(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061770
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】端末装置、画像表示制御方法及び端末装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240426BHJP
H04M 1/72448 20210101ALI20240426BHJP
【FI】
B60R11/02 T
B60R11/02 C
H04M1/72448
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033551
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2019208969の分割
【原出願日】2019-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田邊 裕章
(72)【発明者】
【氏名】高野 将士
(57)【要約】
【課題】携帯端末を車載機に装着して画像表示に用いる場合に、例えば安全性を考慮した走行中の表示規制を実現することが可能な端末装置等を提供する。
【解決手段】ディスプレイ4を有し、車両に搭載された車載機Mに対して着脱可能な端末装置Tにおいて、ディスプレイ4に表示させる画像を生成する画像生成部1Aと、予め設定された特定アプリケーションを含む複数のアプリケーションのそれぞれに従って、画像生成部1Aにおける画像生成を制御する制御部1と、を備え、端末装置Tが車載機Mに装着されており、且つ車両が走行中である場合に、特定アプリケーションに従って生成されるべき特定アプリケーション画像の一部又は全部のディスプレイ4における視認性を低下させる、或いは当該一部又は全部をディスプレイ4において視認不可とするように画像生成部1Aを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段を有し、移動体に搭載された移動体搭載装置に対して着脱可能な端末装置であって、画像生成手段と、制御手段と、を備える端末装置において実行される画像表示制御方法において、
前記表示手段に表示させる画像を前記画像生成手段により生成する画像生成工程と、
予め設定された特定アプリケーションを含む複数のアプリケーションのそれぞれに従って、前記画像生成手段における画像生成を前記制御手段により制御する制御工程と、
を含み、
前記端末装置が前記移動体搭載装置に装着されており、且つ前記移動体が移動中である場合に、前記制御工程においては、前記特定アプリケーションに従って生成されるべき特定アプリケーション画像の一部又は全部の前記表示手段における視認性を低下させる、或いは当該一部又は全部を前記表示手段において視認不可とするように前記画像生成手段を制御することを特徴とする画像表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、端末装置、画像表示制御方法及び端末装置用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、移動体搭載装置に対して装着可能な端末装置、当該端末装置において実行される画像表示制御方法及び当該端末装置用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるスマートフォンやタブレット型PC(Personal Computer)等の携帯端末を、例えば車両に据え付けられている車載機と連携させることで、携帯端末が備えるディスプレイを用いた表示機能や、ナビゲーション機能又はコンテンツの再生機能等を利用して、車載型AV(Audio Visual)システムを安価に構成することが行われている。このとき、当該携帯端末と連携する車載機には、ディスプレイを用いた表示機能が備えられている必要はない。このような従来技術を開示している先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【0003】
この特許文献1には、車両等の内装部分に固定された車載機と、その車載機に対して着脱自在に装着された状態での当該車載機との近距離無線通信により当該車載機に音声信号を送信しつつ画像表示を行う携帯端末と、を備える車載システムが開示されている。そして、特許文献1に開示されている車載システムでは、近距離無線通信による音声信号の送受信における遅延状態を取得して、表示画像と出力音声との間のタイムラグの抑制処理を行う構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記車載機との連携においては、上記車両の走行中において携帯端末の上記ディスプレイを車両の運転者に視認させる場合もあり得る。このような場合であっても、上記携帯端末では様々なアプリケーション(プログラム)が実行されるため、当該運転者の運転に対する注意を削ぐような画像(例えば動画像)が当該ディスプレイに表示される場合があり得る。
【0006】
