷テープ22がテープケース20内からリボンケース21内へ架け渡されている状態を示す、
図6のVIII-VIII視断面図である。
図8に示すように、印刷テープ22は、
図6に示す貫通孔52を通して、テープケース20内からリボンケース21内へ斜めに架け渡される。より詳細には、後述する
図20に示すように、印刷テープ22は、リボンケース21の凹溝11にまで架け渡されている。
【0036】
図9は第2ケース部材14の下面側を示す斜視図である。
図9に示すように、
図6、及び
図7に示す案内リブ54に対応して、案内リブ54の底板14aを介した反対側、すなわち下側には、案内リブ54から連続するリブ55が設けられている。第2ケース部材14の底板14aの裏面において、一対の案内壁56が上下方向に立設されている。また、一対の案内壁56の間には、貫通孔52が開口している。
【0037】
図10は第3ケース部材16の上(正)面側を示す斜視図である。第3ケース部材16の天井板16aには、貫通孔58と、貼合せテープロール支持穴66と、インクリボン支持穴74と、巻取スプール支持穴78と、ローラ支持穴82とが、形成されている。貫通孔58は、第2ケース部材14の貫通孔52に対応する位置に形成されている。つまり、貫通孔52の一部と貫通孔58の一部は上下方向において互いに重複している。貫通孔58は、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22を
図3に示す第2空間S2へ通す。インクリボン支持穴74には、供給スプール70の一端が嵌め入れられる。インクリボン支持穴74は、インクリボンロール72を第3回転中心線C3まわりに回転可能に支持する。なお、第3回転中心線C3は、インクリボンロール72の回転中心であるとともに、供給スプール70の回転中心でもある。
図9に示す第2ケース部材14の底板14aおよび
図10に示す第3ケース部材16の天井板16aは、
図3に示すテープケース20内の第1空間S1とリボンケース21内の第2空間S2とを区画する板体に対応している。
【0038】
図11は第3ケース部材16の下(裏)面側を示す斜視部である。貼合せテープロール支持穴66には、貼合せスプール62の一端が嵌め入れられる。貼合せテープロール支持穴66は、貼合せテープロール64を第2回転中心線C2まわりに回転可能に支持する。
なお、第2回転中心線C2は、貼合せテープロール64の回転中心であるとともに、貼合せテープスプール62の回転中心でもある。巻取スプール支持穴78には、巻取スプール76の一端が嵌め入れられる。巻取スプール支持穴78は、巻取スプール76を第4回転中心線C4まわりに回転可能に支持する。なお、第4回転中心線C4は、巻き取りスプール76の回転中心である。ローラ支持穴82には、ローラ80の一端を嵌め入れられる。
ローラ支持穴82は、ローラ80を第5回転中心線C5まわりに回転可能に支持する。
【0039】
図11に示すように、第3ケース部材16の下面には、貼合せテープロール保持壁84と、インクリボンロール保持壁86と、円筒状突起88と、円弧状壁92とが、形成されている。貼合せテープロール保持壁84および円弧状壁92は、各々、貼合せテープロール支持穴66の周囲に、貼合せテープロール支持穴66を中心とする円弧状に形成されている。貼合せテープロール保持壁84および円弧状壁92は、各々、貼合せテープロール64の配置位置を規定する。インクリボンロール保持壁86は、巻取スプール支持穴78の周囲に巻取スプール支持穴78を中心とする円弧状に形成されている。インクリボンロール保持壁86は、巻取スプール76の配置位置を規定する。円筒状突起88は、インクリボン支持穴74の周囲から下方に突設され、且つ先端面に周方向に並ぶ凹凸が形成されている。また、第3ケース部材16の下面には、張付防止ローラ91の上端部を回動可能に支持する支持突起93が設けられている。
【0040】
図11に示すように、天井板16aから下方に延びる案内板57が設けられている。案内板57は、第3ケース部材16と第2ケース部材14とが組み合わされた状態において、第3ケース部材16の上面側にて、
図9に示す第2ケース部材14の案内板56と連続するような位置に設けられる。また、
図11に示す案内板57は、第3ケース部材16と第4ケース部材18とが組み合わされた状態において、第3ケース部材16の下面側にて、案内板57の下側端部が、
図12に示す第4ケース部材18の上側(筐体内側面)に接するように設けられる。
【0041】
第3ケース部材16を示す
図11における右下、筐体11の右後部分に位置する隅K2には、第2ガイド132が設けられている。第2ガイド132は、前述の第1ガイド130と同様に、複数の案内リブ154から構成されている。ここで隅K2は、第1ガイド130が設けられる隅K1と、筐体11の左右方向の辺である長辺46bおよび長辺59bを介して隣接する隅である。以下において個々の案内リブ154を区別しない場合には、単に案内リブ154と称する。なお、案内リブ154が本発明の第二突条に対応する。
【0042】
また、
図11における右上、筐体11の右前部分に位置する隅K3には、第3ガイド134が設けられている。この第3ガイド134は、前述の第1ガイド130、第2ガイド132と同様に、複数の案内リブ164から構成されている。すなわち、第2ガイド132と第3ガイド134とはいずれも同一のケース部材である第3ケース部材に設けられている。ここで隅K3は、第2ガイド132が設けられる隅K2と、筐体11の前後方向の辺である短辺59aを介して隣接する隅である。なお、案内リブ164が本発明の第三突条に対応する。
【0043】
また、
図11に示すように、印刷テープ22の搬送経路において、凹溝11に印刷テープ22が供給される直前に、印刷テープガイド170が設けられている。印刷テープガイド170はたとえばスリット状の孔から構成され、そのスリットの長さが印刷テープ22の幅と略等しくされている。印刷テープガイド170は、印刷テープ22の幅方向位置のずれが抑制する。ここで、前記第3ガイド134と印刷テープガイド170はいずれも同一のケース部材である第3ケース部材16に設けられている。この印刷テープガイド170が本発明の幅規制部に対応する。
【0044】
図12は第4ケース部材18の上(正)面側を示す斜視図である。
図13は第4ケース部材18の下(裏)面側を示す下(裏)面図である。
図12および
図13に示すように、第4ケース部材18は、巻取スプール支持穴94、支持突起97、支持突起95、ローラ露出穴98を備える。巻取スプール支持穴94は、第4ケース部材18を上下方向に貫通して形成されている。巻取スプール支持穴94には、巻取スプール76の他端を嵌め入れられる。巻取スプール支持穴94は、巻取スプール76を回転可能に支持する。また、支持突起97には、供給スプール70の他端が嵌め入れられる。支持突起97は、供給スプール70を回転可能に支持する。さらに、支持突起95は、
図12に示すように、第4ケース部材18の上面に設けられる。支持突起95は、貼付ローラ91の下端部を連結可能に支持する。ローラ露出穴98は、ローラ80をローラ80の軸端を支持し、ローラ80を回転可能に支持する。
【0045】
図14は、複数の案内リブ54を含んで構成される第1ガイド130の構成を示す斜視図である。なお、
図14において、印刷テープスプール24を支持する第2支持突起32との位置関係を示すため、第2支持突起32を点線で示している。第1ガイド130は、カセット10の隅K1近傍に設けられる。なお、
図14においては図の簡略化のため、2枚の案内リブ54a、54bのみが示されている。以下において個々の案内リブ54a、54bを区別しない場合には、単に案内リブ54と称する。なお、案内リブ54が本発明の第一突条に対応する。
【0046】
案内リブ54は、平板状に構成されている。案内リブ54は、第2ケース部材14の第2円周壁36から、印刷テープロール26、言い換えれば印刷テープロール26の取り付けられる第2支持突起32から離れる向きに突出するように設けられる。すなわち、案内リブ54のそれぞれは、印刷テープロール26の回転中心C1に対して、印刷テープロール26の外縁よりも径方向外側に設けられる。また、案内リブ54は、テープケース20からリボンケース22に向かう方向において、
