IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー.の特許一覧

特開2024-61788オーバーコートフォトレジスト用のコーティングされた下層
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061788
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】オーバーコートフォトレジスト用のコーティングされた下層
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240426BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20240426BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08F20/10
H01L21/30 573
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035143
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2022102299の分割
【原出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】17/368,231
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アントン・チャベス
(72)【発明者】
【氏名】イウシェン・コー
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(57)【要約】
【課題】オーバーコートフォトレジスト用のコーティングされた下層を提供する。
【解決手段】基板上にコーティング組成物の層を塗布すること;塗布されたコーティング組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;及びコーティングされた下層上にフォトレジスト層を形成すること;を含むパターン形成方法が提供され、コーティング組成物は、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;保護されたアミノ基を含む添加剤と;溶剤とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にコーティング組成物の層を塗布すること;
前記塗布されたコーティング組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;及び
前記コーティングされた下層上にフォトレジスト層を形成すること;
を含むパターン形成方法であって、前記コーティング組成物が、
2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;
2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;
保護されたアミノ基を含む添加剤であって、
【化1】
ではない添加剤と;
溶剤と;
を含む方法。
【請求項2】
前記フォトレジスト層を形成する前に、前記コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はこれらの組み合わせを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォトレジスト層にパターンを形成し、前記パターン形成されたフォトレジスト層から、前記コーティングされた下層及び前記コーティングされた下層の下の層にパターンを転写することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
露光されたフォトレジスト層を現像した後、且つ前記パターンを前記コーティングされた下層に転写する工程の前に、前記コーティングされた下層の上に配置されたケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はこれらの組み合わせにパターンを転写することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記添加剤が、式(4)で表される化合物、式(5)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、又はこれらの組み合わせ
【化2】
(式(4)及び(5)において、
XはC又はSであり、XがCである場合にはpは1であり、XがSである場合にはpは2であり;
、Z、L、及びLは、それぞれ独立して単結合又は二価の連結基であり、
、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであり;
任意選択的に、RとRは二価の連結基を介して一緒に環を形成しており;
及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリール、-OR4b、又は-N(R4c)(R4d)であり、R4b~R4dは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルであり;
任意選択的に、LとRは、二価の連結基を介して一緒に環を形成しており;
Pは重合性基である)
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記添加剤が式(4a)又は(4b)の化合物:
【化3】
(式(4a)及び(4b)において、
、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであり;
任意選択的に、R、R、及びRのうちの任意の2つ以上が一緒に環を形成しており;
Aは、単結合又は置換若しくは無置換C1~2アルキレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであり、Rは、任意選択的に、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-NRk1-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を更に含み、Rk1は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールであり;
nは0~11の整数であり;
及びR10は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである)
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記添加剤が、式(5a):
【化4】
(式(5a)において、
は、水素、フッ素、置換若しくは無置換C1~5アルキル、又は置換若しくは無置換C1~5フルオロアルキルであり;
は二価の連結基であり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであり;
任意選択的に、R、R、及びRのうちの任意の2つ以上は、二価の連結基を介して一緒に環を形成している)
のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記添加剤が、式(5b):
【化5】
(式(5b)において、
は、水素、フッ素、置換若しくは無置換C1~5アルキル、又は置換若しくは無置換C1~5フルオロアルキルであり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであり;
任意選択的に、R、R、及びRのうちの任意の2つは、二価の連結基を介して一緒に環を形成しており;
Aは、単結合であるか、置換若しくは無置換C1~2アルキレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであり、Rは、-O-、-C(O)-、-NRk2-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を任意選択的に更に含み、Rk2は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールであり;
nは、0~3の整数である)
のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング組成物が光酸発生剤を含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
基板と;
前記基板上に配置されたコーティングされた下層と;
前記コーティングされた下層の上に配置されたフォトレジスト層と;
を含む層状物品であって、前記コーティングされた下層が、
2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;
2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;
保護されたアミノ基を含む添加剤であって、
【化6】
ではない添加剤と;
溶剤と;
を含むコーティング組成物に由来する、層状物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイスを製造する分野に関し、より具体的には、半導体製造において使用するための材料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト下層組成物は、集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとして半導体産業で使用されている。これらの組成物は、有機物又はケイ素を含む反射防止膜とパターン形成可能なフォトレジスト膜の層とが高炭素含有率の最下層の上に配置される3層及び4層フォトレジストの集積化スキームでよく使用されている。
【0003】
スピンオンカーボン(SOC)組成物は、集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとしての、半導体産業におけるレジスト下層膜として使用されている。これらの組成物は、有機物又はケイ素を含む反射防止膜とパターン形成可能なフォトレジスト膜の層とが高炭素含有率SOC材料を有する最下層の上に配置される3層及び4層フォトレジストの集積化スキームでよく使用されている。
