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特開2024-61802廃棄物の質を推定する装置、システム、プログラム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061802
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】廃棄物の質を推定する装置、システム、プログラム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20240426BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20240426BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20240426BHJP
   B66C 13/48 20060101ALI20240426BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240426BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
F23G5/44 B
B66C13/00 D
B66C13/48 C
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036511
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2022108352の分割
【原出願日】2017-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 慶
(72)【発明者】
【氏名】河内 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】市川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】横山 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 俊之
(57)【要約】
【課題】さまざまな質の廃棄物が混在しているごみピット内において、学習モデルを用いて、ごみピット内の廃棄物の質を推定する装置を提供する。
【解決手段】ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを生成する教師データ生成部と、教師データを用いた学習によって、モデルを構築するモデル構築部と、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを、モデルに入力して、新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得する推定部を備える装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを用いた学習によって構築されたモデルに、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得する推定部を備え、
前記推定部は、
前記廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を出力データとして出力し、
出力された廃棄物の質を表す値に応じた情報を、前記ブロックの各々に対応付けた推論マップを生成し、
前記新たな画像のデータに変化がある度に、あるいは、一定期間毎に、前記推論マップを更新および/または記録する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記推定部は、出力された廃棄物の質を表す値から、値の大きさに基づいて分類されたラベルと、値の大きさに基づいて求められた、焼却炉への投入適否を判定したフラグとのうちの少なくとも一方を抽出し、抽出されたラベルおよびフラグのうちの少なくとも一方を、前記ブロックの各々に対応付けることにより前記推論マップを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1つのブロックに対応する出力データが複数ある場合、前記推定部は、ブロック毎に、当該ブロックに対応する複数の出力データから、当該ブロックに示される前記ラベルおよび前記フラグのうちの少なくとも一方を抽出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記教師データを用いた学習によって、前記モデルを構築するモデル構築部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記モデル構築部は、前記廃棄物を撮像した新たな画像とそれに対応するプロセスデータを用いて定期的に追加学習または再学習する機能を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、さらに