図14および15における下側に向かう程、
図15に示す第2円周壁36からの突出量P1が大きくなっている。この突出量P1は、案内リブ54の底板14a側の端部において、底板14aと案内壁50との間に設けられる貫通穴52をふさぐことがない大きさとされている。
【0047】
また、案内リブ54のそれぞれは、
図14に示すように、第2ケース部材14の第2円周壁36、および、第2ケース部材14の底板14aにそれぞれ連続して構成されている。
【0048】
案内リブ54は、辺54Rと傾斜面54iとを有する。案内リブ54の平板形状における辺54Rがテープケース20からリボンケース22に向かう方向、すなわちカセット10の上下方向に対して傾斜している。案内リブ54の板厚方向の面のうち、一対の傾斜した辺54Rにより規定される面が傾斜面54iである。なお、案内リブ54の厚さ方向が、印刷テープ22の搬送方向に対応している。傾斜面54iが本発明の第1傾斜部に対応している。傾斜した辺54Rとカセット10の上下方向とがなす角が傾斜角θi1である。本実施形態においては、第2円周壁36がカセット10の上下方向に延びることから、傾斜角θi1は、傾斜面54iと第2円周壁36とがなす角に相当する。なお、
図6に示すように、個々の案内リブ54の突出量はそれぞれ異なるものであってもよいが、各案内リブ54の傾斜角θi1は同じ角度とされている。
【0049】
図15は、案内リブ54の形状の例を説明する図であり、(a)乃至(c)の三態様が説明されている。
図15は、
図6のXV-XV断面視である。
図15(a)は、
図14の例に対応するものであり、案内リブ54の上端、すなわち、第2円周壁36の上端と揃う位置において、突出量を有している。そして、傾斜面54iに沿って下側へ向かう程、案内リブ54の突出量P1は徐々に増え、貫通孔52が設けられている位置まで増加する一方、傾斜面54iが貫通孔52に達すると、それ以上突出量P1が増えることがない。そのため、案内リブ54は貫通孔52の上方まで延びることない。言い換えれば、
図15(a)の案内リブ54は、その上下方向において傾斜面54iが設けられる上側の領域は台形形状であり、それよりも下側の領域は前記台形形状から連続する長方形形状を有している。
【0050】
図15(b)および(c)に示すように、案内リブ54は、略三角形形状を有する。
図15(b)においては、案内リブ54は、第2円周壁の上端に該三角形形状の頂点を有し、そこから下側に向かう程突出量P1が徐々に増えて傾斜面54iが形成されている。また、傾斜面54iが底板14aに達する際に、底板14aと貫通孔52との境界に位置するようになっている。また、
図15(c)においては、案内リブ54は、第2円周壁36の上端ではなく、上端より下方の位置に略三角形形状の頂点を有する点において、
図15(b)のものと異なる。また、案内リブ54の下端、すなわち、案内リブ54と底板14aとが接する位置において、案内リブ54の突出量P1が
図15(b)のそれよりも大きく、案内リブ54の下端が貫通孔52の一部まで突出している点において異なる。なお、案内リブ54はその他の態様をとることも可能であり、たとえば案内リブ54の上端と下端のそれぞれについて、
図15(a)乃至(c)うちの異なるものに示された形状を組み合わせたものとすることもできる。
【0051】
なお、上述の
図15(a)乃至(c)のいずれの例においても、傾斜面54iの長さは、印刷テープ22の幅と比べて同じであってもよいし、長くてもよい。あるいは、印刷テープ22の幅方向の一部が貫通孔52に入り込む位置における案内リブ54などにおいては、傾斜面54iの長さは印刷テープ22の幅よりも短くても差し支えない。要は、印刷テープ22は、その幅方向において傾斜部54iに接触する必要はない。たとえば、第2円周壁36と傾斜部54iとに印刷テープ22の幅方向に異なる部分が接するものであってもよい。あるいは、ケース部材14の案内壁50であって第2円周壁36と対抗する部分と傾斜部54iとに印刷テープ22の幅方向に異なる部分がそれぞれ接してもよい。
【0052】
図16は、
図6におけるXVI-XVI視断面による断面図に、印刷テープ22を合わせて示した図である。
図16は、第1ガイド130を構成する案内リブ54の1つと、第1ガイド130に掛け回された印刷テープ22との接し方を説明する図である。このうち、
図16(a)乃至(j)は、案内リブ54の形状が
図15(c)に示すものである場合を、また、
図16(k)は、案内リブ54の形状が
図15(a)に示すものである場合を、それぞれ表している。
【0053】
図16(a)においては、印刷テープ22が案内リブ54の傾斜面54iの最下部にのみ接する態様を示している。また、
図16(b)においては、印刷テープ22が傾斜面54iの最上部にのみ接する態様を示している。
図16(c)においては、印刷テープ22が傾斜面54iと面接触する態様を示している。なお、
図16(a)や(b)のように、印刷テープ22がそのごく短い区間のみで傾斜面54iと接しているのに対し、
図16(c)でいう面接触とは、
図16(a)や(b)の場合に比べて相対的に大きい区間で印刷テープ22が傾斜面54iと接する態様をいう。すなわち、本実施形態でいう面接触には、印刷テープ22が幅方向全体にわたって傾斜面54iに接する場合のみならず、印刷テープ22の幅方向の一部が連続して傾斜面54iに接する場合を含む。
【0054】
図16(d)においては、印刷テープ22は傾斜面54iの最下部に接するとともに、案内リブ54と貫通孔52を介して対向する案内壁50にも接している。
図16(e)においては、印刷テープ22は傾斜面54iの最上部に接するとともに、傾斜面54iと貫通孔52を介して対向する案内壁50にも接している。
図16(f)においては、印刷テープ22は傾斜面54iと面接触するとともに、案内リブ54と貫通孔52を介して対向する案内壁50にも接している。
【0055】
図16(g)においては、印刷テープ22は、傾斜面54iに接することなく、傾斜面54iよりもケース10の上下方向上側に位置する第2円周面36に接している。また、
図16(h)においては、印刷テープ22は、傾斜面54iに接することがないが、第2円周面36および案内壁50に接している。
【0056】
図16(i)においては、印刷テープ22が、傾斜面54iの一部に接するとともに、傾斜面54iよりもケース10の上下方向上側に位置する第2円周面36にも接する態様を示している。なお、
図16(i)においては、印刷テープ22が傾斜面54iの最下部に接しているが、最下部以外であっても傾斜面54iのいずれか一カ所において印刷テープ22と接していれば、
図16(i)の態様に含まれる。
図16(j)においては、印刷テープ22が、傾斜面54iの最下部に接するとともに、第2円周面36、および、案内壁50にも接している。
【0057】
図16(k)は、案内リブ54が
図15(a)に示す形状を有する場合の印刷テープ22の接触態様の一例である。
図16(k)においては、印刷テープ22は案内リブ54の傾斜面54iには接しない。しかしながら印刷テープ22は、案内リブ54において傾斜面54iよりもカセット10の上下方向下側に位置する下側部分54jに接している。下側部分54jにおいては、前述の通り、案内リブ54の上下方向において突出量P1が増えることがないので、下側部分54jに接した印刷テープ22は、
図16(k)に示す搬送方向に直角な断面において垂直な線分として現れる。これは、印刷テープ22の幅方向断面がカセット10の上下方向と平行となるように搬送されることを意味している。
【0058】
印刷テープ22が第1ガイド130に掛け回される際において、
図16(a)乃至(f)あるいは(i)に示す態様をとることで、印刷テープ22が傾斜面54iの少なくとも一部と接することにより、印刷テープ22の幅方向下側が搬送方向においてカセット10の外側に膨出させられる。従って、印刷テープ22の搬送方向が、相対的にカセット10の下側に変更される。
