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特開2024-6180穿刺ユニット、及びこれを用いた医療用ドレナージデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006180
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】穿刺ユニット、及びこれを用いた医療用ドレナージデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240110BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B17/34
A61M1/00 161
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106835
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】500409219
【氏名又は名称】学校法人関西医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100157325
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】横江 巧也
(72)【発明者】
【氏名】北 正人
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077JJ05
4C160FF42
4C160FF43
(57)【要約】
【課題】簡易かつ安価な装置構成により、低侵襲な方法によって高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去する。
【解決手段】少なくとも先端が被検体に穿刺可能であって、基端の後方において管内腔12aと連通するように吸引装置60が接続可能に構成された導管12と、導管12の管内腔12aにおいて、管軸Axのまわりを回転可能な状態で、導管12の先端開口から少なくとも導管12の基端まで、管軸Ax方向に延在するスクリューニードル22と、導管12の基端後方に位置し、スクリューニードルの基端22bに連接された、スクリューニードル22を回転させる駆動力を取得する駆動力取得手段21とを備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体中の貯留液を対外に移送するための穿刺ユニットであって、
少なくとも先端が被検体に穿刺可能であって、基端の後方において管内腔と連通するように吸引装置が接続可能に構成された導管と、
前記導管の管内腔において、管軸のまわりを回転可能な状態で、前記導管の先端開口から少なくとも前記導管の基端まで、管軸方向に延在するスクリューニードルと、
前記導管の基端後方に位置し、前記スクリューニードルの基端に連接された、前記スクリューニードルを回転させる駆動力を取得する駆動力取得手段とを備えた
穿刺ユニット。
【請求項2】
体中の貯留液は前記スクリューニードルの回転により破砕されて前記導管の先端開口から前記導管に取り入れられ、前記スクリューニードルの回転に伴って少なくとも前記導管の基端まで移送され、前記吸引装置の陰圧により吸引移送される
請求項1に記載の穿刺ユニット。
【請求項3】
前記導管の基端に連接され、前記導管の管内腔と内部空間が連通し、外郭から延出された排気管が前記吸引装置に接続可能に構成された、中空袋状の導管基部を備え、
前記駆動力取得手段は、前記導管の管軸のまわりを回転可能な状態で、前記導管基部の前記内部空間に配され、前記導管基部の外方から供給される駆動力を非接触で受け取り、前記スクリューニードルに駆動力を伝達し、
体中の貯留液は、前記スクリューニードルの回転に伴って前記導管基部の前記内部空間に移送され、前記吸引装置により吸引されて前記内部空間外に移送される
請求項1に記載の穿刺ユニット。
【請求項4】
前記導管の先端の開口から、前記スクリューニードルの先端の一部が露出している
請求項1に記載の穿刺ユニット。
【請求項5】
前記導管の先端の刃面は、軸に対し傾斜しており、前記スクリューニードルの先端は、管軸方向において刃面の範囲内に存在する
請求項4に記載の穿刺ユニット。
【請求項6】
前記スクリューニードルは、複数本の芯線が、所定ピッチで撚り合わせた撚り複数線からなる
請求項1に記載の穿刺ユニット。
【請求項7】
前記導管は注射針からなる
請求項1に記載の穿刺ユニット。
【請求項8】
前記導管は、先端を含む先端領域と後端を含む後端領域が硬性管からなり、前記先端領域と前記後端領域との間の中間領域は、前記硬性管よりも硬度が低く可撓性を有する材料からなる軟性管からなる
請求項1に記載の穿刺ユニット。
【請求項9】
請求項1に記載の穿刺ユニットと、回転導入器を備え、
前記回転導入器は、
前記穿刺ユニットが着脱自在に装着可能な筐体と、
前記筐体に配された回転駆動力を発生するモータと、
前記穿刺ユニットが前記筐体に装着されたときに、前記駆動力取得手段と前記導管基部の外郭を挟んで対向する、前記モータの出力軸に連接された駆動力供給手段とを有し、
前記駆動力供給手段から供給される駆動力は、前記導管基部の外郭を介して非接触で前記駆動力取得手段に伝達される
医療用ドレナージデバイス。
【請求項10】
前記駆動力供給手段及び前記駆動力取得手段は、それぞれに配された対向する一対のマグネットによって磁気的に結合するマグネットカップリングを構成し、前記駆動力供給手段の駆動回転に前記駆動力取得手段が従動する
請求項9に記載の医療用ドレナージデバイス。
【請求項11】
前記穿刺ユニットが前記回転導入器に装着されることにより、
前記スクリューニードルは前記導管に対し、前記導管の先端の開口から前記スクリューニードルの先端の一部が露出している状態となるよう、管軸方向に位置規制される
請求項9に記載の医療用ドレナージデバイス。
【請求項12】
前記穿刺ユニットと前記回転導入器との間に、ホルダ手段を備え、
前記穿刺ユニットは前記回転導入器に装着されるときに、前記導管基部が前記ホルダ手段に嵌合することにより、前記導管基部が前記スクリューニードルと共回りすることを防止する
請求項9に記載の医療用ドレナージデバイス。
【請求項13】
前記回転導入器は、前記モータの回転/停止、及び前記吸引装置による陰圧の付勢/解除を独立して切り替え可能であって、術者が操作可能なスイッチを有する
請求項9に記載の医療用ドレナージデバイス。
【請求項14】
体中の貯留液は、腹腔内膿瘍、膿胸、皮下膿瘍、腹腔内出血の貯留、頭蓋内血腫、卵巣嚢腫、卵巣血腫、後腹膜膿瘍、又は帝王切開創部膿瘍の何れかである
請求項9に記載の医療用ドレナージデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、病変や術野中の貯留液を吸引除去する医療用ドレナージデバイスに関し、特に、高粘度の体中貯留液の吸引除去に用いる医療用ドレナージデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、卵巣嚢腫、腹膜炎、膿胸など、病変や術野に液体貯留を来す疾患は多く、手術では体中の貯留液を吸引除去(ドレナージ)することが必要となる。
【0003】