そして、このような画像は、車両の走行中には、運転者に対して視認不能とすることが好ましい。即ち、日常使い慣れた携帯端末を利用して車載AVシステムを構築しようとする場合に必要となる走行中の上記表示規制については、先行技術文献たる上記特許文献1には、開示も示唆もされていない。従って、上記特許文献1に開示されている技術では、当該要請に応じることはできない。
【0007】
そこで本願は、上記の要請に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、携帯端末を移動体搭載装置に装着して画像表示に用いる場合に、例えば安全性を考慮した移動中の表示規制を実現することが可能な端末装置、当該端末装置において実行される画像表示制御方法及び当該端末装置用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表示手段を有し、移動体に搭載された移動体搭載装置に対して着脱可能な端末装置において、前記表示手段に表示させる画像を生成する画像生成手段と、予め設定された特定アプリケーションを含む複数のアプリケーションのそれぞれに従って、前記画像生成手段における画像生成を制御する制御手段と、を備え、前記端末装置が前記移動体搭載装置に装着されており、且つ前記移動体が移動中である場合に、前記制御手段は、前記特定アプリケーションに従って生成されるべき特定アプリケーション画像の一部又は全部の前記表示手段における視認性を低下させる、或いは当該一部又は全部を前記表示手段において視認不可とするように前記画像生成手段を制御するように構成される。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、表示手段を有し、移動体に搭載された移動体搭載装置に対して着脱可能な端末装置であって、画像生成手段と、制御手段と、を備える端末装置において実行される画像表示制御方法において、前記表示手段に表示させる画像を前記画像生成手段により生成する画像生成工程と、予め設定された特定アプリケーションを含む複数のアプリケーションのそれぞれに従って、前記画像生成手段における画像生成を前記制御手段により制御する制御工程と、を含み、前記端末装置が前記移動体搭載装置に装着されており、且つ前記移動体が移動中である場合に、前記制御工程においては、前記特定アプリケーションに従って生成されるべき特定アプリケーション画像の一部又は全部の前記表示手段における視認性を低下させる、或いは当該一部又は全部を前記表示手段において視認不可とするように前記画像生成手段を制御するように構成される。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、表示手段を有し、移動体に搭載された移動体搭載装置に対して着脱可能な端末装置に備えられたコンピュータを、前記表示手段に表示させる画像を生成する画像生成手段、予め設定された特定アプリケーションを含む複数のアプリケーションのそれぞれに従って、前記画像生成手段として機能する前記コンピュータにおける画像生成を制御する制御手段、として機能させる端末装置用プログラムであって、前記端末装置が前記移動体搭載装置に装着されており、且つ前記移動体が移動中である場合に、前記制御手段として機能する前記コンピュータを、前記特定アプリケーションに従って生成されるべき特定アプリケーション画像の一部又は全部の前記表示手段における視認性を低下させる、或いは当該一部又は全部を前記表示手段において視認不可とするように前記画像生成手段として機能する前記コンピュータを制御するように機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の端末装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例の車載機及び端末装置それぞれの概要構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例の端末装置における画像表示制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態の端末装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態の端末装置Tは、表示手段4を有し、移動体に搭載された移動体搭載装置に対して着脱可能な端末装置Tである。
【0014】
そして端末装置Tは、表示手段4に表示させる画像を生成する画像生成手段1Aと、予め設定された特定アプリケーションを含む複数のアプリケーションのそれぞれに従って、画像生成手段1Aにおける画像生成を制御する制御手段1と、を備え、端末装置Tが上記移動体搭載装置に装着されており、且つ移動体が移動中である場合に、制御手段1は、特定アプリケーションに従って生成されるべき特定アプリケーション画像の一部又は全部の表示手段4における視認性を低下させる、或いは当該一部又は全部を表示手段4において視認不可とするように画像生成手段1Aを制御する。
【0015】
以上説明したように、実施形態の端末装置Tの動作によれば、端末装置Tが移動体搭載装置に装着されており且つ移動体が移動中である場合に、特定アプリケーション画像の表示手段4における視認性を低下させるか、又は当該特定アプリケーション画像を表示手段4において視認不可とするように画像生成手段1Aを制御するので、移動体搭載装置に対して着脱可能な端末装置Tを移動体搭載装置に装着して画像表示に用いる場合に、例えば安全性を考慮した移動中の表示規制を実現することができる。