【0059】
また、
図16(g)および(h)に示すように、印刷テープ22と傾斜面54iとが接しない態様をとることもある。第1ガイド130においては複数の案内リブ54が設けられており、仮にそのうちの少なくとも一つの案内リブ54において
図16(g)および(h)の態様をとる場合であっても、他の案内リブ54おいて前述の
図16(a)乃至(f)あるいは(i)の態様をとることにより、印刷テープ22の搬送方向を、相対的にカセット10の下側に変更することが可能である。
【0060】
また、
図16(d)、(e)、(h)あるいは(j)の態様においては、印刷テープ22は案内リブ54と対向する案内面50に接する。このようにすれば、印刷テープ22の幅方向下側が必要以上に膨出させられる場合に案内面50に接することで、印刷テープ22が過度に膨出することが抑制される。
【0061】
また、
図16(k)に示す態様においては、印刷テープ22は案内リブ54のカセット10の上下方向と平行な面を有する下側部分54jと接するので、印刷テープ22の幅方向断面がカセット10の上下方向と平行となるように搬送され、印刷テープ22の搬送方向が上下方向に変更されない。
【0062】
なお、
図16(a)乃至(k)に示す態様は、印刷テープ22と案内リブ54との接し方の一例であって、これ以外の態様をとることもあり得る。
【0063】
図17は、案内リブ154の形状の例を説明する図である。
図17に示すように、案内リブ154は、平板状に構成されている。案内リブ154は、第3ケース部材16の案内板57から、印刷テープロール26の回転中心C1から離れる向きに、すなわち、筐体の外側に向かって突出するように設けられる。また、案内リブ154は、カセット10の上下方向における下側、すなわち、テープケース20からリボンケース22に向かう方向の下側に向かう程、案内板57からの突出量P2が小さくなっている。この突出量P2は、案内リブ154の天井板16a側の端部において、天井板16aと第3ケース部材16の外壁59a、59bとの間に設けられる貫通穴58をふさぐことがない大きさとされている。
【0064】
案内リブ154は、その平板形状における辺の1つがカセット10の上下方向に対して傾斜している。案内リブ154の板厚方向の面のうち、一対の傾斜した辺154Rにより規定される面が傾斜面154iである。なお、案内リブ154の厚さ方向が、印刷テープ22の搬送方向に対応しており、傾斜面154iが本発明の第2傾斜部に対応している。
傾斜した辺154Rとカセット10の上下方向とがなす角が傾斜角θi2である。本実施形態においては、案内板57がカセット10の上下方向に延びることから、傾斜角θi2は、傾斜面154iと案内板57とがなす角に相当する。なお、個々の案内リブ154の突出量はそれぞれ異なるものであってもよいが、各案内リブ154の傾斜角θi2は同じ角度とされている。
【0065】
案内リブ154は略三角形形状を有している。案内リブ154は、案内板57の上端に略三角形形状の底辺を有し、第3ケース部材16の天井板16aと接続している。また、略三角形形状の底辺において、案内リブ154の案内板57からの突出量P2は最も大きい。そして、略三角形形状の底辺から下側に向かう程突出量P2が徐々に減って傾斜面154iが形成されている。また、案内板57のカセット10の上下方向の中間位置において、突出量P2が0となる。つまり、略三角形形状の下側頂点に対応する、案内リブ154の下端が設けられる。
【0066】
図18は、案内リブ164の形状の例を説明する図である。
図18に示すように、案内リブ164は、平板状に構成されている。案内リブ164は、第3ケース部材16の案内板57から、印刷テープロール26の回転中心C1から離れる向きに、すなわち、筐体の外側に向かって突出するように設けられる。また、案内リブ164は、カセット10の上下方向下側、すなわち、テープケース20からリボンケース22に向かう方向の下側に向かう程、案内板57からの突出量P3が小さくなっている。この突出量P3は、案内リブ164の天井板16a側の端部において、天井板16aと第3ケース部材16の外壁59a、59bとの間に設けられる貫通穴58をふさぐことがない大きさとされている。
【0067】
案内リブ164は、その平板形状における辺の1つがカセット10の上下方向に対して傾斜している。案内リブ164の板厚方向の面のうち、一対の傾斜した辺164Rにより規定される面が傾斜面164iである。なお、案内リブ164の厚さ方向が、印刷テープ22の搬送方向に対応しており、傾斜面164iが本発明の第3傾斜部に対応している。
傾斜した辺164Rとカセット10の上下方向とがなす角が傾斜角θi3である。本実施形態においては、案内板57がカセット10の上下方向に延びることから、傾斜角θi3は、傾斜面164iと案内板57とがなす角に相当する。なお、個々の案内リブ164の突出量はそれぞれ異なるものであってもよいが、各案内リブ164の傾斜角θi3は同じ角度とされている。
【0068】
案内リブ164は略三角形形状を有している。案内リブ164は、案内板57の上端に略三角形形状の底辺を有し、第3ケース部材16の天井板16aと接続している。また、略三角形形状の底辺において、案内リブ164の案内板57からの突出量P3は最も大き。略三角形形状の底辺から下側に向かう程突出量P3が徐々に減って傾斜面154iが形成されている。また、案内板57のカセット10の上下方向の下端において、突出量P3が0となる。つまり、略三角形形状の下側頂点に対応する、案内リブ154の下端が設けられる。
【0069】
なお、
図17、
図18に示す案内リブ154、164のいずれにおいても、傾斜面154i、164iの長さは、印刷テープ22の幅と比べて同じであってもよいし、長くてもよい。あるいは、印刷テープ22の幅方向の一部が貫通孔58に入り込む位置における案内リブ154などにおいては、傾斜面154iの長さは印刷テープ22の幅よりも短くても差し支えない。要は、印刷テープ22は、その幅方向において傾斜部154i、164iに接触する必要はなく、たとえば、案内壁57と傾斜部154i、164iとに印刷テープ22の幅方向に異なる部分が接するものであってもよい。あるいは、ケース部材16の外壁59a、59bの内側面であって第2、第3ガイド132、134と対抗する部分と傾斜部154i、164iとに印刷テープ22の幅方向に異なる部分がそれぞれ接してもよい。
【0070】
ここで、第1ガイド130の案内リブ54の第1傾斜角θi1は、第2ガイド132の案内リブ154の第2傾斜角θi2よりも大きい値とされている。すなわちθi1>θi2である。また、第2ガイド132の案内リブ154の第2傾斜角θi2は、第3ガイド134の案内リブ164の第3傾斜角θi3よりも大きくされている。すなわち、θi2>θi3である。
【0071】
図19は、印刷テープ22が印刷テープロール26から凹溝11まで搬送される際の、印刷テープ22の搬送経路のカセット10における上下方向の位置と、印刷テープ22の搬送角θTとを、それぞれ上段および下段に、対比可能に示した図である。横軸に印刷テープの搬送経路をカセット10の周方向に展開した位置を示している。搬送角θTは、印刷テープ22の幅方向端部のカセット10の底面19に対する角度である。底面19は、
図12、
図13などに示すように第4ケース部材18の平面部分である。底面19が本発明の底面に対応する。
【0072】
図19の(A)までの区間、すなわち、第1ガイド130に巻きかけられる前においては、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22は、印刷テープロール26に巻き回された印刷テープ22と平行に、言い換えれば、第2ケース部材14の底板14aの平面上を進む。すなわち、印刷テープ22の搬送方向(言い換えれば進行方向)は、底板14aと平行な方向となる。本実施形態においては、筐体の底面19と平行であるので、このときの搬送角度、すなわち、印刷テープ22の幅方向端部の筐体の底面(言い換えれば第4ケース部材18)に対する角度である搬送角度θT(rad)は0、言い換えれば、印刷テープ22の幅方向端部と筐体の底面とは平行となる。
