(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061778
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/35 20230101AFI20240426BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240426BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20240426BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H10K59/35 553
H10K59/12
H10K59/80
G09F9/30 365
G09F9/30 338
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034629
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2023186523の分割
【原出願日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2019200562
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三並 徹雄
(57)【要約】
【課題】簡素な構成、構造で精細度を高める。
【解決手段】表示装置は、複数の発光素子群が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に配列された表示装置であって、各発光素子群は、複数の発光素子ユニットから構成されており、各発光素子ユニットは、第1の色を出射する1つの第1発光素子、第2の色を出射する1つの第2発光素子、及び、第3の色を出射する1つの第3発光素子から構成されており、各発光素子群は、第1発光素子を駆動する第1駆動回路、第2発光素子を駆動する第2駆動回路、及び、第3発光素子を駆動する第3駆動回路を備えており、各発光素子群において、第1駆動回路の数は第1発光素子の数と等しく、第2駆動回路の数は第2発光素子の数よりも少なく、第3駆動回路の数は第3発光素子の数よりも少ない。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子群が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に配列された表示装置であって、
各発光素子群は、複数の発光素子ユニットから構成されており、
各発光素子ユニットは、第1の色を出射する1つの第1発光素子、第2の色を出射する1つの第2発光素子、及び、第3の色を出射する1つの第3発光素子から構成されており、
各発光素子群は、第1発光素子を駆動する第1駆動回路、第2発光素子を駆動する第2駆動回路、及び、第3発光素子を駆動する第3駆動回路を備えており、
各発光素子群において、第1駆動回路の数は第1発光素子の数と等しく、第2駆動回路の数は第2発光素子の数よりも少なく、第3駆動回路の数は第3発光素子の数よりも少ない表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、『有機EL表示装置』と略称する)の模式的な一部断面図を
図24に示す。シリコン半導体基板から成る第1基板41に駆動回路20’が配置されており、第1電極31が、第1基板41上に形成された絶縁層26の上に設けられている。そして、第1電極31の上に有機層33が蒸着法や印刷法等に基づき形成され、更に、有機層33の上に第2電極32、平坦化層35、カラーフィルタ層CFが形成されている。そして、このような構造が、封止樹脂層36を介して第2基板42に貼り合わされている。
図24中の参照番号に関しては、実施例1において説明する。
【0003】
発光素子ユニット(1画素)は、通常、赤色光を発光する赤色光発光素子12R、緑色光を発光する緑色光発光素子12G、及び、青色光を発光する青色光発光素子12Bの3つの発光素子(副画素)から構成されている。輝度を高めるために、これに加えて、白色光を発光する白色光発光素子を加える構成もある。また、精細度を高めるために、或る色を発光する発光素子の数を他の色を発光する発光素子に比べて間引く、所謂、ペンタイル(Pen Tile)型のような配置も周知である(例えば、特開2013-187187号公報参照)。
【0004】
そして、1つの発光素子に対して、1つの駆動回路が設けられている。
図25A及び
図26Aには、デルタ配列及びストライプ配列を有する発光素子ユニットにおける発光素子の配列を示す。また、
図25B及び
図26Bには、1つの発光素子12R,12G,12Bに対して設けられた1つの駆動回路DC
R,DC
G,DC
Bを図示する。発光素子12R,12G,12Bと駆動回路DC
R,DC
G,DC
Bとは、図示しないコンタクトホール及び配線層によって接続されている。
図25A及び
図26Aには、4×2個(8組)の発光素子ユニット(画素)を図示しているし、
図25B及び
図26Bには、4×2個(8組)の駆動回路を図示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような構造を有する有機EL表示装置の精細度を高めるために画素ピッチを小さくする場合、発光素子の形成ピッチ、及び、駆動回路の形成ピッチの両方を小さくする必要がある。駆動回路の形成ピッチを小さくするためには、駆動回路を構成するトランジスタや容量、配線等のデザインシュリンクを行う必要がある。然るに、有機EL表示装置では比較的高電圧が必要なこととも相まって、駆動回路の形成ピッチを小さくすることは、屡々、困難である。
【0007】
従って、本開示の目的は、簡素な構成、構造で精細度を高めることができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の表示装置は、複数の発光素子群が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に配列された表示装置であって、
各発光素子群は、複数の発光素子ユニットから構成されており、
各発光素子ユニットは、第1の色を出射する1つの第1発光素子、第2の色を出射する1つの第2発光素子、及び、第3の色を出射する1つの第3発光素子から構成されており、
各発光素子群は、第1発光素子を駆動する第1駆動回路、第2発光素子を駆動する第2駆動回路、及び、第3発光素子を駆動する第3駆動回路を備えており、
各発光素子群において、第1駆動回路の数は第1発光素子の数と等しく、第2駆動回路の数は第2発光素子の数よりも少なく、第3駆動回路の数は第3発光素子の数よりも少ない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A、
図1B及び
図1Cは、それぞれ、実施例1の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図、駆動回路の配置を模式的に示す図、及び、駆動回路及び信号線の配置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1の表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す表示装置の[A]で示す部分に繋がった、実施例1の表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図4】
図4Aは、実施例2の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図であり、
図4B及び
図4Cは、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施例2の表示装置における駆動回路及び信号線の配置を模式的に示す図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、実施例2の表示装置における駆動回路及び信号線の配置を模式的に示す図である。
【
図7】
図7Aは、実施例3の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図であり、
図7B、
図7C及び
図7Dは、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、それぞれ、実施例4の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図、及び、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、それぞれ、実施例5の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図、及び、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、それぞれ、実施例5の表示装置の変形例における発光素子群の模式的な部分的平面図、及び、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、実施例1の表示装置の変形例-1の模式的な一部断面図である。
【
図12】
図12は、実施例1の表示装置の変形例-2の模式的な一部断面図である。
【
図13】
図13は、実施例1の表示装置の変形例-3の模式的な一部断面図である。
【
図14】
図14は、実施例1の表示装置の変形例-4の模式的な一部断面図である。
【
図15】
図15は、実施例6の頭部装着型ディスプレイを構成する画像表示装置の概念図である。
【
図16】
図16は、実施例6の頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図である。
【
図17】
図17は、実施例6の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図である。
【
図18】
図18A及び
図18Bは、それぞれ、実施例6の頭部装着型ディスプレイを側方から眺めた模式図、及び、実施例5の頭部装着型ディスプレイにおける反射型体積ホログラム回折格子の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図19】
図19A及び
図19Bは、本開示の表示装置をレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラに適用した例を示し、デジタルスチルカメラの正面図を
図19Aに、背面図を
図19Bに示す。
【
図20】
図20は、本開示の表示装置の全体の回路構成を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、
図20に示す表示装置に含まれる発光素子及び駆動回路の等価回路図である。
【
図22】
図22は、
図21に示した発光素子及び駆動回路の動作説明に供するタイミングチャートである。
【
図24】
図24は、従来の表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図25】
図25A及び
図25Bは、それぞれ、従来の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図、及び、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【
図26】
図26A及び
図26Bは、それぞれ、従来の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図、及び、駆動回路の配置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の表示装置、第1の形態の表示装置)
3.実施例2(実施例1の変形、第2の形態の表示装置)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.実施例5(実施例1及び実施例2の変形)
7.その他
【0011】
〈本開示の表示装置、全般に関する説明〉
本開示の表示装置は、第2の方向に延びる第1信号線、第2の方向に延びる第2信号線、及び、第2の方向に延びる第3信号線を更に備えており、
各発光素子群において、発光素子ユニットは第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路、第2駆動回路及び第3駆動回路は第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路のそれぞれは、第1信号線のそれぞれに接続されており、
第2駆動回路のそれぞれは、第2信号線のそれぞれに接続されており、
第3駆動回路のそれぞれは、第3信号線のそれぞれに接続されている形態とすることができる。尚、このような形態の表示装置を、便宜上、『第1の形態の表示装置』と呼ぶ。
【0012】
あるいは又、本開示の表示装置は、第2の方向に延びる第1信号線、第2の方向に延びる第2信号線、及び、第2の方向に延びる第3信号線を更に備えており、
各発光素子群において、発光素子ユニットは第2の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路、第2駆動回路及び第3駆動回路は第2の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路の全ては、共有された1本の第1信号線に接続されており、
第2駆動回路及び第3駆動回路は、共有された1本の第2信号線に接続されている形態とすることができる。尚、このような形態の表示装置を、便宜上、『第2の形態の表示装置』と呼ぶ。
【0013】
更には、これらの好ましい形態を含む本開示の表示装置にあっては、各発光素子群において、第1発光素子の数をM1、第2発光素子の数をM2、第3発光素子の数をM3、第1駆動回路の数をN1、第2駆動回路の数をN2、第3駆動回路の数をN3としたとき、
M1=M2=M3=2
N1=2
N2=N3=1
を満足する構成とすることができる。
【0014】
ここで、第1の形態の表示装置にあっては、第1信号線の数をSL1、第2信号線の数をSL数をSL2、第3信号線の数をSL3としたとき、
N1=SL1=2
N2=SL2=1
N3=SL3=1
の関係にある。
【0015】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置において、
第2駆動回路には、2つの第2発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給され、
第3駆動回路には、2つの第3発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給される構成とすることができる。
【0016】
あるいは又、第1の形態の表示装置にあっては、各発光素子群において、第1発光素子の数をM1、第2発光素子の数をM2、第3発光素子の数をM3、第1駆動回路の数をN1、第2駆動回路の数をN2、第3駆動回路の数をN3としたとき、
M1=M2=M3=4
N1=4
N2=2
N3=1
を満足する構成とすることができる。
【0017】
ここで、第1の形態の表示装置にあっては、第1信号線の数をSL1、第2信号線の数をSL数をSL2、第3信号線の数をSL3としたとき、
N1=SL1=4
N2=SL2=2
N3=SL3=1
の関係にある。
【0018】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置において、
第2駆動回路には、2つの第2発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給され、
第3駆動回路には、4つの第3発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給される形態とすることができる。
【0019】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置にあっては、各発光素子ユニットにおいて、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の配列は、デルタ配列である形態とすることもできるし、ストライプ配列である形態とすることもできる。