【0004】
理想的なSOC材料は、特定の具体的な特徴を有する必要がある:スピンコーティングプロセスによって基板上にキャストできる必要があり、低いガス放出及び昇華で加熱すると熱硬化する必要があり、良好なスピンボウルの適合性のために一般的な溶剤に溶解する必要があり、フォトレジスト画像化に必要な低い反射率を付与するための反射防止コーティング層と組み合わせて機能する適切なn/kを有する必要があり、また後の処理工程中に損傷を回避するように高い熱安定性を有する必要がある。加えて、例えば、過酸化水素/水酸化アンモニウム浴を使用するSC-1として知られる標準的な洗浄プロセス中に、浸漬した際の層間剥離を回避するために、下層膜が基板に十分に接着されることが望ましい。
【0005】
したがって、下にある基板への接着を改善し、良好な耐剥離性及びSC-1洗浄条件に対する耐性を有することができる新規なフォトレジスト下層材料が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,474,054明細書
【特許文献2】米国特許第4,200,729明細書
【特許文献3】米国特許第4,251.665明細書
【特許文献4】米国特許第5,187,019明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
基板上にコーティング組成物の層を塗布すること;塗布されたコーティング組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;及びコーティングされた下層上にフォトレジスト層を形成すること;を含むパターン形成方法が提供され、コーティング組成物は、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;保護されたアミノ基を含む添加剤と;溶剤とを含む。
【0009】
基板と;基板上に配置されたコーティングされた下層と;コーティングされた下層の上に配置されたフォトレジスト層と;を含む層状物品であって、コーティングされた下層が、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と、保護されたアミノ基を含む添加剤と、溶剤とを含むコーティング組成物に由来する、層状物品も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施形態がこれから詳細に言及され、それらの例が本記載で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって、以下に記載されるにすぎない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを包含する。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0011】
本明細書で用いるところでは、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択の」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと、及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量、又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限、及び/又は特徴は、様々な態様では任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0012】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの、用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0013】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素基」は、示される場合に1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とを有する有機化合物を意味し;「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を意味し;「アルキレン基」は、2の価数を有するアルキル基を意味し;「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を意味し;「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を意味し;「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を意味し;「シクロアルキル基」は、全ての環構成原子が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を意味し;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を意味し;「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を意味し;「アルケノキシ基」は、「アルケニル-O-」を意味し;「アルケニレン基」は、少なくとも2の価数を有するアルケニル基を意味し;「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルキル基を意味し;「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を意味し;「芳香族基」という用語は、文献で、特にIUPAC19で定義される芳香族性の従来の概念を意味し、環に炭素原子を含み、任意選択的には環の炭素原子の代わりにN、O、及びSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式又は多環式芳香環系を意味し;「アリール基」は、芳香環の中に炭素原子のみが含まれる一価の芳香族単環式又は多環式基を意味し、これは少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含んでいてよく;「アリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するアリール基を意味し;「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されているアリール基を意味し;「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されているアルキル基を意味し;「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を意味し;「アリールチオ基」は、「アリール-S-」を意味する。記号「*」は、繰り返し単位の結合部位(即ち連結点)を表す。
【0014】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つの環構成原子(例えば、1、2、3、又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、この場合、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si、又はPから選択され、「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し、「ヘテロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1~4のヘテロ原子を有するアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1つ以上のN、O、又はS原子を有するシクロアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指し、「ヘテロアリール基」は、炭素原子の代わりに、環構成原子として1つ以上のN、O、又はS原子を有する1~3の別個の又は縮合した環を有するアリール基を指し、「ヘテロアリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロアリール基を指す。
【0015】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基の1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)、又はフルオロ基のみが存在していてもよい。
【0016】
「置換された」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1個の水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、炭素原子上の2個の水素が置き換えられている。置換基又は変数の組合せが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基としては、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)、アミド-(C(=O)NR、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CHC(=O)NR、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換又は無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)、又はトシル(CHSO-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0017】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、1種以上の繰り返し単位を含むポリマー系化合物を指し、2種以上の繰り返し単位が存在する場合には、各繰り返し単位は互いに同じであっても異なっていてもよい。したがって、本発明の開示されるポリマーは、本明細書では「ポリマー」又は「コポリマー」と言うことができる。
【0018】
