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特開2024-61823口内の軟組織イメージングのための超音波探触子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061823
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】口内の軟組織イメージングのための超音波探触子
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038802
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2023025669の分割
【原出願日】2018-02-15
(31)【優先権主張番号】62/459,250
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517429282
【氏名又は名称】ケアストリーム・デンタル・テクノロジー・トプコ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イングレス ジーン-マーク
(72)【発明者】
【氏名】ビアバ ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ジャケ ジーン レネ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ビクター シー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴイレ ジーン-マーク
(72)【発明者】
【氏名】レバソート フランク
(72)【発明者】
【氏名】オサント フレデリック
(57)【要約】
【課題】口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子部材を提供する。
【解決手段】本探触子部材は、a.イメージングされる軟組織に面することを目的とする音響ウィンドウと、b.少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通るビームの形態の超音波信号を放射すること、および、音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信することのために構成された超音波変換器システムと、c.音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を駆動するために構成されたビーム形成および走査組立体と、d.10MHzから100MHzの範囲の中心周波数foにおいて動作する超音波変換器システムとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子部材であって、
a.イメージングされる前記軟組織に面することを目的とする閉鎖された音響ウィンドウと、
b.少なくとも1つの軸に沿って前記閉鎖された音響ウィンドウを通るビームの形態の超音波信号を放射すること、および
前記閉鎖された音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信すること
のために構成された超音波変換器システムと、
c.前記閉鎖された音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を駆動するために構成されたビーム形成/走査組立体と、
d.前記超音波変換器システムを収容するケーシングと、
を備え、
前記超音波変換器システムは、10MHzから100MHzの範囲の中心周波数において動作し、
さらに、前記ケーシングの、前記超音波変換器システムの放射面に面した壁には、前記音響ウィンドウが配置され、
e.前記放射面に面した壁に設けられ、前記音響ウィンドウの前に位置する外部空間領域を取り囲み、イメージングされる前記軟組織の周辺領域の形状に合わせて変形する順応性ガスケットを備える、
ことを特徴とする探触子部材。
【請求項2】
請求項1に記載の探触子部材であって、前記超音波変換器システムが、焦点を絞られた超音波ビームを生成するためにさらに構成されることを特徴とする探触子部材。
【請求項3】
請求項1に記載の探触子部材であって、前記超音波変換器システムが、少なくとも1つの変換器を備えることを特徴とする探触子部材。
【請求項4】
請求項3に記載の探触子部材であって、少なくとも1つの変換器が、前記閉鎖された音響ウィンドウからある距離を置いて配置されることを特徴とする探触子部材。
【請求項5】
請求項1に記載の探触子部材であって、前記閉鎖された音響ウィンドウが音響膜によって閉鎖され、前記音響膜が半透過性の音響膜および/または順応性を有する音響膜であることを特徴とする探触子部材。
【請求項6】
請求項3に記載の探触子部材であって、前記少なくとも1つの変換器が、次のタイプ、すなわち、単一素子の変換器、複数素子の環状変換器、1D配列変換器、または2D配列変換器であることを特徴とする探触子部材。
【請求項7】
請求項3に記載の探触子部材であって、
前記変換器の焦点距離が、20mm以下、好ましくは15mm未満となる、および/または
前記変換器の被写界深度が、2mm以上、好ましくは5mm以上となる、
ことを特徴とする探触子部材。
【請求項8】
請求項3に記載の探触子部材であって、前記少なくとも1つの変換器が、音響反射板と関連することを特徴とする探触子部材。
【請求項9】
請求項1に記載の探触子部材であって、前記ビーム形成/走査組立体が、前記閉鎖された音響ウィンドウを通る前記超音波ビーム軸を機械的におよび/または電子的に駆動するために構成されることを特徴とする探触子部材。
【請求項10】
請求項3に記載の探触子部材であって、前記ビーム形成/走査組立体が、1つまたは2つの軸に沿って前記少なくとも1つの変換器を振動させるために構成されることを特徴とする探触子部材。
【請求項11】
請求項1に記載の探触子部材であって、前記探触子部材が、前記探触子部材の外側に位置し前記閉鎖された音響ウィンドウに面した領域内にカップリング媒体を提供するために構成されたカップリング媒体循環回路を更に備えることを特徴とする探触子部材。
【請求項12】
口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを
目的とする探触子であって、請求項1に記載の探触子部材を含むことを特徴とする探触子。
【請求項13】
請求項12に記載の探触子であって、前記探触子が探触子本体をさらに備え、前記探触子部材が探触子ヘッドであることを特徴とする探触子。
【請求項14】
請求項13に記載の探触子であって、前記探触子が、電気端子およびカップリング媒体入口/出口を備える、高速接続/切断コネクタを備えることを特徴とする探触子。
【請求項15】
請求項14に記載の探触子であって、前記高速接続/切断コネクタが、前記探触子本体をホースに接続し/前記ホースから切断するか、または前記探触子本体を前記探触子ヘッドに接続し/前記探触子ヘッドから切断するのに適していることを特徴とする探触子。
【請求項16】
請求項13に記載の探触子であって、前記探触子ヘッドが、前記探触子本体に接続された探触子ヘッド部分をカバーする探触子ヘッドカバーと、前記閉鎖された音響ウィンドウを備える、取り外し可能な探触子ヘッドシェルとを備えることを特徴とする探触子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科の分野に関し、具体的には、口腔内の軟組織をイメージングするための超音波技術の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
軟組織の口腔病変の診断は、現在、基本的に目視検査または触診に基づいている。したがって、開業医は、損傷の性質およびその寸法に関する部分的な情報にアクセスできる。歯周病も、利用可能なツールを用いて初期の段階で検出するのが依然として難しい口腔病変の一部である。
【0003】
歯周病は、未治療のままにしておくと、歯の喪失につながる可能性がある口の重篤な感染症であり、心臓発作、脳卒中、糖尿病、呼吸器疾患、未熟児/低体重児、および死にも関連し、これらの一因となる疑いがある。
【0004】
歯周病は、1つまたは多くの歯に影響を及ぼす可能性がある。歯周病は、歯垢(すべてのヒトの歯に常に形成される粘着性があり無色の膜)内の細菌により、歯茎が感染し炎症を起こすとき、始まる。
【0005】
この病気の最軽症型である歯肉炎では、歯茎は、赤くなり、腫れ、簡単に出血する。通常、不快感がほとんどないか、またはまったくない。歯肉炎は、しばしば、不十分な口腔衛生、特にデンタルフロスによる掃除の不足に起因する。歯肉炎は、専門的治療および良好な口腔在宅ケアによって元へ戻すことができる。
【0006】
未治療の歯肉炎は、歯周炎に進む可能性がある。歯垢は、時間とともに、固まって歯石になり、拡がって、歯肉線の下まで成長する可能性があり、歯垢が歯肉線の下で細菌の温床となる可能性がある。歯垢および歯石内の細菌によって生成された毒素は、歯茎および周囲の組織を刺激し、それらの炎症を起こし続ける。感染がより深刻になると、毒素は、身体が、本質的に自らを刺激し、歯を支える組織(靭帯)および骨が、崩壊し破壊される、慢性炎症反応を促進する。
【0007】
歯周の軟組織(たとえば、歯茎または歯肉および歯周靭帯)が、歯から分離し、感染する歯周ポケット(歯と歯周組織との間の空間)を形成する。病気が進行すると、ますます多くの破壊的な毒素が生成され、その結果、歯周ポケットは深くなり、より多くの歯周組織および骨が崩壊し破壊される。最初は、この破壊的なプロセスは、無症状である場合がある。最終的に、歯は、緩くなる可能性があり、抜けるか、または除去されなければならない場合がある。300個を超える異なるタイプの細菌が、単独でまたは組合せでヒトの口内に存在する可能性がある。このことにより、効果的な治療計画が開発されるまで、歯周治療専門医が様々な抗生物質および治療法を試すとき、歯周病の治療は、難しく、時間がかかり、高額になる。任意の他の重篤な感染症と同様に、適切なタイプおよび量の抗生物質で早急に治療されなければ、歯周炎は、多くの他の重篤な病気につながり命を脅かす可能性すらある、重篤な全身感染症をもたらす可能性がある。患者の免疫システムがこの慢性のおそらくは重篤な感染症と戦うとき、このことは、心臓病、脳卒中、および糖尿病などの他の重篤な病気が進展する機会を作り出す可能性がある。
【0008】
歯周ポケットの深さを検出および測定するために歯科医および歯科衛生士によって使用される現在の方法は、歯と歯茎との間に挿入され靭帯の抵抗に会うまで手作業で押し込まれる鋭い金属の探触子から成る。それによって、靭帯までの深さは、測定され、存在する場合がある歯周病の量の表示である可能性があるクリニカルアタッチメントロス(靭帯の喪失)の量を示す。この方法は、患者にとってしばしば痛みを伴い、侵襲的で、流血を伴い、不正確で、および/または主観的である。この方法は、特に、不正確で主観的であるが、それは、各測定で同じ量の力を加える難しさが、測定時に検査員内および検査員間の大きいばらつきをもたらすからである。この難しさは、増大するが、それは、歯肉線の下に存在する組織のタイプ、および探触子がこの組織に接触したか、またはこの組織を突き刺したかを検査員がわからないからである。加えて、患者の血液への歯科専門家による暴露は、肝炎、HIV、および他の感染症への暴露のリスクを増大させる。
【0009】
さらに、現在の方法は、レトロスペクティブ分析であり、既に喪失した多量の組織を測定することができるにすぎないので、歯周病をその最初の段階で診断するためのツールとしてのその効果が限定される。加えて、この方法は、典型的には、このテストを実行するために2人の人、すなわち実際に測定を行う検査員および通常は手で測定値を書き込む筆記者を必要とする。検査員は、一般に、歯科医、歯科衛生士、および歯周治療専門医などの歯科衛生の専門家である。筆記者は、歯科衛生の専門家である場合もあるが、オフィスアシスタントなどのあまり熟練していない個人である場合もある。歯科医が直面する別の問題は、患者の状態の長期的な動向を特定する難しさであるが、それは、情報のすべてが、通常は長年にわたる多くの紙(すなわち、アナログ)の記録に含まれるからである。その結果、通常は最後の1つまたは2つの記録のみが、現在のテスト結果と比較して検討され、これらは、患者の歯周の状態の非常に緩やかな悪化を正確に反映するのに十分でない場合がある。
【0010】
既存の手作業の探触子による方法のさらなる問題は、この方法が、典型的には、治癒過程に悪影響を及ぼす可能性があることである。試行錯誤的な手法は、新たに治癒した組織を引き裂く可能性があり、回復が数週間または数か月間引き伸ばされる原因になる可能性がある。さらに、この方法は、細菌を傷口および患者の血流に侵入させる可能性があり、それが感染につながる可能性がある。このことにより、効果的な治療計画が開発されるまで、歯周治療専門医が様々な抗生物質および治療法を試すとき、歯周病の治療は、難しく、時間がかかり、および/または高額になる。
【0011】
図1は、左側の健康な歯000を、右側の歯周病を有する歯006と比較する概略図である。健康な歯000は、完全で健康的な骨レベル004、健康的な歯周靭帯003、および健康的な歯茎/歯肉002を有する。罹患した歯006は、歯茎/歯肉の喪失016、歯周靭帯付着の喪失(クリニカルアタッチメントロス)015、および歯槽骨レベルの吸収014を示し、歯周ポケット012の形成をもたらす。罹患した歯006は、歯垢008および歯石/結石010の蓄積も示す。歯周の状態が診断されず、是正されない場合、罹患した歯006は、喪失されるか、または除去されなければならない場合がある。
【0012】
WO2006/105476には、超音波を使用してアタッチメントロスを検出および測定するためのシステムが記載されている。しかし、このシステムは、2Dまたは3Dの画像を実時間で提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2006/105476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、新規の超音波探触子部材の構成を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子部材を提供することであり、本探触子部材は、