【0020】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置において、第1の色は緑色であり、第2の色は赤色であり、第3の色は青色である形態とすることができる。あるいは又、第1の色は黄色であり、第2の色はシアン色であり、第3の色はマゼンタ色である形態とすることができる。但し、これらに限定するものではない。
【0021】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置において、
各発光素子ユニットは、更に、第4の色を出射する1つの第4発光素子を有しており、
各発光素子群は、更に、第4発光素子を駆動する第4駆動回路を備えており、
各発光素子群において、第4駆動回路の数は、第4発光素子の数と等しいか、それ以下の数である形態とすることができ、この場合、第1の色は緑色であり、第2の色は赤色であり、第3の色は青色であり、第4の色は白色である形態とすることができる。あるいは又、第1の色は黄色であり、第2の色はシアン色であり、第3の色はマゼンタ色であり、第4の色は白色である形態とすることができる。但し、これらに限定するものではない。
【0022】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置において、第1発光素子の発光部の大きさは、第2発光素子の発光部の大きさ及び第3発光素子の発光部の大きさよりも大きい形態とすることができる。そして、これによって、第1発光素子の発光量を、第2発光素子の発光量、第3発光素子の発光量よりも多くすることができるし、あるいは又、第1発光素子の発光量、第2発光素子の発光量、第3発光素子の発光量の適切化を図ることができ、画質の向上を図ることができる。第1発光素子が緑色光を出射し、第2発光素子が赤色光を出射し、第3発光素子が青色光を出射し、第4発光素子が白色光を出射すると想定した場合、輝度の観点からは、第1発光素子や第4発光素子の発光領域の大きさを、第2発光素子や第3発光素子の発光領域の大きさよりも大きくすることが好ましい。また、発光素子の寿命の観点からは、第3発光素子の発光領域の大きさを、第1発光素子や第2発光素子、第4発光素子の発光領域の大きさよりも大きくすることが好ましい。
【0023】
更には、これらの好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置において、発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子から構成されている形態とすることができる。
【0024】
以下、発光素子に備えられた発光部が有機エレクトロルミネッセンス層を含む形態に関して、即ち、本開示の表示装置が有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)から構成されている形態に関して、説明を行う。
【0025】
表示装置は、
第1基板、及び、第2基板、並びに、
第1基板と第2基板との間に位置し、2次元状に配列された複数の発光素子、
を備えており、
発光素子は発光部を含み、
第1基板の上に形成された基体上に設けられた発光部は、
第1電極、
第2電極、及び、
第1電極と第2電極とによって挟まれた有機層(有機エレクトロルミネッセンス層を含む発光層を含む)、
を少なくとも備えており、
有機層からの光が、第2基板を介して外部に出射され、あるいは又、第1基板を介して外部に出射される。
【0026】
即ち、本開示の表示装置を、第2基板から光を出射するトップエミッション方式(上面発光方式)の表示装置(上面発光型表示装置)とすることもできるし、第1基板から光を出射するボトムエミッション方式(下面発光方式)の表示装置(下面発光型表示装置)とすることもできる。
【0027】
発光部は、上述したとおり、第1基板側から第1電極、有機層及び第2電極から構成されている。第1電極が有機層の一部と接している構成とすることができるし、有機層が第1電極の一部と接している構成とすることができる。具体的には、第1電極の大きさは有機層よりも小さい構成とすることができるし、あるいは又、第1電極の大きさは有機層と同じ大きさであるが、第1電極と有機層との間の一部分に絶縁層が形成されている構成とすることもできるし、あるいは又、第1電極の大きさは有機層より大きい構成とすることもできる。発光部の大きさとは、第1電極と有機層が接している領域(発光領域)の大きさである。
【0028】
そして、有機層は白色光を出射する形態とすることができ、この場合、有機層は、異なる色を発光する少なくとも2層の発光層から構成されている形態とすることができる。具体的には、有機層は、赤色(波長:620nm乃至750nm)を発光する赤色光発光層、緑色(波長:495nm乃至570nm)を発光する緑色光発光層、及び、青色(波長:450nm乃至495nm)を発光する青色光発光層の3層が積層された積層構造を有する形態とすることができ、全体として白色を発光する。あるいは又、有機層は、青色を発光する青色光発光層、及び、黄色を発光する黄色光発光層の2層が積層された構造とすることができ、全体として白色を発光する。あるいは又、有機層は、青色を発光する青色光発光層、及び、橙色を発光する橙色光発光層の2層が積層された構造とすることができ、全体として白色を発光する。有機層は、複数の発光素子において共通化されていてもよいし、各発光素子において個別に設けられていてもよい。そして、このような白色を発光する有機層(発光部)と赤色カラーフィルタ層(あるいは赤色カラーフィルタ層として機能する平坦化層)とを組み合わせることで赤色光発光素子が構成され、白色を発光する有機層(発光部)と緑色カラーフィルタ層(あるいは緑色カラーフィルタ層として機能する平坦化層)とを組み合わせることで緑色光発光素子が構成され、白色を発光する有機層(発光部)と青色カラーフィルタ層(あるいは青色カラーフィルタ層として機能する平坦化層)とを組み合わせることで青色光発光素子が構成される。平坦化層については、後述する。上述したとおり、赤色光発光素子、緑色光発光素子及び青色光発光素子といった副画素の組合せによって発光素子ユニット(1画素)が構成される。場合によっては、上述したとおり、赤色光発光素子、緑色光発光素子、青色光発光素子及び白色(あるいは第4の色)を出射する発光素子(あるいは補色光を出射する発光素子)によって発光素子ユニット(1画素)を構成してもよい。異なる色を発光する少なくとも2層の発光層から構成されている形態にあっては、実際には、異なる色を発光する発光層が混合し、明確に各層に分離されていない場合がある。
【0029】
あるいは又、有機層は、1層の発光層から構成されている形態とすることができる。この場合、発光素子を、例えば、赤色光発光層を含む有機層を有する赤色光発光素子、緑色光発光層を含む有機層を有する緑色光発光素子、あるいは、青色光発光層を含む有機層を有する青色光発光素子から構成することができる。カラー表示の表示装置の場合、これらの3種類の発光素子(副画素)から発光素子ユニット(1画素)が構成される。尚、カラーフィルタ層の形成は、原則、不要であるが、色純度向上のためにカラーフィルタ層を設けてもよい。あるいは又、1副画素を、赤色光発光層を含む有機層を有する赤色光発光素子、緑色光発光層を含む有機層を有する緑色光発光素子、及び、青色光発光層を含む有機層を有する青色光発光素子の積層構造から構成することもできる。
【0030】
基体は第1基板の上あるいは上方に形成されている。基体を構成する材料として、絶縁材料、例えば、SiO2、SiN、SiONを例示することができる。基体は、基体を構成する材料に適した形成方法、具体的には、例えば、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法、メッキ法、電着法、浸漬法、ゾル-ゲル法等の公知の方法に基づき形成することができる。
【0031】
基体の下あるいは下方に、駆動回路が設けられている。駆動回路は、例えば、第1基板を構成するシリコン半導体基板に形成されたトランジスタ(具体的には、例えば、MOSFET)や、第1基板を構成する各種基板に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)から構成されている。駆動回路を構成するトランジスタやTFTと第1電極とは、基体等に形成されたコンタクトホール(コンタクトプラグ)及び配線層を介して接続されている形態とすることができる。駆動回路は、周知の回路構成とすることができる。第2電極は、表示装置の外周部(具体的には、後述する画素アレイ部72の外周部)において、基体等に形成されたコンタクトホール(コンタクトプラグ)を介して駆動部と接続される。
【0032】
第1電極は、各発光素子毎に設けられている。有機層は、各発光素子毎に設けられており、あるいは又、発光素子に共通して設けられている。第2電極は、複数の発光素子において共通電極とされていてもよい。即ち、第2電極は、所謂ベタ電極とされていてもよい。基体の下方あるいは下には第1基板が配置されており、第2電極の上方に第2基板が配置されている。第1基板側に発光素子が形成されており、発光部は基体上に設けられている。
【0033】
第1基板あるいは第2基板を、シリコン半導体基板、高歪点ガラス基板、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)基板、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)基板、フォルステライト(2MgO・SiO2)基板、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)基板、表面に絶縁材料層が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁材料層が形成された石英基板、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチックフィルムやプラスチックシート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)から構成することができる。第1基板と第2基板を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよい。但し、上面発光型表示装置の場合、第2基板は発光素子からの光に対して透明であることが要求されるし、下面発光型表示装置の場合、第1基板は発光素子からの光に対して透明であることが要求される。
【0034】
第1電極を構成する材料として、第1電極をアノード電極として機能させる場合、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)といった仕事関数の高い金属あるいは合金(例えば、銀を主成分とし、0.3質量%乃至1質量%のパラジウム(Pd)と0.3質量%乃至1質量%の銅(Cu)とを含むAg-Pd-Cu合金や、Al-Nd合金、Al-Cu合金、Al-Cu-Ni合金)を挙げることができる。更には、アルミニウム(Al)及びアルミニウムを含む合金等の仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料を用いる場合には、適切な正孔注入層を設けるなどして正孔注入特性を向上させることで、アノード電極として用いることができる。第1電極の厚さとして、0.1μm乃至1μmを例示することができる。あるいは又、後述する光反射層を設ける場合、発光素子からの光に対して透明であることが第1電極には要求されるので、第1電極を構成する材料として、酸化インジウム、インジウム-錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn2O3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、インジウム-ガリウム酸化物(IGO)、インジウム・ドープのガリウム-亜鉛酸化物(IGZO,In-GaZnO4)、IFO(FドープのIn2O3)、ITiO(TiドープのIn2O3)、InSn、InSnZnO、酸化錫(SnO2)、ATO(SbドープのSnO2)、FTO(FドープのSnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム・ドープの酸化亜鉛(AZO)、ガリウム・ドープの酸化亜鉛(GZO)、BドープのZnO、AlMgZnO(酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム・ドープの酸化亜鉛)、酸化アンチモン、酸化チタン、NiO、スピネル型酸化物、YbFe2O4構造を有する酸化物、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ニッケル酸化物等を母層とする透明導電性材料といった各種透明導電材料を挙げることができる。あるいは又、誘電体多層膜やアルミニウム(Al)あるいはその合金(例えば、Al-Cu-Ni合金)といった光反射性の高い反射膜上に、インジウムとスズの酸化物(ITO)や、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。一方、第1電極をカソード電極として機能させる場合、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましいが、アノード電極として用いられる光反射率の高い導電材料に適切な電子注入層を設けるなどして電子注入特性を向上させることで、カソード電極として用いることもできる。
【0035】
第2電極を構成する材料(半光透過材料あるいは光透過材料)として、第2電極をカソード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、有機層(発光層)に対して電子を効率的に注入できるように仕事関数の値の小さな導電材料から構成することが望ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と銀(Ag)[例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金(Mg-Ag合金)]、マグネシウム-カルシウムとの合金(Mg-Ca合金)、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)の合金(Al-Li合金)等の仕事関数の小さい金属あるいは合金を挙げることができ、中でも、Mg-Ag合金が好ましく、マグネシウムと銀との体積比として、Mg:Ag=5:1~30:1を例示することができる。あるいは又、マグネシウムとカルシウムとの体積比として、Mg:Ca=2:1~10:1を例示することができる。第2電極の厚さとして、4nm乃至50nm、好ましくは、4nm乃至20nm、より好ましくは6nm乃至12nmを例示することができる。あるいは又、Ag-Nd-Cu、Ag-Cu、Au及びAl-Cuから成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。あるいは又、第2電極を、有機層側から、上述した材料層と、例えばITOやIZOから成る所謂透明電極(例えば、厚さ3×10-8m乃至1×10-6m)との積層構造とすることもできる。第2電極に対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金等の低抵抗材料から成るバス電極(補助電極)を設け、第2電極全体として低抵抗化を図ってもよい。第2電極の平均光透過率は50%乃至90%、好ましくは60%乃至90%であることが望ましい。一方、第2電極をアノード電極として機能させる場合、必要に応じて発光光を透過し、しかも、仕事関数の値の大きな導電材料から構成することが望ましい。
【0036】