【0073】
続いて、
図19の(A)において、たとえば、印刷テープ22は隅K1に設けられた第1ガイド130に巻きかけられる。そして、(B)までの区間において、たとえば複数の案内リブ54と順次摺接させられる。その結果、印刷テープ22は、その幅方向下側ほどカセット10の内側から外側に膨出させられて、印刷テープ22の搬送方向は下側に向かう成分を有し、斜め下向きに搬送方向が変更させられる。特に第1ガイド130においては、案内リブ54の傾斜角θi1が、第2ガイド132の案内リブ154の傾斜角θi2や第3ガイド134の案内リブ164の傾斜角θi3に比べて大きい値とされているので、搬送角θTは下向きに大きく変化する。なお、
図19の下段に示す搬送角θTは、縦軸の下に向かうほど搬送角θTが下向き成分を含んでいることに対応している。
【0074】
ここで、
図19に示すように、印刷テープ22の搬送角θTは、印刷テープ22が第1ガイド130を通過する区間(A)~(B)において、印刷テープ22の第1ガイド130の通過前の0から、通過後のθT1まで、徐々に変化させられる。第1ガイド130の通過に伴う印刷テープ22の搬送角θTの変化量θT1は、第1ガイド130における案内リブ54の傾斜角θi1に基づいて定まる。なお区間(A)~(B)の通過後の印刷テープ22の搬送角θTの変化量θT1が、本発明の第一搬送角に対応する。
【0075】
図19の(B)~(C)区間は、印刷テープ22がカセット10の長辺46b、59bに沿って搬送される区間である。第1ガイド130により搬送角θTが相対的に大きな量θT1だけ下向きに変化させられた印刷テープ22が、相対的に長い距離を有する長辺46b、59bに沿って移動させられることで、印刷テープ22はテープケース20からリボンケース21まで、ケース10の下方向に大きく移動させられる。なお、(B)~(C)区間に対応する、すなわち、隅K1から隅K2までに対応する長辺46b、59bの長さLBは、後述する(D)~(E)区間に対応する、すなわち隅K2からK3までに対応する短辺59aの長さLAよりも長くなっている。
【0076】
続いて、
図19の(C)において、たとえば、印刷テープ22は隅K2に設けられた第2ガイド132に巻きかけられる。そして、(D)までの区間において、たとえば複数の案内リブ154と順次摺接させられる。その結果、印刷テープ22は、その幅方向上側ほどカセット10の内側から外側に膨出させられて、印刷テープ22の搬送方向は相対的に上向きに変更させられる。しかしながら、特に第1ガイド130における案内リブ54の傾斜角θi1が、第2ガイド132の案内リブ154の傾斜角θi2よりも大きい値であるため、第2ガイド132通過後の印刷テープ22の搬送方向は、依然斜め下向きではあるものの、搬送角θTの大きさは、第2ガイド132の通過前のθT1から、それよりも小さい値であるθT2に変化する。言い換えれば、カセット10の底面である第4ケース部材18に対して印刷テープ22の搬送方向がなす角が小さくなる。なお区間(C)~(D)の通過後の印刷テープ22の搬送角θTの変化量θT2が、本発明の第二搬送角に対応する。
【0077】
なお、区間(C)~(D)においても、区間(A)~(B)と同様に、印刷テープ22の搬送角θTは、徐々に、すなわち連続的に変化させられる。第2ガイド132の通過に伴う印刷テープ22の搬送角θTの変化量θT2-θT1は、第2ガイド132における案内リブ154の傾斜角θi2に基づいて定まる。
【0078】
図19の(D)~(E)区間は、印刷テープ22がカセット10の短辺59aに沿って搬送される区間である。第2ガイド130により搬送角θTがθT2に変化させられた印刷テープ22が、短辺59aに沿って移動させられることで、印刷テープ22はケース10の下方向に移動させられるとともに、搬送角θTが相対的に小さい値とされる。
【0079】
続いて、
図19の(E)において、たとえば、印刷テープ22は隅K3に設けられた第3ガイド134に巻きかけられる。そして、(F)までの区間において、たとえば複数の案内リブ164と順次摺接させられる。この区間(E)~(F)においては、前述の区間(C)~(D)と同様に、印刷テープ22は、その幅方向上側ほどカセット10の内側から外側に膨出させられて、印刷テープ22の搬送方向は相対的に上向きに連続的に変更させられる。ここで、第3ガイド134の案内リブ164の傾斜角θi3は、第3ガイドを通過した印刷テープ22の搬送角θTが0となるように設計されているので、第3ガイド134通過後の印刷テープ22の搬送方向は、第1ガイド130の通過前と同じ方向、すなわち、搬送角θTの大きさが0となる。
【0080】
第3ガイドの案内リブ164の傾斜角θi3は、第2ガイドの案内リブ154の傾斜角θi2よりも小さい値とされているため、区間(E)~(F)における搬送角θTの変化量であるθT2は、区間(C)~(D)における搬送角θTの変化量であるθT1-θT2よりも小さくされる。そのため、凹溝11に向けて搬送角θTを0に変更する区間(E)~(F)における搬送角θTの変化量を相対的に区間(C)~(D)における変化量よりも小さくできるので、印字テープ22が第3ガイド134を通過する際の印字テープ22の捩れなどを低減しうる。
【0081】
図19の(G)は印刷テープガイド170に対応する位置であり、区間(E)~(F)で搬送角θTが0とされた、すなわち、カセット10の底面と平行に搬送される印字テープ22が、印刷テープガイド170を通されることで、その幅方向位置が微調整される。
【0082】
図20は、カセット10が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたときの、第3ケ―ス部材16の下面を示す図である。印刷テープ22は、
図6に示す印刷テープロール26から引き出される。印刷テープ22は、貫通孔52および
図20に示す貫通孔58を介して
図3に示すテープケース20内の第1空間S1からリボンケース21内の第2空間S2に
図8に示すように斜めに架け渡される。そのため、
図20において印刷テープ22は、第3ケ―ス部材16の後方の貫通孔58から描画されている。
図20に示すように、印刷テープ22および貼合せテープ60は、ローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118とに挟圧され、ローラ80の駆動によって、各々
図6に示す印刷テープロール26および
図20に示す貼合せテープロール64から引き出される。インクリボン68は、巻取スプール76の駆動によってインクリボンロール72から引き出され、巻取スプール76に巻き取られる。印刷テープ22は二点鎖線で、貼合せテープ60は破線で、インクリボン68は一点鎖線で示されている。
【0083】
図20に示すように、印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間の印刷場所Pにおいて、印刷テープ22はインクリボン68を介して印刷ヘッド106に押しつけられる。この状態で、印刷ヘッド106の表面に配置された複数の発熱素子が選択的に駆動されて局所発熱する。これにより、インクリボン68の一面に設けられたインク68aのうち一部が印刷テープ22に転写されて、印刷テープ22に文字、記号などが印刷される。印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン68は巻取スプール76に巻き取られる。印刷場所Pを通過した印刷テープ22の印刷面は、ローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118により透明な貼合せテープ60が狭圧されて接着される。これにより、印刷テープ22の印刷面は貼合せテープ60により保護される。
【0084】
図21は、カセット10から送り出された印刷テープ22および貼合せテープ60の積層体を模式的に示している。上述したように、印刷テープ22は、
図21に示すように、剥離テープ22cが被印刷テープ22aの印刷面とは反対側の面に、粘着剤22bを介して積層されることにより構成されたものである。