a.イメージングされる軟組織に面することを目的とする音響ウィンドウと、
b.少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通るビームの形態の超音波信号を放射すること、および
音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信すること
のために構成された超音波変換器システムと、
c.音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を駆動するために構成されたビーム形成および走査組立体と、
d.10MHzから100MHzの範囲の中心周波数foにおいて動作する超音波変換器システムと
を備える。
【0016】
探触子部材は、より具体的には、歯のイメージング用途に使用されることを目的とする歯科用探触子部材である。
【0017】
他の考えられる特徴によれば、
- 超音波変換器システムは、より具体的には、10MHzから50MHzの範囲の中心周波数foにおいて動作し、
- 超音波ビームは、イメージングされるゾーンにおける2λから5λの範囲にある幅を有するが、ここで、λは伝播媒体内の超音波信号の波長であり、
- ビーム形成/走査組立体は、超音波ビームの被写界深度を増大させるためにさらに構成され、
- 超音波変換器システムは、焦点を絞られた超音波ビームを生成するためにさらに構成され、
- 超音波変換器システムは、少なくとも1つの変換器を備え、
- 少なくとも1つの変換器は、カップリング媒体に露出される正面を有し、
- 少なくとも1つの変換器は、ケーシング内に収容され、
- 少なくとも1つの変換器は、音響ウィンドウからある距離を置いて配置され、
- 探触子部材は、イメージングされる軟組織と接触することを目的とする外部接触ゾーンを有し、少なくとも1つの変換器は、上記外部接触ゾーンから少なくとも2mmの距離に配置される正面を有し、
- 音響ウィンドウは、開放され、
- 音響ウィンドウは、閉鎖され、
- 音響ウィンドウは、音響膜によって閉鎖され、
- 膜は、半透過性の音響膜であり、
- 膜は、順応性を有する音響膜であり、
- 探触子部材は、少なくとも1つの変換器と閉鎖された音響ウィンドウとの間に、カップリングゲルなどのカップリング材料を備え、
- ビーム形成/走査組立体は、ケーシング内に収容され、
- 少なくとも1つの変換器は、次のタイプ、すなわち、単一素子の変換器、複数素子の環状変換器、1D配列変換器、2D配列変換器を有し、
- 少なくとも1つの変換器は、より具体的には、次のタイプ、すなわち、焦点を絞られた単一素子の変換器、焦点を絞られない単一素子の変換器、焦点を絞られた複数素子の環状変換器、焦点を絞られない複数素子の環状変換器を有し、
- 少なくとも1つの変換器は、静電容量型マイクロマシン超音波変換器(CMUT)、ポリビニリデンフルオリド-トリフルオロエチレン変換器(PVDF-TrFE)、圧電セラミック変換器(PZT、LiNbO)、または静電変換器のうちの1つであり、
- 変換器部材は、
変換器の焦点距離が、20mm以下、好ましくは15mm未満となる、および/または
変換器の被写界深度が、2mm以上、好ましくは5mm以上となる
ようにする場合があり、
- 少なくとも1つの変換器は、音響反射板と関連し、
- 少なくとも1つの変換器およびそれと関連する音響反射板は、カップリング媒体を含むケーシング内に収容され、
- ビーム形成組立体は、音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を機械的におよび/または電子的に駆動するために構成され、
- ビーム形成/走査組立体は、1つまたは2つの軸に沿って超音波ビーム軸を振動させるために構成され、
- 探触子部材は、音響反射板を振動させるために構成された少なくとも1つのアクチュエータを備え、
- 音響反射板は、焦点を絞られた、または焦点を絞られないタイプを有し、
- ビーム形成/走査組立体は、1つまたは2つの軸に沿って少なくとも1つの変換器を振動させるために構成され、
- 探触子部材は、少なくとも1つの変換器を振動させるために構成された少なくとも1つのアクチュエータを備え、
- アクチュエータは、カップリング媒体内にあり、
- アクチュエータは、ケーシング内に収容され、
- 少なくとも1つのアクチュエータは、次のタイプ、すなわち、機械式、電気機械式、空気圧式、油圧式、電気式、熱式、形状記憶式の1つを有し、
- 探触子部材は、超音波変換器システムを収容するケーシングを備え、
- ケーシングは、超音波変換器システムと音響ウィンドウとの間に挟まれたカップリング媒体を含み、
- 探触子部材は、イメージングされる軟組織の領域に順応するのに適した外側の順応性材料部分を備え、
- 外側の順応性材料部分は、音響ウィンドウの周りに配置され、
- 外側の順応性材料部分は、音響ウィンドウの前に少なくとも部分的に配置された領域を外部から取り囲み、
- 外側の順応性材料部分は、順応性ガスケットであり、
- 探触子部材は、探触子部材の外側に位置し音響ウィンドウに面した領域内にカップリング媒体を提供するために構成されたカップリング媒体循環回路を備え、
- カップリング媒体循環回路は、音響ウィンドウに面し外側の順応性材料部分によって取り囲まれた領域内にカップリング媒体が直接導入されるように、外側の順応性材料部分と音響ウィンドウとの間に配置された出口を備え、
- 探触子部材は、外側の順応性材料部分と音響ウィンドウとの間にカップリング媒体を導入するように構成されたノズルをさらに備え、
- 探触子部材は、カップリング媒体の温度を測定するための温度測定組立体を備え、
- 探触子部材は、カップリング媒体の圧力を測定するための圧力測定組立体を備え、
- 探触子部材は、カップリング媒体の流量を測定するための流量計測組立体を備え、
- カップリング媒体は、気泡がなく、
- カップリング媒体は、生体適合性を有する液体である。
【0018】
別の目的は、以上に簡潔に説明した探触子部材を備える、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子(たとえば、歯科用探触子)を提供することである。
【0019】
他の考えられる特徴によれば、
- コネクタは、電気端子およびカップリング媒体入口/出口を備える。
- 探触子は、電気端子およびカップリング媒体入口/出口を備える、高速接続/切断コネクタを備える。
- 高速接続/切断コネクタは、探触子本体をホースに接続し/ホースから切断するか、または探触子本体を探触子ヘッドに接続し/探触子ヘッドから切断するのに適している。
- カップリング媒体は、水である。
- 探触子は、空気入口/出口をさらに備える。
- 探触子ヘッドは、
剛性の高い部分、または曲げによって変形する可能性がある変形可能な部分である、第1の探触子ヘッド部分と、
音響ウィンドウを備える第2の探触子ヘッド部分と
を備える。
- 第2の探触子ヘッド部分は、いくつかの角度方向をとるのに適している。
- 探触子ヘッドは、探触子本体から分離可能である。
- 探触子ヘッドは、探触子本体に接続された探触子ヘッド部分をカバーする探触子ヘッドカバーと、閉鎖された音響ウィンドウを備える、取り外し可能な探触子ヘッドシェルとを備える。
- 探触子ヘッドシェルは、カップリング媒体を閉鎖された音響ウィンドウに面した領域内に導入するために閉鎖された音響ウィンドウに隣接して配置されたカップリング媒体出口を備える。
- カップリング媒体出口は、ノズルである。
- 探触子は、探触子ヘッド部分の外側にあり探触子本体に接続された、カップリング媒体回路を備える。
- カップリング媒体回路は、探触子ヘッドカバーによって少なくとも部分的にカバーされる。
- カップリング媒体回路は、ホースなどである。
- 探触子は、カップリング媒体回路と探触子本体を接続/切断するための高速接続/切断コネクタをさらに備える。
- 閉鎖された音響ウィンドウは、カップリング媒体が探触子ヘッドシェルから流出するのを可能にし、汚染されたカップリング媒体が探触子ヘッドシェルに入るのを防止する半透過性の音響膜である。
- 探触子は、超音波帰還信号に基づいてデジタル画像信号を提供するために構成された再構成ユニットをさらに備える。
- 探触子は、デジタル画像信号を送信するための送信ユニットをさらに備える。
- 探触子は、超音波帰還信号および/または制御情報を送信するための送信ユニットをさらに備える。
- 送信は、無線である。
- 探触子は、探触子の動作パラメータを修正することを目的とする制御情報を受信するための受信ユニットをさらに備える。
- 探触子は、超音波変換器システムの少なくとも1つの超音波変換器に隣接した、またはその超音波変換器内の次の電子構成要素、すなわち、
a.低ノイズ増幅器
b.可変利得増幅器、および
c.アンチエイリアス処理フィルタ
をさらに備える。
- 探触子は、超音波帰還信号をデジタル化するための少なくとも1つのアナログ/デジタルコンバータをさらに備える。
- 探触子は、マルチプレクサをさらに備える。
- 電子構成要素の少なくともいくつかは、超音波変換器システムの少なくとも1つの超音波変換器内に統合される。
- 探触子のビーム形成/走査組立体は、1つまたは2つの軸に沿って超音波変換器システムの構成要素を振動させるために構成された少なくとも1つのアクチュエータを備える。
- 探触子は、少なくとも1つのアクチュエータを制御するために構成された処理ユニットをさらに備える。
【0020】
さらに別の目的は、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするための方法を提供することであり、本方法は、
- 以上に簡潔に説明した探触子部材または以上に簡潔に説明した探触子を提供するステップと、
- 歯科用装置上に探触子部材または探触子を設置するステップと、
- 探触子部材または探触子にカップリング媒体を供給するステップと、
- 音響ウィンドウとイメージングされる軟組織との間にカップリング媒体を分配するステップと
を含む。
【0021】
他の考えられる特徴によれば、
- 歯科用装置上への探触子部材または探触子の設置は、歯科用ユニットコードに探触子部材または探触子を電気接続することを含む。
- カップリング媒体は、歯科用椅子によって供給される。
- カップリング媒体は、水である。
- カップリング媒体は、ある流量で分配される。
- カップリング媒体の流量は、次のもの、すなわち、ペダル、患者の口内の液体を吸引するための吸引ユニット、トリガ部材、好ましくはボタン、画像トリガの少なくとも1つによって制御される。
- カップリング媒体は、探触子部材または探触子がイメージングされる軟組織に適用されるとき、音響ウィンドウとイメージングされる軟組織との間の領域を空気がない状態にしておくために、その領域内に連続的に分配される。
【0022】
さらに別の目的によれば、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするための探触子部材を動作させるための方法が提供され、本方法は、
- 10MHzから100MHzの範囲の中心周波数foにおいてビームの形態の超音波信号を放射するステップと、
- 少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通る超音波ビーム信号を駆動するステップと、
- 音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信するステップと
を含む。
【0023】
他の考えられる特徴によれば、
- 少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通る超音波ビーム信号を駆動するステップは、機械的におよび/または電子的に実行される。
- 少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通る超音波ビーム信号を駆動するステップは、より具体的には、少なくとも1つの軸に沿って超音波ビーム軸を振動させることを含む。
- 探触子部材は、軟組織のより大きい部分を2Dおよび/または3Dイメージングするために手動または自動で動かされる。
- 本方法は、探触子部材の空間的位置を特定するステップをさらに含む。
- 探触子部材を空間的に位置特定するステップは、加速度計を使用して実行される。
- 本方法は、超音波ビーム信号を駆動することおよび探触子部材を手動で動かすことに基づいて2Dおよび/または3Dデジタル画像信号を再構成するステップをさらに含む。
- 本方法は、超音波帰還信号に基づいてデジタル画像信号を提供するステップをさらに含む。
- 本方法は、デジタル画像信号を送信するステップをさらに含む。
- 本方法は、超音波帰還信号および/もしくは制御情報を送信するステップ、または探触子部材の動作パラメータを修正するための制御情報を受信するステップをさらに含む。
- 送信は、無線である。
- 探触子部材は、以上に簡潔に説明した通りである。
- 探触子部材は、探触子部材の動作中に曲げられるのに適した先端部を有する。
【0024】
他の特徴および利点は、以下の図面を参照して非限定的で説明に役立つ例としてのみ提供される以下の説明から現れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】左側の健康な歯と右側の不健康な歯を同じ図面上で比較する概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、歯科用システムの構成要素を示す極めて概略的な図である。
図3】3Dイメージングのための様々な走査モードを示す図である。
図4図2の歯科用システムDSなどの歯科用システムの例示的な実施形態を示す図である。
図5図2の歯科用システムDSなどの歯科用システムの例示的な実施形態を示す図である。
図6図2の歯科用システムDSなどの歯科用システムの例示的な実施形態を示す図である。
図7図2の歯科用システムDSなどの歯科用システムの例示的な実施形態を示す図である。
図8】いくつかの考えられる変換器構成を示す図である。
図9】いくつかの考えられる変換器構成を示す図である。
図10】いくつかの考えられる光音響変換器構成を示す図である。