第1電極や第2電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やMOCVD法、イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、所望の形状(パターン)を有する第1電極や第2電極を形成することが可能である。尚、有機層を形成した後、第2電極を形成する場合、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さな成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、有機層のダメージ発生を防止するといった観点から好ましい。有機層にダメージが発生すると、リーク電流の発生による「滅点」と呼ばれる非発光画素(あるいは非発光副画素)が生じる虞がある。
【0037】
有機層は有機発光材料を含む発光層を備えているが、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。有機層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して、有機層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。有機層を真空蒸着法に基づき形成する場合、例えば、所謂メタルマスクを用い、係るメタルマスクに設けられた開口を通過した材料を堆積させることで有機層を得ることができる。
【0038】
発光素子と発光素子との間に遮光部を設けてもよい。遮光部を構成する遮光材料として、具体的には、チタン(Ti)やクロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、MoSi2等の光を遮光することができる材料を挙げることができる。遮光部は、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法等によって形成することができる。
【0039】
第2電極を覆うように保護層が形成されていることが好ましい。また、保護層上あるいは上方にレンズ部材が形成されている形態、あるいは又、保護層上あるいは上方にカラーフィルタ層が形成され、カラーフィルタ層上あるいは上方にレンズ部材が形成されている形態、あるいは又、保護層上あるいは上方にレンズ部材が形成され、レンズ部材上あるいは上方にカラーフィルタ層が形成されている形態とすることができる。そして、これらの上に更に平坦化層が形成されている形態とすることができる。前述したとおり、カラーフィルタ層として機能する平坦化層を設けてもよい。
【0040】
レンズ部材は、半球状、あるいは、球の一部から構成されている形態とすることができるし、広くは、レンズとして機能するのに適した形状から構成されている形態とすることができる。レンズ部材(オンチップマイクロレンズ)は、例えば、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂等の透明樹脂材料、SiO2等の透明無機材料から構成することができ、透明樹脂材料を、メルトフローさせることで得ることができるし、あるいは又、エッチバックすることで得ることができるし、あるいは又、グレートーンマスクを用いたフォトリソグラフィ技術とエッチング法の組合せで得ることができるし、ナノプリント法に基づき透明樹脂材料をレンズ形状に形成するといった方法によって得ることもできる。
【0041】
カラーフィルタ層とカラーフィルタ層との間には、あるいは又、カラーフィルタ層とカラーフィルタ層との間の上方には、あるいは又、隣接するレンズ部材の間には、光吸収層(ブラックマトリクス層)が形成されている形態とすることができ、これによっても、隣接した発光素子間における混色の発生を確実に抑制することができる。光吸収層(ブラックマトリクス層)は、例えば、黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜(具体的には、例えば、黒色のポリイミド系樹脂)から成り、あるいは又、薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタから構成されている。薄膜フィルタは、例えば、金属、金属窒化物あるいは金属酸化物から成る薄膜を2層以上積層して成り、薄膜の干渉を利用して光を減衰させる。薄膜フィルタとして、具体的には、Crと酸化クロム(III)(Cr2O3)とを交互に積層したものを挙げることができる。
【0042】
保護層や平坦化層を構成する材料として、アクリル系樹脂を例示することができるし、SiO2、SiN、SiON、SiC、アモルファスシリコン(α-Si)、Al2O3、TiO2を例示することもできる。保護層や平坦化層は、単層構成とすることもできるし、複数層から構成することもできる。保護層や平坦化層の形成方法として、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法等の公知の方法に基づき形成することができる。また、保護層や平坦化層の形成方法として、更には、ALD(Atomic Layer Deposition)法を採用することもできる。保護層や平坦化層は、複数の発光素子において共通化されていてもよいし、各発光素子において個別に設けられていてもよい。
【0043】
平坦化層と第2基板とは、例えば、樹脂層(封止樹脂層)を介して接合される。樹脂層(封止樹脂層)を構成する材料として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤といった熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。樹脂層(封止樹脂層)が平坦化層を兼用していてもよい。
【0044】
上述したとおり、場合によっては、平坦化層はカラーフィルタ層としての機能を有する形態とすることもできる。このような平坦化層は、周知のカラーレジスト材料から構成すればよい。白色を出射する発光素子にあっては透明なフィルタを配設すればよい。このように平坦化層をカラーフィルタ層としても機能させることで、有機層と平坦化層(カラーフィルタ層)とが近接するので、発光素子から出射する光を広角化させても混色の防止を効果的に図ることができ、視野角特性が向上する。但し、カラーフィルタ層を、平坦化層とは別に、独立して、平坦化層上あるいは上方、平坦化層の下あるいは下方に設けてもよい。
【0045】
表示装置の光を出射する最外面(具体的には、例えば、第2基板の外面)には、紫外線吸収層、汚染防止層、ハードコート層、帯電防止層を形成してもよいし、保護部材(例えば、カバーガラス)を配してもよい。
【0046】
表示装置においては、絶縁層や層間絶縁膜が形成されるが、これらを構成する絶縁材料として、SiO2、NSG(ノンドープ・シリケート・ガラス)、BPSG(ホウ素・リン・シリケート・ガラス)、PSG、BSG、AsSG、SbSG、PbSG、SOG(スピンオングラス)、LTO(Low Temperature Oxide、低温CVD-SiO2)、低融点ガラス、ガラスペースト等のSiOX系材料(シリコン系酸化膜を構成する材料);SiON系材料を含むSiN系材料;SiOC;SiOF;SiCNを挙げることができる。あるいは又、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化クロム(CrOx)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化スズ(SnO2)、酸化バナジウム(VOx)といった無機絶縁材料を挙げることができる。あるいは又、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂といった各種樹脂や、SiOCH、有機SOG、フッ素系樹脂といった低誘電率絶縁材料(例えば、誘電率k(=ε/ε0)が例えば3.5以下の材料であり、具体的には、例えば、フルオロカーボン、シクロパーフルオロカーボンポリマー、ベンゾシクロブテン、環状フッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アモルファステトラフルオロエチレン、ポリアリールエーテル、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、パリレン(ポリパラキシリレン)、フッ化フラーレン)を挙げることができるし、Silk(The Dow Chemical Co. の商標であり、塗布型低誘電率層間絶縁膜材料)、Flare(Honeywell Electronic Materials Co. の商標であり、ポリアリルエーテル(PAE)系材料)を例示することもできる。そして、これらを、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。場合によっては、基体を、以上に説明した材料から構成してもよい。絶縁層や層間絶縁膜、基体は、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法、メッキ法、電着法、浸漬法、ゾル-ゲル法等の公知の方法に基づき形成することができる。
【0047】
有機EL表示装置は、更に一層の光取出し効率の向上を図るために、共振器構造を有することが好ましい。具体的には、第1電極と有機層との界面によって構成された第1界面(あるいは、第1電極の下に層間絶縁膜が設けられ、層間絶縁膜の下に光反射層が設けられた構造にあっては、光反射層と層間絶縁膜との界面によって構成された第1界面)と、第2電極と有機層との界面によって構成された第2界面との間で、発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2電極から出射させる。そして、発光層の最大発光位置から第1界面までの光学距離をOL1、発光層の最大発光位置から第2界面までの光学距離をOL2とし、m1及びm2を整数としたとき、以下の式(1-1)及び式(1-2)を満たす構成とすることができる。
【0048】
0.7{-Φ1/(2π)+m1}≦2×OL1/λ≦1.2{-Φ1/(2π)+m1} (1-1)
0.7{-Φ2/(2π)+m2}≦2×OL2/λ≦1.2{-Φ2/(2π)+m2} (1-2)
ここで、
λ :発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1:第1界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)。但し、-2π<Φ1≦0
Φ2:第2界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)。但し、-2π<Φ2≦0
である。
【0049】
ここで、m1の値は0以上の値であり、m2の値は、m1の値と独立して、0以上の値であるが、(m1,m2)=(0,0)である形態、(m1,m2)=(0,1)である形態、(m1,m2)=(1,0)である形態、(m1,m2)=(1,1)である形態を例示することができる。
【0050】
発光層の最大発光位置から第1界面までの距離L1とは、発光層の最大発光位置から第1界面までの実際の距離(物理的距離)を指し、発光層の最大発光位置から第2界面までの距離L2とは、発光層の最大発光位置から第2界面までの実際の距離(物理的距離)を指す。また、光学距離とは、光路長とも呼ばれ、一般に、屈折率nの媒質中を距離Lだけ光線が通過したときのn×Lを指す。以下においても、同様である。従って、平均屈折率をnaveとしたとき、
OL1=L1×nave
OL2=L2×nave
の関係がある。ここで、平均屈折率naveとは、有機層(あるいは、有機層、第1電極及び層間絶縁膜)を構成する各層の屈折率と厚さの積を合計し、有機層(あるいは、有機層、第1電極及び層間絶縁膜)の厚さで除したものである。
【0051】
発光層で発生した光の内の所望の波長λ(具体的には、例えば、赤色の波長、緑色の波長、青色の波長)を決定し、式(1-1)及び式(1-2)に基づき発光素子におけるOL1,OL2等の各種パラメータを求めて、発光素子を設計すればよい。
【0052】
第1電極又は光反射層及び第2電極は入射した光の一部を吸収し、残りを反射する。従って、反射される光に位相シフトが生じる。この位相シフト量Φ1,Φ2は、第1電極又は光反射層及び第2電極を構成する材料の複素屈折率の実数部分と虚数部分の値を、例えばエリプソメータを用いて測定し、これらの値に基づく計算を行うことで求めることができる(例えば、"Principles of Optic", Max Born and Emil Wolf, 1974 (PERGAMON PRESS) 参照)。有機層や層間絶縁膜等の屈折率も、あるいは又、第1電極の屈折率も、あるいは又、第1電極が入射した光の一部を吸収し、残りを反射する場合の第1電極の屈折率も、エリプソメータを用いて測定することで求めることができる。
【0053】
光反射層を構成する材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、Al-NdやAl-Cu)、Al/Ti積層構造、Al-Cu/Ti積層構造、クロム(Cr)、銀(Ag)、銀合金(例えば、Ag-Cu、Ag-Pd-Cu、Ag-Sm-Cu)を挙げることができ、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等によって形成することができる。光反射層を構成する材料に依っては、成膜される光反射層の結晶状態の制御のために、例えば、TiNから成る下地層を形成しておくことが好ましい。
【0054】
このように、共振器構造を有する有機EL表示装置にあっては、実際には、白色を発光する有機層と赤色カラーフィルタ層(あるいは赤色カラーフィルタ層として機能する平坦化層)とを組み合わせることで構成された赤色光発光素子は、発光層で発光した赤色光を共振させて、赤味がかった光(赤色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。また、白色を発光する有機層と緑色カラーフィルタ層(あるいは緑色カラーフィルタ層として機能する平坦化層)とを組み合わせることで構成された緑色光発光素子は、発光層で発光した緑色光を共振させて、緑味がかった光(緑色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。更には、白色を発光する有機層と青色カラーフィルタ層(あるいは青色カラーフィルタ層として機能する平坦化層)とを組み合わせることで構成された青色光発光素子は、発光層で発光した青色光を共振させて、青味がかった光(青色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。即ち、発光層で発生した光の内の所望の波長λ(具体的には、赤色の波長、緑色の波長、青色の波長)を決定し、式(1-1)及び式(1-2)に基づき、赤色光発光素子、緑色光発光素子、青色光発光素子のそれぞれにおけるOL1,OL2等の各種パラメータを求めて、各発光素子を設計すればよい。例えば、特開2012-216495号公報の段落番号[0041]には、有機層を共振部とした共振器構造を有する有機EL素子が開示されており、発光点(発光面)から反射面までの距離を適切に調整することが可能となるため、有機層の膜厚は、80nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上350nm以下であることがより好ましいと記載されている。
【0055】
有機EL表示装置にあっては、正孔輸送層(正孔供給層)の厚さと電子輸送層(電子供給層)の厚さは、概ね等しいことが望ましい。あるいは又、正孔輸送層(正孔供給層)よりも電子輸送層(電子供給層)を厚くしてもよく、これによって、低い駆動電圧で高効率化に必要な、且つ、発光層への十分な電子供給が可能となる。即ち、アノード電極に相当する第1電極と発光層との間に正孔輸送層を配置し、しかも、電子輸送層よりも薄い膜厚で形成することで、正孔の供給を増大させることが可能となる。そして、これにより、正孔と電子の過不足がなく、且つ、キャリア供給量も十分多いキャリアバランスを得ることができるため、高い発光効率を得ることができる。また、正孔と電子の過不足がないことで、キャリアバランスが崩れ難く、駆動劣化が抑制され、発光寿命を長くすることができる。
【0056】