【実施例0016】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図4を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、例えば車両に搭載された車載機と、当該車載機に装着可能であると共に、単独でも使用することが可能な端末装置と、を含む車載システムにおいて、当該端末装置と車載装置とが連携して種々の処理を行う場合に本願を適用した実施例である。
【0017】
また、
図2は実施例の車載機及び端末装置それぞれの概要構成を示すブロック図であり、
図3は実施例の端末装置における表示処理を示すフローチャートであり、
図4は実施例のマスク画像の一例を示す図である。このとき
図2及び
図4では、
図1に示した実施形態の端末装置Tにおける構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該端末装置Tにおける構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0018】
図2に示すように、実施例の車載システムSSは、車両の例えばセンターコンソール又はダッシュボードに備えられた車載機Mと、当該車載機Mに対して装着可能であり且つ単独でも使用可能な携帯型の端末装置Tと、を含んで構成されている。このとき端末装置Tは、例えばタブレット型の端末装置として実現されてもよいし、いわゆるスマートフォンとして実現されてもよい。
【0019】
そして
図2上に示すように、実施例の車載機Mは、実施例の車載システムSSが搭載されている例えば車両に据え付けられている車両スピーカ16、カメラ14及び車内ネットワーク15にそれぞれ接続されており、端末装置Tの装着に用いられる装着部BSと、無線通信部10と、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる制御部11と、上記車両スピーカ16に接続されたアンプ部12と、により構成されている。このとき、カメラ14が本願の「撮像手段」の一例に相当する。
【0020】
このときカメラ14は、車両の運転者に運転支援情報として視認させる車両の前方、後方及び車内等を撮像範囲とした画像を撮影するカメラであり、制御部11の制御の下、必要に応じて当該撮像範囲を例えばサイクリックに撮像し、撮像結果としての画像データを制御部11に出力する。また制御部11は、上記車両の速度を示す速度データや、車両においていわゆるバックギアが入れられていることを示すバックギアデータ等の車両状態を示す情報を車内ネットワーク15から取得する。これにより制御部11は、例えばバックギアデータが取得されている場合に、上記画像データに車両の後方を撮像した結果が含まれるように、カメラ14を制御する。一方装着部BSは、端末装置Tとの間の有線による電気的な接続を行うための図示しない接続部を備えており、当該装着部BSには端末装置Tが装着される。
【0021】
以上の構成において無線通信部10は、端末装置Tが装着されていない場合に、制御部11の制御の下、端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの音を示す音信号や、端末装置Tにおいて実行されるアプリケーションの音声を示す音声信号の、端末装置Tからの受信を制御する。またアンプ部12は、制御部11の制御の下、上記音信号及び上記音声信号を車両スピーカSPに出力して放音させる。これらの動作において、制御部11は、無線通信部10による端末装置Tからの上記音信号及び上記音声信号それぞれの受信を制御すると共に、車両スピーカSPからの放音の態様を制御する。
【0022】
これらに加えて制御部11は、端末装置Tが装着されている場合において、カメラ14から取得した上記画像データを、装着部BSの上記接続部を介して端末装置Tに出力すると共に、車内ネットワーク15から取得した車両状態が、予め設定された条件であって上記画像データを端末装置Tのディスプレイ4上に割込画像として表示させるべき条件を満たす場合には、端末装置Tに割込表示を要求する画像割込要求データを生成し、上記接続部を介して端末装置Tに出力する。更に制御部11は、車内ネットワーク15から取得した上記速度データにより示される上記車両の速度が予め設定された走行規制閾値以上となった場合、当該速度が走行規制閾値以上となったことを示す走行規制指示データを生成し、上記接続部を介して端末装置Tに出力する。このとき、上記走行規制閾値に相当する閾値速度は、当該閾値速度以上の速度での運転中に車両の運転者が視認する端末装置Tの後述するディスプレイ4等において、当該運転者の注意を引いてしまうような(換言すれば、運転に対する運転者の注意を削ぐような)例えば動画等の表示を、安全運転上の観点から規制する必要のある閾値速度として予め設定された速度である。なお、上記表示の規制を、以下「実施例の表示規制」と称する。このとき、上記車両の速度が上記走行規制閾値未満の速度である場合(一時停止又は停止している場合(即ち速度ゼロの場合)を含む)には、実施例の表示規制は行われないことになる。これらに加えて制御部11は、端末装置Tが装着されている場合に、上記接続部を介して端末装置Tとの間で授受される各種データに基づき、上記アンプ部12等を制御する。なお、端末装置Tが接続されている場合であっても、上記画像データ、上記画像割込要求データ、上記走行規制指示データ及び上記各種データは、無線通信部10を介して端末装置Tとの間で授受されてもよい。