従来、体中の貯留液の吸引除去には、先端に穴が空いた吸引嘴管を吸引チューブ回路によって外部の吸引装置に接続して、貯留液体を吸引して除去する方法が採られていた(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、近年、腹腔内膿瘍、膿胸または皮下膿瘍などの適応疾患に対する経皮的または経腟的膿瘍ドレナージ、腹腔内出血の貯留に対する経皮的または経腟的ドレナージ、頭蓋内血腫に対する経皮的穿頭ドレナージ、卵巣嚢腫または卵巣血腫に対する経腟的ドレナージ、後腹膜膿瘍、又は帝王切開創部膿瘍などに対するCTガイド下ドレナージ、経腟ドレナージ等、粘調な液体貯留を伴いそれのドレナージを要する適応疾患に対し、経皮的、経腟的にドレナージを施行する処置において、さらなる低侵襲医療への対応が求められている。
【0005】
従来、吸引チューブよりも低侵襲的にこれらの病変を吸引除去する手段としては、中空針による穿刺吸引除去が採られており、主として、18ゲージの中空針による穿刺と持続吸引バッグにより貯留液体を吸引して除去する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-192214号公報
【特許文献2】特開平7-313513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、例えば、卵巣嚢腫には脂肪や高粘度の貯留液など半固形状態の内容物を内部に貯留するものがあり、また、腹膜炎や膿胸では高粘度の膿汁が多量かつ広範囲に貯留している場合がある。このような症例に対して、中空針を用いてドレナージする従来の方法を用いた場合には、貯留液の粘度のため吸引速度が極端に遅かったり、吸引が極めて困難な状態に成り得る。その場合には回収のため、生理的食塩水を膿瘍内腔に注入して膿瘍を希釈して吸引する場合があるが、この方法は感染巣を拡大したり、逆行性の感染を惹起する等の医原性の合併症の可能性がある。また、吸引除去が困難であるために、ドレナージ手段の留置のみで手技の中断を余儀なくする場合もあり、手術時間が増加し効率化の妨げとなっていた。
【0008】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易かつ安価な装置構成により、低侵襲な方法によって高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去することができる穿刺ユニット及び医療用ドレナージデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本開示の一態様に係る穿刺ユニットは、体中の貯留液を対外に移送するための穿刺ユニットであって、少なくとも先端が被検体に穿刺可能であって、基端の後方において管内腔と連通するように吸引装置が接続可能に構成された導管と、前記導管の管内腔において、管軸のまわりを回転可能な状態で、前記導管の先端開口から少なくとも前記導管の基端まで、管軸方向に延在するスクリューニードルと、前記導管の基端後方に位置し、前記スクリューニードルの基端に連接された、前記スクリューニードルを回転させる駆動力を取得する駆動力取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本開示の一態様に係る医療用ドレナージデバイスは、上記記載の穿刺ユニットと、回転導入器を備え、前記回転導入器は、前記穿刺ユニットが着脱自在に装着可能な筐体と、前記筐体に配された回転駆動力を発生するモータと、前記モータの出力軸に配された、前記本体に装着された前記穿刺ユニットの前記駆動力取得手段と前記導管基部の外郭を挟んで対向する駆動力供給手段とを有し、前記駆動力供給手段から供給される駆動力は、前記導管基部の外郭を介して非接触で前記駆動力取得手段に伝達されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係る穿刺ユニット及び医療用ドレナージデバイスによれば、簡易かつ安価な装置構成により、低侵襲な方法によって高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去する穿刺ユニット及び医療用ドレナージデバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)~(c)は、実施の形態に係る医療用ドレナージデバイス1の術中の使用状態を説明するための模式図である。
図2】(a)は、医療用ドレナージデバイス1の側面図、(b)は、ドレナージデバイス1を主要部材に分離した状態の側面図である。
図3】医療用ドレナージデバイス1の構成を示す側断面図である。
図4】穿刺ユニット15の体中に挿入される部分の構成を示す側断面図である。
図5】穿刺ユニット15と駆動力供給手段40の連結部分の詳細を示す拡大側断面図であって、(a)は離間した状態、(b)は連結した状態を、それぞれ示す図である。
図6】駆動力供給手段40から駆動力取得手段21に駆動力が伝達される動作を説明するための模式図である。
図7】(a)は、医療用ドレナージデバイス1を、穿刺ユニット15、ホルダ手段30、回転導入器50に分離した状態を示す平面図、(b)は側面図である。
図8】(a)は、穿刺ユニット15の基端がホルダ手段30の先端に挿入された状態を示す医療用ドレナージデバイス1の平面図、(b)は側面図である。
図9】(a)は、穿刺ユニット15が装着されたホルダ手段30の基端に、回転導入器50の駆動力供給手段40が挿入されて、駆動力取得手段21に対し位置決めされた状態を示す医療用ドレナージデバイス1の平面図、(b)は側面図である。
図10】(a)~(c)は、医療用ドレナージデバイス1によるドレナージ動作を説明するための側断面図である。
図11】実施例に係る医療用ドレナージデバイス1の写真である。
図12】実施例に係る医療用ドレナージデバイス1をユニットに分離した状態の写真であり、(a)は穿刺ユニット15、(b)はホルダ手段30、(c)は駆動力供給手段40を含む回転導入器50の写真である。
図13】(a)(b)は、実施例に係る穿刺ユニット15を外管サブユニット10と内針サブユニット20に分離した状態の写真である。
図14】(a)~(c)は、医療用ドレナージデバイス1の実施例と比較例1Xを用いたドレナージ試験の結果を示す写真である。
図15】トレイを用いたドレナージ試験の態様を示す写真である。
図16】(a)~(c)は、医療用ドレナージデバイス1と比較例1Xを用いた別のドレナージ試験の結果を示す写真である。
図17】変形例に係る医療用ドレナージデバイスに用いる穿刺ユニット15Aの構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本開示の実施の形態に係る穿刺ユニットは、体中の貯留液を対外に移送するための穿刺ユニットであって、少なくとも先端が被検体に穿刺可能であって、基端の後方において管内腔と連通するように吸引装置が接続可能に構成された導管と、前記導管の管内腔において、管軸のまわりを回転可能な状態で、前記導管の先端開口から少なくとも前記導管の基端まで、管軸方向に延在するスクリューニードルと、前記導管の基端後方に位置し、前記スクリューニードルの基端に連接された、前記スクリューニードルを回転させる駆動力を取得する駆動力取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、体中の貯留液は前記スクリューニードルの回転により破砕されて前記導管の先端開口から前記導管に取り入れられ、前記スクリューニードルの回転に伴って少なくとも前記導管の基端まで移送され、前記吸引装置の陰圧により吸引移送される構成としてもよい。