図20において示したローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118との狭圧により、
図21に示すように印刷テープ22の被印刷テープ22a側すなわち印刷面側に、一面に粘着剤60bが塗布された透明フィルム60aから構成された貼合せテープ60が、貼り着けられる。これにより、印刷テープ22の印刷面に転写されたインク68aが保護される。
【0085】
図22は、第3ケース部材16の下面を示す図である。
図2に示すように、リボンケース21は、テープケース20に対して下方に重ねて配置されている。
図22において、テープケース20内に収容された印刷テープロール26およびスペーサフィルム38を第2空間S2内で前後方向および左右方向に広がる投影面上に対し上下方向に投影した場合、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38の投影位置は
図22の一点差線で示される。なお、スペーサフィルム38は未使用時の印刷テープロール26と略同じ直径を有するので、
図22では印刷テープロール26を表す一点鎖線のみを記載する。
図22に示すように、貼合せテープロール64、インクリボンロール72及び巻取スプール76は、印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されている。貼合せテープロール64の少なくとも一部及び貼合せスプール62の少なくとも一部は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。より詳細には、貼合せテープロール64の一部及び貼合せスプール62の一部は、それぞれ印刷テープスプール24及び印刷テープスプール24に巻回された印刷テープ22と上下方向に重なっている。
【0086】
図22に示すように、印刷テープロール26の径は、貼合せテープロール64の径よりも大きく、貼合せテープロール64の径はインクリボンロール72の径よりも大きく、インクリボンロール72の径は巻取スプール76の径よりも大きい。前後方向および左右方向における印刷テープロール26の大きさ(径寸法d)、すなわち印刷テープロール26の直径は、前後方向および左右方向の各方向におけるカセット10の大きさの半分の大きさよりも大きい。換言すると、印刷テープロール26の左右方向の寸法は、カセット10の左右方向の寸法の半分の寸法Lよりも大きく、印刷テープロール26の前後方向の寸法は、カセット10の前後方向の寸法の半分の寸法よりも大きい。
【0087】
また、印刷テープロール26は、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2、インクリボンロール72の第3回転中心線C3、および巻取スプール76の第4回転中心線C4と上下方向すなわちカセット10の上下方向において重なっている。換言すれば、印刷テープロール26の上下方向への投影面の中に、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2、インクリボンロール72の第3回転中心線C3、および巻取スプール76の第4回転中心線C4が位置している。また、貼合せテープロール64の一部および貼合せスプール62は、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38と上下方向において重なっている。供給スプール70の少なくとも一部、インクリボンロール72の少なくとも一部及び巻取スプール76の少なくとも一部は、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38と上下方向に重なっている。すなわち、貼合せテープロール64、貼合せスプール62、供給スプール70、インクリボンロール72の各々少なくとも一部は、上下方向への印刷テープロール26およびスペーサフィルム38の投影面の中に位置している。
【0088】
また、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2とインクリボンロール72の第3回転中心線C3との間の距離は、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離およびインクリボンロール72の第3回転中心線C3と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離よりも大きい。貼合せテープロール64の第2回転中心線C2と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離は、インクリボンロール72の第3回転中心線C3と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間よりも大きい。
【0089】
図22において、印刷テープロール26の第1回転中心線C1は、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2とインクリボンロール72の第3回転中心線C3との間を結び直線の中間点近傍に位置する。第1回転中心線C1は、前後方向及び左右方向において貼合せテープロール64に重なる。すなわち、印刷テープロール26の回転中心は、貼合せテープロール64と上下方向に重なる。巻取スプール76の第4回転中心線C4は前記直線の凹溝11とは反対側に位置している。第4回転中心線C4と第1中心線C1との間の距離は、第3回転中心線C3と第1中心線C1との間の距離よりも短く、第2回転中心線C2と第1中心線C1との間の距離よりも短い。
【0090】
また、
図22に示すように、前後方向および左右方向において、カセット10の前後方向の中心であり、且つ、左右方向の中心である中心位置Mと、印刷テープロール26の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、中心位置Mと貼合せテープロール64の回転中心である第2回転中心線C2との間の距離よりも小さい。また、前後方向および左右方向において、中心位置Mと、印刷テープロール26の第1回転中心線C1との間の距離は、中心位置Mとインクリボンロール72の第3回転中心線C3との間の距離よりも短く、中心位置Mと巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離よりも短い。つまり、前後方向及び左右方向において、第1回転中心線C1は、第2回転中心線C2乃至第4回転中心線C4のいずれよりもカセット10の中心に近い位置に配置されている。
【0091】
図23は、
図6のXVII-XVII視断面図である。上下方向において、印刷テープロール26の上下方向の一方側(下側)端部と、貼合せテープロール64の上下方向の他方側(上側)端部との間の距離Dは、貼合せテープロール64の一方向の長さ(貼合せテープ60の幅寸法W1)よりも小さい。印刷テープ22と貼合せテープ60とは略同幅寸法であるので、距離Dは、印刷テープロール26の幅寸法よりも小さい。
【0092】
そして、上下方向と直交する前後方向、及び、上下方向と前後方向とに直交する左右方向において、カセットの前後方向の中心及び左右方向の中心である中心位置Mから印刷テープロール26の回転中心である第1回転中心線C1までの距離は、中心位置Mから貼合せテープロール64の回転中心である第2回転中心線C2までの距離よりも小さい。印刷テープロール26の径は貼合せテープロール64のよりも大きい。この印刷テープロール26、巻取スプール76、インクリボン68が巻回された供給スプール70の外周円を接線で結ぶことにより形成される凸包絡(線)Hの大きさ(面積)は、上下方向と直交する前後方向および左右方向を含む面内において、テープケース20およびリボンケース21の面積の半分よりも大きく設定されている。
【0093】
図24は、カセット10が装着される、印刷装置102の一部に設けられたカセット装着部104を説明する図である。