図11】いくつかの考えられる光音響変換器構成を示す図である。
図12】いくつかの考えられる光音響変換器構成を示す図である。
図13】いくつかの考えられる光音響変換器構成を示す図である。
図14】いくつかの考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図15A】いくつかの考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図15B】イメージングされるゾーンに「カップリングされた」変換器の拡大図である。
図16】いくつかの考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図17】浸漬されたモータの例示的な実施形態を示す図である。
図18】いくつかの他の考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図19】いくつかの他の考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図20】いくつかの他の考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図21】いくつかの他の考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図22】いくつかの他の考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図23】いくつかの他の考えられる歯科用探触子部材のケーシング構成を示す図である。
図24】探触子ヘッド用の様々な考えられる保護カバーを示す図である。
図25】探触子ヘッド用の様々な考えられる保護カバーを示す図である。
図26】曲げ部分を有するヘッド探触子の様々な構成を示す図である。
図27】曲げ部分を有するヘッド探触子の様々な構成を示す図である。
図28】例示的な歯科用設備を示す図である。
図29】歯科用探触子部材とともに使用することができるコネクタの例示的な一実施形態の図である。
図30】歯科用探触子の例示的な一実施形態の図である。
図31】例示的なイメージング方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2に示すように、本発明の一実施形態による歯科用システムDSは、口腔内部、すなわち患者の口の軟組織STを2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする。そのようなシステムは、口腔内部の超音波検査画像を取得するための超音波ビームを使用する。
【0027】
歯科用システムDSは、主に、
- イメージングされる軟組織STに面することを目的とする音響ウィンドウAWと、
- 少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通るビームの形態の超音波信号を放射すること、および
音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信すること
のために構成された超音波変換器システムUTSと、
- 音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を駆動するために構成されたビーム形成/走査組立体BFAと
を備える。
【0028】
上記の音響ウィンドウAW、超音波変換器システムUTS、およびビーム形成/走査組立体BFAは、歯科用探触子部材の一部であり、より一般的には、口腔内部の軟組織STを2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする歯科用探触子の一部である場合がある。そのような探触子は、探触子本体および探触子ヘッドを備え、上記の探触子部材は、探触子ヘッドである。
【0029】
探触子ヘッドは、従来の機械的な固定、機械的な取付け、または締結用部材などによって探触子本体に固定され、取り付けられ、または締結されることを目的とする。
【0030】
続いてわかるように、音響ウィンドウAW、超音波変換器システムUTS、およびビーム形成/走査組立体BFAは各々、いくつかの構成をとるものとし、および/または特定の動作モードに従って機能を実行する場合がある。上記の構成要素の各々に対するこれらの考えられる構成は、互いに組み合わせられる場合がある。同様に、上記の構成要素の各々に対するこれらの考えられる特定の動作モードは、上記の考えられる構成の組合せに加えて、または加えないで互いに組み合わせられる場合がある。
【0031】
一実施形態では、ビーム形成/走査組立体BFAは、
- 超音波ビームを形成するために構成された構成要素または部分組立体、および/または、
- 超音波ビームを走査するために構成された構成要素または部分組立体(スイープモード)
を備える場合がある。
【0032】
一実施形態では、ビーム形成/走査組立体BFAは、超音波ビームの焦点を絞るために構成される場合がある。放射において、ビーム形成は、複数素子の変換器(たとえば、複数環状、1D配列、2D配列など)に関して、様々な変換器素子に電子的遅延を適用することを含む場合がある。
【0033】
ビーム形成は、受信に(受信される信号上で)使用される場合もあることに留意されたい。たとえば、受信におけるビーム形成は、焦点を絞ることを含む場合がある。これは、複数素子の変換器(たとえば、複数環状、1D配列、2D配列など)に当てはまる場合がある。そのような場合、放射において焦点を絞ることは、必要ではない場合がある。
【0034】
いくつかの考えられる第1の実施形態によれば、
- 音響ウィンドウAWは、開放または閉鎖される場合があり、および/または、
- 超音波変換器システムUTSは、(焦点を絞られた、または焦点を絞られないタイプの)音響反射板に関連した、または関連しない(焦点を絞られた、または焦点を絞られないタイプの)1つ以上の超音波変換器を備える場合があり、および/または、
- ビーム形成/走査組立体BFAは、音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を機械的におよび/または電子的に駆動するために(スイープモード)、特に、1つまたは2つの軸に沿って超音波ビーム軸を振動させるために構成される場合がある。
【0035】
上記の第1の実施形態に応じたさらなる考えられる実施形態によれば、
- 音響ウィンドウAWは、たとえば、半透過性の音響膜、イメージングされる歯のゾーンの外部形状に順応するのに適した順応性音響膜である可能性がある音響膜によって閉鎖される場合があり(歯周で使用する場合、順応性音響膜は、軟組織の舌側および/または顔側を走査するとき、患者の快適さを可能にするのに適していなければならない)、および/または、
- ビーム形成/走査組立体BFAは、1つまたは2つの軸に沿って少なくとも1つの変換器を振動させるか、または、音響反射板を振動させる(スイープモード)かのいずれかのために構成される場合があり、例として、ビーム形成/走査組立体BFAは、少なくとも1つの変換器または音響反射板のいずれかに振動を与えるために構成された少なくとも1つのアクチュエータを備える場合がある。
【0036】
より具体的には、図2の超音波変換器システムUTSは、10MHzから100MHzの範囲の中心周波数foにおいて動作するように構成される。
【0037】
超音波変換器システムUTSを動作させるために(10から100MHzの間の)高周波数を選択することは、超音波帰還信号から取得された画像における、高い空間分解能(高い精度)、特に距離分解能を達成することを可能にする。距離分解能は、超音波ビームの軸z(ビームの伝播軸)に沿った2つの物体間の最小距離によって定義される。この軸は、超音波変換器システムから、音響ウィンドウを通ってイメージングされるゾーンの方に延びるビームのz軸に対応する。探触子部材によって生成される画像は、矩形形状(ビームの軸が、音響ウィンドウに垂直である)または扇形形状(ビームの軸が、扇形の中心に垂直である)を有する場合があることに留意されたい。
【0038】
空間分解能は、z軸に垂直なx、y方向に生じる方位分解能でもある。
【0039】
好ましくは、歯科用システム(または探触子部材)のより高い空間分解能、特に距離分解能を達成するために、中心周波数foの少なくとも50%、好ましくは70%の帯域幅(全体的に6dBの減衰を伴う)が使用される可能性がある。帯域幅が十分に広いとき、超音波ビームを放射するためにいくつかの周波数が選択される可能性があり、放射周波数は、イメージングされる組織の特定の使用法および/またはタイプに適応させることができる。
【0040】
したがって、例として、foが20MHzに等しい場合、70%の帯域幅は、14MHzに等しく、13MHzの最小周波数および27MHzの最大周波数に設定する。
【0041】
好ましい実施形態では、図2の超音波変換器システムUTSは、中心周波数foの少なくとも70%の帯域幅を有する可能性がある、10MHzから50MHzの低減した範囲の中心周波数foにおいて動作するように構成される。
【0042】
この低減した範囲内の中心周波数を選択することは、分解能と、周波数とともに増加するビームの減衰によって限定された侵入深さとの間の納得のいく妥協点の達成を可能にする。
【0043】
より具体的には、中心周波数は、20MHzから40MHzのさらに低減した範囲内で選択される場合があり、これは、高い精度(分解能)および最大侵入深さ約15mmで歯の軟組織をイメージングするのに効率的であることがわかる。
【0044】
一般的な手法では、開業医は、分解能、被写界深度、およびビームの侵入深さの間の最良の妥協点を得るために中心周波数foを選択する場合がある。開業医は、イメージングされる軟組織の種類に応じて中心周波数を選択する場合もある。動作中心周波数は、電子的に設定することができる。
【0045】
代替として、上記の音響ウィンドウAW、超音波変換器システムUTS、およびビーム形成/走査組立体BFAが歯科用探触子ヘッドの一部であるとき、動作中心周波数は、所望の中心周波数において動作するのに適した探触子ヘッドを交換することによって設定することができる。したがって、いくつかの探触子ヘッドは、開業医が利用可能であり、各々が様々な周波数において動作する場合がある。探触子ヘッドが探触子本体に取り外し可能に取り付けられ、締結され、電気接続される場合などがあるとき、適応した周波数を選択するために探触子ヘッドを交換することは、開業医には特に簡単な作業である。周波数の変更に加えて、または、周波数の変更の代わりに、各々が様々な形状を有するいくつかの探触子ヘッドを開業医が利用可能な場合もある。様々な形状は、各々が観測/イメージングされる様々な解剖学的構造に適応することを目的とする。
【0046】
上記の超音波変換器システムによって放射された超音波ビームは、(ビームの特性に応じて)組織の所定の深さにわたって延びる線にほぼ対応する軸に沿って観測/イメージングされる軟組織(軟組織の一部である可能性がある関心のあるゾーンまたは領域)の方に伝播する。超音波変換器システムによって受信される超音波帰還信号は、伝播信号が後に続く線に対応する画像データを提供する。
軟組織の空間的に拡がった関心のある領域またはゾーンをイメージングするために、ビームの軸(ビームの伝播軸)の方向と異なる方向、たとえばそれに垂直な方向へのビームの走査またはスイープが実行され、これは、複数の観測線を生じさせる。
【0047】
これらの走査された観測線から収集されたすべてのデータは、続いて、受信されたデータ(超音波帰還信号)の処理を通して関心のある領域またはゾーンの2Dまたは3D画像を再構成するのを可能にする。
【0048】
再構成された画像は、関心のあるゾーン内のスライスの2D表示である。3D画像は、様々な走査パターンまたはモードを通して、図3に示した一連の隣接する2D画像を取得することによって生成することができる。
【0049】
ビーム形成/走査組立体、たとえば、音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を駆動するためのビーム走査構成要素または部分組立体は、所定の探触子部材の位置に対する関心のあるゾーンの少なくとも一部を走査することを可能にすることに留意されたい。したがって、ユーザは、イメージングされる軟組織に対する探触子部材の方向にその注意を集中させることができる。
【0050】
超音波放射ビームが薄くなるほど、画像の方位分解能は高くなる。
【0051】
方位分解能は、ビームの走査軸またはスイープ軸、すなわち、ビームの軸とは異なる、それに垂直な場合がある、音響ウィンドウを横切る軸上に配置された2つの物体間の最小距離によって定義される。
【0052】
以上に簡潔に説明したように、ビーム形成/走査組立体BFAは、超音波ビーム、ここでより具体的には、薄いまたは狭い超音波ビームを形成するために構成された構成要素または部分組立体を備える場合がある。本実施形態では、超音波ビームは、2λから5λの範囲にある幅を有する場合があるが、ここで、λは伝播媒体内の超音波信号の波長である。
【0053】
そのような幅は、高い方位分解能に寄与する。
【0054】
一般に、超音波ビームの幅は、たとえば、複数素子の環状変換器の場合に、(軟組織内の)診査ゾーンにおいて、より具体的には、焦点において、または焦点の周りでそのような値を有するべきである。
【0055】
例として、この位置におけるビームの幅は、20MHzにおいて150から200μmの間である場合がある。
【0056】
しかし、別の態様が、高い方位分解能を達成するために考慮される場合があり、超音波ビームは焦点を絞られる場合があり、したがって、超音波変換器システムは、焦点を絞られた超音波ビームを生成するために構成される場合がある。
【0057】
ビームの焦点を絞ることは、いくつかのやり方をとる場合がある。すなわち、
- 焦点を絞ることは、幾何学的なタイプを有する場合があり、超音波変換器または超音波変換器システム内の変換器は、ある点に焦点を絞るために、半径が焦点距離を定義する、所定の凹面形状または半球形状である場合があり、
- 焦点を絞ることは、ビームの焦点を絞りながら、焦点を絞られないビームを別の方向に反射する音響反射板(音響反射板は、凹面である場合がある)により実行される場合もあり、