表示装置は、例えば、パーソナルコンピュータを構成するモニタ装置として使用することができるし、テレビジョン受像機や携帯電話、PDA(携帯情報端末,Personal Digital Assistant)、ゲーム機器に組み込まれたモニタ装置、プロジェクタに組み込まれた表示装置として使用することができる。あるいは又、電子ビューファインダ(Electronic View Finder,EVF)や頭部装着型ディスプレイ(Head Mounted Display,HMD)に適用することができるし、VR(Virtual Reality)用、MR(Mixed Reality)用、あるいは、AR(Augmented Reality)用の表示装置に適用することができる。あるいは又、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、家電製品の表示部、ポイントカード等のカード表示部、電子広告、電子POPにおける画像表示装置を構成することができる。本開示の表示装置を発光装置として使用し、液晶表示装置用のバックライト装置や面状光源装置を含む各種照明装置を構成することができる。
【0057】
[実施例1]
実施例1は、本開示の表示装置、第1の形態の表示装置に関する。実施例1の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図を
図1Aに示し、駆動回路の配置を模式的に
図1Bに示し、駆動回路及び信号線の配置を模式的に
図1Cに示し、実施例1の表示装置の模式的な一部断面図を
図2、及び、
図2に示す表示装置の[A]で示す部分に繋がった表示装置の模式的な一部断面図を
図3に示す。
図1Aには4つ(4組)の発光素子ユニットを図示し、
図1B及び
図1Cには、4つ(4組)の駆動回路を図示する。
【0058】
【0059】
尚、以下の説明において、発光素子12G1及び発光素子12G2等、緑色光を出射する発光素子を総称して『発光素子12G』と呼び、発光素子12R1及び発光素子12R2等、赤色光を出射する発光素子を総称して『発光素子12R』と呼び、発光素子12B1及び発光素子12B2等、青色光を出射する発光素子を総称して『発光素子12B』と呼び、発光素子12W1及び発光素子12W2等、白色光を出射する発光素子を総称して『発光素子12W』と呼び、発光素子12G、発光素子12R、発光素子12B、発光素子12Wを総称して『発光素子12』と呼ぶ場合がある。
【0060】
実施例1の表示装置は、複数の発光素子群10が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に配列されており、
各発光素子群10は、複数の発光素子ユニット11から構成されており、
各発光素子ユニット11は、第1の色を出射する1つの第1発光素子12G、第2の色を出射する1つの第2発光素子12R、及び、第3の色を出射する1つの第3発光素子12Bから構成されており、
各発光素子群10は、第1発光素子12Gを駆動する第1駆動回路、第2発光素子12Rを駆動する第2駆動回路、及び、第3発光素子12Bを駆動する第3駆動回路を備えており、
各発光素子群10において、第1駆動回路の数は第1発光素子12Gの数と等しく、第2駆動回路の数は第2発光素子12Rの数よりも少なく、第3駆動回路の数は第3発光素子12Bの数よりも少ない。
【0061】
そして、実施例1の表示装置は、第2の方向に延びる第1信号線、第2の方向に延びる第2信号線、及び、第2の方向に延びる第3信号線を更に備えており、
各発光素子群10において、発光素子ユニット11は第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路、第2駆動回路及び第3駆動回路は第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路のそれぞれは、第1信号線のそれぞれに接続されており、
第2駆動回路のそれぞれは、第2信号線のそれぞれに接続されており、
第3駆動回路のそれぞれは、第3信号線のそれぞれに接続されている。
【0062】
具体的には、実施例1の表示装置にあっては、各発光素子群10において、第1発光素子12Gの数をM1、第2発光素子12Rの数をM2、第3発光素子12Bの数をM3、第1駆動回路の数をN1、第2駆動回路の数をN2、第3駆動回路の数をN3としたとき、
M1=M2=M3=2
N1=2
N2=N3=1
を満足する。実施例1にあっては、発光素子群10は2つの発光素子ユニット11から構成されている。即ち、
第1の発光素子ユニット111は、発光素子12G1、発光素子12R1、発光素子12B1から構成されており、
第2の発光素子ユニット112は、発光素子12G2、発光素子12R2、発光素子12B2から構成されている。
【0063】
そして、第1信号線の数をSL1、第2信号線の数をSL数をSL2、第3信号線の数をSL3としたとき、
N1=SL1=2
N2=SL2=1
N3=SL3=1
の関係にある。
【0064】
ここで、
2つの第1発光素子12Gを、参照番号12G1,12G2で表し、
2つの第2発光素子12Rを、参照番号12R1,12R2で表し、
2つの第3発光素子12Bを、参照番号12B1,12B2で表す。
【0065】
また、
2つの第1駆動回路を、参照番号DRG1,DRG2で表し、
1つの第2駆動回路を、参照番号DRR12で表し、
1つの第3駆動回路を、参照番号DRB12で表す。
【0066】
更には、
2本の第1信号線を、参照番号SLG1,SLG2で表し、
1本の第2信号線を、参照番号SLR12で表し、
1本の第3信号線を、参照番号SLB12で表す。
【0067】
より具体的には、
第1駆動回路DRG1は、第1信号線SLG1に接続されており、
第1駆動回路DRG2は、第1信号線SLG2のそれぞれに接続されており、
1つの第2駆動回路DRR12は、第2信号線SLR12に接続されており、
1つの第3駆動回路DRB12は、第3信号線SLB12に接続されている。
【0068】
そして、
第2駆動回路DRR12には、2つの第2発光素子12R1,12R2のそれぞれに対する信号が階調平均された信号DTR12が供給され、
第3駆動回路DRB12には、2つの第3発光素子12B1,12B2のそれぞれに対する信号が階調平均された信号DTB12が供給される。
【0069】
具体的には、後述する水平セレクタから、第1信号線SLG1を介して、第1発光素子12G1の輝度を制御するデータ信号DTG1が第1駆動回路DRG1に送られ、第1発光素子12G1の輝度制御がなされ、第1信号線SLG2を介して、第1発光素子12G2の輝度を制御するデータ信号DTG2が第1駆動回路DRG2に送られ、第1発光素子12G2の輝度制御がなされる。
【0070】
また、水平セレクタにおいて、第2発光素子12R1の輝度を制御するデータ信号及び第2発光素子12R2の輝度を制御するデータ信号の階調平均TR12が求められ、第2信号線SLR12を介して、第2発光素子12R1,12R2の輝度を制御する階調平均TR12に基づく信号(データ信号)DTR12が第2駆動回路DRR12に送られ、第2発光素子12R1,12R2の輝度制御がなされる。更には、水平セレクタにおいて、第3発光素子12B1の輝度を制御するデータ信号及び第3発光素子12B2の輝度を制御するデータ信号の階調平均TB12が求められ、第3信号線SLB12を介して、第3発光素子12B1,12B2の輝度を制御する階調平均TB12に基づく信号(データ信号)DTB12が第3駆動回路DRB12に送られ、第3発光素子12B1,12B2の輝度制御がなされる。
【0071】
図23に模式図を示すように、一般に、入力階調Tと輝度Lとの間には、kを定数としたとき、例えば、
L=k×T
2.2
の関係がある。「2.2」はガンマ値である。従って、例えば、「100」階調を有するデータ信号における輝度と、「200」階調を有するデータ信号における輝度とを平均化する場合、水平セレクタは、(100+200)/2=150階調のデータ信号を出力するのではなく、データ信号として、輝度の平均が得られるような階調平均を第2発光素子12R
1,12R
2及び第3発光素子12B
1,12B
2に送出する必要がある。即ち、例えば、本来、第2発光素子12R
1において表示すべき画像の輝度をL
R1、第2発光素子12R
2において表示すべき画像の輝度をL
R2とすると、第2発光素子12R
1,12R
2において表示すべき画像の平均輝度は[(L
R1+L
R2)/2]となる。従って、
[(L
R1+L
R2)/2]=k×T
R12
2.2
を満足する階調平均T
R12、更には、階調平均T
R12に基づくデータ信号DT
R12を水平セレクタは生成し、第2信号線SL
R12を介して、第2発光素子12R
1,12R
2に送出すればよい。第3発光素子12B
1,12B
2においても同様である。
【0072】
実施例1の表示装置にあっては、各発光素子ユニット11において、第1発光素子12G、第2発光素子12R及び第3発光素子12Bの配列を、デルタ配列とした。
【0073】
また、実施例1の発光素子において、限定するものではないが、第1の色は緑色であり、第2の色は赤色であり、第3の色は青色である形態とした。発光素子12は有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)から構成されており、表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)から構成されており、また、アクティブマトリクス表示装置である。
【0074】
具体的には、実施例1あるいは後述する実施例2~実施例5の表示装置は、
第1基板41、及び、第2基板42、並びに、
第1基板41と第2基板42との間に位置し、2次元状に配列された複数の発光素子12(12R,12G,12B)、
を備えており、
発光素子12(12R,12G,12B)は発光部30を含み、
第1基板41の上に形成された基体26上に設けられた発光部30は、
第1電極31、
第2電極32、及び、
第1電極31と第2電極32とによって挟まれた有機層(有機エレクトロルミネッセンス層を含む発光層を有する)33、
を少なくとも備えており、
有機層33からの光が、第2基板42を介して外部に出射される。
【0075】
より具体的には、各発光素子12(12R,12G,12B)に含まれる発光部30は、第1基板41の上に形成された基体26上に設けられており、
発光部30は、
第1電極31、
第1電極31の上に形成された有機層(有機エレクトロルミネッセンス層)33、及び、
有機層33の上に形成された第2電極32、
を少なくとも備えている。
【0076】
そして、第2電極32の上には、第2電極32を覆うようにアクリル系樹脂から成る保護層34が形成されている。保護層34の頂面又は上方には(実施例1あるいは後述する実施例2~実施例5にあっては、具体的には、保護層34の上には)、周知の方法で、周知の材料から成るカラーフィルタ層CFが形成されており、カラーフィルタ層CFの上には平坦化層35が形成されている。尚、発光部30及びカラーフィルタ層CFの外形形状を、例えば円形としたが、このような形状に限定されるものではない。
【0077】
カラーフィルタ層CF(CFR,CFG,CFB)上に形成された平坦化層35は、封止樹脂層36を介して第2基板42に貼り合わされている。封止樹脂層36を構成する材料として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤といった熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。カラーフィルタ層CFは、第1基板側に形成されたOCCF(オンチップカラーフィルタ層)である。そして、これによって、有機層33とカラーフィルタ層CFとの間の距離を短くすることができ、有機層33から出射した光が隣接する他色のカラーフィルタ層CFに入射して混色が生じることを抑制することができる。場合によっては、平坦化層35を省略し、カラーフィルタ層CFを封止樹脂層36を介して第2基板42に貼り合わせてもよい。
【0078】
有機EL素子から構成された実施例1~実施例5の発光素子12において、有機層33は、赤色光発光層、緑色光発光層及び青色光発光層の積層構造を有する。前述したように、1つの発光素子ユニット(1画素)は、赤色光発光素子12R、緑色光発光素子12G及び青色光発光素子12Bの3つの発光素子から構成されている。発光素子12を構成する有機層33は白色光を発光し、各発光素子12R,12G,12Bは、白色光を発光する有機層33とカラーフィルタ層CFR,CFG,CFBとの組合せから構成されている。赤色を表示すべき赤色光発光素子12Rには赤色カラーフィルタ層CFRが備えられており、緑色を表示すべき緑色光発光素子12Gには緑色カラーフィルタ層CFGが備えられており、青色を表示すべき青色光発光素子12Bには青色カラーフィルタ層CFBが備えられている。赤色光発光素子12R、緑色光発光素子12G及び青色光発光素子12Bは、カラーフィルタ層、発光層の位置を除き、実質的に同じ構成、構造を有する。画素数は、例えば1920×1080であり、1つの発光素子(表示素子)は1つの副画素を構成し、発光素子(具体的には有機EL素子)は画素数の3倍である。
【0079】
CVD法に基づき形成されたSiO2から成る基体26の下方には、駆動回路が設けられている。駆動回路は周知の回路構成とすることができる。駆動回路は、第1基板41に相当するシリコン半導体基板に形成されたトランジスタ(具体的には、MOSFET)から構成されている。MOSFETから構成されたトランジスタ20は、第1基板41上に形成されたゲート絶縁層22、ゲート絶縁層22上に形成されたゲート電極21、第1基板41に形成されたソース/ドレイン領域24、ソース/ドレイン領域24の間に形成されたチャネル形成領域23、並びに、チャネル形成領域23及びソース/ドレイン領域24を取り囲む素子分離領域25から構成されている。基体26は、下層層間絶縁層26A及び上層層間絶縁層26Bから構成されている。
【0080】
そして、第1発光素子12G1において、トランジスタ20(第1駆動回路DRG1)と第1電極31とは、下層層間絶縁層26Aに設けられたコンタクトプラグ27A、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CG1、コンタクトプラグ27Bを介して電気的に接続されている。また、第1発光素子12G2において、トランジスタ20(第1駆動回路DRG2)と第1電極31とは、下層層間絶縁層26Aに設けられたコンタクトプラグ27A、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CG2、コンタクトプラグ27Bを介して電気的に接続されている。
【0081】
第2発光素子12R1において、トランジスタ20(第2駆動回路DRR12)と第1電極31とは、下層層間絶縁層26Aに設けられたコンタクトプラグ27A、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CB12-A、コンタクトプラグ27Bを介して電気的に接続されている。また、第2発光素子12R2において、トランジスタ20(第2駆動回路DRR12)と第1電極31とは、下層層間絶縁層26Aに設けられたコンタクトプラグ27A、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CB12-A、下層層間絶縁層26A上に設けられた配線層(図示せず)、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CB12-B、コンタクトプラグ27Bを介して電気的に接続されている。
【0082】
第3発光素子12B1において、トランジスタ20(第3駆動回路DRB12)と第1電極31とは、下層層間絶縁層26Aに設けられたコンタクトプラグ27A、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CB12-A、コンタクトプラグ27Bを介して電気的に接続されている。また、第3発光素子12B2において、トランジスタ20(第3駆動回路DRB12)と第1電極31とは、下層層間絶縁層26Aに設けられたコンタクトプラグ27A、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CB12-A、下層層間絶縁層26A上に設けられた配線層(図示せず)、下層層間絶縁層26A上に設けられたパッド部27CB12-B、コンタクトプラグ27Bを介して電気的に接続されている。