本明細書において、別途定義されない限り「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む二価の基を指し、Rは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価の連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R’)-、-S(O)-、-S(O)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はこれらの組み合わせを含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールである。
【0019】
様々なパターン転写及びエッチングプロセスの間に下にある基板を保護するために、有機下層膜を使用することができる。多くの場合、これらの膜は、無機基板(すなわちTiN)上に直接キャストされ硬化される。これらの場合、下層膜は、膜がない場合に損傷を与える条件から基板を保護するために、後続の全ての処理工程中に基板に十分に接着することが望ましい。1つの一般的に使用される処理工程は、SC-1として知られるウェットエッチングプロセスであり、これは基板を過酸化水素/水酸化アンモニウム浴の中に浸漬することを含む。基板に十分に接着されていない下層膜は、それらが浸漬されている間に層間剥離し、下にある無機基板を露出させて損傷を生じさせる可能性がある。
【0020】
本発明は、基材上にコーティング層を形成するために適用され得る下層配合物のための添加剤を提供する。添加剤は、熱開裂可能な保護基又は酸開裂可能な保護基に結合している窒素原子を含み、熱塩基生成化合物又は熱塩基生成ポリマーとすることができる。開裂可能な保護基は、コーティング組成物の硬化中に開裂し、露出した窒素原子は、特に膜及び基板が過酸化水素/水酸化アンモニウム(SC-1)浴の中に沈められたときに、下層膜の基板への接着を強化する。
【0021】
一態様によれば、パターンを形成する方法が提供され、これは、(a)基板上にコーティング組成物の層を塗布すること;(b)塗布されたコーティング組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;(c)コーティングされた下層の上にフォトレジスト層を形成すること;を含む。本発明のコーティングされた下層は、フォトレジスト下層として含めることができ、このフォトレジスト下層は、本明細書で「下層」と呼ばれる単一の層又は複数の層であってよいことが理解される。したがって、フォトレジスト下層のうちの少なくとも1つの下層は、本明細書で提供されるコーティングされた下層を含むことができる。
【0022】
コーティング組成物は、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と、保護されたアミノ基を含む添加剤と、溶剤とを含む。
【0023】
2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料は、ポリマーであってもポリマーでなくてもよい。いくつかの態様では、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料は、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマー、例えば1つ以上のヒドロキシ基を含む繰り返し単位、又は1~4個のヒドロキシを含む繰り返し単位、好ましくは1~3個のヒドロキシ基を含む繰り返し単位、より典型的には1個又は2個のヒドロキシ基を含む繰り返し単位を有するポリマーであってよい。
【0024】
例えば、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーは、1つ以上のヒドロキシ基を含むモノマーから誘導することができる。一実施形態では、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーは、式(1)のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る:
【化1】
【0025】
式(1)において、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0026】
式(1)において、Qは二価の連結基であり、典型的には、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換の二価C3~30ヘテロアリールアルキル、-C(O)-O-、又は-C(O)-NR’のうちの1つ以上から選択することができ、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである。
【0027】
式(1)において、Aは、ヒドロキシ置換C6~30アリール基又はヒドロキシ置換C4~60ヘテロアリール基であり、これらは、C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、C3~30アルキルヘテロアリール、-OR1a 又は-NR1b1cのうちの1つ以上で任意選択的に更に置換されていてもよく、R1a~R1cは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。
【0028】
式(1)のモノマーの非限定的な例としては、以下のにものが挙げられる:
【化2】
【0029】
2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーの繰り返し単位を形成するための他の例示的なモノマーとしては、以下の構造のN-ヒドロキシアリールマレイミドが挙げられる:
【化3】
(式中、Arは、置換若しくは無置換のC1~30アルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~30アルケニル、置換若しくは無置換のC2~30アルキニル、置換若しくは無置換のC6~30アリール、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換のC2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換のC3~30ヘテロアリールアルキル、C3~30アルキルヘテロアリール、-OR1a、又は-NR1b1cのうちの1つ以上で任意選択的に更に置換されていてもよいヒドロキシ置換C6~60アリール基、ヒドロキシ置換C4~60ヘテロアリール基、又はその組み合わせであり、ここで、R1a~R1cは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~30アルキル、置換若しくは無置換のC3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換のC1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC6~30アリール、置換若しくは無置換のC7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換のC7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換のC4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換のC5~30アルキルヘテロアリールである)。Arは、単一のヒドロキシル基又は複数のヒドロキシル基を含むことが望ましい場合がある(例えば、Arは、それぞれ独立して任意選択的にヒドロキシル基で更に置換されていてもよい、ヒドロキシ置換C6~60アリール基、ヒドロキシ置換C4~60ヘテロアリール基、又はその組み合わせであってよい)。N-ヒドロキシアリールマレイミドモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【化4】
【0030】
別の実施形態では、ポリマーは、式(2a)、(2b)の繰り返し単位、又はそれらの組み合わせを含み得る:
【化5】
【0031】
式(2a)及び(2b)において、Ar及びArは、それぞれ独立して、少なくとも1つのヒドロキシ基、典型的には1~3個のヒドロキシ基、より好ましくは1個又は2個のヒドロキシル基で置換されており、且つ任意選択的にN、O、又はSから選択される1つ以上のヘテロ原子を更に含み得る置換若しくは無置換のC5~60芳香族基である。C5~60芳香族基の1つ以上のヘテロ原子が、炭素原子の代わりに芳香環構成原子として(例えばAr及び/又はArはヘテロアリーレン基であってよい)、又は追加のヘテロ原子含有置換基の1つ以上のヘテロ原子として、又はそれらの組み合わせとして、存在し得ることを理解すべきである。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は縮合(ナフチルなど)、直接結合(ビアリール、ビフェニルなど)、及び/又はヘテロ原子によって架橋(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)されていてもよい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合環と直接結合している環(ビナフチルなど)との組み合わせを含み得る。
【0032】
少なくとも1つのヒドロキシ基に加えて、式(2a)及び(2b)の単環式又は多環式のC5~60芳香族基は、更に置換されていてもよい。例示的な置換基としては、限定するものではないが、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ハロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル、ハロゲン、-OR21、-SR22、又は-NR2324が挙げられ、これらの中のR21は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり;R22~R24は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30へテロアリールアルキルである。
【0033】