【0015】
係る構成により、簡易かつ安価な装置構成により、導管を注射針とした低侵襲な方法によって、高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去する穿刺ユニットを実現できる。
【0016】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記導管の基端に連接され、前記導管の管内腔と内部空間が連通し、外郭から延出された排気管が前記吸引装置に接続可能に構成された、中空袋状の導管基部を備え、前記駆動力取得手段は、前記導管の管軸のまわりを回転可能な状態で、前記導管基部の前記内部空間に配され、前記導管基部の外方から供給される駆動力を非接触で受け取り、前記スクリューニードルに駆動力を伝達し、体中の貯留液は、前記スクリューニードルの回転に伴って前記導管基部の前記内部空間に移送され、前記吸引装置により吸引されて前記内部空間外に移送される構成としてもよい。
【0017】
係る構成により、スクリューニードルの先端が回転ドリルとして機能することにより、体中の貯留液を細かく破砕し、破砕された貯留液を導管の内腔に取込み、螺旋構造と陰圧によって効率よく基端側に移送できる。さらに、導管基部の内部空間まで移送された貯留液を吸引装置の陰圧により吸引させ導管基部の内部空間から排出することができる。
【0018】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記導管の先端の開口から、前記スクリューニードルの先端の一部が露出している構成としてもよい。
【0019】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記導管の先端の刃面は、軸に対し傾斜しており、前記スクリューニードルの先端は、管軸方向において刃面の範囲内に存在する構成としてもよい。
【0020】
係る構成により、穿刺の工程では、導管の刃面の先端によって被検体の組織を切り裂いて効率よく穿刺を行うことができる。併せて、ドレナージの工程では、脂肪や高粘度の貯留液など半固形状態の体中の内容物にスクリューニードルの先端によって細かく破砕して導管の内腔に取込むことができ、スクリューニードルの回転に伴って効率よく基端側に移送することができる。
【0021】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記スクリューニードルは、複数本の芯線が、所定ピッチで撚り合わせた撚り複数線からなる構成としてもよい。
【0022】
係る構成により、注射針の内腔に回転可能な状態で内挿可能な高硬度かつ弾性を有するスクリューニードルを製造することができる。
【0023】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記導管は、注射針からなる構成としてもよい。
【0024】
係る構成により、穿刺ユニットの導管を金属製の直針注射針を用いた簡易な構成で具体的に実現することができる。
【0025】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記導管は、先端を含む先端領域と後端を含む後端領域が硬性管からなり、前記先端領域と前記後端領域との間の中間領域は、前記硬性管よりも硬度が低く可撓性を有する材料からなる軟性管からなる構成としてもよい。
【0026】
係る構成により、硬性管により穿刺の施行を容易にするとともに、軟性管により肺や骨盤内臓を損傷する可能性が少ない穿刺ユニットが作成を図ることができる。また、軟性管を用いた穿刺ユニットを血管内に挿入して利用することで、血管内の血栓症の除去にも応用が可能となり、例えば、肺動脈塞栓症に対する経カテーテル肺動脈血栓破砕療法への利用を図ることが可能となる。
【0027】
本開示の実施の形態に係る医療用ドレナージデバイスは、上記の何れかの態様の穿刺ユニットと、回転導入器を備え、前記回転導入器は、前記穿刺ユニットが着脱自在に装着可能な筐体と、前記筐体に配された回転駆動力を発生するモータと、前記穿刺ユニットが前記筐体に装着されたときに、前記駆動力取得手段と前記導管基部の外郭を挟んで対向する、前記モータの出力軸に連接された駆動力供給手段とを有し、前記駆動力供給手段から供給される駆動力は、前記導管基部の外郭を介して非接触で前記駆動力取得手段に伝達されることを特徴とする。
【0028】
係る構成により、簡易かつ安価な装置構成により、導管を注射針とした低侵襲な方法によって、高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去する医療用ドレナージデバイスを実現できる。
【0029】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記駆動力供給手段及び前記駆動力取得手段は、それぞれに配された対向する一対のマグネットによって磁気的に結合するマグネットカップリングを構成し、前記駆動力供給手段の駆動回転に前記駆動力取得手段が従動する構成としてもよい。
【0030】
係る構成により、導管基部の外郭を挟んだ状態で、非接触で駆動力取得手段に回転力を伝達することができるので、導管基部から貯留液を漏洩させること無く、駆動力供給手段40から駆動力取得手段に駆動力を伝達してドレナージを施行することができる。
【0031】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記穿刺ユニットが前記回転導入器に装着されることにより、前記スクリューニードルは前記導管に対し、前記導管の先端の開口から前記スクリューニードルの先端の一部が露出している状態となるよう、管軸方向に位置規制される構成としてもよい。
【0032】
係る構成により、穿刺を施工する際には、スクリューニードルの先端が導管の先端の開口に沈み、導管の刃面によって組織を切り裂いて効率よく穿刺を施行できる。また、穿刺ユニットが回転導入器に装着されて施行されるドレナージでは、高粘度の体中貯留液をスクリューニードルの先端によって細かく破砕して、効率よく導管の内腔に取込むことができる。
【0033】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記穿刺ユニットと前記回転導入器との間に、ホルダ手段を備え、前記穿刺ユニットは前記回転導入器に装着されるときに、前記導管基部が前記ホルダ手段に嵌合することにより、前記導管基部が前記スクリューニードルと共回りすることを防止する構成としてもよい。
【0034】
係る構成により、導管基部を回転導入器の所定位置に位置規制するとともに、導管基部がスクリューニードルと動作の安定化を図ることができる。
【0035】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記回転導入器は、前記モータの回転/停止、及び前記吸引装置による陰圧の付勢/解除を独立して切り替え可能であって、術者が操作可能なスイッチを有する構成としてもよい。