図24は、上面側から見た図である。カセット装着部104には、嵌め入れられたカセット10を位置決めする矩形の装着穴112と、装着穴112の底面に立設された巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110とが設けられている。装着穴112は、カセット10の下ケースであるリボンケース21の一部を収容する収容部として機能している。これら巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110は、図示しないステップモータによりギヤ機構を介して同じ方向に回転駆動される。また、カセット装着部104の装着穴112の底面には、熱式の印刷ヘッド(サーマルプリントヘッド)106が固着されたヘッド保持板114が立設されており、プラテンローラ116および押圧ローラ118が回転可能に先端部に設けられたプラテン保持部材120がその基端部まわりに回動可能に設けられている。ヘッド保持板114は、たとえばアルミニウム製の金属板であって、印刷ヘッドのヒートシンクを兼ねている。
【0094】
カセット10が、印刷装置102のカセット装着部104に装着されると、カセット装着部104に立設された巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110が、各々、巻取スプール76およびローラ80の連結部80aに連結される。次いで、カセット10がカセット装着部104に装着された状態で印刷装置102の図示しないカバーが閉じられると、プラテン保持部材120がその基端部まわりに回動させられて、プラテンローラ116および押圧ローラ118が印刷ヘッド106およびカセット10のローラ80へ押圧されるようになっている。印刷装置102とカセット10とが、印刷システム122を構成している。
【0095】
前述の実施形態のカセット10によれば、上下方向に重なり合うテープケース20とリボンケース21と、テープケース20に設けられ、印刷テープ22が巻き回されて構成される印刷テープロール26と、テープケース20からリボンケース21へ向かう方向、すなわちカセット10の上下方向に対して第一傾斜角θi1をなすよう傾斜した傾斜面54iを有する第一ガイド130と、カセット10の上下方向に対して第二傾斜角θi2をなすよう傾斜した傾斜面154iを有する第二ガイド132と、リボンケース21を構成する第3ケース部材16に設けられた第三ガイド134と、が備えられ、傾斜面54iは、カセット10の上下方向をリボンケース21側に向かうにつれて、印刷テープロール26から離れるように形成され、傾斜面154iは、カセット10の上下方向をリボンケース21側に向かうにつれて、印刷テープロール26に近づくように形成され、印字テープ22は、第一ガイド130、第二ガイド132、および、第三ガイド134の順に案内されるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22の搬送不良を抑えることができる。
【0096】
また、前述の実施形態によれば、第1ガイド130の傾斜面54iの傾斜角θi1は、第2ガイド132の傾斜面154iのの傾斜角θi2より大きいので、第1ガイド130の傾斜面54iによってインクリボンケース21側に傾いた印刷テープ22の搬送経路は、第2ガイド132の傾斜面154iによってその傾きの一部だけ戻される。すなわち、第2ガイド132の傾斜面154iを経た後において、印刷テープ22の搬送経路は、第1ガイド130の通過前と通過後との間の傾きを有するので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0097】
また前述の実施形態によれば、第3ガイド134は、カセット10の上下方向に対して傾斜角θi3をなすよう傾斜した傾斜面164iを有し、傾斜面164iは、テープケース20からリボンケース21に向かうカセット10の上下方向に沿って印刷テープロール26に近づくように形成されるので、第二ガイド132によって戻された印刷テープ22の搬送経路の傾きは、第3ガイド134によってさらに戻されるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0098】
また前述の実施形態によれば、第3ガイド134の傾斜面164iの傾斜角θi3は、第2ガイド132の傾斜面154iの傾斜角θi2より小さいので、印刷テープ22がヘッド空間である凹溝11に搬送される前に第3ガイド134によって戻される印刷テープ22の搬送経路の傾きθTの大きさθT2を、第2ガイド132によって戻される傾きの大きさ(θT1-θT2)よりも小さくすることができるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0099】
また前述の実施形態によれば、第一ガイド130は、印刷テープロール26の回転中心C1に対して、印刷テープロール26の外縁よりも径方向外側に設けられ、その回転中心C1から離れる方向へ突出する複数の案内リブ54を備え、それら複数の案内リブ54の各々の先端が、カセット10の上下方向へ向けた方向において突出量P1が増加するように傾斜することで傾斜面54iを形成しているので、案内リブ54の先端によって傾斜面54iを構成することができ、ので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0100】
また前述の実施形態によれば、第二ガイド132は、回転中心C1から離れる方向へ突出する複数の案内リブ154を備え、それら複数の案内リブ154の各々の先端が、カセット10の上下方向において突出量P2が減少するように傾斜することで傾斜面154iを形成しているので、案内リブ154の先端によって傾斜面154iを構成することができ、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0101】
また前述の実施形態によれば、第三ガイドは、回転中心C1から離れる方向へ突出する複数の案内リブ164を備え、それら複数の案内リブ164の各々の先端が、カセット10の上下方向に突出量P3が減少するように傾斜することで傾斜面164iを形成しているので、案内リブ164の先端によって傾斜面164iを構成することができ、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができるる。
【0102】
また前述の実施形態によれば、カセット10は複数のケース12、14、16、18を備え、第三ガイド134は、それら複数のケースのうちの一のケース16に設けられ、そのケース16は、印刷テープ22の幅方向位置を規制する印刷テープガイド170を備えるので、印刷テープ22がケース16を通過する際に、第三ガイド134により印刷テープ22の搬送方向の傾きが戻される、すなわち搬送角θTが0となる、とともに、印刷テープガイド170により印刷テープ22の幅方向の位置が規制されるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0103】
また前述の実施形態によれば、第二ガイド132は、前記一のケース16に設けられるので、ともに一のケース16に設けられる第二ガイド132および第三ガイド134により印刷テープ22の搬送方向の傾きが戻されるとともに、印刷テープガイド170により印刷テープ22の幅方向の一が規制されるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0104】
また、前述の実施形態によれば、第一ガイドは、前記一のケース16とは異なる他のケース14に設けられるので、前記一のケース16とは異なる他のケース14に設けられた第一ガイド130により印刷テープ22の搬送方向の傾きが傾けられる一方、前記一のケース16に設けられた第二ガイド132および第三ガイド134により印刷テープ22の搬送方向の傾きが戻され、前記印刷テープガイド170により印刷テープ22の幅方向の位置が規制されるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0105】