- 焦点を絞ることは、電子タイプのものである場合もあり、そのように焦点を絞ることは、一般に、1D配列および2D配列の変換器、ならびに複数素子の環状変換器に適用される。配列内のすべての変換器素子は、焦点と各素子との間の伝播媒体内を進行するとき、超音波信号の時間差を補償することが目的である電子遅延によって超音波信号を放射するために励磁される。受信側では、すべての素子の超音波帰還信号が、放射時と同じ遅延で合計される。
【0058】
代替として、複数素子の変換器(環状または配列)のみによって受信に焦点を絞ることも可能である。そのような場合、(いかなる遅延もなしに)平面波が放射され、焦点を絞ることは、受信される様々な超音波エコーに基づいて実行される。より具体的には、焦点を絞ることは、エコーが生成された位置に応じて、この位置に焦点を絞ることによって、連続的に適応される。電子遅延は、デジタル化された信号の受信において動的に調整される。「追跡焦点」と呼ばれるこの技法は、SNRを改善し、被写界深度を増大させる。
【0059】
一般的な手法では、焦点を絞ることが、受信時にのみ実行されるとき、BFAは、放射された超音波ビームに焦点を絞ることを実行しないことに留意されたい。
【0060】
一般的な手法では、図2のUTSの変換器の焦点距離は、特に、複数素子の環状配列および1D配列などの、複数素子の変換器に関して調整可能である場合がある。
【0061】
変換器の焦点距離は、20mm以下、好ましくは10mm未満である場合がある。12から15mmの間の焦点距離は、単一素子の変換器および環状配列に関して想定される場合がある。
【0062】
一般的な手法では、上記の焦点距離の態様に加えて、またはその代替として、図2のUTSの変換器の被写界深度は、調整可能である場合がある。
【0063】
変換器の被写界深度は、2mm以上、好ましくは5mm以上である場合がある。
【0064】
次の表は、様々な超音波変換器システムの構成(焦点を絞られた、または焦点を絞られない音響反射板に関連する、焦点を絞られた、または焦点を絞られない変換器のいくつかのタイプ)に関する、(機械的および/または電子的な)様々なビーム走査および焦点を絞る動作モードを含む、2Dおよび3Dイメージングに使用される様々な例示的な実施形態を示す。
【表1】
【0065】
したがって、超音波ビームを走査することは、様々な超音波変換器システムの構成を通して、たとえば、少なくとも1つの変換器(単一素子または複数素子の環状、または1D配列、または2D配列)に関連する音響反射板を機械的に走査またはスイープすることを通して(その音響反射板を揺動させることによって)、実行される場合がある。
【0066】
直線運動を使用することもできる。
【0067】
変換器は、回転または揺動させることによって機械的にスイープされる場合がある。1D配列の変換器は、ビームを電子的にスイープするために使用される場合がある。
【0068】
従来の2D画像変換器を機械的に走査する専用の探触子部材を使用することができる。2D配列の変換器は、3Dのビームをスイープすることができる。これらの変換器は、画像をより速く生成することができ、生のまたは実時間の3D画像を作成するために使用することもできる。
【0069】
3D画像を生成するための手動の探触子部材の走査の場合、探触子部材は、加速度計、ジャイロスコープ、または位置センサを備える場合もある。そのような追加の要素は、探触子部材の位置を特定するのに役に立つ場合があり、イメージングされる領域を拡張するために開業医によって探触子部材が手動でも動かされるとき、補助することができる。探触子部材の空間的位置が(処理ユニットおよび記憶メモリを通して)記録される。特に、軟組織に対する探触子部材の位置が、わかり、記録される可能性がある場合がある。
【0070】
以上に簡潔に述べたように、図3は、本歯科用システムまたは探触子部材に使用される、3D画像を取得するための様々なタイプの走査動作(1Dまたは2D配列の変換器などの変換器、および/または音響反射板の電子的および/または機械的な走査動作)、すなわち、2つの軸に沿った直線-直線、扇形-直線、扇形-扇形、および扇形-回転を示す。ここで示されず説明されない他のタイプの走査動作が想定される場合もある。
【0071】
超音波ビームを走査することは、様々なタイプ、すなわち、機械式、電気機械式、空気圧式、油圧式、電気式、熱式、形状記憶式などを有する場合がある、少なくとも1つの変換器を使用して実行される場合がある。
【0072】
アクチュエータによって実行される運動は、様々であることができる。その運動は、回転運動、直線運動、これらの組合せ、振り子運動、または任意の他の適応した運動である可能性がある。
【0073】
たとえば、アクチュエータは、電気機械システム(ブラシレスモータなどの電気機械式モータ)、マイクロモータ、圧電式モータ、空気圧式モータ、油圧式モータなどを備える場合がある。
【0074】
歯科用システムDSは、上記の構成要素、すなわち、図2の超音波変換器システムUTSおよびビーム形成/走査組立体BFAの動作を制御するために電子制御組立体ECAを備える場合もある。
【0075】
図2に示すように、電子制御組立体ECAは、超音波帰還信号に基づいてデジタル画像を提供するために構成された再構成ユニットまたは組立体RUを備える場合がある。デジタル画像は、次いで、有線または無線接続を介して、送信ユニットまたは組立体TRを通して、特に、デジタル画像を表示するためのディスプレイ組立体IDを備える遠隔のデバイスに送信される場合がある。遠隔のデバイスは、歯科用システムと同じ部屋内に、たとえば、1メートルまたは数メートル離れて、または別の場所に配置される場合がある。
【0076】
再構成ユニットまたは組立体RUおよび送信ユニットまたは組立体TRは、たとえば、探触子ヘッドまたは探触子本体である、探触子部材内に配置される場合がある。
【0077】
しかし、再構成ユニットまたは組立体RUおよび送信ユニットまたは組立体TRあるいはこれらの1つだけが、探触子ヘッドのサイズを低減するために探触子本体内に配置される場合がある。
【0078】
代替の一実施形態では、歯科用システムDSは、特に、超音波帰還信号に基づいてデジタル画像を提供するために構成された再構成ユニットまたは組立体RU’、およびデジタル画像を表示するためのディスプレイ組立体IDを備える、遠隔のデバイスに、有線または無線接続を介して、超音波帰還信号および/または制御情報を送信するための送信ユニットまたは組立体TRを備える場合がある。
【0079】
別の実施形態では、歯科用システムDSは、遠隔のデバイスまたは場所(たとえば、開業医によって使用され、ユーザが歯科用システムまたは探触子部材に送信される情報を選択することを可能にするユーザインターフェースを備えたコンピューティングデバイス)から制御情報を受信するための受信ユニットを備える場合がある。
【0080】
そのような制御情報は、歯科用システムまたは探触子部材によって受信されるとき、利得、オン/オフ、データ取得、焦点位置、超音波周波数、走査範囲(線密度)、走査速度などの、その動作パラメータまたは設定パラメータを修正するために使用される場合がある。
【0081】
制御情報は、探触子部材の動作に関する現在の情報(たとえば、探触子温度(たとえば、患者のやけどを回避するため)、カップリング媒体の温度、カップリング媒体の圧力、探触子ヘッドの種類(この情報は、探触子本体内に少なくとも部分的に配置される場合がある認識/識別システムに基づいて取得される場合がある)などの動作パラメータ)を開業医に知らせるために歯科用システムまたは探触子部材の外部に送信される場合もある。
【0082】
再構成ユニットまたは組立体RUまたはRU’は、より具体的には、プロセッサ(マイクロプロセッサ)または処理ユニット、およびデータ(超音波帰還信号からの生データおよび考えられる制御情報、または再構成されたデジタル画像信号のいずれか)を記憶するためのデータ記憶容量(たとえば、1つ以上のメモリ)を含むことに留意されたい。
【0083】
プロセッサおよびデータ記憶容量は、電子制御組立体の一部である場合がある。
【0084】
プロセッサおよびデータ記憶容量は、ビーム形成/走査組立体BFAと共有される(またはBFAによって使用される)場合もある。
【0085】
再構成ユニットまたは組立体RU’が遠隔のデバイス内にある場合、ECAは、UTSおよびBFA上で上記の制御タスクおよび駆動タスクを実行するために、それ自体のプロセッサまたは処理ユニットおよびデータ記憶容量を有する。
【0086】
電子制御組立体ECAは、探触子部材内、たとえば、互いに組み立てられた探触子ヘッドおよび探触子本体を含む探触子の探触子ヘッドまたは探触子本体内に配置される場合がある。
【0087】
電子制御組立体ECAは、特に、超音波変換器の素子に応じて、いくつかの構成をとり、様々な構成要素を備える場合がある。
【0088】
例示的な詳細な歯科用システムは、図4の実施形態に示され、単一変換器素子1、超音波変換器1の励磁信号を生成する放射体または放射構成要素2を備える場合がある。放射および受信の両方の変換器として動作するこの変換器は、焦点を絞られる場合も絞られない場合もある(音響反射板が使用される場合、変換器の焦点を絞ることは必要ではない)。この変換器は、走査運動で走査される場合もされない場合もある。励磁信号は、変換器をそれ自体の適切な周波数で励磁するのに適した極めて短いパルス(たとえば、ディラックパルス)、または強制励磁(この強制励磁を通して、変換器は、様々な動作周波数において動作させられる場合がある)を起こすのに適した正弦波バーストのいずれかである。この励磁信号は、被写界深度および分解能を調整するのに役立つ場合がある。
【0089】
歯科用システムは、超音波ビームが遭遇する様々な構造体のエコーによって生成された(またはエコーの合計に対応する)超音波帰還信号を受信するための回路の受信側に、
- 低ノイズ増幅器LNA3、
- 可変利得増幅器VGA4、
- ローパスフィルタまたはアンチエイリアス処理フィルタAAF5、
- 受信された前処理済みアナログ音響信号をデジタル変換するためのアナログ/デジタルコンバータまたはデジタイザADC6、および
- デジタル化された信号を処理する処理ユニットまたはプロセッサ7
を備える場合もある。
【0090】
処理ユニット7は、図2の再構成ユニットRUに対応する場合がある。
【0091】
受信信号に適用された上記の様々な前処理段階は、受信信号を成形し、他にその受信信号の処理を害し、および/または、歯科用システムまたは探触子によって生成された画像の品質に影響を及ぼす可能性がある信号ノイズおよび他の寄生データを除去することを可能にすることに留意されたい。これらの前処理段階は様々であり、これらのいくつかは、特定の状況では省略される場合がある。
【0092】
一般的な手法では、信号/ノイズ比を改善するために、上述の範囲の動作周波数(より広い周波数または低減された周波数の1つのいずれか)は、変換器に近い、または変換器に統合された事前増幅段階を必要とし/それを有することができる。
【0093】
処理ユニットは、特に、超音波ビームの焦点を絞りその被写界深度を増大させる場合があるビームフォーマ(図示せず)を通して、放射体2を制御し駆動する。
【0094】
電源PSは、回路の様々な構成要素に電力を供給するために提供される場合がある。代替として、電源コードまたはケーブルが、電力を供給するために提供される場合がある。
【0095】
歯科用システムは、ここでは電気機械システム10である場合があるアクチュエータ10を制御し動作させるコントローラ8およびドライバ9を備える場合もある。
【0096】
したがって、アクチュエータ10は、音響反射板の振動(揺動運動)を起こし超音波ビームの走査運動を達成するように、音響反射板を駆動するために制御され動作させられる。
【0097】
反射板およびアクチュエータは、他の実施形態では省略される場合があることに留意されたい。たとえば、そのような他の実施形態では、1つ以上の超音波変換器は、焦点を絞られる場合も絞られない場合もあり、または、アクチュエータ10などの電気機械システムである場合があるアクチュエータを通して(または電子的に)走査運動時に駆動される場合がある。
【0098】
本実施形態では、歯科用システムは、デジタル画像または生の信号を送信するための、図2に関して既に説明したもの(TR)と同じである場合がある無線送信ユニット11をさらに備える場合がある。
【0099】
ユニット11は、ビーム走査に使用される/ビーム走査に必要な情報などの、外部から(たとえば、開業医によって操作されるデバイスから)の制御情報を受信するのに適した受信ユニットを含む場合もある。
【0100】
本実施形態では、電子構成要素2~7および9~11は、変換器1に統合されない場合がある。たとえば、これらの構成要素は、探触子が、互いに組み立てられた探触子本体および探触子ヘッドを備えるとき、探触子本体内に配置される場合がある。探触子ヘッドは、それに関する限り、反射板とともに変換器1およびアクチュエータ8を含む場合がある。
【0101】
本明細書に示されない別の実施形態(この実施形態は、反射板およびアクチュエータ8を含む場合も含まない場合もある)では、探触子ヘッドは、変換器1に隣接するか、または変換器1に統合される場合がある構成要素2~6を含む場合もある。この配置は、構成要素と変換器との間の電気ケーブルの長さおよび/または数を低減することを可能にする。したがって、より高いSNRおよびより高い感度が達成される場合がある。さらに、コスト低減が想定される場合がある。
【0102】
その際、探触子本体は、構成要素7および9~11を含む場合がある。
【0103】
図5に示す別の実施形態では、超音波変換器システムは、ここではN個の環状配列を表す、複数素子の環状変換器11を備える。UTSによって生成された超音波ビーム全体の焦点を絞りその被写界深度を増大させる場合がある、処理ユニット18によって制御される、共通のビームフォーマbfが、様々な放射体に適切な遅延を適用するために、放射体12の上流に提供される。
【0104】
歯科用システムは、超音波ビームを放射し、超音波帰還信号を受信し、受信された超音波帰還信号を処理するために、N個の電子回路および関連の構成要素を備える場合がある。図示するように、歯科用システムは、図4の構成要素2~6にそれぞれ対応する構成要素12、13、14、15、16を各々が備えるN個の回路を備える。各回路は、N個の環状変換器素子の1つに専用のものである。