式(2b)において、Arは、置換若しくは無置換C5~60芳香族基であり、任意選択的に、N、O、又はSから選択される1つ以上のヘテロ原子を更に含む。C5~60芳香族基の1つ以上のヘテロ原子が、炭素原子の代わりに芳香環構成原子として(例えばArはヘテロアリーレン基であってよい)、又は追加のヘテロ原子含有置換基の1つ以上のヘテロ原子として、又はそれらの組み合わせとして、存在し得ることを理解すべきである。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合(ナフチルなど)、直接結合(ビアリール、ビフェニルなど)、及び/又はヘテロ原子によって架橋(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)されていてもよい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合環と直接結合している環(ビナフチルなど)との組み合わせを含み得る。
【0034】
式(2a)及び(2b)において、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである。好ましくは、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素であるか、置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、典型的には水素である。
【0035】
式(2a)の例示的な繰り返し単位としては、以下のものが挙げられる:
【化6】
【0036】
式(2b)の例示的な繰り返し単位としては、以下のものが挙げられる:
【化7】
【0037】
2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーは、ポリマー中の総繰り返し単位を基準として2~100モル%、典型的には10~100モル%、より典型的には50~100モル%の量の、1つ以上のヒドロキシ基を含む繰り返し単位を含み得る。
【0038】
別の態様では、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料は、ポリマーでなくてよい。2つ以上のヒドロキシ基を含む例示的な非ポリマー系材料としては、限定するものではないが、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α’-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、2,2-ビス[4,4-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-シクロヘキシル]プロパン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
コーティング組成物の第1の材料は、通常、コーティング組成物の総固形分の5~95重量パーセント(重量%)の量で、より典型的にはコーティング組成物の総固形分の25~75重量%の量で存在する。
本明細書で用いる場合、コーティング組成物の「総固形分」は、溶剤担体を除いたコーティング組成物の全材料及び成分を意味する。
【0040】
コーティング組成物は、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料を更に含み、これは、非ポリマー系材料であってもポリマー系材料であってもよい。一実施形態では、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料は、2つ以上のグリシジル基を含む非ポリマー系化合物であっても2つ以上のグリシジル基を含むポリマーであってもよい。
【0041】
特に適切な第2の材料は、式(3)から誘導される繰り返し単位を含むポリマーとすることができる:
【化8】
【0042】
式(3)において、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0043】
式(3)において、Lは二価の連結基であり、例えば、これは、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換の二価C2~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-N(R3a)-、-S-、又は-S(O)-から典型的に選択され、R3aは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルである。
【0044】
式(3)において、Yは、置換若しくは無置換C30アルキル、又は置換若しくは無置換C6~30アリールから選択することができ、Yは、少なくとも1つのエポキシ基を含む。
【0045】
任意選択的には、L及びYは、一緒になってペンダント又は縮合エポキシ基を含む炭素脂環式環を形成することができる。
【0046】
例示的な式(3)のモノマーは、以下を含む:
【化9】
【0047】
ポリマーである例示的な第2の材料は、以下の式の1つ以上の繰り返し単位を有し得る:
【化10】
【化11】
(式中、nは1~6の整数である)。
【0048】
別の態様では、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料は、非ポリマー系であってもよい。例示的な第2の非ポリマー系材料はグリシジル含有化合物であり、これには、1,1,2,2-テトラ(p-ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルト-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
コーティング組成物の第2の材料は、通常、コーティング組成物の総固形分の5~99重量パーセント(重量%)の量で、より典型的にはコーティング組成物の総固形分の25~75重量%の量で存在する。
【0050】
添加剤は、保護されたアミノ基を含むポリマー系又は非ポリマー系の材料である。保護されたアミノ基は、一級又は二級アミノ部位に由来することができる。熱、酸、又はそれらの組み合わせによって除去可能(切断可能)であることを条件として、様々なアミン保護基が本発明での使用に適している。好ましくは、アミン保護基は、75~350℃、より好ましくは100~300℃、更に好ましくは100~250℃の温度などで熱的に開裂可能である。
【0051】
本発明において有用な適切なアミン保護基としては、9-フルオレニルメチルカルバメート、t-ブチルカルバメート、及びベンジルカルバメートなどのカルバメート;アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、及びp-トルエンスルホンアミドなどのアミド;ベンジルアミン;トリフェニルメチルアミン(トリチルアミン);及びベンジリデンアミンが挙げられる。カルバメートが好ましいアミン保護基であり、t-ブチルカルバメート(t-BOC)がより好ましい。そのようなアミン保護基、それらの形成、及びそれらの除去は、当該技術分野で周知である。例えば、T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,New York,1999を参照のこと。
【0052】
好ましくは、添加剤は、式(4)で表される化合物、式(5)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、又はそれらの組み合わせを含む:
【化12】
【0053】
式(4)及び(5)において、XはC又はSであり、XがCである場合にはpは1であり、XがSである場合にはpは2である。典型的には、XはCである。
【0054】
式(4)及び(5)において、Z、Z、L、及びLは、それぞれ独立して、単結合又は二価の連結基である。例えば、Z、Z、L、及びLは、それぞれ独立して、単結合、又は置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換6~30アリーレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-N(R4a)-、-S-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を含む二価連結基であってよく、ここで、R4aは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルであってよい。好ましくは、Z及びZはそれぞれ独立して-O-である。
【0055】
式(4)及び式(5)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであってよい。
【0056】
任意選択的には、R及びRは、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換の二価C2~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-N(R4b)-、-S-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を含む二価連結基を介して環を一緒に形成していてもよく、ここで、R4bは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルであってよい。好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素であるか、RとRが二価の連結基を介して一緒に環を形成している。
【0057】
式(4)及び式(5)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C6~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリール、-OR4c、又は-N(R4d)(R4e)であってよく、R4c、R4d、及びR4eは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルである。
【0058】
任意選択的には、式(5)において、L及びRは、二価連結基を介して、例えば置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換の二価C2~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-N(R4f)-、-S-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を含む二価連結基を介して、一緒に環を形成していてもよく、R4fは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルであってよい。