【0083】
尚、図面においては、1つの駆動回路につき、1つのトランジスタ20を図示した。
【0084】
第2電極32は、表示装置の外周部(具体的には、後述する画素アレイ部72の外周部)において、基体26に形成された図示しないコンタクトホール(コンタクトプラグ)を介して駆動部と接続されている。表示装置の外周部において、第2電極32の下方に第2電極32に接続された補助電極を設け、補助電極を駆動回路と接続してもよい。
【0085】
第1電極31はアノード電極として機能し、第2電極32はカソード電極として機能する。第1電極31は、光反射材料層、具体的には、例えば、Al-Nd合金層、Al-Cu合金層、Al-Ti合金層とITO層の積層構造から成り、第2電極32は、ITO等の透明導電材料から成る。第1電極31は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき、基体26の上に形成されている。また、第2電極32は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されており、パターニングされていない。有機層33もパターニングされていない。但し、これに限定するものではなく、有機層33をパターニングしてもよい。即ち、有機層33を副画素毎に塗り分け、赤色光発光素子の有機層33を赤色を発光する有機層から構成し、緑色光発光素子の有機層33を緑色を発光する有機層から構成し、青色光発光素子の有機層33を青色を発光する有機層から構成してもよい。
【0086】
実施例1において、有機層33は、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、及び、電子注入層(EIL:Electron InjectionLayer)の積層構造を有する。発光層は、異なる色を発光する少なくとも2層の発光層から構成されており、前述したとおり、有機層33から出射される光は白色である。具体的には、有機層は、上述したとおり、赤色を発光する赤色光発光層、緑色を発光する緑色光発光層、及び、青色を発光する青色光発光層の3層が積層された構造を有する。有機層を、青色を発光する青色光発光層、及び、黄色を発光する黄色光発光層の2層が積層された構造とすることもできるし、青色を発光する青色光発光層、及び、橙色を発光する橙色光発光層の2層が積層された構造とすることができる。
【0087】
正孔注入層は、正孔注入効率を高める層であると共に、リークを防止するバッファ層として機能し、厚さは、例えば2nm乃至10nm程度である。正孔注入層は、例えば、以下の式(A)又は式(B)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体から成る。尚、正孔注入層の端面が第2電極と接した状態になると、画素間の輝度バラツキ発生の主たる原因となり、表示画質の低下につながる。
【0088】
【0089】
ここで、R1~R6は、それぞれ、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、アルールアミノ基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のカルボニル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のカルボニルエステル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルコキシ基、炭素数30以下の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数30以下の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、又は、シリル基から選ばれる置換基であり、隣接するRm(m=1~6)は環状構造を介して互いに結合してもよい。また、X1~X6は、それぞれ、独立に、炭素又は窒素原子である。
【0090】
【0091】
正孔輸送層は発光層への正孔輸送効率を高める層である。発光層では、電界が加わると電子と正孔との再結合が起こり、光を発生する。電子輸送層は発光層への電子輸送効率を高める層であり、電子注入層は発光層への電子注入効率を高める層である。
【0092】
正孔輸送層は、例えば、厚さが40nm程度の4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)又はα-ナフチルフェニルジアミン(αNPD)から成る。
【0093】
発光層は、混色により白色光を生じる発光層であり、例えば、上述したとおり、赤色光発光層、緑色光発光層及び青色光発光層が積層されて成る。
【0094】
赤色光発光層では、電界が加わることにより、第1電極31から注入された正孔の一部と、第2電極32から注入された電子の一部とが再結合して、赤色の光が発生する。このような赤色光発光層は、例えば、赤色発光材料、正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種の材料を含んでいる。赤色発光材料は、蛍光性の材料であってもよいし、燐光性の材料であってもよい。厚さが5nm程度の赤色光発光層は、例えば、4,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)に、2,6-ビス[(4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル]-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)を30質量%混合したものから成る。
【0095】
緑色光発光層では、電界が加わることにより、第1電極31から注入された正孔の一部と、第2電極32から注入された電子の一部とが再結合して、緑色の光が発生する。このような緑色光発光層は、例えば、緑色発光材料、正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種の材料を含んでいる。緑色発光材料は、蛍光性の材料であってもよいし、燐光性の材料であってもよい。厚さが10nm程度の緑色光発光層は、例えば、DPVBiに、クマリン6を5質量%混合したものから成る。
【0096】
青色光発光層では、電界が加わることにより、第1電極31から注入された正孔の一部と、第2電極32から注入された電子の一部とが再結合して、青色の光が発生する。このような青色光発光層は、例えば、青色発光材料、正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種の材料を含んでいる。青色発光材料は、蛍光性の材料であってもよいし、燐光性の材料であってもよい。厚さが30nm程度の青色光発光層は、例えば、DPVBiに、4,4’-ビス[2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5質量%混合したものから成る。
【0097】
厚さが20nm程度の電子輸送層は、例えば、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)から成る。厚さが0.3nm程度の電子注入層は、例えば、LiFあるいはLi2O等から成る。
【0098】
但し、各層を構成する材料は例示であり、これらの材料に限定するものではない。発光層を燐光性の材料から構成すれば、蛍光性の材料から構成した場合と比較して2.5倍~3倍程度の輝度増加を図ることができる。また、発光層を、熱活性化遅延蛍光(TADF,Thermally Activated Delayed Fluorescence)材料から構成することもできる。また、例えば、発光層は、青色光発光層と黄色光発光層から構成されていてもよいし、青色光発光層と橙色光発光層から構成されていてもよい。
【0099】
発光素子12は、有機層33を共振部とした共振器構造を有している。発光面から反射面までの距離(具体的には、発光面から第1電極31及び第2電極32までの距離)を適切に調整するために、有機層33の厚さは、8×10-8m以上、5×10-7m以下であることが好ましく、1.5×10-7m以上、3.5×10-7m以下であることがより好ましい。共振器構造を有する有機EL表示装置にあっては、実際には、赤色光発光素子12Rは、発光層で発光した赤色光を共振させて、赤味がかった光(赤色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極32から出射する。また、緑色光発光素子12Gは、発光層で発光した緑色光を共振させて、緑味がかった光(緑色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極32から出射する。更には、青色光発光素子12Bは、発光層で発光した青色光を共振させて、青味がかった光(青色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極32から出射する。
【0100】
以下、
図1及び
図2に示した実施例1の発光素子12の製造方法の概要を説明する。
【0101】
[工程-100]
先ず、シリコン半導体基板(第1基板41)に駆動回路を公知のMOSFET製造プロセスに基づき形成する。
【0102】
[工程-110]
次いで、CVD法に基づき全面に下層層間絶縁層26Aを形成する。そして、トランジスタ20の一方のソース/ドレイン領域24の上方に位置する下層層間絶縁層26Aの部分に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき接続孔を形成し、接続孔を含む下層層間絶縁層26Aの上に金属層を、例えば、スパッタリング法に基づき形成し、更に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき金属層をパターニングすることで、コンタクトホール(コンタクトプラグ)27A及びパッド部27Cを形成することができるし、パッド部27Cとパッド部とを結ぶ配線(図示せず)を形成することができる。
【0103】
[工程-120]
そして、全面に上層層間絶縁層26Bを形成し、所望のパッド部27Cの上方に位置する上層層間絶縁層26Bの部分に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき接続孔を形成し、接続孔を含む上層層間絶縁層26Bの上に金属層を、例えば、スパッタリング法に基づき形成し、次いで、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき金属層をパターニングすることで、基体26の一部分の上に第1電極31を形成することができる。第1電極31は、各発光素子毎に分離されている。併せて、接続孔内に第1電極31とトランジスタ20とを電気的に接続するコンタクトホール(コンタクトプラグ)27Bを形成することができる。
【0104】
[工程-130]
次に、例えば、CVD法に基づき、全面に絶縁層28を形成した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、第1電極31と第1電極31との間の基体26の上に絶縁層28を残す。
【0105】
[工程-140]
その後、第1電極31及び絶縁層28の上に、有機層33を、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法といったPVD法、スピンコート法やダイコート法等のコーティング法等によって成膜する。場合によっては、有機層33を所望の形状にパターニングしてもよい。
【0106】
[工程-150]
次いで、例えば真空蒸着法等に基づき、全面に第2電極32を形成する。場合によっては、第2電極32を所望の形状にパターニングしてもよい。このようにして、第1電極31上に、有機層33及び第2電極32を形成することができる。
【0107】
[工程-160]
その後、塗布法に基づき、全面に保護層34を形成した後、保護層34の頂面を平坦化処理する。塗布法に基づき保護層34を形成することができるので、加工プロセスの制約が少なく、材料選択幅が広く、高屈折率材料の使用が可能となる。その後、周知の方法で、保護層34の上にカラーフィルタ層CF(CFR,CFG,CFB)を形成する。
【0108】
[工程-170]
そして、カラーフィルタ層CFの上に平坦化層35を形成する。その後、平坦化層35と第2基板42とをアクリル系接着剤から成る封止樹脂層36によって貼り合わせる。こうして、
図1、
図2に示した発光素子(有機EL素子)12、実施例1の表示装置を得ることができる。このように、第2基板側にカラーフィルタ層CFを設けるのではなく、第1基板側にカラーフィルタ層CFを設ける、所謂OCCF型とすることで、有機層33とカラーフィルタ層CFとの間の距離を短くすることができる。
【0109】
実施例1の表示装置にあっては、第2発光素子及び第3発光素子を駆動するための第2駆動回路及び第3駆動回路が間引かれている。従って、発光素子全体の数に対する駆動回路全体の数の削減を図ることができる。即ち、駆動回路の形成ピッチを小さくすること無く、多くの発光素子を配設することが可能となり、発光素子の精細度を高めることが可能となる。あるいは又、駆動回路の密度を低下させることができ、これによって、表示装置の製造歩留りの向上、画質品位の向上、低製造コスト化を図ることができる。しかも、発光素子群の構成、構造は、従来の表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、表示装置の設計、製造等に関して、従来の表示装置からの大幅な変更をしなくてもよいし、発光素子群の配置・配列の如何を問わず、適用することができる。また、発光素子群と駆動回路とを高い自由度で組み合わせることが可能となる。尚、緑色は、赤色や青色よりも視認性が高い。従って、1つの発光素子群において、2つの緑色光発光素子を独立に駆動し、2つの赤色光発光素子を平均化されたデータ信号に基づき駆動し、2つの青色光発光素子を平均化されたデータ信号に基づき駆動しても、表示装置に表示される画像の画質に、特段、問題は生じない。
【0110】
以下、駆動部について説明するが、実施例1~実施例6における表示装置の全体の回路構成を示すブロック図を
図20に示し、
図20に示す表示装置に含まれる発光素子及び駆動回路の等価回路図を
図21に示し、
図21に示した副画素76の動作説明に供するタイミングチャートを
図22に示す。
【0111】
表示装置71は、画素アレイ部72とこれを駆動する駆動部(73,74,75)を備えている。
【0112】
画素アレイ部72は、
第1の方向に延びる走査線WSL101~WSL10m、
第2の方向に延びる信号線(SL)DTL101~DTL10n、
走査線と信号線が交差する領域に配された副画素(PXLC)76、及び、
第1の方向に沿って配列された副画素76に対応して配された電源線DSL101~DSL10m、
を備えている。
【0113】
駆動部(73,74,75)は、
各走査線WSL101~WSL10mに、順次、制御信号を供給して、副画素76を行単位で線順次走査するライトスキャナ(主スキャナWSCN)74、
この線順次走査に合わせて、各電源線DSL101~DSL10mに対して第1電位及び第2電位に切り換わる電圧を供給する電源スキャナ(DSCN)75、及び、
この線順次走査に合わせて、第2の方向に延びる信号線DTL101~DTL10nに画像信号となる信号電位(データ信号)と基準電位とを供給する水平セレクタ(信号セレクタHSEL)73、
を備えている。
【0114】
副画素76は、有機EL素子で代表される発光素子12、サンプリング用トランジスタ81、駆動用トランジスタ82、及び、保持容量83を含む。
【0115】