【0023】
一方
図2下に示すように、実施例の端末装置Tは、上述したように車載機Mに対して装着されて使用されると共に、単独でも使用可能な端末装置Tであり、車載機Mへの装着に用いられる装着部7と、CPU、ROM及びRAM等からなる制御部1と、制御部1の制御の下でディスプレイ4に表示すべき画像を生成する画像生成部1Aと、無線通信部2と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記録媒体からなる記録部3と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ4と、タッチパネル又は操作ボタン等からなる操作部5と、スピーカ6と、により構成されている。このとき、制御部1が実施形態の制御手段1の一例、及び本願の「第1取得手段」及び「第2取得手段」の一例にそれぞれ相当し、画像生成部1Aが実施形態の画像生成手段1Aの一例に相当し、ディスプレイ4が実施形態の表示手段4の一例に相当する。
【0024】
以上の構成において、装着部7には、端末装置Tが車載機Mの装着部BSに装着されたことを、例えば物理的に検出する検出部7Aが備えられている。検出部7Aからは、端末装置Tが車載機Mに装着された場合に、当該装着されたことを示す装着検出信号が制御部1に出力される。これにより制御部1は、端末装置Tが車載機Mに装着されたことを認識する。なお、装着部7には、車載機Mとの間の有線による電気的な接続を行うための図示しない接続部を備えており、この接続部が上記検出部7Aを兼ねてもよい。このとき、車載機Mに装着された端末装置Tを動作させるための電源電力を、上記接続部を介して車載機Mから端末装置Tに供給するように構成してもよい。
【0025】
他方記録部3には、端末装置Tにおいて制御部1の制御の下で実行可能な複数のアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と称する。)、及び当該アプリケーションにより再生可能なコンテンツデータ(画像及び上記コンテンツの音を含むコンテンツデータ)が記録されている。更に記録部3には、端末装置Tにおいて制御部1の制御の下で実行可能であり、且つ端末装置Tと車載機Mとを連携させるための連携用アプリケーションプログラム(以下、単に「連携アプリケーション」と称する。)が記録されている。この連携アプリケーションは、端末装置Tが無線通信部2を介して車載機Mと通信接続されている際に、車載機Mの例えばアンプ部12のゲインやイコライジング等の各種設定を端末装置Tの操作部5を介して変更可能に構成され、更に端末装置Tが車載機Mに装着されている際に、車載機Mから受信した画像割込要求データ及び走行規制指示データに応じて、ディスプレイ4に表示される画像に関する所定の表示制御処理を画像生成手段1Aに実行させるように構成されたアプリケーションである。連携アプリケーションは、端末装置Tと車載機Mとの無線通信が確立している間はフォアグラウンド又はバックグラウンドで常時実行されることが好ましい。
【0026】
これらに加えて記録部3には、制御部1の制御の下で端末装置Tにおいて実行可能な複数のアプリケーションのうち、実施例の表示規制の対象となるアプリケーションの一覧を示す表示規制リストを記録している。この表示規制リストに含まれているアプリケーションは、例えば、上記運転者の注意を引いてしまうような例えば動画等の表示を伴うアプリケーションである。このとき、当該動画等には、例えば、ディスプレイ4上におけるテキストデータの単なる書き換えや、表示されているアイコンの切り替え等は含まれない。
【0027】
一方無線通信部2は、制御部1の制御の下、上記音信号及び上記音声信号の、車載機Mへの送信を制御する。このとき制御部1は、無線通信部2を用いて、車載機Mの無線通信部10と端末装置Tの無線通信部1との間の通信状況(即ち、当該無線通信部10と当該無線通信部1との間で無線通信が確立されているか否か)を検出する。更に操作部5は、当該操作部5において行われた種々の操作に対応する操作信号を生成して制御部1に出力する。
【0028】
これらの動作において、制御部1は、実施例の表示規制の処理(以下、実施例の表示規制の処理を、単に「表示規制処理」と称する)を含む実施例の表示処理を実行する。上記表示規制の処理については、それぞれ後ほど詳述する。更に制御部1は、無線通信部2による車載機Mへの上記音信号及び上記音声信号それぞれの送信を制御すると共に、端末装置Tが車載機Mに装着されている場合においては、車載機Mからの上記各接続部(即ち、車載機Mの装着部BSに備えられた接続部及び装着部7に備えられた接続部)を介した上記画像割込要求データ及び上記走行規制指示データの受信を制御する。更にまた制御部1は、無線通信部2又は装着部7の接続部を介した車載機Mとの間での各種データの授受(即ち、上記画像データ、上記画像割込要求データ、及び上記走行規制指示データ等の授受)を行うと共に、制御部1自らの制御の下、端末装置Tにおいて実行するアプリケーションに従って、画像生成部1A及びディスプレイ4を用いた端末装置T独自の画像表示や、スピーカ6を用いた放音を制御する。