【0059】
式(5)において、Pは重合性基である。典型的には、重合性基は、カルボキシル、チオール、アミノ、エポキシ、アルコキシ、アミド、ビニル、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0060】
一実施形態では、添加剤は、非ポリマー系材料、例えば式(4a)又は(4b)の化合物であってよい:
【化13】
【0061】
式(4a)及び(4b)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のC2~20アルケニル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換のC6~20アリール、又は置換若しくは無置換のC4~20ヘテロアリールであってよい。任意選択的には、R、R、及びRのうちの任意の2つ以上は、一緒に環を形成し得る。
【0062】
式(4b)において、Aは、単結合であるか、置換若しくは無置換C1~2アルキレン、典型的にはメチレンである。
【0063】
式(4b)において、各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであってよく、Rは、任意選択的に、-O-、-C(O)-、-NRk1-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を更に含み、Rk1は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。
【0064】
式(4b)において、nは0~11の整数であってよい。典型的には、nは0、1、2、又は3であってよい。
【0065】
式(4a)及び(4b)において、R及びR10は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであってよい。
【0066】
いくつかの態様では、添加剤は、ポリマー系化合物、例えば、式(5a)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマーを含む:
【化14】
【0067】
式(5a)において、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル、又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルである。好ましくは、Rは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0068】
式(5a)において、Lは、二価の連結基であってよく、例えば、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換の二価C2~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-N(R5a)-、-S-、又は-S(O)-のうちの1つ以上から選択することができ、R5aは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルである。
【0069】
式(5a)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであってよい。任意選択的には、R、R、及びRのうちの任意の2つ以上は、一緒に環を形成し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、添加剤は、式(5b)のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーであってよい:
【化15】
【0071】
式(5b)において、Rは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換のC1~10アルキル、又は置換若しくは無置換のC1~10フルオロアルキルであってよい。好ましくは、Rは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0072】
式(5b)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであってよい。任意選択的には、R、R、及びRのうちの任意の2つは一緒に環を形成する。
【0073】
式(5b)において、Aは、単結合、又は置換若しくは無置換C1~2アルキレン、典型的にはメチレンである。
【0074】
式(5b)において、各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであってよく、Rは、-O-、-C(O)-、-NRk2-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)-のうちの1つ以上を任意選択的に更に含み、Rk2は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。
【0075】
式(5b)において、nは0~3の整数である。典型的には、nは0、1、又は2であってよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、式(4)及び(5)において、式(4)中の-X(=O)p-Z-Rで表される単位及び式(5)中、-X(=O)-Z-Rで表される単位は、それぞれ独立して、以下のうちの1つによって表すことができる:
【化16】
(式中、Phはフェニルである)。
【0077】
添加剤は、コーティング組成物の総固形分を基準として、0.1~20重量%、典型的には1~20重量%又は5~20重量%の量でコーティング組成物に含まれ得る。
【0078】
2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーと、2つ以上のグリシジル基を含むポリマーと、ポリマー系添加剤とを含む本明細書に記載のポリマーは、それぞれ独立して、上記繰り返し単位とは異なる1種以上の追加の繰り返し単位を任意選択的に含み得ることが理解される。
追加の繰り返し構造単位には、例えば、エッチ速度及び溶解性などの、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位が含まれ得る。例示的な追加の単位は、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルケトン及びビニルエステルの1つ以上を含み得る。ポリマー中に存在する場合、1種以上の追加の繰り返し単位は、典型的には、それぞれのポリマーの繰り返し単位の合計を基準として、最大99モル%、典型的には3~80モル%の量で使用される。
【0079】
好ましくは、添加剤がポリマーである場合、ポリマー系添加剤は、1モル当たり1,000~10,000,000グラム(g/モル)、より典型的には2,000~10,000g/モルの重量平均分子量(M)、及び500~1,000,000g/モルの数平均分子量(M)を有し得る。分子量(M又はM)は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって適切に決定される。
【0080】
本発明の好適なポリマーは、当業者によって容易に理解される、本出願の実施例に記載される手順に基づいて及び手順から類推して容易に調製することができる。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーが、適切な溶剤及び開始剤を使用して、組み合わせられるか又は別々に供給され、反応器中で重合させられ得る。モノマー組成物は、溶剤、重合開始剤、硬化触媒(すなわち、酸触媒)等などの、添加剤を更に含み得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での活性化放射線での照射、又はそれらの組み合わせなどの、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。
【0081】
本明細書に記載の2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と、本明細書に記載の2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と、本明細書に記載の保護されたアミノ基を含む添加剤と、溶剤とを含む下層コーティング組成物も提供される。
【0082】
コーティング組成物は、上で記載されたポリマーに加えて1種以上のポリマー(「追加のポリマー」)を更に含み得る。例えば、コーティング組成物は、上で記載されたとおりであるが、組成が異なる追加のポリマー、又は上で記載されたものと類似しているが3つの異なる必須モノマータイプのそれぞれを含まないポリマーを更に含み得る。更に又は代わりに、1種以上の追加のポリマーは、当技術分野において周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレンポリマー、及びポリビニルアルコールを含むことができる。
【0083】
コーティング組成物の溶剤成分は、単一溶剤であってもよく、或いは2種以上の別個の溶剤の混合物を含んでいてもよい。好適には、複数の溶剤のそれぞれは、互いに混和性であり得る。好適な溶剤としては、例えば、1種以上のオキシイソ酪酸エステル、特に2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸、乳酸エチル又は2-メトキシエチルエーテル(ダイグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテルの1種以上;メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノールなどのエーテル及びヒドロキシ部分の両方を有する溶剤;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル並びに二塩基酸エステル、プロピレンカーボネート及びガンマ-ブチロラクトンなどの他の溶剤が挙げられる。
【0084】