サンプリング用トランジスタ81のゲート部は走査線WSL101に接続されており、ソース/ドレイン領域の一方は信号線DTL101に接続されており、他方は駆動用トランジスタ82のゲート部82Aに接続されている。駆動用トランジスタ82の一方のソース/ドレイン領域82Cは発光素子12に接続されており、他方のソース/ドレイン領域82Bは電源線DSL101に接続されている。発光素子12の第2電極32は接地配線84に接続されている。接地配線84は全ての副画素76に対して共通に配線されている。保持容量83の一端は、駆動用トランジスタ82の一方のソース/ドレイン領域82Cに接続されており、他端は駆動用トランジスタ82のゲート部82Aに接続されている。
【0116】
サンプリング用トランジスタ81は、走査線WSL101から供給された制御信号に応じて導通し、信号線DTL101から供給された信号電位をサンプリングして保持容量83に保持させる。駆動用トランジスタ82は、第1電位にある電源線DSL101から電流の供給を受け、保持容量83に保持された信号電位に応じて駆動電流を発光素子12に流す。電源スキャナ(DSCN)75は、サンプリング用トランジスタ81が導通した後であって、水平セレクタ(HSEL)73が信号線DTL101に基準電位を供給している間に、電源線DSL101を第1電位と第2電位との間で切り替え、以て、駆動用トランジスタ82の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量83に保持させる。かかる閾値電圧補正機能により、表示装置71は、副画素毎にばらつく駆動用トランジスタ82の閾値電圧の影響をキャンセルすることができる。
【0117】
図21に示した副画素76は、上述した閾値電圧補正機能に加え、移動度補正機能を備えている。即ち、水平セレクタ(HSEL)73は、サンプリング用トランジスタ81が導通した後、第1のタイミングで信号線DTL
101を基準電位から信号電位に切り換える一方、ライトスキャナ(WSCN)74は、第1のタイミングの後、第2のタイミングで走査線WSL
101に対する制御信号の印加を解除してサンプリング用トランジスタ81を非道通状態とし、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の期間を適切に設定することで、保持容量83に信号電位を保持する際、駆動用トランジスタ82の移動度μに対する補正を信号電位に加える。この場合、駆動部(73,74,75)は、水平セレクタ73が供給する画像信号とライトスキャナ74が供給する制御信号との相対的な位相差を調整して、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の期間(移動度補正期間)を最適化することができる。また、水平セレクタ73は、基準電位から信号電位に切り換わる画像信号の立ち上がりに傾斜をつけて、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の移動度補正期間を信号電位に自動的に追従させることもできる。
【0118】
そして、更に、ブートストラップ機能を備えている。即ち、ライトスキャナ(WSCN)74は、保持容量83に信号電位が保持された段階で、走査線WSL101に対する制御信号の印加を解除し、サンプリング用トランジスタ81を非導通状態にして、駆動用トランジスタ82のゲート部82Aを信号線DTL101から電気的に切り離し、以て、駆動用トランジスタ82のソース電位Vsの変動にゲート電位Vgを連動させ、ゲート-ソース間電圧Vgsを一定に維持することができる。
【0119】
図22は、
図21に示した副画素76の動作説明に供するタイミングチャートである。時間軸を共通にして、走査線(WSL
101)の電位変化、電源線(DSL
101)の電位変化及び信号線(DTL
101)の電位変化を表示している。また、これらの電位変化と併せて、駆動用トランジスタ82のゲート電位V
g及びソース電位V
sの変化も表示している。
【0120】
このタイミングチャートは、副画素76の動作の遷移に合わせて期間を(B)~(G)のように便宜的に区切ってある。発光期間(B)では発光素子12が発光状態にある。発光期間(B)の後、線順次走査の新しいフィールドに入り、先ず、最初の期間(C)で、駆動用トランジスタ82のゲート電位Vgが初期化される。次の期間(D)に進み、駆動用トランジスタ82のソース電位Vsも初期化される。このように駆動用トランジスタ82のゲート電位Vg及びソース電位Vsを初期化することで、閾値電圧補正動作の準備が完了する。続いて、閾値電圧補正期間(E)で実際に閾値電圧補正動作が行われ、駆動用トランジスタ82のゲート部82Aと一方のソース/ドレイン領域82Cとの間に閾値電圧Vthに相当する電圧が保持される。実際には、閾値電圧Vthに相当する電圧が、駆動用トランジスタ82のゲート部82Aと一方のソース/ドレイン領域82Cとの間に接続された保持容量83に書き込まれる。その後、サンプリング期間/移動度補正期間(F)に進み、画像信号の信号電位Vinが閾値電圧Vthに足し込まれる形で保持容量83に書き込まれると共に、移動度補正用の電圧ΔVが保持容量83に保持された電圧から差し引かれる。その後、発光期間(G)に進み、信号電位Vinに応じた輝度で発光素子が発光する。その際、信号電位Vinは閾値電圧Vthに相当する電圧と移動度補正用の電圧ΔVとによって調整されているため、発光素子12の発光輝度は、駆動用トランジスタ82の閾値電圧Vthや移動度μのばらつきの影響を受けることがない。尚、発光期間(G)の最初でブートストラップ動作が行われ、駆動用トランジスタ82のゲート-ソース間電圧Vgs(=Vin+Vth-ΔV)を一定に維持したまま、駆動用トランジスタ82のゲート電位Vg及びソース電位Vsが上昇する。
【0121】
以上、2つのトランジスタから駆動回路が構成された例を説明したが、駆動回路は、3のトランジスタ、4のトランジスタ、5つのトランジスタ、6つのトランジスタ等から構成された周知の回路構成とすることもできる。また、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の各駆動回路において、各種トランジスタ、保持容量の定数や仕様を同じとしてもよいし、発光素子毎に変えてもよい。
【0122】
[実施例2]
実施例2は、実施例1の変形であり、第2の形態の表示装置に関する。実施例2の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図を
図4Aに示し、駆動回路の配置を模式的に
図4B及び
図4Cに示し、駆動回路及び信号線の配置を模式的に
図5、
図6A及び
図6Bに示す。尚、
図4Bと
図4Cでは、第2駆動回路と第3駆動回路の第2の方向に沿った配置が異なっている。
【0123】
実施例2の表示装置は、第2の方向に延びる第1信号線、第2の方向に延びる第2信号線、及び、第2の方向に延びる第3信号線を更に備えており、
各発光素子群10において、発光素子ユニット11は第2の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路DRG1,DRG2、第2駆動回路DRR12及び第3駆動回路DRB12は第2の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路の全てDRG1,DRG2は、共有された1本の第1信号線SLG12に接続されており、
第2駆動回路DRR12及び第3駆動回路DRB12は、共有された1本の第2信号線SLR-B12に接続されている。
【0124】
一般に、表示装置を観察する観察者にあっては、表示装置の水平方向の視認性が高い。実施例2の表示装置にあっては、第2発光素子及び第3発光素子は、水平方向(図示した例では第1の方向)には従来の表示装置と同様に配列されている一方、垂直方向(図示した例では第2の方向)には2つの発光素子が同じ輝度の画像を表示する。一方、実施例1の表示装置にあっては、第2発光素子及び第3発光素子は、垂直方向(図示した例では第2の方向)には従来の表示装置と同様に配列されている一方、水平方向(図示した例では第1の方向)には2つの発光素子が同じ輝度の画像を表示する。従って、実施例2の表示装置の方が、実施例1の表示装置よりも、観察者にとってより高品位の画像を表示することができる。但し、信号線に関しては、実施例1の表示装置の方が実施例2の表示装置よりも簡素化を図ることができる。従って、これらを考慮して、実施例1の表示装置を採用するか、実施例2の表示装置を採用するかを決定すればよい。
【0125】
図6A及び
図6Bに、実施例2の表示装置における駆動回路及び信号線の配置の変形例を模式的に示す。
図5に示した例にあっては、第2駆動回路DR
R12及び第3駆動回路DR
B12は、共有された1本の第2信号線SL
R-B12に接続されている。一方、
図6A及び
図6Bに示す例では、第2駆動回路DR
R12は、1本の第2信号線SL
R12に接続されており、第3駆動回路DR
B12は、1本の第3信号線SL
B12に接続されている。
図6Aと
図6Bとでは、第2信号線SL
R12と第3信号線SL
B12の配置関係が異なっている。
【0126】
以上の点を除き、実施例2の表示装置の構成、構造は、実施例1の表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0127】
[実施例3]
実施例3の実施例1の変形である。実施例3の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図を
図7Aに示し、駆動回路の配置を模式的に
図7B、
図7C及び
図7Dに示す。実施例3の第1の形態の表示装置にあっては、各発光素子ユニットにおいて、第1発光素子12G
1,12G
2、第2発光素子12R
1,12R
2及び第3発光素子12B
1,12B
2の配列は、ストライプ配列である。
図7Bに示す駆動回路DR
G1,DR
G2,DR
R12,DR
B12の配置は、
図1Bに示した実施例1の表示装置と同様であるし、
図7C、
図7Dに示す駆動回路DR
G1,DR
G2,DR
R12,DR
B12の配置は、実質的に、
図4B及び
図4Cに示した実施例2の表示装置と同様である。
【0128】
以上の点を除き、実施例3の表示装置の構成、構造は、実施例1の表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0129】
[実施例4]
実施例4は、実施例1~実施例3の変形である。実施例4の表示装置における発光素子群10の模式的な部分的平面図を
図8Aに示し、駆動回路の配置を模式的に
図8Bに示す。実施例4の第1の形態の表示装置にあっては、各発光素子群10において、第1発光素子12Gの数をM
1、第2発光素子12Rの数をM
2、第3発光素子12Bの数をM
3、第1駆動回路の数をN
1、第2駆動回路の数をN
2、第3駆動回路の数をN
3としたとき、
M
1=M
2=M
3=4
N
1=4
N
2=2
N
3=1
を満足する。ここで、第1信号線の数をSL
1、第2信号線の数をSL数をSL
2、第3信号線の数をSL
3としたとき、
N
1=SL
1=4
N
2=SL
2=2
N
3=SL
3=1
の関係にある。
【0130】
即ち、実施例4の発光素子群(1画素)は4つの発光素子ユニット(副画素)から構成されている。具体的には、
第1の発光素子ユニット111は、発光素子12G1,12R1,12B1から構成されており、
第2の発光素子ユニット112は、発光素子12G2,12R2,12B2から構成されており、
第3の発光素子ユニット113は、発光素子12G3,12R3,12B3から構成されており、
第4の発光素子ユニット114は、発光素子12G4,12R4,12B4から構成されている。
【0131】
実施例4の表示装置にあっても、各発光素子ユニット11において、第1発光素子12G、第2発光素子12R及び第3発光素子12Bの配列を、デルタ配列とした。
【0132】
そして、実施例4の表示装置は、第2の方向に延びる第1信号線SL1、第2の方向に延びる第2信号線SL2、及び、第2の方向に延びる第3信号線SL3を備えており、
各発光素子群10において、発光素子ユニット11は第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路DRG1,DRG2,DRG3,DRG4、第2駆動回路DRR12,DRR34、第3駆動回路DRB1234は第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路DRG1は、第1信号線SL1に接続されており、
第1駆動回路DRG2は、第1信号線SL2に接続されており、
第1駆動回路DRG3は、第1信号線SL3に接続されており、
第1駆動回路DRG4は、第1信号線SL4に接続されており、
第2駆動回路DRR12は、第2信号線(第1信号線SL1と共用されている)に接続されており、
第2駆動回路DRR34は、第2信号線(第1信号線SL3と共用されている)に接続されており、
第3駆動回路DRB1234は、第3信号線(第1信号線SL2と共用されている)に接続されている。
【0133】
尚、第1信号線SLG4は、隣接する発光素子群を構成する第1駆動回路DRG4が接続された第1信号線SLG4と共用されている。
【0134】
そして、
第2駆動回路DRR12には、2つの第2発光素子12R1,12R2のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給され、
第2駆動回路DRR34には、2つの第2発光素子12R3,12R4のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給され、
第3駆動回路DRB1234には、4つの第3発光素子12B1,12B2,12B3,12B4のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給される。
【0135】
具体的には、水平セレクタから、
第1信号線SL1を介して、第1発光素子12G1の輝度を制御するデータ信号が第1駆動回路DRG1に送られ、第1発光素子12G1の輝度制御がなされ、
第1信号線SL2を介して、第1発光素子12G2の輝度を制御するデータ信号が第1駆動回路DRG2に送られ、第1発光素子12G2の輝度制御がなされ、
第1信号線SL3を介して、第1発光素子12G3の輝度を制御するデータ信号が第1駆動回路DRG3に送られ、第1発光素子12G3の輝度制御がなされ、
第1信号線SL4を介して、第1発光素子12G4の輝度を制御するデータ信号が第1駆動回路DRG4に送られ、第1発光素子12G4の輝度制御がなされる。
【0136】
また、水平セレクタにおいて、
第2発光素子12R1の輝度を制御するデータ信号DTR1及び第2発光素子12R2の輝度を制御するデータ信号DTR2が、前述したと同様にして階調平均TR12に基づき求められ、第2信号線を介して、第2駆動回路DRR12に送られ、第2発光素子12R1,12R2の輝度制御がなされ、
第2発光素子12R3の輝度を制御するデータ信号DTR3及び第2発光素子12R4の輝度を制御するデータ信号DTR4が、前述したと同様にして階調平均TR34に基づき求められ、第2信号線を介して、第2駆動回路DRR34に送られ、第2発光素子12R3,12R4の輝度制御がなされる。
【0137】
更には、水平セレクタにおいて、第3発光素子12B1の輝度を制御するデータ信号DTB1、第3発光素子12B2の輝度を制御するデータ信号DTB2、第3発光素子12B3の輝度を制御するデータ信号DTB3、第3発光素子12B4の輝度を制御するデータ信号DTB4が、前述したと同様にして階調平均TB1234に基づき求められ、第3信号線を介して、第3駆動回路DRB1234に送られ、第3発光素子12B1,12B2,12B3,12B4の輝度制御がなされる。
【0138】
以上の点を除き、実施例4の表示装置の構成、構造は、実施例1の表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、発光素子の配列をストライプ配列とすることもできるし、表示装置を第2の形態の表示装置とすることもできる。
【0139】
[実施例5]
実施例5も、実施例1~実施例3の変形である。実施例5の第1の形態の表示装置における発光素子群の模式的な部分的平面図を
図9Aに示し、駆動回路の配置を模式的に
図9Bに示す。
【0140】