【0105】
歯科用システムは、処理ユニットまたはプロセッサ18にデジタル化された信号を送信する前にデジタル化された信号全体を再構成するために、様々な遅延を考慮しながら、すべての環状変換器素子によって受信されたデジタル化された信号を収集しまとめるために使用されるビームフォーマ17も受信の際に備える。
【0106】
処理ユニット18をコントローラ19、ドライバ20、アクチュエータ21、および音響反射板23に接続する、制御のチェーンは、図4を参照して以上に行われた説明およびその変形実施形態と同一である場合がある。
【0107】
ユニット22は、図4のユニット11と同一である。
【0108】
図4に関して説明した様々な変形実施形態は、図5のシステムにも適用される。
【0109】
例として、探触子ヘッドは、電子構成要素11~17および23を備える場合があり、探触子本体は、構成要素18~22を備える場合がある。
【0110】
例として、超音波変換器配列11は、シリコン上のPVDFまたはcMutで作られる。変換器は、少なくとも6つの環状変換器素子および場合により12または16を備える場合がある。
【0111】
図6に示す別の実施形態では、超音波変換器システムは、ここではN個の変換器素子から作られた直線配列を表す、超音波直線複数素子の変換器を備える。N個の変換器素子の各々は、複数素子の環状配列に関して図4と同様のそれ自体の信号前処理の措置を有する。この実施形態は、1D配列と2D配列の両方に適用されることに留意されたい。
【0112】
図5の説明は、図6およびその変形実施形態にも適用される。簡単のために、同じ番号付けが図6で引き継がれた。
【0113】
本実施形態では、超音波直線配列は、64個の素子の変換器である可能性がある。
【0114】
ビームフォーマ17は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)回路である可能性がある。
【0115】
例として、探触子ヘッドは、電子構成要素11~16を備える場合があり、探触子本体は、構成要素17、18、および22を備える場合がある。
【0116】
図7に示す別の実施形態では、歯科用システムは、変換器チップ上に統合された電子構成要素の数、特にADCの数を低減することを可能にするマルチプレクサ25をさらに備える。
【0117】
図6では、N個の変換器素子によって受信された信号を前処理するためのN個のチャネルが存在した。
【0118】
対照的に、図7では、K個(K<N)のチャネルしか存在しない。マルチプレクサ25は、LNA構成要素13などからN個の増幅信号を受信し、前処理のためにK個のチャネルを介してK個の出力多重化信号を分配する。このことは、チップ上の構成要素のより良い統合につながる可能性がある。
【0119】
ビームフォーマ17’のサイズも低減される場合があるが、それは、図6のビームフォーマ17と比較して、ビームフォーマによって処理されなければならない信号の数が低減されるからである。
【0120】
例として、探触子ヘッドは、電子構成要素11~16を備える場合があり、探触子本体は、構成要素17’、18、および22を備える場合がある。
【0121】
図4図7の実施形態では、音響反射板およびそのアクチュエータは、変換器を走査するか、または振動させるためのシステムによって置き換えられる場合がある。
【0122】
1つ以上の変換器は、次のタイプ、すなわち、焦点を絞られた単一素子の変換器、焦点を絞られない単一素子の変換器、焦点を絞られた複数素子の環状変換器、焦点を絞られない複数素子の環状変換器、1D配列または2D配列などを有する場合がある。
【0123】
静電容量型マイクロマシン超音波変換器(CMUT)、ポリビニリデンフルオリド-トリフルオロエチレン変換器(PVDF-TrFE)、圧電セラミック変換器(PZT、LiNbO)、静電変換器などの様々な技術が、1つ以上の変換器に使用される場合がある。
【0124】
変換器は、PVDF変換器、複合変換器とすることもできる。
【0125】
例示的な変換器は、シリコンウエハおよび/またはバッキング要素を含むこともできる。バッキング要素は、凹面形状を有することによって超音波ビームの焦点を絞ることもできる。バッキング要素は、3D印刷を使用して製造される可能性がある。
【0126】
超音波変換器の様々なタイプ、様々な超音波変換器、および超音波変換器システムの構成は、実施形態が、特定のタイプまたは構成のみに専用のものである場合を除いて、上記の実施形態のいずれかにおいて想定される場合がある。
【0127】
図8図13は、使用される場合がある様々な空間的方向を有する、様々な例示的な変換器構成を開示する。前の実施形態では、使用される様々な変換器は、これらが単一素子の変換器であっても複数素子の変換器であっても、放射用と受信用の両方の変換器と見なされる場合があることに留意されたい。
【0128】
図8は、口腔内部の軟組織の関心のあるゾーン(ZOI)をカバーするために空間的に構成された、放射用超音波変換器31および受信用超音波変換器32を有する構成を示す。両変換器は、横方向にずれており、放射ビームの超音波エコーが変換器32によって受信されるように、収束性を有する構成でZOIの方に向けられている。
【0129】
図9では、ZOIの方に角度を付けて向けられた2つの離間した超音波放射用変換器35、36が、面したZOIから超音波エコーを受信する、中心軸方向に向いた超音波受信用変換器37の両側に配置される。逆の構成、すなわち、1つの放射用変換器および2つ以上の離間した受信用変換器が想定される場合もある。
【0130】
図10は、放射用変換器40が、変換器に面したZOIの方に超音波ビーム41を放射する、さらなる構成を示す。ビーム41が、音響ビームスプリッタ42を通過し、音響ビームスプリッタ42の第1の面が、この送信方法でビームの送信を可能にする。ZOIによって返送された超音波エコーは、放射ビームに対して逆方向に軸方向に伝播するが、音響ビームスプリッタ42の反対の第2の面によって反射され、音響ビームスプリッタ42は、これらの超音波エコーを受信用変換器43の方に向ける。
【0131】
この例では、音響ビームスプリッタ42は、45°に向けられ、したがって、受信用変換器43は、放射用変換器40に対して直角に配置される。しかし、他の空間的配置が想定される場合がある。
【0132】
図11図13は、上述した一般的な探触子部材とは無関係の他の態様に関する構成を示す。この新規の態様は、歯科用システム/歯科用探触子部材(探触子ヘッド/探触子本体)および関連の方法に関する。以上および以下に説明する、様々な構造、ケーシング構成、方法の設定、装置、技術的詳細などは、この新規の態様に適用される場合があることに留意されたい。
【0133】
この態様によれば、一般的な手法では、口腔内部、すなわち患者の口の軟組織STを2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子部材が提供される。歯科用システムまたは探触子部材は、主に、
- イメージングされる軟組織STに面することを目的とする音響ウィンドウAWと、
- 少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通るビーム信号を放射すること、および
音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信すること
のために構成された変換器システムTSと、
を備える。
【0134】
ビーム形成/走査組立体BFAは、音響ウィンドウを通るビーム軸を駆動するために構成される場合がある。
【0135】
特に、ビーム信号は、たとえば、パルスレーザーによって生成されたレーザービーム信号である場合がある。これらのパルスは、一般に、短い持続時間、すなわち2から20nsの間のパルスであり、時間的に分離している。レーザービームは、500から1100nmの間の範囲、好ましくは680から900nmの間の範囲の特定の波長で放射される場合がある。動作周波数は、イメージングされる組織の吸収能力に応じて選択される。この周波数は、上記の低減された範囲では5nmの増加量ごとに選択される場合がある。
【0136】
いくつかの軟組織、特に血液を含む軟組織に遭遇するレーザービームは、そのような組織によって吸収される。このことは、組織の急激な温度上昇およびその局所的な膨張を生じさせる。
【0137】
この急激な膨張は、少なくとも1つの超音波変換器(上述のタイプの1つの単一素子または複数素子)によって受信される超音波の生成をもたらす。これらの波の周波数は、全体的に、20から50MHzの間の範囲内にある。この周波数は、パルス幅に依存する。
【0138】
受信された超音波帰還信号に基づいて、超音波信号源の位置特定が可能になる。信号源の強度は、吸収する組織の部分によって変わる。
【0139】
この新規の態様による2D/3Dイメージング方法を実施する前に患者の口を洗い流すために、レーザー波長に極めて感度が高いコウイカまたはイカの墨が使用される場合があることに留意されたい。
【0140】
この墨は、次いで、歯周ポケット内に侵入し、このイメージング方法を通して歯周ポケットをイメージング/観測することを可能にする。
【0141】
この技法により、酸素化された血液で洗浄された組織は、酸素化されていない血液で洗浄された組織と区別することができる。
【0142】
図11は、レーザー源(パルスレーザー)によって放射されたレーザービームまたは光ビーム50が、光学ミラー51に衝突し、光学ミラー51が、ビームを入射角度に対してZOIの方に反射する、構成を示す。
【0143】
ZOIによって生成された超音波エコー(超音波帰還信号)52は、光学ミラー51を通って伝播し、少なくとも1つの受信用超音波変換器53に達する。(上述した)変換器の走査が実行される場合がある。
【0144】
図12は、光またはレーザー放射ビーム56が、穴を通って伝播し、音響および光学ミラー57によってZOIの方に反射されるのを可能にするために、中心に穴が設けられた、少なくとも1つの受信用超音波変換器55を有する構成を示す。
【0145】
ZOIは、超音波エコー58をミラー57の方に返送し、ミラー57は、そのエコーを受信用変換器55の方に再び反射する。
【0146】
(上述した)ミラー57の走査が実行される場合がある。
【0147】
音響/光学ミラー57は、レーザービームおよび超音波帰還信号を反射するために高い音響インピーダンスを有し、ミラー内での波の形成を回避するために減衰特性を有する、多孔質セラミック(たとえば、Macor(登録商標))などの材料を使用する場合がある。超音波ビームを反射するために、反射板の薄い層が、ミラーの一方の面上に積層される。
【0148】
複数環状素子の変換器は、好ましくは図12の構成で使用される場合がある。
【0149】
図13は、2つの収束する光またはレーザービーム62、63をそれぞれZOI上に導く、2つの光ガイドまたは光発生器60、61を有する構成を示す。
【0150】
超音波受信用変換器65は、ZOIによって返送された超音波帰還信号66を受信するために2つの光またはレーザーのガイドまたは発生器60、61の間のZOIの前に軸方向に配置される。
【0151】
図11および図13の構成に関して、直線配列変換器は、線に沿ってレーザービームを放射するレーザーとともに使用される場合がある。
【0152】
図14および続く図は、異なる実施形態によるいくつかの構成を示す。
【0153】
図14は、図2の超音波変換器システムUTSを収容するケーシング70を表す。
【0154】
ケーシング70は、探触子ヘッドに対応する場合がある探触子部材の包囲体を表す場合があることに留意されたい。探触子ヘッドに取り外し可能に取り付けられ、探触子の残りの部分を形成する、探触子本体は、ここでは、簡単のために省略される。
【0155】
本実施形態では、上述の電子構成要素のいくつかまたはすべてを統合する場合がある、少なくとも1つの超音波変換器72を備える場合がある。ケーシング70は、図2のビーム形成/走査組立体BFAを含む場合もある(ここでは図示されないが)。このことは、説明する以下の実施形態および変形形態に当てはまる場合もある。
【0156】
図2の音響ウィンドウAWは、ケーシングの壁内に存在する場合がある。音響ウィンドウ74は、変換器の正面(放射面)に面した壁内に配置される。ZOIは、音響ウィンドウ74および変換器72に面する。超音波ビーム76および超音波帰還信号78は、ここでは音響ウィンドウ74を通して直線的に伝播する。
【0157】
音響ウィンドウ74は、たとえば、半透過性の膜である場合がある音響膜によって開放または閉鎖される場合がある。
【0158】
閉鎖された音響ウィンドウは、殺菌のために役立つことがわかる。
【0159】
ケーシング(または探触子ヘッド)は、イメージングされる軟組織の領域A(領域Aは、ビームが進行する軟組織の領域を取り囲む領域である場合がある)に順応するのに適した外側の順応性材料部分80をさらに備える場合がある。本実施形態では、外側の順応性材料部分は、音響ウィンドウ74の外側の周りに配置される。
【0160】
外側の順応性材料部分80は、音響ウィンドウ74の前に少なくとも部分的に位置する外部領域aを外部から取り囲む。
一例では、外側の順応性材料部分80は、順応性ガスケットである。
【0161】
代替として、音響ウィンドウを取り囲むケーシングの外側部分または壁自体が、イメージングされる軟組織の周辺領域に順応するように構成される場合がある。この変形実施形態は、説明する次の実施形態および変形形態に適用される場合もある。
【0162】
変形実施形態では、ケーシング(または探触子部材/ヘッド)は、たとえば、ケーシングと接触する軟組織に順応するようにデバイスの動作中に曲げられるなど、変形されるのに適した先端部70a(図14)を有する。そのような構成は、組織に対する先端部の空間的/角度方向を変化させることも可能にする。この変形実施形態は、説明する次の実施形態および変形形態に適用される場合もある。
【0163】
上述の外側の順応性材料部分(順応性ガスケットなど)およびその変形形態は、音響ウィンドウを取り囲み、ケーシング(探触子部材または探触子ヘッド)が、圧迫することなく、(順応性部分を通して)イメージングされる軟組織と接触することを可能にすることに留意されたい。
【0164】