コーティング組成物は、例えば、界面活性剤及び酸化防止剤などの1種以上の任意選択の添加剤を含み得る。そのような任意選択の添加剤は、使用される場合、それぞれ典型的には、コーティング組成物の総固形分を基準として、0.01~10重量%などの少量で下層コーティング組成物中に存在する。
【0085】
典型的な界面活性剤としては、両親媒性性質を示すものが挙げられる。これは、それらが同時に親水性及び疎水性の両方であってもよいことを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する、親水性の頭部基と、親有機性で水をはじく、長い疎水性の尾部とを有する。好適な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であってもよい。界面活性剤のさらなる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン界面活性剤としては、TRITON X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート並びにTERGITOL TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Mich.USA)などの分岐状第二級アルコールエトキシレートが挙げられるが、それらに限定されない。もっと更なる例示的な界面活性剤としては、アルコール(第一級及び第二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-co-プロピレングリコール)、又はGlen Rock,N.J.のManufacturers Confectioners Publishing Co.によって出版された(非特許文献1)に開示されている他の界面活性剤が挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン界面活性剤もまた好適であり得る。そのような界面活性剤は、Allentown,Pa.のAir Products and Chemicals,Inc.から商業的に入手可能であり、SURFYNOL及びDYNOLの商品名で販売されている。追加の好適な界面活性剤としては、トリブロックEO-PO-EOコポリマーPLURONIC 25R2、L121、L123、L31、L81、L101及びP123(BASF,Inc.)などの他のポリマー化合物が挙げられる。
【0086】
酸化防止剤を、コーティング組成物中の有機材料の酸化を防ぐ又は最小限にするために添加することができる。好適な酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン-アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤及びアミン-ケトン縮合物からなる酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ブチル.ヒドロキシアニソール、2-(1-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4,6-ジノニルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル.アニリノ)2,4-ビス.オクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル.フェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール、アルキル化p-クレゾール及びヒンダードフェノールなどの置換フェノール;4,4’-ビスフェノール、4,4’-メチレン-ビス(ジメチル-4,6-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、メチレン架橋多価アルキルフェノール、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル.ジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのビス-、トリス-及びポリ-フェノールが挙げられる。好適な酸化防止剤は、商業的に入手可能であり、例えば、IrganoxTM酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals Corp.)である。
【0087】
任意選択的には、コーティング組成物は、例えば、コーティング組成物が表面に塗布された後、コーティング組成物の硬化を助けるために、1種以上の硬化剤をさらに含み得る。硬化剤は、基板表面でコーティング組成物の硬化を引き起こす任意の成分である。好ましい硬化剤は、熱酸発生剤(TAG)である。TAGは、熱にさらされると酸を放出する任意の化合物である。熱酸発生剤は、当技術分野において周知であり、King Industries,Norwalk,Connecticutなどから一般に市販されている。例示的な熱酸発生剤には、アミンブロック化強酸、例えば、アミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロック化スルホン酸が含まれるが、それらに限定されない。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることもまた当業者によって十分理解されるであろう。本組成物において有用なそのような硬化剤の量は、例えば、コーティング組成物の総固形分を基準として0重量%より多く10重量%まで、典型的には0重量%より多く3重量%までであってよい。
【0088】
コーティング組成物は、非エポキシ架橋剤を含む架橋剤を更に含み得る。そのような架橋剤が、コーティング組成物中の官能基と反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部位を有することを条件として、任意の適切な架橋剤を本コーティング組成物で更に使用することができる。例示的な架橋剤としては、限定するものではないが、ノボラック樹脂、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテン、ベンゾオキサジン等が挙げられ、典型的には、メチロール、C10アルコキシメチル、及びC10アシルオキシメチルから選択される2個以上、より典型的には3個以上の置換基を有する前述したもののいずれかが挙げられる。適切な架橋剤の例としては以下に示すものが挙げられる:
【化17】
【0089】
追加的な架橋剤は当該技術分野において周知であり、様々な供給元から市販されている。本コーティング組成物において有用なそのような追加的な架橋剤の量は、例えば、コーティング組成物の総固形分を基準として0重量%より多く30重量%まで、好ましくは0重量%より多く10重量%までの範囲であってよい。
【0090】
光酸発生剤(PAG)化合物及び/又は熱酸発生剤(TAG)化合物などの酸発生剤化合物を下層組成物中に含めることが有益である場合がある。適切な光酸発生剤は、化学増幅型フォトレジストの技術分野において公知であり、例えば:オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンを含む。そのようなPAGの1つ以上を使用することができる。
【0091】
適切な熱酸発生剤には、例えば、2-ニトロベンジルトシレート、2,4-ジニトロベンジルトシレート、2,6-ジニトロベンジルトシレート、4-ニトロベンジルトシレートなどのニトロベンジルトシレート;2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-クロロベンゼンスルホネート、2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-ニトロベンゼンスルホネートなどのベンゼンスルホネート;フェニル,4-メトキシベンゼンスルホネートなどのフェノールスルホネートエステル;10-カンファースルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの、有機酸のアルキルアンモニウム塩;及び特定のオニウム塩が含まれる。(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)及び(特許文献4)に開示されているものなどの、様々な芳香族(アントラセン、ナフタレン、又はベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして用いることができる。TAGの例としては、NACURE、CDX、及びK-PUREの名称で、例えば、NACURE 5225、CDX-2168E、K-PURE2678及びKPURE2700としてKing Industries,Norwalk,Conn.USAによって販売されているものが挙げられる。そのようなTAGの1つ以上を使用することができる。
【0092】
用いられる場合、1つ以上の酸発生剤がコーティング組成物中に比較的少量で、例えばコーティング組成物の総固形分を基準として0重量%~8重量%で利用され得る。
【0093】
いくつかの態様では、コーティング組成物は光酸発生剤を含まない。したがって、コーティング組成物は、PAG化合物及び/又はポリマー系PAGを実質的に含まなくてもよい。
【0094】
コーティング組成物の望まれる総固形分は、望まれる最終層厚さなどの因子に依存するであろう。典型的には、コーティング組成物の総固形分は、コーティング組成物の総重量を基準として、0.1~20重量%、例えば0.1~10重量%、より典型的には、0.11~5重量%であってよい。
【0095】
コーティング組成物は、公知の手順に従って調製され得る。例えば、コーティング組成物は、第1の材料と、第2の材料と、添加剤と、溶剤と、任意の任意選択的な成分とを任意の順序で混ぜ合わせることによって調製することができる。コーティング組成物は、そのままで使用することができ、或いは基板上にコートする前に精製又は希釈を行うこともできる。精製は、例えば、遠心分離、濾過、蒸留、デカンテーション、蒸発、イオン交換ビーズでの処理等の1つ以上を含み得る。
【0096】