前記推論マップに基づいて、クレーンの制御を行うクレーン制御装置に対する指示、あるいは焼却炉の制御を行う燃焼制御装置に対する指示のうち少なくとも一方を生成する指示部を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記クレーン制御装置に対する指示は、クレーンに対し前記ごみピット内の廃棄物を移動させる指示であり、前記燃焼制御装置に対する指示は、焼却炉に投入された廃棄物を燃焼させるのに必要な指示である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記教師データは、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像を複数のブロックに分割し、分割されたブロック毎に取得された、当該画像に対応する廃棄物処理プラントのプロセスデータから生成される、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセスデータは、前記廃棄物処理プラントの運転履歴に基づいて収集される廃棄物の特性を示すデータと、廃棄物処理プラントの運転履歴を元に作業者が廃棄物の質を分類したラベルとのうち少なくとも一方を備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記廃棄物の質を表す値は、前記廃棄物の燃えやすさを示す指標である、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた前記教師データを生成する、教師データ生成部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
廃棄物処理プラントシステムであって、
クレーンの制御を行うクレーン制御装置と、
焼却炉の制御を行う燃焼制御装置と、
ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを用いた学習によって構築されたモデルに、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割することによって得られた、ブロック毎の新たな画像のデータを入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値に応じた情報を、各前記ブロックに対応付けた推論マップを生成する推定部と、
前記推論マップに基づいて、前記クレーン制御装置に対する指示、あるいは前記燃焼制御装置に対する指示のうち少なくとも一方を生成する指示部と
を備え、
前記推定部は、前記新たな画像のデータに変化がある度に、あるいは、一定期間毎に、前記推論マップを更新および/または記録する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項13】
ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを用いた学習によって構築されたモデルに、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得する推定ステップを含み、
前記推定ステップでは、
前記廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を出力し、
出力された廃棄物の質を表す値に応じた情報を、前記ブロックの各々に対応付けた推論マップを生成し、
前記推論マップは、前記新たな画像のデータに変化がある度に、あるいは、一定期間毎に更新および/または記録される、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法を、廃棄物処理プラントに備えられたプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項13に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理プラントにおいて廃棄物の質を推定する装置、システム、プログラム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理プラントでは、家庭ごみや粗大破砕ごみ、剪定枝、汚泥など、さまざまな質を持った廃棄物がごみピット内に投入される。これらのさまざまな質を持った廃棄物は一緒に焼却炉に投入されて、焼却炉内で焼却処理される。しかしながら、焼却炉内に投入される廃棄物の質が急激に変化すると、焼却の際に、焼却炉内部の温度が急変する、あるいはダイオキシン等の有害ガスや物質が発生して環境問題になることがある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、ごみピットに投入される一般ごみと異質ごみを色調により識別し、クレーンを制御してピット内の廃棄物を攪拌して廃棄物の質の均一化を図っている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば厨芥(ちゅうかい)ごみとプラスチック類等の質が違うが色調が近いごみの識別や、布団類等の質が同じであるが色調が一定でない廃棄物の質の識別は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5025120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本技術は上述の点に鑑みてなされたものであり、質が違うが色調が近い廃棄物や、質が同じであるが色調が異なる廃棄物が混在していても、廃棄物の質を推定することのできる装置、システム、プログラム、及び方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔形態1〕形態1によれば、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを生成する、教師データ生成部と、前記教師データを用いた学習によって、モデルを構築するモデル構築部と、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを、前記モデルに入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得する推定部と、を備える装置が提供される。
【0008】
〔形態2〕形態2によれば、形態1に記載の装置において、前記推定部は、さらに前記廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を出力し、出力された廃棄物の質を表す値を、前記ブロックの各々に対応付けた推論マップを生成する。