【0036】
従来、吸引装置による陰圧の付勢/解除を制御するスイッチは手術室の外部にあり、術者が手術室の外に指示することにより行う必要があり作業が煩雑であった。これに対し、上記した構成により、術者が単独で吸引装置による陰圧の付勢/解除を操作することにより迅速な操作が容易となり、瞬時の動作切り替えが可能となる。
【0037】
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、体中の貯留液は、腹腔内膿瘍、膿胸、皮下膿瘍、腹腔内出血の貯留、頭蓋内血腫、卵巣嚢腫、卵巣血腫、後腹膜膿瘍、又は帝王切開創部膿瘍の何れかである構成としてもよい。
【0038】
係る構成により、粘調な液体貯留を伴いドレナージを要する適応疾患に対する経皮的、経腟的にドレナージを施行する処理において、低侵襲化を図ることができる。
【0039】
≪実施の形態≫
本実施の形態に係る医療用ドレナージデバイス1について、図面を用いて説明する。なお、図面は模式図であって、その縮尺は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明は、本開示の一態様に係る構成及び作用・効果を説明するための例示であって、本開示の本質的部分以外は以下の形態に限定されない。また、以下の説明を含め、本明細書、特許請求の範囲における上下とは相対的な位置関係を示すものであり、図面において紙面上方向を「上」方向、紙面下方向を「下」方向とする。また、医療用ドレナージデバイス1の管軸方向に沿った先端方向を「前」方向、基端方向を「後」方向とする。しかしながら、必ずしも絶対的な(鉛直方向における)上下の位置関係とは一致しない。また、本明細書、特許請求の範囲において、数値範囲を示す際に用いる符号「~」は、その両端の数値を含む。
【0040】
<医療用ドレナージデバイス1の全体構成>
医療用ドレナージデバイス1(以下、「ドレナージデバイス1」とする)は、医師等が手術対象部位や術野中の貯留液を吸引除去するための医療器具であり、手術中の患者及び医師等の負担軽減と手術の効率化の観点から、低侵襲な方法によって高粘度の体中貯留液の吸引除去の容易化ならびに効率化を図るものである。
【0041】
図1(a)~(c)は、実施の形態に係るドレナージデバイス1の術中の使用状態を説明するための模式図である。図1(a)に示すように、膿瘍腔Lに当たる卵巣嚢腫に貯留された内用液(腫瘍内貯留液)を対象とするドレナージでは、医師等は、先ず穿刺ガイドGを用いて膿瘍腔Lに向けて穿刺ユニット15による穿刺を施行する(図1(b))。次に、穿刺ユニット15に吸引チューブ61を接続して吸引装置60への排液チャネルを形成し、穿刺ユニット15をホルダ手段30を介して回転導入器50を接続して吸引システムを構成し(図1(c))、この状態で吸引装置60による陰圧をかけた状態で回転導入器50を稼働させて体中貯留液を体外に吸引除去する。
【0042】
ここで、穿刺ガイドGは、先端を腹壁に挿入して手術対象部位への管路を確保することにより、ドレナージデバイス1の手術対象部位へのアクセスを容易にするための案内手段である。
【0043】
吸引装置60は、ドレナージデバイス1に接続され、手術対象部位に陰圧を付勢することにより体中の貯留液を吸引除去するための吸引手段である。吸引装置60は、例えば、手術室外部の陰圧タンク(手術室吸引装置:例えば、-0.04~-0.07MPa)などから構成してもよい。
【0044】
吸引チューブ61は、塩化ビニルチューブ、樹脂、金属などからなりドレナージデバイス1と吸引装置60とを接続して吸引チューブ回路を構成する。管径、材質は、限定されないことは言うまでもない。
【0045】
<ドレナージデバイス1の各部構成>
次に、ドレナージデバイス1の各部構成について説明する。図2(a)は、ドレナージデバイス1の側面図、(b)は、ドレナージデバイス1を主要部材に分離した状態の側面図、図3はドレナージデバイス1の構成を示す側断面図である。
【0046】
ドレナージデバイス1は、図2(a)(b)、図3に示すように、穿刺ユニット15がホルダ手段30を介して回転導入器50に装着されてなる構成を採る。
【0047】
以下、ドレナージデバイス1を構成する各ユニットの構成要素について説明する。
【0048】
(穿刺ユニット15)
穿刺ユニット15は、被検体に穿刺される部分であって、ドレナージデバイス1におけるディスポーザブルユニットである。穿刺ユニット15は、外管サブユニット10と、外管サブユニット10に内装された内針サブユニット20から構成される。
【0049】
外管サブユニット10は、先端に被検体に穿刺される中空針から構成される導管12と、導管12の基端に連接された導管基部11から構成される。
【0050】
図4は、穿刺ユニット15の体中に挿入される部分の構成示す側断面図である。
【0051】
導管12には、先端の刃面12b(図3、4を参照)を有する金属製の中空針からなる注射針を用いることができる。例えば、18ゲージ注射針(外径φ1.26mm、内径φ0.90mm(図4におけるd12))を用いてもよい。
【0052】
導管基部11は、樹脂材料から構成されており、導管12の内腔12aと内部空間11aが連通する有底筒状のハウジング部材であって、基端側の開口を蓋部111を閉じることにより中空袋状の閉形状を成し、導管基部11の周面から導出された排気管13に吸引チューブ61が接続されるように構成されている。導管基部11のハウジング部材には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール等の樹脂材料を用いることができる。吸引チューブ61は、手術室の吸引系統や吸引ボトルなどの吸引装置60に接続されている。
【0053】
内針サブユニット20は、導管12内に管軸Axのまわりを回転可能な状態で延伸するスクリューニードル22と、スクリューニードル22の基端に連接された駆動力取得手段21から構成される。駆動力取得手段21は、回転導入器50からスクリューニードル22を回転させるための駆動力を取得し、スクリューニードル22に伝達するトルク伝達手段である。
【0054】
スクリューニードル22は、複数本の芯線が所定ピッチで撚り合わせて形成された撚り複数線から構成される。例えば、スクリューニードル22は、図4に示すように、一対の同じ芯線221、222が所定のピッチpにて縒り合されてなる撚り対線(ツイストペアケーブル)を用いて構成される。本例では、芯線221、222には、直径0.28mmのステンレス鋼線を用い、単線のピッチを4~6mmとして、アルキメデス螺旋形状に撚り合わせることにより、撚り合わせ後のピッチpを2~3mm、最大外径(図4におけるd22))をφ0.56mmとした撚り対線を形成し、その後、撚り対線に熱処理を施してスクリューニードル22として完成した。熱処理として、例えば、ガスバーナーで赤熱するまで加熱した後に、水で急冷することで焼き入れ処理を施すことにより、高硬度かつ弾性を有する焼き入れ鋼からなるスクリューニードル22を形成することができる。
【0055】