本発明のパターン形成方法は、基板上にコーティング組成物の層を塗布すること;塗布されたコーティング組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;及びコーティングされた下層の上にフォトレジスト層を形成すること;を含む。この方法は、フォトレジスト層を活性化放射にパターン状に露光する工程;及び露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を得る工程;を更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成することをさらに含み得る。いくつかの態様では、方法は更に含み得る。
【0097】
多種多様の基板がパターン形成方法において使用され得、電子デバイス基板が典型的である。適切な基板としては、例えば、マルチチップモジュールなどのパッケージング基板、フラットパネルディスプレー基板、集積回路基板、有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板、半導体ウェハー、多結晶シリコン基板等が挙げられる。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレー、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあり得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体ウェハー」は、シングルチップウェハー、マルチプルチップウェハー、様々なレベルのためのパッケージ、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリなどの、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。そのような基板は、任意の好適なサイズであってよい。典型的なウェハー基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って好適に用いられ得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの有効部分又は動作可能部分を任意選択で含み得る1つ以上の半導体層又は構造物を有する任意の基板が含まれる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上にバッチ製造されたか又は製造されつつある半導体基板を意味する。
【0098】
基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅、及び金の1つ又はそれ以上から構成される。基板は、1つ又はそれ以上の層及びパターン形成されたフィーチャを含み得る。層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、そのような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ又はそれ以上の導電層、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、又は金属酸化物の層などの1つ又はそれ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びそれらの組み合わせを含み得る。層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)又はエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング又は蒸発などの物理蒸着(PVD)、或いは電気めっきなどによって形成することができる。
【0099】
本発明のある種のパターン形成方法においては、ハードマスク層、例えば、スピン-オン-カーボン(SOC)、無定形炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化ケイ素(SiN)層、酸化ケイ素(SiO)層、若しくはオキシ窒化ケイ素(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機BARC層、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィー層を、本発明のフォトレジスト下層を形成する前に基板の上層上に提供することが望ましくあり得る。そのような層は、本発明の下層及びフォトレジスト層と一緒になって、リソグラフィー材料スタックを形成する。本発明のパターン形成方法において使用され得る典型的なリソグラフィースタックとしては、例えば、下記:SOC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiON層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiARC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/金属ハードマスク層/下層/フォトレジスト層;無定形炭素層/下層/フォトレジスト層;及び無定形炭素層/SiON層/下層/フォトレジスト層が挙げられる。
【0100】
本明細書で使用される「フォトレジスト下層」は、基板とフォトレジスト層との間に(すなわち「基板の上に」)配置される1つ以上の層を指すことが理解される。したがって、本発明のコーティングされた下層は、フォトレジスト下層として単独で使用されてもよく、或いは本発明のコーティングされた下層は、本明細書に記載の他の下層と組み合わせて使用されてもよい。
【0101】
下層コーティング組成物は、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング等などの、任意の好適な手段によって基板上にコートされ得る。半導体ウェハーの場合には、スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法において、本組成物は、基板上に縮合ポリマーの所望の層を得るために15~90秒の期間500~4000回転毎分(rpm)の速度で回転している基板に塗布される。コートされる層の厚さが、スピン速度、並びに組成物の固形分を変えることによって調整され得ることは、当業者によって十分理解するであろう。下層コーティング組成物から形成される下層は、典型的には、1~50ナノメートル(nm)、より典型的には1~10nmの乾燥層厚さを有する。
【0102】
コートされた下層コーティング組成物は、いかなる溶剤及び他の比較的揮発性の成分をも下層組成物から除去するために比較的低い温度で任意選択的にソフトベークされる。典型的には、基板は、150℃以下、好ましくは60~125℃、より好ましくは90~115℃の温度でベークされる。ベーキング時間は、典型的には、10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは6~90秒である。基材がウェハーである場合、そのようなベーキング工程は、ウェハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。そのようなソフトベーキング工程は、コーティング層の硬化の一環として行われ得るか、又は全く省略され得る。
【0103】
コートされた下層組成物は、次いで、コーティングされた下層を形成するために硬化させられる。コーティング組成物は、コーティングされた下層膜が、下層上に形成される別の下層構成要素又はフォトレジスト層と混ざらないように、或いは最小限しか混ざらないように十分に硬化させる必要がある。コーティング組成物は、空気などの酸素含有雰囲気中で、又は窒素などの不活性雰囲気中で、且つ硬化したコーティング層を得るのに十分な、加熱などの条件下で硬化することができる。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート型装置上で行われるが、オーブン硬化が、同等の結果を得るために用いられ得る。典型的には、硬化は、150℃以上、好ましくは150~450℃の温度で行われる。硬化温度は180℃以上、更により好ましくは200℃以上、更に一層好ましくは200~400℃であることがより好ましい。硬化時間は、典型的には10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは45秒~2分、更により好ましくは45~90秒である。任意選択的に、傾斜又は多段階硬化プロセスが用いられ得る。傾斜ベークは、典型的には、比較的低い(例えば、周囲)温度で始まり、温度は、より高い標的温度まで一定の又は変動する傾斜速度で上げられる。多段階硬化プロセスは、2つ以上の温度平坦域、典型的には、より低いベーク温度での第1段階及びより高い温度での1つ又はそれ以上の追加の段階での硬化を含む。このような傾斜又は多段階硬化プロセスのための条件は、当業者に公知であり、先行のソフトベークプロセスの省略を可能にし得る。
【0104】
塗布されたコーティング組成物の硬化後に、フォトレジスト層がコーティングされた下層上に形成される。上述したように、他の介在する層は、コーティングされた下層とオーバーコートされたフォトレジスト層との間に設けられ得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成することを更に含み得る。
【0105】
多種多様のフォトレジストを本発明の方法において適切に使用することができ、典型的にはこれはポジティブトーン材料である。使用される具体的なフォトレジストは、使用される露光波長に依存し、通常、酸感受性マトリックスポリマーと、光酸発生剤などの光活性成分と、溶剤と、任意選択の追加の成分とを含む。好適なフォトレジストは、当業者に公知であり、市販の、例えば、DuPont Electronics & Imaging製のUVTM及びEPICTM製品系統の様々なフォトレジスト材料である。フォトレジストは、下層組成物に関連して上に記載されたような公知のコーティング技術によって基板に塗布することができ、スピンコーティングが典型的である。フォトレジスト層についての典型的な厚さは、10~300nmである。フォトレジスト層は、典型的には次に、層中の溶剤含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。典型的なソフトベークは、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。