【0009】
〔形態3〕形態3によれば、形態2に記載の装置において、前記装置は、さらに、前記推論マップに基づいて、クレーンの制御を行うクレーン制御装置に対する指示、あるいは焼却炉の制御を行う燃焼制御装置に対する指示のうち少なくとも一方を生成する指示部を備える。
【0010】
〔形態4〕形態4によれば、形態3に記載の装置において、前記クレーン制御装置に対す
る指示は、クレーンに対し前記ごみピット内の廃棄物を移動させる指示であり、前記燃焼制御装置に対する指示は、焼却炉に投入された廃棄物を燃焼させるのに必要な指示である。
【0011】
〔形態5〕形態5によれば、形態1から4のいずれか1つの形態の装置において、前記教師データは、廃棄物処理プラントの運転履歴に基づいて特定された廃棄物の特性を示す値と、ごみピット内の廃棄物の画像データを元に作業者が廃棄物の質を分類したラベルとのうち少なくとも一方から収集される。
【0012】
〔形態6〕形態6によれば、形態1から5のいずれか1つの形態の装置において、前記廃棄物の質を表す値は、前記廃棄物の燃えやすさを示す指標である。
【0013】
〔形態7〕形態7によれば、廃棄物処理プラントシステムであって、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを生成する、教師データ生成部と、前記教師データを用いた学習によって、モデルを構築するモデル構築部と、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像を、複数のブロックに分割し、ブロック毎の新たな画像のデータを、前記モデルに入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を、各前記ブロックに対応付けた推論マップを生成する推定部と、前記推論マップに基づいて、クレーンの制御を行うクレーン制御装置に対する指示、あるいは焼却炉の制御を行う燃焼制御装置に対する指示のうち少なくとも一方を生成する指示部と、を備える、システムが提供される。
【0014】
〔形態8〕形態8によれば、廃棄物処理プラントのごみピット内に貯留される廃棄物の質を推定する方法であって、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを生成するステップと、前記教師データを用いた学習によって、モデルを構築するステップと、ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを、前記モデルに入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得するステップと、を備える方法が提供される。
【0015】
〔形態9〕形態9によれば、形態8に記載の方法を、前記廃棄物処理プラントに備えられたプロセッサに実行させるためのプログラムが提供される。
【0016】
〔形態10〕形態10によれば、廃棄物処理プラントの動作を制御する装置が、廃棄物処理プラント内のごみピット内に貯留される廃棄物の画像に対応する廃棄物の質を推定するために用いる、データ構造であって、当該データ構造は、前記廃棄物処理プラントの運転履歴から生成された廃棄物の質を表す値と、当該廃棄物の質を表す値に対応する廃棄物の画像とを含む教師データを含み、前記装置は、前記教師データを用いた学習によって、前記ごみピット内に貯留される廃棄物の新たな画像に対応する廃棄物の質を推定することを特徴とする、データ構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る廃棄物処理プラントの概略図である。
図2】一実施形態に係る廃棄物処理プラントシステムの概略構成図である。
図3】一実施形態に係る廃棄物処理プラントの情報処理装置の機能構成図である。
図4】出力データと、ごみピット内の位置との対応を示す、推論マップの一構成例である。
図5】一実施形態による廃棄物処理プラントシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。
【0019】
図1は、一実施形態による廃棄物処理プラントの概略図を示しており、図1において、1は廃棄物を焼却する焼却炉、2は廃熱ボイラ、3はごみを貯留しておくピット、4はホッパ、5はごみをピット3からホッパ4に移すためのクレーン、6はピット3内に貯留した廃棄物の表面を撮影する撮像装置である。また、図1において、21はプラットホームであり、該プラットホーム21からごみ収集車22で収集されたごみがごみピット3内に投入される。
【0020】
図2は、図1に示す廃棄物処理プラントの動作を制御するシステム100の構成図を示す。廃棄物処理プラントシステム100は、撮像装置6が撮影した画像データを用いて、廃棄物の質を表す値を推定し、推定された廃棄物の質を表す値に基づいて、廃棄物処理プラントの動作を制御するよう構成されたシステムである。廃棄物処理プラントシステム100は、情報処理装置200と、ごみピット3(図1に示す)内を撮影する撮像装置6と、クレーン制御装置110と、燃焼制御装置120とを備える。情報処理装置200は、例えば廃棄物処理プラント内に付設された構内LAN等のネットワークを介して、撮像装置6と、クレーン制御装置110と、燃焼制御装置120とに、相互に通信可能に接続されている。情報処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータや、ワークステーション、サーバ装置で構成されてもよいし、タブレット端末などの携帯型コンピュータによって構成されてもよい。なお、この構成は一例であり、本発明を適用できる構成は図2に示すものに限られない。例えば、撮像装置6、クレーン制御装置110と、燃焼制御装置120と、情報処理装置200とは2つ以上あっても構わない。
【0021】