駆動力取得手段21は、スクリューニードル22の基端に連接された円柱状の稠密なロータハウジング部材211の周面の貫通孔211aに磁性体212が挿通されてなる形態を採り、導管基部11の内部空間において管軸Axのまわりを回転可能に構成されている。ロータハウジング部材211には、導管基部11のハウジング部材と同じ樹脂材料を用いることができる。駆動力取得手段21は、後述する回転導入器50における駆動力供給手段40と磁気的に結合することによりマグネットカップリングを構成し、駆動力供給手段40の駆動回転に従動回転する。駆動力取得手段21の構成の詳細については後述する。なお、駆動力取得手段21は、磁性体212の替わりに鉄片を用いて構成してもよい。
【0056】
図2(b)に示すように、外管サブユニット10の導管基部11は基端側に蓋部111を有している。蓋部111を開放した状態で、導管基部11の基端側から内針サブユニット20をスクリューニードル22の先端22aの方から内挿して、ロータハウジング部材211の基端211b側から蓋部111を閉じ、導管基部11の内部空間11aを封止することにより穿刺ユニット15を形成する。
【0057】
ここで、形成された穿刺ユニット15において、図4に示すように、導管12の先端の刀面12bの開口から、スクリューニードル22の先端22aの一部が露出するように、スクリューニードル22が導管12に対して位置規制されている。
【0058】
具体的には、導管12先端の刃面12bは、管軸Axに対し所定角度だけ傾斜しており、スクリューニードル22の先端22aは、管軸Ax方向において刃面12bの範囲内、すなわち、刃面12bの先端12b1から後端12b2までの範囲に存在する構成を採る。
【0059】
係る構成により、穿刺の工程では、導管12の刃面12bの先端12b1によって被検体の組織を切り裂いて効率よく穿刺を行うことができる。併せて、ドレナージの工程では、脂肪や高粘度の貯留液など半固形状態の体中の内容物にスクリューニードル22の先端22aによって細かく破砕して導管12の内腔12aに取込むことができ、スクリューニードル22の回転に伴って効率よく基端側に移送することができる。
【0060】
ドレナージデバイス1では、以上の構成からなる穿刺ユニット15が、ホルダ手段30を挟んだ状態で回転導入器50に接続され、穿刺ユニット15のスクリューニードル22が、回転導入器50によって回転駆動されるように構成されている。
【0061】
(ホルダ手段30)
ホルダ手段30は、穿刺ユニット15と回転導入器50との間に介在する機構部材である。ホルダ手段30は、穿刺ユニット15が回転導入器50に装着されるときに、導管基部11が胴部31から突出したフランジ部32に嵌合することにより、導管基部11を回転導入器50の所定位置に位置規制するとともに、フランジ部32の切り欠き32aによって導管基部11を周方向に保持することにより、導管基部11がスクリューニードル22と共回りすることを防止する機能を有する。
【0062】
(回転導入器50)
回転導入器50は、スクリューニードル22を回転させるための駆動力を発生し、穿刺ユニット15の駆動力取得手段21に伝達する機能を有する本体ユニットである。
【0063】
回転導入器50は、図3に示すように、外装を構成する筐体51、筐体51に内装される、モータ52、駆動回路53、バッテリ54、及びモータ52の出力軸521に接続された駆動力供給手段40を備える。さらに、モータ52の回転/停止、及び吸引装置60による陰圧の付勢/解除を独立して切り替え可能であって術者が操作可能なスイッチ55を備えていてもよい。
【0064】
筐体51は、後述するホルダ手段30を介して、穿刺ユニット15が着脱自在な状態で装着可能に構成されている。
【0065】
モータ52には、スクリューニードル22を回転駆動さるための回転駆動力を発生するDCモータまたはブラシレスDCモータを用いることができる。バッテリ54には、例えば、アルカリ乾電池、ニッケル水素充電池、リチウムイオン充電池などを用いることができる。駆動回路53は、バッテリ54から電力の供給を受けてモータ52を設定された所定の回転数で駆動回転させるための電気回路であり、モータ52の回転数は術者のスイッチ55操作により多段階に設定することができる。例えば、モータ52の回転数は、2000~10000rpm(rotation per minute)としてもよい。
【0066】
駆動力供給手段40は、モータ52の回転力を駆動力取得手段21に伝達する動力伝達手段である。駆動力供給手段40は、モータ52の出力軸521に同軸に接続され有底円筒状のカップリング部材41に、カップリング部材41の内周面41aの相対する壁面に開設された対向する2つの開口41bに埋設された一対のマグネット42からなる。本例では、マグネット42にネオジウム(Neodymium)磁石を用いた。
【0067】
図5は、穿刺ユニット15と駆動力供給手段40の連結部分の詳細を示す拡大側断面図であって、(a)は離間した状態、(b)は連結した状態を、それぞれ示す図である。図6は、駆動力供給手段40から駆動力取得手段21に駆動力が伝達される動作を説明するための模式図である。
【0068】
図5(a)(b)に示すように、穿刺ユニット15は導管基部11が蓋部111の基端111a側からホルダ手段30のフランジ部32に挿入されることにより、筐体51に着脱自在な状態で装着可能に構成されている。穿刺ユニット15が回転導入器50に装着された状態では、図5(b)に示すように、駆動力供給手段40のカップリング部材41の内周面41aが、駆動力取得手段21のロータハウジング部材211の外周面と導管基部11の外郭を間に挟んだ状態で所定距離だけ離れて対向した状態となる。そして、図6に示すように、カップリング部材41の内周面41aに設けられた一対マグネット42とロータハウジング部材211に設けられた磁性体212とが磁気的に結合してマグネットカップリングを構成する。これにより、駆動力供給手段40は回転力を駆動力取得手段21に非接触で伝達し、駆動力取得手段21は従動回転する。
【0069】
駆動力取得手段21が存在する導管基部11の内部空間11aは、導管12の内腔12aと連通しているために、ドレナージの際には駆動力取得手段21は移送された貯留液と接触する可能性がある。図5(a)(b)に示すように、導管基部11の内部空間11aにスクリューニードル22の基端22bの軸受けを兼ねたアイソレータ11bを設けてもよい。この場合も、スクリューニードル22の基端22bがアイソレータ11bを貫通しているため、ロータハウジング部材211と貯留液との接触を確実に防ぐことは難しい。
【0070】
しかしながら、上述のとおり、駆動力供給手段40は、マグネットカップリングによって導管基部11の外郭を挟んだ状態で、非接触で駆動力取得手段21に回転力を伝達することができるので、導管基部11から貯留液を漏洩させることなく、駆動力供給手段40から駆動力取得手段21に駆動力を伝達することができる。
(スクリューニードル22先端の位置決め)
穿刺ユニット15では、内針サブユニット20は、外管サブユニット10に対し、管軸Ax方向に遊びをもって取り付けられている。そのため、被検体に対し穿刺を施工する際には、スクリューニードル22の先端22aが導管12の先端の12bの開口に沈み、術者は、導管12の刃面12bによって被検体の組織を切り裂いて効率よく穿刺を行うことができる。
【0071】