変換器72は、図14またはその近くに示すように、音響ウィンドウ74からある距離を置いて配置される場合がある。
【0165】
図15Aに示す変形実施形態では、変換器72’は、変換器72’と音響ウィンドウ74’との間に、カップリングゲルなどのカップリング材料の介在層73を伴って、閉鎖された音響ウィンドウ74’の隣に配置される場合がある。
【0166】
ここで、外側の順応性材料部分80’は、イメージングされる軟組織とのケーシング(または探触子ヘッド)の接触ゾーンの役割を果たす。しかし、変形実施形態では、ケーシングの外壁自体が、この役割を果たす場合がある。
【0167】
いずれにせよ、変換器72’は、外側の接触ゾーン80’から少なくとも2mmの距離d(図15A参照)に配置される場合があり、その結果、音響ビームは、ZOIに達する前に少なくともそのような距離を進行する。この配置は、診査ゾーンに十分にビームの焦点を絞ることを可能にする。
【0168】
複数素子の環状変換器または配列に関して、少なくとも10mmのより長い距離が想定される場合がある。
【0169】
図15Bは、正面がカップリング媒体に露出される変換器の前に、カップリング媒体CM(たとえば、液体またはゲル、低減衰および適応した音響インピーダンスを有する、特定のポリマーなどの専用の材料など)を有する変換器配列Tの配置の拡大図である。配列の複数素子によって放射された超音波ビームが、Bによって表され図示された。この配置は、カップリング媒体CMの下流の最適な画像ゾーンZ(ここにZOIが存在する)の位置を示す。カップリング媒体層の厚さt(たとえば、数ミリメートル)は、変換器から制御された距離の最適な画像ゾーンにビームの焦点を絞ることを生じさせるのに適している。最適な焦点域は、制御された遅延による複数の変換器素子の放射のために、変換器に近づけることはできない。
【0170】
図16は、ケーシング90内に、少なくとも1つの変換器72、音響ウィンドウ74、および外側の順応性材料部分80を備える、超音波変換器システムの構成を示す。
【0171】
これらの要素は、既に説明した図14および図15の要素と同一である場合がある。音響ウィンドウ74は、ケーシングの側壁の1つの上に配置され、超音波変換器システムは、ケーシング内に、音響反射板92と、反射板に走査運動を与えるためのアクチュエータ94(たとえば、上述したタイプの電気機械システムまたはアクチュエータ)とを備える。
【0172】
反射板は、変換器と同様に、焦点を絞られる場合も絞られない場合もある。
変形実施形態では、アクチュエータは、たとえば、電子走査が想定されるとき、省略される場合がある。
【0173】
変換器に関連する反射板は、超音波ビームが反射され、音響ウィンドウを通して導かれ、帰還信号が帰還経路上で変換器に達することを可能にする。
【0174】
表の変換器ならびに走査手段および合焦手段の様々な実施形態および組合せの上記の説明が、ここで適用される場合がある。
【0175】
図14および図15の実施形態ならびにそれらの変形形態の上記の説明も、図16の実施形態に適用される。
【0176】
カップリング媒体は、一般に、図2の歯科用システム/探触子部材に関連して使用される。水は、上述の周波数範囲における超音波信号に関して効率的なカップリング媒体であることがわかる。
【0177】
カップリング媒体は、上述の実施形態、より具体的には、少なくとも1つの変換器からZOIまで、およびその逆経路における選択された1つ以上の周波数の超音波信号のより良好な伝播のための図14図16の実施形態およびそれらの変形形態とともに使用される場合がある。
【0178】
図14図16の各々に示すケーシングは、カップリング媒体で満たされる場合がある。
【0179】
カップリング媒体は、ケーシング内で運動が起こらないとき、液体でない場合があることに留意されたい。これは、たとえば、図14図15A、および図21図23の場合である。そのような場合には、図21図23の実施形態は、カップリング媒体が、液体としてではなく、むしろ固体またはゲルなどの材料として振る舞うように、状況に応じて修正されるべきである。
【0180】
対照的に、ケーシング内で運動が起こるとき、たとえば、反射板および/または変換器が走査のために運動へと駆動されるので、カップリング媒体は、水などの液体であることが好ましい。
【0181】
カップリング媒体は、環境、または用途、または構成に応じて、ケーシング内で静止または流動している場合があることに留意されたい。
【0182】
少なくとも1つの変換器の正面すなわち放射面は、動作の効率のために、そのようなカップリング媒体に接触または露出していることが好ましい。
【0183】
図16の実施形態では、音響反射板92および任意選択のアクチュエータは、ケーシングを満たすカップリング媒体に浸漬される場合がある。しかし、電気接続部および電線は、カップリング媒体とのいかなる接触からも保護されなければならない。
【0184】
図14図16の実施形態に対する代替の実施形態では、ケーシングの内部は、音響反射板の一面のみがカップリング媒体に露出されるように構成される場合がある。アクチュエータは、カップリング媒体の他方の側および外側に配置される場合がある。
【0185】
図17は、音響反射板102を駆動し、カップリング媒体に浸漬することができる、アクチュエータ100を備える考えられる構成を示す。
【0186】
アクチュエータは、同期ブラシレスモータなどの、水中で動作することができるモータである場合がある。
【0187】
特に、この構成は、水平な矢印によって示される、放射された超音波ビームの軸に一致する軸Aに対して傾斜した音響反射板102を含む。音響反射板は、ブロック104および突き出した水平シャフト106に統合される。
【0188】
この構成は、シャフト直径上で偏極している、たとえば円筒形状の磁石108と、回転磁界を生成するのに適した、磁石を取り囲むコイル110とをさらに含む。
【0189】
この構成は、セラミックまたはプラスチックから作ることができる小型ボールベアリング112も備える。
【0190】
上述のように、モータに電力を供給する電線は、液密(たとえば、防水)保護される。
【0191】
図18は、少なくとも1つの変換器124の正面124aがカップリング媒体に露出され、音響反射板126および関連のアクチュエータ128がカップリング媒体に浸漬されるように、ケーシング120の内部(チャンバ)122を満たすカップリング媒体(ここでは水などの液体)を有するケーシング構成120(図16と同様)を示す。
【0192】
音響ウィンドウ130(超音波ビームがケーシングを出る、ケーシングの一部)が開放されている。
【0193】
カップリング媒体回路132は、チャンバを満たすことを目的として(圧力を用いて、または用いないで)入口/出口132aを通してチャンバ内にカップリング媒体を導入するために、少なくとも部分的にチャンバ内に配置される。
【0194】
カップリング媒体は、変換器124によって放射された超音波ビームに平行に変換器124の横に導入される場合がある。ここで、入口/出口132aは、音響ウィンドウから離れたケーシングの一部に配置される。
【0195】
外側の順応性材料部分134は、図14および図16の部分80と同様に、音響ウィンドウを外側から取り囲み、音響ウィンドウに、および軟組織A内のZOIにも面している外部の領域またはゾーンaとの境界を設定する。ゾーンaは、カップリング媒体で満たされた容器と見なされる場合があることに留意されたい。
【0196】
ゾーンaは、探触子部材または探触子のケーシングが、カップリング媒体によりイメージングされる軟組織に適用されるとき、空気がない状態にされる。
【0197】
例示的な順応性材料部分(順応性ガスケットなど)134は、イメージングされる軟組織上にカップリング媒体を維持することを可能にする。このことは、閉鎖された音響ウィンドウを有する次の実施形態にも当てはまる。
【0198】
軸A2は、ZOIに向けられた(音響反射板126によって反射された)超音波ビームの軸を表す。このビームは、(たとえば、図18の平面に垂直な)回転軸に沿った反射板の振動運動を駆動するアクチュエータ128により走査運動へ駆動される。振動運動は、実行されるイメージングのタイプおよび/またはイメージングされるZOIに応じて、より適切な運動を生成するために、両方向の矢印によって表されるように、いくつかの軸に沿って駆動されることも可能である。
【0199】
順応性ガスケットなどの順応性部分134は、軟組織Aと接触し、ウィンドウ130を通してチャンバ122の内または外に流れるカップリング媒体でチャンバ122を満たしておくことを可能にする。
【0200】
本実施形態では、アクチュエータは、ヘッド探触子(またはヘッド部材)のサイズおよび必要な電力を低減することを可能にする、音響カップリング媒体(たとえば、液体)内で動作する。
【0201】
BFA、より具体的には、超音波ビームの形成を実行するBFAの一部は、変換器にできる限り近づけて、ケーシング内に配置される場合もあることに留意されたい。
【0202】
図19は、別のケーシング構成140(図18と同様)を示す。
【0203】
異なる部分のみを説明する。同一の部分または要素は、図18と同じ参照番号を維持する。
【0204】
この構成では、カップリング媒体は、ケーシング140の内部(チャンバ)122を満たす。音響ウィンドウ142は、チャンバを閉鎖する音響膜などの、閉鎖されたものである。
【0205】
ケーシングには、チャンバ内のカップリング媒体が、チャンバから流出し、閉鎖されたウィンドウ142とイメージングされる軟組織Aとの間の領域または空間aを満たすことを可能にするために構成された出口またはノズル144が設けられる。
【0206】
出口またはノズル144は、ウィンドウ142に近接して、ケーシングの壁内の、順応性部分134とウィンドウとの間に配置される。
【0207】
本実施形態では、出口またはノズル144は、流出方向を示す矢印によって示したように、ウィンドウ142に面した領域の中心に向かって傾斜している。
【0208】
図20は、別のケーシング構成150(図19と同様)を示す。
【0209】
異なる部分のみを説明する。同一の部分または要素は、図19と同じ参照番号を維持する。
【0210】
このケーシング構成は、ケーシングの外側の音響ウィンドウ142に面した領域または空間a内にカップリング媒体を直接導くために構成されたカップリング媒体循環回路を備える。この循環回路は、ここでは、出口またはノズル144に達するまでチャンバ154内を延びる導管またはダクト152を備える。導管またはダクト152は、カップリング媒体の流れを供給される入口152aと、出口またはノズル144と流体連通する反対の出口152bとを有する。導管またはダクト152は、ケーシング壁の1つの内側に隣接して配置される場合がある。変形実施形態では、回路152は、ケーシングの外側などの別の場所に配置される場合がある。
【0211】
図19の実施形態とは対照的に、この構成では、チャンバ154は、必ずしもカップリング媒体で満たされているわけではない。
【0212】
しかし、変形実施形態では、チャンバ154は、カップリング媒体も含む。図19の回路と同じ回路が使用される場合がある。
【0213】
図19および図20の実施形態に適用することができる変形実施形態では、閉鎖された音響ウィンドウ142は、イメージングされる軟組織に直接順応するために、順応性音響膜を備える場合がある。
【0214】
次に、図21図23は、特に配列変換器または複数素子の変換器に適したケーシング構成を示す。しかし、他のタイプの変換器は、除外されない。
【0215】
図21では、ケーシング160は、閉鎖された音響ウィンドウ164に近接して面した配列または直線の複数素子超音波変換器162を含む。図15Aを参照して説明したものと同じ介在カップリング材料構成が、ここに適用される場合もある。本構成では、2mm以上などの数ミリメートルのカップリング材料層(たとえば、カップリングゲル)が提供される場合がある。そのような構成は、閉鎖された音響ウィンドウとZOIとの間の極めて短い距離に対しても狭い超音波ビームを生成することを可能にする。
【0216】
順応性部分166は、上記の部分134と同様に、音響ウィンドウ164および領域または空間aを取り囲む。
【0217】
他の実施形態に関しては、BFAは、変換器162が配置されたチャンバ168内に配置される場合もある。
【0218】
このケーシング構成は、ケーシングの外側の音響ウィンドウ164に面した領域または空間a内にカップリング媒体を直接導くために構成されたカップリング媒体循環回路を備える。この循環回路は、ここでは、出口またはノズルを貫通してチャンバ168内を延び領域a内に出る導管またはダクト170を備える。導管またはダクト170は、カップリング媒体の流れを供給される入口170aと、開放出口またはノズルを形成する反対の出口170bとを有する。
【0219】
導管またはダクト170は、ケーシング壁の1つの内側に隣接して配置される場合がある。
【0220】
変形実施形態では、回路170は、ケーシングの外側などの別の場所に配置される場合がある。
【0221】
この構成では、チャンバは、カップリング材料(たとえば、カップリングゲル)が、変換器と音響ウィンドウとの間に存在するので、カップリング媒体で満たされる必要はない。ここで、変換器、カップリング材料、および閉鎖された音響ウィンドウ(たとえば、膜)はすべて、ケーシング壁の開口部内に取り付けられ、互いに組み立てられたままである場合がある。
【0222】
図22のケーシング構成180は、以下の点で図21のケーシング構成と異なる。
- 変換器構成162が、音響ウィンドウ164から離され(この構成によれば、変換器とZOIとの間の距離は、1mm以上、好ましくは2mm以上に調整され、変換器配列または複数素子に関しては、この距離は、以上に既に説明したように、10mm以上の距離である場合さえある)、
- ここで、カップリング媒体循環回路182は、チャンバ168を満たすために構成され、
- 出口またはノズル184は、図19と同様に、カップリング媒体をチャンバから領域または空間a内に直接導入するために提供される。
【0223】
カップリング媒体循環回路182は、チャンバ168内にカップリング媒体を導くために構成される。
【0224】