撮像装置6は、ごみピット3内に堆積した廃棄物の表面を撮影し、ピット3内の画像データを取得する装置である。撮像装置6は、例えば、廃棄物の形状及び色彩画像を撮影するRGBカメラ、廃棄物の近赤外線画像を撮影する近赤外線カメラ、廃棄物の3次元画像を撮影する3DカメラまたはRGB-Dカメラである。
【0022】
情報処理装置200は、主たる構成要素として、プロセッサ202と、メモリ204と、通信インターフェース206と、ストレージ208とを備える。ある態様において、情報処理装置200は、撮像装置6から送信されたごみピット3内の画像データに基づいて、学習モデルに与える教師データを生成する。情報処理装置200において実行される機能の詳細については、図3を用いて後述する。
【0023】
プロセッサ202は、メモリ204に格納されたプログラムを読み出して、それに従った処理を実行するように構成される。プロセッサ202がメモリ204に格納されたプログラムを実行することによって、後述する処理の各機能が実現される。ある態様において、プロセッサ202は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のデバイスとして実現される。
【0024】
メモリ204は、プログラム及びデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、ストレージ208からロードされる。データは、情報処理装置200に入力されたデータと、プロセッサ202によって生成されたデータと、ストレージ208からロードされたデータとを含む。ある態様において、メモリ204は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとして実現される。メモリ204に格納されるデータは、撮像装置6により撮影された廃棄物の画像データ、廃棄物の画像データに基づいて生成される教師データ等を含む。
【0025】
通信インターフェース206は、撮像装置6と、クレーン制御装置110と、燃焼制御
装置120と、情報処理装置200との間で信号を通信する。ある態様において、例えば、通信インターフェース206は、撮像装置6から出力された画像データを受信する。別の態様において、通信インターフェース206は、プロセッサ202が生成した指示を、クレーン制御装置110、あるいは燃焼制御装置120へ送る。
【0026】
ストレージ208は、プログラム及びデータを永続的に保持する。ストレージ208は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置として実現される。ストレージ208に格納されるプログラムは、例えば、撮像装置6により撮影された廃棄物の画像データに基づいて教師データを生成させるためのプログラム、クレーン制御装置110、あるいは燃焼制御装置120に指示を与えためのプログラムを含む。ストレージ208には、例えば、廃棄物処理プラントの運転履歴が時系列に記憶されている。廃棄物処理プラントの運転履歴は、廃棄物処理プラントに取り付けられた複数のセンサ等のデバイス、例えば焼却炉1(図1に示す)内の温度を感知する温度センサ、によって測定されたローデータを含む。また、ストレージ208は、データベース209を備え、データベース209には、例えば、廃棄物処理プラントの運転履歴に基づいて得られたプロセスデータが時系列に記憶されている。なお、プロセスデータは、メモリ204に記憶されてもよい。
【0027】
クレーン制御装置110は、クレーン5(図1に示す)の動作を制御する装置である。クレーン制御装置110は、情報処理装置200から送信された指示に従って、クレーン5にごみピット3内の廃棄物を攪拌する動作を行わせる、あるいはごみピット3内の廃棄物をホッパ4(図1に示す)に搬送させる。ごみピット3内の廃棄物の攪拌とは、ごみピット3内のあるブロックに積まれている廃棄物の一部分をクレーン5で掴んで、ごみピット3内の別のブロックへ移動する、あるいはクレーン5で掴んだ廃棄物を再び同一ブロックに落とすことである。廃棄物の攪拌を繰り返し行うことで、ごみピット3内のごみを均質に混ぜることができる。これにより、焼却炉1での廃棄物の燃え方を均質にすることができる。
【0028】
燃焼制御装置120は、焼却炉1(図1に示す)の燃焼制御を行う装置である。燃焼制御装置120は、情報処理装置200から送信された指示に従って、焼却炉1における燃焼時間や燃焼温度を制御する、あるいは焼却炉1内に送る空気量を制御する。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置200の機能的な構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる情報処理装置200は、教師データ生成部220と、モデル構築部230と、画像取得部240と、推定部250と、指示部260とを備える。各部220から260は、図2に示すプロセッサ202がメモリ204内のコンピュータプログラムを読み出して実行することによって実現される機能を表す。
【0030】
本実施形態によると、廃棄物処理プラントの運転履歴に含まれる廃棄物の画像データ等から教師データを生成し、当該廃棄物の画像データと、該教師データとのセットを複数収集して、これらを機械学習することにより、学習モデルを構築する。そして、構築された学習モデルに、推定対象となる廃棄物の画像データを入力して、出力(推論結果)を取得し、該出力に基づいて推論マップを生成する。また、推論マップに基づいて、クレーン制御装置110(図2に示す)、および燃焼制御装置120(図2に示す)へ指示を与える。以下に、各部220~260の動作等について詳細に説明する。
【0031】
教師データ生成部220は、学習モデルに与える教師データを生成する。教師データ生成部220は、予め定められたデータベース209(図2に示す)に時系列に記憶された廃棄物処理プラントの過去、あるいは現在の運転履歴から、教師データを生成する。データベース209には、撮像装置6により撮像されたごみピット3内の廃棄物の画像データ