しかしながら、穿刺ユニット15が回転導入器50に装着された状態では、ロータハウジング部材211に設けられた磁性体212の直径方向の軸線の位置は、カップリング部材41の内周面41aに設けられた一対マグネット42の磁力線MFに引き寄せられて管軸Ax方向の位置と一致する。ドレナージデバイス1では、この状態において、導管12の先端の12bの開口から、スクリューニードル22の先端22aの一部が露出するように、スクリューニードル22が導管12に対して位置規制されるように構成されている。
【0072】
そのため、穿刺を終えた後、穿刺ユニット15が回転導入器50に装着されると、磁性体212の軸線の位置がマグネット42による磁力線MFの位置に移動して、導管12の先端の12bの開口から、スクリューニードル22の先端22aの一部が露出した状態となり、この状態で、回転導入器50を駆動することにより、ドレナージの工程では、高粘度の体中貯留液をスクリューニードル22の先端22aによって細かく破砕して、効率よく導管12の内腔12aに取込むことができる。
【0073】
(ユニット間の組立について)
次に、ドレナージデバイス1を各構成ユニットが互いに結合されるときの態様について説明する。
【0074】
図7(a)は、医療用ドレナージデバイス1を、穿刺ユニット15、ホルダ手段30、回転導入器50に分離した状態を示す平面図、(b)は側面図である。回転導入器50には先端側に駆動力供給手段40が装着されている。
【0075】
図8(a)は、穿刺ユニット15の基端がホルダ手段30の先端に挿入された状態を示す医療用ドレナージデバイス1の平面図、(b)は側面図である。
【0076】
このとき、穿刺ユニット15の導管基部11がホルダ手段30のフランジ部32に嵌合し、フランジ部32の切り欠き32aによって導管基部11を周方向に保持される。これにより、穿刺ユニット15の導管基部11がホルダ手段30に対し位置規制されるとともに、ホルダ手段30により導管基部11の回転が規制され、駆動時にスクリューニードル22と共回りすることが防止される。
【0077】
図9(a)は、穿刺ユニット15が装着されたホルダ手段30の基端に、回転導入器50の駆動力供給手段40が挿入されて、駆動力取得手段21に対し位置決めされた状態を示す医療用ドレナージデバイス1の平面図、(b)は側面図である。
【0078】
この状態において、駆動力供給手段40は回転力を駆動力取得手段21に非接触で伝達し、回転導入器50のモータ52を回転させることで駆動力取得手段21を従動回転させてスクリューニードル22を駆動回転させることができる。
【0079】
<ドレナージデバイス1の動作について>
次に、ドレナージデバイス1の動作について説明する。図10(a)~(c)は、ドレナージデバイス1によるドレナージ動作を説明するための側断面図である。
【0080】
図10(a)は、ドレナージデバイス1を構成する穿刺ユニット15、ホルダ手段30、回転導入器50を図9(a)(b)に示すように組み合わせた状態で、穿刺ユニット15による穿刺を施行し、穿刺ユニット15に吸引チューブ61を接続して、手術対象部位に吸引装置60による陰圧P1をかけた状態である。この状態では、体中の貯留液L1は、脂肪や高粘度の貯留液など半固形状態を成し、貯留液L1は陰圧P1により導管12の刃面12bに付着するが開口の内部に進入することはない。
【0081】
次に、図10(b)に示すように、吸引装置60による陰圧P1をかけた状態で回転導入器50のモータ52を駆動して駆動力供給手段40を回転させると(R1)、マグネットカップリングにより駆動力取得手段21が従動回転し(R2)、導管12の内腔12aに延伸するスクリューニードル22が回転する(R3)。
【0082】
このとき、ドレナージデバイス1では、上述のとおり、スクリューニードル22の先端22aは導管12の刃面12bの開口から一部が露出するように、スクリューニードル22が導管12に対して位置規制されている。そのため、スクリューニードル22の先端22aが回転ドリルとして機能することにより、体中の貯留液L1は細かく破砕され、破砕された貯留液L2を導管12の内腔12aに取込むことができる。
【0083】
さらに、図10(c)に示すように、スクリューニードル22の回転R3によって破砕された貯留液L2を螺旋構造と陰圧P1によって効率よく基端側に移送することができる。そして、導管基部11の内部空間11aに移送された貯留液L3は、吸引装置60の陰圧P1により吸引されて導管基部11の内部空間11aから排気管13を通して排液チャネルに移送される。
【0084】
<評価試験>
以下、実施の形態に係るドレナージデバイス1の実施例と比較例を用いて評価試験により性能評価を行った。以下、その結果について説明する。
【0085】
(実施例)
ドレナージデバイス1の実施例として、原寸大・使用可能なプロトタイプを作成し評価を行った。
【0086】
導管12には、18ゲージ注射針(外径φ1.26mm、内径φ0.90mmを使用し、導管基部11に1.5mLマイクロテストチューブを用いた。
【0087】
スクリューニードル22には、ステンレス鋼線を用い、アルキメデス螺旋形状に撚り合わせて撚り対線を形成した後、加熱、水冷して焼き入れ熱処理を施した。具体的には、スクリューニードル22には、直径0.28mmのステンレス鋼線を2本、時計方向に撚り合わせて撚り対線を形成し、熱処理を施した紙縒り(こより)型の金属部品として作成した。それぞれのステンレス鋼線(単線)の捻じりのピッチは約4~6mmとし、2本組み合わせて撚り合わせて捻じれることで、撚り合わせ後のピッチp約2~3mmの螺旋形状によるくびれを形成した。
【0088】
また、撚り対線を形成した後に、ガスバーナーで赤熱するまで加熱した後に、水で急冷することで高硬度かつ弾性を有する焼き入れ鋼とした。
【0089】
スクリューニードル22の先端側の断端は、特別な断面加工は施していない。基端側の断端は、磁性体212を内包したロータハウジング部材211に接続した。
【0090】
駆動力取得手段21のロータハウジング部材211、駆動力供給手段40のカップリング部材41は、3Dプリンタを用いて樹脂材料により製作した。具体的には、ロータハウジング部材211は、軸方向Axと垂直に磁性体212がはめ込まれた樹脂製(光造形レジン製)の円柱形状の部材で、軸方向Axに0.5mmの穴を開設しスクリューニードル22の基端側の断端を差し込み、エポキシ樹脂により断端を穴に接着固定した。ロータハウジング部材211は導管基部11の内部空間11aに設置し、スクリューニードル22を軸22a、導管12を軸受けとして滑らかに回転するとを確認した。
【0091】
回転導入器50には市販の調理用器具を改造して用い、スクリューニードル22の回転数は8000rpmとした。
【0092】
また、駆動力供給手段40のマグネット42にはネオジウム磁石、駆動力取得手段21の磁性体212には鉄片を用いた。
【0093】
図11は、実施例に係るドレナージデバイス1の写真である。図12は、実施例に係ユニットに分離した状態の写真であり、(a)は穿刺ユニット15、(b)はホルダ手段30、(c)は駆動力供給手段40を含む回転導入器50の写真である。図13(a)(b)は、実施例に係る穿刺ユニット15を外管サブユニット10と(図13(a))内針サブユニット20(図13(b))に分離した状態の写真である。
【0094】
(比較例)
比較例として、実施例に係るドレナージデバイス1から内針サブユニット20を取り除き、穿刺ユニット15に吸引チューブ61を接続して、導管12の内腔12aを通して導管12の先端に吸引装置60による陰圧P1が付勢される構成のものを用いた。