また前述の実施形態によれば、カセット10は、直方体形状をしており、第一ガイド130、第二ガイド132、第三ガイド134は、各々、カセット10の上下方向の辺のいずれかに対応する相異なる前記筐体の隅である隅K1、K2、K3にそれぞれ設けられ、第一ガイド130が設けられた隅K1から第二ガイド132が設けられた隅K2までのカセット10の辺の長さLBは、第二ガイド132が設けられた隅K2から第三ガイド134が設けられた隅K3までのカセット10の辺の長さLAより大きいので、カセット10の隅の空間を利用して、第一乃至第三ガイド130、132、134を配設することができるとともに、第一ガイド130によって傾かされた搬送方向で印刷テープ22が搬送される距離LBが、第二ガイド132によって戻された搬送方向で搬送される距離LAよりも長いので、ので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる
【0106】
また前述の実施形態によれば、インクリボンケース21には、インクリボン68と、インクリボン68の供給スプール70と、インクリボン68の巻取スプール76とが設けられ、印刷テープ22は、被印刷媒体であるので、テープケース20に設けられた印刷テープロール26に巻き回された印刷テープ22が、搬送経路によりインクリボンケース21に設けられた凹溝11に搬送される一方、インクリボン68はインクリボンケース21に設けられた供給スプール70から供給されて巻取スプール76に巻き取られる態様のカセット10においても、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0107】
また前述の実施形態によれば、インクリボンケース21には、貼合せテープ60を巻き回した貼合せテープロール64が設けられるので、テープケース20に設けられた印刷テープロール26に巻き回された印刷テープ22が、搬送経路によりインクリボンケース21に設けられた凹溝11に搬送される一方、貼合せテープ60はリボンケース21に設けられた貼合せテープロール64に巻き回されて供給される態様のカセット10においても、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0108】
さらに前述の実施形態によれば、カセット10は、テープケース20とリボンケース21とを多層状に備え、リボンケース21に凹溝11、及び底面となる第4ケース部材18を有する筐体と、テープケース20に設けられた印刷テープロール26であって、印刷テープ22が巻き回されて構成される印刷テープロール26と、テープケース20側に設けられた第一ガイド130と、リボンケース21に設けられた第三ガイド134と、印刷テープ22の搬送経路において第一ガイド130と第三ガイド134との間に設けられた第二ガイド132と、を備え、印刷テープ22は、第一ガイド130と第二ガイド132との間、及び第二ガイド132と第三ガイド134との間において、各々、印刷テープ22の幅方向端部が底面としての第4ケース部材18に対して傾斜した状態となるよう架け渡され、印刷テープ22は、第三ガイド134と凹溝11との間において、印刷テープ22の幅方向端部が、第4ケース部材18と平行となるよう架け渡され、印刷テープ22は、第一ガイド130、第二ガイド132、および、第三ガイド134間の順に案内されることにより、テープケース20からリボンケース21へ移動して凹溝11に至るように設けられ、第一ガイド130から第二ガイド132の間に架け渡された印刷テープ22の幅方向端部の第4ケース部材18に対する搬送角θT1は、第二ガイド132から第三ガイド134の間に架け渡された印刷テープ22の幅方向端部の第4ケース部材18に対する搬送角θT2より大きいので、印刷テープ22は、第一ガイド130によりその搬送方向が搬送角θT1となるように傾かされて第二ガイド132まで搬送される一方、第二ガイド132により搬送角がθT2となるように傾きが戻されて第三ガイド134まで搬送される。そして第三ガイド134により第4ケース部材18と平行となるようにさらに搬送角θTが0とされて、凹溝11まで搬送されるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0109】
また前述の実施形態によれば、印刷テープ22の幅方向端部の第4ケース部材18に対する角度である搬送角θTは、印刷テープ22が巻回された状態において、0度であり、搬送角θTは、第一ガイド130周りにおいて、印刷テープ22の搬送方向における上流から下流に向かって連続的に増大し、搬送角θTは、第一ガイド130と第二ガイド132との間において一定であり、搬送角θTは、第二ガイド132周りにて、印刷テープ22の搬送方向における上流から下流に向かって連続的に減少し、搬送角θTは、第二ガイド132と第三ガイド134との間において一定であり、搬送角θTは、第三ガイド134周りにて、印刷テープ22の搬送方向における上流から下流に向かって0度に至るまで連続的に減少し、搬送角θTは、第三ガイド134と凹溝11との間において0度であるので、印刷テープ22が第一乃至第三のガイド130、132、134のそれぞれに案内される際に、搬送角θTが連続的に変化させられるので、媒体の歪みを低減しうる。また、第一および第二ガイド130、132間、および、第二および第三ガイド132、134間においては、搬送角θTが一定とさせられるので、印刷テープ22を安定して搬送させることができるので、印刷テープ22がテープケース20からリボンケース21へ層間を搬送される途中において、印刷テープ22の搬送角度θTを変更することで印刷テープ22のの搬送不良を抑えることができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0111】
たとえば、前述の実施形態においては、印刷テープ22にインクリボン68のインク68aがヘッドの熱によって転写される熱転写方式が採用されていたが、かかる態様に限られない。すなわち、印刷テープ22の表面に所定の温度以上となった場合に発色する、いわゆる感熱インクが塗布されることにより、インクリボン68を必要としない感熱印字方式を採用したカセット10を構成することができる。この場合、インクリボン68を供給する供給スプール70および使用後のインクリボン68を巻き取る巻取りスプール76を設ける必要がなく、カセット10の底面積をさらに低減することができ、あるいは、カセットの底面積を維持しつつ印字テープ22および貼合せテープ60の収容量を増やすことができる。また、カセット10内の構成をより簡素なものとすることができる。
【0112】
また、前述の実施形態においては、印刷後の印字テープ22の表面に貼合せテープ60が貼り合わされるものであったが、かかる態様に限定されない。すなわち、貼合せテープ60は必須の要件ではなく、印刷後の印字テープ22がそのまま排出されてもよい。この場合、貼合せテープ60を巻き回した貼合せテープロール64をカセット10内に設ける必要がなく、カセット10の底面積をさらに低減することができ、あるいは、カセットの底面積を維持しつつ印字テープ22の収容量を増やすことができる。また、カセット10内の構成をより簡素なものとすることができる。また、上述の感熱印字方式を採用した場合においても、同様に貼り合わせテープ60を用いない構成を適用しうる。
【0113】
また、上記実施形態のカセット10はローラ80を備えていたが、ローラ80を備えていなくてもよい。また、印刷テープロール26、貼合せテープロール64、インクリボンロール72及び巻取スプール76は、前後方向及び左右方向に対して水平に設けられていなくてもよい。例えば貼合せテープロール64が前後方向及び左右方向に対して水平に設けられていない場合、貼合せテープ60の幅方向は、上記実施形態の上下方向とは異なる方向となり、貼合せテープロール64の径方向に直交する方向も上記実施形態の上下方向とは異なる方向となる。
【0114】
また、貼合せテープ60及びインクリボン68の搬送経路は