と、該廃棄物の画像データに対応するプロセスデータとが、時系列に格納されている。教師データ生成部220は、データベース209から、ごみピット3内の廃棄物の画像データに対応するプロセスデータを読み出しし、該プロセスデータから学習のための教師データを生成する。ごみピット3内の廃棄物の画像データと、プロセスデータとは、例えば、これらが取得される時刻で対応付けられる。すなわち、過去の廃棄物の画像データには、過去のプロセスデータが対応付けられる。プロセスデータから生成される教師データは、廃棄物の質を表す値を含む。廃棄物の質を表す値は、廃棄物の燃えやすさ、あるいは燃えにくさを示す指標である。プロセスデータは、廃棄物処理プラントの運転履歴に基づいて収集される廃棄物の特性を示すデータと、廃棄物処理プラントの運転履歴を元に作業者が廃棄物の質を分類したラベルとのうち少なくとも一方を備える。
【0032】
廃棄物の特性を示すデータは、例えば、ピット3内に投入された廃棄物の重量(kg・m/s)、密度(kg/m)、ピット3内に投入された廃棄物に含まれる水分量(kg)、あるいは廃棄物を燃やしたときに発生する発熱量(kJ/kg)である。重量が小さい、密度が低い、水分量が少ない、発熱量が大きいことは、廃棄物が燃えやすいことを示す。一般に、密度が低いほど廃棄物は燃えやすい。従って、同じ体積を有するが、重量が小さい廃棄物は燃えやすい。クレーン5が掴むことのできる廃棄物の体積はほぼ同じであるため、クレーン5が掴む廃棄物の重量が測定されれば、当該廃棄物の燃えやすさを判定することができる。
【0033】
また、例えば、データベース209には、廃棄物処理プラントの過去の運転履歴に基づく、廃棄物の特性を示すデータが予め記録されている。一例として、データベース209には、過去の所定期間(例えば3年間)にわたる、廃棄物処理プラントの月ごとの発熱量の情報が予め記憶されている。データベース209に記憶されている月ごとの発熱量の履歴情報を参照することにより、ごみピット3内の廃棄物の画像に示される廃棄物が、ごみピット3へ投入されたときの、実際の廃棄物の発熱量を特定することができる。
【0034】
本態様においては、ごみピット3内の廃棄物の画像データは、該廃棄物の画像に示される廃棄物が、ごみピット3に投入されたときに特定された廃棄物の特性を示すデータに対応付けられる。そして、教師データ生成部220は、特定された廃棄物の特性を示すデータを整形等して、廃棄物の画像データに対応する、当該廃棄物の質を表す教師データを生成する。
【0035】
一方、廃棄物の質を分類したラベルは、データベース209に格納された過去の廃棄物の画像のデータを元に、作業者が、当該画像に示される廃棄物の質を目視により分類することによって特定される。例えば、作業者が、画像に示される廃棄物が、高質ごみで構成されると判断した場合、ラベル「H」を割り当て、基準ごみで構成されると判断した場合、ラベル「M」を割り当て、低質ごみで構成されると判断した場合、ラベル「L」を割り当てる。割り当てられたラベルは、不図示の入力インターフェースを介して、情報処理装置200へ入力され、データベース209へ記憶される。
【0036】
本態様においては、撮像装置6により撮像されたごみピット3内の廃棄物の画像データから、作業者が目視で廃棄物の質を分類したラベルが、教師データとして収集される。
【0037】
このように、教師データ生成部220は、廃棄物処理プラントの運転履歴から、ごみピット3内の廃棄物の画像に対応するプロセスデータを取得し、該プロセスデータから教師データを生成する。教師データ生成部220は、廃棄物の画像のデータと、該廃棄物の画像に対応する、廃棄物の質を表す値を含む教師データとのセットを複数収集し、学習データとしてメモリ204へ格納する。
【0038】
なお、教師データ生成部220は、データベース209に格納された過去の廃棄物の画像データの画像を複数のブロックに分割し、分割されたブロック毎に、当該画像に対応するプロセスデータを取得し、該取得されたプロセスデータから教師データを生成してもよい。この場合、教師データ生成部220は、一例として、分割されたブロック個々にブロック番号を割り当てて、該ブロック番号と共に、廃棄物の質を表す値をメモリ204へ格納する。従って、教師データ生成部220は、ピット3内のどのブロックにある廃棄物が、どのくらい燃えやすいかを示す教師データのマップを生成することができる。
【0039】
モデル構築部230は、生成した教師データを機械学習することによりモデル(関数)を構築する。モデルは、新しい入力が来たときに、それに対応する正しい出力をするよう構築される。モデル構築部230は、所定の関数y=f(x、θ)を有している。ここで、入力xは、ごみピット3内の廃棄物の画像データ、出力yは、廃棄物の質を表す値、θはこの関数の内部パラメータである。モデル構築部230は、入力xと出力yとのセットを複数与えて、機械学習させることにより、正しい出力が得られるよう内部パラメータθを調整する。機械学習のために与えられる入力xは、教師データ生成部220により生成された、廃棄物処理プラントの運転履歴から収集されたごみピット3内の廃棄物の画像データであり、出力yは、該入力xに対応する教師データである。機械学習のために入力xとして与えられるごみピット3内の廃棄物の画像データの画像には、様々な形状や様々な色調を有する廃棄物が示される。モデル構築部230は、これらの様々な画像のデータと、当該様々な画像のデータに対応する教師データとの複数のセットを機械学習することで、画像データと、教師データとの関係を見つけ出し、モデルの内部パラメータθを調整する。これにより、モデルは、これまで与えられた入力xとは異なる新たな入力が与えられても、新たな入力に対応する正しい出力をするよう構成される。なお、学習に用いるアルゴリズムとしては、線形回帰、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、スパース回帰、決定木、ランダムフォレストを用いた統計的推定、強化学習、深層学習の内の少なくとも1つがある。