【0095】
(試験結果)
[評価試験1]
先ず、実際の手術時の体中貯留物より、より高粘度・半固体状態である物質として味噌、ラード、カッテージチーズなどの動物性油脂などのペースト状物質Lを樹脂試験管CAに充填し、卵巣腫瘍(卵巣成熟嚢胞性奇形腫)の内容物のモデル(奇形腫モデル)とし、実施例及び比較例を用いてドレナージ試験を行った。
【0096】
吸引装置として手術室吸引装置と同様の圧力(-0.05MPa)に設定した真空ポンプを使用した。
【0097】
図14(a)~(c)は、医療用ドレナージデバイス1の実施例と比較例1Xを用いたドレナージ評価試験1の結果を示す写真であり、図14(a)は試験開始前、図14(b)は10秒経過後、図14(b)は20秒経過後の状態を示す写真であり、写真左側が比較例1X、右側が実施例1を示したものである。
【0098】
図14(b)(c)に示すように、比較例1Xではペースト状物質Lの吸引が不可能であったが、実施例1により効率よく樹脂試験管CAに充填されたペースト状物質Lの大半の吸引が可能であることが確認された。
【0099】
[評価試験2]
次に、ペースト物質LをトレイTL上に堆積させた状態で、同様の条件により、実施例及び比較例を用いてドレナージ試験を行った。
【0100】
図15は、トレイTLを用いたドレナージ試験の態様を示す写真である。図16(a)~(c)は、ドレナージデバイス1と比較例1Xを用いた別のドレナージ試験の結果を示す写真である。
【0101】
図16(a)~(c)は、医療用ドレナージデバイス1の実施例と比較例1Xを用いたドレナージ評価試験2の結果を示す写真であり、図16(a)は試験開始前、図16(b)は10秒経過後、図16(b)は13秒経過後の状態を示す写真であり、写真左側が比較例1X、右側が実施例1を示したものである。
【0102】
図16(b)(c)に示すように、比較例1Xではペースト状物質Lの吸引が不可能であった。これに対し、実施例1によれば効率よくトレイTLに堆積されたペースト状物質Lが吸引除去されることが確認された。図16(b)(c)では、実施例1においてペースト状物質Lの一部が吸引除去されてトレイTLの表面が露出していることが見て取れる。
【0103】
(効 果)
評価試験1、2により、以下の効果を確認した。
【0104】
味噌、ラード、カッテージチーズなどの、実際の手術時の状況より、より高粘度・半固体状態である物質でのモデル実験で、従来型吸引管と比較し効率良く、途中で回路が閉塞すること無く内容物を吸引せしめた。
【0105】
以上の結果から、1)~3)が確認された。
【0106】
回転動作をするスクリューニードル22を内蔵した18ゲージ穿刺針を導管12に用いて穿刺ユニット15を作成した。スクリューニードル22は螺旋型の形状を持ち、導管12の針の先端部の刃面12bからわずかに露出している。これを高速で回転することにより、以下の作用効果を得ることができる。
1)陰圧P1により導管12の先端部の刃面12bに引き寄せられた高粘度の貯留液がスクリューニードル22の露出した螺旋型の先端部によって削られる。
2)スクリューニードル22の螺旋型の形状が回転することにより、破砕された貯留液は導管12の内腔12aを基端側の導管基部11の内部空間11aに向かって移送される(アルキメディアン・スクリュー機構によるポンプとして働く)。
3)陰圧P1により破砕された貯留液は導管基部11の内部空間11aから吸引除去され、外部のタンク等に排液される。
【0107】
という一連の工程が、同時に連続的かつ自動的に行える。
【0108】
また、ドレナージデバイス1によれば、被検体への穿刺が完了した後に、DCモータまたはブラシレスモータ52を内蔵した回転導入器50を接続することにより、スクリューニードル22の駆動力を導管基部11の外部に設置した回転磁場から取得し、スクリューニードル22に接続されている磁性体212を磁気的結合により非接触で回転させることができる。このマグネットカップリング機構により、穿刺ユニット15の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0109】
<まとめ>
以上、説明したように、実施の形態に係る穿刺ユニット15は、少なくとも先端が被検体に穿刺可能であって、基端の後方において管内腔12aと連通するように吸引装置60が接続可能に構成された導管12と、導管12の管内腔12aにおいて、管軸Axのまわりを回転可能な状態で、導管12の先端開口から少なくとも導管12の基端まで、管軸Ax方向に延在するスクリューニードル22と、導管12の基端後方に位置し、スクリューニードルの基端22bに連接された、スクリューニードル22を回転させる駆動力を取得する駆動力取得手段21とを備えたことを特徴とする。
【0110】
また、体中の貯留液はスクリューニードル22の回転により破砕されて導管12の先端開口から導管12に取り入れられ、スクリューニードル22の回転に伴って少なくとも導管12の基端まで移送され、吸引装置60の陰圧により吸引移送されることを特徴とする。
【0111】
係る構成により、穿刺ユニット15では、簡易かつ安価な装置構成により、導管12の外径を、例えば、1.8ゲージの注射針とした低侵襲な構成によって、高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去する穿刺ユニット15を実現することができる。
【0112】
その結果、腹腔内膿瘍、膿胸または皮下膿瘍などの適応疾患に対する経皮的または経腟的膿瘍ドレナージ、腹腔内出血の貯留に対する経皮的または経腟的ドレナージ、頭蓋内血腫に対する経皮的穿頭ドレナージ、卵巣嚢腫または卵巣血腫に対する経腟的ドレナージ、後腹膜膿瘍、又は帝王切開創部膿瘍などに対するCTガイド下ドレナージ、経腟ドレナージ等、粘調な液体貯留を伴いそれのドレナージを要する適応疾患に対する、経皮的、経腟的にドレナージを施行する処置において、さらなる低侵襲医療への対応が可能となる。
【0113】
また、導管12の基端に連接され、導管12の管内腔12aと内部空間11aが連通し、外郭から延出された排気管13が吸引装置60に接続可能に構成された、中空袋状の導管基部11を備え、駆動力取得手段21は、導管12の管軸Axのまわりを回転可能な状態で、導管基部11の内部空間11aに配され、導管基部11aの外方から供給される駆動力を非接触で受け取り、スクリューニードル22に駆動力を伝達し、体中の貯留液は、スクリューニードル22の回転に伴って導管基部11の内部空間11aに移送され、吸引装置60により吸引されて内部空間11a外に移送される構成としてもよい。
【0114】
係る構成により、スクリューニードル22の先端22aが回転ドリルとして機能することにより、体中の貯留液は細かく破砕され、破砕された貯留液を導管12の内腔12aに取込み、スクリューニードル22の螺旋構造と陰圧P1によって効率よく基端側に移送できる。さらに、導管基部11の内部空間11aに移送された貯留液L3は、吸引装置60の陰圧P1により吸引されて導管基部11の内部空間11aから排気管13を通して排出することができる。
【0115】