図20に示す経路に限らず、適宜様々な経路を採用することができる。また、例えば貼合せテープロール64が巻取スプール76よりも右側に配置されてもよい。また、貼合せテープロール64、インクリボンロール72及び巻取スプール76の配置は上記実施形態に示す位置に限定されるものではない。少なくとも第3媒体ロールとしてのインクリボンロール72がリボンケース21に収容されており、印刷テープロール26および貼合せテープロール64の一方が第1媒体ロールとしてテープケース20に収容され、他方が第2媒体ロールとしてリボンケース21に収容されていればよい。この場合でも、テープケース20に収容された前記一方のロールは、リボンケース21に収容された前記他方のロール及びインクリボンロール72の少なくとも何れか一方と上下方向に重なるように配置される。これにより、貼合せテープロール64もしくは印刷テープロール26の径方向にカセット10の小型化が可能である。上記実施形態では、貼合せテープロール64、インクリボンロール72、巻取スプール76のすべてが印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されていたが、貼合せテープロール64、インクリボンロール72及び巻取スプール76の少なくとも何れかが印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されていればよい。
【0115】
上記実施形態では、カセット10は、第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16および第4ケース部材18の4つのケース部材が上下方向に重ねられて構成されていたが、カセット10はこの構成に限定されるものではない。例えば第2ケース部材14と第3ケース部材16とが一体に構成されることも可能であり、かかる場合にはカセット10は3つのケース部材によって構成される。要するに、テープケース20とリボンケース21とが層状に重なり合うカセット10の構造であれば、そのカセット10を構成するケースの構造は限定されない。
【0116】
上記実施形態では、印刷テープロール26は、印刷テープ22が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール24に巻回されて構成されていたが、印刷テープ22は印刷テープスプール24に巻回されず、第1支持突起30及び第2支持突起32を中心に巻回されることで印刷テープロール26を構成してもよい。同様に、貼合せテープ60は、貼合せスプール62に巻回されることなく巻回され、貼合せテープロール支持壁84及び円弧状壁92により貼合せテープ60の外周が規定されて配置されてもよい。
【0117】
上記実施形態では、貼合せテープロール64は、印刷テープスプール24及び印刷テープスプール24に巻回された印刷テープ22の両方に対し上下方向に重なっていたが、貼合せテープロール64は、印刷テープスプール24に巻回された印刷テープ22のみに上下方向に重なっていてもよい。また、印刷テープロール26は、貼合せスプール62及び貼合せスプール62に巻回された貼合せテープ60の両方に対し上下方向に重なっていたが、貼合せスプール62に巻回された貼合せテープ60のみに上下方向に重なっていてもよい。
【0118】
また、前述の実施形態における案内リブ54、154、164の枚数は一例であり、異なる枚数であってもよい。すなわち、前述の実施形態においては、7枚の案内リブ54により第一ガイドが、4枚の案内リブ154により第2ガイド132が、4枚の案内リブにより第3ガイド134が、それぞれ構成されているが、これに限定されない。
【0119】
また、案内リブ54のそれぞれは、
図14に示すように、第2ケース部材14の第2円周壁36、および、第2ケース部材14の底板14aにそれぞれ連続して構成されていた。これは、案内リブ54と第2円周壁36、および/または底板14aとが一体的に成形されていてもよいし、接着剤や溶剤などにより接着されてもよい。また、案内リブ54は、第2円周壁36、および、第2ケース部材14の底板14aの少なくとも一方と連続していてもよい。
【0120】
また、案内リブ54の辺54R、案内リブ154の辺154R、案内リブ164の辺164Rは、それぞれ搬送される印刷テープ22と接触させられた際に生ずる摺動時の抵抗を低減するため、先端部分が面取りなどの加工がなされていてもよい。特に、平面形状を有する案内リブ54、154、164の両面における辺54R、154R、164Rの先端部分が面取りされる場合には、傾斜面54iは平面ではなく曲面形状を有することも可能である。
【0121】
また、前述の実施形態において、複数の案内リブ54はそれぞれ、案内リブ54の底板14a側の端部において貫通孔52の近傍まで膨出するものとされていたが、このような態様に限られない。すなわち、複数の案内リブ54のうちの一部は、底板14aに貫通穴52が設けられない領域に設けられてもよい。言い換えれば、印刷テープ22が貫通孔52に達する程下まで搬送経路が下げられていないような位置においても案内リブ54が設けられうる。
【0122】
また、前述の実施形態において、複数の案内リブ154のうちの一部は、天井板16aに貫通穴58が設けられない領域に設けられてもよく、複数の案内リブ164のうちの少なくとも一部は、天井板16aに貫通穴58が設けられない領域に設けられてもよい。言い換えれば、印刷テープ22の搬送経路が貫通孔58よりもカセット10の上下方向下側に完全に達し、貫通孔58が閉じている位置においても、案内リブ164が設けられてもよい。
【0123】
また、案内リブ154、164の形状は
図17、
図18に示す例に限定されるものではない。たとえば、
図15(a)乃至(c)に示す案内リブ54の形状を上下反転させたものや、
図15(a)乃至(c)のいずれかに示す案内リブ54の上端形状を下端形状とし、同じく
図15(a)乃至(c)のいずれかに示す案内リブ54の下端形状を上端形状として組み合わせたものであってもよい。
【0124】
また、前述の実施形態においては、印刷テープガイド170の形状は、スリット状のものであったが、印刷テープ22の幅方向位置を規制することができればその形状は限定されず、たとえば鉤状のガイドであってもよい。
【0125】
また、前述の実施形態においては、第2ガイド132と第3ガイド134とはいずれも同一のケース部材である第3ケース部材16に設けられたが、かかる構成に限定されない。たとえば、第2ガイド132が第2ケース部材14に設けられ、第3ガイド134が第3ケース部材16に設けられてもよい。第2ガイド132と第3ガイド134とは異なるケース部材に設けられることとなる。
【0126】
また、前述の実施形態においては、第1ガイド130の案内リブ54と印刷テープ22との接触態様について、
図16を用いて説明した。この説明は、第2ガイド132の案内リブ154、あるいは第3ガイド134の案内リブ156と印刷テープ22との接触態様についてもほぼ同様に適用される。すなわち、
図16における案内リブ54を上下反転させたものを第2ガイド132の案内リブ154、あるいは第3ガイド134の案内リブ156に読み替え、
図16における第2円周板36を案内板57と読み替え、底板14aを天井板16aと読み替えることにより、案内リブ154、あるいは案内リブ156と印刷テープ22との接触態様が説明される。
【0127】
また、前述の実施形態においては、案内リブ54のそれぞれは、共通の傾斜角θ1であるとされたが、これに限定されず、各案内リブ54において傾斜角θ1が相互に異なってもよい。案内リブ154、164についても同様である。
【0128】
また、前述の実施形態においては、案内リブ54の形状は、各案内リブ54について共通のものであるとされたが、これに限定されず、個々の案内リブ54について形状が異なってもよい。たとえば、一部の案内リブ54が
図15(a)に示す形状を有し、他の案内リブ54の一部が
図15(b)に示す形状を有し、さらに残りの案内リブ54が
図15(c)に示す形状を有してもよい。案内リブ154、164についても同様である。
【0129】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。