【0040】
画像取得部240は、構築されたモデルに入力するための、ごみピット3内の廃棄物の画像データを取得する。画像取得部240は、撮像装置6からごみピット3内の廃棄物の画像データを定期的に、若しくはクレーン5のピット3内への廃棄物の投入要求などをトリガーとして、受信し、メモリ204へ格納する。
【0041】
推定部250は、メモリ204から新たな廃棄物の画像データを取得し、構築されたモデルに、該新たな廃棄物の画像データを入力して、出力データを取得する。出力データは、該新たな画像データに対応する、廃棄物の質を表す値であり、例えば廃棄物の特性を示すデータである。
【0042】
推定部250は、さらに、取得された出力データと、該出力データのごみピット3内における位置との対応を示す推論マップを生成してもよい。推定部250は、画像取得部240により取得された新たな画像を複数のブロックに分割し、該複数のブロックに分割された新たな画像のデータのそれぞれを、構築されたモデルに入力して、ブロックごとに出力データを得る。図4は、ごみピット3の表面を複数のブロック402に分割して構成される推論マップ400の一例を示す。図4の例では、ごみピット3内の表面は横4、縦12に分割されており、推論マップ400は計48のブロック402から構成される。なお、推定部250は、過去に生成されたマップを用いることで、推論マップを3次元的に生成することもできる。
【0043】
推論マップ400を構成する各ブロック402には、一例として、出力データが示される。図4に示す例では、出力データは廃棄物の燃えやすさを示す指標(図4では無単位)である。例えば、図4に示す指標の値が大きいほど、廃棄物が燃えやすいことを示す。各ブ
ロック402に記される出力データは、図4に示すものに限られず、他のもの、例えば、廃棄物の重量(kg・m/s)、密度(kg/m)、廃棄物の水分量(kg)、発熱量(kJ/kg)であってもよいし、これらの任意の組み合わせであってもよい。推論マップ400を構成する各ブロック402に示される出力データは複数あってもよい。推論マップ400は、画像取得部240により取得された画像データに変化がある度に、あるいは、一定期間毎に更新/記録される。また、推論マップ400は不図示のディスプレイに視覚的に表示されてもよい。
【0044】
また、推論マップ400を構成する各ブロック402には、出力データそのものではなく、出力データに基づいて抽出される値(ラベル、フラグなど)が示されてもよい。例えば、各ブロック402には、出力データの大きさに基づいて分類されたラベルが示される。一例として、出力データが、廃棄物の水分量である場合、水分量が大きいものにラベル「L(あるいは低質ゴミ)」、水分量が平均的なものにラベル「M(あるいは基準ごみ)」、水分量が小さいものにラベル「H(あるいは高質ごみ)」を割り当てる。また、例えば、各ブロック402には、出力データの大きさに基づいて求められたフラグが示される。一例として、出力データが、発熱量である場合、廃棄物の発熱量が一定以上であり焼却炉1への投入に適すると判定された場合、フラグ「OK」、発熱量が一定未満であり焼却炉1への投入に適さないと判定された場合、フラグ「NG」を割り当てる。また、1つのブロック402に対応する出力データが複数ある場合、これらの複数の出力データから、各ブロック402に示される値を新たに抽出してもよい。
【0045】
本技術によると、新しい画像データが入力されたときに、それに対応する正しい値(廃棄物の質を表す値)を出力するよう構築されたモデルを用いて、新たな画像データに対応する廃棄物の質を推定する。従って、廃棄物の新しい画像データを収集して、これらの画像データを学習モデルに入力することで、新しい画像データに対応する廃棄物の質の推定を行うことができる。さらに、色調が近くても質が異なる廃棄物や、一定の色調を持たなくても質が同じ廃棄物が、ピット3内に混在していても、色調のみから廃棄物の質を推定する場合と比較して、より高い精度で廃棄物の質を推定することができる。また、本技術によると、学習モデルを用いて機械的に廃棄物の質の推定を行うので、熟練の作業者がいなくても、廃棄物の質の推定を行うことができる、あるいはこれまで廃棄物の質を目視で行っていた作業員の判断の確からしさをサポートすることができる。さらに、新しい画像データとそれに対応するプロセスデータを用いて定期的に追加学習、再学習を行うことで、経年による廃棄物の質の変化に対応することもできる。
【0046】
また、本技術によると、ごみピット3内を複数のブロック402に分割し、ブロック402毎に、廃棄物の質を表す値等が示された推論マップ400が生成される。作業者あるいは情報処理装置200は、推論マップ400を参照することにより、ごみピット3内の廃棄物が、ブロック402毎にどのような質を有しているかを把握することができる。従って、廃棄物の質の位置的な分布を把握することができる。
【0047】
指示部260は、推論マップ400に基づいて、クレーン制御装置110(図2に示す)へ指示を与える。より具体的には、指示部260は、推論マップ400に基づいて、ごみピット3内のどのブロックからどのブロックへ廃棄物を移動させるべきかを示す指示、あるいはごみピット3内のどのブロックの廃棄物を焼却炉1(図1に示す)へ投入させるべきかを示す指示を作成し、クレーン制御装置110へ送信する。クレーン制御装置110は、該指示に従って、クレーン5によるごみピット3内の廃棄物の移動を制御する。指示部260は、推論マップ400に示される値を用いて、ピット3内の廃棄物の質が均一になるように、あるいは、前回焼却炉1へ投入した廃棄物の質と近くなるように、廃棄物の移動を指示する。