実施例5の表示装置(第1の形態の表示装置)において、
各発光素子ユニット11は、更に、第4の色を出射する1つの第4発光素子12W1,12W2を有しており、
各発光素子群10は、更に、第4発光素子12W1,12W2を駆動する第4駆動回路DRW1,DRW2を備えており、
各発光素子群10において、第4駆動回路DRW1,DRW2の数は、第4発光素子12W1,12W2の数と等しいか、それ以下の数である。具体的には、実施例5にあっては、等しい。そして、第1の色は緑色であり、第2の色は赤色であり、第3の色は青色であり、第4の色は白色である形態とすることができる。
【0141】
実施例5の表示装置の変形例(第2の形態の表示装置)における発光素子群の模式的な部分的平面図を
図10Aに示し、駆動回路の配置を模式的に
図10Bに示す。
【0142】
以上の点を除き、実施例5の表示装置の構成、構造は、実施例1あるいは実施例2の表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、発光素子の配列をストライプ配列とすることもできるし、表示装置を第2の形態の表示装置とすることもできる。
【0143】
[実施例6]
実施例6においては、実施例1~実施例5において説明した表示装置を、頭部装着型ディスプレイ(HMD)に適用した。実施例6の頭部装着型ディスプレイを構成する画像表示装置の概念図を
図15に示し、実施例6の頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図を
図16に示し、正面から眺めた模式図を
図17に示し、側方から眺めた模式図を
図18Aに示す。また、実施例6の表示装置における反射型体積ホログラム回折格子の一部を拡大して示す模式的な断面図を
図18Bに示す。
【0144】
実施例6の画像表示装置100は、
実施例1~実施例5において説明した表示装置111から成る画像形成装置110、
導光板121、
導光板121に取り付けられた第1偏向手段131、及び、
導光板121に取り付けられた第2偏向手段132、
を備えている。そして、
画像形成装置110からの光は、第1偏向手段131において偏向され(あるいは反射され)、導光板121の内部を全反射により伝播し、第2偏向手段132において偏向され、観察者150の瞳151に向けて出射される。
【0145】
導光板121及び第2偏向手段132から構成された系は、半透過型(シースルー型)である。
【0146】
実施例6の頭部装着型ディスプレイは、
(A)観察者150の頭部に装着されるフレーム140(例えば、眼鏡型のフレーム140)、並びに、
(B)フレーム140に取り付けられた画像表示装置100、
を備えている。尚、実施例6の頭部装着型ディスプレイを、具体的には、2つの画像表示装置を備えた両眼型としたが、1つ備えた片眼型としてもよい。画像表示装置100は、フレーム140に、固定して取り付けられていてもよいし、着脱自在に取り付けられていてもよい。頭部装着型ディスプレイは、例えば、観察者150の瞳151に、直接、画像を描画する直描タイプの頭部装着型ディスプレイである。
【0147】
導光板121は、画像形成装置110からの光が入射する第1面122、及び、第1面122と対向する第2面123を有している。即ち、光学ガラスやプラスチック材料から成る導光板121は、導光板121の内部全反射による光伝播方向(x方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面122及び第2面123)を有している。第1面122と第2面123とは対向している。そして、第1偏向手段131は、導光板121の第2面123上に配置されており(具体的には、貼り合わされており)、第2偏向手段132は、導光板121の第2面123上に配置されている(具体的には、貼り合わされている)。
【0148】
第1偏向手段(第1回折格子部材)131は、ホログラム回折格子、具体的には、反射型体積ホログラム回折格子から成り、第2偏向手段(第2回折格子部材)132も、ホログラム回折格子、具体的には、反射型体積ホログラム回折格子から成る。第1偏向手段131を構成するホログラム回折格子の内部には第1の干渉縞が形成されており、第2偏向手段132を構成するホログラム回折格子の内部には第2の干渉縞が形成されている。
【0149】
第1偏向手段131は、第2面123から導光板121に入射された平行光が導光板121の内部で全反射されるように、回折反射する。第2偏向手段132は、導光板121の内部を全反射により伝播した光を回折反射し、観察者150の瞳151へと導く。第2偏向手段132によって導光板121における虚像形成領域が構成される。第1偏向手段131及び第2偏向手段132の軸線はx方向と平行であり、法線はz方向と平行である。フォトポリマー材料から成る各反射型体積ホログラム回折格子には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。反射型体積ホログラム回折格子に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、y方向に平行である。
【0150】
図18Bに反射型体積ホログラム回折格子の拡大した模式的な一部断面図を示す。反射型体積ホログラム回折格子には、傾斜角(スラント角)φを有する干渉縞が形成されている。ここで、傾斜角φとは、反射型体積ホログラム回折格子の表面と干渉縞の成す角度を指す。干渉縞は、反射型体積ホログラム回折格子の内部から表面に亙り、形成されている。干渉縞は、ブラッグ条件を満たしている。ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞へ入射する角度の余角を意味する。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりである。
【0151】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°-(φ+ψ) (B)
【0152】
実施例6において、画像形成装置110を構成する表示装置111は実施例1の表示装置から構成されるが、これに限定するものではない。画像形成装置110の全体は筐体112内に納められている。尚、表示装置111から出射された画像の表示寸法、表示位置等を制御するために表示装置111から出射された画像が通過する光学系を配置してもよい。如何なる光学系を配置するかは、頭部装着型ディスプレイや画像形成装置110に要求される仕様に依存する。1つの表示装置111から両眼に画像を送出する形式の頭部装着型ディスプレイや画像形成装置にあっては、実施例1~実施例5の表示装置を採用すればよい。
【0153】
フレーム140は、観察者150の正面に配置されるフロント部141と、フロント部141の両端に蝶番142を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部143と、各テンプル部143の先端部に取り付けられたモダン部(先セル、耳あて、イヤーパッドとも呼ばれる)144から成る。また、ノーズパッド140’が取り付けられている。即ち、フレーム140及びノーズパッド140’の組立体は、基本的には、通常の眼鏡と略同じ構造を有する。更には、各筐体112が、取付け部材149によってテンプル部143に取り付けられている。フレーム140は、金属又はプラスチックから作製されている。尚、各筐体112は、取付け部材149によってテンプル部143に着脱自在に取り付けられていてもよい。また、眼鏡を所有し、装着している観察者に対しては、観察者の所有する眼鏡のフレーム140のテンプル部143に、各筐体112を取付け部材149によって着脱自在に取り付けてもよい。各筐体112を、テンプル部143の外側に取り付けてもよいし、テンプル部143の内側に取り付けてもよい。あるいは又、フロント部141に備えられたリムに、導光板121を嵌め込んでもよい。
【0154】
更には、一方の画像形成装置110から延びる配線(信号線や電源線等)145が、テンプル部143、及び、モダン部144の内部を介して、モダン部144の先端部から外部に延び、制御装置(制御回路、制御手段)148に接続されている。更には、各画像形成装置110はヘッドホン部146を備えており、各画像形成装置110から延びるヘッドホン部用配線146’が、テンプル部143、及び、モダン部144の内部を介して、モダン部144の先端部からヘッドホン部146へと延びている。ヘッドホン部用配線146’は、より具体的には、モダン部144の先端部から、耳介(耳殻)の後ろ側を回り込むようにしてヘッドホン部146へと延びている。このような構成にすることで、ヘッドホン部146やヘッドホン部用配線146’が乱雑に配置されているといった印象を与えることがなく、すっきりとした頭部装着型ディスプレイとすることができる。
【0155】
配線(信号線や電源線等)145は、上述したとおり、制御装置(制御回路)148に接続されており、制御装置148において画像表示のための処理がなされる。制御装置148は周知の回路から構成することができる。
【0156】
フロント部141の中央部分141’に、必要に応じて、CCDあるいはCMOSセンサから成る固体撮像素子とレンズ(これらは図示せず)とから構成されたカメラ147が、適切な取付部材(図示せず)によって取り付けられている。カメラ147からの信号は、カメラ147から延びる配線(図示せず)を介して制御装置(制御回路)148に送出される。
【0157】
実施例6の画像表示装置にあっては、或る瞬間に表示装置111から出射された光(例えば、1画素分あるいは1副画素分の大きさに相当する)は、平行光とされる。そして、この光は、観察者150の瞳151(具体的には、水晶体)に到達し、水晶体を通過した光は、最終的に、観察者150の瞳151の網膜において結像する。
【0158】
あるいは又、頭部装着型ディスプレイは、例えば、直接、画像(光束)を観察者の網膜に投影することにより画像を表示する、マクスウェル視に基づく網膜投影型ディスプレイ、具体的には網膜投影型ヘッドマウントディスプレイとすることもできる。
【0159】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した表示装置(有機EL表示装置)、発光素子(有機EL素子)の構成、構造の構成は例示であり、適宜、変更することができるし、表示装置の製造方法も例示であり、適宜、変更することができる。表示装置として、有機EL表示装置の他、液晶表示装置を挙げることもできる。実施例においては、駆動回路をMOSFETから構成したが、TFTから構成することもできる。第1電極や第2電極を、単層構造としてもよいし、多層構造としてもよい。
【0160】
第1発光素子12Gの発光部の大きさを、第2発光素子12Rの発光部の大きさ及び第3発光素子12Bの発光部の大きさよりも大きくしてもよい。即ち、第1発光素子12Gの発光領域の大きさを、第2発光素子12Rの発光領域の大きさ及び第3発光素子12Bの発光領域の大きさよりも大きくしてもよい。
【0161】
発光素子のそれぞれを、有機層が赤色を生じさせる赤色光発光素子12R、有機層が緑色を生じさせる緑色光発光素子12G、有機層が青色を生じさせる青色光発光素子12Bから構成し、これらの3種類の発光素子を発光素子ユニット(1画素)を組み合わせることもできる。尚、この場合、カラーフィルタ層を省略してもよいし、色純度向上のためにカラーフィルタ層を設けてもよい。
【0162】
実施例1の表示装置の変形例-1の模式的な一部断面図を
図11に示すように、発光部30から出射された光が通過するレンズ部材(オンチップマイクロレンズ)50を、発光部30の上方の保護層34の部分に設けてもよい。
【0163】
また、実施例1の表示装置の変形例-2の模式的な一部断面図を
図12に示すように、第1基板41と対向する第2基板42の内面上に、カラーフィルタ層CF(CF
R,CF
G,CF
B)を設けてもよい。カラーフィルタ層CFと平坦化層35とは、アクリル系接着剤から成る封止樹脂層36によって貼り合わされている。平坦化層35を省略し、封止樹脂層36によってカラーフィルタ層CFと保護層34とを貼り合わせてもよい。
【0164】
更には、実施例1の表示装置の変形例-3の模式的な一部断面図を
図13に示すように、隣接する発光素子のカラーフィルタ層CFの間には光吸収層(ブラックマトリクス層)BMが形成されている形態とすることができる。ブラックマトリクス層BMは、例えば、黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜(具体的には、例えば、黒色のポリイミド系樹脂)から成る。
【0165】
また、実施例1の表示装置の変形例-4の模式的な一部断面を
図14に示すように、隣接する発光素子のカラーフィルタ層CFの間の上方には光吸収層(ブラックマトリクス層)BM’が形成されている形態とすることもできる。また、これらの変形例-3及び変形例-4を組み合わせることもできるし、これらの各種の変形例あるいは変形例の組合せを他の実施例に適用することもできる。
【0166】
平坦化層がカラーフィルタ層としての機能を有する形態とすることもできる。即ち、このような機能を有する平坦化層を、周知のカラーレジスト材料から構成すればよい。このように平坦化層をカラーフィルタ層としても機能させることで、有機層と平坦化層とを近接して配置することが可能となり、発光素子から出射する光を広角化させても混色の防止を効果的に図ることができ、視野角特性が向上する。
【0167】
或る発光素子に隣接した発光素子に、或る発光素子から出射した光が侵入し、光学的クロストークが発生することを防止するために、発光素子と発光素子との間に遮光部を設けてもよい。即ち、発光素子と発光素子との間に溝部を形成し、この溝部を遮光材料で埋め込んで遮光部を形成してもよい。このように遮光部を設ければ、或る発光素子から出射した光が隣接発光素子に侵入する割合を低減させることができ、混色が発生し、画素全体の色度が所望の色度からずれてしまうといった現象の発生を抑制することができる。そして、混色を防止することができるので、画素を単色発光させたときの色純度が増加し、色度点が深くなる。それ故、色域が広くなり、表示装置の色表現の幅が広がる。また、色純度を向上させるため各画素に対してカラーフィルタ層を配置しているが、発光素子の構成に依っては、カラーフィルタ層の薄膜化若しくはカラーフィルタ層の省略が可能となり、カラーフィルタ層で吸収されていた光を取り出すことが可能となり、結果として発光効率の向上につながる。あるいは又、光吸収層(ブラックマトリクス層)に遮光性を付与してもよい。
【0168】
発光部から出射された光の進行方向を制御する導光部(光反射部、リフレクター部)を備えていてもよい。導光部は、具体的には、発光部から出射された光を反射する材料から構成すればよく、例えば、金属材料や合金材料、発光部から出射された光が通過する媒質の屈折率よりも小さな屈折率を有する誘電体材料(絶縁材料)や誘電体材料の多層構成を挙げることができる。具体的には、金属材料や合金材料として、例えば、アルミニウム(Al)層、アルミニウム合金層(例えば、Al-Nd層)、クロム(Cr)層、銀(Ag)層、銀合金層(例えば、Ag-Cu層、Ag-Pd-Cu層、Ag-Sm-Cu層)を挙げることができ、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等によって形成することができる。導光部の光反射部の形状として、例えば、円筒形の側面を挙げることができる。
【0169】
本開示の表示装置をレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラに適用することができる。デジタルスチルカメラの正面図を
図19Aに示し、背面図を