【0029】
次に、端末装置Tにおいて上記連携アプリケーションを起動することにより主として制御部1を中心として実行される実施例の表示処理について、より具体的に
図2乃至
図4を用いて説明する。このとき、連携アプリケーションは、端末装置Tの電源オン時に自動的に起動するものであってもよいし、端末装置Tと車載機Mとの無線通信が確立した際に自動的に起動するものであってもよい。また、端末装置Tは、複数のアプリケーションをフォアグラウント及びバックグラウンドで同時に実行可能であり、ここでは連携アプリケーションと他のアプリケーションのそれぞれが、フォアグラウント及びバックグラウンドのいずれかで同時に実行されるものとして説明する。
【0030】
実施例の表示処理は、端末装置Tと車載機Mとの無線通信が確立し、且つ端末装置Tにおいて連携アプリケーションが起動されている場合に、例えば端末装置Tにおける割込処理として実行される。即ち
図3に示すように、実施例の表示処理が開始されると、先ず制御部1は、検出部7Aから上記装着検出信号が出力されているか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の判定において、上記装着検出信号が出力されていない場合、即ち、端末装置Tが車載機Mに装着されていない場合(ステップS1:NO)、次に表示規制処理及び割込画像表示の初期化処理(ステップS7)に移行する。ステップS7において、制御部1は、後述する表示規制処理又は割込画像表示がこの段階で既に実行中である場合には、これらの処理を停止させ、表示規制処理及び割込画像表示が実行中でない場合には、この状態を維持する。即ち表示規制処理及び割込画像表示の初期化を行う。制御部1はステップS7終了後、上記ステップS1に戻って一連の処理を継続する。
【0031】
一方ステップS1の監視において、検出部7Aから上記装着検出信号が出力されている場合(ステップS1:YES)、制御部1は次に、車載機Mから上記画像割込要求データを受信しているか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定において、上記画像割込要求データを受信していない場合(ステップS2:NO)、制御部1は次に、車載機Mから上記走行規制指示データを受信しているか否かを判定する(ステップS3)。
【0032】
一方ステップS2の監視において、車載機Mから上記画像割込要求データを受信している場合(ステップS2:YES)、制御部1は、画像割込要求データと同時に車載機Mから送信された画像データを取得し、当該画像データに基づく割込画像を、この時端末装置Tのフォアグラウンドで実行されているアプリケーションの画像より優先させてディスプレイ4に表示するように画像生成部1Aを制御する(ステップS6)。ここで画像割込表示の典型例は、車両のギアがバックギアとされた場合の車両の後方画像のディスプレイ4への割込み表示である。その後、制御部1は上記ステップS1に戻って一連の処理を継続する。即ち、ステップS1以降の判定が繰り返され、前回の判定時と同じ状態が継続する間は、画像割込表示が継続されることになる。
【0033】
ステップS3の判定において、車載機Mから上記走行規制指示データとして、運転者の注意を引いてしまうような動画等の表示規制すべき旨(換言すれば車両が走行中であること)を示す情報を受信していない場合(ステップS3:NO)、制御部1は、上述のステップS7へ移行する。一方ステップS3の判定において、車載機Mから車両が走行中であることを示す情報を受信している場合(ステップS3:YES)、制御部1は次に、この時点で端末装置Tのフォアグラウンドで実行されているアプリケーションが、実施例の表示規制対象か否かを判定する(ステップS4)。具体的には、ステップS4の判定において、制御部1は記録部3に記録されている上記表示規制リスト内を検索する。
【0034】
他方、ステップS4の判定において、当該アプリケーションが上記表示規制リスト内に含まれていない場合(ステップS4:NO)、制御部1は、上述のステップS7へ移行する。一方当該アプリケーションが上記表示規制リスト内に含まれている場合(ステップS4:YES)、制御部1は実施例の表示規制処理を実行する(ステップS5)。ステップS5における実施例の表示規制処理として、制御部1は、例えば
図4に例示するように、当該アプリケーションに対応する画像MG(上記運転者の注意を引いてしまうような例えば動画等の画像MG)にマスク画像MKを重畳させて表示するように、画像生成部1Aを制御する。このとき制御部1は、
図4に例示するマスク画像MKを重畳して表示させる制御の他に、画像MGの一部又は全部のディスプレイ4における視認性を低下させるか、或いは当該画像MGの一部又は全部をディスプレイ4において視認不可とするように画像生成部1Aを制御すればよい。この場合に制御部1は、当該画像MGの生成自体を停止(禁止)するように画像生成部1Aを制御してもよい。その後、制御部1は上記ステップS1に戻って一連の処理を継続する。即ち、ステップS1以降の判定が制御部1により繰り返され、前回の判定時と同じ状態が継続する間は、表示規制処理が継続されることになる。