また、実施の形態に係る医療用ドレナージデバイス1は、上記記載の穿刺ユニット15と、回転導入器50を備え、回転導入器50は、穿刺ユニット15が着脱自在に装着可能な筐体51と、筐体51に配された回転駆動力を発生するモータ52と、穿刺ユニット15が筐体51に装着されたときに、駆動力取得手段21と導管基部11の外郭を挟んで対向する、モータ52の出力軸521に連接された駆動力供給手段40とを有し、駆動力供給手段40から供給される駆動力は、導管基部11の外郭を介して非接触で駆動力取得手段21に伝達される構成としてもよい。
【0116】
係る構成により、簡易かつ安価な装置構成により、導管12を注射針とした低侵襲な方法によって、高粘度の体中貯留液を短時間で効率良く吸引除去する医療用ドレナージデバイス1を実現できる。
【0117】
また、駆動力供給手段40及び駆動力取得手段21は、それぞれに配された対向するマグネット42と磁性体212によって磁気的に結合するマグネットカップリングを構成し、駆動力供給手段40の駆動回転に駆動力取得手段21が従動する構成としてもよい。
【0118】
係る構成により、駆動力供給手段40は、マグネットカップリングによって導管基部11の外郭を挟んだ状態で、非接触で駆動力取得手段21に回転力を伝達することができるので、導管基部11から貯留液を漏洩させること無く、駆動力供給手段40から駆動力取得手段21に駆動力を伝達してドレナージを施行することができる。
【0119】
≪変形例≫
以上、本開示の具体的な構成について、実施形態を例に説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0120】
以下では、そのような形態の一例として、変形例について説明する。
(1)上記実施の形態では、ドレナージデバイス1について、卵巣嚢腫核出術を例に、実施の形態を示した。しかしながら、本発明に係る吸引デバイスの用途は、頭蓋内血腫に対する経皮的穿刺ドレナージに限定されるものではなく、卵巣嚢腫、腹膜炎、腹腔内出血など、病変や術野に液体貯留を来し、体中の貯留液を吸引除去して行うことが必要な手術に対し、広く活用することができる。
【0121】
具体的には、腹腔内膿瘍、膿胸または皮下膿瘍などの適応疾患に対する経皮的または経腟的膿瘍ドレナージ、腹腔内出血の貯留に対する経皮的または経腟的ドレナージ、頭蓋内血腫に対する経皮的穿頭ドレナージ、卵巣嚢腫または卵巣血腫に対する経腟的ドレナージ、後腹膜膿瘍、又は帝王切開創部膿瘍などに対するCTガイド下ドレナージ、経腟ドレナージ等、粘調な液体貯留を伴いそれのドレナージを要する適応疾患に対する経皮的、経腟的にドレナージを施行する処理において、低侵襲化を図ることができる。
(2)上記実施の形態では、穿刺ユニット15の導管12には金属製の直針中空針からなる18ゲージ注射針を用いた構成を例に実施の形態を示した。しかしながら、導管12及びスクリューニードル22の材質、長さ、太さは、上記に限定されるものではなく、対象とする適応疾患に応じて適宜変更しもよい。
【0122】
図17は、変形例に係る医療用ドレナージデバイスに用いる穿刺ユニット15Aの構成を示す側断面図である。
【0123】
穿刺ユニット15Aでは、導管12Aを、例えば、塩化ビニルなどの軟性針を用いて構成した点で実施の形態に係る穿刺ユニット15と相違する。また、導管12Aは、先端を含む先端領域Trと後端を含む後端領域Rr、先端領域Trと後端領域Rrとの間の中間領域Mrによって構成される。導管12Aは、少なくとも中間領域Mrは、実施の形態における導管12の材料よりも硬度が低く可撓性を有する軟線材料によって構成される。
軟性材料としては、塩化ビニル等の中空管を用いてもよい。
【0124】
また、スクリューニードル22は、例えば、ナイロン、パーフロロエラストマー(FFKM:Perfluoroelastomer」など、導管12Aに対する低摩擦と可撓性を両立できる樹脂材料を用いて構成してもよい。
【0125】
穿刺ユニット15Aの他の構成要素は、穿刺ユニット15と同じものを用いることができる。
【0126】
穿刺ユニット15Aは、金属などからなる硬性の穿刺針PNを経皮的に穿刺して血管内に留置することで、血管内のアクセスルートを確保し、穿刺針PNの内腔に穿刺ユニット15Aの導管12A部分を挿入して、導管12Aの先端領域Trを血腫などの対象部位に到達させてドレナージを施行する。導管12Aの中間領域Mrの長さは、対象部位の経皮からの距離によって適宜変更してもよい。
【0127】
穿刺ユニット15Aでは、硬性管12A1により穿刺の施行を容易にするとともに、軟性管12A2により肺や骨盤内臓を損傷する可能性が少ない穿刺ユニットが作成を図ることができる。
【0128】
また、穿刺ユニット15Aは、軟性管を用いた穿刺ユニットを血管内に挿入して利用することで、血管内の血栓症の除去にも応用が可能となる。例えば、肺動脈塞栓症に対する経カテーテル肺動脈血栓破砕療法への利用を図ることが可能となる。
(3)上記実施の形態では、穿刺ユニット15のスクリューニードル22は、複数本の芯線が、所定ピッチで撚り合わせた撚り複数線から構成として、一対の同じ芯線221、222が所定のピッチpにて縒り合されてなる撚り対線を用いた構成を例に実施の形態を示した。しかしながら、スクリューニードル22の構成及び製造方法、上記に限定されるものではなく適宜変更しもよい。
【0129】
変形例に係るスクリューニードル22は、例えば、3Dプリンタを用いて樹脂又は金属材料により形成してもよい。あるいは、太さの異なる主線と副線を用い、主軸となる太い鉄線の周囲に螺旋状に、副線となる細い鉄線をらせん状に巻き付けた構造としてもよい。
【0130】
これにより、製造が容易であって、高粘度の貯留液を効率よく基端側に移送可能な構造を実現できる。
【0131】
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていないものについては、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0132】
また、上記の方法が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記方法の一部が、他の方法と同時(並列)に実行されてもよい。
【0133】
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0134】
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本開示の一態様に係る穿刺ユニット及び医療用ドレナージデバイスは、病変や術野中の貯留液を吸引除去する手段として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 医療用ドレナージデバイス
15 穿刺ユニット
10 外管サブユニット
11 導管基部
111 蓋部
12 導管
13 排気管
20 内針サブユニット
21 駆動力取得手段
211 ロータハウジング部材
212 磁性体
22 スクリューニードル
221、222 芯線
30 ホルダ手段
31 胴部
32 フランジ部
50 回転導入器
40 駆動力供給手段
41 カップリング部材
42 マグネット
51 筐体
52 モータ
521 出力軸
53 駆動回路
54 バッテリ
55 スイッチ
60 吸引装置
61 吸引チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17