この循環回路は、ここでは、チャンバ168内を延びる導管またはダクト182を備える。導管またはダクト182は、カップリング媒体の流れを供給される入口182aと、変換器の断面とほぼ同じ断面内でチャンバ内に出るが、チャンバ内の信号の伝播を妨害しないようにあまり離れていない、反対の出口182bとを有する。
【0225】
導管またはダクト170は、ケーシング壁の1つの内側に隣接して配置される場合がある。
【0226】
軸A3は、音響ビーム軸と一致する。
【0227】
図23のケーシング構成190は、音響ウィンドウ192が図18と同様に開放されているという点で図22のケーシング構成と異なる。
【0228】
上述した様々な構成は、以下の随意的な特徴のいずれかを追加する場合がある。
- カップリング媒体の温度を測定するための温度測定組立体またはユニット、
- カップリング媒体の圧力を測定するための圧力測定組立体またはユニット、
- カップリング媒体の流量を測定するための流量計測組立体またはユニット。
【0229】
これらのパラメータまたはこれらパラメータのいずれかの知見および考えられる制御は、(上記の実施形態および変形形態のいずれかにおいて説明した)探触子部材あるいは口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするための図2の歯科用システムを動作させるための方法の動作中に役立つ場合がある。考えられる方法の実施形態は、図31に示すように、
- 10MHzから100MHzの範囲の中心周波数foにおいてビームの形態の超音波信号を放射するステップ(ステップS2)と、
- 少なくとも1つの軸に沿って音響ウィンドウを通る超音波ビーム信号を駆動するステップ(ステップS3)と、
- 音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信するステップ(ステップS4)と
を含む。
【0230】
この方法の実施形態は、イメージングされるゾーンを拡大するために軟組織に適用される歯科用システムまたは探触子部材を手動で動かすためのステップS4をさらに含む可能性がある。そのような可能性は、歯科用システムまたは探触子部材の空間的情報/データを提供する位置センサに関連して以上で既に説明した。
【0231】
さらに、この方法の実施形態は、受信された超音波帰還信号に基づいて2Dおよび/または3D画像を再構成するためのステップS5を含む。
【0232】
たとえば、カップリング媒体の圧力を知ることは、音響膜の変形を知るのに、たとえば、音響膜にダメージを与えるか、またはイメージング方法に影響を及ぼす可能性がある余分の圧力を回避するのに役立つ場合がある。そのような場合、本方法は、チャンバ内のカップリング媒体の圧力および/または流量を低減することを想定することができる。
【0233】
温度および/または流量を知ることは、(上記の実施形態および変形形態のいずれかにおいて説明した)探触子部材または図2の歯科用システムをより良好に動作させるのに役立つ可能性もある。
【0234】
上述した、カップリング媒体(液体または非液体)を含む様々な構成では、カップリング媒体の純度および伝導率が、本方法の動作のより良好な効率のために、選択され制御される場合もある。
【0235】
カップリング媒体は、気泡がない場合がある。
【0236】
カップリング媒体は、生体適合性を有する液体である場合がある。
防腐剤が、随意的に、水である場合があるカップリング媒体に加えられる場合がある。
【0237】
上述した、カップリング媒体(液体または非液体)を含む様々な構成では、カップリング媒体は、加圧される場合もされない場合もある。加圧は、いくつかの状況において、すなわち、
- ケーシング内の気泡を回避するために、
- イメージングされる軟組織に音響ウィンドウを適用させるように、音響膜などの音響ウィンドウを変形するために
役立つ場合がある。
【0238】
カップリング媒体の変形可能な/可撓性の容器または袋が、上述の構成のいずれかにおいて、または、ケーシング内の少なくとも1つの変換器と、考えられる外側の順応性材料部分(たとえば、ガスケット)を伴った音響ウィンドウとを含む、任意の他のより一般的な構成において、音響ウィンドウに面したゾーンまたは領域a内に配置される場合があることに留意されたい。
【0239】
別の実施形態は、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子に関する。そのような歯科用探触子は、他の説明された構成のいずれかをとる場合がある探触子部材を備える。
【0240】
歯科用探触子は、より具体的には、探触子本体、および分離可能な探触子ヘッドを備える。
【0241】
探触子の探触子ヘッドは、上述した探触子部材である場合がある。
【0242】
探触子ヘッドおよび探触子本体は、部分(本体またはヘッド)または任意の内部構成要素のいずれの交換も簡単にするために、特にメンテナンスのために、互いに取り外し可能に接続/電気接続されるのが好ましい。
【0243】
図24は、探触子ヘッド202および探触子本体204を有する、そのような探触子200の例示的な実施形態を示す。両部分の間の様々な構成要素は、様々な実施形態および変形形態に応じて、上述したように共有される場合がある。
【0244】
探触子は、本体204から探触子ヘッド202に電気接続する、または探触子ヘッド202のプラグを抜くのに適した第1のコネクタ206を備える場合がある。ここでは、このコネクタは、ヘッドの雌部分(図示せず)内にかみ合うことを目的とする、本体の雄部分によって表される。両部分の間の接続は、ねじ込むことによって、または雄部分を雌部分にきっちりと合わせることによって、行われる場合がある。
【0245】
第1のコネクタ206は、電気端子と、カップリング媒体入口および/または出口(たとえば、水入口および/または出口)と、随意的に空気入口/出口とを備える場合もある。そのようなコネクタの例示的な実施形態を、図29に示す。
【0246】
探触子ヘッド202は、探触子本体204に接続することができる探触子ヘッド部分210をカバーする探触子ヘッドカバー208と、閉鎖された音響ウィンドウ214を備える、取り外し可能な探触子ヘッドシェル212とを備える。
【0247】
図示するように、探触子ヘッドは、少なくとも1つの超音波変換器220が配置されたチャンバ218にカップリング媒体を供給するための導管216も備える。少なくとも1つの変換器は、一般に、シェルのいずれの取り外しも複雑にしないように、取り外し可能な探触子ヘッドシェルの一部ではない。
【0248】
カップリング媒体出口またはノズル222は、隣接して音響ウィンドウ214を収容する、取り外し可能な探触子ヘッドシェル212の壁内に設けられる。出口またはノズル222は、先の実施形態で説明したように領域または空間a上にカップリング媒体を導くために、収束する手法で音響ウィンドウの両側に配置される(または代替として、単一の出口またはノズルが、ウィンドウを取り囲む場合がある)。代替として、先の実施形態と同様に、ウィンドウの一方の側に配置された単一の出口またはノズルが想定される場合がある。他の実施形態は、領域a内にカップリング媒体を導入するための2つ以上の出口もしくはノズル、または単一の周辺出口もしくはノズル、または任意の他の構成を含む場合もあることに留意されたい。
【0249】
既に説明したものと同一の外側の順応性部分224は、出口またはノズル222を越える領域aとの境界を設定する。
【0250】
取り外し可能な探触子ヘッドシェルは、出口またはノズル222および部分224も備える。
【0251】
取り外し可能な探触子ヘッドシェルは、加圧滅菌器内で探触子ヘッド全体を殺菌することを回避するとき、殺菌のために役立つ場合がある。
【0252】
探触子ヘッドカバーおよび取り外し可能な探触子ヘッドシェルは、どちらも、探触子ヘッドの汚染を防止/低減することを助ける。
【0253】
取り外し可能な探触子ヘッドシェル212は、ヘッドカバー208の端部の周りのカバーまたはキャップとして適合する場合があり、たとえば、取り外し可能な探触子ヘッドシェル212は、ヘッドカバー208の端部の周りにきっちりと適合するか、またはヘッドカバー208の外側のねじ込み式端部にねじ込まれる場合がある。
【0254】
変形実施形態(ここには示さず)によれば、図24のカップリング媒体出口またはノズル222は、カップリング媒体が、探触子ヘッドから流出し、汚染された液体が探触子ヘッド内に侵入するのを防止し、または少なくともこの液体の侵入を低減することを可能にする、半透過性の音響膜を使用することによって除去される。ヘッド探触子は、カップリング媒体の流れを制御するために圧力センサをさらに備える場合がある。
【0255】
探触子230の別の例示的な実施形態が、図25に示される。同一の要素は、同じ参照番号を維持し、再び説明されない。
【0256】
探触子本体232は、外部ホース238など(より一般的には、探触子ヘッド部分の外部にあり、探触子本体に接続されるカップリング媒体回路)を通して取り外し可能な探触子ヘッドシェル236にカップリング媒体を提供するための高速接続/切断コネクタ234を備える。
【0257】
したがって、取り外し可能な探触子ヘッドシェル236は、状況に応じて、他の区画室または変換器220が配置されたチャンバ236bから独立した区画室236a内にホース238の端部を収容するように構成される。
【0258】
区画室236aは、その底部に出口またはノズル236cを有し、ホース238の端部は、ホース内を循環するカップリング媒体が、順応性部分224によって取り囲まれた外部の領域または空間a内に導入されるように、この出口またはノズル上に固定して取り付けられる。
【0259】
したがって、取り外し可能な探触子ヘッドシェル236は、一方の側(図面の上側)が開放し、閉鎖された音響ウィンドウ214および出口またはノズル236cが設けられた壁によって他方の側が閉鎖された、2つの内部区画室236aおよび236bを有する。シェル236も、たとえば、図25に関して上述したように、探触子ヘッドカバー208の周りに適合する。
【0260】
図示するように、カップリング媒体回路238は、探触子ヘッドカバー208によって少なくとも部分的にカバーされる。
【0261】
図24および図25の異なる探触子ヘッドカバーおよび探触子ヘッドシェルは、保護カバーであることに留意されたい。
【0262】
図26および図27は、本体232と同一であり、探触子本体を探触子ヘッドに接続するためのコネクタの雄部分を設けられた、探触子本体242を有する、異なる探触子ヘッド構成を示す。各図の探触子ヘッドは、探触子本体の雄部分を受容し、超音波変換器システムを動作させるのに必要な電子構成要素を含む場合がある、接続部分246を含む。
【0263】
図26は、探触子ヘッド244が、
- 曲げによって変形する可能性がある変形可能な部分である、第1の探触子ヘッド部分248と、
- 音響ウィンドウおよび少なくとも1つの変換器を備え、部分248に固定してまたは取り外し可能に接続される、第2の探触子ヘッド部分250と
を備える、構成を示す。
【0264】
変形可能な部分248は、開業医が、イメージングされる軟組織にツールの形状を適合させ、従来のツールがアクセスするのが難しいゾーンに到達することを可能にする。ヘッド部分250がほとんどどんな角度方向もとることができるように、変形可能な部分を手動でどんな方向にも簡単に曲げることによって適合される。これは、変形可能な部分248の可撓性により変形可能な部分248にダメージを与えることなく経時的に繰り返し行うことができる。
【0265】
代替として、変形可能な部分248は、他の応用例の剛性の高い部分によって置き換えられる場合がある。
【0266】
ヘッド部分250には、上述した他の順応性部分と同一である可能性がある、外側の順応性部分250が設けられる場合がある。
【0267】
代替として、接続部分246はコネクタのみを形成し、電子構成要素は、変換器にできる限り近づけた遠隔のヘッド部分250内に含まれる。
【0268】
変形実施形態では、探触子ヘッド部分250は、たとえば、ヘッド部分250とヘッド部分248との間の特定の連結接続のために、探触子ヘッド部分250自体の方向に向いている場合がある。
【0269】
図27は、探触子ヘッド260が、
- 曲げによって変形する可能性がある変形可能な部分である、(図25のヘッド部分248と同一の)第1の探触子ヘッド部分248と、
- 音響ウィンドウおよび少なくとも1つの変換器を備え、部分248に固定してまたは取り外し可能に接続される、第2の探触子ヘッド部分262と
を備える、構成を示す。
【0270】
ここで、ヘッド部分262は、先の実施形態と同様に、軸方向の音響ウィンドウの代わりに横方向を向いた音響ウィンドウを有するので、特定のゾーンのイメージングを可能にする構成を有する。軸方向とは、ここでは、長尺状のヘッド部分248の軸に関するものと見なされる。たとえば、そのような構成は、舌の軟組織のイメージングに役立つことがわかる。
【0271】
図28は、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするための方法を動作させるための少なくとも一部の装置に使用される場合がある、いくつかの装置を含む歯科用設備を表す。
【0272】
本実施形態では、カップリング媒体は、歯科用椅子の電源コードによって提供される水である。
【0273】
本設備は、椅子300、照明ユニット302、連結用アーム308を通して垂直支持体306の周りに動かすことができる歯科用ユニット304を含む。歯科用ユニット304は、各々が器具用ホース312を通してユニット304および電源、水、空気などに接続された歯科用器具310のセットを支える。
【0274】
上述した様々な探触子部材の構成(探触子、探触子ヘッド、探触子本体)は、たとえば、ホースなど(たとえば、コード)に固定され/取り付けられた高速接続/切断コネクタを通して、歯科用設備に取り付けられる場合がある。
【0275】
図29は、電気端子320a、カップリング媒体(たとえば、水などの液体)入口/出口320b、空気入口/出口320cなどを備える場合もある、高速接続/切断コネクタ320の例示的な実施形態を示す。
【0276】
コネクタの2つの部分の1つ322は、電気(たとえば、電源のために)、カップリング媒体、空気などを搬送/転送するのに適したホースまたはコード323の端部に取り付けられる。他の部分324は、探触子の探触子本体に接続される場合がある。