図19Bに示す。このレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)211の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)212を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部213を有している。そして、カメラ本体部211の背面略中央にはモニタ214が設けられている。モニタ214の上部には、電子ビューファインダ(接眼窓)215が設けられている。撮影者は、電子ビューファインダ215を覗くことによって、撮影レンズユニット212から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。このような構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、電子ビューファインダ215として本開示の表示装置を用いることができる。
【0170】
共振器構造を設ける場合、第1電極31よりも下方に(第1基板41側に)光反射層37を形成してもよい。即ち、基体26の上に光反射層37を設け、光反射層37を覆う層間絶縁膜38の上に第1電極31を設ける場合、第1電極31、光反射層37、層間絶縁膜38を、前述した材料から構成すればよい。光反射層37は、コンタクトホール(コンタクトプラグ)27に接続されていてもよいし、接続されていなくともよい。
【0171】
以下、
図27A(第1例)、
図27B(第2例)、
図28A(第3例)、
図28B(第4例)、
図29A(第5例)、
図29B(第6例)、
図30A(第7例)、並びに、
図30B及び
図30C(第8例)を参照して、第1例~第8例に基づき共振器構造について説明する。ここで、第1例~第4例、第7例において、第1電極及び第2電極は、各発光部において同じ厚さを有する。一方、第5例~第6例において、第1電極は、各発光部において異なる厚さを有し、第2電極は、各発光部において同じ厚さを有する。また、第8例において、第1電極は、各発光部において異なる厚さを有する場合もあるし、同じ厚さを有する場合もあり、第2電極は、各発光部において同じ厚さを有する。
【0172】
尚、以下の説明において、第1発光素子121、第2発光素子122及び第3発光素子123を構成する発光部を参照番号301,302,303で表し、第1電極を参照番号311,312,313で表し、第2電極を参照番号321,322,323で表し、有機層を参照番号331,332,333で表し、光反射層を参照番号371、372、373で表し、層間絶縁膜を参照番号381,382,383,381’,382’,383’で表す。以下の説明において、使用する材料は例示であり、適宜、変更することができる。
【0173】
図示した例では、式(1-1)及び式(1-2)から導かれる第1発光素子121、第2発光素子122及び第3発光素子123の共振器長を、第1発光素子121、第2発光素子122、第3発光素子123の順で短くしたが、これに限定するものではなく、m1,m2の値を、適宜、設定することで最適な共振器長を決定すればよい。
【0174】
共振器構造の第1例を有する発光素子の概念図を
図27Aに示し、共振器構造の第2例を有する発光素子の概念図を
図27Bに示し、共振器構造の第3例を有する発光素子の概念図を
図28Aに示し、共振器構造の第4例を有する発光素子の概念図を
図28Bに示す。第1例~第6例、第8例の一部において、発光部30の第1電極31の下に層間絶縁膜38,38’が形成されており、層間絶縁膜38,38’の下に光反射層37が形成されている。第1例~第4例において、層間絶縁膜38,38’の厚さは、発光部30
1,30
2,30
3において異なる。そして、層間絶縁膜38
1,38
2,38
3,38
1’,38
2’,38
3’の厚さを適切に設定することで、発光部30の発光波長に対して最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0175】
第1例では、発光部301,302,303において、第1界面(図面においては、点線で示す)は同じレベルとされる一方、第2界面(図面においては、一点鎖線で示す)のレベルは、発光部301,302,303において異なる。また、第2例では、発光部301,302,303において、第1界面は異なるレベルとされる一方、第2界面のレベルは、発光部301,302,303において同じである。
【0176】
第2例において、層間絶縁膜381’,382’,383’は、光反射層37の表面が酸化された酸化膜から構成されている。酸化膜から成る層間絶縁膜38’は、光反射層37を構成する材料に依存して、例えば、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物等から構成される。光反射層37の表面の酸化は、例えば、以下の方法で行うことができる。即ち、容器の中に充填された電解液中に、光反射層37が形成された第1基板41を浸漬する。また、光反射層37と対向するように陰極を配置する。そして、光反射層37を陽極として、光反射層37を陽極酸化する。陽極酸化による酸化膜の膜厚は、陽極である光反射層37と陰極との電位差に比例する。それ故、光反射層371、372、373のそれぞれに発光部301,302,303に応じた電圧を印加した状態で陽極酸化を行う。これによって、厚さの異なる酸化膜から成る層間絶縁膜381’,382’,383’を、一括して、光反射層37の表面に形成することができる。光反射層371、372、373の厚さ、層間絶縁膜381’,382’,383’の厚さは、発光部301,302,303によって異なる。
【0177】
第3例にあっては、光反射層37の下に下地膜39が配設されており、下地膜39は、発光部301,302,303において、異なる厚さを有する。即ち、図示した例では、発光部301、発光部302、発光部303の順に、下地膜39の厚さは厚い。
【0178】
第4例にあっては、成膜時の光反射層371,372,373の厚さが、発光部301,302,303において異なる。第3例~第4例では、発光部301,302,303において、第2界面は同じレベルとされる一方、第1界面のレベルは、発光部301,302,303において異なる。
【0179】
第5例~第6例においては、第1電極311,312,313の厚さが、発光部301,302,303において異なる。光反射層37は各発光部30において同じ厚さを有する。
【0180】
第5例において、第1界面のレベルは、発光部301,302,303において同じである一方、第2界面のレベルは、発光部301,302,303において異なる。
【0181】
第6例においては、光反射層37の下に下地膜39が配設されており、下地膜39は、発光部301,302,303において、異なる厚さを有する。即ち、図示した例では、発光部301、発光部302、発光部303の順に、下地膜39の厚さは厚い。第6例では、発光部301,302,303において、第2界面は同じレベルとされる一方、第1界面のレベルは、発光部301,302,303において異なる。
【0182】
第7例において、第1電極311,312,313は光反射層を兼ねており、第1電極311,312,313を構成する材料の光学定数(具体的には、位相シフト量)が、発光部301,302,303によって異なる。例えば、発光部301の第1電極311を銅(Cu)から構成し、発光部302の第1電極312と発光部303の第1電極313をアルミニウム(Al)から構成すればよい。
【0183】
また、第8例において、第1電極311,312は光反射層を兼ねており、第1電極311,312を構成する材料の光学定数(具体的には、位相シフト量)が、発光部301,302によって異なる。例えば、発光部301の第1電極311を銅(Cu)から構成し、発光部302の第1電極312と発光部303の第1電極313をアルミニウム(Al)から構成すればよい。第8例では、例えば、発光部301,302に第7例を適用し、発光部303に第1例を適用している。第1電極311,312,313の厚さは、異なっていてもよいし、同じであってよい。
【0184】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《表示装置》
複数の発光素子群が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に配列された表示装置であって、
各発光素子群は、複数の発光素子ユニットから構成されており、
各発光素子ユニットは、第1の色を出射する1つの第1発光素子、第2の色を出射する1つの第2発光素子、及び、第3の色を出射する1つの第3発光素子から構成されており、
各発光素子群は、第1発光素子を駆動する第1駆動回路、第2発光素子を駆動する第2駆動回路、及び、第3発光素子を駆動する第3駆動回路を備えており、
各発光素子群において、第1駆動回路の数は第1発光素子の数と等しく、第2駆動回路の数は第2発光素子の数よりも少なく、第3駆動回路の数は第3発光素子の数よりも少ない表示装置。
[A02]第2の方向に延びる第1信号線、第2の方向に延びる第2信号線、及び、第2の方向に延びる第3信号線を更に備えており、
各発光素子群において、発光素子ユニットは第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路、第2駆動回路及び第3駆動回路は第1の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路のそれぞれは、第1信号線のそれぞれに接続されており、
第2駆動回路のそれぞれは、第2信号線のそれぞれに接続されており、
第3駆動回路のそれぞれは、第3信号線のそれぞれに接続されている[A01]に記載の表示装置。
[A03]第2の方向に延びる第1信号線、第2の方向に延びる第2信号線、及び、第2の方向に延びる第3信号線を更に備えており、
各発光素子群において、発光素子ユニットは第2の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路、第2駆動回路及び第3駆動回路は第2の方向に沿って配列されており、
第1駆動回路の全ては、共有された1本の第1信号線に接続されており、
第2駆動回路及び第3駆動回路は、共有された1本の第2信号線に接続されている[A01]に記載の表示装置。
[A04]各発光素子群において、第1発光素子の数をM1、第2発光素子の数をM2、第3発光素子の数をM3、第1駆動回路の数をN1、第2駆動回路の数をN2、第3駆動回路の数をN3としたとき、
M1=M2=M3=2
N1=2
N2=N3=1
を満足する[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A05]第2駆動回路には、2つの第2発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給され、
第3駆動回路には、2つの第3発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給される[A04]に記載の表示装置。
[A06]各発光素子群において、第1発光素子の数をM1、第2発光素子の数をM2、第3発光素子の数をM3、第1駆動回路の数をN1、第2駆動回路の数をN2、第3駆動回路の数をN3としたとき、
M1=M2=M3=4
N1=4
N2=2
N3=1
を満足する[A02]に記載の表示装置。
[A07]第2駆動回路には、2つの第2発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給され、
第3駆動回路には、4つの第3発光素子のそれぞれに対する信号が階調平均された信号が供給される[A06]に記載の表示装置。
[A08]各発光素子ユニットにおいて、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の配列は、デルタ配列である[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A09]各発光素子ユニットにおいて、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の配列は、ストライプ配列である[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A10]第1の色は緑色であり、第2の色は赤色であり、第3の色は青色である[A01]乃至[A09]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A11]各発光素子ユニットは、更に、第4の色を出射する1つの第4発光素子を有しており、
各発光素子群は、更に、第4発光素子を駆動する第4駆動回路を備えており、
各発光素子群において、第4駆動回路の数は、第4発光素子の数と等しいか、それ以下の数である[A01]乃至[A10]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A12]第1の色は緑色であり、第2の色は赤色であり、第3の色は青色であり、第4の色は白色である[A11]に記載の表示装置。
[A13]第1発光素子の発光部の大きさは、第2発光素子の発光部の大きさ及び第3発光素子の発光部の大きさよりも大きい[A01]乃至[A12]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A14]発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子から構成されている[A01]乃至[A13]のいずれか1項に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0185】
10・・・発光素子群、11,111,112,113,114・・・発光素子ユニット、12・・・発光素子、12G,12G1,12G2,12G3,12G4・・・第1発光素子、12R,12R1,12R2,12R3,12R4・・・第2発光素子、12B,12B1,12R2,12B3,12B4・・・第3発光素子、12W,12W1,12W2・・・第4発光素子、DRG1,DRG2,DRG3,DRG4・・・第1駆動回路、DRR12,DRR34・・・第2駆動回路、DRB12,DRB34・・・第3駆動回路、DRW1,DRW2・・・第4駆動回路、SLG1,SLG2・・・第1信号線、SLR12,SL2・・・第2信号線、SLB12,SL3・・・第3信号線、SL1,SL2,SL3,SL4・・・第1信号線、SLG12,SLR-B12・・・共有された信号線、DTG1,DTG2,DTR12,DTB12・・・データ信号、TR12,TB12・・・階調平均、20・・・トランジスタ、22・・・ゲート絶縁層、21・・・ゲート電極、24・・・ソース/ドレイン領域、23・・・チャネル形成領域、24・・・ソース/ドレイン領域、25・・・素子分離領域、26・・・基体、26A・・・下層層間絶縁層、26B・・・上層層間絶縁層、27A,27B・・・コンタクトプラグ、27CG1,27CG2,27CB12-A,27CB12-A,27CB12-B,27CB12-A,27CB12-A,27CB12-B・・・パッド部、28・・・絶縁層、30・・・発光部、31・・・第1電極、32・・・第2電極、33・・・有機層(有機エレクトロルミネッセンス層を含む発光層を有する)、34・・・保護層、CF,CFR,CFG,CFB・・・カラーフィルタ層、35・・・平坦化層、36・・・封止樹脂層、37・・・光反射層、38・・・層間絶縁膜、39・・・下地層、41・・・第1基板、42・・・第2基板、50・・・レンズ部材(オンチップマイクロレンズ)、BM,BM’・・・光吸収層(ブラックマトリクス層)、100・・・画像表示装置、110・・・画像形成装置、111・・・表示装置、112・・・筐体、121・・・導光板、122・・・導光板の第1面、123・・・導光板の第2面、131・・・第1偏向手段、132・・・第2偏向手段、140・・・フレーム、140’・・・ノーズパッド、141・・・フロント部、141’・・・フロント部の中央部分、142・・・蝶番、143・・・テンプル部、144・・・モダン部(先セル、耳あて、イヤーパッド)、145・・・配線(信号線や電源線等)、146・・・ヘッドホン部、146’・・・ヘッドホン部用配線、147・・・カメラ、148・・・制御装置(制御回路、制御手段)、149・・・取付け部材、150・・・観察者、151・・・瞳、211・・・カメラ本体部(カメラボディ)、212・・・撮影レンズユニット(交換レンズ)、213・・・グリップ部、214・・・モニタ、215・・・電子ビューファインダ(接眼窓)