【0106】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線に露光される。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によって、それぞれ、露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、400nm未満、より典型的には、248nm(KrF)、193nm(ArF)、又はEUV波長(例えば13.5nm)などの、300nm未満である。好ましい態様において、露光波長は193nm又はEUV波長である。露光エネルギーは、例えば露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には、1平方センチメートル当たり10~100ミリジュール(mJ/cm)である。
【0107】
フォトレジスト層の露光後に、後露光ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。PEBは、典型的には、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。フォトレジスト層は、次に、層の露光領域を除去するために現像され、パターン形成されたフォトレジスト層を形成する非露光領域を残す。現像液は、典型的には、水性のアルカリ性現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液、典型的には0.26規定(N)(2.38重量%)のTMAH溶液などの水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。現像液は、公知の技術、例えば、スピンコーティング又はパドルコーティングによって塗布され得る。
【0108】
フォトレジスト層のパターンは、エッチされる各層にとって適切なガス種を使用するプラズマエッチングによるなどの適切なエッチング技術によって、コーティングされた下層を含む1つ以上の下層に、及び基板に転写することができる。層の数及び関係している材料に応じて、パターン転写は、異なるエッチングガスを使用する複数のエッチング工程を含み得る。リソグラフィースタック中のパターン形成されたフォトレジスト層、コーティングされた下層、及び他の任意選択の層は、従来技術を用いて基板のパターン転写後に除去され得る。任意選択的に、スタックの層の1つ以上は、下位層へのパターン転写後に及び基板へのパターン転写前に除去され得るか、又はパターン転写中に及び基板へのパターン転写前に消費され得る。例えば、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層などのうちの1つ以上へのパターン転写は、露光されたフォトレジスト層が現像された後、且つコーティングされた下層へのパターン転写の前に行われ得る。基板は、次いで、電子デバイスを形成するために公知の方法に従ってさらに処理される。
【0109】
本明細書に記載の本発明のコーティング組成物に由来するコーティングされた下層を含む層状物品も提供される。一実施形態では、層状物品は、基板と、基板上に配置されたコーティングされた下層と、コーティングされた下層の上に配置されたフォトレジスト層とを含み得る。
【0110】
本発明のコーティング組成物から作製されたコーティングされた下層を含むフォトレジスト下層は、優れたフォトスピード及び改善されたパターン崩壊を示す。本発明の好ましいコーティング組成物は、結果として、様々な半導体製造プロセスにおいて有用であり得る。
【0111】
本発明の概念は、以下の実施例によってさらに説明される。本明細書で使用される化合物及び試薬は、以下に記載されている場合を除き市販のものであった。
【実施例0112】
合成実施例1:添加剤A-1
丸底フラスコに、TBPMA(15g)、V-65開始剤(1.73g)、及びテトラヒドロフラン(30g)を入れて溶液を形成し、これを窒素バブリングで15分間パージした。次いで、溶液を窒素雰囲気下、60℃で17時間加熱した。その後、溶液を室温まで放冷し、ポリマーA-1で表される生成物を500mLのヘプタンの中に析出させ、濾過により回収し、真空下50℃で17時間乾燥した。収量:12.5g。M(GPC):21.377g/mol、ポリスチレン標準。
【0113】
モノマー及び対応する添加剤A-1の繰り返し単位を以下に示す:
【化18】
【0114】
合成実施例2:添加剤A-2
丸底フラスコに、N-Boc-エタノールアミン(10g)、トリエチルアミン(7.58g)、及びテトラヒドロフラン(60mL)を入れて溶液を形成した。無水メタクリル酸(22.0g)を溶液に添加し、得られた混合物を室温で72時間撹拌した。次いで、酢酸エチル(300mL)を添加して反応混合物を希釈した。得られた有機溶液を飽和重炭酸ナトリウム(3×200mL)で洗浄し、有機層を分離し、溶剤をロータリーエバポレーターによって真空下で有機層から除去した。酢酸エチルから再結晶し、真空下で50℃で17時間乾燥することにより、モノマーB-1で表されるモノマー生成物を得た。収量:10.69g。
【0115】
丸底フラスコに、モノマーB-1(5.01g)、V-65開始剤(0.353g)、及びテトラヒドロフラン(10.03g)を入れて溶液を形成し、これを窒素バブリングで15分間パージした。次いで、溶液を窒素雰囲気下、60℃で17時間加熱した。その後、溶液を室温まで放冷し、ポリマーA-2で表される生成物を500mLのヘプタンの中に析出させ、濾過により回収し、真空下50℃で17時間乾燥した。収量:5.27g。M(GPC):19,193g/mol、ポリスチレン標準。
【0116】
モノマー及び対応する添加剤A-2の繰り返し単位を以下に示す:
【化19】
【0117】
コーティング組成物
表1は、示されている量の成分を混合することによって調製した実施例1~8及び比較例1~3のコーティング組成物を示す。量は、ポリマー1と、ポリマー2と、添加剤と、溶剤とを含むコーティング組成物の総重量を基準とした重量パーセントである。
【0118】
【表1】
【0119】
ポリマー1、ポリマー2、及び溶剤について表1で使用されている略語は以下の通りである:PHS=ポリ(ヒドロキシスチレン)(M(GPC)=4,299g/mol);CN=カテコールノボラック(M(GPC)=2,290g/mol);GMA=ポリ(グリシジルメタクリリレート)(M(GPC)=3,922g/mol);DGA=4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン);PGMEA=プロピレングリコールメチルエーテルアセテート。
【化20】
【0120】
添加剤A-1及びA-2の構造は、上記合成例で示されている。添加剤A-3(tert-ブチルN-(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-エチル)カルバメート)及び添加剤A-4(tert-ブチル(4-ヒドロキシシクロヘキシル)カルバメート)の構造は以下の通りである:
【化21】
【0121】
添加剤A-1~A-4の熱的脱保護温度が表2に示されている。熱的脱保護温度は、保護基が熱的に開裂して対応する脱保護された一級又は二級アミノ基を形成する温度である。
【0122】
【表2】
【0123】
耐溶剤剥離性の評価
膜架橋の指標として溶剤剥離耐性を測定した。表1のコーティング組成物を0.2μmのポリテトラフルオロエチレンシリンジを通して濾過し、ACT-8 Clean Track(Tokyo Electron Co.)でそれぞれ200mmのベアシリコンウェハー上に1500rpmでスピンコートし、次いで215℃で60秒間硬化して、硬化したコーティング層を膜として形成した。初期の膜厚は、Therma-Wave OptiProbe(商標)計測ツールを使用して測定した。耐溶剤剥離性は、PGMEAリムーバーをそれぞれの膜に90秒間塗布した後、105℃で60秒間剥離後ベークすることによって決定した。それぞれの膜の厚さを再度測定し、PGMEAリムーバーの塗布によって失われた膜厚の量を決定した。表3は、PGMEAリムーバーとの接触前後の膜厚測定の結果を示しており、結果は、PGMEAリムーバーと接触した後にウェハー上に残っている膜厚のパーセント割合(%膜残存)として表されている。PGMEAリムーバーで処理した後に残っている膜の量は、硬化したコーティング層の架橋の程度の指標であった。
【0124】
【表3】
【0125】
ウェット剥離評価
試験した配合物サンプルを、0.2μmのポリテトラフルオロエチレンシリンジを通して濾過し、ACT-8 Clean Track(Tokyo Electron Co.)を使用してそれぞれ200mmのベアシリコンウェハー上に1500rpmでスピンコートし、240℃で60秒間ベークした。各コーティングした膜のベーク後の膜厚を、Therma-wave Co.のOptiProbe(商標)装置で測定した。次いで、コーティングしたサンプルを、w/w/w比が1:1:5である30%NHOH/30%H/水の混合物を使用して、SC-1ウェット剥離性について評価した。その後SC-1混合物を70℃に加熱した。コーティングされた各ウェハーの試験片を剥離液に5分間浸漬した。試験片をSC-1混合物から取り出し、脱イオン水ですすぎ洗いした。各サンプルの膜品質は、目視検査によって決定した。
【0126】
【表4】
【0127】
表4で使用されている略語は以下の意味を有する:A:初期状態の膜、B:部分的な膜の劣化、C:完全に層間剥離した膜。それぞれ目視検査によって評価する。
【0128】
表4から分かるように、熱塩基発生添加剤を含む本発明の実施例は、添加剤を含まない比較例と比較して、SC1浴試験においてより大きい層間剥離に対する耐性を示した。実施例1~4はSC1浴中で2分後に部分的な膜劣化を示した一方で、比較例1は2分後に完全な層間剥離を示した。実施例5及び7~12では、SC1浴中で5分後に初期状態の膜が得られた一方で、比較例2では、5分後に部分的に膜が劣化することが明らかになった。比較例3は、コーティング組成物からポリエポキシドを省略すると、SC1に対する耐性が不足した耐剥離性膜になることが示された。本発明の実施例は、ポリフェノールとポリエポキシドとを含む下層膜配合物に熱塩基発生剤を含めることの利点を示している。
【0129】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等な取り決めを包含することを意図することが理解されるべきである。