【0277】
この高速接続/切断コネクタは、図24と同様に、探触子本体を探触子ヘッドに接続し/探触子本体を切断するのに適している。
【0278】
この高速接続/切断コネクタは、様々な探触子部材構成(探触子、探触子ヘッド、探触子本体)を図28のホース312の1つに接続し、それらの探触子部材構成を切断するのにも適している。
【0279】
探触子部材に空気を提供する空気入口/出口は、上述したものの1つとして、ケーシングならびに/または導管およびノズル内のカップリング媒体を除去するのに役立つ場合があることに留意されたい。空気入口/出口は、唾液を排出するのに使用される場合もある。
【0280】
図30は、口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用することができる器具またはツール330を表す。このツールは、コネクタ334(たとえば、図29と同様の2つの部分のコネクタ)を通して、電気、カップリング媒体(たとえば、水)、空気などを転送するホース332に接続された探触子である。ツール330は、開業医の手によって便利に握られるように長尺状の形状を有する探触子本体336またはハンドピースを備える。ツール330は、探触子本体336に取り外し可能に接続された探触子ヘッド338も備える。探触子ヘッド338は、音響ウィンドウおよび水出口340が、本体336の軸にほぼ垂直に、横向きに向くように、本体336の長尺状の軸に対して横方向に向いている。
【0281】
既に説明したように、患者の頭部の口腔内部の軟組織内のZOIを超音波ビームによってイメージングする前に、本方法は、
- 以上に既に説明した探触子部材または探触子を提供するステップと、
- たとえば、従来の歯科用器具310の1つを探触子部材または探触子に置き換え、探触子部材または探触子を歯科用ユニットのコードまたはホース312に電気接続するか、または取り付けることによって、歯科用装置304上に探触子部材または探触子を設置するステップと、
- 探触子部材または探触子にカップリング媒体(ここでは、水)を供給するステップと、
- 様々な考えられるケーシング構成において、以上に既に説明したように、探触子部材または探触子の音響ウィンドウとイメージングされる軟組織との間にカップリング媒体を分配するステップと
を含む。
【0282】
カップリング媒体は、図18図24に示したように、上述の領域または空間a内にある流量で分配される。既に説明したように、流量は、圧力測定を通して直接または間接的に測定される場合がある。
【0283】
カップリング媒体は、探触子部材または探触子がイメージングされる軟組織に適用されるとき、音響ウィンドウとイメージングされる軟組織との間の領域を空気がない状態にしておくために、音響ウィンドウとイメージングされる軟組織との間のその領域または空間a内に連続的に分配される場合がある。
【0284】
カップリング媒体の流量は、次のもの、すなわち、ペダル、患者の口内の液体を吸引するための吸引ユニット(慣例的に唾液を吸引するために使用される吸引ユニットとして)、トリガ部材、好ましくはボタン、画像トリガなどの少なくとも1つによって制御される場合がある。
【0285】
一般的な手法では、探触子部材または探触子は、扱いやすく、軟組織をその深さ内において高い分解能および実時間でイメージングすることを可能にする比較的小さいツールである。
【0286】
一般的な手法では、探触子部材または探触子ヘッドの形状は、患者の快適さを確保し、使用しやすいように設計されるのが好ましい。このことは、特に、上述したすべてのケーシング構成に当てはまる。
【0287】
探触子部材または探触子ヘッドはまた、探触子ヘッドの体積を確実に低減するように設計される。このことは、特に、上述したすべてのケーシング構成に当てはまる。
【0288】
一般的な手法では、探触子または歯科用システムは、実時間、すなわち、10個の画像/秒以上の速度で画像を生成することができる。
【0289】
したがって、開業医は、イメージングされる歯の軟組織に対しておよびそれに関して探触子を動かし、放射線検査とは対照的に、生成された画像をディスプレイ組立体上で十分速く観測する。このことは、特に、上述したすべての探触子のケーシング構成に当てはまる。このことは、特に、30MHzの中心周波数で動作する単一素子の変換器に当てはまる。100個の画像/秒の速度を想定することもできる。
【0290】
探触子または歯科用システムによって生成された画像は、5~6mmの幅および10mmの深さを有するZOIをカバーする場合がある。
【0291】
歯周での使用の場合、探触子のサイズおよび形状は、軟組織の舌側および/または顔側を走査するとき、ユーザおよび患者の快適さを可能にするのに適していなければならない。
【0292】
一般的な手法では、探触子または歯科用システムは、先行技術の方法とは対照的に、侵襲的でなく、痛みを起こさない。したがって、細菌汚染のいかなるリスクも回避される。
【0293】
軟組織全体(たとえば、歯茎)を観測することができる。
【0294】
より良好な分解能、および観測された異なる組織間のより良好な区別を得ることができる。
【0295】
探触子、より具体的には、探触子ヘッドは、たとえば、歯ブラシのヘッドとほぼ同様に、全体的に長尺状の形状を有し、したがって、患者の口内に容易に導入され、アクセスが難しい任意の歯の領域または歯周領域に適用される可能性がある。
【0296】
探触子または歯科用システムは、開業医には扱いやすい場合がある。
【0297】
この点において、探触子本体は、歯ブラシの取っ手と同様に手で握りやすく、扱いやすいように構成される場合がある。
【0298】
探触子ヘッドのサイズは、探触子ヘッドを患者の口内に容易に導入することができるサイズである。したがって、変換器を包囲するケーシングは、一般に、1または2cmを超えない外側体積を有する。
【0299】
約10mmの長さ、5mmの幅、および5mmの高さまたは厚さを有する探触子ヘッドが想定される場合がある。
【0300】
「J Radiol 2006、87、1920~36ページ、グレゴワール(Gregoire)ら」という記事は、全体的に、高い分解能のイメージングについて記載し、本明細書に引用して援用する。
【0301】
「第1の」、「第2の」などの用語は、使用される場合、必ずしも任意の順序関係または優先関係を示すわけではないが、ある要素または時間間隔を別のものとよりはっきりと区別するために使用される場合がある。「例示的な」という用語は、説明が理想的なものであることを暗示するのではなく、その説明が例として使用されることを示す。
【0302】
本出願で使用される「信号通信中の」という用語は、2つ以上のデバイスおよび/または構成要素が、いくつかのタイプの信号経路を介して移動する信号によって互いに通信することができることを意味する。信号通信は、有線である場合も無線である場合もある。これらの信号は、第1のデバイスおよび/または構成要素と第2のデバイスおよび/または構成要素との間の信号経路に沿って、第1のデバイスおよび/または構成要素から、第2のデバイスおよび/または構成要素に、情報、電力、および/またはエネルギーを通信する場合がある、通信信号、電力信号、データ信号、またはエネルギー信号である場合がある。信号経路は、第1のデバイスおよび/または構成要素と第2のデバイスおよび/または構成要素との間の物理的、電気的、磁気的、電磁気的、光学的、有線の、および/または無線の接続を含む場合がある。信号経路は、第1のデバイスおよび/または構成要素と第2のデバイスおよび/または構成要素との間に、追加のデバイスおよび/または構成要素を含む場合もある。
【0303】
例示的な実施形態と矛盾することなく、本開示は、画像取得、および記憶され電子メモリからアクセスされる画像データに関する画像データ処理のためにシステム機能を制御する記憶情報を有するコンピュータプログラムを使用することができる。画像処理技術の当業者が諒解することができるように、本開示の例示的な実施形態のコンピュータプログラムは、プロセッサが本明細書で説明されるようにデータを取得し、処理し、表示するために動作するように適切なソフトウェアプログラムを提供されるとき、画像プロセッサとして機能する、パーソナルコンピュータまたはワークステーションなどの、適切な汎用コンピュータシステムによって利用されることが可能である。多くの他のタイプのコンピュータシステムアーキテクチャが、たとえば、ネットワークで結ばれたプロセッサの構成を含む、本開示のコンピュータプログラムを実行するために使用される可能性がある。
【0304】
本開示の例示的な方法の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムが、コンピュータ可読記憶媒体に記憶される場合がある。この媒体は、たとえば、ハードドライブもしくは取り外し可能なデバイスなどの磁気ディスクもしくは磁気テープなどの磁気記憶媒体、光ディスク、光学テープ、もしくは機械可読光学的エンコーディングなどの光記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくはリードオンリーメモリ(ROM)などのソリッドステート電子記憶デバイス、またはコンピュータプログラムを記憶するのに使用される任意の他の物理的なデバイスまたは媒体を含む場合がある。本開示の例示的な方法を実行するためのコンピュータプログラムは、インターネットまたは他のネットワークもしくは通信媒体によって画像プロセッサに接続されるコンピュータ可読記憶媒体に記憶される場合もある。画像データ処理技術の当業者は、そのようなコンピュータプログラム製品の均等物がハードウェア内に構築される場合もあることをさらに容易に認識するであろう。
【0305】
本開示の文脈における「コンピュータアクセス可能メモリ」と均等な「メモリ」という用語は、画像データを記憶し画像データに関して動作するために使用され、データベースを含むコンピュータシステムにアクセス可能な、任意のタイプの一時的またはより永続的なデータ記憶作業領域を示すことができることに留意されたい。メモリは、たとえば、磁気記憶装置または光学記憶装置などの長期記憶媒体を使用して、不揮発性とすることができる。代替として、メモリは、マイクロプロセッサまたは他の制御ロジックプロセッサデバイスによって一時的なバッファまたは作業領域として使用されるランダムアクセスメモリ(RAM)などの電子回路を使用して、より揮発性の性質を有することができる。表示データは、たとえば、通常、表示デバイスに直接関連し、表示データを提供するために必要に応じて定期的にリフレッシュされる、一時的な記憶バッファに記憶される。この一時的な記憶バッファは、この用語が本開示に使用されるとき、メモリであると見なすこともできる。メモリは、計算および他の処理を実行し、計算および他の処理の中間結果および最終結果を記憶するためのデータ作業領域としても使用される。コンピュータアクセス可能メモリは、揮発性、不揮発性、または揮発性タイプと不揮発性タイプの混成の組合せとすることができる。
【0306】
本開示のコンピュータプログラム製品は、周知の様々な画像操作アルゴリズムおよびプロセスを利用する場合があることを理解されたい。本開示の例示的なコンピュータプログラム製品の実施形態は、実装に役立つ、本明細書に具体的には示されないか、または説明されないアルゴリズムおよびプロセスを具現化する場合があることがさらに理解されよう。そのようなアルゴリズムおよびプロセスは、画像処理技術の通常の技能の範囲内にある従来のユーティリティを含む場合がある。画像を生成し、それ以外に画像を処理し、または本開示のコンピュータプログラム製品と協働するための、そのようなアルゴリズムおよびシステムおよびハードウェアおよび/またはソフトウェアの追加の態様は、本明細書に具体的には示されないか、または説明されず、当技術で知られている、そのようなアルゴリズム、システム、ハードウェア、構成要素、および要素から選択される場合がある。
【0307】
本出願による例示的な実施形態は、本明細書に説明された様々な特徴を、個別にまたは組み合わせて含むことができる。
【0308】
本発明は、1つ以上の実装形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲の思想および範囲から逸脱することなく、説明した例を変形および/または修正することができる。加えて、本発明の具体的な特徴を、いくつかの実装形態の1つに関して開示した可能性があるが、そのような特徴は、任意の所定の機能または具体的な機能にとって望ましく有利である可能性があるとき、他の実装形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された発明の仕様および実践を検討すれば、当業者には明らかであろう。仕様および例は、例示と見なされるにすぎず、本発明の真の範囲および思想は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図され、その均等物の意味および範囲内にあるすべての変更は、その中に含まれることが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内部の軟組織を2Dおよび/または3Dイメージングするために使用されることを目的とする探触子部材であって、
a.イメージングされる前記軟組織に面することを目的とする閉鎖された音響ウィンドウと、
b.少なくとも1つの軸に沿って前記閉鎖された音響ウィンドウを通るビームの形態の超音波信号を放射すること、および
前記閉鎖された音響ウィンドウを通る対応する超音波帰還信号を受信すること
のために構成された超音波変換器システムと、
c.前記閉鎖された音響ウィンドウを通る超音波ビーム軸を駆動するために構成されたビーム形成/走査組立体と、
d.前記超音波変換器システムを収容するケーシングと、
を備え、
前記超音波変換器システムは、10MHzから100MHzの範囲の中心周波数において動作し、
さらに、前記ケーシングの、前記超音波変換器システムの放射面に面した壁には、前記音響ウィンドウが配置され、
e.前記放射面に面した壁に設けられ、前記音響ウィンドウの前に位置する外部空間領域を取り囲み、イメージングされる前記軟組織の周辺領域の形状に合わせて変形する順応性ガスケットを備える、
ことを特徴とする探触子部材