【0035】
ここで、上述の実施例の表示処理の意義について説明する。実施例の端末装置Tとしては、例えばスマートフォン、タブレット型のパーソナルコンピュータ等を使用することができる。このような端末装置Tは設置場所を限定することなく、且つ多種多様なアプリケーションを使用することができるため、車両内で使用される場合においても、例えば車両の運転者が使用する状況と、運転者以外の車両の搭乗者が使用する状況とが考えられる。そして、車両の運転者が使用する場合と、運転者以外の車両の搭乗者が使用する場合とでは、例えば車両の走行中の動画等に対する表示規制などにおいて、好ましい表示制御が異なる。本実施例では、端末装置Tと車載機Mとを連携させるための連携アプリケーションを端末装置Tにより実行させることで、端末装置Tが車載機Mに装着されているか否かを判定させ、端末装置Tが車載機Mに装着されている場合には、端末装置Tを運転者が使用しているとみなし、運転者にとって好適な表示制御を実行させることとした。これに対し、端末装置Tが車載機Mに装着されていない場合には、運転者以外の車両の搭乗者にとっては不要となる上記表示制御を行わないようにした。換言すれば、端末装置Tにこのような機能を発揮する連携アプリケーションをインストールすることで、普段使い慣れたスマートフォン、タブレット型のパーソナルコンピュータ等の端末装置において、車載利用における好適な表示制御を実行させることを可能としたとも言える。
【0036】
以上説明したように、実施例の車載システムSSの主として端末装置Tによる表示規制処理によれば、端末装置Tが車載機Mに装着されており且つ車両が走行中である場合に、表示規制リストに含まれているアプリケーションの画像MGのディスプレイ4における視認性を低下させるか、又は画像MGをディスプレイ4において視認不可とするので、車載機Mに対して着脱可能な端末装置Tを車載機Mに装着して画像表示に用いる場合に、例えば安全性を考慮した走行中の表示規制を実現することができる。
【0037】
また、記録部3に記録されている上記表示規制リストを用いて表示規制処理の対象たるアプリケーションを識別するので、必要な表示規制を確実に実現することができる。
【0038】
なお、この場合に、実施例の表示規制の対象となるアプリケーション以外のアプリケーションの一覧を示す表示許可リストを記録部3に記録しておき、実施例の表示規制処理では、当該表示許可リストに含まれているアプリケーション以外のアプリケーションをその対象とするように構成してもよい。または、表示規制リスト又は表示許可リストを外部のサーバ装置に記憶させておき、実行中のアプリケーションが表示規制対象か否かを判定する際に、無線通信部2を介して当該実行中のアプリケーションを識別する情報を上記サーバ装置に送信し、当該サーバ装置から照合結果を受信するようにしてもよい。
【0039】
更に、端末装置Tが車載機Mに装着されており且つ車両が走行中である場合に、マスク画像MKを画像MGに重畳させて表示させる場合(
図4参照)は、より確実に走行中の表示規制を実現することができる。
【0040】
一方、端末装置Tが車載機Mに装着されており且つ車両が走行中である場合に当該画像MGの生成自体を禁止させる場合でも、より確実に走行中の表示規制を実現することができる。
【0041】
更にまた、実施例の表示規制の対象となる画像MGが走行中の車両の運転者の注意を削ぐ内容の画像である場合には、走行中の安全性をより担保することができる。
【0042】
このとき、実施例の表示規制の対象となる画像MGに動画像を含ませる場合は、走行中の車両の例えば運転者が動画像を注視することに対する抑制を実現することができる。
【0043】
また、端末装置Tが車載機Mに装着されていない場合には、車両が走行中であるか否かに拘わらず、複数のアプリケーションのそれぞれに従って生成されるべき画像を表示させるので、表示規制が不要な場合に必要な画像を正常に表示させることができる。
【0044】
更に、車両が既定の閾値速度以上で走行している場合に実施例の表示規制を行うので、走行中の必要な表示規制を適切に行うことができる。
【0045】
更にまた、端末装置Tが車載機Mに装着されており、且つ車両が後進中である場合に、ディスプレイ4に表示させる画像として、車両の後方を撮像範囲とするカメラ14(
図2参照)が撮像した後方画像に基づく画像を生成させるので、後進時における安全に寄与することができる。
【0046】
なお、上述した実施例では、車両に搭載された車載システムSSを対象とした本願の構成及び動作について説明したが、これ以外に本願は、例えば二輪車等の移動における表示規制に適用することもできる。
【0047】
また、
図3に示すフローチャートに対応するプログラムを、例えば光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これをマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を、実施例に係る制御部1として機能させることも可能である。