【0048】
また、指示部260は、推論マップ400に基づいて、燃焼制御装置120(図2に示す)へ指示を与える。より具体的には、指示部260は、推論マップ400内のどのブロックの廃棄物が焼却炉1へ投入されたかの投入情報と、当該ブロックに示される値、例えば出力データとを用いて、焼却炉1において、投入された廃棄物の燃焼に必要な指示を作成し、燃焼制御装置120へ送信する。燃焼制御装置120は、該指示に従って、焼却炉1に投入された廃棄物の質に適した燃焼温度、燃焼時間、空気量となるよう、焼却炉1の燃焼制御を行う。
【0049】
なお、上記した発明の実施の形態は、本発明を限定するものではない。例えば、指示部260は、情報処理装置200ではなく、他の装置、一例としてクレーン制御装置110に備えられてもよい。この場合、情報処理装置200で生成される推論マップ400を、クレーン制御装置110へ送信し、クレーン制御装置110が、推論マップ400上のどのブロックにある廃棄物を焼却炉1へ投入するかの指示を生成して、クレーン5の動作を制御する。そして、クレーン制御装置110は、廃棄物の焼却炉1へ投入された廃棄物のブロック位置情報と、ブロックに示される値とを用いて、燃焼制御装置120に対する制御指示を生成する。
【0050】
あるいは、指示部260は、一例としてクレーン制御装置110と、燃焼制御装置120の両方に備えられてもよい。この場合、情報処理装置200で生成される推論マップ400を、クレーン制御装置110へ送信し、クレーン制御装置110が、推論マップ400上のどのブロックにある廃棄物を焼却炉1へ投入するかの指示を生成して、クレーン5の動作を制御する。そして、燃焼制御装置120は、情報処理装置200から推論マップ400を受信し、クレーン制御装置110から焼却炉1へ投入された廃棄物のブロック位置情報を受信する。燃焼制御装置120は、廃棄物の焼却炉1へ投入された廃棄物のブロック位置情報と、ブロックに示される値とを用いて、焼却炉1の制御指示を生成する。
【0051】
図5は、一実施形態による廃棄物処理プラントシステム100の動作を示すフローチャート500である。
【0052】
ステップS510において、教師データ生成部220は、データベース209(図2に示す)に格納された廃棄物処理プラントの運転履歴を、メモリ204(図2に示す)へロードする。そして、メモリ204にロードされた廃棄物処理プラントの運転履歴から、ごみピット3内の廃棄物の画像データに対応するプロセスデータを収集し、該プロセスデータに基づいて教師データを生成する。
【0053】
ステップS520において、モデル構築部230は、ごみピット3内の廃棄物の画像データと、ステップS510で生成された当該画像データに対応する教師データとを用いた教師ありの学習によって、モデル構築部230が有する関数の内部パラメータが調整されたモデルを構築する。
【0054】
ステップS530において、画像取得部240は、撮像装置6により撮像されたごみピット3内の廃棄物の画像データを取得する。
【0055】
ステップS540において、推定部250は、画像取得部240により取得されたごみピット3内の廃棄物の画像データを、1以上のブロックに分割する。そして、推定部250は、分割された画像データのそれぞれを、ステップS520にて構築されたモデルに入力して、ブロックごとに出力データを得る。
【0056】
ステップS550において、推定部250は、ステップS540にて取得されたブロック毎の出力データによって特定された廃棄物の質を表す値を、各ブロックに対応付けて、
推論マップ400を生成する。
【0057】
ステップS560において、指示部260は、ステップS550にて生成された推論マップ400に基づいて、クレーン制御装置110、あるいは燃焼制御装置120へ動作指示を与える。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…焼却炉、3…ピット、4…ホッパ、5…クレーン、6…撮像装置、100…廃棄物処理プラントシステム、110…クレーン制御装置、120…燃焼制御装置、200…情報処理装置、202…プロセッサ、204…メモリ、206…通信インターフェース、208…ストレージ、209…データベース、220…教師データ生成部、230…モデル構築部、240…画像取得部、250…推定部、260…指示部、400…推論マップ
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを用いた学習によって構築されたモデルに、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得する推定部と、
前記廃棄物の質を表す値に基づいて、クレーンの制御を行うクレーン制御装置に対する指示および/または焼却炉の制御を行う燃焼制御装置に対する指示を生成する指示部とを備える装置であって、
前記推定部は、
前記廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を出力データとして出力し、
出力された廃棄物の質を表す値に応じた情報を、前記ブロックの各々に対応付けた推論マップを生成し、
前記指示部は、
前記クレーン制御装置に対する指示として、前記推論マップに示される廃棄物の質を表す値に基づいて、前記ごみピット内の廃棄物の質が均一になるようにごみピット内の廃棄物を移動および/または撹拌させる指示、あるいは、前回焼却炉へ投入した廃棄物の質と近くなるように、ごみピット内の廃棄物を焼却炉へ投入させる指示を生成する、および/または
前記燃焼制御装置に対する指示として、前記推論マップ内のどのブロックの廃棄物が焼却炉へ投入されたかの情報と、当該ブロックに示される廃棄物の質を表す値に基づいて、前記焼却炉に投入された廃棄物の燃焼に必要な指示を生成する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
1つのブロックに対応する出力データが複数ある場合、前記推定部は、ブロック毎に、当該ブロックに対応する複数の出力データから、当該ブロックに示される廃棄物の質を表す値を新たに抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記教師データを用いた学習によって、前記モデルを構築するモデル構築部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記モデル構築部は、前記廃棄物を撮像した新たな画像とそれに対応するプロセスデータを用いて定期的に追加学習または再学習する機能を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記教師データは、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像を複数のブロックに分割し、分割されたブロック毎に取得された、当該画像に対応する廃棄物処理プラントのプロセスデータから生成される、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセスデータは、前記廃棄物処理プラントの運転履歴に基づいて収集される廃棄物の特性を示すデータと、廃棄物処理プラントの運転履歴を元に作業者が廃棄物の質を分類したラベルとのうち少なくとも一方を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記廃棄物の質を表す値は、前記廃棄物の燃えやすさを示す指標である、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記廃棄物の質を表す値は、廃棄物の重量、密度、水分量、発熱量のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた前記教師データを生成する、教師データ生成部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
廃棄物処理プラントシステムであって、
クレーンの制御を行うクレーン制御装置と、
焼却炉の制御を行う燃焼制御装置と、
ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを用いた学習によって構築されたモデルに、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割することによって得られた、ブロック毎の新たな画像のデータを入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値に応じた情報を、各前記ブロックに対応付けた推論マップを生成する推定部と、
前記推論マップに基づいて、前記クレーン制御装置に対する指示、あるいは前記燃焼制御装置に対する指示のうち少なくとも一方を生成する指示部とを備え、
前記指示部は、前記クレーン制御装置に対する指示として、前記推論マップに示される廃棄物の質を表す値に基づいて、前記ごみピット内の廃棄物の質が均一になるようにごみピット内の廃棄物を移動および/または撹拌させる指示、あるいは、前回焼却炉へ投入した廃棄物の質と近くなるように、ごみピット内の廃棄物を焼却炉へ投入させる指示を生成する、および/または
前記指示部は、前記燃焼制御装置に対する指示として、前記推論マップ内のどのブロックの廃棄物が焼却炉へ投入されたかの情報と、当該ブロックに示される廃棄物の質を表す値に基づいて、前記焼却炉に投入された廃棄物の燃焼に必要な指示を生成する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した画像に対応付けられた教師データを用いた学習によって構築されたモデルに、前記ごみピット内に貯留される廃棄物を撮像した新たな画像のデータを入力して、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を取得する推定ステップと、
前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値に基づいて、クレーンの制御を行うクレーン制御装置に対する指示を生成する、および/または
前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値に基づいて、焼却炉の制御を行う燃焼制御装置に対する指示を生成する指示ステップを含み、
前記推定ステップでは、
前記廃棄物を撮像した新たな画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に、前記新たな画像に対応する廃棄物の質を表す値を出力し、
出力された廃棄物の質を表す値に応じた情報を、前記ブロックの各々に対応付けた推論マップを生成し、
前記指示ステップでは、
前記クレーン制御装置に対する指示として、前記推論マップに示される廃棄物の質を表す値に基づいて、前記ごみピット内の廃棄物の質が均一になるようにごみピット内の廃棄物を移動および/または撹拌させる指示、あるいは、前回焼却炉へ投入した廃棄物の質と近くなるように、ごみピット内の廃棄物を焼却炉へ投入させる指示を生成する、および/または
前記燃焼制御装置に対する指示として、前記推論マップ内のどのブロックの廃棄物が焼却炉へ投入されたかの情報と、当該ブロックに示される廃棄物の質を表す値に基づいて、前記焼却炉に投入された廃棄物の燃焼に必要な指示を生成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法を、廃棄物処理プラントに備えられたプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。